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特開2024-9456評価装置、評価方法および評価システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009456
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】評価装置、評価方法および評価システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20240101AFI20240116BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240116BHJP
【FI】
G06Q50/22
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110992
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田井 光春
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敬
(72)【発明者】
【氏名】板橋 一男
(72)【発明者】
【氏名】石井 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】松岡 秀行
(72)【発明者】
【氏名】出口 敦
(72)【発明者】
【氏名】大島 耕平
(72)【発明者】
【氏名】梅岡 恒治
【テーマコード(参考)】
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L099AA13
(57)【要約】
【課題】効率的な施策の評価をおこなうこと。
【解決手段】評価装置は、サンプル対象が行った生活活動の活動パターンごとに規定されたサンプル対象が所属する集団の各々における第1満足度を記憶するとともに、サンプル対象と集団とを関連付けた第1DBを有し、サンプル対象の端末から行動データを取得するとサンプル対象の生活活動と活動パターンとを推定し、第1DBにおいて、推定された生活活動での、サンプル対象が所属する集団の活動パターンごとの第1満足度から、推定された活動パターンの第1満足度を抽出して第2DBに登録し、特定の生活活動によって定義される評価対象を取得し、第2DBにおいてサンプル対象毎に記憶された生活活動毎の第1満足度の中から、評価対象に該当する特定の生活活動の第1満足度を抽出し、抽出された特定の生活活動の第1満足度に基づいて評価対象に関する第2満足度を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムを実行するプロセッサと、前記プログラムを記憶する記憶デバイスと、を有する評価装置であって、
サンプル対象が行った生活活動の活動パターンごとに規定された前記サンプル対象が所属する集団の各々における第1満足度を、前記生活活動ごとに記憶するとともに、前記サンプル対象と前記サンプル対象が所属する前記集団とを関連付けた第1データベースにアクセス可能であり、
前記プロセッサは、
前記サンプル対象の行動を示す行動データを検出可能な前記サンプル対象の端末から前記行動データを取得すると、前記行動データに基づいて、前記サンプル対象の前記生活活動と前記活動パターンとを推定する推定処理と、
前記第1データベースにおいて、前記推定処理によって推定された前記生活活動での、前記サンプル対象が所属する前記集団の前記活動パターンごとの前記第1満足度の中から、前記推定処理によって推定された前記活動パターンの前記第1満足度を抽出して、第2データベースに登録する登録処理と、
特定の生活活動によって定義される評価対象を取得する取得処理と、
前記第2データベースにおいて前記サンプル対象毎に記憶された前記生活活動毎の前記第1満足度の中から、前記取得処理によって取得された評価対象に該当する前記特定の生活活動の前記第1満足度を抽出する抽出処理と、
前記抽出処理によって抽出された特定の生活活動の前記第1満足度に基づいて、前記評価対象に関する第2満足度を算出する算出処理と、
前記算出処理よって算出された第2満足度を出力する出力処理と、
を実行することを特徴とする評価装置。
【請求項2】
請求項1に記載の評価装置であって、
前記プロセッサは、
前記生活活動に関する設問を生成して前記端末に送信し、前記設問を前記端末に送信した結果、前記生活活動の前記活動パターンごとの前記第1満足度を前記端末から取得し、前記生活活動別に、前記活動パターンごとの前記第1満足度に基づいて、前記サンプル対象とその所属先となる前記集団とを関連付けることにより、前記第1データベースを生成する生成処理を実行する、
ことを特徴とする評価装置。
【請求項3】
請求項2に記載の評価装置であって、
前記生成処理では、プロセッサは、前記生活活動別に、前記活動パターンごとの前記第1満足度に基づいて、前記サンプル対象をクラスタリングすることにより、前記集団を生成する、
ことを特徴とする評価装置。
【請求項4】
請求項2に記載の評価装置であって、
前記設問は、前記サンプル対象が選択可能な複数の生活活動を含む、
ことを特徴とする評価装置。
【請求項5】
請求項4に記載の評価装置であって、
前記設問は、前記サンプル対象が選択可能な複数の生活活動と、前記複数の生活活動から選択された生活活動について前記サンプル対象が選択可能な複数の活動環境と、を含み、
前記生成処理では、前記プロセッサは、前記複数の活動環境に基づいて前記活動パターンを生成する、
ことを特徴とする評価装置。
【請求項6】
請求項4に記載の評価装置であって、
前記設問は、前記第1満足度を確認する質問を含む、
ことを特徴とする評価装置。
【請求項7】
請求項6に記載の評価装置であって、
前記質問は、世界保健機関のQoL評価手法による質問である、
ことを特徴とする評価装置。
【請求項8】
請求項1に記載の評価装置であって、
前記第2満足度を算出する複数の算出方法が選択可能に定義されており、
前記算出処理では、前記プロセッサは、前記複数の算出方法から選ばれた算出方法を用いて、前記第2満足度を算出する、
ことを特徴とする評価装置。
【請求項9】
プログラムを実行するプロセッサと、前記プログラムを記憶する記憶デバイスと、を有する評価装置による評価方法であって、
サンプル対象が行った生活活動の活動パターンごとに規定された前記サンプル対象が所属する集団の各々における第1満足度を、前記生活活動ごとに記憶するとともに、前記サンプル対象と前記サンプル対象が所属する前記集団とを関連付けた第1データベースにアクセス可能であり、
前記プロセッサは、
前記サンプル対象の行動を示す行動データを検出可能な前記サンプル対象の端末から前記行動データを取得すると、前記行動データに基づいて、前記サンプル対象の前記生活活動と前記活動パターンとを推定する推定処理と、
前記第1データベースにおいて、前記推定処理によって推定された前記生活活動での、前記サンプル対象が所属する前記集団の前記活動パターンごとの前記第1満足度の中から、前記推定処理によって推定された前記活動パターンの前記第1満足度を抽出して、第2データベースに登録する登録処理と、
特定の生活活動によって定義される評価対象を取得する取得処理と、
前記第2データベースにおいて前記サンプル対象毎に記憶された前記生活活動毎の前記第1満足度の中から、前記取得処理によって取得された評価対象に該当する前記特定の生活活動の前記第1満足度を抽出する抽出処理と、
前記抽出処理によって抽出された特定の生活活動の前記第1満足度に基づいて、前記評価対象に関する第2満足度を算出する算出処理と、
前記算出処理よって算出された第2満足度を出力する出力処理と、
を実行することを特徴とする評価方法。
【請求項10】
サンプル対象が行った生活活動の活動パターンごとに規定された前記サンプル対象が所属する集団の各々における第1満足度を、前記生活活動ごとに記憶するとともに、前記サンプル対象と前記サンプル対象が所属する前記集団とを関連付けた第1データベースにアクセス可能な評価装置と、前記サンプル対象の行動を示す行動データを検出可能な端末と、が通信可能な評価システムであって、
前記端末は、
前記行動データを取得して前記評価装置に送信する処理を実行し、
前記評価装置は、
前記端末から前記行動データを取得すると、前記行動データに基づいて、前記サンプル対象の前記生活活動と前記活動パターンとを推定する推定処理と、
前記第1データベースにおいて、前記推定処理によって推定された前記生活活動での、前記サンプル対象が所属する前記集団の前記活動パターンごとの前記第1満足度の中から、前記推定処理によって推定された前記活動パターンの前記第1満足度を抽出して、第2データベースに登録する登録処理と、
特定の生活活動によって定義される評価対象を取得する取得処理と、
前記第2データベースにおいて前記サンプル対象毎に記憶された前記生活活動毎の前記第1満足度の中から、前記取得処理によって取得された評価対象に該当する前記特定の生活活動の前記第1満足度を抽出する抽出処理と、
前記抽出処理によって抽出された特定の生活活動の前記第1満足度に基づいて、前記評価対象に関する第2満足度を算出する算出処理と、
前記算出処理よって算出された第2満足度を出力する出力処理と、
を実行することを特徴とする評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価を実行する評価装置、評価方法および評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、家族等のグループの情報も勘案して、当該グループに属する人物の満足度情報を推定する満足度推定装置を開示する。この満足度推定装置は、あるエリアを行動拠点とするグループに属する人物の満足度情報を推定する装置であり、行動関連データを用い、このグループに属する満足度推定対象の人物について構築された学習済みの行動識別モデルによって、満足度推定対象の人物とこのグループに属する他の人物とのコミュニケーションに係る行動の情報を含む行動情報を決定する行動識別手段と、この行動情報に基づいて、満足度推定対象の人物によるこのグループでのコミュニケーションの度合いを示すコミュニケーションスコアを決定するコミュニケーションスコア決定手段と、このコミュニケーションスコアに基づいて、満足度推定対象の人物の満足度を決定する満足度決定手段とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-154938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の満足度推定装置は、生活活動から推定した感情から、満足度を間接的に推定する。したがって、生活活動から直接満足度を推定する点については考慮されていない。したがって、施策の決定や実行した施策について効率的な評価が得られない。
【0005】
本発明は、効率的な施策の評価をおこなうことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願において開示される発明の一側面となる評価装置は、プログラムを実行するプロセッサと、前記プログラムを記憶する記憶デバイスと、を有する評価装置であって、サンプル対象が行った生活活動の活動パターンごとに規定された前記サンプル対象が所属する集団の各々における第1満足度を、前記生活活動ごとに記憶するとともに、前記サンプル対象と前記サンプル対象が所属する前記集団とを関連付けた第1データベースにアクセス可能であり、前記プロセッサは、前記サンプル対象の行動を示す行動データを検出可能な前記サンプル対象の端末から前記行動データを取得すると、前記行動データに基づいて、前記サンプル対象の前記生活活動と前記活動パターンとを推定する推定処理と、前記第1データベースにおいて、前記推定処理によって推定された前記生活活動での、前記サンプル対象が所属する前記集団の前記活動パターンごとの前記第1満足度の中から、前記推定処理によって推定された前記活動パターンの前記第1満足度を抽出して、第2データベースに登録する登録処理と、特定の生活活動によって定義される評価対象を取得する取得処理と、前記第2データベースにおいて前記サンプル対象毎に記憶された前記生活活動毎の前記第1満足度の中から、前記取得処理によって取得された評価対象に該当する前記特定の生活活動の前記第1満足度を抽出する抽出処理と、前記抽出処理によって抽出された特定の生活活動の前記第1満足度に基づいて、前記評価対象に関する第2満足度を算出する算出処理と、前記算出処理によって算出された第2満足度を出力する出力処理と、を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の代表的な実施の形態によれば、効率的な施策の評価をおこなうことができる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、評価システムのシステム構成例を示す説明図である。
図2図2は、活動リストDBの一例を示す説明図である。
図3図3は、データベースの一例を示す説明図である。
図4図4は、QoL算出DBの一例を示す説明図である。
図5図5は、図4に示した識別コード管理テーブルの一例を示す説明図である。
図6図6は、導出QoLDBの一例を示す説明図である。
図7図7は、参照可能情報リストの一例を示す説明図である。
図8図8は、あるサンプル対象者の一日の時系列な生活活動と活動環境との対応関係を示す説明図である。
図9図9は、評価装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図10図10は、サンプル対象者端末の画面例1を示す説明図である。
図11図11は、サンプル対象者端末の画面例2を示す説明図である。
図12図12は、サンプル対象者端末の画面例3を示す説明図である。
図13図13は、サンプル対象者端末の画面例4を示す説明図である。
図14図14は、データベース生成部によるデータベース生成処理例を示すシーケンス図である。
図15図15は、目的QoL値の算出処理手順例を示すシーケンス図である。
図16図16は、公園経営に対する活用事例を示す説明図である。
図17図17は、評価システムによって実現される都市経営サイクルを示す概念図である。
図18図18は、高齢者に対する行政サービスおよび施策と期待する成果との関係の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
インフラ設備の維持および管理、都市計画、ならびに、公共サービスの提供といった都市政策に対する効果評価は重要である。特に近年、日本においては少子高齢化、インフラの老朽化が顕著になり、限られた予算および人的リソースの中で、都市を運用していく上での効果評価の重要性が増している。
【0010】
効果評価で採用される指標は、官庁、自治体の施策や都市計画策定時の現状把握、目標に活用される。さらに、施策後の効果の可視化、インフラ、公共サービスの提供の意義づけ、根拠づけに活用される。政府や自治体などの主体は、これらの指標値を根拠に、インフラ、公共サービスの選定や、運用方針を決定し、住民、法人などの地域に関係するステークホルダの合意を得て地域を運営する。これらはEBPM(Evidence Based Policy Making)として都市運営の方法論として政策決定、自治体運営の主流になっている。
【0011】
たとえば、日本国内の自治体は政策策定に関係する様々な効果評価値としてKPI(Key Performance Indicator)を策定し、KPIの数値目標を設定する形で政策を立案し、その効果検証を進める試みを始めている。さらに、政府は、都市の状況を客観的に把握するための指標を整理し、一元的にまとめ、可視化し、都市計画に活かす試みを先導している。
【0012】
上記のような試みでは、都市や施策の評価指標として、主に公園、病院、公共施設における設備数、緑地面積、および設備の収容数といった指標が選定されている。これらの指標は物理的な数量である。すなわち、これら指標は客観的な定量化が可能であり、都市間の比較、目標値やしきい値の設定といった効果評価を明確にできる利点がある。しかしながら、これらの指標が高いことと住民が快適で活力に満ちた質の高い生活を享受できていることは必ずしも一致していない。
【0013】
一方、近年、政策や行政施策に対する住民の満足度を評価するための方法が模索されている。たとえば、アンケートなどで取得した住民の主観的な満足度が集計および指標化され、都市や政策の評価指標とされている。これらの方法から導出した指標によれば、住民の生活の質や、満足度の観点で都市や政策を評価することが可能になる。
【0014】
これらの方法においてデータの取得は住民へのアンケート調査によって行われる。アンケート調査は、住民が多数の質問に対し返答する形式であるため、住民の負担が大きい。またアンケート実施には多くの予算と人的なリソースが必要である。そのため実施頻度を上げられないことが課題である。一方、都市サービスの効果評価は、サービス設計時、サービス導入前、サービス導入後、定着するまでの行程において、定期的、継続的に実施されることが望ましく、都度アンケート調査が必要となる。
【0015】
都市に暮らす一人ひとりの生活と満足度を常時観測できるツールとそれに基づいた新しい都市評価指標を開発し実用化することが、社会全体の最適化と住民の生活の満足度向上とを両立する都市経営へと導くために欠かせないと考えられる。
【0016】
生活の満足度や充足度に関連する指標として、QoL(Quality of Life)がある。QoLはヒトの健康を身体的な能力の観点だけではなく、心理、社会的関係、周囲の活動環境といった日常生活の質を含めて評価する指標として考案された概念である。たとえば、QoLを測る国際的な指標として世界保健機関(World Health Organization:WHO)のQoL評価手法がある。このQoL評価手法は上記観点にもとづいた100問または26問の質問に対して、5件法で選択される回答からQoL値を導出する方法である。このQoL評価手法で導出されたQoL値によって実感する生活の満足度や充足度が推定可能である。
【0017】
以下に示す実施例では、この概念を都市計画分野に拡張した評価システムについて説明する。本実施例にかかる評価システムは、毎回主観評価のためのアンケートの設計や調査を実施した場合に、住民に負担をかけなくても、1回のQoL調査と、行動履歴データ(どこで、どのくらい、どのような条件下で、何をしたか)と、を取得できれば、あとは対象の行動履歴データを自動取得することで、まちに暮らす人々の生活の満足度を生活活動201のQoL値で評価する。そして、この評価システムは、まちに暮らす人々の生活活動201のQoL値を定量的に算出し、この生活活動201のQoL値に基づいて、都市計画、経営や施策に関する目的QoL値を算出することにより、都市計画、経営や施策を評価する。
【0018】
<評価システムのシステム構成例>
図1は、評価システムのシステム構成例を示す説明図である。評価システム10は、評価装置100を有する。評価装置100は、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などのネットワーク170を介して、サンプル対象者端末141、外部サイト150、および自治体サービサ端末161と通信可能に接続される。
【0019】
サンプル対象者端末141は、サンプル対象者140が有する通信端末であり、たとえば、スマートフォンやウェアラブル機器、タブレット、パーソナルコンピュータである。サンプル対象者端末141は、サンプル対象者140の行動履歴データを取得して、評価装置100に送信する。
【0020】
外部サイト150は、たとえば、地図サーバ151や気象サーバ152である。地図サーバ151は、評価装置100からの要求により地図データを送信する。また、地図サーバ151は、地図データ上の行政機関や公園、コンビニエンスストア、飲食店、テーマパーク、フィットネスクラブ、および、企業等が所在するオフィスビルディング等の施設情報も保持する。また、地図サーバ151は、鉄道やバスなどの公共交通機関の路線や運行ダイヤも保持する。
【0021】
地図サーバ151は、たとえば、評価装置100またはサンプル対象者端末141から緯度経度を受け付けると、当該緯度経度を含む2次元または3次元の地図データや、緯度経度に対応する施設名および住所を返す。
【0022】
気象サーバ152は、評価装置100からの要求により気象情報を送信する。気象サーバ152は、たとえば、評価装置100またはサンプル対象者端末141から要求があった時点での気候、天候または気象を示す気象情報を評価装置100またはサンプル対象者端末141に返す。
【0023】
自治体サービサ端末161は、自治体サービサ160の操作により、評価装置100内のデータの追加、変更または削除といった処理を実行する。
【0024】
評価装置100は、生成部101と、リスト生成部102と、QoL算出部103103と、QoL算出DB120と、導出QoLDB130と、を有する。
【0025】
生成部101は、各種データを生成し、生活活動のQoL値を推定する。生活活動のQoL値とは、そのサンプル対象者140が行った生活活動についてそのサンプル対象者140がどのくらい満足しているかを示す指標値である。具体的には、たとえば、生成部101は、活動リストDB111と、データベース112と、設問生成部114と、データベース生成部115と、推定部116と、を有する。ここで、活動リストDB111について具体的に説明する。
【0026】
[活動リストDB111]
図2は、活動リストDB111の一例を示す説明図である。活動リストDB111は、生活活動をリスト化したデータベースであり、具体的には、たとえば、生活活動201と、活動環境202と、生活活動201のQoL値を確認する質問203と、を有する。生活活動201は、サンプル対象者140がその生活において今どのような活動をしているかを示す情報であり、サンプル対象者140に選択される。
【0027】
活動環境202は、サンプル対象者端末141から入力された生活活動201についてどういう活動環境、どういう評価条件下でサンプル対象者140が活動したかを示す環境条件221~225の集合であり、サンプル対象者140に選択される。環境条件221~225は一例であり、他の環境条件(たとえば、誰に対して)が含まれていてもよく、いずれかの環境条件221~225が除外されていてもよい。
【0028】
生活活動201のQoL値を確認する質問203は、WHO QoL BriefのQoL値算出に用いる質問の事例である。図2ではWHOの事例を示したが、これに限定されず、適宜最適なQoL指標が採用される。生活活動201のQoL値を確認する質問203内の質問203は、設問データとして、サンプル対象者端末141にネットワーク170を介して送信される。サンプル対象者端末141は、サンプル対象者140の操作により、選択式で回答し、回答結果を回答データとして評価装置100に送信する。
【0029】
設問生成部114は、生活活動201のQoL値を算出する前に、算出ルールを決定するための設問データを生成する。具体的には、たとえば、設問データは、図2に示した、サンプル対象者140が行った生活活動201と、サンプル対象者140が生活活動201を行った活動環境202と、生活活動201のQoL値を確認する質問203と、により構成される。設問生成部114は、サンプル対象者端末141から調査トリガを受け付けた場合に、生成した設問データを、調査トリガを送信したサンプル対象者端末141に送信する。
【0030】
データベース生成部115は、データベース112を生成する。具体的には、たとえば、データベース生成部115は、設問生成部114によって生成された設問データに対する回答データをサンプル対象者端末141から収集し、回答内容に基づいて、生活活動201と嗜好する活動環境202の環境条件221~225を分析する。
【0031】
そして、データベース生成部115は、各生活活動201において、サンプル対象者140ごとに、活動環境202を規定する環境条件221~225での活動パターン別のQoL値の列ベクトルを生成する。この列ベクトルは、活動パターンP1、P2、P3、…のQoL値を要素とするベクトルである。データベース生成部115は、ユークリッド距離が近い列ベクトルどうしが同一クラスタに所属するよう、クラスタリングする。
【0032】
初期状態では、列ベクトルの数だけクラスタが存在し、データベース生成部115は、ユークリッド距離が最短となる列ベクトルのペアから順次クラスタリングする。データベース生成部115は、同一クラスタに所属することになった複数の列ベクトルの各要素の平均値を算出、または、中央値もしくは最頻値を取得して、クラスタを代表する列ベクトルを生成し、クラスタリングの対象とする。
【0033】
データベース生成部115は、このクラスタリングを、クラスタ数が所定数になるまで、または、各々のクラスタに所属する列ベクトルの数が所定数以上となるまで、実行する。これにより、生活活動201ごとにクラスタ別QoL管理テーブルが生成される(図3を参照)。
【0034】
また、データベース生成部115は、各生活活動201において、回答したサンプル対象者140とその所属クラスタとを関連付ける。これにより、生活活動201ごとに所属クラスタ管理テーブルが生成される(図3を参照)。
【0035】
[データベース112]
図3は、データベース112の一例を示す説明図である。データベース112は、データベース生成部115によって生成される。データベース112は、生活活動201ごとに、クラスタ別QoL管理テーブル300と、所属クラスタ管理テーブル310と、を有する。図3では、一例として、生活活動201が仕事である場合のクラスタ別QoL管理テーブル300および所属クラスタ管理テーブル310を示している。
【0036】
クラスタ別QoL管理テーブル300は、生活活動201別に、サンプル対象者140をクラスタリングした結果を示すテーブルであり、フィールドとして、活動パターン301と、クラスタ別QoL値302と、を有する。活動パターン301は、サンプル対象者140が環境条件221~225で活動した類型である。活動パターン301の値である「P#」(#は番号)を活動パターンP#と表記することがある。活動パターンP1,P2,…を区別しない場合は、活動パターン301と表記する。
【0037】
たとえば、生活活動221が「仕事」である活動パターンP1は、環境条件221(どこで)が「〇〇区」、環境条件222(どういう施設で)が「職場」、環境条件223(どういう手段で)が「会議」、環境条件224が(誰と)が「同僚」、環境条件225が「2時間」となる活動パターンである。
【0038】
また、たとえば、生活活動221が「仕事」である活動パターンP2は、環境条件221(どこで)が「△△市」、環境条件222(どういう施設で)が「シェアオフィス」、環境条件223(どういう手段で)が「PC」、環境条件224が(誰と)が「独り」、環境条件225が「3時間」となる活動パターンである。
【0039】
クラスタ別QoL値302は、活動パターン301ごとのQoL値の集合であり、クラスタごとに存在する。クラスタ別QoL値302は、クラスタに所属する複数の列ベクトルの各要素の平均値を算出、または、中央値を取得した、クラスタの列ベクトルである。
【0040】
なお、活動パターン301とクラスタ別QoL値302との関係は、クラスタ別QoL管理テーブル300に限らず、関数で定義してもよい。具体的には、たとえば、データベース生成部115は、活動パターン301を正解データ、クラスタに所属するQoL値の列ベクトルを訓練データとして、機械学習を実行し、活動パターン301とクラスタ別QoL値302との関係を機械学習モデルで定義してもよい。
【0041】
所属クラスタ管理テーブル310は、フィールドとして、クラスタID311と、サンプル対象者ID312と、を有する。クラスタID311は、クラスタを一意に特定する識別情報である。サンプル対象者ID312は、サンプル対象者140を一意に特定する識別情報である。これにより、サンプル対象者ID312で特定されるサンプル対象者140が、どのクラスタに所属しているかを特定することが可能になる。
【0042】
図1に戻り、推定部116は、データベース112の生成後に、生活活動201別に生活活動201のQoL値を推定値として算出する。具体的には、たとえば、推定部116は、スマートフォン、リストバンド型センサやスマートウォッチなどに代表されるサンプル対象者端末141から、サンプル対象者ID312と、検出データと、を取得する。検出データは、たとえば、サンプル対象者端末141に内蔵されるセンサによって検出されたデータ(加速度、緯度経度、会話や環境音などの音声、心拍数など)である。
【0043】
また、推定部116は、同意を得ている同席者情報をサンプル対象者端末141から取得する。たとえば、サンプル対象者端末141内のスケジュール管理ソフトウェアにおいて、ある日時およびある施設でのイベント情報が登録されていたとする。当該イベントには、出席者として他のサンプル対象者140のサンプル対象者ID312が登録されていたとする。サンプル対象者端末141は、当該イベントの日時に、イベント情報に他のサンプル対象者140のサンプル対象者ID312を同席者情報として含めて、検出データとして評価装置100に送信する。これにより、推定部116は、受信したイベント情報から同席者情報を取得することができる。
【0044】
また、推定部116は、公開サイトなどから取得される場所や気象情報など生活活動201を行った際の環境情報や生活活動201を行った場所で得られるサービス情報(ポイント付与など)を取得する。
【0045】
サンプル対象者ID312、検出データ、環境情報、およびサービス情報、サンプル対象者端末141を、サンプル対象者140の行動データと称す。
【0046】
そして、推定部116は、取得した行動データを参照して、生活活動201と、生活活動201を行う際の環境条件221~225での活動パターン301と、を推定する。
【0047】
具体的には、推定部116は、サンプル対象者端末141からの行動データに基づいて、サンプル対象者140の生活活動201がいずれに該当するかを推定する。
【0048】
たとえば、推定部116は、所定時間内で取得された一連の検出データに含まれる心拍数により、当該所定時間内でのサンプル対象者140の生活活動201が、いずれに該当するかを判断する。たとえば、心拍数が睡眠を示す数値であれば生活活動は睡眠であると判断し、食事を示す数値であれば生活活動は食事であると判断する。
【0049】
また、推定部116は、心拍数だけでなく、緯度経度情報や時間帯、施設情報も用いて、生活活動201を推定してもよい。たとえば、施設情報で特定される施設がフィットネスクラブであり、検出データの心拍数が運動を示す数値であり、緯度経度情報がフィットネスクラブの位置を示し、検出データの取得時刻がフィットネスクラブの営業時間帯でありかつサンプル対象者140の勤務時間外であれば、推定部116は、生活活動201は「余暇」であると特定する。
【0050】
また、たとえば、推定部116は、所定時間内で取得された一連の検出データの緯度経度情報で特定される位置の移動履歴、移動速度および当該位置に該当する地図データ上の交通機関の路線に基づいて、サンプル対象者140の生活活動201がいずれに該当するかを推定してもよい。たとえば、検出データの取得時刻が鉄道の運行時間帯であり、緯度経度情報の移動履歴が鉄道の路線であり、移動速度が鉄道の速度であれば、生成部101は、生活活動201は「移動」であると特定する。
【0051】
また、推定部116は、サンプル対象者端末141からの行動データを訓練データとし、サンプル対象者140がその時に選択した生活活動201を正解データとして、事前に機械学習を実行して機械学習モデルを生成しておき、この機械学習モデルに、サンプル対象者端末141からの行動データを入力することで、生活活動201を推定してもよい。
【0052】
このように、推定部116は、サンプル対象者端末141からの行動データに基づいて、サンプル対象者140の生活活動201がいずれに該当するかを推定することができる。
【0053】
また、推定部116は、サンプル対象者端末141からの行動データに基づいて、サンプル対象者140の行動パターン301がいずれに該当するかを推定する。行動パターン301は、環境条件221~225の類型であるため、推定部116は、行動データを用いて、環境条件221~225を具体的に特定する。
【0054】
環境条件221(どこで)については、たとえば、行動データ内の緯度経度情報により特定される。環境条件222(どういう施設で)については、行動データ内の緯度経度情報が示す位置に存在する地図データ上の施設情報により特定される。
【0055】
環境条件223(どういう手段で)については、たとえば、環境条件222および行動データ内の音声データにより特定される。たとえば、環境条件222で施設がそのサンプル対象者140の「職場」であり、かつ、行動データ内に「会議します。」というような音声データが含まれ、推定部116が音声データを音声認識することにより、推定部116は、環境条件223が「会議」であると特定する。また、音声データにより複数人の発話が音声認識された場合に、推定部116は、環境条件223が「会議」であると特定してもよい。
【0056】
環境条件224(誰と)については、たとえば、行動データ内に、上述した同席者情報を含むイベント情報があればイベント情報により、特定される。
【0057】
たとえば、行動データ内に同席者情報が存在し、かつ、自身および当該同席者の勤務先情報が一致することにより、環境条件224が「同僚」であると特定される。勤務先情報は、QoL算出DB120においてサンプル対象者ID312毎に登録されている。
【0058】
環境情報225(どのくらいの時間で)については、推定した生活活動201の開始時刻および終了時刻により特定される。
【0059】
このように、推定部116は、サンプル対象者端末141からの行動データに基づいて、サンプル対象者140の行動パターン301がいずれに該当するかを推定することができる。
【0060】
そして、推定部116は、推定した生活活動201の所属クラスタ管理テーブル310を参照し、行動データに含まれるサンプル対象者ID312からそのサンプル対象者140が所属するクラスタのクラスタID311を特定する。そして、推定部116は、クラスタID311で特定されるクラスタの全活動パターン301のクラスタ別QoL値302の列のうち、推定した活動パターン301のクラスタ別QoL値302を、サンプル対象者140のQoL値の推定値として取得する。
【0061】
たとえば、サンプル対象者ID312が「00001」であれば、クラスタID311が「A」であるため、そのサンプル対象者140は、クラスタAに所属する。また、行動データにより、活動パターン301が「P2」に特定されたとすると、活動パターン301が「P2」におけるクラスタAのクラスタ別QoL値302は、「5」である。したがって、推定部116は、現在の生活活動201である「仕事」のQoL値の推定値として「5」を取得する。
【0062】
推定部116は、推定した活動パターン301、行動データおよび推定値として取得した生活活動201のQoL値を、ログとしてQoL算出DB120に格納する。
【0063】
QoL算出DB120は、生活活動201のQoL値の算出に必要なデータを保持するデータベースである。QoL算出DB120について具体的に説明する。
【0064】
[QoL算出DB120]
図4は、QoL算出DB120の一例を示す説明図である。QoL算出DB120は、サンプル対象者140ごとのQoL算出元データ400と、識別コード管理テーブル403と、を有する。QoL算出元データ400は、上層データ401と、下層データ402と、を有する。
【0065】
上層データ401は、行番001において、サンプル対象者ID312、デモグラフィック411、およびサイコグラフィック412を規定する。デモグラフィック411は、たとえば、性別、年齢、職業のような人口統計学的属性を特定する識別コードである。サイコグラフィック412は、たとえば、趣味、嗜好、志向、宗教のような心理学的属性を示す識別コードである。デモグラフィック411およびサイコグラフィック412の少なくとも一方により、サンプル対象者140は特徴づけられる。このほか、他のサンプル対象者140との関係(親族、友人、同僚など)を含んでいてもよい。この場合、他のサンプル対象者140との関係を示す識別コードと、他のサンプル対象者140のサンプル対象者ID312と、が上層データ401に規定される。また、職業については、図示はしないが、職場の施設情報(緯度経度情報含む)を有する勤務先情報を含む。
【0066】
下層データ402は、行番002以降において、活用可否ステータス420、生活活動201のQoL値421、生活活動422、生活手段423、生活人数424、生活活動開始時刻425、生活活動終了時刻426、緯度経度情報427、施設428、およびサービス情報429を規定する。
【0067】
図5は、図4に示した識別コード管理テーブル403の一例を示す説明図である。識別コード管理テーブル403は、カテゴリである生活活動422、生活手段423、生活人数424、施設428およびサービス情報429の各々の識別コード502の値を規定するテーブルである。
【0068】
図4に戻り、生活活動201のQoL値421、生活活動422、生活手段423、生活人数424、生活活動開始時刻425、生活活動終了時刻426、緯度経度情報427、施設428、およびサービス情報429は、サンプル対象者140の行動履歴データとしてQoL算出DB120に保存される。
【0069】
活用可否ステータス420は、サンプル対象者140が、生活活動422ごとに下層データ402の評価装置100への提供意思の可否を示す情報である。活用可否ステータス420は、サンプル対象者端末141からのアクセスにより生活活動422ごとに変更可能である。評価装置100は、活用可否ステータス420が「OK」に設定されている生活活動422の行番のデータを目的QoL値の算出のために抽出することができ、活用でき、「NG」に設定されている生活活動422の行番のデータを目的QoL値の算出のために抽出することができない。
【0070】
生活活動201のQoL値421は、推定部116からの推定値として生活活動422について取得されたクラスタ別QoL値302である。
【0071】
生活活動422は、サンプル対象者端末141からの行動データに基づいて推定された生活活動201を示すカテゴリ501であり、識別コード502で指定される。
【0072】
生活手段423は、生活活動201をどのような手段で実現したかを示すカテゴリ501であり、識別コード502で指定される。たとえば、推定部116は、所定時間内で取得された一連の検出データの緯度経度情報で特定される位置の移動履歴、移動速度および当該位置に該当する地図データ上の交通機関の路線に基づいて、サンプル対象者140の生活手段423が、どのような手段(徒歩、公共交通、自動車など)で実現されているかを推定する。たとえば、検出データの取得時刻が鉄道の運行時間帯であり、緯度経度情報の移動履歴が鉄道の路線であり、移動速度が鉄道の速度であれば、推定部116は、生活手段423は「公共交通」であると特定する。
【0073】
生活人数424は、生活活動201をどのくらいの人数で実現したかを示すカテゴリ501であり、識別コード502で指定される。たとえば、推定部116は、たとえば、行動データ内に、同席者情報があれば同席者情報により、同席者に関する音声データがあれば音声データにより、同席者のサンプル対象者端末141からの行動データにより自身および他のサンプル対象者端末141の行動データの緯度経度情報や施設情報があれば当該緯度経度情報や施設情報により、推定する。推定部116は、生活人数424として環境条件224を援用してもよい。
【0074】
生活活動開始時刻425は、サンプル対象者端末141からの行動データに基づいて推定された生活活動201の開始時刻である。
【0075】
生活活動終了時刻426は、サンプル対象者端末141からの行動データに基づいて推定された生活活動201の終了時刻である。すなわち、生活活動開始時刻425および生活活動終了時刻426は、環境条件225に対応する。
【0076】
緯度経度情報427は、サンプル対象者端末141からの行動データとして取得され、環境条件221に対応する。
【0077】
施設428は、サンプル対象者端末141からの行動データ内の施設情報について取得されたカテゴリ501であり、識別コード502で指定される。施設428は、環境条件222に対応する。
【0078】
サービス情報429は、サンプル対象者端末141からの行動データ内のサービス情報として取得されたカテゴリ501であり、識別コード502で指定される。
【0079】
このようにして、推定部116は、生活活動201のQoL値421および生活活動422のほか、行動データに基づいて、生活手段423、生活人数424、生活活動開始時刻425、生活活動終了時刻426、緯度経度情報427、施設428、およびサービス情報429を生成して、QoL算出DB120に行動履歴データとして登録する。なお、推定部116は、行動データをそのまま行動履歴データとして登録してもよい。
【0080】
図1に戻り、導出QoLDB130は、目的QoL値を導出に必要なデータを保持するデータベースである。導出QoLDB130について具体的に説明する。
【0081】
[導出QoLDB]
図6は、導出QoLDB130の一例を示す説明図である。導出QoLDB130は、参照可能情報リスト131および算出手法リスト132のほか、サンプル対象者140ごとの導出QoLデータ600を有する。導出QoLデータ600は、上層データ601と、下層データ602と、を有する。
【0082】
上層データ601は、行番001において、サンプル対象者140のサンプル対象者ID312を規定する。上層データ601は、サンプル対象者140のサンプル対象者ID312ではなく、共通の属性を有する複数のサンプル対象者140であるクラスタのIDでもよい。
【0083】
下層データ602は、行番002以降において、評価対象621と、モデル622と、モデルパラメータ623と、を規定する。評価対象621は、評価装置100による評価の対象となる観点の識別コードである。本実施例では、たとえば、評価対象621が「000」という識別コードであれば「XX公園での生活活動」、評価対象621が「001」という識別コードであれば「施設ZZで企画したイベントの参加女性の生活活動」と定義する。
【0084】
モデル622は、評価対象621で定義される生活活動201に関する目的QoL値を算出する関数を一意に特定する識別コードである。関数と識別コードとの対応関係は、算出手法リスト132で定義される。
【0085】
モデルパラメータ623は、モデル622で特定される関数に入力されるパラメータである。サンプル対象者140により、該当する生活活動201から感じる満足度や充足度は異なるため、サンプル対象者140ごとにモデルパラメータ623が設定される。モデル622およびモデルパラメータ623は、自治体サービサ端末161やサンプル対象者端末141により、変更可能である。
【0086】
算出手法リスト132は、行番において、モデル622と、関数定義630と、を規定する。関数定義630は、評価対象621で定義される生活活動201に関する目的QoL値を算出する関数を定義する。評価対象621と関数定義630との対応関係は、自治体サービサ端末161から任意に変更可能である。
【0087】
図7は、参照可能情報リスト131の一例を示す説明図である。参照可能情報リスト131は、評価対象621を定義するデータであり、参照対象情報領域701と、参照条件情報領域702と、を有する。
【0088】
参照対象情報領域701は、たとえば、評価対象621と、男性710と、女性711と、職業712と、参照職業情報713と、時間714と、参照時間情報715と、緯度経度716と、参照地理情報717と、施設718と、参照施設情報719と、を有する。
【0089】
男性710は、評価対象621で定義される生活活動の参加者に男性が含まれているか否かを示す識別コードである。「000」であれば男性は含まれておらず、「001」であれば男性は含まれている。
【0090】
女性711は、評価対象621で定義される生活活動の参加者に女性が含まれているか否かを示す識別コードである。「000」であれば女性は含まれておらず、「001」であれば女性は含まれている。
【0091】
職業712は、評価対象621で定義される生活活動の参加者の職業の参照有無を示す識別コードである。評価装置100は、職業712の値が「000」であれば参照職業情報713を参照せず、「001」であれば参照職業情報713を参照して、職業を特定する。
【0092】
参照職業情報713は、参照条件情報領域702で規定される参照条件番号721を規定する。たとえば、「005」であれば、参照条件723として、参照条件情報領域702の行番006の参照条件番号721である「005」に対応する「会社員、自営業」が特定される。
【0093】
時間714は、評価対象621で定義される生活活動201の活動時間の参照有無を示す識別コードである。評価装置100は、時間714の値が「000」であれば参照時間情報715を参照せず、「001」であれば参照時間情報715を参照して、生活活動の活動時間を特定する。
【0094】
参照時間情報715は、参照条件情報領域702で規定さる参照条件番号721を規定する。たとえば、参照時間情報715の値が「003」であれば、参照条件723として、参照条件情報領域702の行番004の参照条件番号721である「003」に対応する「2021.6.10.13:30,2021.6.10.15:30」が特定される。
【0095】
緯度経度716は、評価対象621で定義される生活活動201の活動位置の参照有無を示す識別コードである。評価装置100は、緯度経度716の値が「000」であれば参照地理情報717を参照せず、「001」であれば参照地理情報717を参照して、生活活動201の活動位置を特定する。
【0096】
参照地理情報717は、参照条件情報領域702で規定される参照条件番号721を規定する。たとえば、参照地理情報717の値が「001」であれば、参照条件723として、参照条件情報領域702の行番002の参照条件番号721である「001」に対応する矩形の4頂点の緯度経度「(35.709,139.761),(35.711,139.760),(35.712,139.762),(35.711,139.762)」のポリゴンデータが特定される。ポリゴンデータは、たとえば、地図サーバ151から取得される。
【0097】
施設718は、評価対象621で定義される生活活動201が行われた施設の参照有無を示す識別コードである。評価装置100は、施設718の値が「000」であれば参照施設情報719を参照せず、「001」であれば参照施設情報719を参照して、生活活動201が行われた施設を特定する。
【0098】
参照施設情報719は、参照条件情報領域702で規定される参照条件番号721を規定する。参照条件723として、参照条件情報領域702に規定されている施設名や住所、施設の概要などのテキストデータが特定される。
【0099】
参照条件情報領域702は、参照条件を規定する領域であり、参照対象情報領域701における参照職業情報713、参照時間情報715、参照地理情報717および参照施設情報719で規定される参照条件番号721と、条件定義722と、参照条件723と、を有する。条件定義722は、参照条件723の名称となるテキストデータである。
【0100】
図1に戻り、リスト生成部102は、自治体サービサ端末161からの操作により、QoL算出DB120の行動履歴データ(生活活動201のQoL値421、生活活動422、生活手段423、生活人数424、生活活動開始時刻425、生活活動終了時刻426、緯度経度情報427、施設428、およびサービス情報429)を参照して、参照可能情報リスト131を生成する。これにより、自治体サービサ端末161のユーザは、適切な参照可能情報リスト131を作成することができる。
【0101】
QoL算出部103は、QoL算出DB120および算出手法リスト132を参照して、QoL算出DB120から評価対象621に該当する生活活動201のQoL値421を抽出し、算出手法リスト132の算出手法にしたがって目的QoL値を算出する。評価装置100は、算出した目的QoL値を自治体サービサ端末161に送信する。
【0102】
[QoL値]
ここで、QoL値について具体的に説明する。評価装置100が算出するQoL値には、生活活動201のQoL値421と、目的QoL値と、がある。生活活動201のQoL値421とは、上述したように、そのサンプル対象者140が行った生活活動201についてそのサンプル対象者140がどのくらい満足しているかを示す指標値である。すなわち、生活活動201のQoL値421は、上述したように、推定部116からの推定値として生活活動422について取得されたクラスタ別QoL値302である。
【0103】
一方、目的QoL値とは、評価対象621で定義される生活活動201を行ったサンプル対象者140の集団がどのくらい満足しているかを示す指標値である。目的QoL値は、評価対象621で定義される生活活動201のQoL値421と、当該生活活動201を行ったサンプル対象者140のモデルパラメータ623とを、関数定義630で定義された関数に代入することにより算出される。
【0104】
QoL算出部103は、推定部116によって推定された生活活動201のQoL値421から、目的QoL値を算出する。目的QoL値は、たとえば、特定の政策、特定の公共サービス、身障者、性別、年齢層など特定の属性の都市生活のような評価対象621で定義される生活活動201についての効果評価に使うQoL値である。
【0105】
具体的には、たとえば、QoL算出部103は、目的に合致するサンプル対象者140の生活活動201のQoL値421をQoL算出DB120から抽出し、目的に合致する関数定義630を算出手法リスト132から抽出し、抽出した生活活動201のQoL値421を、抽出した関数定義630に代入する。これにより、QoL算出部103は、目的QoL値を算出する。
【0106】
[評価対象621に関する目的QoL値の算出例]
ここで、評価対象621に関する目的QoL値の算出例1について説明する。ここでは、評価対象621を、その識別コード「000」である「XX公園での生活活動」とする。「XX公園での生活活動」の場合、XX公園内で行われた生活活動201のQoL値421が必要になる。このため、参照対象情報領域701における行番002の緯度経度716は「001」に設定される。また、行番002の参照地理情報717が参照する参照条件番号721は、XX公園の位置を示す矩形の4頂点となる4つの緯度経度(参照条件723)で特定されるポリゴンデータとなる。
【0107】
この参照条件723で特定されるXX公園の4つの緯度経度により、QoL算出部103は、QoL算出DB120を参照し、XX公園の4つの緯度経度に含まれる緯度経度情報427と同一行番の生活活動201のQoL値421を目的に合致するQoL値421として、活用可否ステータス420が「OK」であれば、サンプル対象者140の下層データ402から抽出する。
【0108】
また、QoL算出部103は、算出手法リスト132から関数定義630を指定する。具体的には、たとえば、各サンプル対象者140の下層データ602におけるモデル622において、評価対象621の識別コード「000」に対応する関数定義630として、重み付き加算平均を定義する関数定義630を特定する識別コード「000」が規定されているものとする。
【0109】
この場合、QoL算出部103は、識別コード「000」の関数定義630を目的に合致する関数定義630として用いて、抽出した生活活動201のQoL値421を重み付き加算平均した値を、「XX公園での生活活動」に関する目的QoL値として算出する。
【0110】
なお、サンプル対象者140ごとに下層データ602にモデルパラメータ623が設定されている。図6の例では、サンプル対象者ID312が「ID00001」である評価対象621の識別コード「000」の行番002には、モデルパラメータ623として、「3.00」が設定されている。したがって、サンプル対象者ID312が「ID00001」であるサンプル対象者140の生活活動201のQoL値421を、識別コード「000」の関数定義630に適用する場合、そのモデルパラメータ623である「3.00」が関数定義630の重みとして適用される。
【0111】
評価対象621に関する目的QoL値の算出例2について説明する。ここでは、評価対象621を、識別コード「001」である「施設ZZで企画したイベントの参加女性の生活活動」とする。「施設ZZで企画したイベントの参加女性の生活活動」の場合、施設ZZ内で行われた生活活動201のQoL値421が必要になる。このため、参照対象情報領域701における行番002の緯度経度716は「001」に設定される。また、行番002の参照地理情報717が参照する参照条件番号721は、施設ZZの位置を示す矩形の4頂点となる4つの緯度経度(参照条件723)で特定されるポリゴンデータとなる。
【0112】
また、「施設ZZで企画したイベントの参加女性の生活活動」の活動時間帯に行われた生活活動201のQoL値421も必要になる。このため、参照対象情報領域701における行番002の時間714は「001」に設定される。また、行番002の参照時間情報715が参照する参照条件番号721は、たとえば、参照条件情報領域702における行番004の時間帯を示す参照条件723である。
【0113】
また、「施設ZZで企画したイベントの参加女性の生活活動」の参加対象である女性の生活活動201のQoL値421も必要になる。このため、参照対象情報領域701における行番002の女性711は「001」に設定され、参照対象情報領域701における行番002の男性710は「000」に設定される。
【0114】
この参照条件723で特定される施設ZZの4つの緯度経度、時間帯、および女性711が含まれていることを示す識別コード「001」により、QoL算出部103は、QoL算出DB120を参照し、デモグラフィック411の性別が女性であるQoL算出元データ400において、施設ZZの4つの緯度経度に含まれる緯度経度情報427および施設ZZで企画したイベントの時間帯と同一行番の生活活動201のQoL値421を目的に合致するQoL値421として、活用可否ステータス420が「OK」であれば、サンプル対象者140の下層データ402から抽出する。
【0115】
また、QoL算出部103は、算出手法リスト132から関数定義630を指定する。具体的には、たとえば、各サンプル対象者140の下層データ602におけるモデル622において、評価対象621の識別コード「001」に対応する関数定義630として、重み付き2乗平均を定義する関数定義630を特定する識別コード「001」が規定されているものとする。
【0116】
この場合、QoL算出部103は、識別コード「001」の関数定義630を目的に合致する関数定義630として用いて、抽出した生活活動201のQoL値421を重み付き2乗平均した値を、「施設ZZで企画したイベントの参加女性の生活活動」に関する目的QoL値として算出する。
【0117】
なお、サンプル対象者140ごとに下層データ602にモデルパラメータ623が設定されている。図6の例では、サンプル対象者ID312が「ID00001」である評価対象621の識別コード「000」の行番002には、モデルパラメータ623として、「3.00」が設定されている。したがって、サンプル対象者ID312が「ID00001」であるサンプル対象者140の生活活動201のQoL値421を、識別コード「001」の関数定義630に適用する場合、そのモデルパラメータ623である「3.00」が関数定義630の重みとして適用される。
【0118】
図8は、あるサンプル対象者140の一日の時系列な生活活動201と活動環境202との対応関係を示す説明図である。生活活動201は、あるサンプル対象者140の一日の時系列な生活活動201A1、201B1、201C、201D1、201E、201B2、201F、201G、201D2、201B3、201A2である。対応活動環境802は、生活活動201の各々が行われた活動環境を示す。各生活活動201の横幅は時間間隔を示す。
【0119】
たとえば、睡眠201A1および食事201B1は、そのサンプル対象者140が居住する都市Bにある自宅という活動環境202Aで行われた生活活動201を意味する。同様に、育児201Cも、そのサンプル対象者140が居住する都市Bにある自宅という活動環境202Aで行われた生活活動201を意味する。
【0120】
また、移動201D1は、そのサンプル対象者140が居住する都市Bでの車という活動環境202Bによる生活活動201を意味する。また、余暇201Eは、そのサンプル対象者140が活動環境202Bによる移動先の都市Aでカフェという活動環境202Cで行われた生活活動201を意味する。また、食事201B2は、そのサンプル対象者140が都市Aで飲食店という活動環境202Dで行われた生活活動201を意味する。
【0121】
また、仕事201Fは、そのサンプル対象者140が都市Aにあるオフィスという活動環境202Eで行われた生活活動201を意味する。運動201Gは、そのサンプル対象者140が都市Aにある公園という活動環境202Fで行われた生活活動201を意味する。移動201D2は、そのサンプル対象者140が都市Bでの車という活動環境202Bによる生活活動201を意味する。食事201B3および睡眠201A2は、そのサンプル対象者140が居住する都市Bにある自宅という活動環境202Aで行われた生活活動201を意味する。
【0122】
各生活活動201のQoL値421は、生活活動201を行った時間、生活活動201に対する選好度、および生活活動201を行った活動環境202で決まる。図8に示すように、サンプル対象者140の一日の生活は複数の生活活動201の組み合わせで成立している。したがって、評価装置100は、生活活動201のQoL値を満足度として指標化することができる。この生活活動201のQoL値421の組み合わせ方により、任意の観点となる目的QoL値が定義できる。たとえば、都市Aに関する目的QoL値を導出したい場合、評価装置100は、都市Aで行われた生活活動201E,201B2,201F,201GのQoL値を参照することになる。
【0123】
また、移動手段に関する目的QoL値を導出したい場合、評価装置100は、「移動」を示す生活活動201D1,201D2のQoL値を参照することになる。特定の評価対象621や特定の属性(デモグラフィック411またはサイコグラフィック412)の住民を評価する場合においても、上記と同様に、評価装置100は、該当する生活活動201のQoL値421をQoL算出DB120から取得して、目的QoL値を算出することになる。目的QoL値は、たとえば、政府や自治体の都市経営ややインフラ評価の維持管理に資する指標として活用可能である。
【0124】
[評価装置100ハードウェア構成例]
図9は、評価装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。評価装置100は、プロセッサ901と、記憶デバイス902と、入力デバイス903と、出力デバイス904と、通信インターフェース(通信IF)905と、を有する。プロセッサ901、記憶デバイス902、入力デバイス903、出力デバイス904、および通信IF905は、バス906により接続される。プロセッサ901は、評価装置100を制御する。記憶デバイス902は、プロセッサ901の作業エリアとなる。また、記憶デバイス902は、各種プログラムやデータを記憶する非一時的なまたは一時的な記録媒体である。記憶デバイス902としては、たとえば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリがある。入力デバイス903は、データを入力する。入力デバイス903としては、たとえば、キーボード、マウス、タッチパネル、テンキー、スキャナ、マイク、センサがある。出力デバイス904は、データを出力する。出力デバイス904としては、たとえば、ディスプレイ、プリンタ、スピーカがある。通信IF905は、ネットワーク170と接続し、データを送受信する。
【0125】
なお、サンプル対象者端末141、外部サイト150、および自治体サービサ端末161も、図9と同様なハードウェア構成である。
【0126】
<サンプル対象者端末141の画面例>
つぎに、サンプル対象者端末141の画面例について図10図13を用いて説明する。
【0127】
図10は、サンプル対象者端末141の画面例1を示す説明図である。サンプル対象者端末141は、ディスプレイ1000に同意取得画面1001を表示する。同意取得画面1001は同意ボタン1002を含む。同意取得画面1001は、調査の主題1011と、調査目的の説明1012と、を表示する。
【0128】
サンプル対象者140は、調査の主題1011および調査目的の説明1012を読み、同意した場合に、その旨の意思表示のために同意ボタン1002を押下する。同意ボタン1002の押下により、サンプル対象者端末141は、評価装置100から設問データを取得する。そして、ディスプレイ1000の表示内容は、同意取得画面1001から第1アンケート画面に遷移する。
【0129】
図11は、サンプル対象者端末141の画面例2を示す説明図である。図11は、同意取得画面1001から遷移した第1アンケート画面1100を示す。第1アンケート画面1100は、第1質問内容1101と、第1選択ボタン群1102と、を表示する。第1選択ボタン群1102は、評価装置100からの設問データに含まれている生活活動201である。
【0130】
サンプル対象者140は、第1選択ボタン群1102のいずれかを押下する。この押下により、ディスプレイ1000の表示内容は、第1アンケート画面1100から第2アンケート画面に遷移する。
【0131】
図12は、サンプル対象者端末141の画面例3を示す説明図である。図12は、第1アンケート画面1100から遷移した第2アンケート画面1200を示す。第2アンケート画面1200は、第2質問内容1201と、第2選択ボタン群1202と、を表示する。第2選択ボタン群1202は、評価装置100からの設問データに含まれている活動環境202である。
【0132】
サンプル対象者140は、第2選択ボタン群1202のいずれかを押下する。活動環境202は図2に示したように複数(図2では4つ)存在するため、活動環境202についての質問がすべて完了するまで、次の質問に関する第2アンケート画面1200が表示される。最後の活動環境202について第2選択ボタン群1202のいずれかが押下されると、ディスプレイ1000の表示内容は、第2アンケート画面1200からQoL調査画面に遷移する。
【0133】
図13は、サンプル対象者端末141の画面例4を示す説明図である。図13は、第2アンケート画面1200から遷移したQoL調査画面1300を示す。QoL調査画面1300は、第3質問内容1301と、第3選択ボタン群1302と、を表示する。第3質問内容1301は、生活活動201のQoL値421を確認する質問203である。第3選択ボタン群1302は、第3質問内容1301に対する5件法の回答の選択肢である。
【0134】
第3質問内容1301は図2に示したように複数(図2では26個)存在するため、生活活動201のQoL値421を確認する質問203についての質問がすべて完了するまで、次の質問に関するQoL調査画面1300が表示される。最後の生活活動201のQoL値421を確認する質問203(Q26)について第3選択ボタン群1302のいずれかが押下されると、サンプル対象者端末141は、サンプル対象者140のサンプル対象者ID312とこれまで選択した選択肢とを含む回答データを、評価装置100に送信する。
【0135】
<データベース生成処理>
図14は、データベース生成部115によるデータベース生成処理例を示すシーケンス図である。サンプル対象者端末141は、政府、自治体などの調査事業主体、または当該調査事業主体から委託を受けた調査代行業者1300の端末1301から、調査対象となった旨の告知を受ける(ステップS1400)。これにより、サンプル対象者端末141は、調査およびデータ提供に対する同意取得画面901を表示し、同意ボタン902が押下されると、サンプル対象者140のサンプル対象者ID312の登録依頼と調査トリガとを送信する(ステップS1401)。
【0136】
サンプル対象者140のサンプル対象者ID312の登録依頼と調査トリガとを受信すると、設問生成部114は、設問データを生成して、サンプル対象者端末141に送信する(ステップS1402)。
【0137】
サンプル対象者端末141は、図10図13に示したように、サンプル対象者140の選択により回答データを生成し、データベース生成部115に送信する(ステップS1403)。
【0138】
データベース生成部115は、サンプル対象者端末141からの回答データ、地図サーバ151および気象サーバ152からのデータを受信して、クラスタリングを実行して、クラスタ別QoL管理テーブル300および所属クラスタ管理テーブル310のエントリを生成する(ステップS1404)。
【0139】
そして、データベース生成部115は、生成したクラスタ別QoL管理テーブル300および所属クラスタ管理テーブル310のエントリをデータベース112に登録する(ステップS1405)。このようなデータベース生成処理では、初期においては、データベース生成部115は、サンプル対象者140の集団について回答データの蓄積後に実行し、その後においては、新規のサンプル対象者140について回答データが得られる都度、データベース112を更新する。
【0140】
<目的QoL値の算出処理>
図15は、目的QoL値の算出処理手順例を示すシーケンス図である。調査代行業者1300から依頼を受けた自治体サービサ160の操作により、自治体サービサ端末161は、調査対象となるサンプル対象者ID312(以下、調査対象サンプル対象者ID312)を選出し、選出した調査対象サンプル対象者ID312を評価装置100に送信する(ステップS1501)。送信される調査対象サンプル対象者ID312は、無作為に選出されたサンプル対象者140のサンプル対象者ID312でもよく、特定のクラスタに属するサンプル対象者140のサンプル対象者ID312でもよい。
【0141】
推定部116は、調査対象サンプル対象者ID312を受け付けると、生活活動201のQoL値421を推定する(ステップS1502)。具体的には、たとえば、評価装置100は、調査対象サンプル対象者ID312の各々について、その調査対象サンプル対象者ID312を有するサンプル対象者端末141にサンプリングトリガを送信し、サンプル対象者端末141から、現時点の検出データを取得する。
【0142】
また、推定部116は、検出データの時刻に対応する気象データを気象サーバ152から取得し、検出データの時刻における緯度経度に対応する施設情報を地図サーバ151から取得し、図示しない公開サイトからサービス情報を取得する。このようにして、推定部116は、行動データを取得する。
【0143】
推定部116は、取得した行動データを用いて、データベース112を参照して、調査対象サンプル対象者ID312のサンプル対象者140について、生活活動201のQoL値421を推定する。そして、推定部116は、活用可否ステータス420、推定した生活活動201のQoL値421、生活活動422、生活手段423、生活人数424、生活活動開始時刻425、生活活動終了時刻426、緯度経度情報427、施設428、およびサービス情報429を、行動履歴データとして、QoL算出DB120に格納する(ステップS1503)。
【0144】
自治体サービサ端末161は、ステップS1501で送信したすべての調査対象サンプル対象者ID312について、ステップS1503のデータ格納の完了通知を受けると、分析観点を分析開始信号として評価装置100に送信する(ステップS1504)。分析観点とは、たとえば、評価対象621の識別コードのほか、属性情報(デモグラフィック411やサイコグラフィック412)、施設情報、サービス情報である。たとえば、自治体サービサ160が、「XX公園での生活活動」について分析してその目的QoL値を取得したい場合、評価対象621の識別コード「000」を自治体サービサ端末161に設定し、自治体サービサ端末161がその識別コード「000」を評価装置100に送信する。
【0145】
評価装置100は、分析観点を受信すると、自治体サービサ端末161からの評価対象621の識別コードに対応する関数定義630を導出QoLDB130から取得して(ステップS1505)、QoL算出部103に出力する。また、[評価対象621に関する目的QoL値の算出例]で説明したように、QoL算出部103は、該当する生活活動201のQoL値421および評価対象621のモデルパラメータ623を取得し、QoL算出部103に出力する(ステップS1506)。
【0146】
QoL算出部103は、関数定義630に生活活動201のQoL値421および評価対象621のモデルパラメータ623を代入することにより、目的QoL値を算出し、自治体サービサ端末161に送信する(ステップS1507)。これにより、目的QoL値の算出処理が終了する。
【0147】
<活用事例>
つぎに、本実施例にかかる評価システム10のインフラへの活用事例について説明する。ここでは、インフラの一例として公園経営を例に挙げて説明する。
【0148】
図16は、公園経営に対する活用事例を示す説明図である。従来の公園経営における効果評価指標には、たとえば、緑被率、公園面積、公園の数がある。これらの値は公園を設計してしまえば、基本的に変化しない値である。従来型の都市計画では、緑の量を増やす公園整備を行うことで、公園整備前に比べて緑の量は増加するが、公園整備後は増加しない。また、公園整備をしたが、利用者の増加にはつながらなかったこととする。
【0149】
そこで、本実施例にかかる評価システム10を公園経営に適用し、人々に利用されない要因や隠れたニーズを分析することで、ソフト施策を検討したり、検討した施策を実施したりする。
【0150】
具体的には、たとえば、評価装置100は、公園を利用するサンプル対象者140のサンプル対象者端末141や外部サイト150からデータ収集して、サンプル対象者140の公園での生活活動201のQoL値421を算出する。そして、評価装置100は、サンプル対象者140が利用する公園の緑化を評価対象621として、目的QoL値を算出する。
【0151】
たとえば、公園整備により緑の量は増えたにもかかわらず、緑化に関する目的QoL値が低いことが分かった場合は、政策設計者は、公園で過ごす人々の生活活動201のQoL値を取得する。これにより、たとえば、生活活動が「子育て」であるサンプル対象者140についての生活活動201のQoL値が、生活活動が「子育て」以外の公園利用であるサンプル対象者140についての生活活動201のQoL値よりも低かったとする。このことは、緑化は、子育てを行うサンプル対象者140に対して支持が得られなかったことを意味する。
【0152】
そこで、政策設計者は、子育てを行うサンプル対象者140の利用向上を図るため、ベンチのや子供が参加可能なイベントの開催を検討し、実施したとする。すると、生活活動201が「子育て」であるサンプル対象者140についての生活活動201のQoL値がベンチの設置前やイベント開催前に比べて上昇した。評価装置100が、ベンチの設置に関する目的QoL値やイベント開催に関するQoL値を算出したところ、緑化に関する目的QoL値よりも高いことが分かった。このように、評価装置100は、公園整備の効果を高める施策の必要性を政策設計者に認知させ、施策の効果をリアルタイムで評価することができる。その結果、従来は不可能であった、公園施設の価値を向上させる運用や改善が可能になる。
【0153】
また別の事例として自動運転バスのシナリオ例を挙げる。従来の設定効果評価指標は移動の効率化、移動時間の短縮であった。実際に施策により、これらの指標が改善し、効果が確認できたが、対象地域には居住者に高齢者が多く、生活活動201のQoL値421を評価すると、自動運転バス内での会話の量から、乗車時間が長いほど自動運転バスを生活手段423に利用した生活活動201のQoL値421が、生活人数が独り(生活人数424の識別コード502が「01」)の場合の生活活動201のQoL値421よりも高く、自動運転バスが社交の場としても機能していることが判明した。
【0154】
そこで、あえて長い巡回経路を設定した自動運転バスを運行したり、生活情報を共有するためのガイドを同乗させるサービスを展開したりして改善したところ、自動運転バスの利用者がさらに増え、自動運転バスを生活手段に利用した生活活動201のQoL値421も向上した。また、評価対象621で定義される生活活動において、生活手段として自動運転バスが利用された場合も、改善前に比べてその目的QoL値が上昇した。
【0155】
このシナリオの場合では、本実施例の評価システム10を活用することで、従来の効果評価指標では見えなかったニーズや利用者の訴求価値を発掘でき、大きなインフラ投資をせずに、住民のQoL向上を実現できた事例となる。
【0156】
このように、本実施例にかかる評価システム10は、あらゆるインフラ運用、行政、自治体の都市経営でも同様の効果が期待できる。また、必要なタイミングで即時に生活活動201のQoL値421および目的QoL値を算出できるため、都市経営のサイクルの大幅な改善が可能となる。
【0157】
<都市経営サイクル>
図17は、評価システム10によって実現される都市経営サイクルを示す概念図である。従来の都市計画は、マスタープラン立案から実施、評価、更新までの工程に時間を要する5~10年の長期サイクルのプロセスがメインであり、各段階で多くの労力と時間を割いていた。そのため、施策の適応が従来システムの最適化にとどまり、住民への働きかけや生活に対する満足感、充足感への実感としての反映は十分ではなかった。
【0158】
評価システム10が適用されると、生活活動201のQoL値421を算出するためのデータの取得、生活活動201のQoL値421、および目的QoLの算出が即座に行われる。これにより、数か月以下の短周期のフィードバックが可能となり、現場の課題に対応した効果的な都市計画が推進可能になる。さらに公共サービスのソフト的な工夫や、インフラのフレキシブルな運用などに関して、短周期の効果評価と評価結果の蓄積が可能となり、既存のインフラや発動後の施策の新たな価値の付与が継続的に行われるサイクルを短周期で、かつ確実性をもって実現できるようになる。
【0159】
<高齢者に対する行政サービスおよび施策と期待する成果との関係>
図18は、高齢者に対する行政サービスおよび施策と期待する成果との関係の一例を示す説明図である。具体的な活動(施策)と、それらの直接の結果を通して、初期(短期)、中期、長期の成果とは因果関係によって結ばれる。図17の都市経営サイクルでは、直接的な結果である、住民の実感に裏付けられた生活活動201のQoL値421および目的QoL値の向上効果を、それぞれの施策に対して短周期で、施策直後に評価することが可能である。評価結果と因果関係を用いれば、マスタープランのような長期成果につながる施策の選択、淘汰が施策直後に可能となり、資源の効率化や、施策の持続性(住民が積極的に行政サービスを享受する)の観点で施策の失敗事例を極限まで低減することが可能となる。
【0160】
このように、本実施例によれば、実施負荷が小さく、かつ、即時的な実施結果が得られる生活活動のをQoL値および目的QoL値を自動取得することが可能である。これにより、政策設計者は、効果的な施策をタイムリーに実施することが可能となる。また、行った施策に効果があるか否かを即時的に測定することができ、政策方針の変更が容易になる。
【0161】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。たとえば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、または置換をしてもよい。
【0162】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、たとえば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0163】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、IC(Integrated Circuit)カード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disc)の記録媒体に格納することができる。
【0164】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0165】
10 評価システム
100 評価装置
101 生成部
102 リスト生成部
103 QoL算出部
114 設問生成部
115 データベース生成部
116 推定部
120 QoL算出DB
130 導出QoLDB
140 サンプル対象者
141 サンプル対象者端末
160 自治体サービサ
161 自治体サービサ端末
201 生活活動
202 活動環境
203 質問
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18