(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096246
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】樹脂組成物およびその樹脂組成物を用いた成形品
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20240705BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20240705BHJP
C08L 101/16 20060101ALN20240705BHJP
【FI】
C08L101/00 ZBP
C08L23/08
C08L101/16
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024072409
(22)【出願日】2024-04-26
(62)【分割の表示】P 2020005783の分割
【原出願日】2020-01-17
(31)【優先権主張番号】P 2019009375
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019207702
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】釘本 大資
(72)【発明者】
【氏名】川戸 大輔
(72)【発明者】
【氏名】幸田 真吾
(57)【要約】
【課題】 脆性樹脂、再生樹脂または異なる2種以上の樹脂が混在した複合樹脂に、特定
のエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物を配合することで、耐衝撃性や柔軟性、リサイク
ル性に優れる樹脂組成物、及びその樹脂組成物を用いた成形品を提供することを目的とす
る。
【解決手段】 熱可塑性樹脂(A)を1重量%以上99重量%以下、酢酸ビニル含量の異
なる2種以上のエチレン-酢酸ビニル共重合体を含むエチレン-酢酸ビニル共重合体組成
物(B)を1重量%以上99重量%以下(ここで(A)及び(B)の合計は100重量%
とする)を含む樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸ビニル含量の異なる以下の3種以上のエチレン-酢酸ビニル共重合体を含む組成物を含む衝撃改質剤。
・酢酸ビニル含量が15重量%以上30重量%以下のエチレン-酢酸ビニル共重合体1;
・酢酸ビニル含量が45重量%以上55重量%以下のエチレン-酢酸ビニル共重合体2;及び
・酢酸ビニル含量が75重量%以上85重量%以下のエチレン-酢酸ビニル共重合体3。
【請求項2】
少なくとも2種の樹脂を相溶化させてリサイクルに使用できる請求項1に記載の衝撃改質剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂(A)および酢酸ビニル含量の異なる2種以上のエチレン-酢
酸ビニル共重合体を含むエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)から成る耐衝撃性や
破断伸度に優れた樹脂組成物およびその組成物からなる成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルや非晶性高分子はその高い剛性や耐久性を活かし、電子機器の筐体や自動
車材料などの高い機械強度を必要とする工業部材から、食品包装や日用品等の消耗品まで
幅広く用いられている。近年、社会的に環境問題への関心が高まっており、環境負荷の小
さい素材開発、特にバイオマス由来の樹脂の開発や、樹脂のリサイクル技術の開発が望ま
れている。
【0003】
しかしながら、従来の用途で使用するに際し、機械特性の更なる向上が望まれている。
【0004】
まず、一部のポリエステルや非晶性高分子は、その耐衝撃性や柔軟性の低さ故に使用で
きる用途が限られている。
【0005】
例えば、代表的なバイオマス由来ポリエステルであるポリ乳酸は、環境負荷低減の社会
情勢から石油由来プラスチックの代替材料として長年注目を集めている。しかし、その脆
さ故に使用できる用途が限られており、現在に至るまで広く普及していない。一方、樹脂
のリサイクル技術の分野では、様々な種類の樹脂の混入が前提となる。混入樹脂量が多い
と、樹脂同士の相溶性に起因する問題が生じやすい。すなわち、非相溶な樹脂が多量に混
在するリサイクル樹脂はその機械特性が低下する。このため、リサイクルする際は、高度
な選別を経て混入物の少ない状態にされた樹脂を再生する必要があった。しかし、食品包
装などに使用される樹脂は、その構成が異種の樹脂が強固に積層された多層フィルムの構
造として使用されることが多い。これら多層フィルムは容易に分離することができないた
め、リサイクル技術を適用することができず、廃棄されている。
【0006】
近年、こうした課題を克服するために、複数の樹脂を組み合わせることで個々の樹脂の
欠点を補い、更には従来にない機能を生み出す手段としてポリマーアロイ技術が知られて
いる。
【0007】
例えば、ポリ乳酸と軟質性ポリエステルをブレンドすることにより耐衝撃性を向上させ
る方法がある(特許文献1)。この方法ではポリ乳酸のマトリクス中にドメインとして存
在する軟質性ポリエステルが耐衝撃性や柔軟性を付与する改質剤として機能する。しかし
ながら、耐衝撃性の改良効果は十分ではなかった。
【0008】
また、ポリ乳酸とポリオレフィンに相溶化剤を配合してなる耐衝撃性および耐熱性を向
上させる方法がある(特許文献2)。しかしながら、十分な耐衝撃強度、耐熱性を得るに
はポリオレフィンの量を多量とする必要があった。
【0009】
また、ポリ乳酸にコアシェルラテックスを配合することで耐衝撃性を向上し、かつ、透
明性を維持する方法がある(特許文献3)。この方法ではシェル部分がポリ乳酸との相溶
性を、コア部分が耐衝撃性付与を担っており、混練方法によって分散粒子径が変化しない
ことから安定した性能を得ることができる。しかしながら、コアシェルラテックスは一般
的に高コストであり、ブレンドして得られる材料も高コストとなるものであった。
【0010】
さらに、積層状態の複合樹脂をリサイクルする手段として、相溶化剤の添加が検討され
ている。例えば、アイオノマー樹脂を相溶化剤として用い、PE-PET、PP-ABS
の複合化の検討がなされている(特許文献4)。また、オキサゾリン系相溶化剤を用い、
PE-PET等の複合化の検討がなされている(特許文献5)。さらに、PE-EVOH
の複合化の検討もなされている(特許文献6)。これら文献によれば、相溶化剤を添加す
ることによりPEとPETやEVOHなどの複合物の物性を向上できることが示されてい
る。しかし、これら方法により得られるリサイクル樹脂は機械特性が十分ではないため、
さらなる機械特性の改善が可能な技術の開発が必要である。また、粘度増加や黄変、臭気
の問題などにより繰り返しリサイクル性に劣ることや再生樹脂の使用用途に制限があった
。
【0011】
このような素材は、環境負荷の低減に貢献するが、その脆性をさらに改善された素材が
強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004-231772号公報
【特許文献2】特開2008ー038142号公報
【特許文献3】特開2015ー140361号公報
【特許文献4】特開2001-220473号公報
【特許文献5】特開2004-182957号公報
【特許文献6】特表2009-535452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、バイオマス由来の樹脂やリサイクルされた複合樹脂に、特定のエチレン-酢
酸ビニル共重合体組成物を配合することによりその脆性を克服し、耐衝撃性や柔軟性に優
れる樹脂組成物、及びその樹脂組成物を用いた成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、脆性の樹脂または樹脂組成物
に特定のエチレン-酢酸ビニル共重合体の組成物を配合した樹脂組成物が、耐衝撃性や柔
軟性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂(A)1重量%以上99重量%以下、酢酸ビニル含
量の異なる2種以上のエチレン-酢酸ビニル共重合体を含むエチレン-酢酸ビニル共重合
体組成物(B)1重量%以上99重量%以下(ここで(A)及び(B)の合計は100重
量%とする)を含む樹脂組成物に関するものである。
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】
本発明の熱可塑性樹脂(A)としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)と
の相容性に優れることから、ポリオレフィン系樹脂、アクリル酸系樹脂、ポリアミド系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリ
ロニトリル共重合体からなる群の少なくとも1種が好ましい。
【0018】
ポリオレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低
密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ビニル
アルコール共重合体、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体
、エチレンーアクリル酸エステル共重合体、エチレンーメタクリル酸エステル共重合体、
ポリブタジエン、ポリイソプレンなどが挙げられる。
【0019】
アクリル酸系樹脂としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸
エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸オクチル、ポリメタクリル酸、ポリメタ
クリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸
オクチルなどが挙げられる。
【0020】
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン1
2などが挙げられる。
【0021】
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレ
ンテレフタラート樹脂(PETG樹脂)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸(ポリ
-L-乳酸、ポリ-D-乳酸、L-乳酸とD-乳酸の共重合体、ポリL-乳酸とポリD-
乳酸のステレオコンプレックスを含む)、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサ
クシネート/アジペート)、ポリエチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート/
テレフタレート)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)、ポリ(ヒドロキシブ
チレート/ヒドロキシヘキサノエート)、ポリグリコール酸、ポリ3-ヒドロキシブチレ
ート、ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
【0022】
この中で、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)とブレンドした場合に耐衝撃性
や破断伸びの改良性が大きいことから、ポリエステル系樹脂またはアクリル酸系樹脂の少
なくともいずれかが好ましく、生分解性ポリエステル樹脂であるポリ乳酸、ポリブチレン
サクシネート、ポリグリコール酸、ポリ3-ヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン
からなる群の少なくとも1種がより好ましく、特に好ましくはポリ乳酸またはポリブチレ
ンサクシネートのいずれかである。
【0023】
本発明の熱可塑性樹脂(A)としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直
鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-
ビニルアルコール共重合体、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12
、ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタラート樹脂(PE
TG樹脂)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸(ポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸
、L-乳酸とD-乳酸の共重合体、ポリL-乳酸とポリD-乳酸のステレオコンプレック
スを含む)、ポリブチレンサクシネートからなる群の少なくとも1種が好ましい。
【0024】
本発明の熱可塑性樹脂(A)としては、ポリ乳酸(ポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸、
L-乳酸とD-乳酸の共重合体、ポリL-乳酸とポリD-乳酸のステレオコンプレックス
を含む)、ポリブチレンサクシネートからなる群の少なくとも1種が好ましい。
【0025】
熱可塑性樹脂(A)がポリ乳酸の場合、L-乳酸および/またはD-乳酸を主たる構成
成分とするポリマーであるが、耐熱性の点から、乳酸成分の光学純度が高いポリ乳酸系樹
脂を用いることが好ましい。すなわち、ポリ乳酸系樹脂の総乳酸成分の内、L体が80%
以上含まれるかまたはD体が80%以上含まれることが好ましく、L体が90%以上含ま
れるかまたはD体が90%以上含まれることがさらに好ましく、L体が95%以上含まれ
るかまたはD体が95%以上含まれることが特に好ましく、L体が98%以上含まれるか
またはD体が98%以上含まれることが最も好ましい。
【0026】
本発明の熱可塑性樹脂(A)としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直
鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-
ビニルアルコール共重合体、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12
、ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタラート樹脂(PE
TG樹脂)、ポリブチレンテレフタレートからなる群の少なくとも1種が好ましい。
【0027】
本発明の熱可塑性樹脂(A)は、1種で用いてもよく、2種以上の複合物でもよい。
【0028】
本発明の熱可塑性樹脂(A)は、未使用のバージン樹脂、使用済みの回収樹脂または再
生樹脂でもよい。ここで再生樹脂とは、使用済みの回収樹脂に対して、洗浄、異物分離、
選別などの工程を経た樹脂である。すなわち、1種又は複数種の樹脂のすべてが未使用の
樹脂である形態、1種又は複数種の樹脂のうちの少なくとも1種が使用済みの樹脂である
形態が含まれ、1種又は複数種の樹脂のすべてが使用済みの樹脂である形態も含まれる。
【0029】
本発明の熱可塑性樹脂(A)は、回収樹脂または再生樹脂を使用する場合、複数種類の
樹脂を含むことがある。この場合、不純物として塩ビ樹脂、ワックス、接着剤、可塑剤、
酸化防止剤等の有機物の不純物として含む。これら有機物の不純物は総量で3重量%以下
である。一方、フィラーとしての無機不純物を含むこともある。熱可塑性樹脂(A)が不
純物を含む場合、不純物の含有量は、熱可塑性樹脂(A)とエチレン-酢酸ビニル共重合
体組成物(B)と不純物の総量に対する比率で表すことができる。
【0030】
熱可塑性樹脂(A)の分子量や分子量分布は、成形体として使用でき得る剛性を有する
という点で、重量平均分子量として好ましくは1万以上、より好ましくは5万以上、さら
に好ましくは10万以上である。ここでの重量平均分子量とは、溶媒としてテトラヒドロ
フランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチ
レン換算の重量平均分子量である。
【0031】
熱可塑性樹脂(A)のメルトマスフローレートとしては、成形加工性に優れることから
、0.1g/10分以上50g/10分以下が好ましく、0.1g/10分以上20g/
10分以下がより好ましい。さらに熱可塑性樹脂(A)がポリ乳酸もしくはポリブチレン
サクシネートの場合、メルトマスフローレートは0.1g/10分以上20g/10分以
下が好ましく、1g/10分以上10g/10分以下がより好ましい。
【0032】
本発明のエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)は酢酸ビニル含量が異なる2種以
上のエチレン-酢酸ビニル共重合体を含むものである。
【0033】
エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)における各エチレン-酢酸ビニル共重合体
の酢酸ビニル含量は、15重量%以上85重量%以下であることが好ましい。ここで、酢
酸ビニル含量はJIS K6924‐1の方法により測定することができる。
【0034】
エチレン-酢酸ビニル共重合体の製造方法としては、高圧法ラジカル重合、溶液重合や
乳化重合等の公知の製造方法が挙げられ、このような樹脂は市販品の中から便宜選択する
ことができ、エチレン-酢酸ビニル共重合体として、東ソー株式会社からウルトラセンの
商品名で、ランクセス株式会社からレバプレン、レバメルトの商品名で各々市販されてい
る。
【0035】
本発明の組成物は、前記エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)において、各共重
合体の酢酸ビニル含量の差を取った際に、少なくとも1組の共重合体の酢酸ビニル含量の
差が40重量%以下であることが好ましい。これにより、組成物(B)を構成するエチレ
ン-酢酸ビニル共重合体間の相容性がより向上し、得られる組成物の耐衝撃性及び柔軟性
が向上する。少なくとも1組の共重合体の酢酸ビニル含量の差は、好ましくは35重量%
以下、さらに好ましくは30重量%以下であり、最も好ましくは28重量%以下である。
【0036】
また、少なくとも1組の共重合体の酢酸ビニル含量の差は5重量%以上であることが好
ましい。これにより、熱可塑性樹脂(A)と組成物(B)を構成するエチレン-酢酸ビニ
ル共重合体間の相容性がより向上し、得られる組成物の耐衝撃性及び柔軟性が向上する。
【0037】
ここで、前記エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)において、各共重合体の酢酸
ビニル含量の差とは、例えば、酢酸ビニル含量25重量%、50重量%、80重量%の3
種のエチレン-酢酸ビニル共重合体(以下、酢酸ビニル含量をそれぞれ。VAc25、V
Ac50、VAc80と表記する)を含む組成物においては、次にように算出できる。
【0038】
VAc50 - VAc25 = 25重量%
VAc80 - VAc50 = 30重量%
VAc80 - VAc25 = 55重量%
【0039】
本発明の組成物は、前記エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)において、各共重
合体の酢酸ビニル含量の差を取った際に、各酢酸ビニル含量の差が全ての組合せにおいて
70重量%以下であることが好ましい。これにより得られる組成物の透明性がより向上す
る。全ての酢酸ビニル含量の差は、好ましくは60重量%以下である。
【0040】
また、各酢酸ビニル含量の差が全て5重量%以上であることが好ましい。これにより、
熱可塑性樹脂(A)と組成物(B)を構成するエチレン-酢酸ビニル共重合体間の相容性
がより向上し、得られる組成物の耐衝撃性及び柔軟性が向上する。
【0041】
本発明のエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)は酢酸ビニル含量が異なる3種以
上のエチレン-酢酸ビニル共重合体を含むものであることが好ましい。この場合、以下の
エチレン-酢酸ビニル共重合体を含むことが好ましい。
【0042】
・酢酸ビニル含量が15重量%以上30重量%以下のエチレン-酢酸ビニル共重合体
・酢酸ビニル含量が45重量%以上55重量%以下のエチレン-酢酸ビニル共重合体
・酢酸ビニル含量が75重量%以上85重量%以下のエチレン-酢酸ビニル共重合体
これらを満足させるためには、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)を構成する
エチレン-酢酸ビニル共重合体は2種以上、好ましくは3種以上とすることで調整するこ
とができ、酢酸ビニル含量25重量%のエチレン酢酸ビニル共重合体をVAc25と表記
し、成分の組成を(+)で表すと、例えば、(VAc25+VAc40)、(VAc25
+VAc50)、(VAc50+VAc80)、(VAc25+VAc50+VAc80
)、(VAc25+VAc50+VAc70+VAc80)、(VAc25+VAc40
+VAc50+VAc70)、VAc25+VAc40+VAc50+VAc70+VA
c80)などが例示される。
【0043】
本発明におけるエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)を構成するエチレン-酢酸
ビニル共重合体は架橋されていてもよい。
【0044】
架橋変性方法としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)に架橋剤を添加す
る手法が挙げられ、架橋剤としては各成分を架橋できるものあればよく、特に限定される
ものではないが、反応性などを考慮して有機過酸化物を使用することが好ましい。
【0045】
架橋剤の有機過酸化物としては、有機過酸化物であれば特に限定されず、例えば、ジク
ミルペルオキシド、ジt-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブ
チルペルオキシ)ヘキサン、1、1ージ(tーブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,
5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(t-
ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3
,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-ジイソ
プロピルベンゼン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレレート、ベ
ンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイ
ルペルオキシド、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-ブチルペルオキシイソプロピ
ルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t-ブチルクミル
ペルオキシドなどが挙げることができる。これらは単独で或いは2種類以上を混合して使
用することができる。
【0046】
なかでも、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1、1
ージ(tーブチルペルオキシ)シクロヘキサンが反応性の観点から好ましく用いられる。
また、前記架橋剤と共に、必要に応じて、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼ
ンなどの架橋助剤を用いてもよい。
【0047】
上記架橋剤を含んでいるエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)を、熱を加え混練
することで架橋することができる。この際、混練温度はエチレン-酢酸ビニル共重合体組
成物(B)の融点~300℃程度が好ましい。
【0048】
また、本発明におけるエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)は、熱可塑性樹脂(
A)との相容性を高めるために加水分解処理して酢酸ビニルをビニルアルコールに変換し
てもよい。
【0049】
加水分解の処理方法は特に限定されないが、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B
)のペレットをアルカリ中で直接加水分解処理するのが好ましい。本発明のエチレン-酢
酸ビニル共重合体組成物(B)のケン化度は10重量%以上が好ましい。10重量%以上
であれば熱可塑性樹脂(A)に対する相溶性が向上する。
【0050】
ここで、ケン化度はJIS K7192(1999年)に準拠して測定することができ
る。
【0051】
本発明の樹脂組成物における熱可塑性樹脂(A)とエチレン-酢酸ビニル共重合体組成
物(B)との混合比率は、熱可塑性樹脂(A)を1重量%以上99重量%以下、エチレン
-酢酸ビニル共重合体組成物(B)を1重量%以上99重量%以下含むことが好ましい。
熱可塑性樹脂(A)を99重量%以下含むことで得られる樹脂組成物は耐衝撃性に優れた
ものとなる。一方、熱可塑性樹脂を1重量%以上含むことで得られる樹脂組成物が剛性に
優れたものとなる。本発明の組成物は、さらに好ましくは熱可塑性樹脂(A)を30重量
%以上95重量%以下、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)を5重量%以上70
重量%含み、またさらに好ましくは熱可塑性樹脂(A)を50重量%以上90重量%以下
、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)を10重量%以上50重量%含む。
【0052】
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)とエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(
B)を混練する混練工程を有する製造方法により製造することができる。
【0053】
本発明の樹脂組成物を混練する方法としては、熱可塑性樹脂(A)とエチレン-酢酸ビ
ニル共重合体組成物(B)を構成する各種材料を同時に混練装置で混練する方法と、エチ
レン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)のみを事前に混練し、その後熱可塑性樹脂(A)
と混練したエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)をブレンドし更に混練する方法が
挙げられる。後者の方がエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)がより均一に混ざり
、所望の物性が安定して得られることから好ましい。
【0054】
混練装置としては、各成分を均一に分散できれば特に制限はなく、通常用いられる樹脂
の混練装置により製造することができる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機
、バンバリーミキサー、加圧ニーダ-、回転ロール、インターナルミキサーなどの混練装
置が挙げられる。この中で、分散性および連続生産性に優れることから、二軸押出機がよ
り好ましい。
【0055】
二軸押出機で混練を行う場合のスクリュ回転数は特に制限されないが、50rpm以上
3000rpm以下で混練することが好ましく、より好ましくは300rpm以上300
0rpm以下であり、更に好ましくは500rpm以上3000rpm以下である。スク
リュ回転数50rpm以上であれば混合した各成分の分散性が向上し、得られた樹脂の物
性に優れるため好ましく、スクリュ回転数3000rpm以下であれば過剰なせん断発熱
による樹脂の劣化が生じないことから、得られた樹脂の物性に優れるため好ましい。
【0056】
混練工程において押出機を使用する場合、押出機で混練した樹脂組成物、好ましくは前
記50rpm以上3000rpm以下の高速せん断条件で混練した樹脂組成物を原料とし
てもちいることができる。また、そのまま押出機で押出成形することで得られる成形体を
成形品として用いることができる。
【0057】
混練温度は熱可塑性樹脂(A)の融点または非晶性樹脂であればガラス転移温度~30
0℃程度が好ましい。
【0058】
また、本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、帯電防止剤、光安定
剤、紫外線吸収剤、造核剤、滑剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、流動性改良剤、離
型剤、難燃剤、着色剤、無機系中和剤、塩酸吸収剤、充填剤導電剤、鎖長延長剤、加水分
解防止剤等が用いられても良い。
【0059】
本発明の樹脂組成物がこれら(A)、(B)以外の成分を含む場合、その含有量は、(
A)と(B)の合計を100重量部とし、その100重量部に対する添加量として表すこ
とができる。換言すると、前記(A)、(B)の「~重量%」という表記は(A)、(B
)の比率であり、それ以外の成分の比率は別に定義することができる。
【0060】
また本発明の樹脂組成物は、ペレットやパウダーなどの任意の形態にしておいて使用す
ることができる。
【0061】
本発明の樹脂組成物の成形方法は任意であり、例えば異形押出、フィルム、シート、ブ
ロー、射出、発泡、押出コーティング、回転成形などが挙げられる。
【0062】
本発明の樹脂組成物からなる成形品は、自動車部品、電気・電子部品の筐体、建材、土
木部材、農業資材、容器、包装資材、接着剤、日用品など各種用途に利用することができ
る。
【0063】
本発明の別の様態としては、酢酸ビニル含量の異なる2種以上のエチレン-酢酸ビニル
共重合体組成物を含む衝撃強度改質剤である。これは該改質剤が前述のエチレン-酢酸ビ
ニル共重合体組成物(B)を含むことを意味する。
【0064】
また、本発明の別の様態である改質剤は、少なくとも2種の樹脂を相溶化させることが
でき、リサイクルに好適に使用することができる。ここで、リサイクルの対象となる樹脂
は、前述の熱可塑性樹脂(A)である。実用上、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレ
ン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチ
レン-ビニルアルコール共重合体、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロ
ン12、ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタラート樹脂
(PETG樹脂)、ポリブチレンテレフタレートからなる群の少なくとも2種の複合化に
使用することができる。
【発明の効果】
【0065】
本発明の樹脂組成物は耐衝撃性や破断伸度に優れており、これらの物性を要求される成
形品に有用である。
【実施例0066】
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
【0067】
(1)メルトマスフローレート(MFR)
エチレン-酢酸ビニル共重合体、および熱可塑性樹脂(A)のMFRは、メルトインデ
クサー(宝工業製)にて190℃、2.16kg荷重の条件にて測定した。
(2)酢酸ビニル含量
酢酸ビニル含量は、JIS K6924-1に準拠して測定した。
(3)衝撃強度
衝撃強度はJIS P 8134に準拠して測定した。プレス成型した厚み0.1mm
のシートをフィルムインパクトテスタ(東洋精機製、FT-M型)にて、試験容量3J、
突き刺し先端半球状ハンマーの条件にて測定した。
(4)引張試験
柔軟性試験として、引張試験を行った。プレス成型した厚み0.1mmのシートをAS
TM D-1822-L ダンベル状試験片に打ち抜いた。試験片のサイズは、全長63
.5mm、平行部長さ9.53mm、平行部幅3.18mm、厚さ0.1mm、つかみ部
幅9.53mmであった。試験片をテンシロン引張試験機(オリエンテック製、RTE-
1210)にて、チャック間距離30mm、引張速度200mm/分の条件で測定した。
試料が破断した点を破断伸度(破断伸度[%]=破断に要した引張長さ[mm]/チャッ
ク間距離30mm)とした。
【0068】
実施例1
熱可塑性樹脂(A)としてL体比率98.5%、D体比率1.5%、重量平均分子量1
8万g/mol、メルトマスフローレイト4g/10分、融点170℃であるポリ乳酸(
A-1)(NatureWorks(株)社製、商品名Ingeo4032D)を90重
量%、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)として下記組成のエチレン-酢酸ビニ
ル共重合体10重量%を用いた。
【0069】
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)5重量
%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)5重
量%
熱可塑性樹脂(A)とエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)をドライブレンドし
、インターナルミキサー(東洋精機製、商品名ラボブラストミルR-100)にて樹脂温
度180℃、ローラー回転数60rpm、混練時間5分の条件にて溶融混練を行った。
【0070】
得られた混練物を、プレス成型機(神藤金属工業所製 AWFA-50型)を用いて、
圧力10MPa、加熱温度200℃(一次加圧×3分、二次加圧×3分)、冷却温度25
℃(4分)の条件にてプレス成型し、厚み0.1mmのプレスシートを得た。
【0071】
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表1に
示す。
【0072】
実施例2
エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)10重量%の組成を下記とした以外は実施
例1と同様の手法によりプレスシートを得た。
【0073】
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)4重量
%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)3重
量%
・酢酸ビニル含量80重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-80)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン800)3重
量%
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表1に
示す。
【0074】
実施例3
熱可塑性樹脂(A)としてL体比率98.5%、D体比率1.5%、重量平均分子量1
8万g/mol、メルトマスフローレイト4g/10分、融点170℃であるポリ乳酸(
A-1)(NatureWorks(株)社製、商品名Ingeo4032D)80重量
%、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)として下記組成のエチレン-酢酸ビニル
共重合体20重量%を用いた以外は実施例1と同様の手法によりプレスシートを得た。
【0075】
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)10重
量%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)10
重量%
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表1に
示す。
【0076】
実施例4
エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)20重量%の組成を下記とした以外は実施
例3と同様の手法によりプレスシートを得た。
【0077】
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)6重量
%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)9重
量%
・酢酸ビニル含量80重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-80)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン800)5重
量%
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表1に
示す。
【0078】
実施例5
エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)20重量%の組成を下記とした以外は実施
例3と同様の手法によりプレスシートを得た。
【0079】
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)6重量
%
・酢酸ビニル含量40重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-40)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン400)3重
量%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)4重
量%
・酢酸ビニル含量70重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-70)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン700)2重
量%
・酢酸ビニル含量80重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-80)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン800)5重
量%
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表1に
示す。
【0080】
実施例6
熱可塑性樹脂(A)としてL体比率98.5%、D体比率1.5%、重量平均分子量1
8万g/mol、メルトマスフローレイト4g/10分、融点170℃であるポリ乳酸(
A-1)(NatureWorks(株)社製、商品名Ingeo4032D)70重量
%、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)として下記組成のエチレン-酢酸ビニル
共重合体30重量%を用いた以外は実施例1と同様の手法によりプレスシートを得た。
【0081】
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)9重量
%
・酢酸ビニル含量40重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-40)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン400)4重
量%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)6重
量%
・酢酸ビニル含量70重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-70)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン700)3重
量%
・酢酸ビニル含量80重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-80)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン800)8重
量%
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表1に
示す。
【0082】
実施例7
熱可塑性樹脂(A)としてL体比率98.5%、D体比率1.5%、重量平均分子量1
8万g/mol、メルトマスフローレイト4g/10分、融点170℃であるポリ乳酸(
A-1)(NatureWorks(株)社製、商品名Ingeo4032D)50重量
%、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)として下記組成のエチレン-酢酸ビニル
共重合体50重量%を用いた以外は実施例1と同様の手法によりプレスシートを得た。
【0083】
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)15重
量%
・酢酸ビニル含量40重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-40)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン400)7重
量%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)10
重量%
・酢酸ビニル含量70重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-70)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン700)5重
量%
・酢酸ビニル含量80重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-80)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン800)13
重量%
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表2に
示す。
【0084】
実施例8
エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)として架橋されたエチレン-酢酸ビニル共
重合組成物(B-架橋)20重量%を用いた以外は実施例3と同様の手法によりプレスシ
ートを得た。但し、架橋されたエチレン-酢酸ビニル共重合組成物(B-架橋)は以下の
方法により得た。
【0085】
下記組成のエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物および架橋剤として有機過酸化物(日
油(株)製、商品名パーヘキサ25B)をエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物に対して
0.02重量%ブレンドし、インターナルミキサー(東洋精機製、商品名ラボブラストミ
ルR-100)にて樹脂温度180℃、ローラー回転数60rpm、混練時間2分の条件
にて溶融混練を行い、エチレン-酢酸ビニル共重合組成物(B-架橋)を得た。
【0086】
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)6重量
%
・酢酸ビニル含量40重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-40)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン400)3重
量%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)4重
量%
・酢酸ビニル含量70重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-70)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン700)2重
量%
・酢酸ビニル含量80重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-80)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン800)5重
量%
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表2に
示す。
【0087】
実施例9
エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)としてケン化処理されたエチレン-酢酸ビ
ニル共重合組成物(B-ケン化)20重量%を用いた以外は実施例1と同様の手法により
プレスシートを得た。但し、ケン化処理されたエチレン-酢酸ビニル共重合組成物(B-
ケン化)は以下の方法により得た。
【0088】
実施例8に記載の架橋されたエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B-架橋)を1重
量部の水酸化ナトリウムメタノール溶液中で60℃で加水分解処理を行い、ケン化処理さ
れたエチレン-酢酸ビニル共重合組成物(B-ケン化)を得た。
【0089】
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表2に
示す。
【0090】
実施例10
エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)20重量%の組成を下記とした以外は実施
例3と同様の手法によりプレスシートを得た。
【0091】
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)10重
量%
・酢酸ビニル含量80重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-80)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン800)10
重量%
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表2に
示す。
【0092】
比較例1
熱可塑性樹脂(A)としてL体比率98.5%、D体比率1.5%、メルトマスフロー
レイト4g/10分、融点170℃であるポリ乳酸(A-1)(NatureWorks
(株)社製、商品名Ingeo4032D)100重量%を用いた以外は実施例1と同様
の手法によりプレスシートを得た。
【0093】
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表2に
示す。
【0094】
比較例2
エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)として酢酸ビニル含量25重量%、メルト
マスフローレイト3g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(B-25)(東ソ
ー(株)製 商品名ウルトラセン640)20重量%のみを用いた以外は実施例3と同様
の手法によりプレスシートを得た。
【0095】
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表2に
示す。
【0096】
【0097】
【0098】
実施例11
熱可塑性樹脂(A)としてメルトマスフローレイト5g/10分、融点115℃である
ポリブチレンサクシネート(A-2)(三菱化学(株)社製、商品名GSPla FZ9
1)80重量%、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)20重量%の組成を下記と
した以外は実施例1と同様の手法によりプレスシートを得た。
【0099】
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)5重量
%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)5重
量%
・酢酸ビニル含量80重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-80)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン800)10
重量%
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表3に
示す。
【0100】
実施例12
エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)20重量%の組成を下記とした以外は実施
例11と同様の手法によりプレスシートを得た。
【0101】
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)2重量
%
・酢酸ビニル含量40重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-40)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン400)2重
量%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)3重
量%
・酢酸ビニル含量70重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-70)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン700)3重
量%
・酢酸ビニル含量80重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-80)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン800)10
重量%
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表3に
示す。
【0102】
実施例13
エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)20重量%として実施例8に記載の架橋さ
れたエチレン-酢酸ビニル共重合組成物(B-架橋)を用いた以外は実施例11と同様の
手法によりプレスシートを得た。
【0103】
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表3に
示す。
【0104】
実施例14
エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)20重量%として実施例9に記載のケン化
処理されたエチレン-酢酸ビニル共重合組成物(B-ケン化)を用いた以外は実施例11
と同様の手法によりプレスシートを得た。
【0105】
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表3に
示す。
【0106】
比較例3
熱可塑性樹脂(A)としてメルトマスフローレイト5g/10分、融点115℃である
ポリブチレンサクシネート(A-2)(三菱化学(株)社製、商品名GSPla FZ9
1)100重量%を用いた以外は実施例11と同様の手法によりプレスシートを得た。
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表3に
示す。
【0107】
比較例4
エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)として酢酸ビニル含量25重量%、メルト
マスフローレイト3g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(B-25)(東ソ
ー(株)製 商品名ウルトラセン640)20重量%のみを用いた以外は実施例11と同
様の手法によりプレスシートを得た。得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試
験を実施した。評価の結果を表3に示す。
【0108】
【0109】
実施例15
熱可塑性樹脂(A)としてメルトマスフローレイト0.2g/10分、ガラス転移温度
115℃であるポリメタクリル酸メチル(A-3)((株)クラレ社製、商品名パラペッ
トG-1000)80重量%、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)20重量%の
組成を下記とした以外は実施例1と同様の手法によりプレスシートを得た。
【0110】
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)6重量
%
・酢酸ビニル含量40重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-40)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン400)3重
量%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)4重
量%
・酢酸ビニル含量70重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-70)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン700)2重
量%
・酢酸ビニル含量80重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-80)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン800)5重
量%
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表4に
示す。
【0111】
実施例16
エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)20重量%として実施例8に記載の架橋さ
れたエチレン-酢酸ビニル共重合組成物(B-架橋)を用いた以外は実施例15と同様の
手法によりプレスシートを得た。
【0112】
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表4に
示す。
【0113】
比較例5
熱可塑性樹脂(A)としてメルトマスフローレイト0.2g/10分、ガラス転移温度
115℃であるポリメタクリル酸メチル(A-3)((株)クラレ社製、商品名パラペッ
トG-1000)100重量%を用いた以外は実施例15と同様の手法によりプレスシー
トを得た。
【0114】
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表4に
示す。衝撃強度および破断伸度に劣っていた。
【0115】
比較例6
エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)として酢酸ビニル含量25重量%、メルト
マスフローレイト3g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(B-25)(東ソ
ー(株)製 商品名ウルトラセン640)20重量%のみを用いた以外は実施例15と同
様の手法によりプレスシートを得た。得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試
験を実施した。評価の結果を表4に示す。衝撃強度および破断伸度に劣っていた。
【0116】
【0117】
実施例17
熱可塑性樹脂(A)として下記組成の熱可塑性樹脂組成物70重量%、およびエチレン
-酢酸ビニル共重合体組成物(B)として下記組成のエチレン-酢酸ビニル共重合体30
重量%を用いた。
[熱可塑性樹脂(A)の組成物]
・メルトマスフローレイト5.5g/10分、融点133℃である高密度ポリエチレン
(A-4)(東ソー(株)製 商品名ニポロンHD4020)17.5重量%
・メルトマスフローレイト6.5g/10分、融点137℃であるポリプロピレン(A
-5)(日本ポリプロ(株)製 商品名ノバテックPP FW4BT)17.5重量%
・ガラス転移温度67℃であるPETG樹脂(A-6)(イーストマンケミカル社製
商品名Eastar GN5011)17.5重量%
・エチレン含量35mol%、融点177℃であるエチレン-ビニルアルコール共重合
体(A-7)((株)クラレ社製 商品名エバール C109B)17.5重量%
[エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)]
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)15重
量%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)7.
5重量%
・酢酸ビニル含量80重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-80)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン800)7.
5重量%
熱可塑性樹脂(A-4)~(A-7)とエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)を
ドライブレンドし、インターナルミキサー(東洋精機製、商品名ラボブラストミルR-1
00)にて樹脂温度200℃、ローラー回転数60rpm、混練時間5分の条件にて溶融
混練を行った。
【0118】
得られた混練物を、プレス成型機(神藤金属工業所製 AWFA-50型)を用いて、
圧力10MPa、加熱温度200℃(一次加圧×3分、二次加圧×3分)、冷却温度25
℃(4分)の条件にてプレス成型し、厚み0.1mmのプレスシートを得た。
【0119】
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表5に
示す。
【0120】
実施例18
エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)30重量%の組成を下記とした以外は実施
例17と同様の手法によりプレスシートを得た。
【0121】
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)9重量
%
・酢酸ビニル含量40重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-40)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン400)4重
量%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)6重
量%
・酢酸ビニル含量70重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-70)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン700)3重
量%
・酢酸ビニル含量80重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-80)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン800)8重
量%
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表5に
示す。
【0122】
比較例7
熱可塑性樹脂(A)として下記組成の熱可塑性樹脂組成物100重量%を用いた以外は
実施例17と同様の手法によりプレスシートを得た。
【0123】
・メルトマスフローレイト5.5g/10分、融点133℃である高密度ポリエチレン
(A-4)(東ソー(株)製 商品名ニポロンHD4020)17.5重量%
・メルトマスフローレイト6.5g/10分、融点137℃であるポリプロピレン(A
-5)(日本ポリプロ(株)製 商品名ノバテックPP FW4BT)17.5重量%
・ガラス転移温度67℃であるPETG樹脂(A-6)(イーストマンケミカル社製
商品名Eastar GN5011)17.5重量%
・エチレン含量35mol%、融点177℃であるエチレン-ビニルアルコール共重合
体(A-7)((株)クラレ社製 商品名エバール C109B)17.5重量%
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表5に
示す。
【0124】
比較例8
エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)に代えて熱可塑性樹脂(A-8)として、
密度923kg/m3、メルトマスフローレイト4g/10分、融点109℃である低密
度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン217)30重量%を用いた以外は
実施例17と同様の手法によりプレスシートを得た。
【0125】
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表5に
示す。
【0126】
比較例9
エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)30重量%として酢酸ビニル含量80重量
%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(B-8
0)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン800)30重量%を用いた以外は実施例
17と同様の手法によりプレスシートを得た。
【0127】
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表5に
示す。
【0128】
【0129】
実施例19
熱可塑性樹脂(A)として、25μm厚のポリエチレンフィルムと12μm厚のポリエ
チレンテレフタレートフィルムが接着剤を介して積層された使用済みの多層フィルム(A
-Rc)を70重量%、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)として下記組成のエ
チレン-酢酸ビニル共重合体30重量%を用いた。
[熱可塑性樹脂(A-Rc)]
・PE 40.7重量% メルトマスフローレイト8g/10分、融点105℃であ
る低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン203)
・接着剤 0.2重量%、イソシアネート系アンカーコート剤(三井化学株式会社製
商品名:タケラックA-3210)とイソシアネート系アンカーコート剤(三井化学株
式会社製 商品名:タケネートA-3072)を3:1で混合して得られた混合物
・PET 29.1重量% (東洋紡製 商品名エステルフィルムE5100)
[エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)]
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)15重
量%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)7.
5重量%
・酢酸ビニル含量80重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-80)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン800)7.
5重量%
多層フィルム(A-Rc)を押出機に投入できるサイズである5mm角程度にカットし
、二軸押出機2D25-S((株)東洋精機製)を装着したラボプラストミル((株)東
洋精機製)を用いて、樹脂温度270℃、スクリュ回転数60rpmの条件で溶融混練し
、ペレット状の多層フィルム(A-Rc)樹脂組成物を得た。
【0130】
多層フィルム(A-Rc)樹脂組成物70重量%と、事前に混練しておいたエチレン-
酢酸ビニル共重合体組成物(B)30重量%をドライブレンドし、二軸押出機2D25-
S((株)東洋精機製)を装着したラボプラストミル((株)東洋精機製)を用いて、樹
脂温度230℃、回転数60rpmの条件で溶融混練し、ペレット状の樹脂組成物を得た
。
【0131】
得られた樹脂組成物ペレットを、プレス成型機(神藤金属工業所製 AWFA-50型
)を用いて、圧力10MPa、加熱温度200℃(一次加圧×3分、二次加圧×3分)、
冷却温度25℃(4分)の条件にてプレス成型し、厚み0.1mmのプレスシートを得た
。
【0132】
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表6に
示す。
【0133】
実施例20
エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)30重量%の組成を下記とした以外は実施
例19と同様の手法によりプレスシートを得た。
【0134】
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)9重量
%
・酢酸ビニル含量40重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-40)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン400)4重
量%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)6重
量%
・酢酸ビニル含量70重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-70)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン700)3重
量%
・酢酸ビニル含量80重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-80)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン800)8重
量%
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表6に
示す。
【0135】
比較例10
熱可塑性樹脂(A)として、多層フィルム(A-Rc)100重量%のみを用いた。
【0136】
多層フィルム(A-Rc)を押出機に投入できるサイズにカットし、二軸押出機2D2
5-S((株)東洋精機製)を装着したラボプラストミル((株)東洋精機製)を用いて
、樹脂温度270℃、スクリュ回転数60rpmの条件で溶融混練し、ペレット状の多層
フィルム(A-Rc)樹脂組成物を得た。
【0137】
得られた樹脂組成物ペレットをプレス成型機(神藤金属工業所製 AWFA-50型)
を用いて、圧力10MPa、加熱温度200℃(一次加圧×3分、二次加圧×3分)、冷
却温度25℃(4分)の条件にてプレス成型し、厚み0.1mmのプレスシートを得た。
【0138】
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表6に
示す。
【0139】
【0140】
実施例21
熱可塑性樹脂(A)として下記組成の熱可塑性樹脂組成物70重量%、およびエチレン
-酢酸ビニル共重合体組成物(B)として下記組成のエチレン-酢酸ビニル共重合体30
重量%を用いた。
[熱可塑性樹脂(A)の組成物]
・メルトマスフローレイト5.5g/10分、融点133℃である高密度ポリエチレン
(A-4)(東ソー(株)製 商品名ニポロンHD4020)49重量%
・メルトマスフローレイト6.5g/10分、融点137℃であるポリプロピレン(A
-5)(日本ポリプロ(株)製 商品名ノバテックPP FW4BT)7重量%
・ガラス転移温度67℃であるPETG樹脂(A-6)(イーストマンケミカル社製
商品名Eastar GN5011)7重量%
・エチレン含量35mol%、融点177℃であるエチレン-ビニルアルコール共重合
体(A-7)((株)クラレ社製 商品名エバール C109B)7重量%
[エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)]
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)15重
量%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)7.
5重量%
・酢酸ビニル含量80重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-
酢酸ビニル共重合体(B-80)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン800)7.
5重量%
熱可塑性樹脂(A-4)~(A-7)とエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(B)を
ドライブレンドし、スクリュ径が25mmである二軸押出機(テクノベル製 商品名UL
Tnano25TW)を用いて、樹脂温度200℃、スクリュ回転数100rpmの条件
で溶融混練し、樹脂組成物を得た。
【0141】
得られた樹脂組成物を、プレス成型機(神藤金属工業所製 AWFA-50型)を用い
て、圧力10MPa、加熱温度200℃(一次加圧×3分、二次加圧×3分)、冷却温度
25℃(4分)の条件にてプレス成型し、厚み0.1mmのプレスシートを得た。
【0142】
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表7に
示す。
【0143】
実施例22
二軸押出機のスクリュ回転数を600rpmとした以外は、実施例21と同様の手法に
よりプレスシートを得た。
【0144】
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表7に
示す。
【0145】
比較例11
熱可塑性樹脂(A)として下記組成の熱可塑性樹脂組成物100重量%、を用いた以外
は実施例22と同様の手法によりプレスシートを得た。
[熱可塑性樹脂(A)の組成物]
・メルトマスフローレイト5.5g/10分、融点133℃である高密度ポリエチレン
(A-4)(東ソー(株)製 商品名ニポロンHD4020)70重量%
・メルトマスフローレイト6.5g/10分、融点137℃であるポリプロピレン(A
-5)(日本ポリプロ(株)製 商品名ノバテックPP FW4BT)10重量%
・ガラス転移温度67℃であるPETG樹脂(A-6)(イーストマンケミカル社製
商品名Eastar GN5011)10重量%
・エチレン含量35mol%、融点177℃であるエチレン-ビニルアルコール共重合
体(A-7)((株)クラレ社製 商品名エバール C109B)10重量%
得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表7に
示す。
【0146】