(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097204
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】撮像ユニット、撮像ユニット取り付け構造、基板処理装置および撮像方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240710BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240710BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20240710BHJP
C23C 14/52 20060101ALI20240710BHJP
C23C 16/52 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
H01L21/302 103
H01L21/302 101G
H01L21/31 C
H05H1/46 A
C23C14/52
C23C16/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000596
(22)【出願日】2023-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】増澤 健二
(72)【発明者】
【氏名】芦澤 徳万
【テーマコード(参考)】
2G084
4K029
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA05
2G084BB21
2G084CC00
2G084FF31
2G084HH02
2G084HH34
2G084HH42
4K029AA09
4K029AA24
4K029BD01
4K029DA03
4K029DA05
4K029DA06
4K030CA06
4K030CA17
4K030FA01
4K030KA26
4K030KA37
4K030KA39
4K030LA18
5F004BB22
5F004BB25
5F004CB09
5F045AA08
5F045EJ01
5F045EM05
5F045GB04
5F045GB08
(57)【要約】
【課題】撮像部、特に受光部を効率よく冷却する。
【解決手段】チャンバの壁部に設けられた窓部を介してチャンバ内を撮像する撮像ユニットであって、撮像ユニットの撮像方向前方に設けられ、チャンバ内からの光を受光する受光部を有する撮像部と、撮像部を収納するケースと、を備え、ケースは、筒状をなす外側ケース部と、外側ケース部の内側に配置され、筒状をなし、その内側に撮像部を収納し、受光部が撮像方向前方に向かって露出する内側ケース部と、外側ケース部の撮像方向前方に受光部と対向して設けられ、少なくとも一部において光透過性を有するケース窓部と、を有し、外側ケース部と内側ケース部との間と、内側ケース部とケース窓部との間と、ケース窓部と受光部との間には、それぞれの間隙が形成されており、該それぞれの間隙は、互いに連通して、撮像部を冷却する冷却ガスが通過するガス流路の一部として機能する撮像ユニットが提供される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバの壁部に設けられた窓部を介して前記チャンバ内を撮像する撮像ユニットであって、
前記撮像ユニットの撮像方向前方に設けられ、前記チャンバ内からの光を受光する受光部を有する撮像部と、
前記撮像部を収納するケースと、を備え、
前記ケースは、
筒状をなす外側ケース部と、
前記外側ケース部の内側に配置され、筒状をなし、その内側に前記撮像部を収納し、前記受光部が前記撮像方向前方に向かって露出する内側ケース部と、
前記外側ケース部の前記撮像方向前方に前記受光部と対向して設けられ、少なくとも一部において光透過性を有するケース窓部と、を有し、
前記外側ケース部と前記内側ケース部との間と、前記内側ケース部と前記ケース窓部との間と、前記ケース窓部と前記受光部との間には、それぞれの間隙が形成されており、該それぞれの間隙は、互いに連通して、前記撮像部を冷却する冷却ガスが通過するガス流路の一部として機能する、撮像ユニット。
【請求項2】
前記ガス流路に前記冷却ガスを供給する供給口を有する冷却ガス供給部を備える、請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項3】
前記内側ケース部は、その内周部が前記撮像部から離間して、前記ガス流路の他の一部として機能し、
前記供給口は、前記内側ケース部内で、該内側ケース部の中心軸からずれて配置されている、請求項2に記載の撮像ユニット。
【請求項4】
前記内側ケース部は、その内周部が前記撮像部から離間して、前記ガス流路の他の一部として機能し、
前記供給口は、前記内側ケース部内で、該内側ケース部の中心軸上に配置されている、請求項2に記載の撮像ユニット。
【請求項5】
前記外側ケース部と前記内側ケース部との間から前記冷却ガスが排出される、請求項3または4に記載の撮像ユニット。
【請求項6】
前記ケースは、前記ガス流路の一部での前記冷却ガスの流れを優先的に前記ケース窓部と前記受光部との間に向かわせる整流部を有する、請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項7】
前記外側ケース部と前記内側ケース部とは、互いに同心的に配置されている、請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項8】
前記ケース窓部は、中心側に設けられた、前記光透過性を有する板状の光透過部と、前記板部材の縁部側に設けられた、遮光性を有する板状の遮光部と、を備え、
前記内側ケース部は、前記遮光部との間に間隙を形成する、請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項9】
前記受光部は、レンズである、請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項10】
チャンバの壁部に設けられた窓部を介して前記チャンバ内を撮像する撮像ユニットを備え、該撮像ユニットで前記チャンバ内を撮像した状態で、該チャンバ内の基板に処理を施す基板処理装置であって、
前記撮像ユニットは、
前記撮像ユニットの撮像方向前方に設けられ、前記チャンバ内からの光を受光する受光部を有する撮像部と、
前記撮像部を収納するケースと、を備え、
前記ケースは、
筒状をなす外側ケース部と、
前記外側ケース部の内側に配置され、筒状をなし、その内側に前記撮像部を収納し、前記受光部が前記撮像方向前方に向かって露出する内側ケース部と、
前記外側ケース部の前記撮像方向前方に前記受光部と対向して設けられ、少なくとも一部において光透過性を有するケース窓部と、を有し、
前記外側ケース部と前記内側ケース部との間と、前記内側ケース部と前記ケース窓部との間と、前記ケース窓部と前記受光部との間には、それぞれの間隙が形成されており、該それぞれの間隙は、互いに連通して、前記撮像部を冷却する冷却ガスが通過するガス流路の一部として機能し、
前記撮像ユニットは、前記ケース窓部が前記窓部から離間した状態で配置される、基板処理装置。
【請求項11】
前記内側ケース部は、その内周部が前記撮像部から離間して、前記ガス流路の他の一部として機能する、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記ケースは、前記ガス流路の一部での前記冷却ガスの流れを優先的に前記ケース窓部と前記受光部との間に向かわせる整流部を有する、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項13】
チャンバの壁部に設けられた窓部を介して前記チャンバ内を撮像する撮像ユニットを用いて撮像を行う撮像方法であって、
前記撮像ユニットは、
前記撮像ユニットの撮像方向前方に設けられ、前記チャンバ内からの光を受光する受光部を有する撮像部と、
前記撮像部を収納するケースと、を備え、
前記ケースは、
筒状をなす外側ケース部と、
前記外側ケース部の内側に配置され、筒状をなし、その内側に前記撮像部を収納し、前記受光部が前記撮像方向前方に向かって露出する内側ケース部と、
前記外側ケース部の前記撮像方向前方に前記受光部と対向して設けられ、少なくとも一部において光透過性を有するケース窓部と、を有し、
前記外側ケース部と前記内側ケース部との間と、前記内側ケース部と前記ケース窓部との間と、前記ケース窓部と前記受光部との間には、それぞれの間隙が形成されており、該それぞれの間隙は、互いに連通して、前記撮像部を冷却する冷却ガスが通過するガス流路の一部として機能し、
前記撮像ユニットを、前記ケース窓部が前記窓部から離間した状態で配置し、前記ガス流路に前記冷却ガスを通過させつつ前記撮像を行う、撮像方法。
【請求項14】
前記チャンバの壁部は、加熱される、請求項13に記載の撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像ユニット、撮像ユニット取り付け構造、基板処理装置および撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板に対してエッチング処理を行うプラズマエッチング装置が知られている。例えば特許文献1に記載のプラズマエッチング装置は、真空容器の反応室内でプラズマ発生を発生させて、半導体基板に対するエッチング処理を行う。特許文献1に記載のプラズマエッチング装置では、反応室に窓部が設けられており、この窓部を介して外側からカメラで反応室の内部状態を撮像する(観察する)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る技術は、撮像部、特に受光部を効率よく冷却する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る技術の一態様は、チャンバの壁部に設けられた窓部を介して前記チャンバ内を撮像する撮像ユニットであって、前記撮像ユニットの撮像方向前方に設けられ、前記チャンバ内からの光を受光する受光部を有する撮像部と、前記撮像部を収納するケースと、を備え、前記ケースは、筒状をなす外側ケース部と、前記外側ケース部の内側に配置され、筒状をなし、その内側に前記撮像部を収納し、前記受光部が前記撮像方向前方に向かって露出する内側ケース部と、前記外側ケース部の前記撮像方向前方に前記受光部と対向して設けられ、少なくとも一部において光透過性を有するケース窓部と、を有し、前記外側ケース部と前記内側ケース部との間と、前記内側ケース部と前記ケース窓部との間と、前記ケース窓部と前記受光部との間には、それぞれの間隙が形成されており、該それぞれの間隙は、互いに連通して、前記撮像部を冷却する冷却ガスが通過するガス流路の一部として機能する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、撮像部、特に受光部を効率よく冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る基板処理装置の構成例を示す上面図である。
【
図2】
図1中のA-A線断面図(
図1に示す基板処理装置が備える撮像ユニットの構成例を示す垂直縦断面図)である。
【
図3】第2実施形態に係る基板処理装置が備える撮像ユニットの構成例を示す垂直縦断面図である。
【
図4】第3実施形態に係る基板処理装置が備える撮像ユニットの構成例を示す概略垂直縦断面図である。
【
図5】
図4中のB-B線断面図(第3実施形態に係る基板処理装置が備える撮像ユニットの構成例を示す概略垂直横断面図)である。
【
図6】第4実施形態に係る基板処理装置が備える撮像ユニットの構成例を示す概略垂直横断面図である。
【
図8】冷却ガスの流量と、レンズ、撮像部内および撮像部周囲の温度との関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上述した特許文献1の技術では、カメラで反応室の内部状態を撮像するのに際し、カメラを反応室の壁部に近づけて、カメラの視野角を広く確保する必要がある。しかしながら、反応室の壁部の温度は、エッチング処理時に上昇するため、それに応じてカメラの温度も上昇する。そして、カメラは、たとえ冷却CCDカメラであってとしても、当該カメラの温度が上昇して耐熱性を越えた場合には、例えば正常な撮像が困難となる等の問題が生じるおそれがあった。
【0009】
これに対応して、本開示に係る技術は、撮像部、特に受光部を効率よく冷却する。以下、図面を参照して本開示に係る技術の一実施の形態を説明する。しかしながら、以下の実施形態に記載されている構成はあくまで例示に過ぎず、この構成によって限定されることはない。例えば、この構成に含まれる各部は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0010】
<第1実施形態>
以下、
図1、
図2、
図7、
図8を参照して、第1実施形態について説明する。
図1、
図2中(後述する
図3~
図6についても同様)では、互い直交する3つの方向を想定し、水平方向のうちの互いに直交する2つの方向をそれぞれ「X方向」、「Y方向」と言い、鉛直方向を「Z方向」と言う。また、各方向の矢印が向く方向を「正側(または+)」、その反対方向を「負側(または-)」と言う。
図1は、第1実施形態に係る基板処理装置の構成例を示す上面図である。
図2は、
図1中のA-A線断面図(
図1に示す基板処理装置が備える撮像ユニットの構成例を示す垂直縦断面図)である。
【0011】
図1に示す基板処理装置10は、チャンバ20内の基板30に処理を施す装置である。本実施形態では、基板処理装置10は、例えば基板30がFPD(Flat Panel Display)用のガラス基板の場合、処理ガスから生成した高密度プラズマを用いて、基板30に形成される画素や駆動回路における保護膜等を形成する成膜処理を施す成膜装置である。なお、基板処理装置10としては、成膜装置に限定されず、例えば、基板30にプラズマエッチング処理を施すエッチング装置(エッチャー)であってもよい。また、基板30としては、特に限定されず、例えば、ガラス基板に限定されず、ウエハであってもよい。
【0012】
基板処理装置10は、チャンバ20内に設置された載置台11を備える。載置台11上には、少なくとも1枚の基板30を載置することができる。
図1に示す構成では、載置台11上に1枚の基板30が載置されているが、載置態様についてはこれに限定されない。例えば、2枚の基板30をX方向またはY方向に並列して載置するようにしてもよい。また、載置台11の上面には、静電チャック(不図示)が設けられている。これにより、載置台11に載置された基板30は、載置台11に吸着保持される。また、載置台11の内部には、基板30の温度を制御するために、チラー等の温調機構や伝熱ガス供給機構(いずれも不図示)が設けられる。
【0013】
本実施形態では、チャンバ20は、4つの壁部(側壁)201で画成された処理空間202を有する。この処理空間202内で、基板30に対する所定の処理を施すことができる。以下では、4つの壁部201のうち、最もX方向負側に位置する壁部201を「壁部201A」と言い、壁部201Aに対向する壁部201、すなわち、最もX方向正側に位置する壁部201を「壁部201B」と言う。また、最もY方向負側に位置する壁部201を「壁部201C」と言い、壁部201Cに対向する壁部201、すなわち、最もY方向正側に位置する壁部201を「壁部201D」と言う。
【0014】
図1に示すように、基板処理装置10は、2つの撮像ユニット1を備え、各撮像ユニット1を用いて撮像が行われる(撮像方法)。撮像対象は、チャンバ20内、特に載置台11上で処理が施される基板30である。これにより、撮像ユニット1で基板30を撮像しつつ、当該基板30に対する処理を施すことができる。以下では、2つの撮像ユニット1のうち、一方の撮像ユニット1を「撮像ユニット1A」と言い、他方の撮像ユニット1を「撮像ユニット1B」と言う。撮像ユニット1Aは、壁部201Aに配置され、撮像ユニット1Bは、壁部201Cに配置されている。撮像ユニット1Aは、撮像方向がX方向正側に向いており、視野角(画角)として2本の一点鎖線の間の範囲が確保され、撮像ユニット1Bは、撮像方向がY方向正側に向いており、視野角として2本の二点鎖線の間の範囲が確保されている。これにより、撮像ユニット1Aと撮像ユニット1Bとは、互いの死角を補完し合うことができ、その結果、載置台11上の全基板30の処理状態等を撮像することができる。撮像ユニット1Aと撮像ユニット1Bとは、同じ構成であるため、撮像ユニット1Aについて代表的に説明する。なお、撮像ユニット1の配置数は、本実施形態では2つであるが、これに限定されず、例えば、1つまたは3つ以上であってもよい。
【0015】
図2に示すように、撮像ユニット1Aが配置される壁部201Aは、撮像ユニット1Aを壁部201Aに取り付けるための撮像ユニット設置アダプタ220が備えられている。撮像ユニット設置アダプタ220は、X方向正側に向かって筒状に突出した突出部12と、突出部12の先端開口部121を覆う窓部13と、窓部13を支持する支持部14とを有する。突出部12には、撮像ユニット1Aが挿入され、固定される。窓部13は、透明性、すなわち、光透過性を有する板部材である。撮像ユニット1Aは、窓部13を介してチャンバ20、すなわち、処理空間202内を撮像することができる。支持部14は、リング状をなす部材であり、窓部13をX方向正側から突出部12に押し付ける。これにより、窓部13が突出部12に対して支持される。また、支持部14の内周部(凹部)141は、その内径がX方向正側に向かって漸増したテーパ状をなす。これにより、支持部14の内周部141が撮像の邪魔になるのを防止することができる。
【0016】
図2に示すように、撮像ユニット1Aは、撮像部2と、撮像部2を収納するケース(収納ケース)3とを備える。撮像部2は、撮像ユニット1の撮像方向の最前方に設けられたレンズ21を有する。レンズ21は、チャンバ20内からの光を受光する受光部である。なお、レンズ21としては、特に限定されず、例えば、凸レンズを用いることができる。また、撮像部2は、外装部24を有し、外装部24の内側には、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等で構成された撮像素子22を有する。撮像素子22上では、レンズ21で受光され、さらに当該レンズ21を透過したチャンバ20内からの光が結像する。これにより、チャンバ20内の画像を取得することができる。そして、この画像信号は、ケーブル23を介して、モニタ等の外部装置(不図示)に送信される。なお、撮像ユニット1Aは、その視野角を広く確保するために、レンズ21をできる限り窓部13に接近させるのが好ましい。
【0017】
ケース3は、筒状をなす外側ケース部(外側筒状部)4と、外側ケース部の内側に配置され、筒状をなす内側ケース部(内側筒状部)5と、少なくとも一部において光透過性を有するケース窓部6とを有する。ケース3では、外側ケース部4と内側ケース部5とは、X方向と平行な姿勢で互いに同心的に配置されており、二重筒構造をなす。すなわち、外側ケース部4と内側ケース部5とは、外側ケース部4の中心軸と内側ケース部5の中心軸とを一致させて配置されている。外側ケース部4と内側ケース部5とは、同心的配置を維持するために、例えば、ネジ等の締結部材(不図示)により互いに固定するようにしてもよい。なお、
図2においては、内側ケース部5の後端開口部51は、外側ケース部4の後端開口部41よりもX方向負側に突出しているが、これに限定されない。また、外側ケース部4と内側ケース部5とを同心的に配置せず、外側ケース部4の中心軸と内側ケース部5の中心軸とが平行で且つ互いに偏心して、すなわち、互いにずらして配置されるようにしてもよい。
【0018】
内側ケース部5は、筒壁部(側壁部)52と、筒壁部52の前側に設けられた前端壁部53とを有する。前端壁部53には、X方向に貫通する複数の貫通孔531が形成されている。これらの貫通孔531は、ケース3(二重筒構造)の中心軸O3回りに等間隔に配置されている。また、筒壁部52の内側には、撮像部2が収納されている。そして、前端壁部53からは、撮像部2が撮像方向前方、すなわち、X方向正側に向かって突出している。これにより、レンズ21が内側ケース部5から撮像方向前方に向かって露出した状態となる。なお、撮像部2は、前端壁部53に対し、固定部材54を介して固定されている。これにより、撮像部2での撮像が行われた際、像ブレ等が防止された画像を得ることができる。また、内側ケース部5や外側ケース部4の構成材料としては、例えば、各種樹脂材料を用いることができる。
【0019】
外側ケース部4の撮像方向前方には、ケース窓部6が設けられている。ケース窓部6の中心側には、光透過性を有し、板状の部材(板部材)、例えば円板状の部材で構成されている光透過部61が設けられ、縁部側には、遮光性を有する板状の遮光部62が設けられている。光透過部61と遮光部62とは、共通の面内に配置されてもよいし、または、段差を介して異なる面内に配置されてもよい。光透過部61は、窓部13とともに中心軸O3上に位置する。また、中心軸O3は、レンズ21の光軸と一致する。これにより、窓部13と光透過部61とレンズ21とが中心軸O3上に配置されて、互いに対向した状態となり、よって、チャンバ20内からの光は、窓部13、光透過部61、レンズ21を順に透過して、撮像素子22に到達する。
【0020】
本実施形態では、光透過部61と遮光部62とは、別体で構成されている。これにより、光透過部61および遮光部62のそれぞれに適した構成材料を用いることができる。例えば、後述するように光透過部61を冷却したい場合、光透過部61の構成材料として、樹脂材料よりも熱伝導率が高いガラス材を用いることができる。また、遮光部62の構成材料として、外側ケース部4と同じ樹脂材料を用いることができる。これにより、遮光部62と外側ケース部4とを一体的に形成することができる。
【0021】
前述したように、基板処理装置10は、プラズマ処理を行う装置である。そのため、プラズマ発生等の原因によって、チャンバ20の壁部201が加熱される。そして、この加熱の程度によっては、撮像部2が、耐熱性を超えるほどに過剰に加熱されるおそれがある。過剰に加熱された撮像部2は、例えば正常な撮像が困難となる等の問題が生じるおそれがあった。そこで、基板処理装置10では、撮像ユニット1Aにおいて、撮像部2を冷却可能に構成されている。以下、この冷却構成および作用について説明する。
【0022】
図2に示すように、外側ケース部4の内周部42と、内側ケース部5の筒壁部52の外周部55との間には、間隙31が形成されている。また、内側ケース部5の前端壁部53と、ケース窓部6の遮光部62との間にも、間隙32が形成されている。同様に、ケース窓部6の光透過部61と、撮像部2のレンズ21との間にも、間隙33が形成されている。間隙31、間隙32、間隙33は、互いに連通して、撮像部2を冷却する冷却ガスGSが通過するガス流路34の一部として機能する。また、内側ケース部5は、筒壁部52の内周部56が撮像部2から離間して、内部空間57を形成しており、ガス流路34の他の一部として機能する。すなわち、内側ケース部5の内部空間57は、各貫通孔531を介して間隙32と連通して、内部空間57、間隙32、間隙31を順次、若しくは、内部空間57、間隙32、間隙33、間隙31を順次通過するガス流路34として機能する。なお、冷却ガスGSとしては、特に限定されず、例えば、圧縮空気等を用いることができる。また、光透過部61あるいはレンズ21が曇ることを防止するため、ドライエアを用いてもよい。
【0023】
また、撮像ユニット1Aは、ガス流路34に冷却ガスGSを供給する冷却ガス供給部7を備える。冷却ガス供給部7は、冷却ガスGSの供給源(不図示)と接続された継ぎ手71と、継ぎ手71に接続されたノズル72とを有する。継ぎ手71は、ケース3の外側に配置される。継ぎ手71は、
図2に示す構成ではいわゆる「エルボータイプ」の継ぎ手であるが、これに限定されず、例えば、いわゆる「ストレートタイプ」の継ぎ手であってもよい。ノズル72は、管状をなし、内側ケース部5の内部空間57まで延びている。ノズル72の前端開口部は、内部空間57(ガス流路34)に冷却ガスGSを供給する供給口721として機能する。
【0024】
このような冷却構成では、供給口721から供給された冷却ガスGSは、内部空間57を通過する。その際、冷却ガスGSは、撮像部2の外装部(ハウジング)24に触れることとなり、よって、撮像素子22は、外装部24を介して、冷却ガスGSとの間で熱交換が行われる。これにより、撮像素子22を冷却することができる。また、内部空間57を通過した冷却ガスGSは、各貫通孔531を通過して、間隙32に流入する。その後、冷却ガスGSは、間隙31に向かう冷却ガスGSと、間隙33に向かってから、間隙33を通過し、間隙31に向かう冷却ガスGSとに分かれる。間隙33に向かう冷却ガスGSは、レンズ21に触れることとなり、よって、冷却ガスGSとの間で熱交換が行われる。これにより、レンズ21を冷却することができる。また、冷却ガスGSは、間隙31に向かった後、当該間隙31から排出される。これにより、熱交換に供された冷却ガスGSがガス流路34に滞留するのを防止することができる。
【0025】
以上のような冷却構成により、ガス流路34に冷却ガスGSを通過させつつ、撮像部2での撮像を行うことができる。また、撮像部2全体、特に、撮像部2の中で最も処理空間202に近い位置に配置され、加熱され易いレンズ21を効率よく冷却することができる。これにより、撮像部2の耐熱性を越えるのが防止され、よって、撮像部2での正常な撮像が可能となる。また、ケース3が二重筒構造をなすことにより、ケース3での断熱性が向上する。これにより、冷却効率の向上を図ることができる。また、冷却ガスGSの流れは、本実施形態では、内側ケース部5から、外側ケース部4と内側ケース部5との間に向かう流れ(以下この流れを「内側から外側への流れ」と言う)である。ケース3は、内側ケース部5側よりも、外側ケース部4側の方が高温となる傾向にあるため、冷却ガスGSの流れは、内側から外側への流れであるのが好ましい。これにより、冷却ガスGSの冷却効率が低下するのを防止することができる。
【0026】
また、
図2に示すように、供給口721は、内側ケース部5の内部空間57内で、中心軸O3からずれて、すなわち、中心軸O3よりもZ方向負側に配置されている。これにより、供給口721からの冷却ガスGSが貫通孔531に円滑に向かうことができ、その後のレンズ21の冷却を迅速に行うことができる。
【0027】
前述したように、外側ケース部4と内側ケース部5とは、互いに同心的に配置されている。これにより、間隙31の幅、すなわち、ギャップ長が中心軸O3回りに均一となり、間隙31からの冷却ガスGSの排出を迅速かつ円滑に行うことができる。また、外側ケース部4および内側ケース部5は、それぞれ、筒状をなし、具体的には、例えば円筒状が好ましいが、角筒状であってもよい。円筒状は、角筒状よりも、間隙31での冷却ガスGSの滞留を防止または抑制することができる。
【0028】
また、基板処理装置10は、撮像ユニット1Aを支持し、撮像ユニット設置アダプタ220に取り付ける撮像ユニット取り付け構造8を備える。撮像ユニット取り付け構造8は、撮像ユニット1Aおよび冷却ガス供給部7が取り付けられる取付部81と、取付部81と撮像ユニット設置アダプタ220とを連結する連結部82とを備える。取付部81は、例えば金属製の板部材を折り曲げて加工したものであり、ケース3をZ方向負側から支持する支持部811と、継ぎ手71の長手方向の途中を支持する支持部812とを有する。連結部82は、取付部81を介して撮像ユニット1Aおよび冷却ガス供給部7を支持し、撮像ユニット設置アダプタ220に固定される。連結部82は、撮像ユニット設置アダプタ220を介して取付部81を間接的に壁部201Aに連結する。連結部82は、取付部81と壁部201Aを直接連結してもよい。このような撮像ユニット取り付け構造8により、撮像ユニット1Aは、ケース窓部6が窓部13から離間した状態で取り付けられる。これにより、ケース窓部6と窓部13との間には、空気(空気層)が介在した状態となり、ケース窓部6さらにはレンズ21に対する断熱性が向上する。
【0029】
図7は、レンズの温度の一例を示すグラフである。
図7に示すグラフは、撮像ユニット1Aの撮像部2の中で、代表的にレンズ21の温度を測定し、その結果を示す棒グラフである。
図7の棒グラフAは、撮像ユニット1Aの冷却構成が省略された場合のレンズ21の温度を示し、棒グラフBは、撮像ユニット1Aの冷却構成によって低下したレンズ21の温度を示す。これにより、撮像ユニット1Aの冷却構成による冷却効果を確認することができる。
【0030】
図8は、冷却ガスの流量と、レンズ、撮像部内および撮像部周囲の温度との関係の一例を示すグラフである。
図8に示すグラフは、冷却ガスの流量(グラフの横軸)を変更した場合の、レンズ21、撮像部2内および撮像部2の周囲(外)の温度(グラフの縦軸)の変化を示す折れ線グラフである。折れ線グラフAは、レンズ21の温度変化を示し、折れ線グラフBは、撮像部2内の温度変化を示し、折れ線グラフCは、撮像部2の周囲の温度変化を示す。これにより、冷却ガスGSの流量増加に従って、レンズ21、撮像部2内および撮像部2の周囲の温度は、いずれも低下することを確認することができる、すなわち、冷却ガスGSによる冷却効果を確認することができる。また、冷却ガスGSの流量としては、少なくとも15[L/min]であるのが好ましく、30[L/min]以上であるのがより好ましいことが、
図8に示すグラフから分かる。
【0031】
<第2実施形態>
以下、
図3を参照して、第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。本実施形態は、供給部の供給口の配置箇所が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図3は、第2実施形態に係る基板処理装置が備える撮像ユニットの構成例を示す垂直縦断面図である。
【0032】
図3に示すように、冷却ガス供給部7の供給口721は、内側ケース部5内で、中心軸O3上に配置されている。これにより、供給口721からの冷却ガスGSを内側ケース部5の内部空間57全体に均等に行き渡らせることができ、よって、冷却ガスGSを撮像部2の外装部24全体に十分に触れさせることができる。これにより、外装部24を介した冷却ガスGSと撮像素子22との間での熱交換が迅速に行われる。
【0033】
<第3実施形態>
以下、
図4、
図5を参照して、第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。本実施形態は、ケースの構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図4は、第3実施形態に係る基板処理装置が備える撮像ユニットの構成例を示す概略垂直縦断面図である。
図5は、
図4中のB-B線断面図(第3実施形態に係る基板処理装置が備える撮像ユニットの構成例を示す概略垂直横断面図)である。
【0034】
図4に示すように、ケース3は、ガス流路34の途中の間隙32の一部を塞ぐように設けられた整流部9を有する。整流部9は、間隙32に流入した冷却ガスGS、すなわち、ガス流路34での冷却ガスGSの流れを優先的にケース窓部6とレンズ21との間、すなわち、間隙33に向かわせる部分である。
図5に示すように、整流部9は、中心軸O3を中心とする円弧状に形成されており、本実施形態では、その中心角θ9は、180度以下である。なお、整流部9は、外側ケース部4および内側ケース部5と別体で構成されたものであってもよいし、外側ケース部4および内側ケース部5と一体的に形成されたものであってもよい。
【0035】
また、供給口721は、内側ケース部5の内部空間57内で、中心軸O3から整流部9側にずれて配置されている。この配置構成による効果と、整流部9による効果との相乗効果により、冷却ガスGSは、供給口721から、ケース窓部6とレンズ21との間に迅速に向かうことができる。これにより、レンズ21をより迅速に冷却することができる。
【0036】
<第4実施形態>
以下、
図6を参照して、第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。本実施形態は、整流部の大きさ(形状)が異なること以外は前記第3実施形態と同様である。
図6は、第4実施形態に係る基板処理装置が備える撮像ユニットの構成例を示す概略垂直横断面図である。
【0037】
図6に示すように、本実施形態では、整流部9の中心角θ9は、180度を超える。これにより、冷却ガスGSをケース窓部6とレンズ21との間に集中的に向かわせることができる。
【0038】
以上、本開示の好ましい実施の形態について説明したが、本開示は上述した実施の形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。また、冷却ガスGSの流れは、前記各実施形態では内側ケース部5から、外側ケース部4と内側ケース部5との間に向かう流れであるが、これに限定されず、例えば、逆流、すなわち、外側ケース部4と内側ケース部5との間から、内側ケース部5に向かう流れであってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 撮像ユニット
1A 撮像ユニット
1B 撮像ユニット
2 撮像部
21 レンズ
3 ケース(収納ケース)
31 間隙
32 間隙
33 間隙
34 ガス流路
4 外側ケース部(外側筒状部)
5 内側ケース部(内側筒状部)
6 ケース窓部
8 撮像ユニット取り付け構造
81 取付部
10 基板処理装置
13 窓部
20 チャンバ
201 壁部(側壁)
201a 壁部
201b 壁部
201c 壁部
201d 壁部
30 基板