(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097388
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】金属含有膜形成用化合物、金属含有膜形成用組成物、及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
C08G 79/00 20060101AFI20240711BHJP
G03F 7/11 20060101ALI20240711BHJP
G03F 7/26 20060101ALI20240711BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20240711BHJP
C08L 85/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C08G79/00
G03F7/11 503
G03F7/26 511
H01L21/30 573
C08L85/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000801
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】小林 直貴
(72)【発明者】
【氏名】長町 伸宏
(72)【発明者】
【氏名】郡 大佑
【テーマコード(参考)】
2H196
2H225
4J002
4J030
5F146
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196KA08
2H196KA19
2H225AE05N
2H225AF18N
2H225AF24N
2H225AF24P
2H225AF44N
2H225AF44P
2H225AF78N
2H225AH17
2H225AJ13
2H225AJ54
2H225AJ59
2H225AL02
2H225AL27
2H225AM22N
2H225AM79N
2H225AM85N
2H225AM91N
2H225AM94N
2H225AM99N
2H225AN11N
2H225AN29N
2H225AN31N
2H225AN35N
2H225AN38N
2H225AN39N
2H225AN80N
2H225AP08N
2H225BA21N
2H225BA24N
2H225BA26P
2H225CA12
2H225CB10
2H225CC03
2H225CC15
4J002CD002
4J002ED016
4J002EF046
4J002EH006
4J002EJ006
4J002EJ016
4J002EJ026
4J002EJ036
4J002EJ046
4J002ET016
4J002EU106
4J002EU186
4J002EU196
4J002EU226
4J002FD017
4J002FD142
4J002FD146
4J002FD156
4J002FD206
4J002FD316
4J030CA02
4J030CB01
4J030CB13
4J030CC15
4J030CC16
4J030CC21
4J030CD11
4J030CE02
4J030CG01
4J030CG06
4J030CG19
5F146NA01
5F146NA06
5F146NA12
5F146NA17
5F146NA18
(57)【要約】
【課題】従来のレジスト下層膜材料に対して優れたドライエッチング耐性を有するとともに、高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つ金属含有膜形成用化合物、該化合物を用いた金属含有膜形成用組成物、及び該組成物を用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】金属含有膜形成用組成物に用いる金属含有膜形成用化合物であって、前記化合物がTi、Zr、及びHfからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属原子と、前記金属原子に配位する配位子とを含む金属化合物であり、前記配位子が下記一般式(W-1)で示される架橋基を含むものであることを特徴とする金属含有膜形成用化合物。
【化1】
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属含有膜形成用組成物に用いる金属含有膜形成用化合物であって、前記化合物がTi、Zr、及びHfからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属原子と、前記金属原子に配位する配位子とを含む金属化合物であり、前記配位子が下記一般式(W-1)で示される架橋基を含むものであることを特徴とする金属含有膜形成用化合物。
【化1】
(一般式(W-1)中、R
1は水素原子またはメチル基であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、R
2は水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*は結合部を表す。)
【請求項2】
前記化合物が、下記一般式(A)で示されるものであることを特徴とする請求項1に記載の金属含有膜形成用化合物。
【化2】
(一般式(A)中、Mは、Ti、Zr、又はHfであり、R
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4は下記一般式(1)で示される有機基、下記一般式(2)で示されるケイ素含有有機基、または炭素数1~10のアルキル基であり、R
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4のうちの少なくとも1つが、下記一般式(1)で示される有機基であり、さらに、R
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4のうちの少なくとも1つが下記一般式(2)で示されるケイ素含有有機基であり、nは1~30である。)
【化3】
(一般式(1)中、Xは炭素数1~31のp+1価の有機基であり、Wは前記一般式(W-1)で示される構造のいずれかであり、pは1~4を表し、*は酸素原子との結合部を表す。)
【化4】
(一般式(2)中、R
3A、R
3B、及びR
3Cは、下記一般式(c-1)~(c―3)で示される構造のいずれかの架橋基を有する炭素数2~30の有機基、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される有機基のいずれかであり、*は酸素原子との結合部である。)
【化5】
(一般式(c-1)~(c-3)中、R
3は水素原子または炭素数1~10の1価の有機基であり、qは0または1を表し、*は結合部を表す。)
【請求項3】
前記一般式(1)中、Xが炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和炭化水素基であることを特徴とする請求項2に記載の金属含有膜形成用化合物。
【請求項4】
前記一般式(1)中、Xが下記一般式(3)のいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の金属含有膜形成用化合物。
【化6】
(一般式(3)中、R
a、及びR
bは水素原子または炭素数1~18の1価の有機基であり、R
cは水素原子または炭素数1~17の1価の有機基であり、R
aとR
bを合わせた炭素数は0~18であり、R
aおよびR
bが結合し、環状置換基を形成していてもよく、*
1、*
2はそれぞれカルボニル基との結合部を表し、*
1、*
2はそれらが逆でもよい。)
【請求項5】
前記ケイ素含有有機基が、下記一般式(2A)で示される構造のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の金属含有膜形成用化合物。
【化7】
(一般式(2A)中、R
3D及びR
3Eは置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される有機基であり、R
3は前記と同様であり、sは1~10を表し、*は酸素原子との結合部である。)
【請求項6】
金属含有膜形成用組成物であって、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の(A)金属含有膜形成用化合物、及び(B)有機溶剤を含有するものであることを特徴とする金属含有膜形成用組成物。
【請求項7】
前記組成物が、更に(C)架橋剤、(E)界面活性剤、及び(F)酸発生剤のうち1種以上を含有するものであることを特徴とする請求項6に記載の金属含有膜形成用組成物。
【請求項8】
前記(B)有機溶剤が、(B1)高沸点溶剤として沸点が180℃以上の有機溶剤1種以上を含有するものであることを特徴とする請求項6に記載の金属含有膜形成用組成物。
【請求項9】
前記金属含有膜形成用組成物が、更に(G)100nm以下の平均一次粒径を有する金属酸化物ナノ粒子を含むものであることを特徴とする請求項6に記載の金属含有膜形成用組成物。
【請求項10】
前記(G)金属酸化物ナノ粒子が、酸化ジルコニウムナノ粒子、酸化ハフニウムナノ粒子、酸化チタンナノ粒子、酸化スズナノ粒子、及び酸化タングステンナノ粒子からなる群から選択される請求項9に記載の金属含有膜形成用組成物。
【請求項11】
前記金属含有膜形成用組成物が、更に下記一般式(3’)で示される有機基のいずれかと芳香環とを有する流動性促進剤(BP)を含むものであることを特徴とする請求項6に記載の金属含有膜形成用組成物。
【化8】
(一般式(3’)中、*は酸素原子への結合部位を表し、R
Bは炭素数1~10の2価の有機基、R
Aは水素原子又は炭素数1~10の1価の有機基である。)
【請求項12】
前記流動性促進剤(BP)が、下記一般式(BP-1)、(BP-2)、(BP-3)、(BP-4)および(BP-5)で示される構成単位を少なくとも1つ有するものであることを特徴とする請求項11に記載の金属含有膜形成用組成物。
【化9】
(一般式(BP-1)および(BP-2)中、W
1とW
2はそれぞれ独立に、ベンゼン環又はナフタレン環であり、ベンゼン環およびナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよく、R’
aはそれぞれ独立に下記式(4)で示される基であり、Yは下記式(5)で示される基である。n
1はそれぞれ独立に0又は1であり、n
2はそれぞれ独立に1又は2であり、Vはそれぞれ独立に水素原子又は連結部を表す。)
【化10】
(一般式(BP-3)中、Z
1は下記一般式(6)で示される基あり、R’
aはそれぞれ独立に下記式(4)で示される基であり、n
4はそれぞれ独立に0又は1であり、n
5はそれぞれ独立に1又は2であり、Vはそれぞれ独立に水素原子又は連結部を表す。)
【化11】
(式(4)中、*は酸素原子との結合部を表す。)
【化12】
(式(5)中、*は結合手を表す。)
【化13】
(一般式(6)中、W
1、W
2、Y、n
1は前記と同じであり、*は結合手を表す。)
【化14】
(一般式(BP-4)中、m
3およびm
4はそれぞれ独立に1または2を表し、Zは単結合または下記一般式(7)で示される構造のいずれかであり、R
xはそれぞれ独立に下記一般式(8)で示される構造のいずれかである。)
【化15】
(一般式(7)中、*は結合手を表し、lは0から3の整数を表し、R
a~R
fはそれぞれ独立して水素原子、フッ素置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、フェニル基、またはフェニルエチル基を表し、R
aとR
bが結合して環状化合物を形成してもよい。)
【化16】
(一般式(8)中、*は芳香環への結合部位を表し、Q
1は炭素数1~30の直鎖状の飽和炭化水素基、または下記一般式(9)で示される構造である。)
【化17】
(一般式(9)中、*はカルボニル基への結合部位を表し、R
iは前記式(4)で示される基であり、R
jは炭素数1~10の直鎖状、若しくは分岐状の炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ニトリル基、炭素数1~10のアルコキシカルボニル基、又は炭素数1~10のアルカノイルオキシ基を表し、n’
3およびn’
4は芳香環上の置換基の数を表し、それぞれ0~7の整数を表し、n’
3+n’
4は0以上7以下であり、n’
5は0~2を表す。)
【化18】
(一般式(BP-5)中、R
1は炭素数1~30の飽和の1価の有機基又は炭素数2~30の不飽和の1価の有機基であり、X’は炭素数1~30の2価の有機基であり、R’
aは前記式(4)で示される基であり、p’は0~5の整数、q
1は1~6の整数、p’+q
1は1以上6以下の整数であり、q
2は0又は1である。)
【請求項13】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(I-1)被加工基板上に、請求項6に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(I-2)前記金属含有膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(I-3)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(I-4)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(I-5)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項14】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(II-1)被加工基板上に、請求項6に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(II-2)前記金属含有膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜を形成する工程、
(II-3)前記ケイ素含有レジスト中間膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(II-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(II-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写する工程、
(II-6)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(II-7)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項15】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(III-1)被加工基板上に、請求項6に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(III-2)前記金属含有膜上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成する工程、
(III-3)前記無機ハードマスク中間膜上に、有機薄膜を形成する工程、
(III-4)前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(III-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(III-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(III-7)前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(III-8)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項16】
前記無機ハードマスク中間膜が、CVD法又はALD法によって形成されることを特徴とする請求項15に記載のパターン形成方法。
【請求項17】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(IV-1)被加工基板上に、請求項6に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(IV-2)前記金属含有膜上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(IV-3)前記レジスト下層膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜、またはケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成する工程、
(IV-4)前記ケイ素含有レジスト中間膜または前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(IV-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(IV-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜または前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(IV-7)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜または無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、
(IV―8)前記レジスト下層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(IV-9)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項18】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(V-1)被加工基板上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(V-2)前記レジスト下層膜上に、レジスト中間膜、又はケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成する工程、
(V-3)前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせ上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(V-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(V-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト中間膜、又は前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(V-6)前記パターンが転写されたレジスト中間膜、又は無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、
(V-7)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上に、請求項6に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を被覆し、前記レジスト下層膜パターン間を前記金属含有膜で充填する工程、
(V-8)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上を覆う前記金属含有膜を化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、パターンが形成された前記レジスト下層膜の上面を露出させる工程、
(V-9)前記レジスト下層膜上面に残っている前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜をドライエッチングで除去する工程、
(V-10)表面が露出した前記パターンが形成された前記レジスト下層膜をドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンを前記金属含有膜上に形成する工程、
(V-11)前記反転パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板に反転パターンを形成する工程
を有することを特徴とするトーン反転式パターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属含有膜形成用化合物、金属含有膜形成用組成物、及び該組成物を用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターン寸法の微細化が急速に進んでいる。リソグラフィー技術は、この微細化に併せ、光源の短波長化とそれに対するレジスト組成物の適切な選択により、微細パターンの形成を達成してきた。その中心となったのは単層で使用するポジ型フォトレジスト組成物である。この単層ポジ型フォトレジスト組成物は、塩素系あるいはフッ素系のガスプラズマによるドライエッチングに対しエッチング耐性を持つ骨格をレジスト樹脂中に持たせ、かつ露光部が溶解するようなスイッチング機構を持たせることによって、露光部を溶解させてパターンを形成し、残存したレジストパターンをエッチングマスクとして被加工基板をドライエッチング加工するものである。
【0003】
ところが、使用するフォトレジスト膜の膜厚をそのままで微細化、即ちパターン幅をより小さくした場合、フォトレジスト膜の解像性能が低下し、また現像液によりフォトレジスト膜をパターン現像しようとすると、いわゆるアスペクト比が大きくなりすぎ、結果としてパターン崩壊が起こってしまうという問題が発生した。このため、パターンの微細化に伴いフォトレジスト膜は薄膜化されてきた。
【0004】
一方、被加工基板の加工には、通常、パターンが形成されたフォトレジスト膜をエッチングマスクとして、ドライエッチングにより基板を加工する方法が用いられるが、現実的にはフォトレジスト膜と被加工基板の間に完全なエッチング選択性を取ることのできるドライエッチング方法が存在しない。そのため、基板の加工中にフォトレジスト膜もダメージを受けて崩壊し、レジストパターンを正確に被加工基板に転写できなくなるという問題があった。そこで、パターンの微細化に伴い、レジスト組成物により高いドライエッチング耐性が求められてきた。しかしながら、その一方で、解像性を高めるために、フォトレジスト組成物に使用する樹脂には、露光波長における光吸収の小さな樹脂が求められてきた。そのため、露光光がi線、KrF、ArFと短波長化するにつれて、樹脂もノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、脂肪族多環状骨格を持った樹脂と変化してきたが、現実的には基板加工時のドライエッチング条件におけるエッチング速度は速いものになってきてしまっており、解像性の高い最近のフォトレジスト組成物は、むしろエッチング耐性が弱くなる傾向にある。
【0005】
このことから、より薄くよりエッチング耐性の弱いフォトレジスト膜で被加工基板をドライエッチング加工しなければならないことになり、この加工工程における材料及びプロセスの確保は急務になってきている。
【0006】
このような問題点を解決する方法の一つとして、多層レジスト法がある。この方法は、フォトレジスト膜(即ち、レジスト上層膜)とエッチング選択性が異なるレジスト下層膜をレジスト上層膜と被加工基板の間に介在させ、レジスト上層膜にパターンを得た後、レジスト上層膜パターンをドライエッチングマスクとして、ドライエッチングによりレジスト下層膜にパターンを転写し、更にレジスト下層膜をドライエッチングマスクとして、ドライエッチングにより被加工基板にパターンを転写する方法である。
【0007】
多層レジスト法の一つに、単層レジスト法で使用されている一般的なレジスト組成物を用いて行うことができる3層レジスト法がある。この3層レジスト法では、例えば、被加工基板上にノボラック樹脂等による有機膜をレジスト下層膜として成膜し、その上にケイ素含有レジスト中間膜をレジスト中間膜として成膜し、その上に通常の有機系フォトレジスト膜をレジスト上層膜として形成する。フッ素系ガスプラズマによるドライエッチングを行う際には、有機系のレジスト上層膜は、ケイ素含有レジスト中間膜に対して良好なエッチング選択比が取れるため、レジスト上層膜パターンはフッ素系ガスプラズマによるドライエッチングによりケイ素含有レジスト中間膜に転写することができる。この方法によれば、直接被加工基板を加工するための十分な膜厚を持ったパターンを形成することが難しいレジスト組成物や、基板の加工に十分なドライエッチング耐性を持たないレジスト組成物を用いても、ケイ素含有レジスト中間膜(レジスト中間膜)にパターンを転写することができ、続いて酸素系又は水素系ガスプラズマによるドライエッチングによるパターン転写を行えば、基板の加工に十分なドライエッチング耐性を持つノボラック樹脂等による有機膜(レジスト下層膜)のパターンを得ることができる。上述のようなレジスト下層膜としては、例えば特許文献1に記載のものなど、すでに多くのものが公知となっている。
【0008】
一方、近年においては、DRAMメモリの微細化が加速しており、さらなるドライエッチング耐性の改善と、優れた埋め込み特性及び平坦化特性を有するレジスト下層膜の必要性が高まってきている。埋め込み特性及び平坦化特性に優れた塗布型レジスト下層膜材料としては、例えば特許文献2に記載のものなどが報告されているが、先端世代での適用を見据えた場合、ドライエッチング耐性に懸念があり、従来の塗布型レジスト下層膜材料の適用限界が近づいている。
【0009】
上記課題に対して、レジスト下層膜に金属元素を含む材料を用いた開発が検討されている。特許文献3では、Ti化合物を用いた材料がCHF3/CF4系ガスおよびCO2/N2系ガスに対して優れたドライエッチング耐性を示すことを報告している。
【0010】
一方、金属化合物をレジスト下層膜に用いる際の課題としては、埋め込み性が挙げられる。特許文献3では埋め込み性に関して言及されていないが、一般的に金属化合物は、ベーク時の熱収縮が大きく、高温ベーク後には充填性の著しい劣化を誘発するため、高度な平坦化特性・埋め込み特性と耐熱特性が要求されるレジスト下層膜材料としては不十分である懸念がある。特許文献4および5では、特定の配位子で修飾した金属化合物が埋め込み性に優れることを報告しているが、実施されている埋め込み性評価のベーク温度が150℃と低温であり、耐熱性(例えば、レジスト下層膜形成後に施されることがある熱処理に対する特性)が必要とされるレジスト下層膜としては不十分である懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004-205685号公報
【特許文献2】特許第6714493号公報
【特許文献3】特許第6189758号公報
【特許文献4】特許第6786391号公報
【特許文献5】特許第7050137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、従来のレジスト下層膜材料に対して優れたドライエッチング耐性を有するとともに、高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つ金属含有膜形成用化合物、該化合物を用いた金属含有膜形成用組成物、及び該組成物を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明では、金属含有膜形成用組成物に用いる金属含有膜形成用化合物であって、前記化合物がTi、Zr、及びHfからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属原子と、前記金属原子に配位する配位子とを含む金属化合物であり、前記配位子が下記一般式(W-1)で示される架橋基を含むものである金属含有膜形成用化合物を提供する。
【化1】
(一般式(W-1)中、R
1は水素原子またはメチル基であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、R
2は水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*は結合部を表す。)
【0014】
このような金属含有膜形成用化合物であれば、上記(W-1)で示される架橋基を少なくとも1つ以上含むため、これを金属含有膜形成用組成物に用いた場合、熱硬化性に優れるため、ベーク時の体積収縮が小さく、特許文献4および5で報告されているような金属含有化合物とは異なり、高温ベーク後においても、平坦化特性/埋め込み特性に優れるとともに、十分なドライエッチング耐性を有するレジスト材料を提供できる。
【0015】
また、本発明では、前記化合物が、下記一般式(A)で示されるものであることが好ましい。
【化2】
(一般式(A)中、Mは、Ti、Zr、又はHfであり、R
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4は下記一般式(1)で示される有機基、下記一般式(2)で示されるケイ素含有有機基、または炭素数1~10のアルキル基であり、R
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4のうちの少なくとも1つが、下記一般式(1)で示される有機基であり、さらに、R
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4のうちの少なくとも1つが下記一般式(2)で示されるケイ素含有有機基であり、nは1~30である。)
【化3】
(一般式(1)中、Xは炭素数1~31のp+1価の有機基であり、Wは前記一般式(W-1)で示される構造のいずれかであり、pは1~4を表し、*は酸素原子との結合部を表す。)
【化4】
(一般式(2)中、R
3A、R
3B、及びR
3Cは、下記一般式(c-1)~(c―3)で示される構造のいずれかの架橋基を有する炭素数2~30の有機基、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される有機基のいずれかであり、*は酸素原子との結合部である。)
【化5】
(一般式(c-1)~(c-3)中、R
3は水素原子または炭素数1~10の1価の有機基であり、qは0または1を表し、*は結合部を表す。)
【0016】
このような金属含有膜形成用化合物であれば、上記一般式(1)で示される有機基を少なくとも1つ以上含むため耐熱性に優れるとともに、末端に架橋基を含むため熱硬化性に優れる。このため、これを金属含有膜形成用組成物に用いた場合、高温ベーク後においても、平坦化特性/埋め込み特性に優れたレジスト材料を提供することができる。また、ケイ素含有有機基を少なくとも1つ以上含むため、安定性に優れた金属含有膜形成用組成物を提供することができる。
【0017】
また、本発明では、前記一般式(1)中、Xが炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和炭化水素基であることが好ましい。
【0018】
前記一般式(1)中、Xが炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和炭化水素基であれば、上記金属含有膜形成用化合物の熱硬化性を向上させることが可能となり、これを金属含有膜形成用組成物に用いた場合、より優れた平坦化特性/埋め込み特性を示すレジスト材料を提供することができる。
【0019】
また、本発明では、前記一般式(1)中、Xが下記一般式(3)のいずれかであることが好ましい。
【化6】
(一般式(3)中、R
a、及びR
bは水素原子または炭素数1~18の1価の有機基であり、R
cは水素原子または炭素数1~17の1価の有機基であり、R
aとR
bを合わせた炭素数は0~18であり、R
aおよびR
bが結合し、環状置換基を形成していてもよく、*
1、*
2はそれぞれカルボニル基との結合部を表し、*
1、*
2はそれらが逆でもよい。)
【0020】
前記一般式(1)中、Xが上記一般式(3)のいずれかであれば、上記金属含有膜形成用化合物の熱硬化性をより向上させることが可能となり、これを金属含有膜形成用組成物に用いた場合、より優れた平坦化特性/埋め込み特性を示すレジスト材料を提供することができる。
【0021】
また、本発明では、前記ケイ素含有有機基が、下記一般式(2A)で示される構造のいずれかであることが好ましい。
【化7】
(一般式(2A)中、R
3D及びR
3Eは置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される有機基であり、R
3は前記と同様であり、sは1~10を表し、*は酸素原子との結合部である。)
【0022】
前記ケイ素含有有機基が、上記一般式(2A)で示される構造であれば、上記金属含有膜形成用化合物の熱硬化性をより向上させることが可能となり、これを金属含有膜形成用組成物に用いた場合、より優れた平坦化特性/埋め込み特性を示すレジスト材料を提供することができる。
【0023】
また、本発明は、金属含有膜形成用組成物であって、上記に記載の(A)金属含有膜形成用化合物、及び(B)有機溶剤を含有するものである金属含有膜形成用組成物を提供する。
【0024】
このような金属含有膜形成用組成物であれば、耐熱特性と熱流動性に優れた金属含有化合物を含むため、従来のレジスト下層膜材料に対して優れたドライエッチング耐性を有するとともに、従来のレジスト下層膜材料に対して高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つレジスト材料を提供することができる。
【0025】
また、本発明では、前記組成物が、更に(C)架橋剤、(E)界面活性剤、及び(F)酸発生剤のうち1種以上を含有するものであることが好ましい。
【0026】
上記添加剤を含む金属含有膜形成用組成物であれば、塗布性、ドライエッチング耐性、埋め込み/平坦化特性のより優れたレジスト材料となる。
【0027】
また、本発明では、前記(B)有機溶剤が、(B1)高沸点溶剤として沸点が180℃以上の有機溶剤1種以上を含有するものであることが好ましい。
【0028】
上記金属含有膜形成用組成物に高沸点溶剤の添加による熱流動性が付与されることで、レジスト材料は高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つものとなる。
【0029】
また、本発明では、前記金属含有膜形成用組成物が、更に(G)100nm以下の平均一次粒径を有する金属酸化物ナノ粒子を含むものであることが好ましい。
【0030】
この時、前記(G)金属酸化物ナノ粒子が、酸化ジルコニウムナノ粒子、酸化ハフニウムナノ粒子、酸化チタンナノ粒子、酸化スズナノ粒子、及び酸化タングステンナノ粒子からなる群から選択されるものであることが好ましい。
【0031】
このような金属酸化物ナノ粒子を用いることで、組成物中の金属含有量を容易に増加させることが可能であり、レジスト材料のドライエッチング耐性を更に向上することが可能となる。
【0032】
また、本発明では、前記金属含有膜形成用組成物が、更に下記一般式(3’)で示される有機基のいずれかと芳香環とを有する流動性促進剤(BP)を含むものであることが好ましい。
【化8】
(一般式(3’)中、*は酸素原子への結合部位を表し、R
Bは炭素数1~10の2価の有機基、R
Aは水素原子又は炭素数1~10の1価の有機基である。)
【0033】
上記金属含有膜形成用組成物に流動性促進剤(BP)の添加による耐熱性と熱流動性が付与されることで、レジスト材料は更に高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つものとなる。
【0034】
この時、前記流動性促進剤(BP)が、下記一般式(BP-1)、(BP-2)、(BP-3)、(BP-4)および(BP-5)で示される構成単位を少なくとも1つ有するものであることが好ましい。
【化9】
(一般式(BP-1)および(BP-2)中、W
1とW
2はそれぞれ独立に、ベンゼン環又はナフタレン環であり、ベンゼン環およびナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよく、R’
aはそれぞれ独立に下記式(4)で示される基であり、Yは下記式(5)で示される基である。n
1はそれぞれ独立に0又は1であり、n
2はそれぞれ独立に1又は2であり、Vはそれぞれ独立に水素原子又は連結部を表す。)
【化10】
(一般式(BP-3)中、Z
1は下記一般式(6)で示される基あり、R’
aはそれぞれ独立に下記式(4)で示される基であり、n
4はそれぞれ独立に0又は1であり、n
5はそれぞれ独立に1又は2であり、Vはそれぞれ独立に水素原子又は連結部を表す。)
【化11】
(式(4)中、*は酸素原子との結合部を表す。)
【化12】
(式(5)中、*は結合手を表す。)
【化13】
(一般式(6)中、W
1、W
2、Y、n
1は前記と同じであり、*は結合手を表す。)
【化14】
(一般式(BP-4)中、m
3およびm
4はそれぞれ独立に1または2を表し、Zは単結合または下記一般式(7)で示される構造のいずれかであり、R
xはそれぞれ独立に下記一般式(8)で示される構造のいずれかである。)
【化15】
(一般式(7)中、*は結合手を表し、lは0から3の整数を表し、R
a~R
fはそれぞれ独立して水素原子、フッ素置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、フェニル基、またはフェニルエチル基を表し、R
aとR
bが結合して環状化合物を形成してもよい。)
【化16】
(一般式(8)中、*は芳香環への結合部位を表し、Q
1は炭素数1~30の直鎖状の飽和炭化水素基、または下記一般式(9)で示される構造である。)
【化17】
(一般式(9)中、*はカルボニル基への結合部位を表し、R
iは前記式(4)で示される基であり、R
jは炭素数1~10の直鎖状、若しくは分岐状の炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ニトリル基、炭素数1~10のアルコキシカルボニル基、又は炭素数1~10のアルカノイルオキシ基を表し、n’
3およびn’
4は芳香環上の置換基の数を表し、それぞれ0~7の整数を表し、n’
3+n’
4は0以上7以下であり、n’
5は0~2を表す。)
【化18】
(一般式(BP-5)中、R
1は炭素数1~30の飽和の1価の有機基又は炭素数2~30の不飽和の1価の有機基であり、X’は炭素数1~30の2価の有機基であり、R’
aは前記式(4)で示される基であり、p’は0~5の整数、q
1は1~6の整数、p’+q
1は1以上6以下の整数であり、q
2は0又は1である。)
【0035】
上記(BP-1)~(BP-5)で示される構成単位を少なくとも1つ有する流動性促進剤(BP)を添加した金属含有膜形成用組成物であれば、埋め込み/平坦化特性のより優れたレジスト材料となる。
【0036】
また、本発明は、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(I-1)被加工基板上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(I-2)前記金属含有膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(I-3)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(I-4)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(I-5)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0037】
上記2層レジストプロセスによるパターン形成方法により、被加工体(被加工基板)に微細なパターンを形成することができる。
【0038】
また、本発明は、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(II-1)被加工基板上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(II-2)前記金属含有膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜を形成する工程、
(II-3)前記ケイ素含有レジスト中間膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(II-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(II-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写する工程、
(II-6)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(II-7)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0039】
上記3層レジストプロセスによるパターン形成方法により、被加工体に微細なパターンを高精度で形成することができる。
【0040】
また、本発明は、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(III-1)被加工基板上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(III-2)前記金属含有膜上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成する工程、
(III-3)前記無機ハードマスク中間膜上に、有機薄膜を形成する工程、
(III-4)前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(III-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(III-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(III-7)前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(III-8)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0041】
上記4層レジストプロセスによるパターン形成方法により、被加工体に微細なパターンを高精度で形成することができる。
【0042】
この時、前記無機ハードマスク中間膜が、CVD法又はALD法によって形成されることが好ましい。
【0043】
上記無機ハードマスクをCVD法あるいはALD法によって形成すると、被加工体に微細なパターンをより高精度で形成することができる。
【0044】
また、本発明は、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(IV-1)被加工基板上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(IV-2)前記金属含有膜上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(IV-3)前記レジスト下層膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜、またはケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成する工程、
(IV-4)前記ケイ素含有レジスト中間膜または前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(IV-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(IV-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜または前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(IV-7)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜または無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、
(IV―8)前記レジスト下層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(IV-9)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0045】
上記多層レジストプロセスによるパターン形成方法により、被加工体に微細なパターンを高精度で形成することができる。
【0046】
また、本発明は、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(V-1)被加工基板上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(V-2)前記レジスト下層膜上に、レジスト中間膜、又はケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成する工程、
(V-3)前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせ上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(V-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(V-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト中間膜、又は前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(V-6)前記パターンが転写されたレジスト中間膜、又は無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、
(V-7)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を被覆し、前記レジスト下層膜パターン間を前記金属含有膜で充填する工程、
(V-8)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上を覆う前記金属含有膜を化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、パターンが形成された前記レジスト下層膜の上面を露出させる工程、
(V-9)前記レジスト下層膜上面に残っている前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜をドライエッチングで除去する工程、
(V-10)表面が露出した前記パターンが形成された前記レジスト下層膜をドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンを前記金属含有膜上に形成する工程、
(V-11)前記反転パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板に反転パターンを形成する工程
を有するトーン反転式パターン形成方法を提供する。
【0047】
上記反転プロセスによるパターン形成方法により、被加工体に微細なパターンをより一層高精度で形成することができる。
【発明の効果】
【0048】
以上説明したように、本発明の金属含有膜形成用化合物は、上記一般式(W-1)で示される架橋基を含むため、これを金属含有膜形成用組成物に用いた場合、熱硬化性に優れるため、ベーク時の体積収縮が小さく、高温ベーク後においても、平坦化特性/埋め込み特性に優れたレジスト材料を提供できる。
【0049】
特に、半導体装置製造工程における多層レジスト法を用いた微細パターニングプロセスにおいて、微細化の進むDRAMメモリに代表される高アスペクト比の微細パターン構造の密集部など、埋め込み/平坦化が困難な部分を有する被加工基板上であっても、ボイドや剥がれ等の不良を生じることなく埋め込むことが可能であり、また、従来の塗布型レジスト下層膜材料に対して、優れたドライエッチング耐性を有するため、レジスト下層膜と比較して被加工体に微細なパターンをより一層高精度で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1は、本発明のパターン形成方法の一例(3層レジストプロセス)の説明図である。
【
図2】
図2は、本発明のトーン反転式パターン形成方法の一例(3層レジストプロセスのSOCパターンの反転)の説明図である。
【
図3】
図3は、埋め込み特性評価方法の説明図である。
【
図4】
図4は、平坦化特性評価方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
上述のように、多層レジスト法を用いた微細パターニングプロセスにおいて、より高精度でレジストパターンを被加工基板に転写できるレジスト下層膜を形成するために用いる埋め込み性と平坦性に優れた金属含有膜形成用組成物、該組成物に有用な金属含有膜形成用化合物、及び前記組成物を用いたパターン形成方法の開発が求められていた。
【0052】
本発明者らは、従来のレジスト下層膜材料に対して優れたエッチング耐性を示す金属材料に着目し、鋭意検討を重ねた。一方で、従来のレジスト下層膜形成用の金属化合物は、耐熱性が乏しく、ベーク時に急激な体積収縮が起こるため、高温ベーク後に被加工基板の段差を埋め込み、平坦化することが難しい。本発明者らは、耐熱特性に優れた有機基を有するものであれば、ベーク時の急激な体積収縮を低減でき、熱流動性を向上させることができるため、高温ベーク後にもボイドを発生することなく被加工基板の段差を埋め込むことが可能であると考えた。さらに末端に架橋基を含む構造であれば、ベーク時の熱硬化性に優れるため、より耐熱特性に優れた金属含有膜形成用化合物になると想定した。
一方で、架橋基を有し、耐熱性に優れた有機配位子を金属化合物に導入した場合、埋め込み性は改善されるが、膜中の有機成分が多くなるため、エッチング耐性に悪影響を与える可能性が考えられる。本発明者らは、エッチング耐性を損なわない範囲に有機成分を含み、かつより熱硬化性に優れた架橋基を含む有機配位子を設計することができれば、エッチング耐性と埋め込み性を高度に両立した金属含有膜形成用化合物になると想定した。
【0053】
本発明者らは、更に鋭意検討を重ね、上記一般式(W-1)で示される架橋基を含む金属含有膜形成用化合物であれば、熱硬化性に優れるためベーク時の急激な体積収縮を低減でき、熱流動性も良好であるため高度な埋め込み/平坦化特性を実現できることを見出し、本発明を完成させた。
【0054】
即ち、本発明は、金属含有膜形成用組成物に用いる金属含有膜形成用化合物であって、前記化合物がTi、Zr、及びHfからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属原子と、前記金属原子に配位する配位子とを含む金属化合物であり、前記配位子が下記一般式(W-1)で示される架橋基を含むものである金属含有膜形成用化合物である。
【化19】
(一般式(W-1)中、R
1は水素原子またはメチル基であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、R
2は水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*は結合部を表す。)
【0055】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0056】
<金属含有膜形成用化合物>
本発明の金属含有膜形成用化合物は、金属含有膜形成用組成物に用いる金属含有膜形成用化合物であって、前記化合物がTi、Zr、及びHfからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属原子と、前記金属原子に配位する配位子とを含む金属化合物であり、前記配位子が下記一般式(W-1)で示される架橋基を含むものであることを特徴とする金属含有膜形成用化合物である。
【化20】
(一般式(W-1)中、R
1は水素原子またはメチル基であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、R
2は水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*は結合部を表す。)
【0057】
上記一般式(W-1)中、R1は水素原子またはメチル基であり、同一式中それらは互いに同一でも異なっていてもよく、R2は水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、熱硬化性およびエッチング耐性の観点からR1、R2ともに水素原子であることが好ましい。
【0058】
前記一般式(W-1)の構造のうち、より好ましい構造としては下記の構造を例示できるが、これらに限定されない。熱硬化性の観点から、下記一般式(W-a)および(W-b)の構造が特に好ましい。
【化21】
【0059】
上記一般式(W-a)および(W-b)の構造であれば、より多くの架橋基を有するため、より熱硬化性に優れた金属含有膜形成用化合物となり、これを金属含有膜形成用組成物に用いた場合、高温ベーク時の体積収縮を低減でき、埋め込み/平坦化特性に優れたレジスト材料を提供できる。
【0060】
本発明の金属含有膜形成用化合物は、下記一般式(A)で示されるものが好ましい。
【化22】
(一般式(A)中、Mは、Ti、Zr、又はHfであり、R
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4は下記一般式(1)で示される有機基、下記一般式(2)で示されるケイ素含有有機基、または炭素数1~10のアルキル基であり、R
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4のうちの少なくとも1つが、下記一般式(1)で示される有機基であり、さらに、R
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4のうちの少なくとも1つが下記一般式(2)で示されるケイ素含有有機基であり、nは1~30である。)
【化23】
(一般式(1)中、Xは炭素数1~31のp+1価の有機基であり、Wは前記一般式(W-1)で示される構造のいずれかであり、pは1~4を表し、*は酸素原子との結合部を表す。)
【化24】
(一般式(2)中、R
3A、R
3B、及びR
3Cは、下記一般式(c-1)~(c―3)で示される構造のいずれかの架橋基を有する炭素数2~30の有機基、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される有機基のいずれかであり、*は酸素原子との結合部である。)
【化25】
(一般式(c-1)~(c-3)中、R
3は水素原子または炭素数1~10の1価の有機基であり、qは0または1を表し、*は結合部を表す。)
【0061】
上記一般式(A)中、nは1~30であり、1~10が好ましく、原材料入手の観点から1~4がさらに好ましい。上記一般式(A)中、上記一般式(1)で示される有機基は、Ra1、Ra2、Ra3、及びRa4の合計の10モル%から90モル%の含有量が好ましく、30モル%から70モル%の含有量がより好ましい。上記一般式(2)で示されるケイ素含有有機基は、Ra1、Ra2、Ra3、及びRa4の合計の10モル%から90モル%の含有量であることが好ましく、30モル%から70モル%の含有量がより好ましい。炭素数1~10のアルキル基は、Ra1、Ra2、Ra3、及びRa4の合計の0モル%から50モル%の含有量が好ましく、0モル%から20モル%の含有量がより好ましい。
【0062】
上記一般式(1)中、Xは炭素数1~31のp+1価の有機基であり、熱硬化性の観点から炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和炭化水素基であることがより好ましい。また、pは1~4が好ましく、生産性の観点から1~2がより好ましく、1が特に好ましい。
【0063】
熱硬化性およびエッチング耐性の観点から、上記一般式(1)中、Xは下記一般式(3)のいずれかであることが特に好ましい。
【化26】
(一般式(3)中、R
a、及びR
bは水素原子または炭素数1~18の1価の有機基であり、R
cは水素原子または炭素数1~17の1価の有機基であり、R
aとR
bを合わせた炭素数は0~18であり、R
aおよびR
bが結合し、環状置換基を形成していてもよく、*
1、*
2はそれぞれカルボニル基との結合部を表し、*
1、*
2はそれらが逆でもよい。)
【0064】
上記一般式(3)中、Xの例として具体的には下記の構造を例示できるが、これらに限定されない。構造によっては、二重結合の幾何異性体(Cis体とTrans体)が存在し得るものがあるが、その場合は、1つの式でそれらの異性体を代表して表す。それらの異性体は単独で用いても、混合物として用いてもよい。
【化27】
【0065】
エッチング耐性の観点から下記の構造が特に好ましい。
【0066】
【0067】
上記一般式(3)中、Xが上記構造であれば、金属含有膜形成用化合物を構成する有機成分の含有量が少なくなり、これを用いて金属含有膜を形成した場合、膜中の有機成分が少なくなるため、よりエッチング耐性に優れたレジスト下層膜を提供できる。
【0068】
本発明の金属含有膜形成用化合物は、上記一般式(W-1)で示される架橋基を持つため、耐熱性と熱硬化性に優れ、段差基板埋め込み時にボイドの原因となるベーク時の体積収縮を抑制できる。また、上記一般式(1)で示される有機基の耐熱性が良好であるため、有機基の末端に位置する架橋基Wの架橋反応が進行しやすく、緻密な硬化膜を形成することが可能となる。
【0069】
上記(2)中、R3A、R3B及びR3Cは、上記一般式(c-1)~(c-3)で示される構造のいずれかの架橋基を有する炭素数2~30の有機基、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される有機基のいずれかであり、上記一般式(c-1)~(c-3)で示される構造のいずれかの架橋基を有する炭素数2~30の有機基または非置換の炭素数1~10のアルキル基がより好ましい。非置換の炭素数1~10のアルキル基の中では、メチル基またはエチル基がより好ましい。
【0070】
上記一般式(c-1)~(c-3)中、R3はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~10の1価の有機基であり、qはそれぞれ独立に0または1を表す。
【0071】
熱硬化性の観点から、上記一般式(2)のケイ素含有有機基が、下記一般式(2A)で示される構造のいずれかであることがより好ましい。
【化29】
(一般式(2A)中、R
3D及びR
3Eは置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される有機基であり、R
3は前記と同様であり、sは1~10を表し、*は酸素原子との結合部である。)
【0072】
上記一般式(2A)中、R3D及びR3Eは原材料入手の観点からメチル基であることがより好ましい。
【0073】
上記一般式(A)中、Ra1、Ra2、Ra3、及びRa4を構成する有機基とケイ素含有有機基のどちらにも架橋基が含まれる場合、上記金属含有膜形成用化合物の熱硬化性をさらに向上させることができ、これを金属含有膜形成用組成物に用いた場合、埋め込み/平坦化特性に優れた金属含有膜を形成することが可能となる。そのため、上記金属含有膜形成用化合物は、Ra1、Ra2、Ra3、及びRa4のうち少なくとも1つを構成する有機基が上記一般式(1)で示される有機基であり、Ra1、Ra2、Ra3、及びRa4のうち少なくとも1つを構成するケイ素含有有機基が、上記式(2A)で示される構造であることが特に好ましい。
【0074】
上記金属含有膜形成用化合物は、以下の構造を有する金属化合物、またはこれらの構造を有する化合物の混合物を含み、それらは、n(繰り返し単位の数)によって指定される繰り返し単位、上記一般式(1)で示される有機基、及び上記一般式(2)で示されるケイ素含有有機基を含むことができる。
【化30】
【0075】
上記金属含有膜形成用化合物は、金属原子に構造の異なる上記一般式(1)で示される有機基が修飾されていても問題なく、要求特性に応じて適宜調整することができる。
【0076】
上記金属含有膜形成用化合物は、それらの金属アルコキシド、またはアセチルアセトネート(acac)から製造される。アルコキシドまたはacac金属は、SiOH含有化合物を反応させ、上記一般式(2)のケイ素含有機基を生じ、その後、無水物、環式無水物、またはカルボン酸と反応させ上記一般式(1)の有機基を生じる。上記金属含有膜形成用化合物中におけるRa1、Ra2、Ra3、及びRa4基の幾つかを構成できる任意の炭素数1~10のアルキル基は、残余のアルコキシドまたはアルコキシド金属前駆体を使用する結果生じるか、または、上記金属含有膜形成用化合物の製造における追加的な試薬として炭素数1~10のアルコールを使用する結果生じる。反応は、アルコキシドまたはacac前駆体および他の試薬を溶解できる溶媒中で行う。典型的な溶媒および溶媒混合物としては、エステル、エーテルまたはアルコール官能基を含み、例えば、体積で70/30のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)およびプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合物である。使用することができる他の溶媒の例としては、ブタンジオールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、4-メチル-2-ペンタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジアミルエーテル、イソアミルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t-ブチル、プロピオン酸t-ブチル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテルなどを例示できる。
【0077】
<金属含有膜形成用組成物>
また、本発明では、金属含有膜形成用組成物であって、上記(A)金属含有膜形成用化合物、及び(B)有機溶剤を含有するものであることを特徴とする金属含有膜形成用組成物を提供できる。
【0078】
このような金属含有膜形成用組成物であれば、熱流動性と熱硬化性を高度に両立した金属含有膜形成用化合物を含むため、従来のレジスト下層膜材料に対して優れたドライエッチング耐性を有するとともに、高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つレジスト材料を提供することができる。
【0079】
以下、上記(A)金属含有膜形成用化合物以外の本発明の金属含有膜形成用組成物に含まれる成分について説明する。
【0080】
<(B)有機溶剤>
本発明の金属含有膜形成用組成物において使用可能な(B)有機溶剤としては、上記の(A)金属含有膜形成用化合物、及び含まれる場合には後述の(C)架橋剤、(B1)高沸点溶剤、(E)界面活性剤、(F)酸発生剤、(G)100nm以下の平均一次粒径を有する金属酸化物ナノ粒子、その他添加剤等が溶解又は分散するものであれば特に制限はない。
【0081】
具体的には、特開2007-199653号公報中の[0091]~[0092]段落に記載されている有機溶剤を添加することができる。さらに具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、2-ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、及びγ-ブチロラクトン、またはこれらのうち1種以上を含む混合物が好ましく用いられる。
【0082】
有機溶剤の配合量は、(A)金属含有膜形成用化合物100質量部に対して好ましくは200~10,000部、より好ましくは250~5,000部の範囲である。
【0083】
前記組成物は、1種類以上の上記(A)金属含有膜形成用化合物、及び(B)有機溶剤を含有するものであればよく、必要に応じて(C)架橋剤、(B1)高沸点溶剤、(E)界面活性剤、(F)酸発生剤、(G)100nm以下の平均一次粒径を有する金属酸化物ナノ粒子などの添加剤を含んでいてもよい。
以下、上記(A)金属含有膜形成用化合物、(B)有機溶剤以外の本発明の金属含有膜形成用組成物に含まれる成分について説明する。
【0084】
<(B1)高沸点溶剤>
本発明の金属含有膜形成用組成物では、前記(B)有機溶剤を沸点が180℃未満の有機溶剤1種以上と、沸点が180℃以上の有機溶剤((B1)高沸点溶剤)1種以上との混合物として用いてもよい。即ち、前記(B)有機溶剤が、(B1)高沸点溶剤として沸点が180℃以上の有機溶剤1種以上を含有するものであることが好ましい。
【0085】
(B1)高沸点溶剤としては、本発明の金属含有膜形成用組成物の各成分を溶解又は分散できるものであれば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、塩素系溶剤等の制限は特にはないが、具体例として1-オクタノール、2-エチルヘキサノール、1-ノナノール、1-デカノール、1-ウンデカノール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2,4-ヘプタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、酢酸n-ノニル、モノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリアセチン、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,4-ブタンジオールジアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,6-ヘキサンジオールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、γ-ブチロラクトン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、マロン酸ジヘキシル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジプロピル、コハク酸ジブチル、コハク酸ジヘキシル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチルなどを例示することができ、これらを単独又は混合して用いてもよい。
【0086】
(B1)高沸点溶剤は、本発明のレジスト下層膜形成用組成物を熱処理する温度等に合わせて、例えば上記のものから適宜選択すればよい。高沸点溶剤の沸点は180℃~300℃であることが好ましく、200℃~300℃であることが更に好ましい。このような沸点であれば、ベーク(熱処理)した際の揮発が速くなりすぎる恐れがないため、成膜時に十分な熱流動性を得ることができ、埋め込み/平坦化特性に優れるレジスト下層膜を形成することができるものと考えられる。また、このような沸点であれば、ベーク後も揮発することなく膜中に残存してしまうことがないため、エッチング耐性等の膜物性に悪影響を及ぼす恐れがない。
【0087】
また、(B1)高沸点溶剤を使用する場合の配合量は、沸点180℃未満の有機溶剤100質量部に対して1~30質量部とすることが好ましい。このような配合量であればベーク時に十分な熱流動性を付与することができ、膜中に残存せずエッチング耐性等の膜物性の劣化につながらないため、好ましい。
【0088】
[(C)架橋剤]
また、本発明の金属含有膜形成用組成物には、金属含有膜形成用化合物の硬化性を高め、レジスト上層膜とのインターミキシングを更に抑制するために、更に(C)架橋剤を含有するものであることもできる。架橋剤としては、特に限定されることはなく、公知の種々の系統の架橋剤を広く用いることができる。一例として、メラミン系架橋剤、アクリレート系架橋剤、グリコールウリル系架橋剤、ベンゾグアナミン系架橋剤、ウレア系架橋剤、β-ヒドロキシアルキルアミド系架橋剤、イソシアヌレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、フェノール系架橋剤(例えば多核フェノール類のメチロールまたはアルコキシメチル型架橋剤)を例示できる。前記(C)架橋剤の含有量は、前記(A)金属含有膜形成用化合物の質量部100に対して5~50質量部が好ましく、より好ましくは10~40質量部である。
【0089】
メラミン系架橋剤として、具体的には、ヘキサメトキシメチル化メラミン、ヘキサブトキシメチル化メラミン、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
アクリレート系架橋剤として、具体的には、ジペンタエリトリトールヘキサアクリラートを例示できる。
グリコールウリル系架橋剤として、具体的には、テトラメトキシメチル化グリコールウリル、テトラブトキシメチル化グリコールウリル、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
ベンゾグアナミン系架橋剤として、具体的には、テトラメトキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラブトキシメチル化ベンゾグアナミン、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
ウレア系架橋剤として、具体的には、ジメトキシメチル化ジメトキシエチレンウレア、このアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
β-ヒドロキシアルキルアミド系架橋剤として具体的には、N,N,N’,N’-テトラ(2-ヒドロキシエチル)アジピン酸アミドを例示できる。
イソシアヌレート系架橋剤として具体的には、トリグリシジルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートを例示できる。
アジリジン系架橋剤として具体的には、4,4’-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオナート]を例示できる。
オキサゾリン系架橋剤として具体的には、2,2’-イソプロピリデンビス(4-ベンジル-2-オキサゾリン)、2,2’-イソプロピリデンビス(4-フェニル-2-オキサゾリン)、2,2’-イソプロピリデンビス(4-フェニル-2-オキサゾリン)、2,2’-メチレンビス-4,5-ジフェニル-2-オキサゾリン、2,2’-メチレンビス-4-フェニル-2-オキサゾリン、2,2’-メチレンビス-4-tertブチル-2-オキサゾリン、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、1,3-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、1,4-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、2-イソプロペニルオキサゾリン共重合体を例示できる。
エポキシ系架橋剤として具体的には、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルを例示できる。
【0090】
多核フェノール系架橋剤としては、具体的には下記一般式(XL-1)で示される化合物を例示することができる。
【化31】
(一般式(XL-1)中、Qは単結合、又は、炭素数1~20のq’価の炭化水素基である。R’
3は水素原子、又は炭素数1~20のアルキル基である。q’は1~5の整数である。)
【0091】
Qは単結合、又は、炭素数1~20のq’価の炭化水素基である。q’は1~5の整数であり、2または3であることがより好ましい。Qとしては具体的には、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルペンタン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、エチルイソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、メチルナフタレン、エチルナフタレン、エイコサンからq’個の水素原子を除いた基を例示できる。R’3は水素原子、又は炭素数1~20のアルキル基である。炭素数1~20のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基、デシル基、エイコサニル基を例示でき、水素原子またはメチル基が好ましい。
【0092】
上記一般式(XL-1)で示される化合物の例として、具体的には下記の化合物を例示できる。この中でも金属含有膜の硬化性および膜厚均一性向上の観点からトリフェノールメタン、トリフェノールエタン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼンのヘキサメトキシメチル化体が好ましい。R’
3は前記と同じである。
【化32】
【0093】
【0094】
<(E)界面活性剤>
本発明の金属含有膜形成用組成物には、スピンコーティングにおける塗布性を向上させるために(E)界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、例えば、特開2009-269953号公報中の[0142]~[0147]段落に記載のものを用いることができる。界面活性剤を添加する場合の添加量は、上記(A)金属含有膜形成用化合物100質量部に対して好ましくは0.01~10部、より好ましくは0.05~5部である。
【0095】
<(F)酸発生剤>
本発明の金属含有膜形成用組成物においては、上記(A)金属含有膜形成用化合物の硬化反応を更に促進させるために酸発生剤を添加することができる。酸発生剤は熱分解によって酸を発生するものや、光照射によって酸を発生するものがあるが、いずれのものも添加することができる。具体的には、特開2007-199653号公報中の[0061]~[0085]段落に記載されている材料を添加することができるがこれらに限定されない。
【0096】
上記酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。酸発生剤を添加する場合の添加量は、上記(A)金属含有膜形成用化合物100質量部に対して好ましくは0.05~50部、より好ましくは0.1~10部である。
【0097】
<(G)金属酸化物ナノ粒子>
また、本発明の金属含有膜形成用組成物には、ドライエッチング耐性を更に向上させるために、(G)金属酸化物ナノ粒子を添加することができる。具体的には、酸化ジルコニウムナノ粒子、酸化ハフニウムナノ粒子、酸化チタンナノ粒子、酸化スズナノ粒子、及び酸化タングステンナノ粒子からなる群から選択される金属酸化物ナノ粒子が好ましい。
【0098】
上記金属酸化物ナノ粒子を選択することで、よりドライエッチング耐性に優れた金属含有膜を形成することが可能である。
【0099】
前記(G)金属酸化物ナノ粒子は、100nm以下の平均一次粒径を有するものが好ましく、50nm以下の平均一次粒径がより好ましく、30nm以下の平均一次粒径がさらに好ましく、15nm以下の平均一次粒径が特に好ましい。有機溶剤中に分散させる前の前記金属酸化物ナノ粒子の平均一次粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とする。次に100個以上の粒子についてそれぞれ粒子の体積(質量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径として求めそれを平均粒径とする。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)、走査型(SEM)又は走査透過型(STEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる
【0100】
このような粒径範囲であれば、金属含有膜形成用組成物中において、良好な分散性を発揮することが可能であり、微細パターン構造の密集部の埋め込み性/平坦化特性を劣化させることなく、金属含有膜のドライエッチング耐性を向上させることが可能である。(G)金属酸化物ナノ粒子を添加する場合の添加量は、上記(A)金属含有膜形成用化合物100質量部に対して好ましくは5~50部、より好ましくは5~30部である。
【0101】
<その他添加剤>
また、本発明の金属含有膜形成用組成物には、埋め込み/平坦化特性を付与するための添加剤として、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール構造を有する液状添加剤、又は30℃から250℃までの間の重量減少率が40質量%以上であり、かつ重量平均分子量が300~200,000である熱分解性重合体が好ましく用いられる。この熱分解性重合体は、下記一般式(DP1)、(DP1a)で示されるアセタール構造を有する繰り返し単位を含有するものであることが好ましい。
【0102】
【化34】
(一般式(DP1)中、R
6は水素原子又は置換されていてもよい炭素数1~30の飽和もしくは不飽和の1価の有機基であり、Y’は炭素数2~30の飽和又は不飽和の2価の有機基である。)
【0103】
【化35】
(一般式(DP1a)中、R
6aは炭素数1~4のアルキル基であり、Y
aは炭素数4~10の飽和又は不飽和の2価の炭化水素基であり、エーテル結合を有していてもよく、nは平均繰り返し単位数を表し、3~500である。)
【0104】
<流動性促進剤(BP)>
また、本発明の金属含有膜形成用組成物には、埋め込み/平坦化特性を付与するための添加剤として、流動性促進剤(BP)を添加することができる。前記流動性促進剤(BP)は、下記一般式(3’)で示される有機基のいずれかと芳香環とを有することが好ましい。
【化36】
(一般式(3’)中、*は酸素原子への結合部位を表し、R
Bは炭素数1~10の2価の有機基、R
Aは水素原子又は炭素数1~10の1価の有機基である。)
【0105】
前記流動性促進剤(BP)が上記一般式(3’)で示される有機基を持つことで、上記金属含有膜形成用化合物に熱流動性と熱硬化性を付与することができる。また、前記流動性促進剤(BP)が芳香環を有することで、金属含有膜形成用化合物のドライエッチング耐性の劣化を緩和することができる。
【0106】
前記流動性促進剤(BP)は、下記一般式(BP-1)、(BP-2)、(BP-3)、(BP-4)および(BP-5)で示される構成単位を少なくとも1つ有することが好ましい。
(構成単位:BP-1、BP-2およびBP-3)
【化37】
(一般式(BP-1)および(BP-2)中、W
1とW
2はそれぞれ独立に、ベンゼン環又はナフタレン環であり、ベンゼン環およびナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよく、R’
aはそれぞれ独立に下記式(4)で示される基であり、Yは下記式(5)で示される基である。n
1はそれぞれ独立に0又は1であり、n
2はそれぞれ独立に1又は2であり、Vはそれぞれ独立に水素原子又は連結部を表す。)
【化38】
(一般式(BP-3)中、Z
1は下記一般式(6)で示される基あり、R’
aはそれぞれ独立に下記式(4)で示される基であり、n
4はそれぞれ独立に0又は1であり、n
5はそれぞれ独立に1又は2であり、Vはそれぞれ独立に水素原子又は連結部を表す。)
【化39】
(式(4)中、*は酸素原子との結合部を表す。)
【化40】
(式(5)中、*は結合手を表す。)
【化41】
(一般式(6)中、W
1、W
2、Y、n
1は前記と同じであり、*は結合手を表す。)
【0107】
上記一般式(BP-1)、(BP-2)および(BP-3)で示される構成単位を有する樹脂であれば、カルド構造を含む高炭素密度な縮合炭素環を導入しているため、耐熱性に優れる。上記特徴を有するため、高温ベーク処理を施しても、ボイドを発生することなく段差基板を充填することが可能な金属含有膜を形成することができる。また、ドライエッチング耐性にも優れるため、本発明の金属含有膜形成用組成物に添加しても、金属含有膜形成用組成物が持つ優れたドライエッチング耐性を大きく劣化させることなく、耐熱性と熱流動性を付与することができる。
【0108】
上記一般式(BP-1)、(BP-2)および(BP-3)で示される構成単位を有する樹脂は、下記一般式(bp-1)、(bp-2)および/または(bp-3)で示される化合物であることができる。
【化42】
(一般式(bp-1)および(bp-2)中、W
1、W
2、R’
a、Y、n
1、n
2は前記と同じである。)
【0109】
上記一般式(bp-1)および(bp-2)中の、W1、W2、R’a、Y、n1、n2は、上記一般式(BP-1)及び(BP-2)について説明した通りである。
【0110】
【化43】
(一般式(bp-3)中、Z
1、R’
a、n
4、n
5は前記と同じである。)
【0111】
上記一般式(bp-3)中の、Z1、R’a、n4、n5は、上記一般式(BP-3)について説明した通りである。
【0112】
上記一般式(bp-1)、(bp-2)および(bp-3)で示される構成単位を有する樹脂の例として、具体的には下記の化合物を例示できるがこれらに限定されない。
【化44】
【0113】
上記一般式(bp-1)、(bp-2)および(bp-3)で示される化合物が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率Mw/Mn(即ち、分散度)が、1.00≦Mw/Mn≦1.25の範囲内であることが好ましく、さらに1.00≦Mw/Mn≦1.10であることが好ましい。
【0114】
このような範囲の分散度を有する化合物であれば、金属含有膜形成用組成物の熱流動性が更に良好なものとなるため、組成物に配合した際に、埋め込み性/平坦化特性により優れた金属含有膜形成用組成物を提供することができる。
【0115】
上記一般式(BP-1)、(BP-2)および(BP-3)で示される構成単位を有する樹脂は、下記一般式(bp-4)、(bp-5)および/または(bp-6)で示される繰り返し単位を有する重合体であることができる。
【化45】
(一般式(bp-4)および(bp-5)中、W
1、W
2、R’
a、Y、n
1、n
2は前記と同じであり、Lは炭素数1~40の2価の有機基である。)
【0116】
上記一般式(bp-4)および(bp-5)中の、W1、W2、R’a、Y、n1、n2は、上記一般式(BP-1)及び(BP-2)について説明した通りである。
【0117】
【化46】
(一般式(bp-6)中、Z
1、R’
a、n
4、n
5は前記と同じであり、Lは炭素数1~40の2価の有機基である。)
【0118】
上記一般式(bp-6)中の、Z1、R’a、n4、n5は、上記一般式(BP-3)について説明した通りである。
【0119】
これらは上記一般式(bp-1)、(bp-2)および(bp-3)で表される化合物を用いて得られる重合体であり、前記化合物を用いているためドライエッチング耐性と耐熱性に優れる。また、単量体ではなく繰り返し単位を有する重合体であるためアウトガス成分が少なく、また、分子量分布を有する重合体であるため結晶性が緩和され成膜性の改善も期待できる。
【0120】
上記一般式(bp-4)、(bp-5)および(bp-6)の繰り返し単位を構成する連結基であるLは炭素数1~40の2価の有機基であり具体的には下記などを例示することができる。
【化47】
【0121】
さらに、前記重合体の連結基Lが下記一般式(10)で示される基であることが好ましい。
【化48】
(一般式(10)中、R’
1は水素原子または炭素数が6~20個の芳香環を含む有機基であり、破線は結合手を表す。)
【0122】
上記一般式(10)としては具体的には下記などを例示することができ、下記の中でも原料の入手の容易さからメチレン基、すなわちR’
1が水素原子であることが好ましい。
【化49】
【0123】
さらに上記一般式(bp-4)、(bp-5)および(bp-6)で示される繰り返し単位を有する重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1,000~12,000であることが好ましく、さらにMwが2,000~10,000であることが好ましい。
【0124】
このような分子量範囲であれば、有機溶剤への溶解性が確保でき、ベーク時に生じる昇華物を抑制することができる。また、金属含有膜形成用組成物の熱流動性が良好なものとなるため、組成物に配合した際に、埋め込み性/平坦化特性のより優れた金属含有膜形成用組成物を提供することができる。
【0125】
(構成単位:BP-4)
【化50】
(一般式(BP-4)中、m
3およびm
4はそれぞれ独立に1または2を表し、Zは単結合または下記一般式(7)で示される構造のいずれかであり、R
xはそれぞれ独立に下記一般式(8)で示される構造のいずれかである。)
【化51】
(一般式(7)中、*は結合手を表し、lは0から3の整数を表し、R
a~R
fはそれぞれ独立して水素原子、フッ素置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、フェニル基、またはフェニルエチル基を表し、R
aとR
bが結合して環状化合物を形成してもよい。)
【化52】
(一般式(8)中、*は芳香環への結合部位を表し、Q
1は炭素数1~30の直鎖状の飽和炭化水素基、または下記一般式(9)で示される構造である。)
【化53】
(一般式(9)中、*はカルボニル基への結合部位を表し、R
iは前記式(4)で示される基であり、R
jは炭素数1~10の直鎖状、若しくは分岐状の炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ニトリル基、炭素数1~10のアルコキシカルボニル基、又は炭素数1~10のアルカノイルオキシ基を表し、n’
3およびn’
4は芳香環上の置換基の数を表し、それぞれ0~7の整数を表し、n’
3+n’
4は0以上7以下であり、n’
5は0~2を表す。)
【0126】
上記一般式(BP-4)中、m3およびm4はそれぞれ独立に1または2を表し、Zは単結合または上記一般式(7)で示される構造のいずれかである。Rxはそれぞれ独立に上記一般式(8)で示される構造のいずれかである。
【0127】
ドライエッチング耐性と耐熱性の観点から、上記一般式(BP-4)中、Zは単結合又は下記式(4A)で示される構造のいずれかであることが好ましい。
【化54】
(式(4A)中、*は結合手を表し、lは上記一般式(7)と同様である。)
【0128】
上記一般式(8)中、*は芳香環への結合部位を表し、Q1は炭素数1~30の直鎖状の飽和炭化水素基、または上記一般式(9)で示される構造である。Q1が炭素数1~30の直鎖状の炭化水素基を表す場合、Q1を構成するメチレン基が酸素原子またはカルボニル基に置換されていてもよい。ドライエッチング耐性と耐熱性の観点から、Q1は上記一般式(9)で示される構造が好ましい。
【0129】
上記一般式(9)中、*はカルボニル基への結合部位を表し、Riは前記式(4)で示される基である。Rjは炭素数1~10の直鎖状、若しくは分岐状の炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ニトリル基、炭素数1~10のアルコキシカルボニル基、又は炭素数1~10のアルカノイルオキシ基を表す。n’3およびn’4は芳香環上の置換基の数を表し、それぞれ0~7の整数を表す。ただし、n’3+n’4は0以上7以下である。n’5は0~2を表す。
【0130】
上記一般式(BP-4)で示される構成単位を含む化合物は、芳香環を単結合又は一般式(7)で連結した構造を有しているため炭素密度が高いことから、これらの化合物を含む金属含有膜形成用組成物は耐熱性に優れる。また、連結基Zは上記式(7)で示すように、種々の連結基から所望の性能に合わせ適宜構造を選択することができる。特に、Zとして上記式(4A)で示される構造を導入することで成膜性を損なうことなく耐熱性/エッチング耐性を付与できる。また、柔軟性の高い末端部Rxを有するため、剛直な芳香環構造を含むにも関わらず、クラックなどの欠陥を発生することなく、金属含有膜形成用組成物を厚膜形成することが可能である。さらに末端部Rxは熱流動性を付与する末端基Q1を含んでおり、末端基Q1としては、熱流動性の向上に寄与する柔軟な炭化水素構造、エッチング耐性及び耐熱性に寄与する剛直な芳香環構造を任意の割合で要求性能に合わせ導入可能である。上記のように、これらの化合物を添加した金属含有膜形成用組成物は、埋め込み性/平坦化特性と耐熱性を高い次元で両立することが可能であり、要求特性に合わせて厚膜形成が可能である。
【0131】
(構成単位:BP-5)
【化55】
(一般式(BP-5)中、R
1は炭素数1~30の飽和の1価の有機基又は炭素数2~30の不飽和の1価の有機基であり、X’は炭素数1~30の2価の有機基であり、R’
aは前記式(4)で示される基であり、p’は0~5の整数、q
1は1~6の整数、p’+q
1は1以上6以下の整数であり、q
2は0又は1である。)
【0132】
上記一般式(BP-5)中、X’で表される炭素数1~30の2価の有機基としては、例えば、メチレン基、エタンジイル基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基、オクタンジイル基、デカンジイル基等のアルカンジイル基、シクロプロパンジイル基、シクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロヘプタンジイル基、シクロオクタンジイル基、シクロデカンジイル基、メチルシクロヘキサンジイル基、エチルシクロヘキサンジイル基等の単環式シクロアルカンジイル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジイル基、ビシクロ[2.2.2]オクタンジイル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジイル基(ジシクロペンチレン基)、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカンジイル基、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカンジイル基、アダマンタンジイル基等の多環式シクロアルカンジイル基、フェニレン基、ナフチレン基等のアレーンジイル基等が挙げられる。
【0133】
上記X’で表されるアルカンジイルオキシ基としては、例えば、上記アルカンジイル基と酸素原子とを組合せた基等が挙げられる。また、上記X’で表されるシクロアルカンジイルオキシ基としては、上記シクロアルカンジイル基と酸素原子とを組合せた基等が挙げられる。
【0134】
上記アルカンジイル基、シクロアルカンジイル基、アルカンジイルオキシ基、シクロアルカンジイルオキシ基及びアレーンジイル基等が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよく、置換基としては、例えば、上記R’aで表される有機基が有していてもよい置換基の例と同様の基等が挙げられる。
【0135】
上記X’で表される有機基として、下記式で表される基等が挙げられる。
【化56】
(式中、*は結合手を表す。)
【0136】
上記X’としては、原材料入手の観点から、好ましくはメチレン基を挙げることができる。
【0137】
上記一般式(BP-5)で示される構造単位を有する樹脂として、具体的には下記のものを例示できる。
【化57】
【0138】
【0139】
上記一般式(BP-5)で示される構成単位を含む重合体は、芳香環を有機基(X’)で連結した構造を有しているため炭素密度が高いことから、これらの重合体を含む金属含有膜形成用組成物は、高いドライエッチング耐性を発揮するとともに耐熱性に優れる。さらに、熱流動性の向上に寄与する上記式(4)で示される構造の有機基が酸素原子を介して樹脂の母核構造である芳香環に直接結合しているため、これらの重合体を添加した金属含有膜形成用組成物は、埋め込み性/平坦化特性と耐熱性/エッチング耐性を高い次元で両立することが可能である。また、母核の芳香環構造が剛直すぎず、連結基である有機基(X’)を介した繰り返し構造を形成していることから、クラックなどの欠陥を発生することなく、金属含有膜形成用組成物を形成することが可能である。
【0140】
本発明の金属含有膜形成用組成物中、流動性促進剤(BP)は金属含有膜形成用化合物100質量部に対して、50質量%以下の含有量であることが好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
【0141】
流動性促進剤の添加量は、本発明の金属含有膜形成用組成物を使用するプロセスの要求特性にあわせて、任意の割合に調整することができる。ドライエッチング耐性の劣化を最小限に抑えたい場合は、流動性促進剤の割合を減らし、ドライエッチング耐性の劣化をある程度許容し、埋め込み性/平坦化特性をより向上させたい場合は、流動性促進剤の割合を増やせばよい。
【0142】
<レジスト下層膜、及び充填膜形成方法>
本発明では、上述の金属含有膜形成用組成物を用い、リソグラフィーで用いられる多層レジスト膜のレジスト下層膜又は半導体製造用平坦化膜として機能する充填膜を形成する方法を提供する。
【0143】
本発明の金属含有膜形成用組成物を用いたレジスト下層膜形成方法では、上記の金属含有膜形成用組成物を、スピンコート法等で被加工基板上にコーティングする。スピンコート法等を用いることで、良好な埋め込み特性を得ることができる。スピンコート後、溶剤を蒸発し、レジスト上層膜やレジスト中間膜とのミキシング防止のため、架橋反応を促進させるためにベーク(熱処理)を行う。ベークは100℃以上600℃以下、10~600秒の範囲内で行うことが好ましく、より好ましくは200℃以上500℃以下、10~300秒の範囲内で行う。デバイスダメージやウエハーの変形への影響を考えると、リソグラフィーのウエハープロセスでの加熱温度の上限は、600℃以下とすることが好ましく、より好ましくは500℃以下である。
【0144】
また、本発明の金属含有膜形成用組成物を用いたレジスト下層膜形成方法では、被加工基板上に本発明の金属含有膜形成用組成物を、上記同様スピンコート法等でコーティングし、上記金属含有膜形成用組成物を、酸素濃度0.1体積%以上21体積%以下の雰囲気中で焼成して硬化させることにより金属含有膜をレジスト下層膜として形成することもできる。
【0145】
本発明の金属含有膜形成用組成物をこのような酸素雰囲気中で焼成することにより、十分に硬化した膜を得ることができる。ベーク中の雰囲気としては空気中でも構わないが、酸素を低減させるためにN2、Ar、He等の不活性ガスを封入しておくことは、金属含有膜の酸化を防止するために好ましい。酸化を防止するためには酸素濃度をコントロールする必要があり、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは100ppm以下である(体積基準)。ベーク中の金属含有膜の酸化を防止すると、吸収が増大したりエッチング耐性が低下したりすることがないため好ましい。
【0146】
充填膜形成方法は、上記レジスト下層膜形成方法と同様の方法とすることができる。
【0147】
<金属含有膜形成用組成物を用いたパターン形成方法>
また、本発明では、上記金属含有膜形成用組成物を用いた2層レジストプロセスによるパターン形成方法として、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(I-1)被加工基板上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(I-2)前記金属含有膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(I-3)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(I-4)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(I-5)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0148】
上記2層レジストプロセスのレジスト上層膜は、塩素系ガスによるエッチング耐性を示すため、上記2層レジストプロセスにおいて、レジスト上層膜をマスクにして行う金属含有膜のドライエッチングを、塩素系ガスを主体とするエッチングガスを用いて行うことが好ましい。
【0149】
また、本発明では、このような金属含有膜形成用組成物を用いた3層レジストプロセスによるパターン形成方法として、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(II-1)被加工基板上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(II-2)前記金属含有膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜を形成する工程、
(II-3)前記ケイ素含有レジスト中間膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(II-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(II-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写する工程、
(II-6)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(II-7)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0150】
図1を用いて3層レジストプロセスによるパターン形成方法について説明する。本発明では、このような金属含有膜形成用組成物を用いた3層レジストプロセスによるパターン形成方法として、
図1(A)のように被加工基板1上の被加工層2に上記金属含有膜形成用組成物を用いて金属含有膜3を形成し、前記金属含有膜上にケイ素含有レジスト中間膜材料を用いてケイ素含有レジスト中間膜4を形成し、前記ケイ素含有レジスト中間膜上にフォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜5を形成する。続けて
図1(B)のように、前記レジスト上層膜の露光部分6をパターン露光した後、
図1(C)のように、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にレジスト上層膜パターン5aを形成し、
図1(D)のように、パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜にケイ素含有レジスト中間膜パターン4aを転写し、
図1(E)のように、前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜に金属含有膜パターン3aを転写し、
図1(F)のように、前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板上の被加工層を加工して前記被加工基板1にパターン2aを形成するパターン形成方法を提供する。
【0151】
上記3層レジストプロセスのケイ素含有レジスト中間膜は、塩素系ガスによるエッチング耐性を示すため、上記3層レジストプロセスにおいて、ケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして行う金属含有膜のドライエッチングを、塩素系ガスを主体とするエッチングガスを用いて行うことが好ましい。
【0152】
上記3層レジストプロセスのケイ素含有レジスト中間膜としては、ポリシロキサンベースの中間膜も好ましく用いられる。ケイ素含有レジスト中間膜に反射防止効果を持たせることによって、反射を抑えることができる。特に193nm露光用としては、有機膜として芳香族基を多く含み基板とのエッチング選択性の高い材料を用いると、k値が高くなり基板反射が高くなるが、ケイ素含有レジスト中間膜として適切なk値になるような吸収を持たせることで反射を抑えることが可能になり、基板反射を0.5%以下にすることができる。反射防止効果があるケイ素含有レジスト中間膜としては、248nm、157nm露光用としてはアントラセン、193nm露光用としてはフェニル基又はケイ素-ケイ素結合を有する吸光基をペンダントし、酸あるいは熱で架橋するポリシロキサンが好ましく用いられる。
【0153】
加えて、本発明では、このような金属含有膜形成用組成物を用いた4層レジストプロセスによるパターン形成方法として、
被加工基板上に、上記金属含有膜形成用組成物を用いて金属含有膜を形成し、
前記金属含有膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜材料を用いてケイ素含有レジスト中間膜を形成し、
前記ケイ素含有レジスト中間膜上に、有機反射防止膜(BARC)又は密着膜を形成し、
前記BARC又は前記密着膜上にフォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成し、
前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記BARC又は前記密着膜、及び前記ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写し、
前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写し、
前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程を有するパターン形成方法を提供する。
【0154】
また、ケイ素含有レジスト中間膜の代わりに無機ハードマスク中間膜を形成してもよく、この場合には、少なくとも、
被加工基板上に本発明の金属含有膜形成用組成物を用いて金属含有膜を形成し、
前記金属含有膜の上にケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、ケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成し、
前記無機ハードマスク中間膜の上にフォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成して、前記レジスト上層膜に回路パターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして無機ハードマスク中間膜にパターンを転写し、
前記パターンが形成された無機ハードマスク中間膜をマスクにして前記金属含有膜にパターンを転写し、
さらに、前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成することで、基板に半導体装置回路パターンを形成できる。
【0155】
本発明では、このような金属含有膜形成用組成物を用いた4層レジストプロセスによるパターン形成方法として、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(III-1)被加工基板上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(III-2)前記金属含有膜上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成する工程、
(III-3)前記無機ハードマスク中間膜上に、有機薄膜を形成する工程、
(III-4)前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(III-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(III-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(III-7)前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(III-8)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0156】
上記のように、金属含有膜の上に無機ハードマスク中間膜を形成する場合は、CVD法やALD法等で、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜(SiON膜)を形成できる。例えばケイ素窒化膜の形成方法としては、特開2002-334869号公報、国際公開第2004/066377号に記載されている。無機ハードマスク中間膜の膜厚は5~200nmが好ましく、より好ましくは10~100nmである。また、無機ハードマスク中間膜としては、反射防止膜としての効果が高いSiON膜が最も好ましく用いられる。SiON膜を形成する時の基板温度は300~500℃となるために、金属含有膜としては300~500℃の温度に耐える必要がある。本発明で用いる金属含有膜形成用組成物は、高い耐熱性を有しており300℃~500℃の高温に耐えることができるため、CVD法又はALD法で形成された無機ハードマスク中間膜と、回転塗布法で形成された金属含有膜の組み合わせが可能である。
【0157】
上記のように、無機ハードマスク中間膜の上にレジスト上層膜としてフォトレジスト膜を形成してもよいが、無機ハードマスク中間膜の上に有機反射防止膜(BARC)又は密着膜をスピンコートで形成して、その上にフォトレジスト膜を形成してもよい。特に、無機ハードマスク中間膜としてSiON膜を用いた場合、SiON膜とBARCの2層の反射防止膜によって1.0を超える高NAの液浸露光においても反射を抑えることが可能となる。BARCを形成するもう一つのメリットとしては、SiON膜直上でのフォトレジストパターンの裾引きを低減させる効果があることである。
【0158】
上記パターン形成方法において、レジスト上層膜はポジ型でもネガ型でもどちらでもよく、通常用いられているフォトレジスト組成物と同じものを用いることができる。また、フォトレジスト組成物がSn、In、Ga、Ge、Al、Ce、La、Cs、Zr、Hf、Ti、Bi、Sb、及びZnなどの金属原子を含んでいてもよい。上記フォトレジスト組成物によりレジスト上層膜を形成する場合、スピンコート法でもCVD法またはALD法による蒸着処理により形成する方法でもよい。
【0159】
スピンコート法によりレジスト上層膜を形成する場合、フォトレジスト組成物塗布後にプリベークを行うが、60~180℃で10~300秒の範囲が好ましい。その後常法に従い、露光を行い、ポストエクスポージャーベーク(PEB)、現像を行い、レジストパターンを得る。なお、レジスト上層膜の厚さは特に制限されないが、10~500nm、特に20~400nmが好ましい。
【0160】
CVD法またはALD法による蒸着処理によりレジスト上層膜を形成する場合、前記フォトレジスト組成物はEUV感光性の金属酸化物含有膜であり、前記金属はSn、Zr、Hf、Ti、Bi、及びSbなどから選択され、中でもEUV感光性に優れるSnが好ましい。金属酸化物含有膜は、有機スズ酸化物(例えば、ハロアルキルSn、アルコキシアルキルSn、またはアミドアルキルSn)などの感光性有機金属酸化物膜であってよい。適切な前駆体のいくつかの具体例は、塩化トリメチルスズ、二塩化ジメチルスズ、三塩化メチルスズ、トリス(ジメチルアミノ)メチルスズ(IV)、および(ジメチルアミノ)トリメチルスズ(IV)を含む。
【0161】
金属酸化物含有膜は、例えば、Lam Vector(登録商標)ツールを用いて、PECVDまたはPEALDによって蒸着されてよく、ALD実施例ではSn酸化物前駆体をO前駆体/プラズマから分離する。蒸着温度は、50℃~600℃の範囲が好ましい。蒸着圧力は、100~6000mTorrの間が好ましい。金属酸化物含有膜の前駆体液の流量(例えば、有機スズ酸化物前駆体)は、0.01~10cmm であってよく、ガス流量(CO2、CO、Ar、N2)は、100~10000sccmであってよい。プラズマ電力は、高周波プラズマ(例えば、13.56MHz、27.1MHz、または、それより高い周波数)を用いて、300mmウェハステーションあたり200~1000W であってよい。蒸着厚さは、100~2000Åが好ましい。
【0162】
露光光としては、波長300nm以下の高エネルギー線、具体的には248nm、193nm、157nmのエキシマレーザー、3~20nmの軟X線、電子ビーム、及びX線等を挙げることができる。
【0163】
上記レジスト上層膜のパターン形成方法として、波長が5nm以上300nm以下の光リソグラフィー、電子線による直接描画、ナノインプリンティングまたはこれらの組み合わせによるパターン形成とすることが好ましい。
【0164】
また、前記パターン形成方法における現像方法を、アルカリ現像または有機溶剤による現像とすることが好ましい。
【0165】
次に、得られたレジストパターンをマスクにしてエッチングを行う。3層レジストプロセスにおけるケイ素含有レジスト中間膜や無機ハードマスク中間膜のエッチングは、フロン系のガスを用いてレジスト上層膜パターンをマスクにして行う。これにより、ケイ素含有レジスト中間膜パターンや無機ハードマスク中間膜パターンを形成する。
【0166】
次いで、得られたケイ素含有レジスト中間膜パターンや無機ハードマスク中間膜パターンをマスクにして、金属含有膜のエッチング加工を行う。金属含有膜のエッチング加工は塩素系ガスを主体とするエッチングガスを用いて行うことが好ましい。
【0167】
次の被加工基板のエッチングも、常法によって行うことができ、例えば被加工基板がSiO2、SiN、シリカ系低誘電率絶縁膜であればフロン系ガスを主体としたエッチングを行う。基板加工をフロン系ガスでエッチングした場合、3層レジストプロセスにおけるケイ素含有レジスト中間膜パターンは基板加工と同時に剥離される。
【0168】
本発明の金属含有膜形成用組成物によって得られる金属含有膜は、これら被加工基板エッチング時のエッチング耐性に優れる特徴がある。
【0169】
なお、被加工体(被加工基板)としては、特に限定されるものではなく、Si、α-Si、p-Si、SiO2、SiN、SiON、W、TiN、及びAl等の基板や、該基板上に被加工層が成膜されたもの等が用いられる。被加工層としては、Si、SiO2、SiON、SiN、p-Si、α-Si、W、W-Si、Al、Cu、Al-Si等種々のLow-k膜及びそのストッパー膜が用いられ、通常50~10,000nm、特に100~5,000nmの厚さに形成し得る。なお、被加工層を成膜する場合、基板と被加工層とは、異なる材質のものが用いられる。
【0170】
本発明の金属含有膜形成用組成物を用いたパターン形成方法は、高さ30nm以上の構造体又は段差を有する被加工基板を用いることが好ましい。上述のように、本発明の金属含有膜形成用組成物は、埋め込み/平坦化特性に優れるため、被加工基板に高さ30nm以上の構造体又は段差(凹凸)があっても、平坦な硬化膜を形成することができる。上記被加工体基板の有する構造体又は段差の高さは30nm以上が好ましく、50nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることがより好ましい。上記高さのパターンを有する段差基板を加工する方法において、本発明の金属含有膜形成用組成物を成膜して埋込/平坦化を行うことにより、その後成膜されるレジスト中間膜、レジスト上層膜の膜厚を均一にすることが可能となるため、フォトリソグラフィー時の露光深度マージン(DOF)確保が容易となり、非常に好ましい。
【0171】
さらに本発明では、このような金属含有膜形成用組成物を用いた4層レジストプロセスによるパターン形成方法として、
被加工基板上に、上記金属含有膜形成用組成物を用いて金属含有膜を形成し、
前記金属含有膜上に、有機レジスト下層膜材料を用いて有機下層膜を形成し、
前記有機下層膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜材料を用いてケイ素含有レジスト中間膜を形成し、
必要に応じて前記ケイ素含有レジスト中間膜上に、有機反射防止膜(BARC)又は密着膜を形成し、
前記ケイ素含有膜上、前記BARC上、又は前記密着膜上にフォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成し、
前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記BARC又は前記密着膜、及び前記ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写し、
前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで有機下層膜にパターンを転写し、
前記有機下層膜をマスクにして前記金属含有膜にパターンを転写し、
前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程を有するパターン形成方法を提供する。
【0172】
上記有機下層膜に用いることができる有機レジスト下層膜材料としては、既に3層レジスト法用、あるいはシリコンレジスト組成物を使用した2層レジスト法用の下層膜として公知のもの、特開2005-128509号公報記載の4,4’-(9-フルオレニリデン)ビスフェノールノボラック樹脂(分子量11,000)の他、ノボラック樹脂をはじめとする多数の樹脂であって、2層レジスト法や3層レジスト法のレジスト下層膜材料として公知のもの等を使用することができる。また、通常のノボラックよりも耐熱性を上げたい場合には、6,6’-(9-フルオレニリデン)-ジ(2-ナフトール)ノボラック樹脂のような多環式骨格を入れることもでき、更にポリイミド系樹脂を選択することもできる(例えば、特開2004-153125号公報)。
【0173】
上記有機下層膜は、組成物溶液を用い、フォトレジスト組成物と同様にスピンコート法等で被加工基板上に形成することが可能である。スピンコート法等で有機下層膜を形成した後、有機溶剤を蒸発させるためベークをすることが望ましい。ベーク温度は80~400℃の範囲内で、ベーク時間は10~300秒の範囲内が好ましく用いられる。
【0174】
上記有機下層膜の代わりに、CVD法またはALD法で形成された有機ハードマスクを適用することも可能である。
【0175】
上記多層レジストプロセスの有機中間膜は、塩素系ガスによるエッチング耐性を示すため、上記多層レジストプロセスにおいて、有機中間膜をマスクにして行う金属含有膜のドライエッチングを、塩素系ガスを主体とするエッチングガスを用いて行うことが好ましい。
【0176】
また、本発明では、このような金属含有膜形成用組成物を用いた4層レジストプロセスによるパターン形成方法として、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(IV-1)被加工基板上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(IV-2)前記金属含有膜上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(IV-3)前記レジスト下層膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜、またはケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成する工程、
(IV-4)前記ケイ素含有レジスト中間膜または前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(IV-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(IV-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜または前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(IV-7)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜または無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、
(IV―8)前記レジスト下層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(IV-9)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0177】
<金属含有膜形成用組成物を用いたトーン反転式パターン形成方法>
また、本発明では、このような金属含有膜形成用組成物を用いたトーン反転式パターン形成方法として、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(V-1)被加工基板上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(V-2)前記レジスト下層膜上に、レジスト中間膜、又はケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成する工程、
(V-3)前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせ上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(V-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(V-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト中間膜、又は前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(V-6)前記パターンが転写されたレジスト中間膜、又は無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、
(V-7)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を被覆し、前記レジスト下層膜パターン間を前記金属含有膜で充填する工程、
(V-8)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上を覆う前記金属含有膜を化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、パターンが形成された前記レジスト下層膜の上面を露出させる工程、
(V-9)前記レジスト下層膜上面に残っている前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜をドライエッチングで除去する工程、
(V-10)表面が露出した前記パターンが形成された前記レジスト下層膜をドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンを前記金属含有膜上に形成する工程、
(V-11)前記反転パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板に反転パターンを形成する工程
を有するトーン反転式パターン形成方法を提供する。
【0178】
図2を用いて金属含有膜形成用組成物を用いたトーン反転式パターン形成方法について説明する。本発明では、このような金属含有膜形成用組成物を用いたトーン反転式パターン形成方法として、
図2(G)のように被加工基板1上の被加工層2に、レジスト下層膜7を形成し、前記レジスト下層膜7上に、レジスト中間膜4、又はケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成し、前記レジスト中間膜4、又は無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせ上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜5を形成する。続けて
図2(H)のように、前記レジスト上層膜の露光部分6をパターン露光した後、
図2(I)のように、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にレジスト上層膜パターン5aを形成し、
図2(J)のように、前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト中間膜、又は前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にレジスト中間膜パターン4a又は無機ハードマスク中間膜パターンを転写し、
図2(K)のように、前記パターンが転写されたレジスト中間膜、又は無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にレジスト下層膜パターン7aを転写し、
図2(L)のように、前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上に、上記金属含有膜形成用組成物を用いて金属含有膜8を被覆し、前記レジスト下層膜パターン7a間を前記金属含有膜8で充填し、
図2(M)のように、前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上を覆う前記金属含有膜を化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックして反転した金属含有膜パターン8aを形成し、パターンが形成された前記レジスト下層膜の上面を露出し、
図2(N)のように、前記レジスト下層膜パターン7a上面に残っているレジスト中間膜、又はハードマスク中間膜をドライエッチングで除去し、
図2(O)のように、表面が露出した前記パターンが形成された前記レジスト下層膜をドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンを金属含有膜に形成し、
図2(P)のように、前記反転パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工層を加工して前記被加工層に反転パターン2bを形成する工程を有するトーン反転式パターン形成方法を提供する。
【0179】
上記のように、被加工基板上にレジスト下層膜を形成する場合は、塗布型レジスト下層膜材料を用いた方法や、CVD法やALD法等で、レジスト下層膜を形成できる。塗布型レジスト下層膜材料としては、特開2012-001687号公報、特開2012-077295号公報、特開2004-264710号公報、特開2005-043471号公報、特開2005-250434号公報、特開2007-293294号公報、特開2008-065303号公報、特開2004-205685号公報、特開2007-171895号公報、特開2009-014816号公報、特開2007-199653号公報、特開2008-274250号公報、特開2010-122656号公報、特開2012-214720号公報、特開2014-029435号公報、国際公開第2012/077640号、国際公開第2010/147155号、国際公開第2012/176767号、特開2005-128509号公報、特開2006-259249号公報、特開2006-259482号公報、特開2006-293298号公報、特開2007-316282号公報、特開2012-145897号公報、特開2017-119671号公報、特開2019-044022号公報などに示されている樹脂、組成物を例示することができる。
【0180】
上記トーン反転式パターン形成方法では、得られたレジスト下層膜パターン上に金属含有膜形成用組成物を被覆した後、レジスト下層膜パターン上面を露出させるために塩素系ガス主体としたドライエッチングガスを用いて金属含有膜を除去することが好ましい。その後、上記レジスト下層膜上に残っているレジスト中間膜、又は無機ハードマスク中間膜をフロン系ガスによるドライエッチングで除去し、表面の露出したレジスト下層膜パターンを酸素系ガスによるドライエッチングで除去し、金属含有膜反転パターンを形成する。
【0181】
上記トーン反転式パターン形成方法では、レジスト下層膜パターンは高さ30nm以上の構造体又は段差を有することが好ましい。上述のように、本発明の金属含有膜形成用組成物は、埋め込み/平坦化特性に優れるため、被加工膜に高さ30nm以上の構造体又は段差(凹凸)があっても、平坦な硬化膜を形成することができる。上記レジスト下層膜パターンの構造体又は段差の高さは30nm以上が好ましく、50nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることがより好ましい。上記高さのパターンを有するレジスト下層膜パターンを反転する方法において、本発明の金属含有膜形成用組成物を成膜して埋込/平坦化を行うことにより、パターンの反転/転写を高精度で行うことが可能となるため、非常に好ましい。従来の塗布型レジスト下層膜材料を用いたレジスト下層膜に対して、フロン系ガスを用いたドライエッチング耐性に優れるため、レジスト下層膜パターンを上記金属含有膜形成用組成物で反転することにより、所望のレジストパターンを被加工膜に高精度で形成することができる。
【実施例0182】
以下、合成例、比較合成例、実施例、及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0183】
[合成例]
以下の合成例および比較例には、下記に示す有機基原材料群G:(G1)~(G11)とケイ素含有有機基原材料群H:(H1)~(H5)を用いた。
有機基原材料群G:(G1)~(G11)を以下に示す。
【化59】
【0184】
ケイ素含有有機基原材料群H:(H1)~(H5)を以下に示す。
【化60】
【0185】
金属源Mには、下記金属化合物を用いた。
(M1):Zr(OBu)4:ジルコニウム(IV)テトラブトキシド(80質量%1-ブタノール溶液)(東京化成工業(株),Z0016)
(M2):Hf(OBu)4:ハフニウム(IV)n-ブトキシド(Sigma-Aldrich Corp,667943)
(M3):Ti(OBu)4:オルトチタン酸テトラブチル(東京化成工業(株),B0742)
(M4):チタンブトキシドテトラマー(富士フイルム和光純薬(株))
【0186】
[合成例1]金属含有膜形成用化合物(A-1)の合成
窒素雰囲気下、15.0gのジルコニウム(IV)テトラブトキシド(80質量%1-ブタノール溶液)M1を、20.5gのPGMEA/PGME(重量比70/30)溶液に溶解し、攪拌しながら反応温度を50℃まで高め、7.0gの化合物H1を前記溶液中に滴下した。滴下後、反応温度を60℃として攪拌を2時間継続した。次に、12.0gの化合物G1を14.4gのPGMEA/PGME(重量比70/30)溶液に懸濁させた混合物を前記反応系中に添加して、反応温度60℃のまま攪拌を1時間継続した。室温に冷却後、得られた反応溶液を0.45μmPTFEフィルターで濾過することで金属含有膜形成用化合物(A-1)のPGMEA/PGME溶液を得た。該溶液中の溶媒以外の成分の濃度は20.0質量%であった。
続いて、(A-1)の熱質量減少を測定したところ、常温における質量が100%であったところから、加熱により350℃になったところでは51%(質量減少-49%)、800℃となったところでは27%(質量減少-73%)となった。このうち800℃における組成はZrO2が100%であり、このことから、350℃におけるZr含有率を計算すると、
27%/51%×91.24/(91.24+16.00×2)=39%となった。
従って、350℃で熱分解することで、Zr含有率が39%のZr含有膜が得られることが明らかになった。
【0187】
[化合物(A-2)~(A-8)、比較例用化合物(R-1)~(R-3)の合成]
表1~表2に示される仕込み量で上記金属源M、上記化合物群Gと上記化合物群Hを使用した以外は、合成例1と同じ反応条件で表1~表2に示される化合物(A-2)~(A-8)、比較例用化合物(R-1)~(R-3)を得た。
【0188】
【0189】
【0190】
[比較例用化合物(R-4)の合成]
特許第6189758号公報の[合成例A-II]で報告されているチタン化合物を合成した。チタンテトライソプロポキシド(東京化成工業(株)製)284gのIPA500g溶液に攪拌しながら、脱イオン水27gのIPA500g溶液を室温で2時間かけて滴下した。得られた溶液に2-メチル-2,4-ペンタンジオール120gを添加し、室温で30分攪拌した。この溶液を減圧下、30℃で濃縮した後、更に60℃まで加熱し、減圧下、留出物が出なくなるまで加熱を続けた。留出物が見られなくなったところで、PGMEA1,200gを加え、40℃、減圧下でIPAが留出しなくなるまで加熱し、チタン含有化合物(R-4)のPGMEA溶液1,000g(化合物濃度20質量%)を得た。
【0191】
[比較例用有機膜形成用樹脂(R-5)の合成]
窒素雰囲気下、1,5-ジヒドロキシナフタレン160.2g、ホルムアルデヒド56.8g、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)300gを加え、内温100℃で均一化した。その後、あらかじめ混合し均一化したパラトルエンスルホン酸・一水和物8.0gとPGME8.0gの混合液をゆっくりと滴下し、内温80℃で8時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却しMIBK2,000mlを加え、純水500mlで6回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF300gを加え均一溶液とした後、ヘキサン2,000gに晶出した。沈降した結晶をろ過で分別し、ヘキサン500gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで樹脂(R-5)を得た。
テトラヒドロフランを溶離液としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(R-5):Mw=3,300、Mw/Mn=2.54
【化61】
【0192】
(流動性促進剤の合成)
流動性促進剤の合成には、下記に示す有機基原材料群G:(G12)~(G14)と修飾化剤K:(K1)~(K2)を用いた。
有機基原材料群G:(G12)~(G14)を以下に示す。
【化62】
【0193】
修飾化剤K:(K1)~(K2)を以下に示す。
【化63】
【0194】
[流動性促進剤(BPA-1)の合成]
窒素雰囲気下、有機基原材料群Gの化合物(G12)45.5g、炭酸カリウム9.8g、DMF150gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(K1)17.6gをゆっくりと加え、内温50℃で24時間反応を行った。反応液にメチルイソブチルケトン300mlと純水300gを加え析出した塩を溶解させた後、分離した水層を除去した。さらに有機層を3%硝酸水溶液100gおよび純水100gで6回洗浄を行った後、有機層を減圧乾固することで流動性促進剤(BPA-1)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(BPA-1):Mw=965、Mw/Mn=1.08
【化64】
【0195】
[流動性促進剤(BPA-2)の合成]
エポキシ化合物(G13)80.0g、修飾化剤(K2)51.0g、及び2-メトキシ-1-プロパノール600gを窒素雰囲気下、内温100℃で均一溶液とした後、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド5.7gを加え内温120℃で12時間撹拌した。室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン1,500gを加え、有機層を純水300gで5回洗浄した。有機層を減圧乾固し、流動性促進剤(BPA-2)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(BPA-2):Mw=9,00、Mw/Mn=1.04
【化65】
【0196】
[流動性促進剤(BPA-3)の合成]
窒素雰囲気下、樹脂(G14)20.0g、炭酸カリウム34.5g、DMF100gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(K1)23.8gをゆっくりと加え、内温50℃で24時間反応を行った。反応液にメチルイソブチルケトン300mlと純水300gを加え析出した塩を溶解させた後、分離した水層を除去した。さらに有機層を3%硝酸水溶液100gおよび純水100gで6回洗浄を行った後、有機層を減圧乾固することで流動性促進剤(BPA-3)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(BPA-3):Mw=9,400、Mw/Mn=3.59
【化66】
【0197】
[金属含有膜形成用組成物(UDL-1)の調製]
金属含有膜形成用化合物(A-1)を、界面活性剤FC-4430(住友スリーエム(株)製)0.5質量%を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合溶媒に表3に示す割合で溶解させ、0.02μmのメンブレンフィルターで濾過することによって金属含有膜形成用組成物(UDL-1)を調製した。
【0198】
[金属含有膜形成用組成物(UDL-2~15)、比較例用金属含有膜形成用組成物(比較例UDL-1~5)の調製]
各成分の種類及び含有量を表3に示す通りとした以外は、UDL-1と同様に操作し、各薬液を調製した。なお、表3中、「-」は該当する成分を使用しなかったことを示す。架橋剤には下記式(C-1)を使用、酸発生剤(TAG)には下記式(F-1)を使用、高沸点溶剤(B-1)にはエチレングリコールジベンジルエーテル:沸点364℃を使用、金属ナノ粒子(G-1)には、ZrO2 nanoparticles(5nm core,915505,Sigma-Aldrich Corp)を用いた。
【0199】
[架橋剤、酸発生剤]
金属含有膜形成用組成物に用いた架橋剤(C-1)、及び酸発生剤(F-1)を以下に示す。
【化67】
【0200】
【0201】
[埋め込み特性評価(実施例1-1~1-15、比較例1-1~1-4)]
上記で調製した組成物(UDL-1~15及び、比較例UDL-1~4)をそれぞれ、密集ライン&スペースパターン(ライン線幅60nm、ライン深さ100nm、隣り合う二つのラインの中心間の距離120nm)を有するSiO
2ウエハー基板上に塗布し、ホットプレートを用いて350℃で60秒間加熱し、膜厚80nmの金属含有膜を形成した(埋め込み評価B)。使用した基板は
図3(Q)(俯瞰図)及び(R)(断面図)に示すような密集ライン&スペースパターンを有する下地基板9(SiO
2ウエハー基板)である。埋め込み評価Bで得られた各ウエハー基板の断面形状を、(株)日立製作所製電子顕微鏡(S-4700)を用いて観察し、ライン間を充填した金属含有膜内部にボイド(空隙)が存在していないかを確認した。結果を表4に示す。埋め込み特性に劣る金属含有膜形成用組成物を用いた場合は、本評価において、ライン間を充填した金属含有膜内部にボイドが発生する。埋め込み特性が良好な金属含有膜形成用組成物を用いた場合は、本評価において、
図3(S)に示されるように密集ライン&スペースパターンを有する下地基板9のライン間を充填した金属含有膜内部にボイドのない金属含有膜10が充填される。
【0202】
【0203】
表4に示されるように、本発明の金属含有膜形成用組成物(UDL-1~15)を使用した実施例1-1~1-15では、350℃ベーク後においてもボイドを発生することなく、密集ライン&スペースパターンを充填することが可能であり、高温ベーク条件下においても良好な埋め込み特性を有することが確認できた。一方で、本発明の金属含有膜形成用化合物とは異なり架橋基を含まない有機基が配位した金属化合物を用いた比較例UDL-1~2および比較例UDL-4は、350℃ベーク後にパターン底部にボイドが観察された。比較例UDL-1は架橋基構造を持たないため、比較例UDL-2および比較例UDL-4は有機配位子の耐熱性が低いため、高温ベークによる体積収縮が大きく、ボイドが発生したと推察される。一方、比較例UDL-3は、末端に架橋基を含む有機配位子を持つため、高温ベーク時の体積収縮が小さく、良好な埋め込み性を示したと推察される。
【0204】
[平坦化特性評価(実施例2-1~2-15、比較例2-1~2-2)]
図4(T)に示すような密集ライン&スペースパターンを有する下地基板11(SiO
2ウエハー基板)に対し、
図4(U)のように350℃ベーク後の上記埋め込み評価でボイドが観察されなかった各ウエハー基板の断面形状を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、ラインパターン密集部分と非ラインパターン形成部分の充填膜12の段差(
図4(U)中のDelta 12)を、(株)日立製作所製電子顕微鏡(S-4700)を用いて観察した。結果を表5に示す。本評価において、段差が小さいほど、平坦化特性が良好であるといえる。
【表5】
【0205】
表5に示されるように、本発明の金属含有膜形成用組成物(UDL-1~15)を使用した実施例2-1~2-15は、有機レジスト下層膜材料を使用した比較例2-2に対してパターン部分と非パターン部分の膜の段差が小さく、有機レジスト下層膜と比較しても遜色のない平坦化性能を有することがわかった。また、高沸点溶剤(B-1)を添加したUDL-12、流動性促進剤(BPA-1~3)を添加したUDL-13~15はより優れた平坦化特性を示した。添加剤を用いることで金属含有膜形成用組成物の熱流動性をさらに向上できたと推察する。また、本発明の金属含有膜形成用化合物とは異なる架橋基を持つ比較例UDL-3は、良好な平坦性を示すことがわかった。
【0206】
[エッチング耐性評価(実施例3-1~3-15、比較例3-1~3-2)]
350℃ベーク後の上記埋め込み評価でボイドが観察されなかった金属含有膜形成用組成物(UDL-1~15、比較例UDL-3、及び比較例UDL-5)をシリコン基板上に塗布し、ホットプレートを用いて350℃で60秒間加熱し、膜厚80nmの金属含有膜を形成し、膜厚aを測定した。次いで、ULVAC製エッチング装置CE-300Iを用いた下記条件でCF4ガス、Cl2ガスを用いた各エッチングを行い、膜厚bを測定した。各ガスを用いて指定時間の間にエッチングされる膜厚(膜厚b-膜厚a)から1分間にエッチングされる膜厚をエッチングレート(nm/min)として算出した。結果を表6に示す。
【0207】
CF4ガスでのドライエッチング条件
圧力:1Pa
アンテナRFパワー:100W
バイアスRFパワー:15W
CF4ガス流量:30sccm
時間:30sec
【0208】
Cl2ガスでのドライエッチング条件
圧力:1Pa
アンテナRFパワー:320W
バイアスRFパワー:30W
Cl2ガス流量:30sccm
時間:20sec
【0209】
【0210】
表6に示されるように、本発明の金属含有膜形成用組成物(UDL-1~15)を使用した実施例3-1~3-15は、有機レジスト下層膜材料を使用した比較例3-2に対して、極めて優れたCF4ガスに対するエッチング耐性を示すことがわかった。また、本発明の一般式(1)で示される有機基を持たない金属含有膜形成用化合物を用いた比較例UDL-3に対しても、優れたCF4ガスに対するエッチング耐性を示すことがわかった。
埋め込み性の改善には、架橋性有機基の導入が必要であるが、有機基の構造が大きいと、硬化膜中の有機成分量が多くなり、ドライエッチング耐性の劣化に繋がることが考えられる。一方で、本発明の金属含有膜形成用化合物は、架橋性有機基の構造が小さく、硬化膜中の有機成分量を低減することができるため、ドライエッチング耐性の劣化を抑制できたと推察する。
また、本発明の金属含有膜形成用組成物は、CF4ガスと比較してCl2ガスを用いたエッチングで優れた除去性を示すことが明らかとなった。
【0211】
[パターン形成方法(実施例4-1~4-15、比較例4-1~4-4)]
上記の金属含有膜形成用組成物(UDL-1~15、比較例UDL-1~2、4~5)を、それぞれ、トレンチパターン(トレンチ幅10μm、トレンチ深さ0.10μm)を有するSiO2ウエハー基板上に塗布し、大気中、350℃で60秒焼成し、膜厚70nmの金属含有膜を形成した。その上にケイ素原子含有レジスト中間膜材料(SOG-1)を塗布して220℃で60秒間ベークして膜厚50nmのレジスト中間膜を形成し、その上にレジスト上層膜材料のArF用単層レジストを塗布し、105℃で60秒間ベークして膜厚100nmのフォトレジスト膜を形成した。フォトレジスト膜上に液浸保護膜材料(TC-1)を塗布し90℃で60秒間ベークし膜厚50nmの保護膜を形成した。
【0212】
ケイ素原子含有レジスト中間膜材料(SOG-1)としてはArF珪素含有中間膜ポリマー(SiP1)で示されるポリマー、及び熱架橋触媒(CAT1)を、FC-4430(住友スリーエム社製)0.1質量%を含む有機溶剤中に表7に示す割合で溶解させ、孔径0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、ケイ素原子含有レジスト中間膜材料(SOG-1)を調製した。
【0213】
【0214】
用いたArF珪素含有中間膜ポリマー(SiP1)、熱架橋触媒(CAT1)の構造式を以下に示す。
【化68】
【0215】
レジスト上層膜材料(ArF用単層レジスト)としては、ポリマー(RP1)、酸発生剤(PAG1)、塩基性化合物(Amine1)を、界面活性剤FC-4430(住友スリーエム(株)製)0.1質量%を含む溶媒中に表8の割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。
【0216】
【0217】
レジスト上層膜材料(ArF用単層レジスト)に用いたポリマー(RP1)、酸発生剤(PAG1)、及び塩基性化合物(Amine1)を以下に示す。
【化69】
【0218】
液浸保護膜材料(TC-1)としては、保護膜ポリマー(PP1)を有機溶剤中に表9の割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。
【0219】
【0220】
液浸保護膜材料(TC-1)に用いた保護膜ポリマー(PP1)を以下に示す。
【化70】
【0221】
次いで、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR-S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポールs偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、55nm1:1のポジ型のラインアンドスペースパターン(レジスト上層膜パターン)を得た。
【0222】
次いで、ドライエッチングによりレジスト上層膜パターンをマスクにしてレジスト中間膜をエッチング加工してハードマスクパターンを形成し、得られたハードマスクパターンをマスクにして金属含有膜をエッチングして金属含有膜パターンを形成し、得られた金属含有膜パターンをマスクにしてSiO2膜のエッチング加工を行った。エッチング条件は下記に示すとおりである。
【0223】
レジスト上層膜パターンのレジスト中間膜への転写条件。
CF4ガスでのドライエッチング条件
圧力:1Pa
アンテナRFパワー:100W
バイアスRFパワー:15W
CF4ガス流量:15sccm
時間:60sec
【0224】
ハードマスクパターンの金属含有膜への転写条件。
Cl2ガスでのドライエッチング条件
圧力:1Pa
アンテナRFパワー:320W
バイアスRFパワー:30W
Cl2ガス流量:25sccm
時間:45sec
【0225】
金属含有膜パターンのSiO2膜への転写条件。
CF4ガスでのドライエッチング条件
圧力:1Pa
アンテナRFパワー:100W
バイアスRFパワー:15W
CF4ガス流量:15sccm
時間:60sec
【0226】
パターン断面を(株)日立製作所製電子顕微鏡(S-4700)にて観察した結果を表10に示す。
【0227】
【0228】
表10に示されるように、本発明の金属含有膜形成用組成物(UDL-1~15)を使用した実施例4-1~4-15では、いずれの場合もレジスト上層膜パターンが最終的に基板まで良好に転写されており、本発明の金属含有膜形成用組成物は多層レジスト法による微細加工に好適に用いられることが確認された。一方で、埋め込み特性評価において性能の不足が確認された比較例4-1~4-3はパターン加工時にパターン倒れが発生し、最終的に良好なパターンを得ることができなかった。また、ドライエッチング耐性評価において性能の不足が確認された比較例4-4はパターン加工時にパターン形状のヨレが派生し、最終的に良好なパターンを得ることができなかった。
【0229】
[SOCパターン反転方法(実施例5-1~5-15、比較例5-1~5-5)]
300nmのSiO2膜が形成されているシリコンウエハー基板上にレジスト下層膜として塗布型レジスト下層膜材料(SOC-1)を塗布し、350℃で60秒間ベークして膜厚80nmのレジスト下層膜を形成し、その上にケイ素原子含有レジスト中間膜材料(SOG-1)を塗布して220℃で60秒間ベークして膜厚40nmのレジスト中間膜を形成し、その上にレジスト上層膜材料のArF用単層レジストを塗布し、105℃で60秒間ベークして膜厚100nmのフォトレジスト膜を形成した。フォトレジスト膜上に液浸保護膜材料(TC-1)を塗布し90℃で60秒間ベークし膜厚50nmの保護膜を形成した。
【0230】
ケイ素原子含有レジスト中間膜材料(SOG-1)、レジスト上層膜材料(ArF用単層レジスト)、フォトレジスト膜上の液浸保護膜材料(TC-1)は上記パターン形成方法(実施例4)と同じ材料を用いた。
【0231】
塗布型レジスト下層膜材料(SOC-1)としては、レジスト下層膜用ポリマー(SOP1)で示されるポリマー、及びFC-4430(住友スリーエム社製)0.1質量%を含む有機溶剤中に表11に示す割合で溶解させ、孔径0.2μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、塗布型レジスト下層膜材料(SOC-1)を調製した。
【0232】
【0233】
用いたレジスト下層膜用ポリマー(SOP1)の構造式を表12に示す。
【表12】
【0234】
次いで、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR-S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポールs偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、55nm1:1のポジ型のラインアンドスペースパターン(レジスト上層膜パターン)を得た。
【0235】
次いで、東京エレクトロン製エッチング装置Teliusを用いてドライエッチングによりレジスト上層膜パターンをマスクにしてレジスト中間膜をエッチング加工してハードマスクパターンを形成し、得られたハードマスクパターンをマスクにしてレジスト下層膜(SOC-1)をエッチングしてSOC-1膜パターンを形成した。エッチング条件は下記に示すとおりである。
【0236】
レジスト上層膜パターンのレジスト中間膜への転写条件。
チャンバー圧力:50mT
RFパワー(上部):500W
RFパワー(下部):300W
CF4ガス流量:150sccm
CHF3ガス流量:50sccm
時間:20sec
【0237】
ハードマスクパターンのSOC-1膜への転写条件。
チャンバー圧力:10mT
RFパワー(上部):1,000W
RFパワー(下部):300W
CO2ガス流量:150sccm
COガス流量:50sccm
N2ガス流量:50sccm
H2ガス流量:150sccm
時間:60sec
【0238】
次いで、得られたSOC-1膜パターン上に、上記の金属含有膜形成用組成物(UDL-1~15、比較例UDL-1~2、比較例UDL-4~5)を塗布し、大気中、350℃で60秒焼成し、膜厚80nmの金属含有膜を形成した。その後、SOC-1膜パターンを覆う金属含有膜をエッチングしてSOC-1膜パターンの上面を露出させた。上面が露出したSOC-1膜パターン表面に残るレジスト中間膜をエッチングで除去し、次いで露出したSOC-1膜パターンをエッチングで除去し、金属酸化膜に上記パターンを反転させ、得られた金属含有膜パターンをマスクにしてSiO2膜のエッチング加工を行った。比較例として、金属含有膜形成用組成物を使わずにSOC-1膜パターンをマスクにして、SiO2膜のエッチングについても行った(比較例5-5)。エッチング条件は下記に示すとおりである。
【0239】
金属含有膜のエッチングバック(SOC-1膜パターンの露出)条件。
圧力:1Pa
アンテナRFパワー:320W
バイアスRFパワー:30W
Cl2ガス流量:25sccm
時間:15sec
【0240】
SOC-1膜パターン上に残るレジスト中間膜の除去。
CF4ガスでのドライエッチング条件
圧力:1Pa
アンテナRFパワー:100W
バイアスRFパワー:15W
CF4ガス流量:15sccm
時間:45sec
【0241】
SOC-1膜パターンの除去。
O2ガスでのドライエッチング条件
圧力:1Pa
アンテナRFパワー:300W
バイアスRFパワー:0W
O2ガス流量:25sccm
時間:30sec
【0242】
金属含有膜パターンのSiO2膜への転写条件。
CF4ガスでのドライエッチング条件
圧力:1Pa
アンテナRFパワー:100W
バイアスRFパワー:15W
CF4ガス流量:15sccm
時間:60sec
【0243】
比較例5-5:SOC-1膜パターンのSiO2膜への転写条件。
CF4ガスでのドライエッチング条件
圧力:1Pa
アンテナRFパワー:100W
バイアスRFパワー:15W
CF4ガス流量:15sccm
時間:60sec
【0244】
パターン断面を(株)日立製作所製電子顕微鏡(S-4700)にて観察した結果を表13に示す。
【表13】
【0245】
表13に示されるように、本発明の金属含有膜形成用組成物(UDL-1~15)を使用した実施例5-1~5-15では、いずれの場合もSOC-1膜パターンを精度良く反転し、パターン倒れなく反転パターンが最終的に基板まで良好に転写されている。このことから、本発明の金属含有膜形成用組成物は多層レジストプロセス法におけるトーン反転式エッチング方法を用いた微細加工に好適に用いられることが確認された。一方で、SOC-1膜パターンをそのままSiO2膜に転写した比較例5-5では、SOC-1膜のエッチング耐性が不十分であるため、パターン形状のヨレが確認された。また、埋め込み特性評価において性能の不足が確認された比較例5-1~5-3はパターン加工時にパターン倒れが発生し、最終的に良好な反転パターンを得ることができなかった。一方、ドライエッチング耐性評価において性能の不足が確認された比較例5-4はパターン反転加工時にパターン形状のヨレが発生し、最終的に良好な反転パターンを得ることができなかった。
【0246】
以上のことから、本発明の金属含有膜形成用化合物を含む金属含有膜形成用組成物であれば、高度な埋め込み/平坦化特性とドライエッチング耐性を併せ持つため、多層レジスト法に用いるレジスト下層膜材料およびトーン反転式エッチング方法に用いる反転剤として極めて有用であり、またこれを用いた本発明のパターン形成方法であれば、被加工体が段差を有する基板であっても、微細なパターンを高精度で形成できることが明らかとなった。
【0247】
本明細書は、以下の態様を包含する。
[1]:金属含有膜形成用組成物に用いる金属含有膜形成用化合物であって、前記化合物がTi、Zr、及びHfからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属原子と、前記金属原子に配位する配位子とを含む金属化合物であり、前記配位子が下記一般式(W-1)で示される架橋基を含むものであることを特徴とする金属含有膜形成用化合物。
【化71】
(一般式(W-1)中、R
1は水素原子またはメチル基であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、R
2は水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*は結合部を表す。)
[2]:前記化合物が、下記一般式(A)で示されるものであることを特徴とする上記[1]の金属含有膜形成用化合物。
【化72】
(一般式(A)中、Mは、Ti、Zr、又はHfであり、R
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4は下記一般式(1)で示される有機基、下記一般式(2)で示されるケイ素含有有機基、または炭素数1~10のアルキル基であり、R
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4のうちの少なくとも1つが、下記一般式(1)で示される有機基であり、さらに、R
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4のうちの少なくとも1つが下記一般式(2)で示されるケイ素含有有機基であり、nは1~30である。)
【化73】
(一般式(1)中、Xは炭素数1~31のp+1価の有機基であり、Wは前記一般式(W-1)で示される構造のいずれかであり、pは1~4を表し、*は酸素原子との結合部を表す。)
【化74】
(一般式(2)中、R
3A、R
3B、及びR
3Cは、下記一般式(c-1)~(c―3)で示される構造のいずれかの架橋基を有する炭素数2~30の有機基、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される有機基のいずれかであり、*は酸素原子との結合部である。)
【化75】
(一般式(c-1)~(c-3)中、R
3は水素原子または炭素数1~10の1価の有機基であり、qは0または1を表し、*は結合部を表す。)
[3]:前記一般式(1)中、Xが炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和炭化水素基であることを特徴とする上記[2]の金属含有膜形成用化合物。
[4]:前記一般式(1)中、Xが下記一般式(3)のいずれかであることを特徴とする上記[3]の金属含有膜形成用化合物。
【化76】
(一般式(3)中、R
a、及びR
bは水素原子または炭素数1~18の1価の有機基であり、R
cは水素原子または炭素数1~17の1価の有機基であり、R
aとR
bを合わせた炭素数は0~18であり、R
aおよびR
bが結合し、環状置換基を形成していてもよく、*
1、*
2はそれぞれカルボニル基との結合部を表し、*
1、*
2はそれらが逆でもよい。)
[5]:前記ケイ素含有有機基が、下記一般式(2A)で示される構造のいずれかであることを特徴とする上記[2]から上記[4]のいずれか1つの金属含有膜形成用化合物。
【化77】
(一般式(2A)中、R
3D及びR
3Eは置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される有機基であり、R
3は前記と同様であり、sは1~10を表し、*は酸素原子との結合部である。)
[6]:金属含有膜形成用組成物であって、上記[1]から上記[5]のいずれか1つの(A)金属含有膜形成用化合物、及び(B)有機溶剤を含有するものであることを特徴とする金属含有膜形成用組成物。
[7]:前記組成物が、更に(C)架橋剤、(E)界面活性剤、及び(F)酸発生剤のうち1種以上を含有するものであることを特徴とする上記[6]の金属含有膜形成用組成物。
[8]:前記(B)有機溶剤が、(B1)高沸点溶剤として沸点が180℃以上の有機溶剤1種以上を含有するものであることを特徴とする上記[6]又は上記[7]の金属含有膜形成用組成物。
[9]:前記金属含有膜形成用組成物が、更に(G)100nm以下の平均一次粒径を有する金属酸化物ナノ粒子を含むものであることを特徴とする上記[6]から上記[8]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物。
[10]:前記(G)金属酸化物ナノ粒子が、酸化ジルコニウムナノ粒子、酸化ハフニウムナノ粒子、酸化チタンナノ粒子、酸化スズナノ粒子、及び酸化タングステンナノ粒子からなる群から選択されるものであることを特徴とする上記[9]の金属含有膜形成用組成物。
[11]:前記金属含有膜形成用組成物が、更に下記一般式(3’)で示される有機基のいずれかと芳香環とを有する流動性促進剤(BP)を含むものであることを特徴とする上記[6]から上記[10]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物。
【化78】
(一般式(3’)中、*は酸素原子への結合部位を表し、R
Bは炭素数1~10の2価の有機基、R
Aは水素原子又は炭素数1~10の1価の有機基である。)
[12]:前記流動性促進剤(BP)が、下記一般式(BP-1)、(BP-2)、(BP-3)、(BP-4)および(BP-5)で示される構成単位を少なくとも1つ有するものであることを特徴とする上記[11]の金属含有膜形成用組成物。
【化79】
(一般式(BP-1)および(BP-2)中、W
1とW
2はそれぞれ独立に、ベンゼン環又はナフタレン環であり、ベンゼン環およびナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよく、R’
aはそれぞれ独立に下記式(4)で示される基であり、Yは下記式(5)で示される基である。n
1はそれぞれ独立に0又は1であり、n
2はそれぞれ独立に1又は2であり、Vはそれぞれ独立に水素原子又は連結部を表す。)
【化80】
(一般式(BP-3)中、Z
1は下記一般式(6)で示される基あり、R’
aはそれぞれ独立に下記式(4)で示される基であり、n
4はそれぞれ独立に0又は1であり、n
5はそれぞれ独立に1又は2であり、Vはそれぞれ独立に水素原子又は連結部を表す。)
【化81】
(式(4)中、*は酸素原子との結合部を表す。)
【化82】
(式(5)中、*は結合手を表す。)
【化83】
(一般式(6)中、W
1、W
2、Y、n
1は前記と同じであり、*は結合手を表す。)
【化84】
(一般式(BP-4)中、m
3およびm
4はそれぞれ独立に1または2を表し、Zは単結合または下記一般式(7)で示される構造のいずれかであり、R
xはそれぞれ独立に下記一般式(8)で示される構造のいずれかである。)
【化85】
(一般式(7)中、*は結合手を表し、lは0から3の整数を表し、R
a~R
fはそれぞれ独立して水素原子、フッ素置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、フェニル基、またはフェニルエチル基を表し、R
aとR
bが結合して環状化合物を形成してもよい。)
【化86】
(一般式(8)中、*は芳香環への結合部位を表し、Q
1は炭素数1~30の直鎖状の飽和炭化水素基、または下記一般式(9)で示される構造である。)
【化87】
(一般式(9)中、*はカルボニル基への結合部位を表し、R
iは前記式(4)で示される基であり、R
jは炭素数1~10の直鎖状、若しくは分岐状の炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ニトリル基、炭素数1~10のアルコキシカルボニル基、又は炭素数1~10のアルカノイルオキシ基を表し、n’
3およびn’
4は芳香環上の置換基の数を表し、それぞれ0~7の整数を表し、n’
3+n’
4は0以上7以下であり、n’
5は0~2を表す。)
【化88】
(一般式(BP-5)中、R
1は炭素数1~30の飽和の1価の有機基又は炭素数2~30の不飽和の1価の有機基であり、X’は炭素数1~30の2価の有機基であり、R’
aは前記式(4)で示される基であり、p’は0~5の整数、q
1は1~6の整数、p’+q
1は1以上6以下の整数であり、q
2は0又は1である。)
[13]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(I-1)被加工基板上に、上記[6]から上記[12]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(I-2)前記金属含有膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(I-3)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(I-4)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(I-5)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
[14]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(II-1)被加工基板上に、上記[6]から上記[12]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(II-2)前記金属含有膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜を形成する工程、
(II-3)前記ケイ素含有レジスト中間膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(II-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(II-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写する工程、
(II-6)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(II-7)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
[15]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(III-1)被加工基板上に、上記[6]から上記[12]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(III-2)前記金属含有膜上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成する工程、
(III-3)前記無機ハードマスク中間膜上に、有機薄膜を形成する工程、
(III-4)前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(III-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(III-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(III-7)前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(III-8)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
[16]:前記無機ハードマスク中間膜が、CVD法又はALD法によって形成されることを特徴とする上記[15]のパターン形成方法。
[17]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(IV-1)被加工基板上に、上記[6]から上記[12]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(IV-2)前記金属含有膜上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(IV-3)前記レジスト下層膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜、またはケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成する工程、
(IV-4)前記ケイ素含有レジスト中間膜または前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(IV-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(IV-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜または前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(IV-7)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜または無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、
(IV―8)前記レジスト下層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(IV-9)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
[18]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(V-1)被加工基板上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(V-2)前記レジスト下層膜上に、レジスト中間膜、又はケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成する工程、
(V-3)前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせ上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(V-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(V-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト中間膜、又は前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(V-6)前記パターンが転写されたレジスト中間膜、又は無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、
(V-7)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上に、上記[6]から上記[12]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を被覆し、前記レジスト下層膜パターン間を前記金属含有膜で充填する工程、
(V-8)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上を覆う前記金属含有膜を化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、パターンが形成された前記レジスト下層膜の上面を露出させる工程、
(V-9)前記レジスト下層膜上面に残っている前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜をドライエッチングで除去する工程、
(V-10)表面が露出した前記パターンが形成された前記レジスト下層膜をドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンを前記金属含有膜上に形成する工程、
(V-11)前記反転パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板に反転パターンを形成する工程
を有することを特徴とするトーン反転式パターン形成方法。
【0248】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
金属含有膜形成用組成物であって、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の(A)金属含有膜形成用化合物、及び(B)有機溶剤を含有するものであることを特徴とする金属含有膜形成用組成物。
前記組成物が、更に(C)架橋剤、(E)界面活性剤、及び(F)酸発生剤のうち1種以上を含有するものであることを特徴とする請求項6に記載の金属含有膜形成用組成物。
前記(B)有機溶剤が、(B1)高沸点溶剤として沸点が180℃以上の有機溶剤1種以上を含有するものであることを特徴とする請求項6に記載の金属含有膜形成用組成物。
前記金属含有膜形成用組成物が、更に(G)100nm以下の平均一次粒径を有する金属酸化物ナノ粒子を含むものであることを特徴とする請求項6に記載の金属含有膜形成用組成物。
前記(G)金属酸化物ナノ粒子が、酸化ジルコニウムナノ粒子、酸化ハフニウムナノ粒子、酸化チタンナノ粒子、酸化スズナノ粒子、及び酸化タングステンナノ粒子からなる群から選択される請求項9に記載の金属含有膜形成用組成物。
メラミン系架橋剤として、具体的には、ヘキサメトキシメチル化メラミン、ヘキサブトキシメチル化メラミン、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
アクリレート系架橋剤として、具体的には、ジペンタエリトリトールヘキサアクリラートを例示できる。
グリコールウリル系架橋剤として、具体的には、テトラメトキシメチル化グリコールウリル、テトラブトキシメチル化グリコールウリル、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
ベンゾグアナミン系架橋剤として、具体的には、テトラメトキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラブトキシメチル化ベンゾグアナミン、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
ウレア系架橋剤として、具体的には、ジメトキシメチル化ジメトキシエチレンウレア、このアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
β-ヒドロキシアルキルアミド系架橋剤として具体的には、N,N,N’,N’-テトラ(2-ヒドロキシエチル)アジピン酸アミドを例示できる。
イソシアヌレート系架橋剤として具体的には、トリグリシジルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートを例示できる。
アジリジン系架橋剤として具体的には、4,4’-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオナート]を例示できる。
オキサゾリン系架橋剤として具体的には、2,2’-イソプロピリデンビス(4-ベンジル-2-オキサゾリン)、2,2’-イソプロピリデンビス(4-フェニル-2-オキサゾリン)、2,2’-メチレンビス-4,5-ジフェニル-2-オキサゾリン、2,2’-メチレンビス-4-フェニル-2-オキサゾリン、2,2’-メチレンビス-4-tertブチル-2-オキサゾリン、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、1,3-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、1,4-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、2-イソプロペニルオキサゾリン共重合体を例示できる。
エポキシ系架橋剤として具体的には、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルを例示できる。
上記酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。酸発生剤を添加する場合の添加量は、上記(A)金属含有膜形成用化合物100質量部に対して好ましくは0.05~50質量部、より好ましくは0.1~10質量部である。
このような粒径範囲であれば、金属含有膜形成用組成物中において、良好な分散性を発揮することが可能であり、微細パターン構造の密集部の埋め込み性/平坦化特性を劣化させることなく、金属含有膜のドライエッチング耐性を向上させることが可能である。(G)金属酸化物ナノ粒子を添加する場合の添加量は、上記(A)金属含有膜形成用化合物100質量部に対して好ましくは5~50質量部、より好ましくは5~30質量部である。
次いで、得られたSOC-1膜パターン上に、上記の金属含有膜形成用組成物(UDL-1~15、比較例UDL-1~2、比較例UDL-4~5)を塗布し、大気中、350℃で60秒焼成し、膜厚80nmの金属含有膜を形成した。その後、SOC-1膜パターンを覆う金属含有膜をエッチングしてSOC-1膜パターンの上面を露出させた。上面が露出したSOC-1膜パターン表面に残るレジスト中間膜をエッチングで除去し、次いで露出したSOC-1膜パターンをエッチングで除去し、金属含有膜に上記パターンを反転させ、得られた金属含有膜パターンをマスクにしてSiO2膜のエッチング加工を行った。比較例として、金属含有膜形成用組成物を使わずにSOC-1膜パターンをマスクにして、SiO2膜のエッチングについても行った(比較例5-5)。エッチング条件は下記に示すとおりである。
本明細書は、以下の態様を包含する。
[1]:金属含有膜形成用組成物に用いる金属含有膜形成用化合物であって、前記化合物がTi、Zr、及びHfからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属原子と、前記金属原子に配位する配位子とを含む金属化合物であり、前記配位子が下記一般式(W-1)で示される架橋基を含むものであることを特徴とする金属含有膜形成用化合物。
【化71】
(一般式(W-1)中、R
1は水素原子またはメチル基であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、R
2は水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*は結合部を表す。)
[2]:前記化合物が、下記一般式(A)で示されるものであることを特徴とする上記[1]の金属含有膜形成用化合物。
【化72】
(一般式(A)中、Mは、Ti、Zr、又はHfであり、R
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4は下記一般式(1)で示される有機基、下記一般式(2)で示されるケイ素含有有機基、または炭素数1~10のアルキル基であり、R
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4のうちの少なくとも1つが、下記一般式(1)で示される有機基であり、さらに、R
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4のうちの少なくとも1つが下記一般式(2)で示されるケイ素含有有機基であり、nは1~30である。)
【化73】
(一般式(1)中、Xは炭素数1~31のp+1価の有機基であり、Wは前記一般式(W-1)で示される構造のいずれかであり、pは1~4を表し、*は酸素原子との結合部を表す。)
【化74】
(一般式(2)中、R
3A、R
3B、及びR
3Cは、下記一般式(c-1)~(c―3)で示される構造のいずれかの架橋基を有する炭素数2~30の有機基、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される有機基のいずれかであり、*は酸素原子との結合部である。)
【化75】
(一般式(c-1)~(c-3)中、R
3は水素原子または炭素数1~10の1価の有機基であり、qは0または1を表し、*は結合部を表す。)
[3]:前記一般式(1)中、Xが炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和炭化水素基であることを特徴とする上記[2]の金属含有膜形成用化合物。
[4]:前記一般式(1)中、Xが下記一般式(3)のいずれかであることを特徴とする上記[3]の金属含有膜形成用化合物。
【化76】
(一般式(3)中、R
a、及びR
bは水素原子または炭素数1~18の1価の有機基であり、R
cは水素原子または炭素数1~17の1価の有機基であり、R
aとR
bを合わせた炭素数は0~18であり、R
aおよびR
bが結合し、環状置換基を形成していてもよく、*
1、*
2はそれぞれカルボニル基との結合部を表し、*
1、*
2はそれらが逆でもよい。)
[5]:前記ケイ素含有有機基が、下記一般式(2A)で示される構造のいずれかであることを特徴とする上記[2]から上記[4]のいずれか1つの金属含有膜形成用化合物。
【化77】
(一般式(2A)中、R
3D及びR
3Eは置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される有機基であり、R
3は前記と同様であり、sは1~10を表し、*は酸素原子との結合部である。)
[6]:金属含有膜形成用組成物であって、上記[1]から上記[5]のいずれか1つの(A)金属含有膜形成用化合物、及び(B)有機溶剤を含有するものであることを特徴とする金属含有膜形成用組成物。
[7]:前記組成物が、更に(C)架橋剤、(E)界面活性剤、及び(F)酸発生剤のうち1種以上を含有するものであることを特徴とする上記[6]の金属含有膜形成用組成物。
[8]:前記(B)有機溶剤が、(B1)高沸点溶剤として沸点が180℃以上の有機溶剤1種以上を含有するものであることを特徴とする上記[6]又は上記[7]の金属含有膜形成用組成物。
[9]:前記金属含有膜形成用組成物が、更に(G)100nm以下の平均一次粒径を有する金属酸化物ナノ粒子を含むものであることを特徴とする上記[6]から上記[8]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物。
[10]:前記(G)金属酸化物ナノ粒子が、酸化ジルコニウムナノ粒子、酸化ハフニウムナノ粒子、酸化チタンナノ粒子、酸化スズナノ粒子、及び酸化タングステンナノ粒子からなる群から選択されるものであることを特徴とする上記[9]の金属含有膜形成用組成物。
[11]:前記金属含有膜形成用組成物が、更に下記一般式(3’)で示される有機基のいずれかと芳香環とを有する流動性促進剤(BP)を含むものであることを特徴とする上記[6]から上記[10]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物。
【化78】
(一般式(3’)中、*は酸素原子への結合部位を表し、R
Bは炭素数1~10の2価の有機基、R
Aは水素原子又は炭素数1~10の1価の有機基である。)
[12]:前記流動性促進剤(BP)が、下記一般式(BP-1)、(BP-2)、(BP-3)、(BP-4)および(BP-5)で示される構成単位を少なくとも1つ有するものであることを特徴とする上記[11]の金属含有膜形成用組成物。
【化79】
(一般式(BP-1)および(BP-2)中、W
1とW
2はそれぞれ独立に、ベンゼン環又はナフタレン環であり、ベンゼン環およびナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよく、R’
aはそれぞれ独立に下記式(4)で示される基であり、Yは下記式(5)で示される基である。n
1はそれぞれ独立に0又は1であり、n
2はそれぞれ独立に1又は2であり、Vはそれぞれ独立に水素原子又は連結部を表す。)
【化80】
(一般式(BP-3)中、Z
1は下記一般式(6)で示される基あり、R’
aはそれぞれ独立に下記式(4)で示される基であり、n
4はそれぞれ独立に0又は1であり、n
5はそれぞれ独立に1又は2であり、Vはそれぞれ独立に水素原子又は連結部を表す。)
【化81】
(式(4)中、*は酸素原子との結合部を表す。)
【化82】
(式(5)中、*は結合手を表す。)
【化83】
(一般式(6)中、W
1、W
2、Y、n
1は前記と同じであり、*は結合手を表す。)
【化84】
(一般式(BP-4)中、m
3およびm
4はそれぞれ独立に1または2を表し、Zは単結合または下記一般式(7)で示される構造のいずれかであり、R
xはそれぞれ独立に下記一般式(8)で示される構造のいずれかである。)
【化85】
(一般式(7)中、*は結合手を表し、lは0から3の整数を表し、R
a~R
fはそれぞれ独立して水素原子、フッ素置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、フェニル基、またはフェニルエチル基を表し、R
aとR
bが結合して環状化合物を形成してもよい。)
【化86】
(一般式(8)中、*は芳香環への結合部位を表し、Q
1は炭素数1~30の直鎖状の飽和炭化水素基、または下記一般式(9)で示される構造である。)
【化87】
(一般式(9)中、*はカルボニル基への結合部位を表し、R
iは前記式(4)で示される基であり、R
jは炭素数1~10の直鎖状、若しくは分岐状の炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ニトリル基、炭素数
2~10のアルコキシカルボニル基、又は炭素数1~10のアルカノイルオキシ基を表し、n’
3およびn’
4は芳香環上の置換基の数を表し、それぞれ0~7の整数を表し、n’
3+n’
4は0以上7以下であり、n’
5は0~2を表す。)
【化88】
(一般式(BP-5)中、R
1は炭素数1~30の飽和の1価の有機基又は炭素数2~30の不飽和の1価の有機基であり、X’は炭素数1~30の2価の有機基であり、R’
aは前記式(4)で示される基であり、p’は0~5の整数、q
1は1~6の整数、p’+q
1は1以上6以下の整数であり、q
2は0又は1である。)
[13]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(I-1)被加工基板上に、上記[6]から上記[12]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(I-2)前記金属含有膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(I-3)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(I-4)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(I-5)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
[14]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(II-1)被加工基板上に、上記[6]から上記[12]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(II-2)前記金属含有膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜を形成する工程、
(II-3)前記ケイ素含有レジスト中間膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(II-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(II-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写する工程、
(II-6)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(II-7)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
[15]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(III-1)被加工基板上に、上記[6]から上記[12]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(III-2)前記金属含有膜上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成する工程、
(III-3)前記無機ハードマスク中間膜上に、有機薄膜を形成する工程、
(III-4)前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(III-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(III-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(III-7)前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(III-8)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
[16]:前記無機ハードマスク中間膜が、CVD法又はALD法によって形成されることを特徴とする上記[15]のパターン形成方法。
[17]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(IV-1)被加工基板上に、上記[6]から上記[12]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(IV-2)前記金属含有膜上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(IV-3)前記レジスト下層膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜、またはケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成する工程、
(IV-4)前記ケイ素含有レジスト中間膜または前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(IV-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(IV-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜または前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(IV-7)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜または無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、
(IV―8)前記
パターンが転写されたレジスト下層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(IV-9)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
[18]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(V-1)被加工基板上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(V-2)前記レジスト下層膜上に、レジスト中間膜、又はケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成する工程、
(V-3)前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせ上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(V-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(V-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト中間膜、又は前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(V-6)前記パターンが転写されたレジスト中間膜、又は無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、
(V-7)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上に、上記[6]から上記[12]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を被覆し、前記レジスト下層膜パターン間を前記金属含有膜で充填する工程、
(V-8)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上を覆う前記金属含有膜を化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、パターンが形成された前記レジスト下層膜の上面を露出させる工程、
(V-9)前記レジスト下層膜上面に残っている前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜をドライエッチングで除去する工程、
(V-10)表面が露出した前記パターンが形成された前記レジスト下層膜をドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンを前記金属含有膜上に形成する工程、
(V-11)前記反転パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板に反転パターンを形成する工程
を有することを特徴とするトーン反転式パターン形成方法。