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特開2024-94876研磨用組成物、研磨方法および半導体基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094876
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】研磨用組成物、研磨方法および半導体基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/14 20060101AFI20240703BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20240703BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240703BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20240703BHJP
【FI】
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
C09G1/02
H01L21/304 622D
H01L21/304 622B
B24B37/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211758
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000236702
【氏名又は名称】株式会社フジミインコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】阿部 将志
(72)【発明者】
【氏名】新田 将史
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CB03
3C158CB10
3C158DA02
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
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3C158ED11
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5F057BB14
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5F057CA25
5F057DA03
5F057DA38
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5F057EA07
5F057EA16
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5F057EA18
5F057EA21
5F057EA22
5F057EA29
5F057EA32
(57)【要約】
【課題】本発明は、研磨用組成物を用いた特定の研磨対象物の研磨において、特定の研磨対象物の研磨速度を向上させる手段を提供する。
【解決手段】本発明は、カチオン変性シリカ粒子と、4価のセリウム塩と、分散媒とを含む、研磨用組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン変性シリカ粒子と、4価のセリウム塩と、分散媒とを含む、研磨用組成物。
【請求項2】
前記カチオン変性シリカ粒子は、正のゼータ電位を示す、請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項3】
前記4価のセリウム塩は、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)を含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項4】
酸をさらに含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項5】
防カビ剤をさらに含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項6】
pHが7.0未満である、請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨することを含む、研磨方法。
【請求項8】
前記研磨対象物は、典型元素を含む、請求項7に記載の研磨方法。
【請求項9】
半導体基板が研磨対象物を含み、
請求項7に記載の研磨方法により前記研磨対象物を研磨することを含む、半導体基板の製造方法。
【請求項10】
半導体基板が典型元素を含む研磨対象物を含み、
請求項8に記載の研磨方法により前記研磨対象物を研磨することを含む、半導体基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は研磨用組成物、研磨方法および半導体基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体基板表面の多層配線化に伴い、デバイスを製造する際に、半導体基板を研磨して平坦化する、いわゆる、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing;CMP)技術が利用されている。CMPは、研磨用組成物を用いて、半導体基板等の研磨対象物(被研磨物)の表面を平坦化する方法である。
【0003】
CMP技術の分野では、研磨による所望の効果の実現のため、検討が続けられている。
【0004】
特許文献1には、炭素数7~13のジカルボン酸、酸化剤、砥粒および水を含む、化学的機械的研磨組成物によって、ディッシング、エロージョンを抑制し、平坦性を維持したままで、バリア膜および絶縁膜を同時に高速に研磨できることが開示されている。また、特許文献1には、砥粒としてコロイダルシリカが特に望ましいこと、化学的機械的研磨組成物は幅広いpH範囲、特に2~4または8~12のpH範囲で使用できることが開示されている。そして、特許文献1には、凹部を有する絶縁膜、絶縁膜上に形成されたバリア層およびバリア層を覆うようにして凹部に埋め込まれた配線材料膜を有する基板を化学的機械的研磨組成物で研磨することが開示されている。さらに、特許文献1には、絶縁膜がSiO、SiN、SiNO、SiOC、SiCNおよびこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の無機ケイ素化合物の膜であることが開示されている。
【0005】
特許文献2には、シリカ粒子、スルホン酸モノマー単位を含むポリマーおよび水を含み、pHが約2~約5である研磨組成物と、研磨パッドとを用いて、炭化ケイ素層を表面上に含む基板を化学機械研磨することによって、比較的高い炭化ケイ素除去速度を実現しつつ、炭化ケイ素を半導体ウェハの表面上に存在する他の材料よりも優先して選択的に除去することを実現できることが開示されている。また、特許文献2には、研磨組成物が酸化剤をさらに含むことが好ましいことが開示されている。そして、特許文献2には、基板が、窒化ケイ素層または酸化ケイ素層を表面上にさらに含むことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-229215号公報
【特許文献2】特表2020-505756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者らの検討によって、上記特許文献1および上記特許文献2の技術では十分な研磨速度が得られない場合があるとの問題が判明した。
【0008】
そこで、本発明は、研磨用組成物を用いた特定の研磨対象物の研磨において、特定の研磨対象物の研磨速度を向上させる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の新たな課題を解決すべく、本発明者らは鋭意研究を積み重ねた。その結果、特定のシリカ粒子と、特定のセリウム塩とを含む研磨用組成物により上記課題が解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
本発明の一態様は、カチオン変性シリカ粒子と、4価のセリウム塩と、分散媒とを含む、研磨用組成物に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、研磨用組成物を用いた特定の研磨対象物の研磨において、特定の研磨対象物の研磨速度を向上させる手段が提供されうる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみには限定されない。
【0013】
本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20℃以上25℃以下)/相対湿度40%RH以上50%RH以下の条件で行う。
【0014】
<研磨用組成物>
本発明の一態様は、カチオン変性シリカ粒子(カチオン性基を有するシリカ粒子)と、4価のセリウム塩と、分散媒とを含む、研磨用組成物に関する。
【0015】
本発明者らは、上記課題が解決されるメカニズムを以下のように推定している。
【0016】
4価のセリウム塩は、4価のセリウムイオンを発生させることから、酸化剤として機能し、特定の研磨対象物の表面を脆化する。また、本態様に係る研磨用組成物に含まれるカチオン変性シリカ粒子は、砥粒として機能し、特定の研磨対象物との間で静電的な引き合いが生じることによって、カチオン変性シリカ粒子と、特定の研磨対象物との接触が促進される。その結果、特定の研磨対象物の研磨速度が向上する。
【0017】
なお、上記メカニズムは推測に基づくものであり、その正誤が本発明の技術的範囲に影響を及ぼすものではない。
【0018】
[カチオン変性シリカ粒子]
一実施形態において、カチオン変性シリカ粒子は、砥粒として機能しうる。当該実施形態に係る研磨用組成物は、砥粒を含み、砥粒は、カチオン変性シリカ粒子を含むとも言える。砥粒は、1種単独でも、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
カチオン変性シリカ粒子のゼータ電位(研磨用組成物中のカチオン変性シリカ粒子のゼータ電位)は、特に制限されないが、カチオン変性シリカ粒子は、正のゼータ電位を示すことが好ましい。カチオン変性シリカ粒子のゼータ電位(研磨用組成物中のカチオン変性シリカ粒子のゼータ電位)は、特に制限されないが、0mV超であることが好ましく、5mV以上であることがより好ましく、10mV以上であることがさらに好ましく、20mV以上であることがよりさらに好ましく、30mV以上であることが特に好ましい。上記範囲であると、特定の研磨対象物を研磨する際の研磨速度がより向上する。また、特定の研磨対象物の研磨速度に対する他の特定の研磨対象物の研磨速度の比(他の特定の研磨対象物の研磨速度/特定の研磨対象物の研磨速度。ここで、他の特定の研磨対象物の研磨速度>特定の研磨対象物の研磨速度とする。)(以下、「特定の研磨対象物の研磨速度に対する他の特定の研磨対象物の研磨速度の比」を「特定の研磨対象物間の選択比」とも称する。)がより向上する場合がある。カチオン変性シリカ粒子のゼータ電位(研磨用組成物中のカチオン変性シリカ粒子のゼータ電位)は、特に制限されないが、例えば、100mV以下が挙げられる。研磨用組成物中のカチオン変性シリカ粒子のゼータ電位は、実施例に記載の方法により、判断することができる。
【0020】
カチオン変性シリカ粒子のゼータ電位は、例えば、シリカ粒子の変性に用いる化合物の種類および量、カチオン性基の量、ならびに研磨用組成物のpH等により調整することができる。ただし、カチオン変性シリカ粒子のゼータ電位の調整方法は、これらに限定されない。
【0021】
カチオン変性シリカ粒子は、1種単独でも、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
カチオン変性シリカ粒子としては、特に制限されないが、カチオン変性コロイダルシリカ(カチオン性基を有するコロイダルシリカ)が好ましい。カチオン変性シリカ粒子は、1種単独でも、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。カチオン変性シリカ粒子は、市販品を用いてもよいし、合成品を用いてもよい。
【0023】
コロイダルシリカの製造方法としては、例えば、ケイ酸ソーダ法、ゾルゲル法等が挙げられ、いずれの製造方法で製造されたコロイダルシリカであっても好適に用いられる。しかしながら、金属不純物低減の観点から、ゾルゲル法により製造されたコロイダルシリカが好ましい。ゾルゲル法によって製造されたコロイダルシリカは、半導体中に拡散性のある金属不純物および/または塩化物イオン等の腐食性イオンの含有量が少ないため好ましい。ゾルゲル法によるコロイダルシリカの製造は、従来公知の手法を用いて行うことができる。具体的には、加水分解可能なケイ素化合物(例えば、アルコキシシランまたはその誘導体)を原料とし、加水分解・縮合反応を行うことにより、コロイダルシリカを得ることができる。
【0024】
カチオン変性シリカ粒子は、カチオン変性コロイダルシリカを含むことが好ましい。カチオン変性シリカ粒子の総質量に対するカチオン変性コロイダルシリカの含有割合は、特に制限されないが、カチオン変性シリカ粒子の総質量に対して、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、90質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、99質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。カチオン変性シリカ粒子は、カチオン変性コロイダルシリカのみであることが特に好ましい。
【0025】
カチオン変性とは、シリカ粒子の表面にカチオン性基(例えば、アミノ基または第四級アンモニウム基)が結合した状態を意味する。好ましい一実施形態によれば、カチオン変性シリカ粒子は、アミノ基変性シリカ粒子であり、より好ましい一実施形態によれば、アミノ基変性コロイダルシリカである。これらの実施形態によれば、特定の研磨対象物を研磨する際の研磨速度がより向上する。また、特定の研磨対象物間の選択比がより向上する場合がある。
【0026】
シリカ粒子をカチオン変性するには、シリカ粒子に対して、カチオン性基(例えば、アミノ基または第四級アンモニウム基)を有するシランカップリング剤を加えて、所定の温度で所定時間反応させればよい。好ましい一実施形態において、カチオン変性シリカ粒子は、アミノ基を有するシランカップリング剤または第四級アンモニウム基を有するシランカップリング剤をシリカ粒子の表面に固定化させてなる。
【0027】
シランカップリング剤としては、例えば、特開2005-162533号公報に記載されているものが挙げられる。具体的には、例えば、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン((3-アミノプロピル)トリエトキシシラン)、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-トリエトキシシリル-N-(α,γ-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリエトキシシランの塩酸塩、オクタデシルジメチル-(γ-トリメトキシシリルプロピル)-アンモニウムクロライド、N-トリメトキシシリルプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド等のシランカップリング剤が挙げられる。これらのなかでも、シリカ粒子との反応性が良好であるとの観点から、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシランが好ましく用いられる。なお、シランカップリング剤は、1種単独でも、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
なお、シランカップリング剤は、そのまま、または親水性有機溶媒、純水もしくはこれらの混合溶媒で希釈して、シリカ粒子に加えることができる。親水性有機溶媒および/または純水で希釈することによって、凝集物の生成を抑制することができる。シランカップリング剤を親水性有機溶媒および/または純水で希釈する場合、シランカップリング剤の濃度は特に制限されないが、シランカップリング剤が親水性有機溶媒、純水またはこれらの混合溶媒 1L中、好ましくは0.01g以上1g以下、より好ましくは0.1g以上0.7g以下程度の濃度になるように、親水性有機溶媒および/または純水に希釈すればよい。親水性有機溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等の低級アルコールなどを例示することができる。
【0029】
また、シランカップリング剤の添加量を調節することにより、シリカ粒子の表面に導入されるカチオン性基の量を調節することができる。シランカップリング剤の使用量は特に限定されないが、反応液に対して、好ましくは0.1mmol/L以上5mmol/L以下、より好ましくは0.2mmol/L以上3mmol/L以下程度である。
【0030】
シランカップリング剤でシリカ粒子をカチオン変性する際の処理温度は特に限定されず、室温(例えば、25℃)から、シリカ粒子を分散する分散媒の沸点程度の温度であればよく、好ましくは0℃以上100℃以下、より好ましくは室温(例えば、25℃)以上90℃以下程度とされる。
【0031】
カチオン変性シリカ粒子(好ましくはカチオン変性コロイダルシリカ)の形状は、特に制限されず、球形状(以下、球状ともいう)であってもよいし、非球形状であってもよい。非球形状の具体例としては、三角柱や四角柱などの多角柱状、円柱状、円柱の中央部が端部よりも膨らんだ俵状、円盤の中央部が貫通しているドーナツ状、板状、中央部にくびれを有するいわゆる繭状(繭型形状)、複数の粒子が一体化しているいわゆる会合型球形状、表面に複数の突起を有するいわゆる金平糖形状、ラグビーボール形状等、種々の形状が挙げられ、特に制限されない。
【0032】
カチオン変性シリカ粒子の平均一次粒子径は、特に制限されないが、1nm以上であることが好ましく、3nm以上であることがより好ましく、5nm以上であることがさらに好ましい。カチオン変性シリカ粒子の平均一次粒子径は、特に制限されないが、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。カチオン変性シリカ粒子の好ましい平均一次粒子径としては、例えば、1nm以上100nm以下、3nm以上50nm以下、5nm以上30nm以下等が挙げられる。ただし、カチオン変性シリカ粒子の平均一次粒子径は、これらの範囲に限定されない。カチオン変性シリカ粒子がカチオン変性コロイダルシリカを含む場合、カチオン変性シリカコロイダルシリカの好ましい平均一次粒子径の範囲もまた、上記で挙げたカチオン変性シリカ粒子の平均一次粒子径の好ましい範囲と同様である。カチオン変性シリカ粒子の平均一次粒子径は、BET法から算出したカチオン変性シリカ粒子の比表面積(SA)と、カチオン変性シリカ粒子の密度とを基に算出することができる。より具体的には、カチオン変性シリカ粒子の平均一次粒子径は、実施例に記載の方法により、測定および算出することができる。
【0033】
カチオン変性シリカ粒子の平均二次粒子径は、特に制限されないが、15nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、25nm以上であることがさらに好ましい。上記範囲であると、研磨中の抵抗が小さくなり、安定的な研磨が可能になる。カチオン変性シリカ粒子の平均二次粒子径は、特に制限されないが、500nm以下であることが好ましく、400nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることがさらに好ましい。上記範囲であると、研磨対象物の掻き取り量が向上し、研磨速度がより向上する。カチオン変性シリカ粒子の好ましい平均二次粒子径としては、例えば、15nm以上500nm以下、20nm以上400nm以下、25nm以上300nm以下等が挙げられる。ただし、カチオン変性シリカ粒子の平均二次粒子径は、これらの範囲に限定されない。カチオン変性シリカ粒子がカチオン変性コロイダルシリカを含む場合、カチオン変性コロイダルシリカの好ましい平均二次粒子径の範囲もまた、上記で挙げたカチオン変性シリカ粒子の平均二次粒子径の好ましい範囲と同様である。カチオン変性シリカ粒子の平均二次粒子径は、動的光散乱法により、体積平均粒子径(体積基準の算術平均径;Mv)として測定することができる。より具体的には、カチオン変性シリカ粒子の平均二次粒子径は、実施例に記載の方法により測定できる。
【0034】
カチオン変性シリカ粒子の、平均一次粒子径に対する平均二次粒子径の比(平均二次粒子径/平均一次粒子径)(以下、「平均一次粒子径に対する平均二次粒子径の比」を「平均会合度」とも称する。)は、特に制限されないが、1.0超であることが好ましく、1.1以上であることがより好ましく、1.2以上であることがさらに好ましい。カチオン変性シリカ粒子の平均会合度は、特に制限されないが、4.0以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましく、3.0以下であることがさらに好ましい。カチオン変性シリカ粒子の好ましい平均会合度としては、例えば、1.0超4.0以下、1.1以上3.5以下、1.2以上3.0以下等が挙げられる。ただし、カチオン変性シリカ粒子の平均会合度は、これらの範囲に限定されない。カチオン変性シリカ粒子がカチオン変性コロイダルシリカを含む場合、カチオン変性コロイダルシリカの好ましい平均会合度の範囲もまた、上記で挙げたカチオン変性シリカ粒子の平均会合度の好ましい範囲と同様である。カチオン変性シリカ粒子の平均会合度は、カチオン変性シリカ粒子の平均二次粒子径の値をカチオン変性シリカ粒子の平均一次粒子径の値で除すること(カチオン変性シリカ粒子の平均二次粒子径の値/カチオン変性シリカ粒子の平均一次粒子径の値)により算出できる。
【0035】
カチオン変性シリカ粒子の形状および大きさ(平均一次粒子径、平均二次粒子径、平均会合度等)は、それぞれ、例えば、カチオン変性シリカ粒子の製造方法の選択等により適切に制御することができる。ただし、カチオン変性シリカ粒子の形状および大きさの制御方法は、それぞれ、これらに限定されない。
【0036】
研磨用組成物中のカチオン変性シリカ粒子の含有量(濃度)は、特に制限されないが、研磨用組成物の総質量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましく、0.5質量%超であることが特に好ましい。研磨用組成物中のカチオン変性シリカ粒子の含有量は、特に制限されないが、研磨用組成物の総質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、4質量%以下であることがさらに好ましく、4質量%未満であることが特に好ましい。上記範囲であると、特定の研磨対象物を研磨する際の研磨速度がより向上する。また、上記範囲であると、特定の研磨対象物間の選択比がより向上する場合がある。研磨用組成物中のカチオン変性シリカ粒子の好ましい含有量は、特に制限されないが、研磨用組成物の総質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下、0.2質量%以上5質量%以下、0.5質量%以上4質量%以下、0.5質量%超4質量%未満等が挙げられる。ただし、研磨用組成物中のカチオン変性シリカ粒子の含有量は、これらの範囲に限定されない。
【0037】
一実施形態に係る研磨用組成物が砥粒としてカチオン変性シリカ粒子を含むとき、砥粒中のカチオン変性シリカ粒子の含有割合は、特に制限されないが、砥粒の総質量に対して、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、90質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、99質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。砥粒は、カチオン変性シリカ粒子のみであることが特に好ましい。
【0038】
[4価のセリウム塩]
一実施形態において、4価のセリウム塩は、酸化剤として機能しうる。当該実施形態において、研磨用組成物は、酸化剤を含み、酸化剤は、4価のセリウム塩を含むとも言える。酸化剤は、1種単独でも、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
4価のセリウム塩としては、特に制限されないが、例えば、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)、硫酸セリウム(IV)、硫酸セリウム(IV)の水和物、硫酸四アンモニウムセリウム(IV)の水和物等が挙げられる。硫酸セリウム(IV)の水和物の例としては、特に制限されないが、硫酸セリウム(IV)四水和物が挙げられる。硫酸四アンモニウムセリウム(IV)の水和物の例としては、特に制限されないが、硫酸四アンモニウムセリウム(IV)二水和物が挙げられる。これらの中でも、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)が特に好ましい。4価のセリウム塩は、1種単独でも、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
4価のセリウム塩は、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)、硫酸セリウム(IV)、硫酸セリウム(IV)の水和物および硫酸四アンモニウムセリウム(IV)の水和物からなる群(以下、当該群を「群A」とも称する)より選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。4価のセリウム塩中の上記群Aより選択される少なくとも1種の化合物の含有割合は、特に制限されないが、4価のセリウム塩の総量を100mol%として、50mol%以上100mol%以下であることが好ましく、90mol%以上100mol%以下であることがより好ましく、99mol%以上100mol%以下であることがさらに好ましい。4価のセリウム塩は上記群Aより選択される少なくとも1種の化合物のみであることが特に好ましい。
【0041】
4価のセリウム塩は、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)、硫酸セリウム(IV)、硫酸セリウム(IV)四水和物および硫酸四アンモニウムセリウム(IV)二水和物からなる群(以下、当該群を「群B」とも称する)より選択される少なくとも1種の化合物を含むことがより好ましい。4価のセリウム塩中の上記群Bより選択される少なくとも1種の化合物の含有割合は、特に制限されないが、4価のセリウム塩の総量を100mol%として、50mol%以上100mol%以下であることが好ましく、90mol%以上100mol%以下であることがより好ましく、99mol%以上100mol%以下であることがさらに好ましい。4価のセリウム塩は上記群Bより選択される少なくとも1種の化合物のみであることが特に好ましい。
【0042】
4価のセリウム塩は、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)を含むことがさらに好ましい。4価のセリウム塩中の硝酸二アンモニウムセリウム(IV)の含有割合は、特に制限されないが、4価のセリウム塩の総量を100mol%として、50mol%以上100mol%以下であることが好ましく、90mol%以上100mol%以下であることがより好ましく、99mol%以上100mol%以下であることがさらに好ましい。4価のセリウム塩は硝酸二アンモニウムセリウム(IV)のみであることが特に好ましい。
【0043】
研磨用組成物中の4価のセリウム塩の含有量(濃度)は、特に制限されないが、0.01mmol/L以上であることが好ましく、1mmol/L以上であることがより好ましく、10mmol/L以上であることがさらに好ましく、20mmol/L以上であることがよりさらに好ましく、40mmol/L以上であることが特に好ましく、80mmol/L以上であることがさらに特に好ましい。上記範囲であると、特定の研磨対象物を研磨する際の研磨速度がより向上する。研磨用組成物中の4価のセリウム塩の含有量(濃度)は、特に制限されないが、10,000mmol/L(10mol/L)以下であることが好ましく、1,000mmol/L(1mol/L)以下であることがより好ましく、500mmol/L以下であることがさらに好ましく、200mmol/L以下であることがよりさらに好ましく、120mmol/L以下であることが特に好ましく、100mmol/L以下であることがさらに特に好ましい。上記範囲であると、特定の研磨対象物間の選択比がより向上する場合がある。研磨用組成物における4価のセリウム塩の好ましい含有量としては、例えば、0.01mmol/L以上10,000mmol/L以下、1mmol/L以上1,000mmol/L以下、10mmol/L以上500mmol/L以下、20mmol/L以上200mmol/L以下、40mmol/L以上120mmol/L以下、80mmol/L以上100mmol/L以下等が挙げられる。ただし、研磨用組成物における4価のセリウム塩の含有量は、これらの範囲に限定されない。
【0044】
一実施形態に係る研磨用組成物が酸化剤として4価のセリウム塩を含むとき、酸化剤中の4価のセリウム塩の含有割合は、特に制限されないが、酸化剤の総量を100mol%として、50mol%以上100mol%以下であることが好ましく、90mol%以上100mol%以下であることがより好ましく、99mol%以上100mol%以下であることがさらに好ましい。酸化剤は、4価のセリウム塩のみであることが特に好ましい。
【0045】
[酸]
一実施形態に係る研磨用組成物は、酸をさらに含むことが好ましい。
【0046】
一実施形態において、酸は、pH調整剤として用いられることが好ましい。当該実施形態において、研磨用組成物は、pH調整剤を含み、pH調整剤は、酸を含むとも言える。酸がpH調整剤として用いられる場合、酸は、pH調整剤としての機能に加えて、他の機能をさらに有していてもよい。pH調整剤は、1種単独でも、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
酸の具体例としては、特に制限されないが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2-ヒドロキシイソ酪酸(HBA)、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸、アミノ酸、アントラニル酸、ニトロカルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、イセチオン酸、タウリン、有機酸基を有する非芳香族架橋環状化合物等の有機酸;炭酸、塩酸、硝酸、リン酸、次亜リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸などの無機酸;等が挙げられる。これらの中でも、Si膜に対する他の特定の研磨対象物の選択比(他の特定の研磨対象物の研磨速度/Si膜の研磨速度)が向上する場合があるとの観点から、有機酸が好ましい。
【0048】
有機酸基を有する非芳香族架橋環状化合物は、嵩高い構造を有しており、特定の研磨対象物および他の特定の研磨対象物の研磨の際に、他の特定の研磨対象物の研磨速度を抑制することで、特定の研磨対象物の研磨速度間の選択比をより向上させる場合がある。
【0049】
本明細書において、非芳香族架橋環状化合物とは、分子内に芳香環を有せず、かつ、1つの単環構造が有する2つ以上の置換基の直鎖構造部分の両端が結合した構造を有する化合物のうち、1辺を共有する構造(すなわち縮合環化合物)を除外した、架橋化合物を表す。非芳香族架橋環状化合物としては、特に制限されないが、例えば、カンファー、アダマンタンおよびこれらの分子構造中の環を形成する炭化水素基が他の原子または官能基に置換されてなる誘導体等が挙げられる。
【0050】
有機酸基を有する非芳香族架橋環状化合物としては、特に制限されないが、下記一般式1で表される化合物であることが好ましい。
【0051】
【化1】
【0052】
上記一般式1において、
は、CR’、C=OまたはOであり、
は、CR’、C=OまたはOであり、
は、CR’、C=OまたはOであり、
は、CR’、C=OまたはOであり、
、R’、R、R’、R、R’、R、R’、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換されたもしくは非置換の炭化水素基(例えば、置換されたもしくは非置換のアルキル基、置換されたもしくは非置換のアルケニル基または置換されたもしくは非置換のアルキニル基)、置換されたもしくは非置換のアルコキシ基、置換されたもしくは非置換のポリオキシアルキレン基、または有機酸基であり、
、R’、R、R’、R、R’、R、R’、R、R、RおよびRからなる群より選択される少なくとも1つが置換された基である場合、置換基は、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、非置換の炭化水素基(例えば、非置換のアルキル基、非置換のアルケニル基または非置換のアルキニル基)、非置換のアルコキシ基、非置換のポリオキシアルキレン基、または有機酸基であり、
、R’、R、R’、R、R’、R、R’、R、R、RおよびRからなる群より選択される少なくとも1つは、有機酸基を含む。
【0053】
上記一般式1において、Z、Z、ZおよびZからなる群より選択される少なくとも1つがC=Oであることが好ましく、ZおよびZからなる群より選択される少なくとも1つがC=Oであることがより好ましく、ZがC=Oであること、またはZがC=Oであることがさらに好ましく、ZがC=Oであることが特に好ましい。この際、Z、Z、ZおよびZのC=Oではない基は、CRR’(以下、Rは、Z~Zに対応してそれぞれR~Rを表し、R’はZ~Zに対応してそれぞれR’~R’を表すものとする)またはOであることが好ましく、CRR’であることがより好ましい。
【0054】
上記一般式1のR、R’、R、R’、R、R’、R、R’、R、R、RおよびRにおいて、ハロゲン原子としては、特に制限されないが、例えば、F、Cl、BrおよびI等が挙げられる。
【0055】
上記一般式1のR、R’、R、R’、R、R’、R、R’、R、R、RおよびRにおいて、炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基が挙げられる。これらの中でも、アルキル基が好ましい。
【0056】
アルキル基は、直鎖状、分枝鎖状または環状のいずれであってもよい。アルキル基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数1~12のアルキル基が挙げられる。これらの中でも、炭素数1~5の非環式のアルキル基が好ましく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2-メチルブチル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基がより好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基がさらに好ましく、メチル基またはエチル基がよりさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0057】
アルケニル基は、直鎖状、分枝鎖状、または環状のいずれであってもよい。アルケニル基としては、特に制限されないが、例えば、ビニル基、2-プロペニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-メチル-2-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、1-メチル-3-ブテニル基、2-メチル-3-ブテニル基、3-メチル-3-ブテニル基、1,1-ジメチル-2-プロペニル基、1,2-ジメチル-2-プロペニル基、1-エチル-2-プロペニル基等が挙げられる。
【0058】
アルキニル基は、直鎖状、分枝鎖状または環状のいずれであってもよい。アルキニル基としては、特に制限されないが、例えば、2-ブチニル基、3-ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、デシニル基等が挙げられる。
【0059】
上記一般式1のR、R’、R、R’、R、R’、R、R’、R、R、RおよびRにおいて、アルコキシ基としては、特に制限されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基、t-ペントキシ基、2-メチルブトキシ基等が挙げられる。
【0060】
上記一般式1のR、R’、R、R’、R、R’、R、R’、R、R、RおよびRにおいて、ポリオキシアルキレン基としては、特に制限されないが、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、ポリオキシエチレン基とポリオキシプロピレン基とのブロック状ポリオキシアルキレン基、ポリオキシエチレン基とポリオキシプロピレン基とのランダム状ポリオキシアルキレン基、ポリオキシエチレン基とポリオキシブチレン基とのブロック状ポリオキシアルキレン基、ポリオキシエチレン基とポリオキシブチレン基とのランダム状ポリオキシアルキレン基等が挙げられる。
【0061】
上記一般式1のR、R’、R、R’、R、R’、R、R’、R、R、RおよびRにおいて、有機酸基は、特に制限されないが、前述のように、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基(-P(=O)(OH))およびリン酸基(-OP(=O)(OH))からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの中でも、カルボキシ基またはスルホ基であることがより好ましく、スルホ基であることがさらに好ましい。
【0062】
上記一般式1において、R、R’、R、R’、R、R’、R、R’、R、R、RおよびRからなる群より選択される少なくとも1つが置換された基である場合、置換基としてのハロゲン原子、炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基)、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、有機酸基は、それぞれ、上記一般式1のR、R’、R、R’、R、R’、R、R’、R、R、RおよびRにおけるこれらの基について説明したものと同様である。
【0063】
上記一般式1において、R、R’、R、R’、R、R’、R、R’、R、R、RおよびRからなる群より選択される少なくとも1つが置換された炭化水素基(例えば、置換されたアルキル基、置換されたアルケニル基、置換されたアルキニル基)である場合、置換基は、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、非置換のアルコキシ基、非置換のポリオキシアルキレン基、または有機酸基であることが好ましい。上記一般式1において、R、R’、R、R’、R、R’、R、R’、R、R、RおよびRからなる群より選択される少なくとも1つが置換されたアルコキシ基である場合、置換基は、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、非置換のアルケニル基、非置換のアルキニル基、非置換のポリオキシアルキレン基、または有機酸基であることが好ましい。上記一般式1において、R、R’、R、R’、R、R’、R、R’、R、R、RおよびRからなる群より選択される少なくとも1つが置換されたポリオキシアルキレン基である場合、置換基は、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、非置換のアルケニル基、非置換のアルキニル基、非置換のアルコキシ基、または有機酸基であることが好ましい。
【0064】
上記一般式1において、R、R’、R、R’、R、R’、R、R’、R、R、RおよびRからなる群より選択される少なくとも1つが有機酸基、または有機酸基で置換されたアルキル基であることが好ましい。これらの中でも、R、R’、R、R’、R、R’、R、R’、R、R、RおよびRからなる群より選択される1つのみが有機酸基、または有機酸基で置換されたアルキル基であることがより好ましい。この際、有機酸基、または有機酸基で置換されたアルキル基としては、カルボキシ基、スルホ基、カルボキシ基で置換されたメチル基、またはスルホ基で置換されたメチル基であることがさらに好ましく、カルボキシ基であるか、またはスルホ基で置換されたメチル基であることがよりさらに好ましく、スルホ基で置換されたメチル基であることが特に好ましい。
【0065】
上記一般式1において、R、R’R、R’、R、R’、RおよびR’は、それぞれ独立して、水素原子であることが特に好ましい。
【0066】
上記一般式1において、Zは、CR’であり、Zは、CR’であり、Zは、C=Oであり、Zは、CR’であり、R、R’R、R’、RおよびR’は、それぞれ独立して、水素原子であること好ましい。
【0067】
上記一般式1において、Rは、水素原子、有機酸基、または置換されたもしくは非置換のアルキル基であることが好ましく、置換されたまたは非置換のアルキル基であることがより好ましく、置換されたアルキル基であることがさらに好ましく、有機酸基で置換されたアルキル基であることが特に好ましい。この際、有機酸基で置換されたアルキル基としては、スルホ基で置換されたメチル基であることが好ましい。
【0068】
上記一般式1において、Rは、水素原子、または有機酸基であることが好ましく、水素原子、またはカルボキシ基であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
【0069】
上記一般式1において、RおよびRは、それぞれ独立して、置換されたまたは非置換のアルキル基であることが好ましく、非置換のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
【0070】
有機酸基を有する非芳香族架橋環状化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0071】
有機酸基を有する非芳香族架橋環状化合物の好ましい具体例としては、10-カンファースルホン酸、カンファン酸およびケトピニン酸等が挙げられる。これらの中でも、Si膜に対する他の特定の研磨対象物の選択比(他の特定の研磨対象物の研磨速度/Si膜の研磨速度)が向上する場合があるとの観点から、10-カンファースルホン酸が特に好ましい。なお、10-カンファースルホン酸は、任意の一種の立体異性体であってもよく、立体異性体の任意の混合物であってもよく、ラセミ体であってもよい。
【0072】
有機酸基を有する非芳香族架橋環状化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0073】
酸は、1種単独でも、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0074】
酸は、有機酸を含むことが好ましい。酸中の有機酸の含有割合は、特に制限されないが、酸の総質量に対して、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、90質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、99質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。酸は、有機酸のみであることが特に好ましい。
【0075】
酸は、有機酸基を有する非芳香族架橋環状化合物を含むことが好ましい。酸中の有機酸基を有する非芳香族架橋環状化合物の含有割合は、特に制限されないが、酸の総質量に対して、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、90質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、99質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。酸は、有機酸基を有する非芳香族架橋環状化合物のみであることが特に好ましい。
【0076】
酸は、上記一般式1で表される化合物を含むことがさらに好ましい。酸中の上記一般式1で表される化合物の含有割合は、特に制限されないが、酸の総質量に対して、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、90質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、99質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。酸は、上記一般式1で表される化合物のみであることが特に好ましい。
【0077】
酸は、10-カンファースルホン酸、カンファン酸およびケトピニン酸からなる群(以下、当該群を「群C」とも称する)より選択される少なくとも1種の化合物を含むことがさらに好ましい。酸中の上記群Cより選択される少なくとも1種の化合物の含有割合は、特に制限されないが、酸の総質量に対して、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、90質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、99質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。酸は、上記群Cより選択される少なくとも1種の化合物のみであることが特に好ましい。
【0078】
酸は、10-カンファースルホン酸を含むことがさらに好ましい。酸中の10-カンファースルホン酸の含有割合は、特に制限されないが、酸の総質量に対して、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、90質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、99質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。酸は、10-カンファースルホン酸のみであることが特に好ましい。
【0079】
一実施形態において、酸は、無機酸を含んでいてもよい。一実施形態において、酸は、炭酸、塩酸、硝酸、リン酸、次亜リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、メタリン酸およびヘキサメタリン酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸を含んでいてもよい。一実施形態において、酸は、硝酸を含んでいてもよい。
【0080】
研磨用組成物中の酸の含有量(濃度)は、特に制限されないが、得られる研磨用組成物が所望のpH値となるような量を適宜選択すればよく、得られる研磨用組成物のpH値が後述する好ましい研磨用組成物のpH値の範囲内となるような量を選択することが好ましい。
【0081】
一実施形態に係る研磨用組成物がpH調整剤として酸を含むとき、pH調整剤中の酸の含有割合は、特に制限されないが、pH調整剤の総質量に対して、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、90質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、99質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。pH調整剤は、酸のみであることが特に好ましい。
【0082】
[防カビ剤(防腐剤)]
一実施形態に係る研磨用組成物は、防カビ剤(防腐剤)をさらに含むことが好ましい。
【0083】
防カビ剤としては、特に制限されないが、具体例としては、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン等のイソチアゾリン系防腐剤;フェノキシエタノール;等が挙げられる。これらの中でも、イソチアゾリン系防腐剤が好ましく、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンがより好ましい。
【0084】
防カビ剤は、1種単独でも、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0085】
防カビ剤は、イソチアゾリン系防腐剤を含むことが好ましい。防カビ剤中のイソチアゾリン系防腐剤の含有割合は、特に制限されないが、防カビ剤の総量を100mol%として、50mol%以上100mol%以下であることが好ましく、90mol%以上100mol%以下であることがより好ましく、99mol%以上100mol%以下であることがさらに好ましい。防カビ剤は、イソチアゾリン系防腐剤のみであることが特に好ましい。
【0086】
防カビ剤は、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンを含むことがより好ましい。防カビ剤中の2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの含有割合は、特に制限されないが、防カビ剤の総量を100mol%として、50mol%以上100mol%以下であることが好ましく、90mol%以上100mol%以下であることがより好ましく、90mol%以上100mol%以下であることがさらに好ましい。防カビ剤は、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンのみであることが特に好ましい。
【0087】
研磨用組成物中の防カビ剤の含有量(濃度)は、特に制限されないが、0.0001mmol/L以上であることが好ましく、0.001mmol/L以上であることがより好ましく、0.01mmol/L以上であることがさらに好ましい。上記範囲であると、カビなどの微生物発生による研磨用組成物の性能劣化がより抑制される。研磨用組成物中の防カビ剤の含有量(濃度)は、特に制限されないが、10mmol/L以下であることが好ましく、1mmol/L以下であることがより好ましく、0.1mmol/L以下であることがさらに好ましい。上記範囲であると、研磨用組成物の性能への影響がより小さくなる。研磨用組成物中の防カビ剤の好ましい含有量としては、例えば、0.0001mmol/L以上10mmol/L以下、0.001mmol/L以上1mmol/L以下、0.01mmol/L以上0.1mmol/L以下等が挙げられる。ただし、研磨用組成物における防カビ剤の含有量は、これらの範囲に限定されない。
【0088】
[分散媒]
各成分を溶解および/または分散するために分散媒が用いられることが好ましい。
【0089】
分散媒としては、特に制限されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトン等のケトン類;これらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、水が特に好ましい。分散媒は水を含むことが好ましく、分散媒は実質的に水からなることがより好ましい。なお、上記の「分散媒は実質的に水からなる」とは、本発明の効果が達成され得る限りにおいて、水以外の分散媒が含まれ得ることを意図する。より具体的には、分散媒は、好ましくは90質量%以上100質量%以下の水と0質量%以上10質量%以下の水以外の分散媒とからなり、より好ましくは99質量%以上100質量%以下の水と0質量%以上1質量%以下の水以外の分散媒とからなる。最も好ましくは、分散媒は水である。
【0090】
研磨用組成物に含まれる成分の作用を阻害しないようにするという観点から、分散媒は、不純物をできる限り含有しない水が好ましい。具体的には、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去した後、フィルタを通して異物を除去した純水や超純水、または蒸留水がより好ましい。
【0091】
[他の成分]
一実施形態に係る研磨用組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、カチオン変性シリカ粒子を除く砥粒、4価のセリウム塩を除く酸化剤、酸を除くpH調整剤、錯化剤等の、研磨用組成物に用いられうる公知の他の成分をさらに含有してもよい。カチオン変性シリカ粒子を除く砥粒は、無機粒子、有機粒子または有機無機複合粒子のいずれであってもよい。無機粒子の具体例としては、特に制限されないが、未変性のシリカ粒子、アルミナ粒子、セリア粒子、チタニア粒子等の金属酸化物粒子;窒化ケイ素粒子;炭化ケイ素粒子;窒化ホウ素粒子;等が挙げられる。有機粒子の具体例としては、特に制限されないが、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子等が挙げられる。4価のセリウム塩を除く酸化剤としては、特に制限されないが、例えば、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、オゾン水、銀(II)塩、鉄(III)塩、過マンガン酸、クロム酸、重クロム酸、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、亜塩素酸、過塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、過硫酸等が挙げられる。酸を除くpH調整剤としては、特に制限されないが、例えば、塩基、アミン等が挙げられる。
【0092】
好ましい一実施形態に係る研磨用組成物として、他の成分を含まない研磨用組成物もまた挙げられる。当該実施形態において、研磨用組成物は、カチオン変性シリカ粒子と、4価のセリウム塩と、酸と、防カビ剤と、分散媒とから実質的に構成されてもよい。当該実施形態において、「研磨用組成物は、Xから実質的に構成される」とは、Xの合計含有量(合計濃度)が、研磨用組成物の総質量に対して、99質量%を超える(上限:100質量%)ことを意味する。好ましくは、研磨用組成物は、Xから構成される(上記合計含有量=100質量%)。例えば、「研磨用組成物は、カチオン変性シリカ粒子と、4価のセリウム塩と、酸と、防カビ剤と、分散媒とから実質的に構成される」とは、カチオン変性シリカ粒子と、4価のセリウム塩と、酸と、防カビ剤と、分散媒との合計含有量(合計濃度)が、研磨用組成物の総質量に対して、99質量%を超える(上限:100質量%)ことを意味する。この際、研磨用組成物は、カチオン変性シリカ粒子と、4価のセリウム塩と、酸と、防カビ剤と、分散媒とから構成される(上記合計含有量=100質量%)ことがより好ましい。
【0093】
[pH]
一実施形態に係る研磨用組成物のpHは、特に制限されないが、0超であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.2以上であることがさらに好ましく、0.3以上であることがよりさらに好ましく、0.4以上であることが特に好ましく、0.5以上であることがさらに特に好ましい。一実施形態に係る研磨用組成物のpHは、特に制限されないが、7.0未満であることが好ましく、4.0以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましく、1.5以下であることがよりさらに好ましく、1.2以下であることが特に好ましく、1.0未満であることがさらに特に好ましい。研磨用組成物の好ましいpHとしては、例えば、0超7.0未満、0.1以上4.0以下、0.2以上2.0以下、0.3以上1.5以下、0.4以上1.2以下、0.5以上1.0未満等が挙げられる。ただし、研磨用組成物のpHは、これらの範囲に限定されない。研磨用組成物のpHは、実施例に記載の方法により測定できる。
【0094】
一実施形態において、研磨用組成物は、一液型であってもよいし、二液型をはじめとする多液型であってもよい。
【0095】
[研磨用組成物の製造方法]
研磨用組成物の製造方法は、特に制限されないが、一実施形態に係る研磨用組成物は、例えば、カチオン変性シリカ粒子、4価のセリウム塩、および必要に応じて他の成分を、分散媒(例えば、水)中で攪拌混合することにより得ることができる。各成分の詳細は上記の通りである。
【0096】
各成分を混合する際の温度は特に制限されないが、10℃以上40℃以下が好ましく、溶解速度を上げるために加熱してもよい。また、混合時間も、均一混合できれば特に制限されない。
【0097】
一実施形態に係る研磨用組成物は、研磨用組成物の原液を水などの希釈液を使って、例えば10倍以上に希釈することによって調製されてもよい。
【0098】
[研磨対象物]
一実施形態に係る研磨用組成物を適用する研磨対象物は、特に制限されないが、典型元素を含むことが好ましい。典型元素は、特に制限されないが、好ましい例としては、炭素、窒素、酸素、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウム、リン等が挙げられる。典型元素の中でも、高次の酸化状態を取りうる典型元素が好ましい。本明細書において、「高次の酸化状態」とは、研磨用組成物を作用させる前の研磨対象物を構成している状態の元素の酸化数と比較して、元素の酸化数がより大きな値を有する状態を表す。高次の酸化状態を取りうる典型元素としては、特に制限されないが、例えば、炭素、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウム、リン等が挙げられる。典型元素は、1種単独で含まれていても、2種以上組み合わせて含まれていてもよい。高次の酸化状態を取りうる典型元素は、1種単独で含まれていても、2種以上組み合わせて含まれていてもよい。高次の酸化状態を取りうる典型元素と、他の典型元素とが含まれていてもよい。これより、一実施形態に係る研磨用組成物は、典型元素を含む研磨対象物を研磨するために用いられることが好ましく、高次の酸化状態を取りうる典型元素を含む研磨対象物を研磨するために用いられることがより好ましく、炭素、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウムおよびリンからなる群より選択される少なくとも1種を含む研磨対象物を研磨するために用いられることがさらに好ましい。
【0099】
また、一実施形態に係る研磨用組成物は、典型元素に加えて、遷移元素をさらに含む研磨対象物を研磨するために用いられてもよい。遷移元素は、1種単独で含まれていても、2種以上組み合わせて含まれていてもよい。
【0100】
好ましい一実施形態において、研磨対象物としては、例えば、炭素、窒素、酸素、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウムおよびリンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む研磨対象物が挙げられる。より好ましい一実施形態において、研磨対象物としては、例えば、炭素、窒素、酸素、ケイ素およびホウ素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む研磨対象物が挙げられる。
【0101】
研磨対象物の好ましい具体例としては、炭素、窒化ケイ素、炭素添加酸化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の材料を含む研磨対象物等が挙げられる。研磨対象物としては、より高い研磨速度向上効果の実現との観点から、炭素および炭素添加酸化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の材料を含む研磨対象物が好ましい。研磨対象物としては、より高い選択比の実現との観点から、炭素、窒化ケイ素および炭素添加酸化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の材料を含む研磨対象物が好ましく、炭素および窒化ケイ素を含む研磨対象物、または窒化ケイ素および炭素添加酸化ケイ素を含む研磨対象物がより好ましい。
【0102】
ここで、炭素としては、特に制限されないが、例えば、アモルファス炭素(非晶質カーボン、アモルファスカーボン)、スピンオンカーボン(SOC)、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、ナノ結晶ダイヤモンド、グラフェン等が挙げられる。
【0103】
研磨対象物は、炭素、窒化ケイ素および炭素添加酸化ケイ素以外の材料(他の材料)を含む研磨対象物であってもよい。研磨対象物は、炭素、窒化ケイ素および炭素添加酸化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1つの材料に加えて、他の材料をさらに含む研磨対象物であってもよい。他の材料の具体例としては、特に制限されないが、酸化ケイ素、単結晶シリコン、多結晶シリコン(ポリシリコン)、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)、n型またはp型不純物がドープされた多結晶シリコン、n型またはp型不純物がドープされた非晶質シリコン、SiGe、金属単体(例えば、タングステン、銅、コバルト、ハフニウム、ニッケル、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム等)、金属窒化物(例えば、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)等)等が挙げられる。
【0104】
これらの材料を含む膜は、化学気相蒸着(CVD)、物理気相蒸着(PVD)、スピンコート法等によって形成することができる。
【0105】
<研磨方法および半導体基板の製造方法>
本発明の他の一態様は、上記態様に係る研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨することを含む、研磨方法に関する。本態様における研磨対象物もまた、上記態様に係る研磨用組成物を適用する研磨対象物の説明と同様である。好ましい一実施形態において、研磨対象物は、典型元素を含む。
【0106】
本発明のさらなる他の一態様は、半導体基板が研磨対象物を含み、上記態様に係る研磨方法により前記研磨対象物を研磨することを含む、半導体基板の製造方法に関する。本態様における研磨対象物もまた、上記態様に係る研磨用組成物を適用する研磨対象物の説明と同様である。好ましい一実施形態において、半導体基板は、典型元素を含む研磨対象物を含む。よって、好ましい一実施形態としては、半導体基板が典型元素を含む研磨対象物を含み、上記態様に係る研磨方法により前記研磨対象物を研磨することを含む、半導体基板の製造方法が挙げられる。
【0107】
研磨装置は、特に制限されないが、研磨装置としては、例えば、研磨対象物を含む基板等を保持するホルダーと回転数を変更可能なモーター等とが取り付けてあり、研磨パッド(研磨布)を貼り付け可能な研磨定盤を有する一般的な研磨装置を使用することができる。
【0108】
研磨パッドは、特に制限されないが、研磨パッドとしては、例えば、一般的な不織布、ポリウレタンおよび多孔質フッ素樹脂等を特に制限なく使用することができる。研磨パッドには、研磨液が溜まるような溝加工が施されていることが好ましい。
【0109】
研磨条件については、特に制限されない。例えば、研磨定盤の回転速度は、10rpm(0.17s-1)以上500rpm(8.33s-1)以下が好ましい。例えば、研磨対象物を有する基板にかける圧力(研磨圧力)は、0.5psi(3.4kPa)以上10psi(68.9kPa)以下が好ましい。
【0110】
研磨パッドに研磨用組成物を供給する方法も特に制限されず、例えば、ポンプ等で連続的に供給する方法が採用される。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨用組成物で覆われていることが好ましい。研磨時間も特に制限されず、例えば、所望の研磨が達成できる時間を適宜選択すればよい。
【0111】
研磨終了後、研磨対象物を含む基板等を流水中で洗浄し、スピンドライヤ等により基板上に付着した水滴を払い落として乾燥させてもよい。
【0112】
<好ましい一実施形態に係る選択比>
上記態様に係る研磨用組成物を用いた研磨対象物の研磨によって実現しうる選択比、上記態様に係る研磨方法によって実現しうる選択比、および上記態様に係る半導体基板の製造方法によって実現しうる選択比は、それぞれ、特に制限されない。しかしながら、一実施形態において、特定の研磨対象物間の選択比(例えば、除去を希望しない研磨対象物の研磨速度に対する、除去を希望する研磨対象物の研磨速度の比(除去を希望する研磨対象物の研磨速度/除去を希望しない研磨対象物の研磨速度)など)は、高いほど好ましい。
【0113】
本発明の実施形態を詳細に説明したが、これは説明的かつ例示的なものであって限定的ではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって解釈されるべきであることは明らかである。
【0114】
本発明は、下記態様および形態を包含する。
[1]カチオン変性シリカ粒子と、4価のセリウム塩と、分散媒とを含む、研磨用組成物。
[2]前記カチオン変性シリカ粒子は、正のゼータ電位を示す、[1]に記載の研磨用組成物。
[3]前記4価のセリウム塩は、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)を含む、[1]または[2]に記載の研磨用組成物。
[4]酸をさらに含む、[1]~[3]のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
[5]防カビ剤をさらに含む、[1]~[4]のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
[6]pHが7.0未満である、[1]~[5]のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
[7][1]~[6]のいずれか1項に記載の研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨することを含む、研磨方法。
[8]前記研磨対象物は、典型元素を含む、[7]に記載の研磨方法。
[9]半導体基板が研磨対象物を含み、[7]に記載の研磨方法により前記研磨対象物を研磨することを含む、半導体基板の製造方法。
[10]半導体基板が典型元素を含む研磨対象物を含み、[8]に記載の研磨方法により前記研磨対象物を研磨することを含む、半導体基板の製造方法。
【実施例0115】
本発明を、以下の実施例及び比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、特記しない限り、「%」及び「部」は、それぞれ、「質量%」及び「質量部」を意味する。
【0116】
<測定方法>
(カチオン変性シリカ粒子の平均一次粒子径)
カチオン変性シリカ粒子の平均一次粒子径は、マイクロメリティックス社製の“Flow Sorb II 2300”を用いて測定されたBET法によるカチオン変性シリカ粒子の比表面積と、カチオン変性シリカ粒子の密度とから算出した。
【0117】
(カチオン変性シリカ粒子の平均二次粒子径)
カチオン変性シリカ粒子の平均二次粒子径は、動的光散乱式粒子径・粒度分布装置 UPA-UTI151(日機装株式会社製)により、体積平均粒子径(体積基準の算術平均径;Mv)として測定した。
【0118】
(カチオン変性シリカ粒子の平均会合度)
カチオン変性シリカ粒子の平均会合度は、カチオン変性シリカ粒子の平均二次粒子径の値をカチオン変性シリカ粒子の平均一次粒子径の値で除することにより算出した。
【0119】
(カチオン変性シリカ粒子のゼータ電位)
測定対象の液中のカチオン変性シリカ粒子のゼータ電位は、測定対象の液をマルバーン・パナリティカル社製、Zetasizer Nanoに供し、測定温度25℃の条件下でレーザードップラー法(電気泳動光散乱測定法)にて測定し、得られるデータをSmoluchowskiの式で解析することにより、算出した。
【0120】
後述する実施例1~8および比較例1および2において、上記の各測定方法におけるカチオン変性シリカ粒子は、それぞれ、後述するカチオン変性コロイダルシリカであった。
【0121】
[研磨用組成物のpH]
研磨用組成物のpHは、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(株式会社堀場製作所製 型番:F-23)を使用し、標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液pH:4.01(25℃)、中性リン酸塩pH緩衝液pH:6.86(25℃)、炭酸塩pH緩衝液pH:10.01(25℃))を用いて3点校正した後で、ガラス電極を研磨用組成物に入れて、2分以上経過して安定した後の値をpH値とした。
【0122】
なお、研磨用組成物以外の液のpHは、上記の研磨用組成物のpHの測定方法において、研磨用組成物に代えて測定対象の液を用いたこと以外は同様にして評価した。
【0123】
<研磨用組成物の調製>
(カチオン変性コロイダルシリカ)
シリカゾルの水分散液(シリカ濃度=20質量%)1Lに対して、マグネティックスターラーで撹拌しながら、シランカップリング剤としてγ-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)を0.225mmol/L(0.225mM)の濃度で滴下した後、1時間静置した。このようにして、平均一次粒子径:25.0nm、平均二次粒子径:50.0nm、平均会合度:2.0の繭型形状のカチオン変性コロイダルシリカを作製した。
【0124】
(実施例1の研磨用組成物)
砥粒として上記で得られたカチオン変性コロイダルシリカを最終濃度(得られる研磨用組成物中の濃度)1.8質量%となるように、分散媒である純水に室温(25℃)で加え、最終濃度(得られる研磨用組成物中の濃度)0.027mmol/L(0.027mM)となるように防カビ剤として2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(THE DOW CHEMICAL COMPANY製)を加えて、混合液を得た。その後、10-カンファースルホン酸をpH3.0となるように混合液に加え、さらに酸化剤として硝酸二アンモニウムセリウム(IV)(東京化成工業株式会社製)を最終濃度(得られる研磨用組成物中の濃度)5mmol/L(5mM)となるように加え、室温(25℃)で10分攪拌混合し、研磨用組成物を調製した。得られた研磨用組成物のpHを測定すると1.6であった。
【0125】
上記の研磨用組成物の製造過程で得られる、酸化剤として硝酸二アンモニウムセリウム(IV)(東京化成工業株式会社製)を添加する前の状態の、10-カンファースルホン酸の添加によりpHを3.0とした混合液を測定対象として用いて、カチオン変性コロイダルシリカのゼータ電位を測定した。その結果、測定対象の混合液中のカチオン変性コロイダルシリカのゼータ電位は、+31mVであった。
【0126】
カチオン変性コロイダルシリカは、pH3.0以下の範囲においてpHが低いほどゼータ電位は上がる傾向を示し、得られた研磨用組成物は、測定対象の混合液のpH値であるpH3.0よりも低いpH値を有する。これらのことから、得られた研磨用組成物中のカチオン変性コロイダルシリカは、正のゼータ電位を示すと判断した。
【0127】
研磨用組成物中のカチオン変性コロイダルシリカの粒子径(平均一次粒子径および平均二次粒子径)は、用いたカチオン変性コロイダルシリカの粒子径(平均一次粒子径および平均二次粒子径)と同様であった。
【0128】
(実施例2~8および比較例3の研磨用組成物)
各成分の種類およびその濃度、ならびにpHを下記表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、各研磨用組成物を調製した。比較例3では、砥粒として、スルホン酸修飾コロイダルシリカ(平均一次粒子径:30nm、平均二次粒子径:70nm、平均会合度:2.2、繭型形状)を使用した。
【0129】
より詳細には、実施例2~8および比較例3の研磨用組成物の製造方法では、砥粒として上記で得られたカチオン変性コロイダルシリカまたは上記のスルホン酸修飾コロイダルシリカを最終濃度(得られる研磨用組成物中の濃度)1.8質量%となるように、分散媒である純水に室温(25℃)で加え、最終濃度(得られる研磨用組成物中の濃度)0.027mmol/L(0.027mM)となるように防カビ剤として2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(THE DOW CHEMICAL COMPANY製)を加えて、混合液を得た。その後、10-カンファースルホン酸、酢酸または硝酸をpH3.0となるように混合液に加え、さらに酸化剤として硝酸二アンモニウムセリウム(IV)(東京化成工業株式会社製)を最終濃度(得られる研磨用組成物中の濃度)となるように加え、室温(25℃)で10分攪拌混合し、研磨用組成物を調製した。そして、得られた研磨用組成物のpHを測定した。
【0130】
実施例2~8の研磨用組成物の製造過程で得られる、酸化剤として硝酸二アンモニウムセリウム(IV)(東京化成工業株式会社製)を添加する前の状態の、10-カンファースルホン酸、酢酸または硝酸によりpHを3.0とした混合液を測定対象として用いて、カチオン変性コロイダルシリカのゼータ電位を測定した。その結果、測定対象の混合液中のカチオン変性コロイダルシリカのゼータ電位は、それぞれ、+31mVであった。
【0131】
カチオン変性コロイダルシリカは、3.0以下のpH範囲においてpHが低いほどゼータ電位は上がる傾向を示し、得られた研磨用組成物は、測定対象の混合液のpH値であるpH3.0よりも低いpH値を有する。これらのことから、得られた実施例2~8の研磨用組成物中のカチオン変性コロイダルシリカは、それぞれ、正のゼータ電位を示すと判断した。
【0132】
実施例2~8では、得られた研磨用組成物中のカチオン変性コロイダルシリカの粒子径(平均一次粒子径および平均二次粒子径)は、それぞれ、用いたカチオン変性コロイダルシリカの粒子径(平均一次粒子径および平均二次粒子径)と同様であった。
【0133】
比較例3の研磨用組成物の製造過程で得られる、酸化剤として硝酸二アンモニウムセリウム(IV)(東京化成工業株式会社製)を添加する前の状態の、10-カンファースルホン酸の添加によりpHを3.0とした混合液を測定対象として用いて、スルホン酸修飾コロイダルシリカのゼータ電位を測定した。その結果、測定対象の混合液中のスルホン酸修飾コロイダルシリカのゼータ電位は、-40mVであった。
【0134】
スルホン酸修飾コロイダルシリカは、3.0以下のpH範囲においてpHが変化してもゼータ電位は大きく変化しない傾向を示すことから、得られた比較例3の研磨用組成物中のスルホン酸修飾コロイダルシリカは、負のゼータ電位を示すと判断した。
【0135】
比較例3では、研磨用組成物中のスルホン酸修飾コロイダルシリカの粒子径(平均一次粒子径および平均二次粒子径)は、用いたスルホン酸修飾コロイダルシリカの粒子径(平均一次粒子径および平均二次粒子径)と同様であった。
【0136】
なお、スルホン酸修飾コロイダルシリカの平均一次粒子径、平均二次粒子径、平均会合度、ならびに測定対象の液中のスルホン酸修飾コロイダルシリカのゼータ電位は、それぞれ、測定対象が異なること以外は、上記のカチオン変性シリカ粒子の平均一次粒子径、平均二次粒子径および平均会合度、ならびに測定対象の液中のカチオン変性シリカ粒子のゼータ電位の測定方法と同様にして評価した。
【0137】
(比較例1および2の研磨用組成物)
比較例1および2の研磨用組成物の製造方法では、砥粒として上記で得られたカチオン変性コロイダルシリカを最終濃度(得られる研磨用組成物中の濃度)1.8質量%となるように、分散媒である純水に室温(25℃)で加え、最終濃度(得られる研磨用組成物中の濃度)0.027mmol/L(0.027mM)となるように防カビ剤として2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(THE DOW CHEMICAL COMPANY製)を加えて、混合液を得た。その後、10-カンファースルホン酸を、得られる研磨用組成物がpH1.6となるように混合液に加え、比較例2では酸化剤として過酸化水素を最終濃度(得られる研磨用組成物中の濃度)10mmol/Lとなるように加え、室温(25℃)で10分攪拌混合し、研磨用組成物を調製した。
【0138】
比較例1および2では、研磨用組成物中のカチオン変性コロイダルシリカの粒子径(平均一次粒子径および平均二次粒子径)は、それぞれ、用いたカチオン変性コロイダルシリカの粒子径(平均一次粒子径および平均二次粒子径)と同様であった。
【0139】
各研磨用組成物の構成を下記表1に示す。なお、下記表1中の「-」は、その剤を使用しなかったことを表す。
【0140】
<評価>
上記調製した各研磨用組成物を使用して、研磨対象物の表面を下記の条件で研磨した。研磨対象物としては、表面に厚さ5,000Åの非晶質カーボン(C)膜を形成したシリコンウェーハ(300mm、ブランケットウェーハ)、表面に厚さ5,000Åの炭素添加酸化ケイ素(SiOC)膜(Low-k絶縁膜)を形成したシリコンウェーハ(300mm、ブランケットウェーハ)、および表面に厚さ2,500Åの窒化ケイ素(Si)膜を形成したシリコンウェーハ(300mm、ブランケットウェーハ)を使用した。
【0141】
(研磨装置及び研磨条件)
研磨装置:株式会社荏原製作所製の研磨機(型式FREX 300E)
研磨パッド:ニッタ・デュポン株式会社製 ポリウレタンパッド IC1000
研磨圧力:3.0psi(1psi=6894.76Pa)
研磨定盤回転数:90rpm
研磨用組成物の供給:掛け流し
研磨用組成物供給量:200mL/分
研磨時間:1分。
【0142】
(研磨速度の評価)
C膜、SiOC膜、Si膜について、研磨前後の厚みを光学式膜厚測定器(ASET-f5x:ケーエルエー・テンコール株式会社製)で求めた。求めた厚みから、[(研磨前の厚み[単位:Å])-(研磨後の厚み[単位:Å])]を研磨時間[単位:min]で除することにより、それぞれの研磨対象物における研磨速度を算出した。
【0143】
C膜の研磨速度については、本評価において、研磨速度が200Å/minを超えれば高い研磨速度が得られるため好ましいと評価した。SiOC膜の研磨速度については、本評価において、研磨速度が300Å/minを超えれば高い研磨速度が得られるため好ましいと評価した。
【0144】
Si膜の研磨速度については、Si膜と、C膜との間、およびSi膜と、SiOC膜との間で、高い選択比を得ることができるとの観点から、本評価において、研磨速度が80Å/min以下であれば好ましく、50Å/min以下であればより好ましいと評価した。
【0145】
Si膜に対するC膜の選択比(C膜の研磨速度/Si膜の研磨速度)(表2中、「C/Si」と記載)は、高いほど好ましいと評価した。Si膜に対するSiOC膜の選択比(SiOC膜の研磨速度/Si膜の研磨速度)(表2中、「SiOC/Si」と記載)は、高いほど好ましいと評価した。
【0146】
以上の評価結果を下記表2に示す。
【0147】
【表1】
【0148】
【表2】
【0149】
上記表1および上記表2から明らかなように、実施例に係る研磨用組成物を用いた場合は、比較例に係る研磨用組成物に比べて、C膜、SiOC膜など、特定の、典型元素を含む研磨対象物を顕著に高い研磨速度で研磨することができることが確認された。一方、実施例に係る研磨用組成物は、Si膜の研磨速度には大きな影響を与えないことがわかった。
【0150】
また、実施例1~6の研磨用組成物を用いた場合は、比較例の研磨用組成物に比べて、Si膜に対するC膜の選択比(C膜の研磨速度/Si膜の研磨速度)、およびSi膜に対するSiOC膜の選択比(SiOC膜の研磨速度/Si膜の研磨速度)が顕著に高いことが分かった。