(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094623
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】真空チャック、スピンドルチャック及び半導体デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240703BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240703BHJP
B05C 11/08 20060101ALI20240703BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
H01L21/68 P
H01L21/304 648A
H01L21/304 643A
H01L21/304 648G
B05C11/08
H01L21/30 564C
H01L21/30 569C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211284
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100137017
【弁理士】
【氏名又は名称】眞島 竜一郎
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 雄一郎
【テーマコード(参考)】
4F042
5F131
5F146
5F157
【Fターム(参考)】
4F042AA07
4F042AB00
4F042EB09
4F042EB12
4F042EB16
5F131AA02
5F131AA21
5F131BA12
5F131BA14
5F131BA37
5F131CA09
5F131CA12
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA06
5F131EA24
5F131EB01
5F131EB02
5F131EB05
5F146JA10
5F146LA05
5F157AA22
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB20
5F157AB33
5F157AB90
5F157CD16
5F157CF04
5F157CF14
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157DA42
(57)【要約】
【課題】貫通孔が形成された半導体ウェハを用いて半導体デバイスを製造する場合、液体処理の際に貫通孔を通って該半導体ウェハとの間に液体が入り込むことを抑制することができる真空チャック及び半導体デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】この真空チャックは、ウェハ載置面を表面に有する基体を備え、前記基体は、複数の吸引孔が形成されており、前記複数の吸引孔は、前記ウェハ載置面に半導体ウェハが載置された場合に前記半導体ウェハを吸引するか否かを独立に制御可能な孔である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハ載置面を表面に有する基体を備え、
前記基体は、複数の吸引孔が形成されており、
前記複数の吸引孔は、前記ウェハ載置面に半導体ウェハが載置された場合に前記半導体ウェハを吸引するか否かを独立に制御可能な孔である、真空チャック。
【請求項2】
前記基体は、前記ウェハ載置面から前記基体の厚み方向に窪んだ複数の凹部が形成されており、
前記複数の凹部のそれぞれに前記吸引孔が形成されている、請求項1に記載の真空チャック。
【請求項3】
前記複数の凹部は、前記ウェハ載置面の平面視中心に対して点対称に形成されている、請求項2に記載の真空チャック。
【請求項4】
平面視における前記ウェハ載置面の面積に対する前記複数の凹部の占める面積の割合は、10%以上である、請求項2に記載の真空チャック。
【請求項5】
前記ウェハ載置面に形成された凹部の数は、4個以上である、請求項2に記載の真空チャック。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の真空チャックを備えるスピンドルチャック。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の真空チャックに半導体ウェハを吸着させて半導体デバイスを製造する半導体デバイスの製造方法であって、
前記半導体ウェハが貫通孔を有する場合に、
前記複数の吸引孔のうち、前記貫通孔と最近接の吸引孔で前記半導体ウェハを吸引せずに前記半導体ウェハを吸着した吸着状態で、前記半導体ウェハを加工する工程を含む、半導体デバイスの製造方法。
【請求項8】
前記基体は、前記ウェハ載置面から前記基体の厚み方向に窪んだ複数の凹部が形成され、前記複数の凹部のそれぞれに前記吸引孔が形成されている真空チャックを用いる半導体デバイスの製造方法であって、
前記吸着状態は、前記複数の凹部のうち、前記貫通孔と重なる凹部に形成された吸引孔で前記半導体ウェハを吸引せずに前記半導体ウェハを吸着した状態である、請求項7に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項9】
前記半導体ウェハに対し、レジストを塗布するレジスト塗布工程を有し、
前記レジスト塗布工程を前記吸着状態で行う、請求項7に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項10】
前記半導体ウェハに対して、現像液を塗布する現像液塗布工程を有し、
前記現像液塗布工程を前記吸着状態で行う、請求項7に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項11】
前記半導体ウェハとしてSiCウェハを用いる、請求項7に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項12】
前記半導体ウェハを真空チャックに吸着させる前に、前記半導体ウェハに貫通孔が形成されているかを調べ、貫通孔が形成されている場合に半導体ウェハにおける貫通孔の位置座標を特定する特定工程をさらに有する、請求項7に記載の半導体デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空チャック、スピンドルチャック及び半導体デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、半導体ウェハに対して繰り返し種々の加工がされて作製される。例えば、半導体デバイスは、真空チャック又は静電チャックに吸着された半導体ウェハに対してエピタキシャル膜の成膜、レジストコーティング、露光、現像、エッチング、不純物ドープ、活性化、レジスト剥離、ダイシング等加工を経て作製されることが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【0003】
特許文献1には、静電チャック又は真空チャックとして、ウェハと接触する表面層及び該表面層と界面で接する基体部として気孔率が調整されたSiCの焼結体で構成されたものを用いることが開示されている。特許文献1の真空チャックには、基体部及び表面層を貫通する吸引孔が設けられており、吸引孔から吸引を行い、ウェハ状の雰囲気との圧力差によってウェハを表面層に吸着するとされている。
【0004】
特許文献2のウェハチャックは、本体と一体成型された支持ピンを備えています。該ウェハチャックは、平面視中心付近にただ一つの吸引孔が設けられるとともに、円周方向に沿って3個の貫通孔が設けられたウェハチャックが開示されている。特許文献2のウェハチャックは、各貫通孔内に上下移動可能であるとともに排気孔が設けられたリフトピンが挿通されており、リフトピンにより支持ピンよりも高い位置でウェハを支持することで、平面視中心が凹むように撓んだ状態でウェハを支持することが開示されている。
【0005】
ここで、半導体ウェハは、半導体インゴットからスライスして作製されるため、半導体インゴット中の欠陥が引き継がれることが知られている。例えば、マイクロパイプと呼称される貫通孔が半導体インゴットに発生すると、貫通孔として半導体ウェハに引き継がれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4321855号公報
【特許文献2】特開2008-103703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
半導体ウェハにマイクロパイプ等の貫通孔が形成されている場合、典型的には、該半導体ウェハ上に成膜されたエピタキシャル膜にも該貫通孔が引き継がれ、半導体エピタキシャルウェハを貫通する貫通孔が形成されることになる。
【0008】
半導体エピタキシャルウェハに貫通孔が形成されていると、真空チャックに吸着された半導体ウェハに対してレジストをコーティングする工程や、現像工程など、液体処理が施される工程において、該貫通孔を液体が抜け、半導体ウェハ及び真空チャックの間に液体が入り込み、ウェハの表面に対して必要な液体処理をすることができない場合がある。必要な液体処理がされていないウェハは、不良品となる可能性が高く、信頼性の観点から次工程に流動せずに廃棄されることが一般的である。
【0009】
また、半導体ウェハ及び真空チャックの間に液体が入り込むと、真空チャックが汚染されてしまう。汚染された真空チャックは、清掃が必要であり、製造プロセスにダウンタイムが生じてしまう。そのため、貫通孔が形成された半導体ウェハを用いて半導体デバイスを製造する場合、液体処理の際に貫通孔を通ること、及び、それに伴い、半導体ウェハ及び真空チャックの間に液体が入り込むことを抑制することが求められている。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされた発明であり、貫通孔が形成された半導体ウェハを用いて半導体デバイスを製造する場合、液体処理の際に貫通孔を通って該半導体ウェハとの間に液体が入り込むことを抑制することができる真空チャック、スピンドルチャック及び半導体デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を提供する。
【0012】
(1)本発明の一態様に係る真空チャックは、ウェハ載置面を表面に有する基体を備え、前記基体は、複数の吸引孔が形成されており、前記複数の吸引孔は、前記ウェハ載置面に半導体ウェハが載置された場合に前記半導体ウェハを吸引するか否かを独立に制御可能な孔である。
【0013】
(2)上記(1)の真空チャックにおいて、前記基体は、前記ウェハ載置面から前記基体の厚み方向に窪んだ複数の凹部が形成されており、前記複数の凹部のそれぞれに前記吸引孔が形成されていてもよい。
【0014】
(3)上記(2)の真空チャックにおいて、前記複数の凹部は、前記ウェハ載置面の平面視中心に対して点対称に形成されていてもよい。
【0015】
(4)上記(2)又は(3)の真空チャックにおいて、平面視における前記ウェハ載置面の面積に対する前記複数の凹部の占める面積の割合が、10%以上であってもよい。
【0016】
(5)上記(2)~(4)のいずれかの真空チャックにおいて、前記ウェハ載置面に形成された凹部の数は、4個以上であってもよい。
【0017】
(6)本発明の一態様に係るスピンドルチャックは、上記(1)~(5)のいずれかの真空チャックを備える。
【0018】
(7)本発明の一態様に係る半導体デバイスの製造方法は、上記(1)~(5)のいずれかの真空チャックに半導体ウェハを吸着させて半導体デバイスを製造する半導体デバイスの製造方法であって、前記半導体ウェハが貫通孔を有する場合に、前記複数の吸引孔のうち、前記貫通孔と最近接の吸引孔で前記半導体ウェハを吸引せずに前記半導体ウェハを吸着した吸着状態で、前記半導体ウェハを加工する工程を含む。
【0019】
(8)上記(7)の半導体デバイスの製造方法において、前記基体は、前記ウェハ載置面から前記基体の厚み方向に窪んだ複数の凹部が形成され、前記複数の凹部のそれぞれに前記吸引孔が形成されている真空チャックを用いる半導体デバイスの製造方法であって、前記吸着状態は、前記複数の凹部のうち、前記貫通孔と重なる凹部に形成された吸引孔で前記半導体ウェハを吸引せずに前記半導体ウェハを吸着した状態であってもよい。
【0020】
(9)上記(7)又は(8)の半導体デバイスの製造方法において、前記半導体ウェハに対し、レジストを塗布するレジスト塗布工程を有し、前記レジスト塗布工程を前記吸着状態で行ってもよい。
【0021】
(10)上記(7)~(9)の半導体デバイスの製造方法において、前記半導体ウェハに対して、現像液を塗布する現像液塗布工程を有し、前記現像液塗布工程を前記吸着状態で行ってもよい。
【0022】
(11)上記(7)~(10)のいずれかの半導体デバイスの製造方法において、前記半導体ウェハとしてSiCウェハを用いてもよい。
【0023】
(12)上記(6)~(11)のいずれかの半導体デバイスの製造方法において、前記半導体ウェハを真空チャックに吸着させる前に、前記半導体ウェハに貫通孔が形成されているかを調べ、貫通孔が形成されている場合に半導体ウェハにおける貫通孔の位置座標を特定する特定工程をさらに有してもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、貫通孔が形成された半導体ウェハを用いて半導体デバイスを製造する場合、液体処理の際に貫通孔を通って該半導体ウェハとの間に液体が入り込むことを抑制することができる真空チャック、スピンドルチャック及び半導体デバイスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一態様に係る真空チャックの構造を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図1の真空チャックの切断線II-IIに沿う断面を説明する概念図である。
【
図3】
図1の真空チャックの変形例を示す平面図である。
【
図4】
図3の真空チャックの切断線IV-IVに沿う断面を説明する概念図である。
【
図5】
図1の真空チャックの変形例を示す平面図である。
【
図6】
図1の真空チャックの他の変形例を示す平面図である。
【
図7】
図1の真空チャックの他の変形例を示す平面図である。
【
図8】
図1の真空チャックの他の変形例を示す平面図である。
【
図9】
図8の真空チャックの切断線IX-IXに沿う断面を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合がある。このため、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっている場合がある。
【0027】
[真空チャック]
図1は、本発明の一態様に係る真空チャックの構造を模式的に示す平面図である。
図2は、
図1の真空チャックの構造を模式的に示す断面図である。
図2は、
図1の真空チャックの切断線II-IIに沿う断面を説明する概念図である。
図2では、説明の便宜上、真空チャックに貫通孔Hが形成された半導体ウェハWが載置されている様子を示す。貫通孔Hは、マイクロパイプ等の半導体ウェハWを厚み方向に貫通する孔である。
【0028】
図1及び
図2に示される真空チャック100は、ウェハ載置面30を表面に有する基体50を備え、基体50は、複数の吸引孔20a,20b,20c,20d,20eが形成されており、複数の吸引孔20a~20eは、ウェハ載置面30に半導体ウェハWが載置された場合に半導体ウェハWを吸引するか否かを独立に制御可能な孔である。真空チャック100は、
図3及び
図4に示すような基体50に凹部10が形成されたような構造であってもよい。
図1及び
図2に示される真空チャック100における吸引孔20の形成箇所は、一例であり、他の位置に形成されていてもよい。
【0029】
図3は、
図1の真空チャックの変形例を示す平面図であり、
図4は、
図3の真空チャックの切断線IV-IVに沿う断面を説明する概念図である。
図3及び
図4に示される真空チャック100は、ウェハ載置面30から基体50の厚み方向に窪んだ複数の凹部10a~10eが形成されており、複数の凹部10a,10b,10c,10d,10eのそれぞれに吸引孔20a,20b,20c,20d,20eが形成されている。
図3,4に示されるように真空チャックは、基体30に凹部10が形成され、凹部10に吸引孔20が形成されるものであってもよい。
【0030】
以下、本実施形態では、凹部10a,10b,10c,10d,10eを区別しない場合、これらを総称して凹部10と呼称する。同様に、吸引孔20a,20b,20c,20d,20eを区別しない場合、これらを総称して吸引孔20と呼称する。
【0031】
ウェハ載置面30,30Aは、真空チャック100,100Aの基体50,50Aのうち、半導体ウェハWを載置する面であり、基体50の厚み方向と直交する表面である。基体50,50Aは、例えば、セラミックスで構成されている。基体50,50Aを構成するセラミックスの例としては、SiCがあげられる。基体50,50Aは、厚み方向において異なる構成の部材が組み合わせられていてもよい。例えば、基体50,50Aは、ウェハ載置面30,30Aに近接した領域をウェハ載置面30,30Aから離間した領域と比べ、高純度の材料で構成してもよい。
【0032】
(凹部)
図3には、凹部10の上面視形状が略四角形であり、断面視形状も略四角形である例を示すが、凹部10は任意の形状にすることができる。凹部10の配列は、任意であるが、例えば、凹部10のそれぞれが並列に形成される。凹部10のそれぞれの形状及び大きさは、同じであってもよく、異なっていてもよい。凹部10は、ウェハ載置面30の平面視中心Cに対して点対称とならないように形成されていることが好ましい。凹部10がウェハ載置面30Aの平面視中心Cに対して点対称とならないように形成されていることで、半導体ウェハWを所定の向きでウェハ載置面30Aに載置する場合に貫通孔Hが凹部10と重ならない場合に、半導体ウェハWを回転させてウェハ載置面30Aに載置することで貫通孔Hが凹部10と重なるようにすることができる。
【0033】
凹部10の深さは、ウェハ載置面30Aから凹部10の底部までの距離に対応しており、例えば、基体50Aの厚みより小さい長さに設計できる。
【0034】
ウェハ載置面30Aに形成される凹部10の数は、2つ以上であり、多いことが好ましい。例えば、4つ以上であることが好ましく、6つ以上であることがより好ましく、8つ以上であることがさらに好ましく、50個以上であることがもっと好ましい。ウェハ載置面30Aに形成される凹部10の数が多いほど、貫通孔Hを有する半導体ウェハWを吸引しない領域を小さくすることができ、半導体ウェハWを吸着する安定性を高められる。
【0035】
真空チャック100Aにおいて、平面視におけるウェハ載置面30の面積に対する複数の凹部10の占める面積の割合は、例えば、5%以上であり、10%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましく、85%以上であることがもっと好ましい。ここで、平面視におけるウェハ載置面30の面積は、ウェハ載置面の外周で囲まれた領域の面積である。複数の凹部10の占める面積は、ウェハ載置面30に形成された凹部10の面積の和を表す。平面視におけるウェハ載置面30の面積に対する複数の凹部10の占める面積の割合が高いことで、貫通孔Hが複数の凹部10と重ならないように半導体ウェハWが載置されることを抑制できる。
【0036】
ウェハ載置面30は、例えば、表面の全面に亘って、面直方向に突出する微小の突起が設けられていてもよい。該突起は、支持ピンとも呼称される。
【0037】
凹部10は、例えば、基体50Aに対して、研削加工等を行うことにより形成される。
【0038】
(吸引孔)
吸引孔20は、基体50に形成されている。真空チャック100Aにおいては、吸引孔20は、それぞれ異なる凹部10に形成されている。吸引孔20は、例えば、1つの凹部10に対して1つずつ形成されている。
図3及び
図4には、凹部10a、10b、10c、10d、10eのそれぞれの底部に吸引孔20a,20b,20c,20d,20eが形成されている様子が示されている。
【0039】
図2、
図4に示されるように、吸引孔20は、基体50,50Aを厚み方向に貫通する。
図4では、凹部10の底部に吸引孔20が形成されている例を示す。吸引孔20は、例えば、バキュームポンプ、エジェクター等の真空発生装置からなる吸引源23と接続する。各吸引孔20及び吸引源23の間には、例えば、電磁弁21が設けられている。
図4に示す例では、吸引源23及び吸引孔20a、20b、20c、20d、20eの間に電磁弁21a、21b、21c、21d、21eが設けられている。
【0040】
電磁弁21a、21b、21c、21d、21eは、例えば、それぞれにアクチュエータ(不図示)が取り付けられており、制御部22によって独立にON/OFF制御可能な弁である。真空チャック100Aにおいて電磁弁21がON状態では、吸引孔20及び吸引源23が連通状態となり、電磁弁21がOFF状態では、吸引孔20及び吸引源23が非連通状態となる。
【0041】
上記構成により、真空チャック100,100Aは、複数の吸引孔20a、20b、20c、20d、20eのうち、いずれの吸引孔により半導体ウェハWを吸引し、いずれの吸引孔により半導体ウェハWを吸引するか否かを独立に制御可能である。
【0042】
本実施形態に係る真空チャック100,100Aによれば、貫通孔Hを有する半導体ウェハを用いた場合であっても、貫通穴Hに対応する吸引孔20bで半導体ウェハWを吸引せず、他の吸引孔20a,20c,20d,20eで半導体ウェハWを吸引することで、液体が貫通孔Hを抜け、半導体ウェハ及び真空チャックの間に液体が入り込むことを抑制し、また、吸引孔が該液体を吸引することを抑制できる。また、真空チャック100Aによれば、半導体ウェハWが載置された際に、吸引孔20、半導体ウェハW及び凹部10が略閉じた空間となり、該閉じた空間における吸引孔20で半導体ウェハWを吸引しないように制御することで、真空チャック100と比べて一層大きな効果を得られる。
【0043】
ここで、真空チャック100のような凹部10が設けられていない構造のものでは、貫通孔Hに対応する吸引孔として少なくとも貫通孔Hと最近接の吸引孔では半導体ウェハWを吸引しない。また、吸引孔20a、20c、20d、20eの少なくとも一つを用いて半導体ウェハWを吸引して半導体ウェハWを吸着する。また、例えば、貫通穴Hに対応する吸引孔として、平面視して貫通穴Hからの距離が所定値以下の吸引孔を非連通状態にし、該距離が所定値を超える吸引孔を連通状態にすることで半導体ウェハWを吸引するように制御してもよい。上記所定値は、例えば、5mmである。真空チャック100をこのように制御することで、半導体ウェハWの表面に滴下された液体が、貫通孔Hを抜け、半導体ウェハW及び真空チャック100のウェハ載置面30の間に入り込むことを抑制できる。
【0044】
ここまで、真空チャックの具体的な例について詳述した。本発明は、この例に限定されるものではなく、請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変更が可能である。例えば、
図2,
図4では、吸引孔20a、20b、20c、20d、20eのそれぞれが、基体50,50Aを貫通しており、基体50,50Aの外側で電磁弁21、制御部22及び吸引源23と接続している様子を示したが、真空チャック100Aにおいて、電磁弁21、制御部22及び吸引源23は、基体50,50Aの内部に形成されていてもよい。また、複数の凹部10及び複数の吸引孔20の配列を変更してもよい。また、上記例では、平面視して、真空チャック100,100Aの大きさが半導体ウェハWの大きさよりも大きい例を示したが、平面視して、真空チャックの大きさは、半導体ウェハWより小さくてもよい。平面視した際の真空チャックの大きさが半導体ウェハWの大きさよりも小さく、半導体ウェハWの貫通孔Hが真空チャックのウェハ載置面と重ならない場合、貫通孔Hの近傍には吸引孔が設けられていない構造となる。そのため、貫通孔Hの裏側からウェハ載置のための吸引孔から吸引されることはなく、ウェハ載置面よりも面内方向外側に位置する吸引孔では、前述の課題が生じないと考えられる。変形例において、上記実施形態における構成と同様の構成については、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0045】
図5は、
図1の真空チャックの変形例を示す平面図である。
図5に示される真空チャック100Bには、平面視円形の複数の凹部10Bが形成されている。また、
図5に示される真空チャック100Bにおいて、複数の凹部10Bは、ウェハ載置面30の平面視中心Cに対して点対称でないように配列されているが、ウェハ載置面30の平面視中心Cに対して点対称に配列されていてもよい。複数の凹部10Bのそれぞれには、真空チャック100Aと同様に、ウェハ載置面30に半導体ウェハWが載置された場合に独立に半導体ウェハWを吸引するか否か制御可能な吸引孔が設けられている。
【0046】
図6は、
図1の真空チャックの他の変形例を示す平面図である。
図6に示される真空チャック100Cには、平面視扇型の複数の凹部10Cが形成されている。複数の凹部10Cのそれぞれには、真空チャック100Aと同様に、ウェハ載置面30に半導体ウェハWが載置された場合に独立に半導体ウェハWを吸引するか否か制御可能な吸引孔が設けられている。
【0047】
凹部10Cの半径は、例えば、ウェハ載置面30の半径の1/5倍以上9/10倍以下であり、1/2倍以上9/10倍以下であることが好ましい。凹部10Cは、例えば、ウェハ載置面30の平面視中心Cに対して点対称に、互いに周方向に離隔して配列されている。真空チャック100Cでは、複数の凹部10Cが平面視扇型であることで、凹部10C同士の隙間を小さくすることができるため、ウェハ載置面30に対する平面視におけるウェハ載置面30の面積に対する複数の凹部10の占める面積の割合を高められ、貫通孔Hを有するウェハが載置された際に、貫通孔Hが凹部10Cと重なるように制御しやすい。
【0048】
図7は、
図1の真空チャックの他の変形例を示す平面図である。
図7に示される真空チャック100Dでは、真空チャック100Aの載置面30において凹部10a、10b、10c、10d、10eが形成されていない部分に凹部10f、10gが形成されている。凹部10f、10gの平面視形状は、例えば、凹部10a、10b、10c、10d、10eと異なっており、ウェハ載置面30において凹部10が形成されていないマージン領域の形状に対応している。凹部10f、10gは、凹部10a~10dと同様、独立に半導体ウェハを吸引可能な吸引孔が設けられている。凹部10f、10gの平面視形状は、例えば、扇型である。真空チャック100Dは、マージン領域に凹部10f、10gが形成され、ウェハ載置面30に異なる形の凹部が組み合わせられていることで、平面視におけるウェハ載置面30の面積に対する複数の凹部10の占める面積の割合を高められる。
【0049】
また、例えば、基体部の形状が
図1~
図7における基体50,50Aと異なっていてもよい。
図8は、
図1の真空チャックの他の変形例を示す平面図であり、
図9は、
図8の真空チャックの切断線IX-IXに沿う断面を説明する概念図である。
【0050】
図8及び
図9に示される真空チャック100Eにおいて、基体50Eは、ウェハ載置面30の周縁部Eから立接する環状外周部31を有する。環状外周部31は、ウェハ載置面30の面直方向に突出している。周縁部Eは、例えば、ウェハ載置面30の平面視中心Cを中心とする円上に位置する。周縁部Eの大きさは、真空チャック100Eに載置される半導体ウェハWの大きさに対応している。周縁部Eは、例えば、載置される半導体ウェハWとの間隔が10mm以下となるように形成されている。環状外周部31は、真空チャック100Eに載置される半導体ウェハWの位置を調整する役割を担う部材であり、半導体ウェハWは、環状外周部31の径方向内側に載置される。
【0051】
環状外周部31のウェハ載置面30からの高さは、例えば、載置される半導体ウェハWの厚みに対応している。環状外周部31の高さは、半導体ウェハWの厚みよりも小さいことが好ましい。環状外周部31を有することで、真空チャック100Eが、詳細を後述する不図示のスピンドルにより回転された際の半導体ウェハWの位置に関する安定性を高められる。
【0052】
真空チャック100Eは、ウェハのノッチやオリフラに対応する部分も立接している構造であってもよい。すなわち、環状外周部31がウェハ載置面30の平面視中心Cに近い側に入り込んだ構造であってもよい。すなわち、環状外周部31の平面視形状がノッチやオリフラを有するウェハの平面視形状と相似形などであってもよい。
【0053】
上記実施形態の真空チャック100Aは、例えば、載置面30と反対側から基体50と接続するようにスピンドル(不図示)が設けられたスピンドルチャックであってもよい。スピンドルは、例えば、回転駆動装置と接続している。このような構成により、スピンドルチャックは、スピンドルを軸中心として基体50を回転可能なように、スピンドルが基体50を支持している。
【0054】
[半導体デバイスの製造方法]
以下、上記の真空チャックを用いて半導体デバイスを製造する方法について説明する。本実施形態の半導体デバイスの製造方法は、上記実施形態に係る真空チャック100Aに半導体ウェハWを吸着させて半導体デバイスを製造する半導体デバイスの製造方法であって、半導体ウェハWが貫通孔Hを有する場合に、複数の吸引孔20a、20b、20c、20d、20eのうち、貫通孔Hと最近接の吸引孔で半導体ウェハWを吸引せずに半導体ウェハWを吸着した吸着状態で、半導体ウェハWを加工する工程を含む。
図1,2に示す例では、吸引孔20bが貫通孔Hと重なるため、吸引孔20bにより半導体ウェハWを吸引せずに半導体ウェハWを吸着した吸着状態で半導体ウェハWを加工する。
【0055】
ここで、吸着状態は、複数の吸引孔20a、20b、20c、20d、20eのうち、貫通孔Hと最近接の吸引孔を除く、吸引孔20a、20c、20d、20eの少なくとも一つを用いて半導体ウェハWを吸引して半導体ウェハWを吸着した状態である。本実施形態に係る半導体デバイスの製造方法において、該吸着状態を、貫通孔Hと最近接の吸引孔20bだけでなく、貫通孔Hから半導体ウェハWの面内方向に所定の距離以下の領域に位置する吸引孔で半導体ウェハWを吸引せずに、該所定の距離を超える領域に位置する吸引孔で半導体ウェハWを吸引してもよい。上記所定の距離は、例えば、5mmである。すなわち、本実施形態に係る半導体デバイスの製造方法では、複数の吸引孔で半導体ウェハWを吸引せず、他の吸引孔で半導体ウェハWを吸引した吸着状態で加工を行ってもよい。ここでいう半導体ウェハWは、表面にエピタキシャル膜が形成されているもの及びエピタキシャル膜が形成されていないもののいずれも包含する。
【0056】
また、
図3,4に示すような複数の凹部10a、10b、10c、10d、10eが基体50Aに形成され、複数の凹部のそれぞれに吸引孔が形成されている真空チャック100Aを用いる場合、以下のように制御することが好ましい。すなわち、吸着状態は、複数の凹部10a、10b、10c、10d、10eのうち、貫通孔Hと重ならない凹部10a、10c、10d、10eに形成された吸引孔20a、20c、20d、20eの少なくとも一つを用いて半導体ウェハWを吸引して半導体ウェハWを吸着した状態である。本実施形態に係る半導体デバイスの製造方法において、該吸着状態を、貫通孔Hと重ならない孔10a、10c、10d、10eに形成された吸引孔20a、20c、20d、20eの全てを用いて半導体ウェハWを吸引して半導体ウェハWを吸着した状態とすることが好ましい。
【0057】
半導体デバイスは、例えば、インゴットをスライスして形成されたウェハに対して洗浄工程、成膜工程、再洗浄工程、レジスト塗布工程、露光工程、現像液塗布工程、不純物注入工程、活性化工程、レジスト剥離工程、及び組み立て工程を経て作製される。すなわち、半導体デバイスは、例えば、インゴットをスライスして形成されたウェハの表面を洗浄し(洗浄工程)、その表面にエピタキシャル膜を形成し(成膜工程)、エピタキシャル膜が形成されたエピタキシャルウェハを洗浄し(再洗浄工程)、エピタキシャルウェハに対してレジストを塗布し(レジスト塗布工程)、レジスト膜を変質させて所定のパターンを形成し(露光工程)、パターンが形成されたエピタキシャルウェハに対して現像液を塗布し(現像液塗布工程)、エピタキシャルウェハに不純物イオンを注入し(不純物注入工程)、不純物イオンを活性化し(活性化工程)、レジストを剥離し(レジスト剥離工程)、組み立てられ(組み立て工程)、作製される。半導体ウェハWを加工する工程は、例えば、洗浄工程、成膜工程、再洗浄工程、レジスト塗布工程、露光工程、現像液塗布工程、不純物注入工程、活性化工程、レジスト剥離工程、及び組み立て工程を含む。
【0058】
半導体ウェハWは、上記工程のうち、例えば、レジスト塗布工程、現像液塗布工程等において、真空チャック100Aに吸着された状態で処理される。
本実施形態に係る半導体デバイスの製造方法では、半導体ウェハWとして半導体で構成された任意のウェハを用いることが出来るが、SiCウェハを用いてSiCデバイスを作製することが好ましい。
【0059】
本実施形態に係る半導体デバイスの製造方法は、半導体ウェハWを真空チャック100Aに吸着させる前に、半導体ウェハWに貫通孔Hが形成されているかを調べ、貫通孔Hが形成されている場合に、半導体ウェハWにおける貫通孔Hの位置座標を特定する(特定工程)。特定工程において、半導体ウェハWにおける貫通孔Hの位置座標を特定する手段は、任意にすることが出来る。例えば、以下の手法により半導体ウェハWにおける貫通孔Hの位置座標を特定する。
【0060】
例えば、1枚の半導体ウェハWに対して、光学顕微鏡を用いて両面を観察し、半導体ウェハWの両面の同様の位置に同様のサイズ及びコントラストである欠陥が形成されているか否か及び該欠陥の位置を識別し、半導体ウェハWにおける貫通孔Hの位置座標を特定する。
【0061】
また例えば、貫通欠陥が同一のインゴットに対して直線的に形成されることを踏まえて、同一インゴットから位置座標を推定することで半導体ウェハWにおける貫通孔Hの位置を特定してもよい。具体的には、同一のインゴットから得られた2枚以上の半導体ウェハのそれぞれの主面を観察して欠陥の位置を特定し、上記2枚以上の半導体ウェハのうち種結晶の最も近くに位置していた半導体ウェハを基準ウェハとし、基準ウェハの欠陥、及び、基準ウェハ以外のウェハの欠陥を比較することで特定工程を行ってもよい。具体的には、比較した2つの欠陥の[11-20]方向の欠陥距離が0.2mm未満である場合に該欠陥が貫通欠陥であると識別し、半導体ウェハWにおける該欠陥の位置座標を特定する。上記手法において半導体ウェハの観察は、例えば、微分干渉顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡により行う。
【0062】
また例えば、同一のインゴットから得られた2枚以上の半導体ウェハのフォトルミネッセンス像を取得し、2枚以上の半導体ウェハのそれぞれにおける欠陥の位置を共焦点顕微鏡等により抽出し、2枚以上の半導体ウェハの間で、欠陥の位置及びフォトルミネッセンス像における欠陥のS/N比を比較することで特定工程を行ってもよい。具体的には、先ず上記2枚以上の半導体ウェハのうち種結晶の最も近くに位置していた半導体ウェハを基準ウェハとし、基準ウェハにおける欠陥の位置を全て特定する。次いで、上記2枚以上の半導体ウェハのうち基準ウェハ以外の比較ウェハにおける欠陥の位置を特定する。次いで、比較ウェハにおける欠陥の位置が、該欠陥と最近接の基準ウェハにおける欠陥の位置に対して、面内方向に所定の範囲以内であるかを判定する。所定の範囲内にあると判定された比較ウェハ中の欠陥のS/N比を該欠陥と最近接の欠陥のS/N比以下であるかを判定する。
【0063】
貫通孔Hの位置座標が特定された半導体ウェハWは、例えば、その平面視中心が真空チャック100Aの載置面30の平面視中心Cと重なるように配置される。ここで、半導体ウェハWは、平面視中心に対する回転角が所定の値となるように調整された上で配置される。配置された半導体ウェハWは、特定工程により貫通孔Hの位置が把握されているため、真空チャック100Aの載置面30に対する半導体ウェハWの貫通孔Hの位置情報が担保される。
【0064】
本実施形態に係る半導体デバイスの製造方法は、好ましくは、半導体ウェハWに対してレジストを塗布するレジスト塗布工程を吸着状態で行う。レジスト塗布工程は、例えば、スピンコートによりレジスト膜を半導体ウェハWに対して形成する。スピンコートは、例えば、真空チャック100Aに一体又は別体成形されたスピンドルを用いて行う。
【0065】
レジスト塗布工程を吸着状態で行うことにより、半導体ウェハW表面のレジストが貫通孔Hから吸引されてしまい半導体ウェハWの表面を適切に処理できないこと、及び、貫通孔Hから抜けたレジストにより真空チャック100Aのウェハ載置面30Aが汚染されることを抑制できる。
【0066】
また、本実施形態に係る半導体デバイスの製造方法は、好ましくは、半導体ウェハWに対して現像液を塗布する現像液塗布工程を吸着状態で行う。現像液塗布工程を吸着状態で行うことにより、上記レジスト塗布工程と同様の原理で、半導体ウェハW表面の現像液が貫通孔Hから抜けて半導体ウェハWの表面を適切に処理できないこと、および、現像液が真空チャック100Aのウェハ載置面30Aに付着することが抑制される。
【0067】
本実施形態に係る半導体デバイスの製造方法によれば、ウェハ載置面30に複数の吸引孔20が形成されており、複数の吸引孔20は、半導体ウェハWを吸引するか否か独立に制御可能であるため、複数の吸引孔20のうち、半導体ウェハWの貫通孔Hに対応する吸引孔20で半導体ウェハWを吸引せずに半導体ウェハWを吸着した吸着状態で、半導体ウェハWを加工することにより、半導体表面に塗布された液体が貫通孔Hから抜けること、および、貫通孔Hから抜けた液体がウェハ載置面30に付着することを抑制できる。従って、貫通孔Hを有する半導体ウェハであっても半導体ウェハWの表面を適切に処理することができ、適切に処理できずに次工程に流動させることのできない半導体ウェハが生じることを抑制できる。また、真空チャック100Aのウェハ載置面30の汚染を防ぐことで、真空チャック100Aの洗浄するためにデバイスプロセスにダウンタイムが生じることを抑制できる。そのため、半導体デバイスの製造に有用である。
【0068】
上記例では、半導体デバイスの製造方法として、真空チャック100Aを用いる場合の例を説明したが、この例に限定されず、真空チャック100B,100C,100D,100Eを用いた場合であっても同様の効果を得られる。また、基体50に凹部10が形成されていない真空チャック100を用いた場合であっても、半導体ウェハWの貫通孔Hに対応する吸引孔で半導体ウェハを吸着しないように制御した状態で液体処理をした場合、液体が貫通孔Hを抜けて半導体ウェハW及びウェハ載置面30の間に入り込むこと及び吸引孔が液体を吸引することを抑制できる。
【符号の説明】
【0069】
10:凹部、20:吸引孔、30:ウェハ載置面、31:環状外周部、50:基体、100A,100B,100C,100D,100E:真空チャック、E:周縁部、W:半導体ウェハ