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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096284
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】基板処理装置、及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240705BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240705BHJP
   F26B 5/14 20060101ALI20240705BHJP
   F26B 9/00 20060101ALI20240705BHJP
   F26B 21/10 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
H01L21/304 651Z
H01L21/304 648A
H01L21/68 N
F26B5/14
F26B9/00 Z
F26B21/10
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024073838
(22)【出願日】2024-04-30
(62)【分割の表示】P 2020135142の分割
【原出願日】2020-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】梅▲崎▼ 翔太
(72)【発明者】
【氏名】稲富 弘朗
(57)【要約】
【課題】超臨界乾燥を行う基板処理装置を小型化する、技術を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、基板を搬送する搬送装置が配置される搬送ブロックと、前記搬送ブロックに隣接する処理ブロックと、を備える。前記処理ブロックは、水平な前記基板の上面に液膜を形成する液膜形成ユニットと、前記液膜を超臨界流体に置換し、前記基板を乾燥する乾燥ユニットと、を含む。前記乾燥ユニットは、前記基板の乾燥室を内部に形成する圧力容器と、前記乾燥室の開口を塞ぐ蓋体と、前記乾燥室に固定されて前記基板を水平に支持する支持体と、を備える。前記蓋体は、前記開口を塞ぐ閉塞位置と、前記閉塞位置から前記基板の搬出方向に離れた開放位置との間で進退可能である。前記乾燥ユニットは、前記蓋体が前記閉塞位置から前記開放位置に向けて後退するのを制限するロックキーを備える。前記搬送装置は、前記液膜が形成された前記基板を水平に保持し、前記乾燥室の前記開口を通り、前記乾燥室に進入する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送する搬送装置が配置される搬送ブロックと、前記搬送ブロックに隣接する処理ブロックと、を備える基板処理装置であって、
前記処理ブロックは、水平な前記基板の上面に液膜を形成する液膜形成ユニットと、前記液膜を超臨界流体に置換し、前記基板を乾燥する乾燥ユニットと、を含み、
前記乾燥ユニットは、前記基板の乾燥室を内部に形成する圧力容器と、前記乾燥室の開口を塞ぐ蓋体と、前記乾燥室に固定されて前記基板を水平に支持する支持体と、を備え、
前記蓋体は、前記開口を塞ぐ閉塞位置と、前記閉塞位置から前記基板の搬出方向に離れた開放位置との間で進退可能であり、
前記乾燥ユニットは、前記蓋体が前記閉塞位置から前記開放位置に向けて後退するのを制限するロックキーを備え、
前記搬送装置は、前記液膜が形成された前記基板を水平に保持し、前記乾燥室の前記開口を通り、前記乾燥室に進入する、基板処理装置。
【請求項2】
前記乾燥ユニットは、前記蓋体を前記閉塞位置と前記開放位置との間で進退させる直動機構と、前記蓋体を前記開放位置と前記基板の搬入出経路から外れた待機位置との間で回動させる回動機構と、を備える、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記乾燥ユニットは、前記ロックキーを、前記蓋体の後退を制限するロック位置と、前記蓋体の後退を許容するロック解除位置との間で昇降させる昇降機構と、前記ロックキーに転動自在に保持される転動体と、を備え、
前記昇降機構は、前記ロックキーが載置される水平面を有し、
前記転動体は、前記ロックキーの下面に複数設けられ、前記昇降機構の前記水平面に接触した状態で転動する、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記転動体は、前記ロックキーの後面に、鉛直方向に間隔をおいて複数設けられる、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の基板処理装置を用いて、前記乾燥室にて前記液膜を超臨界流体に置換し、前記基板を乾燥することを有する、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の乾燥処理装置は、水平な基板の上面に形成された液膜を超臨界流体に置換し、基板を乾燥する。この乾燥処理装置は、矩形箱型状の容器本体と、蓋体と、基板載置台とを備える。蓋体と、基板載置台とは、基板を搬入及び搬出するための搬入出機構を兼ねており、進退可能に設けられる。特許文献2にも、同様の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-254904号公報
【特許文献2】特開2019-67863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一態様は、超臨界乾燥を行う基板処理装置を小型化する、技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る基板処理装置は、基板を搬送する搬送装置が配置される搬送ブロックと、前記搬送ブロックに隣接する処理ブロックと、を備える。前記処理ブロックは、水平な前記基板の上面に液膜を形成する液膜形成ユニットと、前記液膜を超臨界流体に置換し、前記基板を乾燥する乾燥ユニットと、を含む。前記乾燥ユニットは、前記基板の乾燥室を内部に形成する圧力容器と、前記乾燥室の開口を塞ぐ蓋体と、前記乾燥室に固定されて前記基板を水平に支持する支持体と、を備える。前記蓋体は、前記開口を塞ぐ閉塞位置と、前記閉塞位置から前記基板の搬出方向に離れた開放位置との間で進退可能である。前記乾燥ユニットは、前記蓋体が前記閉塞位置から前記開放位置に向けて後退するのを制限するロックキーを備える。前記搬送装置は、前記液膜が形成された前記基板を水平に保持し、前記乾燥室の前記開口を通り、前記乾燥室に進入する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、超臨界乾燥を行う基板処理装置を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る基板処理装置の平面図である。
図2図2は、一実施形態に係る基板処理装置の正面図である。
図3図3は、一実施形態に係る基板処理装置の側面図である。
図4図4は、一実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図5図5(A)は蓋体の待機位置の一例を示す断面図、図5(B)は蓋体の開放位置の一例を示す断面図、図5(C)は蓋体の閉塞位置の一例を示す断面図である。
図6図6(A)は整流板の一例を示す水平断面図、図6(B)は図6(A)のB-B線に沿った断面図、図6(C)は図6(A)のC-C線に沿った断面図である。
図7図7(A)は昇圧時の流れの一例を示す水平断面図、図7(B)は昇圧時の流れの一例を示す鉛直断面図である。
図8図8(A)はパージ時の流れの一例を示す水平断面図、図8(B)はパージ時の流れの一例を示す鉛直断面図である。
図9図9(A)は乾燥ユニットの流体供給時の状態を示す側面図、図9(B)は図9(A)のB-B線に沿った断面図である。
図10図10(A)は乾燥ユニットの基板搬入出時の状態を示す側面図、図10(B)は図10(A)のB-B線に沿った断面図である。
図11図11(A)はロックキーの上昇開始時の状態の一例を示す断面図、図11(B)はロックキーの上昇終了時の状態の一例を示す断面図である。
図12図12は、図4のS4の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、第1変形例に係る基板処理装置の平面図である。
図14図14は、第1変形例に係る基板処理装置の正面図である。
図15図15は、第2変形例に係る基板処理装置の平面図である。
図16図16は、第2変形例に係る基板処理装置の側面図である。
図17図17は、第3変形例に係る基板処理装置の平面図である。
図18図18は、第3変形例に係る基板処理装置の正面図である。
図19図19は、第4変形例に係る基板処理装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。本明細書において、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向及びY軸方向は水平方向、Z軸方向は鉛直方向である。
【0009】
先ず、図1図3を参照して、実施形態の基板処理装置1について説明する。図1に示すように、基板処理装置1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは、X軸方向に隣接して設けられる。
【0010】
搬入出ステーション2は、載置台21と、搬送部22と、受渡部23と、を備える。載置台21は、複数のキャリアCが載置されるものである。複数のキャリアCは、それぞれ、水平な基板Wを鉛直方向に間隔をおいて複数枚収容する。
【0011】
基板Wは、シリコンウェハ若しくは化合物半導体ウェハ等の半導体基板、又はガラス基板を含む。基板Wは、半導体基板又はガラス基板の表面に形成される電子回路などのデバイスを更に含んでもよい。基板Wは、その表面に凹凸パターンを有してもよい。
【0012】
搬送部22は、載置台21に隣接して設けられる。搬送部22の内部には、第1搬送装置22aが配置される。第1搬送装置22aは、搬送部22の内部にて基板Wを搬送し、搬送部22の隣に配置される複数の装置間で基板Wを搬送する。
【0013】
第1搬送装置22aは、基板Wを保持する第1搬送アームを含む。第1搬送アームは、水平方向(X軸方向及びY軸方向の両方向)及び鉛直方向への移動、並びに鉛直軸を中心とする旋回が可能である。第1搬送アームの数は、1つでもよいし、複数でもよい。
【0014】
受渡部23は、搬送部22に隣接して設けられる。受渡部23は、基板Wを一時的に収容するトランジション装置23aを有する。図2に示すように複数のトランジション装置23aが鉛直方向に段積みされてもよい。但し、トランジション装置23aの配置及び数は、特に限定されない。
【0015】
処理ステーション3は、搬送ブロック31と、複数の処理ブロック32とを備える。搬送ブロック31は、受渡部23に隣接して設けられる。搬送ブロック31は、直方体状である。搬送ブロック31の内部には、第2搬送装置31aが配置される。第2搬送装置31aは、搬送ブロック31の隣に配置される複数の装置間で基板Wを搬送する。
【0016】
第2搬送装置31aは、基板Wを保持する第2搬送アームを含む。第2搬送アームは、水平方向(X軸方向及びY軸方向の両方向)及び鉛直方向への移動、並びに鉛直軸を中心とする旋回が可能である。第2搬送アームの数は、1つでもよいし、複数でもよい。
【0017】
処理ブロック32は、搬送ブロック31に隣接して設けられる。処理ブロック32は、複数設けられてもよい。図1に示すように、複数の処理ブロック32が搬送ブロック31のY軸方向両側に対称配置されれば、複数の処理ブロック32間で、基板Wの処理時間のばらつきを低減でき、基板Wの処理品質のばらつきを低減できる。また、図2に示すように、複数の処理ブロック32が鉛直方向に段積みされれば、処理ブロック32の設置面積を低減できる。但し、処理ブロック32の配置及び数は特に限定されない。
【0018】
複数の処理ブロック32が鉛直方向に段積みされる場合、図3に示すように複数の搬送ブロック31が鉛直方向に段積みされてもよい。搬送ブロック31の段数と、処理ブロック32の段数とは、同一である。複数の基板Wを異なる高さで同時に搬送でき、単位時間当たりの基板Wの処理枚数を増加できる。但し、搬送ブロック31の配置及び数は特に限定されない。
【0019】
処理ブロック32は、液膜形成ユニット32aと、乾燥ユニット32bと、供給ユニット32cとを含む。処理ブロック32は、液膜形成ユニット32aと、乾燥ユニット32bと、供給ユニット32cとの組を複数組(例えば2組)有してもよい。後述するように本実施形態によれば乾燥ユニット32bを小型化できるので、各種ユニットの数を増加しても、処理ブロック32の大型化を抑制できる。
【0020】
液膜形成ユニット32aは、水平な基板Wの上面に液体を供給する。液膜形成ユニット32aは、例えば、基板Wを水平に保持するスピンチャックと、基板Wの上面に液体を吐出するノズルとを含む。ノズルは、回転する基板Wの上面の中心に液体を供給する。液体は、遠心力によって基板Wの上面の中心から周縁に向けて濡れ広がる。液体として、例えば薬液と、リンス液と、乾燥液とが、この順番で供給される。複数種類の薬液が供給されてもよく、一の薬液の供給と別の薬液の供給との間にもリンス液が供給されてもよい。
【0021】
液膜形成ユニット32aは、例えば、水平な基板Wの上面に薬液の液膜を形成し、続いて薬液の液膜をリンス液の液膜に置換し、次いでリンス液の液膜を乾燥液の液膜に置換する。薬液は、例えばSC1(アンモニアと過酸化水素の水溶液)、又はDHF(希フッ酸)等である。リンス液は、例えばDIW(脱イオン水)等である。乾燥液は、例えばIPA(イソプロピルアルコール)等の有機溶剤である。
【0022】
乾燥ユニット32bは、水平な基板Wの上面に形成された液膜を超臨界流体に置換し、基板Wを乾燥する。超臨界流体は、臨界温度以上の温度と、臨界圧力以上の圧力下におかれた流体であり、液体と気体の区別がつかない状態の流体である。乾燥液等の液膜を超臨界流体に置換することにより、表面張力による基板Wの凹凸パターンの倒壊を抑制できる。乾燥ユニット32bの詳細は、後述する。
【0023】
供給ユニット32cは、乾燥ユニット32bに対して流体を供給する。具体的には、供給ユニット32cは、流量計、流量調整器、背圧弁、ヒータなどを含む供給機器群と、供給機器群を収容する筐体とを備える。供給ユニット32cは、流体として例えばCOを、乾燥ユニット32bに供給する。
【0024】
平面視にて、同一の処理ブロック32に含まれる液膜形成ユニット32aと乾燥ユニット32bとは、矩形の搬送ブロック31の長辺に接する。同一の処理ブロック32に含まれる複数の液膜形成ユニット32aは、互いに隣接しており、乾燥ユニット32bよりもトランジション装置23aの近くに配置される。
【0025】
平面視にて、同一の処理ブロック32に含まれる乾燥ユニット32bと供給ユニット32cとは、X軸方向に交互に並べられる。供給ユニット32cはX軸負方向側に隣接する乾燥ユニット32bに対して流体を供給する。供給ユニット32cは、搬送ブロック31に隣接していてもよいし、隣接していなくてもよい。供給ユニット32cには、基板Wが搬入出されないからである。
【0026】
平面視にて、処理ブロック32は、搬送ブロック31よりもX軸正方向に突出している。その突出部分に、供給ユニット32cが配置される。供給ユニット32cの三方(Y軸正方向、Y軸負方向、及びX軸正方向)が開放されており、メンテナンス時の作業性が良い。
【0027】
処理ブロック32が複数設けられる場合、第2搬送装置31aは一の基板Wを同一の処理ブロック32に含まれる複数のユニット間(例えば液膜形成ユニット32aと乾燥ユニット32bの間)で搬送する。第2搬送装置31aは、複数の処理ブロック32間では基板Wを搬送しない。
【0028】
基板処理装置1は、制御装置4を備える。制御装置4は、例えばコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)41と、メモリ等の記憶媒体42とを備える。記憶媒体42には、基板処理装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御装置4は、記憶媒体42に記憶されたプログラムをCPU41に実行させることにより、基板処理装置1の動作を制御する。
【0029】
次に、図4を参照して、基板処理装置1の動作について説明する。図4に示すステップS1~S4は、制御装置4による制御下で実施される。
【0030】
先ず、第1搬送装置22aが、キャリアCから基板Wを取り出し、取り出した基板Wをトランジション装置23aに搬送する。続いて、第2搬送装置31aが、トランジション装置23aから基板Wを取り出し、取り出した基板Wを液膜形成ユニット32aに搬送する。
【0031】
次に、液膜形成ユニット32aが、水平な基板Wの上面に薬液を供給する(S1)。薬液は、回転する基板Wの上面の中心に供給され、遠心力によって上面の径方向全体に広がり、液膜を形成する。
【0032】
次に、液膜形成ユニット32aが、水平な基板Wの上面にリンス液を供給する(S2)。リンス液は、回転する基板Wの上面の中心に供給され、遠心力によって上面の径方向全体に広がり、液膜を形成する。薬液の液膜がリンス液の液膜に置換される。
【0033】
次に、液膜形成ユニット32aが、水平な基板Wの上面に乾燥液を供給する(S3)。乾燥液は、回転する基板Wの上面の中心に供給され、遠心力によって上面の径方向全体に広がり、液膜を形成する。リンス液の液膜が乾燥液の液膜に置換される。
【0034】
次に、第2搬送装置31aが、液膜形成ユニット32aから基板Wを取り出し、取り出した基板Wを乾燥ユニット32bに搬送する。
【0035】
次に、乾燥ユニット32bが、水平な基板Wの上面に形成された液膜を超臨界流体に置換し、基板Wを乾燥する(S4)。乾燥液等の液膜を超臨界流体に置換すれば、基板Wの凹凸パターンに液体と気体の界面が現れるのを抑制できる。その結果、表面張力の発生を抑制でき、凹凸パターンの倒壊を抑制できる。
【0036】
最後に、第2搬送装置31aが、乾燥ユニット32bから基板Wを取り出し、取り出した基板Wをトランジション装置23aに搬送する。続いて、第1搬送装置22aが、トランジション装置23aから基板Wを取り出し、取り出した基板WをキャリアCに収納する。
【0037】
次に、図5を参照して、乾燥ユニット32bについて説明する。図5に示す乾燥ユニット32bは、搬送ブロック31のY軸正方向側に配置される。乾燥ユニット32bの説明では、乾燥室Sへの基板Wの搬入方向(図5ではY軸正方向)を前方とし、乾燥室Sからの基板Wの搬出方向(図5ではY軸負方向)を後方として説明する。
【0038】
乾燥ユニット32bは、基板Wの乾燥室Sを内部に形成する圧力容器51と、乾燥室Sの第1開口Saを塞ぐ蓋体52と、乾燥室Sにて基板Wを水平に保持する支持体53とを備える。第1開口Saは、基板Wの搬入出口である。基板Wは、第1開口Saを通り乾燥室Sに搬入され、乾燥室Sで乾燥された後、第1開口Saを通り乾燥室Sから搬出される。
【0039】
圧力容器51は、例えば下壁51aと、上壁51bと、前壁51cと、後壁51dと、一対の側壁51e、51f(図6等参照)とを含み、その内部に乾燥室Sを形成する。乾燥室Sは、例えば直方体状である。後壁51dに矩形の第1開口Saが形成され、前壁51cに矩形の第2開口Sbが形成される。
【0040】
蓋体52は、後壁51dの後方に設けられる。蓋体52は、閉塞位置(図5(C)参照)と開放位置(例えば図5(B)参照)との間で進退可能である。閉塞位置は、蓋体52が第1開口Saを閉塞する位置である。開放位置は、閉塞位置の後方であって、蓋体52が第1開口Saを開放する位置である。
【0041】
ところで、特許文献1及び2では、支持体53は、蓋体52に対して固定され、蓋体52と共に進退する。支持体53は乾燥室Sに固定されず、圧力容器51の外部にて支持体53と第2搬送装置31aとが基板Wを受け渡す。従って、圧力容器51の外部に、基板Wを受け渡すエリアが設けられる。
【0042】
これに対し、本実施形態では、支持体53は、圧力容器51に対して固定されており、蓋体52と共に進退しない。支持体53は乾燥室Sに固定され、乾燥室Sにて第2搬送装置31aと支持体53とが基板Wを受け渡す。従って、圧力容器51の外部に、基板Wを受け渡すエリアを設けずに済むので、乾燥ユニット32bを小型化できる。
【0043】
また、本実施形態によれば、支持体53は乾燥室Sに固定されており、支持体53が圧力容器51に対して進退する場合とは異なり、摺動部品同士のバックラッシュが発生しない。その結果、支持体53の振動を抑制でき、基板Wの振動を抑制でき、液膜LFが零れ落ちるのを抑制できる。
【0044】
乾燥室Sの第1開口Saは、特許文献1及び2とは異なり、搬送ブロック31に向けて配置される。第2搬送装置31aの第2搬送アームを、鉛直軸を中心に旋回させなくても、基板Wを乾燥室Sに搬入できる。基板Wを回転させずに基板Wを乾燥室Sに搬入でき、基板Wの上面から乾燥液が振り切られるのを防止できる。
【0045】
第2搬送装置31aが乾燥室Sに進入しやすいように、蓋体52は開放位置と待機位置(図5(A)参照)との間で回動される。待機位置は、基板Wの搬入出経路から外れた位置である。基板Wの搬入出の際に、蓋体52は待機位置で待機する。これにより、蓋体52と基板Wの干渉を回避できる。
【0046】
支持体53は、図6(A)~図6(C)に示すように、乾燥室Sにおける流体の流れを整える整流板53aと、整流板53aの上面に固定される載置部53bとを含む。整流板53aが、乾燥室Sに固定される。基板Wが、載置部53bに載置される。
【0047】
図6(B)に示すように、載置部53bは、基板Wと整流板53aとの間に隙間を形成し、基板Wの下面が汚れるのを抑制する。載置部53bは、例えば複数本の支持ピンを含む。複数本の支持ピンは、基板Wの下面を支持するが、基板Wの周縁を支持してもよい。
【0048】
整流板53aは、乾燥室Sの第1開口Saから見てU字状に形成され、圧力容器51の下壁51aに載置される水平板53a1と、水平板53a1のX軸方向両端に設けられる一対の垂直板53a2、53a3とを有する。一対の垂直板53a2、53a3が、圧力容器51の側壁51e、51fに対して固定される。例えば、一対の垂直板53a2のそれぞれに、ねじ穴が設けられる。ねじ54は、垂直板53a2、53a3のねじ穴と、側壁51e、51fのねじ穴とにねじ込まれ、整流板53aを圧力容器51に対して固定する。
【0049】
図6(A)に示すように、平面視にて、整流板53aは、支持体53で支持されている基板Wの外側に、排出口53a4を含む。排出口53a4は、整流板53aの上方から下方に流体を排出する穴である。排出口53a4の位置によって、乾燥室Sにおける流体の流れが決まる。排出口53a4は、例えば水平板53a1の後端縁に直線状に設けられる。排出口53a4の長さは、基板Wの直径よりも長い。
【0050】
また、平面視にて、整流板53aは、支持体53で支持されている基板Wの外側に、供給口53a5を含む。供給口53a5は、整流板53aの下方から上方に流体を供給する穴である。供給口53a5の位置によって、乾燥室Sにおける流体の流れが決まる。供給口53a5は、例えば水平板53a1の四隅に複数ずつ設けられる。なお、供給口53a5の位置及び数は、特に限定されない。例えば、複数の供給口53a5が、基板Wの周縁に沿ってリング状に配列されてもよい。
【0051】
図6(C)に示すように、圧力容器51は、乾燥室Sから流体を排出する排出ポート51gと、乾燥室Sに流体を供給する供給ポート51hとを含む。排出ポート51gと、供給ポート51hとは、圧力容器51の下壁51aに形成される。下壁51aには、整流板53aが載置される。
【0052】
整流板53aの下面には、排出口53a4と排出ポート51gとをつなぐ第1流路CH1と、供給口53a5と供給ポート51hとをつなぐ第2流路CH2とが独立に形成される。第1流路CH1と第2流路CH2とは、整流板53aの下面に形成される溝である。第1流路CH1と第2流路CH2とがつながっていないので、乾燥室Sからの流体の排出と、乾燥室Sへの流体の供給とを別々に実施できる。
【0053】
供給ポート51hは、例えば下壁51aの中央に形成される。第2流路CH2は、例えば整流板53aの中央から四隅に向けて放射状に形成される。整流板53aの中央から四隅までの距離は等しいので、整流板53aの四隅に向けて均等に流体を配分できる。
【0054】
一方、排出ポート51gは、供給ポート51hの後方に形成される。第1流路CH1は、第2流路CH2とつながらないように形成され、排出ポート51gから後方に直線状に形成される。排出ポート51gの後方に、排出口53a4に配置される。
【0055】
図9及び図10に示すように、乾燥ユニット32bは、圧力容器51を支持する支持フレーム54を備える。支持フレーム54は、例えば、水平なベース板54aと、ベース板54aから上方に突出する複数本の柱54bと、複数本の柱54bの上面に固定される水平板54cとを有する。水平板54cは、X軸方向に間隔をおいて一対設けられる。一対の水平板54cの上に圧力容器51が固定される。
【0056】
乾燥ユニット32bは、蓋体52を閉塞位置と開放位置との間で進退させる直動機構55と、蓋体52を開放位置と待機位置との間で回動させる回動機構56とを備える。回動機構56は、例えば、蓋体52の回転軸56aと、回転軸56aを回転させるロータリーアクチュエータ56bとを含む。一方、直動機構55は、例えば、回転軸56aの軸受を保持するスライダ55aと、スライダ55aを進退させる直動アクチュエータ55bとを含む。
【0057】
蓋体52の回転軸56aは、蓋体52を挟んでX軸方向両側に対称配置される。スライダ55aも、蓋体52を挟んでX軸方向両側に対称配置される。スライダ55aのガイド55cは、一対の水平板54cのそれぞれに敷設される。ロータリーアクチュエータ56bは、一方のスライダ55aに固定され、スライダ55aと共に進退可能である。直動アクチュエータ55bは、一方の水平板54cに固定される。
【0058】
直動アクチュエータ55bは、例えば空気圧シリンダであり、圧縮空気の圧力で蓋体52を圧力容器51に押し付ける。蓋体52と圧力容器51との間をシールする不図示のシール部材を、直動アクチュエータ55bの駆動力で押しつぶすことができ、後述のロックキー57を圧力容器51の上壁51bの嵌合穴51iに嵌め込む際に、ロックキー57の移動を蓋体52が妨げるのを防止できる。なお、直動アクチュエータ55bは、モータと、モータの回転運動を蓋体52の直線運動に変換するボールねじとを含んでもよい。
【0059】
乾燥ユニット32bは、蓋体52が閉塞位置から開放位置に向けて後退するのを制限するロックキー57を備える。ロックキー57は、圧力容器51の嵌合穴51iに嵌め込まれ、蓋体52の後退を制限する。乾燥室Sに流体を供給し、乾燥室Sの圧力を上昇させても、蓋体52の後退を制限でき、流体のリークを抑制できる。
【0060】
嵌合穴51iは、下壁51aと上壁51bをZ軸方向に貫通して形成される。下壁51aと上壁51bは、後壁51dよりも後方に突出する。その突出部分に、嵌合穴51iが形成される。嵌合穴51iは、X軸方向に間隔をおいて複数形成される。ロックキー57も、X軸方向に間隔をおいて複数設けられる。複数のロックキー57は、それぞれ、下壁51aの嵌合穴51iと上壁51bの嵌合穴51iの両方に嵌め込まれる。
【0061】
ロックキー57の数は、特に限定されないが、例えば3つである。ロックキー57の数が2つである場合とは異なり、蓋体52のX軸方向中央部をも押さえることができる。その結果、乾燥室Sに流体を供給し、乾燥室Sの圧力を上昇させる際に、蓋体52のX軸方向中央部がX軸方向端部よりも後方に膨らむのを抑制できる。
【0062】
乾燥ユニット32bは、基板Wの上面に形成された液膜LFの膜厚を測定する膜厚計58を備える。膜厚計58は、圧力容器51(より詳細には上壁51b)の嵌合穴51iから基板Wに対してレーザを照射し、液膜LFの膜厚を測定する。例えば、膜厚計58は、液膜LFの上面で反射された反射光と、液膜LFと基板Wの界面で反射された反射光との位相差を測定し、液膜LFの膜厚を測定する。液膜LFによる基板Wの被覆状態を検査でき、基板Wの凹凸パターンが液膜LFで覆われていることを確認できる。液膜LFの最大膜厚が凹凸パターンの高低差よりも大きければよい。
【0063】
圧力容器51の嵌合穴51iは、乾燥室Sの第1開口Saの近傍に設置される。膜厚計58は、嵌合穴51iから基板Wに対してレーザを照射するので、基板Wが乾燥室Sに収容される直前に、液膜LFの膜厚を測定できる。従って、液膜LFを超臨界流体に置換する直前に、液膜LFによる基板Wの被覆状態を検査できる。乾燥液は揮発性の高い有機溶剤であるので、基板Wの全体が乾燥室Sに収容される直前に、液膜LFの膜厚を測定することが有効である。
【0064】
膜厚計58は、第2搬送装置31aによって基板Wを乾燥室Sに搬入する過程で、液膜LFの膜厚を測定する。膜厚計58は、第2搬送装置31aによって膜厚の測定点を変更しながら、膜厚を繰り返し測定してもよい。複数点で液膜LFの膜厚を測定でき、基板Wの上面全体を検査できる。
【0065】
乾燥ユニット32bは、ロックキー57をロック位置(図9(B)参照)とロック解除位置(図10(B)参照)との間で昇降させる昇降機構59を備える。ロック位置は、ロックキー57が蓋体52の後退を制限する位置であり、ロックキー57が下壁51aと上壁51bの両方の嵌合穴51iに嵌め込まれる位置である。ロック解除位置は、ロックキー57が蓋体52の後退を許容する位置であり、ロックキー57が上壁51bの嵌合穴51iから下方に引き抜かれた位置である。ロック解除位置は、ロックキー57と基板Wとの干渉を防止すべく、基板Wの搬入出経路よりも下方に設定される。
【0066】
昇降機構59は、例えば、複数のロックキー57が載置される昇降台59aと、昇降台59aを昇降させる直動アクチュエータ59bとを含む。昇降台59aは、ロックキー57が載置される水平面59a1を有する。直動アクチュエータ59bは、例えば空気圧シリンダであり、昇降台59aを昇降させることにより、複数のロックキー57を昇降させる。直動アクチュエータ59bは、モータと、モータの回転運動を昇降台59aの直線運動に変換するボールねじとを含んでもよい。
【0067】
図11に示すように、乾燥ユニット32bは、ロックキー57に転動自在に保持される転動体60を備えてもよい。転動体60は、例えばボールであり、ボールの中心を中心に回転自在に保持される。転動体60は、ローラであってもよい。
【0068】
昇降機構59がロックキー57をロック解除位置からロック位置に上昇させる際に、転動体60が蓋体52又は圧力容器51に接触した状態で転動する。転動体60によって摩擦抵抗を低減でき、摩擦によるパーティクルの発生を抑制できる。
【0069】
転動体60は、特許文献2とは異なり、ロックキー57の下面57aにも複数設けられ、昇降機構59の水平面59a1に接触した状態で転動する。ロックキー57を上昇させる際に、ロックキー57を嵌合穴51iの内部で水平移動でき、摩擦抵抗を低減できる。
【0070】
ロックキー57は、その後面57bを垂直に立てた状態で昇降されてもよい。特許文献2のように、ロックキー57の後面57bを前傾させた状態でロックキー57を上昇させる場合、ロックキー57の上面前端の角57cが蓋体52の後面52aにぶつかる恐れがあるからである。
【0071】
転動体60は、特許文献2とは異なり、ロックキー57の後面57bに、Z軸方向に間隔をおいて複数設けられる。1つのみ設けられる場合に比べて、ロックキー57と圧力容器51との摩擦を抑制できる。ロックキー57の後面57bが垂直に立てられる場合に特に有効である。
【0072】
ロックキー57は、その前面に、上端から下方に向かうほど前方に傾斜する傾斜面57dと、傾斜面57dの下端から真下に延びる垂直面57eとを有してもよい。傾斜面57dが形成されることで、ロックキー57の上面前端の角57cが蓋体52の後面52aにぶつかるのを抑制できる。
【0073】
転動体60は、ロックキー57の傾斜面57dにも設けられ、蓋体52の後面52aに接触した状態で転動する。蓋体52の後面52aは、ロックキー57の傾斜面57dと向かい合っており、上端から下方に向かうほど前方に傾斜する。
【0074】
次に、図12を参照して、S4の詳細について説明する。図12に示すステップS41~S45は、制御装置4による制御下で実施される。
【0075】
先ず、第2搬送装置31aが、乾燥液の液膜LFが形成された基板Wを水平に保持し、圧力容器51の内部の乾燥室Sに基板Wを搬入する(S41)。その過程で、膜厚計58が、液膜LFの膜厚を測定する。基板Wの凹凸パターンが液膜LFで被覆されていることを確認できる。
【0076】
次に、乾燥室Sに固定された支持体53が、第2搬送装置31aから基板Wを受け取り、受け取った基板Wを水平に支持する。続いて、第2搬送装置31aが、乾燥室Sの第1開口Saから外部に退出する。
【0077】
次に、回動機構56が、蓋体52を待機位置から開放位置に回動させる。続いて、直動機構55が、蓋体52を開放位置から閉塞位置に前進させる。その結果、蓋体52が、乾燥室Sの第1開口Saを塞ぐ。
【0078】
次に、昇降機構59が、ロックキー57をロック解除位置からロック位置に上昇させる。ロックキー57は、蓋体52を後方から押さえ、蓋体52の後退を制限する。後述のS42にて流体のリークを抑制できる。
【0079】
次に、供給ユニット32cが、COなどの流体を乾燥室Sに供給し、乾燥室Sの圧力を上昇させる(S42)。その際、流体は、図7(B)に示すように、下壁51aの供給ポート51hから乾燥室Sに供給される。流体は、整流板53aの供給口53a5から上方に噴き出す。平面視にて、図7(A)に示すように、供給口53a5は整流板53aの四隅に複数ずつ形成されており、流体は基板Wの外側から内側に向けて流れる。基板の上方に、基板の周縁から中心に向かう流れが形成される。それゆえ、流体の流れによって液膜LFが基板Wの外側に零れ落ちるのを抑制できる。平面視にて、供給口53a5は基板Wの外側に配置されるので、供給口53a5が流体を真上に噴出しても、基板Wがあおられることはない。流体は、乾燥室Sの圧力を上昇させる間、乾燥室Sから排出されずに、乾燥室Sに溜められる。乾燥室Sの圧力は、臨界圧力以上の設定圧力まで上昇させられる。
【0080】
次に、供給ユニット32cが流体を乾燥室Sに供給すると共に、不図示の排出ユニットが流体を乾燥室Sから排出し、乾燥室Sの圧力を設定圧力に維持しながら、超臨界状態の流体に溶解した乾燥液をパージする(S43)。その際、流体は、図8(B)に示すように、第2蓋体61の吐出口61aから乾燥室Sに供給される。第2蓋体61は、乾燥室Sの第2開口Sbを塞ぐものであり、蓋体52に対向配置される。第2蓋体61の吐出口61aは、図8(A)に示すようにX軸方向に間隔をおいて複数設けられ、基板Wの上方にカーテン状の気流を形成する。流体は、基板Wの上方を通過しながら、液膜LFの乾燥液を溶解する。乾燥液を溶解した流体は、基板Wの上方を通過した後、整流板53aの排出口53a4を通り、乾燥室Sの外部に排出される。その結果、液膜LFが超臨界流体に置換される。
【0081】
次に、供給ユニット32cが流体を乾燥室Sに供給するのを止め、不図示の排出ユニットが流体を乾燥室Sから排出し、乾燥室Sの圧力を減少させる(S44)。排出ユニットは、減圧時間を短縮すべく、真空ポンプ又はエジェクタ等を含んでもよい。乾燥室Sの圧力は、大気圧程度まで減少させられる。
【0082】
次に、昇降機構59が、ロックキー57をロック位置からロック解除位置に下降させる。
【0083】
次に、直動機構55が、蓋体52を閉塞位置から開放位置に後退させる。続いて、回動機構56が、蓋体52を待機位置から開放位置に回動させる。
【0084】
次に、第2搬送装置31aが、圧力容器51の内部の乾燥室Sに進入し、支持体53から基板Wを受け取り、受け取った基板Wを搬出する(S45)。
【0085】
次に、図13及び図14を参照して、第1変形例に係る基板処理装置1について説明する。以下、本変形例と上記実施形態との相違点について主に説明する。本変形例の処理ブロック32は、図13及び図14に示すように、液膜形成ユニット32aと乾燥ユニット32bと供給ユニット32cとに加えて、更に検査ユニット32dを含む。
【0086】
検査ユニット32dは、液膜LFによる基板Wの被覆状態を検査する。検査ユニット32dは、例えば重量計を含み、基板Wの重量を測定することで、基板Wの凹凸パターンが液膜LFによって被覆されていることを確認する。検査ユニット32dは、膜厚計を含んでもよい。
【0087】
乾燥ユニット32bが膜厚計58を含まない場合でも、処理ブロック32が検査ユニット32dを含めば、超臨界乾燥の前に、液膜LFによる基板Wの被覆状態を検査できる。但し、検査ユニット32dと膜厚計58の両方が用いられてもよい。
【0088】
液膜LFの形成と、被覆状態の検査と、基板Wの乾燥とは、この順番で実施される。そこで、図13に示すように、平面視にて、同一の処理ブロック32に含まれる液膜形成ユニット32aと検査ユニット32dと乾燥ユニット32bとは、この順番で、矩形の搬送ブロック31の長手方向に一列に配列される。基板Wを液膜形成ユニット32aから乾燥ユニット32bに搬送する途中で、被覆状態の検査を実施でき、基板Wの搬送経路を短縮できる。
【0089】
処理ブロック32は、図14に示すように、更に洗浄ユニット32eを含んでもよい。洗浄ユニット32eは、基板Wに紫外線を照射し、基板Wに付着した有機物等を除去する。紫外線の照射は、基板Wの乾燥後に行われ、乾燥液又は超臨界流体の残渣を除去する。
【0090】
図14に示すように、洗浄ユニット32eと検査ユニット32dとが鉛直方向に段積みされていれば、処理ブロック32の設置面積を低減できる。洗浄ユニット32eと検査ユニット32dは、どちらが上に配置されてもよい。
【0091】
処理ブロック32は、液膜形成ユニット32aと、乾燥ユニット32bと、供給ユニット32cと、検査ユニット32dと、洗浄ユニット32eとを1つずつ含む。但し、処理ブロック32を構成するユニットの種類、数及び配置は、特に限定されない。例えば本変形例の処理ブロック32は、検査ユニット32dと洗浄ユニット32eの両方を含むが、いずれか一方のみを含んでもよい。
【0092】
処理ブロック32が洗浄ユニット32eを含む場合、平面視にて、同一の処理ブロック32に含まれる液膜形成ユニット32aと洗浄ユニット32eと乾燥ユニット32bとはこの順番で矩形の搬送ブロック31の長手方向に一列に配列される。基板Wを乾燥ユニット32bからトランジション装置23aに搬送する途中で、基板Wの洗浄を実施でき、基板Wの搬送経路を短縮できる。
【0093】
次に、図15及び図16を参照して、第2変形例に係る基板処理装置1について説明する。以下、本変形例と上記実施形態等との相違点について主に説明する。本変形例の基板処理装置1は、図15に示すように、搬送ブロック31と処理ブロック32とに加えて、更に第2処理ブロック33を含む。
【0094】
第2処理ブロック33は、図15に示すように、平面視にて、搬送ブロック31を挟んでY軸方向両側に対称配置される2つの処理ブロック32、32と搬送ブロック31とに三方を囲まれる。第2処理ブロック33は、検査ユニット33aを含む。
【0095】
検査ユニット33aは、液膜LFによる基板Wの被覆状態を検査する。検査ユニット33aは、例えば重量計を含み、基板Wの重量を測定することで、基板Wの凹凸パターンが液膜LFによって被覆されていることを確認する。検査ユニット33aは、膜厚計を含んでもよい。
【0096】
乾燥ユニット32bが膜厚計58を含まない場合でも、第2処理ブロック33が検査ユニット33aを含めば、超臨界乾燥の前に、液膜LFによる基板Wの被覆状態を検査できる。但し、検査ユニット33aと膜厚計58の両方が用いられてもよい。
【0097】
処理ブロック32は液膜形成ユニット32aと乾燥ユニット32bと供給ユニット32cとの組を複数組(例えば2組)含み、第2処理ブロック33も検査ユニット33aを複数(例えば2つ)含む。図16に示すように複数の検査ユニット33aが鉛直方向に段積みされていれば、処理ブロック32の設置面積を低減できる。
【0098】
次に、図17及び図18を参照して、第3変形例に係る基板処理装置1について説明する。以下、本変形例と上記実施形態等との相違点について主に説明する。本変形例では、図17に示すように、平面視にて、同一の処理ブロック32には、一組の液膜形成ユニット32aと乾燥ユニット32bと、別の一組の液膜形成ユニット32aと乾燥ユニット32bとが、仮想線Lを中心に線対称に設けられる。その結果、各組における基板Wの搬送経路の長さが等しくなる。従って、各組間での基板Wの処理品質のばらつきを低減できる。
【0099】
本変形例では、2つの液膜形成ユニット32aが隣り合っており、その外側に2つの乾燥ユニット32bが設けられ、更にその外側に2つの供給ユニット32cが設けられる。なお、液膜形成ユニット32aと供給ユニット32cの配置は、逆でもよい。つまり、2つの供給ユニット32cが隣り合っており、その外側に2つの乾燥ユニット32bが設けられ、更にその外側に2つの液膜形成ユニット32aが設けられてもよい。
【0100】
本変形例では、図18に示すように、検査ユニット32dと乾燥ユニット32bとが鉛直方向に段積みされる。検査ユニット32dと乾燥ユニット32bとは、どちらが上に配置されてもよい。検査ユニット32dと乾燥ユニット32bとを鉛直方向に段積みすれば、処理ブロック32の設置面積を低減できる。また、検査ユニット32dが仮想線Lを中心に線対称に配置され、その結果、各組における基板Wの搬送経路の長さが等しくなる。従って、各組間での基板Wの処理品質のばらつきを低減できる。基板Wは、図17及び図18に矢印で示すように、液膜形成ユニット32aと、検査ユニット32dと、乾燥ユニット32bとに、この順番で搬送される。
【0101】
検査ユニット32dは、液膜LFの形成後に基板Wの重量を測定する。液膜LFの形成前の基板Wの重量は、例えばトランジション装置23aにて測定する。上記実施形態等でも、本変形例と同様に、トランジション装置23aが、液膜LFの形成前に、基板Wの重量を測定してもよい。液膜LFの形成前後での重量差から、液膜LFの重量を算出でき、基板Wの凹凸パターンが液膜LFによって被覆されていることを確認できる。液膜LFの重量が閾値に達しない場合、アラームなどが報知されてもよい。
【0102】
なお、検査ユニット32dは、乾燥ユニット32bの上又は下に配置される代わりに、平面視にて乾燥ユニット32bと液膜形成ユニット32aとの間に配置されてもよい。後者の場合、平面視にて、液膜形成ユニット32aと、検査ユニット32dと、乾燥ユニット32bとは、この順番でX軸負方向に一列に配列されてもよいし、この順番でX軸正方向に一列に配列されてもよい。
【0103】
次に、図19を参照して、第4変形例に係る基板処理装置1について説明する。以下、本変形例と上記実施形態等との相違点について主に説明する。本変形例では、図19に示すように、平面視にて、矩形の搬入出ステーション2の角が欠けており、その欠けた部分に処理ブロック32の一部、より詳細には供給ユニット32cが配置される。従って、基板処理装置1を小型化できる。
【0104】
搬入出ステーション2の受渡部23は、平面視にて矩形の搬送ブロック31の短辺に接し、第2搬送装置31aに対して基板Wを受け渡す。処理ブロック32は、搬送ブロック31の長辺と受渡部23に接する。供給ユニット32cが、受渡部23に接する。供給ユニット32cには基板Wが搬入出されないので、供給ユニット32cは搬送ブロック31に接しなくてもよく、受渡部23に接しても、基板Wの搬送上、問題は生じない。また、上記の通り、基板処理装置1を小型化できる。
【0105】
なお、本変形例では、上記3変形例と同様に、各処理ブロック32は、液膜形成ユニット32aと乾燥ユニット32bの組を複数組含むが、一組のみ含んでもよい。例えば、各処理ブロック32は、仮想線Lの片側(X軸負方向側)のみ含んでもよい。この場合も、平面視にて、矩形の搬入出ステーション2の角が欠けており、その欠けた部分に供給ユニット32cが配置されれば、基板処理装置1を小型化できる。
【0106】
以上、本開示に係る基板処理装置、及び基板処理方法の実施形態等について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0107】
1 基板処理装置
31 搬送ブロック
31a 第2搬送装置(搬送装置)
32 処理ブロック
32a 液膜形成ユニット
32b 乾燥ユニット
51 圧力容器
52 蓋体
53 支持体
LF 液膜
S 乾燥室
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-06-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送する搬送装置と、前記基板の上面に形成された液膜超臨界流体に置換し、前記基板を乾燥する乾燥ユニットと、を備え、
前記乾燥ユニットは、前記基板の乾燥室を内部に形成する圧力容器と、前記乾燥室の開口を塞ぐ蓋体と、前記乾燥室に固定されて前記基板を水平に支持する支持体と、を備え、
前記蓋体は、前記開口を塞ぐ閉塞位置と、前記閉塞位置から前記基板の搬出方向に離れた開放位置との間で進退可能であり、
前記乾燥ユニットは、前記蓋体が前記閉塞位置から前記開放位置に向けて後退するのを制限するロックキーを備え、
前記搬送装置は、前記液膜が形成された前記基板を水平に保持し、前記乾燥室の前記開口を通り、前記乾燥室に進入する、基板処理装置。
【請求項2】
前記乾燥ユニットは、前記蓋体を前記閉塞位置と前記開放位置との間で進退させる直動機構と、前記蓋体を前記開放位置と前記基板の搬入出経路から外れた待機位置との間で回動させる回動機構と、を備える、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記乾燥ユニットは、前記ロックキーを、前記蓋体の後退を制限するロック位置と、前記蓋体の後退を許容するロック解除位置との間で昇降させる昇降機構と、前記ロックキーに転動自在に保持される転動体と、を備え、
前記昇降機構は、前記ロックキーが載置される水平面を有し、
前記転動体は、前記ロックキーの下面に複数設けられ、前記昇降機構の前記水平面に接触した状態で転動する、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記転動体は、前記ロックキーの後面に、鉛直方向に間隔をおいて複数設けられる、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の基板処理装置を用いて、前記乾燥室にて前記液膜を超臨界流体に置換し、前記基板を乾燥することを有する、基板処理方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本開示の一態様に係る基板処理装置は、基板を搬送する搬送装置と、前記基板の上面に形成された液膜超臨界流体に置換し、前記基板を乾燥する乾燥ユニットと、を備える。前記乾燥ユニットは、前記基板の乾燥室を内部に形成する圧力容器と、前記乾燥室の開口を塞ぐ蓋体と、前記乾燥室に固定されて前記基板を水平に支持する支持体と、を備える。前記蓋体は、前記開口を塞ぐ閉塞位置と、前記閉塞位置から前記基板の搬出方向に離れた開放位置との間で進退可能である。前記乾燥ユニットは、前記蓋体が前記閉塞位置から前記開放位置に向けて後退するのを制限するロックキーを備える。前記搬送装置は、前記液膜が形成された前記基板を水平に保持し、前記乾燥室の前記開口を通り、前記乾燥室に進入する。