(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094553
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】配線基板及びその製造方法、半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20240703BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
H01L23/12 F
H05K3/34 501E
H01L23/12 501B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211175
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】内田 健介
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AA07
5E319AB06
5E319AC15
5E319AC18
5E319BB05
5E319CC33
5E319GG03
(57)【要約】
【課題】半導体チップとの接続信頼性を向上することが可能な配線基板を提供する。
【解決手段】本配線基板は、配線層と、前記配線層を被覆する絶縁層と、前記配線層の上面に設けられ、前記絶縁層の上面から突起する電極と、前記電極の周囲の前記絶縁層の上面に設けられた溝と、を有し、前記電極は、前記絶縁層に側面を被覆される第1部分と、前記絶縁層から側面が露出し、一部が前記溝の内側に位置し他部が前記絶縁層の上面から突起する第2部分と、を含み、前記第2部分の上面と、前記第2部分の側面と、を被覆する金属層を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線層と、
前記配線層を被覆する絶縁層と、
前記配線層の上面に設けられ、前記絶縁層の上面から突起する電極と、
前記電極の周囲の前記絶縁層の上面に設けられた溝と、を有し、
前記電極は、
前記絶縁層に側面を被覆される第1部分と、
前記絶縁層から側面が露出し、一部が前記溝の内側に位置し他部が前記絶縁層の上面から突起する第2部分と、を含み、
前記第2部分の上面と、前記第2部分の側面と、を被覆する金属層を有する、配線基板。
【請求項2】
前記金属層は、前記溝を充填する、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記金属層は、ニッケル層、ニッケル合金層、コバルト層、コバルト合金層の何れかを含む、請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記電極及び前記金属層は、半導体チップと電気的に接続される外部接続端子である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項5】
請求項4に記載の配線基板と、
前記配線基板上に搭載された半導体チップと、を有し、
前記外部接続端子と、前記半導体チップの接続端子とが、はんだを介して電気的に接続された、半導体装置。
【請求項6】
配線層の上面に電極を形成する工程と、
前記電極及び前記配線層を被覆する絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層の上面を研磨し、前記絶縁層の上面に前記電極の上面を露出させると共に、前記電極の周囲の前記絶縁層の上面に溝を設ける工程と、
前記絶縁層の上面をエッチングし、前記電極に、前記絶縁層に側面を被覆される第1部分と、前記絶縁層から側面が露出し、一部が前記溝の内側に位置し他部が前記絶縁層の上面から突起する第2部分と、を形成する工程と、
前記第2部分の上面と、前記第2部分の側面と、を被覆する金属層を形成する工程と、を有する、配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記絶縁層の研磨は、化学的機械研磨により行う、請求項6に記載の配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記絶縁層のエッチングは、ドライエッチングにより行う、請求項6又は7に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及びその製造方法、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップを搭載することができる配線基板が知られている。このような配線基板では、半導体チップと接続される電極が絶縁層から突起するように設けられ、さらに、電極の絶縁層から突起する部分の上面及び側面を被覆する金属層が設けられる場合がある。この配線基板に半導体チップを搭載する際には、例えば、電極を被覆する金属層と、半導体チップの接続端子とを、はんだで接続する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、金属層の下面と絶縁層の上面とは密着性が低いため、両者の界面に隙間が形成される場合がある。両者の界面に隙間が形成されると、半導体チップと接続する際に、はんだが隙間に入り込み、電極を構成する金属と合金化する懸念がある。はんだと電極とが合金化すると、合金化した部分の近傍にボイドが生じ、配線基板と半導体チップとの接続信頼性が低下する。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、半導体チップとの接続信頼性を向上することが可能な配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本配線基板は、配線層と、前記配線層を被覆する絶縁層と、前記配線層の上面に設けられ、前記絶縁層の上面から突起する電極と、前記電極の周囲の前記絶縁層の上面に設けられた溝と、を有し、前記電極は、前記絶縁層に側面を被覆される第1部分と、前記絶縁層から側面が露出し、一部が前記溝の内側に位置し他部が前記絶縁層の上面から突起する第2部分と、を含み、前記第2部分の上面と、前記第2部分の側面と、を被覆する金属層を有する。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、半導体チップとの接続信頼性を向上することが可能な配線基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る配線基板を例示する断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る配線基板の奏する効果について説明する図である。
【
図3】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
【
図4】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
【
図5】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
【
図6】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その4)である。
【
図7】第1実施形態の応用例に係る半導体装置を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1実施形態〉
[配線基板の構造]
図1は、第1実施形態に係る配線基板を例示する断面図である。
図1(a)は全体図であり、
図1(b)は
図1(a)のA部の拡大図である。
【0011】
図1を参照すると、配線基板5は、コア基板10と、第1配線構造1と、第2配線構造2と、第3配線構造3と、ソルダーレジスト層40及び50と、外部接続端子60とを有している。第1配線構造1及び第2配線構造2は、コア基板10の一方の側に配置され、第3配線構造3は、コア基板10の他方の側に配置されている。なお、ソルダーレジスト層40及び50と、外部接続端子60とは、必要に応じて設けることができる。
【0012】
なお、本実施形態では、便宜上、
図1における配線基板5のソルダーレジスト層40側を上側又は一方の側、ソルダーレジスト層50側を下側又は他方の側とする。また、各部位のソルダーレジスト層40側の面を一方の面又は上面、ソルダーレジスト層50側の面を他方の面又は下面とする。但し、配線基板5は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。また、平面視とは対象物をソルダーレジスト層40の一方の面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物をソルダーレジスト層40の一方の面の法線方向から視た形状を指すものとする。
【0013】
コア基板10としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の熱硬化性の絶縁樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等を用いることができる。コア基板10として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂等の熱硬化性の絶縁樹脂を含浸させた基板等を用いてもよい。コア基板10の厚さは、例えば、80~1200μm程度とすることができる。なお、各図において、ガラスクロス等の図示は省略されている。
【0014】
コア基板10には、コア基板10を貫通する複数の貫通孔10xが形成されている。貫通孔10xの平面形状は、例えば、直径が50~100μm程度の円形とすることができる。貫通孔10xのピッチは、例えば、100~1000μm程度とすることができる。貫通孔10xの内壁面には、貫通電極20が形成されており、貫通孔10xの中心部(貫通電極20の内側)には樹脂部30が充填されている。貫通電極20の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。樹脂部30の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂等の熱硬化性の絶縁樹脂を用いることができる。
【0015】
第1配線構造1は、コア基板10の一方の面10aに積層されている。第1配線構造1は、複数の第1配線層及び複数の第1絶縁層が積層された配線構造である。本実施形態では、複数の第1配線層は、第1配線層11、第1配線層13、及び第1配線層15を含む。第1配線層15は、複数の第1配線層のうち第2配線構造2に最も近い側に配置される最上第1配線層である。なお、第1配線層の層数は、本実施形態の例には限定されない。第1配線層は、1層のみであってもよい。本実施形態では、複数の第1絶縁層は、第1絶縁層12及び第1絶縁層14を含む。第1絶縁層14は、複数の第1絶縁層のうち第2配線構造2に最も近い側に配置される最上第1絶縁層である。なお、第1絶縁層の層数は、本実施形態の例には限定されない。第1絶縁層は、1層のみであってもよい。
【0016】
第3配線構造3は、コア基板10の他方の面10bに積層されている。第3配線構造3は、複数の第3配線層及び複数の第3絶縁層が積層された配線構造である。本実施形態では、複数の第3配線層は、第3配線層31、第3配線層33、及び第3配線層35を含む。なお、第3配線層の層数は、本実施形態の例には限定されない。本実施形態では、複数の第3絶縁層は、第3絶縁層32及び第3絶縁層34を含む。なお、第3絶縁層の層数は、本実施形態の例には限定されない。
【0017】
第1配線層11は、コア基板10の一方の面10aに形成されている配線パターンである。第3配線層31は、コア基板10の他方の面10bに形成されている配線パターンである。第1配線層11は、コア基板10を貫通する貫通電極20を介して、第3配線層31と電気的に接続されている。第1配線層11及び第3配線層31は、例えば、銅箔等の金属箔や銅めっき等のめっき層からなる。第1配線層11及び第3配線層31の厚さは、例えば、15~35μm程度とすることができる。第1配線層11及び第3配線層31のライン/スペースは、例えば、10μm/10μm~50μm/50μm程度とすることができる。
【0018】
なお、ライン/スペースにおけるラインとは配線幅を表し、スペースとは隣り合う配線同士の間隔(配線間隔)を表す。例えば、ライン/スペースが10μm/10μm~50μm/50μmと記載されていた場合、配線幅が10μm以上50μm以下で、かつ隣り合う配線同士の配線間隔が10μm以上50μm以下であることを表す。必ずしも配線幅と配線間隔とを等しくしなくてもよい。
【0019】
第1絶縁層12は、コア基板10の一方の面10aに、第1配線層11を被覆するように形成されている。第3絶縁層32は、コア基板10の他方の面10bに、第3配線層31を被覆するように形成されている。第1絶縁層12及び第3絶縁層32は、非感光性樹脂を主成分とする絶縁層である。第1絶縁層12及び第3絶縁層32は、例えば、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、フェノール系樹脂、シアネート系樹脂等の熱硬化性の非感光性樹脂を主成分とすることができる。第1絶縁層12及び第3絶縁層32の厚さは、例えば20~40μm程度とすることができる。第1絶縁層12及び第3絶縁層32は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有してもよい。
【0020】
第1配線層13は、第1絶縁層12の一方の側に形成されており、第1配線層11と電気的に接続されている。第1配線層13は、第1絶縁層12を貫通し第1配線層11の一方の面を露出するビアホール12x内に充填されたビア配線、及び第1絶縁層12の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール12xは、第1絶縁層14側に開口されている開口部の径が第1配線層11の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。
【0021】
第3配線層33は、第3絶縁層32の他方の側に形成されており、第3配線層31と電気的に接続されている。第3配線層33は、第3絶縁層32を貫通し第3配線層31の他方の面を露出するビアホール32x内に充填されたビア配線、及び第3絶縁層32の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール32xは、第3絶縁層34側に開口されている開口部の径が第3配線層31の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。
【0022】
ビアホール12x及び32xの開口部の径は、例えば、50~60μm程度とすることができる。第1配線層13及び第3配線層33の材料としては、例えば、銅等を用いることができる。第1配線層13及び第3配線層33の配線パターンの厚さは、例えば、15~25μm程度とすることができる。第1配線層13及び第3配線層33の配線パターンのライン/スペースは、例えば、10μm/10μm~50μm/50μm程度とすることができる。
【0023】
第1絶縁層14は、第1絶縁層12の一方の面に、第1配線層13を被覆するように形成されている。第3絶縁層34は、第3絶縁層32の他方の面に、第3配線層33を被覆するように形成されている。第1絶縁層14及び第3絶縁層34の材料や厚さは、例えば、第1絶縁層12及び第3絶縁層32と同様とすることができる。第1絶縁層14及び第3絶縁層34は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有してもよい。
【0024】
第1配線層15は、第1絶縁層14の一方の側に形成されており、第1配線層13と電気的に接続されている。第1配線層15は、第1絶縁層14を貫通し第1配線層13の一方の面を露出するビアホール14x内に充填されたビア配線、及び第1絶縁層14の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール14xは、第2絶縁層21側に開口されている開口部の径が第1配線層13の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。
【0025】
第3配線層35は、第3絶縁層34の他方の側に形成されており、第3配線層33と電気的に接続されている。第3配線層35は、第3絶縁層34を貫通し第3配線層33の他方の面を露出するビアホール34x内に充填されたビア配線、及び第3絶縁層34の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール34xは、ソルダーレジスト層50側に開口されている開口部の径が第3配線層33の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。
【0026】
ビアホール14x及び34xの開口部の径は、例えば、50~60μm程度とすることができる。第1配線層15及び第3配線層35の材料、第1配線層15及び第3配線層35の配線パターンの厚さ、第1配線層15及び第3配線層35の配線パターンのライン/スペースは、例えば、第1配線層13及び第3配線層33と同様することができる。
【0027】
第2配線構造2は、第1配線構造1上に配置されている。第2配線構造2は、複数の第2配線層及び複数の第2絶縁層が積層され、さらに最上第2配線層と接続される電極が形成された配線構造である。本実施形態では、複数の第2配線層は、第2配線層22及び第2配線層24を含む。第2配線層22は、複数の第2配線層のうち第1配線構造1に最も近い側に配置される最下第2配線層である。第2配線層24は、複数の第2配線層のうち第1配線構造1から最も遠い側に配置される最上第2配線層である。なお、第2配線層の層数は、本実施形態の例には限定されない。第2配線層は、1層のみであってもよい。
【0028】
本実施形態では、複数の第2絶縁層は、第2絶縁層21、第2絶縁層23、及び第2絶縁層25を含む。第2絶縁層21は、複数の第2絶縁層のうち第1配線構造1に最も近い側に配置される最下第2絶縁層である。なお、第2絶縁層の層数は、本実施形態の例には限定されない。第2絶縁層は、1層のみであってもよい。
【0029】
第2配線層の配線幅及び配線間隔は、第1配線層の配線幅及び配線間隔よりも小さい。また、第2配線層の配線幅及び配線間隔は、第3配線層の配線幅及び配線間隔よりも小さい。つまり、第2配線構造2を構成する第2配線層は、第1配線構造1を構成する第1配線層及び第3配線構造3を構成する第3配線層よりも配線密度の高い微細配線層である。
【0030】
第2絶縁層21は、第1絶縁層14の一方の面に、第1配線層15を被覆するように形成されている。第2絶縁層21は、非感光性樹脂を主成分とする絶縁層である。第2絶縁層21は、例えば、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、フェノール系樹脂、シアネート系樹脂等の熱硬化性の非感光性樹脂を主成分とすることができる。第2絶縁層21は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有してもよい。第2絶縁層21は、第1絶縁層12及び14よりも薄い絶縁層である。第2絶縁層21の厚さは、例えば、10~20μm程度とすることができる。
【0031】
第2配線層22は、第2絶縁層21の一方の側に形成されており、第1配線構造1の第1配線層15と電気的に接続されている。第2配線層22は、第2絶縁層21を貫通し第1配線層15の一方の面を露出するビアホール21x内に充填されたビア配線、及び第2絶縁層21の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール21xは、第2絶縁層23側に開口されている開口部の径が第1配線層15の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。ビアホール21xの開口部の径は、例えば、5~10μm程度とすることができる。第2配線層22の材料としては、例えば、銅等を用いることができる。第2配線層22を構成する配線パターンの厚さは、例えば、5~10μm程度とすることができる。第2配線層22を構成する配線パターンのライン/スペースは、例えば、3μm/3μm~8μm/8μm程度とすることができる。
【0032】
第2絶縁層23は、第2絶縁層21の一方の面に、第2配線層22を被覆するように形成されている。第2絶縁層23の材料や厚さは、例えば、第2絶縁層21と同様とすることができる。第2絶縁層23は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有してもよい。
【0033】
第2配線層24は、第2絶縁層23の一方の側に形成されており、第2配線層22と電気的に接続されている。第2配線層24は、第2絶縁層23を貫通し第2配線層22の一方の面を露出するビアホール23x内に充填されたビア配線、及び第2絶縁層23の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール23xは、第2絶縁層25側に開口されている開口部の径が第2配線層22の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。ビアホール23xの開口部の径は、例えば、5~10μm程度とすることができる。第2配線層24の材料、第2配線層24を構成する配線パターンの厚さ、及び第2配線層24を構成する配線パターンのライン/スペースは、例えば、第2配線層22と同様とすることができる。第2配線層24は、例えば、シード層24aと、シード層24a上に形成された電解めっき層24bとを含む構造とすることができる。
【0034】
第2絶縁層25は、第2絶縁層23の一方の面に、第2配線層24を被覆するように形成されている。第2絶縁層25の材料や厚さは、例えば、第2絶縁層23と同様とすることができる。第2絶縁層25は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有してもよい。
【0035】
電極26は、第2配線層24の上面に設けられ、第2絶縁層25の上面25aから部分的に突起している。
図1(b)に示すように、電極26の周囲の第2絶縁層25の上面25aに溝25xが設けられている。溝25xは、第2絶縁層25の上面25aから第2配線層24の側に窪む。溝25xは、第2絶縁層25の一部が除去されて形成されたものである。溝25xは、例えば、平面視で電極26の周囲にリング状に形成することができる。溝25xは、例えば、第2絶縁層25の上面25aと同一平面における幅が元も広く、第2配線層24に近づくにつれて幅が狭くなる形状である。
【0036】
第2絶縁層25の上面25aと同一平面における溝25xの幅は、例えば、1μm以上5μm以下程度とすることができる。第2絶縁層25の上面25aを基準とする溝25xの深さは、例えば、1μm以上10μm以下程度とすることができる。なお、溝25xの幅や深さは、電極26の周方向において一定でなくてもよい。例えば、
図1(b)の断面図に示す溝25xにおいて、電極26の右側に視えている部分と左側に視えている部分で、第2絶縁層25の上面25aと同一平面における溝25xの幅が異なっていてもよいし、第2絶縁層25の上面25aを基準とする溝25xの深さが異なっていてもよい。
【0037】
電極26は、溝25xよりも第2配線層24の側に位置し、第2絶縁層に側面を被覆される第1部分26aと、第1部分26aから上側に延伸する第2部分26bとを含む。第2部分26bは、第2絶縁層25から側面が露出している。第2部分26bは、一部が溝25xの内側に位置して他部が第2絶縁層25の上面25aから突起している。つまり、第2部分26bの一部は、第2絶縁層25の上面25aよりも下側にあり、第2部分26bの他部は、第2絶縁層25の上面25aよりも上側にある。
【0038】
なお、
図1(b)では、第1部分26aと第2部分26bとの境界を便宜上破線で示しているが、両者は一体である。第1部分26aと第2部分26bとの境界は、配線基板5の厚さ方向において、第2配線層24の上面と第2絶縁層25の上面25aとの間に位置する。
【0039】
電極26の材料は、例えば、第2配線層22と同様とすることができる。電極26の全体の厚さは、例えば、10~20μm程度とすることができる。電極26のうち、第2絶縁層25の上面25aよりも上側に位置する部分の厚さは、例えば、0.1~18μm程度とすることができる。電極26の平面形状は、例えば、直径が20~30μm程度の円形とすることができる。電極26のピッチは、例えば、40~50μm程度とすることができる。
【0040】
配線基板5は、電極26と電気的に接される金属層27を有している。電極26及び金属層27は、半導体チップと電気的に接続される外部接続端子である。金属層27は、第2部分26bの上面と、第2部分26bの側面とを被覆する。ここでいう、第2部分26bの側面とは、第2絶縁層25の上面25aよりも上側に位置する部分と、溝25xの内側に露出する部分の両方を含む。
【0041】
金属層27は、一層のみから形成されてもよいし、複数層の積層構造であってもよい。金属層27の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。金属層27において、Ni層の厚さは、例えば、1μm~10μm程度とすることができる。Pd層の厚さは、例えば、0.01μm~0.5μm程度とすることができる。Au層の厚さは、例えば、0.01μm~0.5μm程度とすることができる。
【0042】
また、金属層27において、Ni層に代えてNi合金層、Pd層に代えてPd合金層、Au層に代えてAu合金層を用いてもよい。また、金属層27において、Ni層に代えてCo層を用いてもよい。この場合、Co層の厚さの範囲は、Ni層の厚さの範囲と同様とすることができる。また、Ni層に代えてCo合金層を用いてもよい。この場合、Co合金層の厚さの範囲は、Ni層の厚さの範囲と同様とすることができる。
【0043】
なお、金属層27がNi層、Ni合金層、Co層、Co合金層のいずれかを含む複数層の積層構造の場合、溝25xは、主にNi層、Ni合金層、Co層、又はCo合金層で充填される。Ni層、Ni合金層、Co層、又はCo合金層の厚さを溝25xの深さ以上とすると、溝25xを充分に充填でき好適である。このように、金属層27は、ニッケル層、ニッケル合金層、コバルト層、コバルト合金層を含むことが好ましい。
【0044】
ソルダーレジスト層40は、第2配線構造2の第2絶縁層25の一方の面の外周側に形成されている最外絶縁層である。ソルダーレジスト層40の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等を主成分とする感光性の絶縁樹脂を用いることができる。ソルダーレジスト層40は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。ソルダーレジスト層40は、開口部40xを有し、開口部40x内には電極26が露出している。
【0045】
ソルダーレジスト層50は、第3配線構造3の第3絶縁層34の他方の面に、第3配線構造3の第3配線層35を被覆するように形成されている最外絶縁層である。ソルダーレジスト層50の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等を主成分とする感光性の絶縁樹脂を用いることができる。ソルダーレジスト層50は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0046】
ソルダーレジスト層50は、開口部50xを有し、開口部50xの底部には第3配線構造3の第3配線層35の一部が露出している。開口部50x内に露出する第3配線層35には、必要に応じて、はんだボール等の外部接続端子60が形成される。
【0047】
このように、配線基板5は、第2絶縁層25の上面25aから第2配線層24の側に窪む溝25xが設けられ、金属層27が溝25x内に入り込んで電極26の側面を被覆している。この構造の奏する効果について、比較例を示しながら説明する。
【0048】
図2は、第1実施形態に係る配線基板の奏する効果について説明する図であり、半導体チップ110の電極ポスト120と、配線基板5又は5Xの電極26及び金属層27とをはんだ130を介して接続した様子を示している。
【0049】
図2(a)は、比較例に係る配線基板5Xと半導体チップ110との接続を示している。
図2(a)に示すように、配線基板5Xでは、電極26の周囲に溝25xは形成されていない。また、配線基板5Xでは、金属層27の下面と第2絶縁層25の上面25aとの間に隙間27xが形成されている。隙間27xは、例えば、電極26の周囲に環状に形成される。隙間27xが形成される理由は、金属層27の下面と第2絶縁層25の上面25aとの密着性が低いためである。
【0050】
配線基板5Xのように、隙間27xが形成されていると、半導体チップ110と接続する際に、はんだ130が隙間27xに入り込み、電極26の側面と接触して合金化する懸念がある。はんだ130と電極26とが合金化すると、合金化した部分の近傍にボイドが生じ、配線基板5Xと半導体チップ110との接続信頼性が低下する。
【0051】
図2(b)は、第1実施形態に係る配線基板5と半導体チップ110との接続を示している。
図2(b)に示すように、配線基板5では、第2絶縁層25の上面25aから第2配線層24の側に窪む溝25xが設けられ、金属層27が溝25x内に入り込んで電極26の側面を被覆している。金属層27と電極26とは金属同士であり十分に密着している。
【0052】
そのため、仮に、溝25xの周囲において、金属層27の下面と第2絶縁層25の上面25aとの間に
図2(a)と同様の隙間ができたとしても、金属層27が溝25x内に入り込んで電極26の側面を被覆しているため、はんだ130が電極26の側面と接触するおそれを低減できる。その結果、合金化によりボイドが生じるおそれも低減できる。すなわち、半導体チップ110との接続信頼性を向上することが可能な配線基板5を実現できる。
【0053】
金属層27は、溝25xを充填することが好ましい。これにより、電極26の側面とはんだ130との距離が長くなるため、はんだ130が電極26の側面と接触するおそれをさらに低減できる。
【0054】
[配線基板の製造方法]
次に、第1実施形態に係る配線基板の製造方法について説明する。
図3~
図6は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。なお、ここでは、
図1(a)に示す配線基板5の破線Aで囲んだ領域について図示しながら、配線基板5の製造工程を説明する。
【0055】
まず、
図3(a)に示す工程では、周知のビルドアップ工法等により、配線基板5の第2配線層24、第2絶縁層25、電極26、及び金属層27を形成する前の状態までを作製する。なお、
図3(a)では、第2絶縁層23のみを示している。そして、
図3(b)に示す工程では、第2絶縁層23の上面に、銅の無電解めっきや銅のスパッタによりシード層24aを形成する。シード層24aの厚さは、例えば、200~400nm程度とすることができる。
【0056】
次に、
図3(c)に示す工程では、シード層24a上に第2配線層24の配線パターンの形状に合わせた開口部300xを有するめっきレジストパターン300を形成する。めっきレジストパターン300は、例えば、感光性のドライフィルムレジストをシード層24a上に貼り付けることで形成できる。開口部300xは、例えば、感光性のドライフィルムレジストを露光及び現像することにより形成できる。開口部300x内には、シード層24aの上面の一部が露出する。
【0057】
次に、
図3(d)に示す工程では、シード層24aから給電する銅の電解めっきにより、めっきレジストパターン300の開口部300xに露出するシード層24a上に電解めっき層24bを析出する。次に、
図4(a)に示す工程では、めっきレジストの剥離液を用いて、めっきレジストパターン300を除去する。
【0058】
次に、
図4(b)~
図5(a)に示す工程では、電極26を形成する。具体的には、まず、
図4(b)に示す工程では、シード層24a及び電解めっき層24b上に電極26の形状に合わせた開口部310xを有するめっきレジストパターン310を形成する。めっきレジストパターン310は、例えば、感光性のドライフィルムレジストをシード層24a上及び電解めっき層24b上に貼り付けることで形成できる。開口部310xは、例えば、感光性のドライフィルムレジストを露光及び現像することにより形成できる。開口部310x内には、電解めっき層24bの上面の一部が露出する。つまり、開口部310xの開口径は、開口部300xの開口径よりも小さい。
【0059】
次に、
図4(c)に示す工程では、シード層24aから給電する銅の電解めっきにより、めっきレジストパターン310の開口部310xに露出する電解めっき層24b上に電極26を析出する。次に、
図5(a)に示す工程では、めっきレジストの剥離液を用いて、めっきレジストパターン310を除去する。これにより、電極26が形成される。
【0060】
次に、
図5(b)に示す工程では、電解めっき層24bをマスクとしたエッチングを行い、電解めっき層24bから露出するシード層24aを除去し第2配線層24を形成する。シード層24aが銅である場合、エッチング液としては、例えば、硫酸と過酸化水素を混合した水溶液、過硫酸ナトリウム水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いることができる。
【0061】
次に、
図5(c)に示す工程では、第2絶縁層23上に、電極26の上面及び側面、並びに第2配線層24を被覆する第2絶縁層25を形成する。具体的には、例えば、第2絶縁層23上に第2配線層24及び電極26を被覆するように半硬化状態のフィルム状のエポキシ系樹脂等をラミネートし、硬化させて第2絶縁層25を形成する。或いは、フィルム状のエポキシ系樹脂等のラミネートに代えて、液状又はペースト状のエポキシ系樹脂等を塗布後、硬化させて第2絶縁層25を形成してもよい。
【0062】
次に、
図6(a)に示す工程では、第2絶縁層25の上面25aを研磨し、第2絶縁層25の上面25aに電極26の上面を露出させると共に、電極26の周囲の第2絶縁層25の上面25aに、第2絶縁層25の上面25aから第2配線層24の側に窪む溝25xを設ける。第2絶縁層25の研磨は、例えば、化学的機械研磨(CMP法:Chemical Mechanical Polishing法)により行うことができる。第2絶縁層25の上面25aと電極26の上面とは、例えば、面一となる。通常は、第2絶縁層25と電極26の界面に溝が形成されないように、化学的機械研磨の圧力や研磨時間を調整するが、本願では、第2絶縁層25と電極26の界面に溝25xが形成される条件で化学的機械研磨を行う。
【0063】
具体的には、化学的機械研磨の圧力を通常よりも高めにし、研磨時間を通常よりも短くすることにより、第2絶縁層25と電極26の界面に溝25xを形成することができる。適正な幅及び深さの溝25xを形成するためには、化学的機械研磨の圧力は10kPa以上30kPa以下とすることが好ましく、研磨時間は1分以上15分以下とすることが好ましい。なお、溝25xの適正な幅及び深さは、配線基板5の説明において示した通りである。
【0064】
次に、
図6(b)に示す工程では、第2絶縁層25の上面25aをエッチングし、電極26に、溝25xよりも第2配線層24の側に位置し、第2絶縁層25に側面を被覆される第1部分26aと、第1部分26aから上側に延伸する第2部分26bとを形成する。第2部分26bは、第2絶縁層25から側面が露出し、一部が溝25xの内側に位置して他部が第2絶縁層25の上面25aから突起する。第2絶縁層25のエッチングは、例えば、ドライエッチングにより行う。ドライエッチングには、プラズマエッチング装置を用いることができる。CF
4ガス等のフッ素系ガスや酸素ガスを用い、ドライエッチングを行うことができる。
【0065】
次に、
図6(c)に示す工程では、電極26と電気的に接続される金属層27を形成する。具体的には、例えば、無電解めっき法により、第2部分26bの上面と、第2部分26bの側面とを被覆する金属層27を形成する。金属層27の材料は、前述のとおりである。金属層27は、溝25xを充填することが好ましい。
【0066】
〈第1実施形態の応用例〉
第1実施形態の応用例では、配線基板に半導体チップを搭載した半導体装置の例を示す。なお、第1実施形態の応用例において、既に説明した実施形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
【0067】
図7は、第1実施形態の応用例に係る半導体装置を例示する断面図である。
図7を参照すると、半導体装置7は、
図1に示す配線基板5と、半導体チップ110と、電極ポスト120と、はんだ130とを有する。
【0068】
半導体チップ110は、例えば、シリコン等からなる薄板化された半導体基板(図示せず)上に半導体集積回路(図示せず)等が形成されたものである。半導体基板(図示せず)には、半導体集積回路(図示せず)と電気的に接続された電極ポスト120が形成されている。電極ポスト120は、配線基板5と接続される接続端子であり、例えば、銅ポストである。
【0069】
電極ポスト120は、はんだ130を介して、配線基板5の外部接続端子である電極26及び金属層27と電気的に接続されている。なお、
図7に示す半導体装置7において、実際は、
図2と同様に電極ポスト120と電極26(金属層27)との間に、はんだ130が配置される。はんだ130の材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。なお、半導体チップ110と配線基板5の上面との間にアンダーフィル樹脂が充填されてもよい。
【0070】
このように、第1実施形態に係る配線基板5に半導体チップを搭載することにより、半導体装置7を実現できる。
図7では図示が省略されているが、半導体装置7では、
図1(b)に示したように、金属層27が溝25x内に入り込んで電極26の側面を被覆している。そのため、前述の理由により、配線基板5と半導体チップ110との接続信頼性を向上することができる。
【0071】
以上、好ましい実施形態について詳説したが、上述した実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0072】
例えば、本発明は、絶縁層から突起する電極と、電極の上面及び側面を被覆する金属層とを有し、電極及び金属層が外部接続端子となる配線基板であれば、
図1に示した構造と異なる構造の配線基板にも適用可能である。本発明を適用可能な配線基板の一例として、コア基板や第3配線構造を有さず、第1配線構造上に第2配線構造が積層されたコアレスの配線基板が挙げられる。
【符号の説明】
【0073】
1 第1配線構造
2 第2配線構造
3 第3配線構造
5 配線基板
7 半導体装置
10 コア基板
10a 一方の面
10b 他方の面
10x 貫通孔
11,13,15 第1配線層
12,14 第1絶縁層
12x,14x,21x,23x,32x,34x ビアホール
20 貫通電極
21,23,25 第2絶縁層
22,24 第2配線層
24a シード層
24b 電解めっき層
25a 上面
25x 溝
26 電極
26a 第1部分
26b 第2部分
27 金属層
30 樹脂部
31,33,35 第3配線層
32,34 第3絶縁層
40,50 ソルダーレジスト層
40x,50x 開口部
60 外部接続端子
110 半導体チップ
120 電極ポスト
130 はんだ
300,310 めっきレジストパターン
300x,310x 開口部