IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーエルエー−テンカー コーポレイションの特許一覧

特開2024-96332複数個の光学プローブを有するマルチスポット分析システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096332
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】複数個の光学プローブを有するマルチスポット分析システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/06 20060101AFI20240705BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
G01B11/06 Z
H01L21/66 P
【審査請求】有
【請求項の数】47
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074924
(22)【出願日】2024-05-02
(62)【分割の表示】P 2020556778の分割
【原出願日】2019-04-12
(31)【優先権主張番号】62/663,436
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/018,355
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダイ プラサンナ
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー ディーター
(72)【発明者】
【氏名】チェン ドン
(72)【発明者】
【氏名】チェン デンペン
(72)【発明者】
【氏名】ザメク スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】カバルディエフ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ビュットナー アレクサンダー
(57)【要約】
【課題】マルチスポット計測ツールを提供する。
【解決手段】標本を分析するシステムであり、照明源及びその照明源に光学結合された複数本の送光ファイバと、検出器及びその検出器に光学結合された複数本の受光ファイバとを有する。複数本の送光ファイバのうち対応するもの及び複数本の受光ファイバのうち対応するものに結合された複数個のプローブを有する。複数個のプローブが、標本表面のうち対応部分を照明するよう構成され、且つ標本表面のうち当該対応部分にて反射、屈折又は輻射された照明を受光するよう構成される。複数本の送光ファイバのうち対応するものを照明源に光学結合させるよう構成された1個又は複数個のスイッチ及び/又はスプリッタを備えうる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標本を分析するシステムであって、
計量ツールを含み、前記計量ツールが、
照明源と、
その照明源に光学結合された第1スイッチであって、複数個の第1サブスイッチを含む第1スイッチと、
その第1スイッチに結合された複数本の送光ファイバであり、その第1スイッチに対する構成設定を通じそれら複数本の送光ファイバのうち少なくとも1本の送光ファイバに上記照明源が光学結合される複数本の送光ファイバと、
検出器と、
その検出器に光学結合された第2スイッチであって、複数個の第2サブスイッチを含む第2スイッチと、
その第2スイッチに結合された複数本の受光ファイバであり、その第2スイッチに対する構成設定を通じそれら複数本の受光ファイバのうち少なくとも1本の受光ファイバに上記検出器が光学結合される複数本の受光ファイバと、
上記複数本の送光ファイバのうち対応するもの及び上記複数本の受光ファイバのうち対応するものに結合された複数個のプローブと、
各々が少なくとも3個の端子を含む複数個の多端子コネクタであって、第1端子が対応する送光ファイバに接続され、第2端子が対応する受光ファイバに接続され、第3端子が対応するプローブに接続された、多端子コネクタと、
を備え、
前記複数個のプローブが、前記標本の表面のうち対応部分を照明するよう構成され且つ前記標本の前記表面のうち当該対応部分から照明を受光するよう構成されており、
前記計量ツールが更に、上記少なくとも1本の送光ファイバ又は上記少なくとも1本の受光ファイバの少なくとも一方に縦続する1個又は複数個の光学素子であって、能動傾斜補償を提供することにより、上記少なくとも1本の送光ファイバ又は上記少なくとも1本の受光ファイバのうちの少なくとも一方との結合効率に対する標本の反りが及ぼす影響を低減させるよう構成される光学素子を備える、システム。
【請求項2】
請求項1のシステムであって、上記少なくとも1本の送光ファイバ及び上記少なくとも1本の受光ファイバが、上記複数個のプローブのうち少なくとも1個のプローブに、二分岐ファイバ束、ファンアウトケーブル及びYケーブルのうち少なくとも一つによって結合されているシステム。
【請求項3】
請求項1のシステムであって、上記複数個のプローブのうち少なくとも1個のプローブが、上記少なくとも1本の送光ファイバの一部分と、上記少なくとも1本の受光ファイバの一部分と、を有するシステム。
【請求項4】
請求項3のシステムであって、上記少なくとも1個のプローブが更にハウジングを有し、それにより上記少なくとも1本の送光ファイバの上記一部分及び上記少なくとも1本の受光ファイバの上記一部分が少なくとも部分的に包囲されているシステム。
【請求項5】
請求項1のシステムであって、上記1個又は複数個の光学素子に少なくとも1個の集束レンズが含まれるシステム。
【請求項6】
請求項1のシステムであって、上記1個又は複数個の光学素子に少なくとも1個の平行化レンズが含まれるシステム。
【請求項7】
請求項1のシステムであって、上記少なくとも1本の送光ファイバ及び上記少なくとも1本の受光ファイバに結合された少なくとも1個のプローブに、上記1個又は複数個の光学素子が縦続するシステム。
【請求項8】
請求項7のシステムであって、上記少なくとも1個のプローブが上記1個又は複数個の光学素子を有し又はそれに結合されているシステム。
【請求項9】
請求項1のシステムであって、更に、
第1スイッチ及び第2スイッチに可通信結合された少なくとも1個のコントローラを備え、
第1スイッチにより、上記複数本の送光ファイバのうち少なくとも1本の送光ファイバに上記照明源を光学結合させること、並びに
第2スイッチにより、上記複数本の受光ファイバのうち少なくとも1本の受光ファイバに上記検出器を光学結合させること、
によって上記標本のうち少なくとも一部分を分析するよう、上記少なくとも1個のコントローラが構成されているシステム。
【請求項10】
請求項9のシステムであって、
第1スイッチにより、上記複数本の送光ファイバのうち少なくとも他の1本の送光ファイバに上記照明源を光学結合させること、並びに
第2スイッチにより、上記複数本の受光ファイバのうち少なくとも他の1本の受光ファイバに上記検出器を光学結合させること、
によって上記標本のうち少なくとも他の一部分を分析するよう、上記少なくとも1個のコントローラが構成されており、上記少なくとも他の1本の送光ファイバ及び上記少なくとも他の1本の受光ファイバが上記複数個のプローブのうち別のプローブに結合されているシステム。
【請求項11】
請求項9のシステムであって、
第1スイッチにより、上記複数本の送光ファイバのうち2本以上の送光ファイバに上記照明源を光学結合させること、並びに
第2スイッチにより、上記複数本の受光ファイバのうち2本以上の受光ファイバに上記検出器を光学結合させること、
によって上記標本のうち2個以上の部分を同時分析するよう、上記コントローラが構成されており、上記2本以上の送光ファイバ及び上記2本以上の受光ファイバが上記複数個のプローブのうち2個以上の対応するプローブに結合されているシステム。
【請求項12】
請求項1のシステムであって、1個又は複数個の支持部材を更に備え、上記1個又は複数個の支持部材が、上記標本を一方向又は複数方向に駆動するよう構成されているシステム。
【請求項13】
請求項12のシステムであって、上記1個又は複数個の支持部材が、上記標本を時計回り又は反時計回り回動させるよう構成されているシステム。
【請求項14】
請求項1のシステムであって、上記照明源が少なくとも1個の広帯域照明源を備えるシステム。
【請求項15】
請求項14のシステムであって、上記少なくとも1個の広帯域照明源が、放電プラズマ光源、レーザ駆動プラズマ光源及び超連続体光源のうち少なくとも一つを備えるシステム。
【請求項16】
請求項1のシステムであって、上記検出器がスペクトロメータを備えるシステム。
【請求項17】
請求項1のシステムであって、上記標本がウェハ、レティクル及びパネルのうち少なくとも一つを備えるシステム。
【請求項18】
請求項1のシステムであって、更に、
第2照明源と、
その第2照明源に光学結合された第3スイッチと、
その第3スイッチに結合された第2の複数本の送光ファイバであり、その第3スイッチに対する構成設定を通じそれら第2の複数本の送光ファイバのうちある送光ファイバに第2照明源が光学結合される第2の複数本の送光ファイバと、
第2検出器と、
その第2検出器に光学結合された第4スイッチと、
その第4スイッチに結合された第2の複数本の受光ファイバであり、その第4スイッチに対する構成設定を通じ第2の複数本の受光ファイバのうちある受光ファイバに第2検出器が光学結合される第2の複数本の受光ファイバと、
第2の複数本の送光ファイバのうち対応するもの及び第2の複数本の受光ファイバのうち対応するものに結合された第2の複数個のプローブであり、前記標本の背面のうち対応部分を照明するよう構成され且つ前記標本の前記背面のうち当該対応部分にて反射、屈折又は輻射された照明を受光するよう構成された第2の複数個のプローブと、
を備えるシステム。
【請求項19】
請求項18のシステムであって、1個又は複数個の支持部材を更に備え、上記1個又は複数個の支持部材が、上記標本の2本以上の縁と接触することでその標本を支持するよう構成されており、前記標本の前記背面のうち少なくとも一部分が露出存置されるシステム。
【請求項20】
請求項18のシステムであって、1個又は複数個の支持部材を更に備え、上記1個又は複数個の支持部材が、前記標本の前記背面のうち第1部分と接触することでその標本を支持するよう構成されており、前記標本の前記背面のうち第2部分が露出存置されるシステム。
【請求項21】
請求項1のシステムであって、処理ツール及び多機能分析ツールのうち少なくとも一方に係るウェハハンドラ内に統合されるよう構成されているシステム。
【請求項22】
標本を分析するシステムであって、
計量ツールを含み、前記計量ツールが、
標本を支持するよう構成された1個又は複数個の支持部材と、
照明源と、
その照明源に光学結合された複数本の送光ファイバと、
検出器と、
その検出器に光学結合された複数本の受光ファイバと、
上記複数本の送光ファイバのうち対応するもの及び上記複数本の受光ファイバのうち対応するものに結合された複数個のプローブと、
各々が少なくとも3個の端子を含む複数個の多端子コネクタであって、第1端子が対応する送光ファイバに接続され、第2端子が対応する受光ファイバに接続され、第3端子が対応するプローブに接続された、多端子コネクタと、
を備え、
前記複数個のプローブが、前記標本の表面のうち対応部分を照明するよう構成され且つ前記標本の前記表面のうち当該対応部分から照明を受光するよう構成されており、上記1個又は複数個の支持部材が、複数個の吸引ポートを有し吸引力で以て上記標本を自基板に当てて保持する基板を備え、その基板が、上記複数個のプローブを支持するよう構成されており、上記複数個の吸引ポートが、上記基板上に分散しており、
前記計量ツールが更に、上記複数本の送光ファイバのうちの1本又は複数本又は上記複数本の受光ファイバのうちの1本又は複数本の少なくとも一方に縦続する1個又は複数個の光学素子であって、能動傾斜補償を提供することにより、上記複数本の送光ファイバのうちの1本又は複数本又は上記受光ファイバのうちの1本又は複数本の少なくとも一方との結合効率に対する標本の反りが及ぼす影響を低減させるよう構成される光学素子を備える、システム。
【請求項23】
請求項22のシステムであって、更に、
上記照明源を上記複数本の送光ファイバに光学結合させるよう構成された第1スプリッタと、
上記検出器を上記複数本の受光ファイバに光学結合させるよう構成された第2スプリッタと、
を備えるシステム。
【請求項24】
請求項22のシステムであって、送光ファイバ及び受光ファイバが、上記複数個のプローブのうち対応するプローブに、二分岐ファイバ束、ファンアウトケーブル及びYケーブルのうち少なくとも一つにより結合されているシステム。
【請求項25】
請求項22のシステムであって、少なくとも1個のプローブが、送光ファイバの一部分と、受光ファイバの一部分と、を有するシステム。
【請求項26】
請求項25のシステムであって、上記少なくとも1個のプローブが更にハウジングを有し、それにより上記送光ファイバの上記一部分及び上記受光ファイバの上記一部分が少なくとも部分的に包囲されているシステム。
【請求項27】
請求項22のシステムであって、上記1個又は複数個の光学素子に少なくとも1個の集束レンズが含まれるシステム。
【請求項28】
請求項22のシステムであって、上記1個又は複数個の光学素子に少なくとも1個の平行化レンズが含まれるシステム。
【請求項29】
請求項22のシステムであって、上記少なくとも1個のプローブが上記1個又は複数個の光学素子を有し又はそれに結合されているシステム。
【請求項30】
請求項22のシステムであって、上記1個又は複数個の支持部材が、上記標本を一方向又は複数方向に駆動するよう構成されているシステム。
【請求項31】
請求項22のシステムであって、上記1個又は複数個の支持部材が、上記標本を時計回り又は反時計回り回動させるよう構成されているシステム。
【請求項32】
請求項22のシステムであって、上記照明源が少なくとも1個の広帯域照明源を備えるシステム。
【請求項33】
請求項32のシステムであって、上記少なくとも1個の広帯域照明源が、放電プラズマ光源、レーザ駆動プラズマ光源及び超連続体光源のうち少なくとも一つを備えるシステム。
【請求項34】
請求項22のシステムであって、上記検出器がスペクトロメータを備えるシステム。
【請求項35】
請求項34のシステムであって、上記スペクトロメータが撮像スペクトロメータを備えるシステム。
【請求項36】
請求項22のシステムであって、上記標本がウェハ、レティクル及びパネルのうち少なくとも一つを備えるシステム。
【請求項37】
請求項22のシステムであって、更に、
第2照明源と、
その第2照明源に光学結合された第2の複数本の送光ファイバと、
第2検出器と、
その第2検出器に光学結合された第2の複数本の受光ファイバと、
第2の複数本の送光ファイバのうち対応するもの及び第2の複数本の受光ファイバのうち対応するものに結合された第2の複数個のプローブであり、前記標本の背面のうち対応部分を照明するよう構成され且つ前記標本の前記背面のうち当該対応部分にて反射、屈折又は輻射された照明を受光するよう構成された第2の複数個のプローブと、
を備えるシステム。
【請求項38】
請求項37のシステムであって、上記1個又は複数個の支持部材が、上記標本の2本以上の縁と接触することでその標本を支持するよう構成されており、前記標本の前記背面のうち少なくとも一部分が露出存置されるシステム。
【請求項39】
請求項37のシステムであって、上記1個又は複数個の支持部材が、前記標本の前記背面のうち第1部分と接触することでその標本を支持するよう構成されており、前記標本の前記背面のうち第2部分が露出存置されるシステム。
【請求項40】
請求項22のシステムであって、処理ツール及び多機能分析ツールのうち少なくとも一方に係るウェハハンドラ内に統合されるよう構成されているシステム。
【請求項41】
標本を分析する方法であって、
検査ツールのウェハハンドラに統合された計量ツールを提供し、
前記計量ツールによって、複数本の送光ファイバのうち対応するもの及び複数本の受光ファイバのうち対応するものに結合された複数個のプローブの付近で、1個又は複数個の支持部材で以て標本を支持し、
第1スイッチで以て上記複数本の送光ファイバのうち少なくとも1本の送光ファイバに照明源を光学結合させることで、当該少なくとも1本の送光ファイバに結合された少なくとも1個のプローブであり上記複数本の受光ファイバのうち少なくとも1本の受光ファイバにも結合されている少なくとも1個のプローブで以て、前記標本の表面のうち少なくとも一部分が照明されるようにし、ここで前記第1スイッチは、相互にリンクして階層的構成をなす複数個の第1サブスイッチを含み、
第2スイッチで以て上記少なくとも1本の受光ファイバに検出器を光学結合させることで、前記標本の前記表面のうち上記少なくとも一部分からの照明が上記少なくとも1個のプローブを介し受光されるようにし、ここで、前記第2スイッチは、相互にリンクして階層的構成をなす複数個の第2サブスイッチを含み、
上記複数本の送光ファイバのうちの1本又は上記複数本の受光ファイバのうちの1本又は複数本の少なくとも一方に縦続する1個又は複数個の光学素子で以て能動傾斜補償を提供して、上記複数本の送光ファイバのうちの1本又は複数本又は上記受光ファイバのうちの1本又は複数本の少なくとも一方との結合効率に対する標本の反りが及ぼす影響を低減させ、
前記検出器で以て、前記複数本の受光ファイバの少なくともいくつかから光学計測データを取得し、
前記標本の前面又は底面のうちの少なくとも一方に堆積された膜の、前記標本に亘る膜厚の変動を特定する、
方法。
【請求項42】
請求項41の方法であって、更に、
第1スイッチで以て上記複数本の送光ファイバのうち他の少なくとも1本の送光ファイバに上記照明源を光学結合させることで、当該他の少なくとも1本の送光ファイバに結合された他の少なくとも1個のプローブであり上記複数本の受光ファイバのうち他の少なくとも1本の受光ファイバにも結合されている他の少なくとも1個のプローブで以て、上記標本の表面のうち他の少なくとも一部分が照明されるようにし、且つ
第2スイッチで以て上記他の少なくとも1本の受光ファイバに上記検出器を光学結合させることで、上記標本の表面のうち上記他の少なくとも一部分にて反射、屈折又は輻射された照明が上記他の少なくとも1個のプローブを介し受光されるようにする、
方法。
【請求項43】
請求項41の方法であって、更に、
上記標本を一方向又は複数方向に駆動する方法。
【請求項44】
請求項41の方法であって、更に、
上記標本を時計回り又は反時計回り回動させる方法。
【請求項45】
請求項41の方法であって、更に、
第2の複数本の送光ファイバのうち対応するもの及び第2の複数本の受光ファイバのうち対応するものに結合された第2の複数個のプローブの付近で、上記1個又は複数個の支持部材で以て上記標本を支持し、
第3スイッチで以て第2の複数本の送光ファイバのうち少なくとも1本の送光ファイバに第2照明源を光学結合させることで、第2の複数個のプローブのうち少なくとも1個のプローブであり、第2の複数本の送光ファイバのうち当該少なくとも1本の送光ファイバに結合されており第2の複数本の受光ファイバのうち少なくとも1本の受光ファイバにも結合されている少なくとも1個のプローブで以て、前記標本の背面のうち少なくとも一部分が照明されるようにし、且つ
第4スイッチで以て第2の複数本の受光ファイバのうち上記少なくとも1本の受光ファイバに第2検出器を光学結合させることで、前記標本の前記背面のうち上記少なくとも一部分にて反射、屈折又は輻射された照明が第2の複数個のプローブのうち上記少なくとも1個のプローブを介し受光されるようにする、
方法。
【請求項46】
請求項45の方法であって、上記1個又は複数個の支持部材を上記標本の2本以上の縁に接触させ、前記標本の前記背面のうち少なくとも一部分を露出存置させる方法。
【請求項47】
請求項45の方法であって、上記1個又は複数個の支持部材を前記標本の前記背面のうち第1部分に接触させ、前記標本の前記背面のうち第2部分を露出存置させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示は総じて分析システムに関し、より具体的には複数個の光学プローブを有するマルチスポット分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願への相互参照)
本願は、「複数個の光学プローブを有するマルチスポット分析システム」(MULTI-SPOT ANALYSIS SYSTEM WITH MULTIPLE OPTICAL PROBES)と題しPrasanna Dighe、Dieter Mueller、Dong Chen、Dengpeng Chen、Steve Zamek、Daniel Kavaldjiev及びAlexander Buettnerを発明者とする2018年4月27日付米国仮特許出願第62/663436号に基づき米国特許法第119条(e)の規定による利益を主張するものであるので、参照によりその全容を本願に繰り入れることにする。
【0003】
薄膜堆積プロセスでは、往々にして基板(例.ウェハ)横断的に厚み不均一性が発生する。この種の不均一性はウェハ歩留まり及び最終デバイス性能に反映するので、半導体製造におけるプロセス制御との関係で重大である。従って、ウェハ全体に亘る膜厚の高速フルウェハ計測を可能にすることが必須である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0276615号
【特許文献2】米国特許出願公開第2018/0067058号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
代表的な膜厚計測システムには、エリプソメータ(楕円偏向計)、リフレクトメータ(反射計)、白色光インタフェロメータ(干渉計)等がある。これらのシステムでは、シングルスポット計測に依拠する技術が採用されている。基板横断方向に沿い膜厚が変動するので、その基板上の複数点を計測する必要がある。それを行うため、基板又は光学系を駆動して基板を点から点へと走査している。こうしたシステムで悩ましいのは複雑性及びコストであり、しかも基板及び/又は光学系の動き及び安定化の分だけ計測時間が制限される。空間分解能による計測時間の増減が好適でないのである。例えば2倍密な格子をなす諸点を計測しなければならないときには、計測スポットの個数が4倍に増える。諸点間機械的運動及び安定化に費やされる時間が、それに比例し増加することとなろう。こうしたことからマルチスポット計測ツールが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従い、複数個のプローブで以て標本を分析するシステムが開示される。ある例証的実施形態に係るシステムは、照明源及びその照明源に光学結合された複数本の送光ファイバと、検出器及びその検出器に光学結合された複数本の受光ファイバと、を有する。ある実施形態に係るシステムでは、更に、複数個のプローブがそれら複数本の送光ファイバのうち対応するもの及び複数本の受光ファイバのうち対応するものに結合される。それら複数個のプローブが、標本表面の対応部分を照明するよう、且つ標本表面の当該対応部分にて反射、屈折又は輻射された照明を受光するよう、構成設定されうる。
【0007】
別の例証的実施形態に係るシステムは、照明源及びその照明源に光学結合された第1スイッチと、検出器及びその検出器に光学結合された第2スイッチと、を有する。ある実施形態に係るシステムは、更に、第1スイッチに結合された複数本の送光ファイバと、第2スイッチに結合された複数本の受光ファイバと、を有する。第1スイッチは、複数本の送光ファイバのうち少なくとも1本の送光ファイバに照明源を光学結合させるよう、構成設定されうる。第2スイッチは、複数本の受光ファイバのうち少なくとも1本の受光ファイバに検出器を光学結合させるよう、構成設定されうる。ある実施形態に係るシステムでは、更に、複数個のプローブが複数本の送光ファイバのうち対応するもの及び複数本の受光ファイバのうち対応するものに結合される。それらプローブが、標本表面の対応部分を照明するよう且つ標本表面の当該対応部分にて反射、屈折又は輻射された照明を受光するよう構成設定されうる。例えば、第1スイッチにより複数本の送光ファイバのうち少なくとも1本の送光ファイバに照明源を光学結合させることで、対応するプローブを介し標本表面のうち少なくとも一部分が照明されるようにすることができ、第2スイッチにより複数本の受光ファイバのうち少なくとも1本の受光ファイバに検出器を光学結合させることで、その標本の被照明部分にて反射、屈折又は輻射された照明が当該対応するプローブを介し受光されるようにすることができる。
【0008】
本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従い、複数個のプローブで以て標本を分析する方法が開示される。本方法のある例証的実現形態では、複数本の送光ファイバのうち対応するもの及び複数本の受光ファイバのうち対応するものに結合された複数個のプローブの付近で、1個又は複数個の支持部材により標本を支持する。本方法のある実現形態では、複数本の送光ファイバのうち少なくとも1本の送光ファイバに第1スイッチで以て照明源を光学結合させることで、その送光ファイバに結合されており複数本の受光ファイバのうち少なくとも1本の受光ファイバにも結合されている少なくとも1個のプローブで以て、標本表面のうち少なくとも一部分が照明されるようにする。本方法のある実現形態では、第2スイッチで以てその受光ファイバに検出器を光学結合させることで、標本表面のその部分にて反射、屈折又は輻射された照明がそのプローブを介し受光されるようにする。
【0009】
理解し得るように、上掲の概略記述及び後掲の詳細記述は共に専ら例示及び説明用のものであり、特許請求の範囲記載の発明を必ずしも限定するものではない。添付図面は、本明細書に組み込まれてその一部分を構成し、本発明の諸実施形態を描出するものであり、概略記述と相俟ち本発明の諸原理を説明する役目を負っている。
【0010】
本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)であれば、以下の添付図面を参照することで、本件開示に多々備わる長所をより良好に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り複数個のプローブで以て標本を分析するシステムの模式図である。
図1B】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り複数個のプローブで以て標本を分析するシステムの模式図である。
図1C】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るシステム、例えば図1A又は図1Bに描かれているシステム向けの、真空チャックシステムの模式図である。
図2】1個又は複数個の実施形態に係るシステム、例えば図1A又は図1Bに描かれているシステム向けの、スイッチ構成の模式図である。
図3A】1個又は複数個の実施形態に係るシステム、例えば図1A又は図1Bに描かれているシステム向けの、プローブ構成の模式図である。
図3B】1個又は複数個の実施形態に係るシステム、例えば図1A又は図1Bに描かれているシステム向けの、プローブ構成の模式図である。
図3C】1個又は複数個の実施形態に係るシステム、例えば図1A又は図1Bに描かれているシステム向けのプローブ構成の模式図である。
図4】1個又は複数個の実施形態に係るシステム、例えば図1A又は図1Bに描かれているシステムでの1個又は複数個のプローブによる送受光照明の模式図である。
図5A】1個又は複数個の実施形態に係るシステム、例えば図1A又は図1Bに描かれているシステムでの1個又は複数個のプローブによる送受光照明の模式図である。
図5B】1個又は複数個の実施形態に係るシステム、例えば図1A又は図1Bに描かれているシステムでの1個又は複数個のプローブによる送受光照明の模式図である。
図5C】1個又は複数個の実施形態に係るシステム、例えば図1A又は図1Bに描かれているシステムでの1個又は複数個のプローブによる送受光照明の模式図である。
図5D】1個又は複数個の実施形態に係るシステム、例えば図1A又は図1Bに描かれているシステムでの1個又は複数個のプローブによる送受光照明の模式図である。
図5E】1個又は複数個の実施形態に係るシステム、例えば図1A又は図1Bに描かれているシステムでの1個又は複数個のプローブによる送受光照明の模式図である。
図6】1個又は複数個の実施形態に係るシステム、例えば図1A又は図1Bに描かれているシステムでの1個又は複数個のプローブによる送受光照明の、そのシステムのプローブ構成との関連での模式図である。
図7A】1個又は複数個の実施形態に係るシステム、例えば図1A又は図1Bに描かれているシステム向けの照明伝送路の模式図である。
図7B】1個又は複数個の実施形態に係るシステム、例えば図1A又は図1Bに描かれているシステム向けの代替的照明伝送路の模式図である。
図8A】1個又は複数個の実施形態に係るシステム、例えば図1A又は図1Bに描かれているシステム向けの照明集光路の模式図である。
図8B】1個又は複数個の実施形態に係るシステム、例えば図1A又は図1Bに描かれているシステム向けの代替的照明集光路の模式図である。
図9A】1個又は複数個の実施形態に係るシステム、例えば図1A又は図1Bに描かれているシステムによる標本のあるセクションでのマルチスポット走査の模式図である。
図9B】1個又は複数個の実施形態に係るシステム、例えば図1A又は図1Bに描かれているシステムによる標本の複数個のセクションでのマルチスポット走査の模式図であり、その標本の複数個のセクションを走査すべくそのシステムに備わる1個又は複数個の支持部材によりその標本が回動されている。
図10A】1個又は複数個の実現形態に係り複数個のプローブで以て標本を分析する方法を描いたフロー図である。
図10B】1個又は複数個の実現形態に係り複数個のプローブで以て標本を分析する方法を描いたフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に描かれている被開示主題を詳細に参照することにする。本件開示を、ある種の実施形態及びその具体的特徴との関連で具体的に図示及び記述してある。本願中で説明される諸実施形態は限定ではなく例証として把握されるべきである。いわゆる当業者には直ちに理解されるべきことに、本件開示の神髄及び技術的範囲から離隔することなく、形態及び細部に様々な改変及び修正をなすことができる。
【0013】
ウェハ歩留まり及び最終デバイス性能に反映されるので、膜厚ばらつきの解明は半導体製造におけるプロセス制御との関連で重大なことである。そのため、ウェハ全体に亘る膜厚の高速フルウェハ計測を可能化しなければならない。膜厚は、通常、基板(例.ウェハ、ボード又はパネル)横断方向に沿いゆっくりと変化する。故に、多くの場合、フル膜厚解明には数個の計測点で十分である。場合によっては、標本上の指定個所上で厚みを監視することが必要になるかもしれないが、その場合でも限られた個数の点で十分であろう。半導体製造では、例えば膜が基板の両側に堆積されることがある。依然として前面背面双方分析用計測システムの実現は難題であり、基板の取扱が複雑なこと及び高いスループットを実現するのに高速動作が必要なことがその原因となっている。
【0014】
基板裏側での厚み計測結果は、フォトリソグラフィにおけるオーバレイ誤差予測及び面内応力計測に適用することができる。チャッキングされていない自由な基板についての基板幾何の計測結果は、基板裏側の膜に関する厚みデータと併せて、不均一な応力誘起歪の解明に用いることができる。基板幾何データを、露出ツールの真空チャックにより平たく引き伸ばされた基板の面内歪に関連付け、ひいてはオーバレイ誤差に関連付けることができる。
【0015】
システムによっては、その裏側での真空チャッキングにより基板を保持しつつ基板片側にて計測が実行される。しかしながら、上/前側から基板をチャッキングすると表面欠陥及び表面汚染が生じかねないので、そうした計測技術は裏側計測に適していない。他の技術には静電容量又は誘導ゲージに依拠するものがある。しかしながら、これらも同じくシングルスポット計測向けに設計されているので、提供される空間分解能が貧弱である。これら上掲の諸問題に対処すべく多くの技術が提案されてきた。例えば、それら解決策のうちマルチバンド、ハイパースペクトル又はDMD式撮像システムは、計測時間を短縮しうるものと目されている。しかしながら、これらの策で必要となるシステムは嵩張っていて値が張るものであり、前面背面双方計測に適合させることが容易ではない。
【0016】
複数個のプローブで以て標本を分析するシステム100が、本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従い開示されている。例えば、図1Aに描かれている実施形態のシステム100は、標本102(例.ウェハ、ボード、パネル、レティクルその他何らかの基板)の少なくとも第1表面(例.前面/上面)104を分析するよう、構成されている。本システム100はスタンドアロンシステムとされうるが、実施形態によっては本システム100が処理ツール内に(例.ハードウェアモジュールとして)及び/又は多機能分析ツール/システムの一部として統合・集積されることもある。例えば、本システム100を処理ツール向けのウェハハンドラ内に及び/又は多機能分析ツール/システムとして統合・集積することで、他種分析(例.オーバレイ計量、検査、限界寸法(CD)計測等)に加え膜厚解明を可能にしてもよい。
【0017】
実施形態に係るシステム100は、標本102を支持(例.保持又は運搬)するよう構成された1個又は複数個の支持部材132を有している。例えば、1個又は複数個の支持部材132のなかに標本ステージ、1個又は複数個のチャック等を含めることができる。実施形態によっては、背面106が少なくとも部分的に露出するよう1個又は複数個の支持部材132により標本が支持される。例えば、標本背面106との接触なしで、或いは背面106のうちある限られた部分との接触のみでその標本を支持するよう、1個又は複数個の支持部材132を構成すればよい。ある実施形態では、標本102の2本以上の縁と接触することで標本102を支持するよう1個又は複数個の支持部材132が構成され、ひいては標本102の背面106の全て又は大半が露出存置される。別の実施形態では、標本102の背面106のうち第1部分(例.縁又は縁寄り部分)と接触することで標本102を支持するよう1個又は複数個の支持部材132が構成され、ひいては標本102の背面106のうち第2部分(例.内寄り部分)が露出存置される。
【0018】
本システム100は、照明源118及びその照明源118に光学結合された複数本の送光ファイバ114と、検出器122及びその検出器122に光学結合された複数本の受光ファイバ116とを有している。実施形態によってはその照明源118に少なくとも1個の広帯域照明源が備わる。照明源118の例としては放電プラズマ光源(例.放電プラズマランプ)、レーザ駆動又はレーザ維持プラズマ光源及び/又は超連続体(超広帯域)光源(例.超連続体レーザ)があろう。照明源118に(例.1個又は複数個のフィルタ素子により)分光フィルタリングを適用することで、短めの波長を遮断し(例.ソラリゼーションによる)光ファイバ114及び/又は116の経時劣化を低減してもよい。実施形態によっては検出器122に少なくとも1個のスペクトロメータ(分光計)が備わる。その他の実施形態では、検出器122に少なくとも1個の撮像スペクトロメータ、カメラ、フォトダイオード又はフォトダイオードアレイ等が備わることもある。
【0019】
実施形態に係るシステム100では、第1スイッチ120が照明源118に光学結合されている。本システム100では、更に、第2スイッチ124を検出器122に光学結合させることができる。送光ファイバ114を第1スイッチ120に結合させ、その第1スイッチ120を適宜構成設定することで、複数本の送光ファイバ114のうち少なくとも1本の送光ファイバ114に照明源118を光学結合させることができる。同様に、受光ファイバ116を第2スイッチ124に結合させ、その第2スイッチ124を適宜構成設定することで、複数本の受光ファイバ116のうち少なくとも1本の受光ファイバ116に検出器122を光学結合させることができる。これら第1スイッチ120及び第2スイッチ124は光スイッチである。例えば、第1スイッチ120を1×M光スイッチ、但しMは2超の実数、とすることができる。同様に、第2スイッチ124をN×1光スイッチ、但しNは2超の実数、とすることができる。実施形態によってはM=Nとされる。実施形態によっては、第1スイッチ120及び/又は第2スイッチ124が多入力多出力(MIMO)スイッチとすることができる。例えばある実施形態によれば、送光ファイバ114のうち対応するものが2個以上の照明源118に光学結合されるよう、第1スイッチ120を構成設定することができる。別の実施形態によれば、受光ファイバ116のうち対応するものが2個以上の検出器122に光学結合されるよう、第2スイッチ124を構成設定することができる。
【0020】
実施形態によっては、スイッチ(例.スイッチ120及び/又はスイッチ124)を複数個のスイッチにより実現することができる。例えば、図2に描かれている実施形態では、スイッチ120が複数個のスイッチ121を有しており、それらが相互にリンクして階層的構成をなしている。こうした構成では、スイッチ121を同時に切り替えることでスイッチ120を切り替えることにより、1本又は複数本の送光ファイバ114を照明源118に接続することができる。スイッチ120を複数個のサブスイッチ121で以て実現したシステム100によれば、全てのサブスイッチ121を同時又はほぼ同時に切り替えることができるため、さもなくば発生するであろうスイッチング遅延を回避することができる。例えば、ファイバ間機械スイッチングに依拠するスイッチ単体では、スイッチング時間がポートの個数に比例する。故に、ポートが多数であると、スイッチング時間が合計計測時間にて支配的となりうる。その計測時間を減らすためにスイッチ120内に複数個の層を設け、各層にモジュール式の1×Mスイッチ121を組み込むことができる。全層を同時に切り替えることができるため、スイッチ120に係るスイッチング時間が、1×Mスイッチ121単体のスイッチング時間と同等になる。スイッチ124を類似手法、即ち同時切替が可能な複数個のサブスイッチで以て1本又は複数本の受光ファイバ116を検出器122に接続するそれで、実現することができる。
【0021】
翻って図1Aに示すように、実施形態に係るシステム100は更に複数個のプローブ110を有しており、複数本の送光ファイバ114のうち対応するものと、複数本の受光ファイバ116のうち対応するものとに、それらが結合されている。例えば、各プローブ110を少なくとも1本の送光ファイバ114及び少なくとも1本の受光ファイバ116に結合させてもよい。実施形態によっては、プローブ110のうち1個又は複数個が、少なくとも1本の送光ファイバ114に結合されるが受光ファイバ116には結合されないことや、少なくとも1本の受光ファイバ116に結合されるが送光ファイバ114には結合されないことがありうる。本システム100に光学系プレート108を設け、それによりプローブ110を支持してもよい。例えば、プローブ110により構成されるアレイ(例.リニア又は二次元アレイ)を光学系プレート108により画定することができる。図1Aに示すように、光学系プレート108により画定される複数個の開口内に、それらプローブ110を少なくとも部分的に配することができる。実施形態のうち、それらプローブ110が光学系プレート108に可除結合されるものでは、プローブ要素の交換が可能であり、様々なプローブ110(例.異なるプローブ要素を有するもの)を受け入れることができ、及び/又は、光学系プレート108上の異なる個所間でのプローブ110の移動が可能となる。光学系プレート108は、(例.図1Aに示す如く)標本102の上方に配置(例.実装その他支持)してもよいし、標本102の下方に配置してもよい。実施形態によっては(例.図1Bに示すように)、本システム100にて標本102の上方に第1光学系プレート108が配置され、標本102の下方に第2光学系プレート134が配置される。この構成については図1Bを参照し本願中で後述することにする。
【0022】
実施形態によっては、光学系プレート108及び1個又は複数個の支持部材132が真空チャックシステム、例えば図1Cに示す真空チャックシステム500により置換されうる。実施形態における真空チャックシステム500は基板502を有しており、それに備わる複数個の吸引ポート504が真空供給ポートに通流結合されている。その真空供給ポートが通流結合される真空ポンプ506を、吸引ポート504を通じ空気を吸引するよう構成し、それにより吸引力により基板502方向に押しつけ標本102を保持することができる。実施形態における基板502は、更に、光学プローブ110向けに複数個の開口508を有している。こうすることで、真空チャックシステム500を、光学系プレート兼支持部材として働かせることができる。用途によっては、ウェハの反りで膜計量正確度の精度が制限されうることから、平坦なウェハが必要とされうる。真空チャックシステム500はウェハの反りを減らす助けになりうるものであり、本システム100の残余部分のデザインを(即ち真空チャックシステム500による光学系プレート108及び1個又は複数個の支持部材132の置換以外は)修正することなく、本システム100内にシームレス統合することができる。標本102をチャッキングすることでそれを平坦に保ち、膜計量に対する反りの影響を排除することができよう。真空チャックシステム500によりスループットを改善することもできる。チャッキングされていないウェハは何らかの振動周波数を有することとなるので、それを減衰させてからでないと、信頼できる計測結果を採取することができない。真空チャックシステム500で以て、チャッキングをほとんど瞬時に行うことで、ツールスループットが改善されることとなる。
【0023】
実施形態によっては、送光ファイバ114及び受光ファイバ116が多端子(例.少なくとも三端子)コネクタ112、例えば二分岐ファイバ束、ファンアウトケーブル、Yケーブル等により、対応するプローブ110に結合される。照明は、照明源118からプローブ110へ、またそれらプローブ110から検出器122へと、それら多端子コネクタ112を介し送給することができる。例えば、各多端子コネクタ112に少なくとも3個の端子(例.対応する送光ファイバ114に接続された第1端子、対応する受光ファイバ116に接続された第2端子、並びに対応するプローブ110に接続された第3端子)を設けることができる。実施形態におけるプローブ110は、これに加え又は代え、送光ファイバ114の一部分及び/又は受光ファイバ116の一部分が組み込まれたものとすることができる。例えば、図3Aに示すように、プローブ110にハウジング111を設け、それにより送光ファイバ114の一部分及び受光ファイバ116の一部分を少なくとも部分的に囲むようにすることができる。他の実施形態では、そのハウジング111により、多端子コネクタ112に光学結合された光学素子(例.ファイバ、レンズ等)や多端子コネクタ112のうち少なくとも一部分が囲まれる。
【0024】
本システム100の経時安定性及び標本102の幾何特性に関わる計測正確度及び再現性によって、センサプローブ110の複雑度を定めることができる。例えば、それらセンサプローブ110にオートフォーカス及び/又は能動傾斜補償光学系及び/又は機械構造を設けることができる。標本102の反りはその照明反射角に影響しうるものであり、それはその個所特に標本102の縁までの距離によって左右される。反射角の変化は、他方でレシーバでの結合効率を波長依存的形態で変化させうる。こうした場合、層厚/屈折率の変化に由来するスペクトル変化を反りの影響に対し分離することが、難しくなりうる。結合効率に対し標本102の反りが及ぼす影響を排するためにプローブ110に1個又は複数個の光学素子を具備させ、それを送光ファイバ114の出射部及び/又は受光ファイバ116の入射部に縦続させることができる。例えば、図3B及び図3Cに描かれている実施形態では、プローブ110の構成が、送光ファイバ114及び/又は受光ファイバ116に縦続する1個又は複数個の光学素子を有するものとなっている。実施形態では、当該1個又は複数個の光学素子に、これに限られるものではないが集束レンズ113、平行化レンズ115、複合目的(例.平行化兼集束)レンズ117又はそれらの何らかの組合せを含めることができる。実施形態によっては、当該1個又は複数個の光学素子の縦続先プローブ110に、送光ファイバ114及び受光ファイバ116の対応部分が結合され及び/又は組み込まれる。例えば、プローブ110の構造内(例.ハウジング111内又はそれにより支持されるところ)に当該1個又は複数個の光学素子を設けてもよいし、他の何らかのやり方でプローブ110を当該1個又は複数個の光学素子に結合させることもできる。
【0025】
プローブ110は、標本102の表面104のうち対応部分を(例.送光ファイバ114からの照明により)照明するよう構成すること、並びに標本102の表面104のうち対応部分にて反射、屈折又は輻射された照明を受光する(例.ひいては受光ファイバ116を介し検出器122に送光する)よう構成することができる。例えば、第1スイッチ120により照明源118を少なくとも1本の送光ファイバ114に光学結合させることで、標本102の表面104のうち少なくとも一部分がそれらプローブ110のうち対応するものを介し照明されるようにすることができる。同様に、第2スイッチ124により検出器122を少なくとも1本の受光ファイバ116に光学結合させることで、標本102の表面104のうち被照明部分にて反射、屈折又は輻射された照明がそれらプローブ110のうち対応するものを介し、また恐らくは標本102の表面104を照明しているプローブ110の至近にある別のプローブ110を介し、受光(及び検出)されるようにすることができる。実現形態によっては、標本102の表面104を照明しその標本102の表面104にて反射、屈折又は輻射された照明を集光することで、プローブ110により照明されたスポット(例.標本102の部分)毎に反射率スペクトルを計測することができる。特定パターンに従い光学系プレート108上に実装された複数個のプローブ110で以て、標本表面104の全て又は大半に関する一組の反射率スペクトルを、標本102を駆動することなく計測することができる。
【0026】
図4にはプローブ110における照明強度分布200の例が描かれており、これには源照明202に加え反射照明204も含まれている。御覧の通り、源照明202はプローブ110の光軸(OA)206から軸外れしている。実施形態における光軸206は、1個又は複数個の光学素子の中心軸によって定まっている。源照明202が軸外れしていると、反射照明204はその源照明202と重ならず、寧ろその光軸206の逆側に入射する。反射照明204は光軸206から見て源照明202と同じ距離となりうる。こうしたデザインであれば、源照明路と反射照明路とを空間的に分離できるので、反射照明をより効率的に集光することが可能となる。受光ファイバ116は、全波長の反射照明を最低損失で以て十分に集めうるほど大きくすることができ、それでいてそのファイバのエタンデュを十分に減らせる程小さくすることができる。受光ファイバ116のエタンデュは、コネクタ112、スイッチ124及び/又は検出器122のエタンデュに適合(例.マッチ又はほぼマッチ)するよう選択すればよい。
【0027】
図5A図5Eには、プローブ110での画像所在個所に対する標本反りの影響が描かれている。標本102の縁の近くにプローブ110があるときには、御覧の通り、標本表面104の傾斜が原因で画像がシフトする。例えば、複数のプローブ所在個所に関し図5A図5Eに描かれている照明強度分布300では、御覧の通り源照明302が定在する一方で反射照明304がシフトしている。反りの影響によらず本システム100にて照明が確と検出されるようにするには、十分に大きな直径を有していてそれらシフト反射を捉えうるものを、受光ファイバ116として選択すればよい。例えば、図6には、源照明402を基準にして様々な反射照明スポット404を重ね合わせた照明強度分布400が描かれている。これら反射照明スポット404全てをカバーする円406の直径と少なくとも同程度以上に大きい直径を呈するよう、受光ファイバ116を構成すればよい。場合にもよるが、ファイバヘッド平面における源照明の所在個所軸外れ量Δは、ウェハ平面における入射角αと対応している。この関係は、tanα=Δ/(焦点距離)なる等式により特徴付けることができる。場所の違いによりウェハ上への入射角が違うことによるスペクトル応答の変化を避けるには、αを過度に大きくすべきでない。二通りの代表的な被覆分布(例.シリコン(Si)ウェハ頂部の100nm又は1μmSiO)についての反射率計算結果からすると、偏向効果を避けるには最大入射角を5°未満にすべきである、ということになる。画質及びクロマティック画像ブラーを改善するには、相異なるガラス素材製のレンズ数個を一緒に用いること、或いは更に屈折/反射併用又はフル反射型デザイン(例.シュヴァルツシルト対物系等)を用いることが有用であろう。
【0028】
本システム100の代替的実施形態に従い、照明源118に結合されたスイッチ120を、複数個のファイバ束を伴うスプリッタ又はハーネスにより置き換えてもよい。例えば、図7A及び図7Bに描かれているように、本システム100の構成部材のうち照明源118及びスイッチ120を、照明源702及びその照明源702に直に又はスプリッタ/ハーネス704を介し結合された複数本の送光ファイバ706で以て、置き換えることができる。図7Bの構成では光学パワーが複数点間(例.全数の送光ファイバ706間)で等分されるため、図7Aの構成に比べ、こうしたアーキテクチャはより単純且つ低コストなものとなりうるだけでなく、それによって標本102にてより小さな光信号を供給することができる。
【0029】
実施形態によっては、検出器122に結合されたスイッチ124をも、複数個のファイバ束を伴うスプリッタ又はハーネスにより置き換えることができる。例えば、図8A及び図8Bに描かれているように、本システム100の構成部材のうち検出器122及びスイッチ124を、検出器802及びその検出器802に直に又はスプリッタ/ハーネス804を介し結合された複数本の受光ファイバ806で以て、置き換えることができる。その検出器802を撮像スペクトロメータとしてもよい。例えば、検出器802が、ダイソンスペクトロメータ、オフナースペクトロメータその他、何らかの撮像スペクトロメトリシステムを有していてもよい。図8Bに描かれている構成は、より低コストなものとなりうると共に、より高速な計測を実現可能なものとなりうる。
【0030】
場合によっては、標本102横断方向に沿い膜厚不均一性が高速変動を呈する。そうした場合、空間分解能及びスポット個数を大きく向上・増大させることが必要になりうる。これに対処するには、標本102を駆動しうるよう1個又は複数個の支持部材132を構成すればよい。例えば、1個又は複数個の支持部材132がアクチュエータ(例.モータ、サーボ、リニアアクチュエータ等)を有するかそれに結合されていて、そのアクチュエータの働きで1個又は複数個の支持部材132が標本102を一方向又は複数方向に直線移動させ或いは標本102を(例.時計回り又は反時計回り)回動させるようにしてもよい。実施形態によっては、これに代え又は加え、光学系プレート108を一方向又は複数方向に直線移動させるよう構成され又は光学系プレート108を(例.時計回り又は反時計回り)回動させるよう構成された1個又は複数個のアクチュエータが、本システム100に組み込まれる。こうしたデザインの長所は、スケーラビリティ・チャネル個数(例.システム複雑度)間で釣り合いを採れることにある。例えば、図9Aには光学系プレート108に関する走査パターン900が示されており、そのプレートに備わる複数個のプローブ110によって、円のうちあるセクション902(例.45°セクション)が形成されている。図9Bには、標本102及び/又は光学系プレート108を回動させること(例.各45°の8連続回動)でその円のセクション902、904、906、908、910、912、914及び916を照明することにより生成された全表面走査パターン900が描かれている。チャネル/プローブの個数及び光学系プレート108の幾何についての選択は、これに限られるものではないが計測時間、空間分解能及びシステム複雑度を初めとする基準に基づき決めることができる。
【0031】
実施形態によっては、例えば図1Bに示すように、標本102の背面106をも分析するよう本システム100を構成することができる。そうした実施形態では、本システム100に更に、第2照明源144及びその第2照明源144に光学結合された第2の複数本の送光ファイバ140と、第2検出器150及びその第2検出器150に光学結合された第2の複数本の受光ファイバ142とを、設けることができる。第2照明源144は第1照明源118に似たもの又はそっくりなものとされうる。実施形態によっては、第2照明源144が少なくとも1個の広帯域照明源を有する。例えば、第2照明源144には放電プラズマ光源(例.放電プラズマランプ)、レーザ駆動若しくはレーザ維持プラズマ光源及び/又は超連続体光源(例.超連続体レーザ)が含まれうる。分光フィルタリングを(例.1個又は複数個のフィルタ素子により)第2照明源144に適用することで、短めの波長を遮断し、(例.ソラリゼーションによる)光ファイバ140及び/又は142の経時劣化を減らしてもよい。第2検出器150は第1検出器122に似たもの又はそっくりなものとされうる。実施形態によっては、第2検出器150が少なくとも1個のスペクトロメータを有する。他の諸実施形態では、第2検出器150に少なくとも1個の撮像スペクトロメータ、カメラ、フォトダイオード又はフォトダイオードアレイ等が含まれうる。
【0032】
実施形態のシステム100では、第3スイッチ146が第2照明源144に光学結合されている。本システム100では、更に、第4スイッチ148を第2検出器150に光学結合させることができる。第2送光ファイバ140をその第3スイッチ146に結合させ、その第3スイッチ146を適宜構成設定することで、第2の複数本の送光ファイバ140のうち少なくとも1本の送光ファイバ140に第2照明源144を光学結合させればよい。同様に、受光ファイバ142を第4スイッチ148に結合させ、その第4スイッチ148を適宜構成設定することで、第2の複数本の受光ファイバ142のうち少なくとも1本の受光ファイバ142に第2検出器150を光学結合させればよい。第3スイッチ146及び第4スイッチ148は、それぞれ、1個又は複数個の実施形態における第1スイッチ120及び第2スイッチ124に似たもの又はそっくりなものとされうる。
【0033】
本システム100に更に第2の複数個のプローブ136を設け、それらを第2の複数本の送光ファイバ140のうち対応するもの及び第2の複数本の受光ファイバ142のうち対応するものに結合させてもよい。第1の複数個のプローブ110は標本102の第1表面(上面/前面)104付近に配置し、第2の複数個のプローブ136は標本102の第2表面(背面)106に配置すればよい。プローブ136は、本願既述の1個又は複数個の実施形態におけるプローブ110に似たもの又はそっくりなものとすればよい。実施形態によっては送光ファイバ140及び受光ファイバ142が多端子(例.少なくとも三端子)コネクタ138、例えば二分岐ファイバ束、ファンアウトケーブル、Yケーブル等によって対応するプローブ136に結合される。照明は、照明源144からプローブ136へ、そのプローブ136から検出器150へと多端子コネクタ138を介し送給すればよい。例えば、各多端子コネクタ138に少なくとも3個の端子(例.対応する送光ファイバ140に接続される第1端子、対応する受光ファイバ142に接続される第2端子並びに対応するプローブ136に接続される第3端子)を設ければよい。実施形態におけるプローブ136には、これに加え又は代え送光ファイバ114の一部分及び/又は受光ファイバ116の一部分を組み込むことができる。
【0034】
本システム100に更に光学系プレート134を設け、それによりプローブ136を支持してもよい。例えば、プローブ110により構成されるアレイ(例.リニア又は二次元アレイ)を光学系プレート108により画定することができる。光学系プレート134も、本願既述の1個又は複数個の実施形態における光学系プレート108に似たもの又はそっくりなものとされうる。光学系プレート134は当該1個又は複数個の支持部材132の下方(例.標本102の下方)、光学系プレート108は1個又は複数個の支持部材132の上方(例.標本102の上方)に実装すればよい。
【0035】
プローブ136は、標本102の背面106の対応部分を(例.送光ファイバ140からの照明により)照明するよう構成すること、並びにその標本102の背面106の対応部分にて反射、屈折又は輻射された照明を受光する(例.ひいては受光ファイバ142を介し検出器150へと送光する)よう構成することができる。例えば、第3スイッチ146により照明源144を少なくとも1本の送光ファイバ140に光学結合させることで、標本102の背面106のうち少なくとも一部分がそれらプローブ136のうち対応するものを介し照明されるようにすることができる。同様に、第4スイッチ148により検出器150を少なくとも1本の受光ファイバ142に光学結合させることで、標本102の背面106の被照明部分にて反射、屈折又は輻射された照明がそれらプローブ136のうち対応するものを介し、また恐らくはその標本102の背面106を照明しているプローブ136の至近にある別のプローブ136を介し、受光(及び検出)されるようにすることができる。実現形態によっては、標本102の背面106を照明しその標本102の背面106にて反射、屈折又は輻射された照明を集光することで、プローブ136により照明されたスポット(例.標本102の部分)毎に反射率スペクトルを計測することができる。複数個のプローブ136を特定パターンに従い光学系プレート134上に実装することで、背面106の全て又は大半に係る一組の反射率スペクトルを、標本102を駆動することなく計測することが可能となる。加えて、上述の通り、第1光学系プレート108上に実装された上側プローブ110によって、標本102の前面/上面104の全て又は大半に係る反射率スペクトルを計測することができる。こうした構成によれば、標本102を駆動することなくその標本102の両側を分析することができる。
【0036】
同じく図1Bに示すように、実施形態によっては、照明源118及び144を単一の照明源で置き換え、それに付随する1個又は複数個のスイッチ(例.スイッチ120及び/又はスイッチ146)を、標本102の前面/上面104を分析すべく照明源をプローブ110に光学結合させるよう構成設定すること、並びに標本102の背面106を分析すべく照明源をプローブ136にも光学結合させるよう構成設定することができる。また、実施形態によっては、検出器122及び150を単一の検出器で置き換え、それに付随する1個又は複数個のスイッチ(例.スイッチ124及び/又はスイッチ148)を、標本102の前面/上面104を分析すべく検出器をプローブ110に光学結合させるよう構成設定すること、並びに標本102の背面106を分析すべく検出器をプローブ136にも光学結合させるよう構成設定することができる。このように、本システム100に何個の照明源、検出器又はスイッチを組み込んでもよい。
【0037】
図1A及び図1Bに示す諸実施形態に係るシステム100は、更にコントローラ126を有している。実施形態によっては、そのコントローラ126に、記憶媒体130上で保持されているプログラム命令群を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサ128が備わる。こうした構成によれば、コントローラ126に備わる1個又は複数個のプロセッサ128により、本件開示の随所に記載されている様々な処理ステップ及び動作の何れも実行することができる。
【0038】
コントローラ126に備わる1個又は複数個のプロセッサ128には、本件技術分野で既知なあらゆる処理素子が含まれうる。その意味で、当該1個又は複数個のプロセッサ128には、アルゴリズム及び/又は命令群を実行するよう構成されたあらゆるマイクロプロセッサ型デバイスが含まれうる。ある実施形態によれば、当該1個又は複数個のプロセッサ128を、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、並列プロセッサその他、プログラムを実行するよう構成された何らかのコンピュータシステム(例.ネットワーク接続されたコンピュータ)を備えるものとすることができ、またそのプログラムを適宜構成することで、本件開示の随所に記載の如く本ハイブリッド検査システム100を動作させることができる。更なる認識によれば、語「プロセッサ」は、非一時的記憶媒体1302から得たプログラム命令群を実行する処理素子を1個又は複数個有するデバイス全てが包括されるよう、広く定義することができる。
【0039】
記憶媒体130には、連携する1個又は複数個のプロセッサ128により実行可能なプログラム命令群を格納するのに適し本件技術分野で既知な、あらゆる格納媒体が含まれうる。例えば非一時的記憶媒体が記憶媒体130に含まれうる。また例えば、これに限られるものではないがリードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気又は光記憶デバイス(例.ディスク)、磁気テープ、固体ドライブ等が記憶媒体130に含まれうる。更に注記されることに、記憶媒体130は1個又は複数個のプロセッサ128と共に共通コントローラハウジング内に収容されうる。ある実施形態によれば、記憶媒体130を1個又は複数個のプロセッサ128及びコントローラ126の物理的在処に対し遠隔配置することができる。例えば、ネットワーク(例.インターネット、イントラネット等)を介しアクセス可能なリモートメモリ(例.サーバ)に、コントローラ126に備わる1個又は複数個のプロセッサ128がアクセスするのでもよい。従って、上掲の記述は本発明に対する限定事項ではなく単なる例証として解されるべきである。
【0040】
コントローラ126は、照明源118及び/又は照明源144を制御するよう構成することができる。例えば、1個又は複数個の照明パラメタ(例.照明強度、波長、帯域幅、周波数、スポットサイズ等)を制御するよう、コントローラ126を構成することができる。コントローラ126は、検出器122及び/又は検出器150からデータを受領するよう構成することができる。例えば、生データ、処理済データ(例.厚み計測値)及び/又は部分処理済データの何らかの組合せをコントローラ126にて受領することができる。更に、本件開示の随所に記載の諸ステップを、単一のコントローラ126により実行してもよいし、それに代え複数個のコントローラにより実行してもよい。加えて、コントローラ126が、共通ハウジング内に収容され又は複数個のハウジング内に収容された1個又は複数個のコントローラを有していてもよい。こうすることで、どのようなコントローラ又はコントローラコンビネーションであれ、本システム100への統合に適したモジュールとして個別にパッケージングすることができる。例えば、コントローラ126を検出器122及び/又は検出器150向けの集中処理プラットフォームとして動作させることや、それにより受領データ(生及び/又は部分処理済)に対し一通り又は複数通りの分析(例.計測)アルゴリズムを実行して一通り又は複数通りの標本属性又はパラメタ(例.膜高/膜厚、表面均一度/不均一度等々)を特定することができる。
【0041】
実施形態におけるコントローラ126は、スイッチ120、スイッチ124、スイッチ146及び/又はスイッチ148を制御するよう構成されている。例えば、スイッチ120/146により照明源118/144を標本102の該当部分付近にあるプローブ110/136に光学結合させることで、その標本102のうち少なくとも一部分に関する分析及び/又は計測を実行するよう、コントローラ126を構成することができる。この場合、スイッチ120/146により照明源118/144をそのプローブ110/136に係る(例.結合された)少なくとも1本の送光ファイバ114/140に光学結合させるよう、且つスイッチ124/148により検出器122/150をそのプローブ110/136に係る(例.結合された)少なくとも1本の受光ファイバ116/142(又は近くのプローブに係る受光ファイバ)に光学結合させるよう、コントローラ126を構成すればよい。
【0042】
コントローラ126は、標本102の前面/上面104及び/又は背面106上にてスポットバイスポット走査パターンが実現されるよう、構成することができる。例えば、スイッチ120/146により照明源118/144を標本102の他部分(次部分)付近のプローブ110/136と光学結合させることで、その標本102の少なくとも1個の他部分(例.次スポット)に関する分析及び/又は計測を実行するよう、コントローラ126を構成することができる。この場合、スイッチ120/146により照明源118/144を別の(次の)プローブ110/136に係る(例.結合された)他の少なくとも1本の(次の)送光ファイバ114/140に光学結合させるよう、且つスイッチ124/148により検出器122/150を他の(次の)プローブ110/136に係る(例.結合された)少なくとも1本の受光ファイバ116/142に光学結合させるよう、コントローラ126を構成すればよい。
【0043】
コントローラ126は、標本102の前面/上面104及び/又は背面106上にて並列マルチスポット走査パターンが実現されるようにも構成することができる。例えば、スイッチ120/146により照明源118/144を標本102の2個以上の部分付近の2個以上のプローブ110/136と光学結合させることで、その標本102の2個以上の部分(例.スポット)に関する同時的(又は少なくとも部分的に並行的)な分析及び/又は計測を実行するよう、コントローラ126を構成することができる。この場合、スイッチ120/146により照明源118/144を2個以上のプローブ110/136に係る(例.結合された)2本以上の送光ファイバ114/140に光学結合させるよう、且つスイッチ124/148により検出器122/150を2個以上のプローブ110/136に係る(例.結合された)2本以上の受光ファイバ116/142に光学結合させるよう、コントローラ126を構成すればよい。
【0044】
図10A及び図10Bには、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い複数個のプローブで以て標本を分析する方法1000にて実行される諸ステップが描かれている。出願人の注記によれば、システム100の文脈に沿い本願にてこれまで述べてきた諸実施形態及び可能化テクノロジが方法1000に敷衍されるものと、解されるべきである。とはいえ、更なる注記によれば、本方法1000はシステム100のアーキテクチャに限定されるものではない。
【0045】
本方法1000のステップ1002では、複数本の送光ファイバのうち対応するもの及び複数本の受光ファイバのうち対応するものに結合された複数個のプローブ付近で、1個又は複数個の支持部材で以て標本を支持する。例えば、送光ファイバ114のうち対応するもの及び受光ファイバ116のうち対応するものに結合されたプローブ110の付近(例.近隣)にて、システム100に備わる1個又は複数個の支持部材132により標本102を支持することができる。
【0046】
本方法1000のステップ1004では、複数本の送光ファイバのうち少なくとも1本の送光ファイバに第1スイッチで以て照明源を光学結合させることで、標本表面のうち少なくとも一部分が照明されるようにする。例えば、標本102の表面104のうち一部分を照明するのに利用されるプローブ110に係る送光ファイバ114に照明源118を光学結合させるよう、(コントローラ126の働きで自動的に又はマニュアルで)スイッチ120を構成設定することができる。プローブ110を、更に、受光ファイバ116のうち対応するものに結合させてもよい。
【0047】
本方法1000のステップ1006では、少なくとも1本の受光ファイバに第2スイッチで以て検出器を光学結合させることで、標本表面のうちその部分にて反射、屈折又は輻射された照明が受光されるようにする。例えば、標本102の表面104のうちその部分を照明するのに利用されたプローブ110に係る受光ファイバ116に、或いは別の(近くの)プローブ110に係る受光ファイバ116に、検出器122を光学結合させるよう、(コントローラ126の働きで自動的に又はマニュアルで)スイッチ124を構成設定することができる。
【0048】
本方法1000にて、スポットバイスポット走査アルゴリズムに従い又は2個以上の部分(スポット)を並列走査することで、標本の付加的部分を走査してもよい。例えば、本方法1000にステップ1008を設け、そのステップにて、複数本の送光ファイバのうち他の少なくとも1本の送光ファイバに第1スイッチで以て照明源を光学結合させることで、標本表面のうち他の少なくとも一部分が照明されるようにすればよい。例えば、標本102の表面104のうち別の部分を照明するのに利用された別のプローブ110に係る別の送光ファイバ114に照明源118を光学結合させるよう、(コントローラ126の働きで自動的に又はマニュアルで)スイッチ120を構成設定することができる。更に、本方法1000にステップ1010を設け、そのステップにて、他の少なくとも1本の受光ファイバに第2スイッチで以て検出器を光学結合させることで、標本表面の他部分にて反射、屈折又は輻射された照明が受光されるようにすればよい。例えば、標本102の表面104のうち他部分を照明するのに利用された他のプローブ110に係る受光ファイバ116に、或いは更に別の(近くの)プローブ110に係る受光ファイバ116に、検出器122を光学結合させるよう、(コントローラ126の働きで自動的に又はマニュアルで)スイッチ124を構成設定することができる。
【0049】
実施形態によっては、ステップ1004及び1008、及び/又は、ステップ1006及び1010が、少なくとも部分的に並列実行されうる(例.それにより標本の2個以上の部分にて計測が実行されうる)。他の実施形態にあっては、ステップ1004をステップ1008に先行させステップ1006をステップ1010に先行させる(例.それによりスポットバイスポット走査を実現する)。実施形態によっては標本102も(例.直線的又は回動的に)駆動され、或いは光学系プレート108/134及びプローブ110/136が(例.直線的又は回動的に)駆動され、それにより標本102の表面104/106のうち付加的部分が走査される。
【0050】
実施形態によっては、本方法1000にて、標本の前面/上面についての分析(例.計測)と、標本の背面についてのそれとが実行される。例えば、本方法1000にステップ1012を設け、そのステップにて、第2の複数本の送光ファイバのうち対応するもの及び第2の複数本の受光ファイバのうち対応するものに結合された第2の複数個のプローブの付近で、1個又は複数個の支持部材で以てその標本を支持してもよい。送光ファイバ140のうち対応するもの及び受光ファイバ142のうち対応するものに結合されたプローブ136の付近(例.近隣)にて、システム100に備わる1個又は複数個の支持部材132により標本102を支持することができる。実施形態によっては、背面106が少なくとも部分的に露出するよう、1個又は複数個の支持部材132により標本が支持される。例えば、標本の背面106との接触なしで、或いは背面106のうちある限られた部分との接触のみでその標本を支持するよう、1個又は複数個の支持部材132を構成してもよい。ある実施形態では、標本102の2本以上の縁と接触することでその標本102を支持し、それによりその標本102の背面106の全て又は大半を露出存置させるよう、1個又は複数個の支持部材132が構成される。別の実施形態では、標本102の背面106のうち第1部分(例.縁又は縁寄り部分)と接触することでその標本102を支持し、それにより標本102の背面106のうち第2部分(例.内寄り部分)を露出存置させるよう、1個又は複数個の支持部材132が構成される。
【0051】
本方法1000に更にステップ1014を設け、そのステップにて、第2の複数本の送光ファイバのうち少なくとも1本の送光ファイバに第2照明源を光学結合させることで、標本背面のうち少なくとも一部分が照明されるようにしてもよい。例えば、標本102の背面106のうち一部分を照明するのに利用されるプローブ136に係る送光ファイバ140に第2照明源144を光学結合させるよう、(コントローラ126の働きで自動的に又はマニュアルで)スイッチ146を構成設定することができる。プローブ136を、更に、受光ファイバ142のうち対応するものに結合させてもよい。
【0052】
本方法1000に更にステップ1016を設け、そのステップにて、第2の複数本の受光ファイバのうち少なくとも1本の受光ファイバに第2検出器を光学結合させることで、標本背面のうちその部分にて反射、屈折又は輻射された照明が受光されるようにしてもよい。例えば、標本102の背面106のうちその部分を照明するのに利用されたプローブ136に係る受光ファイバ142に、或いは別の(近くの)プローブ136に係る受光ファイバ142に、第2検出器150を光学結合させるよう、(コントローラ126の働きで自動的に又はマニュアルで)スイッチ148を構成設定することができる。
【0053】
本願記載のシステム100及び方法論1000で提供される利点は多数あり、そのうち幾つかに次のものが含まれている。本システム100及び方法1000を用いることで、既存の計量、検査又は処理ツールの基板ハンドリングフロントエンド(ときとして機器フロントエンドモジュール即ちEFEMと称されるもの)と容易に統合可能な膜厚計量モジュールを実現することができる。標本上の数個所を(例.5秒以下と短い)ごく短時間にて標本化できるため、本システム100及び方法1000ではホスト機器又はツールのスループットへの影響が最小限となる。本システム100及び方法1000によれば、高速移動ステージにより基板上の様々な個所を標本化する場合に比べ、顕著なコスト節約を果たすことができる。更に、本システム100及び方法1000によれば、標本基板の前側又は(ときとしてより重要なことに)裏側に堆積された膜スタックの膜厚及び屈折率を計測することができる。半導体製造における処理工程のうち基板背面上に膜が堆積されうるものの個数が、急速に増加している。従って、本システム100及び方法1000により、実効的プロセス制御及びツール監視兼認証機構を実現するのに必要な重要膜厚計量情報を提供することができる。
【0054】
本願記載の主題は、ときとして、他の諸部材内に収容され又はそれらに結びつけられた様々な部材により描出されている。理解し得るように、そうした図示アーキテクチャは単なる例示であり、実のところは、他の多くのアーキテクチャを実施して同じ機能を達成することができる。概念的には、どのような部材配列であれ、同じ機能を達成するものはその所望機能が達成されるよう実効的に「連携」しているのである。即ち、本願中の何れの二部材であれ、特定機能を達成するよう組み合わされているものは、その所望機能が達成されるよう互いに「連携」していると理解することができ、そのアーキテクチャや介在部材の如何は問われない。同様に、何れの二部材であれそのように連携しているものは、その所望機能を達成すべく互いに「連結・接続」又は「結合」されているとも見ることができ、また何れの二部材であれそのように連携させうるものは、その所望機能を達成すべく互いに「結合可能」であるとも見ることができる。結合可能、の具体例としては、これに限られるものではないが、物理的に相互作用可能な及び/又は物理的に相互作用する部材、及び/又は無線的に相互作用可能な及び/又は無線的に相互作用する部材、及び/又は論理的に相互作用可能な及び/又は論理的に相互作用する部材がある。
【0055】
本件開示及びそれに付随する多くの長所については、上掲の記述により理解され得、開示されている主題から離隔することなく又はその主要な長所全てを犠牲にすることなく諸部材の形態、構成及び配列に様々な改変を施せることも察せられ得る。本願記載の形態は単なる説明用のものであり、後掲の特許請求の範囲の意図はそうした改変を包括及び包含することにある。更に、本発明は別項の特許請求の範囲により定義される。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B