(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096048
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】遠隔固体補充チャンバ
(51)【国際特許分類】
C23C 16/448 20060101AFI20240704BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
C23C16/448
H01L21/31 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023219525
(22)【出願日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】63/477,613
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ジェームズ・シェロ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・バッケ
(72)【発明者】
【氏名】アルジャヴ・プラフルクマール・ヴァシ
(72)【発明者】
【氏名】トッド・ロバート・ダン
(72)【発明者】
【氏名】ポール・マ
(72)【発明者】
【氏名】ジャクリーン・レンチ
(72)【発明者】
【氏名】ジェレルド・リー・ウィンクラー
(72)【発明者】
【氏名】シュアイディ・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】シュバム・ガーグ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンチョル・ビュン
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA02
4K030AA03
4K030AA04
4K030EA01
5F045AA15
5F045AB31
5F045AC00
5F045AC03
5F045AD01
5F045AE01
5F045AF01
5F045BB08
5F045EC09
5F045EE02
5F045EE11
5F045EE17
(57)【要約】
【課題】化学的前駆体送達容器を補充するための方法、システム、および装置を提供する。
【解決手段】基板処理システムは、基板処理プラットフォーム上の第一の位置に配設され、第一の内部容積を有する送達容器と、化学物質送達ラインを介して前記送達容器と流体連通する遠隔補充容器であって、第一の内部容積よりも大きい第二の内部容積を有し、基板処理プラットフォームから離れた第二の位置に配設された遠隔補充容器と、遠隔補充容器に近接し、遠隔補充容器内に配設された化学物質の相を第一の相から第二の相に変化させるのに十分な加熱し、または加圧し、またはそれらを組み合わせるように動作可能な第一の加熱装置または第一の加圧装置、またはそれらの組み合わせと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理プラットフォーム上の第一の位置に配設された送達容器を、前記基板処理プラットフォームから離れた第二の位置に配設された遠隔補充容器に連結することと、
化学物質を前記遠隔補充容器内に第一の相で貯蔵することと、
前記遠隔補充容器内の前記化学物質の相を第二の相に変化させることと、
前記化学物質を前記第二の相で前記送達容器に搬送することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記化学物質の前記相を変化させることが、前記化学物質を加熱すること、または前記化学物質を加圧すること、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化学物質の前記相を変化させることが、前記化学物質の融点より低い第一の温度で前記化学物質を昇華させることをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記化学物質を搬送することが、
前記送達容器内における前記送達容器の上部にある前記第二の相の前記化学物質を受け取ることと、
前記化学物質を第二の温度に加熱するか、または前記化学物質を加圧するか、またはそれらの組み合わせにより、前記化学物質の前記相を第三の相に変化させることと、をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記送達容器の底面上にある前記第三の相の前記化学物質を受け取ることと、
前記化学物質の温度を変化させて、前記化学物質を第四の相に変化させることと、をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第三の相が液体であり、前記第四の相が固体である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記送達容器の内部容積内において温度勾配を維持することをさらに含み、前記送達容器の前記上部が前記底面よりも高い温度である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記送達容器の前記上部では前記化学物質を前記第三の相に変化させると同時に、前記送達容器の前記底面上には前記第四の相の前記化学物質を貯蔵することと、をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記化学物質の前記相を変化させることが、前記化学物質の融点より高い第一の温度で前記化学物質を液化することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記化学物質を搬送することは、
前記液化に続いて、前記化学物質を前記遠隔補充容器の容積内の加圧ガスに曝露することによって、前記化学物質に対する圧力を増加させることと、
前記送達容器内の、前記送達容器の底部にある前記第二の相の前記化学物質を受け取ることと、
前記化学物質を前記第一の温度より高い第二の温度に加熱することと、をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
基板処理プラットフォーム上の第一の位置に配設された第一の内部容積を有する送達容器と、
化学物質送達ラインを介して前記送達容器と流体連通する遠隔補充容器であって、前記第一の内部容積よりも大きい第二の内部容積を備え、前記基板処理プラットフォームから離れた第二の位置に配設される、遠隔補充容器と、
前記遠隔補充容器の近傍にあり、前記遠隔補充容器内に配設された化学物質に前記化学物質の相を第一の相から第二の相に変化させるのに十分に加熱し、または加圧し、またはそれらを組み合わせるように動作可能な第一の加熱装置もしくは第一の加圧装置、またはそれらの組み合わせと、を備える、基板処理システム。
【請求項12】
前記化学物質送達ラインが、前記化学物質送達ラインを前記化学物質の相変化温度よりも高い搬送温度に維持するように動作可能な第二の加熱装置に連結される、請求項11に記載の基板処理システム。
【請求項13】
前記送達容器が、第三の加熱装置、第二の加圧装置、または冷却装置、またはそれらの組み合わせをさらに備え、前記化学物質送達ラインが、前記送達容器の上部または底部に配設された入口弁を介して前記送達容器に連結される、請求項12に記載の基板処理システム。
【請求項14】
前記化学物質送達ライン、前記送達容器、または前記遠隔補充容器、またはそれらの組み合わせ内に配設され、前記化学物質の温度を監視し、前記監視に基づいてセンサデータを生成する、少なくとも一つのセンサと、
前記少なくとも一つのセンサに通信可能に連結され、前記第一の加熱装置、前記第二の加熱装置、前記第三の加熱装置、前記第一の加圧装置、前記第二の加圧装置、または前記冷却装置、またはそれらの組み合わせに通信可能に連結された少なくとも一つのコントローラであって、
前記センサデータを受信し、前記センサデータに基づいて、前記第一の加熱装置、前記第二の加熱装置、前記第三の加熱装置、前記第一の加圧装置、前記第二の加圧装置、または前記冷却装置、またはそれらの組み合わせを調整するように構成される、少なくとも一つのコントローラと、をさらに備える、請求項13に記載の基板処理システム。
【請求項15】
前記入口弁が、前記送達容器の前記上部に配設され、前記第三の加熱装置または前記第二の加圧装置、またはそれらの組み合わせが、前記化学物質が前記送達容器の内部容積に入ると、前記化学物質の前記相を前記第二の相から第三の相に変化させるのに十分な熱または圧力、またはそれらの組み合わせを、それぞれ前記化学物質に加えるように構成される、請求項14に記載の基板処理システム。
【請求項16】
前記冷却装置が、前記送達容器の前記底部に配設されて、底部内表面を冷却して、前記化学物質の第三の相を第四の相に変化させる、請求項15に記載の基板処理システム。
【請求項17】
前記第一の相が固体であり、前記第二の相が気体であり、前記第三の相が液体であり、前記第四の相が固体である、請求項16に記載の基板処理システム。
【請求項18】
前記入口弁が、前記送達容器の前記底部に連結され、前記第三の加熱装置が、前記送達容器の基部に配設され、前記送達容器の内部容積に入ると前記化学物質を加熱して、前記送達容器の補充中に前記化学物質の前記第二の相を維持するように構成される、請求項14に記載の基板処理システム。
【請求項19】
前記第一の相が固相であり、前記第二の相が液相である、請求項18に記載の基板処理システム。
【請求項20】
前記冷却装置が、
前記送達容器の長手方向軸に沿って変化するピッチを有する前記送達容器の外表面上に配設された冷却コイルであって、前記ピッチが前記送達容器の前記底部に近接した位置で最も高密度である、冷却コイルと、
前記冷却コイルに連結され、前記送達容器の前記底部に近接して配設された冷却剤入口と、
前記冷却コイルに連結され、前記冷却剤入口の反対側に配設された冷却剤出口と、を備える、請求項13に記載の基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、半導体処理装置に関し、具体的には、化学的前駆体送達容器を補充するための方法、システム、および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化学蒸着(CVD)および原子層堆積(ALD)などの半導体製造プロセスは、半導体ウェハ(本明細書では基板とも呼ばれる)上の薄膜の堆積を伴う。処理中、ウェハは、反応チャンバ内の一つまたは複数の前駆体に曝露されて、材料の薄い層を堆積させる。前駆体源は、典型的には、処理ツールに搭載された送達容器に貯蔵され、送達容器から反応チャンバに送達される。送達容器の保守および交換の必要性を低減するために、送達容器は漸進的に大きくなってきている。しかしながら、大型の送達容器でさえも最終的に空になり、交換する必要があるため、ダウンタイム、および場合によっては品質または安全性からの逸脱を強制する可能性もある。こうしたシステムは、概して、その意図される目的のために受け入れられてきた。しかしながら、送達容器の保守および交換の必要性を低減するための改善された方法、システム、および装置に対するニーズが依然として存在する。本開示は、このニーズに対する解決策を提供する。
【発明の概要】
【0003】
送達容器を遠隔補充容器に連結するための方法が提供される。この方法は、基板処理プラットフォーム上の第一の位置に配設された送達容器を、基板処理プラットフォームから離れた第二の位置に配設された遠隔補充容器に連結することと、遠隔補充容器内に第一の相の化学物質を貯蔵することと、遠隔補充容器内の化学物質の相を第二の相に変更することと、第二の相の化学物質を送達容器に搬送することと、を含む。この方法は、化学物質の相を変更することが、化学物質を加熱すること、または化学物質を加圧すること、またはそれらの組み合わせをさらに含むことをさらに含んでいてもよい。
【0004】
上述の特徴のうちの一つまたは複数に加えて、またはその代わりとして、さらなる例は、化学物質の相を変更することが、化学物質の融点を下回る第一の温度で化学物質を昇華させることをさらに含むことを含んでいてもよい。この方法は、化学物質を搬送することが、送達容器内における、送達容器の上部にある第二の相の化学物質を受け取ることと、その化学物質を第二の温度に加熱する、または化学物質を加圧すること、あるいはそれらの組み合わせにより化学物質の相を第三の相に変化させることをさらに含むことをさらに含んでいてもよい。この方法は、送達容器の底面上に第三の相の化学物質を受け取ることと、化学物質の温度を変更して化学物質を第四の相に変化させることとをさらに含んでいてもよい。一例では、第三の相は液体であってもよく、第四の相は固体であってもよい。
【0005】
上述の特徴のうちの一つまたは複数に加えて、またはその代わりとして、さらなる例は、送達容器の内部容積内に温度勾配を維持することを含んでもよく、送達容器の上部は底面よりも高い温度である。この方法は、送達容器の上部では化学物質を第三の相に変化させると同時に、送達容器の底面上では第四の相の化学物質を貯蔵することとをさらに含んでいてもよい。
【0006】
上述の特徴のうちの一つまたは複数に加えて、またはその代わりとして、さらなる例は、化学物質の相を変更することが、化学物質の融点より高い第一の温度で化学物質を液化することをさらに含むことを含んでいてもよい。この方法は、化学物質を搬送することが、液化に続いて、化学物質を遠隔補充容器の容積内の加圧ガスに曝露することによって、化学物質に対する圧力を増加させることと、送達容器内における送達容器の底部にある第二の相の化学物質を受け取ることと、化学物質を第一の温度より高い第二の温度に加熱することと、をさらに含んでいてもよい。
【0007】
基板処理システムが提供される。基板処理システムは、基板処理プラットフォーム上の第一の位置に配設され、第一の内部容積を有する送達容器と、化学物質送達ラインを介して送達容器と流体連通する遠隔補充容器であって、第一の内部容積よりも大きい第二の内部容積を有し、基板処理プラットフォームから離れた第二の位置に配設された遠隔補充容器と、遠隔補充容器に近接し、遠隔補充容器内に配設された化学物質の相を第一の相から第二の相に変化させるのに十分な加熱または加圧またはそれらの組み合わせを行うように動作可能な第一の加熱装置または第一の加圧装置、またはそれらの組み合わせと、を含む。
【0008】
上述の特徴のうちの一つまたは複数に加えて、またはその代わりとして、さらなる例は、化学物質送達ラインが、化学物質の相変化温度よりも高い搬送温度に化学物質送達ラインを維持するように動作可能な第二の加熱装置に連結されることを含んでいてもよい。基板処理システムは、送達容器が、第三の加熱装置、第二の加圧装置、または冷却装置、またはそれらの組み合わせをさらに備え、化学物質送達ラインは、送達容器の上部または底部に配設された入口弁を介して送達容器に連結されることを含んでいてもよい。
【0009】
上述の特徴のうちの一つまたは複数に加えて、またはその代わりとして、さらなる例は、化学物質送達ライン、送達容器または前記遠隔補充容器、またはそれらの組み合わせ内に配設された少なくとも一つのセンサであって、化学物質の温度を監視し、その監視に基づいてセンサデータを生成する、少なくとも一つのセンサと、その少なくとも一つのセンサに通信可能に連結され、第一の加熱装置、第二の加熱装置、第三の加熱装置、第一の加圧装置、第二の加圧装置、または冷却装置、またはそれらの組合せに通信可能に連結された少なくとも一つのコントローラであって、センサデータを受信し、第一の加熱装置、第二の加熱装置、第三の加熱装置、第一の加圧装置、第二の加圧装置、または冷却装置、またはそれらの組み合わせを、センサデータに基づいて調整する、少なくとも一つのコントローラと、を含んでいてもよい。基板処理システムは、入口弁が送達容器の上部に配設され、第三の加熱装置または第二の加圧装置、またはそれらの組み合わせが、送達容器の内部容積に入ると、それぞれ化学物質の相を第二の相から第三の相へと変化させるのに十分である熱もしくは圧力、またはそれらの組み合わせを化学物質に印加するように構成されることを含んでいてもよい。
【0010】
上述の特徴のうちの1つ以上に加えて、またはその代わりとして、さらなる例は、冷却装置が送達容器の底部に配設されて、底部内表面を冷却して、化学物質の第三の相を第四の相に変化させることを含んでいてもよい。基板処理システムは、第一の相が固体であり、第二の相が気体であり、第三の相が液体であり、第四の相が固体であることを含んでいてもよい。
【0011】
上述の特徴のうちの一つまたは複数に加えて、またはその代わりとして、さらなる例は、入口弁が送達容器の底部に連結されており、第三の加熱装置は送達容器の基部に配設され、送達容器の内部容積に化学物質が入ると加熱して、送達容器の補充中に化学物質の第二の相を維持するように構成されることを含んでいてもよい。基板処理システムは、第一の相が固相であり、第二の相が液相であることを含んでいてもよい。
【0012】
上述の特徴のうちの一つまたは複数に加えて、またはその代わりとして、さらなる例は、冷却装置が、送達容器の長手方向軸に沿って変化するピッチを有する前記送達容器の外表面上に配設された冷却コイルであって、ピッチが前記送達容器の前記底部に近接した位置で最も高密度である冷却コイルと、冷却コイルに連結され、送達容器の底部に近接して配設された冷却剤入口と、冷却コイルに連結され、冷却剤入口の反対側に配設された冷却剤出口と、を備えることを含んでいてもよい。
【0013】
この「発明の概要」は、選択された概念を、単純化した形態で紹介するために提供される。これらの概念は、下記の開示の例示の実施形態の「発明を実施するための形態」において、さらに詳細に記述される。この発明の概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図することも、特許請求される主題の範囲を限定するために使用することも意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本明細書で開示される本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、本発明を例示することを意図し、また本発明を限定することを意図しない、特定の実施形態の図面を参照しながら以下で記述される。
【0015】
【
図1】基板処理プラットフォーム上に配設された送達容器を含む例示的な基板処理システムを示す概略図である。
【
図2】
図1に示した基板処理システムの例示的な補充サブアセンブリを示す概略図である。
【
図3】
図3Aは、
図1に示すように、例示の送達容器とその送達容器の上部に連結されたリッドを示す概略図であり、
図3Bは、
図1に示す例示のリッドを示す分解概略図である。
【
図4】冷却装置および可変ピッチ冷却コイルを備える例示的な送達容器を示す概略図である。
【
図5】固体原料補充プロセスの一例を示すフローチャートである。
【
図6】基板処理システムの一例を示す概略図である。
【
図7】
図6に示す基板処理システムの例示的な補充サブアセンブリを示す概略図である。
【
図8】固体原料補充プロセスの一例を示すフローチャートである。
【
図9】固体原料補充プロセスの一例を示すフローチャートである。
【0016】
当然のことながら、図内の要素は、簡潔かつ明瞭のために図示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていない。例えば、図内の要素のうちの一部の相対サイズは、本開示の図示された実施形態の理解の向上を助けるために、他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ある特定の実施形態および例を下記に開示するが、本発明の具体的に開示された実施形態および/または使用、ならびにその明白な変形例および均等物を越えて本発明が拡張されることは、当業者によって理解されるであろう。それ故に、開示された本発明の範囲は、以下に記載の特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0018】
本明細書で使用される場合、「基板」という用語は、修正されてもよい、またはデバイス、回路、もしくは膜がその上に形成されてもよい、任意の下地材料(複数可)を含む、任意の下地材料(複数可)を指す場合がある。「基板」は、連続的または非連続的、剛直または可撓性、固体または多孔質、およびそれらの組み合わせであってもよい。基板は、粉末、プレート、またはワークピースなどの、任意の形態であってもよい。プレートの形態の基板は、様々な形状、およびサイズのウェハを含んでいてもよい。基板は、例えば、ケイ素、シリコンゲルマニウム、酸化ケイ素、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、および炭化ケイ素を含む半導体材料から作製されてもよい。
【0019】
連続基板は、堆積プロセスが生じるプロセスチャンバの境界を越えて、延在してもよい。一部のプロセスでは、連続基板は、プロセスチャンバを通して移動してもよく、これによりプロセスは基板の端部に達するまで継続される。連続基板は、任意の適切な形態で、連続基板の製造および出力を可能にするために、連続基板供給システムから供給されてもよい。
【0020】
連続基板の非限定的な例としては、シート、不織布薄膜、ロール、箔、ウェブ、可撓性材料、連続フィラメントまたは繊維(例えば、セラミック繊維もしくはポリマー繊維)の束が、挙げられてもよい。連続基板はまた、非連続基板がその上へと取り付けられる、担体、またはシートを備えていてもよい。
【0021】
本明細書に提示された例示は、任意の特定の材料、構造、または装置の実際の外観であることを意図せず、本開示の実施形態を記述するために使用される、単に理想化された表現にすぎない。
【0022】
示された、かつ記述された特定の実装は、本発明のおよび最良の形態の例示であり、態様および実装の範囲を、いかなる方法でも、他に限定することを、意図していない。実際に、簡潔のために、従来の製造、接続、調製、およびシステムの他の機能的態様を詳細に記述していない場合がある。さらに、様々な図に示された接続線は、様々な要素間の、例示的な機能的関係、および/または物理的連結を表すことが、意図されている。多くの代替的若しくは追加の機能的関係、若しくは物理的接続が実際のシステムに存在してもよく、かつ/又はいくつかの実施形態では存在しなくてもよい。
【0023】
化学反応物または固体原料の供給システムは、送達容器およびヒータ(例えば、放射加熱ランプ、抵抗ヒータおよび/または同種のもの)を備えることができる。容器は、原料前駆体(「化学物質」または「化学的前駆体」と呼ばれる場合もある)を含み、これは固体(例えば、粉末形態)または液体でありうる。ヒータは容器を加熱し、容器内の反応物の気化および/または昇華を促進させる。容器は、容器を通る搬送ガスの流れのための入口および出口を有することができる。搬送ガスは不活性、例えば、窒素、アルゴン、またはヘリウムであってもよい。一般的に、搬送ガスは容器の出口を通って、最終的に基板反応チャンバへ反応物の蒸気(例えば、気化または昇華した化学反応物)を運ぶ。典型的に、容器は容器の内容物を容器の外部から流体的に隔離するための隔離弁を備える。一つの隔離弁を容器の入口の上流に設け、別の隔離弁を容器の出口の下流に設けることができる。いくつかの実施形態の送達容器は、昇華器を備える、本質的に昇華器からなる、または昇華器からなる。つまり、本明細書で「送達容器」が言及される場合は常に、昇華器(例えば、「固体原料の化学物質昇華器」)も明確に意図される。
【0024】
化学蒸着(CVD)は、基板、例えばシリコンウェハ上に材料の薄膜を形成するための半導体産業において既知のプロセスである。CVDでは、異なる反応物の化学物質の(「前駆体ガス」を含む)反応物の蒸気が反応チャンバ内の一つまたは複数の基板に供給される。多くの場合、反応チャンバは、基板ホルダー(例えば、サセプタ)上に支持される単一の基板のみを備え、基板および基板ホルダーは所望のプロセス温度に維持される。典型的なCVDプロセスでは、相互反応性の反応物の蒸気が互いに反応して基板上に薄膜を形成し、成長速度は温度と反応物ガスの量に関係する。
【0025】
一部の用途では、反応物ガスは反応物送達容器内に貯蔵される。このような用途では、反応物は多くの場合、約1気圧および室温の標準圧力および温度でガス状である。このようなガスの例としては、窒素、酸素、水素、およびアンモニアが挙げられる。ただし、場合によっては、標準圧力および温度で液体または固体(例えば、塩化ハフニウム、酸化ハフニウム、二酸化ジルコニウム等)である原料の化学物質(「前駆体」)の蒸気が使用される。(本明細書で「固体原料前駆体」、「固体化学反応物」、または「固体反応物」と呼ばれる)一部の固体物質の場合、室温での蒸気圧は非常に低いため、通常は非常に低い圧力で加熱および/または保持され反応プロセスに十分な量の反応物の蒸気を生成する。気化(例えば、昇華または蒸発)した後、気相反応物を処理システム全体にわたって気化温度以上に保持することで、弁、フィルタ、導管、および気相反応物のある場所から別の場所へ、例えば送達容器から反応チャンバへの送達に関連する他の構成要素において望ましくない凝縮を防ぐことができる。このような天然の固体または液体の物質からの気相反応物は、様々な他の産業における化学反応に有用である。
【0026】
原子層堆積(ALD)は、基板上に薄膜を形成する別の既知のプロセスである。多くの用途では、ALDは本明細書に記載の固体および/または液体原料の化学物質を使用する。ALDは、サイクルで実行される自己飽和反応によって膜を堆積させる蒸着の一種である。膜の厚さは、実行されるサイクルの数によって決定される。ALDプロセスでは、ガス状反応物が順番におよび/または繰り返して基板またはウェハに供給され、ウェハ上に材料の薄膜を形成する。一つの反応物は、ウェハ上で自己制御的プロセスにより吸着する。続いて異なるパルス状の反応物が吸着された材料と反応して、所望の材料の単一分子層を形成する。分解は、例えば配位子交換またはゲッタリング反応で、吸着種間での、および適切に選択された試薬との、相互反応によって発生する場合がある。一部のALD反応では、サイクルごとに僅か1分子の単分子層が形成される。より厚い膜は、目標の厚さが達成されるまで繰り返し成長サイクルを経て生成される。一部のALD反応では、相互反応性の反応物は、異なる反応物へ基板を暴露させる間に除去プロセスを介在させることにより、気相で別々に保持される。
【0027】
遠隔補充容器および/または送達容器は、入口および出口から延在するガスライン、ライン上の隔離バルブ、ならびにバルブ上のフィッティングが付属し、フィッティングは残りの基板処理プラットフォームのガスフローラインに連結するように構成されている。反応物送達容器と反応チャンバの間の様々な弁およびガスフローラインを加熱するために幾つかの追加ヒータを設けて、反応物液または蒸気がこのような構成要素上に固化または凝縮して堆積するのを防ぐことが望ましい。したがって、遠隔補充容器、送達容器、および反応チャンバとの間の気体および/または液体搬送構成要素は、反応物の気化/凝縮/昇華温度を超える温度に維持することができる。
【0028】
本明細書に記述されるように、送達容器を原料前駆体で充填するために、複数の遠隔補充容器が含まれてもよい。従来、送達容器は基板処理プラットフォームから取り除かれて補充されるため、ダウンタイムおよびウェハ製造の損失につながる可能性がある。遠隔補充容器は、昇華器を交換または補充する必要性を低減することができる。代わりに、遠隔補充容器を使用して、送達容器に原料前駆体などの化学物質を自動および/または連続的に供給することができる。遠隔補充容器システムは、一つまたは複数の遠隔補充容器を含んでいてもよい。さらに、本明細書の実施形態による遠隔補充容器は、基板処理プラットフォームから離れた場所、例えば、サブファブ、または他の遠隔場所に配設することができる。したがって、遠隔補充容器容積は、基板処理プラットフォーム上に配設された容器のサイズ制限を受けない。
【0029】
一部の例では、遠隔補充容器は、基板処理プラットフォーム(またはツール)から間隔を置いた場所に配設されてもよい。例えば、遠隔補充容器は、基板処理プラットフォームから別の部屋に、基板処理プラットフォームからクリーンルームを横切って、基板処理プラットフォームに隣接して、またはサブファブ内に位置してもよい。本開示の目的のために、“サブファブ”は、基板処理プラットフォームの下の領域である。一部の例では、これは、基板処理プラットフォームが配設されるレベルよりも低い建物レベルでクリーンルームの床内に構築されてもよく、または基板処理プラットフォームの下部を含んでいてもよい。
【0030】
補充のために基板処理プラットフォームシステムから一つまたは複数の遠隔補充容器を取り外すことにより、遠隔補充容器は、送達容器の交換に関連する労働力、ダウンタイム、および安全性の逸脱を低減する。様々な構成を参照して追加の特徴を本明細書に記載する。
【0031】
図1は、基板処理プラットフォーム110上に配設された送達容器102を含む基板処理システム100の一例を示す概略図である。基板処理プラットフォーム110は、それぞれの反応チャンバ122および124を含む一つまたは複数の反応器138および140を含む。反応器138および140は、処理中にそれぞれの基板146および148を保持するためのそれぞれのサセプタ142および144を含む。基板処理プラットフォーム110は、一つまたは複数の反応物を基板146および148のそれぞれの表面に分配するための気体分配システム150および152を含む。基板処理プラットフォーム110は、反応チャンバ122および124のうちの一つまたは複数における真空圧力を制御するための真空源(図示せず)を含んでいてもよい。反応物供給源は、固体前駆体供給源送達容器102から生成される気相反応物を気相反応器に供給してもよい。反応チャンバ138および/または140は、気相反応器であってもよい。固体原料送達容器102は、HfCl4、ZrCl4、AlCl3、TaF5、MoF5、SiI4などまたはその組み合わせを含むがこれらに限定されないソース化学物質または前駆体などのような化学反応物を含む化学物質114を含有してもよい。化学物質114は、標準的な条件(即ち、室温および大気圧)下で固体であってもよい。搬送ガス源120は、化学物質送達ライン136を介して送達容器102に連結されてもよく、搬送ガスを保持してもよい。搬送ガス源120は、化学物質送達ライン154ならびにバルブ158および160を介して反応チャンバ122および124に流体連結されてもよい。一例では、弁158および160は、一つまたは複数のコントローラによって制御される。送達容器102内に導入されるとき、搬送ガスは、容器出口弁126を通して気化および/または昇華した化学反応物を基板反応チャンバ122および/または124に搬送するのに役立つ。化学物質送達ライン128は、送達容器102からそれぞれの反応チャンバ122および124への化学物質114および/または搬送ガスの流体連通を制御するための弁132および134を備えていてもよい。
【0032】
一例では、送達容器102は、化学物質送達ライン106を介して遠隔補充容器104に連結されてもよい。遠隔補充容器104は、横方向に、送達容器102および/または基板処理プラットフォーム110の上方または下方に、例えば基板処理プラットフォーム110の下方に位置するサブファブ内に、位置してもよい。
【0033】
遠隔補充容器104は、標準条件(すなわち、室温および大気圧)下で固体でありうる前駆体または原料の化学物質を含む補充化学物質114を含んでいてもよい。遠隔補充容器104は、基板処理プラットフォーム110に関連付けられた寸法制限で制限されない場合もあるため、筐体108内の送達容器102よりも大きな化学的容量を有し得るバルク補充容器でもよい場合もある。例えば、遠隔補充容器104は、送達容器102の容量の少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、または20倍を有していてもよい。他の容量も可能であり、特許請求される主題はこれに関して限定されない。
【0034】
化学物質送達ライン106は、遠隔補充容器104の出口弁116と送達容器102の入口弁118との間に延びていてもよい。入口弁118は、送達容器102のリッド130内に配設されてもよい。出口弁116は、遠隔補充容器104のリッド182に配設されてもよい。出口弁116および入口弁118は、遠隔補充容器104から送達容器102への化学物質114の流体連通を制御してもよい。
【0035】
遠隔補充容器104は、化学物質114を気化(例えば、昇華、蒸発)するために装備されてもよく、その後、化学物質送達ライン106を介して気化または昇華された化学物質114を送達容器102に移行するようにしてもよい。一例では、遠隔補充容器104は、リッド182および/または筐体108の外部に配設され、かつリッド182および/または筐体108と熱連通する加熱装置174に近接してもよい。筐体108は、熱伝導性材料(例えば、ステンレス鋼)で作製されてもよく、加熱装置174からリッド182および/または遠隔補充容器104の内部容積に熱を伝達するように構成されてもよい。加熱装置174は、化学物質114の相を変化させるのに十分な温度に化学物質114を加熱して、化学物質114を気化および/または昇華させて化学物質114を送達容器102に送達ライン106を介して移送できるように構成されてもよい。加熱装置174は、当業者に公知のヒータ、加熱ジャケット、加熱ブロック、および/またはラジアルヒータなどの様々な加熱装置のいずれかを備えてもよく、特許請求される主題はこれに関して限定されない。
【0036】
遠隔補充容器104は、補充動作の間に化学物質114を貯蔵するように構成されてもよい。冷却装置188は、遠隔補充容器104の底部に連結されてもよい。冷却装置188は、底面部分196を冷却して、昇華前の化学物質114を固体形態に維持してもよい。冷却装置188は、冷却プレート、冷却コイル、可変ピッチ冷却コイル、冷却ジャケット、冷却ファン、ペルチェ冷却器もしくは冷却材を循環させる統合冷却チャネル等、またはそれらの任意の組み合わせを備えていてもよい。
【0037】
遠隔補充容器104は、選択された温度で動作するように構成されてもよい。例えば、作動温度を、化学的前駆体/反応物の所望の昇華速度に基づいて決定してもよい。一部の例では、動作温度は、約10°C~約500°Cの範囲内である。もちろん、気化または昇華される化学物質によって動作温度を選択してもよい。他の温度範囲も可能であり、特許請求される主題はこれに関して限定されない。
【0038】
送達容器102は、遠隔補充容器104から化学物質送達ライン106を介して気相で化学物質114を受け取ってもよい。化学物質送達ライン106は、送達容器102の上部190、例えばリッド130に配設されてもよい。一例では、リッド130および入口弁118は、化学物質114が送達容器102に移行する際に、その化学物質114を液化して、例えば、入口弁184から送達容器102の底部に液化化学物質114を滴下させて固化させるように構成されてもよい。送達容器102は、一つまたは複数の加熱装置176(例えば、ヒータ、加熱ジャケット、加熱ブロック、および/またはラジアルヒータ)および/または一つまたは複数の冷却装置186に熱的に連結されてもよい。このような加熱または冷却装置は、補充動作、材料処理動作、および化学物質114の貯蔵中に、化学物質114の温度を制御または調整する役割を果たす。冷却装置186は、冷却プレート、冷却コイル、可変ピッチ冷却コイル、冷却ジャケット、冷却ファン、ペルチェ冷却器もしくは冷却材を循環させる統合冷却チャネルなど、またはそれらの任意の組み合わせを備えていてもよい。より詳細に述べるが、こうした加熱冷却装置186は、送達容器102内に温度勾配をもたらす。
【0039】
一例では、送達容器102は、送達容器102の筐体178および/またはリッド130の外部に配設され、かつそれらと熱的に連通する加熱装置176に近接していてもよく、またはそれに連結されていてもよい。筐体178および/またはリッド130は、送達容器102に入る際に、加熱装置176から化学物質114に熱および/または圧力を伝達するように構成してもよい。こうした印加された熱および/または圧力は、化学物質114を液化して液滴を形成し、送達容器102の底部に落下することができる。送達容器102の基部192の温度は、冷却装置186(例えば、冷たいプレート)によって、流入する化学物質送達ライン106(
図1を参照)、筐体178の側壁、または送達容器102のリッド130よりも低い温度に冷却されてもよい。これにより、送達容器102の上部190がシステム内で最高温度となり、基部192がシステム内で最低温度となるような温度勾配を長手方向軸224(
図2を参照)に沿ってもたらすことができる。化学物質114として形成された液滴は、送達容器102の基部192の底面と接触すると、リッド130を通して固化する。補充中、化学物質114は、送達容器102の底部に固体を形成し、材料処理動作までそこに貯蔵されてもよい。冷却装置186は、送達容器102の基部192の温度を、化学物質114を固相に維持するのに十分な温度に維持してもよい。
【0040】
送達容器102は、補充動作(
図5および
図9に示す)中、内部容積180内の温度勾配で動作するように構成してもよい。例えば、上部190に近接する部分の動作温度は、化学物質114の前駆体/反応物の所望の液化速度に基づいて決定してもよい。一部の例では、動作温度は約10°C~約500°Cの範囲内である。送達容器102に入る際に液化される化学物質によって動作温度を選択してもよい。同様に、送達容器102の基部192をハウジング上部190よりも低い温度に維持して、基部192上の化学物質114を固化して送達容器102内の温度勾配を維持してもよい。もちろん、気化される化学物質によって動作基本温度を選択してもよい。さらに、ガス状粒子が送達容器102の内部上の望ましくない領域で固化することを防止するために、基部192は、少なくとも上部190よりも低温の温度に設定してもよい。一例では、基部192は、送達容器102の内部容積180内の最も低温の場所である。したがって、基部192における動作温度は、化学物質114の融点をはるかに下回っていてもよい。
【0041】
温度勾配は、基部192とリッド130を含む上部190との間に延びる。一例では、基部192は、第一の閾値温度以下に維持されてもよく、一方、部分190は、第一の閾値温度よりも高い第二の閾値温度以上に維持されてもよい。例えば、基部192および上部190がある温度差(例えば、第二の閾値温度と第一の閾値温度との間の差)で維持されてもよい。一例では、基部192と部分190との間の温度の差は、少なくとも約1°C、約5°C、約10°C、約20°C、約40°C、約80°C、または約160°C、またはその間の任意の値であってもよく、またはその中に終点を有する任意の範囲内に収まってもよい。他の温度差が可能であり、特許請求される主題はこれに関して限定されない。勾配は、長手方向軸224(
図2を参照)に沿って、約1インチ、約2インチ、約4インチ、約8インチ、約16インチ、約32インチ、約64インチ、または約128インチの軸方向距離、またはその間の任意の値にわたって配設されてもよく、またはその中に終点を有する任意の範囲内に収まってもよい。勾配は、段階的または直線的であってもよい。他の勾配寸法も可能であり、特許請求される主題はこれに関して限定されない。
【0042】
一例では、加熱装置176は、材料処理動作中、化学物質114を気化および/または昇華させるなど、化学物質114の相を変化させるのに十分な温度に化学物質114を加熱するように構成してもよい。気化または昇華されると、化学物質114は、基板処理のために、化学物質送達ライン128を介して反応チャンバ122および/または124に搬送されてもよい。気化および/または昇華の前に、化学物質114は、送達容器102内に固体として保存されてもよい。あるいは、化学物質114は、補充中または補充後に液相で貯蔵されてもよい。加熱装置176は、化学物質114を液化するのに十分な温度に送達容器102を加熱するように構成してもよい。
【0043】
送達容器102は、材料処理中、化学物質114の前駆体/反応物の所望の昇華速度に基づいて、選択された温度で動作するように構成してもよい。一部の例では、動作温度は約10°C~約500°Cの範囲内である。他の温度範囲が可能であり、特許請求される主題はこれに関して限定されない。
【0044】
化学物質114が枯渇したら、遠隔補充容器104から送達容器102に補充してもよい。遠隔補充容器104から補充する前に、化学物質114の送達容器102を必ずしも完全に枯渇させる必要はない。
【0045】
図示した例のコントローラ156は、デバイスインターフェース162、プロセッサ164、ユーザインターフェース166、およびメモリ168を含む。デバイスインターフェース162は、プロセッサ164を有線または無線リンク170に接続する。プロセッサ164は、(例えば、ユーザー入力を受信し、および/またはそれを通してユーザー出力を提供するために)ユーザインターフェース166に動作可能に接続され、メモリ168と通信するように配設してもよい。メモリ168は、プロセッサ164によって読み取られると、プロセッサ164に特定の動作を実行させる命令を含む、その上に記録された複数のプログラムモジュール172を有する非一時的機械可読媒体を含む。後に説明するように、動作の中でも、材料層堆積方法、および送達容器102(
図5および
図9に示す)を補充するための方法の動作がある。本開示を考慮して当業者によって理解されるように、コントローラ156は、他の例において異なる配設を有して本開示の範囲内に留まりうる。
【0046】
図2は、
図1に示した基板処理システム100の補充サブアセンブリ200の一例を示す概略図である。補充サブアセンブリ200は、化学物質送達ライン106を介して遠隔補充容器104に連結された送達容器102を含む。遠隔補充容器104は、長手方向軸202に沿って温度勾配を維持し、昇華または気化される前の化学物質114(例えば、前駆体)を固体状態に貯蔵するように構成してもよい。遠隔補充容器104の基部204は、比較的低温(例えば、前駆体を固体として維持するため)であってもよい。リッド182は、送達容器102への搬送しやすくするため、比較的高温に達してもよい。この温度は、少なくとも化学物質114が気相に入り、化学物質送達ライン106、リッド182、出口弁116、および入口弁118などの下流流路構成要素における凝縮を最小化するのに十分である。
【0047】
一部の例では、搬送ガス源216は、化学物質送達ライン222を介して遠隔補充容器104に連結されてもよく、搬送ガス220を遠隔補充容器104に供給してもよい。弁218は、搬送ガス220の流れを制御してもよい。搬送ガス220は、遠隔補充容器104から送達容器102への昇華化学物質114の搬送を補助してもよい。
【0048】
一例では、ヒータ206および208は、化学物質送達ライン106に連結されて、例えば、搬送中の凝縮を防止するための気化温度である搬送温度を維持してもよい。この気化温度は、化学物質114の相変化温度(例えば、昇華温度)を上回ってもよい。ヒータ206および208は、当業者に公知のヒータジャケットまたは他の加熱装置を備えてもよく、特許請求される主題はこれに関して限定されない。ヒータ206および208は、化学物質送達ライン106の周りに巻き付けられてもよく、コイル状であってもよく、化学物質送達ライン106を包み込んでいてもよく、あるいは、化学物質送達ライン106に近接して配設されてもよい。凝縮を阻止するために、化学物質送達ライン106の角度または角の数は少なくてもよい。化学物質送達ライン106内の弁、接続点、および/または他の遮断箇所は、補充容器104の配置が基板処理プラットフォーム110から遠隔に(すなわち、離れて)配設されているため、化学物質送達ライン106内のより高い凝縮のリスクを相殺するために可能な限り最小化されてもよい(
図1)。
【0049】
一例では、一つまたは複数のバックアップ遠隔補充容器290は、遠隔補充容器104として共同設置して、枯渇時に遠隔補充容器104を交換するために必要なダウンタイムを低減してもよい。遠隔補充容器104を交換する必要がある場合、バックアップ遠隔補充容器290は、化学物質送達ライン106を介して(または異なる化学物質送達ラインを介して)送達容器102に迅速に連結して、遠隔補充容器104が取り外されて交換されるのを待つダウンタイムを避けてもよい。あるいは、バックアップ遠隔補充容器290は、遠隔補充容器104に連結されて、基板処理プラットフォーム110上のダウンタイムを必要とする補充動作または上流イベントの間など、他の任意のアイドル時間に容器104を補充してもよい。
【0050】
一例では、補充プロセスは手動で制御されてもよく、および/または補充動作は、コントローラ156による自動フィードバック制御のための様々なセンサを使用して、部分的または完全に自動化されてもよい。例えば、センサ210は、送達容器102の内部容積180に隣接して、またはその内部容積180内に配設されてもよく、センサ212は、化学物質送達ライン106内に、または化学物質送達ライン106に隣接して配設されてもよく、センサ214は、遠隔補充容器104の内部容積220に隣接して、またはその内部容積220内に配設されてもよい。センサ210、212、および214は、例えば、音響、振動、化学物質、水分、流れ、光、圧力、力、密度、温度および/もしくは存在など、またはそれらの任意の組み合わせなどの様々な物理的現象を監視することができる。センサ210、212、および/または214は、例えば、送達容器102の温度勾配を監視してもよく、および/または化学物質送達ライン106、送達容器102、もしくは遠隔補充容器104、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つに配設された化学物質114の温度を監視してもよい。センサ210、212、および/または214は、代替的にまたは追加的に、化学物質送達ライン106、送達容器102、および/または遠隔補充容器104、またはそれらの組み合わせの温度を監視してもよい。センサ210、212、および/または214は、監視に基づいてセンサデータを生成し、センサデータをコントローラ156(
図1を参照)に送信して、監視された装置を調整して、監視されたパラメータ(例えば、温度)を変更してもよい。例えば、コントローラ156は、センサデータに基づいて、加熱装置174、176、206および/または208および/または冷却装置186および188またはそれらの組み合わせのうちの一つまたは複数を調整してもよい。いくつかの実施形態では、反応チャンバ122、反応チャンバ124、送達容器102、および/または遠隔補充容器104のうちの一つまたは複数を制御する際に用いる電子機器および/またはコンピュータ要素は、システム内の他の場所にあってもよい。例えば、中央コントローラは、一つまたは複数のチャンバ自体の装置を制御するだけでなく、様々な容器および任意の関連する加熱装置に接続するバルブを制御することができる。一つまたは複数の弁を使用して、基板処理システム100全体のガスの流れを制御することができる。
【0051】
図3Aは、
図1に示すように、送達容器102の上部に連結された送達容器102およびリッド130の例を示す概略図である。一例では、リッド130は、筐体178と一体型であってもよく、または単に筐体178上に置かれてもよく、または筐体178に取り外し可能または永久的に取り付けられてもよい。リッド130は、摩擦(例えば、ねじ切り)、圧縮力(例えば、クランプ)、ねじなど、またはそれらの組み合わせによって筐体178に取り付けられてもよい。一例では、リッド130および筐体178は、ステンレス鋼、高ニッケル合金、アルミニウム、チタンなど、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、同一または異なる材料で作製されてもよい。
【0052】
一例では、リッド130は、化学物質114を入口弁118を介して送達容器102に入ると、化学物質114を液化するように構成されてもよい。入口弁118、ポートブロック324、一つまたは複数のヒータ176、322、および326、出口弁184、および/またはリッド130内の他のハードウェアは、化学物質114を液化するのに十分な熱および/または圧力を加えるように構成されてもよい。例えば、リッド130は、ポートブロック324および/またはヒータ176、322、および/または326などの一つまたは複数の加熱装置に熱的に連結され、かつ加熱されてもよい。ヒータ176、322、および/または326は、例えば、ヒータ、加熱ジャケット、加熱ブロック、および/またはラジアルヒータを備えていてもよい。これらは、筐体178および/またはリッド130に近接して配設されて、リッド130の温度を調整してもよい。リッド130、入口弁118、ポートブロック324、1つ以上のヒータ176、322、および326、出口弁184、および/またはリッド130内の他のハードウェアからの熱は、放射、伝導、および/または対流を介して、リッド130の中および/またはリッド130を通って流れ、容器102の中へと移行するにつれて化学物質114に伝達されてもよい。リッド130、入口弁118、ポートブロック324、一つまたは複数のヒータ176、322、および326、出口弁184、および/またはリッド130内のその他のハードウェアの温度は、少なくとも、化学物質114を気体状態から液化するのに十分な融点温度とすることができる。入口弁118、出口弁184、および/または化学物質114の流路と流体連通する他の弁は、熱および/または圧力を印加して、化学物質114を液化および/または液化を補助することができる。
【0053】
一例では、液化に伴い、化学物質114は凝縮して、送達容器102の底面314に落下する液滴350を形成することができる。送達容器102の基部温度は、冷却装置186(例えば、冷たいプレート)によって、流入する化学物質送達ライン106(
図1を参照)または送達容器102の側壁320もしくはリッド130よりも低い温度に冷却されてもよい。これにより、システム内が最低温度となり、底面314と接触すると液体が固化するようになる。
【0054】
図3Bは、上面302、側壁304、気体流路310、および底面306を示すリッド130の一例の分解概略図である。リッド130は、一つまたは複数の反応チャンバ122および124に連結可能な出口バルブ126と流体連通する化学物質昇華器300を備えていてもよい(
図1)。気体流路310は、それを通って気体が流れることができるように構成されていてもよい。一部の構成では、気体流路310は蛇行してもよい。
【0055】
一例では、化学物質114は、出口弁184を介して送達容器102の内側部分部180に入ってもよい。出口弁184は、入口弁118と流体連通してもよく、化学物質114を液化するのに十分な熱および/または圧力を加えて、送達容器102の底面314に滴下させるように構成されてもよい。化学物質114は、冷却装置186と熱的に接触してもよい。冷却装置186は、ために、送達容器102の下部でより低温を維持して、補充動作中に化学物質114を固相の状態に保つようにしてもよい。一部の例では、例えば、可変ピッチ冷却コイル(
図4を参照)、冷却ジャケット、冷却ファン、ペルチェ冷却器、または送達容器壁の内側部分内の冷却剤を循環する統合冷却チャネル、またはそれらの組み合わせなどの他の冷却装置を使用して、送達容器102の選択された部分で所望の温度を維持してもよい。
【0056】
図4は、冷却装置186および外表面408の一部分上に配設された可変ピッチ冷却コイル406を備える送達容器102の例を示す。可変ピッチの冷却コイル406は、送達容器102内の温度勾配430の維持を補助する。温度勾配430は、送達容器102の内部容積180内において、底部424における第一の温度から送達容器102の上部426近くの第二の温度まで形成されてもよく、第一の温度は第二の温度より低くてもよい。
【0057】
図1に関して述べるように、化学物質114は、気相で遠隔補充容器104から送達容器102に搬送されてもよい。化学物質114の固体への凝縮は、温度感受性プロセスであってもよい。化学物質114(例えば、化学物質前駆体)は、冷却装置186(例えば、コールドプレート)によって冷却可能な底部424にある、送達容器102の最も冷たい位置で最初に凝縮する場合がある。この第一の凝縮部分は、充填中に送達容器102に入るさらなる化学物質114の核形成部位として作用する可能性がある。対照的に、送達容器102のリッド130は、より高い温度に維持して、化学物質114が入口弁118、出口弁126および/または入口弁312などのリッド130の開口部内で凝縮しないようにするべきである。したがって、熱勾配430を維持して、送達容器102の底部424で冷却された内面314上の化学物質114の固化を促進し、また、化学物質114がリッド130内およびその周りで固化することを防止することが望ましい。
【0058】
冷却コイル406のピッチ410は、送達容器102の長手方向軸412に沿って変化する(本明細書では「ピッチ」とは、冷却コイル406の隣接するスパイラルターン間の間隙を意味する)。例えば、冷却コイル406のピッチ410は、第二の部分420、第三の部分422、および/または第四の部分428よりも、第一の部分418でより高密度(または最も高密度)であってもよく、またはより近接していてもよい。ピッチ410は徐々に変化してもよい。言い換えれば、ピッチ410の密度は、底部424で高くてもよく、また、容器102の底部424から上部426まで長手方向軸412に沿って密度が低くなってもよい。このように冷却コイルのピッチ410を変化させることは、送達容器102内に温度勾配430を維持するのに役立つ場合がある。
【0059】
冷却コイル406は、冷却剤がそれを通って流れることができるような中空であってもよい。冷却剤は、水、脱イオン水、グリコール/水溶液、および誘電体流体など、またはそれらの組み合わせなど、当業者に公知の様々な冷却剤のいずれかであってよい。冷却剤は、送達容器102の底部424の近くの入口414で冷却コイル406に入り、長手方向軸412の上部にある出口416を介して出てもよい。このようにして、冷却水は、底部424の近くで最も冷却されて、熱勾配430を維持するのを助けることができる。冷却コイルは、ステンレス鋼、アルミニウム、銅など、またはこれらの組み合わせを含むがこれに限定されない、様々な熱伝導性材料から形成されてもよい。
【0060】
図5は、概して、固体原料補充プロセス500の一実施形態を示すフローチャートである。プロセス500について、
図1~4を参照して説明する。プロセス500は、ブロック502から始まり、送達容器102(
図1を参照)が遠隔補充容器104に連結することができる。送達容器102は、基板処理プラットフォーム110上の第一の位置に配設されてもよく、遠隔補充容器104は、基板処理プラットフォーム110から離れた第二の位置に配設されてもよい。一例では、第一の位置は、約1フィート~約20フィート、20フィート~約100フィート、100フィート~約200フィート、または200フィート~約500フィートの距離だけ第二の位置から離隔していてもよい。他の距離も可能であり、特許請求される主題はこれに関して限定されない。
【0061】
送達容器102は、化学物質送達ライン106を介して遠隔補充容器104に連結されてもよい。プロセス500は、ブロック504に進み、化学物質114(例えば、前駆体)を第一の相で遠隔補充容器に貯蔵することができる。一例では、第一の相は固相であってもよい。別の例では、第一の相は液体または気体であってもよい。ブロック506で、化学物質114の相は、遠隔補充容器104の一つまたは複数の構成要素の作用によって第二の相に変化させることができる。こうした作用は、化学物質114の加熱および/または加圧を含んでいてもよい。一例では、第一の相と第二の相は異なる。プロセス500は、ブロック508に進み、化学物質114を第二の相で送達容器102に搬送して、化学物質114で送達容器102を補充することができる。化学物質114は、化学物質送達ライン106を開くことによって、遠隔補充容器104から送達容器102へと搬送されてもよく、開放した化学物質送達ライン106は、遠隔補充容器104を送達容器と流体連通させる。補充が完了した後、送達容器102からの化学物質114は、送達容器102と流体連通する反応チャンバ138および/または140に搬送されて、基板146および/または148を処理してもよい。
【0062】
図6は、基板処理プラットフォーム610上に配設された送達容器602を含む基板処理システム600の一例を示す概略図である。基板処理プラットフォーム610は、それぞれの反応チャンバ622および624を含む一つまたは複数の反応器638および640を含む。反応器638および640は、処理中にそれぞれの基板646および648を保持するためのそれぞれのサセプタ642および644を含む。基板処理プラットフォーム610は、一つまたは複数の反応物を基板646および648のそれぞれの表面に分配するためのガス分配システム650および652を含む。基板処理プラットフォーム610は、反応チャンバ622および624のうちの一つまたは複数における真空圧力を制御するための真空源(図示せず)を含んでいてもよい。反応物供給源は、固体前駆体供給源送達容器602から生成される気相反応物を気相反応器638および/または640に供給してもよい。搬送ガス源620はまた、化学物質送達ライン654ならびに弁658および660を介して反応チャンバ622および624に流体連結されてもよい。
【0063】
固体原料送達容器602は、標準的な条件(すなわち、室温および大気圧)下では固体の可能性がある前駆体または原料の化学物質(例えば、化学物質614)を含有してもよい。
【0064】
一例では、送達容器602は、遠隔補充容器604に連結されてもよい。遠隔補充容器604は、横方向に、送達容器602および/または基板処理プラットフォーム610の上方または下方に離れて位置してもよい。例えば、遠隔処理容器604は、基板処理プラットフォーム610の下に位置するサブファブ内に配設されてもよい。遠隔補充容器604は、バルク補充容器を備えてもよく、化学物質送達ライン606を介して送達容器602に連結されてもよい。
【0065】
化学物質送達ライン606は、遠隔補充容器604の出口弁616と送達容器602の入口弁618との間に延びていてもよい。入口弁618は、送達容器602の底部696上に配設されてもよい。出口弁616は、遠隔補充容器604の底部612の近くまたは底部612上に配設されてもよい。弁616および618は、遠隔補充容器604から送達容器602への化学物質614の流れを制御するように構成してもよい。
【0066】
遠隔補充容器604は、基板処理プラットフォーム610内のサイズ制限によって制限されない場合があるため、筐体608内の化学物質容量が送達容器602よりも大きい場合がある。例えば、遠隔補充容器604は、送達容器602の容量の少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、または20倍を有してもよい。他の容量も可能であり、請求される主題はこれに関して限定されない。
【0067】
一例では、遠隔補充容器604は、標準条件(すなわち、室温および大気圧)下で固体の可能性がある前駆体または原料の化学物質を含む補充化学物質614を含んでいてもよい。遠隔補充容器604は、その中の化学物質614を、化学物質送達ライン606を介して送達容器602に移行させてもよい。遠隔補充容器604は、化学物質送達ライン606を通過する前に、化学物質614を溶融および/または液化するように装備されてもよい。一例では、遠隔補充容器604は、化学物質614を融点を超える温度に加熱して、化学物質ライン606の固化を防止し、ラインを通る流れを促進し、目詰まりを防止することができる。遠隔補充容器604は、化学物質614を少なくとも融点温度に加熱するように適合された一つまたは複数の加熱装置674および/または676(例えば、ヒータおよび/または弁ポート)を有してもよい。加熱装置674および/または676は、遠隔補充容器602の外部に近接していてもよく、またはその外部上に配設されてもよい。加熱装置674および/または676は、リッド682および/または筐体608と熱連通してもよい。例えば、加熱装置674は、遠隔補充容器604の底部612に近接して位置付けられてもよく、または連結されてもよく、加熱装置676は、筐体608の側壁692に近接して位置付けられてもよく、または連結されてもよい。リッド682および筐体608は、熱伝導性材料(例えば、ステンレス鋼)で作製されてもよく、また、加熱装置674および/または676からリッド682および/または遠隔補充容器604の内部容積685に熱を伝達するように構成されてもよい。加熱装置674および/または676は、化学物質614を液化させるのに十分な温度に加熱して、補充動作中にリッド682および側壁692上の固化を防止してもよい。加熱装置674および/または676は、融点を超える温度に化学物質614を加熱して、送達容器602への移送中の化学物質送達ライン606の固化をさらに回避してもよい。これにより、化学物質送達ライン606を介して、最小限の目詰まりで送達容器602への化学物質614の移送を促進することができる。一例では、化学物質送達ライン606出口の弁616は、遠隔補充容器604内の下方または容器604の底部612内に配設されてもよい。加熱装置674および/または676は、当業者に公知の様々な加熱装置(例えば、ヒータ、加熱ジャケット、加熱ブロック、および/またはラジアルヒータ)のいずれかを備えてもよく、特許請求される主題はこれに関して限定されない。
【0068】
遠隔補充容器604は、動作温度で動作するように構成してもよい。例えば、動作温度は、化学的前駆体/反応物の所望の融解/液化速度に基づいて決定してもよい。一部の例では、動作温度は約10°C~約500°Cの範囲内である。他の温度範囲が可能であり、特許請求される主題はこれに関して限定されない。
【0069】
一例では、送達容器602は、筐体678の外部上に配設された一つまたは複数の加熱装置672、680および/または686に熱的に連結されてもよい。加熱装置686は、送達容器602の底部696上に配設されてもよい。加熱装置680および672は、筐体678の側壁上に配設されてもよい。このような加熱装置は、補充動作、材料処理動作、および化学物質614の貯蔵中に、化学物質614の温度を制御または調整する役割を果たす。
【0070】
一例では、化学物質614は、弁618を介して送達容器602に入ると、融点を超える温度、および/または遠隔補充容器604によって加熱された温度を超える温度に保たれて、補充動作中の固化を防止することができる。加熱装置672、680および/または686は、補充が完了するまで、送達容器602の少なくとも底部696で化学物質614を液相に維持するのに十分な熱を連続的に印加するように構成してもよい。筐体678および/またはリッド630は、加熱装置672、680および686から内部容積684に熱を伝達して化学物質614を加熱するように構成されてもよい。加熱装置672、680、および686は、当業者に公知の様々な加熱装置(例えば、ヒータ、加熱ジャケット、加熱ブロック、および/またはラジアルヒータ)のいずれかを備えてもよく、特許請求される主題はこれに関して限定されない。
【0071】
送達容器602は、液体状態の化学的前駆体/反応物、化学物質614をどのように維持したいかに基づいて、ある動作温度で動作するように構成してもよい。一部の例では、動作温度は約10°C~約500°Cの範囲内である。他の温度範囲が可能であり、特許請求される主題はこれに関して限定されない。
【0072】
補充動作が完了すると、化学物質614は、送達容器602の底部に固体を形成して、材料処理動作までそこに貯蔵されてもよい。化学物質614を送達容器602に連結された冷却装置688によって固化温度に冷却して、送達容器602の基部の温度を、貯蔵のために固相に維持するのに十分な温度に化学物質614を維持してもよい。冷却装置688は、冷却プレート、冷却コイル、可変ピッチ冷却コイル、冷却ジャケット、冷却ファン、ペルチェ冷却器もしくは冷却剤を循環させる統合冷却チャネルなど、またはそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、様々な冷却装置のうちのいずれかを備えていてもよい。あるいは、化学物質614は、液体などの異なる形態で貯蔵してもよい。加熱装置672、680および/または686は、気化点および/または昇華点を下回る温度で、化学物質614を液体状態に維持して、材料処理動作の前の化学物質614を貯蔵してもよい。
【0073】
一例では、加熱装置672、680および/または686は、材料処理動作中、例えば、化学物質614を気化および/または昇華させることによって、化学物質614の相を液体または固体から変化させるのに十分な温度に化学物質614を加熱するように構成してもよい。気化または昇華されると、化学物質614は、基板処理のために、化学物質送達ライン628を介して反応チャンバ622および/または624に搬送されてもよい。搬送ガス源620は、化学物質送達ライン636を介して送達容器602に連結されてもよく、搬送ガス698を含んでいてもよい。送達容器602内に導入されると、搬送ガス698は、容器出口626を通して気化および/または昇華した化学反応物を基板反応チャンバ622および/または624に搬送するのを助ける。化学物質送達ライン628は、送達容器602からそれぞれの反応チャンバ622および624への化学物質614および/または搬送ガスの流体連通を制御するための弁632および634を備えていてもよい。
【0074】
材料処理中、送達容器602は、化学物質614の化学的前駆体/反応物の所望の昇華速度に基づいて、動作温度で動作するように構成されてもよい。一部の例では、動作温度は約10°C~500°Cの範囲内である。他の温度範囲も可能であり、特許請求される主題はこれに関して限定されない。
【0075】
化学物質614が枯渇したら、送達容器602は、遠隔補充容器604から補充してもよく、遠隔補充容器が枯渇するまで上記のプロセスを繰り返す。一部の例では、遠隔補充容器604から補充する前に、化学物質614の送達容器602を完全に枯渇させる必要はない場合もある。
【0076】
一例では、一つまたは複数のバックアップ遠隔補充容器726は、遠隔補充容器604として共同設置して、枯渇時に遠隔補充容器602を交換するために必要なダウンタイムを低減してもよい。遠隔補充容器604を交換する必要がある場合、バックアップの遠隔補充容器726を、化学物質送達ライン606を介して(または異なる化学物質送達ラインを介して)送達容器602に迅速に連結し、遠隔補充容器604が取り外されて交換されるのを待つダウンタイムを避けてもよい。あるいは、バックアップ遠隔補充容器726は、他の任意のアイドル時間、例えば、補充動作同士の間、または基板処理プラットフォーム610のダウンタイムを必要とする上流イベントの間に遠隔補充容器604に連結されてもよい。
【0077】
図示した例示的なコントローラ656は、デバイスインターフェース662、プロセッサ664、ユーザインターフェース666、およびメモリ668を含む。デバイスインターフェース662は、プロセッサ664を有線または無線リンク670に接続する。プロセッサ664は、(例えば、ユーザー入力を受信し、および/またはそれを通してユーザー出力を提供するために)ユーザインターフェース666に動作可能に接続され、メモリ668と通信するように配設されてもよい。メモリ668は、プロセッサ664によって読み取られると、プロセッサ664に特定の動作を実行させる命令を含む、その上に記録された複数のプログラムモジュール690を有する非一時的機械可読媒体を含む。動作の中でも、説明されるように、材料層堆積方法、および送達容器602(
図8に示す)を補充するための方法の動作がある。本開示を考慮して当業者によって理解されるように、コントローラ656は、他の例において異なる配設を有して本開示の範囲内に留まりうる。いくつかの実施形態では、反応チャンバ622、反応チャンバ624、送達容器602、および/または遠隔補充容器604のうちの一つまたは複数を制御する際に用いる電子機器および/またはコンピュータ要素は、システム内の他の場所にあってもよい。例えば、中央コントローラは、一つまたは複数のチャンバ自体の装置を制御するだけでなく、様々な容器および任意の関連するヒータに接続するバルブを制御することができる。一つまたは複数の弁を使用して、固体原料化学システム600全体の気体の流れを制御することができる。
【0078】
図7は、
図6に図示した基板処理システム600の補充サブアセンブリ700の一例を示す概略図である。補充サブアセンブリ700は、化学物質送達ライン606を介して遠隔補充容器604に連結された送達容器602を含む。遠隔補充容器604は、液化、昇華、または気化される前に、化学物質614(例えば、前駆体)を固体状態に貯蔵するのに十分な温度を維持するように構成してもよい。貯蔵中、補充動作の前に、遠隔補充容器604の底部612は比較的低温であってもよい。冷却装置694は、底部612を冷却するように適合されてもよく、冷却プレート、冷却コイル、可変ピッチ冷却コイル、冷却ジャケット、冷却ファン、ペルチェ冷却器もしくは冷却材を循環させる統合冷却チャネル、またはそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、様々な冷却装置のいずれかを備えていてもよい。
【0079】
一例では、加熱装置708および/または710は、化学物質送達ライン606に連結されて、搬送中の固化を防止するための液化温度であってもよい「搬送温度」を維持してもよい。こうした搬送温度は、相変化(例えば、液化)温度より高くてもよい。加熱装置708および/または710は、化学物質送達ライン606の周りに巻き付けられてもよく、コイル状であってもよく、化学物質送達ライン606を包み込んでいてもよく、あるいは、化学物質送達ライン606に近接して配設されてもよい。加熱装置708および/または710は、当業者に公知のヒータジャケットまたは他の加熱装置を備えてもよく、特許請求される主題はこれに関して限定されない。化学物質614の固化を阻止するために、化学物質送達ライン606の角度または角の数は少なくてもよい。化学物質送達ライン606内の弁、接続点、および/または他の遮断は、可能な限り最小化して、遠隔補充容器604が基板処理プラットフォーム610から遠隔に(すなわち、離れて)配設されているため、化学物質送達ライン606内の固化のより高いリスクを相殺してもよい(
図6)。
【0080】
一例では、補充プロセスは手動で制御されてもよく、および/または補充動作は、コントローラ656による自動フィードバック制御のための様々なセンサを使用して、部分的または完全に自動化されてもよい(
図6)。例えば、センサ722は、送達容器602の内部容積684に隣接して、またはその内部容積684内に配設されてもよく、センサ712は、化学物質送達ライン606内に、または化学物質送達ライン606に隣接して配設されてもよく、センサ714は、遠隔補充容器604の内部容積685に隣接して、またはその内部容積685内に配設されてもよい。センサ712、714、および/または722は、例えば、音響、振動、化学物質、水分、流れ、光、圧力、力、密度、温度および/または存在など、またはそれらの任意の組み合わせなどの様々な物理的現象を監視してもよい。センサ712、714、および/または722は、例えば、送達容器602、化学物質送達ライン606、または遠隔補充容器604、またはそれらの組み合わせ内の化学物質614の温度を監視してもよい。センサ712、714、および/または722は、監視に基づいてセンサデータを生成し、センサデータを通信リンク670を介してコントローラ656(
図6を参照)に送信して、監視されたパラメーター(例えば、温度)を調整してもよい。例えば、コントローラ656は、センサデータに基づいて、加熱装置672、674、676、680、686、708、および/または710、および/または冷却装置688および694など、またはそれらの組み合わせのうちの一つまたは複数を調整して、化学物質614を事前設定された温度閾値内にしてもよい。
【0081】
一部の例では、搬送ガス源716は、化学物質送達ライン732を介して遠隔補充容器604に連結されてもよく、搬送ガス720を遠隔補充容器604に供給してもよい。弁718および724は、搬送ガス720の流れを制御してもよい。搬送ガス720は、遠隔補充容器604内の圧力を増加させて、液化化学物質614の搬送を補助することができる。
【0082】
図8は、例示的な固体原料補充プロセス800を示すフローチャートである。一例では、
図6~7を参照してプロセス800を説明する。プロセス800は、ブロック802で始まり、ここで、送達容器602(
図6を参照)を、化学物質送達ライン606を介して底部696で遠隔補充容器604に連結することができる。送達容器602は、基板処理プラットフォーム610上の第一の位置に配設されてもよく、遠隔補充容器604は、基板処理プラットフォーム610から離れた第二の位置に配設されてもよい。プロセス800では、継続して、ブロック804において、固体の化学物質614(例えば、前駆体)は、固体としての第一の相で第一の温度で遠隔補充容器に貯蔵することができる。ブロック806で、化学物質614を熱および/または圧力に曝露して固体を第二の相の液体に変換することによって、化学物質614を第二の温度の遠隔補充容器604内で液化してもよい。一例では、熱および/または圧力は、化学物質614の融点より高くてもよい。ブロック808で、化学物質614は、送達容器602の底部696に液相で搬送されて、化学物質614で送達容器602を補充してもよい。ブロック810で、化学物質614は、化学物質614の融点以上で熱および/または圧力を加えることによって、送達容器の中への化学物質614の搬送中に、送達容器602内に液相で維持および保持されてもよい。プロセス800は、送達容器602が補充されるまで、ブロック806に連続的に戻ってもよい。ブロック806~810は、充填プロセス中に同時に実施してもよい。プロセス800は、送達容器604の化学物質614による補充が完了すると、ブロック812にすすむ。ブロック814において、化学物質614は、送達容器602の底部696を化学物質614の融点より低い温度に冷却することによって固化されてもよい。化学物質614は、材料処理動作で使用するまで送達容器内に保持してもよい。
【0083】
図9は、
図5に示す固体原料補充プロセス500の例示的な実施形態である例示的なプロセス900を示すフローチャートである。一例では、プロセス900について、
図1~4を参照して説明する。プロセス900は、ブロック902で始まり、ここで、送達容器102(
図1を参照)が、化学物質送達ライン106を介して上部190で遠隔補充容器104に連結することができる。送達容器102は、基板処理プラットフォーム110上の第一の位置に配設されてもよく、遠隔補充容器104は、基板処理プラットフォーム110から離れた第二の位置に配設されてもよい。プロセス900は、継続して、ブロック904において、固体化学物質114(例えば、前駆体)は、固体としての第一の相で第一の温度で遠隔補充容器に貯蔵することができる。ブロック906で、熱および/または圧力に化学物質114を曝露して固体を第二の相の気体に変換することによって、化学物質114を第二の温度で昇華させることができる。一例では、熱および/または圧力は、化学物質114の融点より低くてもよい。ブロック908で、化学物質114を、送達容器102の上部190に気相で搬送し、化学物質114で送達容器102を補充することができる。ブロック910で、化学物質114は、第三の相に変化させることができる、すなわち、化学物質114の融点またはそれを超える熱および/または圧力を加えることによって、送達容器102の上部190で液化することができる。ブロック912で、化学物質114は、第四の相に変化させることができる、すなわち、送達容器102の底部内表面314上で固化することができる。化学物質114の液化により、化学物質114の液滴350が形成される。液滴350は、送達容器102の底部内表面314に落下する。ブロック914では、温度勾配を送達容器102内に維持することができる。特に、底部内表面314は、化学物質114の固化温度に維持されてもよく、送達容器102の内部容積180内の最も低い温度に保持されてもよい。送達容器の内部容積内に温度勾配を維持し、送達容器102の上部部分190が下部内部表面314よりも高い温度であってもよいことにより、送達容器102の上部部分190における気体化学物質114の同時液化、および底部内表面314上の化学物質114の固体形態の継続的な維持を可能にする。プロセス900は、送達容器102が補充されるまで、ブロック906に連続的に戻り得る。ブロック906~914は、充填プロセス中に同時に実施してもよい。プロセス900は、送達容器102の化学物質114による補充の完了時にブロック916に移動する。ブロック918で、固化化学物質114は、材料処理動作で使用するまで送達容器102内に保持されてもよい。
【0084】
数多くの変形例が可能であるため、本明細書に記載の構成、および/または手法は本質的に例示的であること、ならびにこれらの特定の実施形態または例は、限定的な意味で考えられるべきではないことが、理解されるべきである。本明細書に記載の特定のルーチンまたは方法は、任意の数の処理方策のうちの一つまたは複数を、代表する場合がある。それ故に、例示された様々な動作は、例示される順序で実施されてもよく、他の順序で実施されてもよく、または一部の事例では省略されてもよい。
【0085】
本明細書で提供される見出しがある場合、見出しは便宜上のものにすぎず、必ずしも本明細書で開示される装置および方法の範囲または意味に影響を与えない。
【外国語明細書】