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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096206
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】加工システム及び計測部材
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20240705BHJP
【FI】
B23K26/00 M
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024070686
(22)【出願日】2024-04-24
(62)【分割の表示】P 2022514927の分割
【原出願日】2020-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(72)【発明者】
【氏名】江上 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】立崎 陽介
(57)【要約】
【課題】物体を適切に加工可能な加工システムを提供する。
【解決手段】加工システムは、エネルギビームを物体に照射して物体を加工する加工システムにおいて、物体が載置される載置装置と、エネルギビームを物体に照射する照射装置と、エネルギビームを減衰させる減衰領域とエネルギビームを通過させる複数の通過領域とを持つビーム通過部材と、複数の通過領域を通過したエネルギビームを受光する受光部とを有する受光装置とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギビームを物体に照射して前記物体を加工する加工システムにおいて、
前記物体が載置される載置装置と、
前記エネルギビームを前記物体に照射する照射装置と、
前記エネルギビームを減衰させる減衰領域と前記エネルギビームを通過させる複数の通過領域とを持つビーム通過部材と、前記複数の通過領域を通過した前記エネルギビームを受光する受光部とを有する受光装置と
を備える加工システム。
【請求項2】
前記ビーム通過部材に照射される前記エネルギビームの、前記ビーム通過部材に対する相対的な位置は、前記複数の通過領域が並ぶ方向に沿って変わる
請求項1に記載の加工システム。
【請求項3】
前記複数の通過領域が並ぶ方向において、前記照射装置によって前記ビーム通過部材上で前記エネルギビームが照射される領域の大きさは、前記通過領域のピッチよりも大きい
請求項1又は2に記載の加工システム。
【請求項4】
前記複数の通過領域が並ぶ方向において、前記照射装置によって前記ビーム通過部材上で前記エネルギビームが照射される領域の大きさは、前記通過領域のピッチ以下である
請求項1又は2に記載の加工システム。
【請求項5】
前記複数の通過領域のうちの1つを介した前記エネルギビームが前記受光部に到達する期間内の少なくとも一部の期間に、前記複数の通過領域のうちの前記1つとは異なる1つを介した前記エネルギビームが前記受光部に到達する
請求項1から4のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項6】
前記複数の通過領域は、前記複数の通過領域が並ぶ方向と交差する第1方向に延びる第1の線状の第1通過領域と、前記第1方向と斜めに交差する第2方向に延びる第2の線状の第2通過領域とを有する
請求項1から5のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項7】
前記複数の通過領域は、前記第1方向に延びる第3の線状の第3通過領域を有する
請求項6に記載の加工システム。
【請求項8】
前記複数の通過領域は、第1方向に沿って配列され前記第1方向と交差する第2方向に延びた線状の通過領域を含む
請求項1から7のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項9】
前記複数の通過領域は、前記第1方向と交差する第3方向に沿って配列され前記第3方向と交差する第4方向に延びた線状の通過領域を含む
請求項8に記載の加工システム。
【請求項10】
ビーム源からのエネルギビームを物体に照射する照射装置と、前記物体を計測ビームで計測する計測装置とを備え、前記物体を加工する加工システムに用いられる計測部材であって、
前記エネルギビームを受光する受光部へ向かう前記エネルギビームを通過させる通過領域と、前記計測装置によって計測され、前記通過領域と所定の位置関係を有するマークとを備える
計測部材。
【請求項11】
前記エネルギビームを減衰させ、前記通過領域と隣接して配置される減衰領域を有する
請求項10に記載の計測部材。
【請求項12】
前記通過領域は、前記減衰領域の中に設けられる
請求項11に記載の計測部材。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか一項に記載の計測部材を備える前記加工システム。
【請求項14】
前記物体を移動可能に載置する載置装置と、
前記載置装置の位置に関する情報を取得する取得装置と
を備え、
前記取得装置は、前記受光部が前記エネルギビームを受光した際の前記載置装置の位置に関する情報と、前記マークを計測した際の前記載置装置の位置に関する情報とを取得する
請求項13に記載の加工システム。
【請求項15】
エネルギビームを物体に照射して前記物体を加工する加工システムにおいて、
前記物体が載置される載置装置と、
前記エネルギビームを前記物体に照射する照射装置と、
前記エネルギビームを減衰させる減衰領域と前記エネルギビームを通過させる通過領域とを持つビーム通過部材と、前記通過領域を通過した前記エネルギビームを受光する受光部とを有する受光装置と、
前記通過領域を覆うカバー部材と
を備える加工システム。
【請求項16】
前記カバー部材は、前記通過領域を覆う第1位置と、前記通過領域を覆わない第2位置との間で動く
請求項15に記載の加工システム。
【請求項17】
前記エネルギビームを前記物体に照射する際に、前記カバー部材は前記第1位置に位置し、
前記受光部によって前記エネルギビームを受光する際に、前記カバー部材は前記第2位置に位置する
請求項16に記載の加工システム。
【請求項18】
前記ビーム通過部材は、前記載置装置に設けられた窪みの内部に配置され、
前記カバー部材が前記第1位置に位置するとき、前記カバー部材と前記ビーム通過部材とは、前記窪みの内部に空間を形成する
請求項16又は17に記載の加工システム。
【請求項19】
前記窪みの内部の前記空間に気体を供給する気体供給装置を備える
請求項18に記載の加工システム。
【請求項20】
前記気体供給装置からの気体を用いて前記カバー部材を動かす
請求項19に記載の加工システム。
【請求項21】
前記カバー部材が前記第1位置に位置するとき、前記ビーム通過部材は、前記エネルギビームが通過する空間から隔離される
請求項16から20のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項22】
前記ビーム通過部材の前記照射装置側の空間に気体を供給する気体供給装置を備える
請求項15から21のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項23】
前記気体供給装置は、前記気体を供給することで、前記通過領域の少なくとも一部に対する物質の付着を防止する
請求項22に記載の加工システム。
【請求項24】
前記気体供給装置は、前記気体を供給することで、前記通過領域の少なくとも一部に付着した物質を取り除く
請求項22又は23に記載の加工システム。
【請求項25】
前記物体を計測ビームで計測する計測装置を備え、
前記ビーム通過部材は、前記計測装置によって計測されるマークを備え、
前記カバー部材は前記マークを覆う
請求項15から24のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項26】
エネルギビームを物体に照射して前記物体を加工する加工システムにおいて、
前記物体が載置される載置装置と、
前記エネルギビームを前記物体に照射する照射装置と、
前記エネルギビームを受光する受光部を有し、少なくとも一部が前記載置装置に設けられる受光装置と、
前記物体及び前記受光装置の少なくとも一部のうち少なくとも一方を計測する計測装置と、
前記載置装置を移動させる移動装置と、
前記載置装置の位置に関する情報を取得する取得装置と、
前記移動装置を制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
前記計測装置が前記受光装置の少なくとも一部を計測できる計測可能位置に前記載置装置を移動し、
前記計測可能位置に移動した前記載置装置の位置に関する計測位置情報を、前記取得装置を用いて取得し、
前記計測位置情報に基づいて、前記載置装置の位置を制御する
加工システム。
【請求項27】
前記制御装置は、第1のタイミングにおいて、前記計測装置が前記受光装置の少なくとも一部を計測できる位置に移動された前記載置装置の位置に関する第1計測位置情報を、前記取得装置を用いて取得し、
前記制御装置は、前記第1タイミングとは異なる第2のタイミングにおいて、前記計測装置が前記受光装置の少なくとも一部を計測できる位置に移動された前記載置装置の位置に関する第2計測位置情報を、前記取得装置を用いて取得し、
前記制御装置は、前記第1計測位置情報と前記第2計測位置情報とに基づいて前記載置装置の位置を制御する
請求項26に記載の加工システム。
【請求項28】
前記制御装置は、前記第1計測位置情報と前記第2計測位置情報とに基づいて、前記計測装置が前記受光装置の少なくとも一部を計測可能な、前記載置装置の位置の変化を管理する
請求項27に記載の加工システム。
【請求項29】
前記制御装置は、前記第1タイミングで取得された前記第1計測位置情報を、前記計測装置が前記受光装置の少なくとも一部を計測できる、前記載置装置の基準位置の情報に設定し、前記第1タイミングよりも後の前記第2タイミングで取得された前記第2計測位置情報と前記第1計測位置情報とに基づいて、前記載置装置の位置を制御する
請求項27又は28に記載の加工システム。
【請求項30】
前記受光装置は、前記エネルギビームを通過させる通過領域を持つビーム通過部材を備える
請求項29に記載の加工システム。
【請求項31】
前記載置装置が基準位置にある状態では、前記ビーム通過部材の基準が、前記計測装置の計測範囲の中心又は当該中心の近傍に配置される
請求項30に記載の加工システム。
【請求項32】
前記制御装置は、
前記照射装置が前記受光装置の少なくとも一部に前記エネルギビームを照射できる照射可能位置に前記載置装置を移動し、
前記照射可能位置に移動した前記載置装置の位置に関する照射位置情報を、前記取得装置を用いて取得し、
前記照射位置情報に基づいて、前記載置装置の位置を制御する
請求項26から31のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項33】
エネルギビームを物体に照射して前記物体を加工する加工システムにおいて、
前記物体が載置される載置装置と、
前記エネルギビームを前記物体に照射する照射装置と、
前記エネルギビームを受光する受光部を有し、少なくとも一部が前記載置装置に設けられる受光装置と、
前記物体及び前記受光装置の少なくとも一部のうち少なくとも一方を計測する計測装置と、
前記載置装置を移動させる移動装置と、
前記載置装置の位置に関する情報を取得する取得装置と、
前記移動装置を制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
前記照射装置が前記受光装置の少なくとも一部に前記エネルギビームを照射できる照射可能位置に前記載置装置を移動し、
前記照射可能位置に移動した前記載置装置の位置に関する照射位置情報を、前記取得装置を用いて取得し、
前記照射位置情報に基づいて、前記載置装置の位置を制御する
加工システム。
【請求項34】
前記制御装置は、第3のタイミングにおいて、前記照射装置が前記受光装置の少なくとも一部に前記エネルギビームを照射できる位置に移動された前記載置装置の位置に関する第1照射位置情報を、前記取得装置を用いて取得し、
前記制御装置は、前記第3タイミングとは異なる第4のタイミングにおいて、前記照射装置が前記受光装置の少なくとも一部に前記エネルギビームを照射できる位置に移動された前記載置装置の位置に関する第2照射位置情報を、前記取得装置を用いて取得し、
前記制御装置は、前記第1照射位置情報と前記第2照射位置情報とに基づいて前記載置装置の位置を制御する
請求項32又は33に記載の加工システム。
【請求項35】
前記制御装置は、前記第1照射位置情報と前記第2照射位置情報とに基づいて、前記照射装置が前記受光装置の少なくとも一部に前記エネルギビームを照射可能な、前記載置装置の位置の変化を管理する
請求項34に記載の加工システム。
【請求項36】
前記制御装置は、前記第3タイミングで取得された前記第1照射位置情報を、前記照射装置が前記受光装置の少なくとも一部に前記エネルギビームを照射できる、前記載置装置の基準位置の情報に設定し、前記第3タイミングよりも後の前記第4タイミングで取得された前記第2照射位置情報と前記第1照射位置情報とに基づいて、前記載置装置の位置を制御する
請求項34又は35に記載の加工システム。
【請求項37】
前記受光装置は、前記エネルギビームを通過させる通過領域を持つビーム通過部材を備える
請求項33から36のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項38】
前記載置装置が基準位置にある状態では、前記ビーム通過部材の基準が、前記照射装置による前記エネルギビームの照射範囲の中心又は当該中心の近傍に配置される
請求項37に記載の加工システム。
【請求項39】
ビーム源からのエネルギビームを物体に照射して前記物体を加工する加工システムにおいて、
前記物体を移動可能に載置する載置装置と、
前記エネルギビームを前記物体に照射する照射装置と、
を備え、
前記照射装置は、前記エネルギビームの照射位置を移動させる照射位置移動部材を含み、
前記載置装置の移動方向と、前記照射位置の移動方向とは同じ方向である
加工システム。
【請求項40】
前記載置装置を直線方向に沿って移動させる移動部材を有する移動装置を備え、
前記照射位置移動部材は、一つの移動方向に沿って移動して前記照射位置を前記直線方向に沿って移動させる
請求項39に記載の加工システム。
【請求項41】
前記移動装置は、前記移動部材を第1移動部材とするとき、前記移動部材を前記直線方向と交差する他の直線方向に沿って移動させる第2移動部材を有し、
前記照射位置移動部材は、前記一つの移動方向とは異なる他の移動方向に沿って移動して前記照射位置を前記交差する他の直線方向に沿って移動させる
請求項40に記載の加工システム。
【請求項42】
前記照射装置は、前記エネルギビームを集光する集光光学系を備え、
前記照射位置移動部材は、前記ビーム源と前記集光光学系との間に、回転可能に設けられる
請求項40又は41に記載の加工システム。
【請求項43】
前記エネルギビームを受光する受光部を有する受光装置と、
前記受光装置のうち前記載置装置に設けられた部分を計測する計測装置と
を備える
請求項39から42のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項44】
前記受光部が前記エネルギビームを受光した際の前記載置装置の位置に関する情報と、前記計測装置が前記受光装置のうち前記載置装置に設けられた前記部分を計測した際の前記載置装置の位置に関する情報とを取得する取得装置を備える
請求項43に記載の加工システム。
【請求項45】
前記受光装置は、第1照射位置に照射された前記エネルギビームを受光し、且つ前記第1照射位置から前記移動方向に沿って異なる第2照射位置に照射された前記エネルギビームを受光する
請求項43又は44に記載の加工システム。
【請求項46】
前記受光装置は、前記載置装置が第1位置に位置した際に前記エネルギビームを受光し、且つ、前記載置装置が前記第1位置から前記移動方向に沿って異なる第2位置に位置した際に前記エネルギビームを受光する
請求項43から45のいずれか一項に記載の加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギビームで物体を加工可能な加工システム、及び、加工システムで用いられる計測部材の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レーザ光を物体に照射することで物体を加工する加工システムが記載されている。この種の加工システムでは、物体を適切に加工することが要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0017509号明細書
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によれば、エネルギビームを物体に照射して前記物体を加工する加工システムにおいて、前記物体が載置される載置装置と、前記エネルギビームを前記物体に照射する照射装置と、前記エネルギビームを減衰させる減衰領域と前記エネルギビームを通過させる複数の通過領域とを持つビーム通過部材と、前記複数の通過領域を通過した前記エネルギビームを受光する受光部とを有する受光装置とを備える加工システムが提供される。
【0005】
第2の態様によれば、ビーム源からのエネルギビームを物体に照射する照射装置と、前記物体を計測ビームで計測する計測装置とを備え、前記物体を加工する加工システムに用いられる計測部材であって、前記エネルギビームを受光する受光部へ向かう前記エネルギビーム通過させる通過領域と、前記計測装置によって計測され、前記通過領域と所定の位置関係を有するマークとを備える計測部材が提供される。
【0006】
第3の態様によれば、エネルギビームを物体に照射して前記物体を加工する加工システムにおいて、前記物体が載置される載置装置と、前記エネルギビームを前記物体に照射する照射装置と、前記エネルギビームを減衰させる減衰領域と前記エネルギビームを通過させる通過領域とを持つビーム通過部材と、前記通過領域を通過した前記エネルギビームを受光する受光部とを有する受光装置と、前記通過領域を覆うカバー部材とを備える加工システムが提供される。
【0007】
第4の態様によれば、エネルギビームを物体に照射して前記物体を加工する加工システムにおいて、前記物体が載置される載置装置と、前記エネルギビームを前記物体に照射する照射装置と、前記エネルギビームを受光する受光部を有し、少なくとも一部が前記載置装置に設けられる受光装置と、前記物体及び前記受光装置の少なくとも一部のうち少なくとも一方を計測する計測装置と、前記載置装置を移動させる移動装置と、前記載置装置の位置に関する情報を取得する取得装置と、前記移動装置を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記計測装置が前記受光装置の少なくとも一部を計測できる計測可能位置に前記載置装置を移動し、前記計測可能位置に移動した前記載置装置の位置に関する計測位置情報を、前記取得装置を用いて取得し、前記計測位置情報に基づいて、前記載置装置の位置を制御する加工システムが提供される。
【0008】
第5の態様によれば、エネルギビームを物体に照射して前記物体を加工する加工システムにおいて、前記物体が載置される載置装置と、前記エネルギビームを前記物体に照射する照射装置と、前記エネルギビームを受光する受光部を有し、少なくとも一部が前記載置装置に設けられる受光装置と、前記物体及び前記受光装置の少なくとも一部のうち少なくとも一方を計測する計測装置と、前記載置装置を移動させる移動装置と、前記載置装置の位置に関する情報を取得する取得装置と、前記移動装置を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記照射装置が前記受光装置の少なくとも一部に前記エネルギビームを照射できる照射可能位置に前記載置装置を移動し、前記照射可能位置に移動した前記載置装置の位置に関する照射位置情報を、前記取得装置を用いて取得し、前記照射位置情報に基づいて、前記載置装置の位置を制御する加工システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態の加工システムの外観を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態の加工システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
図3図3(a)から図3(c)のそれぞれは、ワークに対して行われる除去加工の様子を示す断面図である。
図4図4は、照射光学系の構造を模式的に示す斜視図である。
図5図5は、受光装置の配置位置を示す平面図である。
図6図6は、受光装置の構造を示す断面図である。
図7図7は、受光装置の構造を示す平面図である。
図8図8は、ステージに対する組み付け誤差が生じている受光装置を示す平面図である。
図9図9は、サーチマークに照射される加工光の走査軌跡を示す平面図である。
図10図10は、サーチマークを介した加工光の受光結果を示すグラフである。
図11図11(a)は、理想的な組み付け位置に組み付けられている受光装置のサーチマークを示す平面図であり、図11(b)は、理想的な組み付け位置とは異なる位置に組み付けられている受光装置のサーチマークを示す平面図であり、図11(c)は、理想的な組み付け位置に組み付けられている受光装置のサーチマークを介した加工光の受光結果に相当する受光信号を示すグラフであり、図11(d)は、理想的な組み付け位置とは異なる位置に組み付けられている受光装置のサーチマークを介した加工光の受光結果に相当する受光信号を示すグラフである。
図12図12(a)は、フォーカス制御動作を行うために加工ヘッドが加工光を受光装置に照射する様子を示す断面図であり、図12(b)は、フォーカス制御動作を行うために加工ヘッドが加工光を受光装置に照射する様子を示す平面図であり、図12(c)は、受光装置が備える受光素子による加工光の受光結果を示すグラフである。
図13図13は、基準マークが形成されているステージを示す平面図である。
図14図14(a)は、加工ベースライン及び計測ベースラインの一例を示す断面図であり、図14(b)は、加工ベースライン及び計測ベースラインの一例を示す平面図である。
図15図15は、加工光のスポット径とファインマークとの関係を示す平面図である。
図16図16は、加工光のスポット径とファインマークとの関係を示す平面図である。
図17図17は、ガルバノミラーによって偏向され且つfθレンズによって変位した加工光がワークの表面を走査する際のワークの表面上の各位置での加工光のスポット径を模式的に示す平面図である。
図18図18(a)は、状態検出動作が行われる期間中の加工ヘッドと受光装置との位置関係を示す断面図であり、図18(b)は、状態検出動作が行われる期間中の加工ヘッドと受光装置との位置関係を示す平面図である。
図19図19(a)は、状態検出動作が行われる期間中の加工ヘッドと受光装置との位置関係を示す断面図であり、図19(b)は、状態検出動作が行われる期間中の加工ヘッドと受光装置との位置関係を示す平面図である。
図20図20(a)は、温度ドリフトが発生していない状況下でのワークの表面(つまり、XY平面に沿った面)における加工光の照射位置を示す平面図であり、図20(b)は、温度ドリフトが発生している状況下でのワークの表面(つまり、XY平面に沿った面)における加工光の照射位置を示す平面図である。
図21図21は、第2実施形態のステージの構造を示す断面図である。
図22図22は、第3実施形態の受光装置の配置方法を示す断面図である。
図23図23は、第4実施形態の受光装置の構造を示す断面図である。
図24図24は、第5実施形態の受光装置の構造を示す断面図である。
図25図25(a)及び図25(b)のそれぞれは、指標板の一例を示す平面図である。
図26図26は、第6実施形態の加工システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
図27図27は、カバー部材を備えているステージの構造を示す断面図である。
図28図28は、カバー部材の他の例を示す断面図である。
図29図29(a)及び図29(b)のそれぞれは、ビーム通過部材を覆っていないカバー部材を示す断面図である。
図30図30は、第7実施形態の照射光学系の構造を示す斜視図である。
図31図31は、第8実施形態の加工システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
図32図32は、第9実施形態の加工システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
図33図33は、第10実施形態の加工システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
図34図34は、第10実施形態の加工システムの外観を模式的に示す斜視図である。
図35図35は、第11実施形態の加工システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
図36図36は、第11実施形態の加工システムの外観を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、加工システム及び計測部材の実施形態について説明する。以下では、加工光ELを用いてワークWを加工する加工システムSYSを用いて、加工システム及び計測部材の実施形態を説明する。但し、本発明が以下に説明する実施形態に限定されることはない。
【0011】
また、以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸から定義されるXYZ直交座標系を用いて、加工システムSYSを構成する各種構成要素の位置関係について説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、X軸方向及びY軸方向のそれぞれが水平方向(つまり、水平面内の所定方向)であり、Z軸方向が鉛直方向(つまり、水平面に直交する方向であり、実質的には上下方向)であるものとする。また、X軸、Y軸及びZ軸周りの回転方向(言い換えれば、傾斜方向)を、それぞれ、θX方向、θY方向及びθZ方向と称する。ここで、Z軸方向を重力方向としてもよい。また、XY平面を水平方向としてもよい。
【0012】
(1)第1実施形態の加工システムSYSa
初めに、第1実施形態の加工システムSYS(以降、第1実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSa”と称する)について説明する。
【0013】
(1-1)加工システムSYSaの構造
初めに、図1及び図2を参照しながら、第1実施形態の加工システムSYSaの構造について説明する。図1は、第1実施形態の加工システムSYSaの外観を模式的に示す斜視図である。図2は、第1実施形態の加工システムSYSaのシステム構成を示すシステム構成図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、加工システムSYSaは、加工装置1と、計測装置2と、ステージ装置3と、制御装置4とを備えている。加工装置1、計測装置2及びステージ装置3は、筐体5に収容されている。但し、加工装置1、計測装置2及びステージ装置3は、筐体5に収容されていなくてもよい。つまり、加工システムSYSaは、加工装置1、計測装置2及びステージ装置3を収容する筐体5を備えていなくてもよい。
【0015】
加工装置1は、制御装置4の制御下で、ワークWを加工可能である。ワークWは、加工装置1によって加工される物体である。ワークWは、例えば、金属であってもよいし、合金(例えば、ジュラルミン等)であってもよいし、半導体(例えば、シリコン)であってもよいし、樹脂であってもよいし、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)等の複合材料であってもよいし、ガラスであってもよいし、セラミックスであってもよいし、それ以外の任意の材料から構成される物体であってもよい。
【0016】
加工装置1は、ワークWに加工光ELを照射して、ワークWの一部を除去する除去加工を行ってもよい。除去加工は、平面加工、円筒加工、穴あけ加工、平滑化加工、切断加工、及び、任意の文字若しくは任意のパターンを形成する(言い換えれば、刻む)彫刻加工(言い換えれば、刻印加工)の少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0017】
ここで、図3(a)から図3(c)のそれぞれを参照しながら、加工光ELを用いた除去加工の一例について説明する。図3(a)から図3(c)のそれぞれは、ワークWに対して行われる除去加工の様子を示す断面図である。図3(a)に示すように、加工装置1は、ワークWの表面に設定(言い換えれば、形成)される目標照射領域EAに対して加工光ELを照射する。目標照射領域EAに加工光ELが照射されると、ワークWのうち目標照射領域EA及び目標照射領域EAと近接する部分に、加工光ELのエネルギが伝達される。加工光ELのエネルギに起因した熱が伝達されると、加工光ELのエネルギに起因した熱によって、ワークWのうち目標照射領域EA及び目標照射領域EAと近接する部分を構成する材料が溶融する。溶融した材料は、液滴となって飛散する。或いは、溶融した材料は、加工光ELのエネルギに起因した熱によって蒸発する。その結果、ワークWのうち目標照射領域EA及び目標照射領域EAと近接する部分が除去される。つまり、図3(b)に示すように、ワークWの表面に凹部(言い換えれば、溝部)が形成される。この場合、加工装置1は、いわゆる熱加工の原理を利用して、ワークWを加工しているといえる。更に、加工装置1は、後述するガルバノミラー1212を用いて、ワークWの表面上で目標照射領域EAを移動させる。つまり、加工装置1は、加工光ELでワークWの表面を走査する。その結果、図3(c)に示すように、加工光ELの走査軌跡(つまり、目標照射領域EAの移動軌跡)に沿って、ワークWの表面が少なくとも部分的に除去される。このため、加工装置1は、除去加工したい領域に対応する所望の走査軌跡に沿って加工光ELにワークWの表面上を走査させることで、ワークWのうち除去加工したい部分を適切に除去することができる。
【0018】
一方で、加工光ELの特性によっては、加工装置1は、非熱加工(例えば、アブレーション加工)の原理を利用して、ワークWを加工することも可能である。つまり、加工装置1は、ワークWに対して非熱加工(例えば、アブレーション加工)を行ってもよい。例えば、発光時間がピコ秒以下(或いは、場合によっては、ナノ秒又はフェムト秒以下)のパルス光が加工光ELとして用いられると、ワークWのうち目標照射領域EA及び目標照射領域EAと近接する部分を構成する材料は、瞬時に蒸発及び飛散する。尚、発光時間がピコ秒以下(或いは、場合によっては、ナノ秒又はフェムト秒以下)のパルス光が加工光ELとして用いられる場合、ワークWのうち目標照射領域EA及び目標照射領域EAと近接する部分を構成する材料は、溶融状態を経ずに昇華することもある。このため、加工光ELのエネルギに起因した熱によるワークWへの影響を極力抑制しながら、ワークWの表面に凹部(言い換えれば、溝部)が形成可能となる。
【0019】
除去加工を行う場合には、加工装置1は、リブレット構造をワークW上に形成してもよい。リブレット構造は、ワークWの表面の流体に対する抵抗(特に、摩擦抵抗及び乱流摩擦抵抗の少なくとも一方)を低減可能な構造であってもよい。リブレット構造は、流体とワークWの表面とが相対的に移動するときに発生する騒音を低減可能な構造を含んでいてもよい。リブレット構造は、例えば、ワークWの表面に沿った第1の方向(例えば、Y軸方向)に沿って延びる溝が、ワークWの表面に沿っており且つ第1の方向に交差する第2方向(例えば、X軸方向)に沿って複数配列された構造を含んでいてもよい。
【0020】
除去加工を行う場合には、加工装置1は、ワークWの表面上に、任意の形状を有する任意の構造を形成してもよい。任意の構造の一例として、ワークWの表面上の流体の流れに対して渦を発生させる構造があげられる。任意の構造の他の一例として、ワークWの表面に疎水性を与えるための構造があげられる。任意の構造の他の一例としては、規則的又は不規則的に形成されたマイクロ・ナノメートルオーダの微細テクスチャ構造(典型的には凹凸構造)があげられる。このような微細テクスチャ構造は、流体(気体及び/又は液体)による抵抗を低減させる機能を有するサメ肌構造及びディンプル構造の少なくとも一方を含んでいてもよい。微細なテクスチャ構造は、撥液機能及びセルフクリーニング機能の少なくとも一方を有する(例えば、ロータス効果を有する)ハスの葉表面構造を含んでいてもよい。微細なテクスチャ構造は、液体輸送機能を有する微細突起構造(米国特許公開第2017/0044002号公報参照)、親液性機能を有する凹凸構造、防汚機能を有する凹凸構造、反射率低減機能及び撥液機能の少なくとも一方を有するモスアイ構造、特定波長の光のみを干渉で強めて構造色を呈する凹凸構造、ファンデルワールス力を利用した接着機能を有するピラーアレイ構造、空力騒音低減機能を有する凹凸構造、液滴捕集機能を有するハニカム構造、並びに、表面上に形成される層との密着性を向上させる凹凸構造等の少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0021】
再び図1及び図2において、ワークWを加工するために、加工装置1は、加工光源11と、加工ヘッド12と、ヘッド駆動系13と、位置計測装置14とを備える。
【0022】
加工光源11は、例えば、赤外光、可視光、紫外光及び極端紫外光のうちの少なくとも一つを、加工光ELとして射出する。但し、加工光ELとして、その他の種類の光が用いられてもよい。加工光ELは、パルス光(つまり、複数のパルスビーム)を含んでいてもよい。加工光ELは、レーザ光であってもよい。この場合、加工光源11は、レーザ光源(例えば、レーザダイオード(LD:Laser Diode)等の半導体レーザ)を含んでいてもよい。レーザ光源は、ファイバ・レーザ、COレーザ、YAGレーザ及びエキシマレーザ等の少なくとも一つを含んでいてもよい。但し、加工光ELはレーザ光でなくてもよい。加工光源11は、任意の光源(例えば、LED(Light Emitting Diode)及び放電ランプ等の少なくとも一つ)を含んでいてもよい。
【0023】
加工ヘッド12は、加工光源11からの加工光ELを、ワークWに照射する。このため、加工ヘッド12は、照射装置と称されてもよい。図1に示す例では、加工ヘッド12の下方に、ワークWを載置可能なステージ32が配置される。このため、加工ヘッド12は、加工ヘッド12から下方に向けて加工光ELを射出することで、加工光ELをワークWに照射する。加工光ELをワークWに照射するために、加工ヘッド12は、照射光学系121を備える。以下、図4を参照しながら、照射光学系121について説明する。図4は、照射光学系121の構造を模式的に示す断面図である。
【0024】
図4に示すように、照射光学系121は、例えば、フォーカス変更光学系1211と、ガルバノミラー1212と、fθレンズ1213とを備える。
【0025】
フォーカス変更光学系1211には、加工光ELのフォーカス位置(つまり、加工光ELの収斂位置)を、加工光ELの進行方向に沿って変更可能な光学部材である。このため、フォーカス変更光学系1211は、ビーム収斂位置変更部材と称されてもよい。フォーカス変更光学系1211は、例えば、加工光ELの進行方向に沿って並ぶ複数枚のレンズを含んでいてもよい。この場合、複数枚のレンズのうちの少なくとも一つがその光軸方向に沿って移動することで、加工光ELのフォーカス位置が変更されてもよい。
【0026】
フォーカス変更光学系1211を通過した加工光ELは、ガルバノミラー1212に入射する。ガルバノミラー1212は、加工光ELを偏向する(つまり、加工光ELの射出角度を変更する)ことで、ガルバノミラー1212からの加工光ELの射出方向を変更する。このため、ガルバノミラー1212は、射出方向変更部材と称されてもよい。ガルバノミラー1212からの加工光ELの射出方向が変更されると、加工ヘッド12から加工光ELが射出される位置が変更される。加工ヘッド12から加工光ELが射出される位置が変更されると、ワークWの表面上での加工光ELの照射位置が変更される。従って、ガルバノミラー1212は、加工光ELを偏向することで、ワークWの表面上での加工光ELの照射位置を変更可能(つまり、移動可能)である。このため、ガルバノミラー1212は、照射位置移動部材と称されてもよい。
【0027】
ガルバノミラー1212は、例えば、X走査ミラー1212Xと、Y走査ミラー1212Yとを含む。X走査ミラー1212X及びY走査ミラー1212Yのそれぞれは、加工光源11とfθレンズ1213との間における加工光ELの光路上に配置される可動光学部材である。X走査ミラー1212X及びY走査ミラー1212Yのそれぞれは、各ミラーに入射する加工光ELの光路に対する角度が変更可能な傾斜角可変ミラーである。X走査ミラー1212Xは、加工光ELをY走査ミラー1212Yに向けて反射する。X走査ミラー1212Xは、Y軸に沿った回転軸周りに揺動又は回転可能である。X走査ミラー1212Xの揺動又は回転により、加工光ELは、ワークWの表面をX軸方向に沿って走査する。X走査ミラー1212Xの揺動又は回転により、目標照射領域EAは、ワークWの表面上をX軸方向に沿って移動する。Y走査ミラー1212Yは、加工光ELをfθレンズ1213に向けて反射する。Y走査ミラー1212Yは、X軸に沿った回転軸周りに揺動又は回転可能である。Y走査ミラー1212Yの揺動又は回転により、加工光ELは、ワークWの表面をY軸方向に沿って走査する。Y走査ミラー1212Yの揺動又は回転により、目標照射領域EAは、ワークWの表面上をY軸方向に沿って移動する。
【0028】
このようなガルバノミラー1212により、加工光ELは、加工ヘッド12を基準に定まる加工ショット領域PSAを走査可能となる。つまり、ガルバノミラー1212により、目標照射領域EAは、加工ヘッド12を基準に定まる加工ショット領域PSA内で移動可能となる。尚、加工ショット領域PSAは、加工ヘッド12とワークWとの位置関係を固定した状態で(つまり、変更することなく)加工装置1による加工が行われる領域(言い換えれば、範囲)を示す。典型的には、加工ショット領域PSAは、加工ヘッド12とワークWとの位置関係を固定した状態でガルバノミラー1212によって偏向される加工光ELの走査範囲と一致する又は当該走査範囲よりも狭い領域になるように設定される。加工ショット領域PSAがワークWのうちの加工したい部分よりも小さい場合には、ワークW上のある部分に設定された加工ショット領域PSAを加工光ELで走査することでワークW上のある部分を加工する動作と、加工ヘッド12とワークWとの相対的な位置関係を変更することでワークW上での加工ショット領域PSAの位置を変更する動作とが繰り返される。
【0029】
尚、照射光学系121は、ガルバノミラー1212に加えて又は代えて、加工光ELを偏向可能な(つまり、加工光ELの射出方向及び照射位置の少なくとも一方を変更可能な)任意の光学部材を備えていてもよい。このような光学部材の一例として、角度が異なる複数の反射面を有するポリゴンミラーがあげられる。ポリゴンミラーは、加工光ELが一の反射面に照射されている期間中に当該一の反射面に対する加工光ELの入射角度を変更し且つ加工光ELが照射される反射面を複数の反射面の間で切り替えるように回転可能である。
【0030】
fθレンズ1213は、ガルバノミラー1212からの加工光ELをワークWに向けて射出するための光学系である。特に、fθレンズ1213は、ガルバノミラー1212からの加工光ELを、集光面に集光可能な光学素子である。このため、fθレンズ1213は、集光光学系と称されてもよい。fθレンズ1213の集光面は、例えば、ワークWの表面に設定されてもよい。この場合、fθレンズ1213は、ガルバノミラー1212からの加工光ELを、ワークWの表面に集光可能である。
【0031】
再び図1及び図2において、ヘッド駆動系13は、加工ヘッド12を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿って移動させる。図1は、ヘッド駆動系13が加工ヘッド12をZ軸方向に沿って移動させる例を示している。この場合、ヘッド駆動系13は、例えば、Z軸方向に沿って延びるZスライダ部材131を備えていてもよい。Zスライダ部材131は、防振装置を介して後述する定盤31上に配置される支持フレーム6に配置されている。支持フレーム6は、例えば、防振装置を介して定盤31上に配置され且つZ軸方向に沿って延びる一対の脚部材61と、一対の脚部材61の上端部を連結するように一対の脚部材61上に配置され且つX軸方向に沿って延びる梁部材62とを備えていてもよい。Zスライダ部材131は、例えば、Z軸方向に沿って延びる支持部材63を介して、梁部材62に配置される。Zスライダ部材131には、加工ヘッド12が、Zスライダ部材131に沿って移動可能となるように接続されている。
【0032】
加工ヘッド12が移動すると、加工ヘッド12とステージ32(更には、ステージ32に載置されたワークW)との位置関係が変わる。従って、加工ヘッド12を移動させることは、加工ヘッド12とステージ32及びワークWのそれぞれとの位置関係を変更することと等価である。
【0033】
位置計測装置14は、加工ヘッド12の位置を計測可能(言い換えれば、検出可能)である。位置計測装置14は、例えば、エンコーダ及びレーザ干渉計の少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0034】
計測装置2は、制御装置4の制御下で、ワークWを計測可能である。ワークWを計測するために、計測装置2は、計測ヘッド21と、ヘッド駆動系22と、位置計測装置23とを備える。
【0035】
計測ヘッド21は、制御装置4の制御下で、ワークWを計測可能である。例えば、計測ヘッド21は、ワークWの状態を計測可能な装置であってもよい。ワークWの状態は、ワークWの位置を含んでいてもよい。ワークWの位置は、ワークWの表面の位置を含んでいてもよい。ワークWの表面の位置は、ワークWの表面を細分化した各面部分のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の少なくとも一つにおける位置を含んでいてもよい。ワークWの状態は、ワークWの形状(例えば、3次元形状)を含んでいてもよい。ワークWの形状は、ワークWの表面の形状を含んでいてもよい。ワークWの表面の形状は、上述したワークWの表面の位置に加えて又は代えて、ワークWの表面を細分化した各面部分の向き(例えば、各面部分の法線の向きであり、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに対する各面部分の傾斜量と実質的に等価)を含んでいてもよい。計測ヘッド21の計測結果に関する計測情報は、計測ヘッド21から制御装置4に出力される。
【0036】
計測ヘッド21は、計測ショット領域MSAの単位でワークWを計測する。計測ショット領域MSAは、計測ヘッド21とワークWとの位置関係を固定した状態で(つまり、変更することなく)計測ヘッド21による計測が行われる領域(言い換えれば、範囲)を示す。尚、計測ショット領域MSAを、計測ヘッド21の計測可能範囲、計測可能フィールドと称してもよい。
【0037】
計測ヘッド21は、光学的にワークWを計測してもよい。つまり、計測ヘッド21は、計測光等の任意の計測ビームを用いてワークWを計測してもよい。例えば、計測ヘッド21は、ワークWの表面にスリット光を投影すると共に投影されたスリット光の形状を計測する光切断法を用いて、ワークWを計測してもよい。例えば、計測ヘッド21は、ワークWを介した白色光とワークWを介していない白色光との干渉パターンを計測する白色干渉法を用いて、ワークWを計測してもよい。例えば、計測ヘッド21は、ワークWの表面に光パターンを投影し、投影されたパターンの形状を計測するパターン投影法、ワークWの表面に光を投射し、投射された光が戻ってくるまでの時間からワークWまでの距離を測定し、これをワークW上の複数の位置で行うタイム・オブ・フライト法、モアレトポグラフィ法(具体的には、格子照射法若しくは格子投影法)、ホログラフィック干渉法、オートコリメーション法、ステレオ法、非点収差法、臨界角法、ナイフエッジ法、干渉計測法、及び、共焦点法の少なくとも一つを用いて、ワークWを計測してもよい。例えば、計測ヘッド21は、照明光で照明されたワークWを撮像することでワークWを計測してもよい。いずれの場合においても、計測ヘッド21は、計測光ML(例えば、スリット光、白色光又は照明光)を射出する光源と、計測光MLが照射されたワークWからの光(例えば、計測光の反射光)を受光する受光器とを備えていてもよい。
【0038】
ヘッド駆動系22は、計測ヘッド21を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿って移動させる。図1は、ヘッド駆動系22が計測ヘッド21をZ軸方向に沿って移動させる例を示している。この場合、ヘッド駆動系22は、例えば、Z軸方向に沿って延びるZスライダ部材221を備えていてもよい。Zスライダ部材221は、Z軸方向に延びる支持部材64を介して、梁部材62に配置されていてもよい。Zスライダ部材221には、計測ヘッド21が、Zスライダ部材221に沿って移動可能となるように接続されている。
【0039】
計測ヘッド21が移動すると、計測ヘッド21とステージ32(更には、ステージ32に載置されたワークW)との位置関係が変わる。従って、計測ヘッド21を移動させることは、計測ヘッド21とステージ32及びワークWのそれぞれとの位置関係を変更することと等価である。
【0040】
位置計測装置23は、計測ヘッド21の位置を計測可能(言い換えれば、検出可能)である。位置計測装置23は、例えば、エンコーダ及びレーザ干渉計の少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0041】
ステージ装置3は、定盤31と、ステージ32と、ステージ駆動系33と、位置計測装置34と、受光装置35とを備える。
【0042】
定盤31は、筐体5の底面上(或いは、筐体5が載置される床面等の支持面上)に配置される。定盤31上には、ステージ32が配置される。筐体5の底面或いは筐体5が載置される床面等の支持面と定盤31との間には、定盤31の振動のステージ32への伝達を低減するための不図示の防振装置が設置されていてもよい。更に、定盤31上には、上述した支持フレーム6が配置されていてもよい。
【0043】
ステージ32は、ワークWが載置される載置装置である。ステージ32は、ステージ32に載置されたワークWを保持可能であってもよい。或いは、ステージ32は、ステージ32に載置されたワークWを保持可能でなくてもよい。このとき、ワークWは、クランプレスでステージ32に載置されていてもよい。
【0044】
ステージ駆動系33は、ステージ32を移動させる。このため、ステージ駆動系33は、移動装置と称されてもよい。ステージ32が移動すると、ステージ32に載置されたワークWもまたステージ32と共に移動する。このため、ステージ32には、ワークWが移動可能に(具体的には、ワークWがステージ32と共に移動可能に)載置されているとも言える。ステージ駆動系33は、例えば、X軸、Y軸、Z軸、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿ってステージ32を移動させる。図1に示す例では、ステージ駆動系33は、X軸及びY軸のそれぞれに沿ってステージ32を移動させる。この場合、ステージ駆動系33は、例えば、X軸方向に沿って延びるXスライド部材331(図1に示す例では、二つのXスライド部材331)と、Y軸方向に沿って延びるYスライド部材332(図1に示す例では、一つのYスライド部材332)とを備えていてもよい。二つのXスライド部材331は、Y軸方向に沿って並ぶように定盤31上に配置される。Yスライド部材332は、二つのXスライド部材331に沿って移動可能となるように、二つのXスライド部材331に接続される。ステージ32は、Yスライド部材332に沿って移動可能となるようにYスライド部材332に接続される。尚、Xスライド部材331及びYスライド部材332のそれぞれは、ステージ32を直線方向に沿って移動させる移動部材として機能可能であるとも言える。
【0045】
ステージ32が移動すると、ステージ32及びワークWのそれぞれと加工ヘッド12及び計測ヘッド21のそれぞれとの位置関係が変わる。従って、ステージ32を移動させることは、ステージ32及びワークWのそれぞれと加工ヘッド12及び計測ヘッド21のそれぞれとの位置関係を変更することと等価である。
【0046】
位置計測装置34は、ステージ32の位置を計測可能(言い換えれば、検出可能)である。位置計測装置34は、例えば、エンコーダ及びレーザ干渉計の少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0047】
受光装置35は、加工ヘッド12からの加工光ELを受光可能な受光部を含む。更に、受光装置35は、計測ヘッド21が計測可能な計測部材を含む。受光装置35による加工光ELの受光結果及び計測ヘッド21による受光装置35の計測結果は、加工システムSYSaの動作を制御するために用いられる。尚、受光装置35の構造については、後に図5から図7を参照しながら詳述する。
【0048】
制御装置4は、加工システムSYSaの動作を制御する。例えば、制御装置4は、ワークWの加工条件を設定すると共に、設定した加工条件に従ってワークWが加工されるように加工装置1及びステージ装置3を制御してもよい。
【0049】
制御装置4は、加工システムSYSaの動作を制御する。制御装置4は、例えば、演算装置と、記憶装置とを備えていてもよい。演算装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)の少なくとも一方を含んでいてもよい。記憶装置は、例えば、メモリを含んでいてもよい。制御装置4は、演算装置がコンピュータプログラムを実行することで、加工システムSYSaの動作を制御する装置として機能する。このコンピュータプログラムは、制御装置4が行うべき後述する動作を演算装置に行わせる(つまり、実行させる)ためのコンピュータプログラムである。つまり、このコンピュータプログラムは、加工システムSYSに後述する動作を行わせるように制御装置4を機能させるためのコンピュータプログラムである。演算装置が実行するコンピュータプログラムは、制御装置4が備える記憶装置(つまり、記録媒体)に記録されていてもよいし、制御装置4に内蔵された又は制御装置4に外付け可能な任意の記憶媒体(例えば、ハードディスクや半導体メモリ)に記録されていてもよい。或いは、演算装置は、実行するべきコンピュータプログラムを、ネットワークインタフェースを介して、制御装置4の外部の装置からダウンロードしてもよい。
【0050】
制御装置4は、加工システムSYSaの内部に設けられていなくてもよい。例えば、制御装置4は、加工システムSYSa外にサーバ等として設けられていてもよい。この場合、制御装置4と加工システムSYSaとは、有線及び/又は無線のネットワーク(或いは、データバス及び/又は通信回線)で接続されていてもよい。有線のネットワークとして、例えばIEEE1394、RS-232x、RS-422、RS-423、RS-485及びUSBの少なくとも一つに代表されるシリアルバス方式のインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。有線のネットワークとして、パラレルバス方式のインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。有線のネットワークとして、10BASE-T、100BASE-TX及び1000BASE-Tの少なくとも一つに代表されるイーサネット(登録商標)に準拠したインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。無線のネットワークとして、電波を用いたネットワークが用いられてもよい。電波を用いたネットワークの一例として、IEEE802.1xに準拠したネットワーク(例えば、無線LAN及びBluetooth(登録商標)の少なくとも一方)があげられる。無線のネットワークとして、赤外線を用いたネットワークが用いられてもよい。無線のネットワークとして、光通信を用いたネットワークが用いられてもよい。この場合、制御装置4と加工システムSYSaとはネットワークを介して各種の情報の送受信が可能となるように構成されていてもよい。また、制御装置4は、ネットワークを介して加工システムSYSaにコマンドや制御パラメータ等の情報を送信可能であってもよい。加工システムSYSaは、制御装置4からのコマンドや制御パラメータ等の情報を、上記ネットワークを介して受信する受信装置を備えていてもよい。加工システムSYSaは、制御装置4に対してコマンドや制御パラメータ等の情報を、上記ネットワークを介して送信する送信装置(つまり、制御装置4に対して情報を出力する出力装置)を備えていてもよい。或いは、制御装置4が行う処理のうちの一部を行う第1制御装置が加工システムSYSaの内部に設けられている一方で、制御装置4が行う処理のうちの他の一部を行う第2制御装置が加工システムSYSaの外部に設けられていてもよい。
【0051】
尚、制御装置4が実行するコンピュータプログラムを記録する記録媒体としては、CD-ROM、CD-R、CD-RWやフレキシブルディスク、MO、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW及びBlu-ray(登録商標)等の光ディスク、磁気テープ等の磁気媒体、光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ、及び、その他プログラムを格納可能な任意の媒体の少なくとも一つが用いられてもよい。記録媒体には、コンピュータプログラムを記録可能な機器(例えば、コンピュータプログラムがソフトウェア及びファームウェア等の少なくとも一方の形態で実行可能な状態に実装された汎用機器又は専用機器)が含まれていてもよい。更に、コンピュータプログラムに含まれる各処理や機能は、制御装置4(つまり、コンピュータ)がコンピュータプログラムを実行することで制御装置4内に実現される論理的な処理ブロックによって実現されてもよいし、制御装置4が備える所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウェアによって実現されてもよいし、論理的な処理ブロックとハードウェアの一部の要素を実現する部分的ハードウェアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。
【0052】
(1-2)受光装置35の構造
続いて、図5から図7を参照しながら、ステージ装置3が備える受光装置35の構造について説明する。図5は、受光装置35の配置位置を示す平面図である。図6は、受光装置35の構造を示す断面図である。図7は、受光装置35の構造を示す平面図である。尚、図6は、図7のVII-VII’断面図に相当する。
【0053】
図5に示すように、受光装置35は、ステージ32に配置されている。受光装置35は、ステージ32のうちワークWが載置される載置面321とは異なる位置に配置されてもよい。例えば、受光装置35は、ステージ32のうち載置面321からX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方に離れた位置に配置されてもよい。例えば、受光装置35は、ステージ32のうち載置面321の外側に位置する外周面322(より具体的には、ステージ32のうち、外周面322が表面となる部材)に配置されてもよい。但し、受光装置35は、載置面321(より具体的には、ステージ32のうち載置面321が表面となる部材)に配置されてもよい。受光装置35は、ステージ32の任意の位置に配置されてもよい。受光装置35の少なくとも一部は、ステージ32から取り外し可能であってもよい。或いは、受光装置35は、ステージ32と一体化されていてもよい。また、複数の受光装置35がステージ32に配置されていてもよい。このとき、複数の受光装置35のうちの一つは、図5に示されるステージ32の外周面322の-X方向の端部且つ+Y方向の端部に配置され、複数の受光装置35のうちの他の一つは、外周面322の+X方向の端部且つ-Y方向の端部に配置されてもよい。つまり、複数の受光装置35のうちの少なくとも二つが、ステージ32における対角に配置してもよい。また、複数の受光装置35がステージ32の四隅に配置されてもよい。尚、ステージ32はテーブルと称されてもよい。
【0054】
図6に示すように、受光装置35は、ビーム通過部材351と、受光素子352とを備える。ビーム通過部材351は、XY平面に沿った板状の部材である。XY平面内でのビーム通過部材351の形状は矩形であるが、その他の任意の形状(例えば、円形又は楕円形)であってもよい。ビーム通過部材351の一辺のサイズは、例えば、数mmから十数mmであるが、その他のサイズであってもよい。受光素子352は、XY平面に沿って広がる受光面3521を備える。XY平面内での受光面3521の形状は矩形であるが、その他の任意の形状(例えば、円形又は楕円形)であってもよい。受光面3521の一辺のサイズは、ビーム通過部材351の一辺のサイズと同一であってもよいし、ビーム通過部材351の一辺のサイズよりも小さくてもよいし、ビーム通過部材351の一辺のサイズよりも大きくてもよい。
【0055】
ビーム通過部材351と受光素子352とは、ステージ32に形成された窪み323(つまり、凹部)の内部に配置されている。つまり、ビーム通過部材351と受光素子352とは、外周面322から-Z側に窪んだ窪み323に配置されている。尚、上述したように受光装置35が外周面322に配置されるがゆえに、窪み323は、外周面322に形成されている。但し、ビーム通過部材351及び受光素子352の少なくとも一方は、窪み323とは異なる位置に配置されていてもよい。
【0056】
窪み323内において、ビーム通過部材351は、受光素子352の上方に配置される。つまり、ビーム通過部材351は、受光素子352よりも加工ヘッド12及び計測ヘッド21により近い位置に配置される。この場合、図6に示すように、ビーム通過部材351の表面(具体的には、加工ヘッド12及び計測ヘッド21側を向いた表面であり、+Z側の表面)は、外周面322(つまり、ステージ32の表面)よりも下方に位置していてもよい。この場合、受光装置35がステージ32の表面から突き出ることがないがゆえに、ステージ32に載置されるワークWが、受光装置35(特に、ビーム通過部材351)に誤って接触してしまう可能性が小さくなる。その結果、ワークWがビーム通過部材351に接触することに起因してビーム通過部材351が破損することや汚染することの可能性が小さくなる。但し、ビーム通過部材351の表面は、外周面322と同じ高さに位置していてもよいし、外周面322よりも上方に位置していてもよい。
【0057】
ビーム通過部材351は、ガラス基板3511と、ガラス基板3511の表面の少なくとも一部に形成された減衰膜3512とを含む。減衰膜3512は、減衰膜3512に入射する加工光ELを減衰可能な部材である。尚、第1実施形態における「減衰膜3512による加工光ELの減衰」は、減衰膜3512を通過した加工光ELの強度を減衰膜3512に入射した加工光ELの強度よりも小さくすることのみならず、減衰膜3512に入射した加工光ELを遮光する(つまり、遮蔽する)ことを含んでいてもよい。従って、加工光ELが減衰膜3512に入射した場合には、減衰膜3512によって減衰された加工光ELが減衰膜3512を介して受光素子352に入射するか、又は、加工光ELが減衰膜3512によって遮光されることで加工光ELが受光素子352に入射することはない。尚、減衰膜3512は、クロム膜又は酸化クロム膜で形成されていてもよい。
【0058】
減衰膜3512には、少なくとも一つの開口353が形成されている。図6に示す例では、減衰膜3512には、複数の開口353が形成されている。開口353は、減衰膜3512をZ軸方向において貫通する貫通孔である。このため、加工光ELが減衰膜3512に形成された開口353に入射した場合には、加工光ELは、開口353を介してビーム通過部材351を通過する。つまり、加工光ELは、減衰膜3512によって減衰又は遮光されることなく、開口353を介して受光素子352に入射する。
【0059】
このように、ガラス基板3511のうち減衰膜3512が形成された部分(つまり、開口353が形成されていない部分)は、加工光ELを減衰させる減衰領域354として機能する。一方で、ガラス基板3511のうち減衰膜3512が形成されていない部分(つまり、開口353が形成されている部分)は、加工光ELを通過させる通過領域355として機能する。この際、通過領域355は、通過領域355を通過する加工光ELを減衰させない。但し、通過領域355は、通過領域355を通過する加工光ELを減衰させてもよい。つまり、通過領域355は、通過領域355に入射した加工光ELの全て(つまり、100%)が通過する領域でなくてもよく、通過領域355に入射した加工光ELの一部が通過する領域であってもよい。但し、通過領域355による加工光ELの減衰率は、減衰領域354による加工光ELの減衰率よりも小さい。減衰領域354は、典型的には、通過領域355と隣接して配置される。つまり、複数の開口353によってそれぞれ形成される複数の通過領域355の間には、減衰領域354が配置される。複数の通過領域355は、減衰領域354の中に配置される。尚、上述したようにビーム通過部材351の表面が外周面322(つまり、ステージ32の表面)よりも下方に位置している場合には、ビーム通過部材351のうち減衰領域354として機能する部分及びビーム通過部材351のうち通過領域355として機能する部分もまた、外周面322(つまり、ステージ32の表面)よりも下方に位置する。
【0060】
複数の開口353によってそれぞれ形成される複数の通過領域355のうちの少なくとも一つは、減衰膜3512の表面に沿った平面(典型的には、XY平面)内において所定の形状を有するマーク(つまり、パターン)356を形成していてもよい。このマーク356は、計測ヘッド21によって計測される。従って、計測ヘッド21によって計測可能なマーク356が形成されたビーム通過部材351は、計測部材と称されてもよい。
【0061】
例えば、図7に示すように、ビーム通過部材351には、マーク356の一例であるスリットマーク356-1が形成されていてもよい。スリットマーク356-1は、減衰膜3512の表面に沿った平面内において単一の線状(例えば、スリット状)の形状を有する通過領域355によって形成されるマークである。スリットマーク356-1を形成する線状の通過領域355の長さ(つまり、長手方向のサイズ)は、例えば0.1mmから1mmであるが、その他の長さであってもよい。スリットマーク356-1を形成する線状の通過領域355の幅(つまり、短手方向のサイズ)は、例えば数μmであるが、その他の長さであってもよい。図7に示す例では、ビーム通過部材351には、X軸及びY軸のそれぞれに対する角度が異なる複数のスリットマーク356-1が形成されている。図7に示す例では、複数のスリットマーク356-1がY軸方向に沿って配列されているが、複数のスリットマーク356-1は任意の位置に形成されていてもよい。但し、ビーム通過部材351には、単一のスリットマーク356-1が形成されていてもよい。
【0062】
例えば、図7に示すように、ビーム通過部材351には、マーク356の一例であるファインマーク356-2が形成されていてもよい。ファインマーク356-2は、それぞれが一の方向に沿って延び且つ一の方向に交差する他の方向に沿って配列される複数の線状の通過領域355によって形成されるマークである。ファインマーク356-2を形成する線状の通過領域355の長さ(つまり、長手方向のサイズ)は、例えば0.1mmから1mmであるが、その他の長さであってもよい。ファインマーク356-2を形成する線状の通過領域355の幅(つまり、短手方向のサイズ)は、例えば数μmであるが、その他の幅であってもよい。ビーム通過部材351には、線状の通過領域355が延びる方向が異なる複数のファインマーク356-2が形成されていてもよい。例えば、図7に示すように、ビーム通過部材351には、それぞれがY軸方向に沿って延び且つX軸方向に沿って配列される複数の線状の通過領域355によって形成されるファインマーク356-2と、それぞれがX軸方向に沿って延び且つY軸方向に沿って配列される複数の線状の通過領域355によって形成されるファインマーク356-2とが形成されていてもよい。また、ビーム通過部材351には、複数の線状の通過領域355の配列ピッチ(つまり、隣り合う二つの通過領域355の間の間隔)が異なる複数のファインマーク356-2が形成されていてもよい。例えば、図7に示すように、ビーム通過部材351には、配列ピッチが第1のピッチとなる複数の線状の通過領域355によって形成されるファインマーク356-2と、配列ピッチが第1のピッチよりも小さい第2のピッチとなる複数の線状の通過領域355によって形成されるファインマーク356-2とが形成されていてもよい。図7に示す例では、複数のファインマーク356-2がY軸方向に沿って配列されているが、複数のファインマーク356-2は任意の位置に形成されていてもよい。但し、ビーム通過部材351には、単一のファインマーク356-2が形成されていてもよい。
【0063】
例えば、図7に示すように、ビーム通過部材351には、マーク356の一例である矩形マーク356-3が形成されていてもよい。矩形マーク356-3は、減衰膜3512の表面に沿った平面内において矩形の形状を有する通過領域355によって形成されるマークである。矩形マーク356-3を形成する矩形の形状の通過領域355のサイズは、例えば0.1μmから数十μmであるが、その他のサイズであってもよい。ビーム通過部材351には、通過領域355のサイズ(例えば、X軸方向及びY軸方向の少なくとも一方におけるサイズ)が異なる複数の矩形マーク356-3が形成されていてもよい。図7に示す例では、複数の矩形マーク356-3がY軸方向に沿って配列されているが、複数の矩形マーク356-3は任意の位置に形成されていてもよい。但し、ビーム通過部材351には、単一の矩形マーク356-3が形成されていてもよい。
【0064】
例えば、図7に示すように、ビーム通過部材351には、マーク356の一例であるクロスマーク356-4が形成されていてもよい。クロスマーク356-4は、それぞれが第1の方向に沿って延び且つ第1の方向に交差する第2の方向に沿って配列される複数の線状の通過領域355と、それぞれが第1の方向に交差する第3の方向に沿って延び且つ第3の方向に交差する第4の方向に沿って配列される複数の線状の通過領域355とによって形成されるマークである。図7に示す例では、クロスマーク356-4は、それぞれがX軸方向に沿って延びY軸方向に沿って配列される複数の線状の通過領域355と、それぞれがY軸方向に沿って延びX軸方向に沿って配列される複数の線状の通過領域355とによって形成されるマークである。この場合、クロスマーク356-4は、格子状のマークであるとみなしてもよい。クロスマーク356-4を形成する線状の通過領域355の幅(つまり、短手方向のサイズ)は、例えば数μmから数十μmであるが、その他の幅であってもよい。クロスマーク356-4のサイズ(例えば、X軸方向及びY軸方向の少なくとも一方におけるサイズ)は、例えば、0.1mmから数mmであるが、その他のサイズであってもよい。ビーム通過部材351には、複数の線状の通過領域355の配列ピッチ(つまり、隣り合う二つの通過領域355の間の間隔)が異なる複数のクロスマーク356-4が形成されていてもよい。クロスマーク356-4が格子状のマークである場合には、複数の線状の通過領域355の配列ピッチが変わると、クロスマーク356-4が形成する格子の数が変わる。このため、ビーム通過部材351には、格子の数が異なる複数のクロスマーク356-4が形成されていてもよい。図7に示す例では、複数のクロスマーク356-4がY軸方向に沿って配列されているが、複数のクロスマーク356-4は任意の位置に形成されていてもよい。但し、ビーム通過部材351には、単一のクロスマーク356-4が形成されていてもよい。
【0065】
例えば、図7に示すように、ビーム通過部材351には、マーク356の一例であるサーチマーク356-5が形成されていてもよい。サーチマーク356-5は、それぞれが第5の方向に沿って延び且つ第5の方向に直交する第6の方向に沿って離れた二つの第1の線状の通過領域355と、第5の方向に対して傾斜した(つまり、斜めに交差する)第7の方向に沿って延びる第2の線状の通過領域355とによって形成されるマークである。図7に示す例では、サーチマーク356-5は、それぞれがY軸方向に沿って延び且つX軸方向に沿って離れた二つの第1の線状の通過領域355と、二つの第1の線状の通過領域355の間に配置され且つY軸方向に対して傾斜した方向に沿って延びる第2の線状の通過領域355とによって形成されるマークである。サーチマーク356-5を形成する第1の線状の通過領域355の長さ(つまり、長手方向のサイズ)は、例えば0.1mmから1mmであるが、その他の長さであってもよい。サーチマーク356-5を形成する線状の通過領域355の幅(つまり、短手方向のサイズ)は、例えば数μmであるが、その他の幅であってもよい。サーチマーク356-5のサイズ(例えば、X軸方向及びY軸方向の少なくとも一方におけるサイズ)は、例えば、0.1mmから数mmであるが、その他のサイズであってもよい。サーチマーク356-5を形成する二つの第1の線状の通過領域355の間の距離は、例えば0.1mmから1mmであるが、その他の距離であってもよい。第1の線状の通過領域355と当該第1の線状の通過領域355に対して傾斜する第2の線状の通過領域355とがなす角度は、10度から20度(例えば、15度)であるが、その他の角度であってもよい。図7に示す例では、複数のサーチマーク356-5がサーチマーク356-5以外の他のマーク356の周囲に形成されているが、複数のサーチマーク356-5は任意の位置に形成されていてもよい。
【0066】
受光素子352は、通過領域355(つまり、開口353)を介して受光素子352に入射してきた加工光ELを受光面3521で受光可能な(例えば、検出可能な)受光部である。受光素子352は、通過領域355(つまり、開口353)を通過した加工光ELを受光面3521で受光可能な受光部である。受光部の一例として、受光した加工光ELを光電変換可能な光電変換器があげられる。
【0067】
受光素子352は、複数の通過領域355のそれぞれを介して受光素子352に入射してきた加工光ELを受光面3521で受光可能である。尚、受光面3521は、光電変換素子の1つの光電変換面で形成されていてもよい。例えば、受光素子352は、第1の通過領域355(例えば、一のスリットマーク356-1を構成する通過領域355)を介して受光素子352に入射してきた加工光ELを、受光面3521の第1の部分で受光可能であってもよい。例えば、受光素子352は、第2の通過領域355(例えば、一のスリットマーク356-1とは異なる他のスリットマーク356-1を構成する通過領域355)を介して受光素子352に入射してきた加工光ELを、受光面3521の第2の部分で受光可能であってもよい。例えば、受光素子352は、第3の通過領域355(例えば、一のファインマーク356-2を構成する通過領域355)を介して受光素子352に入射してきた加工光ELを、受光面3521の第3の部分で受光可能であってもよい。このように、第1実施形態では、受光装置35は、複数の通過領域355にそれぞれ対応する複数の受光素子352を備えていなくてもよい。受光装置35は、複数の通過領域355に共通の受光素子352を備えていればよい。但し、受光装置35は、複数の通過領域355にそれぞれ対応する複数の受光素子352を備えていてもよい。
【0068】
通過領域355を介して受光素子352が加工光ELを受光する場合には、加工光ELのフォーカス位置は、ビーム通過部材351の通過領域355に又はその近傍に設定されていてもよい。一方で、加工光ELでワークWが加工される場合には、加工光ELのフォーカス位置は、ワークWの表面又はその近傍に設定されていてもよい。このため、制御装置4は、フォーカス変更光学系1211を制御することで、加工光ELのフォーカス位置を適切な位置に設定してもよい。この際、制御装置4は、ステージ32の表面(例えば、載置面321又は外周面322)と受光面3521との間の距離(特に、加工光ELの進行方向に相当するZ軸方向における距離)に関する情報に基づいて、加工光ELのフォーカス位置を制御してもよい。例えば、加工システムSYSaの状態を、加工光ELでワークWを加工する状態と、通過領域355を介して受光素子352が加工光ELを受光する状態との間で切り替える場合には、制御装置4は、上述したステージ32の表面(例えば、載置面321又は外周面322)と受光面3521との間の距離に応じて定まる変更量だけ加工光ELのフォーカス位置を移動させてもよい。
【0069】
加工光ELの照射によってワークWが加工されることを考慮すれば、加工光ELの照射によって受光装置35の少なくとも一部もまた加工(実質的には、破壊)されてしまう可能性がある。このため、受光装置35に照射される加工光ELの強度(例えば、受光素子352の受光面3521における単位面積あたりのエネルギ量)が、ワークWを加工するためにワークWに照射される加工光ELの強度(例えば、ワークWの表面における単位面積当たりのエネルギ量)よりも小さくなるように、加工光ELの強度(例えば、加工光ELの進行方向に交差する面内で単位面積当たりのエネルギ量)が制御されてもよい。このとき、加工光源11自体を制御して加工光ELの強度を小さくしてもよく、加工光源11の射出側に配置される減光部材(不図示)を制御して加工光ELの強度を小さくしてもよい。
【0070】
受光素子352の受光結果は、受光素子352に入射した加工光ELの状態に関する情報を含む。例えば、受光素子352の受光結果は、受光素子352に入射した加工光ELの強度(具体的には、XY平面に交差する面内での強度)に関する情報を含む。より具体的には、受光素子352の受光結果は、XY平面に沿った面内における加工光ELの強度分布に関する情報を含む。受光素子352の受光結果は、制御装置4に出力される。
【0071】
加えて、上述したように、マーク356が計測ヘッド21によって計測される場合には、計測ヘッド21によるマーク356の計測結果が、制御装置4に出力される。
【0072】
制御装置4は、受光素子352による加工光ELの受光結果及び計測ヘッド21によるマーク356の計測結果の少なくとも一方に基づいて、加工システムSYSaがワークWを適切に加工することができるように加工システムSYSa(例えば、加工装置1、計測装置2及びステージ装置3の少なくとも一つ)を制御する。つまり、加工システムSYSaは、受光装置35を用いて、加工システムSYSaがワークWを適切に加工することができるように加工システムSYSa(例えば、加工装置1、計測装置2及びステージ装置3の少なくとも一つ)を制御する。以下、加工システムSYSaを制御するために用いられる受光装置35の利用態様について更に説明を進める。
【0073】
(1-3)受光装置35の利用態様
一つの実施形態では、例えば、制御装置4は、サーチマーク356-5を構成する通過領域355を介した加工光ELの受光結果に基づいて、受光装置35のステージ32に対する組み付け誤差を計測するための組み付け誤差計測動作を行ってもよい。例えば、制御装置4は、スリットマーク356-1を構成する通過領域355を介した加工光ELの受光結果に基づいて、加工光ELのフォーカス位置を制御するフォーカス制御動作を行ってもよい。例えば、制御装置4は、ファインマーク356-2を構成する通過領域355を介した加工光ELの受光結果と計測ヘッド21によるクロスマーク356-4の計測結果とに基づいて、加工システムSYSaの装置原点AOと加工原点PO及び計測原点MOのそれぞれとの間の距離(いわゆる、ベースライン)を計測するB-CHK動作(ベースライン計測動作)を行ってもよい。例えば、制御装置4は、スリットマーク356-1を構成する通過領域355を介した加工光ELの受光結果に基づいて、ワークWの表面を走査する加工光ELの状態(例えば、ビームプロファイル)のばらつきによる影響を抑制するための光状態制御動作を行ってもよい。例えば、制御装置4は、スリットマーク356-1を構成する通過領域355を介した加工光ELの受光結果に基づいて、ガルバノミラー1212の温度(つまり、熱)に起因してXY平面に沿った面内での加工光ELの照射位置がばらつく現象の一つである温度ドリフトの影響を低減するようにガルバノミラー1212を制御するガルバノ制御動作を行ってもよい。
【0074】
制御装置4は、上述した除去加工を行うために加工光ELがワークWに照射され始める前に、これらの動作(例えば、組み付け誤差計測動作、フォーカス制御動作、B-CHK動作、光状態制御動作及びガルバノ制御動作)の少なくとも一部を行ってもよい。制御装置4は、上述した除去加工を行うために加工光ELがワークWに照射され終わった後に、これらの動作の少なくとも一部を行ってもよい。制御装置4は、上述した除去加工を行うために加工光ELがワークWに照射されている期間の少なくとも一部において、これらの動作の少なくとも一部を行ってもよい。
【0075】
以下、組み付け誤差計測動作、フォーカス制御動作、B-CHK動作、光状態制御動作及びガルバノ制御動作について順に説明する。
【0076】
(1-3-1)組み付け誤差計測動作
初めに、図8を参照しながら、受光装置35のステージ32に対する組み付け誤差について説明する。図8は、ステージ32に対する組み付け誤差が生じている受光装置35を示す平面図である。
【0077】
図7に示すように、受光装置35は、理想的な組み付け位置(つまり、設計上の組み付け位置)とは異なる位置に組み付けられる可能性がある。例えば、受光装置35は、理想的な組み付け位置からX軸方向に沿って離れた位置に組み付けられる可能性がある。例えば、受光装置35は、理想的な組み付け位置からY軸方向に沿って離れた位置に組み付けられる可能性がある。例えば、受光装置35は、理想的な組み付け位置からθZ方向に沿って離れた位置(つまり、理想的な組み付け位置からZ軸周りに回転した位置)に組み付けられる可能性がある。
【0078】
制御装置4は、このような受光装置35の組み付け誤差を計測するために、サーチマーク356-5を構成する通過領域355を介した加工光ELの受光結果を取得する。具体的には、制御装置4は、ステージ駆動系33を制御することで、受光装置35が理想的な組み付け位置に組み付けられている場合に複数のサーチマーク356-5のうちの一のサーチマーク356-5に加工ヘッド12が加工光ELを照射可能となる位置にステージ32を移動させる。つまり、制御装置4は、一のサーチマーク356-5が加工ショット領域PSA内に位置するように、ステージ32を移動させる。この際、制御装置4は、ステージ32に加えて又は代えて、加工ヘッド12を移動させてもよい。その後、制御装置4は、一のサーチマーク356-5に対して加工光ELを照射するように加工ヘッド12を制御する。この際、制御装置4は、サーチマーク356-5に照射される加工光ELの走査軌跡を示す平面図である図9に示すように、サーチマーク356-5を形成する三つの線状の通過領域355に加工光ELが順に照射されるように、サーチマーク356-5を形成する三つの線状の通過領域355に交差する方向に沿ってサーチマーク356-5を加工光ELで走査する。つまり、サーチマーク356-5が形成されているビーム通過部材351上での加工光ELの照射位置(つまり、ビーム通過部材351に対する加工光ELの位置)は、サーチマーク356-5を形成する三つの線状の通過領域355が並ぶ方向に沿って変わる。具体的には、上述したように、サーチマーク356-5は、それぞれがY軸方向に沿って延び且つX軸方向に沿って離れた二つの第1の線状の通過領域355(図9に示す例では、通過領域355#11及び355#12)と、Y軸方向に対して傾斜した方向に沿って延びる第2の線状の通過領域355(図9に示す例では、通過領域355#2)とによって形成されている。この場合、制御装置4は、通過領域355#11、355#2及び355#12に加工光ELが順に照射されるように、通過領域355#11、355#2及び355#12が配列されているX軸方向に沿ってサーチマーク356-5を加工光ELで走査する。この場合、受光素子352は、通過領域355#11を介した加工光EL、通過領域355#2を介した加工光EL及び通過領域355#12を介した加工光ELを順に受光する。その結果、制御装置4が受光素子352から取得する加工光ELの受光結果は、サーチマーク356-5を介した加工光ELの受光結果を示すグラフである図10に示すように、通過領域355#11を介した加工光ELに対応するパルス波形と、通過領域355#2を介した加工光ELに対応するパルス波形と、通過領域355#12を介した加工光ELに対応するパルス波形とが順に現れる受光信号を含む。つまり、制御装置4が受光素子352から取得する加工光ELの受光結果は、加工光ELが通過領域355に照射されていない期間中の加工光ELの強度と比較して、加工光ELの少なくとも一部が通過領域355に照射されている期間中の加工光ELの強度が大きくなっていることを示す受光信号を含む。ここで、加工光ELを走査するためのガルバノミラー1212の制御信号と、受光素子352の受光信号とを同期させることが好ましい。
【0079】
受光信号に含まれる複数のパルス波形の位置(つまり、受光タイミング)は、受光装置35の実際の組み付け位置に依存する。例えば、図11(a)は、理想的な組み付け位置に組み付けられている受光装置35のサーチマーク356-5を示し、図11(b)は、理想的な組み付け位置とは異なる位置に組み付けられている受光装置35のサーチマーク356-5を示し、一方で、図11(c)は、理想的な組み付け位置に組み付けられている受光装置35のサーチマーク356-5を介した加工光ELの受光結果に相当する受光信号を示している。図11(d)は、理想的な組み付け位置とは異なる位置に組み付けられている受光装置35のサーチマーク356-5を介した加工光ELの受光結果に相当する受光信号を示す。図11(a)から図11(d)に示すように、理想的な組み付け位置に受光装置35が組み付けられている場合に取得される受光信号に含まれる複数のパルス波形の位置は、理想的な組み付け位置とは異なる位置に受光装置35が組み付けられている場合に取得される受光信号に含まれる複数のパルス波形の位置とは異なる。つまり、理想的な組み付け位置に受光装置35が組み付けられている場合に取得される受光信号に含まれる複数のパルス波形の間隔L1及びL2(図11(c)参照)は、理想的な組み付け位置とは異なる位置に受光装置35が組み付けられている場合に取得される受光信号に含まれる複数のパルス波形の間隔L1及びL2(図11(d)参照)とは異なる。
【0080】
このため、制御装置4は、一のサーチマーク356-5を介した加工光ELの受光結果に基づいて、一のサーチマーク356-5の理想的な位置に対する一のサーチマーク356-5の実際の位置のずれ量を算出することができる。例えば、制御装置4は、X軸方向及びY軸方向のそれぞれにおける、一のサーチマーク356-5の理想的な位置に対する一のサーチマーク356-5の実際の位置のずれ量を算出することができる。このとき、制御装置4は、受光信号に含まれる複数のパルス波形の間隔L1及びL2を用いて、位置のずれ量を算出してもよい。
【0081】
制御装置4は、サーチマーク356-5を介した加工光ELの受光結果を取得する動作を、受光装置35が備える全ての(或いは、一部の)サーチマーク356-5に対して順に行う。その結果、制御装置4は、各サーチマーク356-5の理想的な位置に対する各サーチマーク356-5の実際の位置のずれ量を算出することができる。つまり、制御装置4は、複数のサーチマーク356-5のそれぞれの実際の位置のずれ量を算出することができる。
【0082】
その後、制御装置4は、複数のサーチマーク356-5のそれぞれの実際の位置のずれ量に基づいて、受光装置35のステージ32に対する組み付け誤差を算出する。例えば、制御装置4は、一つのサーチマーク356-5の実際の位置のずれ量に基づいて、X軸方向及びY軸方向のそれぞれにおける受光装置35の組み付け誤差を算出してもよい。例えば、制御装置4は、二つ以上のサーチマーク356-5の実際の位置のずれ量に基づいて、X軸方向及びY軸方向のそれぞれにおける受光装置35の組み付け誤差と、Z軸周りにおける受光装置35の組付け誤差とを算出してもよい。尚、制御装置4は、サーチマーク356-5の実際の位置のずれ量に加えて又は代えて、スリットマーク356-1、ファインマーク356-2、矩形マーク356-3及びクロスマーク356-4のうち少なくとも一つの実際の位置のずれ量に基づいて、X軸方向及びY軸方向のそれぞれにおける受光装置35の組み付け誤差と、Z軸周りにおける受光装置35の組付け誤差とを算出してもよい。
【0083】
受光装置35の組み付け誤差が算出された場合には、制御装置4は、算出された組み付け誤差に関する情報に基づいて、加工システムSYSa(例えば、加工装置1、計測装置2及びステージ装置3の少なくとも一つ)を制御する。例えば、制御装置4は、算出された組み付け誤差に関する情報に基づいて、組み付け誤差がゼロでない場合であっても組み付け誤差がゼロである場合と同様に受光装置35に加工光ELを照射するように、加工装置1及びステージ装置3の少なくとも一つを制御してもよい。例えば、制御装置4は、算出された組み付け誤差に関する情報に基づいて、組み付け誤差がゼロでない場合であっても組み付け誤差がゼロである場合と同様に計測装置2が受光装置35(具体的には、受光装置35に形成されたマーク356)を計測するように、加工装置1及びステージ装置3の少なくとも一つを制御してもよい。典型的には、組付け誤差を相殺するように、加工ヘッド12、計測ヘッド21及びステージ32の少なくとも一つが移動する。その結果、加工システムSYSaは、受光装置35の組み付け誤差が生じている場合であっても、受光装置35の組み付け誤差が生じていない場合と同様にワークWを加工することができる。つまり、加工システムSYSaは、ワークWを適切に加工することができる。
【0084】
(1-3-2)フォーカス制御動作
続いて、図12(a)から図12(c)を参照しながら、フォーカス制御動作について説明する。図12(a)は、フォーカス制御動作を行うために加工ヘッド12が加工光ELを受光装置35に照射する様子を示す断面図であり、図12(b)は、フォーカス制御動作を行うために加工ヘッド12が加工光ELを受光装置35に照射する様子を示す平面図であり、図12(c)は、受光装置35が備える受光素子352による加工光ELの受光結果を示すグラフである。
【0085】
図12(a)及び図12(b)に示すように、フォーカス制御動作を行うために、スリットマーク356-1を構成する通過領域355を介した加工光ELの受光結果を取得する。具体的には、制御装置4は、ステージ駆動系33を制御することで、複数のスリットマーク356-1のうちの一のスリットマーク356-1に加工ヘッド12が加工光ELを照射可能となる位置にステージ32を移動させる。つまり、制御装置4は、一のスリットマーク356-1が加工ショット領域PSA内に位置するように、ステージ32を移動させる。この際、制御装置4は、ステージ32に加えて又は代えて、加工ヘッド12を移動させてもよい。その後、制御装置4は、一のスリットマーク356-1に対して加工光ELを照射するように加工ヘッド12を照射する。
【0086】
この際、加工ヘッド12は、制御装置4の制御下で、ガルバノミラー1212を用いて加工光ELを偏向することで、加工光ELにステージ32の表面の少なくとも一部(具体的には、一のスリットマーク356-1が形成されている部分を含む面)を走査させる。特に、加工ヘッド12は、XY平面に沿った面内において加工光EL(より具体的には、加工光ELの目標照射領域EA)が一のスリットマーク356-1を構成する通過領域355を横切るように、加工光ELにステージ32の表面の少なくとも一部を走査させる。特に、加工ヘッド12は、XY平面に沿った面内において、スリットマーク356-1を構成する線状の通過領域355の短手方向に沿って加工光ELがスリットマーク356-1を横切るように、加工光ELにステージ32の表面の少なくとも一部を走査させてもよい。図12(a)及び図12(b)に示す例では、加工ヘッド12は、XY平面に沿った面内において、X軸方向に沿って延びる通過領域355によって構成されるスリットマーク356-1をY軸方向に沿って加工光ELが横切るように、加工光ELにステージ32の表面の少なくとも一部を走査させている。
【0087】
加工光ELがステージ32の表面の少なくとも一部を走査している期間中は、ステージ32は移動しなくてもよい。つまり、加工光ELがステージ32の表面の少なくとも一部を走査している期間中は、加工装置1とステージ32との位置関係(特に、XY平面に沿った方向)は固定されていてもよい。その結果、加工光ELは、ガルバノミラー1212の特性に応じて定まる一定の走査速度で、ステージ32の表面の少なくとも一部を走査することになる。
【0088】
その結果、加工光ELがステージ32の表面の少なくとも一部を走査している期間中のあるタイミングで加工光ELが一のスリットマーク356-1に照射されることになる。つまり、加工光ELがステージ32の表面の少なくとも一部を走査している期間中のあるタイミングで加工光ELが受光素子352によって受光される。
【0089】
制御装置4は、図12(c)に示すように、加工光ELがスリットマーク356-1を構成する通過領域355に照射されていない期間中の加工光ELの強度と比較して、加工光ELの少なくとも一部が通過領域355に照射されている期間中は加工光ELの強度が大きくなっていることを示す受光信号を、加工光ELの受光結果として取得する。尚、図12(c)の横軸である時間(受光タイミング)は、加工光ELとステージ32との走査方向(Y軸方向)に沿った相対的な位置に読み替えることができる。尚、加工光ELがステージ32の表面の少なくとも一部を走査する速度は一定でなくてもよい。この場合、ガルバノミラー1212の駆動量(角度)を、加工光ELとステージ32との走査方向(Y軸方向)に沿った相対的な位置に読み替えてもよい。
【0090】
制御装置4は、受光信号に基づいて、加工光ELのスポット径(つまり、ワークWの表面上でのスポット径)を算出することができる。具体的には、制御装置4は、受光信号から、加工光ELの強度が所定値より大きくなっている時間(つまり、加工光ELの少なくとも一部が通過領域355に照射されている時間)を特定することができる。この場合、制御装置4は、特定した時間と加工光ELの走査速度とに基づいて、加工光ELのスポット径を算出することができる。このとき、受光信号には、スリット幅(スリットマーク356-1の光通過部の走査方向における幅)の分だけ移動平均がかかっているので、制御装置4は、この分(例えば、スリット幅の影響)を考慮してスポット径を算出してもよい。例えば、制御装置4は、受光信号の波形を、スリット幅を考慮してガウス分布で近似し、近似によって得られた近似曲線に基づいてビーム径を算出してもよい。
【0091】
その後、制御装置4は、算出したスポット径が、加工条件として設定されているスポット径(例えば、上述した初期設定動作によって設定されたスポット径)と一致するように、加工光ELのフォーカス位置を制御してもよい。この際、制御装置4は、フォーカス位置を変更した場合には、変更後のフォーカス位置が適切であるか否かを確認するために、受光装置35による加工光ELの検出が再度行われるように、加工装置1中のフォーカス変更光学系1211を制御してもよい。この場合、制御装置4は、受光素子352の再受光結果に基づいて改めて算出されたスポット径が、加工条件として設定されているスポット径と一致しているか否かを判定してもよい。その結果、加工システムSYsaは、フォーカス位置が適切に設定された加工光ELを用いて、ワークWを加工することができる。このため、加工システムSYSaは、ワークWを適切に加工することができる。尚、照射光学系121のテレセントリック性が良好な場合には、制御装置4は、変更後のフォーカス位置が適切であるか否かを確認するために、受光装置35による加工光ELの検出が再度行われるように、加工装置1のヘッド駆動系13を制御してもよい。
【0092】
尚、X軸及びY軸のそれぞれに対する角度が異なる複数のスリットマーク356-1がビーム通過部材351に形成されている場合には、制御装置4は、少なくとも二つのスリットマーク356-1を介した加工光ELの受光結果に基づいて、加工光ELのスポットの楕円度(例えば、X軸方向におけるスポットのサイズとY軸方向におけるスポットのサイズとの比(差))を算出してもよい。尚、加工光ELのスポットの楕円度が許容値よりも大きい場合、照射光学系121は、楕円度を制御する(典型的には、小さくする)ための光学部材を備えていてもよい。楕円度を制御するための光学部材の一例として、直交する二つの方向で屈折力が異なる光学部材(例えば、トーリックレンズ及びシリンドリカルレンズ等の少なくとも一つ)があげられる。このとき、この光学部材を光軸廻りに回転させて楕円度を調整してもよいし、複数の光学部材の間隔等を変更して楕円度を調整してもよい。
【0093】
また、上述した説明では、フォーカス制御動作を行うための用いられる受光装置35(特に、スリットマーク356-1及び受光素子352)は、いわゆるスリット型のビームプロファイラを構成しているとみなしてもよい。つまり、制御装置4は、スリット型のビームプロファイラを用いてフォーカス制御動作を行っているとみなしてもよい。但し、制御装置4は、スリット型のビームプロファイラとは異なるビームプロファイラを用いてフォーカス制御動作を行ってもよい。例えば、制御装置4は、矩形マーク356-3及び受光素子352から構成されるナイフエッジ型のビームプロファイラを用いて加工光ELのスポット径を算出することで、フォーカス制御動作を行ってもよい。例えば、ピンホールとみなしてもよいほどにサイズが小さい矩形マーク356-3が形成されている場合には、制御装置4は、矩形マーク356-3及び受光素子352から構成されるピンホール型のビームプロファイラを用いて加工光ELのスポット径を算出することで、フォーカス制御動作を行ってもよい。
【0094】
(1-3-3)B-CHK動作
続いて、B-CHK動作について説明する。B-CHK動作は、上述したように、加工システムSYSaの装置原点AOと加工原点PO及び計測原点MOのそれぞれとの間の距離を計測する動作である。
【0095】
B-CHK動作を行うに際して、制御装置4は、ステージ32の位置を制御するために用いられるステージ座標系の原点に相当する装置原点AOを設定する。装置原点AOを設定するために、制御装置4は、ステージ32に形成された基準マークBMを計測するように、計測ヘッド21を制御する。基準マークBMは、装置原点AOを定義するためにステージ32に形成されるマークである。例えば、基準マークBMが形成されているステージ32を示す平面図である図13に示すように、基準マークBMは、ステージ32の外周面322に形成されていてもよい。但し、基準マークBMは、ステージ32の外周面322とは異なる部分に形成されていてもよい。例えば、基準マークBMは、ステージ32の載置面321に形成されていてもよい。また、ステージ32には、複数の(図3に示す例では、二つの)基準マークBMが形成されているが、単一の基準マークBMが形成されていてもよい。尚、複数の基準マークBMがステージ32に形成されている場合には、制御装置4は、基準マークBMの計測結果に基づいて、ステージ32のZ軸廻りの回転位置を求めることができる。
【0096】
第1実施形態では、装置原点AOは、基準マークBMに対して所定の第1位置関係を有する位置に設定される。例えば、装置原点AOがステージ32の中心に設定される場合には、基準マークBMは、ステージ32の中心に対して所定の第1位置関係を有する位置に形成される。図13に示す例では、装置原点AOは、二つの基準マークBMからの距離が等しい線上に位置し且つ二つの基準マークBMの中点から所定量だけ+X側に慣れた位置が、装置原点AOの位置に設定される。この場合、制御装置4は、各基準マークBMを計測ヘッド21が計測したときのステージ32の位置を位置計測装置34から取得する。このため、制御装置4は、ステージ32の位置に関する情報を取得する取得装置として機能してもよい。その後、制御装置4は、取得したステージ32の位置と所定の第1位置関係を有する位置を、装置原点AOに設定してもよい。尚、基準マークBMそのものが装置原点AOを示していてもよい。この場合、基準マークBMを計測ヘッド21が計測したときのステージ32の位置が、装置原点AOとなる。
【0097】
基準マークBMは、受光装置35(特に、受光装置35が備える通過領域355)に対して所定の第2位置関係を有する位置に形成されていてもよい。この場合、装置原点AOは、実質的には、受光装置35に対して所定の第3位置関係を有する位置に設定されるとも言える。基準マークBMが受光装置35に対して所定の第2位置関係を有する位置に形成されている場合には、基準マークBMと装置原点AOと受光装置35との位置関係が変わる可能性が小さくなる。その結果、装置原点AOと計測原点MOとの間の距離及び装置原点AOと加工原点POとの間の距離が精度よく算出可能となる。
【0098】
装置原点AOが設定された後に、制御装置4は、装置原点AOと加工原点POとの間の距離と装置原点AOと計測原点MOとの間の距離とを算出する。加工原点POは、加工ショット領域PSAの中心とステージ32の中心とが一致し且つ加工光ELのフォーカス位置がステージ32の表面に一致する場合のステージ32の位置に相当する。計測原点MOは、計測ショット領域MSAの中心とステージ32の中心とが一致し且つ計測光MLのフォーカス位置がステージ32の表面に一致する場合のステージ32の位置に相当する。また、以下の説明では、装置原点AOと加工原点POとの間の距離は、“加工ベースラインBLprc”と称し、装置原点AOと計測原点MOとの間の距離は、“計測ベースラインBLmsr”と称する。加工ベースラインBLprc及び計測ベースラインBLmsrの一例が、図14(a)及び図14(b)に示されている。図14(a)及び図14(b)に示すように、加工ベースラインBLprcは、X軸方向における装置原点AOと加工原点POとの間の距離に相当する成分ΔXprcと、Y軸方向における装置原点AOと加工原点POとの間の距離に相当する成分ΔYprcと、Z軸方向における装置原点AOと加工原点POとの間の距離に相当する成分ΔZprcとを含んでいてもよい。計測ベースラインBLmsrは、X軸方向における装置原点AOと計測原点MOとの間の距離に相当する成分ΔXmsrと、Y軸方向における装置原点AOと計測原点MOとの間の距離に相当する成分ΔYmsrと、Z軸方向における装置原点AOと計測原点MOとの間の距離に相当する成分ΔZmsrとを含んでいてもよい。
【0099】
尚、加工ベースラインBLprcは、X軸方向における装置原点AOと加工原点POとの間の設計上の距離に相当する成分及びX軸方向の誤差量に相当する成分の和と、Y軸方向における装置原点AOと加工原点POとの間の設計上の距離に相当する成分及びY軸方向の誤差量に相当する成分の和と、Z軸方向における装置原点AOと加工原点POとの間の設計上の距離に相当する成分及びZ軸方向の誤差量に相当する成分の和とを含んでいてもよい。また、計測ベースラインBLmsrは、X軸方向における装置原点AOと計測原点MOとの間の設計上の距離に相当する成分及びX軸方向の誤差量に相当する成分の和と、Y軸方向における装置原点AOと計測原点MOとの間の設計上の距離に相当する成分及びY軸方向の誤差量に相当する成分の和と、Z軸方向における装置原点AOと計測原点MOとの間の設計上の距離に相当する成分及びZ軸方向の誤差量に相当する成分の和とを含んでいてもよい。
【0100】
尚、加工原点PO及び計測原点MOは、ステージ32の中心に設定されていなくてもよい。加工原点PO及び計測原点MOは、ステージ32の中心とは異なる位置に設定されていてもよい。加工原点PO及び計測原点MOは、任意の位置に設定されてもよい。
【0101】
計測ベースラインBLmsrを算出するために、制御装置4は、計測ヘッド21によるクロスマーク356-4の計測結果を取得する。具体的には、制御装置4は、ステージ駆動系33を制御することで、受光装置35の基準が計測ショット領域MSAの中心(中心の近傍(中心と同一視できる程度に中心に近い範囲)を含む、以下同じ)に位置するように、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに沿ってステージ32を移動させる。例えば、制御装置4は、受光装置35の基準として利用可能な一のクロスマーク356-4が計測ショット領域MSAの中心に位置するように、ステージ32を移動させる。或いは、制御装置4は、受光装置35の基準として利用可能な受光装置35の任意のマーク(このマークは、通過領域355に対して所定(既知)の位置関係を有していてもよい)が計測ショット領域MSAの中心に位置するように、ステージ32を移動させてもよい。この場合には、制御装置4は、少なくとも一つのクロスマーク356-4が計測ショット領域MSAに含まれるように、ステージ32を移動させてもよい。更に、制御装置4は、計測光MLのフォーカス位置がステージ32の表面に一致するように、Z軸方向に沿ってステージ32を移動させる。その後、計測ヘッド21は、一のクロスマーク356-4を計測する。更に、制御装置4は、計測ヘッド21が一のクロスマーク356-4を計測した時点でのステージ32の位置を位置計測装置34から取得する。ここで取得したステージ32の位置は、計測原点MOの位置に対応する。従って、制御装置4は、計測ヘッド21が一のクロスマーク356-4を計測した時点でのステージ32の位置と装置原点AOとの間の距離を算出し、算出した距離に基づいて計測ベースラインBLmsrを算出することができる。
【0102】
なお、制御装置4は、X軸方向及びY軸方向のそれぞれにおける計測ベースラインBLmsrを算出する一方で、Z軸方向における計測ベースラインBLmsrを算出しなくてもよい。
【0103】
計測ベースラインBLmsrが算出された後には、制御装置4は、計測ヘッド21がワークW等を計測する期間中に、算出した計測ベースラインBLmsrに基づいてステージ32(更には、必要に応じて計測ヘッド21)を移動させてもよい。つまり、制御装置4は、計測ヘッド21がワークW等を計測する期間中に、算出した計測ベースラインBLmsrに基づいてステージ32(更には、必要に応じて計測ヘッド21)の位置を制御してもよい。その結果、計測ショット領域MSAは、装置原点AOを基準とするステージ座標系内の適切な位置に設定可能となる。つまり、加工システムSYSaは、計測装置2によるワークWの適切な計測結果に基づいて、ワークWを適切に加工することができる。
【0104】
但し、計測ベースラインBLmsrは、計測ヘッド21及びステージ32の少なくとも一方の位置ずれ等に起因して、時間の経過と共に変動する可能性がある。つまり、第1のタイミングでの計測ベースラインBLmsrは、第1のタイミングとは異なる(例えば、第1のタイミングの後の)第2のタイミングでの計測ベースラインBLmsrとは異なる可能性がある。このため、制御装置4は、計測ベースラインBLmsrを算出する動作を定期的に又はランダムなタイミングで行ってもよい。尚、制御装置4は、計測ベースラインBLmsrを管理する際に、設計値からのずれ量(組み付け誤差に相当)と、経時変化に伴う変動量とを別々に管理してもよい。
【0105】
具体的には、第1のタイミングで計測ベースラインBLmsrが算出された後、制御装置4は、第2のタイミングにおいて、計測ヘッド21が一のクロスマーク356-4(具体的には、第1のタイミングで計測ベースラインBLmsrを算出するために計測された一のクロスマーク356-4)を計測可能となるようにステージ32を移動させる。更に、制御装置4は、計測ヘッド21が一のクロスマーク356-4を計測した時点(つまり、計測ヘッド21が一のクロスマーク356-4を計測可能となった時点)でのステージ32の位置を位置計測装置34から取得する。ここで、第2のタイミングでの計測ベースラインBLmsrが第1のタイミングでの計測ベースラインBLmsrと同じである場合には、第2のタイミングにおいて計測ヘッド21が一のクロスマーク356-4を計測した時点でのステージ32の位置は、第1のタイミングにおいて計測ヘッド21が一のクロスマーク356-4を計測した時点でのステージ32の位置と一致するはずである。一方で、第2のタイミングでの計測ベースラインBLmsrが第1のタイミングでの計測ベースラインBLmsrと異なる場合には、第2のタイミングにおいて計測ヘッド21が一のクロスマーク356-4を計測した時点でのステージ32の位置は、第1のタイミングにおいて計測ヘッド21が一のクロスマーク356-4を計測した時点でのステージ32の位置と一致しないはずである。このため、制御装置4は、第2のタイミングにおいて計測ヘッド21が一のクロスマーク356-4を計測した時点でのステージ32の位置と、第1のタイミングにおいて計測ヘッド21が一のクロスマーク356-4を計測した時点でのステージ32の位置とに基づいて、計測ベースラインBLmsrの変動量(つまり、第1のタイミングでの計測ベースラインBLmsrを基準位置とする変動量)を算出することができる。つまり、制御装置4は、第2のタイミングにおいて計測ヘッド21が一のクロスマーク356-4を計測した時点でのステージ32の位置と、第1のタイミングにおいて計測ヘッド21が一のクロスマーク356-4を計測した時点でのステージ32の位置とに基づいて、計測ヘッド21が一のクロスマーク356-4を計測可能となるときのステージ32の位置の変動量を算出することができる。このため、制御装置4は、第1のタイミングで算出された計測ベースラインBLmsrと、第2のタイミングで算出された計測ベースラインBLmsrの変動量とに基づいて、第2のタイミングでの計測ベースラインBLmsrを算出することができる。つまり、制御装置4は、計測ベースラインBLmsrを更新することができる。計測ベースラインBLmsrが更新された場合には、制御装置4は、更新された計測ベースラインBLmsrに基づいて、計測ヘッド21及びステージ32の少なくとも一方を移動させる。
【0106】
或いは、制御装置4は、第2のタイミングにおいて、第1のタイミングで算出された計測ベースラインBLmsrに基づいて、受光装置35の基準(例えば、一のクロスマーク356-4)が計測ショット領域MSAの中心に位置し且つ計測光MLのフォーカス位置がステージ32の表面に一致するように、計測ヘッド21を移動させてもよい。その後、計測ヘッド21は、一のクロスマーク356-4を計測してもよい。ここで、第1のタイミングでの計測ベースラインBLmsrが第2のタイミングでの計測ベースラインBLmsrと異なる場合には、第1のタイミングでのクロスマーク356-4の計測結果は、第2のタイミングでの同じクロスマーク356-4の計測結果と一致しなくなる。なぜならば、計測ベースラインBLmsrの変動に起因して、第1のタイミングで算出された計測ベースラインBLmsrに基づいて移動するステージ32は、第2のタイミングにおいて計測ショット領域MSAの中心に受光装置35の基準(例えば、一のクロスマーク356-4)が位置するように移動することができなくなる可能性があるからである。このため、制御装置4は、第1のタイミングでのクロスマーク356-4の計測結果と第2のタイミングでの同じクロスマーク356-4の計測結果とを比較することで、計測ベースラインBLmsrの変動量(つまり、第1のタイミングでの計測ベースラインBLmsrを基準位置とする変動量)を算出してもよい。つまり、制御装置4は、第1のタイミングでのクロスマーク356-4の計測結果と第2のタイミングでの同じクロスマーク356-4の計測結果とに基づいて、計測ベースラインBLmsrを更新してもよい。
【0107】
続いて、加工ベースラインBLprcを算出するために、制御装置4は、ファインマーク356-2を構成する通過領域355を介した加工光ELの受光素子352による受光結果を取得する。具体的には、制御装置4は、ステージ駆動系33を制御することで、受光装置35の基準が加工ショット領域PSAの中心(中心の近傍(中心と同一視できる程度に中心に近い範囲)を含む、以下同じ)に位置するように、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに沿ってステージ32を移動させる。例えば、制御装置4は、受光装置35の基準として利用可能な一のファインマーク356-2が加工ショット領域PSAの中心に位置するように、ステージ32を移動させる。或いは、制御装置4は、受光装置35の基準として利用可能な受光装置35の任意のマーク(このマークは、通過領域355に対して所定の位置関係を有していてもよい)が加工ショット領域PSAの中心に位置するように、ステージ32を移動させてもよい。更に、制御装置4は、加工光ELのフォーカス位置がステージ32の表面に一致するように、ヘッド駆動機構13を制御してZ軸方向に沿って加工ヘッド12を移動させる。その後、加工ヘッド12は、一のファインマーク356-2に加工光ELを照射する。
【0108】
この際、加工ヘッド12は、制御装置4の制御下で、ガルバノミラー1212を用いて加工光ELを偏向することで、加工光ELにステージ32の表面の少なくとも一部(具体的には、一のファインマーク356-2が形成されている部分を含む面)を走査させる。特に、加工ヘッド12は、XY平面に沿った面内において加工光EL(より具体的には、加工光ELの目標照射領域EA)が一のファインマーク356-2を構成する複数の通過領域355を順に横切るように、加工光ELにステージ32の表面の少なくとも一部を走査させる。特に、加工ヘッド12は、XY平面に沿った面内において、ファインマーク356-2を構成する複数の線状の通過領域355の短手方向に沿って加工光ELが複数の通過領域355を順に横切るように、加工光ELにステージ32の表面の少なくとも一部を走査させてもよい。
【0109】
加工光ELがファインマーク356-2に照射される場合には、制御装置4は、ファインマーク356-2が形成されているビーム通過部材351の表面における加工光ELのスポット径を、ファインマーク356-2を構成する複数の通過領域355の配列ピッチ(つまり、隣り合う二つの通過領域355の間隔又は距離)に基づいて設定してもよい。尚、スポット径は、ビーム通過部材351の表面上で加工光ELが照射される領域の大きさを意味する。例えば、加工光ELのスポット径とファインマーク356-2との関係を示す平面図である図15に示すように、制御装置4は、ファインマーク356-2を構成する複数の通過領域355が並ぶ方向(図15に示す例では、Y軸方向)において、加工光ELのスポット径SPrが通過領域355の配列ピッチPT以下になるように、加工光ELのスポット径SPrを設定してもよい。この場合、加工光ELが二つ以上の通過領域355に同時に照射されることはない。或いは、例えば、加工光ELのスポット径とファインマーク356-2との関係を示す平面図である図16に示すように、制御装置4は、ファインマーク356-2を構成する複数の通過領域355が並ぶ方向(図16に示す例では、Y軸方向)において、加工光ELのスポット径SPrが通過領域355の配列ピッチPTよりも大きくなるように、加工光ELのスポット径SPrを設定してもよい。この場合、場合によっては、加工光ELが二つ以上の通過領域355に同時に照射される。その結果、場合によっては、ファインマーク356-2を構成する一の通過領域355を介した加工光ELが受光素子352に到達する期間(つまり、照射されている期間)のうちの少なくとも一部において、一の通過領域355とは異なるファインマーク356-2を構成する他の通過領域355を介した加工光ELが受光素子352に到達する(つまり、照射される)。加工光ELがパルス光である場合には、ファインマーク356-2を構成する一の通過領域355を介した一連のパルス光が受光素子352に到達する期間のうちの少なくとも一部において、ファインマーク356-2を構成する他の通過領域355を介した同じ一連のパルス光が受光素子352に到達する(つまり、照射される)。
【0110】
尚、複数の線状の通過領域355の配列ピッチが異なる複数のファインマーク356-2が形成されている場合には、B-CHK動作を行う際のスポット径SPrによる制約が小さくなる。つまり、加工システムSYSaは、スポット径SPrの制約を受けることなく、B-CHK動作を行うことができる。
【0111】
尚、ファインマーク356-2が形成されているビーム通過部材351の表面における加工光ELのスポット径に基づいて、ファインマーク356-2を構成する複数の通過領域355の配列ピッチ(つまり、隣り合う二つの通過領域355の間隔又は距離)を設定してもよい。このスポット径は、実測値であってもよいし設計値であってもよい。
【0112】
制御装置4は、受光素子352が加工光ELを受光した時点でのステージ32の位置を位置計測装置34から取得する。ここで取得したステージ32の位置は、加工原点POの位置に対応する。従って、制御装置4は、受光素子352が一のファインマーク356-2を介した加工光ELを受光した時点でのステージ32の位置と装置原点AOとの間の距離を算出し、算出した距離に基づいて加工ベースラインBLprcを算出することができる。
【0113】
加工ベースラインBLprcが算出された後には、制御装置4は、加工ヘッド12がワークW等を加工する期間中に、算出した加工ベースラインBLprcに基づいてステージ32(更には、必要に応じて加工ヘッド12)を移動させてもよい。つまり、制御装置4は、加工ヘッド12がワークW等を加工する期間中に、算出した加工ベースラインBLprcに基づいてステージ32(更には、必要に応じて加工ヘッド12)の位置を制御してもよい。その結果、加工ショット領域PSAは、装置原点AOを基準とするステージ座標系内の適切な位置に設定可能となる。つまり、加工システムSYSaは、ワークWを適切に加工することができる。
【0114】
但し、加工ベースラインBLprcは、加工ヘッド12及びステージ32の少なくとも一方の位置ずれ等に起因して、時間の経過と共に変動する可能性がある。つまり、第3のタイミングでの加工ベースラインBLprcは、第3のタイミングとは異なる(例えば、第3のタイミングの後の)第4のタイミングでの加工ベースラインBLprcとは異なる可能性がある。このため、制御装置4は、加工ベースラインBLprcを算出する動作を定期的に又はランダムなタイミングで行ってもよい。
【0115】
具体的には、第3のタイミングで加工ベースラインBLprcが算出された後、制御装置4は、第4のタイミングにおいて、加工ヘッド12が一のファインマーク356-2(具体的には、第3のタイミングで加工ベースラインBLprcを算出するために加工光ELが照射された一のファインマーク356-2)に加工光ELを照射可能となるようにステージ32を移動させる。更に、制御装置4は、受光素子352が一のファインマーク356-2を介した加工光ELを受光した時点(つまり、加工ヘッド12が加工光ELを一のファインマーク356-2に照射可能となった時点)でのステージ32の位置を位置計測装置34から取得する。ここで、第4のタイミングでの加工ベースラインBLprcが第3のタイミングでの加工ベースラインBLprcと同じである場合には、第4のタイミングにおいて受光素子352が一のファインマーク356-2を介した加工光ELを受光した時点でのステージ32の位置は、第3のタイミングにおいて受光素子352が一のファインマーク356-2を介した加工光ELを受光した時点でのステージ32の位置と一致するはずである。一方で、第4のタイミングでの加工ベースラインBLprcが第3のタイミングでの加工ベースラインBLprcと異なる場合には、第4のタイミングにおいて受光素子352が一のファインマーク356-2を介した加工光ELを受光した時点でのステージ32の位置は、第3のタイミングにおいて受光素子352が一のファインマーク356-2を介した加工光ELを受光した時点でのステージ32の位置と一致しないはずである。このため、制御装置4は、第4のタイミングにおいて受光素子352が一のファインマーク356-2を介した加工光ELを受光した時点でのステージ32の位置と、第3のタイミングにおい受光素子352が一のファインマーク356-2を介した加工光ELを受光した時点でのステージ32の位置とに基づいて、加工ベースラインBLprcの変動量(つまり、第3のタイミングでの加工ベースラインBLprcを基準位置とする変動量)を算出することができる。つまり、制御装置4は、第4のタイミングにおいて受光素子352が一のファインマーク356-2を介した加工光ELを受光した時点でのステージ32の位置と、第3のタイミングにおいて受光素子352が一のファインマーク356-2を介した加工光ELを受光した時点でのステージ32の位置とに基づいて、加工ヘッド12が一のファインマーク356-2に加工光ELを照射可能となるときのステージ32の位置の変動量を算出することができる。このため、制御装置4は、第3のタイミングで算出された加工ベースラインBLprcと、第4のタイミングで算出された加工ベースラインBLprcの変動量とに基づいて、第4のタイミングでの加工ベースラインBLprcを算出することができる。つまり、制御装置4は、加工ベースラインBLprcを更新することができる。加工ベースラインBLprcが更新された場合には、制御装置4は、更新された加工ベースラインBLprcに基づいて、加工ヘッド12及びステージ32の少なくとも一方を移動させる。
【0116】
或いは、制御装置4は、第4のタイミングにおいて、第3のタイミングで算出された加工ベースラインBLprcに基づいて、受光装置35の基準(例えば、一のファインマーク356-2)が加工ショット領域PSAの中心に位置し且つ加工光ELのフォーカス位置がステージ32の表面に一致するように、加工ヘッド12を移動させてもよい。その後、加工ヘッド12は、一のファインマーク356-2に加工光ELを照射してもよい。ここで、第3のタイミングでの加工ベースラインBLprcが第4のタイミングでの加工ベースラインBLprcと異なる場合には、第3のタイミングでのファインマーク356-2を介した加工光ELの受光結果は、第4のタイミングでの同じファインマーク356-2を介した加工光ELの受光結果と一致しなくなる。なぜならば、加工ベースラインBLprcの変動に起因して、第3のタイミングで算出された加工ベースラインBLprcに基づいて移動するステージ32は、第4のタイミングにおいて加工ショット領域PSAの中心に受光装置35の基準(例えば、一のファインマーク356-2)が位置するように移動することができなくなる可能性があるからである。このため、制御装置4は、第3のタイミングでのファインマーク356-2を介した加工光ELの受光結果と第4のタイミングでの同じファインマーク356-2を介した加工光ELの受光結果とを比較することで、加工ベースラインBLprcの変動量(つまり、第3のタイミングでの加工ベースラインBLprcを基準位置とする変動量)を算出してもよい。つまり、制御装置4は、第3のタイミングでのファインマーク356-2を介した加工光ELの受光結果と第4のタイミングでの同じファインマーク356-2を介した加工光ELの受光結果とに基づいて、加工ベースラインBLprcを更新してもよい。
【0117】
尚、上述した説明では、B-CHK動作において、計測ヘッド21は、クロスマーク356-4を計測している。しかしながら、計測ヘッド21は、クロスマーク356-4とは異なるマーク356を計測してもよい。つまり、クロスマーク356-4とは異なるマーク356の計測結果に基づいて、計測ベースラインBLmsrが算出されてもよい。
【0118】
上述した説明では、B-CHK動作において、加工ヘッド12は、ファインマーク356-2を形成する通過領域355に加工光ELを照射している。しかしながら、加工ヘッド12は、ファインマーク356-2とは異なるマーク356を形成する通過領域355に加工光ELを照射してもよい。つまり、ファインマーク356-2とは異なるマーク356を介した加工光ELの受光結果に基づいて、加工ベースラインBLprcが算出されてもよい。
【0119】
尚、上述した説明において、第1及び第2のタイミングでの計測ベースラインBLmsrの算出動作と、第3及び第4のタイミングでの加工ベースラインBLprcの算出動作とは、どちらが先に行われてもよい。例えば、加工システムSYSaは、第1及び第2のタイミングでの計測ベースラインBLmsrの算出動作を行った後に、第3及び第4のタイミングでの加工ベースラインBLprcの算出動作を行ってもよい。例えば、加工システムSYSaは、第3及び第4のタイミングでの加工ベースラインBLprcの算出動作を行った後に、第1及び第2のタイミングでの計測ベースラインBLmsrの算出動作を行ってもよい。
【0120】
(1-3-4)光状態制御動作
続いて、光状態制御動作について説明する。まず、図17を参照しながら、光状態制御動作を行う技術的理由について説明する。図17は、ガルバノミラー1212によって偏向され且つfθレンズ1213によって変位した加工光ELがワークWの表面を走査する際のワークWの表面上の各位置での加工光ELのスポット径を模式的に示す平面図である。
【0121】
図17に示すように、ワークWの表面のうち加工ショット領域PSAに含まれる面部分は、ガルバノミラー1212による加工光ELの偏向によって、加工光ELで走査される。この際、加工ショット領域PSAのどの位置においても加工光ELの状態が同じとなる状態が、ワークWを高精度に加工するという点では理想的な状態の一例である。例えば、加工ショット領域PSA内において、位置P#1に照射された加工光ELの状態と、位置P#2に照射された加工光ELの状態と、位置P#3に照射された加工光ELの状態と、位置P#4に照射された加工光ELの状態と、位置P#5に照射された加工光ELの状態と、位置P#6に照射された加工光ELの状態と、位置P#7に照射された加工光ELの状態と、位置P#8に照射された加工光ELの状態と、位置P#9に照射された加工光ELの状態とは互いに同じになる状態が、理想的な状態の一例である。
【0122】
しかしながら、実際には、図17に示すように、加工ショット領域PSAのある位置に照射された加工光ELの状態は、加工ショット領域PSA内の別の位置に照射された加工光ELの状態と同じにならない可能性がある。つまり、加工ショット領域PSA内において、加工光ELが照射される位置に応じて、加工光ELの状態がばらつく可能性がある。尚、図17は、加工ショット領域PSAのある位置に照射された加工光ELのスポット径が、加工ショット領域PSA内の別の位置に照射された加工光ELのスポット径と同じにならない例を示している。その理由の一つとして、ガルバノミラー1212の特性(一例としては、駆動特性、反射率特性及び組み付け誤差の少なくとも一つ)及びfθレンズ1213の特性(典型的には、収差、透過率分布及び組み付け誤差の少なくとも一つ)の少なくとも一方があげられる。
【0123】
そこで、制御装置4は、光状態制御動作を行うことで、光状態制御動作を行わない場合と比較して、加工ショット領域PSAのある位置に照射された加工光ELの状態と加工ショット領域PSA内の別の位置に照射された加工光ELの状態との差分が小さくなるように、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更する。
【0124】
光状態制御動作の一部として、制御装置4は、まず、加工ショット領域PSA内の複数の位置のそれぞれに照射される加工光ELの状態を受光装置35で検出するための状態検出動作を行う。状態検出動作を行うために、状態検出動作が行われる期間中の加工ヘッド12と受光装置35との位置関係を示す断面図である図18(a)及び状態検出動作が行われる期間中の加工ヘッド12と受光装置35との位置関係を示す平面図である図18(b)に示すように、ステージ32及び/又は加工ヘッド12は、加工ショット領域PSA内に受光装置35(特に、スリットマーク356-1を構成する通過領域355)が位置するように、移動する。つまり、制御装置4は、加工ショット領域PSA内にスリットマーク356-1が位置するように、XY平面に沿った面内における加工ヘッド12と受光装置35との位置関係(より具体的には、加工ショット領域PSAとスリットマーク356-1との位置関係)を変更する。その結果、スリットマーク356-1は、加工ショット領域PSA内の第1の位置DTP#1に位置することになる。その上で、加工ヘッド12は、ステージ32の表面のうち加工ショット領域PSAに含まれる面部分を加工光ELで走査する。その結果、加工光ELが第1の位置DTP#1に位置するスリットマーク356-1を横切るタイミングで、受光素子352が加工光ELを受光する。つまり、加工光ELの変位量(言い換えれば、偏向角度)が第1の変位量となるタイミングで、加工光ELが第1の位置に位置するスリットマーク356-1に照射され、受光素子352が加工光ELを受光する。このため、制御装置4は、加工ショット領域PSA内の第1の位置DTP#1に照射される加工光ELの状態に関する情報を、受光素子352から取得する。つまり、制御装置4は、変位量が第1の変位量となる加工光ELの状態に関する情報を、受光素子352から取得する。更に、受光素子352が加工光ELを受光する際に、制御装置4は、位置計測装置34から、受光素子352が加工光ELを受光した時点でのステージ32の位置に関する情報を併せて取得する。受光装置35がステージ32に配置されているため、ステージ32の位置に関する情報は、受光装置35の位置(特に、スリットマーク356-1の位置)に関する情報を含んでいる。
【0125】
その後、状態検出動作が行われる期間中の加工ヘッド12と受光装置35との位置関係を示す断面図である図19(a)及び状態検出動作が行われる期間中の加工ヘッド12と受光装置35との位置関係を示す平面図である図19(b)に示すように、ステージ32及び/又は加工ヘッド12は、加工ショット領域PSA内のうち受光装置35が未だ加工光ELを受光したことがない位置にスリットマーク356-1が位置するように、移動する。つまり、制御装置4は、XY平面に沿った面内における加工ヘッド12と受光装置35との位置関係を変更して、XY平面に沿った面内における加工ショット領域PSAとスリットマーク356-1との位置関係を変更する。その結果、スリットマーク356-1は、加工ショット領域PSA内の第2の位置に位置することになる。その上で、加工ヘッド12は、ステージ32の表面のうち加工ショット領域PSAに含まれる面部分を加工光ELで走査する。その結果、加工光ELが第2の位置に位置しているスリットマーク356-1を横切るタイミングで、受光素子352が加工光ELを受光する。つまり、加工光ELの変位量が第2の変位量となるタイミングで、加工光ELが第2の位置に位置するスリットマーク356-1に照射され、受光素子352が加工光ELを検出する。このため、制御装置4は、加工ショット領域PSA内の第2の位置に照射される加工光ELの状態に関する情報を、受光素子352から取得する。つまり、制御装置4は、変位量が第2の変位量となる加工光ELの状態に関する情報を、受光素子352から取得する。この際も、制御装置4は更に、位置計測装置34から、ステージ32の位置に関する情報を取得する。
【0126】
以降、必要な回数だけ、XY平面に沿った面内における加工ショット領域PSAとスリットマーク356-1との位置関係を変更する動作と、加工光ELの状態に関する情報及びステージ32の位置に関する情報を取得する動作とを繰り返す。その結果、制御装置4は、加工ショット領域PSA内の複数の位置のそれぞれに照射された加工光ELの状態に関する情報を取得することができる。
【0127】
状態検出動作が行われた後、制御装置4は、光状態制御動作の他の一部として、状態検出動作で取得された情報に基づいて、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を制御する状態制御動作を行う。具体的には、まず、制御装置4は、状態検出動作で取得されたステージ32の位置に関する情報に基づいて、受光素子352が加工光ELを受光した時点でのスリットマーク356-1の位置(特に、ステージ座標系での位置)を算出する。その結果、制御装置4は、スリットマーク356-1の位置とスリットマーク356-1を介して受光された加工光ELの状態との関係に関する情報することができる。更に、ステージ座標系でのスリットマーク356-1の位置は、加工ショット領域PSA内でのスリットマーク356-1の位置に変換可能である。このため、制御装置4は、加工ショット領域PSA内でのスリットマーク356-1の位置とスリットマーク356-1を介して検出された加工光ELの状態との関係に関する情報を取得することができる。つまり、制御装置4は、加工ショット領域PSA内での加工光ELの照射位置と照射位置に照射された加工光ELの状態との関係に関する情報を取得することができる。
【0128】
ここで取得された情報が、加工ショット領域PSA内での加工光ELの照射位置に関わらず加工光ELの状態が同じである(つまり、変わらない)ことを示していれば、加工光ELの状態は、加工ショット領域PSAのどの位置においても加工光ELの状態が同じになるという理想的な状態であると推定される。従って、この場合には、制御装置4は、実際にワークWを加工する際に、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更しなくてもよい。一方で、ここで取得された情報が、加工ショット領域PSA内での加工光ELの照射位置によって加工光ELの状態が変わることを示していれば、加工光ELの状態は理想的な状態ではないと推定される。従って、この場合には、制御装置4は、実際にワークWを加工する際に、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更する。具体的には、制御装置4は、加工ショット領域PSAのある位置に照射された加工光ELの状態と加工ショット領域PSA内の別の位置に照射された加工光ELの状態との差分が小さくなるように、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更する。制御装置4は、加工ショット領域PSA内での加工光ELの状態のばらつきが小さくなるように、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更する。このとき、制御装置4は、加工ショット領域PSAのどの位置においても加工光ELの状態が同じになるように、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更してもよい。制御装置4は、加工ショット領域PSA内での加工光ELの状態のばらつきがなくなるように、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更してもよい。尚、加工ショット領域PSA内での加工光ELの照射位置によって加工光ELの状態が変わる場合であっても、制御装置4は、実際にワークWを加工する際に、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更しなくてもよい。
【0129】
例えば、制御装置4は、加工ショット領域PSA内の第1位置における加工光ELのスポット径と、加工ショット領域PSA内の第2位置における加工光ELのスポット径との差分が所定の許容値よりも小さくなる(或いは、同じになる)というスポット径条件を満たすように、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更してもよい。この場合、制御装置4は、スポット径条件を満たすように、加工光ELの走査に同期して加工光ELのフォーカス位置を変更してもよい。例えば、制御装置4は、スポット径条件を満たすように、加工光ELのフォーカス位置を、加工光ELの照射位置に応じて定まる所望値に変更してもよい。例えば、制御装置4は、スポット径条件を満たすように、加工光ELのフォーカス位置を、加工光ELの照射位置毎に異なる又は最適化された所望値に変更してもよい。
【0130】
例えば、制御装置4は、加工ショット領域PSA内の第1位置における加工光ELの強度(例えば、単位面積当たりのエネルギ量)と、加工ショット領域PSA内の第2位置における加工光ELの強度との差分が所定の許容値よりも小さくなる(或いは、同じになる)という強度条件を満たすように、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更してもよい。この場合、制御装置4は、強度条件を満たすように、加工光ELの走査に同期して、加工光源11が生成する加工光ELの強度を変更してもよい。制御装置4は、強度条件を満たすように、加工光ELの走査に同期して、照射光学系121が備える不図示の強度分布制御部材による加工光ELの強度分布の制御態様を変更してもよい。
【0131】
例えば、制御装置4は、加工ショット領域PSA内の第1位置における加工光ELの強度分布と、加工ショット領域PSA内の第2位置における加工光ELの強度分布との差分が所定の許容範囲よりも小さくなる(或いは、同じになる)という強度分布条件を満たすように、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更してもよい。この場合、制御装置4は、強度分布条件を満たすように、加工光ELの走査に同期して、照射光学系12が備える不図示の強度分布制御部材による加工光ELの強度分布の制御態様を変更してもよい。
【0132】
以上説明した光状態制御動作により、ガルバノミラー1212及びfθレンズ1213の少なくとも一方の特性に起因した加工光ELの状態のばらつきが抑制される。従って、加工システムSYSaは、状態のばらつきが抑制された加工光ELを用いて、ワークWを適切に加工することができる。
【0133】
上述した説明では、光状態制御動作において、加工ヘッド12は、スリットマーク356-1を形成する通過領域355に加工光ELを照射している。しかしながら、加工ヘッド12は、スリットマーク356-1とは異なるマーク356(例えば、矩形マーク356-3)を形成する通過領域355に加工光ELを照射してもよい。つまり、スリットマーク356-1とは異なるマーク356(例えば、矩形マーク356-3)を介した加工光ELの受光結果に基づいて、加工光ELの状態が制御されてもよい。
【0134】
(1-3-5)ガルバノ制御動作
続いて、ガルバノ制御動作について説明する。ガルバノ制御動作は、上述したように、ガルバノミラー1212の温度に起因してXY平面に沿った面内での加工光ELの照射位置がばらつく(つまり、変動する)現象である温度ドリフトの影響を低減するようにガルバノミラー1212を制御する動作である。そこで、まず、図20(a)及び図20(b)を参照しながら、ガルバノミラー1212の温度に起因してXY平面に沿った面内での加工光ELの照射位置がばらつく現象について簡単に説明する。
【0135】
図20(a)は、温度ドリフトが発生していない状況下でのワークWの表面(つまり、XY平面に沿った面)における加工光ELの照射位置を示す平面図である。図20(b)は、温度ドリフトが発生している状況下でのワークWの表面(つまり、XY平面に沿った面)における加工光ELの照射位置を示す平面図である。図20(a)に示すように、温度ドリフトが発生していない場合には、加工光ELは、加工ショット領域PSA内において、理想的な走査軌跡に沿ってワークWの表面(つまり、XY平面に沿った面)を走査することができる。具体的には、温度ドリフトが発生していない場合には、Y走査ミラー1212Yによる加工光ELの照射位置の移動方向が、Yスライド部材332によるステージ32の移動方向(典型的には、ステージ座標系のY軸方向)と同じになる。同様に、温度ドリフトが発生していない場合には、X走査ミラー1212Xによる加工光ELの照射位置の移動方向が、Xスライド部材331によるステージ32の移動方向(典型的には、ステージ座標系のX軸方向)と同じになる。一方で、図20(b)に示すように、温度ドリフトが発生している場合には、加工光ELは、加工ショット領域PSA内において、理想的な走査軌跡とは異なる走査軌跡に沿ってワークWの表面を走査する可能性がある。Y走査ミラー1212Yによる加工光ELの照射位置の移動方向が、Yスライド部材332によるステージ32の移動方向と同じにならない可能性がある。同様に、X走査ミラー1212Xによる加工光ELの照射位置の移動方向が、Xスライド部材331によるステージ32の移動方向と同じにならない可能性がある。
【0136】
つまり、温度ドリフトが発生している場合には、温度ドリフトが発生していない場合と比較して、ガルバノミラー1212が偏向した加工光ELの照射位置が、理想的な位置(例えば、設計上の位置)とは異なってしまう可能性がある。温度ドリフトが発生している場合には、温度ドリフトが発生していない場合と比較して、ガルバノミラー1212が偏向した加工光ELの走査軌跡が、理想的な走査軌跡(例えば、設計上の走査奇跡)とは異なってしまう可能性がある。このような加工光ELの照射位置が理想的な位置とは異なってしまう状態は、ワークWの適切な加工と言う点から言えば好ましいとは言いがたい。
【0137】
そこで、制御装置4は、受光素子352の受光結果に基づいて、ガルバノミラー1212が加工光ELを偏向している期間中のXY平面に沿った面内での加工光ELの照射位置を特定する。その上で、制御装置4は、ガルバノミラー1212が加工光ELを偏向している期間中のXY平面に沿った面内での加工光ELの照射位置が理想的な位置に近づく(或いは、一致する)ように、ガルバノミラー1212を制御する。
【0138】
ガルバノ制御動作の一部として、制御装置4は、まず、ガルバノミラー1212によって偏向されている加工光ELの照射位置を受光装置35で検出するための照射位置検出動作を行う。照射位置検出動作を行うために、ステージ32及び/又は加工ヘッド12は、加工ショット領域PSA内に受光装置35(特に、スリットマーク356-1)が位置するように、移動する。その状態で、加工ヘッド12は、ステージ32の表面のうち加工ショット領域PSAに含まれる面部分を加工光ELで走査する。その結果、加工光ELがスリットマーク356-1を横切るタイミングで、受光素子352が加工光ELを検出する。このとき、制御装置4は、位置計測装置34から、受光素子352が加工光ELを検出した時点でのステージ32の位置に関する情報を取得する。受光装置35がステージ32に配置されているため、ステージ32の位置に関する情報は、受光装置35の位置(特に、スリットマーク356-1の位置)に関する情報を含んでいる。以上の動作が、加工ショット領域PSA内で受光装置35(特に、スリットマーク356-1)を移動させながら繰り返される。例えば、受光素子352は、加工ショット領域PSA内の第1照射位置に照射された加工光ELを受光し、加工ショット領域PSA内の第2照射位置に照射された加工光ELを受光する。つまり、受光素子352は、加工ショット領域PSA内の第1照射位置にスリットマーク356-1が位置するように第1位置にステージ32が移動した際に加工光ELを受光し、加工ショット領域PSA内の第2照射位置にスリットマーク356-1が位置するように第2位置にステージ32が移動した際に加工光ELを受光する。その結果、制御装置4は、ガルバノミラー1212が偏向している加工光ELが照射される複数の照射位置に関する情報を取得することができる。つまり、制御装置4は、XY平面に沿った面内における複数の領域のそれぞれでの加工光ELの照射位置に関する情報を取得することができる。複数の照射位置を順に結ぶ軌跡が加工光ELの走査軌跡(つまり、加工光ELの照射位置の移動方向)であることを考慮すれば、制御装置4は、ガルバノミラー1212が偏向している加工光ELの走査軌跡(つまり、加工光ELの照射位置の移動方向)に関する情報を取得することができる。
【0139】
照射位置検出動作が行われた後、制御装置4は、ガルバノ制御動作の他の一部として、照射位置検出動作で取得された情報に基づいて、ガルバノミラー1212を実際に制御する制御動作を行う。具体的には、まず、制御装置4は、照射位置検出動作で取得された加工光ELの照射位置に関する情報に基づいて、ガルバノミラー1212が加工光ELを偏向している期間中のXY平面に沿った面内での加工光ELの照射位置と理想的な位置とのずれ量を算出する。その後、制御装置4は、算出したずれ量が小さくなるように(或いは、ゼロになるように)、ガルバノミラー1212を制御する。例えば、制御装置4は、ガルバノミラー1212が備えるX走査ミラー1212X及びY走査ミラー1212Yの駆動量(具体的には、遥動量又は回転量)を制御してもよい。その結果、XY平面に沿った面内での加工光ELの照射位置(つまり、走査位置)が補正されて、理想的な位置に近づく又は一致する。X軸方向及びY軸方向の少なくとも一方における加工光ELの照射位置が補正されて、理想的な位置に近づく又は一致する。加工光ELの走査軌跡が補正されて、理想的な軌跡に近づく又は一致する。典型的には、Y走査ミラー1212Yによる加工光ELの照射位置の移動方向が、Yスライド部材332によるステージ32の移動方向と同じになる。同様に、X走査ミラー1212Xによる加工光ELの照射位置の移動方向が、Xスライド部材331によるステージ32の移動方向と同じになる。
【0140】
以上説明したガルバノ制御動作により、ガルバノミラー1212の温度に起因してXY平面に沿った面内での加工光ELの照射位置がばらつく(つまり、変動する)現象である温度ドリフトの影響を低減することができる。従って、加工システムSYSは、ガルバノミラー1212が偏向した加工光ELを理想的な位置に照射することで、ワークWを高精度に加工することができる。尚、ガルバノミラー1212以外の光学系(一例として、fθレンズ1213)の温度に起因してXY平面に沿った面内での加工光ELの照射位置がばらつく(つまり、変動する)現象を、本例と同様の手順により低減してもよい。
【0141】
上述した説明では、ガルバノ制御動作において、加工ヘッド12は、スリットマーク356-1を形成する通過領域355に加工光ELを照射している。しかしながら、加工ヘッド12は、スリットマーク356-1とは異なるマーク356(例えば、矩形マーク356-3)を形成する通過領域355に加工光ELを照射してもよい。つまり、スリットマーク356-1とは異なるマーク356(例えば、矩形マーク356-3)を介した加工光ELの受光結果に基づいて、ガルバノミラー1212が制御されてもよい。
【0142】
(1-4)加工システムSYSaの技術的効果
以上説明した加工システムSYSaは、受光装置35による加工光ELの受光結果及び計測装置2による受光装置35のマーク356の計測結果の少なくとも一方を用いて、ワークWを適切に加工することができる。
【0143】
(2)第2実施形態の加工システムSYSb
続いて、第2実施形態の加工システムSYS(以降、第2実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSb”と称する)について説明する。第2実施形態の加工システムSYSbは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaと比較して、ステージ装置3に代えて、ステージ装置3bを備えているという点で異なる。加工システムSYSbのその他の特徴は、加工システムSYSaのその他の特徴と同様であってもよい。ステージ装置3bは、ステージ装置3と比較して、ステージ32に代えて、ステージ32bを備えているという点で異なる。ステージ装置3bのその他の特徴は、ステージ装置3のその他の特徴と同様であってもよい。このため、以下では、図21を参照しながら、第2実施形態のステージ32bについて説明する。図21は、第2実施形態のステージ32bの構造を示す断面図である。
【0144】
図21に示すように、第2実施形態のステージ32bは、第1実施形態のステージ32と比較して、外周面322の少なくとも一部が載置面321よりも上方に位置しているという点で異なっている。この場合、ステージ32bのうちの載置面321よりも上方に位置する外周面322を含む外周部材324b(つまり、ステージ32bのうちの載置面321の周囲に位置する外周部材324b)は、載置面321から突き出た凸部を形成する。
【0145】
このような第2実施形態においても、外周面322(特に、載置面321よりも上方に位置する外周面322)には、受光装置35が配置される窪み323が形成されている。この場合、窪み323は、載置面321から突き出た凸部に相当する外周部材324bに隣接するように形成される。特に、窪み323は、載置面321から突き出た凸部に相当する外周部材324bによって囲まれるように形成される。
【0146】
このような第2実施形態の加工システムSYSbは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。
【0147】
(3)第3実施形態の加工システムSYSc
続いて、第3実施形態の加工システムSYS(以降、第3実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSc”と称する)について説明する。第3実施形態の加工システムSYScは、上述した第2実施形態の加工システムSYSbと比較して、受光装置35の配置方法が異なるという点で異なる。加工システムSYScのその他の特徴は、加工システムSYScのその他の特徴と同様であってもよい。このため、以下では、図22を参照しながら、第3実施形態の受光装置35の配置方法について説明する。図22は、第3実施形態の受光装置35の配置方法を示す断面図である。
【0148】
図22に示すように、第3実施形態では、受光装置35の一部が窪み323に配置される一方で、受光装置35の他の一部が窪み323に配置されていなくてもよい。つまり、受光装置35の一部が窪み323の内部に配置されている一方で、受光装置35の他の一部が窪み323の外部に配置されていてもよい。図22に示す例では、ビーム通過部材351が窪み323の内部に配置される一方で、受光素子352が窪み323の外部に配置されている。
【0149】
窪み323の内部に配置される受光装置35の一部と、窪み323の外部に配置される受光装置35の他の一部とは、受光装置35に入射する加工光ELを伝送可能な光伝送部材36cを介して光学的に接続されていてもよい。例えば、図22に示す例では、窪み323の内部に配置されるビーム通過部材351と、窪み323の外部に配置される受光素子352とは、光伝送部材36cを介して光学的に接続されていてもよい。尚、ここで言う「ビーム通過部材351と受光素子352とが光伝送部材36cを介して光学的に接続される」状態は、「ビーム通過部材351に入射した加工光ELが光伝送部材36cを介して受光素子352に伝送可能となる」状態を意味していてもよい。光伝送部材36cは、例えば、ライトガイド361cと、ビーム通過部材351を介した加工光EL(つまり、窪み323の内部に配置される受光装置35の一部を介した加工光EL)をライトガイド361cの入力端に導く光学系362cと、ライトガイド361cの出力端からの加工光ELを受光素子352(つまり、窪み323の外部に配置される受光装置35の他の一部)に導く光学系363cとを備えていてもよい。
【0150】
このような第3実施形態の加工システムSYSbは、上述した第2実施形態の加工システムSYSbが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。また、第3実施形態では、受光装置35の全てがステージ32に配置されなくてもよくなる。このため、ステージ32の小型化及び/簡略化が容易になる。更には、受光装置35の配置の自由度が向上する。
【0151】
尚、上述した第1実施形態の加工システムSYSaが、第3実施形態に特有の構成要件を備えていてもよい。第3実施形態に特有の構成要件は、受光装置35の配置(特に、受光装置35の窪み323の外部への配置)に関する構成要件を含んでいてもよい。
【0152】
(4)第4実施形態の加工システムSYSd
続いて、第4実施形態の加工システムSYS(以降、第4実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSd”と称する)について説明する。第4実施形態の加工システムSYSdは、上述した第2実施形態の加工システムSYSbと比較して、ステージ装置3bに代えて、ステージ装置3dを備えているという点で異なる。加工システムSYSdのその他の特徴は、加工システムSYSbのその他の特徴と同様であってもよい。ステージ装置3dは、ステージ装置3bと比較して、受光装置35に代えて、受光装置35dを備えているという点で異なる。ステージ装置3dのその他の特徴は、ステージ装置3bのその他の特徴と同様であってもよい。このため、以下では、図23を参照しながら、第4実施形態の受光装置35dについて説明する。図23は、第4実施形態の受光装置35dの構造を示す断面図である。
【0153】
図23に示すように、受光装置35dは、受光装置35と比較して、ビーム通過部材351を備えていなくてもよいという点で異なる。更に、受光装置35dは、受光装置35と比較して、結像光学系357dを備えているという点で異なる。受光装置35dのその他の特徴は、受光装置35のその他の特徴と同一であってもよい。
【0154】
結像光学系357dは、受光素子352の受光面3521に、結像光学系357dの上方(つまり、受光面3521とは反対側)に位置する物体の像を形成する。つまり、結像光学系357dは、結像光学系357dよりも像側に位置する受光面3521に、結像光学系357dよりも物体側に位置する物体の像を形成する。このため、結像光学系357dと受光素子352とは、結像光学系357dの像面が受光素子352の受光面3521に一致する又は結像光学系357dの像面が受光素子352の受光面3521の近傍に位置するように配置される。
【0155】
受光素子352は、受光面3521上で像を形成する光を受光する。このため、受光素子352は、実質的には、結像光学系357dよりも物体側に位置する物体を撮像する撮像素子として機能してもよい。つまり、受光装置35dは、実質的には、結像光学系357dよりも物体側に位置する物体を、受光素子352を用いて当該物体に対してステージ32側から撮像する撮像装置として機能してもよい。
【0156】
例えば、受光素子352は、加工ヘッド12の少なくとも一部を撮像してもよい。例えば、受光素子352は、加工ヘッド12が備える照射光学系121の少なくとも一部を撮像してもよい。例えば、受光素子352は、照射光学系121が備える光学部材(例えば、fθレンズ1213)の少なくとも一部を撮像してもよい。例えば、受光素子352は、計測ヘッド21の少なくとも一部を撮像してもよい。
【0157】
上述したように、加工ヘッド12は、加工光ELを射出する。この場合、受光素子352は、加工ヘッド12から射出される加工光ELを撮像してもよい。つまり、受光素子352は、加工ヘッド12から射出される加工光ELを、加工ヘッド12に対してステージ32側から撮像してもよい。上述したように、計測ヘッド21は、計測光MLを射出する。この場合、受光素子352は、計測ヘッド21から射出される計測光MLを撮像してもよい。
【0158】
受光素子352による受光結果(つまり、撮像素子として機能する受光素子352が撮像した画像)は、制御装置4に出力されてもよい。制御装置4は、受光素子352が撮像した画像(つまり、受光素子352の撮像結果)に基づいて、加工システムSYSd(例えば、加工装置1、計測装置2及びステージ装置3の少なくとも一つ)を制御してもよい。例えば、受光素子352が加工ヘッド12を撮像する場合には、制御装置4は、受光素子352の撮像結果に基づいて、加工光ELの特性を制御してもよい。この場合、制御装置4は、受光素子352の撮像結果に基づいて加工光ELの特性を制御するビーム特性変更装置として機能してもよい。例えば、受光素子352が加工光ELを撮像する場合には、制御装置4は、受光素子352の撮像結果に基づいて、加工光ELの照射位置を制御してもよい。
【0159】
尚、結像光学系357dを構成する光学部材(レンズ等)のうち、最も入射側の光学部材に、計測装置2によって計測可能なマーク(つまり、マーク356の一例として利用可能なマーク)を設けてもよい。このマークは、結像光学系357dの有効領域(撮像素子3521で受光される光束が通過する領域)の外に設けてあってもよい。また、このマークを、外周面322に設けてもよい。
【0160】
このような第4実施形態の加工システムSYSdは、撮像装置として機能可能な受光装置35dの撮像結果に基づいて、ワークWを加工することができる。従って、加工システムSYSdは、受光装置35dの撮像結果に相当する画像から特定可能な情報に基づいて、ワークWを適切に加工することができる。
【0161】
尚、上述した第1実施形態の加工システムSYSa及び第3実施形態の加工システムSYScの少なくとも一つが、第4実施形態に特有の構成要件を備えていてもよい。第4実施形態に特有の構成要件は、受光装置35dに関する構成要件を含んでいてもよい。
【0162】
(5)第5実施形態の加工システムSYSe
続いて、第5実施形態の加工システムSYS(以降、第5実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSe”と称する)について説明する。第5実施形態の加工システムSYSeは、上述した第2実施形態の加工システムSYSbと比較して、ステージ装置3bに代えて、ステージ装置3eを備えているという点で異なる。加工システムSYSeのその他の特徴は、加工システムSYSbのその他の特徴と同様であってもよい。ステージ装置3eは、ステージ装置3bと比較して、受光装置35に代えて、受光装置35eを備えているという点で異なる。ステージ装置3eのその他の特徴は、ステージ装置3bのその他の特徴と同様であってもよい。このため、以下では、図24を参照しながら、第5実施形態の受光装置35eについて説明する。図24は、第5実施形態の受光装置35eの構造を示す断面図である。
【0163】
図24に示すように、受光装置35eは、受光装置35と比較して、ビーム通過部材351を備えていなくてもよいという点で異なる。更に、受光装置35eは、受光装置35と比較して、結像光学系357eと、指標板358eと、結像光学系359eとを備えているという点で異なる。受光装置35eのその他の特徴は、受光装置35のその他の特徴と同一であってもよい。
【0164】
結像光学系357eは、結像光学系357eの像面に中間像を形成する。結像光学系357eの像面には、指標板358eが配置されている。指標板358eは、所定の指標が形成された板状の部材である。指標板358eの一例を示す平面図である図25(a)に示すように、指標は、指標板358eに入射する光が通過可能な通過パターン3581eによって形成されていてもよい。指標板358eの他の一例を示す平面図である図25(b)に示すように、指標は、指標板358eに入射する光を減衰する(場合によっては遮光する)減衰パターン3582eによって形成されていてもよい。結像光学系359eは、結像光学系357eによって中間像が形成された指標板358eの像(つまり、上述した通過パターン3581e及び減衰パターン3582eの少なくとも一方によって形成される指標の像)を、受光素子352の受光面3521に形成する。このため、結像光学系359eと受光素子352とは、結像光学系359eの像面が受光素子352の受光面3521に一致する又は結像光学系359eの像面が受光素子352の受光面3521の近傍に位置するように配置される。
【0165】
受光素子352は、受光面3521上で像(つまり、指標板358eの像)を形成する光を受光する。このため、受光素子352は、実質的には、指標板358eの像を撮像する撮像素子(撮像装置)として機能してもよい。
【0166】
受光素子352による受光結果(つまり、撮像素子として機能する受光素子352が撮像した指標板358eの画像)は、制御装置4に出力されてもよい。制御装置4は、受光素子352が撮像した画像(つまり、受光素子352の撮像結果)に基づいて、加工システムSYSe(例えば、加工装置1、計測装置2及びステージ装置3の少なくとも一つ)を制御してもよい。
【0167】
尚、計測装置2は、指標板358eに形成される通過パターン3581e(或いは減衰パターン3582e)を、上述したマーク356の一例として、結像光学系357eを介して計測してもよい。
【0168】
このような第5実施形態の加工システムSYSeは、撮像装置として機能可能な受光装置35eの撮像結果に基づいて、ワークWを加工することができる。従って、加工システムSYSeは、受光装置35eの撮像結果に相当する画像から特定可能な情報に基づいて、ワークWを適切に加工することができる。
【0169】
尚、上述した第1実施形態の加工システムSYSa及び第3実施形態の加工システムSYScから第4実施形態の加工システムSYSdの少なくとも一つが、第5実施形態に特有の構成要件を備えていてもよい。第5実施形態に特有の構成要件は、受光装置35eに関する構成要件を含んでいてもよい。
【0170】
(6)第6実施形態の加工システムSYSf
続いて、図26を参照しながら、第6実施形態の加工システムSYS(以降、第6実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSf”と称する)について説明する。図26は、第6実施形態の加工システムSYSfのシステム構成を示すシステム構成図である。
【0171】
図26に示すように、第6実施形態の加工システムSYSfは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaと比較して、ステージ装置3に代えて、ステージ装置3fを備えているという点で異なる。更に、加工システムSYSfは、加工システムSYSaと比較して、気体供給装置6fを更に備えているという点で異なる。加工システムSYSfのその他の特徴は、加工システムSYSaのその他の特徴と同様であってもよい。ステージ装置3fは、ステージ装置3と比較して、ステージ32に代えて、ステージ32fを備えているという点で異なる。更に、ステージ装置3fは、ステージ装置3と比較して、カバー部材37fを備えているという点で異なる。ステージ装置3fのその他の特徴は、ステージ装置3のその他の特徴と同様であってもよい。このため、以下では、図27を参照しながら、第6実施形態の加工システムSYSfに特有のステージ32f、カバー部材37f及び気体供給装置6fについて説明する。図27は、カバー部材37fを備えているステージ32fの構造を示す断面図である。
【0172】
図27に示すように、カバー部材37fは、受光装置35の少なくとも一部を覆う。特に、カバー部材37fは、ビーム通過部材351の少なくとも一部を覆う。カバー部材37fがビーム通過部材351を覆うと、ビーム通過部材351を含む受光装置35がステージ32の窪み323に形成されているため、カバー部材37fは、窪み323を覆ってもよい。この場合、カバー部材37fは、窪み323の内部において、ビーム通過部材351との間に空間を形成する。窪み323の内部にカバー部材37fとビーム通過部材351とが形成する空間は、窪み323の外部の空間から隔離(言い換えれば、分離)されてもよい。典型的には、窪み323の内部にカバー部材37fとビーム通過部材351とが形成する空間は、窪み323の外部において加工光ELが通過する空間から隔離されてもよい。尚、図27に示した例では、カバー部材37fの上面と、ステージ装置3fの外周面322とが面一であるが、カバー部材37fの上面は窪み323の内部に位置していてもよいし、カバー部材37fの上面が外周面322から突出していてもよい。
【0173】
このようにカバー部材37fがビーム通過部材351を覆うと、ビーム通過部材351fに対する不要物質の付着が防止される。尚、ビーム通過部材351fに付着する可能性がある不要物質の一例として、加工光ELのワークWへの照射に起因して発生するヒューム及び筐体5の内部空間に存在するデブリ等の少なくとも一つがあげられる。ここで、ワークWの周囲の雰囲気中に拡散する不要物質をヒュームと称してもよい。筐体5の内部及び筐体5の内部に位置する構成部材の少なくとも一つに付着する不要物質をデブリと称してもよい。
【0174】
ビーム通過部材351fに不要物質が付着すると、ビーム通過部材351fに形成された開口353(通過領域355)が不要物質によって少なくとも部分的に隠される又は閉塞される可能性がある。その結果、受光素子352による開口353(通過領域355)を介した加工光ELの受光に影響が生ずる可能性があるという技術的問題が生ずる。更には、通過領域355によって形成されるマーク356の計測装置2による計測に影響が生ずる可能性があるという技術的問題が生ずる。しかるに、第6実施形態では、ビーム通過部材351fに対する不要物質の付着が防止される。その結果、受光素子352による開口353(通過領域355)を介した加工光ELの受光に影響が生ずる可能性は小さくなる。その結果、受光素子352は、加工光ELを適切に受光することができる。また、通過領域355によって形成されるマーク356の計測装置2による計測に影響が生ずる可能性は小さくなる。その結果、計測装置2は、マーク356を適切に計測することができる。このため、加工システムSYSfは、加工光ELの受光結果及び計測ヘッド21による受光装置35の計測結果に基づいて、ワークWを適切に加工することができる。
【0175】
開口353(通過領域355)が不要物質によって少なくとも部分的に隠される又は閉塞されることが、上述した技術的問題が生ずる原因の一つであることを考慮すれば、カバー部材37fは、ビーム通過部材351fに形成されている開口353(通過領域355)を少なくとも覆っていてもよい。開口353(通過領域355)によってマーク356が形成されることを考慮すれば、カバー部材37fは、マーク356を少なくとも覆っていてもよい。尚、カバー部材37fの他の例を示す図28に示すように、カバー部材37fは、計測装置2が計測するマーク356(つまり、マーク356を形成する通過領域355)を覆うカバー部材37f-1と、加工光ELが照射されるマーク356(つまり、加工光ELが通過する通過領域355)を覆うカバー部材37f-2とを別個に備えていてもよい。例えば、上述した説明では、クロスマーク356-4が計測装置2によって計測される一方で、スリットマーク356-1、ファインマーク356-2、矩形マーク356-3及びサーチマーク356-5に加工光ELが照射される。このため、カバー部材37fは、クロスマーク356-4を覆うカバー部材37f-1と、スリットマーク356-1、ファインマーク356-2、矩形マーク356-3及びサーチマーク356-5のうちの少なくとも一つを覆うカバー部材37f-2とを別個に備えていてもよい。
【0176】
カバー部材37fがビーム通過部材351を覆い続けると、加工装置1は、ビーム通過部材351に形成された通過領域355に加工光ELを照射することができない。同様に、計測装置2は、ビーム通過部材351に形成されたマーク356を計測することができない。このため、カバー部材37fの状態は、カバー部材37fがビーム通過部材351を覆う第1状態と、カバー部材37fがビーム通過部材351を覆っていない第2状態との間で切り替えられてもよい。言い換えれば、カバー部材37fは、カバー部材37fがビーム通過部材351を覆うことが可能な第1位置と、カバー部材37fがビーム通過部材351を覆わない第2位置との間で移動してもよい。尚、図27は、第1状態にある(つまり、第1位置にある)カバー部材37fを示している。一方で、図29(a)及び図29(b)は、第2状態にある(つまり、第2位置にある)カバー部材37fを示している。
【0177】
カバー部材37fは、加工装置1がワークWに加工光ELを照射する際に(つまり、加工装置1がワークWに加工光ELを照射する期間の少なくとも一部において)、カバー部材37fがビーム通過部材351を覆う第1位置に位置していてもよい。一方で、カバー部材37fは、加工装置1がビーム通過部材351に加工光ELを照射する際に(つまり、加工装置1がビーム通過部材351に加工光ELを照射する期間の少なくとも一部において)、カバー部材37fがビーム通過部材351を覆わない第2位置に位置していてもよい。カバー部材37fは、受光素子352が加工装置1からの加工光ELを受光する際に(つまり、受光素子352が加工装置1からの加工光ELを受光する期間の少なくとも一部において)、第2位置に位置していてもよい。カバー部材37fは、計測装置2がマーク356を計測する際に(つまり、計測装置2がマーク356を計測期間の少なくとも一部において)、第2位置に位置していてもよい。その結果、カバー部材37fの存在が加工システムSYSfの動作に影響を与えることはなくなる。
【0178】
カバー部材37fが移動するための動力として、気体供給装置6fから供給される気体が用いられてもよい。この場合、カバー部材37fは、空気の力を動力に変換する部材(例えば、エアシリンダ)を備えていてもよい。但し、カバー部材37fが移動するための動力として、その他の動力が用いられてもよい。
【0179】
気体供給装置6fは、窪み323の内部の空間に気体を供給してもよい。具体的には、気体供給装置6fは、ステージ32fのうち窪み323に面する部分に形成されている気体供給口325fと、気体供給管326fを介して接続されている。気体供給装置6fは、気体供給管326f及び気体供給口325fを介して、窪み323の内部の空間に気体を供給してもよい。この際、気体供給装置6fは、図27及び図29に示すように、ビーム通過部材351の上面に面する空間(つまり、ビーム通過部材351の加工ヘッド12側の空間)に気体を供給してもよい。
【0180】
窪み323の内部の空間(特に、ビーム通過部材351の上面に面する空間)に気体が供給されると、当該気体によって、窪み323の内部の空間に気体の流れが形成される。その結果、当該気体の流れによって、不要物質のビーム通過部材351への付着が防止される。更には、当該気体の流れによって、ビーム通過部材351に付着してしまった不要物質が取り除かれる。
【0181】
尚、気体供給装置6fは、加工装置1がワークWに加工光ELを照射する際に(つまり、加工装置1がワークWに加工光ELを照射する期間の少なくとも一部において)、窪み323の内部の空間に気体を供給してもよい。気体供給装置6fは、加工装置1がワークWに加工光ELを照射していない期間に気体の供給を停止していてもよい。
【0182】
このような第6実施形態の加工システムSYSfは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。更に、加工システムSYSfによれば、ビーム通過部材351fに不要物質が付着する可能性が小さくなる。このため、加工システムSYSfは、不要物質の影響を受けることなく、ワークWを適切に加工することができる。つまり、加工システムSYSfは、受光装置35による加工光ELの受光結果及び計測ヘッド21による受光装置35の計測結果に基づいて、ワークWを適切に加工することができる。
【0183】
尚、上述した説明では、加工システムSYSfは、カバー部材37f及び気体供給装置6fの双方を備えている。しかしながら、加工システムSYSfは、カバー部材37fを備える一方で、気体供給装置6fを備えていなくてもよい。加工システムSYSfは、気体供給装置6fを備える一方で、カバー部材37fを備えていなくてもよい。
また、開口353(通過領域355)が不要物質によって少なくとも部分的に隠される又は閉塞されることが、上述した技術的問題が生ずる原因の一つであることを考慮すれば、同じ特性の開口353(同じ特性の通過領域355)が複数形成されていてもよい。つまり、同じ特性のマーク356が複数形成されていてもよい。この場合、一の開口353(一の通過領域355、一のマーク356)が不要物質によって少なくとも部分的に隠された又は閉塞されたとしても、一の開口353(一の通過領域355、一のマーク356)と同じ特性の他の開口353(他の通過領域355、他のマーク356)が不要物質によって隠されていなければ又は閉塞されていなければ、上述した技術的問題は生じない。なぜならば、加工システムSYSfは、不要物質によって隠されていない又は閉塞されていない他の開口353(他の通過領域355、他のマーク356)を用いて、上述した動作を行うことができるからである。
【0184】
また、上述した第2実施形態の加工システムSYSbから第5実施形態の加工システムSYSeの少なくとも一つが、第6実施形態に特有の構成要件を備えていてもよい。第6実施形態に特有の構成要件は、カバー部材37f及び気体供給装置6fに関する構成要件を含んでいてもよい。
【0185】
(7)第7実施形態の加工システムSYSg
続いて、第7実施形態の加工システムSYS(以降、第7実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSg”と称する)について説明する。第7実施形態の加工システムSYSgは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaと比較して、加工装置1に代えて、加工装置1gを備えているという点で異なる。加工システムSYSgのその他の特徴は、加工システムSYSaのその他の特徴と同様であってもよい。加工装置1gは、加工装置1と比較して、加工ヘッド12に代えて、加工ヘッド12gを備えているという点で異なる。加工装置1gのその他の特徴は、加工装置1のその他の特徴と同様であってもよい。加工ヘッド12gは、加工ヘッド12と比較して、照射光学系121に代えて、照射光学系121gを備えているという点で異なる。加工ヘッド12gのその他の特徴は、加工ヘッド12のその他の特徴と同様であってもよい。このため、以下では、図30を参照しながら、第7実施形態の照射光学系121gについて説明する。図30は、第7実施形態の照射光学系121gの構造を示す斜視図である。
【0186】
図30に示すように、照射光学系121gは、照射光学系121と比較して、ガルバノミラー1212に代えて、ガルバノミラー1212gを備えているという点で異なる。照射光学系121gのその他の特徴は、照射光学系121のその他の特徴と同様であってもよい。
【0187】
ガルバノミラー1212gは、二つのX走査ミラー1212Xと二つのY走査ミラー1212Yとを備えているという点で、単一のX走査ミラー1212Xと単一のY走査ミラー1212Yとを備えているガルバノミラー1212とは異なる。具体的には、ガルバノミラー1212gは、X走査ミラー1212X#1と、X走査ミラー1212X#2と、Y走査ミラー1212Y#1と、Y走査ミラー1212Y#2とを備えている。フォーカス変更光学系1211からの加工光ELは、X走査ミラー1212X#1、Y走査ミラー1212Y#1、Y走査ミラー1212Y#2及びX走査ミラー1212X#2をこの順に経由して、fθレンズ1213に入射する。また、X走査ミラー1212X#2及びY走査ミラー1212Y#2のそれぞれは、fθレンズ1213の入射瞳面PPから外れた場所に位置する。以下、このような二つのX走査ミラー1212Xと二つのY走査ミラー1212Yとを備えているガルバノミラー1212gの動作について説明する。
【0188】
まず、X走査ミラー1212X#2が回転又は揺動すると、ワークWの表面における加工光ELの照射位置がX軸方向に沿って変わると共に、加工光ELの進行方向(つまり、照射光学系121gからの射出方向)がθY方向(つまり、Y軸周りの回転方向)に沿って変わってしまう。なぜならば、X走査ミラー1212X#2は、fθレンズ1213の入射瞳面PPから外れた場所に位置しているからである。その結果、加工光ELは、適切な射出方向(例えば、加工光ELがワークWの表面に垂直入射可能な方向)に射出されない可能性がある。そこで、X走査ミラー1212X#2の回転又は揺動に合わせて、X走査ミラー1212X#1は、照射光学系121gから所望の射出方向に向かって加工光ELが射出されるように回転又は揺動する。この場合、X走査ミラー1212X#2が主として加工光ELの照射位置を変更する一方で、X走査ミラー1212X#1が主として加工光ELの射出方向を変更しているとみなしてもよい。つまり、X走査ミラー1212X#2が主として加工光ELの照射位置を変更する(つまり、移動させる)照射位置移動部材として機能する一方で、X走査ミラー1212X#1が主として加工光ELの射出方向を変更する射出方向変更部材として機能しているとみなしてもよい。この場合、加工光ELは、射出方向変更部材として機能するX走査ミラー1212X#1と照射位置移動部材として機能するX走査ミラー1212X#2をとこの順に経由した後に、入射瞳面PPを介してfθレンズ1213に入射している。このため、典型的には、入射瞳面PPとX走査ミラー1212X#1との間における距離(具体的には、加工光ELの光路に沿った距離、以下第7実施形態において同じ)は、入射瞳面PPとX走査ミラー1212X#2との間における距離よりも大きくなる。
【0189】
但し、X走査ミラー1212X#1が回転すると、加工光ELの射出方向がθY方向に沿って変わるだけでなく、ワークWの表面における加工光ELの照射位置がX軸方向に沿って変わってしまう。ここで、X走査ミラー1212X#1とX走査ミラー1212X#2との入射瞳面PPからの距離が互いに異なっているため、X走査ミラー1212X#1とX走査ミラー1212X#2との単位回転量あたりの加工光ELの射出方向の変化と加工光ELの照射位置の変化との比が互いに異なる。従って、X走査ミラー1212X#2によって、X走査ミラー1212X#1の回転又は揺動に起因した加工光ELの照射位置の変動を低減又は相殺し、且つ、加工光ELの照射位置をワークW上の所望位置に設定することができる。
【0190】
同様に、Y走査ミラー1212Y#2が回転又は揺動すると、ワークWの表面における加工光ELの照射位置がY軸方向に沿って変わると共に、加工光ELの進行方向(つまり、照射光学系121gからの射出方向)がθX方向(つまり、X軸周りの回転方向)に沿って変わってしまう。なぜならば、Y走査ミラー1212Y#2は、fθレンズ1213の入射瞳面PPから外れた場所に位置しているからである。その結果、加工光ELは、適切な射出方向(例えば、加工光ELがワークWの表面に垂直入射可能な方向)に射出されない可能性がある。そこで、Y走査ミラー1212Y#2の回転又は揺動に合わせて、Y走査ミラー1212Y#1は、照射光学系121gから所望の射出方向に向かって加工光ELが射出されるように回転又は揺動する。この場合、Y走査ミラー1212Y#2が主として加工光ELの照射位置を変更する一方で、Y走査ミラー1212Y#1が主として加工光ELの射出方向を変更しているとみなしてもよい。つまり、Y走査ミラー1212Y#2が主として加工光ELの照射位置を変更する(つまり,移動する)照射位置移動部材として機能する一方で、Y走査ミラー1212Y#1が主として加工光ELの射出方向を変更する射出方向変更部材として機能しているとみなしてもよい。この場合、加工光ELは、射出方向変更部材として機能するY走査ミラー1212Y#1と照射位置移動部材として機能するY走査ミラー1212Y#2をとこの順に経由した後に、入射瞳面PPを介してfθレンズ1213に入射している。このため、典型的には、入射瞳面PPとY走査ミラー1212Y#1との間における距離は、入射瞳面PPとY走査ミラー1212Y#2との間における距離よりも大きくなる。
【0191】
但し、Y走査ミラー1212Y#1が回転すると、加工光ELの射出方向がθX方向に沿って変わるだけでなく、ワークWの表面における加工光ELの照射位置がY軸方向に沿って変わってしまう。ここで、Y走査ミラー1212Y#1とY走査ミラー1212Y#2との入射瞳面PPからの距離が互いに異なっているため、Y走査ミラー1212Y#1とY走査ミラー1212Y#2との単位回転量あたりの加工光ELの射出方向の変化と加工光ELの照射位置の変化との比が互いに異なる。従って、Y走査ミラー1212Y#2は、Y走査ミラー1212Y#1の回転又は揺動に起因した加工光ELの照射位置の変動を低減又は相殺し、且つ、加工光ELの照射位置をワークW上の所望位置に設定することができる。
【0192】
制御装置4は、受光装置35による加工光ELの受光結果に基づいて、ガルバノミラー1212gを制御してもよい。具体的には、制御装置4は、受光装置35による加工光ELの受光結果に基づいて、照射光学系121gからの加工光ELの射出方向を算出してもよい。制御装置4は、算出した射出方向が所望方向になるように、ガルバノミラー1212gを制御してもよい。
【0193】
受光装置35による加工光ELの受光結果に基づいて加工光ELの射出方向を算出するために、制御装置4は、加工ヘッド12(特に、照射光学系121g)と受光装置35(特に、通過領域355)との間の距離を変更し、当該距離を変更する都度、同じ通過領域355を介して受光素子352が加工光ELを受光した時点でのステージ32の位置(具体的には、X軸方向及びY軸方向のそれぞれにおける位置)を取得する動作を行ってもよい。つまり、制御装置4は、加工ヘッド12と受光装置35との間の距離を変更し且つ同じ通過領域355を介して受光素子352が加工光ELを受光した時点でのステージ32の位置を取得する動作を、加工ヘッド12と受光装置35との間の距離を変更しながら複数回行ってもよい。その結果、制御装置4は、複数回取得されたステージ32の位置に基づいて、加工光ELの射出方向(典型的には、ワークW又はビーム通過部材351の表面に対する加工光ELの入射角度)を算出することができる。典型的には、取得されたステージ32の位置を結ぶ線が、加工光ELの射出方向に沿った線に相当する。
【0194】
尚、制御装置4は、受光装置35による加工光ELの受光結果に基づかずに、ガルバノミラー1212gを制御してもよい。例えば、制御装置4は、除去加工する範囲に関する情報に基づいて、ガルバノミラー1212gを制御してもよい。
【0195】
このような第7実施形態の加工システムSYSgは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。
【0196】
尚、上述した第2実施形態の加工システムSYSbから第6実施形態の加工システムSYSfの少なくとも一つが、第7実施形態に特有の構成要件を備えていてもよい。第7実施形態に特有の構成要件は、照射光学系121gに関する構成要件を含んでいてもよい。
【0197】
(8)第8実施形態の加工システムSYSh
続いて、図31を参照しながら、第8実施形態の加工システムSYS(以降、第8実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSh”と称する)について説明する。図31は、第8実施形態の加工システムSYShのシステム構成を示すシステム構成図である。
【0198】
図31に示すように、第8実施形態の加工システムSYShは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaと比較して、加工装置1及び計測装置2に代えて、加工装置1h及び計測装置2hを備えているという点で異なる。加工システムSYShのその他の特徴は、加工システムSYSaのその他の特徴と同様であってもよい。
【0199】
加工装置1hは、加工装置1と比較して、複数の加工ヘッド12を備えているという点で異なる。更に、加工装置1hは、加工装置1と比較して、複数の加工ヘッド12をそれぞれ移動させる複数のヘッド駆動系13を備えているという点で異なる。但し、加工装置1hは、少なくとも二つの加工ヘッド12をまとめて移動させるヘッド駆動系13を備えていてもよい。更に、加工装置1hは、加工装置1と比較して、複数の加工ヘッド12の位置をそれぞれ計測する複数の位置計測装置14を備えているという点で異なる。但し、加工装置1hは、少なくとも二つの加工ヘッド12の位置をまとめて計測する位置計測装置14を備えていてもよい。加工装置1hのその他の特徴は、加工装置1のその他の特徴と同様であってもよい。
【0200】
計測装置2hは、計測装置2と比較して、複数の計測ヘッド21を備えているという点で異なる。複数の計測ヘッド21は、互いに特性(例えば、計測方法、計測ショット領域MSAの大きさ及び計測精度の少なくとも一つ)が同一であってもよい。複数の計測ヘッド21のうちの少なくとも二つは、互いに特性が異なっていてもよい。更に、計測装置2hは、計測装置2と比較して、複数の計測ヘッド21をそれぞれ移動させる複数のヘッド駆動系22を備えているという点で異なる。但し、計測装置2hは、少なくとも二つの計測ヘッド21をまとめて移動させるヘッド駆動系22を備えていてもよい。更に、計測装置2hは、計測装置2と比較して、複数の計測ヘッド21の位置をそれぞれ計測する複数の位置計測装置23を備えているという点で異なる。但し、計測装置2hは、少なくとも二つの計測ヘッド21の位置をまとめて計測する位置計測装置23を備えていてもよい。計測装置2hのその他の特徴は、計測装置2のその他の特徴と同様であってもよい。
【0201】
このような第8実施形態の加工システムSYShは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。更に、加工システムSYShは、複数の加工ヘッド12を介してワークWの複数個所に複数の加工光ELを同時に照射することができる。その結果、ワークWの加工に関するスループットが向上する。更に、加工システムSYShは、複数の計測ヘッド21を用いて、ワークWを適切に計測することができる。
【0202】
尚、加工システムSYShが複数の加工ヘッド12を備えている場合には、上述したB-CHK動作において、制御装置4は、複数の加工ヘッド12にそれぞれ対応する複数の加工原点POのそれぞれと装置原点AOとの間の距離を計測してもよい。同様に、加工システムSYShが複数の計測ヘッド21を備えている場合には、上述したB-CHK動作において、制御装置4は、複数の計測ヘッド21にそれぞれ対応する複数の計測原点MOのそれぞれと装置原点AOとの間の距離を計測してもよい。
【0203】
また、加工システムSYShは、複数の加工ヘッド12を備える加工装置1hと、単一の計測ヘッド21を備える計測装置2とを備えていてもよい。加工システムSYShは、複数の計測ヘッド21を備える計測装置2hと、単一の加工ヘッド12を備える加工装置1とを備えていてもよい。
【0204】
また、上述した第2実施形態の加工システムSYSbから第7実施形態の加工システムSYSgの少なくとも一つが、第8実施形態に特有の構成要件を備えていてもよい。第8実施形態に特有の構成要件は、複数の加工ヘッド12及び複数の計測ヘッド21に関する構成要件を含んでいてもよい。
【0205】
(9)第9実施形態の加工システムSYSi
続いて、図32を参照しながら、第9実施形態の加工システムSYS(以降、第9実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSi”と称する)について説明する。図32は、第9実施形態の加工システムSYSiのシステム構成を示すシステム構成図である。
【0206】
図32に示すように、第9実施形態の加工システムSYSiは、上述した第8実施形態の加工システムSYShと比較して、加工装置1hに代えて、加工装置1iを備えているという点で異なる。加工システムSYSiのその他の特徴は、加工システムSYShのその他の特徴と同様であってもよい。
【0207】
加工装置1iは、加工装置1hと比較して、複数の加工ヘッド12からそれぞれ射出される複数の加工光ELをそれぞれ生成する複数の加工光源11を備えているという点で異なる。加工装置1iのその他の特徴は、加工装置1hのその他の特徴と同様であってもよい。
【0208】
複数の加工光源11は、特性が同一となる複数の加工光ELをそれぞれ生成してもよい。或いは、複数の加工光源11のうちの少なくとも二つは、特性が異なる少なくとも二つの加工光ELをそれぞれ生成してもよい。例えば、複数の加工光源11は、発光時間がナノ秒のオーダーとなる加工光ELを生成する加工光源11と、発光時間がピコ秒のオーダーとなる加工光ELを生成する加工光源11と、発光時間がフェムト秒のオーダーとなる加工光ELを生成する加工光源11とを含んでいてもよい。発光時間が短くなるほど加工光ELによるワークWの加工精度が向上するため、加工システムSYSiは、発光時間がナノ秒のオーダーとなる加工光ELを用いてワークWを粗く加工し、発光時間がピコ秒のオーダーとなる加工光ELを用いてワークWを細かく加工し、発光時間がフェムト秒のオーダーとなる加工光ELを用いてワークWを仕上げ加工してもよい。
【0209】
このような第9実施形態の加工システムSYSiは、上述した第8実施形態の加工システムSYShが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。更に、加工システムSYSiは、特性が異なる複数の加工光ELを用いて、ワークWを適切に加工することができる。
【0210】
尚、上述した第2実施形態の加工システムSYSbから第7実施形態の加工システムSYSgの少なくとも一つが、第9実施形態に特有の構成要件を備えていてもよい。第9実施形態に特有の構成要件は、複数の加工光源11に関する構成要件を含んでいてもよい。
【0211】
(10)第10実施形態の加工システムSYSj
続いて、第10実施形態の加工システムSYS(以降、第10実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSj”と称する)について説明する。第10実施形態の加工システムSYSjは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaと比較して、ワークWに加工光ELを照射することでワークWの付加加工を行ってもよいという点で異なる。例えば、加工システムSYSjは、付加加工を行うことでワークW上に3次元構造物STを形成してもよい。
【0212】
一例として、加工システムSYSjは、例えば、レーザ肉盛溶接法(LMD:Laser Metal Deposition)に基づく付加加工を行ってもよい。この場合、加工システムSYSjは、造形材料Mを加工光ELで加工することで造形物を形成してもよい。造形材料Mは、所定強度以上の加工光ELの照射によって溶融可能な材料である。このような造形材料Mとして、例えば、金属性の材料及び樹脂性の材料の少なくとも一方が使用可能である。但し、造形材料Mとして、金属性の材料及び樹脂性の材料とは異なるその他の材料が用いられてもよい。造形材料Mは、粉状の又は粒状の材料である。つまり、造形材料Mは、粉粒体である。但し、造形材料Mは、粉粒体でなくてもよい。例えば、造形材料Mとして、ワイヤ状の造形材料及びガス状の造形材料の少なくとも一方が用いられてもよい。但し、加工システムSYSjは、その他の付加加工法に基づく付加加工を行うことで3次元構造物STを形成してもよい。
【0213】
レーザ肉盛溶接法に基づく付加加工を行う第10実施形態の加工システムSYSjの一例が、図33及び図34に示されている。図33は、第10実施形態の加工システムSYSjのシステム構成を示すシステム構成図である。図34は、第10実施形態の加工システムSYSjの外観を示す斜視図である。図33及び図34に示すように、第10実施形態の加工システムSYSjは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaと比較して、加工装置1に代えて、加工装置1jを備えているという点で異なる。加工システムSYSjは、加工システムSYSaと比較して、材料供給源8jを備えているという点で異なる。加工システムSYSjのその他の特徴は、加工システムSYSaのその他の特徴と同様であってもよい。
【0214】
加工装置1jは、加工装置1と比較して、加工ヘッド12に代えて、加工ヘッド12jを備えているという点で異なる。加工装置1jのその他の特徴は、加工装置1のその他の特徴と同様であってもよい。加工ヘッド12jは、加工ヘッド12と比較して、材料ノズル122jを更に備えているという点で異なる。加工ヘッド12jのその他の特徴は、加工ヘッド12のその他の特徴と同様であってもよい。
【0215】
材料ノズル122jは、造形材料Mを供給する(例えば、射出する、噴射する、噴出する、又は、吹き付ける)。このため、材料ノズル122jは、材料供給装置と称されてもよい。具体的には、材料ノズル122jは、不図示の供給管を介して造形材料Mの供給源である材料供給源8jと物理的に接続されている。材料ノズル122jは、材料供給源8jから供給される造形材料Mを供給する。材料ノズル122jは、照射光学系121からの加工光ELの照射位置(つまり、目標照射領域EA)に向けて造形材料Mを供給するように、照射光学系121に対して位置合わせされている。尚、照射光学系121から射出された加工光ELによって形成される溶融池に、材料ノズル122jが造形材料Mを供給するように、材料ノズル122jと照射光学系121とが位置合わせされていてもよい。尚、材料ノズル122jは、溶融池に造形材料Mを供給しなくてもよい。例えば、加工システムSYSjは、材料ノズル122jからの造形材料MがワークWに到達する前に当該造形材料Mを照射光学系121からの加工光ELによって溶融させ、溶融した造形材料MをワークWに付着させてもよい。
【0216】
このような第10実施形態の加工システムSYSjは、ワークWに対して適切に付加加工を行うことができる。更に、加工システムSYSjは、上述した第1実施形態の加工システムSYShと同様に、受光装置35による加工光ELの受光結果及び計測ヘッド21による受光装置35の計測結果に基づいて、ワークWに対して適切に付加加工を行うことができる。
【0217】
尚、付加加工を行う加工システムSYSjは、受光装置35として、上述した第4実施形態等で説明した、撮像装置として機能可能な受光装置35dを備えていてもよい。この場合、例えば、受光素子352は、材料ノズル122jの少なくとも一部を撮像してもよい。制御装置4は、材料ノズル122jの少なくとも一部の撮像結果に基づいて、加工システムSYSjを制御してもよい。制御装置4は、材料ノズル122jの少なくとも一部の撮像結果に基づいて、材料ノズル122jの状態に関する情報を出力してもよい。この場合、制御装置4は、材料ノズル122jの状態に関する情報を出力する情報出力装置として機能してもよい。例えば、受光素子352は、材料ノズル122jから供給される造形材料Mの少なくとも一部を撮像してもよい。制御装置4は、造形材料Mの少なくとも一部の撮像結果に基づいて、加工システムSYSjを制御してもよい。例えば、制御装置4は、造形材料Mの少なくとも一部の撮像結果に基づいて、材料供給源8jから材料ノズル122jを介した造形材料Mの供給態様を変更(つまり、制御)してもよい。造形材料Mの供給態様は、造形材料Mの供給量及び造形材料Mの供給タイミング(供給時期)の少なくとも一方を含んでいてもよい。この場合、制御装置4は、造形材料Mの供給態様を変更する材料供給態様変更装置として機能してもよい。
【0218】
また、加工システムSYSjは、除去加工を行う加工装置1(或いは、加工ヘッド12)と、付加加工を行う加工装置1j(或いは、加工ヘッド12j)との双方を備えていてもよい。加工システムSYSjは、計測装置2を備えていなくてもよい。
【0219】
また、上述した第2実施形態の加工システムSYSbから第9実施形態の加工システムSYSiの少なくとも一つが、第10実施形態に特有の構成要件を備えていてもよい。第10実施形態に特有の構成要件は、付加加工に関する構成要件を含んでいてもよい。
【0220】
(11)第11実施形態の加工システムSYSk
続いて、第11実施形態の加工システムSYS(以降、第11実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSk”と称する)について説明する。第11実施形態の加工システムSYSkは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaと比較して、加工光ELに加えて又は代えて、ワークWを機械加工するための工具123k(後述する図35及び図36参照)を用いてワークWを加工してもよいという点で異なる。つまり、加工システムSYSkは、加工システムSYSaと比較して、ワークWを機械加工してもよいという点で異なる。例えば、加工システムSYSkは、ワークWに工具123kを接触させることで、ワークWを切削加工、研削加工、研磨加工又は切断加工してもよい。例えば、加工システムSYSkは、ワークWの形状が所望の形状になるようにワークWを機械加工してもよい。例えば、加工システムSYSkは、ワークWに所望の構造を形成するようにワークWを機械加工してもよい。例えば、加工システムSYSkは、ワークWの表面に所望の構造を形成するようにワークWを機械加工してもよい。例えば、加工システムSYSkは、ワークWの表面が研磨されるようにワークWを機械加工してもよい。
【0221】
このような第11実施形態の加工システムSYSkの一例が図35及び図36に示されている。図35は、第11実施形態の加工システムSYSkのシステム構成を示すブロック図である。図36は、第11実施形態の加工システムSYSkの構造を示す断面図である。図35及び図36に示すように、加工システムSYSkは、加工システムSYSaと比較して、加工光源11を備えていなくてもよいという点で異なる。更に、加工システムSYSkは、加工システムSYSaと比較して、照射光学系121を備えていなくてもよいという点で異なる。具体的には、加工システムSYSkは、加工システムSYSaと比較して、照射光学系121を備えている加工ヘッド12を備える加工装置1に代えて、照射光学系121を備えていない加工ヘッド12kを備える加工装置1kを備えているという点で異なる。つまり、加工システムSYSkは、加工システムSYSaと比較して、ワークWに加工光ELを照射するための構成要件を備えていなくてもよいという点で異なる。更に、加工システムSYSkは、加工システムSYSaと比較して、加工ヘッド12に代えて、工具123kを備える加工ヘッド12kを備えているという点で異なる。加工システムSYSkのその他の特徴は、加工システムSYSaのその他の特徴と同様であってもよい。
【0222】
このような第11実施形態の加工システムSYSkは、ワークWに対して適切に機械加工を行うことができる。更に、加工システムSYSkは、受光装置35による受光結果及び計測ヘッド21による受光装置35の計測結果に基づいて、ワークWに対して機械加工を行ってもよい。
【0223】
尚、機械加工を行う加工システムSYSkは、受光装置35として、上述した第4実施形態等で説明した、撮像装置として機能可能な受光装置35dを備えていてもよい。この場合、例えば、受光素子352は、工具123kの少なくとも一部を撮像してもよい。制御装置4は、工具123kの少なくとも一部の撮像結果に基づいて、加工システムSYSkを制御してもよい。例えば、制御装置4は、工具123kの少なくとも一部の撮像結果に基づいて、工具123kの移動経路(つまり、工具123kによる加工経路、いわゆる加工パス)を変更(つまり、制御)してもよい。この場合、制御装置4は、工具123kの加工経路を変更する経路変更装置として機能してもよい。
【0224】
また、加工システムSYSkは、除去加工を行う加工装置1(或いは、加工ヘッド12)と、機械加工を行う加工装置1k(或いは、加工ヘッド12k)との双方を備えていてもよい。加工システムSYSkは、計測装置2を備えていなくてもよい。
【0225】
また、上述した第2実施形態の加工システムSYSbから第10実施形態の加工システムSYSjの少なくとも一つが、第11実施形態に特有の構成要件を備えていてもよい。第11実施形態に特有の構成要件は、機械加工に関する構成要件を含んでいてもよい。
【0226】
(12)変形例
上述した説明では、加工システムSYSは、加工光ELをワークWに照射することでワークWを加工している。しかしながら、加工システムSYSは、任意のエネルギビームをワークWに照射することで、ワークWを加工してもよい。この場合、加工システムSYSは、加工光源11に加えて又は代えて、任意のエネルギビームを照射可能なビーム源を備えていてもよい。任意のエネルギビームの一例として、荷電粒子ビーム及び電磁波等の少なくとも一方があげられる。荷電粒子ビームの一例として、電子ビーム及びイオンビーム等の少なくとも一方があげられる。
【0227】
(13)付記
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
[付記1]
ビーム源からのエネルギビームを物体に照射する照射装置を備え、前記物体を加工する加工システムに用いられるカバー部材であって、
前記エネルギビームを受光する受光部へ向かう前記エネルギビーム通過させる通過領域を覆うカバー部材。
[付記2]
前記カバー部材は、前記通過領域を覆う第1位置と、前記通過領域を覆わない第2位置との間で動く
付記1に記載のカバー部材。
[付記3]
前記エネルギビームを前記物体に照射する際に、前記カバー部材は前記第1位置に位置し、
前記受光部によって前記エネルギビームを受光する際に、前記カバー部材は前記第2位置に位置する
付記2に記載のカバー部材。
[付記4]
前記加工システムは、前記物体を計測ビームで計測する計測装置を備え、
前記カバー部材は、前記計測装置によって計測され、前記通過領域と所定の位置関係を有するマークを覆う
付記1から3のいずれか一項に記載のカバー部材。
[付記5]
エネルギビームを物体に照射して前記物体を加工する加工システムにおいて、
前記物体が載置される載置装置と、
前記エネルギビームを前記物体に照射する照射装置と、
前記エネルギビームを受光する受光装置と
を備え、
前記受光装置のうちの少なくとも一部は、前記載置装置に形成された窪みの内部に位置する
加工システム。
[付記6]
前記受光装置は、前記エネルギビームを通過させる通過領域を持つビーム通過部材と、前記通過領域を通過した前記エネルギビームを受光する受光部と
を備える、付記5に記載の加工システム。
[付記7]
前記エネルギビームを減衰させ、前記通過領域と隣接して配置される減衰領域を有する
付記6に記載の加工システム。
[付記8]
前記ビーム通過部材は、前記物体が載置される載置面よりも前記通過領域が下方に位置するように、前記窪みに配置される
付記6又は7に記載の加工システム。
[付記9]
前記ビーム通過部材は、前記照射装置側に向けられた窪みの開口よりも前記照射装置と反対側に位置する
付記6から8のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記10]
前記ビーム通過部材の前記通過領域を覆うカバー部材を更に備える
付記6から9のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記11]
前記カバー部材は、前記通過領域を覆う第1位置と、前記通過領域を覆わない第2位置との間で動く
付記10に記載の加工システム。
[付記12]
前記エネルギビームを前記物体に照射する際に、前記カバー部材は前記第1位置に位置し、
前記受光部によって前記エネルギビームを受光する際に、前記カバー部材は前記第2位置に位置する
付記11に記載の加工システム。
[付記13]
前記カバー部材は、前記ビーム通過部材を覆う
付記10から12のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記14]
前記窪みは、前記物体が載置される載置面とは異なる領域に形成される
付記5から13のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記15]
前記載置装置は、前記物体が載置される載置面とは異なる領域に形成された凸部を備え、
前記窪みは、前記凸部と隣接している
付記5から14のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記16]
前記窪みは、前記凸部によって囲われている
付記15に記載の加工システム。
[付記17]
前記エネルギビームの進行方向に沿って前記エネルギビームの収斂位置を変更するビーム収斂位置変更装置をさらに備え、
前記ビーム収斂位置変更装置は、前記物体が載置される載置面と前記受光部のうちの少なくとも一部との前記進行方向に沿った距離についての情報を用いて、前記収斂位置を変更する
付記5から16のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記18]
前記減衰領域は、前記エネルギビームを遮蔽する
付記5から17のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記19]
前記通過領域は、前記エネルギビームを減衰させない
付記5から18のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記20]
物体を加工する加工システムであって、
前記物体が載置される載置装置と、
前記物体を加工する加工装置と、
前記載置装置に設けられ、前記加工装置の少なくとも一部を撮像する撮像装置と
を備える加工システム。
[付記21]
物体を加工する加工システムであって、
前記物体が載置される載置装置と、
前記物体を加工する加工装置と、
前記加工装置の少なくとも一部を、前記加工装置の前記少なくとも一部に対して前記載置装置側から撮像する撮像装置と
を備える加工システム。
[付記22]
前記加工装置は、前記物体にエネルギビームを照射する照射光学系を備え、
前記撮像装置は、前記照射光学系が有する光学部材を撮像する
付記20又は21に記載の加工システム。
[付記23]
前記撮像装置による撮像結果に基づいて、前記エネルギビームの特性を変更するビーム特性変更装置を更に備える
付記22に記載の加工システム。
[付記24]
前記加工装置は、前記物体にエネルギビームを照射する照射光学系と、前記エネルギビームの照射位置に向けて材料を供給する材料供給装置とを備え、
前記撮像装置は、前記材料供給装置の一部を撮像する
付記20から23のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記25]
前記撮像装置による撮像結果に基づいて、前記材料供給装置の状態についての情報を出力する情報出力装置をさらに備える
付記24に記載の加工システム。
[付記26]
前記加工装置は、前記物体にエネルギビームを照射する照射光学系と、前記エネルギビームの照射位置に向けて材料を供給する材料供給装置を備え、
前記撮像装置は、前記材料供給装置からの前記材料を撮像する
付記20から25のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記27]
前記撮像装置による撮像結果に基づいて、前記材料供給装置による前記材料の供給態様を変更する材料供給態様変更装置をさらに備える
付記26に記載の加工システム。
[付記28]
前記加工装置は、前記物体を機械加工する工具を備え、
前記撮像装置は、前記工具の少なくとも一部を撮像する
付記20から27のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記29]
前記撮像装置による撮像結果に基づいて、前記工具の加工経路を変更する経路変更装置をさらに備える
付記28に記載の加工システム。
[付記30]
前記撮像装置は、中間像を形成する第1光学系と、前記中間像が形成される位置に配置された指標板と、前記指標板の像を形成する第2光学系と、前記指標板の像が形成される位置に配置された撮像素子とを備える
付記20から29のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記31]
物体を加工する加工システムであって、
前記物体が載置される載置装置と、
前記物体にエネルギビームを照射して前記物体を加工する加工装置と、
前記載置装置に設けられ、前記エネルギビームを撮像する撮像装置と
を備える加工システム。
[付記32]
物体を加工する加工システムであって、
前記物体が載置される載置装置と、
前記物体にエネルギビームを照射して前記物体を加工する加工装置と、
前記加工装置に対して前記載置装置側から前記エネルギビームを撮像する撮像装置と
を備える加工システム。
[付記33]
前記撮像装置による撮像結果に基づいて、前記エネルギビームの照射位置を制御する制御装置をさらに備える
付記32又は33に記載の加工システム。
[付記34]
前記撮像装置は、中間像を形成する第1光学系と、前記中間像が形成される位置に配置された指標板と、前記指標板の像を形成する第2光学系と、前記指標板の像が形成される位置に配置された撮像素子とを備える
付記31から33のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記35]
ビーム源からのエネルギビームを物体に照射して前記物体を加工する加工システムにおいて、
前記物体を移動可能に載置する載置装置と、
前記エネルギビームを前記物体に照射し、前記エネルギビームの射出方向を変える射出方向変更部材を含む照射装置と、
前記エネルギビームの射出方向を計測するビーム計測装置と、
前記ビーム計測装置による前記エネルギビームの計測結果に基づいて、前記射出方向変更部材を制御する制御装置と
を備える加工システム。
[付記36]
前記ビーム計測装置は、前記エネルギビームを減衰させる減衰領域と前記エネルギビームを通過させる通過領域とを持つビーム通過部材と、前記通過領域を通過したエネルギビームを受光する受光部とを有する
付記35に記載の加工システム。
[付記37]
前記ビーム計測装置は、前記照射装置と前記通過領域との距離を変えて複数回ビームの射出方向を計測する
付記36に記載の加工システム。
[付記38]
前記照射装置は、前記エネルギビームを集光する集光光学系を備え、
前記射出方向変更部材は、前記ビーム源と前記集光光学系との間に、回転可能に設けられる
付記35から37のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記39]
前記射出方向変更部材は、前記集光光学系の入射瞳位置から外れた場所に位置する
付記38に記載の加工システム。
[付記40]
前記照射装置は、前記ビーム源と前記集光光学系との間に回転可能に設けられ、前記エネルギビームの照射位置を移動させる照射位置移動部材を含む
付記38又は39に記載の加工システム。
[付記41]
前記集光光学系の入射瞳と前記射出方向変更部材との距離は、前記入射瞳と前記照射位置移動部材との距離よりも大きい
付記40に記載の加工システム。
【0228】
上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。上述の各実施形態の要件のうちの一部が用いられなくてもよい。上述の各実施形態の要件は、適宜他の実施形態の要件と置き換えることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態で引用した装置等に関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0229】
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う加工システム及び計測部材もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0230】
1 加工装置
12 加工ヘッド
2 計測装置
21 計測ヘッド
3 ステージ装置
32 ステージ
35 受光装置
351 ビーム通過部材
352 受光素子
4 制御装置
EL 加工光
SYS 加工システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図35
図36
【手続補正書】
【提出日】2024-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビームをワークに照射して前記ワークを加工する加工システムにおいて、
前記ワークを載置可能な載置装置と、
前記ビームを対象物に照射可能な照射装置と、
前記照射装置から照射された前記ビームを受光する受光装置と
を備え、
前記受光装置は、前記ビームを減衰させる減衰領域と前記ビームを通過させる複数の通過領域とを持つビーム通過部材と、前記複数の通過領域を通過した前記ビームを受光する受光部とを有する
加工システム。