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特開2024-95532座標測定機用の測定プローブ、その動作方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095532
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】座標測定機用の測定プローブ、その動作方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/012 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
G01B5/012
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023188567
(22)【出願日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】18/147,553
(32)【優先日】2022-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー リチャード ハムナー
(72)【発明者】
【氏名】スコット アレン ハーシラ
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA04
2F062CC03
2F062EE01
2F062EE62
2F062GG51
2F062GG65
2F062GG71
2F062HH01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】座標測定機用の測定プローブを提供する。
【解決手段】測定プローブ300は、スタイラス位置検出部311、信号処理及び制御回路380、及び、温度依存補償部810を含む。スタイラス位置検出部はフィールド発生コイル構造460及び感知コイル構造370を含む。温度依存補償部は、コイル駆動信号によって駆動された時に、温度依存構成要素の温度の上昇により、温度依存構成要素の特性の変化が、温度依存構成要素の特性が変化しなかった時よりも多くの電流がフィールド発生コイル中を流れるように、フィールド発生コイル構造のフィールド発生コイルに接続された温度依存構成要素を含む。温度変化によって発生する影響を少なくとも部分的に補償することにより、処理された信号の正確性を高めるように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座標測定機用の測定プローブであって、該測定プローブが、
プローブチップをスタイラスに固く結合するように構成されたスタイラス結合部、及び、
該スタイラス結合部の軸方向に沿う軸方向運動、及び、該スタイラス結合部の回転中心の回りの回転運動を可能にするように構成されたスタイラス運動機構、
を備えたスタイラスサスペンション部と、
少なくとも1つのフィールド発生コイルを備えたフィールド発生コイル構造、
少なくとも1つのトップ軸方向感知コイル、少なくとも4つのトップ回転感知コイルを備えたトップ位置感知コイル、
少なくとも1つのトップ正規化感知コイル、
少なくとも1つのボトム軸方向感知コイル、少なくとも4つのボトム回転感知コイル、及び、
少なくとも1つのボトム正規化感知コイル、
を備えた感知コイル構造を備えた、前記軸方向に平行な中心軸に沿って配列され、前記回転中心とアライメントされたスタイラス位置検出部と、
磁束変調領域を与える導電磁束変調要素を備え、該磁束変調要素が磁束変調運動体積中の前記中心軸に沿って位置されると共に、該磁束変調要素が前記スタイラスサスペンション部に結合され、前記磁束変調要素は前記スタイラスサスペンション部の振れに応じて、振れていない位置に対して前記磁束変調運動体積内で動き、前記フィールド発生コイル構造が、コイル駆動信号に応じて前記磁束変調運動体積内を前記軸方向に沿う、変化する磁束を発生するようにされた磁束変調構造と、
前記コイル駆動信号を与えるよう前記スタイラス位置検出部の前記コイルに動作可能に接続され、前記各感知コイルによって与えられる各信号成分を備えた信号を受信して、前記プローブチップの軸方向位置及び回転位置を示す信号を与えるように構成された信号処理及び制御回路と、
温度依存構成要素を備え、該温度依存構成要素が、前記コイル駆動信号によって駆動された時に前記温度依存構成要素の温度の上昇による該温度依存構成要素の特性の変化が、該温度依存構成要素の特性が変化しなかった場合よりも多い電流を前記温度依存構成要素を通って流れさせるように、前記フィールド発生コイル構造のフィールド発生コイルに接続された温度依存補償部と、
を備えたことを特徴とする座標測定機用の測定プローブ。
【請求項2】
請求項1に記載の測定プローブであって、前記温度依存構成要素が温度依存性を有する抵抗器であり、前記変化する特性が、該温度依存性を有する抵抗器の抵抗値であることを特徴とする座標測定機用の測定プローブ。
【請求項3】
請求項2に記載の測定プローブであって、前記温度依存性を有する抵抗器が、温度係数を有する抵抗器又はサーミスタの少なくともいずれか1つであることを特徴とする座標測定機用の測定プローブ。
【請求項4】
請求項1に記載の測定プローブであって、前記温度依存構成要素が、前記フィールド発生コイルと並列又は直列に接続されていることを特徴とする座標測定機用の測定プローブ。
【請求項5】
請求項1に記載の測定プローブであって、
前記温度依存構成要素が、温度が上昇すると抵抗値が増大する正の温度係数の抵抗器であり、
該正の温度係数の抵抗器が、前記フィールド発生コイルと並列に接続されていることを特徴とする座標測定機用の測定プローブ。
【請求項6】
請求項1に記載の測定プローブであって、
前記フィールド発生コイルが第1及び第2のコイル端子を有し、
前記測定プローブが前記第1及び第2のコイル端子に接続された共振回路部を備え、該共振回路部は少なくとも第1の共振回路部構成要素と第2の共振回路部構成要素を備え、前記第1の共振回路部構成要素は第1の共振回路部ノードと第2の共振回路部ノードの間に結合され、前記第1の共振回路部ノードは少なくとも前記第2の共振回路部構成要素によって前記第1のコイル端子から分離されていることを特徴とする座標測定機用の測定プローブ。
【請求項7】
請求項6に記載の測定プローブであって、
前記共振回路部が、更に、第3の共振回路部構成要素を備え、前記第2の共振回路部ノードが、少なくとも該第3の共振回路部構成要素によって前記第2のコイル端子から分離され、
前記第1の共振回路部構成要素が、前記第1及び第2の共振回路部ノード間に接続された第1の共振回路キャパシタを備え、
前記第2の共振回路部構成要素が、前記第1の共振回路部ノードに接続された各第1の端子を有する第2の共振回路キャパシタを備え、各第2の端子が前記第1のコイル端子に接続され、
前記第3の共振回路部構成要素が、前記第2の共振回路部ノードに接続された各第1の端子を有する第3の共振回路キャパシタを備え、各第2の端子が前記第2のコイル端子に接続されていることを特徴とする座標測定機用の測定プローブ。
【請求項8】
請求項6に記載の測定プローブであって、更に、前記第1及び第2の共振回路部ノードに接続されたアンプ部を備え、該アンプ部が動作中は出力インピーダンスを有し、前記アンプ部が前記第1及び第2の共振回路部ノードに振動する駆動信号を与えるように構成され、前記アンプ部が第1及び第2のアンプ入力及び第1及び第2のアンプ出力を備え、前記第1のアンプ出力が前記第1の共振回路部ノードに接続され、前記第2のアンプ出力が前記第2の共振回路部ノードに接続されていることを特徴とする座標測定機用の測定プローブ。
【請求項9】
請求項8に記載の測定プローブであって、更に、
前記第1のコイル端子と前記アンプ部の前記第1のアンプ入力に接続された第1のフィルタ部と、
前記第2のコイル端子と前記アンプ部の前記第2のアンプ入力に接続された第2のフィルタ部と、
を備えていることを特徴とする座標測定機用の測定プローブ。
【請求項10】
請求項9に記載の測定プローブであって、
前記第1のフィルタ部が、前記第1のコイル端子と前記第1のアンプ入力間に直列に接続された第1のフィルタ部キャパシタ及び第1のフィルタ部抵抗器を備え、
前記第2のフィルタ部が、前記第2のコイル端子と前記第2のアンプ入力間に直列に接続された第2のフィルタ部キャパシタ及び第2のフィルタ部抵抗器を備えていることを特徴とする座標測定機用の測定プローブ。
【請求項11】
請求項1に記載の測定プローブであって、
前記信号処理及び制御回路が、前記プローブチップの軸方向位置と回転位置を示す信号を決定するために、前記正規化感知コイルからの信号によって前記軸及び回転感知コイルからの信号を分けるように構成されていることを特徴とする座標測定機用の測定プローブ。
【請求項12】
プローブチップをスタイラスに固く結合するように構成されたスタイラス結合部、及び、
該スタイラス結合部の軸方向に沿う軸方向運動、及び、該スタイラス結合部の回転中心の回りの回転運動を可能にするように構成されたスタイラス運動機構、
を備えたスタイラスサスペンション部と、
少なくとも1つのフィールド発生コイルを備えたフィールド発生コイル構造、
少なくとも1つのトップ軸方向感知コイル、少なくとも4つのトップ回転感知コイルを備えたトップ位置感知コイル、
少なくとも1つのトップ正規化感知コイル、
少なくとも1つのボトム軸方向感知コイル、少なくとも4つのボトム回転感知コイル、及び、
少なくとも1つのボトム正規化感知コイル、
を備えた感知コイル構造を備えた、前記軸方向に平行な中心軸に沿って配列され、前記回転中心とアライメントされたスタイラス位置検出部と、
磁束変調領域を与える導電磁束変調要素を備え、該磁束変調要素が磁束変調運動体積中の前記中心軸に沿って位置されると共に、該磁束変調要素が前記スタイラスサスペンション部に結合され、前記磁束変調要素は前記スタイラスサスペンション部の振れに応じて、振れていない位置に対して前記磁束変調運動体積内で動き、前記フィールド発生コイル構造が、コイル駆動信号に応じて前記磁束変調運動体積内を前記軸方向に沿う、変化する磁束を発生するようにされた磁束変調構造と、
前記コイル駆動信号を与えるよう前記スタイラス位置検出部の前記コイルに動作可能に接続され、前記各感知コイルによって与えられる各信号成分を備えた信号を受信して、前記プローブチップの軸方向位置及び回転位置を示す信号を与えるように構成された信号処理及び制御回路と、
を備えた座標測定機用の測定プローブを動作させる方法であって、
該方法は、
前記コイル駆動信号によって駆動された時に、温度依存構成要素の温度の上昇により該温度依存構成要素の特性の変化が、該温度依存構成要素の特性が変化しなかった場合よりも多くの電流が前記フィールド発生コイル中を流れるように、温度依存補償部の前記温度依存構成要素が前記フィールド発生コイル構造の前記フィールド発生コイルに接続された前記フィールド発生コイル構造に前記コイル駆動信号を与えて前記少なくとも1つのフィールド発生コイルに変化する磁束を発生させ、
感知コイル構造の前記感知コイルからの信号を受信することを特徴とする座標測定機用の測定プローブの動作方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、更に、前記感知コイル構造の前記感知コイルからの受信信号の少なくとも一部をベースにして感知位置を示す信号を与えることを特徴とする座標測定機用の測定プローブの動作方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記感知位置を示す信号の決定が、前記正規化感知コイルからの信号によって前記軸及び回転感知コイルからの信号を分けることを特徴とする座標測定機用の測定プローブの動作方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法であって、
前記温度依存構成要素が、温度が上昇すると抵抗値が増大する正の温度係数の抵抗器であり、
該正の温度係数の抵抗器が前記フィールド発生コイルと並列に接続され、前記正の温度係数の抵抗器の温度が上昇すると、該正の温度係数の抵抗器を流れる電流に対する前記フィールド発生コイル中の電流の比が高くなるようにされていることを特徴とする座標測定機用の測定プローブの動作方法。
【請求項16】
測定プローブと、
測定するワークの表面に沿ってプローブチップを動かすために前記測定プローブを3次元的に動かすように構成された駆動機構と、
該駆動機構に前記測定プローブを取り付けるための取付部と、
を備えたシステムであって、
前記測定プローブが、
プローブチップをスタイラスに固く結合するように構成されたスタイラス結合部、及び、
該スタイラス結合部の軸方向に沿う軸方向運動、及び、該スタイラス結合部の回転中心の回りの回転運動を可能にするように構成されたスタイラス運動機構、
を備えたスタイラスサスペンション部と、
少なくとも1つのフィールド発生コイルを備えたフィールド発生コイル構造、
少なくとも1つのトップ軸方向感知コイル、少なくとも4つのトップ回転感知コイルを備えたトップ位置感知コイル、
少なくとも1つのトップ正規化感知コイル、
少なくとも1つのボトム軸方向感知コイル、少なくとも4つのボトム回転感知コイル、及び、
少なくとも1つのボトム正規化感知コイル、
を備えた感知コイル構造を備えた、前記軸方向に平行な中心軸に沿って配列され、前記回転中心とアライメントされたスタイラス位置検出部と、
磁束変調領域を与える導電磁束変調要素を備え、該磁束変調要素が磁束変調運動体積中の前記中心軸に沿って位置されると共に、該磁束変調要素が前記スタイラスサスペンション部に結合され、前記磁束変調要素は前記スタイラスサスペンション部の振れに応じて、振れていない位置に対して前記磁束変調運動体積内で動き、前記フィールド発生コイル構造が、コイル駆動信号に応じて前記磁束変調運動体積内を前記軸方向に沿う、変化する磁束を発生するようにされた磁束変調構造と、
前記コイル駆動信号を与えるよう前記スタイラス位置検出部の前記コイルに動作可能に接続され、前記各感知コイルによって与えられる各信号成分を備えた信号を受信して、前記プローブチップの軸方向位置及び回転位置を示す信号を与えるように構成された信号処理及び制御回路と、
温度依存構成要素を備え、該温度依存構成要素が、前記コイル駆動信号によって駆動された時に前記温度依存構成要素の温度の上昇による該温度依存構成要素の特性の変化が、該温度依存構成要素の特性が変化しなかった場合よりも多い電流を前記温度依存構成要素を通って流れさせるように、前記フィールド発生コイル構造のフィールド発生コイルに接続された温度依存補償部と、
を備えたことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、精密計測学に係り、特に、座標測定機によって使用されるような測定プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
座標測定機(CMM)は、検査されたワークの測定結果を得ることができる。1つの先行技術CMMの例が特許文献1に記載されており、ここにその全体を引用して取り込む。これは、ワークを測定するためのプローブと、該プローブを動かすための運動機構と、該運動を制御するためのコントローラとを含んでいる。表面測定プローブを含むCMMが特許文献2に開示されており、ここにその全体を引用して取り込む。その中に開示されているように、機械的な接触プローブ又は光プローブが、前記ワーク表面を横断して走査することができる。
【0003】
機械的接触プローブを採用したCMMが特許文献3にも開示されており、ここにその全体を引用して取り込む。その中に開示されたプローブは、プローブチップ(即ち表面接触部)を有するスタイラスと、軸方向運動機構と、回転運動機構とを含む。前記軸方向運動機構は、前記測定プローブの中心軸方向(Z方向又は軸方向とも称する)に前記プローブチップが動くのを許容する。前記回転運動機構は、前記プローブチップが前記Z方向と垂直に動くのを許容する回転部材を含んでいる。前記軸方向運動機構は、前記回転運動機構の内側に収容されている。前記プローブチップの位置及び/又はワークの表面座標は、前記回転部材の前記変位及び軸方向運動部材の前記軸方向変位に基づいて決定される。
【0004】
CMM走査プローブ(即ち測定プローブ)のスタイラス位置測定用の誘導位置検出器が特許文献4及び5に開示されており、ここにそれぞれの全体を引用して取り込む。開示された構造は、回転感知コイルと各軸方向感知コイル構造を含んでいる。スタイラスが結合された導電磁束変調器(disruptor)が、運動体積内でZ(軸)方向及びX-Y(回転)方向に沿って動く。フィールド発生コイルが前記磁束変調器とコイルを包含する、変化する磁束を発生し、コイル信号が前記磁束変調器及び/又はスタイラスの位置を示す。
【0005】
一般的に、CMMプローブ中の誘導感知構造は、前記システムの前記変位応答に必然的な信号/応答の非線形性や、完全な組立てやアライメントでない結果生じる位置オフセット/誤差や、機械的及び電気的構成要素の(例えば温度変化などによる)環境の影響による信号ドリフト、信号ノイズなどのような様々な問題にぶつかる。。そのような問題は、そのようなシステムで特別な挑戦を提示し、前記最小の可能性のある信号変動からプローブチップの前記最小の可能な振れを感知することが典型的に望ましい。これらの問題のタイプは、望ましい範囲、増幅、信号対ノイズ比などを前記プローブからの位置信号に対して達成するのに様々な挑戦を呈する。誘電型感知構造を利用したCMMプローブ中のそのような問題に向かうことができる改良された回路構造に対する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第8,438,746号明細書
【特許文献2】米国特許第7,652,275号明細書
【特許文献3】米国特許第6,971,183号明細書
【特許文献4】米国特許第10,866,080号明細書
【特許文献5】米国特許第10,914,570号明細書
【特許文献6】米国特許第9,791,262号明細書
【特許文献7】米国特許第4,651,405号明細書
【特許文献8】米国特許第5,841,274号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この要約は、以下の詳細な説明中に更に記載された概念の選択を簡略化された形で導入するために与えられる。この要約は、特許が請求された主題の鍵となる様相を特定したり、あるいは、前記特許が請求された主題の権利範囲を決定する助けとなるように使われることを意図していない。
【0008】
座標測定機用の測定プローブが提供される。この測定プローブは、スタイラスサスペンション部、スタイラス位置検出部、磁束変調器構造、信号処理及び制御回路、及び、温度依存補償部を含んでいる。前記スタイラスサスペンション部は、スタイラス結合部とスタイラス運動機構を含んでいる。前記スタイラス結合部は、プローブチップをスタイラスに固く結合するように構成されている。前記スタイラス運動機構は、軸方向に沿う前記スタイラス結合部の軸方向の運動、及び、前記スタイラス結合部の回転中心の回りの回転運動を可能にするように構成されている。
【0009】
前記スタイラス位置検出部は、前記軸方向に平行で、前記回転中心に対してアライメントされた中心軸に沿って配列されている。前記スタイラス位置検出部は、フィールド発生コイル構造及び感知コイル構造を含む。前記フィールド発生コイル構造は、少なくとも1つのフィールド発生コイルを備えている。前記感知コイル構造は、トップ位置感知コイル及び(例えばトップ感知コイル構造の一部として)少なくとも1つのトップ正規化感知コイルと、ボトム位置感知コイル及び(例えばボトム感知コイル構造の一部として)少なくとも1つのボトム正規化感知コイルを備えている。前記トップ位置感知コイルは、少なくとも1つのトップ軸方向感知コイルと少なくとも4つのトップ回転感知コイルを備えている。前記ボトム位置感知コイルは、少なくとも1つのボトム軸方向感知コイルと少なくとも4つのボトム回転感知コイルを備えている。
【0010】
前記磁束変調器構造は、磁束変調領域を与える導電磁束変調要素を備えている。該磁束変調要素は、磁束変調運動体積内の前記中心軸に沿って位置しており、前記磁束変調要素は前記スタイラスサスペンション部に結合されている。前記磁束変調要素は、前記スタイラスサスペンション部の振れに対応して、振れていない位置に対して磁束変調運動体積内で移動するように構成されている。前記フィールド発生コイル構造は、コイル駆動信号に応答して、前記磁束変調運動体積内のほぼ前記軸方向に沿って変化する磁束を発生するように構成されている。
【0011】
前記信号処理及び制御回路は、前記スタイラス位置検出部の前記コイルに動作するように接続され、前記コイル駆動信号を与えると共に、前記各感知コイルによって与えられる各信号構成要素を備えた信号を受信し、前記プローブチップの軸方向位置及び回転位置を示す信号を与えるように構成されている。
【0012】
様々な実施例において、前記温度依存補償部は温度依存構成要素を備えており、この温度依存構成要素は、前記コイル駆動信号によって駆動された時に、前記温度依存構成要素の温度の上昇による前記温度依存構成要素の特性の変化が、前記温度依存構成要素の特性が変化しなかった場合に比べて、より多くの電流を前記フィールド発生コイルに流すように、前記フィールド発生コイル構造のフィールド発生コイルに接続されている。
【0013】
様々な実施例において、前記温度依存補償部は温度依存構成要素を備えており、前記温度依存構成要素は、前記感知コイル構造の少なくとも一部に接続された時に、前記温度依存構成要素の温度の上昇による前記温度依存構成要素の特性の変化が、前記感知コイル構造中の第1及び第2の電流が前記感知コイル構造の少なくとも1つの第1の感知コイル及び少なくとも1つの第2の感知コイル中でそれぞれ第1及び第2の電流である前記第2の電流に対する前記第1の電流の比の増加をもたらすようにされている。
【0014】
様々な実施例において、座標測定機用の前記測定プローブを動作させるための方法が提供される。ここで、前記方法は、前記コイル駆動信号によって駆動された時に、前記温度依存構成要素の温度の上昇による該温度依存構成要素の特性の変化が、該温度依存構成要素の特性が変化しなかった場合よりも多くの電流が前記フィールド発生コイル中を流れるように、前記温度依存補償部の温度依存構成要素が前記フィールド発生コイル構造の前記フィールド発生コイルに接続された前記フィールド発生コイル構造に前記コイル駆動信号を与えて前記少なくとも1つのフィールド発生コイルに変化する磁束を発生させ、前記感知コイル構造の感知コイルからの信号を受信することを含む。様々な実施例において、この方法は、更に、前記感知コイル構造の前記感知コイルからの前記受信信号の少なくとも一部に基づいて、感知位置を示す信号を与えることを更に含む。
【0015】
様々な実施例において、座標測定機用の測定プローブを動作する方法が与えられる。ここで、前記方法は、前記フィールド発生コイル構造にコイル駆動信号を与えて、前記少なくとも1つのフィールド発生コイルに変化する磁束を発生させ、前記感知コイル構造の感知コイルからの信号を受信する。ここで、温度依存補償部の温度依存構成要素は、前記感知コイル構造の少なくとも一部に結合され、前記温度依存構成要素の温度の上昇による前記温度依存構成要素の特性の変化が、第1及び第2の電流が前記感知コイル構造の少なくとも1つの第1の感知コイル及び少なくとも1つの第2の感知コイルの中に発生される第1及び第2の電流である前記感知コイル構造中の前記第2の電流に対する前記第1の電流の比を増加させる。様々な実施例において、この方法は、更に、前記感知コイル構造の前記感知コイルからの前記受信信号の少なくとも一部に基づいて感知位置を示す信号を与えることを含む。
【0016】
様々な実施例において、前記測定プローブ、駆動機構、及び、前記測定プローブを前記駆動機構に取り付ける取付部を含むシステムが提供される。前記駆動機構は、前記ワークを測定するワークの表面に沿って前記プローブチップを動かすために3次元的に前記測定プローブを動かすように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ここに開示したような測定プローブを利用したCMMを含む測定システムの様々な典型的な構成要素を示す図
図2】CMMに組み合わされ、回転及び軸方向位置信号を与えるようにされた測定プローブの様々な要素を示すブロック図
図3】スライラスに結合されたスタイラスサスペンション部の第1実施例及び前記スタイラスサスペンション部の前記位置を検出するためのスタイラス位置検出部の第1実施例の部分を示す図
図4】測定プローブのメインボディフレーム内に含まれた図3の前記スタイラスサスペンション部の1つの実施例の断面を示す図
図5図3及び図4に示される前記スタイラス位置検出部の他の実施例の部分的な概略等角図
図6図5に示される前記スタイラス位置検出部のある要素の部分的な概略等角図
図7】駆動回路の第1の実施例によって駆動されるフィールド発生コイルであって、前記フィールド発生コイルと並列に接続された温度依存構成要素を備えたものを示す概略図
図8】駆動回路の第2の実施例によって駆動されるフィールド発生コイルであって、前記フィールド発生コイルと並列に接続された温度依存構成要素を備えたものを示す概略図
図9図7と同様の駆動回路の実施例によって駆動されるフィールド発生コイルであって、温度依存構成要素が前記フィールド発生コイルと直列に接続されたものを示す概略図
図10図8と同様の駆動回路の実施例によって駆動されるフィールド発生コイルであって、温度依存構成要素が前記フィールド発生コイルと直列に接続されたものを示す概略図
図11A】トップ感知コイル構造及びボトム感知コイル構造の接続の例をそれぞれ示す図
図11B】トップ感知コイル構造及びボトム感知コイル構造の接続の例をそれぞれ示す図
図12図11A及び図11Bのトップ及びボトム感知コイルの出力信号と接続を示す図
図13】トップ感知コイルとボトム感知コイル間で直列に接続された温度依存構成要素を示す図
図14図12の前記接続を、各トップ位置感知コイルとボトム位置感知コイル間で直列に接続された図13と同様の3つの温度依存構成要素によって変形した例を示す図
図15図12の前記接続を、各トップ位置感知コイルとボトム位置感知コイル間で直列に接続された図13と同様の温度依存構成要素によって変形した例を示す図
図16】トップ軸方向感知コイルとボトム軸方向感知コイル間で直列に接続された図13と同様の第1の温度依存構成要素と、前記軸方向感知コイルの1つと並列に接続された少なくとも第2の温度依存構成要素を示す図
図17図16と同様の温度依存構成要素が前記軸方向感知コイルの1つと並列に接続されて変形された図14の前記接続を示す図
図18図16と同様の温度依存構成要素が前記軸方向感知コイルの1つと並列に接続されて変形された図12の前記接続を示す図
図19】ここに開示した原理に従って構成された測定プローブを動作する方法の一例を示す流れ図
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、ここに開示されたような測定プローブ300(例えば走査プローブ)を利用したCMM200を含む測定システム100の様々な典型的な構成要素を示す図である。この測定システム100は、動作ユニット110と、前記CMM200の動きを制御する運動コントローラ115と、ホストコンピュータ120と、前記CMM200を含む。前記動作ユニット110は前記運動コントローラ115に接続され、前記CMM200を手動操作するためのジョイスティック111を含むことができる。前記ホストコンピュータ120は前記運動コントローラ115に接続され、前記CMM200を制御すると共に、ワークWのための測定データを処理する。前記ホストコンピュータ120は、例えば測定条件を入力するための入力手段125(例えばキーボードなど)と、例えば測定結果を出力するための出力手段130(例えばディスプレイ、プリンタなど)を含む。
【0019】
前記CMM200は、表面プレート210上に配置された駆動機構220と、前記測定プローブ300を前記駆動機構220に取り付けるための駆動機構取付部224とを含む。前記駆動機構220は、前記測定プローブ300を3次元的に動かすためのX軸、Y軸及びZ軸運動機構222、221及び223(例えばスライド機構)をそれぞれ含む。前記測定プローブ300の前記先端に取り付けられたスタイラス306は、(例えば接触部348とも呼ばれる)プローブチップ348を含む。以下に、より詳細に説明するように、前記スタイラス306は、前記測定プローブ300のスタイラスサスペンション部に取り付けられ、これは前記ワークWの前記表面上の測定経路に沿って前記プローブチップ348が3次元方向にその位置を自由に変えるのを許容する。
【0020】
図2は、CMM200に組み合わされて、回転(例えばX、Y)及び軸方向(例えばZ)位置信号を与える測定プローブ300(例えば走査プローブ)の様々な要素を示すブロック図である。前記測定プローブ300は、スタイラスサスペンション部307及びスタイラス位置検出部311を取り入れたプローブメインボディ302(例えばフレームを備えている)を含む。前記スタイラスサスペンション部307は、スタイラス結合部342及びスタイラス運動機構309を含んでいる。前記スタイラス結合部342は、スタイラス306に固く結合されている。前記スタイラス運動機構309は、以下に図3及び図4を参照して、より詳細に説明するように、前記スタイラス結合部342及び取り付けられたスタイラス306の軸方向に沿う軸方向運動を可能とし、前記スライラス結合部342と取り付けられたスタイラス306の回転中心の回りの回転運動を可能とするように構成されている。前記測定プローブ300に含まれる信号処理及び制御回路380は、前記スタイラス位置検出部311に接続されて、その前記運動を制御し、以下に全て詳細に説明するように、関連する信号処理を行うことができる。
【0021】
図2に示されるように、前記スタイラス位置検出部311は誘導感知原理を利用し、感知コイル部370と、フィールド発生コイル構造360と、磁束変調要素351(これはいくつかの実施例においては複数の部品を含むことができる磁束変調構造350の一部であることができる)を含んでいる。様々な実施例において、前記磁束変調要素351を備えた前記磁束変調構造350は、前記スタイラス位置検出部311の一部であるか、又は、独立した構造及び/又は要素であることができる。
【0022】
前記感知コイル部370は、回転感知コイル部(回転感知コイルとも称する)RSCと軸方向感知コイル構造ASCCを含むことができる。簡単に言うと、前記運動磁束変調要素351(より一般的には前記磁束変調構造350)は、前記フィールド発生コイル構造360によって発生された変化する磁場中で位置に依存する変動を生じさせる。前記感知コイル部370は、前記変化する磁場に応答して、その中の変動が前記磁束変調要素351によって発生される。例えば図3図5及び図6を参照して以下に、より詳細に説明するように、特に、前記回転感知コイル部RSCは、対応する信号ラインにわたって前記スタイラス結合部342の前記回転位置(例えばX及びY位置信号)を示す、少なくとも第1及び第2の回転信号成分RSigsを出力し、前記軸方向感知コイル構造ASCCは、対応する信号ラインにわたって前記スタイラス結合部342の前記軸方向位置(例えばZ位置信号)を示す1以上の軸方向信号成分ASigsを出力し、正規化感知コイル構造NSCCは、対応する信号ラインにわたって1以上の正規化信号成分NSigs(例えば前記フィールド発生コイル構造360によって発生された前記磁場を示す)を出力する。
【0023】
様々な実施例において、前記信号処理及び制御回路380は、前記回転信号成分RSigs、前記軸方向信号成分ASigs及び前記正規化信号成分NSigsを受信し、様々な実施例において関連する様々なレベルの信号処理を行うことができる。例えば、1つの実施例において、前記信号処理及び制御回路380は、様々な感知コイルからの前記信号成分を組み合わせ及び/又は様々な関係で処理して、その結果を所望の出力フォーマットで前記回転及び軸方向位置信号出力RPSOut及びAPSOutとして前記取付部224を通して出力する。(例えばCMM200、運動コントローラ115、ホストコンピュータ120などの中にある)1以上の受信部は、前記回転及び軸方向位置信号出力RPSOut及びAPSOutを受信して、1以上の関連する処理及び制御部を利用して、前記プローブチップ348が前記ワークを測定するためにワークWの表面に沿って移動した時に、前記スタイラス結合部342及び/又は前記取り付けられたスタイラス306の前記プローブチップ348の3次元的な位置を決定するのに利用される。
【0024】
上記に示したように、様々な実施例において、前記正規化感知コイル構造NSCC(例えばトップ及びボトム正規化感知コイル構造TNSCC及びBNSCCを含む)は、前記感知コイル部370にも含まれることができる。様々な実施例において、前記トップ及びボトム正規化感知コイル構造TNSCC及びBNSCCは、(例えば前記フィールド発生コイル構造360によって発生された前記変化する磁束に対応する)前記発生された磁場の測定を与えるのに利用される。これにより、前記測定信号は、前記磁束変調要素351の前記位置に比較的独立している(例えば名目上影響されるだけである)。様々な実施例において、前記位置測定(例えば前記回転及び軸方向感知コイルからの前記信号)は、この測定信号に対してスケーリングされ、(前記フィールド発生コイル構造360で発生されたように)前記発生した磁場の前記振幅の変動に比較的感じにくいようにされる。様々な実施例において、そのような処理は、信号処理及び制御回路380(例えば前記信号処理及び制御回路380)によって行われる。様々な実施例において、前記感知コイル部370は、感知コイル構造SCCを含むように(例えば前記回転感知コイル部RSC、前記軸方向感知コイル構造ASCC及び前記正規化感知コイル構造NSCCの前記感知コイルを含むように)指定される。
【0025】
図3は、スタイラス406に結合された概略的に表されたスタイラスサスペンション部407の第1の実施例の部分を、前記スタイラスサスペンション部407及び/又は前記スタイラス406の前記位置を検出するためのスタイラス位置検出部411の第1の実施例の部分的な概略断面図とともに示す部分的な概略図である。図3のある数字が付けられた構成要素4XXは、図2の同様に数字が付けられた対応要素3XXと対応して同様の動作を有しており、以下に記載した以外は、それと類似すると理解される。類似の設計及び/又は機能を持つ要素を示すこの数字付けは、ここで検討する他の図面にも同様に適用される。図3中に示されるように、前記スタイラスサスペンション部407は、スタイラス運動機構409及びスタイラス結合部442を含む。前記スタイラス結合部442はワークWの表面S(図1参照)と接触するためのプローブチップ448を有するスタイラス406と固く結合されるように構成されている。
【0026】
以下に図4を参照して、より詳細に説明するように、(例えば前記測定プローブのフレームに直接又は間接的に結合されている)前記スタイラス運動機構409は、前記スタイラス結合部442及び取り付けられたスタイラス406の軸方向及び回転運動を可能とするように構成され、前記プローブチップ448は、前記ワークWの前記表面Sの形状に沿って3次元方向にその位置を変えることができるようにされている。図示のため、図3の紙面上の前記上下及び水平方向はZ及びY方向とそれぞれ定義され、前記紙面に直交する前記方向は前記X方向と定義される。例えば軸方向とも称される前記測定プローブ300の中心軸CAの方向は、この図では前記Z方向と一致する。
【0027】
図3において、前記スタイラス運動機構409の回転運動部は、回転部材436と、撓み部材440と、前記回転部材436内に配置された運動部材412を含んで表されている。図4を参照して以下に、より詳細に説明するように、前記撓み部材440は前記回転部材436の回転中心RCの回りの回転運動を可能とする。以下に、より詳細に説明するように、様々な実施例において、回転感知コイルTRSCi及びBRSCi(ここでiは特定のコイルを示す添え字である)及びスタイラス位置検出部411は、磁束変調要素451の前記回転位置、従って、前記運動部材412の前記回転位置(例えばX及びY方向)の感知が可能であり、軸方向感知コイル構造TASCC及びBASCC(前記軸方向感知コイルとも称する)は、前記磁束変調要素451の前記軸方向位置、従って、前記運動部材412の前記軸方向位置(例えばZ方向)も感知が可能である。
【0028】
図3に示すように、磁束変調要素451(又はより一般的に磁束変調構造450)は、前記運動部材412に結合され、それぞれトップ及びボトムコイル基板471T及び471B間に位置する磁束変調運動体積MV内で測定プローブフレーム(例えば前記フレームは測定プローブメインボディなどの一部として含まれる)に対して動く。図3に示されるように、前記運動部材412は、前記ボトムコイル基板471B中の前記中心軸CAに沿って位置する孔491B内を通って延び、その中を移動する。前記取り付けられた磁束変調要素451は前記スタイラスサスペンション部407及び前記運動部材412の振れに対応して、振れていない位置UNDF(例えば零又は基準位置に対応する)に対して前記磁束変調運動体積MV内で動く。
【0029】
図3の実施例において、前記フィールド発生コイル構造460は、前記磁束変調運動体積MVのほぼ中央面に位置し、名目上平面で、前記中心軸CAに直交する単一の平面状フィールド発生コイル461を備えている。図2を参照して前に概略を説明したように、感知コイル部470は、概ね回転感知コイル部(回転感知コイルとも称する)RSCと、軸方向感知コイル構造ASCCと、正規化感知コイル構造NSCCを備えている。前記回転位置検出構造RSCは、概ねトップ回転感知コイルTRSCiとボトム回転感知コイルBRSCiを含んでいる。感知コイル構造SCCは、前記感知コイル部470の前記感知コイルを含むことができる。
【0030】
図3の例において、前記平面状トップコイル基板471Tは、N個のトップ回転感知コイルTRSC(例えばN=4の場合、前記中心軸CAの周りに等間隔で配置されたTRSC1-TRSC4)と、トップ軸方向感知コイル構造TASCC(例えば本実施例では単一の独立したコイルを備える)と、トップ正規化感知コイル構造TNSCC(例えば本実施例では単一の独立したコイルを備える)を含んでいる。前記平面状ボトムコイル基板471Bは、N個のボトム回転感知コイルBRSC(例えばN=4の場合、前記中心軸CAの周りに等間隔で配置されたBRSC1-BRSC4)と、ボトム軸方向感知コイル構造BASCC(例えば本実施例では単一の独立したコイルを備える)と、ボトム正規化感知コイル構造TNSCC(例えば本実施例では単一の独立したコイルを備える)とを含む。前記トップ及びボトムコイル基板471T及び471Bは、互いに名目的に平行で、前記中心軸CAに対して名目的に直交し、前記中心軸CAに沿って、少なくとも磁束変調運動体積の一部を間に挟んで離れて位置される。図3及び図4中に示される前記様々な感知コイルは、いくつかの例では図示を簡略化するため「閉ループ」で表されているが、全てのコイルは、1以上の誘導結合された(例えば閉じられていない「ループ」を有する)「巻線」として動作するように構成された第1及び第2の接続端を有し、関連する回路(例えば信号処理及び制御回路モジュール480の前記回路)に接続されている。
【0031】
図3に示される断面図において、2つのトップ回転感知コイルTRSC1とTRSC2、及び2つのボトム回転感知コイルBRSC1とBRSC2のみが見えている。これらの回転感知コイルは、前記磁束変調要素451の前記Y軸に沿う前記位置を示す信号成分を与える。特に、これらの信号成分は、前記磁束変調要素451の前記Y軸に沿う変位量ΔYに依存して変化し、従って変位量ΔYを示す。この変位量ΔYは、前記磁束変調要素451と前記様々な回転感知コイルTRSCi及びBRSCi間の関連する「オーバーラップ」量を決定し、従って、前記フィールド発生コイル461によって発生された前記変化する磁場の結合量(これは結果として生じる前記信号成分を決定する)を決定する。他の回転感知コイル(例えばトップ回転感知コイルTRSC3とTRSC4、及び、ボトム回転感知コイルBRSC3とBRSC4)は、前記磁束変調要素451の前記X軸に沿う位置を同様に示す信号成分を与える。前記回転感知コイルTRSC3、TRSC4、BRSC3、及びBRSC4は、図3の前記中心軸CAの周りに90度回転した図で見ることができる(例えば回転した図では、図3中で現在前記回転感知コイルTRSC1、TRSC2、BRSC1、及びBRSC2それぞれに対してと同様の位置に示される)。
【0032】
前記軸方向感知コイル構造ASCCは、前記トップ軸方向感知コイル構造TASCC及び前記ボトム軸方向感知コイル構造BASCCを含む。図3の実施例において、前記トップ軸方向感知コイル構造TASCCは、前記中心軸CAを少なくとも一部囲む単一のトップ軸方向感知コイルを備えており、前記ボトム軸方向感知コイル構造BASCCは、図示のように前記中心軸CAを少なくとも部分的に囲む単一のボトム軸方向感知コイルを備えている。様々な実施例において、これらの軸方向感知コイルは、前記磁束変調要素451によって常に完全に「オーバーラップ」されていることができる。従って、それらの信号成分は、名目上前記磁束変調要素451の前記軸又はZ方向に沿う位置にのみ対応し、従って、前記磁束変調要素451の前記Z方向に沿う前記位置を示している。
【0033】
前記正規化感知コイル構造NSCCは、前記トップ正規化感知コイル構造TNSCC及び前記ボトム正規化感知コイル構造BNSCCを含む。図3の実施例において、図示されているように、前記トップ正規化感知コイル構造TNSCCは、前記中心軸CAを少なくとも部分的に囲む単一のトップ正規化感知コイルを含み、前記ボトム正規化感知コイル構造BNSCCは、前記中心軸CAを少なくとも部分的に囲む単一のボトム正規化感知コイルを備えている。
【0034】
図2を参照して先に概略を説明した動作と同様に、動作に際して、前記運動磁束変調要素451は、前記フィールド発生コイル461によって発生された前記軸方向に沿って変化する磁場中に、位置に依存する局所的な変動を生じさせる。前記感知コイル部470は、図2を参照して既に説明し、以下に更に詳細に説明するように、前記磁束変調要素451によって発生された変化する磁場及びその変動に対応し、前記磁束変調要素451の前記回転位置(例えばY及びX位置及び対応する信号)及びその軸方向位置(例えばZ位置)を決定するのに処理される前記回転信号成分RSigs及び前記軸方向信号成分ASigsを出力する。前記磁束変調要素451の前記位置は、前記スタイラス結合部442及び/又はそのプローブチップ448の位置と公知の幾何学的関係を有し、前記位置の1つを示す信号/位置は他方の位置も示す。例えば、小さな回転角に対して、零(例えば振れていない位置UNDF)からの前記磁束変調要素451の前記Y軸に沿う図示された運動又は変位ΔYは、次式で表される。
【0035】
ΔY=HθY (1)
【0036】
ここでHは、前記回転中心RCから前記磁束変調要素451の名目上の平面までの距離であり、θYは、前記Y方向に平行な面内の前記回転部材436の前記回転運動(即ち前記回転中心RCにおける前記X軸と平行な軸の周りの回転)である。様々な実施例において、より大きな回転角が用いられると、公知のような、より大きな回転角に対して正確な同様な数式が用いられる。前記回転運動チルト成分θに関する前記スタイラス406の前記プローブチップ448の零(例えば振れていない位置UNDFに対応)からの前記Y軸運動又は変位YSTYLUSは次式で近似される。
【0037】
ΔYSTYLUS=θY (hs+Is) (2)
【0038】
ここで、hsは、前記スタイラス結合部442の前記端部から前記回転中心RCまでの距離であり、Isは、前記スタイラス406の前記長さである。(1)式と(2)式を組み合わせることによって、前記プローブチップ448の前記Y方向変位に関する前記磁束変調要素451の前記変位ΔYの前記比は、次式で近似される。
【0039】
ΔY/ΔYSTYLUS=H/(hs+Is) (3)
【0040】
前記X軸運動成分は、前記式と同様であり、ここで更に詳細には説明しない。様々なスタイラスに対する前記スタイラス長さIsは、前記回転感知コイルRSCからの前記信号に基づいて(前記磁束変調要素451の前記X-Y位置を示すように)前記プローブチップ448の前記X-Y位置を決定するのに前記式中で(例えば前記システムの三角法に関して)利用される。前記Z座標変位又は位置成分に関して、前記磁束変調要素451の前記軸方向又はZ方向の零(例えば前記振れていない位置UNDFに対応)からの変位ΔZ(図示省略)は、スタイラス接触部(例えば前記プローブチップ448)での前記Z軸変位ΔZSTYLUSに関してほぼ次式で表される。
【0041】
ΔZ/ΔZSTYLUS=1 (4)
【0042】
図4は、図3中に示された前記スタイラスサスペンション部407として用いられるスタイラスサスペンション部407’の1つの実施例の断面を示す部分概略図である。図3に示される前記スタイラス位置検出部411と同様のスタイラス位置検出部511の1つの実施例と、信号処理及び制御回路480を示す。前記要素は、測定プローブ400のプローブメインボディ402のフレーム408内に含まれるものとして示されている。様々な実施例において、プローブカバー403はシリンダ状であり、前記測定プローブ400が組み立てられた時に、前記スタイラスサスペンションモジュール407’及び前記スタイラス位置検出モジュール511を囲むように構成される(例えば前記中心軸CAに垂直な方向に放射状に取り囲む)。
【0043】
前記スタイラス位置検出部551のセンサ構造SNCの基板571T、571B及び前記フィールド発生コイル561又はその基板(例えばプリント回路型基板)は、前記測定プローブ400内での適切な動作のために、アライメント及びマウント部417又は他の知られた技術を用いて位置される。前記スタイラス位置検出部511に関連する様々な信号接続は、知られた技術に従って、電気コネクタ419(例えば419B、419T、フレキシブルプリント及び/又はワイヤー接続)などによって与えられる。いくつかの実施例において、前記信号処理及び制御回路480のいくつか又は全ては、図4中に示されるように、分離した回路アセンブリとして与えられることができる。他の実施例において、前記信号処理及び制御回路480の幾つか又は全ては必要であれば、前記スタイラス位置検出部511の前記基板上に組み合わされることができる。
【0044】
図4に示すように、前記スタイラスサスペンション部407’は、スタイラス運動機構409及びスタイラス406に結合されたスタイラス結合部442を含んでいる。前記スタイラス運動機構409は、運動部材412と、回転部材436と、前記回転部材436を支持して回転運動を可能とする、前記メインボディフレーム408に結合された撓み要素440と、前記運動部材412を支持して前記回転部材436に結合し前記運動部材412の軸方向運動を可能とする撓み要素414及び415(第1の撓み要素と称する)を含んでいる。前記測定プローブ400は、前記スタイラス運動機構409及び/又は前記スタイラス406の前記プローブチップ448の前記位置及び/又は運動を決定するための、以下に図5を参照して、より詳細に説明する構成要素及び動作を有している。
【0045】
(第2の撓み要素と称する)前記撓み要素440は、(第1の撓み要素と称する)撓み要素414と415のペアの各平面の間で前記軸方向O中に配置されている。前記撓み要素414、415及び440の適切な撓み設計は、公知の原理に従って決定される。例えば、1つの可能な実施例は、特許文献6に示されており、ここでその全体を引用して取り込む。前記回転部材436は、前記第2の撓み要素440の周りに対称な形状を有し、2つのリング部436A、2つの結合部436B、及び、シリンダ部436Cを一体的に含んでいる。前記第1の撓み要素414及び415の周辺部は、前記リング部436Aに固定されている。前記結合部436Bは、前記シリンダ部436Cに結合されるように前記リング部436Aの内側に延びており、これは中空の中心を有する。前記第1の撓み要素414及び415は、前記第2の撓み要素440に関して対称な距離に配置されているが、このような実施例は一例にすぎず、これに限定されないことに注意されたい。
【0046】
前記運動部材412を含む回転運動機構410は、前記回転部材436の内側に支持されており、前記回転部材436と軸方向運動機構410は共に前記スタイラス運動機構409の一部である運動モジュールを構成している。前記軸方向運動機構410は、前記プローブチップ448が前記軸方向Oに動くのを許容する。前記回転部材436を含む前記回転運動機構434は、前記回転中心RCの周りの回転運動によって、前記軸方向Oに(例えばほぼ垂直に)横断する前記スタイラス406の前記プローブチップ448の動きを可能にする。
【0047】
前記運動部材412は、下方部412A、ロッド部412B及び上方部412Cを一体的に含んでいる。図3を参照して既に説明したように、又、図5に示す前記スタイラス位置検出部511に関して以下に詳細に説明するように、前記運動部材412の前記上方部412Cに取付けられた前記磁束変調要素551は、回転及び軸方向位置支持要素の両方として機能する。前記ロッド部412Bは、第1の撓み要素414及び415の前記ペアの間に配置されている。前記ロッド部412Bは、前記回転部材436中に収容されている。前記下方部412Aは、前記ロッド部412Bの下方に形成されており、スタイラス結合部442(例えばフランジ部材)は、前記下方部412Aに取付けられている。フランジ部444は、前記スタイラス446の取り付けのために与えられている。該フランジ部444と前記スタイラス結合部442は、共に様々なスタイラス406と前記スタイラス結合部442を(例えばスタイラスの衝突ノッキングの場合、又は、スタイラスを意図的に交換する時など)繰返し位置決め可能に取付及び取外すのを許容するための着脱可能な結合機構(例えば公知の知られたキネマティック・ジョイント又はカップリング)を構成している。
【0048】
前記測定プローブ400は、(例えば図1の前記CMM200の前記駆動機構取付部224のような、CMMの取付部を取付けるための)オートジョイント結合部401を含んでいる。様々な実施例において、前記オートジョイント結合部401は、公知の原理に従って、様々な交換可能なCMMプローブ又はセンサに共通の物理的インターフェイスを与える精密キネマティック取付様相及び電気接続を備えることができる。オートジョイントにおけるキネマティック・マウントへのCMMプローブの自動的な交換に使用可能な公知の技術及び機構の例が特許文献7に示されており、ここでその全体を引用して取り込む。様々な実施例において、前記オートジョイント結合部401は、オートジョイント結合要素ACON(例えば電気接続要素など)を含むことができ、これはオートジョイント構成要素部401Cの構成要素に対して、又は、これを通して接続する。
【0049】
図5は、図4中に示されるスタイラス位置検出部511と同様のスタイラス位置検出部511’の実施例を、ある側面を強調して示す概略等角図である。様々な実施例において、前記スタイラス位置検出部511’及び511は、以下に更に説明する、ある違い(例えば前記フィールド発生コイル構造560の違いなど)を除いて同様である以下に詳細に説明する。一般的に、前記スタイラス位置検出部511’は図2図3、及び図4の前記スタイラス位置検出部311、411、及び511と同様なある構成要素を含み、そして、以下に他の方法で説明した点を除き同様に動作する。
【0050】
図5に示す実施例において、前記スタイラス位置検出部511’は、感知コイル部570と、前記磁束変調要素551’を備えた磁束変調構造550’と、前記フィールド発生コイル構造560を備えている。様々な実施例において、前記磁束変調要素551’(又はより一般的に前記磁束変調構造550’)は、導電板又は導電ループ、又は(例えばプリント回路基板製造技術によってパターンされプリント回路基板の両側に形成されたような)平行な導電板又は導電ループ又は他の磁束変調領域(例えばその内側領域)を与える他の任意の所望の動作する構造を備えることができる。図5及び図6の実施例において、前記磁束変調要素551’は、一般的に四角い形状の導電板として表される。他の実施例(例えば図4の例)において、前記磁束変調要素(例えば磁束変調要素551’)は、異なる形状(例えば円形を有する)導電要素であることができる。概して、異なる形状を有する磁束変調要素は、ここに開示された原理に従って異なる実施例中で用いることができる。
【0051】
図5の実施例に関して、前記磁束変調要素551’は前記トップ及びボトムコイル基板571T及び571B間の前記磁束変調運動体積MV中に前記中心軸CAに沿って配置され、(例えば運動部材512を備える)磁束変調結合構造553によってスタイラスサスペンション部507に結合されている。説明のため、前記磁束変調要素551’は、図5中に示された前記振れていない位置に対して前記スタイラスサスペンション部507及び/又はスタイラス506及び/又は前記運動部材512の振れに応じて動くように記載されている。前記磁束変調要素は、軸方向運動に応答して前記軸方向に沿う動作運動範囲+/-Rzにわたって変位増分ΔZで動き、回転運動に対応して前記軸方向(Z方向)に垂直な直交するX及びY方向に沿って+/-Rx及び+/-Ryの各動作運動範囲にわたって動くように記載されている。
【0052】
前記感知コイル部570は、N個のトップ回転感知コイルTRSC(例えばN=4の場合、TRSC1-TRSC4)と、(例えば本実施例の場合、単一に示された個別コイルを備えた)トップ軸方向感知コイル構造TASCCと、(例えば本実施例の場合、単一に示された個別コイルを備えた)トップ正規化感知コイル構造TNSCCと、N個のボトム回転感知コイルBRSC(例えばN=4の場合、BRSC1-BRSC4)を含む平板状ボトムコイル基板571Bと、(例えば本実施例の場合、単一に示された個別コイルを備えた)ボトム軸方向感知コイル構造BASCCと、(例えば本実施例の場合、単一に示された個別コイルを備えた)ボトム正規化感知コイル構造BNSCCを含んでいる。感知コイル構造SCCは、前記感知コイル部570の前記感知コイルを含むことができる。前記トップ及びボトムコイル基板571T及び571Bは、前記スタイラス506及び/又は前記スタイラスサスペンション部507に近い前記ボトムコイル基板に対して固定されて取り付けられている。前記トップ及びボトムコイル基板571T及び571Bは、互いに名目上平行で、前記中心軸CAに対して名目上直交し、(例えば前記磁束変調運動体積MVを少なくとも部分的に間に含んで)前記中心軸CAに沿って離れて配置されている。図5に示される前記様々な感知コイルは、図示を簡単にするため「閉ループ」で示されているが、全てのコイルは(図6中に少なくとも部分的に示されているように)第1及び第2の接続端を有する巻線又は導体を備えており、1以上の誘電結合された(例えば閉じられていない「ループ」を含む)「ターン」として動作するように構成されている。
【0053】
前記フィールド発生コイル構造(例えば前記フィールド発生コイル構造560)は、通常、前記磁束変調運動体積MVの近くに配置された、前記中心軸CAに対して名目上平面状で直交する少なくとも第1のフィールド発生コイルを備えている。(前記磁束変調運動体積MVの略中央面に位置する)図3に示される実施例中の前記単一の平面状フィールド発生コイル461と同様に、図5の実施例において、前記フィールド発生コイル構造560は、同様の単一の平面状フィールド発生コイル561を備えている。ある他の実施例において、フィールド発生コイル構造は、前記中心軸CAに沿う前記磁束変調運動体積MVの中央面からほぼ等距離の、名目上平面で、前記中心軸CAに対して直交する平面状フィールド発生コイルのペア(例えば前記トップ及びボトムコイル基板571T及び571Bのそれぞれの上又は近くに位置する)を含むことができる。概して、前記フィールド発生コイル構造460と560又は他のフィールド発生コイル構造は、前記感知コイル部570と共に用いることができる。ある実施例において、前記フィールド発生コイル構造は、前記軸方向(Z方向)に沿う、そのコイル領域の投影が、前記磁束変調構造550’(例えば前記磁束変調要素551’)の前記磁束変調領域、及び、前記トップ及びボトムコイル基板571T及び571B上に位置する全ての前記回転及び軸方向感知コイルRSCi及びASCCの全てのコイル領域を与える前記導電板又はループを囲むようにされていることが望ましい。通常、前記フィールド発生コイル構造は、前記スタイラス位置検出部511’の動作に望ましいものとして、コイル駆動信号に応答して前記磁束変調運動体積MV中の前記軸方向に沿って一般的に変化する磁束を発生するように構成されている。図5中に示される前記フィールド発生コイルは、図示を簡単とするため「閉ループ」で表されている(例えば1以上の導電配線を備え、その両端部が示されている)が、実際の装置においては、全てのコイルが(少なくとも部分的に図6中に示されているように)第1及び第2の接続端を有する巻線又は導電体を備え、1以上のフィールド発生「ターン」(例えば閉じられていない「ループ」を含む)として動作するように構成されている。
【0054】
図5中に示されるように、(例えば細い破線PRJで図5中に示す)前記トップ軸方向感知コイル構造TASCCの内側コイル領域を通って前記軸方向に沿う前記磁束変調要素551’の投影は、(その内側コイル領域を満たすドットパターンで示される)トップ軸方向感知オーバーラップ領域TASOAを規定し、前記ボトム軸方向感知コイル構造BASCCの内側コイル領域を通って前記軸方向に沿う前記磁束変調要素551’の投影は、(内側コイル領域を満たすドットパターンで示される)ボトム軸方向感知オーバーラップ領域BASOAを規定する。同様に、任意の各トップ回転感知コイルTRSCi(例えばTRSC1-TRSC4)の内側コイル領域を通る前記軸方向に沿う前記磁束変調要素551’の投影は、図5中に示される前記様々な各オーバーラップ領域を満たすドットパターンによって示される各トップ回転感知コイルオーバーラップ領域TRSCOAi(例えばTRSCOA1-TRSCOA4)を規定し、ここでiは1~Nまでの前記範囲内の各個別コイル特定インデックスである。任意の各ボトム回転感知コイルBRSCi(例えばBRSC1-BRSC4)の内側コイル領域を通る前記軸方向に沿う前記磁束変調要素551’の投影は、図5中の前記様々な各オーバーラップ領域で示される各ボトム回転感知コイルオーバーラップ領域BRSCOAi(例えばBRSCOA1-BRSCOA4)を規定する。
【0055】
スタイラス位置検出部(例えば511’)中の軸方向位置検出に関して、前記感知コイル部(例えば570)及び前記磁束変調要素(例えば551’)がほぼトップ軸方向感知オーバーラップ領域TASOA及びボトム軸方向感知オーバーラップ領域BASOAを与えるように構成され、ここで前記オーバーラップ領域TASOA及びBASOAのそれぞれの量は、動作運動範囲+/-Rz、+/-Rx及び+/-Ryの中で前記磁束変調要素551’の前記位置によって変化したり位置に依存しない。ある特定の測定プローブに対して、必要であれば、この要求を満足するために、前記動作運動範囲は前記プローブの特定のスタイラス位置検出部の構造との組合せで規定されたり特定されることができる。このようにして、前記トップ及びボトム軸方向感知コイル構造TASCC及びBASCC中で発生された前記信号成分は、名目上前記回転運動(即ち前記X及びY方向に沿う前記磁束変調要素511’の位置)と独立しており、前記磁束変調要素511’の軸方向(Z)位置又は変位ΔZに依存して変化する。前記磁束変調要素511’の「近接」又はギャップの変化のみ名目上感じる動作に際して、前記フィールド発生コイル構造560の前記変化する磁場によって前記磁束変調要素551’中に誘導された電流は反対の磁場を発生する。一般的に言って、前記磁束変調要素551’が図5中の前記軸(Z)方向上方に動くと、前記反対の磁場が前記トップ軸方向感知コイル構造TASCCに、より強く結合され、前記変化する磁場から生じるその信号成分を減らす。逆に、前記反対の磁場は前記ボトム軸方向感知コイル構造BASCCに、より弱く結合され、前記変化する磁場から生じるその信号成分を増やす。この開示中で用いた約束によって、我々は信号成分SIGTASCCを特にトップ軸方向感知コイル構造(又はコイル)TASCCなどによって生じる信号成分SIGTASCCと呼ぶ。
【0056】
前記振れていない位置UNDFで、前記ネットの信号成分SIGTASCC及びSIGBASCCは、ほぼつり合っていることに注意されたい。動作中に期待されるような小さな変位ΔZに対して、前記ネット信号成分SIGTASCC及びSIGBASCCは、互いに反対にほぼ線形に変化する。ある実施例において、軸方向変位又は位置ΔZは、次の信号関係によって示され、又は対応する。
【0057】
ΔZ=[(SIGBASCC-SIGTASCC)
/(SIGTNSCC+SIGBNSCC)]の関数 (5)
【0058】
この信号関係は例示にすぎず、限定するものではない。様々な実施例において、この信号関係は、必要であれば様々な変位方向又は信号成分間の幾何学的及び/又は信号クロス結合の前記影響を減らす動作を含む追加の校正又は信号処理動作によって調整されたり又は補償される。様々な実施例において、前記トップ軸方向感知コイル構造は、前記N個のトップ回転感知コイルの1つではなく、前記トップ回転感知コイルよりも前記中心軸の近くに配置された、少なくとも1つのトップ軸方向感知コイルを備え、前記少なくとも1つのトップ軸方向感知コイル及び前記磁束変調要素は、前記少なくとも1つのトップ軸方向感知コイルが前記磁束変調要素よりも小さな内部コイル領域を有し、前記軸方向に沿う前記磁束変調要素の投影が、前記動作運動範囲+/-Rz、+/-Rx及び+/-Ry内の前記磁束変調要素の任意の位置に対して、前記少なくとも1つのトップ軸方向感知コイルの前記内部コイル領域を完全に満たし、これにより前記トップ軸方向感知オーバーラップ領域TASOAは前記磁束変調要素の前記位置によって変わることがない。同様に様々な実施例において、前記ボトム軸方向感知コイル構造は、前記N個のボトム回転感知コイルの1つではなく、前記ボトム回転感知コイルよりも前記中心軸の近くに配置された、少なくとも1つのボトム軸方向感知コイルを備え、前記少なくとも1つのボトム軸方向感知コイル及び前記磁束変調要素は、前記少なくとも1つのボトム軸方向感知コイルが前記磁束変調要素よりも小さな内部コイル領域を有し、前記軸方向に沿う前記磁束変調要素の投影が、前記動作運動範囲+/-Rz、+/-Rx及び+/-Ry内の前記磁束変調要素の任意の位置に対して、前記少なくとも1つのボトム軸方向感知コイルの前記内部コイル領域を完全に満たし、これにより前記ボトム軸方向感知オーバーラップ領域BASOAは前記磁束変調要素の前記位置によって変わることがない。前記トップ軸方向感知コイル構造TASCC及び前記ボトム軸方向感知コイル構造BASCCが、それぞれ単一の感知コイルを備えた、図5中に示される前記特定の前記スタイラス位置検出部511’は、この開示に合致していることがわかる。前記トップ及びボトム軸方向感知コイル構造TASCC及びBASCCの様々な構造を用いることができ、図5中に示された前記特定の構造は例にすぎず限定するものではないことを理解されたい。
【0059】
スタイラス位置検出部(例えば511’)の回転位置検出に関して、前記感知コイル部(例えば570)及び前記磁束変調要素(例えば551’)が、それぞれトップ回転感知コイルTRSCi及びボトム回転感知コイルBRSCiを備えた回転感知コイルCPi(例えばN=4の場合、CP1-CP4)のN個の相補的なペアを与えるように概ね構成されている。ここで、任意の相補的なペアCPi及び任意の前記動作運動領域+/-Rz、+/-Rx及び+/-Ry内の任意の磁束変調要素の変位増分に対して、磁束変調変位増分と関係するオーバーラップ領域TRSCOAi及びBRSCOAiの変化の大きさは、その相補するペアの中では名目上同じである。特定の測定プローブに対して、前記動作運動範囲は、必要であればこの要求を満足するために、その特定のスタイラス位置検出部の位置の構造との組合せで規定され又は特定される。図5中のテーブルCPTableは、図5中の実施例に対する各相補的なペアCPiの前記各部材TRSCi及びBRSCiを示す。
【0060】
前記の原理を確認することによって、図5中に示される前記相補的なペアCPiは、あるクロスカップリング誤差を補償し、及び/又は、(例えば前記X及び/又はY方向に沿う)正確な回転位置又は変位測定を与えるのに要求される前記信号処理を簡略化する。特に、図5中の前記実施例の回転感知コイルの相補的なペアCPi中に生じる信号成分のペアは、組み合わされ又は関係をもって処理され、結果として生じる出力信号が前記相補的なペアCPi及び前記磁束変調要素551’の前記個別のコイル間の「近接」又はギャップの変化に名目上感じなくなる。即ち、結果として生じる出力信号は、前記磁束変調要素551’の前記軸方向(Z)位置又は変位ΔZに感じなくなり、回転位置又は(例えば前記X及び/又はY方向に沿う)変位にのみ名目上感じるようになる。図5に示される特定の実施例において、前記Y軸方向に沿う変位成分ΔYを有する前記磁束変調要素551’の変位は、前記相補的なペアCP2中の前記オーバーラップ領域TRSCOA2及びBRSCOA2を増加(又は減少)させ、前記相補的なペアCP1中の前記オーバーラップ領域TRSCOA1及びBRSCOA1を減少(又は増加)させる。同様に、前記X軸方向に沿う変位成分ΔXを有する前記磁束変調要素551’の変位は、前記相補的なペアCP3中の前記オーバーラップ領域TRSCOA3及びBRSCOA3を増加(又は減少)させ、相補的なペアCP4中の前記オーバーラップ領域TRSCOA4及びBRSCOA4を減少(又は増加)させる。
【0061】
既に述べたように、動作に際して、前記フィールド発生コイル構造560の前記変化する磁場によって前記磁束変調要素551’中に誘導された電流は、反対の磁場を発生させる。一般的に言って、任意の回転感知コイルTRSCi(又はBRSCi)中に発生した前記信号成分SIGTRSCi(又はSIGBRSCi)は、前記磁束変調要素551’の近接部分が前記軸方向に沿って前記回転感知コイルに近づくと減少し、又は前記回転感知コイルとのオーバーラップTRSCOAi(又はBRSCOAi)は増加する。
【0062】
(相補的なペアCPi中の前記コイルが同一であり前記軸方向に沿ってアライメントされている)図5に示される前記相補的なペアCP1-CP4に対して、前記図示された振れていない位置UNDFで、各相補的なペア(例えばSIGTRSC1及びSIGBRSC1)中の前記信号成分は、ほぼバランスがとれている。既に概略を述べた原理に従って、相補的なペア(例えばCP1)の近くの前記磁束変調要素551’の部分は、動作中に期待されるような小さな変位ΔZに対して、前記ネット信号成分(例えばSIGTRSC1及びSIGBRSC1)は、ほぼ線形に互いに逆方向に変化する。従って、相補的なペアCPiに対するそのような信号の前記和は、前記磁束変調要素551’の前記近接部分に関連してΔZに対して名目上感じない。更に、図5に示される実施例において、前記磁束変調要素551’の前記端部は前記X及びY方向に平行であり、その結果、前記動作運動範囲+/-Rx及び+/-Ry内で、Y方向変位成分は前記回転コイル感知オーバーラップ領域TRSCOA3、BRSCOA3、及び/又は、TRSCOA4及びBRSCOA4を変えることがなく、X方向変位成分は前記回転コイル感知オーバーラップ領域TRSCOA2、BRSCOA2、及び/又は、TRSCOA1及びBRSCOA1を変えることがない。従って、1つの実施例において、前記X方向に沿うに回転変位又は位置成分ΔXは、理想的にはΔZ及び/又はΔYに依存することなく、次の信号関係によって示され又は対応する。
【0063】
ΔX=[(SIGTRSC3+SIGBRSC3)
-(SIGTRSC4+SIGBRSC4)]
÷[(SIGTNSCC+SIGBNSCC)]の関数 (6)
【0064】
同様に、ある実施例において、前記Y方向に沿うに回転変位又は位置成分ΔYは、理想的にはΔZ及び/又はΔXに依存することなく、次の信号関係によって示され又は対応する。
【0065】
ΔY=[(SIGTRSC2+SIGBRSC2)
-(SIGTRSC1+SIGBRSC1)]
÷[(SIGTNSCC+SIGBNSCC)]の関数 (7)
【0066】
これらの信号関係は一例にすぎず、限定するものではない。様々な実施例において、この信号関係は、必要であれば様々な変位方向又は信号成分間の幾何学的及び/又は信号クロス結合の前記影響を減らす動作を含む追加の校正又は信号処理動作によって調整されたり又は補償される。以上のように、前記正規化コイルTNSCC及びBNSCCからの前記信号SIGTNSCC及びSIGBNSCCは、前記生成された磁場(例えば前記フィールド発生コイル構造560によって発生された前記変化する磁場に対応)の測定を与える。前記式(5)-(7)によって示されるように、前記位置測定(例えば前記回転及び軸方向感知コイルからの前記信号)は、前記測定信号に合わせてスケーリングされ、(前記フィールド発生コイル構造560で発生されるような)前記発生磁場の前記振幅の変化に比較的感じないようにされる。
【0067】
いくつかの特に好適な実施例において、前記感知コイル部(例えば570)及び前記磁束変調要素(例えば551’)は、任意の相補的なペアCPi及び前記動作運動範囲+/-Rz、+/-Rx及び+/-Ry内の任意の磁束変調要素変位増分に対して、前記磁束変調要素変位増分に関係するオーバーラップ領域TRSCOAi及びBRSCOAi内の前記振幅及び符号の前記変化に対して相補的なペアで同じとなるように構成されている。いくつかのそのような実施例において、前記感知コイル部は、各相補的なペアCPiが前記軸方向に突出した時に、それらの内部領域の前記形状が名目上一致するように特徴づけられたトップ回転感知コイルTRSCi及びボトム回転感知コイルBRSCiを備えている。図5中に示される前記スタイラス位置検出部511’の前記特定の実施例は、この開示と一致している。しかしながら、相補的なペアの様々な構造を用いることができ、図5中に示される特定の構造は一例であって限定されないことに注意されたい。
【0068】
いくつかの実施例において、前記感知コイル部(例えば570)及び前記磁束変調要素(例えば551’)は、前記磁束変調要素が任意の各相補的なペアCPiに対して少なくともN個の直線側面を有し、前記磁束変調要素の前記直線側面のそれぞれ1つが前記各相補的なペアの前記トップ回転感知コイルTRSCi及び前記ボトム回転感知コイルBRSCiの両方を横断している。そのようないくつかの実施例において、N=4であり、前記少なくともN個の直線側面が、長方形又は正方形の前記側面に対して平行に配置された4個の側面を含む。図5に示される前記スタイラス位置検出部511’の前記特定の実施例は、この開示に合致している。しかしながら、相補的なペアの様々な構造を用いることができ、図5中に示される特定の構造は一例であって限定されないことに注意されたい。特に、他の実施例において、前記磁束変調器は(例えば図4の前記実施例などに対応するように)円形又は他の形状を持つことができる。
【0069】
図6図5に示される前記スタイラス位置検出部511’のある要素を部分的に等角で示す図であり、信号処理及び制御回路680の1つの実施例のブロック図に対する概念的な接続CONNを含む。図6に示されるように、前記信号処理及び制御回路680は、前記スタイラス位置検出部511’の前記様々なコイルに動作可能に接続されている。図6の実施例において、前記信号処理及び制御回路680は、その様々な互いに接続された駆動信号発生器682を含む構成要素間の様々なタイミング及び信号接続又は変換動作を支配するデジタルコントローラ/プロセッサ681と、増幅/スイッチング部683と、サンプル及びホールド部684と、多重化部685と、A/Dコンバータ部686を含む。様々な実施例において、前記デジタルコントローラ/プロセッサ681は、前記1以上のプロセッサによって実行された時に、該1以上のプロセッサが、(例えばここに記載したような)ある方法、ルーチンなどを実行するプログラム指令を記憶するメモリに接続されたような1以上のプロセッサを含む。例えば、デジタルコントローラ/プロセッサ681は、先に図2を参照して概略を説明したような、前記出力信号APSOut及びRPSOutを決定する様々な信号処理動作を行うこともできる。前記信号処理及び制御回路680の前記設計及び動作の部分は、知られた原理に従って当業者によって認識され理解される。例えば、ある実施例において、前記信号処理及び制御回路680の前記ある要素は、ここにその全体を引用して取り込む、特許文献8に開示された対応する要素によって設計され類似の動作をする。
【0070】
動作に際して、前記駆動信号発生器682は、変化するコイル駆動信号Dsigを(例えば図7図10を参照して以下に、より詳細に説明するように)前記フィールド発生コイル構造560に与え、これは前記コイル駆動信号に応答して、変化する磁束を前記磁束変調運動体積MV内に前記軸方向に沿って発生する。前記増幅/スイッチング部683は、前記感知コイル部570からの前記信号RSIG、ASIG及びNSIGを入力するように構成され、前記トップ及びボトムコイル基板上に位置する前記各回転、軸方向及び正規化感知コイルによって与えられる各信号成分(例えば先に概略を説明した信号成分SIGTASCC、SIGBASCC、SIGTRSC1-SIGTRSC4、SIGBRSC1-SIGBRSC4、SIGTNSCC、SIGBNSCC)を備えている。いくつかの実施例において、前記増幅/スイッチング部683は、様々なアナログ信号を組み合わせて、例えば式(5)-(7)中に示される前記関係で規定されたような様々な所望の和又は差信号(例えば適切な直列又は並列接続など)を与えるスイッチング回路を含むことができる。しかしながら、他の実施例において、前記増幅/スイッチング部683は、増幅及び(例えば信号反転動作を含む可能性がある)信号調整動作のみを実施し、全ての信号組合せ動作を他の回路部で行うこともできる。
【0071】
前記サンプル及びホールド部684は、前記増幅/スイッチング部683からの前記様々なアナログ信号を入力し、知られた原理に従って、例えば前記感知コイル部570の前記様々な各感知コイルから発生する全ての各信号成分を同時にサンプルしてホールドするサンプル及びホールド動作を行う。ある実施例において、前記多重化部685は様々な信号を前記A/Dコンバータ部686に時系列で、及び/又は、様々な所望の信号関係に関して(例えば式(5)-(7)などに示した関係に規定して)組み合わせて接続する。前記A/Dコンバータ部686は、対応するデジタル信号値を前記デジタルコントローラ/プロセッサ681に出力する。
【0072】
前記デジタルコントローラ/プロセッサ681は、次いで、前記デジタル信号値を(例えば式(5)-(7)中に示される前記関係などに規定されるような)様々な所望の関係に従って処理し、及び/又は、組み合わせて、前記スタイラス506の前記磁束変調要素551’の少なくとも1つの(例えば測定プローブの前記フレームに対して)前記軸方向位置及び回転位置を示す前記出力信号APSOut及びRPSOutを出力する。いくつかの実施例において、前記デジタルコントローラ/プロセッサ681は前記出力信号APSOut及びRPSOutが直接、前記スタイラス506又はそのプローブチップ548の(例えば前記測定プローブの前記フレームに対する)3次元的な位置を示すように構成することができる。他の実施例において、前記スタイラス506又はそのプローブチップ548の前記3次元的な位置を(例えば前記測定プローブの前記フレームに対して)間接的に示す信号を出力するように構成することができる。そして、ホストシステム(例えばCMM)がそのような信号を入力し、そのような信号を更に組み合わせ又は精密にする追加の処理を行って、前記スタイラス506又はそのプローブチップ548の前記測定プローブ及び/又はCMM測定に用いられる全座標系に対する前記3次元的な位置を決定するようにすることができる。
【0073】
以下に、より詳細に説明するように、図7図10は(例えば図6の前記駆動信号発生器682に含まれ、前記フィールド発生コイル561に駆動信号Dsigを与えるような)駆動回路の様々な実施例によって駆動される前記フィールド発生コイル561を示す。様々な実施例において、以下に詳細に示すような特定の原理に関して、(例えば図2図6に関して上記で説明したような)測定プローブの様々な部分(例えばスタイラスサスペンション部、スタイラス位置検出部、磁束変調構造など、又はその部分)は、3次元誘導位置トランスデューサ(例えばこれは磁束変調構造などの前記位置を示す出力信号を感知して与える)を形成し及び/又はそれの部分として含まれることにとって特徴づけられる。
【0074】
図7は、(例えば図6の前記駆動信号発生器682に含まれるような)駆動回路700によって駆動される、前記フィールド発生コイル561と並列に接続された温度依存構成要素R711を含む前記フィールド発生コイル561の概略図である。この温度依存補償部710を以下に詳細に説明する。
【0075】
図7は(例えば以下に詳細に説明するフィールド発生コイル発振器の)ある回路原理を示す。(例えば図7図10で示されるような)フィールド発生コイル発振器は、様々な実施例において、前記フィールド発生コイルを横断する前記電圧が増大され、望ましくは最大化される。前記フィールド発生コイル中に何らかの分布された寄生抵抗が常に存在する。この寄生抵抗に照らして、前記フィールド発生コイルを横断する前記電圧を増大し、理想的には最大化すると、この寄生抵抗によって消費される前記電力は増大され、理想的には最大化される。
【0076】
前記寄生抵抗中で消費される前記電力を増大し、理想的には最大化するために、前記負荷の前記インピーダンスを前記駆動回路の出力の前記インピーダンスに近づけ、可能であればマッチングさせることが望ましい。これは、前記負荷に供給される前記電力を最大化するインピーダンスマッチングの周知の回路原理による。ここに述べた前記回路原理を用いた前記スタイラス位置検出部の前記フィールド発生コイルのため、様々な実施例において、前記負荷のインピーダンスのマッチング又は少なくとも前記負荷のインピーダンスの少なくともアプローチは、望ましくは少なくとも前記フィールド発生コイルのリアクタンスをキャンセルするアプローチ及び前記寄生抵抗を所望の負荷抵抗中に取り込むことによって達成される。ここに述べたように、これは直列及び並列共振回路の様相を組み合わせた回路を用いることによって達成される。図7は、インピーダンストランス20’に含まれる、そのような直列及び並列共振回路の組合せを示す。
【0077】
図7に示すように、インピーダンスZを有する前記インピーダンストランス20’は、第1のキャパシタC1’と、第2のキャパシタC2’と、(例えば抵抗部24及び誘導部L1’を含む)フィールド発生コイル561を備えている。更に、図7に示すように、前記駆動回路700の一部として、(例えば信号発生部12及び抵抗部14の一部としてのアンプを含む)アンプ部AP’は、信号線15によって第1のノード、入力ノードAに接続されている。
【0078】
前記入力ノードAは、信号線21によって前記キャパシタC2’に接続されている。信号線25は前記入力ノードAを前記キャパシタC1’に接続する。信号線23は前記キャパシタC2’を(例えば前記抵抗部24及び前記誘導部L1’を含む)前記フィールド発生コイル561に接続する。様々な実施例において、前記信号線23は(例えば前記信号処理及び制御回路680の前記駆動信号発生器682の)駆動回路から前記スタイラス位置検出部の前記フィールド発生コイル561への接続(例えば駆動信号Dsigを与え/運ぶように)を表すように信号線212に対応し又は接続されることができる。信号線213は前記フィールド発生コイル561をノードBに接続する。信号線17は該ノードBを前記信号発生器12に接続する。信号線27は前記キャパシタC1’を前記ノードBに接続する。
【0079】
従って、図7に示されるように、前記フィールド発生コイル561の前記抵抗部24及び前記誘導部L1’は、前記ノードAとBの間で直列のRCL回路を形成する。更に、前記キャパシタC1’は前記ノードAとBの間でこのRCL直列回路と並列に接続される。以上のように、前記抵抗部24は前記フィールド発生コイル561によって形成される前記ループ中の前記寄生抵抗である。従って、前記キャパシタC2’は前記直列キャパシタであり、一方、前記キャパシタC1’は前記並列キャパシタである。
【0080】
前記キャパシタC1’とC2’、前記フィールド発生コイル561の前記抵抗部24と前記誘導部L1’は、前記アンプ部AP’の前記負荷である。様々な実施例において、前記抵抗部14は前記インピーダンストランス20’の前記入力インピーダンスZがマッチングされた前記信号発生器12の前記出力抵抗である。特に、前記キャパシタC1’及びC2’の容量値C1及びC2を適切に選ぶことにより、前記インピーダンスZは前記信号発生部12の前記抵抗部14の抵抗値RSに近づく(例えばほぼ等しくなる)。
【0081】
前記インピーダンストランス20’の中で、該インピーダンストランス20’の位相は、前記抵抗部24の前記抵抗値と前記ソース抵抗部14の前記抵抗値の相対的な値によって決定される。様々な実施例において、前記抵抗部24の前記抵抗値が前記ソース抵抗部14の前記抵抗値よりも小さいと、前記負荷の「左」の第1の要素は直列要素となり、前記並列要素がこれに従う。もし、前記抵抗部24の前記抵抗値が前記ソース抵抗部14の前記抵抗値よりも大きくなるようにこの関係が逆であると、前記負荷の前記「左」の前記第1の要素が前記並列要素となり、前記直列要素がこれに従うことになる。
【0082】
様々な実施例において、前記入力インピーダンスZを形成する前記直列及び並列要素は必ずしもキャパシタである必要はない。即ち、いくつかの実施例において、前記直列及び並列要素はインダクタであってもよい。しかしながら、多くのケースにおいて、前記フィールド発生コイル561を駆動するための前記駆動回路200において、キャパシタが前記直列及び並列回路要素として用いられる。
【0083】
図8は、(例えば図6の前記駆動信号発生器682上に含まれるような)駆動回路800によって駆動される、前記フィールド発生コイル561と並列に接続された温度依存構成要素R811を含む温度依存補償部810を備えた前記フィールド発生コイル561の概略図である。該温度依存補償部810について、以下に詳細に説明する。
【0084】
いくつかの実施例において、図8に示される前記駆動回路800は、ダブルエンド発振器を含むことによって特徴づけられる。以下に詳細に説明するように、前記駆動回路800は様々なキャパシタと抵抗器(例えばキャパシタC1、C2、C3、C4及びC5、及び、抵抗器R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7)を含み、そのそれぞれは各第1及び第2の端子を有し、これはそれぞれの接続に利用される(例えば第1と第2の要素間で接続される抵抗器又はキャパシタは各要素を接続する各端子を有すると理解される)。
【0085】
前記駆動回路800は、第1及び第2のコイル端子xlp及びxln及びコイルインピーダンスを有する前記第1のフィールド発生コイル561を駆動するように構成されている。以下に詳細に説明するように、前記駆動回路800は少なくとも共振回路部RCP及びアンプ部APを含む。簡単に言うと、前記共振回路部RCPは前記第1及び第2のコイル端子xlp及びxlnに接続され、少なくとも第1の共振回路部構成要素(例えばキャパシタC1)、第2の共振回路部構成要素(例えばキャパシタC2)及び第3の共振回路部構成要素(例えばキャパシタC3)を含んでいる。
【0086】
前記第1の共振回路部構成要素(例えばキャパシタC1)は、第1の共振回路部ノード(例えばノードA)と第2の共振回路部ノード(例えばノードB)の間に結合されている。前記第1の共振回路部ノード(例えばノードA)は、少なくとも前記第2の共振回路部構成要素(例えばキャパシタC2)によって前記第1のコイル端子(例えばxlp)から分離されている。前記第2の共振回路部ノード(例えばノードB)は、少なくとも前記第3の共振回路部構成要素(例えばキャパシタC3)によって前記第2のコイル端子(例えばxln)から分離されている。前記アンプ部APは前記第1及び第2の共振回路部回路ノード(例えばノードA及びB)に接続され、動作に際して出力インピーダンスを有する。前記アンプ部APは前記第1及び第2の共振回路部ノード(ノードA及びB)に振動する駆動信号を与えるように構成されている。前記共振回路部RCP、アンプ部AP及び前記様々な関連する接続を以下に詳細に説明する。
【0087】
図8に示すように、前記アンプ部APは、第1の入力端子xfp(例えば第1のアンプ入力IN1に対応)、第2の入力端子xfn(例えば第2のアンプ入力IN2に対応)、第1の出力端子xtp(例えば第1のアンプ出力OUT1に対応)、第2の出力端子xtn(例えば第2のアンプ出力OUT2に対応)を備えている。回路経路813が前記アンプ部APの前記第1の出力端子xtpと前記第1の入力端子xfpの間に接続されている。同様に、回路経路817が前記アンプ部APの前記第2の出力端子xtnと前記第2の入力端子xfnの間に接続されている。様々な実施例において、前記回路経路813及び817はフィードバックループとして特徴づけられる。これらの回路経路を形成する前記回路要素を、以下に詳細に説明する。ここで利用されているように、「電圧」、「電圧レベル」、「特定の電圧レベル」は、様々な例において、(例えば前記フィールド発生コイル561などを横断して発生するような)前記対応する振動/変化する電圧の前記振幅に言及している。これは、振動/変化することを意図されていない電力供給電圧のような電圧(例えば直流電圧)と対照的である。
【0088】
図8において、インピーダンストランス20は、前記駆動回路800に含まれている。共振部RPは、少なくとも前記フィールド発生コイル561、及び、前記第1のキャパシタC1、前記第2のキャパシタC2及び前記第3のキャパシタC3を備えた前記共振回路部RCPを備えたインピーダンストランス部20を含んでいる。この3つのキャパシタ(即ちC1、C2及びC3)は、前記回路を完全に差動的にするために用いられている。前記アンプ部APの(前記入力ノードAに接続された)前記第1の出力端子xtpに関して、前記キャパシタC2、前記フィールド発生コイル561及び前記キャパシタC3が前記入力ノードAとBの間に直列接続され、一方、前記キャパシタC1は、前記入力ノードAとBの間で前記直列接続されたキャパシタC2、前記フィールド発生コイル561及び前記キャパシタC3と並列接続されている。(前記入力ノードBに接続された)前記アンプ部APの前記第2の出力端子xtnに関して、前記キャパシタC3、前記フィールド発生コイル561及び前記キャパシタC2は、前記入力ノードBとAの間で直列に接続され、一方、前記キャパシタC1は前記入力ノードBとAの間で、前記直列接続されたキャパシタC3、前記フィールド発生コイル561及び前記キャパシタC2と並列に接続されている。上記のように、前記キャパシタC1-C3は前記フィールド発生コイル561と共に、(例えば前記キャパシタの容量値及び前記フィールド発生コイルのインダクタンスに従って)前記共振部RPの少なくとも一部を生成する。様々な実施例において、前記共振部RPは、(例えば第1及び第2のフィルタ部FP1及びFP2などのような)他の要素及び/又は部分を含むこともできる。
【0089】
抵抗器R6が前記フィールド発生コイル561の第1の端子xlpとグラウンドの間に接続され、抵抗器R7が前記フィールド発生コイル561の第2の端子xlnとグラウンドの間に接続されている。前記第1の端子xlpはノードCに接続され、前記第2の端子xlnはノードCに接続されている。前記抵抗器R6とR7は前記端子xlp及びxlnのためのグラウンドへの直流(DC)経路を与える。様々な実施例において、この構造は前記端子xlp及びxlnが(例えばグラウンドに対する接続が無く前記端子の電圧が負荷の蓄積などに従って変化する)フローティングになるのを防止する。様々な実施例において、前記抵抗器R6-R7が比較的高い値(例えば前記共振部よりもかなり高いインピーダンス)を持ち、前記共振部ループゲインに重大な影響を及ぼさないようにするのが望ましい。
【0090】
(例えばある実施例においてはフィードバックループとして特徴づけられる)前記回路経路813に関して、前記キャパシタC4及び前記抵抗器R2は、第1のフィルタ部FP1の一部であり、前記ノードCとノードEの間で直列に接続される(即ち、前記フィールド発生コイル561の前記第1の端子xlpと前記アンプ部APの前記第1の入力端子xfp/第1のアンプ入力IN1との間に直列に接続される)。様々な実施例において、前記キャパシタC4及び抵抗器R2は、第1のフィルタ部キャパシタC4及び第1のフィルタ部抵抗器R2として引用され、それぞれは各第1及び第2の端子と共にここで説明したような各接続を行う。前記ノードCは、第1のフィルタ部第1ノードCと呼ばれ、前記ノードEは第1のフィルタ部第2ノードEと呼ばれる。詳細には、前記第1のフィルタ部キャパシタC4は前記第1のコイル端子xlp/第1のフィルタ部第1ノードCに接続された各第1端子と、前記第1のフィルタ部抵抗器R2の第1端子に接続された各第2端子を有する。前記第1フィルタ部抵抗器R2の前記第2端子は、前記第1のアンプ入力IN1/端子xlp/第1のフィルタ部第2ノードEに接続されることができる。
【0091】
同様に(例えばある実施例においてはフィードバックループとして特徴づけられる)前記回路経路817に関して、前記キャパシタC5及び前記抵抗器R3は、第2のフィルタ部FP2の一部であり、ノードC’とノードE’の間で直列に接続される(即ち、前記フィールド発生コイル561の前記第2の端子xlnと前記アンプ部APの前記第2の入力端子xfn/第2のアンプ入力IN2との間に直列に接続される)。様々な実施例において、前記キャパシタC5及び抵抗器R3は、第2のフィルタ部キャパシタC5及び第2のフィルタ部抵抗器R3として引用され、それぞれは各第1及び第2の端子と共にここで説明したような各接続を行う。前記ノードC’は、第2のフィルタ部第1ノードC’と呼ばれ、前記ノードE’は第2のフィルタ部第2ノードE’と呼ばれる。詳細には、前記第2のフィルタ部キャパシタC5は前記第2のコイル端子xln/第2のフィルタ部第1ノードC’に接続された各第1端子と、前記第2のフィルタ部抵抗器R3の第1端子に接続された各第2端子を有する。前記第2フィルタ部抵抗器R3の前記第2端子は、前記第2のアンプ入力IN2/端子xln/第2のフィルタ部第2ノードE’に接続されることができる。
【0092】
様々な実施例において、直列に接続された前記抵抗器R2及びキャパシタC4、及び、直列に接続された前記抵抗器R3及びキャパシタC5は、(例えばフィードバックループ構造の一部として)ハイパスフィルタ構造を生成し、これは前記アンプ部AP内の位相シフトを補償するためにチューニングされる。様々な実施例において、所望の振動が発生するようにするため、前記フィードバックループ構造が前記フィールド発生コイル561の前記コイル電圧と1より大きなゲインで同じ位相であることが望ましい。様々な実施例において、(例えば前記キャパシタC4及び前記抵抗器R2を含む)前記第1のフィルタ部FP1及び(例えば前記キャパシタC5及び前記抵抗器R3を含む)前記第2のフィルタ部FP2は、それぞれ第1の位相シフト部及び第2の位相シフト部としても択一的に特徴づけられることができる。様々な実施例において、前記キャパシタC4及びC5は可変キャパシタであることができる(これは例えば前記関係する機能に関して追加のチューニングを可能とすることができる)。
【0093】
前記抵抗器R1は前記ノードEと前記ノードE’の間に接続されている(従って前記第1の入力端子xfpと前記第2の入力端子xfnの間に接続されている)。前記抵抗器R2は前記ノードEと前記キャパシタC4の間に接続されている(従って前記第1の入力端子xfpと前記キャパシタC4の間に接続されている)。前記抵抗器R3は前記ノードE’と前記キャパシタC5の間に接続されている(従って前記第2の入力端子xfnと前記キャパシタC5の間に接続されている)。様々な実施例において、前記抵抗器R1-R3は抵抗デバイダを構成し、これは前記フィールド発生コイル561の前記コイル電圧を前記アンプ部AP(例えば前記集積回路の一部として)に戻して供給するのに使われる。前記抵抗デバイダはフィードバック信号が(例えば集積回路の前記アンプ部APに供給する)前記電力供給電圧Vddを超えないように保証するのに役立つ。従って、前記抵抗器R2及びR3は抵抗デバイダ機能として、及び(例えば前記フィルタ部FP1及びFP2に関して上記で説明したように)位相シフト機能としての両方として用いられることで特徴づけられる。
【0094】
図8に示される前記駆動回路800の前記実施例において、前記駆動回路800中の独立した回路要素の数を最小化するよりもむしろ、回路の対称性が強調されている。従って、前記駆動回路800の様々な他の例において、前記キャパシタC1、C2、C3、C4、C5及び前記抵抗器R1、R2、R3、R6、R7の様々なものが1つの回路要素に組み合わされることができる。
【0095】
様々な実施例において、前記駆動回路800は、(例えばそうでなければ邪魔する配線及び接続の寄生効果を最小限として)前記システムのより良く規定可能で安定な性能特性などを与えるために駆動される前記フィールド発生コイル561の近くにレイアウトすることができる。例えば、前記駆動回路800及びその関連するフィールド発生コイル561は、印刷回路基板、又はフレキシブル回路などのような共用部材上に集められ又は直接製造されることができる。
【0096】
前記インピーダンストランス20に関して、前記フィールド発生コイル561に対して前記直列接続され及び前記並列接続されたキャパシタ(例えば並列接続されたキャパシタC1及び直列接続されたキャパシタC2及びC3)を共に与えることによって、これらのキャパシタの容量値を選択する際に2つの自由度が与えられる。詳しくは、様々な実施例において、前記インピーダンストランス20(例えば前記共振周波数及び前記入力インピーダンスを含む)に2つの異なる自由度が存在する。従って、前記インピーダンストランス20の前記共振周波数は、(例えば図7を参照して上記で説明したような、ある原理に従って)前記インピーダンストランス20の前記インピーダンスZとは独立に規定され選択されることができる。様々な実施例において、前記インピーダンストランス20は、前記チューニングされた中央周波数よりもむしろ減衰され位相シフトされた周波数に役立ち、その結果、前記閉ループゲインは振動を前記中央周波数でのみ維持するのに十分である。
【0097】
従来のあるフィールド発生コイル駆動回路において、前記共振周波数と前記インピーダンスのどちらかが選択できるが、一度前記共振周波数又は前記インピーダンスが選択されると、前記インピーダンス又は前記共振周波数はそれぞれ固定される。従って、前記共振周波数及び前記インピーダンスを互いに独立に規定又は選択することを許すことにより、前記インピーダンストランス20はフィールド発生コイルが効率的に駆動されるのを許容する(例えばいくつかの例において、二重又は多重キャパシタの共振器と呼ばれる)。
【0098】
更に、前記インピーダンストランス20を用いて得られる前記フィールド発生コイルを横断する前記電圧は、単一のキャパシタ共振器によって得られるよりも高い。従って、前記システムの分解能が改良される。同時に、前記インピーダンストランス20の前記共振周波数はチューニングすることができるので、様々な実施例において、前記フィールド発生コイルがより効率的に駆動されるよう正弦波を前記共振周波数にチューニングして与えることができ(例えば前記スタイラス位置検出部の)前記出力は他のゆがめられた(例えば正弦波でない)波形よりも、より正確に決定される。
【0099】
更に、様々な実施例において、(前記フィールド発生コイル561に与えられるような)前記駆動信号から高調波が除去されるので、より少ない電磁照射が環境に放射される。これは前記駆動回路が、より安いコストパッケージで、よりEMF感度の高い環境に用いることを許容する。
【0100】
前記駆動回路800で、様々な実施例において、該駆動回路800の前記振動周波数は前記フィールド発生コイルの任意のドリフトを追跡することができる。従って、前記駆動回路800の前記振動は、外部に存在する振動回路によって制御される駆動回路よりもよりよく共振上にある。即ち前記発振器の前記共振周波数をセットする前記共振回路中の前記フィールド発生コイルインダクタンスを含むことによって、様々な実施例において、前記発振器は前記共振器の前記正確な周波数で最大の駆動信号を発生することができる。
【0101】
前記様々なキャパシタの前記容量値、抵抗値及びインダクタンスのような前記構成要素の値の前記許容範囲のおかげで、抵抗器及び前記フィールド発生コイルは変化することができ、上記に記載した前記原理に従って作られた任意の実際の駆動回路の前記実際の共振周波数は正確に設計された周波数でなくてもよい。しかしながら、様々な実施例において、前記駆動回路800は、(例えば前記スタイラス位置検出部などからの最強の出力信号中に結果として生じる)最も強い信号を発生する前記振動周波数を自動的に見つけることができる。
【0102】
前記駆動回路800の前記動作(例えばダブルエンド振動動作)に関連する様々な実施例において、時間にわたる前記フィールド発生コイル561の前記ネット電圧は名目上実質的に零であることができる。従って、前記フィールド発生コイル561を通して通過する電圧信号は実質的に存在しない。その結果、前記駆動回路800を用いる前記部分(例えば前記信号処理及び制御回路680の前記駆動信号発生器682中)の容量結合はごく僅かであるか存在しない。更に、前記ダブルエンド発振器の動作は(シングルエンド発振器駆動回路の実施例と比べて)同じ周波数で二倍の信号強度を与えるので、前記駆動回路800の前記ダブルエンド発振動作は、(例えば同期復調器140によって)実質的に半分の時間で同じ信号強度が得られるのを許容する。従って、前記駆動回路800の前記ダブルエンド発振動作は、効率的な、より短いサンプリングウィンドウを持つ。
【0103】
上記のように、図7の前記実施例において、前記温度依存補償部710は、前記フィールド発生コイル561と並列に接続された温度依存構成要素R711を含むことができる。同様に、図8の実施例において、前記温度依存補償部810は、前記フィールド発生コイル561と並列に接続された温度依存構成要素R811を含むことができる。
【0104】
以下に詳細に説明するように、様々な実施例において、(例えば前記フィールド発生コイルの電流/電圧に影響を与える温度変化の影響の補償に関して)温度依存補償部を含むことは特に望ましい。なぜならば、前記システムの他の構成要素/回路は、前記フィールド発生コイルの前記電圧/電流の少なくとも一部に基づいて動作するように選択/設計されているからである。例えば、前記感知コイルのある前記測定信号レベルは、前記フィールド発生コイルの異なる電圧/電流レベルの結果生じる異なる磁場/異なる磁束によって異なる方法で影響される。概して、前記フィールド発生コイルの前記電圧/電流が特定のレベルで無い時、前記フィールド発生コイルの前記特定の電圧/電流と関連して動作するように設計され、特定された前記他の回路/構成要素の前記動作/作用/結果は異なる動作(例えばいくつかの測定信号は線形の方法で応答するのに対し、例えば前記正規化感知コイル構造TNSCとBNSCのように他はそうでない)を行い、その結果異なる相対出力の結果を生じ、これは前記システムの前記性能/測定精度に影響を与える。従って、(例えば前記フィールド発生コイルの前記電流/電圧に影響を与える温度変化の前記影響を補償するために)1つ以上の温度依存補償部を含めることは、そのような問題に関して特に有利である。
【0105】
そのような問題に関して、様々な実施例において、インダクタ(例えばコイル)の前記クオリティ(Q)ファクターは、所定の周波数でのその誘導リアクタンスのその抵抗値に対する前記比によって定義され、その効率を図る手段である。前記インダクタの前記Qファクターが高くなるほど、それは理想的なインダクタの前記行動に近づく。インダクタの前記Qファクターは、ある実施例において、Q=ωL/Rであり、ここでLは前記インピーダンス、Rは前記抵抗値(例えば直流抵抗値)、前記積ωLは前記誘導リアクタンス(例えばωは動作の周波数に対応)である。この式に従って、(例えば温度の上昇などにより)前記抵抗値Rが増えると、前記Qファクターは減る。Qファクターはインダクタ及び該インダクタに接続された他の構成要素を含む回路の部分に関連しても決定される。
【0106】
様々な実施例において、前記フィールド発生コイル561の前記Qファクターは、与えられた周波数におけるその誘導リアクタンスのその抵抗値に対する前記比によって定義され、その効率を図る手段である。前記フィールド発生コイル561(及び/又は前記コイル561を含む回路の部分)の前記Qファクターが高くなるほど、それは理想的なインダクタの行動に近づく。様々な実施例において、前記フィールド発生コイル561に対する前記式Q=ωL/L(例えば図7中の表示に従う)で、前記Rは前記抵抗部24の抵抗値であり、前記Lは前記誘導部L1’の前記インダクタンスである。上記のように、この式は、(例えば温度の上昇などにより)前記抵抗値Rが増えると、前記Qファクターが対応して減ることを示している。ここに記載した様々な実施例において、Qファクターは、前記全体の信号応答にも影響するように前記フィールド発生コイル561に接続された他の構成要素を含む回路の部分によって影響され、及び/又は、他に決定される。
【0107】
様々な実施例において、ある測定プローブは、(例えば正規化ゲイン及び個別の信号に対してもさえ)温度に依存する変化を呈することが観測された。ここに記載したような測定プローブにおいて、前記温度依存信号サイズを示唆する測定は、まず最初に(例えば前記フィールド発生コイルの抵抗部に対応する前記フィールド発生コイルの銅配線抵抗値の温度依存性から)前記フィールド発生コイル561中のQファクターの変化の結果である。上記のように、前記測定プローブの前記動作の一部として、前記フィールド発生コイル561は磁場を発生するのに利用され、これは少なくとも部分的に磁束変調要素551により磁束変調され、位置感知コイル(例えば軸方向及び回転感知コイルASC及びRSC)によって感知され、前記対応する信号が正規化感知コイルNSCからの感知信号に対してスケーリング(例えば分割)される。様々な実施例において、特に言及されなければ、(前記正規化感知コイルに関する前記測定信号の)ある非線形特性との組合せで(前記フィールド発生コイル561の前記Qファクターの変化に従って変化する)前記温度依存信号サイズは、前記分割動作の前記効率を減少させ、幾つかの正規化ゲイン変化は依然として観測される。
【0108】
上記に記載した原理に従って、そのような問題は、温度依存補償部の利用を通して少なくとも部分的に言及される。例えば、様々な実施例において、前記温度依存構成要素R711とR811(例えば正の温度係数(PTC)抵抗器など)を含む図7及び図8の前記温度依存補償部710と810は、前記フィールド発生コイル561を横断する前記電圧を安定化するのに役立つことによって特徴づけられる。前記温度依存構成要素R711とR811の前記作用は、前記フィールド発生コイル561の前記動作に関する前記Qファクターを必ずしも安定化しないが、代わりに温度が上昇する時に、前記温度依存構成要素R711とR811から前記フィールド発生コイル561に流れ込む電流をシフトさせるように構成され、(例えば前記高温で前記フィールド発生コイル561の前記抵抗部の前記抵抗値の増大によって発生する)前記Qファクターの減少を補償するようにされる。前記温度依存構成要素R711とR811の温度の前記上昇による(前記温度依存構成要素R711とR811から前記フィールド発生コイル561への)この電流のシフトは、従って、(駆動回路700又は800により供給される)前記コイル駆動信号によって駆動された時に、前記温度依存構成要素R711とR811の前記特性が変化しない場合よりも(即ち前記温度依存構成要素R711とR811の前記抵抗値が温度の前記上昇によって上昇しない場合よりも)比較的多い電流が前記フィールド発生コイル561に流れ込む。
【0109】
様々な他の実施例において、温度依存補償部は、いくつかの場合、前記フィールド発生コイル561に異なる位置で接続される1以上の異なる又は他の温度依存構成要素を含むことができる。例えば、上記のように、(例えば前記抵抗器R2とR3及びキャパシタC4とC5を含む)前記フィルタ部FP1とFP2の前記フィードバックループは前記フィールド発生コイル561、及び更に前記抵抗器R1にも接続される。上記で説明した図8の前記温度依存補償部810の他の実施例において、(ある例では含まれ、又は除かれる)前記構成要素R811に加えて又は他の選択肢として、前記抵抗器R1、R2、R3及び/又は前記キャパシタC4、C5のいくつかは、前記温度依存補償部810の温度依存構成要素であることができる。例えば、1以上の前記抵抗器R1、R2、R3は、温度が上昇すると増加する特性(例えば抵抗値)を有する前記温度依存補償部810の温度依存構成要素(例えばPTC抵抗器)であることができる。更に、又は選択的に、前記温度依存補償部810の温度が上昇すると減少する特性(例えば容量値)を有する前記温度依存補償部810の温度依存構成要素(例えば負の温度係数(NTC)キャパシタ)であることができる。
【0110】
(例えば上記に記載したような前記構成要素R1、R2、R3、C4及び/又はC5のいくつかを含む)前記温度依存構成要素の前記作用は、前記フィールド発生コイル561の前記動作に関連して必ずしも前記Qファクターを安定化しないが、代わりに、温度が上昇した時に(例えば前記高温で前記フィールド発生コイル561の前記抵抗部の抵抗値の増加によって発生する)前記Qファクターの減少を補償するように前記フィルタ部FP1及びFP2の前記並列フィードバックループから前記フィールド発生コイル561中に流れる電流をシフトするように構成されることができる。(例えば上記の前記構成要素R1、R2、R3、C4及び/又はC5のいくつかを含む)前記温度依存構成要素の温度の上昇によって生じる(前記フィルタ部FP1とFP2の前記並列フィードバックループから前記フィールド発生コイル561に流れ込む)電流中のこのシフトは、(前記駆動回路700又は800によって与えられる)前記コイル駆動信号によって駆動された時に、前記温度依存構成要素(例えば前記構成要素R1、R2、R3、C4及び/又はC5のいくつかを含む)の前記特性が変化しなかった場合、(即ちもし温度の前記上昇によって構成要素R1、R2及び/又はR3の抵抗値が上昇せず、及び/又は前記キャパシタC4とC5の前記容量値が上昇せず、及び/又は、前記キャパシタC4とC5の前記容量値が減少しなかった時)より比較的多い電流を前記フィールド発生コイル561を流れさせることに注意されたい。
【0111】
(例えばPTC抵抗器のようなある温度依存構成要素があるサイズ/又は空間的な要求を有する)空間的な考慮が重要である適用分野においては、いくつかの実施例において、可能であればより少ないそのような温度依存構成要素を利用することが望ましいと考えられる。そのような適用分野において、単一の温度依存構成要素R811(例えば単一のPTC抵抗器)を含む前記温度依存補償部810の前記実施例が、より多くの温度依存構成要素(例えばそれぞれがPTC抵抗器を備えるような温度依存構成要素R1、R2及びR3を含む、及び/又はそれぞれがNTCキャパシタを備えるような前記温度依存構成要素C4とC5を含む)を含む他の実施例よりも好ましいと考えられるかもしれない。
【0112】
図9は(例えば図6の前記駆動信号発生器682中に含まれるような)駆動回路900によって駆動される前記フィールド発生コイル561の概略図であり、以下で説明する点を除き、図7の前記駆動回路700と同様の構成要素及び動作を有する。図9の前記実施例との最初の違いは、前記フィールド発生コイル561と(並列というよりむしろ)直列に接続された温度依存構成要素R911を含む温度依存補償部910を含むことである。図10は、(例えば図6の前記駆動信号発生器682中に含まれるような)駆動回路1000によって駆動される前記フィールド発生コイル561の概略図であり、以下で説明する点を除き、図8の前記駆動回路800と同様の構成要素及び動作を有する。図9と同様に、図10の前記実施例の最初の違いは、前記フィールド発生コイル561と(並列というよりもむしろ)直列に接続された温度依存構成要素R1011を含む温度依存補償部1010を含むことである。以下に詳細に説明するように、前記温度依存構成要素R911とR1011は、温度が上昇すると減少する特性(例えば抵抗値)を有する(例えば様々な実施例において、前記温度依存構成要素R911とR1011は、負の温度係数(NTC)の抵抗器であることができる)。
【0113】
様々な実施例において、前記温度依存構成要素R911とR1011(例えばNTC抵抗器ほか)を含む前記温度依存補償部910と1010は、前記フィールド発生コイル561に関して前記Qファクターを安定化するのに役立つことによって特徴づけられる。例えば、温度の上昇は、(例えば前記高温での前記フィールド発生コイル561の前記抵抗部の前記抵抗値の増加によって生じる)前記Qファクターの減少のある量を生じさせる。しかしながら、(前記フィールド発生コイル561と直列に接続された)前記温度依存構成要素R911又はR1011は、前記温度が上昇すると減少する抵抗値を有することによって前記Qファクターを安定化させるように動作する(従って、前記フィールド発生コイル561中に発生する前記抵抗値の増加に少なくとも部分的に対抗する)。温度の上昇によって生じる前記温度依存構成要素R911又はR1011の抵抗値のこの減少は、(前記駆動回路900又は1000によって与えらえる)前記コイル駆動信号によって駆動された時に、前記温度依存構成要素R911又はR1011の前記特性が変化しなかった場合(即ち温度の前記減少によって前記構成要素R911又はR1011の前記抵抗値が減少しなかった場合)よりも比較的多い電流を前記フィールド発生コイル561中に流れさせる。
【0114】
図7図10に関して上記で説明したように、(例えば前記フィールド発生コイル561を横断する)高いコイル電圧の達成を許容するインピーダンストランス20が利用される。前記インピーダンストランス20はキャパシタ(例えばキャパシタC1-C3)及びフィールド発生コイル(例えばコイル561)を含み、(例えば様々な実施例において、フィルタ部FP1とFP2のようなフィルタ部なども含む)共振部RPの少なくとも一部であることができる。様々な実施例において、3つのキャパシタ(例えばキャパシタC1-C3)が、前記駆動回路(例えば駆動回路800)を完全に差動的にするために利用される。(例えば抵抗器R1-R3を含む)抵抗デバイダが、(例えば前記フィールド発生コイル561の)前記コイル電圧を(例えば集積回路の一部としての)前記アンプ部APに戻すのに利用される。前記抵抗デバイダは前記フィードバック信号が(前記集積回路の)前記電力供給電圧を超えることがないことを保証するように利用される。
【0115】
様々な実施例において、(例えば直列の抵抗器R2とキャパシタC4を、及び、直列の抵抗器R3とキャパシタC5を含む)抵抗器-キャパシタ接続は、前記アンプ部AP中の位相シフトを補償するようにチューニングされるハイパスフィルタ構造を(例えばフィードバックループ構造の一部として)生成させる。様々な実施例において、所望の発振が発生するように、前記フィードバックループ構造は、1よりも大きなゲインで(例えば前記フィールド発生コイル561の)前記コイル電圧と位相がほぼ一致しなければならない。様々な実施例において、(例えば抵抗器R6及びR7の)ある抵抗値は、端子(例えば前記フィールド発生コイル561の端子xlp及びxln)を(グラウンドとの接続が無く前記端子の電圧が電荷の蓄積に従って変動し、前記駆動回路が前記発振電圧を前記フィールド発生コイルに与えるように動作しない時のように)フローティングから維持する。前記駆動回路の周波数は、構成要素によって、(例えば前記関係するキャパシタ及び抵抗器の前記値に従って)(例えば低ノイズを達成する)自己共振マナーで前記駆動回路の周波数がセットされることができる。
【0116】
図11A及び図11Bは、トップ感知コイル構造TSCCとボトム感知コイル構造BSCCの接続の実施例をそれぞれ示す図である。様々な実施例において、図11A及び図11Bの前記コイルは、(例えば図6などに関して)ここに先に記載したと同様の引用数字/文字を有する前記コイルに対応する。図11A及び図11Bに示されるように、コネクタ要素J7及びJ8は、接続を可能とするための接続点/構造を与えるように構成され、前記様々な接続は接続ノード1T-8T及び1B-8Bに対応するものとして示されている(例えばいくつかの実施例において、以下に詳細に説明するように回路ノードと呼ばれ、様々な感知コイルがその間で接続される)。
【0117】
図11Aに示されるように、トップ感知コイル接続構造1100Aに従って、前記トップ感知コイル構造TSCCはトップ位置感知コイル構造TPSCCとトップ正規化感知コイル構造TNSCCを含む。前記トップ位置感知コイル構造TPSCCは、トップ回転感知コイル構造TRSCC及びトップ軸方向感知コイル構造TASCCを含む。前記トップ回転感知コイル構造TRSCCは、トップ回転感知コイルTRSC1、TRSC2、TRSC3及びTRSC4を含む。前記トップ軸方向感知コイル構造TASCCはトップ軸方向位置コイルTASCを含む。前記トップ位置感知コイル構造TPSCCの前記コイルTRSC1、TRSC2、TRSC3及びTRSC4及びTASCは、全てトップ位置感知コイルとして特定される。前記トップ正規化感知コイル構造TNSCCは、トップ正規化感知コイルTNSCを含む。
【0118】
図11Aの例において、前記感知コイルのそれぞれは誘導部及び抵抗部を共に含むように示される。例えば、前記トップ回転感知コイルTRSC1、TRSC2、TRSC3、及びTRSC4は、誘導部LT1、LT2、LT3、LT4、及び抵抗部RT1、RT2、RT3、RT4をそれぞれ含むように示されている。前記トップ軸方向感知コイルTASCは、誘導部LTAと抵抗部RTAを含む。前記トップ正規化感知コイルTNSCは、誘導部LTNと抵抗部RTNを含む。
【0119】
様々な実施例において、前記トップ回転感知コイルTRSCは様々な方法及び/又は様々な場所(例えば図6の増幅/スイッチング部683の中で、又は前記コイルの前記回路領域の中で、又はそのような結合がなされる任意の他の場所)で互いに結合される。
【0120】
図11Aの例において、前記トップ回転感知コイルTRSC3及びTRSC4は前記ノード1Tと2Tの間で直列に接続され、前記トップ回転感知コイルTRSC1とTRSC2は、前記ノード3Tと4Tの間で直列に接続される。前記トップ正規化感知コイルTNSCは、前記ノード7Tと8Tの間で接続される。標準的な従来技術に従って、各コイルは2つの端子を持つことができ、前記ノードへの前記感知コイルの接続は各感知コイルの端子が各ノードにそれぞれ接続されることに対応する。
【0121】
図11Bに示されるように、ボトム感知コイル接続構造1100Bに従って、前記ボトム感知コイル構造BSCCはボトム位置感知コイル構造BPSCCとボトム正規化感知コイル構造BNSCCを含む。前記ボトム位置感知コイル構造BPSCCは、ボトム回転感知コイル構造BRSCC及びボトム軸方向感知コイル構造BASCCを含む。前記ボトム回転感知コイル構造BRSCCは、ボトム回転感知コイルBRSC1、BRSC2、BRSC3及びBRSC4を含む。前記ボトム軸方向感知コイル構造BASCCはボトム軸方向位置コイルBASCを含む。前記ボトム位置感知コイル構造BPSCCの前記コイルBRSC1、BRSC2、BRSC3及びBRSC4及びBASCは、全てボトム位置感知コイルとして特定される。前記ボトム正規化感知コイル構造BNSCCは、ボトム正規化感知コイルBNSCを含む。
【0122】
図11Bの例において、前記感知コイルのそれぞれは誘導部及び抵抗部を共に含むように示される。例えば、前記ボトム回転感知コイルBRSC1、BRSC2、BRSC3、及びBRSC4は、誘導部LB1、LB2、LB3、LB4、及び抵抗部RB1、RB2、RB3、RB4をそれぞれ含むように示されている。前記ボトム軸方向感知コイルBASCは、誘導部LBAと抵抗部RBAを含む。前記ボトム正規化感知コイルBNSCは、誘導部LBNと抵抗部RBNを含む。
【0123】
様々な実施例において、前記ボトム回転感知コイルBRSCは、様々な方法及び/又は様々な位置(例えば図6の増幅/スイッチング部683内で、又は前記コイルの前記回路領域内で直接、又はそのような接続が行われる任意の他の位置)で互いに接続される。図11Bの例では、前記ボトム回転感知コイルBRSC3及びBRSC4が前記ノード1Bと2Bの間で直列に接続され、前記ボトム回転感知コイルBRSC1とBRSC2が前記ノード3Bと4Bの間で直列に接続される。前記ボトム軸方向感知コイルBASCは前記ノード5Bと6Bの間で接続される。前記ボトム正規化感知コイルBNSCは、前記ノード7Bと8Bの間で接続される。標準的な従来技術に従って、各コイルは2つの端子を有し、前記感知コイルの前記ノードへの接続は各感知コイルの端子が各ノードにそれぞれ接続されることに対応する。
【0124】
図12は、図11A及び図11Bのトップ及びボトム感知コイル間の信号線及び接続を有する感知コイル接続構造1200を示す図である。感知コイル構造SCCは、前記トップ感知コイル構造TSCCと前記ボトム感知コイル構造BSCCの前記感知コイルを含んでいる。図12に示すように、図11A及び図11Bに示される接続に従って、前記トップ回転感知コイルTRSC3が信号線XCOMによって前記ボトム回転感知コイルBRSC3と直列に接続されるように、前記ノード2Tは前記信号線XCOMにより前記ノード2Bに接続される。図11A及び図11Bに示される前記接続に関して、更に、前記トップ回転感知コイルTRSC3の前記反対側は、前記トップ回転感知コイルTRSC4に接続され(即ち、前記コイルTRSC3とTRSC4が直列に接続され)、これに対して前記トップ回転感知コイルTRSC4の前記反対側が前記ノード1Tに接続され、これに対して前記ノード1Tは対応して信号線XPに接続されている。同様に、前記ボトム回転感知コイルBRSC3の前記反対側(即ち、前記ノード2Bに接続されていない側)は、前記ボトム回転感知コイルBRSC4に接続され(即ち、前記コイルBRSC3とBRSC4が直列に接続され)、これに対して前記ボトム回転感知コイルBRSC4の前記反対側が前記ノード1Bに接続され、これは図12中に信号線XNに接続されるように図示されている。
【0125】
同様に、前記ノード4Tは図11A及び図11Bに示される前記接続に従って、信号線YCOMで前記ノード4Bに接続され、対応して前記トップ回転感知コイルTRSC1が前記信号線YCOMによって前記ボトム回転感知コイルBRSC1に直列に接続される。図11Aに示すように、前記トップ回転感知コイルTRSC1は前記トップ回転感知コイルTRSC2と直列に接続され、前記トップ回転感知コイルTRSC2の前記反対側は前記ノード3Tに接続され、これは信号線YPに接続されている。図11Bに示されるように、前記ボトム回転感知コイルBRSC1は前記ボトム回転感知コイルBRSC2と直列に接続され、前記ボトム回転感知コイルBRSC2の前記反対側は前記ノード3Bに接続され、これは信号線YNに接続されている。
【0126】
図12に更に示されるように、前記ノード6Tは信号線ZCOMで前記ノード6Bに接続されている。図11A及び図11Bに示される前記接続に従って、これは前記信号線ZCOMによって前記ボトム軸方向感知コイルBASCと直列に接続された前記トップ軸方向感知コイルTASCに対応する。図11Aに示されるように、前記トップ軸方向感知コイルTASCの前記反対側は前記ノード5Tに接続され、これは信号線ZPに接続されている。図11Bに示すように、前記ボトム軸方向感知コイルBASCの前記反対側は前記ノード5Bに接続され、これは図12中に示すように、信号線ZNに接続されている。
【0127】
図12中に更に示すように、前記ノード8Tは信号線NCOMによって前記ノード8Bに接続されている。図11A及び図11Bに示される前記接続に従って、これは前記信号線NCOMによって前記ボトム正規化感知コイルBNSCと直列に接続された前記トップ正規化感知コイルTNSCに対応する。図11Aに示すように、前記トップ正規化感知コイルTNSCの前記反対側は前記ノード7Tに接続され、これは図12中に示すように信号線NPに接続されている。図11Bに示すように、前記ボトム正規化感知コイルBNSCの前記反対側は、前記ノード7Bに接続され、これは図12中に示されるように、信号線NNに接続されている。
【0128】
図12に示される前記信号線XP、YP、ZP、NP、XN、YN、ZN、NNに従って、様々な実施例において、上記式(5)-(7)は次式に対応する。
【0129】
ΔZ=[(ZP-ZN)/(NP-NN)]の関数 (8)
ΔX=[(XP-XN)]/[(NP-NN)]の関数 (9)
ΔY=[(YP-YN)]/[(NP-NN)]の関数 (10)
【0130】
そのような数式中の符号は、(例えば差動測定及び/又は前記コイルの前記極性に関して)標準的な従来技術に従っていることに注意されたい。図13図18を参照して以下に詳細に説明するように、ここに開示された原理に従って、温度依存補償部は(例えばある改良された信号効果を達成するために)図12の信号線に含まれる温度依存構成要素を含み、及び/又は、前記あるノード間に接続されることができる。
【0131】
図13はトップ感知コイル及びボトム感知コイル間に直列に接続された温度依存構成要素を含む感知コイル接続構造1300を示す図である。詳細には、図13の前記構造は、トップ感知コイルTSCと、ボトム感知コイルBSCと、温度依存補償部1310と、測定部MEASを含む。前記トップ感知コイルTSCは誘導部LTと抵抗部RTを含み、前記ボトム感知コイルBSCは誘導部LBと抵抗部RBを含む。電圧VTは、前記トップ感知コイルTSC中のの誘導電流から生じ、電圧VBは、前記ボトム感知コイルBSC中の誘導電流から生じる(図6の前記フィールド発生コイル561からの磁場/変化する磁束から生じる前記誘導電流であって、磁束変調要素551によって磁束変調されたものを含む)。
【0132】
測定回路部MEASは抵抗部RICを含み、これは前記誘導電圧VBとVT間の差に対応する差動電圧を有する。電圧測定値VMEASは、前記対応する抵抗部RICの前記2つの端子間にわたって測定されることができる。
【0133】
前記温度依存補償部1310は(例えば前記温度に従って前記抵抗値が変化し、いくつかの実施例では温度依存ゲイン抵抗器と呼ばれる温度依存性を有する抵抗器である)温度依存構成要素RGを含む。図14及び図15を参照して以下に詳細に説明するように、前記トップ感知コイルTSCと前記ボトム感知コイルBSC間の前記温度依存構成要素RGの接続は、図12の前記信号線XCOM、YCOM、ZCOM、NCOMの1つの中で接続された温度依存構成要素に対応することができる。
【0134】
図14は3つの温度依存補償部1410、1420及び1430(例えばそれぞれは図13の前記温度依存補償部1310と同様である)で改良した図12の前記接続を含む感知コイル接続構造1400を示す図である。図14に示すように、前記温度依存補償部1410は、前記信号線ZCOM中に含まれる温度依存構成要素RGAを含む。前記温度依存補償部1420は、温度依存構成要素RG12を含み、前記温度依存補償部1430は、前記信号線YCOM及びYCOMにそれぞれ含まれる温度依存構成要素RG34を含む。図12に関連して上記に説明した前記接続に従って、図14の前記構造は、前記トップ軸方向感知コイルTASC及び前記ボトム軸方向感知コイルBASCと直列に接続された前記温度依存構成要素RGAに対応し、前記温度依存構成要素RG12は前記トップ回転感知コイルTRSC1及び前記ボトム回転感知コイルBRSC1間で直列に接続され、前記温度依存構成要素RG34は、前記トップ回転感知コイルTRSC3と前記ボトム回転感知コイルBRSC3の間で直列に接続されている。
【0135】
様々な実施例において、前記温度依存構成要素RGA、RG12、RG34のそれぞれは、温度が上昇すると前記抵抗値が減少する特性を備えた温度依存性抵抗器であることができる。例えば、前記温度依存構成要素RGA、RG12及びRG34のそれぞれは、負の温度係数(NTC)の抵抗器であることができる。そのような構造に従えば、前記温度依存構成要素RGA、RG12、RG34のそれぞれで温度が上昇すると、前記抵抗値は各前記温度依存構成要素RGA、RG12、RG34の中で減少する。そのような結果は、前記信号線ZCOM、YCOM、及びXCOM、従って、前記各信号線ZCOM、YCOM、XCOMによって接続されたコイル中を比較的より多くの電流が流れる結果となる。これに対して、図14の構造において、前記信号線NCOMは温度依存構成要素を含まないことに注意されたい。その結果、前記信号線NCOMを通って流れる電流の量は、温度の変化によってより少なく影響され、これにより前記信号線NCOM中を流れる電流に対する前記信号線ZCOM、YCOM、XCOMのそれぞれを流れる電流の比は増加する。
【0136】
例えば、前記温度依存構成要素RGAの温度の上昇による前記温度依存構成要素RGAの前記特性の変化(例えば前記抵抗値の減少)は、前記信号線NCOM中の電流に対する前記信号線ZCOM中の前記電流の比を増加させる(即ち、ここで前記信号線ZCOMを流れる前記電流は、前記軸方向感知コイルTASCとBASC中にあり、図11A及び図11Bに図示された前記接続に従って、前記信号線NCOMを流れる前記電流は、前記正規化感知コイルTNSCとBNSC中の前記電流である)。同様に前記温度依存構成要素RG12の温度の上昇による前記温度依存構成要素RG12の前記特性の変化(例えば前記抵抗値の減少)は、前記信号線NCOM中の電流に対する前記信号線YCOM中の電流の比を増加させる(即ち、前記信号線YCOMを流れる前記電流は、図11A及び図11Bに示される前記接続に従って、前記放射感知コイルTSRC1、TSRC2、BRSC1、BRSC2の中にあり、前記信号線NCOMを流れる前記電流は前記正規化感知コイルTNSCとBNSC中の前記電流である)。同様に前記温度依存構成要素RG34の温度の上昇による前記温度依存構成要素RG34の前記特性の変化(例えば前記抵抗値の減少)は、前記信号線NCOM中の電流に対する前記信号線XCOM中の電流の比を増加させる(即ち、前記信号線XCOMを流れる前記電流は、図11A及び図11Bに示される前記接続に従って、前記放射感知コイルTSRC3、TSRC4、BRSC3、BRSC4の中にあり、前記信号線NCOMを流れる前記電流は前記正規化感知コイルTNSCとBNSC中の前記電流である)。
【0137】
ここに述べたように、前記回転及び軸方向感知コイルからの前記信号は、前記信号処理の一部として、前記正規化感知コイルからの前記信号にスケーリング(例えば分割)される。様々な実施例において、図14の前記温度依存補償部によって生じる前記効果は、(例えば前記正規化感知コイルの前記信号に関して)前記回転及び軸方向感知コイルの前記信号の前記相対的なゲインの増加によって特徴づけられる。様々な実施例において、そのような効果は前記回路中で観察される効果に対抗するのに利用され、これにより、温度上昇は(例えば前記回転及び軸方向感知コイルの負のゲインとしてあらわされる前記正規化されたゲインに対応して)温度依存変化の結果となる。前記温度依存補償部を、そうでなければ発生するそのような温度依存の影響を補償するのに利用することによって、前記処理された位置信号及び前記システムの前記全体の精度が向上する。
【0138】
図15は、(例えば図13の前記温度依存補償部1310と同様であることができる)温度依存補償部1510によって改良された図12の前記接続を含む感知コイル接続構造1500を示す図である。図15中に示されるように、前記温度依存補償部1510は前記信号線NCOM中に含まれるような温度依存構成要素RGNを含む。様々な実施例において、前記温度依存構成要素RGN(例えばPTC抵抗器など)は、温度が上昇すると増加する特性(例えば抵抗値)を有する。対応して温度が上昇し、前記温度依存構成要素RGNの前記抵抗値が増加すると、前記信号線NCOLを通して(即ち図11A及び図11Bで示される前記接続に従って、対応する前記正規化コイルTNSCとBNSC中を)比較的少ない電流が流れる。
【0139】
図15の前記実施例では、前記信号線XCOM、YCOM及びZCOMは温度依存構成要素を含まないので、前記信号線NCOM中の電流の前記減少は、前記信号線NCOM中の前記電流に対する前記信号線ZCOM、YCOM、XCOM中の電流のそれぞれの比の増加をもたらす。図14を参照して既に説明したように、これは前記正規化感知コイル中の前記電流に対する前記軸方向及び回転感知コイル中の前記電流の比の増加に対応する。詳細には、前記温度依存構成要素RGNの温度の上昇による前記温度依存構成要素RGNの前記特性の変化(例えば前記抵抗値の増加)は、前記信号線NCOM中の電流に対する前記信号線XCOM、YCOM、ZCOM中の前記電流の比を増加させる(ここで、前記信号線XCOM、YCOM、ZCOMを流れる前記電流は、図11A及び図11Bに示されるような前記接続に従って前記各位置感知コイル中にあり、前記信号線NCOMを通って流れる前記電流は、前記正規化感知コイルTNSC及びBNSC中の前記電流である)。これは、図14に関して上記で説明したと同様の結果を達成し、前記温度依存補償部を利用することによって、そうでなければ発生する温度依存効果を補償し、前記処理された位置信号及び前記システムの前記全体の精度が向上する。
【0140】
(例えば前記回転感知コイル対前記軸方向感知コイルに関して、前記ゲインの温度の前記効果が前記回転感知コイルに対して前記軸方向感知コイルよりも大きい場合のように)異なる値/抵抗値を有する温度依存構成要素を利用するのが望ましい実施例においては、図14の前記構造が好ましいかも知れない。例えば、図14の構造において、温度依存構成要素RG12とRG34は前記温度依存構成要素RGAよりも異なる抵抗値を有するものとして利用される。逆に、図15の前記構造(及び/又は図14図15の前記構造の組合せ)は、ある他の適用分野(例えばより少ない数の温度依存構成要素を利用し、及び/又は、温度依存構成要素のあるタイプがサイズ、利用可能性、コストなどによって変化する場合)において好ましいかも知れない。
【0141】
図16は、図13と同様の温度依存補償部1310Aを含む感知コイル接続構造1600を示す図であり、更に、少なくとも1つが温度依存補償部である補償部1610T及び1610Bを追加して含む。図16において、ある構成要素は図13のそれと同様であり、以下に異なる説明をする点を除き、同様に動作すると理解される。図16において、前記トップ感知コイルは、前記トップ軸方向感知コイル構造TASCCの前記トップ軸方向感知コイルTASCとして特に指定され、前記誘導部LTA及び前記抵抗部RTAを含む。同様に、前記ボトム感知コイルは、前記ボトム軸方向感知コイル構造BASCCの前記ボトム軸方向感知コイルBASGとして特に指定され、前記誘導部LBAと前記抵抗部RBAを含む。
【0142】
(例えば図11A及び図11B中に示された前記接続に従って)前記トップ軸方向感知コイルTASCは、前記ノード5Tと6Tの間に接続されて示され、前記ボトム軸方向感知コイルBASCは、前記ノード5Bと6Bの間に接続されて示されている。前記対応する温度依存補償部1310Aは、前記温度依存構成要素RGAを含むものとして示されている(これは図14に関して上記で説明したと同様の作用で理解される)。上記のように、図16は、又、構成要素ROFFTAとROFFBAをそれぞれ含む補償部1610Tと1610Bを含むものとしても示されている。様々な実施例において、前記補償部1610T又は1610Bの少なくとも1つは温度依存補償部であり、これに対して、少なくとも1つの前記構成要素ROFFTA又はROFFBAが対応する温度依存構成要素である。
【0143】
例えば1つの実施例において、温度依存補償部1610Bは温度依存構成要素ROFFBAを含むことができ、これは前記温度依存構成要素の温度の上昇によって減少する特性(例えば抵抗値)を有する(例えばNTC抵抗器など)。そのような1つの構造において、前記補償部1610Tは、「通常の」抵抗器である構成要素ROFFTAを含むことができる。その結果、温度が上昇すると、前記温度依存構成要素ROFFBAの前記抵抗値は減少し、その結果、前記温度依存構成要素ROFFBAを通して前記構成要素ROFFTAを通って流れる前記電流に比べて比較的多い電流が流れる。前記構成要素ROFFBAとROFFTAは前記軸方向コイルBASG及びTASGとそれぞれ並列に接続されているので、この効果は、(例えば前記構成要素ROFFTAと前記コイルBASC間、及び、前記構成要素ROFFTAと前記コイルTASC間の電流の前記分割により)前記トップ正規化感知コイルTASC中を流れるよりも比較的少ない電流が前記ボトム軸方向感知コイルBASC中を流れる結果となる。
【0144】
詳細には、前記軸方向感知コイルBASCとTASCのそれぞれの中の所定の誘導信号に対して、温度の上昇は前記ボトム軸方向感知コイルBASCを通る前記電流に対する前記トップ軸方向感知コイルTASCを通る前記電流の比を増加させる。この効果は、前記測定プローブ中での温度上昇に関連して、まず前記Z方向に発生することが観測される温度依存オフセットを補償することを意図している。様々な実施例において、このオフセットは(例えば前記測定プローブの前記材質の)材料熱膨張によって発生するものとして特徴づけられ、様々な実施例において、前記測定プローブの前記感知構造から発生する何らかの寄与も有することができる。図16中に示される温度依存補償部の利用を通って、前記測定プローブで観測された前記温度依存位置オフセットに対する補償が与えられる。図16の前記構造の他の実施例として、温度依存補償部1610Tは温度依存構成要素ROFFTAを含むことができ、これは前記で説明した構造と同様に、温度の上昇によって増加する特性(例えば抵抗値)を持ち(例えばPCT抵抗器)、温度と共に増加した時に、前記ボトム軸方向感知コイルBASCの前記電流に対する前記トップ軸方向感知コイルTASCの電流の前記比を増加させる。
【0145】
図17は、図14のそれらと同様の温度変化補償部1410、1420、1430を含む感知コイル接続構造1700を示す図であり、(図16のそれらと同様に)更に補償部1710Tと1710Bを追加で含み、少なくともその1つは温度依存補償部であることができる。図18は、(図16のそれらと同様に)補償部1810Tと1810Bを含む感知コイル接続構造1800を示す図であり、少なくともその1つは温度依存補償部であることができる。図17及び図18の構造は、図12中に示された前記接続に適用されたように、図16の少なくとも部分に関する実施例として理解される。従って、図17及び図18の構成要素及び動作は、以下に違う説明をしたところを除き、図16の前記説明に従って理解される。
【0146】
図17に示されるように、補償部1710Tは前記ノード5Tと6T間に接続された(従って前記軸方向コイルTASCと並列に接続された)構成要素ROFFTAを含み、補償部1710Bは前記ノード5Bと6B間に接続された(従って前記軸方向コイルBASCと並列に接続された)構成要素ROFFBAを含む。前記構成要素1710Tと1710Bの前記動作は、上記で説明した図16の前記構成要素1610Tと1610Bの前記動作に対応するものとして理解される。前記温度依存構成要素RGA、RG12、RG34の前記動作は、上記で説明した図14の前記対応する構成要素の前記動作に従って理解される。
【0147】
詳細には、上記した前記の例に従って、温度依存補償部1710Tは、温度依存構成要素ROFFBAを含むことができ、これは、温度の上昇によって減少する特性(例えば抵抗値)を有し(例えばNTC抵抗器)、これは前記ボトム軸方向感知コイルBASC中の前記電流に対する前記トップ軸方向感知コイルTASC中の電流の前記比が温度と共に増加する結果をもたらす。他の実施例において、温度依存補償部1710Tは、温度依存構成要素ROFFTAを含むことができ、これは上記で説明した前記構造と同様に、温度の上昇によって増加する特性(例えば抵抗値)を有し(例えばPTC抵抗器)、これは前記ボトム軸方向感知コイルBASC中の前記電流に対する前記トップ軸方向感知コイルTASCの電流の前記比が温度と共に増加する結果をもたらす。
【0148】
図18の前記構造は、前記各信号線ZCOM、YCOM、XCOM中に前記温度依存構成要素RGA、RG12、RG34が含まれない点を除き、図17の前記構造と同様であると理解される。従って、図18は、図16及び図17に関して上記で説明したように、前記補償部1710Tと1710Bが前記構成要素ROFFTAとROFFBAのみを含む構造として示している。そのような構造は、最初の目標が(例えば前記Z方向の)温度依存オフセットに向けられて利用され、これにより、(例えば図17中の前記温度依存構成要素RGA、RG12、RG34によって少なくとも部分的に言及されたような)任意の温度依存ゲインの問題が比較的低い関心及び/又は他の技術によって言及される。
【0149】
図19は、ここに開示した原理に従って構成された測定プローブを動作させるための方法1900の一例を示すフロー図である。ブロック1910で、少なくとも1つのフィールド発生コイルを備えたフィールド発生コイル構造に変化する磁束を発生するコイル駆動信号が与えられる。様々な実施例において、ここに記載された原理に従って、温度依存補償部の温度依存構成要素は、前記温度依存構成要素の温度の上昇による前記温度依存構成要素の特性の変化が、前記コイル駆動信号によって駆動された時に、前記温度依存構成要素が変化しなかった場合に比べて、比較的多くの電流を通すように、前記フィールド発生コイル構造のフィールド発生コイルに接続される。
【0150】
ブロック1920で、感知コイル構造の感知コイルからの信号が受信される。様々な実施例において、ここに記載した原理に従って、温度依存補償部の温度依存構成要素は、前記感知コイル構造の少なくとも一部に接続される。前記温度依存構成要素の温度の上昇による前記温度依存構成要素の特性の変化が、前記感知コイル構造中の少なくとも1つの第1の感知コイル及び少なくとも1つの第2の感知コイル中にそれぞれ存在する第1及び第2の電流における、前記第2の電流に対する前記第1の電流の比を増大させる。ブロック1930で、前記感知コイル構造の前記感知コイルからの前記受信信号の少なくとも一部に基づいて感知された位置を示す(例えばプローブチップなどの軸方向位置及び回転位置を示す)信号が与えられる。
【0151】
図1図19に見つけられる参照符号を付けられた様々な様相及び要素を有する現在の開示の様々な実施形態について以下に説明する。前記参照符号は実施例を示すために加えられており、前記様相及び要素は、図1図19中に示された前記特定の実施例に限定されない。
【0152】
(例えば少なくとも部分的に図1図6図11A図11Bなどで)上記に説明したように、様々な実施例において、スタイラス位置検出部はフィールド発生コイル構造560及び感知コイル構造SCCを含む。前記フィールド発生コイル構造は、少なくとも1つのフィールド発生コイル561を備えている。前記感知コイル構造は、(例えばトップ位置感知コイル構造TPSCCに含まれているような)トップ位置感知コイルと、(例えばトップ正規化感知コイル構造TNSCCに含まれているような)少なくとも1つのトップ正規化感知コイルTNSCと、(例えばボトム位置感知コイル構造BPSCCに含まれているような)ボトム位置感知コイルと、(例えばボトム正規化感知コイル構造BNSCCに含まれているような)少なくとも1つのボトム正規化感知コイルBNSCを備えている。前記トップ位置感知コイルは、(例えばトップ軸方向感知コイル構造TASCCに含まれているような)少なくとも1つのトップ軸方向感知コイルTASCと、少なくとも4つのトップ回転感知コイルTRSC1-TRSC4を備えている。前記ボトム位置感知コイルは、(例えばボトム軸方向感知コイル構造BASCCに含まれているような)少なくとも1つのボトム軸方向感知コイルBASCと、少なくとも4つのボトム回転感知コイルBRSC1-BRSC4を備えている。前記感知コイル構造SCCにそれぞれ含まれるように、通常、トップ感知コイル構造TSCCは、前記トップ位置感知コイル(例えばTASC、TRSC1-TRSC4)を含むようなトップ感知コイルと、前記少なくとも1つのトップ正規化感知コイル(例えばTNSC)を含み、ボトム感知コイル構造BSCCは、前記ボトム位置感知コイル(例えばBASC、BRSC1-BRSC4)を含むようなボトム感知コイルと、前記少なくとも1つのボトム正規化感知コイル(例えばBNSC)を含んでいる。
【0153】
様々な実施例において、磁束変調構造(例えば350、450、550、550’)は、磁束変調領域を与える導電磁束変調要素(例えば351、451、551、551’)を備えている。ここで、前記磁束変調要素は磁束変調運動体積MV中で前記中心軸CAに沿って位置しており、前記磁束変調要素は(例えば結合構造553によって)前記スタイラスサスペンション部に結合されている。前記磁束変調要素は前記スタイラスサスペンション部の振れ(例えば前記磁束変調要素は前記軸方向運動に応じて前記軸方向に沿って+/-Rzの動作運動範囲にわたって動き、前記回転運動に対応して前記軸方向に直交する直交X及びY方向に沿って、+/-Rx及び+/-Ryの各動作運動範囲にわたって動く)に応じて振れていない位置UNDFに対して前記磁束変調運動体積中を動く。前記フィールド発生コイル構造(例えば360、460、560)は、駆動信号発生器682の駆動回路(例えば700、800、900、1000)によって与えられるようなコイル駆動信号に応じて、前記磁束変調運動体積MV中でほぼ前記軸方向に沿って変化する磁束を発生する。
【0154】
上記のように(例えば図7図10に関して少なくとも部分的に)、様々な実施例において、前記温度依存補償部(例えば710、810、910、1010)は、温度依存構成要素(例えばR711、R811、R911、R1011)を備え、ここで前記温度依存構成要素は前記フィールド発生コイル構造560のフィールド発生コイル561に結合され、前記温度依存構成要素の温度の上昇による前記温度依存構成要素の特性の変化が、前記コイル駆動信号により駆動された時に、前記温度依存構成要素の前記特性が変化しなかった場合に比べて前記フィールド発生コイルを通して比較的より多くの電流が流れるようにされる。様々な実施例において、前記温度依存構成要素は前記フィールド発生コイル構造560と並列に接続されるか又は直列に接続される一方であることができる。様々な実施例において、前記温度依存構成要素は前記フィールド発生コイルに並列に接続される、前記温度が上昇すると前記抵抗値が増大する正の温度係数(PTC)抵抗器であることができる。
【0155】
様々な実施例において、前記フィールド発生コイル561は第1及び第2のコイル端子xlp及びxlnを有し、前記測定プローブは前記第1及び第2のコイル端子に接続された共振回路部(例えばRCP)を備えている。前記共振回路部は、少なくとも第1の共振回路部構成要素(例えばC1又はC1’)と第2の共振回路部構成要素(例えばC2又はC2’)を備えており、ここで前記第1の共振回路部構成要素は第1の共振回路部ノードAと第2の共振回路部ノードBの間に接続され、前記第1の共振回路部ノードは、少なくとも前記第2の共振回路部構成要素によって前記第1のコイル端子から分離されることができる。様々な実施例において、前記共振回路部は、更に、第3の共振回路部構成要素(例えばC3)を備えることができ、ここで前記第2の共振回路部ノードは、少なくとも前記第3の共振回路部構成要素によって前記第2のコイル端子から分離されることができる。
【0156】
様々な実施例において、前記第1の共振回路部構成要素は、前記第1及び第2の共振回路部ノードに接続された第1の共振回路キャパシタC1を備えている。前記第2の共振回路部構成要素は、各第1の端子が前記第1の共振回路部ノードに接続され、各第2の端子が前記第1のコイル端子に接続された第2の共振回路キャパシタC2を備えている。前記第3の共振回路部構成要素は、各第1の端子が前記第2の共振回路部ノードに接続され、各第2の端子が前記第2のコイル端子に接続された第3の共振回路キャパシタC3を備えている。
【0157】
様々な実施例において、アンプ部(例えばAP又はAP’)は、前記第1及び第2の共振回路部ノードに接続され、前記アンプ部は動作に際して出力インピーダンスを有する。前記アンプ部は前記第1及び第2の共振回路部ノードに振動する駆動信号を与えるように構成されることができる。前記アンプ部APは、第1及び第2のアンプ入力(例えばIN1及びIN2)及び第1及び第2のアンプ出力(例えばOUT1及びOUT2)を備え、前記第1のアンプ出力が前記第1の共振回路部ノードに接続され、前記第2のアンプ出力が前記第2の共振回路部ノードに接続されている。
【0158】
様々な実施例において、第1のフィルタ部FP1は前記第1のコイル端子及び前記アンプ部の前記第1のアンプ入力に接続され、前記第2のフィルタ部FP2は前記第2のコイル端子及び前記アンプ部の前記第2のアンプ入力に接続されることができる。様々な実施例において、前記第1のフィルタ部は、第1のフィルタ部キャパシタC4と、前記第1のコイル端子と前記第1のアンプ入力間で直列に接続された第1のフィルタ部キャパシタC4と第1のフィルタ部抵抗器R2を備え、前記第2のフィルタ部は、前記第2のコイル端子と前記第2のアンプ入力間で直列に接続された第2のフィルタ部キャパシタC5と第2のフィルタ部抵抗器R3を備えている。
【0159】
様々な実施例において、前記信号処理及び制御回路680は、前記プローブチップ(例えば448、548)の軸方向位置及び回転位置を示す前記信号(例えばAPSOut及びRPSOut)を決定するために前記正規化感知コイル(例えばNSC)からの信号により前記軸方向及び回転感知コイル(例えばASC及びRSC)からの信号を分配するように構成されている。
【0160】
様々な実施例において、座標測定機用に前記測定プローブを動作するための方法(例えば1900)が与えられる。ここで、前記方法は、前記少なくとも1つのフィールド発生コイルに変化する磁束を発生させるように、前記フィールド発生コイル構造にコイル駆動信号を与え(例えば1910)、ここで、温度依存補償部の温度依存構成要素は前記フィールド発生コイル構造のフィールド発生コイルに接続されて、前記温度依存構成要素の温度の上昇による前記温度依存構成要素の特性の変化が、前記コイル駆動信号によって駆動された時に、前記温度依存構成要素の前記特性が変化しなかった場合に比べて前記フィールド発生コイル中を通して比較的より多くの電流が流れるようにし、前記感知コイル構造の感知コイルからの信号を受信する(例えば1920)。様々な実施例において、前記方法は、更に、前記感知コイル構造の前記感知コイルからの前記受信信号の少なくとも一部に基づいて感知位置を示す信号(例えばAPSOut及びRPSOut)を与える(例えば1930)ことを含むことができる。
【0161】
様々な実施例において、感知位置を示す前記信号の決定は、前記正規化感知コイル(例えばNSC)からの信号によって前記軸方向及び回転感知コイル(例えばASC、RSC)からの分配を備えることができる。様々な実施例において、前記温度依存構成要素(例えばR711、R811)は、前記温度が上昇すると前記抵抗値が増える正の温度係数の抵抗器であることができ、これは前記フィールド発生コイル561と並列に接続され、前記正の温度係数の抵抗器中の電流に対する前記フィールド発生コイル中の電流の比は、前記正の温度係数の抵抗器の前記温度が上昇すると増加する。
【0162】
様々な実施例において、(例えば図1図19のいずれかに関して)図示され、ここに説明した温度依存構成要素は、温度依存性を有する抵抗器であることができ、その変化する特性は前記温度依存性を有する抵抗器の前記抵抗値であることができる。様々な実施例において、前記温度依存性を有する抵抗器は温度係数を有する抵抗器(例えばPTC又はNTC抵抗器)及び/又はサーミスタであることができる。様々な実施例において、サーミスタは、(標準的な抵抗器よりも大きく)温度に強く依存する抵抗値を有するものとして定義される。サーミスタは、通常、粉にされた金属酸化物を用いて製造され、及び/又は、(例えば純粋な金属とは逆に)セラミック又はポリマ材料を含むことができる。
【0163】
(例えば図11図18などに関して少なくとも部分的に)上記で説明した様々な実施例において、温度依存補償部(例えば1310、1410、1420、1430、1510、1610T、1610B、1710T、1710B)は、温度依存構成要素(例えばRG、RGA、RG12、RG34、RGN、ROFFTA、ROFFBA)を備え、ここで前記温度依存構成要素は前記感知コイル構造SCCの少なくとも一部(例えばSCCはTSCCとBSCCを含む)に接続され、前記温度依存構成要素の温度の上昇による前記温度依存構成要素の特性の変化が、第1及び第2の電流が前記感知コイル構造の少なくとも1つの第1の感知コイル及び少なくとも1つの第2の感知コイル中でそれぞれ前記第1及び第2の電流であるような、前記第2の電流に対する前記第1の電流の比を前記感知コイル構造中で増加するようにされている。
【0164】
様々な実施例において、前記少なくとも1つの第1の感知コイルは、位置感知コイルPSC(例えばTRSC1-TRSC4、BRSC1-BRSC4、TASC及びBASCは全て位置感知コイルである)を備えている。様々な実施例において、前記少なくとも1つの第2の感知コイルは、少なくとも1つの正規化感知コイル(例えばTNSC、BNSC)又は軸方向感知コイル(例えばTASC、BASC)を備えている。
【0165】
様々な実施例において、前記少なくとも1つの第2の感知コイルは、正規化感知コイル(例えばTNSC、BNSC)を備えている。様々な実施例において、前記温度依存構成要素は、前記少なくとも1つの第1の感知コイル(例えばTRSC1、TRSC2、TRSC3、TRSC4、BRSC1、BRSC2、BRSC3、BRSC4、TASC、BASC)に直列に接続された、前記温度が上昇すると前記抵抗値が減少する少なくとも1つの負の温度係数の抵抗器(例えばRGA、RG12、RG34)であるか、又は、前記正規化感知コイル(例えばTNSC、BNSC)と直列に接続された、前記温度が上昇すると前記抵抗値が増加する正の温度係数の抵抗器(例えばRGN)であることができる。
【0166】
様々な実施例において、前記少なくとも1つの第1の感知コイルは、第1のトップ位置感知コイルと第1のボトム位置感知コイルを備え、前記温度依存構成要素、前記第1のトップ位置感知コイル及び前記第1のボトム位置感知コイルは直列に接続されている。様々な実施例において、前記温度依存構成要素は、(例えばTASCとBASC間に直列に接続されたRGA、TASC1とBASC1間に直列に接続されたR12、TASC3とBASC3間に直列に接続されたR34のように)前記第1のトップ位置感知コイルと前記第1のボトム位置感知コイル間に接続されることができる。
【0167】
様々な実施例において、前記温度依存構成要素は、第1の温度依存構成要素RGAであることができ、前記第1のトップ位置感知コイルはトップ軸方向感知コイルTASCを備え、前記第1のボトム位置感知コイルはボトム軸方向感知コイルBASCを備えている。様々な実施例において、前記測定プローブは、更に、前記第1及び第2のトップ回転感知コイルTRSC1とTRSC2及び前記第1及び第2のボトム回転感知コイルBRSC1とBRSC2に直列に接続された第2の温度依存構成要素R12と、第3及び第4のトップ回転感知コイルTRSC3とTRSC4及び第3及び第4のボトム回転感知コイルBRSC3とBRSC4に直列に接続された第3の温度依存構成要素R34を備えることができる。様々な実施例において、前記第1、第2及び第3の温度依存構成要素はそれぞれ、前記温度が上昇すると前記抵抗値が減少する負の温度係数の抵抗器であることができる。
【0168】
様々な実施例において、前記少なくとも1つの第2の感知コイルは、第1のトップ正規化感知コイルTNSCと第1のボトム正規化感知コイルBNSCを備え、前記温度依存構成要素RGN、前記第1のトップ正規化感知コイルTNSC及び前記第1のボトム正規化感知コイルBNSCが直列に接続されている。前記温度依存構成要素は、前記第1のトップ正規化感知コイルと前記第1のボトム正規化感知コイル間に接続されることができる。前記温度依存構成要素は、前記温度が上昇すると前記抵抗値が増加する正の温度係数の抵抗器であることができる。
【0169】
様々な実施例において、前記少なくとも1つの第1の感知コイルはトップ軸方向感知コイルTASCを備え、前記少なくとも1つの第2の感知コイルはボトム軸方向感知コイルBASCを備えることができ、前記温度依存構成要素(例えばROFFTA又はROFFBA)は、前記トップ軸方向感知コイル又はボトム軸方向感知コイルと並列に接続されることができる。様々な実施例において、前記温度依存構成要素ROFFBAは、前記ボトム軸方向感知コイルと並列に接続されることができ、前記温度依存構成要素は前記温度が上昇すると前記抵抗値が減少する負の温度係数の抵抗器であることができる。様々な実施例において、前記温度依存構成要素ROFFTAは、前記トップ軸方向感知コイルと並列に接続されることができ、前記温度依存構成要素は、前記温度が上昇した時に前記抵抗値が増加する正の温度係数の抵抗器であることができる。
【0170】
様々な実施例において、前記温度依存構成要素は温度依存性を有する抵抗器であることができ、変化する前記特性は前記温度依存構成要素の前記抵抗値であることができる。様々な実施例において、前記温度依存性を有する抵抗器は温度係数を有する抵抗器及び/又はサーミスタであることができる。様々な実施例において、前記温度依存構成要素は、前記少なくとも1つの第1の感知コイル又は前記少なくとも1つの第2の感知コイルのいずれかの感知コイルと並列に接続され又は直列に接続されたものの一つであることができる。
【0171】
様々な実施例において、座標測定機用に前記測定プローブを動作するための方法(例えば1900)が与えられる。ここで、前記方法は、前記少なくとも1つのフィールド発生コイルに変化する磁束を発生させるように、前記フィールド発生コイル構造にコイル駆動信号を与え(例えば1910)、温度依存補償部の温度依存構成要素が前記感知コイル構造の少なくとも一部に接続されて、前記温度依存構成要素の温度の上昇による前記温度依存構成要素の特性の変化が、第1及び第2の電流が、それぞれ前記感知コイル構造の少なくとも1つの第1の感知コイル中及び少なくとも1つの第2の感知コイル中の電流である時に、前記感知コイル構造中で前記第2の電流に対する前記第1の電流の比が増加するようにされた、前記感知コイル構造からの信号を受信する(例えば1920)ことを含む。
【0172】
様々な実施例において、前記方法は、更に、前記感知コイル構造の前記感知コイルから受信した前記信号(例えばSIGBASCC、SIGTASCC、SIGTRSC3、SIGBRSC3、SIGTRSC4、SIGBRSC4、SIGTRSC2、SIGBRSC2、SIGTRSC1、SIGBRSC1、SIGTNSCC、SIGBNSCC及び/又はZP、ZN、XP、XN、YP、YN、NP、NN)の少なくとも一部に基づいて、感知した位置を示す(例えばプローブチップのような軸方向位置及び回転位置を示す)信号(例えばAPSOut、RPSOut、Z信号及びX、Y信号のような、ΔZ及びΔX、ΔY信号のような式(5)-(7)及び/又は(8)-(10)に従って決定される)を与える(例えば1930)ことを含むことができる。
【0173】
様々な実施例において、測定プローブ(例えば300)、駆動機構(例えば220)、前記測定プローブを前記駆動機構に取り付ける取付部(例えば224)を含むシステム(例えば100)が提供される。前記駆動機構は、前記ワークの測定するワーク表面(例えばW)に沿って前記プローブチップ(例えば448、548)を動かして前記測定プローブを3次元的に動かすように構成されている。
【0174】
様々な実施例において、図7図10の前記駆動回路のいくつか又は全ての構成要素及び/又は接続(例えば前記フィールド発生コイル561に接続されているように)は、駆動信号発生器(例えば図6の駆動信号発生器682)の中、及び/又は、前記回路の他の位置又は部分に含めることができる。様々な実施例において、図11図18のいくつか又は全ての構成要素及び/又は接続(例えば前記感知コイル及び/又はその間などに接続)は、増幅及び/又はスイッチング部(例えば図6の増幅/スイッチング部683)及び/又は前記回路の他の位置又は部分に含めることができる。
【0175】
望ましい本願の開示の実施例が図示され説明されているが、図示され説明された様相の配置及び動作のシークエンスの様々な変形が、この開示に基づいて当業者に自明である。様々な他の形式が、ここに開示された原理を実現するのに利用できる。更に、上記の様々な実施例が、更なる実施例を与えるために結び付けられる。この明細書中に引用された米国特許出願の全部が、ここに取り込められる。前記実施例の側面は改良され、必要であれば更なる実施例を与えるために様々な特許及び出願の概念が採用される。
【0176】
これらの及び他の変化を、前記の記載に照らして前記実施例に対して行うことができる。一般的に、以下の特許請求の範囲において用いられた文言は、明細書及び特許請求の範囲中に開示された特定の実施例に権利範囲を限定するように解釈されてはならず、そのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の完全な範囲に沿って可能な解釈を全て含むように解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0177】
100…測定システム
110…動作ユニット
115…運動コントローラ
120…ホストコンピュータ
125…入力手段(キーボード)
130…出力手段(ディスプレイ、プリンタ)
200…CMM
221…Y軸駆動機構
222…X軸駆動機構
223…Z軸駆動機構
224…駆動機構取付部
300、400…測定プローブ
302…プローブメインボディ
306、406、506…スタイラス
307、407、407’、507…スタイラスサスペンション部
309、409…スタイラス運動機構
311、311’、411、511、511’…スタイラス位置検出部
342、442…スタイラス結合部
348、448、548…プローブチップ(接触部)
350、450、550、550’…磁束変調構造
351、451、551、551’…磁束変調要素
360、460、560…フィールド発生コイル構造
370、470、570…感知コイル部
380、480、680…信号処理及び制御回路
412、512…運動部材
436…回転部材
440…撓み部材
461、561…フィールド発生コイル
682…駆動信号発生器
700、800、900、1000…駆動回路
710、810、910、1010、1310、1310A、1410、1420、1430、1510、1610T、1610B、1710T、1710B、1810T、1810B…温度依存補償部
R711、R811、R911、R1011、RG、RGA、RG12、RG34、RGN、ROFFTA、ROFFBA…温度依存構成要素
1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800…感知コイル接続構造
ASCC…軸方向感知コイル構造
CA…中心軸
MV…磁束変調運動体積
NSCC…正規化感知コイル構造
RC…回転中心
RSC…回転感知コイル(部)
SCC…感知コイル構造
W…ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19