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  • 特開-冷却装置及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095327
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】冷却装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
F25B1/00 101E
F25B1/00 304S
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212532
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 信介
(72)【発明者】
【氏名】石井 政輝
(72)【発明者】
【氏名】平井 寛一
(57)【要約】
【課題】凍結による熱交換器内での冷却流体の流路の閉塞を抑制し易い冷却装置及び方法を提供する。
【解決手段】冷媒を循環させる第1経路2と、冷却流体を流す第2経路3と、第1経路2と第2経路3の相互の熱交換をする熱交換器4とを有し、第1経路2が圧縮機5と圧縮機5よりも下流且つ熱交換器4よりも上流に配置される膨張機6とを有し、圧縮機5よりも下流且つ膨張機6よりも上流の部分から熱交換器4よりも下流且つ圧縮機5よりも上流の部分まで冷媒を流すバイパス経路10と、熱交換器4内での冷却流体の凍結の発生に関連する物理量を検出し、検出された物理量に応じてバイパス経路10の流量を制御するバイパス流量制御部11とを更に有する冷却装置1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を循環させる第1経路と、冷却流体を流す第2経路と、前記第1経路と前記第2経路の相互の熱交換をする熱交換器とを有し、
前記第1経路が圧縮機と前記圧縮機よりも下流且つ前記熱交換器よりも上流に配置される膨張機とを有し、
前記圧縮機よりも下流且つ前記膨張機よりも上流の部分から前記熱交換器よりも下流且つ前記圧縮機よりも上流の部分まで前記冷媒を流すバイパス経路と、
前記熱交換器内での前記冷却流体の凍結の発生に関連する物理量を検出し、検出された前記物理量に応じて前記バイパス経路の流量を制御するバイパス流量制御部とを更に有する冷却装置。
【請求項2】
前記バイパス経路の上流側端部よりも下流且つ前記膨張機よりも上流の部分と前記熱交換器よりも下流且つ前記バイパス経路の下流側端部よりも上流の部分との相互の熱交換をする更なる熱交換器を更に有する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記物理量として前記冷却流体の温度を検出する温度センサ、又は、前記物理量として前記冷却流体の流量を検出する流量センサを更に有する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記圧縮機としてのターボ圧縮機と、前記膨張機としての膨張タービンとを有する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記冷却流体が液体窒素である、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項6】
冷媒を循環させる第1経路と、冷却流体を流す第2経路と、前記第1経路と前記第2経路の相互の熱交換をする熱交換器とを有し、前記第1経路が圧縮機と前記圧縮機よりも下流且つ前記熱交換器よりも上流に配置される膨張機とを有し、前記圧縮機よりも下流且つ前記膨張機よりも上流の部分から前記熱交換器よりも下流且つ前記圧縮機よりも上流の部分まで前記冷媒を流すバイパス経路と、前記バイパス経路の開度を変化させる開度調整部とを更に有する冷却装置を用い、
前記熱交換器内での前記冷却流体の凍結の発生に関連する物理量を検出し、検出された前記物理量に応じて前記開度調整部によって前記バイパス経路の開度を変化させる、冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷却装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷媒を循環させる第1経路と、冷却流体を流す第2経路と、第1経路と第2経路の相互の熱交換をする熱交換器とを有し、第1経路が圧縮機と圧縮機よりも下流且つ熱交換器よりも上流に配置される膨張機とを有する冷却装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2013/154185号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような冷却装置は、何等かの原因で冷媒による過冷却が発生し、熱交換器内で冷却流体が凍結すると、熱交換器内で冷却流体の流路が閉塞し、冷却流体が流れなくなる虞がある。冷却流体が超電導電力機器の冷却に用いられる液体窒素である場合などにおいては、凍結による熱交換器内での冷却流体の流路の閉塞を抑制することが特に重要となる。
【0005】
そこで本発明の目的は、凍結による熱交換器内での冷却流体の流路の閉塞を抑制し易い冷却装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は以下のとおりである。
【0007】
[1]
冷媒を循環させる第1経路と、冷却流体を流す第2経路と、前記第1経路と前記第2経路の相互の熱交換をする熱交換器とを有し、
前記第1経路が圧縮機と前記圧縮機よりも下流且つ前記熱交換器よりも上流に配置される膨張機とを有し、
前記圧縮機よりも下流且つ前記膨張機よりも上流の部分から前記熱交換器よりも下流且つ前記圧縮機よりも上流の部分まで前記冷媒を流すバイパス経路と、
前記熱交換器内での前記冷却流体の凍結の発生に関連する物理量を検出し、検出された前記物理量に応じて前記バイパス経路の流量を制御するバイパス流量制御部とを更に有する冷却装置。
【0008】
[2]
前記バイパス経路の上流側端部よりも下流且つ前記膨張機よりも上流の部分と前記熱交換器よりも下流且つ前記バイパス経路の下流側端部よりも上流の部分との相互の熱交換をする更なる熱交換器を更に有する、[1]に記載の冷却装置。
【0009】
[3]
前記物理量として前記冷却流体の温度を検出する温度センサ、又は、前記物理量として前記冷却流体の流量を検出する流量センサを更に有する、[1]又は[2]に記載の冷却装置。
【0010】
[4]
前記圧縮機としてのターボ圧縮機と、前記膨張機としての膨張タービンとを有する、[1]~[3]の何れか1項に記載の冷却装置。
【0011】
[5]
前記冷却流体が液体窒素である、[1]~[4]の何れか1項に記載の冷却装置。
【0012】
[6]
冷媒を循環させる第1経路と、冷却流体を流す第2経路と、前記第1経路と前記第2経路の相互の熱交換をする熱交換器とを有し、前記第1経路が圧縮機と前記圧縮機よりも下流且つ前記熱交換器よりも上流に配置される膨張機とを有し、前記圧縮機よりも下流且つ前記膨張機よりも上流の部分から前記熱交換器よりも下流且つ前記圧縮機よりも上流の部分まで前記冷媒を流すバイパス経路と、前記バイパス経路の開度を変化させる開度調整部とを更に有する冷却装置を用い、
前記熱交換器内での前記冷却流体の凍結の発生に関連する物理量を検出し、検出された前記物理量に応じて前記開度調整部によって前記バイパス経路の開度を変化させる、冷却方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、凍結による熱交換器内での冷却流体の流路の閉塞を抑制し易い冷却装置及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態の冷却装置を示す回路図である。
図2図1に示す冷却装置の変形例を示す回路図である。
図3】圧縮機の流量と圧力比の関係を示すグラフである。
図4図1に示す冷却装置において凍結による第1熱交換器内での冷却流体の流路の閉塞を抑制する制御を行わなかった場合の状態変化の一例を示すグラフである。
図5図1に示す冷却装置において凍結による第1熱交換器内での冷却流体の流路の閉塞を抑制する制御を行った場合の状態変化の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。
【0016】
図1に示すように、本発明の一実施形態において冷却装置1は、冷媒を循環させる第1経路2と、冷却流体を流す第2経路3と、第1経路2と第2経路3の相互の熱交換をする熱交換器4(第1熱交換器4ともいう)とを有する。第1経路2は、圧縮機5と、圧縮機5よりも下流且つ第1熱交換器4よりも上流に配置される膨張機6とを有する。
【0017】
冷却装置1は、冷媒がブレイトンサイクルの4つの過程である断熱圧縮、等圧冷却、断熱膨張、等圧加熱がこの順に繰り返されることにより寒冷を発生する冷凍機能を有する。圧縮機5で圧縮された冷媒は圧縮熱を例えば大気へ放散した後、膨張機6で断熱膨張し、その結果、冷媒の温度が低下する。次いで冷媒は周囲の熱を吸収し、圧縮機5の入り口に戻される。冷媒は特に限定されないが、本実施形態ではネオンガスである。冷却流体は特に限定されないが、本実施形態では液体窒素である。
【0018】
第2経路3は、冷却流体を循環させる循環経路の一部又は全部を構成する。循環経路は、循環経路を流れる冷却流体によって超電導送電ケーブル、超電導限流器などの超電導電力機器を冷却できるように配置される。超電導電力機器は侵入熱や機器の発熱により温度が上昇すると超電導状態を保てなくなる。そのため冷却装置1は、電導電力機器を冷却する冷却流体を安定して冷却する必要がある。なお、冷却装置1は、超電導電力機器以外の機器又は機器以外の冷却対象を冷却するように構成してもよい。
【0019】
冷却装置1は、第2経路3における第1熱交換器4よりも下流且つ冷却対象よりも上流の部分の温度を検出する第1温度センサ7aと、第1温度センサ7aによって検出された温度に応じて圧縮機5の出力(回転数など)を制御する出力制御部(不図示)を有する。出力制御部は例えばコンピュータによって構成される。なお、第1温度センサ7aは上記部分以外で第2経路3の温度を検出する構成としてもよい。
【0020】
冷却装置1は、圧縮機5よりも下流且つ膨張機6よりも上流の部分と第1熱交換器4よりも下流且つ圧縮機5よりも上流の部分との相互の熱交換をする更なる熱交換器8(第2熱交換器8ともいう)を更に有する。第2熱交換器8によれば冷却性能を高めることができる。なお、冷却装置1は、第2熱交換器8を有する構成に限らない。
【0021】
冷却装置1は、圧縮機5としてのターボ圧縮機と、膨張機6としての膨張タービンとを有する。このような構成によれば冷却性能を高めることができる。なお、冷却装置1はこれに限らず、例えば、ターボ圧縮機以外の圧縮機5を有する構成としてもよいし、膨張タービン以外の膨張機6を有する構成としてもよい。
【0022】
膨張機6によって発電された電力は第1インバータ9aを介して所定の電気回路に供給され、更に第2インバータ9bを介して圧縮機5に供給される。なお、膨張機6によって回収された動力を別の方法で圧縮機5に伝達する構成としてもよい。膨張機6によって回収された動力を圧縮機5の動力源として使用する構成に限らず、例えば、他の機器の駆動等に使用する構成としてもよい。
【0023】
冷却装置1は、何等かの原因で冷媒による過冷却が発生し、第1熱交換器4内で冷却流体が凍結すると、第1熱交換器4内で冷却流体の流路が閉塞し、冷却流体が流れなくなる虞がある。冷却流体が超電導電力機器の冷却に用いられる液体窒素である場合などにおいては、凍結による第1熱交換器4内での冷却流体の流路の閉塞を抑制することが特に重要となる。
【0024】
そこで、冷却装置1は、圧縮機5よりも下流且つ膨張機6よりも上流の部分から第1熱交換器4よりも下流且つ圧縮機5よりも上流の部分まで冷媒を流すバイパス経路10と、第1熱交換器4内での冷却流体の凍結の発生に関連する物理量(凍結関連物理量ともいう)を検出し、検出された凍結関連物理量に応じてバイパス経路10の流量を、凍結による第1熱交換器4内での冷却流体の流路の閉塞を抑制するように制御するバイパス流量制御部11とを更に有する。
【0025】
バイパス流量制御部11は、バイパス経路10の開度を変化させる開度調整部11aと、凍結関連物理量を検出する検出部11bと、検出部11bによって検出された凍結関連物理量に応じてバイパス経路10の開度を変化させるように開度調整部11aを制御する開度調整部11a制御部(不図示)とを有する。開度調整部11a制御部は例えばコンピュータによって構成される。開度調整部11aは、電磁バルブなどのバルブによって構成される。なお、開度調整部11aはバルブ以外の装置で構成してもよい。
【0026】
検出部11bは特に限定されないが、例えば、冷却流体の温度を検出する温度センサ、又は、冷却流体の流量を検出する流量センサ12によって構成することができる。本実施形態では検出部11bは、第1経路2における膨張機6よりも下流且つ第1熱交換器4よりも上流の部分の温度を検出する第2温度センサ7bによって構成される。
【0027】
バイパス流量制御部11は、検出された凍結関連物理量が第1閾値に達した時(本実施形態では第2温度センサ7bによって検出された温度が第1閾値まで下降した時)、バイパス経路10の開度を第1開度まで増加させ、その後、検出された凍結関連物理量が第2閾値に達した時(本実施形態では第2温度センサ7bによって検出された温度が第2閾値まで上昇した時)、バイパス経路10の開度を第2開度まで減少させる。第2開度は例えば、バイパス経路10が閉塞される開度である。第1開度は例えば、バイパス経路10が(例えば全開となるように)開かれる開度である。
【0028】
第1閾値は、第1熱交換器4内での冷却流体の凍結の発生を生じる又は生じ得る値に設定される。第2閾値は、第1熱交換器4内での冷却流体の凍結の発生が第1閾値よりも生じにくい値(本実施形態では第1閾値よりも高い温度値)に設定される。
【0029】
バイパス経路10の開度が第1開度まで増加すると、バイパス経路10を流れて圧縮機5に流入する冷媒により圧縮機5の流量が増加し、その結果、圧縮機5の圧力比が減少する。例えば図3に示すように、所定の回転数において圧縮機5の流量が増加すると、それに従って圧力比が減少する(図3中の矢印参照)。圧縮機5の圧力比が減少すると、第2温度センサ7bで検出される温度(つまり、膨張機6を出てから第1熱交換器4に入るまでの冷媒の温度)が上昇するので、凍結による第1熱交換器4内での冷却流体の流路の閉塞を抑制することができる。
【0030】
したがって、例えば図5に示すように、冷却装置1により発生される寒冷を良好に維持することができる。なお、上記のようなバイパス流量制御部11によるバイパス経路10の開度の制御を行わない場合の一例を図4に示す。図4に示す例では、閉塞により冷却流体が流れなくなり、その結果、第1温度センサ7aにより検出された温度が上昇し続け、この上昇し続ける温度に応じて圧縮機5の出力が増加され続ける。したがって、過冷却と閉塞が解消せず、その結果、良好な発生寒冷が得られなくなる。
【0031】
バイパス経路10は、圧縮機5よりも下流且つ第2熱交換器8よりも上流の部分から第2熱交換器8よりも下流且つ圧縮機5よりも上流の部分まで冷媒を流すように設けられる。すなわち、第2熱交換器8は、バイパス経路10の上流側端部よりも下流且つ膨張機6よりも上流の部分と第1熱交換器4よりも下流且つバイパス経路10の下流側端部よりも上流の部分との相互の熱交換をするように設けられる。このような構成によれば、凍結による第1熱交換器4内での冷却流体の流路の閉塞を抑制する効果を良好なエネルギー効率によって得ることができる。
【0032】
なお、バイパス経路10の配置はこれに限らず、例えば、第2熱交換器8よりも下流且つ膨張機6よりも上流の部分から第1熱交換器4よりも下流且つ第2熱交換器8よりも上流の部分まで冷媒を流すように設けてもよい。
【0033】
検出部11bを、第2温度センサ7bに代えて又は加えて、図2に示すように、第1温度センサ7aによって構成し、第1温度センサ7aによって検出される温度を凍結関連物理量として用いる構成としてもよい。この場合、例えば、冷却流体の凝固温度よりも所定値高い温度を第1閾値として用いることができる。
【0034】
検出部11bを、第2温度センサ7bに代えて又は加えて、図2に示すように、第2経路3における第1熱交換器4よりも下流且つ冷却対象よりも上流の部分の流量を検出する流量センサ12によって構成し、流量センサ12によって検出される流量を凍結関連物理量として用いる構成としてもよい。この場合、例えば、流路断面積の半分が閉塞したときに対応する流量を第1閾値として用いることができる。
【0035】
検出部11bを、第2温度センサ7bに代えて又は加えて、図2に示すように、第1熱交換器4の温度を検出する第3温度センサ7cによって構成し、第3温度センサ7cによって検出される温度を凍結関連物理量として用いる構成としてもよい。この場合、例えば、冷却流体の凝固温度よりも所定値高い温度を第1閾値として用いることができる。
【0036】
検出部11bを、第2温度センサ7bに代えて又は加えて、図2に示すように、第1経路2における第2熱交換器8よりも下流且つ膨張機6よりも上流の部分の温度を検出する第4温度センサ7dによって構成し、第4温度センサ7dによって検出される温度を凍結関連物理量として用いる構成としてもよい。この場合、例えば、冷却流体の凝固温度よりも所定値高い温度を第1閾値として用いることができ、例えば、膨張機6の性能と運転条件などを考慮して第1閾値を設定することができる。
【0037】
検出部11bを、第2温度センサ7bに代えて又は加えて、図2に示すように、第1経路2における第1熱交換器4よりも下流且つ第2熱交換機よりも上流の部分の温度を検出する第5温度センサ7eによって構成し、第5温度センサ7eによって検出される温度を凍結関連物理量として用いる構成としてもよい。この場合、例えば、冷却流体の凝固温度よりも所定値高い温度を第1閾値として用いることができ、例えば、冷却装置1の仕様などを考慮して第1閾値を設定することができる。
【0038】
次に、本発明の一実施形態の冷却方法について例示説明する。本発明の一実施形態の冷却方法は、前述した実施形態又はその変形例の冷却装置1を用い、凍結関連物理量を検出し、検出された凍結関連物理量に応じて開度調整部11aによってバイパス経路10の開度を変化させる(より具体的には、バイパス流量制御部11によって、凍結関連物理量を検出し、検出された凍結関連物理量に応じてバイパス経路10の流量を制御する)、冷却方法である。
【0039】
なお、本実施形態の冷却方法は、前述した実施形態又はその変形例の冷却装置1から開度調整部11a制御部を除いた構成とした冷却装置1を用い、検出部11bによって凍結関連物理量を検出し、検出された凍結関連物理量に応じて、人が開度調整部11aを操作してバイパス経路10の開度を(凍結による第1熱交換器4内での冷却流体の流路の閉塞を抑制するように)変化させる構成としてもよい。
【0040】
本発明は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【実施例0041】
図2に示す実施形態の冷却装置1により、バイパス経路10の開度を第1開度よりも小さい第3開度に調整することで凍結が発生する第1状態とし、その後、バイパス経路10の開度を第1開度に調整することで凍結が解消する第2状態とし、その後、バイパス経路10の開度を第3開度よりも小さい第4開度に調整することで凍結が発生する第3状態とするシミュレーションを行った。
【0042】
第1状態では、圧縮機5の回転数が550rps、圧縮機5の流量が1000Nm/h、圧縮機5の圧力比が2.0、膨張機6の入口圧力が1000MPaA、膨張機6の出口圧力が500MPaA、第2温度センサ7bの検出値が62.7K、第3温度センサ7cの検出値が62.7K、第1温度センサ7aの検出値が62.7Kであった。
【0043】
第2状態では、圧縮機5の回転数が550rps、圧縮機5の流量が1400Nm/h、圧縮機5の圧力比が1.88、膨張機6の入口圧力が940MPaA、膨張機6の出口圧力が500MPaA、第2温度センサ7bの検出値が63.7K、第3温度センサ7cの検出値が64.2K、第1温度センサ7aの検出値が64.7Kであった。
【0044】
第3状態では、圧縮機5の回転数が550rps、圧縮機5の流量が800Nm/h、圧縮機5の圧力比が2.05、膨張機6の入口圧力が1025MPaA、膨張機6の出口圧力が500MPaA、第2温度センサ7bの検出値が62.2K、第3温度センサ7cの検出値が62.2K、第1温度センサ7aの検出値が62.2Kであった。
【0045】
なお、第1状態、第2状態及び第3状態のいずれにおいても、第4温度センサ7dの検出値は76K、第5温度センサ7eの検出値は73K、流量センサ12の検出値は0.5kg/s、膨張機6の効率は70%であった。
【符号の説明】
【0046】
1 冷却装置
2 第1経路
3 第2経路
4 第1熱交換器
5 圧縮機
6 膨張機
7a 第1温度センサ
7b 第2温度センサ
7c 第3温度センサ
7d 第4温度センサ
7e 第5温度センサ
8 第2熱交換器
9a 第1インバータ
9b 第2インバータ
10 バイパス経路
11 バイパス流量制御部
11a 開度調整部
11b 検出部
12 流量センサ
図1
図2
図3
図4
図5