(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096694
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】光学システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240709BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G01N21/84 E
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039019
(22)【出願日】2024-03-13
(62)【分割の表示】P 2021510901の分割
【原出願日】2019-08-23
(31)【優先権主張番号】62/723,446
(32)【優先日】2018-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/533,366
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザレ デイビッド ハリル
(72)【発明者】
【氏名】ソト エドゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】ウ イ-ファン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルシュ ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】マッカーナン ケント
(72)【発明者】
【氏名】アームストロング ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】デイビス クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ローズ ギャリー
(72)【発明者】
【氏名】クヴァーミー デイモン
(72)【発明者】
【氏名】バーフェインド ベルンド
(72)【発明者】
【氏名】エサニ アリ
(57)【要約】
【課題】光学素子及びレーザーの寿命改善のために改善された技術を提供する。
【解決手段】システム100は、光学構成要素101であるCaF
2と、光学構成要素103を囲む筐体102と、筐体102と流体連通している蒸気源103であって、蒸気源103は、CaF
2に応じた蒸気レベルであって5000ppm以上15000ppmまでの蒸気レベルを有する筐体102に蒸気を提供し、蒸気は、水、メタノール、エチレングリコール、又はエタノールのうちの1つである。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
光学構成要素であるCaF2と、
前記光学構成要素を囲む筐体と、
前記筐体と流体連通している蒸気源であって、前記蒸気源は、前記CaF2に応じた蒸気レベルであって5000ppm以上15000ppmまでの蒸気レベルを有する前記筐体に蒸気を提供し、前記蒸気は、水、メタノール、エチレングリコール、又はエタノールのうちの1つである、蒸気源と、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記蒸気は水である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記蒸気源はバブラーを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記蒸気源は浸透膜を含み、前記浸透膜は、ポリアミドを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記蒸気源は半透膜を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記蒸気源は、荷電モザイク膜又は双極性膜を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記蒸気源は、ガス源を含み、前記ガス源は、窒素、ヘリウム、一酸化炭素、二酸化炭素、クリプトン、アルゴン、キセノン、水素、酸素、圧縮乾燥空気、又はそれらの混合物を提供し、前記ガス源からの前記ガスは、前記蒸気と混合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記筐体と流体連通して配設されたセンサを更に備え、前記センサは、一酸化炭素検出器、二酸化炭素検出器、湿度計、又は水素センサのうちの1つである、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記センサと電子通信しているプロセッサを更に備え、前記プロセッサは、前記センサからの読取り値に基づいて、前記筐体からのパージガス内の前記蒸気レベルを調整するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
方法であって、
蒸気源から光学構成要素であるCaF2を囲む筐体まで蒸気を流すステップと、
パージガス内の蒸気レベルを前記CaF2に応じた蒸気レベルであって5000ppm以上15000ppmまでに維持するステップであって、前記蒸気は、水、メタノール、エチレングリコール、又はエタノールのうちの1つである、ステップと、
を含む方法。
【請求項11】
前記筐体内に配設されたセンサを用いて、前記筐体内の前記蒸気レベルを測定するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記維持するステップは、前記センサからの読取り値に基づいている、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザー及び光学システムについての寿命改善に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造産業界の進展が、収益管理に対する、特に、計測及び検査システムに対する需要を増々大きくしている。限界寸法が縮小し続けているが、そのうえ、産業界は、高収率、高価値生産を達成するために時間を短縮する必要がある。収率問題を検出することからそれを修復するまでの全体時間を最小化することが、半導体メーカーにとっての投資対効果を決定する。
【0003】
論理及びメモリ素子等の半導体素子を製造することは、典型的に、半導体素子の様々な特徴及び多階層を形成するために、多数の製造プロセスを用いて半導体ウェーハを処理することを含む。例えば、リソグラフィは、パターンをレクチルから半導体ウェーハ上に配列されたフォトレジストまで転写することを含む半導体製造プロセスである。半導体製造プロセスについての追加の例としては、化学機械研磨(CMP)、エッチング、堆積、及びイオン注入が挙げられるが、これに限定されない。複合半導体素子は、個々の半導体素子に分離される、単一の半導体ウェーハ上の配列で製造されてもよい。
【0004】
検査プロセスが、半導体製造中の様々な段階で用いられることにより、ウェーハの欠陥を検出して、製造プロセスにおけるより高い収率、したがってより高い利益を促進する。検査は、常に、集積回路(IC)等の半導体素子を製造する重要な部分であった。しかし、半導体素子の寸法が減少するにつれて、より小さい欠陥が素子を故障させることがあるので、検査は、許容可能な半導体素子の良好な製造にとって更により重要になる。例えば、半導体素子の寸法が減少するにつれて、サイズが減少する欠陥の検出が必要になったが、その理由は、比較的小さい欠陥であっても半導体素子内に不必要な収差を生じさせることがあるからである。
【0005】
欠陥精査は、典型的に、検査プロセスによって検出された欠陥を再検出することと、
高倍率光学システムか又は走査型電子顕微鏡(SEM)かのどちらかを用いて、より高い分解能で欠陥についての追加の情報を生成することと、を含む。欠陥精査は、典型的には、検査によって欠陥が検出された試料の離散箇所において実行される。欠陥精査によって生成された、欠陥についてのより高い分解能データは、プロファイル、凹凸、又はより正確なサイズ情報等の欠陥属性を決定するのにより適している。
【0006】
ウェーハ検査システムは、高開口数(NA)を有する、260ナノメートルという短い波長を有する遠紫外線(DUV)放射の照明源を典型的に使用する。193ナノメートル又は120nmでさえある波長が、用いられてもよい。いくつかの例では、照明光はアークランプによって提供されてもよい。例えば、電極ベースの、比較的高強度の放電アークランプが、検査システム内で用いられる。いくつかの別の例では、照明光はレーザーによって提供される。所望の短波長放出を実現するための1つの手法は、より長い波長光源の高調波アップコンバージョンであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0146838号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
光学素子及びレーザーの寿命改善が、次世代半導体製造を可能にするために必要である。従来、蒸気フリーのガスが用いられて、検査システム内の光学構成要素への損傷を防止する。水について、蒸気フリーとは、20ppm以下の水を意味した。別の種について、蒸気フリーとは、低ppbレベルを意味した。これらの蒸気フリーのパージガスの物理作用及び化学作用は、特に高強度状態における光学素子の寿命を制限することがある。
【0009】
そのため、光学素子及びレーザーの寿命改善のために改善された技術が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
システムが、第1実施形態で提供される。システムは、光学構成要素と、光学構成要素を囲む筐体と、を含む。蒸気源が、筐体と流体連通している。蒸気源は、500ppmから15000ppmまでの蒸気レベルを有する筐体に蒸気を提供し、蒸気は、水、メタノール、エチレングリコール、又はエタノールのうちの1つである。
【0011】
一例では、光学構成要素は、CaF2、MgF2、LiF2、BaF2、SrF2、又はBeF2のうちの1つである。別の一例では、光学構成要素は、石英ガラス、石英、ホウ酸塩、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、ルチル、サファイヤ、シリコン、YVO4、SrB4O7、又はZnSeのうちの1つである。更に別の一例では、光学構成要素は、ホウ珪酸塩、AMTR及びセレン化亜鉛材料、SrB4O7、又はYVO4のうちの1つである。
【0012】
蒸気レベルは、500ppmから2000ppm未満まで、500ppmから5000ppm未満まで、又は5000ppm超から15000ppmまであってもよい。一例では、これらの範囲の蒸気は、水であるけれども、メタノール、エチレングリコール、又はエタノールであってもよい。
【0013】
蒸気源は、バブラー、浸透膜、半透膜、充電モザイク部材、又は双極性膜を含んでもよい。浸透膜は、ナフィオン又はポリアミドを含んでもよい。
【0014】
蒸気源は、ガス源を含んでもよい。ガス源は、窒素、ヘリウム、一酸化炭素、二酸化炭素、クリプトン、アルゴン、キセノン、水素、酸素、圧縮乾燥空気、又はそれらの混合物を提供する。ガス源からのガスは、蒸気と混合される。
【0015】
システムは、筐体と流体連通して配設された蒸気センサを更に含んでもよい。蒸気センサは、一酸化炭素検出器、二酸化炭素検出器、湿度計、又は水素センサのうちの1つである。システムは、また、蒸気センサと電子通信しているプロセッサを含んでもよい。プロセッサは、蒸気センサからの読取り値に基づいて、筐体からのパージガス内の蒸気レベルを調整するように構成されている。
【0016】
方法が、第2実施形態で提供される。方法は、蒸気源から光学構成要素を囲む筐体まで蒸気を流すことを含む。パージガス内の蒸気レベルは、500ppmから15000ppmまでで維持され、蒸気は、水、メタノール、エチレングリコール、又はエタノールのうちの1つである。
【0017】
光学構成要素は、CaF2、MgF2、LiF2、BaF2、SrF2、又はBeF2のうちの1つであってもよい。
【0018】
蒸気レベルは、500ppmから2000ppm未満まで、500ppmから5000ppm未満まで、又は5000ppm超から15000ppmまでであってもよい。
【0019】
方法は、筐体内に配設された蒸気センサを用いて、筐体内の蒸気レベルを測定することを更に含んでもよい。蒸気レベルを維持することは、蒸気センサからの読取り値に基づいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本開示の性質及び対象についてのより完全な理解のために、次の添付図面に関連してなされた以下の詳細な説明が参照されなければならない。
【0021】
【
図2】蒸気を伴わない7日間の露光後の光学構成要素の検査結果を示す図である。
【
図3】蒸気を伴う68日間の露光後の光学構成要素の検査結果を示す図である。
【
図4】蒸気が存在しなかった損傷箇所と、蒸気が存在した損傷箇所との間の表面損傷/改質での観察可能な相違を示す図である。
【
図5】本開示に従うシステムの実施形態についてのブロック図である。
【
図6】本開示に従う方法の実施形態についての流れ図である。
【
図8】ビーム形状が変化しており、結果としてCaF
2光学構成要素に対して表面損傷及び酸化をもたらしていることを示す図である。
【
図9】部分的に損傷を受けた表面/表面下を示す図である。
【
図10】CaF
2損傷についての別の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
クレームされる主題が特定の実施形態に関して説明されるけれども、本明細書で述べられた利点及び特徴の全てを提供するわけではない実施形態を含む別の実施形態が、また、本開示の範囲内にある。様々な構造的な、論理的な、プロセスステップの、及び電子的な変更が、本開示の範囲から逸脱することなくなされてもよい。したがって、本開示の範囲は、添付クレームへの参照によってのみ規定される。
【0023】
取り合わされた蒸気ガスが、半導体検査ツール、半導体計測ツール、及び光学構成要素を有する別のツールにおける光学素子損傷を助長することがある。選択された1つ又は複数の蒸気が、単に物体外に熱を導くための冷却流体としてさらに役立ってもよい。本明細書で開示された実施形態では、蒸気は、光学素子の表面を損傷させるプロセスを停止させてもよい。したがって、蒸気は、損傷の物理作用及び化学作用が生じることを防止してもよい。このことは、これらの蒸気が光学素子損傷に寄与したという従来の考えと対照的である。
【0024】
試験によって、光学素子に損傷を与えて伝播するレーザービームに形状を変化させる(例えば、損傷の認知)か、又は伝播するレーザービームの別の測定可能な品質に影響を及ぼす強磁場が存在した場合に、なんらかの蒸気が、光学素子の表面及び近表面の損傷を停止させたか又はその速度を減少させたと判定された。この物理作用及び化学作用において、レーザー結晶又は光学素子を囲む領域に蒸気を付加することは、レーザー結晶及び光学素子の寿命を安定化させること及び延長させるのを助けてもよい。
【0025】
近表面損傷について、光駆動エネルギ交換の大部分が、光学素子の最初の約50~100nm内に生じてもよい。このことは、光学素子の表面内に少なくとも1ミクロンだけ入る、より大きい材料変化を打ち込んでもよい。
【0026】
蒸気及びそれの濃度の選択が、光学素子が作成される材料、及び/又は照明光の波長と強度レベルとに依存してもよい。例えば、MgF2は水溶性であり、それで、より低い濃度の水が必要とされてもよく、又はアルコールが水の代わりに用いられて、MgF2光学構成要素に対する水損傷を回避してもよい。水溶性光学構成要素を用いる別の一例において、水は、光学構成要素の溶媒和を生じさせないように十分低く維持され、損傷プロセスを停止させるように十分高く維持されてもよい。アルコール類等の別の蒸気が、また、損傷を防止するために用いられてもよく、そして、アルコール類は、光学構成要素の溶媒和を生じさせる可能性がより低いことがある。更に別の一例では、193nmの光が用いられるならば、水がアルコールの代わりに用いられてもよい。アルコールは、この波長において表面上にあまりに速く汚染を生じさせることがある。アルコール類は、低強度でうまく機能することがあるけれども、高強度では、アルコール類は、局部加熱により十分に表面に付着しないことがある。それで、水は、水がずっとより大きい表面付着効率を有するので、高強度で用いられてもよい。
【0027】
一例として、光学構成要素の周りの環境に蒸気を付加すると、規格を超えて損傷を受ける前に典型的には5~10日間しか耐用しない光学構成要素が、顕著により長く耐用することになる。
図1は、光子への露光前における光学構成要素を示す。
図2は、蒸気を伴わない7日間の露光後における光学構成要素の検査結果を示す。10nm隆起部が、光学構成要素の中央に形成されている。これは、光学構成要素の動作及び/又は寿命に悪影響を及ぼす。
図3は、蒸気を伴う68日間の露光後における光学構成要素の検査結果を示す。
図3の光学構成要素は、
図2の光学構成要素のような損傷を示さない。
図3の光学構成要素は、およそ0.1nmの表面凹凸を有する。
図3の例では、800ppmから2200ppmまでの蒸気が用いられた。それで、光学構成要素を蒸気に暴露することによって、この例については、約100分の1の表面損傷が10倍の時間で生じる。
【0028】
蒸気は、多くの損傷機構に影響を及ぼすことがあり、これらは、表面温度を低下させること、損傷を与える表面化学(例えば酸化)を阻止すること、又は観測された物理変化について別の駆動要素に影響を及ぼすことを含む。これらの機構は、単に例であり、蒸気の存在下で光学構成要素寿命を改善する別の機構があり得てもよい。
【0029】
図4は、蒸気が存在しなかった損傷箇所と蒸気が存在した損傷箇所との間の表面損傷/改質における観察可能な相違を示す。蒸気を伴う箇所は、蒸気が存在しない部位よりも10倍長い期間では識別できる損傷を呈しない。
【0030】
図5は、システム100の実施形態についてのブロック図である。光学構成要素101は、筐体102内に配設されている。筐体102は、光学構成要素101を囲んでいる。
【0031】
光学構成要素101は、ホウ珪酸塩、AMTR(Newport社製)、セレン化亜鉛材料、シリコンゲルマニウム、サファイヤ、MgF2、LiF2、CaF2、BaF2、SrF2、SrB4O7(SBO)、又はBeF2のうちの1つであってもよい。光学構成要素101は、また、いずれかの等級及びタイプの石英ガラス、石英、ホウ酸塩(例えばホウ酸バリウム(BBO))、ゲルマニウム、ルチル、サファイヤ、シリコン、YVO4、又はZnSeのうちの1つであってもよい。別の材料があり得る。
【0032】
光学構成要素101は、高フルエンスでの動作で用いられてもよい。193nm、213nm、248nm、265nm、266nm、又は2μmの光が、光学構成要素101に入射してもよい。電球又はオープンプラズマ源からの広帯域光が用いられてもよい。より多くの電離エックス線を含む別の波長があり得る。
【0033】
蒸気源103は、筐体102と流体連通している。蒸気源103は、ppbから高ppmレベル(例えば数万)までのレベルを有する筐体102に蒸気を提供することにより、光学素子又は結晶損傷を減速させるか又は停止させる。例えば、蒸気レベルは、500ppmから15000ppmまでで、1.0ppm毎のそれらの間の範囲の全ての値を含む。
【0034】
一例では、蒸気レベルは、500ppmから2000ppm未満までである。更に別の一例では、蒸気レベルは、約2000ppmである。更に別の一例では、蒸気レベルは、約5000ppmである。環境内の蒸気の濃度が、光学素子損傷をもたらす物理作用及び/又は化学作用を抑制してもよい。例えば、強レーザー光線によって生じさせられた高電場の影響が、軽減されてもよい。光学素子に対する損傷の速度が、本明細書で開示されたような光学環境内での正しい蒸気/材料結合の使用によって少なくとも100倍だけ低減されてもよい。例えば、5000ppm以上のレベルは、CaF2について許容可能であり得るけれども、MgF2について許容可能でないことがある。
【0035】
蒸気は、ガス形態で環境に付加されてもよい。例えば、蒸気源103は、バブラーを含んでもよい。液体蒸発は、所望の蒸気濃度をガスパージに付加してもよい。バブラーは、環境内で一貫した量の蒸気を生成してもよい。
【0036】
蒸気源103は、被加圧ガスボンベであってもよい。
【0037】
蒸気源103は、また、浸透膜を用いてもよい。浸透膜は、ナフィオン、ポリアミド、又は別の透過材料を含んでもよい。環境に隣接したチューブ、隔膜、又は壁であってもよい浸透膜は、隣接する蒸気リッチなリザーバから制御される光学環境内まで目標の蒸気を優先的に引く。
【0038】
ナフィオンは、浸透膜の一例である。ナフィオンは、極性分子が蒸気リッチな空気から蒸気プアーなパージガス流れまで通過することを可能にする。パージガス内の蒸気濃度が測定されて制御されることにより、光学環境内に指定濃度を生じさせてもよい。
【0039】
浸透膜は、また、高密度ポリエチレン(HDPE)又はポリオレフィンのナイロン共重合体であってもよい。浸透膜は、また、アセタール、アクリロニトリル、又は官能化ポリ塩化ビニル(PVC)であってもよい。
【0040】
蒸気源103は、また、半透膜、荷電モザイク膜、又は双極性膜を用いてもよい。
【0041】
一例では、蒸気源103は、ガス源104を含む。ガス源104は、窒素、ヘリウム、一酸化炭素、二酸化炭素、クリプトン、アルゴン、キセノン、水素、酸素、圧縮乾燥空気、又は蒸気と混合されるこれらのガスの混合物のうちの1つ又は複数を提供してもよい。
【0042】
蒸気センサ105は、筐体102と流体連通した状態で配設されてもよい。蒸気センサ105は、筐体102内に、又は筐体102までの蒸気供給経路に沿って配設されてもよい。蒸気センサ105は、例えば、水素センサ、湿度計、一酸化炭素検出器、又は二酸化炭素検出器であってもよい。プロセッサ106は、蒸気センサ105と電子通信していてもよい。プロセッサ106は、蒸気センサ105からの読取り値に基づいて筐体内の蒸気レベルを調整してもよい。
【0043】
本明細書で開示されたシステムの実施形態は、いずれかのレーザーシステム又はプラズマベース光源システムに実装されてもよい。
【0044】
図6は、方法200の実施形態についての流れ図である。蒸気リッチなガスが、201において、蒸気源から、光学構成要素を囲む筐体まで流れる。光学構成要素は、CaF
2、MgF
2、LiF
2、BaF
2、SrF
2、BeF
2、又は別の材料のうちの1つであってもよい。筐体内の光学構成要素の周りの環境は、窒素、ヘリウム、一酸化炭素、二酸化炭素、クリプトン、アルゴン、キセノン、水素、酸素、若しくは圧縮乾燥空気のうちの少なくとも1つ、又はこれらのガスの混合物を含んでもよい。
【0045】
202において、ガス内の蒸気レベルは、ppbレベルから、使用事例の大気条件(例えば、圧力、温度、蒸気の濃度、及び蒸気中のガス混合物)下での蒸気のおよそ濃縮濃度まで、例えば、500ppmから15000ppmまでの蒸気に維持される。一例では、蒸気レベルは、500ppmから2000ppm未満までの蒸気である。別の一例では、蒸気レベルは、5000ppm超から15000ppmまでである。例えば、5000ppm超から15000ppmまでの蒸気レベルが、CaF2光学構成要素に対して改善された結果を提供してもよく、そして、500ppmから2000ppm未満までの蒸気レベルは、MgF2に対して改善された結果を提供してもよい。
【0046】
特定の一実施形態では、蒸気レベルは、6000ppm超から15000ppmまで、7000ppm超から15000ppmまで、8000ppm超から15000ppmまで、9000ppm超から15000ppmまで、10000ppm超から15000ppmまで、11000ppm超から15000ppmまで、12000ppm超から15000ppmまで、13000ppm超から15000ppmまで、又は14000ppm超から15000ppmまでである。
【0047】
蒸気レベルは、バブラー若しくは浸透膜を用いて、ガスに付加されてもよく又はガス内に維持されてもよい。
【0048】
一例では、筐体内の蒸気レベルは、筐体内に配設された蒸気センサを用いて測定される。筐体内の蒸気レベルは、蒸気センサからの読取り値に基づいて調整されてもよい。
【0049】
図7は、テストシステムを用いる試験についてのブロック図である。清浄乾燥空気(CDA)及びN
2が、別個のニードル弁を通って清浄装置まで流れる。CDA及びN
2は、30psiまで調節されてもよい。清浄装置の後に、CDA及びN
2は、バブラー、次いでセンサまで流れ、当該センサは、O
2メータ及び蒸気センサを含んでもよい。結果として生じるガスが入力として用いられ、蒸気と混合されてもよい。
【0050】
図8は、ビーム形状が変化しており、結果として、CaF
2光学構成要素に対して表面損傷及び酸化をもたらしていることを表す。
【0051】
【0052】
図10は、CaF
2損傷についての別の説明図である。
図10に示すように、損傷は、ビーム形状変化になることがある。
【0053】
多くの極性分子が、蒸気として用いられて光学素子損傷を抑制してもよい。例えば、水、メタノール、エチレングリコール、又はエタノールが用いられてもよい。
【0054】
本開示が、1つ又は複数の特定の実施形態について説明されてきたけれども、本開示の別の実施形態が、本開示の範囲から逸脱することなく成されてもよいことが理解されるであろう。それゆえに、本開示は、添付クレーム及びその合理的な解釈によってのみ限定されると考えられる。