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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094186
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/013 20120101AFI20240702BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20240702BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B24B37/013
B24B49/12
H01L21/304 622S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210985
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】塩川 陽一
(72)【発明者】
【氏名】木下 将毅
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 夕貴
(72)【発明者】
【氏名】金馬 利文
(72)【発明者】
【氏名】田上 景太
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA19
3C034BB93
3C034CA09
3C034CA22
3C034CB20
3C158AA07
3C158AC02
3C158BA07
3C158BB09
3C158CB01
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158ED00
5F057AA19
5F057BA15
5F057BA21
5F057BB03
5F057CA12
5F057DA03
5F057FA46
5F057GB02
5F057GB13
(57)【要約】
【課題】膜厚測定値に対応付けられる位置座標の精度を向上させることができる研磨装置が提供される。
【解決手段】研磨装置は、研磨パッド1の厚みを測定するパッド厚み測定装置と、基板に対して斜めに光を照射し、測定点の膜厚測定値を決定する光学式膜厚測定装置30と、膜厚測定値に測定点の位置を示す測定座標を対応付ける制御装置50とを備え、研磨パッドの厚みと測定座標の移動量との関係を示す相関データに基づいて研磨パッド1の厚みの測定値に対応する測定座標の移動量を決定し、決定された測定座標の移動量に基づいて膜厚測定値に対応付けられた測定座標を補正する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨パッドを支持しつつ回転する研磨テーブルと、
基板を前記研磨パッドの研磨面に押し付ける研磨ヘッドと、
前記研磨パッドの厚みを測定するパッド厚み測定装置と、
前記基板の複数の測定点に対して斜めに光を照射し、前記基板からの反射光を受光し、前記反射光に基づいて前記測定点における膜厚測定値を決定する光学式膜厚測定装置と、
前記膜厚測定値に前記測定点の位置を示す測定座標を対応付ける制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記研磨パッドの厚みと前記測定座標の移動量との関係を示す相関データに基づいて演算を実行することで、前記研磨パッドの厚みの測定値に対応する前記測定座標の移動量を決定し、決定された前記測定座標の移動量に基づいて前記膜厚測定値に対応付けられた前記測定座標を補正する演算装置を備える、研磨装置。
【請求項2】
前記研磨パッド厚み測定装置は、前記研磨パッドの研磨面に接触されることによって、前記研磨パッドの厚みを測定する、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記研磨パッド厚み測定装置は、前記研磨テーブルの内部に配置され、前記研磨面に接触する前記基板の表面の高さに基づいて、前記研磨パッドの厚みを測定する、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記光学式膜厚測定装置は、前記基板との間で投光および受光を行う光学センサヘッドを備え、
前記研磨パッド厚み測定装置は、前記研磨パッドに押し付けられている前記基板によって、前記光学センサヘッドとともに覆われているときに、前記基板の表面の高さに基づいて、前記研磨パッドの厚みを測定する、請求項3に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記光学式膜厚装置は、前記基板に対して斜めに光を照射する投光用光ファイバーと、前記基板で斜めに反射された光を受光する受光用光ファイバーと、を備え、
投光用光ファイバーの径と、受光用光ファイバーの径とが異なる大きさである、請求項1から4に記載の研磨装置。
【請求項6】
研磨パッドを支持しつつ回転する研磨テーブルと、
基板を前記研磨パッドの研磨面に押し付ける研磨ヘッドと、
前記基板の複数の測定点に対して斜めに光を照射し、前記基板からの反射光を受光し、前記反射光に基づいて前記測定点における膜厚測定値を決定するとともに、受光量を決定する光学式膜厚測定装置と、
前記膜厚測定値に前記測定点の位置を示す測定座標を対応付ける制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記受光量と前記研磨パッドの厚みとの関係を示す第1相関データ、および、前記研磨パッドの厚みと前記測定座標の移動量との関係を示す第2相関データに基づいて演算を実行することで、前記受光量に対応する前記研磨パッドの厚みを決定し、決定された前記研磨パッドの厚みの測定値に対応する前記測定座標の移動量を決定し、決定された前記測定座標の移動量に基づいて前記膜厚測定値に対応付けられた前記測定座標を補正する演算装置を備える、研磨装置。
【請求項7】
研磨パッドを支持しつつ回転する研磨テーブルと、
基板を前記研磨パッドの研磨面に押し付ける研磨ヘッドと、
前記基板の複数の測定点に対して斜めに光を照射し、前記基板からの反射光を受光し、前記反射光に基づいて前記測定点における膜厚測定値を決定するとともに、受光量を決定する光学式膜厚測定装置と、
前記膜厚測定値に前記測定点の位置を示す測定座標を対応付ける制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記受光量と前記測定座標の移動量との関係を示す相関データに基づいて演算を実行することで、前記受光量に対応する前記測定座標の移動量を決定し、決定された前記測定座標の移動量に基づいて前記膜厚測定値に対応付けられた前記測定座標を補正する演算装置を備える、研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程には、ウェハの表面を平坦化するためにウェハを研磨する工程がある。ウェハを研磨する一手段として、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)を行う研磨装置が知られている。研磨装置は、研磨テーブルに支持される研磨パッドの研磨面に研磨液を供給しつつ、研磨面にウェハを押し付け、さらにウェハと研磨テーブルを相対移動させる。以上により、ウェハの表面が研磨される。
【0003】
研磨パッドの研磨性能は、ウェハを研磨する度に低下していく。そこで、研磨装置は、研磨パッドの研磨性能を回復するためのドレッシングを行う。ドレッシングでは、ダイヤモンド粒子などの硬質の砥粒が固定されたドレッサで研磨パッドの研磨面を削り取る。以上により、研磨パッドの研磨面が再生される(言い換えると、研磨パッドの研磨性能が回復する)。
【0004】
一般に、研磨装置は、研磨中にウェハの表面の膜厚を測定するための膜厚測定装置を備える。研磨装置は、膜厚の測定値が所定の目標値(言い換えると、研磨終点)に達すると、研磨を終了する。一例として、光学式膜厚測定装置がある。光学式膜厚測定装置は、光学センサヘッド35を有する。光学センサヘッド35は、ウェハの表面における測定点に光を入射させ、ウェハの表面からの反射光を受け取る。膜厚の測定値は、この反射光に基づく解析により決定される。光学センサヘッド35がウェハの表面を横切るように走査されると、ウェハの表面上の複数の測定点で膜厚測定値が得られる。この膜厚測定値には、ウェハの表面における測定位置を示す位置座標(測定座標)が対応付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5167010号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
研磨パッドは、研磨またはドレッシングにより摩耗し、徐々に研磨パッドの厚みが減少する。研磨パッドの厚みが減少すれば減少するほど、研磨パッドに押し付けられるウェハの表面は、センサヘッドに近づいていく。結果として、研磨パッドの厚みが変動する前後で、センサヘッドによる測定点の位置がずれることがある。この結果、膜厚測定値に対応付けられる位置座標が誤ってずれた位置を示すことになる。
【0007】
そこで、本発明は、膜厚測定値に対応付けられる位置座標の精度を向上させることができる研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、研磨パッドを支持しつつ回転する研磨テーブルと、基板を研磨パッドの研磨面に押し付ける研磨ヘッドと、研磨パッドの厚みを測定するパッド厚み測定装置と、基板の複数の測定点に対して斜めに光を照射し、基板からの反射光を受光し、反射光に基づいて測定点における膜厚測定値を決定する光学式膜厚測定装置と、膜厚測定値に測定点の位置を示す測定座標を対応付ける制御装置と、を備え、制御装置は、研磨パッドの厚みと測定座標の移動量との関係を示す相関データに基づいて演算を実行することで、研磨パッドの厚みの測定値に対応する測定座標の移動量を決定し、決定された測定座標の移動量に基づいて膜厚測定値に対応付けられた測定座標を補正する演算装置を備える、研磨装置が提供される。
【0009】
一態様では、研磨パッド厚み測定装置は、研磨パッドの研磨面に接触されることによって、研磨パッドの厚みを測定するように構成されている。
一態様では、研磨パッド厚み測定装置は、研磨テーブルの内部に配置され、研磨面に接触する基板の表面の高さに基づいて、研磨パッドの厚みを測定するように構成されている。
一態様では、光学式膜厚測定装置は、基板との間で投光および受光を行う光学センサヘッドを備え、研磨パッド厚み測定装置は、研磨パッドに押し付けられている基板によって、光学センサヘッドとともに覆われているときに、基板の表面の高さに基づいて、研磨パッドの厚みを測定するように構成されている。
一態様では、光学式膜厚測定装置は、基板に対して斜めに光を照射する投光用光ファイバーと、基板で斜めに反射された光を受光する受光用光ファイバーと、を備え、投光用光ファイバーの径と、受光用光ファイバーの径とが異なる大きさで構成されている。
【0010】
一態様では、研磨パッドを支持しつつ回転する研磨テーブルと、基板を研磨パッドの研磨面に押し付ける研磨ヘッドと、基板の複数の測定点に対して斜めに光を照射し、基板からの反射光を受光し、反射光に基づいて測定点における膜厚測定値を決定するとともに、受光量を決定する光学式膜厚測定装置と、膜厚測定値に測定点の位置を示す測定座標を対応付ける制御装置と、を備え、制御装置は、受光量と研磨パッドの厚みとの関係を示す第1相関データ、および、研磨パッドの厚みと測定座標の移動量との関係を示す第2相関データに基づいて演算を実行することで、受光量に対応する研磨パッドの厚みを決定し、決定された研磨パッドの厚みの測定値に対応する測定座標の移動量を決定し、決定された測定座標の移動量に基づいて膜厚測定値に対応付けられた測定座標を補正する演算装置を備える、研磨装置が提供される。
【0011】
一態様では、研磨パッドを支持しつつ回転する研磨テーブルと、基板を研磨パッドの研磨面に押し付ける研磨ヘッドと、基板の複数の測定点に対して斜めに光を照射し、基板からの反射光を受光し、反射光に基づいて測定点における膜厚測定値を決定するとともに、受光量を決定する光学式膜厚測定装置と、膜厚測定値に測定点の位置を示す測定座標を対応付ける制御装置と、を備え、制御装置は、受光量と測定座標の移動量との関係を示す相関データに基づいて演算を実行することで、受光量に対応する測定座標の移動量を決定し、決定された測定座標の移動量に基づいて膜厚測定値に対応付けられた測定座標を補正する演算装置を備える、研磨装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
制御装置は、研磨パッドの厚みに基づく相関を利用して測定点の移動量を決定することで、基板の膜厚測定値に対応する位置座標を補正するように構成されている。したがって、研磨装置は、膜厚測定値に対応付けられる位置座標の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の研磨装置を示す図である。
図2】研磨中のウェハと研磨テーブルの位置関係を示す上面図である。
図3】投光用光ファイバー(投光部)から受光用光ファイバー(受光部)までの光の経路を示す拡大図である。
図4】ウェハWの表面における複数の測定点の一例を示すである。
図5】膜厚分布の一例を示す図である。
図6】第1実施形態の研磨装置の動作を示すフローチャートである。
図7】第1実施形態の研磨装置の変形例を示す図である。
図8】第2実施形態における研磨パッドの厚みと受光量との関係を示す図である。
図9】第2実施形態の研磨装置の動作を示すフローチャートである。
図10】第3実施形態の研磨装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
図1は、研磨装置の一実施形態を示す図である。図1に示す研磨装置は、ウェハ、基板、パネルなどのワークピースを化学機械的に研磨する装置であり、以下ではウェハを研磨する例を示す。研磨装置は、研磨パッド1と、研磨パッド1を支持する研磨テーブル3と、研磨パッド1上に研磨液(例えば、砥粒を含むスラリー)を供給する研磨液供給ノズル40と、ウェハWを保持しつつ研磨パッド1に押し付ける研磨ヘッド10と、研磨パッド1の研磨面1aをドレッシング(コンディショニング)するドレッシングユニット20と、ウェハWの表面の膜厚を測定するための光学式膜厚測定装置30と、これらの構成要素の動作を制御する制御装置50を備える。
【0015】
研磨パッド1は、研磨テーブル3の上面に貼り付けられている。研磨パッド1の上面は、ウェハWを研磨するための研磨面1aを構成する。研磨パッド1は、厚みを有する。以下、研磨パッド1の上面(研磨面1a)から下面(研磨テーブル3の上面に貼り付けられた面)までの距離を研磨パッド1の厚みという。研磨パッド1には、通孔1bが形成されている。研磨テーブル3の上面には、孔7が形成されている。通孔1bと孔7は、連通している。後述するように、通孔1bは、膜厚測定のための光を通過させる。
【0016】
研磨テーブル3は、テーブルシャフト3aを介してテーブルモータ5に連結されている。テーブルモータ5は、研磨テーブル3を回転させるように構成されている。研磨テーブル3は、テーブルモータ5によってその軸心周りに回転される。研磨パッド1は研磨テーブル3と一体に回転する。例えば、研磨テーブル3は図1における矢印で示す方向で回転する。
【0017】
研磨ヘッド10は、研磨ヘッドシャフト12を介して研磨ヘッドモータ(不図示)に連結されている。研磨ヘッドモータは、研磨ヘッド10を回転させるように構成されている。研磨ヘッド10は、研磨ヘッドモータによってその軸心周りに回転される。研磨ヘッド10は研磨ヘッドシャフト12と一体に回転する。例えば、研磨ヘッド10は図1における矢印で示す方向で回転する。
【0018】
研磨ヘッド10の下面は、ウェハWを保持するように構成されている。研磨ヘッド10の下面には、ウェハWを真空吸引する真空源(不図示)が接続されている。ウェハWは、真空源によって研磨ヘッド10の下面に吸着保持される。言い換えると、研磨ヘッド10の下面は、ウェハWを保持するウェハ保持面を構成する。
【0019】
さらに、研磨ヘッド10の下面には、ウェハWを研磨パッド1の研磨面1aに向かって押し付けるためのエアバッグ(不図示)が設けられている。エアバッグは、保持されたウェハWを押圧する圧力を発生させる。エアバッグには気体供給ライン(不図示)が接続されており、気体の供給量によって圧力を調整する。エアバッグは、ウェハWをその背面側から押圧する。研磨ヘッド10は、エアバッグにより、ウェハWを研磨パッド1の研磨面1aに向かって押し付ける。
【0020】
研磨ヘッド10は、研磨ヘッドシャフト12を介して昇降シリンダ(不図示)に連結されている。昇降シリンダは、研磨ヘッド10を昇降(上下動)させるように構成されている。研磨ヘッド10は、昇降シリンダにより、研磨パッド1に対して相対的に上下動する。研磨ヘッド10は研磨ヘッドシャフト12と一体に上下動する。昇降シリンダは、ウェハWを保持する研磨ヘッド10を研磨パッド1に向かって下降させることにより、ウェハWの表面(言い換えると、被研磨面)を研磨パッド1の研磨面1aに接触させる。なお、昇降シリンダは、研磨ヘッド10を更に下降させてウェハWの表面を研磨パッド1の研磨面1aに向かって押し付けてもよい。
【0021】
ドレッシングユニット20は、ドレッサ21と、ドレッサ21に連結されたドレッサシャフト23と、ドレッサシャフト23を回転可能に支持するサポートブロック25と、研磨パッド1にドレッサ21を押し付けるためのエアシリンダ26と、ドレッサシャフト23を回転可能に支持するドレッサアーム27と、ドレッサアーム27を支持する支軸28を備える。ドレッサ21の下面は、ダイヤモンド粒子などの砥粒が固定されたドレッシング面を構成する。後述するように、ドレッサ21は研磨パッド1の研磨面1aに接触する。
【0022】
ドレッサ21は、ドレッサモータ内に設置されたドレッサモータ(不図示)にドレッサシャフト23を介して連結されている。ドレッサモータは、ドレッサ21を回転させるように構成されている。ドレッサ21は、ドレッサモータによってその軸心周りに回転される。ドレッサ21はドレッサシャフト23と一体に回転する。例えば、ドレッサ21は図1における矢印で示す方向で回転する。
【0023】
ドレッサ21は、ドレッサシャフト23を介してサポートブロック25に連結されている。サポートブロック25は、エアシリンダ26に連結されている。エアシリンダ26は、ドレッサを昇降させるように構成されている。ドレッサ21は、エアシリンダ26により、研磨パッド1に対して相対的に上下動する。エアシリンダ26は、ドレッサシャフト23およびサポートブロック25と一体に上下動する。エアシリンダ26は、ドレッサ21を研磨パッド1に向かって下降させることにより、ドレッシング面を研磨パッド1の研磨面1aに押し付ける。
【0024】
支軸28は、モータ(不図示)に連結されており、モータは支軸28を回転させるように構成されている。支軸28は、モータによってその軸心周りに回転される。ドレッサ21、ドレッサシャフト23、およびドレッサアーム27は、支軸28の回転によって支軸28を中心として一体に揺動する。
【0025】
制御装置50は、少なくとも1台のコンピュータから構成されている。制御装置50は、プログラムが格納された記憶装置50aと、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する演算装置50bを備えている。記憶装置50aは、RAMなどの主記憶装置と、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの補助記憶装置を備えている。演算装置50bの例としては、CPU(中央処理装置)、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)が挙げられる。ただし、制御装置50の具体的構成はこれらの例に限定されない。
【0026】
ウェハWの研磨は次のようにして行われる。研磨ヘッド10は、ウェハWの表面(被研磨面)を研磨パッド1に対向させた状態でウェハWを保持する。研磨テーブル3がテーブルモータ5によって回転されながら、研磨パッド1の研磨面1a上には研磨液供給ノズル10から研磨液が供給される。この状態で、研磨ヘッド10が研磨ヘッドモータによって回転されながら、研磨ヘッド昇降機構によって下降される。その結果、ウェハWの表面が研磨パッド1の研磨面1aに接触する。さらに、研磨ヘッド10は、ウェハWを研磨パッド1に向かって押圧する。ウェハWの表面は、研磨液の化学的作用と、研磨液に含まれる砥粒および研磨面1aの機械的作用により研磨される。
【0027】
研磨パッド1の研磨面1aのドレッシングは次のようにして行われる。研磨テーブル3がテーブルモータ5によって回転されながら、研磨パッド1の研磨面1a上には純水供給ノズル(不図示)から純水が供給される。この状態で、ドレッサ21がドレッサモータによって回転されながら、エアシリンダ26によって下降される。その結果、ドレッサ21のドレッシング面が研磨パッド1の研磨面1aに接触する。ドレッサ21のドレッシング面は、エアシリンダ26によって研磨パッド1の研磨面1aを押圧する。さらに、ドレッサ21は揺動され、研磨パッド1の研磨面1a上で平行移動する。このようにして、研磨パッド1はドレッサ21により削り取られ、研磨面1aがドレッシング(再生)される。言い換えると、研磨パッド1の研磨性能はドレッシングによって回復する。研磨パッド1の研磨面1aのドレッシングは、ウェハWの研磨中、または、ウェハWの研磨後に実行される。
【0028】
光学式膜厚測定装置30は、光源31と、研磨テーブル3の内部に配置された光学センサヘッド35と、分光器37とを備える。光源31、光学センサヘッド35、および分光器37は研磨テーブル3に取り付けられており、研磨テーブル3および研磨パッド1とともに一体に回転する。光学センサヘッド35は、光源31および分光器37に光学的に接続されている。光源31および分光器37は、制御装置50に接続されている。
【0029】
光学センサヘッド35は、投光部32と受光部33を備える。例えば、投光部32および受光部33は、それぞれ、光ファイバーケーブルで構成される。投光部32を投光用光ファイバー32ということがあり、受光部33を受光用光ファイバー33ということがある。投光部32の一端(先端)および受光部33の一端(先端)は上方に向けられ、後述のように研磨されるウェハWに対向する。投光部32の一端と受光部33の一端は、互いに近づく方向に傾斜している。投光部32の他端は光源31に光学的に接続され、受光部34の他端は分光器37に光学的に接続されている。
【0030】
光源31には、発光ダイオード(LED)、ハロゲンランプ、キセノンランプなどを用いることができる。光学センサヘッド35は、光源31からの光をウェハWの表面に入射させ、ウェハWの表面で反射された光を受光する。具体的に、投光部32は光源31からの光を導いてウェハWの表面に入射させ、受光部33はウェハWの表面からの反射光を受光する。分光器37は、受光部33によって受光された反射光を波長に従って分解し、各波長での反射光の強度を測定することにより、スペクトルを生成する。制御装置50は、スペクトルに基づいて、ウェハWの膜厚を決定する。結果として、膜厚測定値が得られる。制御装置50は、膜厚測定値が所定の目標値に達すると研磨終点に達したと判断する。
【0031】
光学センサヘッド35は、研磨テーブル3の孔7の内部に配置される。光学センサヘッド35は、研磨パッド1の研磨面1aよりも下方に配置されていればよい。言い換えると、投光部32の一端および受光部33の一端は、研磨パッド1の研磨面1aよりも下方に配置されていればよい。図1に示すように、投光部32の一端および受光部33の一端は、研磨テーブル3の上面よりも下方に配置されている。投光部32の一端および受光部33の一端は、研磨パッド1の研磨面1aよりも下方であれば、通孔1bの内部に配置されていてもよい。
【0032】
通孔1bと孔7には、光を透過させる媒質として液体(例えば純水)が満たされている。言い換えると、研磨されるウェハWの表面と光学センサヘッド35(特に、投光部32の一端および受光部33の一端)との間の空間は液体で満たされる。したがって、投光部32からウェハWの表面への入射光とウェハWの表面から受光部33への反射光は液体を通過する。この液体は、孔7に接続された液体供給ライン(不図示)によって供給され、孔7に接続された液体排出ライン(不図示)によって排出される。
【0033】
なお、光を透過させる媒質は、液体に代えて空気であってもよい。なお、光を透過させる液体に代えて透明の窓(不図示)が設けられてもよい。窓は、研磨パッド1の研磨面1aよりも下方であって光学センサヘッド35(投光部32および受光部33の先端)よりも上方に配置されていれば、通孔1bの内部に設けられても孔7の内部に設けられてもよい。この場合、窓は、通孔1bと孔7の少なくとも一方を塞ぐように設けられている。
【0034】
図2は、研磨中のウェハWと研磨テーブル3の位置関係を示す上面図である。光学センサヘッド35は、研磨テーブル3が一回転する度に、図2の点線で示す軌跡を描いてウェハWを横切る(言い換えると、通過する)。光学センサヘッド35は、研磨テーブル3の半径方向において、研磨テーブル3の中心から所定の距離を空けて配置されている。ウェハWの中心は、研磨テーブル3の半径方向において、研磨テーブル3の中心から所定の距離を空けて配置されている。図2において、研磨テーブル3の中心から光学センサヘッド35までの距離は、研磨テーブル3の中心からウェハWの中心までの距離に等しい。したがって、図2において、光学センサヘッド35は、研磨テーブル3の回転に伴い、ウェハWの中心を横切る。
【0035】
なお、図2は、一例として光学センサヘッド35がウェハWの中心を横切るような配置を示しており、光学センサヘッド35の配置はこれに限定されるものではない。光学センサヘッド35は、ウェハWの下方を横切りさえすればよい。
【0036】
光学センサヘッド35は、ウェハWの下方を移動する間、ウェハWの表面に対して所定の時間間隔で断続的に光を照射する。具体的に、制御装置50は光源31を制御し、所定の時間間隔で光源31を断続的に発光させる。光源31からの光は、投光部32を介して所定の時間間隔で断続的にウェハWの表面に照射される。結果として、ウェハWの表面における複数の箇所に光が照射され、各箇所の膜厚が測定される。
【0037】
光学センサヘッド35は、ウェハWの下方を移動する間、ウェハWの表面に対して光の照射を維持して膜厚測定を行ってもよい。言い換えると、光学センサヘッド35はウェハWの表面に対して連続的に光を照射してもよい。この場合、制御装置50は光源31を制御し、光学センサヘッド35がウェハWの下方を移動する間、光源31に発光を維持させる。光源31からの光は、投光部32を介してウェハWの表面に照射され続ける。分光器12は、所定の時間間隔でスペクトルを生成する。結果として、所定の時間間隔で得られたスペクトルを解析することで、各箇所の膜厚が測定される。
【0038】
以下、ウェハWの表面において光が照射された箇所を「測定点」という。また、膜厚測定を実行する時間間隔を「測定間隔」という。特に、光学センサヘッド35が断続的に光を照射する場合は、光を照射する時間間隔を測定間隔といい、光学センサヘッド35が連続的に光を照射する場合は、分光器37がスペクトルを生成する所定の時間間隔を測定間隔という。
【0039】
制御装置50は、測定点の膜厚測定値に、その測定点の位置を示す測定座標を対応付ける。測定座標は、ウェハWの表面における位置を示す座標(位置座標)である。例えば、測定座標は、ウェハWにおける半径方向の位置として示される。制御装置50は、光学センサヘッド35がウェハWを通過するたびに、各測定点の膜厚測定値と測定座標とを対応付ける。このようにして、膜厚分布は、複数の測定点における膜厚測定値および測定座標に基づいて生成される。例えば、膜厚分布は制御装置50によって生成される。
【0040】
膜厚分布は、膜厚測定値を測定座標ごとに分布化して示すものである。各測定座標における膜厚測定値は、その測定座標における膜厚測定値の平均値で表されてもよい。例えば、測定座標はウェハWの直径における位置として示すことができる。この場合、膜厚分布は、ウェハWの直径における膜厚分布として表すことができる。例えば、測定座標はウェハWの半径における位置として示すことができる。この場合、膜厚分布は、ウェハWの半径における膜厚分布として表すことができる。
【0041】
測定座標は、一例として次のように決定される。制御装置50は、テーブルモータ5と接続されている。制御装置50は、テーブルモータ5から研磨テーブル3の回転に関する情報を受け取る。制御装置50は、研磨テーブル3が予め設定された所定の回転角度の範囲のときに、ウェハWの下方を光学センサヘッド35が移動していると判定する。制御装置50は判定に基づいて、光学式膜厚測定装置30に所定の測定間隔で膜厚測定を実行させる。さらに、制御装置50は、判定に基づいて、膜厚測定の実行中における研磨テーブル3の回転速度(または角速度)を検知する。制御装置50は、検知した回転速度に基づいて、所定時刻における回転角度を求める。これにより、制御装置50は、所定時刻における光学センサヘッド35の位置を回転角度に基づいて判定する。さらに、制御装置50は、判定された光学センサヘッド35の位置と測定間隔に基づいて、測定点の位置、すなわち測定座標を求める。このようにして、制御装置50は、所定の測定点における膜厚測定値に測定座標を対応付ける。
【0042】
なお、ウェハWの下方を光学センサヘッド35が通過していると判定するための所定の回転角度の範囲は、ウェハWの位置や大きさに基づいて予め設定することができる。なお、測定座標は上記以外の手法で決定されてもよい。
【0043】
図3は、投光用光ファイバー(投光部)32から受光用光ファイバー(受光部)33までの光の経路を示す拡大図である。図3に示すように、投光用光ファイバー32の先端と、受光用光ファイバー33の先端は、ウェハWの表面に対して所定の角度で傾斜している。なお、入射角とは、光が照射された箇所、すなわち測定点におけるウェハWの法線と入射光との角度をいい、反射角とは、測定点におけるウェハWの法線と反射光との角度をいう。
【0044】
ここで、ウェハWにはウェハWの内部から表面にかけて各種材料による膜や配線構造が積層された積層構造が形成されていることがある。このようなウェハWに垂直方向から膜厚測定のための光を照射すると、光がウェハWの最上層(すなわち、ウェハWにおける最も表面側の層)の膜を透過することがある。この結果、入射光は最上層よりも奥の内部の層で反射される。この場合、取得されるスペクトルには、ウェハWの最上層の情報だけではなく、光が通過した層の分だけ、ウェハWの内部の層の情報が含まれる。結果として、ウェハWの表面に対して垂直方向から膜厚測定のための光を照射すると、ウェハWの最上層に関して精度良く膜厚測定値を得ることが難しいことがある。
【0045】
ウェハWの最上層に関してより精度が良い膜厚測定値を得るために、投光用光ファイバー32を上述したように傾斜して配置することがある。
【0046】
受光用光ファイバー33の先端は、反射光を受光できる角度で傾斜して配置されている。ただし、受光用光ファイバー33は、ウェハWの表面での光の反射角に実質的に等しい角度で光を受光することが好ましい。すなわち、受光用光ファイバー33の先端に対して実質的に垂直に反射光が進入するように、受光用光ファイバー33の先端が傾斜して配置されていることが好ましい。この場合、図3に示すように、投光用光ファイバー32の先端と受光用光ファイバー33の先端は、互いに向かい合う方向に同じ角度で傾斜している。
【0047】
ところで、研磨パッド1の厚みは、ウェハWの研磨や研磨面1aのドレッシングにより摩耗し、徐々に薄くなってくる。言い換えると、研磨パッド1の厚みは徐々に減少する。研磨パッド1の厚みが薄くなれば薄くなるほど、研磨パッド1に押し付けられるウェハWの表面は、投光用光ファイバー32及び受光用光ファイバー33(すなわち、光学センサヘッド35)に近づいていく。上述したように、投光用光ファイバー32は、ウェハWに対して斜めに光を入射させる。したがって、投光用光ファイバー32と測定点との間の光の経路が短くなると、測定点の位置は、図3に示すようにウェハWの面内方向にずれる。すなわち、研磨パッド1の厚みが減少する前後では、測定点の位置が異なる。結果として、測定点の位置ずれによって反射光の経路が変わるため、受光用光ファイバー33は、反射光を受光できなくなるおそれがある。
【0048】
そこで、測定点の位置がずれても受光用光ファイバー33が反射光を受光できるようにするために、投光用光ファイバー32の先端は、測定点の位置ずれを許容できる程度に大きな径を有する。例えば、図3に示すように、投光用光ファイバー32の径は、受光用光ファイバー33の径よりも大きい。これにより、研磨パッド1の厚みが減少にともなって測定点の位置がずれたとしても、受光用光ファイバー33は反射光を受光することができる。
【0049】
なお、図示しないが、受光用光ファイバー33の先端が測定点の位置ずれを許容できる程度に大きな径を有していてもよい。この場合、受光用光ファイバー33の径は、投光用光ファイバー32の径よりも大きい。この場合も、受光用光ファイバー33は、測定点の位置がずれたとしても、反射光を受光することができる。
【0050】
図4は、ウェハWの表面における複数の測定点の一例を示す図である。図4には、研磨パッド1の厚みが減少する前(研磨パッド1の減耗前)の複数の測定点と、研磨パッド1の厚みが減少した後(研磨パッド1の減耗後)の複数の測定点が示されている。図4に示すように、研磨パッド1の厚さが減少すると、各測定点に位置ずれが生じてしまう。したがって、研磨パッド1の厚さが減少する前後で同じ測定条件で膜厚測定を行っても、ウェハWの表面において異なる箇所を測定することになる。測定点の位置ずれを測定座標に反映させないと、膜厚測定値に対応付けられる測定座標は、実際の測定座標とは異なる位置を示すことになる。
【0051】
図5は、膜厚分布の一例を示す図である。図5は、一例としてウェハWの直径における膜厚分布を示している。実線で示された膜厚分布は、図4で示された研磨パッド1の厚みが減少する前(研磨パッド1の減耗前)の複数の測定点に基づいて生成された膜厚分布である。一点鎖線で示された膜厚分布は、図4で示された研磨パッド1の厚みが減少した後(研磨パッド1の減耗後)の複数の測定点に基づいて生成された膜厚分布である。上述した通り、研磨パッド1の厚みが減少した後の膜厚分布は、膜厚測定値に対応付けられる測定座標が実際とは異なる位置を示す。この結果、図5に示す通り膜厚分布が全体としてずれてしまう。
【0052】
そこで、本実施形態では、研磨パッド1の厚みと測定点の移動量との関係を示す第1相関データに基づいて、測定座標を補正する。ここで、測定点の移動量とは、測定点が初期位置からウェハWの面内方向に移動した距離をいう。すなわち、測定点の移動量は、上述した測定点の位置ずれの程度を示す。例えば、第1相関データは、制御装置50の記憶装置50aに格納されている。第1相関データは、実験により予め求められている。
【0053】
具体的に、第1相関データは、研磨パッド1の厚みの基準値を含み、この基準値には、測定点の移動量がゼロとして対応付けられている。すなわち、研磨パッド1の厚みの基準値には、測定点の初期位置を示す値が対応付けられている。第1相関データは、研磨パッド1の厚みの基準値に対して研磨パッド1の厚みが変動した際の測定点の移動量を示し、研磨パッド1の厚みを示すそれぞれの値には、測定点の移動量が対応付けられている。
【0054】
なお、研磨パッド1の厚みの変動が起こると、研磨面1aの高さも変動する。したがって、第1相関データは、研磨パッド1の厚みに代えて研磨面1aの高さで規定されてもよい。すなわち、第1相関データは、研磨面1aの高さと測定点の移動量の関係で示されてもよい。この場合、第1相関データは、研磨面1aの高さの基準値に対して研磨パッド1aの高さが変動した際の測定点の移動量を示し、研磨面1aの高さを示すそれぞれの値には、測定点の移動量が対応付けられている。
【0055】
制御装置50の演算装置50bは、プログラムに含まれる指令に従って演算を実行することで、第1相関データに基づいて、研磨パッド1の厚みの測定値から測定点の移動量を決定する。制御装置50の演算装置50bは、決定された測定点の移動量に基づいて、測定座標を補正する。以下、研磨パッド1の厚みの測定について説明する。
【0056】
図1を再び参照して説明する。研磨装置は、ドレッシングユニット20を用いて研磨パッド1の厚みを測定することができる。ドレッシングユニット20は、研磨パッド1の厚みを測定する第1パッド厚み測定装置29を備えている。第1パッド厚み測定装置29は、例えば接触式変位センサである。第1パッド厚み測定装置29は、サポートブロック25に固定されており、第1パッド厚み測定装置29の接触子は、ドレッサアーム27に接触している。サポートブロック25は、ドレッサシャフト23およびドレッサ21と一体に上下動可能であるので、第1パッド厚み測定装置29は、ドレッサシャフト23およびドレッサ21と一体に上下動可能である。一方、ドレッサアーム27の上下方向の位置は固定されている。第1パッド厚み測定装置29の接触子がドレッサアーム27に接触したまま、第1パッド厚み測定装置29はドレッサシャフト23およびドレッサと一体に上下動する。したがって、第1パッド厚み測定装置29は、ドレッサアーム27に対するドレッサ21の変位を測定することができる。
【0057】
第1パッド厚み測定装置29は、ドレッサ21を介して研磨パッド1の厚みを測定することができる。具体的に、第1パッド厚み測定装置29は、研磨パッド1の下面を基準面として研磨面1aの高さを測定することで、結果として研磨パッド1の厚みを測定することができる。第1パッド厚み測定装置29は、ドレッサシャフト23を介してドレッサ21に連結されているので、第1パッド厚み測定装置29は、研磨パッド1のドレッシング中に研磨パッド1の厚みを測定することができる。また、研磨テーブル3の回転及びドレッサ21の回転を止めて、ドレッシングの停止中に研磨パッド1の厚みを測定することもできる。
【0058】
第1パッド厚み測定装置29は、レーザ式センサ、超音波センサ、または渦電流式センサなどの非接触式センサであってもよい。さらに、第1パッド厚み測定装置29は、ドレッサアーム27に固定され、サポートブロック25の変位を測定するように配置されてもよい。この場合でも、第1パッド厚み測定装置29は、ドレッサアーム27に対するドレッサ21の変位を測定することができる。
【0059】
なお、第1パッド厚み測定装置29は、予め設定された基準平面からの研磨面1aまでの距離を研磨面1aの高さとして測定することもできる。基準平面は、仮想上の平面である。このようにして測定された研磨面1aの高さと測定点の移動量との関係で第1相関データが規定されてもよい。
【0060】
第1パッド厚み測定装置29は、制御装置50に電気的に接続されており、制御装置50は、第1パッド厚み測定装置29の出力信号を受け取る。すなわち、制御装置50は、第1パッド厚み測定装置29で測定された研磨パッド1の厚みの測定値を受け取ることができる。また、上述したように、第1パッド厚み測定装置29で研磨面1aの高さを測定した場合、制御装置50は、研磨面1aの高さの測定値を受け取ることができる。
【0061】
なお、上述したパッド高さ測定装置と同様の機構を研磨ヘッド10側に設けて、研磨ヘッド10を介して研磨面1aの高さや研磨パッド1の厚みを測定してもよい。
【0062】
図6は、図1に示す研磨装置の動作を示すフローチャートである。ステップS101では、ドレッシングユニット20のパッド高さ測定装置により、研磨パッド1の厚みを測定する。次に、ステップS102では、制御装置50は、研磨パット1の厚みに対応する測定点の移動量を第1相関データから決定する。次に、ステップS103では、光学式膜厚測定装置30が膜厚測定を実行し、膜厚測定値に測定座標が対応付けられる。次に、ステップS104では、制御装置50が、膜厚測定値に対応付けられた測定座標をステップS102で決定された測定点の移動量で補正する。結果として、膜厚測定値に対応付けられた測定座標はより正確な位置を示す。さらに、膜厚分布が図5のように全体としてずれてしまうことを抑制することができる。
【0063】
なお、図6ではステップS101およびステップ102がステップS103の前に実行されているが、これらのステップはステップS103と同時進行で行われてもよい。なお、ステップS101およびステップ102は、ステップS103の後に行われてもよい。
【0064】
なお、研磨パッド1の厚みや研磨面1aの高さは、図7に示す研磨装置でも測定することができる。図7は、本実施形態の研磨装置の変形例を示している。特に言及しない限り、図7の研磨装置は、図1の研磨装置と同様の構成を有するため、重複する説明を省略する。以下、図7を参照して説明する。
【0065】
研磨装置は、第2パッド厚み測定装置60を備える。研磨パッド1には、通孔1cが形成されている。研磨テーブル3の上面には、孔71が形成されている。通孔1cと孔71は、連通している。後述するように、通孔1cは、研磨パッド1の厚みを測定するための光を通過させる。第2パッド厚み測定装置60は、研磨テーブル3の内部に配置される。具体的に、第2パッド厚み測定装置60は、孔71の内部に配置され、研磨テーブル3の上面よりも下方に配置される。
【0066】
なお、図7では、ドレッシングユニット20はサポートブロック25および第1パッド厚み測定装置29を備えていないが、これらの構成を備えていてもよい。
【0067】
第2パッド厚み測定装置60は、例えば光学式の測距センサである。第2パッド厚み測定装置60は、研磨パッド1に設置されたウェハWで上方が覆われているときに投光を行い、ウェハWから返ってくる反射光を受光することで研磨パッド1の厚みを測定する。なお、測定時においてウェハWの表面は研磨面1aと実質的に同一の高さとみなすことができる。第2パッド厚み測定装置60は、ウェハWの研磨中に研磨パッド1の厚みを測定することができる。
【0068】
第2パッド厚み測定装置60は、上述した第1パッド厚み測定装置29と同様に、研磨パッド1の下面を基準面として研磨面1aの高さ(より正確には、ウェハWの表面の高さ)を測定することで、結果として研磨パッド1の厚みを測定することができる。
【0069】
第2パッド厚み測定装置60は、予め設定された基準平面からの研磨面1aまでの距離を研磨面1aの高さとして測定することもできる。基準平面は、仮想上の平面である。このようにして測定された研磨面1aの高さと測定点の移動量との関係で第1相関データが規定されてもよい。
【0070】
第2パッド厚み測定装置60は、制御装置50に電気的に接続されており、制御装置50は、第2パッド厚み測定装置60の出力信号を受け取る。すなわち、制御装置50は、第2パッド厚み測定装置60で測定された研磨パッド1の厚みの測定値を受け取ることができる。また、上述したように、第2パッド厚み測定装置60で研磨面1aの高さを測定した場合、制御装置50は、研磨面1aの高さの測定値を受け取ることができる。
【0071】
なお、図6を参照して説明した各ステップは、図7の研磨装置においても同様に実行することが可能である。特に、図6のステップS101は、第2パッド厚み測定装置を用いて実行することができる。
【0072】
ここで、光学センサヘッド35がウェハWの下方を移動しつつ、膜厚測定を実行しているとき、光学センサヘッド35の上方における研磨パッド1は、研磨ヘッド10からの荷重によって一時的に圧縮されている。この結果、光学センサヘッド35はウェハWの表面に一時的に近づいている。このような光学センサヘッド35の近くにおける押付荷重の影響を含めた研磨パッド1の厚みを測定するために、第2パッド厚み測定装置60は、光学センサヘッド35と同時にウェハWによって覆われる位置に配置されてもよい。
【0073】
本実施形態によれば、研磨パッド1の厚みの変動に伴って測定点が初期位置から移動したとしても、膜厚測定値に対応付けられる測定座標が正確な位置を示すようにすることができる。言い換えると、膜厚測定値に対応付けられる位置座標の精度を向上させることができる。特に、膜厚測定のための光をウェハWの表面に対して斜めに入射させる場合、研磨パッド1の厚みの変動によってウェハWの面内方向に測定点がずれる。本実施形態は、研磨パッド1の厚みを測定し、研磨パッド1の厚みと測定点の移動量との関係(第1相関データ)に基づいて、測定点の移動量(測定点がずれた距離)を決定する。このようにして決定された測定点の移動量に基づいて測定座標を補正することで、研磨パッド1の厚みが変動しても膜厚測定値に対応付けられる測定座標は、正確な位置を示すことができる。
【0074】
本実施形態によれば、投光用光ファイバー32をウェハWの表面に対して傾けた状態で光を照射させることで、得られるスペクトルに含まれるウェハWの内部に関する情報を抑えて、ウェハWの最上層側の膜に関する情報を強調することができる。
【0075】
本実施形態によれば、研磨パッド1の厚みの変動に伴って測定点が移動しても、測定点からの反射光を受光用光ファイバー33で受光することができる。具体的には、投光用光ファイバー32と受光用光ファイバー33の一方の光ファイバーの径を他方の光ファイバーの径に対して大きくすることで、測定点の移動による光の経路の変動に対応することができる。
【0076】
(第2実施形態)
上述した第1実施形態では、測定点の移動量を決定するために研磨パッド1の厚みを測定していた。本実施形態では、研磨パッド1の厚みを測定せずに測定点の移動量を決定する。特に説明しない本実施形態の構成及び動作は、図1から図7を参照して説明した第1実施形態と同様であるので、重複する説明を省略する。なお、本実施形態は、図1に示す研磨装置でも図7に示す研磨装置でも実行することができる。
【0077】
第1実施形態で説明したように、研磨パッド1の厚みが減少すると、光学センサヘッド35とウェハWの表面との間の光の経路が短くなる。具体的には、投光用光ファイバー32から測定点までの光の経路が短くなる(図3参照)。さらに、測定点から受光用光ファイバー33までの光の経路も短くなる。結果として、研磨パッド1の厚みの変動に従って、受光用光ファイバー33で受光される光の量、すなわち受光量も変動する。
【0078】
そこで、本実施形態では、制御装置50が、研磨パッド1の厚みと受光量との関係に基づいて、受光量から研磨パッド1の厚みを決定する。さらに、制御装置50が、第1実施形態で説明した第1相関データに基づいて研磨パッド1の厚みから測定点の移動量を求め、膜厚測定値に対応付けられる測定座標を補正する。
【0079】
本実施形態では、制御装置50は、受光用光ファイバー(受光部)50で受光された光の量、すなわち受光量を測定(決定)する。例えば、制御装置50は、分光器37から得られたスペクトルに基づいて受光量を測定することもできる。
【0080】
図8は、本実施形態における第2相関データを示す図である。第2相関データは、研磨パッド1の厚みと受光量との関係を示す。例えば、第2相関データは、制御装置50の記憶装置50aに格納されている。第2相関データは、実験により予め求められている。
【0081】
制御装置50の演算装置50bは、プログラムに含まれる指令に従って演算を実行することで、第2相関データに基づいて、受光量の測定値から研磨パッド1の厚みを決定する。その後は第1実施形態と同様である。すなわち、制御装置50の演算装置50bは、第1相関データに基づいて、研磨パッド1の厚みから測定点の移動量を決定し、測定点の移動量に基づいて、測定座標を補正する。
図8に示すように、研磨パッド1の厚みと受光量との関係は正規分布の関係にある。
【0082】
なお、図8に示すように、研磨パッド1の厚みに対応する受光量の分布は勾配を示すことがある。この場合、特定の受光量に対して、研磨パッド1の厚みが一義的に定まらないことがある。例えば、図8の点P1及び点P2は、同じ受光量R1を示すが、対応づけられた研磨パッド1の厚みはそれぞれT1とT2であり、異なる厚みを示す。そこで、制御装置12は、現在測定された受光量と、前回測定された受光量を比較し、その大小関係に基づいて研磨パッド1の厚みを決定する。この場合、制御装置12の記憶装置12aは、前回測定した受光量を記憶している。点A1の受光量は、前回測定された受光量よりも低いため、研磨パッド1の厚みはT1に決定される。点A2の受光量は、前回測定された受光量よりも高いため、研磨パッド1の厚みはT2に決定される。
【0083】
図9は、本実施形態における研磨装置の動作を示すフローチャートである。ステップS201では、制御装置50が、受光用光ファイバー33における受光量を測定する。次に、ステップS202では、制御装置50が、受光量の測定値に対応する研磨パッド1の厚みを第2相関データから決定する。次に、ステップS203では、制御装置50が、決定された研磨パッド1の厚みに対応する測定点の移動量を第1相関データから決定する。次に、ステップS204では、光学式膜厚測定装置30が膜厚測定を実行し、膜厚測定値に測定座標が対応付けられる。次に、ステップS205では、制御装置50が、膜厚測定値に対応付けられた測定座標をステップS203で決定された測定点の移動量で補正する。
【0084】
なお、図9では、ステップS201からステップS203までがステップS204の前に実行されているが、これらのステップは、ステップS204と同時進行で行われてもよい。なお、ステップS201からステップS203までは、ステップS204の後に行われてもよい。ステップS201およびステップS204は、光学センサヘッド35がウェハWの下方に位置するときに実行されればよい。言い換えると、光学センサヘッド35(投光用光ファイバー32及び受光用光ファイバー33)の上方がウェハWによって覆われていれば、受光量の測定を実行することができる。例えば、ウェハWの研磨中、光学センサヘッド35がウェハWの下方を移動しているときに受光量を測定してもよい。また、ウェハWの研磨が停止されているときに、ウェハWの下方に光学センサヘッド35を配置して受光量を測定してもよい。
【0085】
本実施形態によれば、研磨装置が研磨パッド1の厚みを測定する構成を用いなくても、受光量の測定によって研磨パッド1の厚みを第2相関データに基づいて決定することができる。さらに、第1相関データを用いて研磨パッド1の厚みから測定点の移動量を決定することができる。結果として、膜厚測定値に対応付けられる測定座標が正確な位置を示すようにすることもできる。
【0086】
(第3実施形態)
上述した第2実施形態では、第2相関データに基づいて、受光量の測定値から研磨パッド1の厚みが決定され、更に、第1相関データに基づいて、研磨パッド1の厚みから測定点の移動量が決定される。このような第1相関データと第2相関データの関係に基づくと、受光量と測定点の移動量の間にも関係が成り立つ。したがって、本実施形態では、受光量に基づいて測定点の移動量を決定する。特に説明しない本実施形態の構成及び動作は、図1から図9を参照して説明した第1実施形態および第2実施形態と同様であるので、重複する説明を省略する。なお、本実施形態は、図1に示す研磨装置でも図7に示す研磨装置でも実行することができる。
【0087】
本実施形態では、受光用光ファイバー33における受光量と測定点の移動量との関係を示す第3相関データを用いる。例えば、第3相関データは、制御装置50の記憶装置50aに格納されている。第3相関データは、実験により予め求められている。制御装置50の演算装置50bは、プログラムに含まれる指令に従って演算を実行することで、第3相関データに基づいて、受光量の測定値から測定点の移動量を決定する。その後は第1実施形態および第2実施形態と同様である。すなわち、制御装置50の演算装置50bは、決定された測定点の移動量に基づいて、測定座標を補正する。
【0088】
図10は、本実施形態における研磨装置の動作を示すフローチャートである。ステップS301では、制御装置50が、受光用光ファイバー33における受光量を測定する。次に、ステップS302では、制御装置50が、受光量の測定値に対応する測定値の移動量を第3相関データから決定する。次に、ステップS303では、光学式膜厚測定装置30が膜厚測定を実行し、膜厚測定値に測定座標が対応付けられる。次に、ステップS304では、制御装置50が、膜厚測定値に対応付けられた測定座標をステップS303で決定された測定点の移動量で補正する。
【0089】
なお、図10では、ステップS301及びステップS302がステップS303の前に実行されているが、これらのステップは、ステップS303と同時進行で行われてもよい。なお、ステップS301及びステップS302は、ステップS303の後に行われてもよい。
【0090】
本実施形態によれば、研磨装置が研磨パッド1の厚みを測定する構成を用いなくても、受光量の測定値と第3相関データに基づいて、測定点の移動量を直接的に決定することができる。結果として、膜厚測定値に対応付けられる測定座標が正確な位置を示すようにすることもできる。
【0091】
なお、以上の各実施形態では、研磨パッド1の厚みが減少することを例に説明したが、研磨パッド1の厚みは一時的に増加することもある。例えば、研磨パッド1は研磨液によって膨潤すると、一時的にその厚みが増加する。ただし、研磨パッド1の厚みが増加した場合においても上述した各相関、すなわち第1相関データ、第2相関データ、及び、第3相関データにおいて規定される関係が成り立つ。したがって、各実施形態は、研磨パッド1の厚みが増加する場合にも適用することができる。
【0092】
上述した各実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記各実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0093】
1 研磨パッド
1a 研磨面
3 研磨テーブル
10 研磨ヘッド
20 ドレッシングユニット
21 ドレッサ
29 第1パッド厚み測定装置
30 光学式膜厚測定装置
32 投光部(投光用光ファイバー)
33 受光部(受光用光ファイバー)
35 光学センサヘッド
50 制御装置
50a 記憶装置
50b 演算装置
60 第2パッド厚み測定装置
図1
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図10