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特開2024-96079荷電粒子顕微鏡法のためのファイバファブリペローキャビティレーザ位相板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096079
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】荷電粒子顕微鏡法のためのファイバファブリペローキャビティレーザ位相板
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/04 20060101AFI20240704BHJP
   H01J 37/26 20060101ALI20240704BHJP
   H01J 37/295 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
H01J37/04 Z
H01J37/26
H01J37/295
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023222171
(22)【出願日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】63/436,214
(32)【優先日】2022-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アフリック メイエル
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA04
5C101AA15
5C101EE05
5C101EE15
5C101EE59
5C101EE61
5C101EE78
5C101FF01
(57)【要約】
【課題】顕微鏡検査のためのファイバファブリペローキャビティレーザ位相板を提供する。
【解決手段】一態様では、荷電粒子顕微鏡法のためのマイクロファブリペローレーザキャビティは、第1のファイバアセンブリと第2のファイバアセンブリとを含み得、第1のファイバアセンブリ及び第2のファイバアセンブリの各々は、シングルモードファイバを含む入口領域と、マルチモードファイバ又は透明基板を含むスペーサ領域と、屈折率分布型ファイバ又は屈折率分布型レンズを含む収束領域と、マルチモードファイバ又は透明基板を含む検鏡領域と、を含み、入口領域、スペーサ領域、収束領域、及び検鏡領域は、互いに光学的に連通しており、第1のファイバアセンブリの検鏡領域の面は、第2のファイバアセンブリの検鏡領域の面に対向しており、それにより、それらの間に間隙を画定する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子顕微鏡法のためのマイクロファブリペローレーザキャビティであって、
第1のファイバアセンブリと第2のファイバアセンブリとを備え、前記第1のファイバアセンブリ及び前記第2のファイバアセンブリの各々が、
シングルモードファイバを備える入口領域と、
マルチモードファイバ又は透明基板を備えるスペーサ領域と、
屈折率分布型ファイバ又は屈折率分布型レンズを備える収束領域と、
マルチモードファイバ又は透明基板を備える検鏡領域と、を備え、
前記入口領域、スペーサ領域、前記収束領域、及び前記検鏡領域が、互いに光学的に連通しており、
前記第1のファイバアセンブリの前記検鏡領域の面が、前記第2のファイバアセンブリの前記検鏡領域の面に対向しており、それにより、それらの間に間隙を画定する、マイクロファブリペローレーザキャビティ。
【請求項2】
前記屈折率分布型ファイバ又は屈折率分布型レンズが、前記スペーサ領域内の前記マルチモードファイバ又は透明基板から拡大されたレーザビーム直径のレーザビームを受容して、前記レーザビームを前記検鏡領域及び前記間隙内の曲率のミラー放射輝度にモード整合させるように構成される、請求項1に記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。
【請求項3】
前記間隙の長さが、1μm~1000μmを含む、請求項1に記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。
【請求項4】
前記第1のファイバアセンブリ及び前記第2のファイバアセンブリの前記各々が、約1μW~約1Wの入力パワーを有するレーザビームを輸送するように構成される、請求項1に記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。
【請求項5】
前記第1のファイバアセンブリ及び前記第2のファイバアセンブリの各々のコア直径が、約1μm~約1000μmの範囲内である、請求項1に記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。
【請求項6】
前記第1のファイバアセンブリ及び前記第2のファイバアセンブリの各々の前記検鏡領域の前記面が、ミラーを備える、請求項1に記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。
【請求項7】
前記第1のファイバアセンブリ及び前記第2のファイバアセンブリのうちの少なくとも一方のための前記検鏡領域が、高熱伝導性基板を備え、前記高熱伝導性基板が、必要に応じて、誘電体反射コーティングを備え、前記誘電体反射コーティングが、必要に応じて、少なくとも第1の層及び第2の層を備え、前記第1の層及び前記第2の層が、異なる反射率を有する、請求項1に記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。
【請求項8】
前記マイクロファブリペローレーザキャビティは、荷電粒子顕微鏡の荷電粒子ビームの一部分が前記間隙を通過するように、前記荷電粒子顕微鏡のカラム内に位置決めされるように構成される、請求項1に記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。
【請求項9】
前記マイクロファブリペローレーザキャビティが、試料の下流の回折焦点面に位置決めされるように構成され、前記回折焦点面が、前記荷電粒子顕微鏡の磁気レンズの上部磁極片と、前記荷電粒子顕微鏡の前記磁気レンズの下部磁極片との間に位置する、請求項8に記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。
【請求項10】
前記第1のファイバアセンブリの前記面及び前記第2のファイバアセンブリの前記面の少なくとも一部を覆う誘電体コーティングを更に備える、請求項1に記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。
【請求項11】
前記第1のファイバアセンブリ及び前記第2のファイバアセンブリのうちの少なくとも一方の前記検鏡領域と接触する熱シンクを更に備える、請求項1に記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。
【請求項12】
前記間隙内に位置決めされ、かつ前記間隙を通って進行する荷電ビームからの、前記第1のファイバアセンブリの前記面及び前記第2のファイバアセンブリの前記面上の電荷蓄積を低減するように構成された電気シールドを更に備える、請求項1に記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。
【請求項13】
方法であって、
荷電粒子顕微鏡によって、荷電粒子ビームを生成することであって、前記荷電粒子ビームが、前記荷電粒子顕微鏡のビームカラムを通って進行する、生成することと、
前記荷電粒子顕微鏡の後焦点面に位置決めされたマイクロファブリペローレーザキャビティによって、定在波を生成することであって、前記荷電粒子ビームの一部分が、前記定在波を通って伝搬し、前記ビームカラム内で前記定在波との相互作用を経験する、生成することと、
前記荷電粒子顕微鏡の荷電粒子検出器によって、前記相互作用の結果として生じる荷電粒子画像をキャプチャすることと、を含む、方法。
【請求項14】
前記荷電粒子ビームが、前記荷電粒子顕微鏡の前記ビームカラム内に位置決めされた試料と更に相互作用する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記試料が、軟組織試料を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記荷電粒子ビームが、画像としてキャプチャされる、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
荷電粒子顕微鏡であって、
荷電粒子ビームを生成するように構成された荷電粒子源と、
前記荷電粒子ビームが通って進行するマイクロファブリペローキャビティを画定するビームカラムと、
上部磁極片及び下部磁極片を画定し、かつ前記ビームカラム内に収容された磁気レンズと、
前記ビームカラム内に収容され、かつ前記上部磁極片と前記下部磁極片との間に位置決めされたマイクロファブリペローレーザキャビティと、を備え、
前記マイクロファブリペローレーザキャビティが、前記荷電粒子ビームを通って進むレーザビームを生成するように構成され、必要に応じて、
(a)前記レーザビームが、約1μW~約1Wの入力パワーを有するか、又は
(b)前記マイクロファブリペローレーザキャビティが、約1μm~約1000μmの範囲の間隙を画定し、前記間隙は、前記レーザビームがそこを通過するように構成されるか、又は
(c)(a)及び(b)の両方である、荷電粒子顕微鏡。
【請求項18】
検鏡端部を画定する試料ホルダを更に備え、前記検鏡端部が、試料を保持し、かつ(i)前記上部磁極片と前記下部磁極片との間、及び(ii)前記荷電粒子ビームの進行経路内に位置決めされるように構成される、請求項17に記載の荷電粒子顕微鏡。
【請求項19】
前記マイクロファブリペローレーザキャビティが、前記試料ホルダの前記検鏡端部と、前記下部磁極片との間に位置決めされるように更に構成される、請求項18に記載の荷電粒子顕微鏡。
【請求項20】
検鏡端部を画定するレーザキャビティホルダを更に備え、前記マイクロファブリペローレーザキャビティの前記検鏡端部が、(i)前記マイクロファブリペローレーザキャビティを保持するように構成され、かつ(ii)前記荷電粒子ビームの進行経路内に位置決めされる、請求項17に記載の荷電粒子顕微鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、(2022年12月30日に出願された)米国仮特許出願第63/436,214号「Fiber Fabry-Perot Cavity Laser Phase Plate for Charged Particle Microscopy」の優先権及び利益を主張するものであり、この出願の全体が、任意の及び全ての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
開示される技術は、荷電粒子顕微鏡システムのためのファイバファブリペローキャビティレーザ位相板の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
荷電粒子顕微鏡法のための位相板は、顕微鏡検査試料の画像コントラストを高めることができ、それにより、極低温電子顕微鏡法(cryo-electron microscopy、cryo-EM)、材料科学におけるソフトマター、及び半導体における薄いラメラにおいて典型的に見出される試料など、低い固有コントラストを有する試料に特に有用であり得る。位相板は、顕微鏡検査試料のコントラストを高めるために顕微鏡システムに組み込まれ得、それにより、画像を記録するために必要とされる線量を低下させ、また、試料への潜在的な照射損傷を軽減することができる。場合によっては、向上した画像コントラストはまた、より高速の画像キャプチャを提供し得る。しかしながら、既存の位相板は、それらの使用を制限する形状因子及び/又は電力消費を有する場合がある。したがって、改善された位相板に対する長年感じられた必要性が、当該分野に存在する。
【発明の概要】
【0004】
記載された長年感じられた必要性を満たすために、本開示は、荷電粒子顕微鏡法のための新規かつ発明的なファイバファブリペローキャビティレーザ位相板を提供する。
【0005】
一態様では、本開示は、荷電粒子顕微鏡法のためのマイクロファブリペローレーザキャビティであって、第1のファイバアセンブリと第2のファイバアセンブリとを備え、第1のファイバアセンブリ及び第2のファイバアセンブリの各々が、シングルモードファイバを備える入口領域と、マルチモードファイバ又は透明基板を備えるスペーサ領域と屈折率分布型ファイバ又は屈折率分布型レンズを備える収束領域と、マルチモードファイバ又は透明基板を備える検鏡領域と、を備え、入口領域、スペーサ領域、収束領域、及び検鏡領域が、互いに光学的に連通しており、第1のファイバアセンブリの検鏡領域の面が、第2のファイバアセンブリの検鏡領域の面に対向し、それにより、それらの間に間隙を画定する、マイクロファブリペローレーザキャビティ、を提供する。
【0006】
また、方法であって、荷電粒子顕微鏡によって、荷電粒子ビームを生成することであって、荷電ビームが、荷電粒子顕微鏡のビームカラムを通って進行する、生成することと、試料の下流の回折焦点面に位置決めされたマイクロファブリペローレーザキャビティによって、第1の回折面がビームカラムの上部磁極片と下部磁極片との間にある状態で(例えば、試料の平行照明のために)、試料の後焦点面内にレーザビームを生成することであって、荷電粒子ビームの一部分が、レーザビームを通って伝搬し、ビームカラム内でレーザビームと相互作用する、生成することと、荷電粒子顕微鏡の荷電粒子検出器によって、相互作用の結果として生じる荷電粒子画像をキャプチャすることと、を含む、方法、が提供される。
【0007】
更に、荷電粒子顕微鏡であって、荷電粒子ビームを生成するように構成された荷電粒子源と、生成された粒子ビームが通って進行するマイクロファブリペローキャビティを画定するビームカラムと、上部磁極片及び下部磁極片を画定し、かつビームカラム内に収容された磁気レンズと、ビームカラム内に収容され、かつ試料の下流の回折焦点面に、第1の回折焦点面が上部磁極片と下部磁極片との間にある状態で(例えば、試料の平行照明のために)位置決めされたマイクロファブリペローレーザキャビティと、を備え、マイクロファブリペローレーザキャビティが、荷電粒子ビームを通って進行するレーザビームを生成するように構成され、必要に応じて、レーザビームが、約1μW~約1Wの入力パワーを有するか、又はマイクロファブリペローレーザキャビティが、約1μm~約1000μmの範囲の間隙を画定し、間隙は、レーザビームがそこを通過するように構成される、荷電粒子顕微鏡、が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明を説明する目的で、現在好ましい形態が、図面に示されている。しかしながら、本発明は、示された正確な配置及び手段に限定されないことが、理解される。
図1】本開示のマイクロファイバファブリペローキャビティレーザ位相板を組み込むことができる顕微鏡システムを示す。
図2】本開示による、マイクロファイバファブリペローキャビティレーザ位相板を組み込んだ顕微鏡カラムの構成を示す。
図3】本開示による、マイクロファイバファブリペローキャビティレーザ位相板を示す。
図4A】本開示による、マイクロファイバファブリペローキャビティレーザ位相板を示す。
図4B】本開示による、マイクロファイバファブリペローキャビティレーザ位相板を示す。
図5】本開示による、マイクロファイバファブリペローキャビティレーザ位相板のためのキャビティミラー及び熱シンクのアセンブリを示す。
図6】本開示による、マイクロファイバファブリペローキャビティレーザ位相板を組み込んだ顕微鏡カラムを示す。
図7】本開示による、マイクロファイバファブリペローキャビティレーザ位相板を有する顕微鏡システムを利用するためのプロセスフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、本開示の一部を形成する添付の図面及び実施例と一緒に、以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解され得る。本発明は、本明細書に記載及び/又は図示される特定のデバイス、方法、用途、条件、又はパラメータに限定されないこと、及び本明細書で使用される用語は、単なる例示として、特定の実施形態を説明することを目的とするものであり、特許請求の範囲に記載された発明を限定することを意図するものではないことを理解すべきである。また、添付の特許請求の範囲を含む明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数形を含み、特定の数値への言及は、文脈が明確に指示しない限り、少なくともその特定の数値を含む。本明細書で使用される場合、「複数」という用語は、2つ以上を意味する。数値の範囲が表現されるとき、別の態様は、一方の特定の数値からのもの、及び/又は、他方の特定の数値までのものを含む。同様に、数値が近似値として表現されるとき、「約又はおよそ(about)」という先行詞を使用することによって、その特定の数値が、別の実施形態を形成することが理解されるであろう。全ての範囲は、包括的かつ組み合わせ可能であり、ステップは、任意の順序で実行され得ることが理解されるべきである。本明細書で引用される全ての文書は、その全体があらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込まれている。
【0010】
明確さのために別個の実施形態の文脈で本明細書に説明される、本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることも理解されたい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される、本発明の様々な特徴は、別々に又は任意のサブコンビネーションで提供され得る。更に、範囲で記載された値への言及は、その範囲内の各値及び全ての値を含む。更に、「有する(comprising(含む、備える))」という用語は、その標準的なオープンエンドの意味を有するが、「からなる(consisting)」も包含するものとして理解されるべきである。例えば、部品A及び部品Bを備えるデバイスは、部品A及び部品Bに加えて部品を含むことができるが、部品A及び部品Bのみから形成することもできる。
【0011】
レーザ位相板(laser phase plate、LPP)は、光学的なポンダーモーティブポテンシャル(pondermotive potential)を利用して、TEM試料の下流の回折面において、電子ビームに必要な位相変化を与える。吸収、散乱、又はエネルギーシフトを引き起こし得る材料が、電子ビーム経路内に位置しないので、LPPは、TEM用の位相板のほぼ理想的な実装形態である。連続波LPPの実装では、レーザ光は、光キャビティ内で増強されて、GW/cmの強度に集結される。巨視的キャビティタイプは、1mmより大きい曲率半径(ROC)を有するミラーを有し、10wより大きいレーザパワーを必要とする。
【0012】
本開示は、透過電子顕微鏡(transmission electron microscope、TEM)などの荷電粒子顕微鏡内に配置され得るLPPを形成するためのファイバファブリペローキャビティ(Fiber Fabry-Perot Cavity、FFPC)について説明する。FFPCは、1mmより小さい曲率半径(radius of curvature、ROC)を有するキャビティミラーと、入力ビームを案内するためのファイバ光学コンポーネント(fiber optical component)(例えば、シングルモード(SMファイバ)と、キャビティモード整合領域(例えば、屈折率分布型(gradient index、GRIN)ファイバ)と、2つの凹面ミラー間の循環パワーの強化(例えば、マルチモード(multi-mode、MM)ファイバ)と、を含み得る。FFPCファイバアセンブリの寸法、例えば、125mmの直径は、試料と、磁気レンズの下部磁極片との間の数ミリメートルに制限され得る、TEMの後焦点面の空間に適合することを可能にする。巨視的キャビティタイプに関するFFPC性能の改善は、低レーザパワーでのファイバ光学技術の使用を可能にし、それにより、平面光波回路及び集積フォトニクスを含むことができる。巨視的キャビティタイプは、典型的には、本明細書に記載のFFPCよりもはるかに大きい(例えば、全キャビティ長で60倍大きい)。したがって、巨視的キャビティは、転送光学レンズ(transfer optical lens)内のTEMの下流の1つ又は複数の中継回折焦点面など、荷電粒子顕微鏡システム内に配置することができる場所に限定される。更に、巨視的キャビティは、対応するキャビティ内レーザパワー生成のために、はるかに大きいパワー入力、例えば、本明細書に記載のFFPCと比較して、400倍のパワー入力を必要とする。
【0013】
開示されたFFPCは、巨視的キャビティタイプに対して、ほぼ3桁の、キャビティ内循環パワーの改善を提供することができる。この改善を利用して、必要なレーザパワーを、例えば20Wから50mWへ比例的に低減することができる。低減されたパワーへの最大の寄与は、FFPCの増大された反射率から生じ、これは、低減されたキャビティ長のための対応策として作用することができ、フィネス及びパワービルドアップにプラスの影響を及ぼすことができる。同様に、減少したキャビティ長は、より小さいROCを有するミラーを可能にすることができ、より小さいモード焦点半径を生じさせる。そのようなより小さいモード焦点半径はまた、LPPのカットオン周波数を低減することができる。以下の表1は、巨視的キャビティ及び本明細書に記載のマイクロFFPCのパラメータ間の例示的かつ非限定的な比較を提供する。
【0014】
【表1】
【0015】
本明細書に記載のFFPCは、小さなモード焦点半径、高いフィネス、効率的な結合、堅牢なファイバアセンブリ、及びキャビティモードへのオープンアクセスのような、いくつかの望ましい特性を単一の微視的デバイスにおいて組み合わせることができる。有利なことに、FFPCは、低パワーレーザが使用され得るように、キャビティパラメータを大幅に改善し、ファイバ光学コンポーネントと統合され、かつ数ミリメートルのTEMの後焦点面の空間に適合するように寸法を小型化する。
【0016】
図1を参照すると、図1は、試料110を観察及び/又は特徴付けるために電子ビーム105を使用するように構成された顕微鏡システム100を示す。顕微鏡システム100は、顕微鏡システム100の透過領域において、放射を使用して試料110の画像を取得することができる。したがって、システム100は、透過電子顕微鏡(TEM)又は走査型透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope、STEM)を表し得る。
【0017】
真空筐体120内では、電子源125は、電子-光軸130に沿って伝搬し、電子光学照明器135を横断する電子ビーム105を生成することができ、試料チャンバ194内に位置決めされた試料110の選択部分に電子を指向/収束させるように機能する。いくつかの例では、試料110は、例えば、(局所的に)薄化/平坦化され得るか、又はさもなければ分析のために処理され得るが、これは、全ての例において必要とされるわけではない。
【0018】
偏向器140もまた図示されており、これは、とりわけ、ビーム105の走査動作をもたらすために使用することができる。試料110は、ゴニオメータ196によって複数の自由度で位置決めすることができる試料ホルダ145上に保持することができる。例えば、試料110は、XY平面内で(とりわけ)移動することができる試料ホルダのホルダカプセル内に位置決めすることができる(図示されているデカルト座標系を参照されたさい。典型的には、Zに平行な運動及びX/Yを中心とする傾斜も可能である)。このような移動により、試料110の異なる部分を、軸130に沿って(Z方向に)進行する電子ビーム105によって照明/撮像/検査することができる(及び/又はビーム走査の代わりに走査動作を実行することができる)。所望される場合、任意選択の冷却デバイス(図示せず)を、試料ホルダ145との密接な熱接触状態にして、それによって、試料ホルダ(及びその上の試料110)を、例えば、極低温に維持することができる。試料ホルダのホルダカプセルは、試料が真空又は不活性ガス下でTEMの内外に移送され得るように、密封可能であり得る。
【0019】
試料ホルダは、2つの遠位端を有する長いロッドの形態であり得る。試料ホルダは、一方の遠位端にホルダカプセルを含み得、TEMグリッドなどの試料が、その中に位置決めされる。試料は、試料ホルダの一方の遠位端を、ロードロックを介してTEMカラムに挿入することによって、試料チャンバ内に移送され得る。試料は、試料ホルダによって保持されている間に荷電粒子ビームによって撮像又は処理することができる。
【0020】
電子ビーム105は、(例えば)二次電子、後方散乱電子、X線、及び光放射(カソードルミネセンス)を含む、様々なタイプの誘導放射を試料110から発散させるような方法で、試料110と相互作用することができる。必要に応じて、これらの放射線タイプのうちの1つ以上は、組み合わされたシンチレータ/光電子増倍管又はEDX(エネルギー分散型X線分光法)モジュールとすることができる分析デバイス155を用いて検出することができる。しかしながら、代替的又は補足的には、試料110を横断(通過)し、試料110から出て/発散して、軸130に沿って(実質的には、一般にはある程度偏向/散乱するが)伝搬し続ける電子を調査することができる。
【0021】
このような透過電子束は、多種多様な静電レンズ/磁気レンズ、偏向器、及び補正器(非点収差補正装置など)などを含み得る撮像システム(投影レンズ)160に入射する。通常(非走査)TEMモードでは、この撮像システム160は、透過電子束を収束させることができる。TEMカメラ165などの様々なタイプの分析装置が、撮像システム160の下流に使用され得る。カメラ165の位置に、電子束は、静止画像(又は、フーリエ変換図形)を形成することができ、静止画像は、コントローラ/プロセッサ170によって処理され得、例えばフラットパネルディスプレイのような表示デバイス(図示せず)上に表示され得る。必要ない場合、カメラ165は、軸130の邪魔にならないように、後退させる/引き込めることができる。代替的又は追加的に、撮像システム160は、透過電子束を蛍光スクリーン175に収束させるために使用することができ、蛍光スクリーン175は、必要に応じて、軸130の邪魔にならないように後退させる/引き込めることができる。試料110の(一部の)画像(又は、回折図)は、撮像システム160によりスクリーン175上に形成され、この画像は、視認ポート180を通して視認することができる。
【0022】
分析装置はまた、STEMカメラ185を含むことができる。カメラ185からの出力は、試料110上のビーム105の(X、Y)走査位置の関数として記録することができ、X、Yの関数としてのカメラ185からの出力の「マップ(map)」である画像を構築することができる。カメラ185は、カメラ165に特徴的に存在する画素行列とは異なり、例えば直径が20mmの1個の画素を含み得る。更に、カメラ185は、一般的に、カメラ165(例えば、10~10画像/秒)よりも非常に高い取得速度(例えば、10ポイント/秒)を有することになる。この場合も、必要ない場合、カメラ185は、軸130の邪魔にならないように、後退させる/引き込めることができる。
【0023】
カメラ165又は185を使用して撮像を行うことの代替として、例えば、電子エネルギー損失分光法(EELS)モジュールとすることができる分光装置190を実行することもできる。部品165、185、及び190の順序/位置は厳密ではなく、多くの可能な変形が考えられることに留意されたい。例えば、分光装置190は、撮像システム160と一体化され得る。
【0024】
コントローラ170は、様々な図示される構成要素に、制御線(バス)を介して接続される。コントローラは、コンピュータ可読命令を格納するためのプロセッサ及び非一時的メモリを少なくとも含む。プロセッサでコンピュータ可読命令を実行することにより、このコントローラ170は、アクションを同期させる、設定値を提供する、信号を処理する、計算を実行する、及びメッセージ/情報を表示デバイス(図示せず)に表示するなどの様々な機能を提供することができる。コントローラは、本明細書に記載される方法のいくつか又は全てのステップを実装するように構成することができる。コントローラ170は、必要に応じて、筐体120の(部分的に)内側又は外側にあり得、一体構造又は複合構造であり得る。
【0025】
ゴニオメータ196は、電子ビーム下で顕微鏡の真空チャンバ内で試料を位置決めすることができる。真空チャンバは、試料チャンバ194とすることができる。試料は、試料チャンバ内の荷電粒子ビームで撮像又は処理することができる。ゴニオメータ196は、筐体120と結合することができる。ゴニオメータは、1つ以上の傾斜軸の周りで試料を傾斜させるための1つ以上の作動機構を含むことができる。
【0026】
ゴニオメータ196は、顕微鏡100の外部から試料チャンバ内への試料110の移送を容易にするためのロードロック195を含む。ロードロック195は、試料110が、TEMの外部からロードロック195へ、及びロードロック195から顕微鏡システム100の試料チャンバへ移行するための入口点/出口点を含み得る。例えば、ロードロック195は、TEMの外部から試料ホルダを受容するための開口部を一方の端部に含むことができる。ロードロックは、1つ以上のOリングを介して外部環境から密封可能であり得る。同様に、ロードロック195はまた、試料ホルダによって保持された試料をロードロック195から顕微鏡の試料チャンバに通過させるために、別の端部(例えば、反対の端部)上に開口部を含むことができる。ロードロックと試料チャンバとの間の開口部は、弁を介して密封可能である。したがって、試料110が(試料ホルダを介して)ロードロック195内に位置決めされると、ロードロックの環境を試料チャンバから実質的に隔離することができる。
【0027】
ゴニオメータ196は、チャンバを保護源198及び真空ポンプ199の両方と遮断可能な流体連通状態に置くためのガス送達トレイン197を含むことができる。ロードロック195は、ロードロック195の中及び外へ流れるガス流を制御するために、弁を介して1つ以上のガス源及びポンプと結合することができる。一例では、ロードロックは、第1の弁を介して真空ポンプ199に流体的に接続され、第2の弁を介して保護ガス源198に流体的に接続され得る。弁は、コントローラ170によって制御されるそれぞれのアクチュエータを作動させることによって開閉することができる。
【0028】
システム100はまた、本開示によるマイクロFFPC191を含み得る。マイクロFFPC191は、軸130に沿って位置決めされ得る。場合によっては、マイクロFFPC191は、撮像システム160内に、又は撮像システム160と試料110との間に位置決めされ得る。レーザは、外部レーザ源(図示せず)へのマイクロFFPC191に結合され得、軸130と交差するように、レーザ放射を受容し、及び透過させるように構成され得る。透過したレーザ放射は、軸130と交差する定在波を形成し得、定在波は、軸130に沿って電子ビーム105によって生成された放射と相互作用し得る。
【0029】
TEMシステムは、走査型透過電子顕微鏡などの他のタイプの透過電子顕微鏡システムを含み得る。いくつかの例では、TEMシステムは、イオンカラムなどの別の荷電粒子カラムを含むことができる。
【0030】
図2は、本開示による、例示的な顕微鏡カラムの構成200を示す。構成200は、例えば、図1を参照して説明したシステム100などのTEMのカラムであり得る。例えば、構成200は、撮像システム160の一部であってもよく、構成200は、図1の試料110の平面から始まり、電子-光軸130に沿って延在する。
【0031】
マイクロFFPC205は、対物レンズ204の後焦点面210に位置決めされ得る。後焦点面210は、試料と相互作用する荷電粒子ビームからの放射220が後焦点面210で収束するように、対物レンズ204から離れた焦点距離の距離とすることができる。マイクロFFPC205は、放射220が通過することができるレーザビーム225を含み得、それにより、非散乱放射230に対して放射220に位相シフトを提供することができる。
【0032】
巨視的キャビティは、そのサイズが大きいため、投影レンズ240と検出器245との間、又は中間レンズ235と投影レンズ240との間など、検出器245により近接して位置決めされることに限定される。構成200のこの領域は、典型的には、サイズ(例えば、カラムの直径)がより大きく、それにより、より大きいキャビティが存在することを可能にする。しかしながら、マイクロFFPCは、サイズが著しく小さく、したがって、カラムの更に上方に、かつ試料により近接して、例えば、後焦点面210)などに位置決めされ得る。
【0033】
図3は、本開示によるマイクロFFPC300を示す。マイクロFFPC300は、第1のファイバアセンブリ305-a及び第2のファイバアセンブリ305-bを含み得る。各アセンブリ305-a、305-bは、入口領域310-a、310-b、収束領域315-a、315-b、及び検鏡領域320-a、320-bをそれぞれ含み得る。
【0034】
入口領域310-a、310-bは、シングルモードファイバを含み得る。入口領域310-a、310-bは、レーザ入力を受容し、レーザを対応する収束領域315-a、315-bに向けて透過させるように構成され得る。入口領域310-a、310-bは、コア及びクラッドを画定し得、クラッドは、コアを包む。コアは、例えば、(例えば、アセンブリ305-a、305-bの透過軸に対して)5μm~10μmの直径を含み得、クラッドは、100μm~150μmの直径を含み得る。コアは、プラスチック又はガラスから構成され得、クラッドは、コアの屈折率よりも低い屈折率を有する材料(例えば、ガラス、ポリマーなど)から構成され得る。
【0035】
収束領域315-a、315-bは、屈折率分布型ファイバを含み得る。収束領域315-a、315-bは、対応する入口領域310-a、310-bからレーザ入力(例えば、シングルモード入力)を受容するように構成され得、収束領域315-a、315-bの長さに沿ってモード整合されたレーザビームを生成することができる。例えば、収束領域315-a、315-bは、コア及びクラッドを含むことができる。コアは、透過軸から離れる半径方向距離が増加するにつれて減少する屈折率を含み得る。変化した屈折率は、レーザビームを収束領域315-a、315-bの長さに沿って正弦波形態で進行させることができる。収束領域315-a、315-bのコアは、例えば、プラスチック又はガラスであり得、クラッドは、コアの屈折率よりも低い屈折率を有する材料(例えば、ガラス、ポリマーなど)から構成され得る。コアは、50~250μmの直径を含み得、クラッドは、100~500μmの直径を含み得る。
【0036】
検鏡領域320-a、320-bは、ミラーを含むか、又はミラーを形成するか、又はミラーであり得る。例えば、検鏡領域320-a、320-bは、モード整合されたレーザビームを受容し、アセンブリ305-a、305-bによって画定された間隙に向けてレーザビームを透過させるように構成され得る。検鏡領域320-a、320-bは、他方のアセンブリから受容されたレーザビームを反射するように更に構成され得る。例えば、検鏡領域320-aは、検鏡領域320-bから受容されたレーザビームを反射するように構成され得、逆もまた同様である。レーザビームのこの透過率及び反射率は、レーザビームの入力パワーを著しく低減することができる(例えば、表1参照)。例えば、レーザは、例えば、約1μW~約1W、約10μW~0.1W、約100μW~約0.01W、及び全ての中間値の入力電力を有し得る。検鏡領域320-a、320-bは、高熱伝導性基板から構成され得る。場合によっては、検鏡領域320-a、320-bは、ダイヤモンドから構成され得る。場合によっては、検鏡領域320-a、320-bは、シリカ又は石英から構成され得る。
【0037】
検鏡領域320-a、320-bは、間隙に対向する湾曲面325-a、325-b(例えば、又は面の一部分が湾曲している)を画定し得る。湾曲面は、間隙内の一点に収束するように、レーザビームを誘導及び収束させることができる。場合によっては、この点は、対応する顕微鏡システムのビーム経路、例えば、図1の電子-光軸130と重なり得る。更に、面の曲率半径は、アセンブリ305-aとアセンブリ305-bとの間の間隙距離に依存し得る。例えば、曲率半径は、アセンブリ305-a、305-b間の間隙長の減少とともに増加し得る。いくつかの例として、間隙の長さは、例えば、1~1000μm、又は3~750μm、又は5~500μm、又は7~350μm、又は10~250μm、又は20~150μmであり得る。
【0038】
場合によっては、検鏡領域320-a、320-bは、マルチモードファイバを含み得る。場合によっては、検鏡領域320-a、320-b内に湾曲面325-a、325-bを形成するために、熱アブレーションを介してなどで、湾曲面325-a、325-bをアブレーション又はエッチングすることができる。場合によっては、ミラーは、検鏡領域320-a、320-bの異なる組成のものであり得、面325-a、325-b内に画定され得る。例えば、検鏡領域320-a、320-bは、ダイヤモンド、シリカ、石英などから構成され得る。面325-a、325-bのミラーは、高屈折率材料と低屈折率材料とが交互になった1つ以上の層を含み得る。例えば、ミラーは、酸化チタン(TiO)及び酸化ケイ素(SiO)の交互層から構成され得る。場合によっては、検鏡領域320-a、320-bは、基板上に交互層が積層された高熱伝導性基板から構成され得る。場合によっては、ミラーは、検鏡領域320-a、320-bの面に(例えば、接着剤、エピタキシなどを介して)結合され得る。
【0039】
場合によっては、検鏡領域320-a、320-bは、図3に示されるもののような、対応する収束領域315-a、315-bと同一平面上にある結合領域を含み得る。他の場合には、検鏡領域320-a、320-bは、検鏡領域320-a、320-bの面から離れて遠位に(例えば、透過軸に沿って)延在する壁325を更に画定し得る。壁325は、収束領域315-a、315-bが挿入され得る凹部を画定し得る。壁の一例を図8に示す。検鏡領域320-a、320-bは、300μm~700μmの直径を含み得る。場合によっては、マイクロFFPC300の全長は、100~200μm、100~500μm、50~1,000μmなどであり得る。
【0040】
図4A及び図4Bは、本開示によるマイクロFFPC400を示す。マイクロFFPC400は、第1のファイバアセンブリ405-a及び第2のファイバアセンブリ405-bを含み得る。各アセンブリ405-a、405-bは、入口領域410-a、410-b、スペーサ領域415-a、415-b、収束領域420-a、420-b、及び検鏡領域425-a、425-bをそれぞれ含むことができる。
【0041】
入口領域410-a、410-bは、シングルモードファイバを含み得る。入口領域410-a、410-bは、レーザ入力を受容し、レーザを対応するスペーサ領域415-a、415-bに向けて透過させるように構成され得る。入口領域410-a、410-bは、コア及びクラッドを画定し得、クラッドは、コアを包む。コアは、例えば、1~1000μm、又は3~750μm、又は5~500μm、又は7~350μm、又は10~250μm、又は20~150μmの直径を含み得る。
【0042】
(例えば、アセンブリ405-a、405-bの透過軸に対して)、そしてクラッドは、100μm~150μmの直径を含み得る。コアは、プラスチック又はガラスから構成され得、クラッドは、コアの屈折率よりも低い屈折率を有する材料(例えば、ガラス、ポリマーなど)から構成され得る。
【0043】
スペーサ領域415-a、415-bは、マルチモードファイバを含み得る。スペーサ領域415-a、415-bは、対応する入口領域410-a、410-bからレーザ入力(例えば、シングルモード入力)を受容するように構成され得、スペーサ領域415-a、415-bの長さに沿ってマルチモードレーザビームを生成することができる。スペーサ領域415-a、415-bは、それぞれのアセンブリ405-a、405-bを通るビームモード伝搬の増加を容易にし得る。
【0044】
収束領域420-a、420-bは、屈折率分布型ファイバを含み得る。収束領域420-a、420-bは、対応するスペーサ領域415-a、415-bからレーザ入力(例えば、シングルモード入力)を受容するように構成され得、収束領域420-a、420-bの長さに沿ってモード整合されたレーザビームを生成することができる。例えば、収束領域420-a、420-bは、コア及びクラッドを画定し得る。コアは、透過軸から離れる半径方向距離が増加するにつれて減少する屈折率を含み得る。変化した屈折率は、レーザビームを収束領域420-a、420-bの長さに沿って正弦波形態で進行させることができる。収束領域420-a、420-bのコアは、プラスチック又はガラスであり得、クラッドは、コアの屈折率よりも低い屈折率を有する材料(例えば、ガラス、ポリマーなど)から構成され得る。コアは、50~250μmの直径を含み得、クラッドは、100~500μmの直径を含み得る。
【0045】
検鏡領域425-a、425-bは、ミラーを含み得る。例えば、検鏡領域425-a、425-bは、モード整合されたレーザビームを受容し、アセンブリ405-a、405-bによって画定された間隙に向けてレーザビームを透過させるように構成され得る。検鏡領域425-a、425-bは、他方のアセンブリから受容されたレーザビームを反射するように更に構成され得る。例えば、検鏡領域425-aは、検鏡領域425-bから受容されたレーザビームを反射するように構成され得、逆もまた同様である。レーザビームのこの透過率及び反射率は、レーザビームの入力パワーを著しく低減することができる(例えば、表1参照)。場合によっては、検鏡領域425-a、425-bは、ダイヤモンドから構成され得る。場合によっては、検鏡領域425-a、425-bは、シリカ又は石英から構成され得る。
【0046】
検鏡領域425-a、425-bは、間隙に対向する湾曲面430-a、430-b(例えば、又は面の一部分が湾曲している)を画定し得る。湾曲面は、間隙内の一点に収束するように、レーザビームを誘導及び収束させることができる。場合によっては、この点は、対応する顕微鏡システムのビーム経路、例えば、図1の電子-光軸1030と重なり得る。更に、面の曲率半径は、アセンブリ405-aとアセンブリ405-bとの間の間隙距離に依存し得る。例えば、曲率半径は、アセンブリ405-a、405-b間の間隙長の減少とともに増加し得る。場合によっては、曲率半径は、200~500μmであり得る。
【0047】
検鏡領域425-a、425-bは、ミラーから構成され得るか、又はミラーを含み得る。場合によっては、検鏡領域425-a、425-bは、マルチモードファイバを含み得る。場合によっては、検鏡領域425-a、425-b内に湾曲面430-a、430-bを形成するために、熱アブレーションを介してなどで、湾曲面430-a、430-bをアブレーション又はエッチングすることができる。場合によっては、ミラーは、検鏡領域425-a、425-bの異なる組成のものであり得る。そして面430-a、430-b内に画定され得る。例えば、検鏡領域425-a、425-bは、ダイヤモンド、シリカ、石英などから構成され得る。面430-a、430-bのミラーは、高屈折率材料と低屈折率材料とが交互になった1つ以上の層を含み得る。例えば、ミラーは、酸化チタン(TiO)及び酸化ケイ素(SiO)の交互層から構成され得る。場合によっては、ミラーは、検鏡領域425-a、425-bの面に(例えば、接着剤、エピタキシなどを介して)結合され得る。
【0048】
場合によっては、検鏡領域425-a、425-bは、図4に示されるもののような、対応する収束領域420-a、420-bと同一平面上にある結合領域を含み得る。他の場合には、検鏡領域425-a、425-bは、収束領域420-a、420-bが挿入され得る凹部を更に画定し得る。凹部の一例を図4Bに示す。検鏡領域425-a、425-bは、300μm~700μmの直径を含み得る。
【0049】
図5は、本開示によるマイクロFFPC500を示す。マイクロFFPC500は、第1のファイバアセンブリ505-a及び第2のファイバアセンブリ505-bを含み得る。各アセンブリ505-a、505-bは、入口領域510-a、510-b、スペーサ領域515-a、515-b、収束領域520-a、520-b、及び検鏡領域525-a、525-bをそれぞれ含み得、これらは、図3図4A、及び図4Bに関して論じられた入口領域、収束領域、スペーサ領域、及び検鏡領域であり得る。
【0050】
第1のファイバアセンブリ505-a及び第2のファイバアセンブリ505-bはまた、それぞれヒートシンク535-a及び535-bを含み得る。ヒートシンク535-a及び535-bは、入口領域510-a、510-b、スペーサ領域515-a、515-b、収束領域520-a、520-b、検鏡領域525-a、525-b、又はこれらの組み合わせの外面上に位置決めされ得る。場合によっては、ヒートシンク535-a、535-bは、レーザビームの伝搬軸を中心に円周方向に延在し得る。ヒートシンク535-a、535-bは、電子-光軸130に垂直に(例えば、それぞれアセンブリ505-a、505-bの長さに沿って)延びるセクション540-a、540-bを含み得る。ヒートシンク535-a、535-bはまた、電子-光軸130に平行に延びるセクション545-a、545bを含み得る。平行セクション545-a、545-bは、検鏡領域525-a、525-bからのレーザ放射が電子-光軸130を通過することを可能にするために、縁部550-a、550-bを画定し得る。場合によっては、縁部550-a、550-bは、レーザ放射がヒートシンク535-a、535-bに接触するのを最小限に抑えるように形成され得る。例えば、検鏡領域525-a、525-bの面は、それぞれの検鏡領域から放射されたレーザ放射を収束させるように湾曲され得る。縁部550-a、550-bは、この収束が生じることを可能にするように角度付けされ得る。
【0051】
図6は、本開示による顕微鏡カラム600を示す。カラム600は、図1の顕微鏡システム100などの顕微鏡システム内に実装され得る。場合によっては、カラム600は、撮像システム160の一部を含み得る。
【0052】
場合によっては、カラム600は、上部磁極片605と下部磁極片610とを含むことができる磁気レンズを含み得る。場合によっては、試料平面は、上部磁極片605と下部磁極片610との間に(例えば、電子-光軸に沿って)位置し得る。試料ホルダ625は、試料を試料平面に位置決めすることができる(例えば、試料ホルダ625の、試料を収容する遠位端を再位置決めすることによって)。
【0053】
アパーチャホルダ615などのアパーチャホルダは、カラム600内にFFPCを位置決めすることができる。例えば、アパーチャホルダ615の遠位端は、FFPC(例えば、本明細書に記載のFFPC200~500)を収容することができる。アパーチャホルダ615は、FFPCが電子-光軸に沿って位置決めされるように、FFPCを位置決めすることができる。加えて、FFPCは、試料の下流に位置決めすることができるが、場合によっては、上部磁極片605と下部磁極片610との間に位置決めすることもできる。場合によっては、FFPCは、レンズ620の後焦点面などの後焦点面に位置決めされ得る。
【0054】
図7は、本開示による、FFPCを実装するためのプロセス700を示す。ステップ705において、FFPCを顕微鏡システム内に位置決めすることができる。FFPCは、図2図5により詳細に説明されるようなFFPC200、300、400-a、400-b、500の一例であり得る。場合によっては、FFPCは、図1の顕微鏡システム100などの顕微鏡システム内に位置決めされ得る。場合によっては、FFPCは、図6のカラム600などの顕微鏡カラム内に位置決めされ得る。場合によっては、FFPCは、磁気レンズの上部磁極片と下部磁極片との間に位置決めされ得る。場合によっては、FFPCは、試料の後焦点面又は回折面など、試料の下流に位置決めされ得る。場合によっては、FFPCは、顕微鏡システムのアパーチャホルダを介して位置決めされ得る。
【0055】
ステップ710において、レーザビームが、生成され得る。レーザビームは、FFPCを通過して、顕微鏡システムの電子-光軸を横切ることができる。ステップ715において、電子ビームが、生成され得る。電子ビームは、例えば、顕微鏡システムの電子源によって生成され得る。電子ビームは、電子光学ビームに沿って進行し、試料平面を通過し、FFPCから進行するレーザビームと相互作用し得る。ステップ720において、電子放射が、キャプチャされ得る。電子放射は、レーザビームと相互作用する放射に起因し得る。場合によっては、電子放射はまた、レーザビームとの相互作用の前に、顕微鏡システムの試料と相互作用する。放射は、図1のカメラ165又は図2の検出器245などの検出器によってキャプチャされ得る。
【0056】
例示的な実施形態
以下の態様は、例示にすぎず、添付された特許請求の範囲の本開示の範囲を限定するものではない。任意の1つ以上の実施形態の任意の部分が、任意の他の1つ以上の実施形態の任意の部分と組み合わされ得ることを理解されたい。
【0057】
実施形態1
荷電粒子顕微鏡法のためのマイクロファブリペローレーザキャビティであって、第1のファイバアセンブリと第2のファイバアセンブリとを備え、第1のファイバアセンブリ及び第2のファイバアセンブリの各々が、シングルモードファイバを備える入口領域と、マルチモードファイバ又は透明基板を備えるスペーサ領域と、屈折率分布型ファイバ又は屈折率分布型レンズを備える収束領域と、マルチモードファイバ又は透明基板を備える検鏡領域と、を備え、入口領域、スペーサ領域、収束領域、及び検鏡領域が、互いに光学的に連通しており、第1のファイバアセンブリの検鏡領域の面が、第2のファイバアセンブリの検鏡領域の面に対向し、それにより、それらの間に間隙を画定する、マイクロファブリペローレーザキャビティ。
【0058】
実施形態2
屈折率分布型ファイバ又は屈折率分布型レンズが、スペーサ領域内のマルチモードファイバ又は透明基板から拡大されたレーザビーム直径を受容して、レーザビームを検鏡領域及び間隙内の曲率のミラー放射輝度にモード整合させるように構成される、実施形態1に記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。
【0059】
実施形態3
間隙の長さが、1μm~1000μmを含む、実施形態1又は2に記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。いくつかの例として、間隙の長さは、例えば、1~1000μm、又は3~750μm、又は5~500μm、又は7~350μm、又は10~250μm、又は20~150μmであり得る。
【0060】
実施形態4
第1のファイバアセンブリ及び第2のファイバアセンブリの各々が、約1μW~約1Wの入力パワーを有するレーザビームを輸送するように構成されている、実施形態1から3のいずれか1つに記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。レーザは、例えば、約1μW~約1W、約10μW~0.1W、約100μW~約0.01W、及び全ての中間値の入力パワーを有し得る。
【0061】
実施形態5
第1のファイバアセンブリ及び第2のファイバアセンブリの各々のコア直径が、約1μm~約1000μmの範囲内である、実施形態1から4のいずれか1つに記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。いくつかの例として、コア直径は、例えば、1~1000μm、又は3~750μm、又は5~500μm、又は7~350μm、又は10~250μm、又は20~150μmであり得る。
【0062】
実施形態6
第1のファイバアセンブリ及び第2のファイバアセンブリの各々の検鏡領域の面が、ミラーを備える、実施形態1から5のいずれか1つに記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。
【0063】
実施形態7
第1のファイバアセンブリ及び第2のファイバアセンブリのうちの少なくとも一方のための検鏡領域が、ダイヤモンドを備え、ダイヤモンドが、必要に応じて、誘電体反射コーティングを備え、誘電体反射コーティングが、必要に応じて、少なくとも第1の層及び第2の層を備え、第1の層及び第2の層が、異なる反射率を有する、実施形態1から6のいずれか1つに記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。
【0064】
実施形態8
マイクロファブリペローレーザキャビティは、荷電粒子顕微鏡の荷電粒子ビームの一部分がマイクロファブリペローレーザキャビティの間隙を通過するように、荷電粒子顕微鏡のビームカラム内に位置決めされるように構成される、実施形態1から7のいずれか1つに記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。
【0065】
実施形態9
マイクロファブリペローレーザキャビティが、荷電粒子顕微鏡の磁気レンズの上部磁極片と、荷電粒子顕微鏡の磁気レンズの下部磁極片との間に位置決めされるように構成される、実施形態1から8のいずれか1つに記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。
【0066】
実施形態10
第1のファイバアセンブリの面及び第2のファイバアセンブリの面の少なくとも一部分を覆う誘電体コーティングを更に備える、実施形態1から9のいずれか1つに記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。
【0067】
実施形態11
第1のファイバアセンブリ及び第2のファイバアセンブリのうちの少なくとも一方の検鏡領域と接触する熱シンクを更に備える、実施形態1から10のいずれか1つに記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。
【0068】
実施形態12
間隙内に位置決めされ、かつ間隙を通って進行する荷電ビームからの、第1のファイバアセンブリの面及び第2のファイバアセンブリの面上の電荷蓄積を低減するように構成された電気シールドを更に備える、実施形態1から11のいずれか1つに記載のマイクロファブリペローレーザキャビティ。
【0069】
実施形態13
方法であって、荷電粒子顕微鏡によって、荷電粒子ビームを生成することであって、荷電ビームが、荷電粒子顕微鏡のビームカラムを通って進行する、生成することと、ビームカラムの上部磁極片と下部磁極片との間に位置決めされたマイクロファブリペローレーザキャビティによって、試料の後焦点面内にレーザビームを生成することであって、荷電粒子ビームの一部分が、レーザビームを通って伝搬し、ビームカラム内でレーザビームと相互作用する、生成することと、荷電粒子顕微鏡の荷電粒子検出器によって、相互作用の結果として生じる荷電粒子画像をキャプチャすることと、を含む、方法。
【0070】
実施形態14
荷電粒子ビームが、荷電粒子顕微鏡のビームカラム内に位置決めされた試料と更に相互作用する、実施形態13に記載の方法。
【0071】
実施形態15
試料が、軟組織試料を含む、実施形態13又は14に記載の方法。
【0072】
実施形態16
荷電粒子ビームが、画像としてキャプチャされる、実施形態13から15のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
実施形態17
荷電粒子顕微鏡であって、荷電粒子ビームを生成するように構成された荷電粒子源と、生成された粒子ビームが通って進行するマイクロファブリペローキャビティを画定するビームカラムと、上部磁極片及び下部磁極片を画定し、かつビームカラム内に収容された磁気レンズと、ビームカラム内に収容され、かつ上部磁極片と下部磁極片との間に位置決めされたマイクロファブリペローレーザキャビティと、を備え、マイクロファブリペローレーザキャビティが、荷電粒子ビームを通って進行するレーザビームを生成するように構成され、必要に応じて、レーザビームが、約1μW~約1Wの入力パワーを有するか、又はマイクロファブリペローレーザキャビティが、約1μm~約1000μmの範囲の間隙を画定し、かつ間隙は、レーザビームがそこを通過するように構成されるか、又は(a)及び(b)の両方である、荷電粒子顕微鏡。間隙の長さは、例えば、1~1000μm、又は3~750μm、又は5~500μm、又は7~350μm、又は10~250μm、又は20~150μmであり得る。
【0074】
実施形態18
検鏡端部(speculum end)を画定する試料ホルダを更に備え、検鏡端部が、試料を保持し、かつ(i)上部磁極片と下部磁極片との間、及び(ii)荷電粒子ビームの進行経路内に位置決めされるように構成される、実施形態17に記載の荷電粒子顕微鏡。
【0075】
実施形態19
マイクロファブリペローレーザキャビティが、試料ホルダの検鏡端部と、下部磁極片との間に位置決めされるように更に構成される、実施形態17又は18に記載の荷電粒子顕微鏡。
【0076】
実施形態20
検鏡端部を画定するレーザキャビティホルダを更に備え、マイクロファブリペローレーザキャビティホルダの検鏡端部が、(i)マイクロファブリペローレーザキャビティを保持するように構成され、かつ(ii)荷電粒子ビームの進行経路内に位置決めされる、実施形態17から19のいずれか1つに記載の荷電粒子顕微鏡。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
【外国語明細書】