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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095319
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】調味用組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20240703BHJP
   A23L 23/10 20160101ALI20240703BHJP
【FI】
A23L27/00 D
A23L23/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212520
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116297
【氏名又は名称】ヱスビー食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山口 晃平
(72)【発明者】
【氏名】小野瀬 清
(72)【発明者】
【氏名】中堀 紘花
【テーマコード(参考)】
4B036
4B047
【Fターム(参考)】
4B036LC01
4B036LE01
4B036LG02
4B036LG07
4B036LH04
4B036LH10
4B036LH13
4B036LH23
4B036LH26
4B036LH35
4B036LK01
4B036LP01
4B047LB02
4B047LB09
4B047LE06
4B047LF08
4B047LG02
4B047LG10
4B047LG40
4B047LG41
4B047LP05
(57)【要約】
【課題】 おからを油脂と小麦粉以外の澱粉質原料で加熱することにより、小麦粉を使用しなくても「穀物香」を呈し、また、ソースにした際、小麦粉を使用したような厚みのある味わいと、口溶けの良さを付与できる調味用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明によれば、おからを油脂と小麦粉以外の澱粉質原料で加熱することにより、小麦粉を使用しなくても「穀物香」、すなわち小麦様の香ばしさを呈し、また、ソースにした際、小麦粉を使用したような厚みある味わいと、口溶けの良さを付与できる、新規な調味用組成物が提供できる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂と、
おからを含み、
澱粉質原料と、
50~130℃で加熱し、
水分量が油脂量以下とすることを特徴とする、
調味用組成物。
【請求項2】
調味用組成物を100重量%とした時の前記油脂が、10~60重量%であり、
前記おからが、0.1~25重量%であり、
前記澱粉質原料が18~65重量%からなることを特徴とする、
請求項1に記載の調味用組成物。
【請求項3】
前記澱粉質原料が米粉であり、
前記澱粉質原料に対する米粉の含有率が、10重量%以上からなることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の調味用組成物。
【請求項4】
調味用組成物の製造方法であって、
油脂と、おからと、澱粉質原料とを含む混合物を加熱して、
溶融状の調味用組成物を調製するステップと、
前記溶融状の調味用組成物を冷却するステップとを含み、
前記溶融状の調味用組成物を調製するステップが、前記混合物を50~130℃で加熱混合するステップを含む、
調味用組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な調味用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シチューを代表する煮込み料理やソースなどでは、バターなど油脂と小麦粉を炒めたルウを使用しとろみをつけることが一般的であった。特に日本特有のカレー、シチューなど料理用のルウには、一般的には小麦粉を焙煎して使用していることが多く、小麦粉特有の「穀物香」、すなわち香ばしさがあり、粘性も食べ応えのあるテクスチャーが好まれている。一方で、近年、食物アレルギーに対して社会的関心が高まっている。厚生労働省は食物アレルギーを引き起こす食物のアレルゲンについて、患者数と症状の重篤さを評価し、食品パッケージへの表示義務のある特定原材料(小麦、乳、卵、そば、落花生、えび、かに)を定めている。したがって、食物アレルギーに対応した食品が求められている。
【0003】
例えば、下記特許文献1~3には、小麦粉を使用しないルウやソースについて開示されている。より詳しくは、特許文献1及び2には、小麦粉を使用せず、米粉を使用したカレールウ及びソースについて開示されている。また、特許文献3には、予め加熱処理したおから粉末を使用したカレーソースについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6304543号公報
【特許文献2】特開2012-196192号公報
【特許文献3】特開2009-225776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2のように、小麦粉の代わりに米粉やコーンスターチを使用したカレールウがあるが、小麦粉を用いて得られる味の厚みが物足りず、「穀物香」が弱く、口当たりが重くもったりしすぎてしまう問題があった。また、特許文献3のように小麦粉を使用しないカレーソースのために水分を多く添加されたスープ状態のカレーソースに加熱したおからを加えたカレーソースがあるが、十分な粘性を得るために多くのおから粉末を用いるため、おからの臭みが付与されてしまう問題があった。
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、おからを油脂と小麦粉以外の澱粉質原料で加熱することにより、小麦粉を使用しなくても「穀物香」を呈し、また、ソースにした際、小麦粉を使用したような厚みのある味わいと、口溶けの良さを付与できる調味用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明に係る調味用組成物は、
(1)油脂と、おからを含み、澱粉質原料と、50~130℃で加熱し、水分量が油脂量以下とすることを特徴とする。
(2)調味用組成物を100重量%とした時の前記油脂が、10~60重量%であり、前記おからが、0.1~25重量%であり、前記澱粉質原料が18~65重量%からなることを特徴とする。
(3)前記澱粉質原料が米粉であり、前記澱粉質原料に対する米粉の含有率が、10重量%以上からなることを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するための本発明に係る調味用組成物の製造方法は、
(4)油脂と、おからと、澱粉質原料とを含む混合物を加熱して、溶融状の調味用組成物を調製するステップと、前記溶融状の調味用組成物を冷却するステップとを含み、前記溶融状の調味用組成物を調製するステップが、前記混合物を50~130℃で加熱混合するステップを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、おからを油脂と澱粉質原料と共に、水分より油脂が多い状態で加熱することにより、小麦粉を使用しなくても「穀物香」、すなわち小麦様の香ばしさを呈し、また、ソースにした際、小麦粉を使用したような厚みのある味わいと、口溶けの良さを付与できる調味用組成物が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る調味用組成物の詳細について説明する。ここで、後述の本実施形態に係る調味用組成物はカレーソースを作るためのカレールウとしての調味用組成物であるが、それに限られない。
【0011】
[調味用組成物]
本実施形態に係る調味用組成物は、少なくとも油脂とおからと澱粉質原料を含み、水分を油脂より少ない量を含み、煮込み料理などを調理する際に、穀物香や小麦粉を使用したような厚みある味わいと、口溶けの良さを付与でき、とろみを付与できるものである。
【0012】
本実施形態に係る調味用組成物の形状としては、おからが油脂と一体になっている状態なら良い。例えば、固形(型に合わせて固まった状態、固まった状態を粉砕した状態)や、顆粒状、粉粒状、ペースト状であっても良い。更に、同じ容器に収容されている状態で、同時に使用する設計であれば、顆粒状、粉粒状が混入していたり、粉体が含まれている状態であってもよい。そのうち、含有される油脂の種類としては、50℃以上での加熱時に液状もしくは粉体原料と混合可能なペースト状などの溶融状態になっていれば、特に限定されるものではなく、大豆油、とうもろこし油、菜種油、ひまわり油、綿実油、米油、オリーブ油、ごま油、パーム油、やし油などの植物性油脂、牛脂、ラード、鶏脂、魚油、バターなどの動物性油脂、ショートニングなどの加工油脂が挙げられる。また、これらの油脂の硬化油などであってもよく、さらにこれらの一種を使用しても良いし、複数種を使用しても良い。
【0013】
本実施形態に係る油脂は、調味用組成物を100重量%とした場合、調味用組成物中に10~60重量%配合されるのが好ましく、12~50重量%であるとより好ましく、15~40重量%であると更に好ましい。
【0014】
本実施形態に係るおからは、旨味と厚みのある粘性を付与する作用を有する。おからの説明としては、十分な水分を吸収させ、その後水分とともに煮込加工を行った後の大豆を豆乳と分離した後の大豆由来の加工食品である。本実施形態に用いるおからは、さらに、豆乳と分離した後、必要に応じて、塩などの他の調味料などを、おからの風味を維持できる範囲で添加することができるほか、豆乳と分離した直後の脱水のみで水分を70重量%以上含んだ状態であっても、さらに遠心分離や絞るなどで脱水したおからであっても、熱風や送風や炒るなどで水分を20重量%未満まで乾燥させた状態であっても良い。
【0015】
おからの水分は、20重量%未満の乾燥状態の物が好ましく使用されるが、生の物などを使用するときは、水分を含んだものを使用する場合においても、調味用組成物の配合量を算定する時は、水分値を10重量%として算定を行うものとする。そして、おからの乾燥状態の物は、大豆その物をつぶしたもの、粗粉砕したもの、微粉砕したものを組み合わせることもできる。(例:粗粉砕は、目開き2mmの篩をオン、微粉砕は、目開き2mmの篩をパス)。このうち、天日乾燥、加熱乾燥などのいずれの方法で乾燥されたものでもよい。また、このおからは、パウダー状、チップ状、フレーク状、ペースト状のいずれの形状でもよい。このおからは、調味用組成物を100重量%とした場合、調味用組成物中に0.1~25重量%配合されるのが好ましく、0.5~20重量%であるとより好ましく、1~16重量%であると更に好ましい。
【0016】
本実施形態に係る澱粉質原料は、小麦粉以外の澱粉原料で、例えば粉末状態の米粉、コーンスターチ、ジャガイモ粉砕物、ジャガイモ澱粉、サツマイモ澱粉、タピオカ澱粉、緑豆澱粉、片栗粉、くず澱粉、加工澱粉、穀粉(コーンフラワー、ライ麦粉、蕎麦粉、あわ粉、きび粉、はと麦粉、ひえ粉など)など、水分と合わせて加熱することで特有のとろみを付与することができる原料であって、1種又は複数種を組み合わせるなど、あらゆる条件のものが使用可能であるが、好ましくは米粉やコーンスターチである。
【0017】
本実施形態における澱粉質原料の比率は、調味用組成物を100重量%とした場合、18~65重量%であることが好ましく、20~55重量%であることがより好ましく、25~50重量%であることが更に好ましい。特に、米粉は滑らかな粘性と米特有の甘味や味にしっかりとしたボディー感を付与する作用を有する。また、澱粉質原料に対する米粉の含有率が10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることがより好ましく、18重量%以上であることが更に好ましい。
【0018】
本実施形態に係る、油脂とおからと澱粉質原料を混合して加熱する際の温度条件は、おからによる穀物香が付与されはじめ、澱粉質原料などに含有する水分も蒸発して水分含有量を減少させることを容易にさせるために60℃以上、より好ましくは80℃以上の状態である。また、穀物香が焦げの香りになることから、135℃未満であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましく、125℃であることが更に好ましい。
【0019】
このように、本発明のこれらの態様によれば、油脂とおからと澱粉質原料を混合して加熱する際の温度条件や、油脂、おから、及び澱粉質原料の含有量の比率を、前記数値範囲とすることで、小麦粉を使用しなくても「穀物香」、すなわち小麦様の香ばしさを呈し、また、ソースにした際、小麦粉を使用したような厚みのある味わいと、口溶けの良さを付与できる調味用組成物が提供できる。
【0020】
また、本実施形態に係る調味用組成物を用いたカレールウなどには、風味付けなどを目的として、必要に応じて、食塩、糖類、甘味料、香辛料、調味料、エキス類、酸味料、着色料、香料、小麦粉などの副原料を本発明の効果を損なわない限りは配合することができる。
【0021】
本実施形態に係る副原料は、調味組成物を100重量%とした場合、調味用組成物中に1~50重量%配合されるのが好ましく、5~45重量%であるとより好ましく、10~40重量%であると更に好ましい。この場合、副原料としては、カレー粉などの香辛料や食塩、糖類であるグラニュー糖、エキスとしてビーフエキスやチキンエキスなども適宜使用することができる。
【0022】
本実施形態に係る調味用組成物の水分としては、油脂より少ないことであり、おからは油脂でまとわれていることで、おからの特有の臭いを押さえることができる。油脂より水分が少ない上で、20重量%未満が好ましく、15重量%未満がより好ましく、10重量%未満が更に好ましく、8重量%未満がなお好ましい。
【0023】
さらに、水分と油脂の量は、水分量は油脂量に対して、1/1.5以下であることが好ましく、1/2以下であることがさらに好ましく、1/3以下がより好ましい。そして、油脂とおからの量としてはおからに対して油脂が、0.1~100が好ましく、0.5~80がより好ましく、1~50がさらに好ましい。
【0024】
[調味用組成物の製造方法]
次に、本実施形態に係る調味用組成物の製造方法について説明する。本説明においては、粉粒状にしたカレールウ、すなわち本発明におけるパウダールウの製造方法を用いて、説明する。ただし、本製造方法に限定されるものではない。
【0025】
調味用組成物の製造方法は、少なくとも澱粉質原料と油脂を添加して、必要に応じてその他の原料を添加して加熱を行い、50℃以上にして溶融状態ルウを調製する。添加する原料において油脂より水分が多くなる場合は、加熱工程において適切な調味組成物の水分値まで調製し、溶融ルウを調製する。おからは、澱粉原料と油脂の加熱を行う溶融ルウの調製する工程で、水分が油脂分より少なくなっていれば添加することもできる。また、溶融ルウを調製する工程での加熱を100℃以上することで、おからが含まれると、より小麦様の香りをつけやすくなる。おからは、澱粉質原料と油脂を含んだ溶融ルウを調製する工程の加熱を消火した後の50℃以上で添加しても良い。この場合は、小麦様の香りを柔らかにすることができる。澱粉質原料と油脂を加熱した後は、必要に応じて他の原料を添加して、冷却し、冷却ルウを調製する。冷却ルウを調製する工程では室温に合わせて徐々に冷却しても、調整する装置の外周に冷水などを流し冷やしても、冷却を行う全ての方法を用いることができる。50℃以下に冷却し、さらに所定の形状になるように、容器やコンベアなどに冷却ルウを供給し固形ルウを調製する、固形ルウ調製工程がある。調製された固形ルウは、粉砕装置に供給され、粉末原料を供給しながら粉砕し、パウダールウを製造するルウ粉砕工程を経て、容器に充填密封する。なお、副原料は使用する原料の特性に合わせて、溶融ルウの調製工程、冷却ルウを調製する工程、固形ルウ調製工程、ルウ粉砕工程などで加えることができる。そして、ルウ粉砕工程では添加される粉末原料が付着した粉粒状のルウおよび粉末状態の粉末原料を合わせてパウダールウとして容器に密封包装される。
【0026】
本実施形態に係る調味用組成物の製造方法はパウダールウ以外に、固形ルウ調製工程の後、密封包装する固形状のルウや、固形ルウの調製後適度な大きさに粉砕し、密封包装することでフレーク状のルウを製造することができる。また、カレールウ以外であっても、おからを50℃以上で添加することで、調味用組成物を製造することができる。
【実施例0027】
以上説明した調味用組成物において、具体的な実施例を以下に示す。なお、本発明は、下記の実施例により限定及び制限されるものではない。
【0028】
実験1.粉+油脂のみでの調味用組成物の比較
<実施例1~3、比較例1及び2>
表1に示される原料及び配合に基づき、実施例1~3、比較例1及び2を調製した。実施例1、2、比較例1及び2は、いずれも次のプロセスを経て調製した。油脂、おから、澱粉質原料(米粉又は小麦粉)を混合して30分間かけて125℃達温後、消火し、70℃まで冷却して調味用組成物を調製した。実施例3は、油脂、澱粉質原料(米粉)を混合して、30分間かけて125℃達温し、消火後おからを投入した以外は、実施例1、2と同じく調製した。
【0029】
【表1】
【0030】
表2に示されるように、実施例1~3の官能評価を行った。調製した調味用組成物25gに湯を150g加えて溶いた湯溶き調味用組成物を2名のパネリストにて、比較例1(小麦粉のみ)と比較して、焙煎香・穀物香(香ばしさ)、味の厚みについて○△×官能評価を実施した。なお、○は十分に効果を感じられたレベル、△は効果を感じられたレベル、×は効果がほとんどない、または効果が全くないレベルの評価とする。
【0031】
【表2】
【0032】
実験2.調味用組成物からカレールウに起こした場合の比較
<実施例4~6、比較例3及び4>
表3に示される原料及び配合に基づき、実施例4~6、比較例3及び4を調製した。実施例4、5、比較例3及び4は、いずれも次のプロセスを経て調製した。はじめに、油脂、おから、澱粉質原料(米粉又は小麦粉)を混合して55℃まで加熱し、更に30分間かけて125℃達温後消火し、食塩と糖類とを加えて5分間撹拌した。その後、うま味調味料を加えて5分間撹拌して90℃まで冷却し、カレー粉を加えて、更にカラメル色素を加えて撹拌し、40~80℃で充填した後、冷却して、カレールウを調製した。実施例6は、はじめに、油脂、澱粉質原料(米粉)を混合して55℃まで加熱し、更に30分間かけて125℃達温し、消火後おからを投入した以外は、実施例4、5と同じく調製した。
【0033】
【表3】
【0034】
調製された実施例4~6、比較例3及び4に対して、焙煎香・穀物香(香ばしさ)、風味(味の厚み)、口溶けの評価を行った。また、焙煎香・穀物香(香ばしさ)、風味(味の厚み)、口溶けに関する評価は、次に示す方法で行った。評価結果を、表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】
表4の評価指標は、以下の通りである。
(1)焙煎香・穀物香(香ばしさ)
比較例3(小麦粉のみ)と比較して、官能評価を実施した(N=6)。
味わいの厚みについて評価を行った。パラメータで比較例3と比較して、より近いもの(同等)◎>○>△>×かけ離れている、の段階評価を行った。なお、◎は小麦粉同等レベル、○は十分に効果を感じられたレベル、△は効果を感じられたレベル、×は効果がほとんどない、または効果が全くないレベルの評価とする。
【0037】
(2)味の厚み
比較例3(小麦粉のみ)と比較して、官能評価を実施した(N=6)。
味わいの厚みについて評価を行った。パラメータで比較例3と比較して、より近いもの(同等)◎>○>△>×かけ離れている、の段階評価を行った。なお、◎は小麦粉同等レベル、○は十分に効果を感じられたレベル、△は効果を感じられたレベル、×は効果がほとんどない、または効果が全くないレベルの評価とする。
【0038】
(3)口溶け
比較例3(小麦粉のみ)と比較して、官能評価を実施した(N=6)。
口溶けや口あたりついて評価を行った。パラメータで比較例3と比較して、より近いもの(同等)◎>○>△>×かけ離れている、の段階評価を行った。なお、◎は小麦粉同等レベル、○は十分に効果を感じられたレベル、△は効果を感じられたレベル、×は効果がほとんどない、または効果が全くないレベルの評価とする。
【0039】
表4に示されるように、おからと油脂と澱粉質原料を一緒に加熱することで、小麦粉独特の「穀物香」が立ち、おからの臭みが消えた。また、米粉やコーンスターチでは出せなかった、味わいの厚みが出て、小麦粉のボディー感のあるソースのようになった。さらに、小麦粉らしい厚みのあるテクスチャーに加え、口溶けが良い結果となった。
【0040】
実験3.澱粉質原料を米粉+コーンスターチにした調味用組成物の比較
<実施例7>
表5及び6に示される原料及び配合に基づき、実施例7を調製した。実施例7は、実施例1~3同様、次のプロセスを経て調製した。油脂、おから、澱粉質原料(米粉とコーンスターチ)を混合して30分間かけて125℃達温後、消火し、70℃まで冷却して調味用組成物を調製した。
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】
実験4.コーンスターチ+米粉の調味用組成物からカレールウに起こした場合の比較
<実施例8>
表7及び8に示される原料及び配合に基づき、実施例8を調製した。実施例8は、実施例4~6同様、次のいずれも次のプロセスを経て調製した。はじめに、油脂、おから、澱粉質原料(コーンスターチと米粉)を混合して55℃まで加熱し、更に30分間かけて125℃達温後消火し、食塩と糖類とを加えて5分間撹拌した。その後、うま味調味料を加えて5分間撹拌して90℃まで冷却し、カレー粉を加えて、更にカラメル色素を加えて撹拌し、40~80℃で充填した後、冷却して、カレールウを調製した。
【0044】
【表7】
【0045】
【表8】
【0046】
また、表4、6及び8に示されるように、本願発明に係る、おからと澱粉質原料と油脂とを加熱することで得られた調味用組成物に、香辛料や調味料を加えてカレールウにした場合、小麦粉を使用しなくても「穀物香」、すなわち小麦様の香ばしさを呈し、また、ソースにした際、小麦粉を使用したような厚みある味わいと、口溶けの良さを付与できるカレールウが得られた。
【0047】
更に、実施例4~6及び8においては、カレー粉の唐辛子による刺激的な辛さを、比較例3、比較例4に比べて柔らかくする効果があった。カレー粉など香辛料を使用する料理においては、スパイスの辛味が程良い後キレに繋がることで、辛味に弱い方とも同じ料理を食せるという作用が得られた。なお、実施例4、5、8は明らかに後キレの良さが感じられるレベルで、実施例6は弱いながらも程良い後キレを感じられるレベルであった。
【0048】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明した。ただし、上記説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定する趣旨で記載されたものではない。本発明には、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るものを含み得る。また、本発明にはその等価物が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の調味用組成物は、カレールウ、シチュールウ、ハヤシルウ、或いはホワイトソース、ブラウンソース、デミグラスソースなどのソースに用いる調味料に利用できる。