(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094259
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】レジスト用重合体、レジスト用単量体、当該単量体単位を有する重合体、当該重合体を含むレジスト組成物および当該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
C08F 290/14 20060101AFI20240702BHJP
C08G 77/20 20060101ALI20240702BHJP
G03F 7/039 20060101ALI20240702BHJP
G03F 7/075 20060101ALI20240702BHJP
C08F 212/14 20060101ALI20240702BHJP
C08F 220/10 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
C08F290/14
C08G77/20
G03F7/039 601
G03F7/075 511
C08F212/14
C08F220/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201775
(22)【出願日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2022209896
(32)【優先日】2022-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 昌
(72)【発明者】
【氏名】大野 芙美
(72)【発明者】
【氏名】村田 貴朗
【テーマコード(参考)】
2H225
4J100
4J127
4J246
【Fターム(参考)】
2H225AH17
2H225AJ13
2H225AJ48
2H225AJ53
2H225AJ54
2H225AN39P
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2H225CC15
4J100AB07Q
4J100AB07R
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4J246GC12
4J246GC23
4J246GD08
4J246HA15
(57)【要約】
【課題】現像液溶解性が良好な、かご構造を有するシルセスキオキサンを含む重合性単量体を提供する。
【解決手段】酸解離性基を含むモノマー由来の第1構成単位、フェノール性水酸基を含むモノマー由来の第2構成単位、および、下記式1で表される、かご構造を有するシルセスキオキサンを含むモノマー由来の第3構成単位、を含有し、前記第3構成単位のモル含有率が2mol%以上30mol%以下であることを特徴とするレジスト用重合体。
(RmSiO1.5)n ・・・(式1)
式1において、nは3~30の整数であり、Rmは、1つのRa1とn-1のRa2とを含み、Ra1は下記式2で表される有機基であり、
―(CH2)mRb ・・・(式2)
式2において、Rbはラジカル重合性官能基であり、mは2~10の整数であり、Ra2は分岐構造を有する、炭素数3~30の有機基である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸解離性基を含むモノマー由来の第1構成単位、
フェノール性水酸基を含むモノマー由来の第2構成単位、および、
下記式1で表される、かご構造を有するシルセスキオキサンを含むモノマー由来の第3構成単位、を含有し、
前記第3構成単位のモル含有率が2mol%以上30mol%以下であることを特徴とするレジスト用重合体。
(RmSiO1.5)n ・・・(式1)
式1において、nは3~30の整数であり、Rmは、1つのRa1とn-1のRa2とを含み、Ra1は、下記式2で表される有機基であり、Ra2は、分岐構造を有する、炭素数3~30の有機基である。
―(CH2)mRb ・・・(式2)
式2において、Rbは、ラジカル重合性官能基であり、mは2~10の整数である。
【請求項2】
前記Ra
2が下記式3で表される有機基を含む、請求項1に記載のレジスト用重合体。
【化1】
式3において、R
1は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、置換基としてアルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基のいずれかである。
【請求項3】
前記Ra2が、分岐構造を有する、炭素数3~10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基のいずれかを含むことを特徴とする、請求項1に記載のレジスト用重合体。
【請求項4】
前記第3構成単位のモル含有量を1としたとき、前記第2構成単位のモル含有量が0.5以上2.5以下である、請求項1に記載のレジスト用重合体。
【請求項5】
前記第3構成単位のモル含有率が5mol%以上20mol%以下である、請求項1に記載のレジスト用重合体。
【請求項6】
前記第3構成単位のモル含有率が10mol%以上15mol%以下である、請求項1に記載のレジスト用重合体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の重合体を含むレジスト組成物。
【請求項8】
請求項7記載のレジスト組成物を基板上に堆積し、高エネルギー線を照射して現像することでパターンを形成するパターン形成方法。
【請求項9】
請求項8に記載のパターン形成方法により得られるパターンを有する基板。
【請求項10】
下記式1で表される、かご構造を有するシルセスキオキサンからなるレジスト用重合性単量体。
(RmSiO
1.5)
n ・・・(式1)
式1において、nは3~30の整数であり、Rmは、1つのRa
1とn-1のRa
2とを含み、Ra
1は、下記式2で表される有機基であり、Ra
2は、分岐構造を有する、炭素数3~30の有機基であり、下記式3で表される構造を有する。
―(CH
2)
mRb ・・・(式2)
式2において、Rbは、ラジカル重合性官能基であり、mは2~10の整数である。
【化2】
式3において、R
1はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基のいずれかである。
【請求項11】
請求項10に記載のレジスト用重合性単量体単位を有する重合体。
【請求項12】
酸解離性基を含む単量体単位をさらに有する請求項11に記載の重合体。
【請求項13】
フェノール性水酸基を含む単量体単位をさらに有する請求項11に記載の重合体。
【請求項14】
ラクトン骨格を含む単量体単位をさらに有する請求項11に記載の重合体。
【請求項15】
請求項11~14のいずれか1項に記載の重合体を含むレジスト組成物。
【請求項16】
請求項15に記載のレジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かご構造を有するシルセスキオキサンを含むレジスト用重合体、当該シルセスキオキサンからなるレジスト用単量体、当該単量体単位を有する重合体、当該重合体を含むレジスト組成物および当該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
かご構造を有するシルセスキオキサンは、その硬直なポリシロキサン骨格とサブナノレベルの分子サイズから、高い透明性、耐熱性、表面硬度・耐擦傷性、機械強度等を有しており、ハードコート材料、耐熱材料、レジスト材料等の用途が検討されている。
例えば、下記特許文献1には、かご構造を有するシルセスキオキサンを含む、リソグラフィー用のレジスト組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/056928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のレジスト組成物では、シルセスキオキサンの導入量が十分ではなく、ドライエッチング耐性の向上が十分ではない場合があった。また、炭化水素系側鎖を有するシルセスキオキサンは溶媒や現像液への溶解性が充分でなく、レジスト用重合体に含有できるシルセスキオキサンの量に限りがあったり、微細パターンにおいて解像性に課題が残ったりする場合があった。
そこで、本発明はこれらの問題点を解決することを目的とし、現像液溶解性が良好な、かご構造を有するシルセスキオキサンからなるレジスト用重合性単量体、レジスト用重合体、当該重合体を含むレジスト組成物および当該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の態様を有する。
【0006】
[1] 酸解離性基を含むモノマー由来の第1構成単位、フェノール性水酸基を含むモノマー由来の第2構成単位、および、下記式1で表されるかご構造を有するシルセスキオキサンを含むモノマー由来の第3構成単位、を含有し、前記第3構成単位の含有率が2mol%以上30mol%以下であることを特徴とするレジスト用重合体。
(RmSiO1.5)n ・・・(式1)
式1において、nは3~30の整数であり、Rmは、1つのRa1とn-1のRa2とを含み、Ra1は、下記式2で表される有機基であり、Ra2は、分岐構造を有する、炭素数3~30の有機基である。
―(CH2)mRb ・・・(式2)
式2において、Rbは、ラジカル重合性官能基であり、mは2~10の整数である。
【0007】
[2] 前記Ra2が下記式3で表される有機基を含む、[1]に記載のレジスト用重合体。
【0008】
【化1】
式3において、R
1はそれぞれ独立に、水素原子、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、置換基としてアルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基のいずれかである。
【0009】
[3] 前記Ra2が、分岐構造を有する、炭素数3~10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基のいずれかを含むことを特徴とする、[1]又は[2]に記載のレジスト用重合体。
【0010】
[4] 前記第3構成単位のモル含有量を1としたとき、前記第2構成単位のモル含有量が0.5以上2.5以下である、[1]~[3]のいずれかに記載のレジスト用重合体。
【0011】
[5] 前記第3構成単位のモル含有率が5mol%以上20mol%以下である、[1]~[4]のいずれかに記載のレジスト用重合体。
【0012】
[6] 前記第3構成単位のモル含有率が10mol%以上15mol%以下である、[1]~[5]のいずれかに記載のレジスト用重合体。
【0013】
[7] [1]~[6]のいずれかに記載の重合体を含むレジスト組成物。
【0014】
[8] [7]に記載のレジスト組成物を基板上に堆積し、高エネルギー線を照射して現像することでパターンを形成するパターン形成方法。
【0015】
[9] [8]に記載のパターン形成方法により得られるパターンを有する基板。
【0016】
[10] 下記式1で表される、かご構造を有するシルセスキオキサンからなるレジスト用重合性単量体。
(RmSiO1.5)n ・・・(式1)
式1において、nは3~30の整数であり、Rmは、1つのRa1とn-1のRa2とを含み、Ra1は、下記式2で表される有機基であり、Ra2は、分岐構造を有する、炭素数3~30の有機基であり、下記式3で表される構造を有する。
-(CH2)mRb ・・・(式2)
式2において、Rbはラジカル重合性官能基であり、mは2~10の整数である。
【0017】
【化2】
式3において、R
1はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基のいずれかである。
【0018】
[11] [10]に記載のレジスト用重合性単量体単位を有する重合体。
【0019】
[12] 酸解離性基を含む単量体単位をさらに有する[11]に記載の重合体。
【0020】
[13] フェノール性水酸基を含む単量体単位をさらに有する[11]又は[12]に記載の重合体。
【0021】
[14] ラクトン骨格を含む単量体単位をさらに有する[11]~[13]のいずれかに記載の重合体。
【0022】
[15] [11]~[14]のいずれかに記載の重合体を含むレジスト組成物。
【0023】
[16] [15]に記載のレジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様は、炭素数3~30の分岐状の有機基を含む、かご構造であるシルセスキオキサンを、2mol%以上30mol%以下で重合体に含有させることにより、重合体のドライエッチング耐性、重合体の溶解性を好適に向上することができる。
また、本発明の一態様によると、第3構成単位のモル含有量を1としたとき、第2構成単位のモル含有量が0.5以上2.5以下とされる。第2構成単位と第3構成単位とのモル比率をこの範囲とすることで、重合体のドライエッチング耐性、重合体の溶解性を好適に向上させ、重合体の取り扱い性を向上させることができる。
本発明は、上記式3で表される構造を有することにより、容易にかご型シルセスキオキサンを得られる点に加え、エステル基やアミノ基等の極性基に起因する現像液溶解性向上の発現、およびアミノ基を導入することによって露光により生じた酸拡散を適度に抑制することができ、更なる解像性の向上が達成されることを見出して成し得た。
本発明によれば、現像液溶解性が良好であり、パターン解像性に優れる、シルセスキオキサンからなる重合性単量体、当該単量体単位を有する重合体、当該重合体を含むレジスト組成物および当該レジスト組成物を用いたパターン形成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施例において、処理時間(min)と残膜率(%)との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を一実施形態に基づいて説明する。但し、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0027】
[シルセスキオキサンからなるレジスト用重合性単量体]
本発明の一実施形態のかご構造を有するシルセスキオキサンからなるレジスト用重合性単量体(以下、本重合性単量体ともいう。)は、下記式1で表されるものである。
【0028】
(RmSiO1.5)n ・・・(式1)
なお、式1においてnは3~30の整数であり、Rmは、1つのRa1とn-1のRa2とを含み、Ra1は下記式2で表される有機基である。
【0029】
―(CH2)mRb ・・・(式2)
なお、式2において、Rbはラジカル重合性官能基であり、mは2~10の整数である。
【0030】
このラジカル重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、α-メチルスチリル基、ビニル基等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリロイル基、スチリル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。
なお、本発明において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を意味する。また、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
【0031】
上記式1中、nは、微細なパターンを形成するために、分子サイズが小さく、分子鎖の絡まり合いが弱いのが好ましく、その観点から、nは30以下が好ましく、20以下がより好ましい。また、構造の安定性の観点から、nは3以上が好ましく、6以上がより好ましく、8であることがさらに好ましい。
【0032】
本重合性単量体のかご構造を有するシルセスキオキサンは、(SiO1.5)nで表現される頂点の数がn個のかご構造である。係るかご構造は、完全かご型シルセスキオキサン構造であっても、不完全かご型シルセスキオキサン構造であってもよい。例えば完全かご型シルセスキオキサン構造としては以下の化合物が挙げられる。
【0033】
【0034】
ここで、各頂点は置換基をそれぞれ1個含有する珪素原子であり、各辺はSi-O-Si結合を表す。
【0035】
本重合性単量体では、剛直な化学構造を有する有機ケイ素化合物を含むことにより、例えば、ドライエッチング耐性に優れたものとなる。
【0036】
式1中のRa2は、かご構造の頂点に対応するSiに結合しており、かご頂点から見た時に、分岐した構造の分子量が同じであることが好ましい。また、Ra2は、Si-(CH2)a-((CH2)b)2のように表されるような、直鎖状アルキル鎖でSiと結合し、他方の直鎖状アルキル鎖の末端が分岐して、分岐した構造の分子量が同じであることが好ましい。Ra2は炭素数が3~30の有機基であることが好ましい。Ra2に炭素数3以上の有機基であり、分岐構造を持ったバルキーな構造をかご型シルセスキオキサンに導入することで、直鎖状の構造と比較して容易にかご型シルセスキオキサンを得ることが可能になる。Ra2の炭素数を30以下とすることで、シルセスキオキサンの各種溶媒に対する溶解度が極端に高くなり、後述する重合体の精製が難しくなることを抑制することができる。Ra2としては、分岐構造を有する、炭素数3~10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基のいずれかを含むことが好ましく、例えば、イソブチル、3-メチルペンタン、3,4,5トリメチルペンタン、イソオクチルなどが挙げられる。
また、Ra2はアミノ基やチオール基由来の窒素原子や硫黄原子を含むものであってもよく、炭素原子が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されたものであってもよい。例えばRa2は下記の式3で表されるような構造であってもよい。
【0037】
【化4】
式3において、R
1はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基のいずれかである。
【0038】
本重合性単量体の質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによるポリスチレン換算)は、微細なパターンを形成できる点で1.0~2.0が好ましく、1.0~1.8がより好ましい。
質量平均分子量(Mw)は、特に限定するものではないが、800~10000が好ましく、1500~6000がより好ましい。
数平均分子量(Mn)は、特に限定するものではないが、800~10000が好ましく、1500~6000がより好ましい。
【0039】
上記式3中、R1はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基のいずれかである。この中でもアルキル基が好ましい。
【0040】
アルキル基は炭素数1~10が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。なお、アルキル基中の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
【0041】
シクロアルキル基は単環型でも、多環型でもよい。
単環型としては、炭素数3~10のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロデシル基等が挙げられる。
多環型としては、炭素数6~20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α-ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アンドロスタニル基等が挙げられる。
【0042】
なお、シクロアルキル基中の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
【0043】
アリール基は、炭素数6~20のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基等が挙げられる。
【0044】
アラルキル基は、炭素数7~12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0045】
本重合性単量体おいて、Ra1とRa2との導入割合は、シルセスキオキサンを含む化合物およびその重合体の分子量分布を小さくできることから、通常モル比4:1~14:1であり、好ましくは5:1~12:1であり、特に好ましくは6:1~10:1であり、最も好ましくは7:1である。
【0046】
[重合体]
本発明の一実施形態の重合体(以下、本重合体ともいう。)は、本重合性単量体を構成単位(第3構成単位ともいう。)として有するものである。
本重合体は、本重合性単量体を重合させた重合体でもよいが、2種以上の構成単位を有する共重合体であることが好ましい。つまり、本重合体は、本重合性単量体として示したシルセスキオキサン骨格を含む構成単位以外の他の構成単位の1種以上を含むことが好ましく、他の構成単位の1~5種を含むことがより好ましい。
他の構成単位としては、化学増幅型レジスト組成物において公知の構成単位を用いることができる。例えば、酸解離性基を含む構成単位、フェノール性水酸基を含む構成単位、ラクトン骨格を含む構成単位等が挙げられる。
【0047】
本重合体中の、シルセスキオキサン骨格を含む構成単位は1種でもよく2種以上でもよい。シルセスキオキサン骨格を含む構成単位以外の構成単位とのバランスの点から、シルセスキオキサン骨格を含む構成単位は3種以下が好ましい。
本重合体の全構成単位に対するシルセスキオキサン骨格を含む構成単位のモル含有率は2mol%以上30mol%以下が好ましく、8mol%以上16mol%以下がより好ましく、10mol%以上15mol%以下であることがさらに好ましい。
本重合体の質量平均分子量は、1000~100000が好ましく、3000~50000がより好ましく、5000~30000がさらに好ましい。
【0048】
<酸解離性基を含む構成単位>
本重合体は、上記したとおり、酸解離性基を含むモノマー由来の構成単位(第1構成単位ともいう。)の1種以上を有することが好ましい。酸解離性基とは、酸の作用によってアルカリ溶解性が向上する基を意味する。
酸解離性基を含む単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。酸解離性基を含む単量体の具体例としては、t-ブチル(メタ)アクリレート、t-アミル(メタ)アクリレート、1,1-ジエチルプロピル(メタ)アクリレート、1-メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-イソプロピルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-t-ブチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-イソプロピル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0049】
酸解離性基を含む単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本重合体の全構成単位に対する酸解離性基を含む構成単位の含有率は5mol%以上80mol%以下が好ましく、10mol%以上70mol%以下がより好ましく、20mol%以上65mol%以下であることがさらに好ましい。
【0050】
<フェノール性水酸基を含む構成単位>
本重合体は、フェノール性水酸基を含むモノマー由来の構成単位(第2の構成単位ともいう。)の1種以上を有することが好ましい。
フェノール性水酸基を含む単量体としては、スチレン化合物または(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。フェノール性水酸基を含む単量体の具体例としては、4-ヒドロキシスチレン、2-ヒドロキシスチレン、3-ヒドロキシスチレン、2,3-ジヒドロキシスチレン、3,4-ジヒドロキシスチレン、3,5-ジヒドロキシスチレン、4-イソプロペニルフェノール、2-ヒドロキシ-6-ビニルナフタレン、4-ヒドロキシ-6-ビニルナフタレン、5-ヒドロキシ-6-ビニルナフタレン、4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0051】
フェノール性水酸基を含む単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本重合体の全構成単位に対するフェノール性水酸基を含む構成単位の含有率は5mol%以上90mol%以下が好ましく、10mol%以上80mol%以下がより好ましく、20mol%以上70mol%以下であることがさらに好ましい。また、シルセスキオキサン骨格を含む構成単位は、バルキーな構造を有するため重合体に組み込まれにくい場合があるが、フェノール性水酸基を有する構成単位を重合体に加えると、シルセスキオキサン骨格を含む構成単位が重合体に組み込まれやすくなる。シルセスキオキサン骨格を含む構成単位の含有量を1としたとき、フェノール性水酸基を含む単量体の含有量は0.5以上2.5以下であることが好ましい。フェノール性水酸基を含む単量体の含有量の含有量を0.5以上とすることで、シルセスキオキサン骨格を含む構成単位の含有量を多くすることができ、重合体のドライエッチング耐性を向上させることができる。フェノール性水酸基を含む単量体の含有量を2.5以下とすることで、シルセスキオキサン骨格を有する構成単位の含有量が多くなり、重合体とシルセスキオキサンとの溶媒に対する溶解度が近くなってしまい、重合後の重合体と未反応のシルセスキオキサンとを分離・精製することが難しくなることを抑制できる。
【0052】
<ラクトン骨格を含む構成単位>
本重合体は、ラクトン骨格を含むモノマーの構成単位(第4構成単位ともいう。)を1種以上有してもよい。ラクトン骨格とは、-O-C(=O)-を有する環を含む単環または多環の原子団を意味する。
前記-O-C(=O)-を有する環は、-C(=O)-O-C(=O)-を有する環でもよい。
ラクトン骨格は、4~20員環が好ましく、5~10員環がより好ましい。
ラクトン骨格は、ラクトン環のみの単環であってもよく、ラクトン環に芳香族または非芳香族の、炭化水素環または複素環が縮合していてもよい。
ラクトン骨格を含む単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。
特に、基板等への密着性に優れる点から、置換または無置換のδ-バレロラクトン環を有する(メタ)アクリル酸エステル、および置換または無置換のγ-ブチロラクトン環を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、無置換のγ-ブチロラクトン環を有する単量体が特に好ましい。
ラクトン骨格を有する単量体の具体例としては、β-(メタ)アクリロイルオキシ-β-メチル-δ-バレロラクトン、4,4-ジメチル-2-メチレン-γ-ブチロラクトン、β-(メタ)アクリロイルオキシ-γ-ブチロラクトン、β-(メタ)アクリロイルオキシ-β-メチル-γ-ブチロラクトン、α-(メタ)アクリロイルオキシ-γ-ブチロラクトン、2-(1-(メタ)アクリロイルオキシ)エチル-4-ブタノリド、(メタ)アクリル酸パントイルラクトン、5-(メタ)アクリロイルオキシ-2,6-ノルボルナンカルボラクトン、8-メタクリロキシ-4-オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-3-オン、9-メタクリロキシ-4-オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-3-オン等が挙げられる。
【0053】
ラクトン骨格を含む単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本重合体がラクトン骨格を含む単量体単位を有する場合、その含有量は、全構成単位に対して1mol%以上70mol%以下が好ましく、5mol%以上60mol%以下がより好ましく、10mol%以上50mol%以下であることがさらに好ましい。
【0054】
[レジスト組成物]
本発明の一実施形態のレジスト組成物(以下、本レジスト組成物ともいう。)は、本重合体と、レジスト溶媒と、高エネルギー線(活性光線、放射線等)の照射により酸を発生する化合物とを含むことが好ましい。本重合体は、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。アルカリ現像用のレジスト組成物であっても、有機溶媒現像用のレジスト組成物であってもよい。
レジスト組成物(溶剤を除く)に対して、本重合体の含有量は、特に限定されないが、70~99.9質量%が好ましい。
【0055】
レジスト溶媒としては、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)などが挙げられる。レジスト溶媒は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト溶媒の使用量は、形成するレジスト膜の厚みにもよるが、本重合体100質量部に対して100~10000質量部の範囲が好ましい。
【0056】
高エネルギー線の照射により酸を発生する化合物は、化学増幅型レジスト組成物の光酸発生剤として使用可能なものの中から任意に選択できる。光酸発生剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、キノンジアジド化合物、ジアゾメタン化合物等が挙げられる。
光酸発生剤の使用量は、本重合体100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましい。
【0057】
本レジスト組成物は、必要に応じて、含窒素化合物、酸化合物(有機カルボン酸、リンのオキソ酸またはその誘導体)、界面活性剤、その他のクエンチャー、増感剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。当該添加剤は、当該分野で公知のものを使用できる。
【0058】
[本重合性単量体の製造方法]
次に、本重合性単量体の製造方法の一例を示す。
本重合性単量体のかご構造を有するシルセスキオキサン化合物は、Ra1、Ra2及び/又はRbを含むRmを有するシラン化合物を公知の方法により加水分解・共縮合することにより得られる。なお、本発明において、加水分解・共縮合とは、2種類以上のシラン化合物と所定量の水および触媒を混合し、アルコキシシリル基の加水分解と、これに続くシラノール基の縮合反応により、所望のシルセスキオキサン化合物を製造する一連の反応のことである。
【0059】
Rmを有するシラン化合物の加水分解・共縮合の触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸およびフッ化水素酸などの無機酸、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、アンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドおよびベンジルトリエチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩などが好適である。
これらの中でも、フッ化水素酸、アンモニウムフルオリドは、かご構造を特異的に生成するため、特に好ましい。
【0060】
触媒量は、Rmを有するシラン化合物の加水分解性アルコキシ基モル数の理論量合計の0.001~1倍が好ましく、0.005~0.5倍がより好ましい。0.001倍以上では十分な触媒活性を得ることができる。また、1倍以下ならば、ゲル化を抑制することができる。
【0061】
Rmを有するシラン化合物の加水分解に使用する水量は、加水分解性アルコキシ基モル数の理論量合計の0.1~10倍が好ましく、1~3倍がより好ましい。
加水分解・共縮合の反応温度は、0~100℃が好ましく、20~50℃がより好ましい。0℃以上ならば十分に反応が進行する。100℃以下ならば副反応の誘発やゲル化の可能性が少ない。
【0062】
加水分解・共縮合時には、有機溶媒を使用することが好ましい。有機溶媒としては、Rmを有するシラン化合物を溶解できるものであれば特に限定はないが、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1-メトキシ-2-プロパノール、アセトニトリルなどが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独でも、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0063】
Ra2を有するシラン化合物は、下記式3で表される構造を有するものであり、例えば、アミノ基を含有するシラン化合物と単官能アクリレート化合物とのマイケル付加反応により製造することができる。
【0064】
【化5】
式3において、R
1はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基のいずれかである。
【0065】
アミノ基を含有するシラン化合物としては、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられ、特に、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシランが好適である。
【0066】
単官能アクリレート化合物としては、式3におけるR1にアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基のいずれかを有するアクリレート化合物であり、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、s-ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、t-ブチルアクリレート、1-メチルシクロペンチルアクリレート、1-メチルシクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、フェニルアクリレート、4-メチルフェニルアクリレート、ジメチルフェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェネチルアクリレートなどが挙げられる。かご構造を有するシルセスキオキサン化合物としたときの現像液溶解性および入手容易性の観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、s-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレートが好適である。
【0067】
付加反応は無溶媒で行ってもよいし、溶媒を用いることもできる。溶媒の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、1-プロピルアルコール、2-プロピルアルコール、1-ブチルアルコール、2-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、ベンジルアルコール、2-メトキシエチルアルコール、2-エトキシエチルアルコール、2-(メトキシメトキシ)エタノール、2-ブトキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、1,2-ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、グリセリンエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3-メトキシブチルアセテート、2-エチルブチルアセテート、2-エチルヘキシルアセテート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ-ブチロラクトン、2-メトキシエチルアセテート、2-エトキシエチルアセテート、2-ブトキシエチルアセテート、2-フェノキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
これらの溶媒は単独で、又は2種以上を併用して使用することができる。また、その使用量は適宜、決めればよい。
【0068】
アミノ基を含有するシラン化合物と単官能アクリレート化合物との反応モル比は、未反応物を少なくできることから、アミノ基を含有するシラン化合物1モルに対して単官能アクリレート化合物2~10モルが好ましく、2~5モルがより好ましい。
付加反応の温度は、20~100℃が好ましく、30~80℃がより好ましい。20℃以上ならば、付加反応を十分進行させることができる。また、100℃以下ならば、アクリレート化合物の重合を抑制することができる。
【0069】
付加反応の温度は、20~100℃が好ましく、30~80℃がより好ましい。20℃以上ならば、付加反応を十分進行させることができる。また、100℃以下ならば、アクリレート化合物の重合を抑制することができる。
付加反応の時間は、1~60時間が好ましく、2~48時間がより好ましい。1時間以上ならば、付加反応を十分進行させることができる。60時間以内ならば、アクリレート化合物の重合を抑制することができる。
【0070】
付加反応は、触媒を用いることができる。
触媒としては、マイケル付加反応に使用されるアミン類、アルカリ金属アルコキシドなどの公知のものを用いることができる。
【0071】
アクリレート化合物の重合を抑制するため、反応系内に重合防止剤を添加してもよい。
重合防止剤の種類は、特に限定されない。重合防止剤は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、4-tert-ブチルカテコール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、ペンタエリスリトールテトラキス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメイト)、2-sec-ブチル-4,6-ジニトロフェノール等のフェノール系化合物;N,N-ジイソプロピルパラフェニレンジアミン、N,N-ジ-2-ナフチルパラフェニレンジアミン、N-フェニレン-N-(1,3-ジメチルブチル)パラフェニレンジアミン、N,N’-ビス(1,4-ジメチルフェニル)-パラフェニレンジアミン、N-(1,4-ジメチルフェニル)-N’-フェニル-パラフェニレンジアミン等のアミン系化合物;4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケイト等のN-オキシル系化合物;銅、塩化銅(II)、塩化鉄(III)等の金属化合物等が挙げられる。
【0072】
重合防止剤の使用量は適宜設定できる。例えば、アクリレート化合物に対して20ppm以上が好ましく、充分な重合防止効果を得るには50ppm以上がより好ましい。一方、コストの観点から重合防止剤の使用量は、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましい。
本付加反応終了後の精製方法については、生成物の物性、原料、溶剤の有無等を考慮して、分液、水洗、蒸留、晶析、濾過等の公知の精製方法を、適宜組み合わせることができる。
【0073】
Rbを有するシラン化合物としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリエトキシ(7-オクテン-1-イル)シラン、トリメトキシ(7-オクテン-1-イル)シラン等が挙げられる。これらの中でも3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
また、かご構造を有するシルセスキオキサンからなる本レジスト用重合性単量体は、例えば以下の方法によっても得られる。
[(イソブチルSiO1.5)4(イソブチル(OH)SiO1.0)3]Σ7をTHFに溶解し、次いでメタクリルプロピルトリメトキシシランを加え、フォスファゼン超強塩基を後添加し、混合物を室温で数日撹拌する。得られた溶液を酢酸でクエンチし、メタノールを添加し撹拌後にろ過する方法により、Ra1がメタクリルであり、Ra2がイソブチルであるシルセスキオキサンを得ることができる。
【0074】
[本重合体の製造方法]
本重合体は、例えば、本重合性単量体を単体又は本重合性単量体と他の構成単位を有するモノマーとを適宜割合で混合し、重合溶媒の存在下で、重合開始剤を使用し、ラジカル重合させる溶液重合法で製造することができる。
【0075】
[本重合体の用途]
本重合体は、本レジスト組成物に含ませることができ、例えば、半導体基板のレジストパターンを形成することができる。
【0076】
[レジスト組成物]
本発明のレジスト組成物は、本重合体と、レジスト溶媒と、高エネルギー線の照射により酸を発生する化合物とを含むことが好ましい。本重合体は1種でもよく、構成単位が異なる2種以上を併用してもよい。アルカリ現像用のレジスト組成物であっても、有機溶媒現像用のレジスト組成物であってもよい。
レジスト組成物(溶剤を除く)に対して、本重合体の含有量は、特に限定されないが、70~99.9質量%が好ましい。
レジスト溶媒としては、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)などが挙げられる。レジスト溶媒は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト溶媒の使用量は、形成するレジスト膜の厚みにもよるが、本重合体100質量部に対して100~10,000質量部の範囲が好ましい。
【0077】
高エネルギー線の照射により酸を発生する化合物は、化学増幅型レジスト組成物の光酸発生剤として使用可能なものの中から任意に選択できる。光酸発生剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、キノンジアジド化合物、ジアゾメタン化合物等が挙げられる。
光酸発生剤の使用量は、本重合体100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましい。
レジスト組成物は、必要に応じて、含窒素化合物、酸化合物(有機カルボン酸、リンのオキソ酸またはその誘導体)、界面活性剤、その他のクエンチャー、増感剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。該添加剤は、当該分野で公知のものを使用できる。
【0078】
[基板の製造方法]
以下、パターンが形成された基板の製造方法の一例について説明する。
まず、シリコンウエハ等の被加工基板の表面に、本レジスト組成物をスピンコート等により塗布する。そして、本レジスト組成物が塗布された被加工基板を、ベーキング処理(プリベーク)等で乾燥することにより、基板上にレジスト膜を形成する。
ついで、レジスト膜に、フォトマスクを介して、250nm以下の波長の光を照射して潜像を形成する(露光)。照射光としては、高エネルギー線、例えば、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUVエキシマレーザーまたは電子線が好ましく、EUVエキシマレーザーまたは電子線が特に好ましい。
露光後、適宜熱処理(露光後ベーク、PEB)し、レジスト膜に現像液を接触させてレジスト膜の一部を溶解する。現像液は適宜選択されるが、アルカリ現像液または有機系現像液を用いることが好ましい。
ポジ型現像プロセスではアルカリ現像液で露光部を溶解して除去し、ネガ型現像プロセスでは有機系現像液で未露光部を溶解して除去する。
【0079】
アルカリ現像液としてはアルカリ性水溶液が用いられる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類;エチルアミン、n-プロピルアミン等の第一アミン類;ジエチルアミン、ジ-n-ブチルアミン等の第二アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩;ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類;等の水溶液が挙げられる。
【0080】
有機系現像液としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができる。
【0081】
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどが挙げられる。
【0082】
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、などが挙げられる。
【0083】
アルコール系溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1-プロピルアルコール、2-プロピルアルコール、1-ブチルアルコール、2-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、ベンジルアルコール、2-メトキシエチルアルコール、2-エトキシエチルアルコール、2-(メトキシメトキシ)エタノール、2-ブトキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。
【0084】
エーテル系溶剤としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0085】
アミド系溶剤としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどが挙げられる。
【0086】
炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどが挙げられる。
【0087】
これらの中で、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の溶剤を含有する現像液であることが好ましい。また、これらの溶剤は単独で、又は2種以上を併用して使用することができる。
【0088】
現像は、公知の方法で行えばよく、現像液が満たされた槽の中に基板を一定時間浸漬する方法、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法、基板表面に現像液を噴霧する方法、一定速度で回転させている基板上に一定速度でノズルを走査しながら現像液を吐出する方法等が挙げられる。
現像後、基板を純水や有機溶剤等で適宜リンス処理する。このようにして被加工基板上にレジストパターンが形成される。
【0089】
レジストパターンが形成された基板は、適宜熱処理(ポストベーク)してレジストを強化し、レジストのない部分を選択的にドライエッチングする。
ドライエッチング後、レジストを剥離剤によって除去することによって、微細パターンが形成された基板が得られる。
【実施例0090】
以下、本発明の一実施例を説明する。本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中「部」、「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
なお、シルセスキオキサン化合物の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算で求めた。
【0091】
<シラン化合物の合成(A1)>
撹拌子、温度計を備えたフラスコに、3-アミノプロピルトリエトキシシラン20.0g(90mmol)、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール0.50gを加えた。氷冷下、メチルアクリレート16.2mL(180mmol)を滴下した後、40℃で2.5時間反応後、メチルアクリレート8.0mL(90mmol)をさらに加えて50℃で47時間反応させた。反応終了後、濃縮、減圧乾燥して下記式4に示すシラン化合物(A1)34.4gを無色液体として収率97%で得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ3.80ppm(q,6H)、3.65ppm(s,3H)、2.76ppm(t,4H)、2.43ppm(m,6H)、1.51ppm(m,2H)、1.21ppm(t,9H)、0.55ppm(t,2H)
【0092】
【0093】
<シルセスキオキサン骨格を含む重合性単量体(SQ1)の合成>
撹拌子、温度計を備えたフラスコに、合成したシラン化合物(A1)16.2g(41mmol)、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン1.7g(5.9mmol)、テトラヒドロフラン77mlを加え溶解させ、3.2%アンモニウムフルオリド水溶液4.9gを滴下した。室温で6時間攪拌した後、濃縮した。酢酸エチル60mLを加え、水50mLで3回洗浄した。得られた有機層を濃縮、減圧乾燥して、下記式5に示すシルセスキオキサン骨格を含む重合性単量体(SQ1)13.3gを無色粘調液体として収率100%で得た。Mn1700、Mw/Mn1.03であり、下記式5中、mは8と推測される。なお、1H-NMRの積分比より、シラン化合物(A1)由来の側鎖(Ra)と3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン由来の側鎖(Rb)はモル比6.96:1.04であった。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ6.07ppm(s,1h)、5.53ppm(s,1h)、4.08ppm(brt,2H)、3.64ppm(s,42H)、2.74ppm(brt,28H)、2.42ppm(brt,42H)、1.92ppm(s,3H)、1.75ppm(m,2H)、1.48ppm(m,14H)、0.69ppm(brt,2H)、0.56ppm(brt,14H)
【0094】
【0095】
<シルセスキオキサン骨格を含む重合性単量体(SQ2)の合成>
[(イソブチルSiO1.5)7(メタクリルプロピルSiO1.5)1]の合成
[(イソブチルSiO1.5)4(イソブチル(OH)SiO1.0)3](688g、0.87モル)をTHFに溶解し、次いでメタクリルプロピルトリメトキシシラン(204g、0.87モル)を加え、溶液は5℃に冷却した。その後、フォスファゼン超強塩基(FW234.32、15.72ミリモル)を添加し、混合物を室温で3日間撹拌した。その後、溶液を酢酸(1.5g)でクエンチし、1lのメタノールを添加して混合物を撹拌・ろ過した。得られた固形物を乾燥し、白色固体として(イソブチルSiO1.5)7(メタクリルプロピルSiO1.5)1を得た。
【0096】
<重合体1の合成>
容量1Lのフラスコに、PGMEAを入れ、フラスコ内の気相を窒素で置換し、窒素雰囲気を保ったままフラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を撹拌しながら湯浴の温度を上げ、フラスコ内の液の温度を80℃に上げた。
その後、4-ヒドロキシスチレン単量体、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、SQ1を組成比が20/60/20モル組成比となるように調整し重合溶媒に溶解した溶液を滴下漏斗より、4時間かけてフラスコ内に滴下し、さらに80℃の温度(重合温度)を3時間保持した後、湯浴の加熱を停止し、重合反応溶液(80℃)を得た。
続いて、湯浴の湯を20℃の水に連続的に置換することにより、フラスコ内の重合反応溶液を冷却して重合反応を停止させた。
得られた保存後溶液を、水/メタノール混合液中に滴下し、重合体(白色の析出物)を沈殿させた。得られた沈殿物を乾燥して、重合体1を得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は約25000であり、分子量分布(Mw/Mn)は約4.9であった。なお、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算で求めた。
【0097】
<重合体2の合成>
4-ヒドロキシスチレン単量体、β-(メタ)アクリロイルオキシ-β-メチル-δ-バレロラクトン、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、SQ1を20/10/60/10モル組成比となるように調整し重合溶媒に溶解した溶液を用いた以外は、重合体1の合成と同様の作業を行い、重合体2を得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は約29000であり、分子量分布(Mw/Mn)は約5.2であった。
【0098】
<重合体3の合成>
4-ヒドロキシスチレン単量体、β-(メタ)アクリロイルオキシ-β-メチル-δ-バレロラクトン、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、を20/10/70モル組成比となるように調整し重合溶媒に溶解した溶液を用いた以外は、重合体1の合成と同様の作業を行い、重合体5を得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は約19200であり、分子量分布(Mw/Mn)は約1.95であった。
【0099】
<実施例1>
得られた重合体1をレジスト溶媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に室温で所定の濃度に溶解させ、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過し、レジスト組成物を調製した。
パターン形成基板としてヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコンウエハを用い、調製したレジスト組成物を、パターン形成基板上にスピンコートし、ホットプレートを用いて90℃60秒間乾燥して、レジスト層厚130nmのレジスト層含有基板を得た。
得られたレジスト層含有基板について、導入ガス:アルゴン、ガス圧力:Ar3.0torr、高周波周波数:13.56MHz、高周波パワー:50Wの条件で30秒、2分間ドライエッチング処理を行い、膜厚を測定し、残膜率を計算した。その結果を
図1に示す(破線参照)。
残膜率=ドライエッチング後の膜厚/ドライエッチング前の膜厚×100(%)
【0100】
<実施例2>
得られた重合体2を用いた以外は、重合体1と同様の処理を行った。その結果を
図1に示す(実線参照)。
【0101】
<比較例1>
得られた重合体3を用いた以外は、実施例1と同様の処理を行った。その結果を
図1に示す(一点鎖線参照)。
【0102】
<比較例2>
アクリル樹脂を用いた以外は、実施例1と同様の処理を行った。その結果を
図1に示す(二点鎖線参照)。
【0103】
図1から、シルセスキオキサン骨格を含む構成単位を含有する実施例1、2の残膜率は、シルセスキオキサン骨格を含む構成単位を含有しない比較例1と比較して残膜率が高く、シルセスキオキサン骨格を含む構成単位含有によりドライエッチング耐性が向上していることが分かった。
また、シルセスキオキサン骨格を含む構成単位のモル組成比が20mol%である実施例1とモル組成比が10mol%の実施例2とで、ドライエッチング耐性に大きな差が無かった。このことから、シルセスキオキサン骨格を含む構成単位を一定量以上含有すれば、十分なドライエッチング耐性が得られることが示唆された。
【0104】
<実施例3:重合体4の合成>
フラスコにPGMEA、ヘプタン混合液を入れ、4-ヒドロキシスチレン単量体、β-(メタ)アクリロイルオキシ-β-メチル-δ-バレロラクトン、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、SQ2を20/10/60/10モル組成比となるように調整し重合溶媒に溶解した溶液を用いた以外は、重合体1の合成と同様の作業を行い、重合体4を得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は約22000であり、分子量分布(Mw/Mn)は約1.8であった。
【0105】
<実施例4:重合体5の合成>
4-ヒドロキシスチレン単量体、β-(メタ)アクリロイルオキシ-β-メチル-δ-バレロラクトン、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、SQ2を20/10/65/5モル組成比となるように調整し重合溶媒に溶解した溶液を用いた以外は、重合体4の合成と同様の作業を行い、重合体4を得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は約22000であり、分子量分布(Mw/Mn)は約1.9であった。
【0106】
<比較例3:重合体6の合成>
β-(メタ)アクリロイルオキシ-β-メチル-δ-バレロラクトン、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、SQ2を10/80/10モル組成比となるように調整し重合溶媒に溶解した溶液を用いた以外は、重合体3の合成と同様の作業を行った。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は約11000であり、分子量分布(Mw/Mn)は約1.8であった。4-ヒドロキシスチレン単量体を含まない構成では、重合体の分子量が十分に大きくならず、また添加したSQ2の大半が残存モノマーとして重合溶媒中に残っており、目的の組成比のSQ2を含有する重合体を合成することができなかった。
【0107】