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  • 特開-紫外線処理装置及び紫外線処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095051
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】紫外線処理装置及び紫外線処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20240703BHJP
   C02F 1/32 20230101ALI20240703BHJP
   C12M 1/12 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A61L2/10
C02F1/32
C12M1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212051
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】小野 仁
(72)【発明者】
【氏名】桝井 啓
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 慶太
【テーマコード(参考)】
4B029
4C058
4D037
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB01
4C058AA01
4C058BB06
4C058KK02
4C058KK22
4C058KK32
4D037AA01
4D037AB03
4D037BA18
(57)【要約】
【課題】狭流路を用いることなく、処理液に対して充分に紫外線を照射できる紫外線処理装置及び紫外線処理方法の提供。
【解決手段】紫外線処理装置1は、処理液100が通液する流路平面10を有する処理槽2と、流路平面10上の処理液100に紫外線を照射する紫外線照射部20と、少なくとも紫外線照射部20の照射範囲A1において、処理液100の液面から流路平面10まで透過できる紫外線の透過厚さよりも、処理液100の厚さT1を小さくする処理液厚さ調整部30と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液が通液する流路平面を有する処理槽と、
前記流路平面上の前記処理液に紫外線を照射する紫外線照射部と、
少なくとも前記紫外線照射部の照射範囲において、前記処理液の液面から前記流路平面まで透過できる前記紫外線の透過厚さよりも、前記処理液の厚さを小さくする処理液厚さ調整部と、を備える、
紫外線処理装置。
【請求項2】
前記処理液厚さ調整部は、前記処理液を斜め下方または垂直に落下させることで、前記処理液の厚さを小さくする、
請求項1に記載の紫外線処理装置。
【請求項3】
前記処理液厚さ調整部は、前記流路平面に形成された斜面を含む、
請求項2に記載の紫外線処理装置。
【請求項4】
前記処理液厚さ調整部は、前記流路平面に立設する堰を含む、
請求項1に記載の紫外線処理装置。
【請求項5】
前記処理液を溜めるタンクと、
前記タンクから前記処理槽に前記処理液を供給する供給部と、
前記処理槽を通液した前記処理液を前記タンクに戻す返送部と、を備える、
請求項1に記載の紫外線処理装置。
【請求項6】
前記流路平面の少なくとも一部に、反射板が設けられている、
請求項1に記載の紫外線処理装置。
【請求項7】
前記処理槽を通液する前記処理液の流量を調整する流量調整部を備える、
請求項1に記載の紫外線処理装置。
【請求項8】
前記紫外線照射部は、前記処理液に対して前記紫外線を照射する平面状の紫外線照射面を備える、
請求項1~7のいずれか一項に記載の紫外線処理装置。
【請求項9】
流路平面に沿って流れる処理液に対して紫外線を照射する紫外線照射工程と、
少なくとも前記紫外線の照射範囲において、前記処理液の液面から前記流路平面まで透過できる前記紫外線の透過厚さよりも、前記処理液の厚さを小さくする処理液厚さ調整工程と、を備える、
紫外線処理方法。
【請求項10】
流路平面に沿って流れる処理液に対して平面状に紫外線を照射する、
紫外線処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線処理装置及び紫外線処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紫外線殺菌は、薬剤による殺菌とは異なり残留する物がなく、安全性が高く、被照射物にはほとんど変化を与えない。そのため、安心と安全性を求められる飲料水、食品、医療品などに対する殺菌方法として適している。そして、紫外線殺菌を様々な場面に適用することが提案されている。
下記特許文献1には、有機物を含有する溶液、又は、有機物を含有する懸濁液からなる被殺菌液体する流体に、紫外線を照射して殺菌を行う紫外線殺菌装置が開示されている。この紫外線殺菌装置は、内部に複数の紫外線光源を有する処理槽を備える。複数の紫外線光源の間には、複数のスリット状の流路が形成され、処理槽の内部に流入した液体は、これらスリット状の流路を通過する間に、紫外線光源からの紫外線の照射を受けて殺菌される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/026008号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、水等に比べて比較的粘度の高い処理液においては、狭流路(例えば、上記スリット状の流路や、細い配管)を通過させる場合、圧力損失が大きくなることから、送液ポンプの動力が大きくなるという課題がある。また、固形分を含む処理液は、狭流路において詰まりの懸念があり、上記狭流路の採用が困難であった。その一方で、糖液、培養液等の粘度の高い処理液は、紫外線の吸光度が高く、紫外線透過率が大きくないため、流路の底面まで紫外線が到達せず、充分な殺菌を行うことができないという課題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、狭流路を用いることなく、処理液に対して充分に紫外線を照射できる紫外線処理装置及び紫外線処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る紫外線処理装置は、処理液が通液する流路平面を有する処理槽と、前記流路平面上の前記処理液に紫外線を照射する紫外線照射部と、少なくとも前記紫外線照射部の照射範囲において、前記処理液の液面から前記流路平面まで透過できる前記紫外線の透過厚さよりも、前記処理液の厚さを小さくする処理液厚さ調整部と、を備える。
【0007】
上記紫外線処理装置においては、前記処理液厚さ調整部は、前記処理液を斜め下方または垂直に落下させることで、前記処理液の厚さを小さくしてもよい。
上記紫外線処理装置においては、前記処理液厚さ調整部は、前記流路平面に形成された斜面を含んでもよい。
上記紫外線処理装置においては、前記処理液厚さ調整部は、前記流路平面に立設する堰を含んでもよい。
上記紫外線処理装置においては、前記処理液を溜めるタンクと、前記タンクから前記処理槽に前記処理液を供給する供給部と、前記処理槽を通液した前記処理液を前記タンクに戻す返送部と、を備えてもよい。
上記紫外線処理装置においては、前記流路平面の少なくとも一部に、反射板が設けられていてもよい。
上記紫外線処理装置においては、前記処理槽を通液する前記処理液の流量を調整する流量調整部を備えてもよい。
上記紫外線処理装置においては、前記紫外線照射部は、前記処理液に対して前記紫外線を照射する平面状の紫外線照射面を備えてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様に係る紫外線処理方法は、流路平面に沿って流れる処理液に対して紫外線を照射する紫外線照射工程と、少なくとも前記紫外線の照射範囲において、前記処理液の液面から前記流路平面まで透過できる前記紫外線の透過厚さよりも、前記処理液の厚さを小さくする処理液厚さ調整工程と、を備える。
【0009】
また、本発明の一態様に係る紫外線処理方法は、流路平面に沿って流れる処理液に対して平面状に紫外線を照射する。
【発明の効果】
【0010】
上記本発明の一態様によれば、狭流路を用いることなく、処理液に対して充分に紫外線を照射できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る紫外線処理装置の構成図である。
図2】第2実施形態に係る紫外線処理装置の構成図である。
図3】第3実施形態に係る紫外線処理装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る紫外線処理装置1の構成図である。
図1に示す紫外線処理装置1は、処理槽2と、タンク3と、供給部4と、返送部5と、を備えている。
【0014】
紫外線処理装置1は、処理槽2を通液する処理液100に対して紫外線を照射し、処理液100を殺菌処理する。処理液100としては、水よりも比較的粘度が高い糖液、培養液等を例示できる。処理液100の粘度は、例えば、常温(20℃)で10~20センチポアズ(cP)程度である。なお、処理液100としては、上記より高い粘度の液体でもよく、また水等の粘度が低い液体であっても構わないが、紫外線処理装置1は、粘度の高い液体に優位に作用する。
【0015】
処理槽2は、例えば、底部、側壁部、及び天井部を有する箱状に形成されている。処理槽2の天井部には、紫外線照射部20が設けられている。紫外線照射部20は、処理槽2内の気相中に設けられている。なお、紫外線照射部20の一部または全部は、処理液100の液相中に設けてもよく、流路平面10が紫外線を透過できれば、流路平面10の裏側(下側)に設けてもよい。
【0016】
紫外線照射部20は、処理槽2を通液する処理液100に対し、紫外線を照射する。紫外線照射部20は、紫外線光源として、複数の紫外線発光ダイオードを備えている。なお、紫外線光源としては、紫外線発光ダイオード以外の光源、例えば、紫外線ランプ等を用いても構わない。
【0017】
紫外線の波長については、特に制限するものではないが、殺菌や滅菌として用いるには100~280ナノメートル(nm)の短波長のUV-C(深紫外線)が好ましい。紫外線の波長は、一般に微生物や菌類のDNA吸収波長に近い265ナノメートル(nm)近辺の波長だと、なお望ましい。
【0018】
紫外線照射部20は、処理液100に対して紫外線を照射する平面状の紫外線照射面21を備えている。紫外線照射面21から照射された紫外線は、処理液100に対して平面状に照射される。なお、紫外線照射面21は、導光板や拡散板を含んでいてもよい。また、紫外線照射部20は、紫外線光源で生じた紫外線を、処理液100に向かう平行光にするレンズ、ミラー、プリズム等の光学素子を備えても構わない。
【0019】
返送部5は、処理槽2を通液した処理液100をタンク3に戻す。タンク3は、処理液100を溜める。供給部4は、タンク3から処理槽2に処理液100を供給する。供給部4及び返送部5は、必要に応じて送液ポンプやバルブ等を備えている。タンク3は、処理液100を溜める充分な容積を有する。
【0020】
処理液100は、供給部4及び返送部5によって、処理槽2とタンク3との間を循環することで殺菌処理される。処理液100は、処理槽2とタンク3との間の循環によって充分に殺菌された後、タンク3から所定の場所に移送される。つまり、本実施形態の紫外線処理装置1は、バッチ式の殺菌装置となっている。
【0021】
処理槽2には、処理液100が通液する流路平面10が形成されている。流路平面10は、頂面11と、斜面12と、を備えている。流路平面10の頂面11は、水平部分であり、紙面奥行き方向にも延びている。流路平面10の頂面11には、供給部4から処理液100が供給されてくる。
【0022】
頂面11と斜面12との間には、凸部13が形成されている。凸部13は、頂面11の端に所定高さで立設し、処理液100のオーバーフローにより、処理液100を斜面12に供給する。凸部13には、紙面奥行き方向における処理液100のオーバーフロー量の偏りを防止するべく、その上端から一定深さの切り欠き(不図示)が紙面奥行き方向に一定の間隔で複数形成されている。
【0023】
なお、凸部13は、頂面11に対する高さを調整することで、斜面12に供給する処理液100の流量を調整する流量調整部としても機能する。なお、流量調整部は、例えば、供給部4の図示しない送液ポンプ、または、供給部4の流路を絞る図示しないバルブ等であっても構わない。
【0024】
流路平面10の斜面12は、斜面部分であり、紙面奥行き方向にも延びている。斜面12は、処理槽2の底部に向かって斜め下方に延び、少なくとも紫外線照射部20の照射範囲A1を通過している。斜面12は、処理液100に重力加速度を与えて流速を高め、処理液100の流体膜を形成する。斜面12は、処理液100の厚さT1を、紫外線の透過厚さよりも小さくする処理液厚さ調整部30として機能する。
【0025】
ここで「紫外線の透過厚さ」とは、紫外線が、処理液100の液面から流路平面10(底面)まで透過できる処理液100の厚さをいう。紫外線が処理液100を「透過できる」厚みとは、好ましくは、紫外線の透過率が99%以上となる、処理液100の厚みである。「透過率」とは、光(紫外線)が溶液(処理液100)を通った時に何%の光の強さが通り抜けるかを示す値である。
【0026】
なお、斜面12の角度、斜面12の表面粗さを変えることで、処理液100の厚さT1を調整してもよい。また、本実施形態では、斜面12によって処理液100の厚さT1を小さくしているが、例えば流路平面10に垂直面を設けて、垂直面によって処理液100の厚さT1を小さくしても構わない。また、流路平面10は、一部曲面を含んでもよい。なお、流路平面10は、紫外線照射エネルギーを処理液100に対し均等に与えるため、平面で構成することが望ましい。
【0027】
上記構成の紫外線処理装置1によれば、タンク3から供給部4を介して処理槽2の頂面11に供給された処理液100が、凸部13からオーバーフローし、斜面12(処理液厚さ調整部30)に供給される。斜面12においては、流速の増加により、処理液100の厚さT1が薄くなり、少なくとも紫外線照射部20の照射範囲A1において、処理液100の厚さT1が上記紫外線の透過厚さよりも小さくなる。このため、処理槽2の流路平面10(底面)まで紫外線を到達させて、処理液100を充分に殺菌することができる。
【0028】
このように、上述した本実施形態に係る紫外線処理装置1は、処理液100が通液する流路平面10を有する処理槽2と、流路平面10上の処理液100に紫外線を照射する紫外線照射部20と、少なくとも紫外線照射部20の照射範囲A1において、処理液100の液面から流路平面10まで透過できる紫外線の透過厚さよりも、処理液100の厚さT1を小さくする処理液厚さ調整部30と、を備える。この構成によれば、狭流路を用いることなく、処理液100に対して充分に紫外線を照射できる。
【0029】
また、本実施形態においては、紫外線処理装置1においては、処理液厚さ調整部30は、処理液100を斜め下方または垂直に落下させることで、処理液100の厚さT1を小さくする。この構成によれば、重力加速度を利用して、処理液100の厚さT1を小さくすることができる。
【0030】
また、本実施形態においては、紫外線処理装置1においては、処理液厚さ調整部30は、流路平面10に形成された斜面12を含む。この構成によれば、垂直面に比べて、処理液100の液面が安定し易く、処理液100の厚さT1を制御し易くなる。
【0031】
また、本実施形態においては、処理液100を溜めるタンク3と、タンク3から処理槽2に処理液100を供給する供給部4と、処理槽2を通液した処理液100をタンク3に戻す返送部5と、を備える。この構成によれば、循環処理によって、小さい装置で紫外線の照射時間を長くすることが可能になり、殺菌力を高めることができる。
なお、処理槽2に対する一回の通液で処理液100に充分な殺菌力が与えられる場合、処理液100をタンク3に戻さずに後の工程に移送しても構わない。つまり、紫外線処理装置1は、連続式の殺菌装置であってもよい。
【0032】
また、本実施形態においては、処理槽2を通液する処理液100の流量を調整する流量調整部(凸部13または供給部4の送液ポンプ、バルブ)を備える。この構成によれば、処理液100の流量を調整し、処理液100の厚さT1を紫外線の透過厚さよりも小さくすることができる。
【0033】
また、本実施形態においては、紫外線照射部20は、処理液100に対して紫外線を照射する平面状の紫外線照射面21を備える。この構成によれば、紫外線による効率的な殺菌が可能になる。
【0034】
また、上述した本実施形態に係る紫外線処理方法は、流路平面10に沿って流れる処理液100に対して紫外線を照射する紫外線照射工程と、少なくとも紫外線の照射範囲A1において、処理液100の液面から流路平面10まで透過できる紫外線の透過厚さよりも、処理液100の厚さT1を小さくする処理液厚さ調整工程と、を備える。この構成によれば、狭流路を用いることなく、処理液100に対して充分に紫外線を照射できる。
【0035】
また、上述した本実施形態に係る紫外線処理方法は、流路平面10に沿って流れる処理液100に対して平面状に紫外線を照射する。この構成によれば、狭流路を用いることなく、紫外線による効率的な殺菌が可能になる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0037】
図2は、第2実施形態に係る紫外線処理装置1の構成図である。
図2に示すように、第2実施形態では、処理槽2の流路平面10が水平面となっており、処理液厚さ調整部30は、流路平面10に立設する堰14となっている。
【0038】
堰14は、所定高さ以上の処理液100をオーバーフローさせることにより、処理液100の厚さT1を調整する。なお、堰14をオーバーフローした処理液100は、返送部5によってタンク3に戻される。タンク3に戻された処理液100は、供給部4によって再び処理槽2に供給される。
【0039】
処理液厚さ調整部30として堰14を用いる場合、処理槽2内の通液は、層流・乱流どちらでも構わない。層流の場合、処理液100の大部分に均等に殺菌力を与えることができる。なお、乱流の場合、仮に処理液100が一部固体分を含む場合であっても、堆積なく、当該固体分による紫外線の照射減を防いだ通液が可能となる。
【0040】
このように、上述した第2実施形態においては、処理液厚さ調整部30は、流路平面10に立設する堰14を含む。この構成によれば、処理液100のオーバーフローにより、少なくとも紫外線照射部20の照射範囲A1において、処理液100の厚さT1を紫外線の透過厚さよりも小さくすることができる。
【0041】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0042】
図3は、第3実施形態に係る紫外線処理装置1の構成図である。
図3に示すように、第3実施形態では、処理槽2の流路平面10が階段状になっており、処理液厚さ調整部30は、流路平面10に形成された複数の段差16によって形成されている。
【0043】
段差16は、斜面12と、斜面12に連なる水平面15によって形成されている。流路平面10は、凸部13の下流側に、複数の段差16を有する。つまり、流路平面10は、凸部13の下流側に、斜面12と水平面15とを交互に有する。なお、段差16は、斜面12ではなく、垂直面であっても構わない。つまり、段差16は、垂直面と水平面15によって形成されていても構わない。
【0044】
上述した第1実施形態では、単一の斜面12により処理液100に重力加速度を与え、処理液100の厚さT1を小さくしていたが、処理液100の流速は下流に向かうに従って徐々に速くなり、それに伴い処理液100の厚さT1も徐々に小さくなる。このため、処理液100の厚さT1の調整は、紫外線の照射範囲A1の上流側で行うことが好ましい。
一方、第3実施形態によれば、流路平面10が階段状になることから、処理液100の流速の増加を一定の範囲内に収めることができ、処理液100の厚さT1の調整が容易になる。
【0045】
また、第3実施形態では、流路平面10の少なくとも一部に、反射板17が設けられている。この構成によれば、処理液100を透過した紫外線が、反射板17によって反射されるため、処理液100に対して満遍なく紫外線を照射できる。なお、反射板17は、紫外線を透過する流路平面10の背面側に配置されてもよく、流路平面10そのものを形成してもよい。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【符号の説明】
【0047】
1…紫外線処理装置、2…処理槽、3…タンク、4…供給部、5…返送部、10…流路平面、11…頂面、12…斜面、13…凸部、14…堰、15…水平面、16…段差、17…反射板、20…紫外線照射部、21…紫外線照射面、30…処理液厚さ調整部、100…処理液、A1…照射範囲
図1
図2
図3