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特開2024-96065オフ・オリエンテーション単結晶シリコンウエハを製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096065
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】オフ・オリエンテーション単結晶シリコンウエハを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 33/00 20060101AFI20240704BHJP
   C30B 15/00 20060101ALI20240704BHJP
   C30B 29/06 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
C30B33/00
C30B15/00 Z
C30B29/06 502
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023221202
(22)【出願日】2023-12-27
(31)【優先権主張番号】63/477,735
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518112516
【氏名又は名称】グローバルウェーハズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GlobalWafers Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】ザヴァッターリ,カルロ
(72)【発明者】
【氏名】ラッフェイネル,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】デルペーロ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】アルブレヒト,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ボンダ,ファブリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】ガリッディ,マッシモ
(72)【発明者】
【氏名】プレニョラート,パトリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルコッツェーナ,ピエトロ
(72)【発明者】
【氏名】ポッリーニ,マリア
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077BA04
4G077CF10
4G077FJ10
4G077GA03
4G077HA12
4G077PA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】オフ・オリエンテーション単結晶シリコンウエハを製造するための方法を提供する。
【解決手段】単結晶シリコンインゴットを成長させた後、単結晶シリコンインゴットは、単結晶シリコンインゴットのオフ・オリエンテーションを増加させるために研削される。ウエハは、研削された単結晶シリコンインゴットからスライスされる。ウエハは、研削された単結晶シリコンインゴットより大きいオフ・オリエンテーションを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オフ・オリエンテーション単結晶シリコンウエハを製造するための方法であって、前記方法は、
インゴット引上げ装置内に配置されたるつぼに多結晶シリコンの充填量を加えることと、
るつぼ内にシリコン融液を形成させるために多結晶シリコンの充填量を有するるつぼを加熱することと、
シリコン種結晶をシリコン溶融に接触させることと、
一定の直径部分を有する単結晶シリコンインゴットを成長させるためにシリコン種結晶を引き抜くことと、
オフ・オリエンテーションを増加させるとともに研削された単結晶シリコンインゴットのセグメントを製造するために、単結晶シリコンインゴットのセグメントを研削することと、
研削された単結晶シリコンインゴットのセグメントから、研削された単結晶シリコンインゴットのセグメントより大きいオフ・オリエンテーションを有するウエハをスライスすることと、を有する、
方法。
【請求項2】
ウエハは、少なくとも9.0°によるオフ・オリエンテーションを有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ウエハは、10.5°未満によるオフ・オリエンテーションを有する、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ウエハは、10.0°未満によるオフ・オリエンテーションを有する、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
シリコン種結晶は、単結晶シリコンインゴットを、{20-1-1}方位に沿って、{14-1-0}方位に沿って、{1-1-0}方位に沿って、{15-17-1}方位に沿って、{1-1-1}方位に沿って、又は{7-7-6}方位に沿って成長させるために引き抜かれる、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
単結晶シリコンインゴットは、研削装置において研削され、研削装置は、単結晶シリコンインゴットを研削軸に沿って研削し、単結晶シリコンインゴットは、研削中に研削軸とある角度を形成する長手方向軸を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
研削前に単結晶シリコンインゴットのセグメントの結晶方位を決定することを有する、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
単結晶シリコンインゴットのセグメントを研削することは、前記インゴットの方位が前記インゴットのセグメントを研削装置から取り除くことなく二方向に変更される1ステップの軸上研削ステップを有する、
請求項6に記載の方法。
【請求項9】
二方向の研削は、ノッチ方向である第1方向と、前記インゴットのセグメントのオフ・オリエンテーションが増加される、ノッチ方向に垂直である第2方向とを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、単結晶シリコンインゴットの少なくとも1つの平坦な端部にブラケットを接着することを有する、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、単結晶シリコンインゴットの各平坦な端部にブラケットを接着することを有する、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
単結晶シリコンインゴットのセグメントを研削することは、前記インゴットのセグメントの結晶方位がノッチ方向に変更され、ノッチ方向から90°の方向の前記インゴットのセグメントのオフ・オリエンテーションが、異なる研削ステップにおいて変更される、2ステップの軸上研削ステップを有する、
請求項6に記載の方法。
【請求項13】
第1ステップは、オフ・オリエンテーションを変更し、第2ステップは、ノッチ方向の方位を変更する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1研削ステップと第2研削ステップとの間に単結晶シリコンインゴットセグメントの結晶方位を決定することを有する、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ウエハの1バッチは、研削された単結晶シリコンインゴットのセグメントからスライスされる、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
研削された単結晶シリコンインゴットのセグメントからウエハをスライスすることは、スライス装置の長手方向軸と長手方向インゴット軸とが、前記インゴットのセグメントのオフ・オリエンテーションを増加させる角度を形成するように、前記インゴットのセグメントをスライス装置に位置決めすることを有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記インゴットのセグメントは、切り取られた単結晶シリコンインゴットをさらに分割することなく単結晶シリコンインゴットを切り取ることによって製造される、
請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記インゴットのセグメントは、
単結晶シリコンインゴットを切り取り、
切り取られた単結晶シリコンインゴットを2つ以上のインゴットのセグメントに分割する、ことによって製造される、
請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2022年12月29日に出願された米国仮特許出願第63/477,735号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示の分野は、オフ・オリエンテーション(off-orientation)単結晶シリコンウエハを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電子デバイス製造業者は、高オフ・オリエンテーションウエハのような特殊単結晶シリコンウエハをますます必要とする。このような高オフ・オリエンテーションウエハは、ハンドルウエハとドナーウエハとの両方が一般に同じオフ・オリエンテーションを有するシリコンオンインシュレータ用途によく使用される。このような高オフ・オリエンテーションウエハを製造するための従来の方法は、処理量を低下させるとともにそのようなウエハを製造するためのコストを増加させる非常に高度なプロセスを含む。そのようなプロセスはまた、生産量が悪いという特徴がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウエハを標準的な下流の方法によって処理することができ、特殊な設備なしに処理できる、そのような単結晶シリコンウエハを製造するための方法の必要性が存在する。
【0005】
本セクションは、本開示の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介することを意図し、それらは、以下に説明及び/又は請求される。この議論は、本開示の様々な側面のより良い理解を促進するために、読者に背景情報を提供するのに有用であると信じる。従って、これらの記述は、先行技術の自認としてではなく、この観点から読まれるべきであると理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の一態様は、オフ・オリエンテーション単結晶シリコンウエハを製造するための方法に指向される。多結晶シリコンの充填量(charge)が、インゴット引上げ装置に配置されたるつぼに加えられる。多結晶シリコンの充填量を有するるつぼは、シリコン融液をるつぼ内に形成させるために加熱される。シリコン種結晶は、シリコン融液に接触される。シリコン種結晶は、単結晶シリコンインゴットを成長させるために引き抜かれる。インゴットは、一定の直径部分を有する。単結晶シリコンインゴットのセグメント(segment)は、オフ・オリエンテーションを増加させるとともに研削された単結晶シリコンインゴットのセグメントを製造するために研削される。ウエハは、研削された単結晶シリコンインゴットからスライスされる。ウエハは、研削された単結晶シリコンインゴットより大きいオフ・オリエンテーションを有する。
【0007】
本開示の前述の態様に関連して指摘された特徴には、様々な改良が存在する。さらなる特徴も同様に、本開示の前述の態様に組み込むことができる。これらの改良及び追加の特徴は、個別に又は任意の組合せで存在し得る。例えば、本開示の図示された実施形態のいずれかに関連して以下に述べられる様々な特徴は、本開示の前述の態様のいずれかに、単独で又は任意の組合せで組み込まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ノッチと、ノッチ方向に向かう軸上結晶方位と前記軸上方向から90°のオフ・オリエンテーションとを示すインゴットのセグメント(又はそのウエハ)の上面図である。
図2】インゴット引上げ装置の概略断面側面図である。
図3】インゴット及びオフ・オリエンテーションを増加させるために使用される研削装置の概略図である。
図4】下流のX線ステーション及び接着ステーションのためのインデックスとして2つのリングが取り付けられた、切り取られたシリコンインゴットの斜視図である。
図5】ブラケットが接着されたインゴットのセグメントの斜視図である。
図6】ブラケットが接続されたインゴットのセグメントの斜視図である。
図7】研削装置に取り付けられたブラケットが接続されたインゴットのセグメントの正面図である。
図8】スライスされたウエハのオフ・オリエンテーションを増加させるスライスプロセスの概略図である。
図9】本開示の方法によって製造された楕円形ウエハの概略上面図である。
【0009】
対応する参照文字は、図面全体を通して対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の提供は、オフ・オリエンテーション単結晶シリコンウエハを製造するための方法に関する。図1に示すように、ウエハは、第1方向(例えば、ノッチ方向)に目標結晶方位を有し、第2方向(例えば、軸上方向から90°垂直方向)にオフ・オリエンテーションを有する。前記方法は、単結晶シリコンインゴットを製造することと、単結晶シリコンインゴットのオフ・オリエンテーションを増加させるために単結晶シリコンインゴットを軸上(on-axis)研削することと、ウエハが研削された単結晶シリコンインゴットより大きいオフ・オリエンテーションを有するように、研削された単結晶シリコンインゴットからウエハをスライスすることとを含むことができる。
【0011】
単結晶シリコンインゴットの製造
単結晶シリコンインゴットを製造するための例示的なインゴット引上げ装置(又はもっと簡単に「インゴットプーラ(ingot puller)」)は、図2に概括的に「100」として示されている。インゴット引上げ装置100は、半導体又は太陽電池グレード原料シリコンの融液104を保持するためのるつぼアセンブリ102を含む。るつぼアセンブリ102は、サセプタ106によって支持されている。
【0012】
インゴット引上げ装置100は、引上げ軸Aに沿ってシリコン溶融104からシリコンインゴットを引き上げるための成長チャンバ152を画定する結晶引上げハウジング108を含む。成長チャンバ152は、2つの部分、すなわち、下部成長チャンバ155(又は簡単に「下部チャンバ」)と、下部成長チャンバ155の上方に配置される上部成長チャンバ165(又は簡単に「上部チャンバ」)とを含む。インゴット引上げ装置100のホットゾーン(例えば、るつぼ、反射器アセンブリ、サセプタ、ヒータ及び同様のもの)は、下部チャンバ155内に配置される。インゴット成長中、インゴット113は、下部チャンバ155を通じて引き上げられ、インゴットが長くなるにつれて上部チャンバ165を通じて引き上げられ続ける。
【0013】
結晶引上げハウジング108は、下部チャンバ155を画定するドーム形の下部セグメント119と、上部チャンバ165を画定する上部セグメント140とを含む。下部のドーム形のセグメント119は、上部セグメント140の直径に対して大きさが先細りになるドーム型部分169を含む。上部セグメント140は、形状が概括的に円筒形であり、下端部159及び上端部163を含む。結晶引上げハウジング108の上部セグメント140は、(例えば、留め具、ガスケット又は同様のものによって)下部セグメント119に取り外し可能に接続される。
【0014】
るつぼアセンブリ102は、下部チャンバ155内に配置される。るつぼアセンブリ102は、側壁131及びフロア129を有し、サセプタ106の上に載っている。サセプタ106は、シャフト105によって支持されている。サセプタ106、るつぼアセンブリ102、シャフト105及びインゴット113は、共通の長手方向軸又は「引上げ軸」Aを有する。
【0015】
引上げ機構114は、融液104からインゴット113を成長させて引き上げるためにインゴット引上げ装置100内に設けられる。引上げ機構114は、引上げケーブル118、引上げケーブル118の一端部に連結された種ホルダ又はチャック120、及び結晶成長を開始するためにチャック120に連結された種結晶122を含む。引上げケーブル118の一端部は、引上げ機構114のプーリ(図示せず)又はドラム(図示せず)に接続され、他端部は、種結晶122を保持するチャック120に接続される。引上げ機構114は、前記プーリ又は前記ドラムを回転させるモータを含む。
【0016】
運転中、種結晶122は、融液104の表面111に接触するように下降される。引上げ機構114は、種結晶122を上昇させるように作動される。これは、単結晶インゴット113を融液104から引き上げさせる。
【0017】
加熱及び結晶引上げ中、るつぼ駆動ユニット107(例えば、モータ)は、るつぼアセンブリ102及びサセプタ106を回転させる。リフト機構112は、成長プロセス中、引上げ軸Aに沿ってるつぼアセンブリ102を昇降させる。例えば、るつぼアセンブリ102は、るつぼアセンブリ102に先に加えられた固相シリコン133の充填量が溶融される最低位置(底部ヒータ126の近く)にある場合がある。結晶成長は、融液104を種結晶122に接触させ、引上げ機構114によって種結晶122を持ち上げることによって開始する。
【0018】
結晶駆動ユニット(図示せず)はまた、引上げケーブル118及びインゴット113を、るつぼ駆動ユニット107がるつぼアセンブリ102を回転させる方向とは反対の方向(例えば、逆回転)に回転させることができる。同じ回転を使用する実施形態では、結晶駆動ユニットは、るつぼ駆動ユニットがるつぼアセンブリ102を回転させるのと同じ方向に引上げケーブル118を回転させることができる。
【0019】
インゴット引上げ装置100は、引上げ装置100内の熱を保持するために底部断熱体110及び側部断熱体124を含む。図示する実施形態では、インゴット引上げ装置100は、るつぼフロア129の下方に配置された底部ヒータ126を含む。るつぼアセンブリ102は、るつぼアセンブリ102に装入された固体シリコンを溶融させるために底部ヒータ126に比較的密接して近接するように移動させることができる。
【0020】
チョクラルスキー単結晶成長プロセスによれば、多結晶シリコン、すなわちポリシリコンのような固相シリコンのある量が、最初にるつぼアセンブリ102に装入される。るつぼアセンブリ102に導入される半導体又は太陽電池グレードの固体シリコンは、1つ又は複数の加熱要素から供給される熱によって溶融される。融液104が完全に形成されると、種結晶122は、下降され、融液104の表面111に接触される。引上げ機構114は、融液104から種結晶122を引き上げるために作動される。結果として生じるインゴット113は、インゴットが目標直径に達するために種結晶122から外側に移行してテーパをつけるクラウン部142を含む。インゴット113は、引上げ速度を増加させることによって成長される一定の直径部分145又は結晶の円柱状「本体」を含む。インゴット113の本体145は、比較的一定の直径を有する。インゴット113は、インゴットが本体145の後に直径が細くなるテール又はエンドコーン(図示せず)を含む。直径が十分に小さくなるとき、インゴット113は、融液104からそのとき分離される。
【0021】
結晶成長プロセスは、固体シリコンが、結晶成長中に更なる固体シリコンがるつぼアセンブリ102に加えられることなしにシリコン融液を形成するために最初にるつぼアセンブリ102に加えられるバッチプロセスであり得る。他の実施形態では、結晶成長プロセスは、インゴット成長中にるつぼアセンブリにある量のシリコンが加えられる連続的なチョクラルスキープロセスである。
【0022】
インゴット引上げ装置100は、結晶成長中に融液104の温度を維持するために、るつぼアセンブリ102を取り囲む側部ヒータ135及びサセプタ106を含む。側部ヒータ135は、るつぼアセンブリ102が引上げ軸Aを上下に移動するとき、るつぼ側壁131に対して半径方向外側に配置される。側部ヒータ135及び底部ヒータ126は、側部ヒータ135及び底部ヒータ126が本明細書に記載されるように作動することを可能にする任意のタイプのヒータであり得る。いくつかの実施形態では、ヒータ135、126は、抵抗ヒータである。側部ヒータ135及び底部ヒータ126は、融液104の温度が引上げプロセスを通じて制御されるように制御システム(図示せず)によって制御され得る。
【0023】
インゴット引上げ装置100は、反射器アセンブリ151を含み得る。反射器アセンブリ151は、開口部157を含み、開口部157を通じて、単結晶シリコンインゴット113がインゴット成長中に引き上げられる。インゴット引上げ装置100は、成長チャンバ152からアルゴンなどの不活性ガスを導入する及び引き出すために不活性ガスシステムを含み得る。
【0024】
図示したインゴット引上げ装置100は、一例であり、特に明記しない限り、単結晶シリコンインゴットを製造する任意のインゴット引上げ装置100が使用され得る。
【0025】
結果として生じる結晶113は、{20-1-1}方位、{14-1-0}方位、{1-1-0}方位、{15-17-1}方位、{1-1-1}方位、又は{7-7-6}方位に沿って成長された結晶113などの任意の目標結晶方位を有することができる。インゴットは、インゴットの所望の成長方位に沿って切断された種結晶122を使用することによって目標方位に沿って成長させることができる。いくつかの実施形態では、成長したままのインゴットのオフ・オリエンテーションは、少なくとも1°、少なくとも2°、又は少なくとも4°である(例えば、{20-1-1}結晶、{14-1-0}結晶、又は{7-7-6}結晶)。
【0026】
インゴット研削
インゴット113が成長されてインゴットのセグメント(切り取られたままのインゴットであってもよい、又は更なるセクションに分割された切り取られたインゴットであってもよい)に切り取られた後、インゴットのセグメントは、研削装置において研削することによって結晶面が満たされるとともにまたインゴットのオフ・オリエンテーションが増加される「軸上」研削を受けることができる。軸上研削は、結晶によって満たされないが研削から入力される特定の方向(軸)を満たすことができる。軸上研削は、2つの目的、すなわち、垂直方向(例えば、{1-0-0})(ノッチ方向であり得る)に沿った所望のアライメントを満たすことと、オフ・オリエンテーションを成長したままの方位からさらに1°~2°(例えば、成長したままの4°から研削後の5~5.5°に)増加させることによってなど、オフ・オリエンテーションを拡大することと、を達成する。
【0027】
軸上研削は、2ステップの研削プロセスであってもよい、又は1ステップの研削プロセス(例えば、ブラケットがインゴットのセグメントに接着される)であってもよい。研削プロセス(例えば、1ステップのプロセス又は2ステップのプロセス)は、図3に概略的に示すインゴット研削装置において行われ得る。研削装置は、研削軸と長手方向インゴット軸(又は「中心軸」)とが、目標結晶方位(例えば、ノッチ方向)及び/又はオフ・オリエンテーションを(例えば、以下に述べるような1ステップ又は2ステップにおいて)増加させることができるような角度αを形成するように、インゴットのセグメントを固定する。研削装置は、インゴットのセグメントを前記装置内に固定するためにブラケット、クランプ又は面板を含むことができる。インゴット研削装置は、インゴットのセグメントが研削軸に対して傾斜される傾斜テーブルを含むことができる。特に明記しない限り、インゴットのセグメントを軸上で研削することができる任意の研削装置が使用され得る。
【0028】
インゴットのセグメントの長手方向中心軸と研削軸とが角度がつけられるので、研削は、インゴットのセグメントからの材料の不均一な除去をもたらす。図3に示すように、インゴット研削装置の研削ホイールは、インゴットのセグメントの第1部分に最初に接触する。インゴット研削が進行するにつれて、インゴットのセグメントのより長い部分が、研削ホイールに接触する。最終のインゴットのセグメントは、以下に述べるように、1ステップ又は2ステップ(又はそれ以上)において達成され得る。
【0029】
2ステップの研削プロセスでは、切り取られたセグメントは、研削の前に、軸外方向(すなわち、ノッチ方向に垂直)に沿った方位において最初に検査され得る。検査は、第1研削ステップ中に適用される傾斜の量を決定するためにX線ステーションにおいて行われ得る。X線ステーションは、インゴットのセグメントを支持するプラットフォームとX線発生装置とを含む。X線ステーションは、光子吸収強度を検出し、検出された電流のアナログ表示を提供し得る。回折角がブラッグの法則を満たすとき、吸収は、最大に達する。角度(通常、1°~2°)を決定することによって、またセグメント長さを有することによって、研削中に使用されるオフセット量は、決定され得る。
【0030】
傾斜角度が決定されると、インゴットのセグメントは、研削装置に搭載され、上方に測定されるオフセットを有する研削軸に位置調整される。オフセットは、傾斜角度からゴニオメトリック式(goniometric formula)によって計算することができる。接触プローブは、研削装置のフレーム上に設置することができ、必要なオフセットを再現するためにセグメントを傾斜させるようにセグメント側面に位置付けられる。傾斜は、セグメント表面に力を加えることによって(例えば、木槌(mallet)によって)提供され得る。
【0031】
インゴットのセグメントは次に、最終目標直径より大きい直径(通常、最終目標より3~3.5mm大きい)に研削され、第2研削ステップが、その後、他の軸の向きを補正し、適切な最終直径に達することを可能にする。第2研削ステップの前に、「大型に」研削されたインゴットのセグメントは、表面と他の軸に沿った結晶方位との間の相違を計算するためにX線ステーションにおいて再度測定される。いくつかの実施形態では、この操作は、目標からの相違がスライス中に修正されないので(すなわち、スライスは、他の方向におけるオフ・オリエンテーションを増加させるので)、比較的高い精度を伴う。オフセット/傾斜は、第1ステップに対して90°シフトされた方向を有する第1研削ステップと同じ方法によって決定され得る。セグメントが研削装置に搭載されると、インゴットのセグメントは、研削軸に対して傾けられ、ウエハスライスのための目標直径に達するように研削が行われる。
【0032】
いくつかの実施形態では、1ステップの研削が行われる。1ステップの研削プロセスは、軸上目標(すなわち、「二方向(dual direction)」軸上研削)も達成するのに、所望のオフ・オリエンテーションの程度を達成することができるための接着ステーション(例えば、インゴットのセグメントを固定するブラケットが接着される)を含むことができる。例示的な接着ステーションは、デルタ・テクノロジーズ・インターナショナル(フランス、グラディニャン)から入手できる。
【0033】
1ステップ研削では、研削中にインゴットのセグメントを保持する2つのブラケットは、所望の結晶方位と実際の結晶方位との間に適切な補正を提供するために、接着ステーションを用いてインゴットのセグメントの2つの平坦な端部に接着される。
【0034】
比較的正確な方位を提供することができる任意の研削システム、又は方位誤差を補正するための機構が使用され得る。一般に、あらゆる結晶は、開示された方法に従って({1,0,0}、{1,1,1}など、軸上、軸外など)研削され得る。
【0035】
1ステップ研削では、ノッチに沿ってとノッチから90°の位置との2つの異なる条件が達成される。ノッチ位置は、研削の前に達成され得る。X線ステーションが使用することができ、X線ステーションでは、成長して切り取られたインゴット(及び任意でさらに分割されたインゴットのセグメント)がX線プレート上に垂直に配置され、ノッチ位置がセグメントの平坦な端部にマークされる。ノッチ付きインゴットのセグメントは次に、研削装置に移すために正しい結晶方位を見つけるためにX線によって検査され得る。2つのリングは、図4に示すようにX線ステーション及び接着ステーションの両方のためのインデックスとして、インゴットのセグメントに取り付けられ得る。
【0036】
一度X線ステーション上において、ブラケットがインゴットのセグメント上に接着される角度を決定するために、方位目標と垂直方向のオフ・オリエンテーションとに関連する計算が(例えば、4つの位置において)行われる。ブラケットは、水平テーブルの目標偏向(deflection)と目標ノッチ回転とを達成するために接着される(図5)。図6に示すように、ブラケットは、セグメントの平坦な端部に接着される(例えば、すなわち両面テープ留めされる)。接着ステーションは、ブラケットがセグメントの各平坦な端部に強制的に接触されながらブラケットを固定するブラケットホルダを含むことができる。矯正(curing)後、2つのブラケットが取り付けられたインゴットのセグメントは、矯正ステーションから取り除かれ、インデックスリングは、取り除かれる。
【0037】
ブラケットが取り付けられたセグメントは次に、研削装置(図7)に挿入され、クランプされ、セグメントは、軸上研削される。研削後、接着されたブラケットは、取り除かれ、インゴットのセグメントは、目標方位が達成されたことを確認するためにX線で再度測定される。セグメントが十分に厚く成長された場合、方位は、第1研削の後に確認することができ、所望の直径への第2研削が行われ得る。
【0038】
別の実施形態では、接着ステーションを使用するよりもむしろ、インゴットのセグメントは、(例えば、所望の最終直径より大きい直径に)事前研削され得る。事前研削されたインゴットのセグメントは、オフ・オリエンテーション位置を決定するためにX線ステーションにおいて検査され、角度は(例えば、ゴニオメトリック式によって)距離に変換される。ブラケット位置は、インゴット中心又は側面からの計算された距離に基づいてインゴット表面にマークされ、ブラケットは、所望の軸外研削に基づいて取り付けられる。
【0039】
ウエハスライス
一度インゴットのセグメントが研削されると、ウエハは、ウエハが研削された単結晶シリコンインゴットより大きいオフ・オリエンテーションを有するように単結晶シリコンインゴットのセグメントからスライスされる。スライスは、さらに2°、さらに3°、さらに4°、又はさらに4.5°(例えば、4.5°から5°によって増加される)など、オフ・オリエンテーションをさらに増加させることができる。インゴットは、ダイヤモンドコートワイヤを含むスライス装置においてスライスされ得る、又は遊離砥粒スライスが使用され得る。図8に示すように、スライス装置は、スライス装置の長手方向軸(スライス方向から90°オフセットしている)と長手方向インゴット軸とが、目標(例えば、顧客目標)を満たすためにオフ・オリエンテーションが増加されるような角度λを形成するようにインゴットのセグメントを固定する。
【0040】
前記スライス方法は、インゴットのセグメントの丸い側面にワークプレートを接着することと、ワークプレートが取り付けられたインゴットのセグメントをスライス装置に位置決めすることとを含み得る。ワークプレートの接着のために、インゴットのセグメントは、ワークプレートがインゴットのセグメント上に接着される角度を決定するためにX線ステーションに配置され得る。ワークプレートは、目標偏向と目標ノッチ回転とを達成するために接着される。軸上研削(前述した)は、インゴットがメインローラ範囲(span)により良く適合し得るので、より長いインゴットをスライスすることができるスライスによって修正される角度を減少させる。これは、失われる長さの量を低減する(すなわち、一定長さのインゴットのセグメントにおいて生産されるウエハの量が増加する)。
【0041】
スライス後、ウエハは、取り外され、洗浄される。ウエハ検査は、標準的なツールを使用して行われ得る。エッジ丸め加工は、行われてもよく、いくつかの実施形態では、最終直径を達成するために2ステップにおいて行われる。インゴットのセグメントがノッチ方向に沿って軸上研削される実施形態では、ノッチは、軸上において短径に沿って切断され得る。これは、エッジ丸め加工に役立ち、ノッチが除去ステップに耐えることを確実にするためにデュアル(dual)除去プロセスに役立つ。エッジ丸め加工後、ウエハは、下流プロセスにおいて標準的なウエハとして処理され得る。
【0042】
結果として生じる単結晶シリコンウエハは、{1-0-0}などの任意の好適な表面配向を有し得る。いくつかの実施形態では、ウエハは、少なくとも9.0°(例えば、9.0°から10.5°又は9.0°から10.0°)のオフ・オリエンテーションを有する。オフ・オリエンテーションは、ノッチ方向([1-1-0]方向に沿って成長される)にあってもよい、又はノッチから90°であってもよい。他の実施形態では、結果として生じる単結晶シリコンウエハは、9.0°から10.5°のオフ・オリエンテーションを有する{1-1-0}結晶から出発して{15-17-1}に沿って配向される。ウエハは、任意の好適な直径を有し得る(例えば、200mm又は300mm)。
【0043】
図9に示すように、結果として生じるウエハは、前述の処理によって楕円形状を有し得る。例えば、ウエハは、短軸より1~5mm長い長軸を有する。ノッチは、短軸上に配置され得る。
【0044】
単結晶シリコンウエハを製造するための従来の方法と比べて、本開示の方法は、いくつかの利点を有する。二軸研削を行うことによって、極端な条件で(例えば、ワイヤソーを変更することによって)処理することなく、高オフ・オリエンテーション(例えば、少なくとも9°)ウエハが製造され得る。前記方法は、既知の成長プロセス(例えば、より一般的である{1-0-0}に比較的近い{20-1-1}の結晶方位)に沿ったCZ成長が可能である。結果として生じるウエハは、それほど楕円形ではなく、それは、ウエハが下流プロセスのための標準的なカセットに収まることを可能にする。インゴットがノッチ方向に沿って軸上研削される実施形態では、ノッチは、軸上において短径に沿って切断され得る。これは、エッジ丸め加工に役立ち、ノッチが除去ステップに耐えることを確実にするためにデュアル除去プロセスにおいて役立つ。
【0045】
1ステップ研削が使用される実施形態では、研削は、2ステップ研削に対して、より正確になり得る。二方向軸上研削が使用される実施形態では、スライス中に修正される角度は、低減することができ、それは、より長いインゴットのセグメントを使用することを可能にする。軸上研削を使用することによる歩留まりの利点は、最大で10%以上であり得る。
【0046】
本明細書で使用されるように、寸法、濃度、温度又は他の物理的若しくは化学的性質若しくは特性の範囲と共に使用される場合、用語「約」、「実質的に」、「本質的に」及び「およそ」は、例えば、丸め、測定方法論又は他の統計的変動から生じる変動を含む、性質又は特性の範囲の上限及び/又は下限に存在し得る変動をカバーすることを意味する。
【0047】
本開示の要素又はその実施形態(複数可)を紹介する場合、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」及び「前記(said)」は、要素が1つ又は複数存在することを意味することが意図される。用語「有する(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」及び「有する(having)」は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。特定の向きを示す用語(例えば、「上(top)」、「下(bottom)」、「側(side)」など)の使用は、説明の便宜のためであり、説明される項目の特定の向きを必要とするものではない。
【0048】
本開示の範囲から逸脱することなく上記の構造及び方法において様々な変更がなされ得るので、上記の説明に含まれ、添付の図面に示される全ての事項は、例示的なものとして解釈され、制限的な意味ではないことを意図する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】