IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-エッチング方法及びプラズマ処理装置 図1
  • 特開-エッチング方法及びプラズマ処理装置 図2
  • 特開-エッチング方法及びプラズマ処理装置 図3
  • 特開-エッチング方法及びプラズマ処理装置 図4
  • 特開-エッチング方法及びプラズマ処理装置 図5
  • 特開-エッチング方法及びプラズマ処理装置 図6
  • 特開-エッチング方法及びプラズマ処理装置 図7
  • 特開-エッチング方法及びプラズマ処理装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093553
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】エッチング方法及びプラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/302 101B
H01L21/302 101C
H01L21/302 101D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210014
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(74)【代理人】
【識別番号】100131598
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 和宗
(72)【発明者】
【氏名】向山 広記
(72)【発明者】
【氏名】澤野 拓哉
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA16
5F004BA04
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB29
5F004CA02
5F004CA04
5F004CA06
5F004CA08
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA24
5F004DA25
5F004DA26
5F004DB02
5F004DB03
5F004DB07
5F004DB08
5F004DB10
5F004EA05
5F004EA06
5F004EA28
(57)【要約】
【課題】ボーイングを抑制する技術を提供する。
【解決手段】エッチング方法が提供される。この方法は、(a)チャンバ内の基板支持部上に、エッチング対象膜とエッチング対象膜上のマスクとを有する基板を提供する工程と、(b)エッチング対象膜をエッチングして凹部を形成する工程であって、チャンバ内の圧力が第1の圧力に制御され、かつ、基板支持部の温度が第1の温度に制御される、工程と、(c)金属含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて凹部の側壁の一部に金属含有膜を形成する工程であって、チャンバ内の圧力が第1の圧力よりも高い第2の圧力に制御され、かつ、基板支持部の温度が第1の温度以下の第2の温度に制御される、工程と、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチング方法であって、
(a)チャンバ内の基板支持部上に、エッチング対象膜と前記エッチング対象膜上のマスクとを有する基板を提供する工程と、
(b)前記エッチング対象膜をエッチングして凹部を形成する工程であって、前記チャンバ内の圧力が第1の圧力に制御され、かつ、前記基板支持部の温度が第1の温度に制御される、工程と、
(c)金属含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて前記凹部の側壁の一部に金属含有膜を形成する工程であって、前記チャンバ内の圧力が前記第1の圧力よりも高い第2の圧力に制御され、かつ、前記基板支持部の温度が前記第1の温度以下の第2の温度に制御される、工程と、を含む
エッチング方法。
【請求項2】
前記(c)の工程において、前記金属含有膜は、前記凹部の底部側の側壁に形成される、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項3】
前記(c)の工程において、前記金属含有膜は、前記凹部の底部及び当該底部近傍に形成される、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項4】
前記(c)の工程において、前記金属含有膜は、前記凹部の深さの半分の位置よりも深い位置にある側壁に形成される、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項5】
前記(c)の工程中に、前記金属含有膜は前記凹部の底部から上方に向かって形成されていく、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項6】
前記(b)の工程の終了時において、前記凹部のアスペクト比は20以上である、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項7】
(d)前記(c)の工程の後に、前記凹部をさらにエッチングする工程をさらに含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項8】
前記(c)の工程と前記(d)の工程とを交互に複数回繰り返す、請求項7に記載のエッチング方法。
【請求項9】
前記(b)の工程の終了時における前記凹部の深さは、エッチング終了時の前記凹部の深さの30%以上である、請求項7又は請求項8に記載のエッチング方法。
【請求項10】
前記処理ガスは、還元性ガスを更に含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項11】
前記金属含有ガスは、タングステン、チタン及びモリブデンからなる群から選択される金属の少なくとも1種を含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項12】
前記金属含有ガスは、ハロゲンをさらに含む、請求項11に記載のエッチング方法。
【請求項13】
前記第2の温度は、0℃未満である、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項14】
前記第2の圧力は、150mTorr以上である、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項15】
前記エッチング対象膜は炭素を含み、前記マスクはシリコン又は金属を含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項16】
前記(b)の工程において、酸素含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて、前記エッチング対象膜をエッチングする、請求項15に記載のエッチング方法。
【請求項17】
前記エッチング対象膜はシリコンを含み、前記マスクは炭素又は金属を含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項18】
前記(b)の工程において、フッ素含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて、前記エッチング対象膜をエッチングする、請求項17に記載のエッチング方法。
【請求項19】
エッチング方法であって、
(a)チャンバ内の基板支持部上に、凹部を有する基板を提供する工程と、
(b)金属含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて前記凹部の側壁の一部に金属含有膜を形成する工程であって、前記チャンバ内の圧力が150mTorr以上に制御され、かつ、前記基板支持部の温度が0℃未満に制御される、工程と、を含む
エッチング方法。
【請求項20】
チャンバと制御部とを有するプラズマ処理装置であって、
前記制御部は、
(a)前記チャンバ内の基板支持部上に、エッチング対象膜と前記エッチング対象膜上のマスクとを有する基板を提供する制御と、
(b)前記エッチング対象膜をエッチングして凹部を形成する制御であって、前記チャンバ内の圧力が第1の圧力に制御され、かつ、前記基板支持部の温度が第1の温度に制御される、制御と、
(c)金属含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて前記凹部の側壁の一部に金属含有膜を形成する制御であって、前記チャンバ内の圧力が前記第1の圧力よりも高い第2の圧力に制御され、かつ、前記基板支持部の温度が前記第1の温度以下の第2の温度に制御される、制御と、を実行する
プラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、エッチング方法及びプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シリコン含有膜を途中までプラズマによりエッチングした後で、当該シリコン含有膜上にプラズマを生成せずにカーボン含有膜を成膜することで、ボーイングを抑制してエッチングを行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-21546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ボーイングを抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一つの例示的実施形態において、エッチング方法であって、(a)チャンバ内の基板支持部上に、エッチング対象膜と前記エッチング対象膜上のマスクとを有する基板を提供する工程と、(b)前記エッチング対象膜をエッチングして凹部を形成する工程であって、前記チャンバ内の圧力が第1の圧力に制御され、かつ、前記基板支持部の温度が第1の温度に制御される、工程と、(c)金属含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて前記凹部の側壁の一部に金属含有膜を形成する工程であって、前記チャンバ内の圧力が前記第1の圧力よりも高い第2の圧力に制御され、かつ、前記基板支持部の温度が前記第1の温度以下の第2の温度に制御される、工程と、を含むエッチング方法が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一つの例示的実施形態によれば、ボーイングを抑制する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】プラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
図2】誘導結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
図3】ボーイングの一例を説明するための図である。
図4】本方法を示すフローチャートである。
図5】工程ST1で提供される基板Wの断面構造の一例を示す図である。
図6】工程ST2の処理後の基板Wの断面構造の一例を示す図である。
図7】工程ST3における金属含有膜の形成過程の一例を示す図である。
図8】工程ST4の処理後の基板Wの断面構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の各実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、エッチング方法であって、(a)チャンバ内の基板支持部上に、エッチング対象膜とエッチング対象膜上のマスクとを有する基板を提供する工程と、(b)エッチング対象膜をエッチングして凹部を形成する工程であって、チャンバ内の圧力が第1の圧力に制御され、かつ、基板支持部の温度が第1の温度に制御される、工程と、(c)金属含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて凹部の側壁の一部に金属含有膜を形成する工程であって、チャンバ内の圧力が第1の圧力よりも高い第2の圧力に制御され、かつ、基板支持部の温度が第1の温度以下の第2の温度に制御される、工程と、を含むエッチング方法が提供される。
【0010】
一つの例示的実施形態において、(c)の工程において、金属含有膜は、凹部の底部側の側壁に形成される。
【0011】
一つの例示的実施形態において、(c)の工程において、金属含有膜は、凹部の底部及び底部近傍に形成される。
【0012】
一つの例示的実施形態において、(c)の工程において、金属含有膜は、凹部の深さの半分の位置よりも深い位置にある側壁に形成される。
【0013】
一つの例示的実施形態において、(c)の工程中に、金属含有膜は凹部の底部から上方に向かって形成されていく。
【0014】
一つの例示的実施形態において、(b)の工程の終了時において、凹部のアスペクト比は20以上である。
【0015】
一つの例示的実施形態において、(d)(c)の工程の後に、凹部をさらにエッチングする工程をさらに含む。
【0016】
一つの例示的実施形態において、(c)の工程と(d)の工程とを交互に複数回繰り返す。
【0017】
一つの例示的実施形態において、(b)の工程の終了時における凹部の深さは、エッチングの終了時の凹部の深さの30%以上である。
【0018】
一つの例示的実施形態において、処理ガスは、還元性ガスを更に含む。
【0019】
一つの例示的実施形態において、金属含有ガスは、タングステン、チタン及びモリブデンからなる群から選択される金属の少なくとも1種を含む。
【0020】
一つの例示的実施形態において、金属含有ガスは、ハロゲンをさらに含む。
【0021】
一つの例示的実施形態において、第2の温度は、0℃未満である。
【0022】
一つの例示的実施形態において、第2の圧力は、150mTorr以上である。
【0023】
一つの例示的実施形態において、エッチング対象膜は炭素を含み、マスクはシリコン又は金属を含む。
【0024】
一つの例示的実施形態において、(b)の工程において、酸素含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて、エッチング対象膜をエッチングする。
【0025】
一つの例示的実施形態において、エッチング対象膜はシリコンを含み、マスクは炭素又は金属を含む。
【0026】
一つの例示的実施形態において、(b)の工程において、フッ素含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて、エッチング対象膜をエッチングする。
【0027】
一つの例示的実施形態において、エッチング方法であって、(a)チャンバ内の基板支持部上に、凹部を有する基板を提供する工程と、(b)金属含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて凹部の側壁の一部に金属含有膜を形成する工程であって、チャンバ内の圧力が150mTorr以上に制御され、かつ、基板支持部の温度が0℃未満に制御される、工程と、を含むエッチング方法が提供される。
【0028】
一つの例示的実施形態において、チャンバと制御部とを有するプラズマ処理装置であって、制御部は、(a)チャンバ内の基板支持部上に、エッチング対象膜とエッチング対象膜上のマスクとを有する基板を提供する制御と、(b)エッチング対象膜をエッチングして凹部を形成する制御であって、チャンバ内の圧力が第1の圧力に制御され、かつ、基板支持部の温度が第1の温度に制御される、制御と、(c)金属含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて凹部の側壁の一部に金属含有膜を形成する制御であって、チャンバ内の圧力が第1の圧力よりも高い第2の圧力に制御され、かつ、基板支持部の温度が第1の温度以下の第2の温度に制御される、制御と、を実行するプラズマ処理装置が提供される。
【0029】
以下、図面を参照して、本開示の各実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一または同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づいて上下左右等の位置関係を説明する。図面の寸法比率は実際の比率を示すものではなく、また、実際の比率は図示の比率に限られるものではない。
【0030】
<プラズマ処理装置の構成例>
図1は、プラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。一実施形態において、プラズマ処理装置1は、基板処理装置の一例である。プラズマ処理装置1は、制御部2、プラズマ処理チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0031】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP;Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(Direct Current)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(Radio Frequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、100kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
【0032】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1の外部のシステムとして構成されてよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local AreaNetwork)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1の各要素との間で通信してもよい。
【0033】
以下に、プラズマ処理装置1の一例としての誘導結合型のプラズマ処理装置の構成例について説明する。図2は、誘導結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【0034】
誘導結合型のプラズマ処理装置1は、制御部2、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。プラズマ処理チャンバ10は、誘電体窓101を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11、ガス導入部及びアンテナ14を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10(以下、「チャンバ10」ともいう。)内に配置される。アンテナ14は、プラズマ処理チャンバ10上又はその上方(すなわち誘電体窓101上又はその上方)に配置される。プラズマ処理チャンバ10は、誘電体窓101、プラズマ処理チャンバ10の側壁102及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。
【0035】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0036】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材はバイアス電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF電源31及び/又はDC電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極がバイアス電極として機能する。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数のバイアス電極として機能してもよい。また、静電電極1111bがバイアス電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つのバイアス電極を含む。
【0037】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0038】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0039】
ガス導入部は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。一実施形態において、ガス導入部は、中央ガス注入部(CGI:Center Gas Injector)13を含む。中央ガス注入部13は、基板支持部11の上方に配置され、誘電体窓101に形成された中央開口部に取り付けられる。中央ガス注入部13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス流路13b、及び少なくとも1つのガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス流路13bを通過してガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。なお、ガス導入部は、中央ガス注入部13に加えて又はその代わりに、側壁102に形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0040】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してガス導入部に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0041】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つのバイアス電極及びアンテナ14に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つのバイアス電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオンを基板Wに引き込むことができる。
【0042】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してアンテナ14に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、アンテナ14に供給される。
【0043】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つのバイアス電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つのバイアス電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0044】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、バイアスDC生成部32aを含む。一実施形態において、バイアスDC生成部32aは、少なくとも1つのバイアス電極に接続され、バイアスDC信号を生成するように構成される。生成されたバイアスDC信号は、少なくとも1つのバイアス電極に印加される。
【0045】
種々の実施形態において、バイアスDC信号は、パルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つのバイアス電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部がバイアスDC生成部32aと少なくとも1つのバイアス電極との間に接続される。従って、バイアスDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、バイアスDC生成部32aは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0046】
アンテナ14は、1又は複数のコイルを含む。一実施形態において、アンテナ14は、同軸上に配置された外側コイル及び内側コイルを含んでもよい。この場合、RF電源31は、外側コイル及び内側コイルの双方に接続されてもよく、外側コイル及び内側コイルのうちいずれか一方に接続されてもよい。前者の場合、同一のRF生成部が外側コイル及び内側コイルの双方に接続されてもよく、別個のRF生成部が外側コイル及び内側コイルに別々に接続されてもよい。
【0047】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0048】
<ボーイングの一例>
プラズマエッチングにおける形状異常の1つとしてボーイングが知られている。ボーイングは、エッチングにより形成される凹部の側壁の一部の開口幅が、凹部の頂部の開口幅より大きくなる現象である。ボーイングが発生した部分は、断面視で例えば樽状の形状になる。ボーイングは、マスク等で反跳したイオン等により凹部の側壁の一部が削られることで発生し得ると考えられる。
【0049】
図3は、ボーイングの一例を説明するための図である。図3は、基板Wのエッチング対象膜EFを、開口OPを有するマスクMKを介して、凹部RCの底部が下地膜UFに達するまでプラズマエッチングした場合の断面構造の一例である。
【0050】
図3に示す例では、凹部RCの上部側(低~中アスペクト領域)に開口寸法CDB1(>開口寸法CD)の第1のボーイングB1が発生している。また凹部の底部側(高アスペクト領域)には、開口寸法CDB2(>開口寸法CD)の第2のボーイングB2が発生している。なお、第1のボーイングB1はトップボーイング、第2のボーイングB2はミドルボーイング又はセカンドボーイングと呼ばれる場合もある。第2のボーイングB2は、凹部RCの底部側の高アスペクト領域で生じるものであり、従来、このようなボーイングを抑制することは、困難であった。
【0051】
本開示の一つの例示的実施形態にかかるエッチング方法は、このような高アスペクト領域で生じるボーイングを抑制し得る。以下、図4図8を参照しながら説明する。
【0052】
<エッチング方法の一例>
図4は、1つの例示的実施形態にかかるエッチング方法(以下「本方法」ともいう。)の一例を示すフローチャートである。図4に示すように、本方法は、基板を提供する工程ST1と、基板をエッチングして凹部を形成する工程ST2と、凹部に金属含有膜を形成する工程ST3と、凹部をさらにエッチングする工程ST4とを含む。各工程における処理は、上述したプラズマ処理装置1で実行されてよい。以下では、制御部2が誘導結合型のプラズマ処理装置1(図2参照)の各部を制御して、基板Wに対して本方法を実行する場合を例に説明する。
【0053】
(工程ST1:基板の提供)
工程ST1において、基板Wがプラズマ処理装置1のプラズマ処理空間10s内に提供される。基板Wは、搬送アームによりチャンバ10内に搬入され、基板支持部11の中央領域111aに載置される。基板Wは、静電チャック1111により、基板支持部11上に吸着保持される
【0054】
図5は、工程ST1で提供される基板Wの断面構造の一例を示す図である。基板Wは、エッチング対象膜EF及びマスクMKを有する。基板Wは、下地膜UFをさらに含んでよい。基板Wは、半導体デバイスの製造に用いられてよい。半導体デバイスは、例えば、DRAM、3D-NANDフラッシュメモリ等の半導体メモリデバイスを含む。
【0055】
一実施形態において、下地膜UFは、シリコンウェハやシリコンウェハ上に形成された有機膜、誘電体膜、金属膜、半導体膜又はこれらの積層膜である。一実施形態において、下地膜UFは、シリコン含有膜、炭素含有膜及び金属含有膜からなる群から選択される少なくとも一種を含む。
【0056】
エッチング対象膜EFは、本方法においてエッチングされる膜である。エッチング対象膜EFは、一つの膜で構成されてよく、また複数の膜が積層されて構成されてもよい。
【0057】
一実施形態において、エッチング対象膜EFは、炭素又はシリコンを含む膜である。一実施形態において、エッチング対象膜EFは、シリコン含有膜である。シリコン含有膜は、一例では、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン炭窒化膜、多結晶シリコン膜又はこれらの膜を2以上含む積層膜である。例えば、シリコン含有膜は、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とが交互に積層されて構成されてよい。例えば、シリコン含有膜は、シリコン酸化膜と多結晶シリコン膜とが交互に積層されて構成されてよい。例えば、シリコン含有膜は、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜及び多結晶シリコン膜を含む積層膜でもよい。一実施形態において、エッチング対象膜EFは、炭素含有膜である。炭素含有膜は、一例では、アモルファスカーボン(ACL)膜、スピンオンカーボン(SOC)膜、又はフォトレジスト膜である。なお、アモルファスカーボン(ACL)膜は、ホウ素等の元素がドープされてよく、例えば、ホウ素含有アモルファスカーボン膜(B-doped ACL)、ヒ素含有アモルファスカーボン膜(As-doped ACL)、タングステン含有アモルファスカーボン膜(W-doped ACL)、キセノン含有アモルファスカーボン膜(Xe-doped ACL)であってよい。
【0058】
一実施形態において、エッチング対象膜EFは、金属含有膜を含んでよい。金属含有膜は、一例では、タングステン、チタン及びモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種を含む膜であってよい。
【0059】
マスクMKは、エッチングによってエッチング対象膜EFに転写されるパターンを有してよい。マスクMKは、1つの層からなる単層マスクでよく、また2つ以上の層からなる多層マスクであってもよい。図5に示すとおり、マスクMKは、エッチング対象膜EF上において少なくとも一つの開口OPを規定する。開口OPは、エッチング対象膜EF上の空間であって、マスクMKの側壁に囲まれている。すなわち、エッチング対象膜EFの上面は、マスクMKによって覆われた領域と、開口OPの底部において露出した領域とを有する。
【0060】
開口OPは、基板Wの平面視、すなわち、基板Wを図5の上から下に向かう方向に見た場合において、任意の形状を有してよい。当該形状は、例えば、円、楕円、矩形、線やこれらの1種類以上を組み合わせた形状であってよい。マスクMKは、複数の側壁を有し、複数の側壁が複数の開口OPを規定してもよい。複数の開口OPは、それぞれ線形状を有し、一定の間隔で並んでライン&スペースのパターンを構成してもよい。また、複数の開口OPは、それぞれ穴形状を有し、アレイパターンを構成してもよい。
【0061】
マスクMKは、工程ST2や工程ST4で生成されるプラズマに対するエッチングレートがエッチング対象膜EFよりも低い材料から形成されてよい。すなわち、マスクMKは、エッチング対象膜EFの材料に応じて適宜選択されてよい。
【0062】
例えば、エッチング対象膜EFがシリコン含有膜である場合、マスクMKは炭素含有マスク又は金属含有マスクであってよい。炭素含有マスクは、アモルファスカーボン膜、フォトレジスト膜又はスピンオンカーボン(SOC)膜であってよい。一例では、マスクMKはアモルファスカーボン膜である。金属含有マスクはタングステン、チタン及びモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種を含む膜であってよい。一例では、金属含有マスクは、タングステンシリサイド膜である。
【0063】
例えば、エッチング対象膜EFが炭素含有膜である場合、マスクMKはシリコン含有マスク又は金属含有マスクであってよい。シリコン含有マスクは、シリコン酸窒化膜、シリコン酸化膜又はシリコン窒化膜であってよい。金属含有マスクはタングステン、チタン及びモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種を含む膜であってよい。一例では、金属含有マスクは、タングステンシリサイド膜である。
【0064】
例えば、エッチング対象膜EFが金属含有膜である場合、マスクMKは、シリコン酸化膜等のシリコン含有マスクであってよい。
【0065】
基板Wを構成する各膜(下地膜UF、エッチング対象膜EF又はマスクMK)は、それぞれ、CVD法、ALD法、スピンコート法等により形成されてよい。マスクMKの開口OPは、マスクMKをエッチングすることで形成されてよく、またリソグラフィによって形成されてもよい。各膜は、それぞれ、平坦な膜であってよく、また凹凸を有する膜であってもよい。基板Wは、下地膜UFの下に他の膜をさらに有してよい。この場合、エッチング対象膜EF及び下地膜UFに開口OPに対応する形状の凹部を形成し、当該他の膜をエッチングするためのマスクとして用いてもよい。
【0066】
基板Wの各膜を形成するプロセスの少なくとも一部は、チャンバ10の空間内で行われてよい。一例では、マスクMKをエッチングして開口OPを形成する工程は、チャンバ10で実行されてよい。すなわち、開口OP及び後述する工程ST2のエッチング対象膜EFのエッチングは、同一のチャンバ内で連続して実行されてよい。また、基板Wの各膜の全部がプラズマ処理装置1の外部の装置やチャンバで形成された後、基板Wがプラズマ処理装置1のプラズマ処理空間10s内に搬入され、基板支持部11の中央領域111aに配置されることで、基板Wが提供されてもよい。
【0067】
一実施形態において、基板Wが基板支持部11の中央領域111aに提供された後、基板支持部11が温調モジュールにより第1の温度に制御される。一例では、基板支持部11の温度を第1の温度に制御することは、流路1110aを流れる伝熱流体の温度やヒータ温度を第1の温度にすること、又は、第1の温度とは異なる温度にすることを含む。なお、流路1110aに伝熱流体が流れ始めるタイミングは、基板Wが基板支持部11に載置される前でも後でもよく、また同時でもよい。また、基板支持部11の温度は、工程ST1の前に第1の温度に制御されてよい。すなわち、基板支持部11の温度が第1の温度に制御された後に、基板支持部11に基板Wが提供されてよい。
【0068】
第1の温度は、エッチング対象膜EFや工程ST2で用いる処理ガス(第1の処理ガス)の種類に応じて適宜設定されてよい。一実施形態において、第1の温度は0℃未満である。一例では、第1の温度は、-10℃以下、-20℃以下、-30℃以下、-40度以下、-50℃以下、-60℃以下又は-70℃以下である。
【0069】
一実施形態において、基板支持部11を第1の温度に制御することに代えて、基板Wを第1の温度に制御してもよい。基板Wの温度を第1の温度に制御することは、基板支持部11、流路1110aを流れる伝熱流体の温度及び/又はヒータ温度を第1の温度にすること、又は、第1の温度とは異なる温度にすることを含む。
【0070】
(工程ST2:凹部の形成)
工程ST2において、基板Wのエッチング対象膜EFがエッチングされ凹部が形成される。
【0071】
まず、ガス供給部20から第1の処理ガスがプラズマ処理空間10s内に供給される。第1の処理ガスは、エッチング対象膜EFがマスクMKに対して十分な選択比をもってエッチングされるように適宜選択されてよい。例えば、エッチング対象膜EFがシリコン含有膜である場合、第1の処理ガスは、フッ素含有ガスを含んでよい。フッ素含有ガスは、一例では、フッ化水素ガス(HFガス)、フルオロカーボンガス又はハイドロフルオロカーボンガスである。また例えば、エッチング対象膜が炭素含有膜である場合、第1の処理ガスは、酸素含有ガスを含んでよい。酸素含有ガスは、一例では、Oガス、COガス、COガス又はCOSガスである。例えば、エッチング対象膜が金属含有膜である場合、第1の処理ガスは、ハロゲン含有ガス(一例では、BClガス、SiClガス、NFガス等)と酸素含有ガス(一例では、Oガス、COガス、COガス)とを含んでよい。なお、ハロゲン含有ガスと酸素含有ガスは、プラズマ処理空間10sに同時に供給されてよく、また交互に供給されてもよい。
【0072】
なお、工程ST2における処理の間、第1の処理ガスに含まれるガスやその流量(分圧)は、変更されてもされなくてもよい。例えば、エッチング対象膜EFが異なる種類の膜からなる積層膜で構成される場合、処理ガスの構成や各ガスの流量(分圧)は、エッチングの進行に伴って(すなわちエッチングする膜の種類に応じて)変更されてよい。
【0073】
次に、アンテナ14にソースRF信号が供給される。これにより、プラズマ処理空間10s内に高周波電界が生成され、第1の処理ガスからプラズマが生成され、エッチング対象膜EFがエッチングされる。基板支持部11の下部電極にバイアス信号が供給されてよい。この場合、プラズマと基板Wとの間にバイアス電位が発生し、プラズマ中のイオン、ラジカル等の活性種が基板Wに引きよせられ、エッチング対象膜EFのエッチングが促進され得る。バイアス信号は、第2のRF生成部31bから供給されるバイアスRF信号であってよい。またバイアス信号は、DC生成部32aから供給されるバイアスDC信号であってもよい。
【0074】
ソースRF信号及びバイアス信号は、双方が連続波又はパルス波でよく、また一方が連続波で他方がパルス波でもよい。ソースRF信号及びバイアス信号の双方がパルス波である場合、双方のパルス波の周期は同期してよく、また同期しなくてもよい。ソースRF信号及び/又はバイアス信号パルス波のデューティ比は適宜設定してよく、例えば、1~80%でよく、また5~50%でよい。またバイアス信号として、バイアスDC信号を用いる場合、パルス波は、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせの波形を有してよい。バイアスDC信号の極性は、プラズマと基板との間に電位差を与えてイオンを引き込むように基板Wの電位が設定されれば、負であっても正であってもよい。
【0075】
工程ST2において、ソースRF信号及びバイアス信号の少なくとも一方の供給と停止とが交互に繰り返されてよい。例えば、ソースRF信号が連続して供給される間に、バイアス信号の供給と停止とが交互に繰り返されてよい。また例えば、ソースRF信号の供給と停止とが交互に繰り返される間に、バイアス信号が連続して供給されてもよい。また例えば、ソースRF信号及びバイアス信号の双方の供給と停止とが交互に繰り返されてもよい。
【0076】
工程ST2における処理の間、基板支持部11の温度は、工程ST1で設定した第1の温度に制御される。一実施形態において、基板支持部11の温度に代えて、基板Wの温度が第1の温度に制御されてもよい。
【0077】
工程ST2における処理の間、プラズマ処理空間10s内の圧力は、第1の圧力に制御される。一実施形態において、第1の圧力は、150mTorr(20Pa)未満である。一例では、第1の圧力は、100mTorr(13.3Pa)以下でよく、また50mTorr(6.7Pa)以下である。
【0078】
図6は、工程ST2の処理後の基板Wの断面構造の一例を示す図である。図6に示すように、工程ST2におけるエッチングにより、エッチング対象膜EFのうち、開口OPにおいて露出した部分が深さ方向(図6で上から下に向かう方向)にエッチングされる。これによりエッチング対象膜EFに凹部RCが形成される。
【0079】
工程ST2における処理により、エッチング対象膜EFのうち、マスクMKにより覆われていない部分(開口OPにおいて露出した部分)がエッチングされ凹部RCが形成される。凹部RCは、側壁SSと底部BTにより画定される空間である。
【0080】
一実施形態において、工程ST2の処理後の凹部RCのアスペクト比(図6に示す例では凹部RCの深さD1に対する凹部頂部の開口寸法CDの比)は、20以上、40以上、50以上、又は、60以上であってよい。一例では、工程ST2の処理後の凹部RCのアスペクト比は40以上である。
【0081】
一実施形態において、工程ST2の処理後の凹部RCの深さ(図6に示す例では凹部RCの深さD1)は、最終エッチング深さ(図6に示す例では、下地膜UFまでの深さD2)の30%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は、90%以上であってよい。
【0082】
(工程ST3:金属含有膜の形成)
工程ST3において、エッチング対象膜EFの凹部RCに金属含有膜が形成される。まず、ガス供給部20から金属含有ガスを含む第2の処理ガスがプラズマ処理空間10s内に供給される。
【0083】
一実施形態において、金属含有ガスは、タングステン、チタン及びモリブデンからなる群から選択される金属の少なくとも1種を含む。一実施形態において、金属含有ガスは、ハロゲンをさらに含んでよい。
【0084】
一実施形態において、金属含有ガスは、タングステンとハロゲンとを含有するガスでよく、一例では、WFClガスである(x及びyはそれぞれ0以上6以下の整数であり、xとyとの和は2以上6以下である)。具体的には、タングステン含有ガスとしては、2フッ化タングステン(WF)ガス、4フッ化タングステン(WF)ガス、5フッ化タングステン(WF)ガス、6フッ化タングステン(WF)ガス等のタングステンとフッ素とを含有するガス、2塩化タングステン(WCl)ガス、4塩化タングステン(WCl)ガス、5塩化タングステン(WCl)ガス、6塩化タングステン(WCl)ガス等のタングステンと塩素とを含有するガスであってよい。これらの中でも、WFガス及びWClガスの少なくともいずれかのガスであってよい。一実施形態において、金属含有ガスは、モリブデン又はチタンとハロゲンとを含有するガスでよく、例えば、MoFガス、MoClガス、TiClガス等でよい。
【0085】
一実施形態において、第2の処理ガスにおける金属含有ガスの流量は、第2の処理ガスの総流量(第2の処理ガスが不活性ガスを含む場合、不活性ガスの流量は除く)の50体積%以下、40体積%以下、30体積%以下、20体積%以下、10体積%以下、5体積%以下、又は3体積%以下でよい。
【0086】
一実施形態において、金属含有ガスは、低蒸気圧のガスであってよい。低蒸気圧のガスは、一例では、Cの温度-蒸気圧曲線が示す温度と同じ温度又はそれ以上の温度にて蒸気圧になるガスである。
【0087】
一実施形態において、第2の処理ガスは還元性ガスをさらに含んでよい。還元性ガスは、例えば、Hガス、SiHガス、CHガス、Cガス、Cガス、Cガス、COガス、COガス及びCOSガスからなる群から選択される少なくとも一種を含んでよい。
【0088】
一実施形態において、第2の処理ガスは、不活性ガスをさらに含んでよい。不活性ガスは、一例では、Arガス、Heガス及びKrガス等の貴ガス又は窒素ガスでよい。
【0089】
次に、アンテナ14にソースRF信号が供給される。これにより、プラズマ処理空間10s内に高周波電界が生成され、第2の処理ガスからプラズマが生成される。これにより、エッチング対象膜EFの凹部RCに金属含有膜が形成される。このとき、基板支持部11の下部電極にバイアス信号は供給されなくてよい。なお、基板支持部11の下部電極にバイアス信号が供給されてもよい。その場合、当該バイアス信号のレベル(電力レベル又は電圧レベル)は、工程ST2や工程ST4において基板支持部11に供給されるバイアス信号のレベルより低くてよい。
【0090】
工程ST3における処理の間、基板支持部11の温度は、第2の温度に制御される。第2の温度は、第1の温度以下の温度である。一実施形態において、第2の温度は0℃未満である。一例では、第2の温度は、-10℃以下、-20℃以下、-30℃以下、-40度以下、-50℃以下、-60℃以下又は-70℃以下である。なお、一実施形態において、基板支持部11の温度に代えて、基板Wの温度が第2の温度に制御されてもよい。
【0091】
工程ST3における処理の間、プラズマ処理空間10s内の圧力は、第2の圧力に制御される。第2の圧力は、第1の圧力よりも高い圧力である。一実施形態において、第2の圧力は、150mTorr(20Pa)以上である。一例では、第2の圧力は、200mTorr(26.7Pa)以上、300mTorr(40Pa)以上、400mTorr(53.3Pa)以上である。
【0092】
工程ST3において、金属含有ガスを含む第2の処理ガスから生成したプラズマにより凹部RCに金属含有膜MDが形成される。一実施形態において、金属含有膜MDは凹部RCの底部側の側壁SSに形成される。一実施形態において、金属含有膜は、当該底部側の側壁SSから凹部RCの頂部側の側壁SSの一部にわたって連続的に形成されてよく、また凹部RCの頂部側の側壁SSには形成されなくてもよい。なお、「底部側」は凹部RCの深さD1(図6参照)の半分よりも下方の(深い)位置でよく、「頂部側」は、凹部RCの深さD1の半分よりも上方の(浅い)位置でよい。一実施形態において、金属含有膜MDは、凹部RCの底部BTに形成されてよい。金属含有膜MDは凹部RCの底部BTと底部BTの近傍の側壁SSにわたって連続的に形成されてもよい。金属含有膜MDは、工程ST4における凹部RCのさらなるエッチングにおいて、当該金属含有膜MDが形成された側壁SSに対する保護を提供し得る。
【0093】
図7は、工程ST3における金属含有膜の形成過程の一例を示す図である。図7において(A)~(C)はそれぞれ工程ST3の初期、中期及び終期における基板Wの断面状態の一例を示す。図7の(A)から(C)に順に示すように、金属含有膜MDは、凹部RCの底部BTから上方に向かって側壁SSにボトムアップで形成されてよい。工程ST3の終了時(図7の(C))においては、金属含有膜MDは、底部BT及び深さD3よりも下方の(深い)位置の側壁SSにわたって形成されている。一実施形態において、深さD3は凹部RCの深さD1の50%(半分)でよく、また60%、70%、80%又は90%でもよい。
【0094】
(工程ST4:凹部のエッチング)
工程ST4において、エッチング対象膜EFの凹部RCがさらにエッチングされる。工程ST4は、上述した工程ST2におけるエッチングと同様に行ってよい。なお、工程ST4において、エッチング条件(処理ガスの種類、チャンバ10内の圧力、基板支持部11の温度、ソースRF信号のレベル、バイアス信号の有無又はそのレベル等)の少なくとも一部が、工程ST2から変更されてよい。
【0095】
工程ST4のエッチングにおいて、金属含有膜MDは当該金属含有膜MDが形成された側壁SSに対する保護を提供し得る。すなわち、当該部分の側壁SSが幅方向に広がること、すなわちボーイングが発生することが抑制され得る。
【0096】
図8は、工程ST4の処理後の基板Wの断面構造の一例を示す図である。図8に示すように、工程ST4の処理により、凹部RCが深さ方向にさらに深さD2までエッチングされ、底部BTが下地膜UFに到達している。図8に示す例では、金属含有膜MDは、エッチングの進行に伴い除去される一方で、当該金属含有膜MDによる保護効果により、高アスペクト領域も含め凹部RCの側壁SSにボーイングが生じることが抑制されている。
【0097】
本方法によれば、工程ST3において凹部RCの少なくとも底部側の側壁SSに金属含有膜が形成される。これにより工程ST4における凹部のエッチングにおいて凹部RCの底部側(高アスペクト領域)においてボーイングが発生することが抑制し得る。すなわち、図3に示すような第2のボーイング(ミドルボーイング、セカンドボーイング)についてもその発生が抑制され得る。
【0098】
<変形例>
本方法は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく種々の変形をなし得る。一実施形態において、本方法に係る処理は、同一のチャンバ10で実行されなくてもよい。例えば、工程ST2と工程ST3とは異なるプラズマ処理チャンバで実行されてよい。また例えば、工程ST3と工程ST4とは、異なるプラズマ処理チャンバで実行されてよい。
【0099】
一実施形態において、工程ST3と工程ST4とを繰り返してよい。すなわち、工程ST3と工程ST4とを1つのサイクルとして、当該サイクルを複数回繰り返し、金属含有膜の形成と、凹部のエッチングとを交互に繰り返してよい。
【0100】
<実施例>
次に、本方法の実施例について説明する。本開示は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0101】
(実施例1)
図2に示すプラズマ処理装置1を用いて、図4で説明したフローチャートに沿って、図5に示す基板Wと同様の構造を有する基板をエッチングした。マスクMKはシリコン酸窒化膜であり、エッチング対象膜EFはアモルファスカーボン膜であった。マスクMKの開口OPはホール形状を有し、開口径は80nmであっった。
【0102】
実施例1では、工程ST2において、第1の処理ガスはOガス及びCOSガスを含んでいた。工程ST2においては、ソースRF信号に加えて、バイアスRF信号が供給された。工程ST2において、チャンバ10内の圧力は30mTorrに制御され、基板支持部11の温度は-60℃に制御された。工程ST2は240秒間実行された。
【0103】
実施例1では、工程ST3において、第2の処理ガスは、WFガス(金属含有ガス)、Hガス(還元性ガス)及びArガス(不活性ガス)を含んでいた。工程ST3においては、ソースRF信号のみが供給され、バイアス信号は供給されなかった。工程ST3において、チャンバ10内の圧力は200mTorrに制御され、基板支持部11の温度は-60℃に制御された。工程ST3は60秒間実行された。
【0104】
実施例1では、工程ST4は、工程ST2と同一の条件で実行された。工程ST4は、180秒間実行された。
【0105】
実施例1による処理により、エッチング対象膜EFに略3.5μmの凹部RCが形成された。凹部RCの断面を観察したところ、深さ2μm以下の高アスペクト領域においても、ボーイングの発生はみられなかった。
【0106】
<実験>
次に工程ST2における金属含有膜MDの形成について時間依存性、温度依存性及び圧力依存性を検証する実験を行った。本開示は、以下の実験によって何ら限定されるものではない。
【0107】
(時間依存性)
実施例1と同様の基板に対し、実施例1と同一の条件で工程ST2をそれぞれ10秒間、20秒間、60秒間実行し、金属含有膜MDの成膜状況を観察した。工程ST2を10秒間実行した基板では、凹部の底部及び底部の上方53nmまでの側壁に金属含有膜MDが形成されていた。工程ST2を20秒間実行した基板では、凹部の底部及び底部の上方64nmまでの側壁に金属含有膜MDが形成されていた。工程ST2を60間秒実行した基板では、凹部の底部及び底部の上方249nmまでの側壁に金属含有膜MDが形成されていた。すなわち、工程ST2の処理時間を長くすることで、金属含有膜MDは底部からより上方まで形成された。
【0108】
(温度依存性)
実施例1と同様の基板に対し、基板支持部11の温度を変更した点を除き、実施例1と同一の条件で工程ST2を60秒間実行し、金属含有膜MDの成膜状況を観察した。基板支持部11の温度を-60℃とした基板では、金属含有膜MDが底部及び底部近傍の側壁に形成された。これに対し、基板支持部11の温度を0℃とした基板では、金属含有膜MDの形成は確認されなかった。
【0109】
(圧力依存性)
実施例1と同様の基板に対し、チャンバ10内の圧力を変更した点を除き、実施例1と同一の条件で工程ST2を60秒間実行し、金属含有膜MDの成膜状況を観察した。チャンバ10内の圧力を150mTorr、200mTorr、300mTorr、400mTorrとした基板では、いずれも、金属含有膜MDが底部及び底部近傍の側壁に形成された。これに対し、チャンバ10内の圧力を100mTorrとした基板では、金属含有膜MDの形成は確認されなかった。
【0110】
本開示の実施形態は、以下の態様をさらに含む。
【0111】
(付記1)
エッチング方法であって、
(a)チャンバ内の基板支持部上に、エッチング対象膜と前記エッチング対象膜上のマスクとを有する基板を提供する工程と、
(b)前記エッチング対象膜をエッチングして凹部を形成する工程であって、前記チャンバ内の圧力が第1の圧力に制御され、かつ、前記基板支持部の温度が第1の温度に制御される、工程と、
(c)金属含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて前記凹部の側壁の一部に金属含有膜を形成する工程であって、前記チャンバ内の圧力が前記第1の圧力よりも高い第2の圧力に制御され、かつ、前記基板支持部の温度が前記第1の温度以下の第2の温度に制御される、工程と、を含む
エッチング方法。
【0112】
(付記2)
前記(c)の工程において、前記金属含有膜は、前記凹部の底部側の側壁に形成される、付記1に記載のエッチング方法。
【0113】
(付記3)
前記(c)の工程において、前記金属含有膜は、前記凹部の底部及び当該底部近傍に形成される、付記1又は付記2に記載のエッチング方法。
【0114】
(付記4)
前記(c)の工程において、前記金属含有膜は、前記凹部の深さの半分の位置よりも深い位置にある側壁に形成される、付記1から付記3のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0115】
(付記5)
前記(c)の工程中に、前記金属含有膜は前記凹部の底部から上方に向かって形成されていく、付記1から付記4のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0116】
(付記6)
前記(b)の工程の終了時において、前記凹部のアスペクト比は20以上である、付記1から付記5のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0117】
(付記7)
(d)前記(c)の工程の後に、前記凹部をさらにエッチングする工程をさらに含む、付記1から付記6のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0118】
(付記8)
前記(c)の工程と前記(d)の工程とを交互に複数回繰り返す、付記7に記載のエッチング方法。
【0119】
(付記9)
前記(b)の工程の終了時における前記凹部の深さは、エッチング終了時の前記凹部の深さの30%以上である、付記7又は付記8に記載のエッチング方法。
【0120】
(付記10)
前記処理ガスは、還元性ガスを更に含む、付記1から付記9のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0121】
(付記11)
前記金属含有ガスは、タングステン、チタン及びモリブデンからなる群から選択される金属の少なくとも1種を含む、付記1から付記10のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0122】
(付記12)
前記金属含有ガスは、ハロゲンをさらに含む、付記11に記載のエッチング方法。
【0123】
(付記13)
前記第2の温度は、0℃未満である、付記1から付記12のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0124】
(付記14)
前記第2の圧力は、150mTorr以上である、付記1から付記13のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0125】
(付記15)
前記エッチング対象膜は炭素を含み、前記マスクはシリコン又は金属を含む、付記1から付記14のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0126】
(付記16)
前記(b)の工程において、酸素含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて、前記エッチング対象膜をエッチングする、付記15に記載のエッチング方法。
【0127】
(付記17)
前記エッチング対象膜はシリコンを含み、前記マスクは炭素又は金属を含む、付記1から付記14のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0128】
(付記18)
前記(b)の工程において、フッ素含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて、前記エッチング対象膜をエッチングする、付記17に記載のエッチング方法。
【0129】
(付記19)
エッチング方法であって、
(a)チャンバ内の基板支持部上に、凹部を有する基板を提供する工程と、
(b)金属含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて前記凹部の側壁の一部に金属含有膜を形成する工程であって、前記チャンバ内の圧力が150mTorr以上に制御され、かつ、前記基板支持部の温度が0℃未満に制御される、工程と、を含む
エッチング方法。
【0130】
(付記20)
チャンバと制御部とを有するプラズマ処理装置であって、
前記制御部は、
(a)前記チャンバ内の基板支持部上に、エッチング対象膜と前記エッチング対象膜上のマスクとを有する基板を提供する制御と、
(b)前記エッチング対象膜をエッチングして凹部を形成する制御であって、前記チャンバ内の圧力が第1の圧力に制御され、かつ、前記基板支持部の温度が第1の温度に制御される、制御と、
(c)金属含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて前記凹部の側壁の一部に金属含有膜を形成する制御であって、前記チャンバ内の圧力が前記第1の圧力よりも高い第2の圧力に制御され、かつ、前記基板支持部の温度が前記第1の温度以下の第2の温度に制御される、制御と、を実行する
プラズマ処理装置。
【0131】
(付記21)
チャンバと制御部とを有するプラズマ処理装置であって、
前記制御部は、
(a)チャンバ内の基板支持部上に、凹部を有する基板を提供する制御と、
(b)金属含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて前記凹部の側壁の一部に金属含有膜を形成する制御であって、前記チャンバ内の圧力が150mTorr以上に制御され、かつ、前記基板支持部の温度が0℃未満に制御される、制御と、を実行する
プラズマ処理装置。
【0132】
(付記22)
チャンバと制御部とを有するプラズマ処理装置において実行されるデバイス製造方法であって、
(a)チャンバ内の基板支持部上に、エッチング対象膜と前記エッチング対象膜上のマスクとを有する基板を提供する工程と、
(b)前記エッチング対象膜をエッチングして凹部を形成する工程であって、前記チャンバ内の圧力が第1の圧力に制御され、かつ、前記基板支持部の温度が第1の温度に制御される、工程と、
(c)金属含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて前記凹部の側壁の一部に金属含有膜を形成する工程であって、前記チャンバ内の圧力が前記第1の圧力よりも高い第2の圧力に制御され、かつ、前記基板支持部の温度が前記第1の温度以下の第2の温度に制御される、工程と、を含む
デバイス製造方法。
【0133】
(付記23)
チャンバと制御部とを有するプラズマ処理装置において実行されるデバイス製造方法であって、
(a)チャンバ内の基板支持部上に、凹部を有する基板を提供する工程と、
(b)金属含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて前記凹部の側壁の一部に金属含有膜を形成する工程であって、前記チャンバ内の圧力が150mTorr以上に制御され、かつ、前記基板支持部の温度が0℃未満に制御される、工程と、を含む
デバイス製造方法。
【0134】
(付記24)
チャンバと制御部とを有するプラズマ処理装置のコンピュータに、
(a)前記チャンバ内の基板支持部上に、エッチング対象膜と前記エッチング対象膜上のマスクとを有する基板を提供する制御と、
(b)前記エッチング対象膜をエッチングして凹部を形成する制御であって、前記チャンバ内の圧力が第1の圧力に制御され、かつ、前記基板支持部の温度が第1の温度に制御される、制御と、
(c)金属含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて前記凹部の側壁の一部に金属含有膜を形成する制御であって、前記チャンバ内の圧力が前記第1の圧力よりも高い第2の圧力に制御され、かつ、前記基板支持部の温度が前記第1の温度以下の第2の温度に制御される、制御と、を実行させる
プログラム。
【0135】
(付記25)
チャンバと制御部とを有するプラズマ処理装置のコンピュータに、
(a)チャンバ内の基板支持部上に、凹部を有する基板を提供する制御と、
(b)金属含有ガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いて前記凹部の側壁の一部に金属含有膜を形成する制御であって、前記チャンバ内の圧力が150mTorr以上に制御され、かつ、前記基板支持部の温度が0℃未満に制御される、制御と、を実行させる
プログラム。
【0136】
(付記26)
付記24又は付記25のいずれかに記載のプログラムを格納した、記憶媒体。
【0137】
以上の各実施形態は、説明の目的で記載されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。以上の各実施形態は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく種々の変形をなし得る。例えば、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態に追加することができる。また、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態の対応する構成要素と置換することができる。
【符号の説明】
【0138】
1……プラズマ処理装置、2……制御部、10……プラズマ処理チャンバ、10s……プラズマ処理空間、11……基板支持部、14……アンテナ、20……ガス供給部、31a……第1のRF生成部、31b……第2のRF生成部、32a……第1のDC生成部、EF……エッチング対象膜、MD……金属含有膜、MK……マスク、OP……開口、RC……凹部、UF……下地膜、W……基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8