(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094565
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】処理装置
(51)【国際特許分類】
B24B 9/00 20060101AFI20240703BHJP
B24D 11/00 20060101ALI20240703BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B24B9/00 601G
B24D11/00 A
H01L21/304 621E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211193
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】水野 稔夫
(72)【発明者】
【氏名】檜森 洋輔
【テーマコード(参考)】
3C049
3C063
5F057
【Fターム(参考)】
3C049AA02
3C049AB01
3C049CA01
3C063AA02
3C063AB02
3C063BA02
3C063BA26
5F057AA32
5F057BA12
5F057CA21
5F057DA01
5F057EB05
5F057FA02
5F057FA25
(57)【要約】
【課題】ワークのベベル部を効果的に処理することができる技術を提供する。
【解決手段】処理装置1は、ワークWfを保持するように構成されたワークテーブル10と、処理パッドPdを保持するように構成された処理ヘッド30と、を備え、処理パッドは、内周溝壁131と外周溝壁132とを有する少なくとも1つの溝130が設けられたパッド面120を有し、ワークの処理時に、ワークテーブル及び処理ヘッドが回転するとともに、内周溝壁のエッジ133及び外周溝壁のエッジ134がワークのベベル部100に接触するように構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを保持するように構成されたワークテーブルと、
処理パッドを保持するように構成された処理ヘッドと、を備え、
前記処理パッドは、内周溝壁と前記内周溝壁よりも外周側に配置された外周溝壁とを有する少なくとも1つの溝が設けられたパッド面を有し、
前記ワークの処理時に、前記ワークテーブル及び前記処理ヘッドが回転するとともに、前記内周溝壁のエッジ及び前記外周溝壁のエッジが前記ワークの外周縁に設けられたベベル部に接触するように構成されている、処理装置。
【請求項2】
前記ワークの処理時に、前記処理ヘッドを揺動させるように構成された揺動機構をさらに備える、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記ワークの処理時に、前記処理パッドの回転軸線は前記ワークの外周縁よりも外周側に位置している、請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記ワークの処理時に、前記パッド面が傾斜した状態で、前記内周溝壁のエッジ及び前記外周溝壁のエッジが前記ベベル部に接触する、請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
前記ワークの処理時に、前記パッド面が傾斜した状態で、前記少なくとも1つの溝の溝幅に応じて、前記ワークにおける前記内周溝壁のエッジ及び前記外周溝壁のエッジが接触する範囲を調整するように構成されている、請求項2に記載の処理装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの溝は、複数の溝を含む、請求項1に記載の処理装置。
【請求項7】
前記複数の溝は、溝幅が互いに異なる複数の溝を含む、請求項6に記載の処理装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの溝は、平面視で円形又は螺旋形である、請求項1に記載の処理装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの溝は、平面視で円形であり、
前記少なくとも1つの溝の中心は、前記処理パッドの中心と一致していない、請求項8に記載の処理装置。
【請求項10】
前記パッド面は、水平方向に対して傾斜したテーパ面を有し、
前記少なくとも1つの溝は、前記テーパ面に設けられている、請求項1に記載の処理装置。
【請求項11】
第2のパッド面を有する第2の処理パッドをさらに備え、
前記第2の処理パッドは、前記処理パッドの前記パッド面における前記溝よりも中央の領域に配置され、且つ、前記処理パッドの前記パッド面よりも下方に突出している、請求項1に記載の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークに所定の処理を施すための処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、この特許文献1に例示されている処理装置は、ワークを保持するとともにワークの処理時に回転するように構成されたワークテーブルと、ワークを処理するための処理パッドを保持するとともにワークの処理時に回転するように構成された処理ヘッドと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ワークとして、ワークの外周縁にベベル部を有するものを用いることがある。しかしながら、従来技術は、ワークのベベル部を効果的に処理するという観点において、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記のことを鑑みてなされたものであり、ワークのベベル部を効果的に処理することができる技術を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(態様1)
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る処理装置は、ワークを保持するように構成されたワークテーブルと、処理パッドを保持するように構成された処理ヘッドと、を備え、前記処理パッドは、内周溝壁と前記内周溝壁よりも外周側に配置された外周溝壁とを有する少なくとも1つの溝が設けられたパッド面を有し、前記ワークの処理時に、前記ワークテーブル及び前記処理ヘッドが回転するとともに、前記内周溝壁のエッジ及び前記外周溝壁のエッジが前記ワークの外周縁に設けられたベベル部に接触するように構成されている。
【0007】
この態様によれば、処理パッドの内周溝壁のエッジ及び外周溝壁のエッジによって、ワークのベベル部を効果的に処理することができる。
【0008】
(態様2)
上記の態様1は、前記ワークの処理時に、前記処理ヘッドを揺動させるように構成された揺動機構をさらに備えていてもよい。
【0009】
(態様3)
上記の態様1又は2において、前記ワークの処理時に、前記処理パッドの回転軸線は前記ワークの外周縁よりも外周側に位置していてもよい。
【0010】
(態様4)
上記の態様1~3のいずれか1態様において、前記ワークの処理時に、前記パッド面が傾斜した状態で、前記内周溝壁のエッジ及び前記外周溝壁のエッジが前記ベベル部に接触
してもよい。
【0011】
(態様5)
上記の態様2において、前記ワークの処理時に、前記パッド面が傾斜した状態で、前記少なくとも1つの溝の溝幅に応じて、前記ワークにおける前記内周溝壁のエッジ及び前記外周溝壁のエッジが接触する範囲を調整するように構成されていてもよい。
【0012】
(態様6)
上記の態様1~5のいずれか1態様において、前記少なくとも1つの溝は、複数の溝を含んでいてもよい。
【0013】
(態様7)
上記の態様6において、前記複数の溝は、溝幅が互いに異なる複数の溝を含んでいてもよい。
【0014】
(態様8)
上記の態様1~7のいずれか1態様において、前記少なくとも1つの溝は、平面視で円形又は螺旋形であってもよい。
【0015】
(態様9)
上記の態様8において、前記少なくとも1つの溝は、平面視で円形であり、前記少なくとも1つの溝の中心は、前記処理パッドの中心と一致していなくてもよい。
【0016】
(態様10)
上記の態様1~9のいずれか1態様において、前記パッド面は、水平方向に対して傾斜したテーパ面を有し、前記少なくとも1つの溝は、前記テーパ面に設けられていてもよい。
【0017】
(態様11)
上記の態様1~10のいずれか1態様は、第2のパッド面を有する第2の処理パッドをさらに備え、前記第2の処理パッドは、前記処理パッドの前記パッド面における前記溝よりも中央の領域に配置され、且つ、前記処理パッドの前記パッド面よりも下方に突出していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態に係る処理装置の主要な構成を示す模式図である。
【
図2】
図2(A)は、実施形態に係るワークの模式的な正面図である。
図2(B)は、実施形態に係る処理パッドの模式的な断面図である。
【
図3】実施形態に係る処理パッドの模式的な下面図である。
【
図4】実施形態に係るワークの処理時に処理パッドがワークに接触している様子を模式的に示す断面図である。
【
図5】実施形態の変形例1に係る処理装置の処理パッドの模式的な断面図である。
【
図6】
図6(A)は、実施形態の変形例2に係る処理装置の処理パッドの模式的な断面図である。
図6(B)は、実施形態の変形例3に係る処理装置の処理パッドの模式的な断面図である。
【
図7】実施形態の変形例4に係る処理装置の処理パッドの模式的な下面図である。
【
図8】実施形態の変形例5に係る処理装置の処理パッドの模式的な断面図である。
【
図9】
図9(A)は、実施形態の変形例6に係る処理装置を説明するための模式図である。
図9(B)は、実施形態の変形例6に係る処理装置の他の例を説明するための模式図である。
【
図10】実施形態に係る溝が螺旋形の場合の処理パッドの一例を示す模式的な下面図である。
【
図11】参考例に係る処理装置の処理パッドの模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。また、図面は、特徴の理解を容易にするために模式的に図示されており、各構成要素の寸法比率等は実際のものと同じであるとは限らない。また、図面には、必要に応じて、X-Y-Zの直交座標が図示されている。この直交座標のうち、Z方向は上方に相当し、-Z方向は下方(重力が作用する方向)に相当する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る処理装置1の主要な構成を示す模式図である。本実施形態に係る処理装置1は、ワークWfに所定の処理を施すための装置(すなわち、ワークWfを処理するための装置)である。この所定の処理の一例として、本実施形態では、「洗浄(すなわち、洗浄処理)」を用いている。この具体例として、本実施形態に係る処理装置1は、ワークWfの研磨後、及び、ワークWfの研磨前の少なくとも一方の時期に、ワークWfを洗浄する。
【0021】
なお、処理装置1によるワークWfの洗浄は、ワークWfを洗浄液で洗浄することのみならず、例えば、ワークWfを洗浄する目的でワークWfを研磨することを含んでいてもよい。あるいは、処理装置1によるワークWfの処理は、ワークWfの洗浄やワークWfの研磨に限定されるものではなく、これら以外の処理であってもよい。
【0022】
なお、本実施形態では、ワークWfの一例として、基板(具体的には半導体用の基板)を用いている。ワークWfの形状は、特に限定されるものではないが、本実施形態に係るワークWfは、一例として、平面視で円形である。また、本実施形態では、研磨の一例として、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing;CMP)を用いている。
【0023】
図1に例示する処理装置1は、ワークテーブル10と、ワークテーブル10用の駆動装置20と、処理ヘッド30と、処理ヘッド30用の駆動装置40と、処理液供給装置70と、揺動機構50と、制御装置80とを備えている。
【0024】
制御装置80は、処理装置1の動作を統合的に制御するための装置である。具体的には、本実施形態に係る制御装置80は、マイクロコンピュータを備えている。このマイクロコンピュータは、プロセッサ81や、非一時的な記憶媒体としての記憶装置82、等を備えている。制御装置80においては、プロセッサ81が、記憶装置82に記憶されているプログラムの指令に基づいて、処理装置1の動作を制御する。
【0025】
ワークテーブル10は、その上面にワークWfを保持している。ワークテーブル10は、少なくともワークWfの処理時に、回転するように構成されている。具体的には、ワークテーブル10は、回転軸15を介して、駆動装置20に接続されている。ワークWfの処理時に、制御装置80の指示を受けて駆動装置20が回転軸15を回転駆動することで、ワークテーブル10は回転する。なお、
図1において、ワークテーブル10及び回転軸15の回転方向の一例が「R1」で例示されている。
【0026】
処理ヘッド30は、その下面に処理パッドPdを保持している。処理ヘッド30は、少なくともワークWfの処理時に、回転するように構成されている。具体的には、処理ヘッド30は、回転軸35を介して、駆動装置40に接続されている。ワークWfの処理時に、制御装置80の指示を受けて駆動装置40が回転軸35を回転させることで、処理ヘッ
ド30は回転する。なお、
図1において、処理ヘッド30の回転方向の一例が「R2」で例示されている。
【0027】
本実施形態において、ワークWfの処理時におけるワークテーブル10と処理ヘッド30の回転方向は同じであるが、この構成に限定されるものではない。ワークWfの処理時におけるワークテーブル10と処理ヘッド30の回転方向は反対であってもよい。
【0028】
処理ヘッド30は、ワークWfの処理時に、処理パッドPdをワークWfに押し付けるように構成されていることが好ましい。本実施形態に係る回転軸35は、一例として、押圧装置60に接続されている。押圧装置60は、回転軸35を介して処理ヘッド30に押圧力を付与するように構成されている。押圧装置60の動作は制御装置80が制御する。ワークWfの処理時に、制御装置80の指示を受けて押圧装置60が回転軸35に対して押圧力を付与することで、処理ヘッド30に保持された処理パッドPdをワークWfに押し付けることができる。
【0029】
駆動装置40は、回転軸35を回転させる機能に加えて、回転軸35を昇降させる機能も有していることが好ましい。すなわち、この場合、駆動装置40は、回転軸35を回転させるための「回転機構」と、回転軸35を昇降させる(上下方向に変位させる)ための「昇降機構」とを備えている。
【0030】
処理パッドPdは、ワークWfを処理できるものであればよく、その具体的な種類は特に限定されるものではないが、一例として、いわゆる「バフパッド」を用いることができる。このようなバフパッドの材質として、発砲ポリウレタンや、スウェードや、スポンジ等を用いることができる。また、処理パッドPdの具体的な形状は特に限定されるものではないが、本実施形態に係る処理パッドPdは、一例として、平面視で円形である。
【0031】
なお、本実施形態において、処理ヘッド30及び処理パッドPdの外径は、一例として、ワークWfの外径よりも小さい。
【0032】
処理液供給装置70は、ワークWfの処理時に処理液をワークWfに供給するための装置である。処理液供給装置70の動作は制御装置80が制御する。処理液供給装置70の具体的な構成は特に限定されるものではないが、本実施形態に係る処理液供給装置70は、一例として、処理液を吐出するための吐出ノズル71や、この吐出ノズル71に処理液を供給するための供給ポンプ(図示せず)等を備えている。なお、
図1に例示する吐出ノズル71は、一例として、ワークWfの上方側に配置されて、下方側に向けて処理液を吐出している。
【0033】
本実施形態においては、処理液の一例として、洗浄液を用いている。この洗浄液の具体的な種類は特に限定されるものではなく、水(具体的には、純水)や、洗浄剤を含む液体等を用いることができる。また、この処理液には、研磨材が含まれていてもよい。
【0034】
図1に例示するように、処理装置1は、処理ヘッド30を任意の方向に傾斜させるためのジンバル機構38を備えていることが好ましい。本実施形態に係るジンバル機構38は、一例として、処理ヘッド30と回転軸35との間に配置されている。このジンバル機構38は、処理ヘッド30が任意の方向に傾斜できるように、処理ヘッド30と回転軸35とを連結している。このようなジンバル機構38として、公知のジンバル機構(又は、倣い機構)を用いることができる。このため、ジンバル機構38のこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0035】
本実施形態によれば、上述したようなジンバル機構38を備えているので、処理ヘッド
30を水平姿勢と傾斜姿勢とにすることが容易にできる。また、処理パッドPdのパッド面120の後述する内周エッジ133及び外周エッジ134を、ワークWfの後述するベベル面102の傾斜に倣って傾斜させることが容易にできるので、内周エッジ133及び外周エッジ134をベベル面102に接触させることが容易にできる。
【0036】
なお、処理ヘッド30が水平姿勢になった場合、具体的には、処理ヘッド30の下面(処理パッドPdが貼り付けられている面)の面方向(面に平行な方向)が水平方向になる。一方、処理ヘッド30が傾斜姿勢になった場合、具体的には、処理ヘッド30の下面の面方向が水平方向に対して傾斜する。
【0037】
揺動機構50は、少なくともワークWfの処理時に処理ヘッド30を揺動させるための機構である。具体的には、本実施形態に係る揺動機構50は、アーム51と、回転軸52と、駆動装置53とを備えている。アーム51は、処理ヘッド30の回転軸35と揺動機構50の回転軸52とを連結するように構成されている。回転軸52は、鉛直方向(Z方向)に延在している。回転軸52は、駆動装置53によって駆動されることで、第1回転方向、及び、この第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転する(すなわち、揺動する)。駆動装置53の動作は制御装置80が制御する。駆動装置53が制御装置80の指示を受けて回転軸52を揺動させることで、処理ヘッド30を回転軸52を中心に揺動させることができる。なお、
図1において、回転軸52の揺動方向の一例が「SW1」で例示されている。
【0038】
図2(A)は、ワークWfの模式的な正面図である。具体的には、
図2(A)は、ワークWfの回転軸線XL1(これは、ワークテーブル10及び回転軸15の回転軸線でもある)よりも一方の側の部分を模式的に示している。ワークWfの外周縁には、ベベル部100が設けられている。
【0039】
ベベル部100は、例えばワークWfの研磨時におけるワークWfの欠けやパーティクルの発生等を抑制するために、角取り(面取り)された部分である。本実施形態に係るベベル部100は、一例として、ワークWfの外周縁の全周に亘って設けられている。ベベル部100は、ワークWfにおけるベベル部100以外の部分(ベベル部100よりも内周側の部分であり、「ワーク表面110」と称する)の厚みよりも薄くなっている。
【0040】
ベベル部100は、ベベル部100の最外周部にあるベベル頂部101と、ベベル頂部101よりも内周側の領域にあるベベル面102と、を有している。なお、本実施形態に係るベベル面102は、全体的に湾曲した面(曲面)によって構成されているが、ベベル面102の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、テーパ状の平面(すなわち、テーパ平面)であってもよい。
【0041】
また、ワークWfの表面におけるベベル部100の内周縁(換言すると、ワーク表面110の外周縁)から所定距離だけ内周側の領域を、「表面エッジ111」と称する。すなわち、この表面エッジ111は、ワーク表面110の外周縁近傍の領域である。表面エッジ111の径方向の長さ(すなわち、ベベル部100の内周縁を起点として測定した径方向の距離(
図2(A)ではY方向の長さ))は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、一例として、0.3mm以上5.0mm以下の範囲から選択された値である。
【0042】
図2(B)は、処理パッドPdの模式的な断面図である。
図3は、処理パッドPdの模式的な下面図である。なお、
図2(B)に例示されている回転軸線XL2は、処理パッドPdの回転軸線であるとともに、処理ヘッド30や回転軸35の回転軸線でもある。処理パッドPdは、その下面にパッド面120を有している。パッド面120には、少なくとも1つの溝130(凹部)が設けられている。
【0043】
本実施形態に係る溝130の個数は、一例として、1つである。
【0044】
溝130は、内周溝壁131と、内周溝壁131よりも外周側に配置された外周溝壁132と、を有している。具体的には、内周溝壁131及び外周溝壁132は、溝底壁135(これは、「溝天井壁」と称することもできる)を起点として下方に延在している。また、内周溝壁131及び外周溝壁132は、互いに対向している。
【0045】
本実施形態に係る内周溝壁131及び外周溝壁132は、一例として、平面視で曲面を有している。具体的には、本実施形態に係る溝130は、平面視で円形の溝(換言すると、円環状の溝)である(
図3を参照)。
【0046】
但し、溝130の形状は、円形に限定されるものではなく、例えば、
図10に例示するように、平面視で螺旋形であってもよい。あるいは、溝130は、曲面を有しない形状(例えば、下面視で格子形状)であってもよい。但し、溝130が格子形状の場合よりも、円形や螺旋形の場合の方が、ワークWfの処理時に、後述する内周エッジ133及び外周エッジ134を容易にベベル部100に接触させることができる。
【0047】
図2(B)を参照して、内周溝壁131のエッジを「内周エッジ133」と称する。この内周エッジ133は、内周溝壁131とパッド面120との境界部分に存在する角部分によって構成されている。また、外周溝壁132のエッジを「外周エッジ134」と称する。この外周エッジ134は、外周溝壁132とパッド面120との境界部分に存在する角部分によって構成されている。
【0048】
本実施形態において、溝底壁135から内周エッジ133までの距離(すなわち、「内周溝壁131の溝高さ」)と、溝底壁135から外周エッジ134までの距離(すなわち、「外周溝壁132の溝高さ」)は、一例として、同じである。但し、この構成に限定されるものではない。内周溝壁131の溝高さと外周溝壁132の溝高さとは、互いに異なっていてもよい。
【0049】
この具体例を挙げると、例えば、処理ヘッド30を傾斜させずに水平姿勢の状態でワークWfのベベル部100を処理する場合には、内周溝壁131の溝高さよりも外周溝壁132の溝高さが低い方が、内周エッジ133及び外周エッジ134の両方をベベル部100に接触させ易くなる。
【0050】
図4は、ワークWfの処理時に処理パッドPdがワークWfに接触している様子を模式的に示す断面図である。本実施形態に係る処理装置1は、ワークWfの処理時に、内周エッジ133及び外周エッジ134がベベル部100に接触するように構成されている。具体的には、
図4においては、一例として、内周エッジ133はベベル部100のベベル頂部101に接触し、外周エッジ134はベベル頂部101よりも上方側のベベル面102に接触している。なお、
図4では、処理パッドPdのパッド面120における溝130よりも外周側の部分が、ワークWfから受ける圧力によって、若干押し潰された状態が例示されている。
【0051】
処理パッドPdは、ある程度の弾性を有するので、処理パッドPdがワークWfに接触した場合、内周エッジ133及び外周エッジ134は押し潰されることで、「線」ではなく「面」でベベル部100に接触してもよい。
【0052】
溝130の溝幅W1(内周溝壁131と外周溝壁132との間隔であり、符号は
図2(B)に例示されている)の具体的な長さは、ワークWfの処理時に内周エッジ133及び
外周エッジ134がベベル部100に接触可能な長さであればよく、ワークWfの径方向の処理範囲(ワークWfが処理される範囲)の大きさに応じて適宜設定すればよい。
【0053】
例えば、処理条件が異なる複数のワークWfを処理する場合には、異なる溝幅W1を有する処理パッドPdを複数準備しておき、処理対象となるワークWfの所望する処理範囲に応じて、この処理範囲に適合する溝幅W1を有する処理パッドPdを選択して使用すればよい。
【0054】
参考までに、溝幅W1の数値の一例を挙げると、例えば、0.5mm以上5.0mm以下の範囲から選択された値を用いることができ、具体的には、1.0mm以上3.0mm以下の範囲から選択された値を用いることができる。但し、これは、溝幅W1の数値例に過ぎず、これに限定されるものではない。
【0055】
図4に例示するように、本実施形態において、ワークWfの処理時に、処理パッドPdの回転軸線XL2は、ワークWfの外周縁よりも外周側に位置している。
【0056】
さらに、本実施形態は、ワークWfの処理時に、処理パッドPdのパッド面120が傾斜した状態で(具体的には、水平方向に対して傾斜した状態で、又は、ワークWfの面方向に対して傾斜した状態で)、内周エッジ133及び外周エッジ134がベベル部100に接触している。具体的には、本実施形態では、ワークWfの処理時に、処理パッドPdを保持する処理ヘッド30が傾斜姿勢になった状態で、内周エッジ133及び外周エッジ134がベベル部100に接触している。
【0057】
パッド面120の傾斜角度(α1)の具体的な値は、特に限定されるものではないが、一例を挙げると、1°以上45°以下の範囲から選択された値を用いることができる。
【0058】
なお、ワークWfの処理時に、内周エッジ133及び外周エッジ134は、ベベル部100に常時接触していてもよいが、この構成に限定されるものではない。例えば、処理装置1は、内周エッジ133及び外周エッジ134がベベル部100に接触した状態(接触状態)と接触しない状態(非接触状態)とを繰り返しながら、ベベル部100を処理してもよい。
【0059】
また、本実施形態に係る処理装置1は、ワークWfの処理時に処理ヘッド30が揺動するので、
図4に例示する処理パッドPdはワークWfに対してY方向及び-Y方向に揺動しながら、ワークWfを処理する(処理パッドPdの揺動方向が「SW1」で例示されている)。
【0060】
ワークWfの処理時に処理ヘッド30が揺動することで、本実施形態に係る外周エッジ134は、ワークWfのベベル部100のみならず、ワークWfの表面エッジ111にも接触するように構成されている(このように、処理ヘッド30の揺動範囲SW1、及び、溝幅W1が設定されている)。具体的には、処理ヘッド30の揺動範囲SW1、及び/又は、溝130の溝幅W1を適宜設定することで、ワークWfの処理時に外周エッジ134をベベル部100のみならず表面エッジ111にも接触させることができる。
【0061】
この構成によれば、ワークWfのベベル部100のみならず、表面エッジ111も効果的に処理することができる。
【0062】
また、処理装置1は、ワークWfの処理時に、パッド面120が傾斜した状態で、溝130の溝幅W1に応じて、ワークWfにおける内周エッジ133及び外周エッジ134が接触する範囲(すなわち、「処理範囲」)を調整するように構成されていてもよい。具体
的には、制御装置80の指示を受けた揺動機構50が溝130の溝幅W1に応じて処理ヘッド30の揺動範囲を調整することで、ワークWfにおける内周エッジ133及び外周エッジ134が接触する範囲を調整してもよい。
【0063】
この構成によれば、溝幅W1に応じてワークWfの処理範囲を調整することができる。これにより、例えば、溝幅W1の異なる処理パッドPdを用いた場合であっても、内周エッジ133及び外周エッジ134をベベル部100に接触させたり、外周エッジ134を表面エッジ111に接触させたりすることが効果的にできる。
【0064】
ワークWfの処理時における処理装置1の一連の動作を説明すると次のようになる。まず、ワークWfの処理が実行される前の時点において、処理パッドPdはワークWfに接触しておらず、ワークWfよりも上方に位置している。
【0065】
次いで、処理装置1は、ワークWfの処理を開始させる。具体的には、処理装置1は、ワークテーブル10及び処理ヘッド30を回転させるとともに、処理ヘッド30を下方に移動させて、
図4に例示するように、処理パッドPdの内周エッジ133及び外周エッジ134をワークWfのベベル部100に接触させる。これにより、ワークWfの具体的にはベベル部100の処理が開始される。また、本実施形態では、ワークWfの処理時に、揺動機構50が処理ヘッド30を揺動させる。
【0066】
なお、このワークWfの処理時に、処理液供給装置70から処理液が供給されることが好ましい。これにより、処理液の存在下でベベル部100を処理することができるので、処理液を用いずにベベル部100を処理する場合に比較して、ベベル部100を効果的に処理することができる。
【0067】
また、このワークWfの処理時に、押圧装置60は、処理ヘッド30を下方に押圧することが好ましい。この構成によれば、処理パッドPdをワークWfのベベル部100に効果的に擦りつけることができるので、ベベル部100の処理効果を高めることができる。
【0068】
上述したワークWfの処理は予め設定された所定時間の間、実行される。通常、このワークWfの処理時に、ワークテーブル10及び処理ヘッド30は複数回、回転する。ワークWfの処理を終了させる場合、処理装置1は、ワークテーブル10及び処理ヘッド30の回転を停止させる。これにより、ワークWfの処理が終了される。次いで、処理装置1は、処理ヘッド30を上方に変位させる。これにより、処理パッドPdをワークWfのベベル部100から離すことができる。
【0069】
以上説明したような本実施形態によれば、処理パッドPdの内周エッジ133及び外周エッジ134によって、ワークWfのベベル部100を効果的に処理することができる。具体的には、本実施形態によれば、ワークWfの処理時に例えば処理パッドPdの内周エッジ133及び外周エッジ134のいずれか一方のみしかベベル部100に接触しない場合に比較して、ベベル部100を効果的に処理することができる。
【0070】
なお、本実施形態において、ワークWfの処理時にパッド面120が傾斜しているが、この構成に限定されるものではない。ワークWfの処理時にパッド面120は傾斜していなくてもよい(すなわち、処理ヘッド30が水平姿勢の状態でワークWfを処理してもよい)。但し、ワークWfの処理時にパッド面120が傾斜している場合の方が、パッド面120が傾斜していない場合に比較して、内周エッジ133及び外周エッジ134をベベル部100に容易に接触させることができる点で好ましい。
【0071】
また、このように、ワークWfの処理時にパッド面120が傾斜することで、パッド面
120がワークWfにおけるベベル部100よりも内周側の部分に接触することを抑制することができる。これにより、溝幅W1に応じて内周エッジ133や外周エッジ134をベベル部100や表面エッジ111に選択的に接触させることができる。この結果、ベベル部100や表面エッジ111を効果的に処理することができる。
【0072】
また、本実施形態において、ワークWfの処理時に処理ヘッド30が揺動するが、この構成に限定されるものではない。ワークWfの処理時に処理ヘッド30は揺動しなくてもよい。但し、ワークWfの処理時に処理ヘッド30が揺動する場合の方が、処理ヘッド30が揺動しない場合に比較して、ワークWfの処理時に内周エッジ133及び外周エッジ134がベベル部100に接触する範囲を容易に拡大させることができる点で好ましい。また、ワークWfの処理時に、ワークWfと処理パッドPdとの間から異物(例えば、処理の前工程でワークWfに付着していた研磨材等の異物であって、処理によってワークWfから除去された異物)を容易に排出させることができる点においても好ましい。
【0073】
なお、ワークWfの処理時にワークテーブル10が複数回回転する間に、処理ヘッド30が揺動することで、内周エッジ133及び外周エッジ134の少なくとも一方が、ベベル頂部101、及び、このベベル頂部101よりも上方側のベベル面102に全体的に接触することが好ましい。この構成によれば、ベベル頂部101、及び、このベベル頂部101よりも上方側のベベル面102を全体的に処理することができる。
【0074】
但し、この構成に限定されるものではなく、例えば、ワークWfの処理時において、内周エッジ133及び外周エッジ134は、ベベル面102の一部にのみ接触して、ベベル面102の一部のみを処理してもよい。
【0075】
<ワークWfのベベル部以外の部分の処理>
なお、処理装置1は、ワークWfの処理時に、上述したようなワークWfのベベル部100の処理(これを、「ベベル処理」と称する)を実行するのみならず、ワークWfのベベル部100以外の部分(具体的には、ワーク表面110)の処理(これを、「非ベベル処理」と称する)を実行してもよい。
【0076】
具体的には、この場合、処理装置1の制御装置80は、例えば、ベベル処理の実行前、又は、ベベル処理の実行後に、非ベベル処理を実行してもよい。
【0077】
非ベベル処理において、処理装置1は、例えば、処理パッドPdのパッド面120における溝130よりも内周側の領域を、ワークWfのワーク表面110に接触させながら、処理液の存在下で、ワークテーブル10及び処理ヘッド30を回転させる。また、この場合、処理装置1は、処理ヘッド30を水平姿勢にした状態で、処理パッドPdをワーク表面110に接触させてもよい。また、非ベベル処理の実行中に、処理装置1は、処理ヘッド30を揺動させてもよい。
【0078】
この構成によれば、ワークWfのベベル部100を処理することができるのみならず、ワーク表面110も処理することができる。
【0079】
(実施形態の変形例1)
上述した実施形態において、溝130の断面形状は一例として四角形(あるいは、門形)であるが、溝130の断面形状はこれに限定されるものではない。
図5は、実施形態の変形例1に係る処理装置1の処理パッドPdの模式的な断面図である。
図5に例示するように、処理パッドPdの溝130は、断面視で三角形状(あるいは、逆V字形状)を有していてもよい。
【0080】
本変形例においても、前述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0081】
なお、上述した溝130の断面形状は、一例であり、他の形状(例えば半円形等)であってもよい。
【0082】
(実施形態の変形例2)
図6(A)は、実施形態の変形例2に係る処理装置1の処理パッドPdの模式的な断面図である。本変形例に係る処理パッドPdは、複数の溝130を有している点において、前述した実施形態に係る処理パッドPdと異なっている。本変形例に係る複数の溝130は、それぞれ、下面視で円形状を有している。具体的には、複数の溝130は、隣接する溝130との間に間隔をあけて、同心円状に配置されている。
【0083】
本変形例に係る処理装置1は、例えば、ワークWfの処理時に、複数の溝130の中から選択された1つの溝130の内周エッジ133及び外周エッジ134をワークWfのベベル部100に接触させる。
【0084】
本変形例においても、前述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0085】
なお、本変形例に係る複数の溝130の断面形状は同じであるが、これに限定されるものではない。複数の溝130は、断面形状の異なる溝を含んでいてもよい。一例を挙げると、複数の溝130は、断面形状が四角形の溝と四角形以外の形状の溝(例えば、三角形の溝等)とを含んでいてもよい。
【0086】
(実施形態の変形例3)
図6(B)は、実施形態の変形例3に係る処理装置1の処理パッドPdの模式的な断面図である。本変形例に係る処理パッドPdは、溝幅が互いに異なる複数の溝を有する点において、前述した変形例2に係る処理パッドPdと異なっている。すなわち、本変形例において、処理パッドPdに設けられた複数の溝は、全て異なる溝幅を有していてもよく、あるいは、複数の溝の一部の溝幅は互いに同じであってもよい。
【0087】
具体的には、
図6(B)に例示する処理パッドPdの複数の溝は、一例として、溝幅W1aを有する2つの第1溝130aと、溝幅W1bを有する2つの第2溝130bと、溝幅W1cを有する2つの第3溝130cと、を含んでいる。2つの第2溝130bは、2つの第1溝130aの内周側に配置されている。2つの第3溝130cは、2つの第2溝130bの内周側に配置されている。一例として、溝幅W1aは溝幅W1bよりも大きく、溝幅W1bは溝幅W1cよりも大きい。なお、本変形例に係る複数の溝は、それぞれ、下面視で円形状を有している。
【0088】
本変形例において、ワークWfの処理範囲に応じて、この処理範囲に適合する溝幅を有する溝を選択し、この選択された溝の内周エッジ133及び外周エッジ134がワークWfのベベル部100に接触するように、処理パッドPdのワークWfに対する相対位置を調整してもよい。なお、処理パッドPdのワークWfに対する相対位置を調整するに際して、例えば、処理ヘッド30の揺動範囲(SW1)を調整してもよい。
【0089】
この具体例を挙げると、例えば、処理装置1は、ワークWfの処理範囲が所定の基準値よりも大きい第1値の場合は、第1溝130aをベベル部100に接触させ、ワークWfの処理範囲が基準値の場合は、第2溝130bをベベル部100に接触させ、ワークWfの処理範囲が基準値よりも小さい第2値の場合は、第3溝130cをベベル部100に接触させればよい。
【0090】
本変形例においても、前述した変形例2と同様の作用効果を奏することができる。また、本変形例によれば、1つの処理パッドPdを用いて、ワークWfの処理範囲が異なる複数のワークWfを処理することができる。
【0091】
(実施形態の変形例4)
図7は、実施形態の変形例4に係る処理装置1の処理パッドPdの模式的な下面図である。本変形例に係る処理パッドPdは、円形の溝130の中心C2が処理パッドPdの中心C1と一致していない点において、前述した実施形態に係る処理パッドPd(
図3)と異なっている。すなわち、本変形例に係る処理パッドPdの溝130は、処理パッドPdの中心C1に対して偏心している。
【0092】
本変形例においても、前述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、本変形例によれば、処理ヘッド30が揺動しない場合であっても、ワークWfの処理時に、ワークWfと処理パッドPdとの間から異物を容易に排出させることができる。
【0093】
(実施形態の変形例5)
図8は、実施形態の変形例5に係る処理装置1の処理パッドPdの模式的な断面図である。本変形例に係る処理パッドPdは、パッド面120に、水平方向に対して傾斜したテーパ面125が設けられている点において、前述した実施形態に係る処理パッドPd(
図2(B))と異なっている。
【0094】
具体的には、本変形例に係る処理パッドPdは、一例として、パッド面120が全体的にテーパ面125になっている。より具体的には、本変形例に係るテーパ面125は、処理パッドPdのパッド面120の中心を起点として、パッド面120の径方向で外周縁に近づくほど上方に位置するように構成された、円錐面になっている。そして、本変形例に係る溝130は、このテーパ面125に設けられている。
【0095】
なお、テーパ面125の傾斜角度(α2)の具体的な値は、特に限定されるものではないが、一例を挙げると、1°以上45°以下の範囲から選択された値を用いることができる。
【0096】
本変形例に係る処理装置1は、ワークWfの処理時に処理ヘッド30を傾斜姿勢にせずに、ワークWfの処理時に処理ヘッド30を水平姿勢にしてもよい。
【0097】
本変形例によれば、処理ヘッド30が水平姿勢の状態であっても、内周エッジ133及び外周エッジ134をベベル部100に容易に接触させることができる。
【0098】
(実施形態の変形例6)
図9(A)は、実施形態の変形例6に係る処理装置1を説明するための模式図であり、具体的には、処理装置1における本変形例に係る処理パッドPdの周辺構成を模式的に断面図示している。本変形例に係る処理装置1は、第2処理パッドPd1をさらに備えている点において、前述した実施形態に係る処理装置1と異なっている。
【0099】
第2処理パッドPd1は、処理パッドPdのパッド面120における溝130よりも中央の領域に配置されている。また、第2処理パッドPd1は、処理パッドPdのパッド面120よりも下方に突出するように配置されている。この結果、本変形例に係る処理パッドPdのパッド面120は、下面視で「円環状」に形成されている。そして、この円環状の部分に、溝130が設けられている。
【0100】
本変形例に係る第2処理パッドPd1のパッド面120a(すなわち、第2のパッド面
)は、一例として、溝が形成されておらず、平坦になっている。
【0101】
なお、第2処理パッドPd1の材質は、特に限定されるものではなく、処理パッドPdと同様のものを用いることができる。また、処理パッドPdと第2処理パッドPd1の材質は互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0102】
本変形例においても、前述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0103】
また、本変形例に係る処理装置1は、ワークWfのベベル部100の処理(前述した「ベベル処理」)を行う場合には、処理パッドPdのパッド面120(具体的には、パッド面120の溝130)を用い、ワークWfのベベル部100以外の部分の処理(前述した「非ベベル処理」)を行う場合には、第2処理パッドPd1のパッド面120aを用いる。
【0104】
具体的には、非ベベル処理において、処理装置1は、第2処理パッドPd1のパッド面120aを、ワークWfのワーク表面110に接触させながら、処理液の存在下で、ワークテーブル10及び処理ヘッド30を回転させる。また、この非ベベル処理の実行中に、処理装置1は、処理ヘッド30を揺動させてもよい。
【0105】
本変形例によれば、第2処理パッドPd1を備えていない場合に比較して、ワークWfのワーク表面110を容易に処理することができる。
【0106】
図9(B)は、実施形態の変形例6に係る処理装置1の他の例を説明するための模式図である。
図9(B)に例示するように、処理パッドPdのパッド面120は、テーパ面125を有していてもよい。なお、この
図9(B)に例示する処理装置1は、前述した変形例5(
図8)に係る処理装置1の処理パッドPdに、第2処理パッドPd1が組み合わされた構成になっている。
【0107】
図9(B)に例示する構成によれば、
図9(A)に例示する構成と同様の作用効果を奏することができるとともに、前述した変形例5と同様の作用効果を奏することもできる。
【0108】
なお、
図9(A)や
図9(B)に例示する本変形例において、処理パッドPdのパッド面120には、複数の溝130が設けられていてもよい。すなわち、本変形例は、前述した変形例2(
図6(A))や変形例3(
図6(B))の特徴をさらに備えていてもよい。
【0109】
(参考例)
図11は、参考例に係る処理装置1Xの処理パッドPdの模式的な断面図である。参考例に係る処理パッドPdは、溝130に代えて、切り欠き200を有する点において、実施形態に係る処理パッドPdと異なっている。本参考例に係る切り欠き200は、処理パッドPdのパッド面120の外周縁から所定距離だけ内周側の領域に設けられた、下面視で「円環状」の切り欠きによって構成されている。
【0110】
本参考例の場合、切り欠き200の側壁の角部(切り欠き200とパッド面120との境界に存在する角部)である「切り欠きエッジ201」が、ワークWfの処理時にワークWfのベベル部100に接触する。
【0111】
本参考例においても、ワークWfのベベル部100を処理することは可能である。但し、前述した実施形態や変形例の方が、本参考例よりも、ワークWfのベベル部100を効果的に処理することができる。
【0112】
以上、本発明の実施形態や変形例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態や変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0113】
1 処理装置
10 ワークテーブル
50 揺動機構
100 ベベル部
120 パッド面
125 テーパ面
130 溝
131 内周溝壁
132 外周溝壁
133 内周エッジ(「内周溝壁のエッジ」)
134 外周エッジ(「外周溝壁のエッジ」)
Pd 処理パッド
Pd1 第2処理パッド
Wf ワーク
XL1,XL2 回転軸線
W1 溝幅