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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094003
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】放射線照射装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20240702BHJP
   H05G 1/30 20060101ALI20240702BHJP
   A61B 6/40 20240101ALI20240702BHJP
【FI】
A61B6/00 321
H05G1/30 D
A61B6/00 300B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210695
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】扇 一行
(72)【発明者】
【氏名】小林 丈恭
(72)【発明者】
【氏名】西納 直行
【テーマコード(参考)】
4C092
4C093
【Fターム(参考)】
4C092AA01
4C092AB11
4C092AC01
4C092BE05
4C092CC19
4C093AA01
4C093CA16
4C093EA02
4C093EA12
4C093EA17
4C093FA04
4C093FA15
4C093FA42
4C093FB12
4C093FH06
(57)【要約】
【課題】ユーザの意図しない放射線の照射を抑制することが可能な放射線照射装置を提供する。
【解決手段】放射線を被検者に照射する装置本体と、装置本体から放射線の照射方向に延出することで被検者と装置本体との間隔を確保する部材であって、少なくとも一部の可動部が変位することにより、装置本体から延出する長さが予め定められた長さとなる展開状態と、装置本体からの長さが予め定められた長さよりも短い状態である収納状態とに切り替え可能とされた間隔確保部と、を備え、可動部は、間隔確保部が収納状態から展開状態へ切り替わる方向に付勢されている放射線照射装置。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を被検者に照射する装置本体と、
前記装置本体から前記放射線の照射方向に延出することで前記被検者と前記装置本体との間隔を確保する部材であって、少なくとも一部の可動部が変位することにより、前記装置本体から延出する長さが予め定められた長さとなる展開状態と、前記装置本体からの長さが前記予め定められた長さよりも短い状態である収納状態とに切り替え可能とされた間隔確保部と、を備え、
前記可動部は、前記間隔確保部が前記収納状態から前記展開状態へ切り替わる方向に付勢されている
放射線照射装置。
【請求項2】
前記間隔確保部は、前記間隔確保部の延出方向において他の領域よりも曲げ剛性の低い屈曲部を有し、
前記可動部は、前記屈曲部を起点にして変位する
請求項1に記載の放射線照射装置。
【請求項3】
前記間隔確保部は、前記展開状態において、前記装置本体側から順に基端部、前記屈曲部、及び先端部を有し、
前記基端部の曲げ剛性は、前記先端部の曲げ剛性以上とされている
請求項2に記載の放射線照射装置。
【請求項4】
前記屈曲部は、前記間隔確保部の延出方向において、前記間隔確保部が前記装置本体に取り付けられる位置よりも前記装置本体と反対側に設けられている
請求項2に記載の放射線照射装置。
【請求項5】
前記屈曲部は、弾性材料により形成され、
前記可動部は、前記弾性材料が弾性変形した場合に生じる復元力により付勢されている
請求項2に記載の放射線照射装置。
【請求項6】
前記間隔確保部は、前記可動部を回転自在に支持する支持部を有し、
前記可動部は、前記支持部を回転中心にして変位する
請求項1に記載の放射線照射装置。
【請求項7】
前記支持部は、ばね部材を備え、
前記可動部は、前記ばね部材によって付勢されている
請求項6に記載の放射線照射装置。
【請求項8】
前記展開状態において、前記間隔確保部の延出する方向における前記可動部の長さは、前記間隔確保部の長さの半分以上とされている
請求項1に記載の放射線照射装置。
【請求項9】
前記放射線照射装置が格納容器から取り出された場合に、前記間隔確保部が前記収納状態から前記展開状態に切り替わる
請求項1に記載の放射線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放射線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、放射線を発生する放射線発生部と、放射線発生部において発生した放射線の照射範囲を制御するコリメータ部と、放射線発生部と放射線が照射される被検体とが予め設定された距離よりも近づいた場合に被検体に当接する当接部材を有し、放射線発生部と被検体との間隔を確保する間隔確保部とを備えた放射線照射装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-175348号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、間隔確保部の有する当接部材を折り畳み可能な構成とすることが記載されている。当接部材を折り畳むことで収納性および可搬性を向上できる。
【0005】
このような放射線照射装置において、間隔確保部の折り畳みを解除するというユーザの作業が必要になる場合がある。例えば、放射線の照射を行う前に、間隔確保部の折り畳みを解除する必要がある。これによって、放射線発生部と被検体との間隔を確保した状態で、放射線の照射を行うことができる。しかし、ユーザが間隔確保部の折り畳みを解除する作業を忘れるなどの理由により、間隔確保部が折り畳まれたまま放射線の照射が行われると、ユーザにとって意図しない条件での放射線の照射が行われてしまう。
【0006】
本開示の技術は、ユーザの意図しない放射線の照射を抑制することが可能な放射線照射装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の技術に係る第1の態様は、放射線を被検者に照射する装置本体と、装置本体から放射線の照射方向に延出することで被検者と装置本体との間隔を確保する部材であって、少なくとも一部の可動部が変位することにより、装置本体から延出する長さが予め定められた長さとなる展開状態と、装置本体からの長さが予め定められた長さよりも短い状態である収納状態とに切り替え可能とされた間隔確保部と、を備え、可動部は、間隔確保部が収納状態から展開状態へ切り替わる方向に付勢されている放射線照射装置である。
【0008】
本開示の技術に係る第2の態様は、間隔確保部は、間隔確保部の延出方向において他の領域よりも曲げ剛性の低い屈曲部を有し、可動部は、屈曲部を起点にして変位する第1の態様に係る放射線照射装置である。
【0009】
本開示の技術に係る第3の態様は、間隔確保部は、展開状態において、装置本体側から順に基端部、屈曲部、及び先端部を有し、基端部の曲げ剛性は、先端部の曲げ剛性以上とされている第2の態様に係る放射線照射装置である。
【0010】
本開示の技術に係る第4の態様は、屈曲部は、間隔確保部の延出方向において、間隔確保部が装置本体に取り付けられる位置よりも装置本体と反対側に設けられている第2の態様に係る放射線照射装置である。
【0011】
本開示の技術に係る第5の態様は、屈曲部は、弾性材料により形成され、可動部は、弾性材料が弾性変形した場合に生じる復元力により付勢されている第2の態様に係る放射線照射装置である。
【0012】
本開示の技術に係る第6の態様は、間隔確保部は、可動部を回転自在に支持する支持部を有し、可動部は、支持部を回転中心にして変位する第1の態様に係る放射線照射装置である。
【0013】
本開示の技術に係る第7の態様は、支持部は、ばね部材を備え、可動部は、ばね部材によって付勢されている第6の態様に係る放射線照射装置である。
【0014】
本開示の技術に係る第8の態様は、展開状態において、間隔確保部の延出する方向における可動部の長さは、間隔確保部の長さの半分以上とされている第1の態様に係る放射線照射装置である。
【0015】
本開示の技術に係る第9の態様は、放射線照射装置が格納容器から取り出された場合に、間隔確保部が収納状態から展開状態に切り替わる第1の態様に係る放射線照射装置である。
【発明の効果】
【0016】
本開示の技術は、ユーザの意図しない放射線の照射を抑制することが可能な放射線照射装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】放射線照射装置の使用態様の一例を示す斜視図である。
図2】放射線照射装置の構成の一例を示す外観斜視図である。
図3】放射線照射装置の構成の一例を示す外観斜視図である。
図4】放射線照射装置の構成の一例を示す外観斜視図である。
図5】間隔確保部の構成の一例を示す外観斜視図である。
図6】放射線照射装置の使用態様の一例を示す斜視図である。
図7】間隔確保部の構成の一例を示す外観斜視図である。
図8】間隔確保部の構成の一例を示す外観斜視図である。
図9】放射線照射装置の構成の一例を示す外観斜視図である。
図10】放射線照射装置の構成の一例を示す外観斜視図である。
図11】間隔確保部の構成の一例を示す外観斜視図である。
図12】間隔確保部の構成の一例を示す外観斜視図である。
図13】間隔確保部の構成の一例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を詳細に説明する。
【0019】
なお、以下の説明では、説明の便宜上、放射線照射装置10の高さ方向、幅方向及び前後方向(奥行方向ともいう)をX、Y及びZの3つの矢印で示す。まず、高さ方向を矢印Zで示し、矢印Zが指し示す矢印Z方向を放射線照射装置10の上方向とし、その逆方向を下方向とする。高さ方向は鉛直方向である。幅方向を、矢印Zと直交する矢印Xで示し、矢印Xが指し示す方向を放射線照射装置10の右方向とし、その逆方向を左方向とする。前後方向を、矢印Z及び矢印Xと直交する方向を矢印Yで示し、矢印Yが指し示す方向を放射線照射装置10の前方向とし、その逆を後方向とする。すなわち、放射線照射装置10において放射線の照射方向が前方向であり、被検者Aが立つ側(図1参照)が前方向である。また、以下において、上側、下側、左側、右側、前側、及び後側といった側を用いた表現も方向を用いた表現と意味は同じである。
【0020】
また、本実施形態において、「鉛直方向」とは、完全な鉛直方向のほかに、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの鉛直方向を指す。また、「水平方向」についても同様であり、完全な水平方向の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの水平方向を指す。
【0021】
<第1実施形態>
一例として図1に示すように、放射線照射装置10は、装置本体11と、遠隔操作部12とを備えている。装置本体11は、被検者Aに対して放射線Rを照射可能な装置である。装置本体11は、内部に放射線の発生源である放射線管15を備えており、放射線管15において発生させた放射線(例えば、X線又はγ線)を照射野限定器(図3参照)及び照射窓(図3参照)等を介して、被検者Aに向けて照射する。放射線照射装置10は、本開示の技術に係る「放射線照射装置」の一例であり、装置本体11は、本開示の技術に係る「装置本体」の一例である。なお、ここで、遠隔とは、物理的に分離されることにより離隔している程度の意味であり、距離の多寡を意味するものではない。
【0022】
放射線照射装置10は、持ち運び可能な大きさ及び重量となっている。すなわち、放射線照射装置10は、可搬型の放射線照射装置である。放射線照射装置10は、例えば、医療施設において、簡易的な放射線検査で使用されてもよいし、在宅診療の際の放射線検査に用いられてもよい。また、放射線照射装置10は、屋外で用いられてもよい。例えば、放射線照射装置10は、被災地又は医療過疎地域における出張診療に用いられてもよい。
【0023】
装置本体11は、例えば、三脚14を介して被検者Aに対して予め定められた位置(例えば、高さ、及び距離)に設定されている。装置本体11の下面には、三脚14と装置本体11とを固定する固定部17が設けられている。固定部17は、例えば、ねじ穴である。固定部17は、放射線Rの線束の中心軸RAと直交する直線であって放射線管15の焦点Fを通る直線L上に位置している。放射線管15は、例えば、陰極から放出された電子をターゲットに衝突させることにより放射線Rを発生する。焦点Fは、ターゲット上において電子が衝突する位置である。放射線Rの線束は、焦点Fを基点として錐形に広がる。中心軸RAは、こうした線束の中心軸である。固定部17は、直線Lと装置本体11の下面との交差する位置に設けられている。放射線照射装置10において、放射線管15の焦点Fが位置する部分が重心に近い。直線L上に固定部17を設けることで、三脚14上の放射線照射装置10を安定させやすい。
【0024】
遠隔操作部12は、装置本体11を遠隔操作可能な装置である。遠隔操作部12は、装置本体11に対して着脱自在である。遠隔操作部12は、例えば、装置本体11と無線通信を行うことで、装置本体11を遠隔操作する。遠隔操作部12による遠隔操作には、例えば、装置本体11に対して、放射線Rを被検者Aヘ向けて照射させる操作が含まれる。遠隔操作部12と装置本体11との間の無線通信規格は、例えば、Bluetooth(登録商標)である。もちろん、赤外線通信を用いてもよい。
【0025】
放射線照射装置10の操作者であるユーザBは、遠隔操作部12を装置本体11から取り出した後、予め定められた距離、装置本体11から離れた状態で、遠隔操作部12を操作する。これにより、装置本体11の放射線管15から放射線Rが被検者Aに照射される。被検者Aを透過した放射線Rは、検出器16によって検出される。
【0026】
また、ユーザBは、放射線照射装置10を用いた撮影の終了後、遠隔操作部12を装置本体11に収容する。遠隔操作部12が装置本体11に収容された状態で、放射線照射装置10は、ユーザBによって持ち運ばれたり、放射線照射装置10の収納ケースに収納されたりする。
【0027】
一例として図2に示すように、装置本体11は、左右方向に長手方向を有する略直方体形状を有している。装置本体11の前面11Aには、放射線Rを照射方向に向かって突出する筒状部18が設けられている。筒状部18の内部には、後述する照射野限定器(コリメータとも呼ばれる)及び照射窓が取り付けられている。また、筒状部18の先端には、間隔確保部20が取り付けられている。間隔確保部20は、装置本体11から放射線Rの照射方向に延出することで被検者Aと装置本体11との間隔を確保する部材である。ここで、照射方向とは、放射線Rの線束の中心軸RAに沿った方向である。間隔確保部20は、被検者Aに対して装置本体11が過度に接近した状態で放射線Rが照射されることを抑制する。間隔確保部20は、本開示の技術に係る「間隔確保部」の一例である。
【0028】
装置本体11の背面11Bには、収容部24が設けられている。収容部24は、装置本体11の背面11Bに遠隔操作部12を着脱自在に収容可能とされている。具体的には、収容部24は、凹型の内壁面34を有している。遠隔操作部12が収容部24に収容された状態において、内壁面34は、遠隔操作部12の裏面12B以外の全ての面と対向する。このように、収容部24は、遠隔操作部12を着脱自在に収容する。
【0029】
また、装置本体11の背面11Bには、ディスプレイ23が設けられている。ディスプレイ23には、放射線撮影に関する種々の情報が表示される。ディスプレイ23は、例えば、液晶ディスプレイであってもよいし、EL(Electro-Luminescence)ディスプレイであってもよい。また、装置本体11の左側面には、把持部材11Cが取り付けられている。ユーザBは、把持部材11Cを介して放射線照射装置10を把持する。
【0030】
遠隔操作部12は、装置本体11に収容された状態において、上下方向に長手方向を有する略直方体形状を有している。遠隔操作部12は、操作面12A及び裏面12Bを有している。操作面12Aには、照射ボタン13Aと撮影ボタン13Bとが設けられている。
【0031】
照射ボタン13Aは、放射線Rの照射を指示するための操作ボタンである。照射ボタン13AがユーザBによって押下されることで、遠隔操作部12から装置本体11に対して放射線Rを照射させる信号が出力される。また、放射線照射装置10には、光学カメラ(図示省略)が内蔵されている。撮影ボタン13Bは、光学カメラによる撮影を指示するための操作ボタンである。撮影ボタン13BがユーザBによって押下されることで、遠隔操作部12から装置本体11に対して後述する光学カメラに撮像をさせる信号が出力される。裏面12Bは、操作面12Aの反対側の面であり、裏面12Bには、照射ボタン13A及び撮影ボタン13Bを含む操作キーは設けられていない。
【0032】
なお、ここでは、照射ボタン13A及び撮影ボタン13Bは、ボタンである例を挙げて説明したが、これはあくまでも一例にすぎない。照射ボタン13A及び撮影ボタン13Bは、カーソル、スライドスイッチの他、タッチパッドであってもよい。
【0033】
一例として図3に示すように、装置本体11の前面11Aから突出した筒状部18は、照射野限定器26と、照射窓28とを有している。照射野限定器26は、放射線Rの照射範囲を予め定められた範囲に規定する照射野限定器である。また、照射窓28は、放射線Rに対して透明な部材で構成され、外部と筒状部18内とを区画する窓部材である。放射線管15から出射された放射線Rは、照射野限定器26によって照射範囲が規定され、さらに照射窓から被検者Aに向かって照射される。また、筒状部18内には、光学カメラ(図示省略)が設けられている。光学カメラは、例えば、CCD(charge coupled device)イメージセンサ及びCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサなどのイメージセンサを有する撮像装置である。符号30は、光学カメラのレンズの一部である撮影窓である。撮影窓30を通じて被検者Aの像光が光学カメラ内のイメージセンサに入射する。光学カメラは、例えば、被検者Aを撮像する。撮像した被検者Aの光学画像は、例えば、放射線Rの照射位置の位置合わせを行うために用いられる。
【0034】
間隔確保部20は、可動部21を備えている。可動部21は、本開示の技術に係る「可動部」の一例である。可動部21は、装置本体11に対して変位可能な部材である。図3に示す例では、可動部21は、側面視した場合(図3に示すX方向視した場合)にU字形状とされており、筒状部18の周縁において、左右に一つずつ設けられている。すなわち、間隔確保部20は、左右方向において対向した一対の可動部21を有している。可動部21は、例えば、上下方向及び間隔確保部20の延出方向と直交する方向に板厚方向を有する板状部材である。ここで、間隔確保部20の延出方向とは、装置本体11から前方へ延出している間隔確保部20において、間隔確保部20に沿った方向である。間隔確保部20の展開状態において、可動部21は、間隔確保部20の前端に行くほど、一対の可動部21同士の間隔が拡がるように傾斜している。
【0035】
図3に示す例では、間隔確保部20は、装置本体11から予め定められた長さt1となる展開状態とされている。予め定められた長さt1は、装置本体11の前面11Aから可動部21の装置本体11と最も反対側の位置までの長さであり、例えば、20cm(センチメートル)である。間隔確保部20が展開状態となることで、被検者A(図1参照)が装置本体11に過度に接近することが抑制される。
【0036】
一例として図4に示すように、可動部21が変位することで、間隔確保部20が収納状態とされる。図4に示す例では、一対の可動部21が折り重なる態様で装置本体11に近づく方向に変位することで収納状態とされている。収納状態では、間隔確保部20の装置本体11からの長さt2が、展開状態における予め定められた長さt1よりも短くなっている。このように、収納状態では、間隔確保部20の装置本体11からの長さが展開状態よりも短くなるので、放射線照射装置10を小型化することができ可搬性が向上する。また、収納状態では、展開状態と比較して間隔確保部20が装置本体11から突出していないので、外部と間隔確保部20との接触が抑制され、放射線照射装置10の取り扱いが容易となる。
【0037】
また、収納状態とされた間隔確保部20において、可動部21が変位することで、間隔確保部20が展開状態とされる。このように、可動部21が変位することで、間隔確保部20は、展開状態と収納状態とに切り替え可能とされている。
【0038】
可動部21は、間隔確保部20が収納状態から展開状態に切り替わる方向へ付勢されている。これにより、可動部21に対して間隔確保部20を収納状態とする外力が付与されていない場合には、可動部21は、展開状態となる。
【0039】
一例として図5に示すように、間隔確保部20は、予め定められた弾性率を有する軟質性樹脂(例えば、ゴム)から形成されている。ここで、間隔確保部20を形成する材料の弾性率は、例えば、実機を用いた試験によって適宜設定され得る。
【0040】
間隔確保部20は、先端部20A、基端部20B及び屈曲部20Cを有している。屈曲部20Cは、間隔確保部20の延出方向において、他の領域と比較して曲げ剛性の低い部位であって、可動部21の変位の起点となる部位である。基端部20Bは、間隔確保部20の展開状態において屈曲部20Cよりも装置本体11側の部位である。また、先端部20Aは、間隔確保部20の展開状態において屈曲部20Cよりも装置本体11と反対側の部位である。換言すれば、間隔確保部20は、展開状態において装置本体11側から順に基端部20B、屈曲部20C、及び先端部20Aを有している。屈曲部20Cは、本開示の技術に係る「屈曲部」の一例であり、先端部20Aは、本開示の技術に係る「先端部」の一例であり、基端部20Bは、本開示の技術に係る「基端部」の一例である。
【0041】
先端部20Aには、支持板22Aが埋め込まれている。また、基端部20Bには、支持板22Bが埋め込まれている。換言すれば、間隔確保部20の装置本体11と反対側には、支持板22Aが設けられており、間隔確保部20の装置本体11側には、支持板22Bが設けられている。
【0042】
支持板22A及び22Bは、間隔確保部20を形成する軟質性樹脂よりも高い曲げ剛性を備えている。図5に示す例では、支持板22A及び22Bの材質は、金属であるが、これはあくまでも一例にすぎず、繊維強化樹脂、又は硬質性樹脂等が挙げられる。支持板22A及び22Bが軟質性樹脂よりも高い曲げ剛性を有していることで、支持板22Aと支持板22Bの間の部位が屈曲部20Cとして機能する。
【0043】
また、基端部20Bの曲げ剛性は、先端部20Aの曲げ剛性以上とされている。好ましくは、基端部20Bの曲げ剛性は、先端部20Aの曲げ剛性よりも高く設定されている。例えば、支持板22Bの板厚が、支持板22Aの板厚よりも大きく設定されることで、基端部20Bの曲げ剛性が、先端部20Aよりも高く設定されている。この場合、例えば、基端部20Bが、先端部20Aよりも大きい板厚とされることで、曲げ剛性が高く設定されている。
【0044】
上述したように、間隔確保部20は、弾性材料により形成されている。間隔確保部20に対して展開状態から収納状態に切り替える外力が付与された場合、屈曲部20Cは弾性変形しながら折れ曲がる。すなわち、間隔確保部20において、屈曲部20Cが他の領域よりも曲げ剛性が低いため、屈曲部20Cが起点となって可動部21が変位する。このように屈曲部20が起点となって変位するとは、屈曲部20がある一点を中心として折れ曲がる形態のみを指すものではなく、屈曲部20の全体または一部が弾性変形しながら折れ曲がる態様も含む。収納状態において、屈曲部20Cには、弾性変形前の形状に戻ろうとする復元力が生じている。この結果、可動部21は、間隔確保部20が収納状態から展開状態に切り替わる方向に付勢されている。
【0045】
ところで、間隔確保部20が装置本体11に取り付けられる位置Pは、延出した部材の根元部分という構造上、荷重が集中しやすい位置である。この部分に、剛性の低い屈曲部20Cが設けられると、根元部分における破損が生じやすくなる。具体的には、収納状態から展開状態に切り替わる方向に可動部21が付勢されていることから、その付勢力の反力、及び曲げモーメントが根元部分に生じる。このため、根元部分である間隔確保部20が装置本体11に取り付けられる位置に破損が生じやすくなる。
【0046】
そこで、屈曲部20Cは、間隔確保部20の延出方向において、間隔確保部20が装置本体11に取り付けられる位置P(以下単に、「位置P」とも称する)よりも、装置本体11とは反対側に形成される。換言すれば、屈曲部20Cは、位置Pには形成されていない。図5に示す例では、位置Pとして、筒状部18の先端の周縁の位置が示されている。屈曲部20Cと位置Pとの距離(すなわち、基端部20Bの長さ)は、例えば、基端部20Bに必要な構造特性(例えば、曲げ剛性、又は耐久性)に応じて適宜設定され得る。
【0047】
間隔確保部20の延出方向において、可動部21の長さL2は、間隔確保部20の長さL1の半分以上とされている。すなわち、L2≧(L1)/2の関係式が成立する。ここで、間隔確保部20の長さL1は、位置Pから間隔確保部20の前端までの距離である。また、可動部21の長さL2は、屈曲部20Cと可動部21との境界(図5に示す例では、支持板22Aの後端)から間隔確保部20の前端までの距離である。
【0048】
一例として図6に示すように、放射線照射装置10は、未使用状態の場合、格納容器32の内部に格納されている。格納容器32は、本開示の技術に係る「格納容器」の一例である。格納容器32は、例えば、筐体32Aと、蓋部32Bを備える。筐体32Aの内部に格納容器32が配置され、さらに、蓋部32Bが閉じられることで、放射線照射装置10が、格納容器32に格納される。放射線照射装置10は、格納容器32に格納された状態で、運搬されたり、保管されたりする。放射線照射装置10が格納容器32に格納されている場合、間隔確保部20が収納状態とされている。例えば、間隔確保部20の可動部21が格納容器32の内壁に当接することで、可動部21に外力が付与される。これにより、間隔確保部20の収納状態が維持されている。
【0049】
放射線照射装置10が使用される場合、放射線照射装置10が格納容器32から取り出される。放射線照射装置10が格納容器32から取り出された場合に、間隔確保部20が収納状態から展開状態に切り替わる。具体的には、放射線照射装置10が格納容器32から取り出されると、可動部21に付与されていた外力がなくなる。可動部21は、間隔確保部20が収納状態から展開状態に切り替わる方向に付勢されているので、間隔確保部20が展開状態となる。放射線照射装置10の使用が終了した後は、再度、間隔確保部20は収納状態とされて、放射線照射装置10は、格納容器32に格納される。
【0050】
以上説明したように、本第1実施形態に係る放射線照射装置10では、間隔確保部20において、可動部21が変位することで、展開状態と収納状態とに切り替え可能とされている。さらに、可動部21は、間隔確保部20が収納状態から展開状態へ切り替わる方向に付勢されている。これにより、可動部21の付勢による変位を妨げる外力が間隔確保部20に付与されていない状態では、間隔確保部20が展開状態となる。そのため、被検者Aと放射線照射装置10との間隔が確保された状態で放射線の照射が行われる。この結果、間隔確保部20が収納状態のままでの放射線の照射等、ユーザの意図しない放射線の照射が抑制される。
【0051】
例えば、間隔確保部20が展開状態とされないまま放射線が照射されると、被検者Aと放射線照射装置10との距離が確保されない場合がある。この場合、ユーザが意図しない条件での放射線の照射が行われるおそれがある。本構成では、間隔確保部20が収納状態から展開状態となる方向に可動部21が付勢されており、ユーザによる操作がなくても間隔確保部20が展開状態となるので、ユーザの意図しない放射線の照射が抑制される。
【0052】
また、例えば、格納容器32から放射線照射装置10を取り出した場合に、間隔確保部20が展開状態に切り替わる。このように、ユーザによる間隔確保部20を収納状態から展開状態に切り替える操作の手間がなくなり、放射線照射装置10の利便性が向上する。
【0053】
また、本第1実施形態に係る放射線照射装置10では、間隔確保部20は、屈曲部20Cを有している。そして、他の領域よりも曲げ剛性の低い屈曲部20Cを起点にして可動部21が変位する。本構成では、曲げ剛性の違いによって可動部21の変位の起点を形成できるので、間隔確保部20の構成の簡素化が実現される。
【0054】
また、本第1実施形態に係る放射線照射装置10では、間隔確保部20において、装置本体11側の基端部20Bの曲げ剛性が、先端部20A以上とされている。基端部20Bの曲げ剛性が高いことで、間隔確保部20の装置本体11側が変形しにくくなる。これにより、可動部21の変位に伴う反力を基端部20Bが受けても変形が生じにくく、可動部21の変位が安定して行われる。
【0055】
また、本第1実施形態に係る放射線照射装置10では、屈曲部20Cは、間隔確保部20が装置本体11に取り付けられる位置Pよりも装置本体11とは反対側に設けられている。間隔確保部20が装置本体11に取り付けられる位置Pは、延出した部材の根元部分という構造上、荷重が集中しやすい位置である。この部分に、剛性の低い屈曲部20Cが設けられると、根元部分における破損が生じやすくなる。本構成では、屈曲部20Cの位置を間隔確保部20が装置本体11に取り付けられる位置Pよりも装置本体11とは反対側としたので、放射線照射装置10の破損を抑制できる。
【0056】
また、本第1実施形態に係る放射線照射装置10では、屈曲部20Cは、弾性材料により形成され、可動部21は弾性材料により生じる復元力によって付勢されている。これにより、可動部21が付勢される構成を簡素化することが実現される。
【0057】
また、本第1実施形態に係る放射線照射装置10では、可動部21の長さが、間隔確保部20の長さの半分以上とされていることで、半分以下の場合と比較して、間隔確保部20における可動部21が占める領域が多くなる。これにより、可動部21が変位した後、収納状態における間隔確保部20の装置本体11からの長さt2を短くすることができる。この結果、収納状態における放射線照射装置10の小型化が実現される。
【0058】
また、本第1実施形態に係る放射線照射装置10では、格納容器32から取り出されると、可動部21が付勢されていることにより、間隔確保部20が収納状態から展開状態となる。これにより、格納容器32から取り出した後の間隔確保部20の切り替え作業の手間がなくなり、放射線照射装置10の利便性が向上する。
【0059】
なお、上記第1実施形態では、格納容器32が放射線照射装置10を格納する形態例を挙げたが、これはあくまでも一例に過ぎず、放射線照射装置10以外にも周辺部品(例えば、三脚14(図1参照)、及び検出器16(図1参照))が一緒に格納されてもよい。また、間隔確保部20が装置本体11から着脱可能な場合には、間隔確保部20と装置本体11とが別々に格納されてもよい。この場合においても、間隔確保部20が収納状態とされる。
【0060】
また、格納容器32が、筐体32A及び蓋部32Bを有する構成も一例に過ぎず、放射線照射装置10を格納可能な箱形状を有していればよく、また、格納容器32は、カバン、又は袋であってもよい。
【0061】
なお、可動部21が格納容器32の内壁に当接することで、可動部21に外力が付与される態様は、あくまでも一例に過ぎない。可動部21が、バンドにより締め付けられることで外力が付与される態様であってもよいし、装置本体11に設けられたロック機構によって可動部21に外力が付与される態様であってもよい。
【0062】
(第1変形例)
なお、上記第1実施形態では、支持板22A及び22Bが設けられていない部分が屈曲部20Cとして機能する形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。本第1変形例では、一例として図7に示すように、間隔確保部20の一部が他の領域と比較して薄い板厚とされることで、屈曲部20Cが形成される。この場合において、間隔確保部20は、予め定められた弾性率を有する軟質性樹脂(例えば、ゴム)から形成されている。屈曲部20Cは、間隔確保部20の他の領域よりも板厚が薄いので曲げ剛性が低くなっている。そして、可動部21は、屈曲部20Cを起点として変位する。
【0063】
間隔確保部20は、弾性材料により形成されているので、屈曲部20Cを起点して弾性変形した状態から変形前の状態に戻ろうとする復元力が生じている。このように、間隔確保部20は、収納状態から展開状態に切り替わる方向に付勢されている。
【0064】
なお、ここでは、間隔確保部20の板厚の違いにより、曲げ剛性を低くする形態例を挙げて説明したが、これはあくまでも一例にすぎない。例えば、間隔確保部20の板厚に代えて、又は板厚と共に、間隔確保部20の板幅を小さくすることで、曲げ剛性を低くする態様であってもよい。
【0065】
(第2変形例)
また、間隔確保部20に屈曲部20Cが形成されるその他の例として、図8に示すように、屈曲部20Cが、間隔確保部20のその他の領域とは異なる材質とされてもよい。屈曲部20Cは、その他の領域と比較して曲げ剛性の低い材料から形成されている。
【0066】
例えば、屈曲部20Cは、間隔確保部20は、予め定められた弾性率を有する軟質性樹脂(例えば、ゴム)から形成されている。一方、間隔確保部20の先端部20A及び基端部20Bは、硬質性樹脂から形成されている。屈曲部20Cは、他の領域よりも低い曲げ剛性の材料から形成されているので、可動部21は、屈曲部20Cを起点として変位する。なお、ここでは、屈曲部20C以外を構成する材料として、硬質性樹脂の例を挙げたが、これはあくまでも一例にすぎず、屈曲部20Cよりも曲げ剛性の高い材質であればよい。例えば、屈曲部20C以外を構成する材料は、金属であってもよいし、繊維強化樹脂であってもよい。
【0067】
そして、屈曲部20Cは、弾性材料により形成されているので、屈曲部20Cを起点して弾性変形した状態から変形前の状態に戻ろうとする復元力が生じている。このように、間隔確保部20は、収納状態から展開状態に切り替わる方向に付勢されている。
【0068】
なお、上記第1実施形態及び各変形例では、弾性材料としてゴム等の軟質性樹脂が用いられる形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。弾性材料として、金属材料(例えば、超弾性合金)が用いられてもよい。
【0069】
また、上記第1実施形態及び各変形例では、材質又は形状の違いにより屈曲部20Cが形成される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。板ばね、又はコイルばね等のばね部材が、屈曲部20Cとして用いられてもよい。この場合において、ばね部材の曲げ剛性は、間隔確保部20の他の領域と比較して低く設定されている。
【0070】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、間隔確保部20において、屈曲部20Cを起点として可動部21が変位する形態例を挙げたが、本開示の技術はこれに限定されない。本第2実施形態では、間隔確保部20において、ヒンジ36を回転中心として可動部21が変位する。
【0071】
一例として図9に示すように、間隔確保部20は、可動部21及びヒンジ36を備えている。可動部21の装置本体11側の端部には、ヒンジ36が設けられており、ヒンジ36を介して可動部21が装置本体11に取り付けられている。ヒンジ36は、可動部21を回転可能に支持している。図9に示す例では、ヒンジ36は、上下方向(図9に示すZ方向)に沿った軸を回転軸として、可動部21を回転可能に支持している。図9に示す例では、間隔確保部20は、装置本体11から予め定められた長さt1となる展開状態とされている。ヒンジ36は、本開示の技術に係る「支持部」の一例である。
【0072】
一例として図10に示すように、可動部21がヒンジ36を回転中心として変位することで、間隔確保部20が収納状態とされる。図10に示す例では、一対の可動部21が折り重なる態様で装置本体11に近づく方向に変位することで収納状態とされている。収納状態では、間隔確保部20の装置本体11からの長さt2が、展開状態における予め定められた長さt1よりも短くなっている。
【0073】
一例として図11に示すように、ヒンジ36の内部には、ばね部材36Aが設けられている。ばね部材36Aは、例えば、ねじりばねである。ばね部材36Aは、ヒンジ36を介して可動部21を付勢している。この結果、可動部21は、間隔確保部20が収納状態から展開状態に切り替わる方向に付勢されている。収納状態とされた間隔確保部20において、可動部21がヒンジ36を回転中心として変位することで、間隔確保部20が展開状態とされる。また、ヒンジ36には、図示しないストッパが設けられており、ストッパは、展開状態においてヒンジ36の回転を規制する。これにより、間隔確保部20の展開状態が維持される。ばね部材36Aは、本開示の技術に係る「ばね部材」の一例である。
【0074】
以上説明したように、本第2実施形態に係る放射線照射装置10では、間隔確保部20は、可動部21を回転自在に支持するヒンジ36を有している。これにより、可動部21はヒンジ36を回転中心に変位する。この結果、間隔確保部20の一部を弾性変形させる場合と比較して、可動部21がスムーズに変位することが実現される。
【0075】
また、本第2実施形態に係る放射線照射装置10では、ヒンジ36は、ばね部材36Aを備え、可動部21は、ばね部材36Aによって付勢されている。これにより、間隔確保部20の一部を弾性変形させる場合と比較して、可動部21がスムーズに変位することが実現される。
【0076】
(第3変形例)
なお、上記第1実施形態では、間隔確保部20が装置本体11に取り付けられる位置にヒンジ36が設けられている形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。本第3変形例では、一例として図12に示すように、間隔確保部20の中間部にヒンジ36が設けられる。
【0077】
この場合において、ヒンジ36よりも前側の領域が可動部21として機能する。間隔確保部20の延出方向において、可動部21の長さL2は、間隔確保部20の長さL1の半分以上とされている。換言すれば、ヒンジ36の位置は、長さL1の中点の位置よりも装置本体11側とされている。可動部21は、ヒンジ36によって、間隔確保部20が収納状態から展開状態に切り替わる方向に付勢されている。
【0078】
なお、上記実施形態では、間隔確保部20が左右方向に沿って折り畳まれる形態例を挙げて説明したが本開示の技術はこれに限定されない。間隔確保部20が上下方向に沿って折り畳まれる形態であってもよい。また、間隔確保部20において、一対の可動部21が、互いに離隔するように折り畳まれる形態であってもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、間隔確保部20が折り畳まれる形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、間隔確保部20の延出方向において、可動部21が伸縮することで、間隔確保部20が展開状態と収納状態とに切り替わる態様であってもよい。この場合において、一例として図13に示すように、可動部21は筒形状であり、可動部21が、前後方向(図13に示すY方向)に沿って移動する(図中両矢印参照)。これにより、間隔確保部20が展開状態と収納状態に切り替わる。可動部21は、例えば、図示しないばね部材によって前方向に付勢されている。
【0080】
また、上記実施形態では、間隔確保部20が収納状態から展開状態に切り替えられる形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、間隔確保部20が収納状態と展開状態の間の中間状態から展開状態に切り替えられる態様であってもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、遠隔操作部12が収容部24に収容された状態において、内壁面34は、遠隔操作部12の裏面12B以外の全ての面と対向する形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、遠隔操作部12が収容部24に収容された状態において、遠隔操作部12の操作面12Aが露出する態様であってもよい。また、遠隔操作部12が収容部24に収容された状態において、遠隔操作部12の複数の面が露出する態様であってもよい。すなわち、収容部24が装置本体11の角部を切り欠いて形成され、遠隔操作部12のうちの2つの面を介して収容部24に取り付けられる態様であってもよい。
【0082】
また、遠隔操作部12が装置本体11に着脱自在であれば、本開示の技術は成立する。例えば、遠隔操作部12の1つの面を介して装置本体11の外周面に取り付けられる態様であってもよいし、装置本体11に設けられたフックに遠隔操作部12の一部が引っ掛けられる態様であってもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、遠隔操作部12と装置本体11とが無線通信を行う形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。遠隔操作部12と装置本体11とは、有線通信を行ってもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、間隔確保部20の可動部21の形状が平板である形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。可動部21の形状は、中実又は中空の丸棒でもよい。また、間隔確保部20の形状が、側面視でU字形状である形態例を挙げたが、これはあくまでも一例にすぎず、一端が装置本体11に取り付けられ、装置本体11から延出した板状部材であってもよい。ここで、板状部材は、側面視で長方形、半円状であってもよい。また、間隔確保部20は、複数の棒状部材であってもよい。
【0085】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0086】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【0087】
上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0088】
<付記1>
放射線を被検者に照射する装置本体と、
上記装置本体から上記放射線の照射方向に延出することで上記被検者と上記装置本体との間隔を確保する部材であって、少なくとも一部の可動部が変位することにより、上記装置本体から延出する長さが予め定められた長さとなる展開状態と、上記装置本体からの長さが上記予め定められた長さよりも短い状態である収納状態とに切り替え可能とされた間隔確保部と、を備え、
上記可動部は、上記間隔確保部が上記収納状態から上記展開状態へ切り替わる方向に付勢されている
放射線照射装置。
<付記2>
上記間隔確保部は、上記間隔確保部の延出方向において他の領域よりも曲げ剛性の低い屈曲部を有し、
上記可動部は、上記屈曲部を起点にして変位する
付記1に記載の放射線照射装置。
<付記3>
上記間隔確保部は、上記展開状態において、上記装置本体側から順に基端部、上記屈曲部、及び先端部を有し、
上記基端部の曲げ剛性は、上記先端部の曲げ剛性以上とされている
付記2に記載の放射線照射装置。
<付記4>
上記屈曲部は、上記間隔確保部の延出方向において、上記間隔確保部が上記装置本体に取り付けられる位置よりも上記装置本体と反対側に設けられている
付記2又は付記3に記載の放射線照射装置。
<付記5>
上記屈曲部は、弾性材料により形成され、
上記可動部は、上記弾性材料が弾性変形した場合に生じる復元力により付勢されている
付記2から付記4の何れか一つに記載の放射線照射装置。
<付記6>
上記間隔確保部は、上記可動部を回転自在に支持する支持部を有し、
上記可動部は、上記支持部を回転中心にして変位する
付記1に記載の放射線照射装置。
<付記7>
上記支持部は、ばね部材を備え、
上記可動部は、上記ばね部材によって付勢されている
付記6に記載の放射線照射装置。
<付記8>
上記展開状態において、上記間隔確保部の延出する方向における上記可動部の長さは、上記間隔確保部の長さの半分以上とされている
付記1から付記7の何れか一つに記載の放射線照射装置。
<付記9>
上記放射線照射装置が格納容器から取り出される場合に、上記間隔確保部が上記収納状態から上記展開状態に切り替わる
付記1から付記8の何れか一つに記載の放射線照射装置。
【符号の説明】
【0089】
10 放射線照射装置
11 装置本体
11A 前面
11B 背面
11C 把持部材
12 遠隔操作部
12A 操作面
12B 裏面
13A 照射ボタン
13B 撮影ボタン
14 三脚
15 放射線管
16 検出器
17 固定部
18 筒状部
20 間隔確保部
20A 先端部
20B 基端部
20C 屈曲部
21 可動部
22A,22B 支持板
23 ディスプレイ
24 収容部
26 照射野限定器
28 照射窓
30 撮影窓
34 内壁面
36 ヒンジ
36A ばね部材
A 被検者
B ユーザ
F 焦点
L 直線
P 位置
R 放射線
RA 中心軸
X,Y,Z 矢印
t1,t2,t3 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-12-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
一例として図2に示すように、装置本体11は、左右方向に長手方向を有する略直方体形状を有している。装置本体11の前面11Aには、放射線R照射方向に向かって突出する筒状部18が設けられている。筒状部18の内部には、後述する照射野限定器(コリメータとも呼ばれる)及び照射窓が取り付けられている。また、筒状部18の先端には、間隔確保部20が取り付けられている。間隔確保部20は、装置本体11から放射線Rの照射方向に延出することで被検者Aと装置本体11との間隔を確保する部材である。ここで、照射方向とは、放射線Rの線束の中心軸RAに沿った方向である。間隔確保部20は、被検者Aに対して装置本体11が過度に接近した状態で放射線Rが照射されることを抑制する。間隔確保部20は、本開示の技術に係る「間隔確保部」の一例である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
上述したように、間隔確保部20は、弾性材料により形成されている。間隔確保部20に対して展開状態から収納状態に切り替える外力が付与された場合、屈曲部20Cは弾性変形しながら折れ曲がる。すなわち、間隔確保部20において、屈曲部20Cが他の領域よりも曲げ剛性が低いため、屈曲部20Cが起点となって可動部21が変位する。このように屈曲部20が起点となって変位するとは、屈曲部20がある一点を中心として折れ曲がる形態のみを指すものではなく、屈曲部20の全体または一部が弾性変形しながら折れ曲がる態様も含む。収納状態において、屈曲部20Cには、弾性変形前の形状に戻ろうとする復元力が生じている。この結果、可動部21は、間隔確保部20が収納状態から展開状態に切り替わる方向に付勢されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
また、本第1実施形態に係る放射線照射装置10では、可動部21の長さが、間隔確保部20の長さの半分以上とされていることで、半分未満の場合と比較して、間隔確保部20における可動部21が占める領域が多くなる。これにより、可動部21が変位した後、収納状態における間隔確保部20の装置本体11からの長さt2を短くすることができる。この結果、収納状態における放射線照射装置10の小型化が実現される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
例えば、屈曲部20Cは、予め定められた弾性率を有する軟質性樹脂(例えば、ゴム)から形成されている。一方、間隔確保部20の先端部20A及び基端部20Bは、硬質性樹脂から形成されている。屈曲部20Cは、他の領域よりも低い曲げ剛性の材料から形成されているので、可動部21は、屈曲部20Cを起点として変位する。なお、ここでは、屈曲部20C以外を構成する材料として、硬質性樹脂の例を挙げたが、これはあくまでも一例にすぎず、屈曲部20Cよりも曲げ剛性の高い材質であればよい。例えば、屈曲部20C以外を構成する材料は、金属であってもよいし、繊維強化樹脂であってもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正の内容】
図9
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正の内容】
図10