(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097208
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】予測装置、予測方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/18 20090101AFI20240710BHJP
H04W 28/06 20090101ALI20240710BHJP
H04W 88/18 20090101ALI20240710BHJP
【FI】
H04W16/18
H04W28/06
H04W88/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000603
(22)【出願日】2023-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100129230
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 理恵
(72)【発明者】
【氏名】永田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】工藤 理一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 馨子
(72)【発明者】
【氏名】村上 友規
(72)【発明者】
【氏名】小川 智明
(72)【発明者】
【氏名】西尾 理志
(72)【発明者】
【氏名】太田 翔己
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD45
5K067HH22
5K067HH23
5K067LL11
(57)【要約】
【課題】通信品質の予測における処理負荷を軽減する。
【解決手段】予測装置1は、環境センサ2で測定可能な物理空間のうち、移動体が移動しない空間を排除し、移動体が移動可能な空間を含む空間を予測対象空間5として、予測対象空間5を点群で表現した点群データ11を取得する取得部21と、予測対象空間5における無線通信品質を測定する測定部30と、点群データ11の経時的変化と、無線通信品質の経時的変化の関係から、無線通信品質を予測する予測モデルを学習する学習部40を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境センサで測定可能な物理空間のうち、移動体が移動しない空間を排除し、前記移動体が移動可能な空間を含む空間を予測対象空間として、前記予測対象空間を点群で表現した点群データを取得する取得部と、
前記予測対象空間における無線通信品質を測定する測定部と、
前記点群データの経時的変化と、前記無線通信品質の経時的変化の関係から、無線通信品質を予測する予測モデルを学習する学習部
を備える予測装置。
【請求項2】
前記予測モデルにより予測された無線通信品質と、前記測定部により測定された無線通信品質の差分が、所定値よりも大きい場合、前記取得部は、前記環境センサで測定可能な物理空間を予測対象空間として、前記予測対象空間を点群で表現した点群データとして取得する
請求項1に記載の予測装置。
【請求項3】
前記取得部は、
前記点群データの削減率を決定する決定部と、
前記削減率に従って、前記点群データをダウンサンプリングする削減部
を備える請求項1に記載の予測装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記点群データを取得する環境センサの設置環境、前記点群データの容量、または無線通信の送信機および受信機の位置から、前記削減率を決定する
請求項3に記載の予測装置。
【請求項5】
前記削減部は、前記点群データの各点から、前記削減率に対応する数の点をランダムに選択し、前記点群データから、選択された点のデータを削除する
請求項4に記載の予測装置。
【請求項6】
前記削減部は、前記予測対象空間を複数の空間に分割し、分割された各空間に対応する前記点群データの各点群から、前記点群データの点群のうち前記削減率に対応する点の数を分割された空間の数で除算した点の数を選択し、前記点群データから、選択された点のデータを削除する
請求項4に記載の予測装置。
【請求項7】
コンピュータが、無線通信品質の予測対象となる物理空間のうち、移動体が移動しない空間を排除し、前記移動体が移動可能な空間を含む空間を点群で表現した点群データとして取得し、
前記コンピュータが、前記物理空間における無線通信品質を測定し、
前記コンピュータが、前記点群データの経時的変化と、前記無線通信品質の関係から、無線通信品質を予測する予測モデルを学習する
予測方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の予測装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、予測装置、予測方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット等の通信ネットワークにおいて、IoT(Internet of Things)、およびM2M(Machine to Machine)に関するトラヒックが増加している。無線通信帯域は逼迫し、より高い周波数の利活用が検討されている。
【0003】
例えば、次世代移動体通信(5Gおよび 6G)において、ミリ波と呼ばれる30 GHz以上の周波数を用いた高速大容量通信の実現が期待される。一方、sub 6 GHz帯以上の高い周波数を用いた通信は、周囲の環境の影響を強く受ける。特に、ミリ波通信、またはテラヘルツ波通信において、人体等の遮蔽によって通信品質が急峻に低下する(非特許文献1)。このような通信品質の急峻な変化は体感通信品質大きく低下させる要因となる。そのため、通信品質の大きな変化を事前に検知し、対策を行う必要がある。
【0004】
例えば、環境センサと機械学習を用いて、通信路状態を事前に予測し、対策する技術がある(非特許文献2および3)。ここで環境センサは、RGB(Red-Green-Blue)カメラ、深度カメラ、LiDAR(Light Detection And Ranging)など、通信路の物理環境を特定するためのセンサである。対策は、送信電力制御またはハンドオーバなどである。この技術は、深度画像または点群情報などの環境情報、あるいは、環境情報から抽出した障害物の位置情報を用いて、見通し通信路における遮蔽の発生時刻、およびその遮蔽による通信品質の減衰を予測する。この技術は、これらの予測情報に基づいて、ハンドオーバまたはトラヒック流量制御などの通信制御を実施する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】S. Collonge, G. Zaharia, and G.E. Zein, “Influence of the human activity on wide-band characteristics of the 60 GHz in- door radio channel,” IEEE Trans. Wireless Commun., vol.3, no.6, pp.2396-2406, Nov. 2004.
【非特許文献2】S. Ohta, T. Nishio, R. Kudo, and K. Takahashi, “Millimeter-wave Received Power Prediction Using Point Cloud Data and Supervised Learning,” Proceedings of IEEE VTC-Spring, Helsinki, Finland, Jun. 2022.
【非特許文献3】T. Nishio, H. Okamoto, K. Nakashima, Y. Koda, K. Yamamoto, M. Morikura, Y. Asai, and R. Miyatake, "Proactive Received Power Prediction Using Machine Learning and Depth Images for mmWave Networks," IEEE Journal on Selected Areas in Communications, vol. 37, no. 11, pp. 2413-2427, Nov. 2019.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献2および3において、深度カメラまたはLiDARなどの点群センサが取得したデータそのものが学習または予測に用いられるので、学習または予測における処理負荷が高い場合がある。
【0007】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、通信品質の予測における処理負荷を軽減可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様の予測装置は、環境センサで測定可能な物理空間のうち、移動体が移動しない空間を排除し、前記移動体が移動可能な空間を含む空間を予測対象空間として、前記予測対象空間を点群で表現した点群データを取得する取得部と、前記予測対象空間における無線通信品質を測定する測定部と、前記点群データの経時的変化と、前記無線通信品質の経時的変化の関係から、無線通信品質を予測する予測モデルを学習する学習部を備える。
【0009】
本開示の一態様の予測方法は、コンピュータが、無線通信品質の予測対象となる物理空間のうち、移動体が移動しない空間を排除し、前記移動体が移動可能な空間を含む空間を点群で表現した点群データとして取得し、前記コンピュータが、前記物理空間における無線通信品質を測定し、前記コンピュータが、前記点群データの経時的変化と、前記無線通信品質の関係から、無線通信品質を予測する予測モデルを学習する。
【0010】
本開示の一態様は、上記予測装置として、コンピュータを機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、通信品質の予測における処理負荷を軽減可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態に係る予測システムのシステム構成を説明する図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施の形態に係る予測装置の機能を説明するブロック図である。
【
図3】
図3は、歩行者を表す点の残存確率を示すグラフである。
【
図4】
図4は、本開示の実施の形態に係る予測方法の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、取得処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、変形例に係る予測装置の機能を説明するブロック図である。
【
図7】
図7は、予測装置に用いられるコンピュータのハードウエア構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付し説明を省略する。
【0014】
(予測システム)
図1に示すように予測装置1は、予測対象空間5に用いられる。予測対象空間5は、無線通信空間のうち、予測装置1が無線通信品質を予測し、予測された無線通信品質に応じて、ハンドオーバまたはトラヒック流量制御などの通信制御を実施する空間である。無線通信空間において、移動体P1またはP2などが移動し、無線通信空間の環境が変化する場合がある。
【0015】
予測システム7は、予測装置1、環境センサ2、送信機3および受信機4を備える。予測システム7における送信機3および受信機4の数は問わない。
【0016】
予測装置1は、環境センサ2から取得した無線通信空間の環境情報として、物理空間情報を取得する。物理空間情報は、具体的には、無線通信空間における形状を点群で描画した点群データである。点群データは、所定時間における無線通信空間における物理空間情報の変化、具体的には、人などの移動体P1またはP2の移動が反映されたデータであっても良い。なお、無線通信空間で移動する移動体の数は、問わない。
【0017】
予測装置1はさらに、送信機3から無線通信空間における無線通信品質を取得して、物理空間情報と無線通信品質との相関を学習して、無線通信品質を予測する予測モデルを生成する。予測装置1は、生成した予測モデルを用いて無線通信品質を予測し、ハンドオーバまたはトラヒック流量制御などの通信制御を、送信機3に指示する。
【0018】
環境センサ2は、深度カメラまたはLiDARなどの点群センサである。環境センサ2は、測定範囲における物理空間の点群データを逐次取得して、予測装置1に入力する。環境センサ2の測定範囲は、予測装置1による所定の処理によって決められても良いし、予め定められた設定に従って決められても良い。
【0019】
送信機3は、無線通信空間に、無線通信の電波を送信して、受信機4と通信する。送信機3は、受信機4にデータを送信し、受信機4からデータを受信する。送信機3は、例えば、アクセスポイントである。
【0020】
受信機4は、送信機3が送信した電波を受信して、送信機3と通信する。受信機4は、送信機3からデータを受信し、受信機4が処理したデータを送信機3に送信しても良い。受信機4は、ノートパソコン、スマートフォン、タブレットなどの可搬性を有するコンピュータである。受信機4は、移動体P1またはP2などの移動に伴って、無線通信空間内を移動しても良い。
【0021】
予測対象空間5は、送信機3が送信する電波が到達する空間のうち、予測装置1による無線通信品質の予測の対象とする空間である。本実施の形態において環境センサ2は、予測対象空間5における環境を測定するように制御される。
【0022】
(予測装置)
図2を参照して、実施の形態に係る予測装置1を説明する。予測装置1は、点群データ11、品質データ12、予測モデルデータ13および予測品質データ14の各データと、取得部21、測定部30、学習部40、予測部50および制御部60の各機能を備える。各データは、メモリ902またはストレージ903等の記憶装置に記憶される。各機能は、CPU901に実装される。
【0023】
点群データ11は、所定時間において、環境センサ2から取得した予測対象空間5の点群データである、実施の形態において点群データ11は、環境センサ2が測定した点群データそのものではなく、一部のデータを削減したデータである。点群データ11は、所定時間における予測対象空間5の物理的特徴の経時的変化であっても良い。点群データ11は、予測対象空間5における物理特徴として、所定時間における点の位置およびその点の特徴データを対応づける。また点群データ11は、予測対象空間5における物理特徴を表現した画像データであっても良い。
【0024】
品質データ12は、所定時間において、受信機4と送信機3との間の線通信品質に関するデータである。品質データ12は、所定時間における予測対象空間5の無線通信品質の経時的変化であっても良い。
【0025】
無線通信品質は、受信電力、スループットなどの無線通信品質を対応づけたデータである。無線通信品質は、より具体的には、受信信号電力、信号対雑音電力比(SNR)、信号対干渉雑音電力比(SINR)、RSSI(Received Signal Strength Indication)、RSRQ(Received Signal Reference Quality)、パケット誤り率、到達ビット数、単位時間当たりの到達ビット数、MCS(Modulation and Coding Scheme index)、再送回数、遅延時間、誤り訂正方式、通信システムの周波数、または利用するリソースの帯域幅等の周波数条件等である。品質データ12は、これらの値の微分情報、これらの値を所定の計算式に代入して算出される指標、またはこれらの指標に影響を与えるシステムの設定項目等でもよい。
【0026】
予測モデルデータ13は、後述の学習部40の機械学習によって得られるデータである。予測モデルデータ13は、予測対象空間5における無線通信品質を予測するためのモデルデータである。
【0027】
予測品質データ14は、後述の予測部50によって得られるデータである、予測品質データ14は、予測モデルデータ13に、現在の予測対象空間5の点群データを入力することによって得られ、将来の無線通信品質を特定するデータである。
【0028】
取得部21は、環境センサ2が予測対象空間5を測定した点群データから、学習に必要な点群データ11を生成する。点群データ11は、予測対象空間5における物理的特徴を表す。実施形態において取得部21は、予測対象空間5において環境センサ2が想定した点群データの点の数を、所定の削減率で削減して、点群データ11を生成する。取得部21はさらに、環境センサ2の測定領域を予測対象空間5とする場合もあれば、測定領域の一部を予測対象空間5としても良い。取得部21の処理は、後に詳述する。
【0029】
測定部30は、予測対象空間5における無線通信品質を測定する。測定部30は、送信機3から予測対象空間5の無線通信品質を取得して、品質データ12を測定する。測定部30は、送信機3から取得した無線通信品質に所定の処理を施して、品質データ12を生成しても良い。
【0030】
学習部40は、点群データ11および品質データ12を入力として、ニューラルネットワークを用いた機械学習により予測モデルを生成する。学習部40は、点群データ11の経時的変化と、無線通信品質の経時的変化の関係から、無線通信品質を予測する予測モデルを学習する。学習時に用いられる点群データ11および品質データ12は、同時間に取得されたデータである。学習部40は、学習した予測モデルデータ13を生成する。
【0031】
予測部50は、予測モデルデータ13に、現在の点群データ11を入力して、将来的な無線通信品質を予測して、予測品質データ14を生成する。
【0032】
制御部60は、予測品質データ14を参照して、送信機3に制御を入力する。例えば、無線通信品質の悪化が予想される場合、制御部60は、受信機4に他の送信機へのハンドオーバの指示を、送信機3に入力したりする。
【0033】
(取得部)
取得部21について詳述する。取得部21は、学習部40に入力する点群データ11のボリュームを、学習の精度を悪化させないように削減する。これにより通信品質の予測における精度を担保しつつ、処理負荷を軽減することができる。
【0034】
取得部21は、判定部22、決定部23および削減部24を備える。取得部21は、(A)環境センサ2の測定範囲の制限と、(B)環境センサ2が測定した点群データのダウンサンプリングの2種の削減方法により、点群データ11のボリュームを減らす。判定部22は、(A)の削減方法に関する処理である。決定部23および削減部24は、(B)の削減方法に関する処理である。
【0035】
まず、(A)環境センサ2の測定範囲の制限について説明する。
【0036】
判定部22は、予測対象空間5を特定する。予測対象空間5は、環境センサ2で測定可能な物理空間のうち、環境センサ2が測定する空間である。判定部22はまず、移動体P1またはP2が移動しない空間を排除し、移動体P1またはP2が移動可能な空間を含む空間を、予測対象空間5とする。ここで予測対象空間5は、移動体P1またはP2が移動可能な空間を含めばよく、移動体P1またはP2が移動しない空間を含んでも良い。例えば、移動体P1またはP2よりも上方の空間、または家具などの設置により移動体P1またはP2が移動できない空間などが、予測対象空間5から排除されても良い。
【0037】
環境センサ2が回転式LiDARの場合、環境センサ2は、環境センサ2の位置を中心に、水平方向360度の全方位を計測可能であるので、測定される点群数が増大する。そこで、移動体P1またはP2が移動可能な空間に制限して測定することで、測定対象となる点群数を制限することができる。通信品質に影響を与える空間が、限定的である場合に効果的な削減方法である。具体的には、遮蔽物または反射物が往来する空間を含まない空間の点群を削除し、遮蔽物または反射物が往来する空間を測定することにより、点群数を削減することができる。
【0038】
さらに環境センサ2の仰角方向の測定範囲を制限することで、点群数を削減することができる。水平方向と同様に、仰角方向についても、移動体P1またはP2が移動可能な空間に制限して測定することで、測定対象となる点群数を制限することができる。通信品質に影響を与える空間が、限定的である場合に効果的な削減方法である。具体的には、遮蔽物または反射物が往来する空間を含まない空間の点群を削除し、遮蔽物または反射物が往来する空間を測定することにより、点群数を削減することができる。
【0039】
判定部22は、水平方向の測定範囲の制限、および仰角方向の測定範囲の制限のうち、すくなくともいずれかを実行することにより、環境センサ2の測定対象の点群数を削減する。
【0040】
例えば判定部22は、所定時間の間に、環境センサ2が測定可能な物理空間を測定し、その点群データを取得することで、移動体P1またはP2が移動可能な空間を特定することができる。判定部22は、特定された空間を予測対象空間5として、予測対象空間5に限定して測定する指示を、環境センサ2に入力する。
【0041】
判定部22はさらに、このような削減方法が妥当であるか否かを判定する。具体的には予測装置1は、環境センサ2の水平方向および仰角方向の測定範囲を制限した点群データ11と、その点群データ11を取得した際の無線通信の品質データ12を用いて、予測モデルを生成する。
【0042】
判定部22は、予測モデルにより予測された無線通信品質と、測定部30により測定された無線通信品質の差分を算出する。具体的には判定部22は、環境センサ2の水平方向および仰角方向の測定範囲を制限した点群データを予測モデルに入力して得られた予測値と、その点群データを取得した際の無線通信品質の実測値を比較する。
【0043】
予測値と実測値の差分が所定値よりも小さい場合、判定部22は、環境センサ2の水平方向および仰角方向の測定範囲を制限した空間を、予測対象空間5と判定する。予測値と実測値の差分が所定値よりも大きい場合、判定部22は、環境センサ2で測定可能な物理空間を予測対象空間5する。取得部21は、判定部22によって判定された予測対象空間5における環境センサ2の測定値を取得する。
【0044】
次に、(B)環境センサ2が測定した点群データのダウンサンプリングについて説明する。ダウンサンプリングは、決定部23が点群データの削減率を決定し、削減部24が、決定部23によって削減率に従って、点群データをダウンサンプリングすることにより、実現される。
【0045】
まず、決定部23が点群データの削減率を決定する処理を説明する。決定部23が決定する削減率は、1から、「環境センサ2によって予測対象空間5で測定される点の数に対する、学習部40に入力する点群データ11の点の数の割合」を引いた値である。換言すると、環境センサ2が、環境センサ2で測定可能な物理空間で測定可能な点の数に対する学習部40に入力する点群データ11の点の数から削減数が算出される。削減率は、環境センサ2が、環境センサ2で測定可能な物理空間で測定される点の数に対する削減数の割合である。なお、圧縮率は、「環境センサ2によって予測対象空間5で測定される点の数に対する、学習部40に入力する点群データ11の点の数の割合」である。例えば、削減率r=0.9(圧縮率c=0.1)の場合、ダウンサンプリング前の点の数のうち90%を削除し、10%を残すことを意味する。
【0046】
決定部23は、点群データを取得する環境センサ2の設置環境、削減前の点群データの容量、または無線通信の送信機3および受信機4の位置などから、削減率を決定する。削減率を決定する指標は、大きく分けて、下記の3つに分類される。
【0047】
(1)環境センサ2の設置環境
具体的な指標は、点群センサの測定範囲(平方メートル)、最大測定距離(m)、視野角(度)、平均の明るさ(ルクス)、予測対象空間5における降水割合(%)などがある。降水割合が高い場合、空間が暗くなること、または雨に伴って環境センサ2の視野の悪化を考慮して、削減率を決定することが好ましい。
【0048】
(2)点群データを取得する装置の環境
具体的な指標は、環境センサ2が取得するデータの容量、他アプリケーションの稼働状況などである。環境センサ2が取得するデータの容量は、カメラの解像度、LiDARの性能(水平センサ数)、1タイムステップあたりのデータ容量、データ取得頻度などである。予測装置1が、他アプリケ-ションとして、AR(Augmented Reality)/VR(Virtual Reality)アプリケーションなどのリアルタイム性が高いアプリケーションが使用されている場合、処理負荷を軽減するために削減率を高くしても良い。
【0049】
(3)環境センサ2、受信機4および送信機3のそれぞれの位置
具体的には、送信機3と受信機4を結ぶ直線を基準線とする。環境センサ2の位置から、基準線への垂直の長さを、式(1)により算出する。決定部23は、この距離dが小さいほど削減率が大きく、距離dが大きいほど削減率が小さくなるように、換言すると、距離dが小さいほど圧縮率が小さく、距離dが小さいほど圧縮率が大きくなるように、決定する。
【0050】
【0051】
決定部23は、下記の4つの指標で削減率rを決定する。削減率rは、1-c(圧縮率)により算出されても良い。圧縮率cは、ダウンサンプリング前の点の数に対するダウンサンプリング後の点の数の割合である。
【0052】
(1)最大測定距離d(m)
圧縮率cは、最大測定距離dと正の相関を持つように算出される。最大測定距離dは、上記式(1)により算出される。削減率rは、最大測定距離dと負の相関を持つように算出される。例えば圧縮率c=d/50である。最大測定距離は、移動体P1またはP2が動き得る一番遠い位置と、環境センサ2との距離であって、環境センサ2から予測対象空間5の最も遠い点までの距離である。決定部23は、最大測定距離が5mの場合、圧縮率を10%で削減率を90%と決定する。決定部23は、最大測定距離が10mの場合、圧縮率を20%で削減率を80%と決定する。
【0053】
(2)予測対象空間5の面積S(平方メートル)
圧縮率cは、予測対象空間5の面積と正の相関を持つように算出される。削減率rは、予測対象空間5の面積と負の相関を持つように算出される。例えば圧縮率c=S/200である。決定部23は、予測対象空間5の面積が20平方メートルの場合、圧縮率を10%で削減率を90%と決定する。
【0054】
(3)1タイムステップあたりのデータ容量
圧縮率cは、1タイムステップあたりのデータ容量およびデータ取得頻度のそれぞれと負の相関を持つように算出される。削減率rは、1タイムステップあたりのデータ容量およびデータ取得頻度のそれぞれと正の相関を持つように算出される。例えば、1タイムステップあたりのデータ容量がDkBおよびデータ取得頻度がFfpsの場合、例えば圧縮率c=1-DF/12500である。決定部23は、1タイムステップあたりのデータ容量が200kBで、データ取得頻度が30fpsの場合、圧縮率を52%で削減率を48%と決定する。
【0055】
(4)予測に寄与する点群の残存確率
決定部23は、通信の遮蔽予測に大きく寄与することが期待される歩行者を表す点群に対し、その点をランダムにサンプリングした際に、m点以上の数の点が残る確率がP%以上となる圧縮率cを選択する。m点以上残る確率は、基準値m、環境センサ2と移動体との距離および圧縮率cによって決まる。環境センサ2と移動体の距離は、環境センサ2が測定した点群データにおいて移動体を表す点の数に依存する。移動体を表す点の数が多いほど、環境センサ2と移動体との距離が近い。
【0056】
(4)に示す予測に寄与する点群の残存確率は、例えば
図3に示す事前実験の結果等により、予め算出することができる。
図3に示すグラフは、横軸が基準値mで、縦軸が残存確率Pである。例えば
図3(a)に示すグラフで、基準値m=3で残存確率Pの目安80%とする場合、c=0.015625、すなわち圧縮率が1.5%で、削減率が98.5%であることがわかる。また
図3(b)に示すグラフで、基準値m=3で残存確率Pの目安80%とする場合、c=0.01、すなわち圧縮率が1%で、削減率が99%であることがわかる。
【0057】
実施形態において、決定部23は、
図3(a)または(b)に示すように、環境センサ2と移動体(人)との距離毎の、基準値と残存確率の関係を表す対応データを予め取得する。決定部23は、環境センサ2が取得した点群データにおいて移動体(人)を表す点群の数から、いずれかの対応データを選択する。環境センサ2が取得した点群データにおいて複数の移動体が存在する場合、より遠い移動体を表す点の数に応じて、対応データを選択する。決定部23は、選択した対応データを参照し、目標とする基準値および残存確率から、圧縮率cおよび削減率rを算出する。
【0058】
決定部23は、上記の4つの指標のいずれかによって、削減率を決定しても良い。あるいは決定部23は、上記の4つの指標のそれぞれで決定された削減率で、最も実測値に近い予測値を出力可能な指標を採用しても良い。具体的には決定部23は、下記の4つの指標のそれぞれで決定された削減率から、4セットの点群データを生成して、各点群データと無線通信品質を入力として4つの予測モデルを学習する。決定部23は、4つの予測モデルのそれぞれから算出された予測値のうち、最も実測値に近い予測値を算出した予測モデルを選択する。決定部23は、選択された予測モデルの学習時に入力された点群データの生成時に参照された削減率を、削減部24に入力する削減率として決定する。
【0059】
表1に、圧縮率cを、100%、50%、20%、10%、4%および1%とした際の予測誤差の実験結果を示す。環境センサ2が、予測対象空間5を測定し、取得部21が、所定の圧縮率でデータをランダムに削減する。圧縮された点群データ11と、その点群データを測定した際の通信品質との関係の機械学習により、予測モデルが生成される。予測モデルは、6種類生成される。その各予測モデルを用いて予測した通信品質の予測値と、500m先の実際の通信品質の実測値とから、予測誤差としてRMSE(Root Mean Squared Error)を算出する。また表1の「1秒あたりの処理回数」の処理は、予測モデルの学習または予測モデルによる予測のために、取得したデータを時系列データとして統合する処理である。予測値および実測値は、環境センサ2から500mの先における値である。
【0060】
表の上段ほど、データ圧縮率が小さくなり、よりデータ容量が小さくなっている。また圧縮率が小さくなっても、すなわち削減率が大きくなっても、予測誤差(RMSE)の数値は、微増に留まる。このことから、この削減方法によって、通信品質予測に必要な特徴を残して、点群データのデータ量を削減していることがわかる。
【0061】
【0062】
削減率を決定する処理について説明したが、決定された削減率を用いて学習して得られた予測モデルの精度によって、さらに削減率が変更されても良い。具体的には決定部23は、決定した削減率で環境センサ2から取得した点群データの点の数を削減したデータと、その点群データを取得した際の無線通信の品質データ12を用いて、予測モデルを生成する。
【0063】
決定部23は、予測モデルにより予測された無線通信品質と、測定部30により測定された無線通信品質の差分を算出する。具体的には決定部23は、決定部23が決定した削減率で環境センサ2から取得した点群データの点の数を削減する。決定部23は、削減した点群データを予測モデルに入力して得られた予測値と、その点群データを取得した際の無線通信品質の実測値を比較する。
【0064】
予測値と実測値の差分が所定値よりも小さい場合、決定部23は、その予測値を算出する際に用いられた削減率で、学習および予測に用いる点群データを削減するよう、削減部24に通知する。予測値と実測値の差分が所定値よりも大きい場合、決定部23は、その予測値を算出する際に用いられた削減率よりも削減率を減らす。換言すると決定部23は、圧縮率を上げて、学習または予測に用いる点の数を増やす。
【0065】
変更後の削減率でも同様に予測モデルを生成し、予測値と実測値が所定値よりも小さくなるまで、決定部23は、削減率を下げる処理を繰り返す。決定部23は、予測値と実測値が所定値よりも小さくなった時点で用いられた削減率で、学習および予測に用いる点群データを削減するよう、削減部24に通知する。
【0066】
次に、削減部24が削減率に従って、点群データをダウンサンプリングする処理を説明する。削減部24は、予測対象空間5における点の密度を減らす。削減部24は、環境センサ2が予測対象空間5で測定した点の数から、決定部23によって決定された削減率を達成するように、削減する点を特定する。削減部24は、点群データから特定された点を削除して、点群データ11を生成する。削減部24は、判定部22によって特定された予測対象空間5における点群から点を削除する。なお、予測対象空間5は、判定部22によって定義される。予測対象空間5は、環境センサ2で測定可能な物理空間と判定される場合もあれば、環境センサ2で測定可能な物理空間から制限される場合もある。
【0067】
削減部24が、点の密度を減らす方法として、ランダムダウンサンプリング手法と、一様ダウンサンプリング手法がある。いずれの手法を採用するかは、当該処理時の予測装置1の処理負荷、稼働中の他のアプリケーション等によって決められる。例えば、AR/VR等のリアルタイム性が求められるアプリケーションが稼働している場合、削減部24は、処理負荷が低いランダムダウンサンプリング手法で点を除去する。正確性が求められるアプリケーションが稼働している場合、削減部24は、空間から一様に削減する一様ダウンサンプリング手法で点を除去する。
【0068】
まずランダムサンプリング手法を説明する。ランダムサンプリング手法は、予測対象空間5の点をランダムに選択し、除去する手法である。削減部24は、点群データの各点から、削減率に対応する数の点をランダムに選択し、点群データから、選択された点のデータを削除して、点群データ11を生成する。削減部24は、ランダムに点を選択するので、削減に必要な計算量は非常に小さいという利点がある。一方、点の空間的分布を考慮せずにランダムに削除するので、一部の空間の点が集中して消えてしまい、その空間情報が完全に消えてしまう可能性がある。
【0069】
次に一様サンプリング手法を説明する。一様サンプリング手法は、予測対象空間5中の点を一様に選択し、除去する手法である。削減部24は、予測対象空間5を複数の空間に分割する。削減部24は、分割された各空間に対応する点群データの各点群から、空間1つあたりの点群から削除する点を選択する。空間1つあたりの点群から削除する点の数は、環境センサ2が測定した点群データの点群のうち、削減率に対応する点の数を、分割された空間の数で除算した点の数である。削減部24は、点群データから、選択された点のデータを削除して、点群データ11を生成する。削減部24は、空間の特徴を残しつつ点群密度を低下させることができる利点がある。一方、空間を均等に分割する処理により処理遅延が大きくなる。
【0070】
削減部24は、例えば、予測対象空間5を、ボクセル単位で分割する。ここではボクセル単位で分割する場合を説明するが、同体積で分割できれば、どのような単位で分割されても良い。
【0071】
削減部24は、予測対象空間5における点群の数と削減率から、除去する点の数を算出し、さらに、1つのボクセルにおいて除去する点の数を算出する。削減部24は、各ボクセルから、除去する点を選択する。このとき削減部24は、除去する点をランダムに選択しても良いし、各ボクセルを除去する点の数で分割して、分割された各空間から1つの除去する点を選択しても良い。削減部24は、環境センサ2が測定した点群データから、選択された点のデータを削除して、点群データ11を生成する。
【0072】
図4を参照して、予測装置1における予測処理を説明する。
【0073】
まずステップS1において予測装置1は、取得部21による取得処理を行う。取得処理において、予測対象空間5の点群データを削減して、学習部40に入力する点群データ11が生成される。
【0074】
ステップS2において予測装置1は、測定部30によって予測対象空間5の無線通信品質を測定する。測定部30は、ステップS1で取得する予測対象空間5の点群データと同時期の無線通信品質を測定する。
【0075】
ステップS3において予測装置1は、学習部40によって、ステップS1で取得された点群データ11と、ステップS2で取得された品質データ12の相関を学習し、予測モデルを生成する。予測モデルは、新たに取得された点群データが入力されると、将来的な無線通信品質を予測する。予測された無線通信品質は、受信機4へのハンドオーバの指示などの制御をするための指標として用いられる。
【0076】
図5を参照して、ステップS1の取得処理を説明する。
【0077】
ステップS101において取得部21は、移動体P1またはP2が移動可能な空間を、予測対象空間5として、環境センサ2で測定する。環境センサ2が、移動体P1またはP2が移動可能な空間を含む空間を測定できるように、取得部21は、予測対象空間5を設定する。
【0078】
ステップS102において取得部21は、環境センサ2から点群データを取得する。ステップS103において取得部21は、ステップS102で取得した点群データと、点群データの取得時に測定された無線通信品質から、予測モデルを学習する。
【0079】
ステップS104において、予測モデルから予測された無線通信品質の予測値と、予測対象空間5において測定された無線通信品質の予測値を比較する。予測値と実測値の差分が所定範囲内の場合、ステップS105において取得部21は、ステップS101で設定した空間、具体的には移動体P1またはP2が移動可能な空間を、予測対象空間5を判定する。一方予測値と実測値の差分が所定範囲内の場合、ステップS106において取得部21は、環境センサ2が測定可能な空間、具体的には、移動体P1またはP2が移動可能な空間のみならず、移動体P1またはP2が移動しえない空間も含める空間を、予測対象空間5と判定する。
【0080】
ステップS107において取得部21は、点群データの削減率を決定する。ステップS108において取得部21は、予測対象空間5で測定した点群から、ステップS107で決定された削減率に対応する数の点を削除して、点群データ11を生成する。ステップS108で生成した点群データ11は、
図4のステップS3の予測モデルを学習する処理で参照される。またステップS108で生成した点群データ11は、予測モデルを用いて将来の無線通信品質を予測する際に参照される。
【0081】
実施の形態において環境センサ2は、移動体が移動する範囲に限定して測定することで、環境センサ2から予測装置1が取得するデータ量を削減することができる。但し、移動体が移動する範囲に限定して測定した点群データから学習された予測モデルの精度が低い場合、環境センサ2は、移動体が移動する範囲に限定することなく、測定可能な範囲を測定する。
【0082】
予測装置1は、環境センサ2が取得した点群データのうち、無線通信品質に関係する空間に限定し、さらに予め決定された決定率に従ってダウンサンプリングして、点群データ11を生成する。これにより、学習部40に入力される点群データ11の容量が削減されるので、学習部40の処理負担が軽減される。
【0083】
(変形例)
変形例に係る予測対象空間5aは、実施の形態に係る予測対象空間5と比べて、予測装置1の取得部21が、予測装置1の外の、取得装置8に実装される点で異なる。変形例において、取得装置8と予測装置1aは、通信ネットワークで接続される。
【0084】
このような予測対象空間5aにおいても、実施の形態と同様に環境センサ2が測定した点群データの点の数を減らして点群データ11を生成することができる。
【0085】
なお、実施の形態において説明した削減方法のうち、(3)1タイムステップあたりのデータ容量は、取得装置8および予測装置1a間の通信の帯域BMbit/sの制限を受ける。従って、圧縮率および削減率は、下記の(3’)のように算出される。
【0086】
(3’)1タイムステップあたりのデータ容量
圧縮率cは、1タイムステップあたりのデータ容量と負の相関を持つとともに、帯域制限と正の相関を持つように算出される。削減率rは、1タイムステップあたりのデータ容量と正の相関を持つとともに、帯域制限と負の相関を持つように算出される。例えば、1タイムステップあたりのデータ容量がDkB、データ取得頻度がFfps、および帯域制限がBMbit/sの場合、圧縮率cは、データ容量およびデータ取得頻度のそれぞれと負の相関を持ち、帯域制限と正の相関を持つように算出される。例えば圧縮率c=1-DF/125Bである。決定部23は、1タイムステップあたりのデータ容量が200kBで、データ取得頻度が30fpsで、帯域制限が100Mbit/sの場合、圧縮率を52%で削減率を48%と決定する。決定部23は、1タイムステップあたりのデータ容量が200kBで、データ取得頻度が30fpsで、帯域制限が200Mbit/sの場合、圧縮率を76%で削減率を24%と決定する。
【0087】
変形例において点群データ11は、通信ネットワークを介して送受信されるので、点群データ11の容量が小さいことにより、通信ネットワークの帯域を圧迫することなく、種々の通信にも有効活用することができる。
【0088】
上記説明した本実施形態の予測装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit、プロセッサ)901と、メモリ902と、ストレージ903(HDD:Hard Disk Drive、SSD:Solid State Drive)と、通信装置904と、入力装置905と、出力装置906とを備える汎用的なコンピュータシステムが用いられる。このコンピュータシステムにおいて、CPU901がメモリ902上にロードされたプログラムを実行することにより、予測装置1の各機能が実現される。
【0089】
なお、予測装置1は、1つのコンピュータで実装されてもよく、あるいは複数のコンピュータで実装されても良い。また予測装置1は、コンピュータに実装される仮想マシンであっても良い。
【0090】
予測装置1のプログラムは、HDD、SSD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)、DVD (Digital Versatile Disc)などのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶することも、ネットワークを介して配信することもできる。コンピュータ読取り可能な記録媒体は、例えば非一時的な(non-transitory)記録媒体である。
【0091】
送信機3、受信機4および取得装置8は、予測装置1と同様に、汎用的なコンピュータが用いられても良い。
【0092】
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 予測装置
2 環境センサ
3 送信機
4 受信機
5 予測対象空間
7 予測システム
11 点群データ
12 品質データ
13 予測モデルデータ
14 予測品質データ
21 取得部
22 判定部
23 決定部
24 削減部
30 測定部
40 学習部
50 予測部
60 制御部
901 CPU
902 メモリ
903 ストレージ
904 通信装置
905 入力装置
906 出力装置