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特開2024-95035ノード、データ共有方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095035
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ノード、データ共有方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240703BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212032
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】並木 均
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】本開示は、電力等のアセットの取引の価格を正確にトレース(追跡)する仕組みを構築することを目的とする。
【解決手段】本開示は、ブロックチェーンネットワークにおけるノードであって、アセットの所有者の情報を含んだアセットに関するデータ、及び前記アセットの取引の価格又は当該価格に相当する割合を含んだ契約に関するデータを記憶する記憶部と、前記アセットに関するデータ及び前記契約に関するデータを共有すべく、前記ブロックチェーンネットワークにおける他のノードに送信する送信部と、を有するノードである。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックチェーンネットワークにおけるノードであって、
アセットの所有者の情報を含んだアセットに関するデータ、及び前記アセットの取引の価格又は当該価格に相当する割合を含んだ契約に関するデータを記憶する記憶部と、
前記アセットに関するデータ及び前記契約に関するデータを共有すべく、前記ブロックチェーンネットワークにおける他のノードに送信する送信部と、
を有するノード。
【請求項2】
前記契約に関するデータに対するアクセス権が前記アセットの取引の当事者に設定される、請求項1に記載のノード。
【請求項3】
前記アセットに関するデータに、前記契約に関するデータの保存場所を示すリンク情報が含まれている、請求項1に記載のノード。
【請求項4】
前記アセットに関するデータに、前記アセットの生産方法の種類を示す情報が含まれている、請求項1に記載のノード。
【請求項5】
前記生産方法の種類は、所定の種類の資源を利用して前記アセットを生産することを示す、請求項4に記載のノード。
【請求項6】
前記アセットに関するデータに、前記アセットの取引状態を示す情報が含まれている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のノード。
【請求項7】
前記取引状態を示す情報は、前記アセットの生産、仲介、又は使用を示す情報である、請求項6に記載のノード。
【請求項8】
前記アセットは電力であって、前記取引状態を示す情報は、前記電力の充電又は放電を示す情報である、請求項6に記載のノード。
【請求項9】
ブロックチェーンネットワークにおけるノードが実行するデータ共有方法であって、
前記ノードは、アセットの所有者の情報を含んだアセットに関するデータ、及び前記アセットの取引の料金を含んだ契約に関するデータを記憶する記憶部を有しており、
前記ノードは、前記アセットに関するデータ及び前記契約に関するデータを共有すべく、前記ブロックチェーンネットワークにおける他のノードに送信する、
データ共有方法。
【請求項10】
コンピュータに、請求項9に記載の方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ノード、データ共有方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギーによって生産された電力が注目されている。この電力は、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、大気中の熱等の再生可能エネルギーである資源を利用することで生産される。再生可能エネルギーによる発電は、石油、石炭、液化天然ガス等の化石燃料による発電に比べて、地球温暖化の原因となっているCOをほとんど排出しないため、電力の生産に利用される資源の中でも、再生可能エネルギーは環境に優しいエネルギー資源である。このような環境に優しいグリーン電力を利用して工場などを稼働させることで、企業価値を向上させることができる。また、再生可能エネルギー等によって生産された電力の取引にブロックチェーンを利用する方法がある(特許文献1参照)。ブロックチェーンは、分散型台帳と呼ばれ、複数のノード(コンピュータ)によって電力等のアセットの取引履歴を示す複数の台帳を紐づけることにより、取引履歴のデータの改ざんを防ぐことができる技術である。
【0003】
また、近年、新電力の自由化に伴い、様々な電力の小売事業者が新設されている。このような新電力会社の多くは、電力の調達手段を自前で持たず、日本卸電力取引所(JEPX)から消費量予測に相当する電力だけ買い付けるなどの方法で電力の調達を行うことが多い。一方で、脱炭素の流れが世界的に進む中で、エネルギー供給構造高度化法に伴い、電力の小売事業者は再生可能エネルギーによって生産される電力の割合を2030年度までに44%以上にまで増やすことが求められている。このような流れの中で、小売事業者の多くが太陽光等の再生可能エネルギーの自前電源等、再生可能エネルギーを調達する手段を確保する必要性が生じている。
【0004】
更に、太陽光による発電は夜には行えない、風力による発電は風が良い日には行えない等の問題があり、再生可能エネルギー由来の電力の価格は必ずしも一定ではないという事情がある。
【0005】
以上のように、電力供給に関する柔軟性及び多様性が拡張している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-144851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、電力供給の柔軟性及び多様性の拡張に応じて、電力の取引価格も変動するため、取引価格を正確にトレースする仕組みが必要であるとのニーズが高まっている。
【0008】
本開示は上述の事情に鑑みてなされたもので、アセットの取引の価格を正確にトレース(追跡)する仕組みを構築することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、ブロックチェーンネットワークにおけるノードであって、アセットの所有者の情報を含んだアセットに関するデータ、及び前記アセットの取引の価格又は当該価格に相当する割合を含んだ契約に関するデータを記憶する記憶部と、前記アセットに関するデータ及び前記契約に関するデータを共有すべく、前記ブロックチェーンネットワークにおける他のノードに送信する送信部と、を有するノードである。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本開示によれば、アセットの取引の価格を正確にトレース(追跡)する仕組みを構築することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は本実施形態に係る取引システムの概略図である。
図2図2は各システム及び各ノードの電気的なハードウェア構成図である。
図3図3は取引システムの各機能構成図である。
図4図4は通常の電力に関するデータのデータ構造を示す図である。
図5図5は余剰電力の場合の電力に関するデータのデータ構造を示す図である。
図6図6は不足電力の場合の電力に関するデータのデータ構造を示す図である。
図7図7は契約に関するデータのデータ構造を示す図である。
図8図8は、第1の処理又は動作に係り、生産された電力に関するデータ及び契約に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。
図9図9は、第1の処理又は動作に係り、仲介された電力に関するデータ及び契約に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。
図10図10は、第1の処理又は動作に係り、消費された電力に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。
図11図11は、積み上げ式の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータの簡略化した例を示す図である。
図12図12は、割合式の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータの簡略化した例を示す図である。
図13図13は、第2の処理又は動作に係り、仲介された電力に関するデータ及び契約に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。
図14図14は、第2の処理又は動作に係り、余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。
図15図15は、第2の処理又は動作に係り、不足電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータ、並びに余剰電力を移転する場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。
図16図16は、積み上げ式の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータの簡略化した例を示す図である。
図17図17は、割合式の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータの簡略化した例を示す図である。
図18図18は、第3の処理又は動作に係り、生産された電力に関するデータ及び契約に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。
図19図19は、第3の処理又は動作に係り、充電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。
図20図20は、第3の処理又は動作に係り、放電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。
図21図21は、第3の処理又は動作に係り、仲介された電力に関するデータ及び契約に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。
図22図22は、第3の処理又は動作に係り、消費された電力に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。
図23図23は、積み上げ式の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータの簡略化した例を示す図である。
図24図24は、割合式の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータの簡略化した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を用いて、本実施形態を詳細に説明する。
【0013】
〔システムの構成の概略〕
まず、取引システム1の構成の概略について説明する。図1は、本実施形態に係る取引システムの概略図である。ここでは、アセットの一例としての電力を取り扱う場合について説明する。
【0014】
<各業者の説明>
図1に示されているように、電力の生産者A、電力の取引市場B、電力の仲介者C、電力の消費者D、電力の蓄積者S1~S3、及び認証局Eが存在する。生産者A、取引市場B、仲介者C、消費者D、蓄積者S1~S3は、共通データ基盤の一例として、ブロックチェーンネットワーク100を利用して電力の取引を行う。ここで、「ブロックチェーン」は、上述のように、分散型台帳と呼ばれ、複数のノード(コンピュータ)によって電力等のアセットの取引履歴を暗号技術によって過去から1本の鎖のようにつなげて複数の台帳を紐づけることにより、取引履歴のデータの改ざんを防ぐことで、正確な取引履歴を維持しようとする技術である。また、「ブロックチェーンネットワーク」は、ブロックチェーンを利用する複数のノード(コンピュータ)によって構築された通信ネットワークである。
【0015】
ブロックチェーンネットワーク100を管理する運営者は、企業等(生産者A、取引市場B、仲介者C、消費者D、蓄積者S1~S3)を登録制とし、登録を行った企業等に対して、デジタル証明書を交付する。ブロックチェーンネットワーク100は、様々な企業の電力の取引及び融通のデータ(後述の電力に関するデータ又は契約に関するデータ等)を記憶又は読出するためのAPI(Application Programming Interface)を持つ。標準的なAPIによって、ブロックチェーンの台帳を作成することで、様々な企業がブロックチェーンネットワーク100にアクセスすることができる。
【0016】
実際には、電力は生産者Aから変電所や送電線等によって構築された送配電ネットワークを介して消費者Dに送られる。取引市場B又は仲介者Cは、生産者A及び消費者Dの間で電力の所有権の取引を行う。
【0017】
生産者Aは、提供者の一例であり、再生可能エネルギーによって生産された電力(日本では「グリーン電力」と呼ばれている)の生産に利用される再生可能エネルギーの一例としての太陽光から電力を生産する業者である。なお、生産者Aは、化石燃料の一例としての石油から電力を生産する業者であってもよいが、少なくとも再生可能エネルギーによって電力を生産する業者が含まれる。
【0018】
取引市場Bは、生産者Aが生産した電力(の所有権)を市場取引するための機関である。
【0019】
仲介者Cは、電力(の所有権)の取引の仲介を行う業者である。仲介者Cは、取引市場Bに対して電力を注文し、取引市場Bは仲介者Cに対して電力を販売する。また、仲介者Cは、取引市場Bを介さないで、生産者Aとの間で電力を直接取引することも可能である。ここでは、2つの仲介者C1,C2が登場する。仲介者C1と仲介者C2は、互いに又は一方的に、電力(の所有権)を融通することができる。
【0020】
消費者Dは、使用者の一例であり、仲介者Cに電力を注文し、仲介者Cは消費者Dに電力を販売する。なお、使用者には、消費される電力とは異なり消費されない不動産等の場合のアセットの所有権を使用することになった者も含まれる。消費者Dは、生産方法証明書を用いて、自社の再生可能エネルギー利用率(CO削減率)、再生可能エネルギーの利用に基づく公的補助金の申請等を行うことができる。
【0021】
蓄積者S1,S2,S3は、電力の取引の過程で、一時的に電力を蓄積する業者である。なお、蓄積者S1~S3の総称として「蓄積者S」と示す。なお、蓄積者Sは、仲介者C等が兼ねていてもよい。蓄積者S1,S2,S3は、同じ蓄積者であってもよい。
【0022】
認証局Eは、取引された電力が再生可能エネルギーを利用することで生産された電力であるか否かを監査する等、アセットの生産方法の種類(特定種類の生産方法)を監査するための国又は地方公共団体等の機関である。例えば、電力の生産方法の種類には、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、大気中の熱、又は原子力等を利用して生成する方法が挙げられる。これらのうち、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、及び大気中の熱は、再生可能エネルギーとしての大分類に属する。また、石油、石炭、及び液化天然ガスは、化石燃料としての大分類に属する。再生可能エネルギーによる発電は、化石燃料による発電に比べて、地球温暖化の原因となっているCOをほとんど排出しないため、再生可能エネルギーは環境に優しいエネルギー源である。本実施形態では、再生可能エネルギーとして、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、又は大気中の熱が利用される。また、化石燃料として、石油、石炭、又は液化天然ガスが利用される。
【0023】
認証局Eは、ブロックチェーンネットワーク100に対する監査により、データの書き込みに関する不正を検知した際、この書き込みした企業等に対して証明書の失効等の罰則を与えることで、データの健全性を維持することができる。これにより、ブロックチェーンネットワーク100の非中央集権の性質に基づき、任意のノードが落ちても(抜けても)他のノードがあれば動作する。他企業はシステム(生産者システム5a等)を維持しているため、業務をそのまま継続できる。また、ブロックチェーンで同時同報的に失効が管理されるため、影響範囲を各企業が知ることが出来る。なお、ノードは、ブロックチェーンネットワーク100を構築する情報処理装置である。
【0024】
なお、生産者A、取引市場B、消費者D、及び認証局Eは複数あってもよい。また、仲介者Cは3つ以上あってもよい。管理者Sは2つ又は4つ以上あってもよい。
【0025】
<取引システムの全体構成>
続いて、図1を用い、取引システム1の全体構成を説明する。なお、下記各ノードは、当該各ノードへのアクセスを、登録された企業等のデジタル証明書を確認することで認証することで、データに対する記憶(読み書き)の認可を行う。
【0026】
生産者Aは、生産者システム5a及び生産者ノード7aを所有又は管理している。生産者システム5aは、後述の発電システム3から発電量を示す発電量情報を取得する。また、生産者システム5aは、生産者ノード7aにアクセスすることができる。
【0027】
取引市場Bは、取引市場システム5b及び取引市場ノード7bを所有又は管理している。取引市場システム5bは、取引市場ノード7bにアクセス可能である。
【0028】
仲介者C1は、仲介者システム5c1及び仲介者ノード7c1を所有又は管理している。また、仲介者C2は、仲介者システム5c2及び仲介者ノード7c2を所有又は管理している。仲介者システム5c1,5c2は、それぞれ仲介者ノード7c1,7c2にアクセス可能である。
【0029】
消費者Dは、消費者システム5d及び消費者ノード7dを所有又は管理している。消費者システム5dは消費者ノード7dにアクセス可能である。
【0030】
認証局Eは、認証局システム5eを所有又は管理している。認証局システム5eは、ブロックチェーンネットワーク100にアクセスして、取引されている電力が再生可能エネルギーによって生産されたか否か等の監査を行う。
【0031】
蓄積者S1~S3は、それぞれ蓄電池システム5f1,5f2,5f3を所有又は管理している。蓄電池システム5f1,5f2,5f3は、それぞれ蓄電池ノード7f1,7f2,7f3にアクセス可能である。生産者Aは、蓄電池システム5f1に対して電力の充電が可能であり、蓄電池システム5f1から電力の放電が可能である。仲介者Cは、蓄電池システム5f2に対して電力の充電が可能であり、蓄電池システム5f2から電力の放電が可能である。また、蓄電池システム5f1,5f2は、相互に充放電が可能である。更に、消費者Dは、蓄電池システム5f3に対して電力の充電が可能であり、蓄電池システム5f3から電力の放電が可能である。
【0032】
なお、生産者システム5a、取引市場システム5b、仲介者システム5c1,5c2、消費者システム5d、認証局システム5e、及び蓄電池システム5f1,5f2,5f3の総称を「システム5」と示す。また、生産者ノード7a、取引市場ノード7b、仲介者ノード7c1,7c2、消費者ノード7d、及び蓄電池ノード7f1,7f2,7f3の総称を「ノード7」と示す。各ノード7によってブロックチェーンネットワーク100が構築されている。
【0033】
〔各システム及び各ノードのハードウェア構成〕
続いて、図2を用いて、各システム及び各ノードのハードウェア構成を説明する。図2は、各システム及び各ノードのハードウェア構成図である。
【0034】
図2は、各システム及び各ノードの電気的なハードウェア構成図である。
【0035】
図2に示すように、各システム5及び各ノード7は、コンピュータとして、図2に示されているように、CPU101、ROM102、RAM103、SSD104、外部機器接続I/F(Interface)105、ネットワークI/F106、ディスプレイ107、入力デバイス108、メディアI/F109、及びバスライン110を備えている。
【0036】
これらのうち、プロセッサとしてのCPU101は、情報処理端末10全体の動作を制御する。ROM102は、IPL等のCPU101の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM103は、CPU101のワークエリアとして使用される。
【0037】
SSD104は、CPU101の制御に従って各種データの読み出し又は書き込みを行う。なお、SSD104の代わりに、HDD(Hard Disk Drive)を用いてもよい。
【0038】
外部機器接続I/F105は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、ディスプレイ、スピーカ、キーボード、マウス、USBメモリ、及びプリンタ等である。
【0039】
ネットワークI/F106は、インターネット等の通信ネットワークを介してデータ通信をするためのインターフェースである。
【0040】
ディスプレイ107は、各種画像を表示する液晶や有機EL(Electro Luminescence)などの表示手段の一種である。
【0041】
入力デバイス908は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。入力デバイス908の一例として、ポインティングデバイス、タッチパネル等が挙げられる。
【0042】
メディアI/F109は、フラッシュメモリ等の記録メディア109mに対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。記録メディア109mには、DVDやBlu-ray Disc(登録商標)等も含まれる。
【0043】
バスライン110は、図2に示されているCPU101等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0044】
なお、後述の発電システム3は、図2に示す構成に対して、更に発電量を計測する計測センサ111を有している。また、消費者システム5dも同様に、図2に示す構成に対して、更に消費電力量を計測する計測センサ111を有している。
【0045】
〔取引システムの各機能構成〕
続いて、図3を用いて、取引システム1の各機能構成について説明する。なお、取引市場システム5b及び認証局システム5eは、生産者システム5aと同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0046】
<発電システム>
図3に示されているように、発電システム3は、スマートメータ等によって構成され、送受信部31及び計測部33を有している。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、SSD104からRAM103上に展開されたプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0047】
送受信部31は、他の装置(システム)とデータ通信を行う。
【0048】
計測部33は、主に計測センサ111の動作により、一定時間毎に(例えば、30分毎に)、発電施設が生産した電力の発電量を計測する。
【0049】
<生産者システム>
図3に示されているように、生産者システム5aは、送受信部51aを有している。送受信部51aは、図2に示されている各構成要素のいずれかが、SSD104からRAM103上に展開されたプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0050】
送受信部51aは、他の装置(システム)とデータ通信を行う。
【0051】
<仲介者システム>
(仲介者システム5c1)
図3に示されているように、仲介者システム5c1は、送受信部51c1、調整部55c1、及び算出部57c1を有している。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、SSD104からRAM103上に展開されたプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0052】
送受信部51c1は、他の装置(システム)とデータ通信を行う。
【0053】
調整部55c1は、仲介者C1によって所有されている現在の電力の総電力量のうち、消費者Dとの契約内容に従い、消費者Dに対して電力の生産方法の種類(太陽光、風力等の分類)及び電力量を割り当てるための需給調整を行う。即ち、調整部55c1は、再生可能エネルギーを利用することで生産された電力(再生可能エネルギー由来の電力)等のように、特定種類の生産方法によって生産された特定のアセットを、契約内容に応じた量ほど仲介先の消費者Dに割り当てる。
【0054】
算出部57c1は、仲介者C1が消費者Dに契約通りに提供すべき電力の不足電力量を算出する。また、仲介者C1によって所有されている現在の電力の総電力量のうち、契約通りに消費者Dに提供しても余ってしまう電力の電力量を算出する。
【0055】
(仲介者システム5c2)
図3に示されているように、仲介者システム5c2は、送受信部51c2、調整部55c2、及び算出部57c2を有している。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、SSD104からRAM103上に展開されたプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0056】
送受信部51c2は、他の装置(システム)とデータ通信を行う。
【0057】
調整部55c2は、仲介者C2によって所有されている現在の電力の総電力量のうち、消費者Dとの契約内容に従い、消費者Dに対して電力の生産方法の種類(太陽光、風力等の分類)及び電力量を割り当てるための需給調整を行う。
【0058】
算出部57c2は、仲介者C2が消費者Dに契約通りに提供すべき電力の不足電力量を算出する。また、仲介者C2によって所有されている現在の電力の総電力量のうち、契約通りに消費者Dに提供しても余ってしまう電力の電力量を算出する。
【0059】
<蓄電池システム>
図3に示されているように、蓄電池システム5f2は、送受信部51f2及び計測部53f2を有している。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、SSD104からRAM103上に展開されたプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0060】
送受信部51f2は、他の装置(システム)とデータ通信を行う。
【0061】
計測部53f2は、主に計測センサ111の動作により、蓄電池システム5f2に充電される電力の充電量を計測したり、蓄電池システム5f2から放電される電力の放電量を計測したりする。
【0062】
なお、図3では、図1で示された3つの蓄電池システム5f1~5f3のうち、後述の処理又は動作の説明で登場する蓄電池システム5f2のみが示されているが、蓄電池システム5f1,5f3も勿論存在する。
【0063】
<消費者システム>
図3に示されているように、消費者システム5dは、スマートメータ等によって構成され、送受信部51d及び計測部53dを有している。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、SSD104からRAM103上に展開されたプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0064】
送受信部51dは、他の装置(システム)とデータ通信を行う。
【0065】
計測部53dは、主に計測センサ111の動作により、一定時間毎に(例えば、30分毎に)、電気製品が消費した電力の消費量を計測する。
【0066】
<各ノード>
続いて、各ノードの各機能構成について説明する。
【0067】
生産者ノード7aは、送受信部71a、及び記憶読出部78aを有している。また、生産者ノード7aは、図2に示されているROM102、RAM103、又はSSD104によって構築される記憶部79aを有している。
【0068】
送受信部71dは、他の装置(システム)とデータ通信を行う。
【0069】
記憶読出部78aは、記憶部79aに、データ(情報)を記憶したり、記憶部79aからデータ(情報)を読み出したりする。
【0070】
なお、仲介者ノード7c1、仲介者ノード7c2、消費者ノード7d、及び蓄電池ノード7f2は、それぞれ送受信部71c1,71c2,71d,71f2を有しており、送受信部71dと同様の機能を有するため、説明を省略する。また、仲介者ノード7c1、仲介者ノード7c2、消費者ノード7d及び蓄電池ノード7f2は、それぞれ記憶読出部78a,78c1,78c2,78d,78f2を有しており、記憶読出部78aと同様の機能を有するため、説明を省略する。更に、仲介者ノード7c1、仲介者ノード7c2、消費者ノード7d及び蓄電池ノード7f2は、それぞれ図2に示されているROM102、RAM103、又はSSD104によって構築される記憶部79c1,79c2,79d,79f2を有しており、記憶部79aと同様の構成であるため、説明を省略する。
【0071】
<各共有データ>
続いて、図4及び図7を用いて、生産者A、取引市場B、仲介者C、消費者D、及び蓄積者Sの間で共有されるデータのデータ構造について説明する。なお、図4乃至図6に示すデータは、ブロックチェーンネットワーク100上の各記憶部の公開領域(パブリックエリア)に記憶されることで、生産者A、取引市場B、仲介者C、消費者D、及び蓄積者Sがアクセスできるデータである。また、図7に示すデータは、ブロックチェーンネットワーク100上の各記憶部の秘密領域(プライベートエリア)に記憶されることで、生産者A、取引市場B、仲介者C、消費者D、及び蓄積者S1~S3のうち、電力の取引の当事者しかアクセスできないデータである。例えば、生産者Aが仲介者Cに販売する電力の価格は、その他の者(取引市場B、消費者D、蓄積者S1~S3)には知られないようにするため、生産者Aと仲介者Cにのみアクセス権限が設定されている。
【0072】
(通常の電力に関するデータ)
図4は、通常の電力に関するデータのデータ構造を示す図である。図4に示されているように、電力に関するデータには、ブロックチェーン内のデータ構造タイプを示すフィールド、ブロックチェーン内の電力に関するデータの一意のデータID、取引状態(生産(発電)、仲介(小売)、充電、放電、使用(消費)等)、生産方法の種類(太陽光、風力等の分類)、当該電力が再生可能エネルギーから生産されたか否かを示すフラグ、電力の生産日時、当該電力の電力量、契約に関するデータの保存場所へのリンク情報、発電者(生産者)、電力の所有権者、電力の前所有権者、当該電力に関するデータを分割する際の親の電力に関するデータのデータID、当該電力に関するデータ分割する際の子の電力に関するデータのデータID、及び拡張属性が含まれている。例えば、生産された電力の電力量が10kWhの場合、そのうち仲介者Cが消費者Dに6kWhを販売(仲介)すると、4kWhの電力量を示した親の電力に関するデータと、6kWhの電力量を示した子の電力に関するデータが生成されるため、それぞれのデータにデータIDが付されて、図4のように管理される。
【0073】
なお、仲介者Cは、非再生可能エネルギー(化石燃料)関しては余剰電力の場合の電力に関するデータを作らず、JEPX(日本卸電力取引所)に売却しても良い。
【0074】
(余剰電力の場合の電力に関するデータ)
図5は、余剰電力の場合の電力に関するデータのデータ構造を示す図である。図5に示されているように、余剰電力の場合の電力に関するデータには、ブロックチェーン内のデータ構造タイプを示すフィールド、ブロックチェーン内の余剰電力の場合の電力に関するデータの一意のデータID、余剰電力の状態(発電、小売(仲介)、売約(仲介済み)等)、当該電力が再生可能エネルギーから生産されたか否かを示すフラグ、余剰電力の生産日時、余剰電力総量、残余剰電力量、契約に関するデータの保存場所へのリンク情報、余剰電力の場合の電力に関するデータの生産者、電力に関するデータ(図4参照)との紐づけ、及び拡張属性が含まれている。
【0075】
「余剰電力の発生日時」は、仲介者Cによって余剰電力が発生した日時を示す。「余剰電力総量」は、仲介者Cによって所有されている現在の電力の総電力量のうち、契約通りに消費者Dに提供したとしても余ってしまう電力の総電力量を示す。「残余剰電力量」は、余剰電力総量のうち現時点で残っている余剰電力量を示す。これにより、例えば、仲介者C2の余剰電力の場合の電力に関するデータが仲介者C1にも共有された場合には、仲介者C1は、「当該電力が再生可能エネルギーから生産されたか否かを示すフラグ」及び「残余剰電力量」を参照することで、仲介者C2から融通してもらうことができる電力(再生可能エネルギーから生産された電力)の電力量を把握することができる。
【0076】
(不足電力の場合の電力に関するデータ)
図6は、不足電力の場合の電力に関するデータのデータ構造を示す図である。図6に示されているように、不足電力の場合の電力に関するデータには、ブロックチェーン内のデータ構造タイプを示すフィールド、ブロックチェーン内の不足電力の場合の電力に関するデータの一意のデータID、不足電力の状態(登録、不足中、補填済み等)、当該電力が再生可能エネルギーから生産されたか否かを示すフラグ、不足電力の生産日時、不足電力総量、残不足電力量、契約に関するデータの保存場所へのリンク情報、不足電力の場合の電力に関するデータの生産者、電力に関するデータ(図4参照)との紐づけ、及び拡張属性が含まれている。
【0077】
「不足電力の発生日時」は、仲介者Cによって不足電力が発生した日時を示す。「不足電力総量」は、仲介者Cが契約通りに消費者Dに提供する予定の電力の総電力量のうち、不足して提供できない電力の総電力量を示す。「残不足電力量」は、仲介者C(例えば仲介者C1)が他の仲介者C(例えば仲介者C2)等から電力を融通してもらった結果、不足電力総量のうち現時点で残っている不足電力量を示す。
【0078】
(契約に関するデータ)
図7は、契約に関するデータのデータ構造を示す図である。図7に示されているように、契約に関するデータには、ブロックチェーン内のデータ構造タイプを示すフィールド、ブロックチェーン内の契約に関するデータの一意のデータID、取引する電力の価格、取引する電力の価格に相当する割合、及びリンク元のデータIDが含まれている。なお、取引する電力の価格、及び取引する電力の価格に相当する割合のうち少なくとも一方では、値(数値)が管理されていなくてもよい。
【0079】
〔取引システムの処理又は動作〕
続いて、図8乃至図24を用いて、本実施形態の取引システムの処理又は動作について説明する。なお、以下では、一例として各企業等(生産者A、取引市場B、仲介者C1,C2、消費者D、蓄積者S2)が登場するが、各企業等が抱えるシステムや装置を書込標準APIに対応させることで、各企業等が有するノード7に対してデータを記憶(書き込み)が出来るようになり、その結果としてブロックチェーンネットワーク100を利用することができるようになる。例えば、図1の生産者Aの場合、発電施設の制御盤を書込標準APIに対応させ、生産者ノード7aに対して発電施設の制御盤から書き込み操作を行うことが出来る。また、発電施設の発電量のデータを生産者システム5aにいったん集約させ、その生産者システム5aから生産者ノード7aに対して書き込み操作を行うことも出来る。
【0080】
なお、以下では、3つのパターンについて説明するが、これに限らない。また、図8乃至図24の各処理又は動作は、例えば、1日のうちで30分毎に行われる。本実施形態では、リアルタイム性を維持するため、データ書き込み時間の短い仕組み(例えば、コンソーシアム型のブロックチェーンネットワーク)を用いることが望ましい。複数の仲介者Cが、電力の融通及び取引のデータ(電力に関するデータ等)を確認できる状態にし、お互いに電力の融通を可能な状況が構築される。リアルタイム性とは、電力取引に間に合う時間を指し、日本の場合の電力の集計は、2022年度時点では30分毎に行われるために、30分間で発電量や消費量、それらの取引を含めて終わらせることを指す。今後、規則等が改定されリアルタイムの定義が15分毎などに変更される可能性もある。
【0081】
これにより、従来の電力管理のブロックチェーン運用にはない価値が新たに生まれる。例えば、リアルタイムに電力の過不足状況が可視化されることで、同時同量維持のための再生可能エネルギーの融通が可能になる。ブロックチェーンの台帳自体が証拠性を持っており、企業間の取引における信用コストを下げることが可能である。そのため、再生可能エネルギーを企業が抱えることのリスク低減が可能になり再生可能エネルギーを抱えやすくなる。結果として、再生可能エネルギーへの投資を将来的に行い易くなる。
【0082】
なお、以下では取引市場Bを介さないで、仲介者Cが生産者Aから直接電力を取引する場合について説明する。また、後述の各処理又は動作は、上述のように30分毎に行われるが、実際の仲介者(小売事業者)の業務としては、電力の需給予測を1日前には提出することが義務付けられている。そのため、余剰電力量及び不足電力量については、1日前の予測データに基づいて作成され、予め取引合意を為すなどの方法が用いられてもよい。
【0083】
<第1の処理又は動作>
まず、図8乃至図12を用いて、第1の処理又は動作について説明する。第1の処理又は動作は、生産者Aが生産した電力を仲介者C1が購入し、仲介者C1が消費者Dに電力を販売する基本的な流れを示す。
【0084】
なお、各記憶部79a,79c1,79c2,79dの公開領域に電力に関するデータが記憶され、各記憶部79a,79c1,79c2,79dの秘密領域に契約に関するデータが記憶される。
【0085】
(生産された電力に関するデータの共有)
図8を用いて、ブロックチェーンネットワーク100内で、生産者Aによって生産された電力に関するデータ及び契約に関するデータを共有する処理を説明する。図8は、第1の処理又は動作に係り、生産された電力に関するデータ及び契約に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。
【0086】
S11:発電システム3では、計測部33が発電量を計測し、送受信部31が計測された発電量を示す発電量情報を生産者システム5aに送信する。これにより、生産者システム5aの送受信部51aは発電量情報を受信する。
【0087】
S12:生産者システム5aの送受信部51aは、生産者ノード7aに発電量情報を含む電力に関するデータ及び電力の価格を含む契約に関するデータを送信する。これにより、生産者ノード7aの送受信部71aは電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78aが記憶部79aに電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶する。なお、契約に関するデータへのアクセス権は生産者A及び仲介者C1のみに設定される。
【0088】
S13:生産者ノード7aの送受信部71aは、仲介者ノード7c1に電力に関するデータ及び契約に関するデータを送信する。これにより、仲介者ノード7c1の送受信部71c1は電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78c1が記憶部79c1に対して電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0089】
S14:生産者ノード7aの送受信部71aは、仲介者ノード7c2に電力に関するデータ及び契約に関するデータを送信する。これにより、仲介者ノード7c2の送受信部71c2は電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78c2が記憶部79c2に電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0090】
S15:生産者ノード7aの送受信部71aは、消費者ノード7dに電力に関するデータ及び契約に関するデータを送信する。これにより、消費者ノード7dの送受信部71dは電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78dが記憶部79dに電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0091】
(仲介された電力に関するデータの共有)
次に、図9を用いて、ブロックチェーンネットワーク内で、仲介者C1によって仲介された電力に関するデータ及び契約に関するデータを共有する処理を説明する。図9は、第1の処理又は動作に係り、仲介された電力に関するデータ及び契約に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。
【0092】
S31:仲介者システム5c1では、調整部55c1が、仲介者C1によって所有されている現在の電力の総電力量のうち、消費者Dとの契約内容に従い、消費者Dに対して電力の生産方法の種類(太陽光、風力等の分類)及び電力量を割り当てるための需給調整を行う。
【0093】
S32:仲介者システム5c1では、送受信部51c1が、調整部55c1によって需給調整されることで割り当てられた電力に関するデータ及び電力の価格を含む契約に関するデータを仲介者ノード7c1に送信する。これにより、仲介者ノード7c1の送受信部71c1は電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78c1が記憶部79c1に電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶する。
【0094】
S33:仲介者ノード7c1の送受信部71c1は、生産者ノード7aに電力に関するデータ及び契約に関するデータを送信する。これにより、生産者ノード7aの送受信部71aは電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78aが記憶部79aに電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0095】
S34:仲介者ノード7c1の送受信部71c1は、仲介者ノード7c2に電力に関するデータ及び契約に関するデータを送信する。これにより、仲介者ノード7c2の送受信部71c2は電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78c2が記憶部79c2に電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0096】
S35:仲介者ノード7c1の送受信部71c1は、消費者ノード7dに電力に関するデータ及び契約に関するデータを送信する。これにより、消費者ノード7dの送受信部71dは電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78dが記憶部79dに電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0097】
(消費された電力に関するデータの共有)
次に、図10を用いて、ブロックチェーンネットワーク100内で、消費者Dによって消費された電力に関するデータを共有する処理を説明する。図10は、第1の処理又は動作に係り、消費された電力に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。
【0098】
S51:消費者システム5dでは、計測部53dが電力の消費量を計測し、送受信部51dが、計測部53dによって計測された消費量を示す電力に関するデータを消費者ノード7dに送信する。これにより、消費者ノード7dの送受信部71dは電力に関するデータを受信し、記憶読出部78dが記憶部79dに電力に関するデータを記憶する。
【0099】
S52:消費者ノード7dの送受信部71dは、生産者ノード7aに電力に関するデータを送信する。これにより、生産者ノード7aの送受信部71aは電力に関するデータを受信し、記憶読出部78aが記憶部79aに電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0100】
S53:消費者ノード7dの送受信部71dは、仲介者ノード7c1に電力に関するデータを送信する。これにより、仲介者ノード7c1の送受信部71c1は電力に関するデータを受信し、記憶読出部78c1が記憶部79c1に電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0101】
S54:消費者ノード7dの送受信部71dは、仲介者ノード7c2に電力に関するデータを送信する。これにより、仲介者ノード7c2の送受信部71c2は電力に関するデータを受信し、記憶読出部78c2が記憶部79c2に電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0102】
(電力に関するデータ及び契約に関するデータの例)
続いて、図11及び図12を用いて、第1の処理又は動作の場合に、ブロックチェーンネットワーク100によって共有されるデータ(電力に関するデータ及び契約に関するデータ)の例を説明する。図11は、積み上げ式の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータの簡略化した例を示す図である。図12は、割合式の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータの簡略化した例を示す図である。なお、電力に関するデータには、図1に示されている業者(生産者A、取引市場B、仲介者C、消費者D、蓄積者S、及び認証局E)のいずれもアクセスすることができるが、契約に関するデータには、以下に示すように、原則として取引の当事者(場合によっては認証局Eを含む)のみがアクセスすることができる。
【0103】
(1-1)積み上げ式の場合
第1の処理又は動作において、図11に示されているように、電力に関するデータ1111には、取引状態「発電」、所有者「生産者A」、電力の取引量「10kWh」、及び契約に関するデータのリンク情報等が示されている。また、このリンク情報で示された保存場所には、契約に関するデータ1121が保存されている。この契約に関するデータ1121には、生産者Aが仲介者C1に電力を販売する場合の価格「10円/kWh」が示されている。この契約に関するデータ1121には、原則として取引の当事者である生産者A及び仲介者C1にのみアクセス権が与えられている。
【0104】
次に、電力に関するデータ1112には、取引状態「仲介」、所有者「仲介者C1」、電力の取引量「10kWh」、及び契約に関するデータのリンク情報等が示されている。また、このリンク情報で示された保存場所には、契約に関するデータ1122が保存されている。この契約に関するデータ1122には、仲介者C1が消費者Dに電力を販売する場合の末端価格(小売価格)「15円/kWh」が示されている。この場合、仲介者C1の仲介手数料は5円/kWh(=15円/kWh-10円/kWh)である。この契約に関するデータ1122には、原則として取引の当事者である仲介者C1及び消費者Dにのみアクセス権が与えられている。
【0105】
最後に、電力に関するデータ1113には、取引状態「消費」、所有者「消費者D」、及び電力の取引量「10kWh」等が示されている。最終的に、消費者Dは15円/kWhで電力を購入することになる。
【0106】
(1-2)割合式の場合
第1の処理又は動作において、図12に示されているように、電力に関するデータ1211には、取引状態「発電」、所有者「生産者A」、電力の取引量「10kWh」、及び契約に関するデータのリンク情報等が示されている。また、このリンク情報で示された保存場所には、契約に関するデータ1221が保存されている。この契約に関するデータ1221には、生産者Aが仲介者C1に電力を販売する場合の末端価格に対する割合「50%」が示されている。価格で表すと、7.5円/kWh(=0.5×15円/kWh)である。この契約に関するデータ1221には、原則として取引の当事者である生産者A及び仲介者C1にのみアクセス権が与えられている。
【0107】
以降、電力に関するデータ1212,1213は上述の電力に関するデータ1112,1113と同様であり、契約に関するデータ1222は上述の契約に関するデータ1122と同様であるため、これらの説明を省略する。
【0108】
<第2の処理又は動作>
続いて、図13乃至図17を用いて、第2の処理又は動作について説明する。第2の処理又は動作は、生産者Aが生産した電力を仲介者C1が購入し、仲介者C1が消費者Dに電力を販売する際に電力が足りないため、仲介者C1は仲介者C2に電力を融通してもらってから消費者Dに電力を販売する流れを示す。なお、第2の処理又は動作においても、図8及び図9に示す処理又は動作と同様の処理又は動作が行われるため、これらの説明を省略する。
【0109】
なお、各記憶部79a,79c1,79c2,79dの公開領域に電力に関するデータが記憶され、各記憶部79a,79c1,79c2,79dの秘密領域に契約に関するデータが記憶される。
【0110】
(仲介された電力に関するデータの共有)
図13は、第2の処理又は動作に係り、仲介された電力に関するデータ及び契約に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。図13に示すように、上述の処理S31~処理S35の後に、仲介者システム5c2及び仲介者ノード7c2は、仲介者システム5c1及び仲介者ノード7c1と同様の処理を行うため(処理S36~S40)、説明を省略する。
【0111】
(余剰電力の場合の電力に関するデータの共有)
次に、図14を用いて、ブロックチェーンネットワーク内で、仲介者C2によって余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを共有する処理を説明する。図14は、第2の処理又は動作に係り、余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。なお、以下では、仲介者C2が所有する電力(再生可能エネルギーによって生産された電力)が余っている場合について説明する。
【0112】
S71:仲介者システム5c2では、算出部57c2が、仲介者C2によって所有されている現在の電力の総電力量のうち、契約通りに消費者Dに提供しても余ってしまう電力の電力量を算出する。
【0113】
S72:仲介者システム5c2では、送受信部51c2が、算出部57c2によって算出された余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを仲介者ノード7c2に送信する。これにより、仲介者ノード7c2の送受信部71c2は余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78c2が記憶部79c2に余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶する。
【0114】
S73:仲介者ノード7c2の送受信部71c2は、生産者ノード7aに余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを送信する。これにより、生産者ノード7aの送受信部71aは余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78aが記憶部79aに余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0115】
S74:仲介者ノード7c2の送受信部71c2は、仲介者ノード7c1に余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを送信する。これにより、仲介者ノード7c1の送受信部71c1は余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78c1が記憶部79c1に余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0116】
S75:仲介者ノード7c2の送受信部71c2は、消費者ノード7dに電力に関するデータ及び契約に関するデータを送信する。これにより、消費者ノード7dの送受信部71dは余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78dが記憶部79dに余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0117】
(不足電力の場合の電力に関するデータの共有・余剰電力の移転の場合の電力に関するデータの共有)
次に、図15を用いて、ブロックチェーンネットワーク内で、仲介者C1によって不足電力の場合の電力に関するデータを共有する処理及び仲介者C2によって余剰電力の移転に関するデータを共有する処理を説明する。図15は、第2の処理又は動作に係り、不足電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータ、並びに余剰電力を移転する場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。なお、以下では、仲介者C1が所有する電力(再生可能エネルギーによって生産された電力)が不足している場合について説明する。
【0118】
S91:仲介者システム5c1では、算出部57c1は、仲介者C1が消費者Dに契約通りに提供すべき電力の不足電力量を算出する。
【0119】
S92:仲介者システム5c1では、送受信部51c1が、算出部57c1によって算出された不足電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを仲介者ノード7c1に送信する。これにより、仲介者ノード7c1の送受信部71c1は不足電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78c1が記憶部79c1に不足電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶する。
【0120】
S93:仲介者ノード7c1の送受信部71c1は、生産者ノード7aに不足電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを送信する。これにより、生産者ノード7aの送受信部71aは不足電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78aが記憶部79aに不足電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0121】
S94:仲介者ノード7c1の送受信部71c1は、仲介者ノード7c2に不足電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを送信する。これにより、仲介者ノード7c2の送受信部71c2は不足電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78c2が記憶部79c2に不足電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0122】
S95:仲介者ノード7c1の送受信部71c1は、消費者ノード7dに不足電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを送信する。これにより、消費者ノード7dの送受信部71dは不足電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78dが記憶部79dに不足電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0123】
S96:仲介者システム5c1では、調整部55c1が処理S74でデータ共有された余剰電力の場合の電力に関するデータに基づき、余剰電力の場合の電力量の範囲で移転可能な電力量を認識し、仲介者システム5c1の送受信部51c1が、仲介者システム5c2に対して、仲介者C2が現時点で所有する余剰電力の移転依頼を送信する。この移転依頼には、移転の依頼元名及び移転依頼を希望する電力の電力量の各情報が含まれている。これにより、仲介者システム5c2の送受信部51c2は、余剰電力の移転依頼を受信する。
【0124】
S97:仲介者システム5c2では、算出部57c2が仲介者システム5c1から移転依頼された電力量分の電力を移転できるかを判断する。そして、移転できる場合には、送受信部51c2が、仲介者システム5c1から依頼された電力量に応じた余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを仲介者ノード7c2に送信する。これにより、仲介者ノード7c2の送受信部71c2は余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78c2が記憶部79c2に余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶する。この場合、図5に示されているデータ構造では、取引状態が「仲介(小売)」、電力の所有権者が「仲介者C1」、電力の前所有権者が「仲介者C2」等で示される。また、「残余剰電力量」も更新される。
【0125】
S98:仲介者ノード7c2の送受信部71c2は、生産者ノード7aに余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを送信する。これにより、生産者ノード7aの送受信部71aは余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78aが記憶部79aに余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0126】
S99:仲介者ノード7c2の送受信部71c2は、仲介者ノード7c1に余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを送信する。これにより、仲介者ノード7c1の送受信部71c1は余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78c1が記憶部79c1に余剰電力の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0127】
S100:仲介者ノード7c2の送受信部71c2は、消費者ノード7dに電力に関するデータを送信する。これにより、消費者ノード7dの送受信部71dは余剰電力の場合の電力に関するデータを受信し、記憶読出部78dが記憶部79dに余剰電力の場合の電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0128】
(電力に関するデータ及び契約に関するデータの例)
続いて、図16及び図17を用いて、第2の処理又は動作の場合に、ブロックチェーンネットワーク100によって共有されるデータ(電力に関するデータ及び契約に関するデータ)の例を説明する。図16は、積み上げ式の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータの簡略化した例を示す図である。図17は、割合式の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータの簡略化した例を示す図である。なお、電力に関するデータには、図1に示されている業者(生産者A、取引市場B、仲介者C、消費者D、蓄積者S、及び認証局E)のいずれもアクセスすることができるが、契約に関するデータには、以下に示すように、原則として取引の当事者(場合によっては認証局Eを含む)のみがアクセスすることができる。
【0129】
(2-1)積み上げ式の場合
第2の処理又は動作において、図16に示されているように、電力に関するデータ2111には、取引状態「発電」、所有者「生産者A」、電力の取引量「10kWh」、及び契約に関するデータのリンク情報等が示されている。また、このリンク情報で示された保存場所には、契約に関するデータ2121が保存されている。この契約に関するデータ2121には、生産者Aが仲介者C2に電力を販売する場合の価格「10円/kWh」が示されている。この契約に関するデータ2121には、原則として取引の当事者である生産者A及び仲介者C2にのみアクセス権が与えられている。
【0130】
次に、電力に関するデータ2112には、取引状態「仲介」、所有者「仲介者C2」、電力の取引量「10kWh」、及び契約に関するデータのリンク情報等が示されている。また、このリンク情報で示された保存場所には、契約に関するデータ2122が保存されている。この契約に関するデータ2122には、仲介者C2が他の仲介者(仲介者C1等)に電力を販売する場合の取引価格(転売価格)「13円/kWh」が示されている。この場合、仲介者C2の仲介手数料は3円/kWh(=13円/kWh-10円/kWh)である。この契約に関するデータ2122には、原則として取引の当事者である仲介者C2及び他の仲介者(例えば仲介者C1)にのみアクセス権が与えられている。
【0131】
次に、電力に関するデータ2113には、取引状態「仲介」、所有者「仲介者C1」、電力の取引量「10kWh」、及び契約に関するデータのリンク情報等が示されている。また、このリンク情報で示された保存場所には、契約に関するデータ2123が保存されている。この契約に関するデータ3123には、仲介者C1が消費者Dに電力を販売する場合の末端価格(小売価格)「15円/kWh」が示されている。この場合、仲介者C1の仲介手数料は2円/kWh(=15円/kWh-13円/kWh)である。この契約に関するデータ2123には、原則として取引の当事者である仲介者C1及び消費者Dにのみアクセス権が与えられている。
【0132】
最後に、電力に関するデータ2114には、取引状態「消費」、所有者「消費者D」、及び電力の取引量「10kWh」等が示されている。最終的に、消費者Dは15円/kWhで電力を購入することになる。
【0133】
(2-2)割合式の場合
第2の処理又は動作において、図17に示されているように、電力に関するデータ2211には、取引状態「発電」、所有者「生産者A」、電力の取引量「10kWh」、及び契約に関するデータのリンク情報等が示されている。また、このリンク情報で示された保存場所には、契約に関するデータ2221が保存されている。この契約に関するデータ2221には、仲介者C2が本来、消費者Dに電力を販売する場合の取引価(転売価格)に対する割合「50%」が示されている。価格で表すと、6.5円/kWh(=0.5×13円/kWh)である。また、この契約に関するデータ2221には、原則として取引の当事者である生産者A及び仲介者C2にのみアクセス権が与えられている。
【0134】
以降、電力に関するデータ2212,2213,2214は上述の電力に関するデータ2112,2113,2114と同様であり、契約に関するデータ2222,2223は上述の契約に関するデータ2122,2123と同様であるため、これらの説明を省略する。
【0135】
<第3の処理又は動作>
続いて、図18乃至図24を用いて、第3の処理又は動作について説明する。第3の処理又は動作は、生産者Aが生産した電力を仲介者C1が購入し、購入した電力の一部を蓄電池システム5f2に充電しておき、仲介者C1が消費者Dに電力を販売する際に電力が足りない場合には、蓄電池システム5f2から電力を放電してから消費者Dに電力を販売する流れを示す。
【0136】
なお、各記憶部79a,79c1,79d,79f2の公開領域に電力に関するデータが記憶され、各記憶部79a,79c1,79d,79f2の秘密領域に契約に関するデータが記憶される。
【0137】
(生産された電力に関するデータの共有)
まず、図18を用いて、ブロックチェーンネットワーク100内で、生産者Aによって生産された電力に関するデータ及び契約に関するデータを共有する処理を説明する。図8は、第3の処理又は動作に係り、生産された電力に関するデータ及び契約に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。図18の場合は、図8の仲介者C2が蓄積者S2に替わっただけで、その他の処理又は動作は同様であるため、説明を省略する。なお、図18の処理S111~S115は、それぞれ図8の処理S11~S15に対応する。
【0138】
(余剰電力の場合の電力に関するデータの共有)
次に、図19を用いて、ブロックチェーンネットワーク内で、仲介者C1によって充電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを共有する処理を説明する。図19は、第3の処理又は動作に係り、充電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。
【0139】
S121:仲介者システム5c1では、算出部57c1が、仲介者C1によって所有されている現在の電力の総電力量のうち、契約通りに消費者Dに提供しても余ってしまう電力の電力量を算出する。
【0140】
S122:仲介者システム5c1では、送受信部51c1が、算出部57c1によって算出された余剰電力である充電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを仲介者ノード7c1に送信する。これにより、仲介者ノード7c1の送受信部71c1は充電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78c1が記憶部79c1に充電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶する。
【0141】
S123:仲介者ノード7c1の送受信部71c1は、生産者ノード7aに充電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを送信する。これにより、生産者ノード7aの送受信部71aは充電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78aが記憶部79aに充電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0142】
S74:仲介者ノード7c1の送受信部71c1は、蓄電池ノード7f2に充電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを送信する。これにより、蓄電池ノード7f2の送受信部71f2は充電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78f2が記憶部79f2に充電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0143】
S75:仲介者ノード7c1の送受信部71c1は、消費者ノード7dに電力に関するデータを送信する。これにより、消費者ノード7dの送受信部71dは充電の場合の電力に関するデータを受信し、記憶読出部78dが記憶部79dに充電の場合の電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0144】
(放電の場合の電力に関するデータの共有)
次に、図20を用いて、ブロックチェーンネットワーク内で、仲介者C1によって放電の場合の電力に関するデータを共有する処理を説明する。図20は、第3の処理又は動作に係り、放電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。
【0145】
S131:仲介者システム5c1では、算出部57c1は、仲介者C1が消費者Dに契約通りに提供すべき電力の不足電力量を算出する。
【0146】
S132:仲介者システム5c1では、調整部55c1が処理S122でデータ共有した充電の場合の電力に関するデータに基づき、充電しておいた電力の電力量の範囲で放電可能な電力量を認識し、仲介者システム5c1の送受信部51c1が、蓄電池システム5f2に対して、放電依頼を送信する。この放電依頼には、放電の依頼元名及び放電依頼を希望する電力の電力量の各情報が含まれている。これにより、仲介者システム5c2の送受信部51c2は、放電依頼を受信する。
【0147】
S133:蓄電池システム5f2では、送受信部51f2が、仲介者システム5c1から依頼された電力量に応じた放電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを蓄電池ノード7f2に送信する。これにより、蓄電池ノード7f2の送受信部71f2は放電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78f2が記憶部79f2に放電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶する。
【0148】
S134:蓄電池ノード7f2の送受信部71f2は、生産者ノード7aに放電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを送信する。これにより、生産者ノード7aの送受信部71aは放電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78aが記憶部79aに放電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0149】
S135:蓄電池ノード7f2の送受信部71f2は、仲介者ノード7c1に放電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを送信する。これにより、仲介者ノード7c1の送受信部71c1は放電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを受信し、記憶読出部78c1が記憶部79c1に放電の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0150】
S136:蓄電池ノード7f2の送受信部71f2は、消費者ノード7dに放電の場合の電力に関するデータを送信する。これにより、消費者ノード7dの送受信部71dは放電の場合の電力に関するデータを受信し、記憶読出部78dが記憶部79dに放電の場合の電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0151】
(仲介された電力に関するデータの共有)
次に、図21を用いて、ブロックチェーンネットワーク内で、仲介者C1によって仲介された電力に関するデータを共有する処理を説明する。図21は、図22は、第3の処理又は動作に係り、電力の割り当てをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。図21の場合は、図9の仲介者C2が蓄積者S2に替わっただけで、その他の処理又は動作は同様であるため、説明を省略する。なお、図21の処理S141~S145は、それぞれ図9の処理S31~S35に対応する。
【0152】
(消費された電力に関するデータの共有)
次に、図22を用いて、ブロックチェーンネットワーク100内で、消費者Dによって消費された電力に関するデータを共有する処理を説明する。図22は、第3の処理又は動作に係り、消費された電力に関するデータをブロックチェーンネットワーク上で共有する処理又は動作を示すシーケンス図である。図22の場合は、図10の仲介者C2が蓄積者S2に替わっただけで、その他の処理又は動作は同様であるため、説明を省略する。なお、図22の処理S151~S154は、それぞれ図9の処理S51~S54に対応する。
【0153】
(電力に関するデータ及び契約に関するデータの例)
続いて、図23及び図24を用いて、第3の処理又は動作の場合に、ブロックチェーンネットワーク100によって共有されるデータ(電力に関するデータ及び契約に関するデータ)の例を説明する。図23は、積み上げ式の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータの簡略化した例を示す図である。図24は、割合式の場合の電力に関するデータ及び契約に関するデータの簡略化した例を示す図である。なお、電力に関するデータには、図1に示されている業者(生産者A、取引市場B、仲介者C、消費者D、蓄積者S、及び認証局E)のいずれもアクセスすることができるが、契約に関するデータには、以下に示すように、原則として取引の当事者(場合によっては認証局Eを含む)のみがアクセスすることができる。
【0154】
(3-1)積み上げ式の場合
第3の処理又は動作において、図23に示されているように、電力に関するデータ3111には、取引状態「発電」、所有者「生産者A」、電力の取引量「10kWh」、及び契約に関するデータのリンク情報等が示されている。また、このリンク情報で示された保存場所には、契約に関するデータ3121が保存されている。この契約に関するデータ3121には、生産者Aが仲介者C1に電力を販売する場合の価格「10円/kWh」が示されている。この契約に関するデータ3121には、原則として取引の当事者である生産者A及び仲介者C1にのみアクセス権が与えられている。
【0155】
次に、電力に関するデータ3112には、取引状態「仲介」、所有者「仲介者C1」、電力の取引量「10kWh」、及び契約に関するデータのリンク情報等が示されている。また、このリンク情報で示された保存場所には、契約に関するデータ3122が保存されている。この契約に関するデータ3122には、仲介者C1が消費者Dに電力を販売する場合の取引価格(末端価格)「15円/kWh」が示されている。この場合、仲介者C1の仲介手数料は5円/kWh(=15円/kWh-10円/kWh)である。この契約に関するデータ3122には、原則として取引の当事者である仲介者C1及び消費者Dにのみアクセス権が与えられている。
【0156】
このまま、仲介者C1は消費者Dに電力を販売することができるが、電力が余った場合等には蓄積者に一旦転売して余った電力を充電しておく。例えば、夜間は太陽光により電力を生産できないため、夜間に再生可能エネルギーによって生産された電力を要求する消費者に対応するためである。ここでは、余った電力を一旦充電しておく場合について説明を続ける。
【0157】
次に、電力に関するデータ3113には、取引状態「蓄積」、所有者「蓄積者S2」、電力の取引量「10kWh」、及び契約に関するデータのリンク情報等が示されている。また、このリンク情報で示された保存場所には、契約に関するデータ3123が保存されている。この契約に関するデータ3123には、仲介者C1が蓄積者S2に電力を一時的に蓄積してもらう場合の蓄積価格(保管価格)「3円/kWh」が示されている。この契約に関するデータ3123には、原則として取引の当事者である仲介者C1及び蓄積者S2Dにのみアクセス権が与えられている。
【0158】
次に、仲介者C1が夜間等に消費者Dに電力を販売する場合、仲介者C1は蓄積者S2に一時的に蓄積しておいた電力を買い戻してから、消費者Dに販売する。
【0159】
そのため、次に、電力に関するデータ3114には、取引状態「仲介」、所有者「仲介者C1」、電力の取引量「10kWh」、及び契約に関するデータのリンク情報等が示されている。また、このリンク情報で示された保存場所には、契約に関するデータ3124が保存されている。この契約に関するデータ3124には、仲介者C1が消費者Dに電力を販売する場合の取引価格(末端価格)「18円/kWh」が示されている。この場合、仲介者C1の仲介手数料は5円/kWh(=18円/kWh-3円/kWh-10円/kWh)である。この契約に関するデータ3124には、原則として取引の当事者である仲介者C1及び消費者Dにのみアクセス権が与えられている。
【0160】
なお、蓄積者S2ではなく、仲介者C1が蓄電池システム5f2を管理していてもよい。この場合、電力に関するデータ3113における所有者は「仲介者C1」である。
【0161】
最後に、電力に関するデータ3115には、取引状態「消費」、所有者「消費者D」、及び電力の取引量「10kWh」等が示されている。最終的に、消費者Dは18円/kWhで電力を購入することになる。
【0162】
(3-2)割合式の場合
第3の処理又は動作において、図17に示されているように、電力に関するデータ3211には、取引状態「発電」、所有者「生産者A」、電力の取引量「10kWh」、及び契約に関するデータのリンク情報等が示されている。また、このリンク情報で示された保存場所には、契約に関するデータ3221が保存されている。この契約に関するデータ3221には、仲介者C1が昼間等に電力を蓄積せずに直接、消費者Dに電力を販売する場合の取引価格(末端価格)に対する割合「50%」が示されている。価格で表すと、7.5円/kWh(=0.5×15円/kWh)である。なお、この契約に関するデータ3221には、仲介者C1が夜間等に、消費者Dに蓄積しておいた電力を販売する場合の取引価格(末端価格)に対する割合「50%」が示されていてもよい。価格で表すと、9円/kWh(=0.5×18円/kWh)である。また、この契約に関するデータ3221には、原則として取引の当事者である生産者A及び仲介者C1にのみアクセス権が与えられている。
【0163】
以降、電力に関するデータ3212,3213,3214,3215は上述の電力に関するデータ3112,3113,3114,3115同様であり、契約に関するデータ3222,3224は上述の契約に関するデータ3122,2124と同様であるため、これらの説明を省略する。
【0164】
なお、契約に関するデータ3223、仲介者C1が蓄積者S2に電力を一時的に蓄積してもらう場合の蓄積価格(保管価格)の割合「20%」が示されている。この割合は仲介者C1が昼間等に販売する価格「15円/kWh」に対する割合を示す。価格で表すと、3円/kWh(=0.2×15円/kWh)である。
【0165】
〔実施形態の主な効果〕
以上説明したように本実施形態によれば、ブロックチェーンネットワーク100を用いて、取引における電力の価格を正確にトレース(追跡)する仕組みを構築することができるという効果を奏する。
【0166】
また、価格(又は、割合から導き出せる価格)を含む契約に関するデータには、原則として取引の当事者のみにアクセス権が設定されているため、価格を秘密にしたい当事者もブロックチェーンネットワーク100を利用し易くなるため、ブロックチェーンネットワーク100を利用する実効性が高まるという効果を奏する。
【0167】
また、ブロックチェーンネットワークで電力の充電及び放電並びに価格等を管理することで、価格が多少高くなっても、再生可能エネルギー由来の電力を使いたい消費者Dのトレース(追跡)のニーズに応えることができるという効果を奏する。
【0168】
更に、複数の仲介者C間で再生可能エネルギーの価値と電力を分離せずに融通し合うことで、特定種類の生産方法によって生産されたアセット(再生可能エネルギーによって生産された電力等)を契約通りに消費者等の使用者に仲介することができるという効果を奏する。特に、特定種類の生産方法によって生産されたことの価値と当該特定種類の生産方法によって生産された電力等の特定のアセットとを分離せずに、特定種類によって生産されたアセットを契約通りに使用者に対して仲介することができる。
【0169】
また、処理S72~S75により、仲介者C2が所有する余剰電力の場合の電力に関するデータが仲介者C1等にも共有されるため、仲介者C1はわざわざ他の仲介者C2等に余剰電力を所有しているかを問い合わせる必要がない。そのため、仲介者C1は迅速に仲介者C2から余剰電力を融通してもらえることができ、再生可能エネルギーによって生産された電力の同時同量を実現することができる。
【0170】
更に、図1に示す様に、各システム(生産者システム5a、取引市場システム5b、仲介者システム5c1,5c2、消費者システム5d、蓄電池システム5f1~5f3)は、それぞれ自社のノード(生産者ノード7a、取引市場ノード7b、仲介者ノード7c1,7c2、消費者ノード7d、蓄電池ノード7f1~7f3)に接続する以外にインターフェースを新規開発しないで済むため、各システム間での連携が容易になるという効果を奏する。
【0171】
また、ブロックチェーンネットワーク100を構築することで、再生可能エネルギーの融通又は取引のデータ(電力に関するデータ、余剰電力の場合の電力に関するデータ、不足電力の場合の電力に関するデータ等)が記憶され、証拠性を持つため、再生可能エネルギーの利用の証拠性を残すことができる。このブロックチェーンネットワーク100による仕組みは、証書以外に再生可能エネルギーの価値を証明する手段になり得る。また、証書の発行に係る費用と比較し、システムの自動化により低コストによる証拠性保証手段になり得る。更に、証書と異なり、リアルな電力に再生可能エネルギーの価値を付けることで、再生可能エネルギーの促進につながる。また、石油等の化石燃料を用いて後から再生可能エネルギーの価値だけを割り付けるなどを行った場合等と区別することもできる。このブロックチェーンネットワーク100を用いた仕組みを標準化することで、各企業が容易に再生可能エネルギーの利用に参画可能な仕組みを作ることができる。再生可能エネルギーの複数企業によるバランシングなど、構想はあっても実ビジネスに展開できていない様々な電力の新規ステークホルダーに対して、APIを提供することで実現を促し、新規事業の創出を行うことができる。
【0172】
なお、上述のような電力融通の方法として、本方式以外には例えばアグリゲーターによる複数社を束ねた電力調整などの方法が提案されている。但し、この手段を用いる場合はアグリゲーション関係にある電力会社は別途契約関係を結ぶ必要があり、調整力としては限定的な領域になる。ブロックチェーンを使うことのメリットは、このような証拠性及び契約関係をブロックチェーンネットワーク100自体に持たせることであり、これによるブロックチェーン台帳を経由することで、各社間で自由な取引が可能となる。
【0173】
〔その他〕
(1)上記実施形態では、アセットの一例として電力が示されたが、これに限るものではなく、以下のように、物理的に(又は現実に)存在するアセットと物理的に(又は現実に)存在しないアセットも含まれる。また、電力に関するデータは、アセットに関するデータの一例である。余剰電力の場合の電力に関するデータは、余剰アセットに関するデータの一例である。不足電力の場合の電力に関するデータは不足アセットに関するデータである。
【0174】
(1-1)物理的に(又は現実に)存在するアセットとして、穀物、野菜、果物、肉、水産物又は加工品等の食物が挙げられる。アセットが、穀物、野菜及び果物の場合、アセットに関するデータは、「生産方法の種類」として、農薬を使ったか否かを示す情報、又は生産者若しくは生産地を示す情報等の付帯情報を示す。
【0175】
アセットが肉の場合、アセットに関するデータは、「生産方法の種類」として、遺伝子組み換え作物を使って飼育された動物であるか否かを示す情報、又は生産者若しくは生産地を示す情報等の付帯情報を示す。
【0176】
アセットが魚や貝等の水産物の場合、アセットに関するデータは、「生産方法の種類」として、天然物又は養殖物を示す情報、又は生産者(漁獲者)若しくは生産地域(漁獲地域)を示す情報等の付帯情報を示す。
【0177】
アセットが加工品の場合、アセットに関するデータは、「生産方法の種類」として、アレルギー物質を示す情報、遺伝子組み換え作物を使って加工されたか否かを示す情報、又は、加工者若しくは加工所の場所を示す情報等の付帯情報を示す。
【0178】
(1-2)更に、物理的に(又は現実に)存在するアセットとして、土地や建物等の不動産、品物又は品物の量等の動産が挙げられる。
【0179】
アセットが不動産の場合、アセットに関するデータは所有権等の付帯情報を示す。アセットが動産の場合、アセットに関するデータは所有権等の付帯情報を示す。
【0180】
(1-3)一方、物理的に(又は現実に)存在しないアセットとして、トークン(仮想通貨)又はトークンの量、二酸化炭素排出権、知的財産権等の権利、契約等が挙げられる。
【0181】
アセットがトークンの場合には、アセットに関するデータは所有権等の付帯情報を示す。
【0182】
アセットが二酸化炭素排出権の場合には、アセットに関するデータは所有権等の付帯情報を示す。
【0183】
アセットが知的財産権等の権利の場合には、アセットに関するデータは、権利の帰属者、権利譲渡先、及び実施権者等の付帯情報を示す。
【0184】
アセットが契約の場合には、アセットに関するデータは、契約条件や履行状況等の付帯情報を示す。なお、契約だけでなく、条約、協定、約束、覚書、メモ等も契約と同様である。
【0185】
(1-4)また、後払いの処理のような場合のアセットとしては、電力だけでなく、ガス、水道水、通話等が含まれる。ガス、水道水、及び通話の場合には、アセットに関するデータは所有権等の付帯情報を示す。
【0186】
(2)また、太陽光によって生産された電力は、特定種類の生産方法によって生産されたアセットの一例である。特定種類の生産方法によって生産されたアセットには、上述の様々な「生産方法の種類」の生産方法によって生産されたアセットが含まれる。
【0187】
(3)各CPU101は、単一であってもよく複数であってもよい。
【0188】
(4)また、上述の実施形態における各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本実施形態における「処理回路」は、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上述した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)、SOC(System on a chip)、GPU、及び従来の回路モジュール等のデバイスを含む。
【0189】
(5)また、上記各プログラムは、(非一時的な)記録媒体に記録されることで、流通されるようにしてもよい。
【0190】
(6)更に、上記では「契約に関するデータ」と示したが「価格に関するデータ」と示してもよい。なお、この場合の「価格」にも「価格に相当する割合」が含まれる。
【符号の説明】
【0191】
1 取引システム
3 発電システム
5a 生産者システム
5c1 仲介者システム(他の仲介者システムの一例)
5c2 仲介者システム
5d 消費者システム
7a 生産者ノード
7c1 仲介者ノード(他の仲介者ノードの一例)
7c2 仲介者ノード
7d 消費者ノード
51c1 送受信部
51c2 送受信部(受信部の一例、送信部の一例)
55c1 調整部
55c2 調整部
57c1 算出部
57c2 算出部
71a 送受信部
71c1 送受信部(送信部の一例、受信部の一例)
71c2 送受信部(送信部の一例、受信部の一例)
71d 送受信部(送信部の一例、受信部の一例)
71f2 送受信部(送信部の一例、受信部の一例)
79a 記憶部
79c1 記憶部
79c2 記憶部
79d 記憶部
79f2 記憶部
100 ブロックチェーンネットワーク
A 生産者(提供者の一例)
C 仲介者
C1 仲介者
C2 仲介者
D 消費者(使用者の一例)
S1 蓄積者
S2 蓄積者
S3 蓄積者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24