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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095444
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】電子レンジ調理用調味料
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20240703BHJP
   A23L 5/10 20160101ALI20240703BHJP
   A23L 23/10 20160101ALN20240703BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
A23L27/00 C
A23L5/10 C
A23L5/10 F
A23L23/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212734
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116297
【氏名又は名称】ヱスビー食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】宮本 麻奈美
(72)【発明者】
【氏名】岡田 洋子
(72)【発明者】
【氏名】難波(阿部) 里緒奈
(72)【発明者】
【氏名】小野瀬 清
(72)【発明者】
【氏名】阿部 泰幸
【テーマコード(参考)】
4B035
4B036
4B047
【Fターム(参考)】
4B035LC12
4B035LE01
4B035LE05
4B035LE11
4B035LG12
4B035LG21
4B035LK01
4B035LP12
4B035LP16
4B035LP21
4B035LT16
4B036LE01
4B036LE05
4B036LF03
4B036LF05
4B036LG02
4B036LH12
4B036LH13
4B036LK01
4B047LB09
4B047LE06
4B047LF08
4B047LG10
4B047LG27
4B047LP02
4B047LP05
4B047LP15
(57)【要約】
【課題】 体積がかさばらず、且つ、充填された調味料が漏れ出しにくい、電子レンジ調理用調味料、及びその調理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明に係る電子レンジ調理用調味料は、あらかじめ粉体又は粒度の細かいフレーク状の粉粒体調味料が充填された、開封・密封が可能なチャック付きのスタンディングパウチを用いることで、体積がかさばらず、且つ、充填された調味料が漏れ出しにくく、電子レンジ調理が可能な、電子レンジ調理用調味料、及びその調理方法が提供できる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器入りの調味料であって、
前記調味料の水分含有量が0.1~9重量%であり、
澱粉質原料を含有し、
前記容器の開封部には再封機能があり、
電子レンジで加熱調理が可能な密封容器に入っていることを特徴とする、
電子レンジ調理用調味料。
【請求項2】
前記調味料の50重量%以上が、篩の目開き4.76mmパスであることを特徴とする、
請求項1記載の電子レンジ調理用調味料。
【請求項3】
前記調味料の粉粒体には核部分に粉末原料が付着していることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の電子レンジ調理用調味料。
【請求項4】
前記調味料の油脂含有量が0.1~35重量%であることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の電子レンジ調理用調味料。
【請求項5】
前記容器がスタンディングパウチであり、
前記容器の再封機能がチャック付きであることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の電子レンジ調理用調味料。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の電子レンジ調理用調味料の前記容器の開封部を開封し、
前記電子レンジ調理用調味料1重量%に対し、2~15重量%の液体を前記開封部から添加し、
前記開封部を再封し、
電子レンジ調理することを特徴とする、
電子レンジ調理用調味料の調理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な電子レンジ調理用調味料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品を簡単に調理する方法として電子レンジが知られている。電子レンジを用いる調理方法では、電子レンジで加熱するだけで食材を短時間で調理できる加熱調理が好まれ、家庭では食材と調味料を混合した状態にしてラップを掛けて加熱することが一般的に行われている。また、鍋やフライパンによる調理の必要がないため、洗い物も少なく台所も汚れないというメリットがあることが好まれている。
【0003】
例えば、特許文献1には、開封・密封が可能なチャックと加熱調理時に蒸気を排出する蒸気抜き機構とを備えたスタンディングパウチを用いて、野菜や肉などの生鮮食材と液状調味料とを充填密封して、そのまま電子レンジで加熱調理ができる電子レンジ加熱調理用液状調味料が開示されている。また、特許文献2には、溶け残りなく十分なとろみを有するスープを得ることができる、電子レンジ調理用組成物について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7000607号公報
【特許文献2】特開2021-023153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の電子レンジ加熱調理用液状調味料は、スタンディングパウチに充填されているものが液体調味料のために体積がかさばることや、長時間輸送する際にパウチなどが破損した場合、充填された液状調味料が漏れ出して周囲を汚す危険性が高いという問題がある。また、特許文献2は、電子レンジ調理用組成物ではあるが、水などを入れた角や折り返しのない容器(どんぶりなど)の容器に後から調理用組成物を加えて調理するもので、水などの液体を後から加えるような、流通状態から組成物を袋に入れているスタンディングパウチを用いたものではない。
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、あらかじめ粉体又は粒度の細かいフレーク状の粉粒体調味料を充填した、開封・密封が可能なチャック付きのスタンディングパウチを用いることで、体積がかさばらず、且つ、充填された調味料が漏れ出しにくい、電子レンジ調理用調味料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明に係る電子レンジ調理用調味料は、
(1)容器入りの調味料であって、前記調味料の水分含有量が0.1~9重量%であり、澱粉質原料を含有し、前記容器の開封部には再封機能があり、電子レンジで加熱調理が可能な密封容器に入っていることを特徴とする。
(2)前記調味料の50重量%以上が、篩の目開き4.76mmパスであることを特徴とする。
(3)前記調味料の粉粒体には核部分に粉末原料が付着していることを特徴とする。
(4)前記調味料の油脂含有量が0.1~35重量%であることを特徴とする。
(5)前記容器がスタンディングパウチであり、前記容器の再封機能がチャック付きであることを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するための本発明に係る電子レンジ調理用調味料の調理方法は、
(6)(1)又は(2)に記載の電子レンジ調理用調味料の前記容器の開封部を開封し、前記電子レンジ調理用調味料1重量%に対し、2~15重量%の液体を前記開封部から添加し、前記開封部を再封し、電子レンジ調理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、あらかじめ粉体又は粒度の細かいフレーク状の粉粒体調味料が充填された、開封・密封が可能なチャック付きのスタンディングパウチを用いることで、体積がかさばらず、且つ、充填された調味料が漏れ出しにくく、電子レンジ調理が可能な、電子レンジ調理用調味料、及びその調理方法が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る電子レンジ調理用調味料の詳細について説明する。本発明における電子レンジ調理用調味料は、電子レンジ調理用調味料が入っている容器に、液体やその他の食材を加えて加熱調理を行った後に、電子レンジ調理用調味料が適切に溶け、分散することで、スープ、シチュー、カレーソースなどの適度のとろみを得たメニュー、グリルなどを行った肉、魚、野菜などに後から添えるソース、その他チーズフォンデュ、バーニャカウダなどの食材をつけるディップソースなどを作ることができる、電子レンジで簡単に調理できる調味料である。ここで、後述の本実施形態に係る電子レンジ調理用調味料はカレールウ及びシチュールウからなる調味料であるが、それに限られない。また、本明細書における「調味料」は電子レンジ調理用調味料である。
【0011】
本発明の実施形態に係る電子レンジ調理用調味料の形状は粉粒体である。ここで、粉粒体とは、目開き10mmのメッシュを通過する物であり、粒状の物の最長部の長さが15mm以下の物であると定義する。また、これらを踏まえて、粉粒体調味料とは粉体又は粒度の細かいフレーク状の調味料のことをいう。
【0012】
本実施形態に係る電子レンジ調理用調味料中の水分の含有量は、水分の含有量は低すぎると容器への充填や容器内で静電気を生じやすく、高いと容器内で調味料に含まれる澱粉質原料が結着してしまい、加熱料理する際にダマになりやすくなる。そのため調味料中に0.1~9重量%配合され、0.5~8重量%であれば好ましく、2~6重量%であると更に好ましい。
【0013】
本実施形態に係る電子レンジ調理用調味料は、澱粉質原料を含有する。澱粉が含まれていることにより、調味料の製造過程で、溶解した油脂中に固形材料を分散させる際に、固形材料が進行分離するのを抑えることができ、油脂とその他の固形材料とが一体化しやすくなる。また、澱粉を含ませることにより、得られる食品の風味や食感を整えることが可能となる。
【0014】
本実施形態に係る澱粉質原料は、特に限定されるものではないが、小麦粉、米粉、コーンスターチ、ジャガイモ粉砕物、ジャガイモ澱粉、サツマイモ澱粉、タピオカ澱粉、緑豆澱粉、片栗粉、くず澱粉、或いはそれらの加工澱粉、穀粉(コーンフラワー、ライ麦粉、蕎麦粉、あわ粉、きび粉、はと麦粉、ひえ粉など)、ひよこ豆粉、インゲン豆粉などが挙げられる。これらの一種を使用しても良いし、複数種を使用しても良い。
【0015】
本実施形態に係る澱粉質原料の添加量は、電子レンジ調理後の料理に合わせて適切な量で設定すればよいが、粘性を感じさせるために0.5重量%以上であることが好ましく、2重量%以上であることが更に好ましく、5重量%以上であればなお好ましい。また、澱粉質原料は、水などの液体と一緒に加熱調理されるとダマになりやすいことから、40重量%以下が好ましく、35重量%以下が更に好ましい。
【0016】
本実施形態に係る電子レンジ調理用調味料は、好ましくは油脂を含む。含有される油脂の種類としては、特に限定されるものではなく、大豆油、とうもろこし油、菜種油、ひまわり油、綿実油、米油、オリーブ油、ごま油、パーム油、やし油などの植物性油脂、牛脂、ラード、鶏脂、魚油、バターなどの動物性油脂、及びマーガリン、ショートニングなどの加工油脂が挙げられる。また、これらの油脂の硬化油などであってもよく、これらの一種を使用しても良いし、複数種を使用しても良い。
【0017】
使用される油脂は、容器に入った電子レンジ調理用調味料の状態において、油脂分が溶出し分離しない状態であればよく、融点が30℃以上の油脂、例えば、牛脂、ラード、パーム油、ショートニングなどの油脂や、各種油脂を硬化油に加工し融点を30℃以上にした油脂が、1種類以上含まれていることが好ましい。更に、使用する油脂の50重量%以上が融点30℃以上の油脂であることが更に好ましい。
【0018】
本実施形態に係る電子レンジ調理用調味料中の油脂の含有量は、容器内で調味料が結着などを起こさない状態であれば必要に応じて添加できるが、調味料中に0.1~35重量%配合されるのが好ましく、2~30重量%であると更に好ましい。
【0019】
また、本実施形態の電子レンジ調理用調味料は、篩の目開き4.76mmパスが好ましく、これは、調味料の全量に対して50重量%以上含むことが好ましく、70重量%以上含むことがより好ましく、90重量%以上含むことが更に好ましい。さらには篩の目開き1.7mmパスが好ましく、これは、調味料の全量に対して70重量%以上含むことが好ましい。なお、篩の目開き4.76mmパスが50重量%未満の電子レンジ調理用調味料の場合は、電子レンジ調理時に溶けづらく、調味料のダマが発生する。この現象は、具を加えると更に助長される。篩の目開き4.76mmパスが50重量%以上の電子レンジ調理用調味料の場合は、ダマの発生がなく、具を加えた調理でも良好なソースが調理できる。
【0020】
本実施形態に係る電子レンジ調理用調味料は、澱粉質原料に加えて、増粘多糖類などの増粘剤を使用することができる。増粘剤として、キサンタンガム、タマリンドシードガム、サクシノグリカン、ペクチン、グアーガム、アラビアガム、カラギーナン、タラガム、ジェランガム、アルギン酸、寒天、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが例示される。これらの一種を使用しても良いし、複数種を使用しても良い。
【0021】
本実施形態に係る電子レンジ調理用調味料には、風味付けなどを目的として、必要に応じて、食塩、糖類、醤油、酢、アミノ酸、グルタミン酸ソーダ、味噌、等の味わいを調整する様々な副原料、甘味料、香辛料、調味料、エキス類、酸味料、着色料、香料、乳化剤、固結防止剤などの保存性、調味料の特徴を付与する副原料を配合することができる。
【0022】
また、本実施形態に係る電子レンジ調理用調味料には、電子レンジ調理時に加える液体として、水だけでなく、だし汁、牛乳、豆乳なども挙げられる。これらの一種を使用しても良いし、複数種を使用しても良い。なお、特に牛乳などを使用するときは、電子レンジで加熱調理中に容器から突沸して噴出さないよう様に、適切な設計を行う。そして、電子レンジ調理用調味料は、容器に充填される調味料の重量に対して、水等の液体の重量が1重量%に対し、2重量%以上加えて調理することが好ましく、3重量%以上加えて調理することがより好ましく、4~15重量%加えて調理することが更に好ましい。
【0023】
更に、本実施形態に係る電子レンジ調理用調味料には、調味料調製後に、その他具材として水分量が10重量%以下の乾燥具材(肉、魚介類、野菜、春雨、キノコ類、海藻類など)を加えても良い。
【0024】
本実施形態に係る電子レンジ調理用調味料に用いられる密封容器は、電子レンジで加熱調理が可能な容器であり、開封部に再封機能が付いていれば良い。例えば、電子レンジ対応のプラスチックで成形された容器に、密封用の蓋が装着され、開封部である蓋を開封後、水などの液体を加えた後再封し、電子レンジ調理ができる容器や、プラスチックフィルムを貼り合わせた製袋され、開封部にチャックなどの再封機能がついているパウチでなどが挙げられる。また、容器には、電子レンジで加熱調理中に容器内の圧力が一定以上になったときに、内圧を下げる蒸気を排出する蒸気抜きの機構を備えていることが好ましい。また、プラスチックフィルムで製袋されたパウチにおいては、パウチが自立するスタンディングパウチが好ましい。なお、容器で蒸気を排出する蒸気抜きの機構が設けられるときは開封部に設けられていても、開封部以外の部分に設けられても良いが、電子レンジ調理をするときに充填する水などの液体を加えた後の液面より高い位置に蒸気抜きの機構が備えられていることが必須であり、容器の底面から電子レンジ調理前に加えた水などの液体の液面までの高さをHとしたときに、液面から蒸気抜きの機構までの高さhが、h>1/2Hであることが好ましい。また、電子レンジ調理用調味料は、容器に充填される調味料の重量に対して、水等の液体の重量が1重量%に対し、2重量%以上加えて調理することが好ましく、3重量%以上加えて調理することがより好ましく、4~15重量%加えて調理することが更に好ましいため、電子レンジ調理用調味料に用いられる密封容器は、調理時に加えられる水等の液体も予め算定し、適切な容量の容器にすることが好ましい。
【0025】
本発明の電子レンジ調理用調味料は、調味料となる澱粉質原料などの原料を適量計量し、充填前調味料を、計量した原料を加熱混合し冷却し必要に応じて裁断・粉砕など行い適切な大きさに調整したり、計量した原料を用いて造粒したり、計量した原料を複数の工程(例えば溶融混合、冷却混合、粉砕混合などの工程など)で適切なタイミングで適切な原料を加えて調味料を調製したりし、電子レンジ調理可能な容器に調製した調味料を充填し密封する。
【0026】
本発明の電子レンジ調理用調味料としてカレールウ調味料でより製造方法を説明するが、製造方法はこれに限られない。実施形態に係る電子レンジ調理用調味料は、以下の方法にて製造する。
【0027】
本実施形態に係る電子レンジ調理用調味料の一つであるカレールウは、澱粉質原料(小麦粉、澱粉など)と食用油脂(常温で固形の食用油脂)を必要応じてその他の調味料などと加熱混合した溶融状態ルウ原料を調製し、加熱を停止した後、必要に応じてその他原材料を混合・冷却し、固形状ルウ原料を調製し、カッターなどで粉砕したフレークルウ、或いは、固形状ルウ原料をその他の粉末原料と混合しながら粉砕し、核部分となる固形状ルウ原料に粉末原料が付着している粉粒体の調味料で篩の目開き4.76mmパスが90重量%以上に調製したパウダールウや、溶融状態ルウ原料から粉粒体として成型したりすることなどがある。これらの電子レンジ用調味料は、必要に応じて前述した篩の目開き4.76mmをパスする粒度に適宜粉砕され粉粒体の調味料に調製される。
【0028】
本実施形態に係る電子レンジ調理用調味料は、特に限定されるものではないが、カレールウ、シチュールウ、ハヤシルウ、ホワイトソース濃縮組成物、ブラウンソース濃縮組成物、デミグラスソースルウ、ミートソースルウ、カルボナーラソースルウ、コンソメスープの素などの粉粒体及び/又は粒度の細かいフレーク状の調味料が挙げられる。
【0029】
このように、本発明のこれらの態様によれば、油脂や水分の含有量、調味料の大きさなどを前記数値範囲とすること、及び、密封容器の形状や形態などから、体積がかさばらず、且つ、充填された調味料が漏れ出しにくい、電子レンジ調理が可能な、電子レンジ調理用調味料、及びその調理方法が提供できる。
【0030】
また、本発明のこれらの態様によれば、水などの液体を加えるとともに、肉、野菜などの具材を必要に加えることで、上記カレールウ、シチュールウ、ハヤシルウ、ホワイトソース、ブラウンソース、デミグラスソースなどの他に、パスタソース、麻婆豆腐、八宝菜などの煮込み料理の調理にも応用でき、電子レンジ調理が可能な電子レンジ調理用調味料の調理方法が提供できる。
【実施例0031】
以上説明した電子レンジ調理用調味料において、具体的な実施例を以下に示す。以下に述べる実施例は、本発明に係る電子レンジ調理用調味料はカレールウ又はシチュールウからなる調味料とそれらを用いての電子レンジ調理した食品に関する。なお、本発明は、下記の実施例により限定及び制限されるものではない。
【0032】
実験1.調味料のレンジ調理の比較
<実施例1~7、比較例1>
表1に示される原料及び配合に基づいて調製し、実施例1~7、比較例1とした。具体的には、実施例1及び比較例1は澱粉質原料、油脂、ソテードオニオンを加熱混合釜に投入して加熱を開始し、これら原料を含む混合体の品温が120℃に達するまで前記混合物を昇温させて焙煎処理し、小麦粉ルウを得る。その後、小麦粉ルウに粉末原料を加え撹拌混合を続け溶融状態ルウとし、品温が75℃まで下がった段階で、混合釜から溶融状態ルウを排出し、冷却固化して固形状ルウ原料を得る。この固形状ルウ原料をカッターで目開き4.76mmパスが50重量%以上パスするように粉砕し、フレークルウとした。また、実施例2~7は澱粉質原料、油脂、ソテードオニオンを加熱混合釜に投入して加熱を開始し、これら原料を含む混合体の品温が120℃に達するまで前記混合物を昇温させて焙煎処理し、小麦粉ルウを得る。その後、小麦粉ルウの撹拌混合を続け、品温が75℃まで下がった段階で、混合釜から小麦粉ルウを排出し、冷却固化して固形状ルウ原料を得る。この固形状ルウ原料を表1記載の粉末原料と混合しながらカッターで粉砕し、目開き4.76mmパスが50重量%以上となるパウダールウとした。
【0033】
試験方法は、開封・密封が可能なチャック付きのスタンディングパウチに調味料と水を加えて封をして混合後、600W、9分間電子レンジ調理を行い、電子レンジ調理用調味料が電子レンジ調理前に容器に添加した水などの液に均一に溶解・分散していることをダマの発生を確認した。なお、ダマの発生の有無は、電子レンジ調理後のソースをステンレスバットに移し出し、ソースを均して調味料由来の塊の有無を目視にて確認し、○:ダマの発生なし、△:攪拌で溶ける、×:溶けないダマの発生あり、にて評価にて確認を行った。結果を表1に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
上記表1の通り、実施例1~7において、電子レンジ調理によりダマの発生が抑えられることが示された。したがって、パウダールウの形状、又は、粒度の細かいフレーク状の粉粒体調味料ではダマの発生が抑えられたソースがスタンディングパウチ調理で得られることが明らかとなった。
【0036】
実験2.調味料に具を加えた場合の電子レンジ調理の比較
<実施例13、16及び17>
表1の実施例3、6及び7に示される原料及び配合に基づいて調製したものを、表2の通り、それぞれ実施例13、16及び17とした。試験方法は、開封・密封が可能なチャック付きのスタンディングパウチに調味料と水と鶏もも肉(皮つき、ひと口大30g)200gを加えて封をして混合後、600W、9分間電子レンジ調理を行い、ダマの発生を確認した。結果を表2に示した。
【0037】
【表2】
【0038】
表2に示されるように、実施例13、16及び17のいずれも、パウダールウの状態ではダマの発生を抑えられることが示された。これにより、パウダールウの形状の調味料である実施例13、16及び17で、電子レンジ調理可能な電子レンジ調理用調味料が得られたことが明らかとなった。
【0039】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明した。ただし、上記説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定する趣旨で記載されたものではない。本発明には、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るものを含み得る。また、本発明にはその等価物が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の電子レンジ調理用調味料、及びその調理方法は、カレールウ、シチュールウ、ハヤシルウなどの調製に利用できる。また、製品容器であるスタンディングパウチ内に、予め充填された調味料に水と肉や野菜などの固形具材を加えることで、煮込み料理などの電子レンジ調理に利用できる。