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特開2024-97530情報処理装置、医療者端末及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097530
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、医療者端末及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20240711BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001032
(22)【出願日】2023-01-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年1月25日に2021年度学長記者懇談会(大阪公立大学)にて公開。 令和4年3月19日にEBMT2022 第48回欧州骨髄移植学会議にて公開。 令和4年11月2日にhttps://www.nature.com/articles/s41409-022-01798-0にて公開。
(71)【出願人】
【識別番号】519135633
【氏名又は名称】公立大学法人大阪
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】弁理士法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】岡村 浩史
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
(57)【要約】
【課題】移植法などの治療法に関して、患者個別に適性が高い治療法を予測する技術を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、移植手術を受けた患者毎に、複数の想定移植法の各々について、機械学習された予測モデルを用いて、術後経過を予測する予測部と、患者毎に、良好な術後経過に対応する想定移植法を推奨移植法として選定する推奨部と、複数の患者を、実施移植法と推奨移植法が一致する推奨群と、実施移植法と推奨移植法が一致しない非推奨群とに分類し、推奨群の術後経過と非推奨群の術後経過とを解析して、予測モデルの評価結果を算出する評価部と、を備える。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植手術を受けた複数の第1患者の各々について、予後因子と、実施移植法と、術後経過に係る指標とを含む教師データを記憶するための教師データ記憶部と、
前記第1患者の前記予後因子と、前記第1患者の前記実施移植法とを説明変数とし、前記第1患者の前記指標を目的変数とする予測モデルを機械学習により生成するモデル生成部と、
前記移植手術を受けた複数の第2患者の各々について、予後因子と、実施移植法と、実際の術後経過に係る指標とを含む評価データを記憶するための評価データ記憶部と、
前記第2患者毎に、複数の想定移植法の各々について、前記予測モデルを用いて、前記予後因子と当該想定移植法とから、当該想定移植法による術後経過を予測する予測部と、
前記第2患者毎に、前記想定移植法毎に予測された前記術後経過のうち良好な前記術後経過に対応する前記想定移植法を推奨移植法として選定する推奨部と、
複数の前記第2患者のそれぞれを、当該第2患者の前記実施移植法と前記推奨移植法が一致する推奨群と、当該第2患者の前記実施移植法と前記推奨移植法が一致しない非推奨群とに分類し、前記推奨群における前記実際の術後経過と前記非推奨群における前記実際の術後経過とを解析して、前記予測モデルの評価結果を算出する評価部と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記予測部は、前記第2患者毎に、当該第2患者の前記実施移植法に基づいて実施不可能と推測される移植法を除く前記複数の想定移植法を選択することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記移植手術を受けた複数の第3患者の各々について、予後因子と、実施移植法と、術後経過に係る指標とを含む追加データを取得するデータ取得部を、更に備え、
前記モデル生成部は、前記第1患者及び前記第3患者の前記予後因子と、前記第1患者及び前記第3患者の前記実施移植法とを前記説明変数とし、前記第1患者及び前記第3患者の前記指標を前記目的変数とする予測モデルを機械学習により生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記移植手術を受ける現患者の予後因子を入力する入力部を、更に備え、
前記予測部は、前記予測モデルを用いて、前記現患者の前記予後因子と、候補移植法とから、当該候補移植法による前記現患者の術後経過を予測することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記予測部は、複数の前記候補移植法について、それぞれ前記現患者の前記術後経過を予測し、
前記候補移植法毎に予測された前記現患者の前記術後経過を比較可能な態様で出力する出力部を、更に備えることを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記移植手術を受ける現患者の予後因子を入力する入力部と、
請求項1に記載の情報処理装置で生成された前記予測モデルを用いて、前記現患者の前記予後因子と、候補移植法とから、当該候補移植法による前記現患者の術後経過を予測する予測部と、を備えることを特徴とする医療者端末。
【請求項7】
前記予測部は、複数の前記候補移植法について、それぞれ前記現患者の前記術後経過を予測し、
前記候補移植法毎に予測された前記現患者の前記術後経過を比較可能な態様で出力する出力部を、更に備えることを特徴とする請求項6に記載の医療者端末。
【請求項8】
前記予測モデルの前記評価結果を出力する出力部を、更に備えることを特徴とする請求項6に記載の医療者端末。
【請求項9】
所定治療を受けた複数の第1患者の各々について、予後因子と、実施治療法と、治療後経過に係る指標とを含む教師データを記憶する教師データ記憶部と、
前記第1患者の前記予後因子と、前記第1患者の前記実施治療法とを説明変数とし、前記第1患者の前記指標を目的変数とする予測モデルを機械学習により生成するモデル生成部と、
前記所定治療を受けた複数の第2患者の各々について、予後因子と、実施治療法と、実際の治療後経過に係る指標とを含む評価データを記憶するための評価データ記憶部と、
前記第2患者毎に、複数の想定治療法の各々について、前記予測モデルを用いて、前記予後因子と当該想定治療法とから、当該想定治療法による治療後経過を予測する予測部と、
前記第2患者毎に、前記想定治療法毎に予測された前記治療後経過のうち良好な前記治療後経過に対応する前記想定治療法を推奨治療法として選定する推奨部と、
複数の前記第2患者のそれぞれを、当該第2患者の前記実施治療法と前記推奨治療法が一致する推奨群と、当該第2患者の前記実施治療法と前記推奨治療法が一致しない非推奨群とに分類し、前記推奨群における前記実際の治療後経過と前記非推奨群における前記実際の治療後経過とを解析して、前記予測モデルの評価結果を算出する評価部と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
前記所定治療を受ける現患者の予後因子を入力する入力部と、
請求項9に記載の情報処理装置で生成された前記予測モデルを用いて、前記現患者の前記予後因子と、候補治療法とから、当該候補治療法による前記現患者の治療後経過を予測する予測部と、を備えることを特徴とする医療者端末。
【請求項11】
移植手術を受けた複数の第1患者の各々について、予後因子と、実施移植法と、術後経過に係る指標とを含む教師データを記憶するための教師データ記憶部と、
前記移植手術を受けた複数の第2患者の各々について、予後因子と、実施移植法と、実際の術後経過に係る指標とを含む評価データを記憶するための評価データ記憶部と、を備えるコンピュータに、
前記第1患者の前記予後因子と、前記第1患者の前記実施移植法とを説明変数とし、前記第1患者の前記指標を目的変数とする予測モデルを機械学習により生成する機能と、
前記第2患者毎に、複数の想定移植法の各々について、前記予測モデルを用いて、前記予後因子と当該想定移植法とから、当該想定移植法による術後経過を予測する機能と、
前記第2患者毎に、前記想定移植法毎に予測された前記術後経過のうち良好な前記術後経過に対応する前記想定移植法を推奨移植法として選定する機能と、
複数の前記第2患者のそれぞれを、当該第2患者の前記実施移植法と前記推奨移植法が一致する推奨群と、当該第2患者の前記実施移植法と前記推奨移植法が一致しない非推奨群とに分類し、前記推奨群における前記実際の術後経過と前記非推奨群における前記実際の術後経過とを解析して、前記予測モデルの評価結果を算出する機能と、を発揮させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
移植手術を受ける現患者の予後因子を入力する機能と、
請求項1に記載の情報処理装置で生成された前記予測モデルを用いて、前記現患者の前記予後因子と、候補移植法とから、当該候補移植法による前記現患者の術後経過を予測する機能と、をコンピュータに発揮させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療法の予後を予測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
他人からの造血幹細胞を移植する同種造血幹細胞移植は、白血病をはじめとした難治性血液疾患の唯一の根治療法である。以下、同種造血幹細胞移植を単に「造血幹細胞移植」という。
【0003】
近年、前処置や移植片対宿主病(以下、「GVHD」と記す)の予防法の改良、ドナー選択肢の増加により、多岐に渡る移植法が開発され、治療成績も向上してきた。その結果、移植を受ける患者は増加の一途にある。一方、どのような患者に対してどの移植法が最適かという選択は複雑化しており、移植医や移植施設の主観や経験に依存するところが大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-119383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医療分野において、人工知能や機械学習の活用が広がっているが、そのほとんどは、診断又は単に予後予測に関するものである。機械学習モデルに患者個別の移植法を推奨させ、その推奨移植法が予後改善に寄与することを示した報告はない。
【0006】
特許文献1には、学習機を用いて特定のドナーに関して移植予後の結果を含む移植候補情報を生成する技術が開示されているが、移植法を推奨する仕組みは無い。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、移植法などの治療法に関して、患者個別に適性が高い治療法を予測することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様の情報処理装置は、移植手術を受けた複数の第1患者の各々について、予後因子と、実施移植法と、術後経過に係る指標とを含む教師データを記憶するための教師データ記憶部と、第1患者の予後因子と、第1患者の実施移植法とを説明変数とし、第1患者の上記指標を目的変数とする予測モデルを機械学習により生成するモデル生成部と、移植手術を受けた複数の第2患者の各々について、予後因子と、実施移植法と、実際の術後経過に係る指標とを含む評価データを記憶するための評価データ記憶部と、第2患者毎に、複数の想定移植法の各々について、予測モデルを用いて、予後因子と当該想定移植法とから、当該想定移植法による術後経過を予測する予測部と、第2患者毎に、想定移植法毎に予測された術後経過のうち良好な術後経過に対応する想定移植法を推奨移植法として選定する推奨部と、複数の第2患者のそれぞれを、当該第2患者の実施移植法と推奨移植法が一致する推奨群と、当該第2患者の実施移植法と推奨移植法が一致しない非推奨群とに分類し、推奨群における実際の術後経過と非推奨群における実際の術後経過とを解析して、予測モデルの評価結果を算出する評価部と、を備える。
【0009】
本発明の別の態様の情報処理装置は、所定治療を受けた複数の第1患者の各々について、予後因子と、実施治療法と、治療後経過に係る指標とを含む教師データを記憶する教師データ記憶部と、第1患者の予後因子と、第1患者の実施治療法とを説明変数とし、第1患者の上記指標を目的変数とする予測モデルを機械学習により生成するモデル生成部と、所定治療を受けた複数の第2患者の各々について、予後因子と、実施治療法と、実際の治療後経過に係る指標とを含む評価データを記憶するための評価データ記憶部と、第2患者毎に、複数の想定治療法の各々について、予測モデルを用いて、予後因子と当該想定治療法とから、当該想定治療法による治療後経過を予測する予測部と、第2患者毎に、想定治療法毎に予測された治療後経過のうち良好な治療後経過に対応する想定治療法を推奨治療法として選定する推奨部と、複数の第2患者のそれぞれを、当該第2患者の実施治療法と推奨治療法が一致する推奨群と、実施治療法と推奨治療法が一致しない非推奨群とに分類し、推奨群における実際の治療後経過と非推奨群における実際の治療後経過とを解析して、予測モデルの評価結果を算出する評価部と、を備える。
【0010】
本発明のある態様のプログラムは、移植手術を受けた複数の第1患者の各々について、予後因子と、実施移植法と、術後経過に係る指標とを含む教師データを記憶するための教師データ記憶部と、移植手術を受けた複数の第2患者の各々について、予後因子と、実施移植法と、実際の術後経過に係る指標とを含む評価データを記憶するための評価データ記憶部と、を備えるコンピュータに、第1患者の予後因子と、第1患者の実施移植法とを説明変数とし、第1患者の上記指標を目的変数とする予測モデルを機械学習により生成する機能と、第2患者毎に、複数の想定移植法の各々について、予測モデルを用いて、予後因子と当該想定移植法とから、当該想定移植法による術後経過を予測する機能と、第2患者毎に、想定移植法毎に予測された術後経過のうち良好な術後経過に対応する想定移植法を推奨移植法として選定する機能と、複数の第2患者のそれぞれを、当該第2患者の実施移植法と推奨移植法が一致する推奨群と、当該第2患者の実施移植法と推奨移植法が一致しない非推奨群とに分類し、推奨群における実際の術後経過と非推奨群における実際の術後経過とを解析して、予測モデルの評価結果を算出する機能と、を発揮させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、移植法などの治療法に関して、患者個別に適性が高い治療法を予測する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ドナーソースの選択手順を示す図である。
図2】造血幹細胞移植の治療の流れを示す図である。
図3】移植法の定義を示す図である。
図4】臨床データの構成図である。
図5】予測モデルを使って予後予測を行うまでのフェーズを示す図である。
図6】ネットワーク構成と医療者端末の機能ブロックを示す図である。
図7】予測モデルの生成に関わる変数を示す図である。
図8】モデル生成の概要を示す図である。
図9】予測モデルの利用に関わる変数を示す図である。
図10図10(A)は、移植法の生存関数Sを示すグラフである。図10(B)は、2つの移植法の生存関数Sa,Sbを示すグラフである。
図11】予測モデルの評価の概要を示す図である。
図12】予測モデルの評価の概要を示す図である。
図13】予測モデルの評価の概要を示す図である。
図14】予測モデルの評価の概要を示す図である。
図15】予測モデルの評価の概要を示す図である。
図16】評価結果画面の例を示す図である。
図17】予測モデルの評価処理のフロー図である。
図18】予後予測画面の例を示す図である。
図19】予後予測処理のフロー図である。
図20】変形例1におけるモデル生成の概要を示す図である。
図21】Deep Survによる予測モデルの評価結果画面を示す図である。
図22】変形例3におけるネットワーク構成と医療支援サーバの機能ブロックを示す図である。
図23】変形例4におけるネットワーク構成と医療者端末の機能ブロックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
実施形態では、造血幹細胞移植の移植法に応じた術後経過を予測する予測モデルを機械学習し、予測モデルを使って実際の患者(以下、「現患者」という)の予後を予測し、現患者に対する適性の高い移植法を推奨する情報処理について説明する。ここでいう移植法には、ドナーソースの選択が含まれる。
【0014】
図1は、ドナーソースの選択手順を示す図である。
医療者は、血縁者の情報を取得する(S10)。医療者は、血縁者の中に患者とヒト白血球抗原(以下、「HLA」と記す)が一致する人がいるかを調べる。血縁者の中にドナーになれるHLA適合者がいる場合には(S12のYES)、その血縁者がHLA適合血縁ドナー(以下、「MRD」と記す)として選択される(S14)。HLA適合者とは、HLA型が患者と一致する人のことである。一致の度合いは、所定の基準に照らして判断される。
【0015】
血縁者の中にドナーになれるHLA適合者がいない場合には(S12のNO)、医療者は、日本骨髄バンクの登録者の中にHLA適合者がいるか照会する(S16)。登録者の中にHLA適合者がいる場合には(S18のYES)、医療者は、その登録者をHLA適合非血縁ドナー(以下、「MUD」と記す)として選択する(S20)。登録者の中にHLA適合者がいない場合には(S18のNO)、医療者は、非血縁者臍帯血(以下、「UCB」と記す)をドナーソースとするか(S22)、あるいはHLA半合致ドナー(以下、「Haplo」と記す)をドナーソースとする検討を行う(S24)。HLA半合致ドナーとは、HLA型の半分が一致するドナーのことである。
【0016】
このように、ドナーソースの選択には優先順位がある。MRDが第1優先であり、HLAMUDが第2優先であり、UCBとHaploが第3優先である。
【0017】
図2は、造血幹細胞移植の治療の流れを示す図である。
移植前の処置(以下、「前処置」という)として、大量の抗がん剤の投与と放射線の全身照射が行われる。前処置により、腫瘍細胞を減少させ、患者の免疫細胞の働きを抑制する。同時に、正常な造血能力は低下する。移植前処置は、骨髄破壊的前処置(以下、「MAC」と記す)と減量強度前処置(以下、「RIC」と記す)に分けられ、いずれかが選択される。RICは、MACに比べて身体への負担が軽い。
【0018】
前処置の後、造血幹細胞移植が行われる。造血幹細胞は、静脈から投与される。その後、造血幹細胞が骨髄で増殖し、白血球数が増え始める段階を「生着」という。生着の後、ドナー造血の能力が発揮される。以降の術後経過の観察において、移植日を起点とした経過期間が管理される。
【0019】
移植後には、GVHDなどの合併症が生じることがある。HLA半合致ドナー(Haplo)からの移植の場合には、GVHD予防のための免疫抑制療法として、移植後シクロホスファミドが用いられることがある。ドナーソースがMRD、MUD又はUCBの場合には、移植後シクロホスファミドは用いられない。以下、移植後シクロホスファミドを用いるケースを「PTCY」と記し、移植後シクロホスファミドを用いないケースを「Non-PTCY」と記す。
【0020】
図3は、移植法の定義を示す図である。
実施形態では、前処置とドナーソースとGVHD予防法の組み合わせによって、10種の移植法を定義する。第1移植法は、RICとMRDとNon-PTCYの組み合わせで定義される。以下、第1移植法を「R-MRD」と記す。第2移植法は、RICとMUDとNon-PTCYの組み合わせで定義される。以下、第2移植法を「R-MUD」と記す。第3移植法は、RICとUCBとNon-PTCYの組み合わせで定義される。以下、第3移植法を「R-UCB」と記す。第4移植法は、RICとHaploとPTCYの組み合わせで定義される。以下、第4移植法を「R-Haplo-CY」と記す。第5移植法は、RICとHaploとNon-PTCYの組み合わせで定義される。以下、第5移植法を「R-Haplo-nCY」と記す。第6移植法は、MACとMRDとNon-PTCYの組み合わせで定義される。以下、第6移植法を「M-MRD」と記す。第7移植法は、MACとMUDとNon-PTCYの組み合わせで定義される。以下、第7移植法を「M-MUD」と記す。第8移植法は、MACとUCBとNon-PTCYの組み合わせで定義される。以下、第8移植法を「M-UCB」と記す。第9移植法は、MACとHaploとPTCYの組み合わせで定義される。以下、第9移植法を「M-Haplo-CY」と記す。第10移植法は、MACとHaploとNon-PTCYの組み合わせで定義される。以下、第10移植法を「M-Haplo-nCY」と記す。
【0021】
図4は、臨床データ201の構成図である。
臨床データ201は、造血幹細胞移植の臨床例を集めたデータである。臨床データ201は、臨床例を示すレコード毎に、登録番号、移植日、年齢、疾患名、疾患状態、PS、HCT-CI、CMV抗体、実施移植法及び実際の全生存期間のフィールドを有する。
【0022】
疾患名は、造血幹細胞移植を必要とする白血病などの疾患の名前であるが、以下では、疾患A、疾患B及び疾患Cなどとして説明する。疾患状態は、非完全奏効などの治療の状態を示すが、以下では、疾患状態a、疾患状態b及び疾患状態cなどとして説明する。
【0023】
PSは、パフォーマンスステータスの略であり、日常生活動作のレベルに応じて患者の全身状態を表す指標である。HCT-CIは、造血細胞移植特異的併存疾患指数の略であり、移植前時点における併存疾患を0以上のスコアで表す。CMV抗体は、サイトメガロウイルス抗体の略であり、陽性又は陰性を示す。
【0024】
実施移植法は、患者に対して実際に施された移植法である。この例では、上述の定義によって分類している。実際の全生存期間は、移植日から患者が実際に生存した期間である。実際の全生存期間は、術後経過に係る指標の例である。
【0025】
これらのパラメータのうち、年齢、疾患名、疾患状態、PS、HCT-CI及びCMV抗体は、予後因子として用いられる。予後因子とは、患者が移植の術後にたどる経過を予測するための因子(要因の情報)である。例示した臨床データは、2009年~2018年に移植手術が実施された臨床例に関する。
【0026】
図5は、予測モデル101を使って予後予測を行うまでのフェーズを示す図である。
実施形態における情報処理を、3つのフェーズに分けて説明する。予測モデル101の生成フェーズ(S100)と評価フェーズ(S200)は、作業者が予測モデル101を準備する作業に相当し、実用フェーズ(S300)は、臨床に当たる医療者による予後の予測を相当する。作業者は、医療者であってもよいし、情報処理の技術者であってもよい。
【0027】
まず、作業者は、臨床例の患者を、重複しないように第1患者グループと第2患者グループに分ける。分け方は任意であるが、たとえば移植日を基準として2つの期間によってグループ分けを行う。第1患者グループのデータは、教師データとして用いられる。教師データとは、機械学習の基礎となるサンプルの集合である。教師データは、「学習用データ」あるいは「訓練データ」と言われることもある。第2患者グループのデータは、評価データとして用いられる。評価データとは、学習成果(予測モデル101)の評価に用いられるサンプルの集合である。評価データは、「評価用データ」あるいは「テストデータ」と言われることもある。
【0028】
生成フェーズ(S100)では、教師データを用いて予測モデル101を生成する。評価フェーズ(S200)では、評価データを用いて、生成された予測モデル101を評価する。
【0029】
予測モデル101が有効であると評価された場合には、予測モデル101の実用へ移る。実用フェーズ(S300)では、評価済みの予測モデル101に、現患者のデータを適用して、その患者が移植手術を受けた場合の予後を予測する。
【0030】
図6は、ネットワーク構成と医療者端末100の機能ブロックを示す図である。
医療者端末100は、インターネット又はLAN(Local Area Network)などのネットワークと接続しており、臨床データを提供する臨床データベースサーバ200と通信可能である。
【0031】
医療者端末100の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサ(Coprocessor)などの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。図示した各ブロックは、機能単位のブロックを示している。各ブロックは、記憶装置に記憶されているプログラムを演算器に実行させることによって実現してもよい。後述する医療支援サーバ300(図22)においても同様である。
【0032】
医療者端末100は、ユーザインターフェース処理部102、データ処理部104、通信処理部108およびデータ格納部106を含む。ユーザインターフェース処理部102は、キーボード、マウス及びタッチパネルなどを介してユーザからの操作を受け付けるほか、画像表示や音声出力など、ユーザインターフェース処理を担当する。通信処理部108は、ネットワークなどを介した通信処理を担当する。データ格納部106は各種データを格納する。データ処理部104は、ユーザインターフェース処理部102と通信処理部108により取得されたデータおよびデータ格納部106に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部104は、ユーザインターフェース処理部102、通信処理部108およびデータ格納部106のインターフェースとしても機能する。
【0033】
ユーザインターフェース処理部102は、ユーザの操作によってデータ入力を受け付ける受付部122とユーザへ提供するデータを医療者端末100のディスプレイに表示させる表示処理部120を有する。受付部122は、データを入力する入力部の例であり、表示処理部120は、データを出力する出力部の例である。
【0034】
通信処理部108は、ネットワークを介して各種データを受信する受信部182と、ネットワークを介して各種データを送信する送信部180とを含む。受信部182は、データを入力する入力部の例であり、送信部180は、データを出力する出力部の例である。
【0035】
データ処理部104は、データ取得部140、モデル生成部142、予測部146、推奨部150及び評価部152を含む。
データ取得部140は、臨床データベースサーバ200から臨床データを取得して、第1患者グループのデータを教師データとして教師データ記憶部162に記憶し、第2患者グループのデータを評価データとして評価データ記憶部160に記憶する。
【0036】
モデル生成部142は、学習エンジン144を含む。モデル生成部142は、学習エンジン144を用いて教師データに基づいて予測モデル101(学習モデルの一種)を生成する。実施形態では、生存時間の分析が可能な学習エンジン144を用いる。生存時間分析に適した機械学習として、たとえばRandom Survival Forest及びDeep Survなどが知られている。ここでは、Random Survival Forestの例を示す。
【0037】
Random Survival Forestと生存時間分析について簡単に説明する。Random Survival Forestでは、教師データから複数のブートストラップ標本を作成し、これらのブートストラップ標本を用いて複数の決定木を成長させる。そして、これらの決定木による予測結果に基づいて総合的な予測を行う。つまり、Random Survival Forestは、決定木を弱学習器とするアンサンブル学習アルゴリズムである。総合的な予測結果は、ある時間tまでに所定イベントが発生していないことを示す生存関数S(時間t)として得られる。この例における経過期間は、時間tに相当する。この例では患者の死亡を所定イベントとするが、生存時間分析は、それ以外のイベントについて適用することもできる。たとえば、簡単な手術に関して患者の完治を所定イベントとすれば、完治するまでの時間t(治療期間)を分析することができる。生存時間分析は、生存の語を含む名称であるが、生存時間に限らず、任意のイベントが発生するまでの時間を分析することが可能である。また、生存時間分析は、手術以外の治療(たとえば、移植以外の手術、投薬及びリハビリテーションなど)に関して経過分析を行うことができる。なお、Random Survival Forestは、Cox回帰モデルなどの線形モデルとは異なり、非線形モデルである。
【0038】
予測部146は、モデル利用部148を含む。モデル利用部148は、予測モデル101を利用して、実施する可能性があったと想定される移植法(以下、「想定移植法」という)について術後経過(予後)を予測する。予測される術後経過は、たとえば生存関数Sあるいは所定経過期間における生存確率で示される。詳しくは、後述する。
【0039】
推奨部150は、想定移植法毎に予測された術後経過のうち良好な術後経過に対応する想定移植法を推奨移植法として選定する。推奨移植法とは、患者個別に適性が高いと見込まれる移植法のことである。術後経過が良好であることは、医学的見地から判断される。たとえば、生存率が高い、延命できる、回復できる、回復が早い、患者への負担が少ない、患者の状態が健康体に近づく、あるいは患者の機能が健康体に近づく場合などに良好であることは自明である。評価部152は、予測モデル101の評価結果を算出する。
【0040】
データ格納部106は、評価データ記憶部160、教師データ記憶部162、予測モデル記憶部164及び評価結果記憶部166を含む。
評価データ記憶部160は、評価データを記憶する。教師データ記憶部162は、教師データを記憶する。予測モデル記憶部164は、予測モデル101を記憶する。評価結果記憶部166は、評価結果のデータを記憶する。評価結果については、後述する。
【0041】
図7は、予測モデル101の生成に関わる変数を示す図である。
予測モデル101の説明変数と目的変数について説明する。説明変数とは、統計学において因果関係の原因となる変数のことである。目的変数とは、統計学において因果関係の結果となる変数のことである。この例における両変数は、移植手術と術後経過の因果関係に関わる。
【0042】
この例における予測モデル101の説明変数は、予後因子と実施移植法である。年齢、疾患名、疾患状態、PS、HCT-CI及びCMV抗体のうち、疾患名は分類型の変数であるので、選択肢(疾病A,疾病Bなど)のうち1つについて該当(1)とし、それ以外については非該当(0)とする。疾患状態についても同様に、疾患状態a,疾患状態bなどのうち1つについて該当(1)とし、それ以外については非該当(0)とする。実施移植法についても同様に、第1移植法~第10移植法のうち1つについて該当(1)とし、それ以外については非該当(0)とする。予測モデル101の目的変数は、実際の全生存期間である。
【0043】
以下、予測モデル101の生成フェーズ(図5のS100)について詳述する。生成フェーズは、準備作業における医療者端末100の前半の処理動作に相当する。
【0044】
図8は、モデル生成の概要を示す図である。
この例では、移植日が2009年~2016年である患者を第1患者として、第1患者グループの臨床例(登録番号:1~13595のレコード)を教師データとして使用する。モデル生成処理(S110)において、学習エンジン144は、これらの臨床例における説明変数及び目的変数を用いて機械学習の処理を行い、予測モデル101を生成する。このように予測モデル101の生成フェーズでは、過去の治療実績を参考にして、移植手術後の経過を予想できる仕組み(予測モデル101)が作られる。
【0045】
続いて、予測モデル101の評価フェーズ(図5のS200)について詳述する。評価フェーズは、準備作業における医療者端末100の後半の処理動作に相当する。
【0046】
図9は、予測モデル101の利用に関わる変数を示す図である。
学習済みの予測モデル101に対して、予後因子及び移植法を入力すると、予測結果として生存関数Sが出力される。生存関数Sによって、指定された経過期間(移植手術から経過した日数)における予測の生存確率が特定される。なお、予測モデル101は、評価フェーズ及び実用フェーズで利用されるが、評価フェーズでは想定移植法が入力され、実用フェーズでは候補移植法が入力される。詳しくは、後述する。
【0047】
図10(A)は、移植法の生存関数Sを示すグラフである。
縦軸は、予測の生存確率を示す。横軸は、経過期間を示す。移植日における生存確率は、100%である。その後日が経つにつれて、生存確率は低下する。したがって、生存関数Sのグラフは、右肩下がりの曲線を描く。たとえば術後1年経過した時点では、破線で示した生存確率のレベルになると予想される。
【0048】
図10(B)は、2つの移植法の生存関数Sa,Sbを示すグラフである。
予測モデル101を利用して2つの移植法a,bについて、それぞれ生存関数Sa,Sbを算出したとする。生存関数Sa,Sbは、共に右肩下がりの曲線を描くが生存確率の低下傾向が異なる。生存関数Saは、経時的に生存確率が低下しにくいが、生存関数Sbは低下しやすい。破線で示したように、術後1年経過した時点で、生存関数Saによる生存確率は、生存関数Sbによる生存確率を上回っている。つまり、移植法aの方が良好な結果につながると予想される。このように、複数の移植法について生存関数Sを求め、所定経過期間における生存確率を比較することによって、いずれの移植法がより優れているかを判定することができる。本実施形態では、一人の患者に対して複数の移植法による夫々の生存関数Sを求める。そして、所定経過期間(この例では、1年)の生存確率が最も高い移植法が推奨される。このようにして、各患者の予後因子に応じてそれぞれ推奨される移植法が定まる。
【0049】
評価フェーズでは、過去の第2患者の一人一人に対して予測モデル101を利用して移植法の推奨を試みる。そして、予測モデル101による推奨に従ったとみなせる臨床例と、推奨に従わなかったとみなせる臨床例とに分ける。以下、推奨に従ったとみなせる臨床例(患者)のグループを「推奨群」といい、推奨に従わなかったとみなせる臨床例(患者)のグループを「非推奨群」という。
【0050】
過去の臨床例において、医療者は最も優先順位の高いドナーソースを選んでいるはずである。しかし、それ以外のドナーソースが選ばれていたとすれば、生存確率はもっと高かったかも知れないとも考えられる。また、移植前処置について、別の方法を選んでいればもっと生存確率が高かったかも知れない。さらに、移植後シクロホスファミドを用いるか否かについても同様である。実施された移植法だけでなく、実施する可能性があったと想定される移植法についても生存確率を予測して、それらの予測結果を比較する。実際の移植法について予測した生存確率が最も高ければ、推奨に従ったことになるのでその臨床例(患者)を推奨群に分類する。他の移植法の生存確率の方が高ければ、推奨に従わなかったことになるのでその臨床例(患者)を非推奨群に分類する。詳しくは、図11図15に関連して例示して説明する。
【0051】
そして、推奨群の方が非推奨群よりも、生存しやすかったことを統計的に証明する。つまり、予測モデル101による推奨が、総合的に良好な結果をもたらし得たか否かを、実際の術後経過に照らして事後的に検証する。
【0052】
図11図15は、予測モデル101の評価の概要を示す図である。
図11は、評価データの第1レコードを参照して、1番目の第2患者の臨床例について予測と分類を行う例を示す。実施移植法が第1移植法(R-MRD)であるのでドナーソースはMRD(第1優先)であったが、MUD(第2優先)、UCB(第3優先)及びHaplo(第3優先)も選択されることが可能であったものと考えられる。したがって、第1移植法~第10移植法のすべてを、想定移植法とする。
【0053】
予測部146は、各想定移植法について1年後生存確率を予測する。このとき、モデル利用部148は、第1レコードの予後因子と想定移植法を予測モデル101に入力して、生存関数Sを算出するモデル利用処理を実行する。そして、それぞれの想定移植法における1年後生存確率が特定される。この例では、第1移植法(R-MRD)の1年後生存確率:0.512が最も高いので、第1移植法が推奨移植法に選定される。
【0054】
推奨移植法と実施移植法が共に第1移植法(R-MRD)であって一致するので、1番目の臨床例(第2患者)は、推奨群に分類される。
【0055】
図12は、評価データの第2レコードを参照して、2番目の第2患者の臨床例について予測と分類を行う例を示す。実施移植法は第1移植法(R-MRD)であるので、1番目の例と同様に、第1移植法~第10移植法のすべてを想定移植法とする。この例では、第2移植法(R-MUD)の1年後生存確率:0.522が最も高いので、第2移植法が推奨移植法に選定される。推奨移植法と実施移植法が一致しないので、1番目の臨床例(第2患者)は、非推奨群に分類される。
【0056】
図13は、評価データの第3レコードを参照して、3番目の第2患者の臨床例について予測と分類を行う例を示す。実施移植法が第2移植法(R-MUD)であるので、ドナーソースはMUD(第2優先)であった。この場合、血縁者の中にドナーになれるHLA適合者がいなかったと推測される。したがって、MRD(第1優先)を条件とする第1移植法(R-MRD)と第6移植法(M-MRD)は、予測対象から除外する。実施する可能性がない移植法を推奨することは考えられないからである。したがって、ドナーソースとして選択される可能があったMUD(第2優先)、UCB(第3優先)及びHaplo(第3優先)を条件とする第2移植法~第5移植法及び第7移植法~第10移植法を想定移植法とする。
【0057】
これらの想定移植法について予測された1年後生存確率のうち、第7移植法(M-MUD)の確率:0.495が最も高いので、第7移植法が推奨移植法に選定される。この推奨移植法は実施移植法と一致しないので、3番目の臨床例(第2患者)は、非推奨群に分類される。
【0058】
図14は、評価データの第4レコードを参照して、4番目の第2患者の臨床例について予測と分類を行う例を示す。実施移植法が第3移植法(R-UCB)であるので、ドナーソースはUCB(第3優先)であった。この場合、血縁者の中にも、日本骨髄バンクの登録者の中にもHLA適合者がいなかったと推測される。したがって、MRD(第1優先)を条件とする第1移植法(R-MRD)と第6移植法(M-MRD)、及びMUD(第2優先)を条件とする第2移植法(R-MUD)と第7移植法(M-MUD)は、予測対象から除外する。これらの移植法は、実施する可能性がないからである。したがって、ドナーソースとして選択される可能があったUCB(第3優先)又はHaplo(第3優先)を条件とする第3移植法~第5移植法及び第8移植法~第10移植法を想定移植法とする。
【0059】
これらの想定移植法について予測された1年後生存確率のうち、第3移植法(R-UCB)の確率:0.492が最も高いので、第3移植法が推奨移植法に選定される。この推奨移植法は実施移植法と一致するので、4番目の臨床例(第2患者)は、推奨群に分類される。
【0060】
図15は、評価データの第5レコードを参照して、5番目の第2患者の臨床例について予測と分類を行う例を示す。実施移植法が第4移植法(R-Haplo-CY)であるので、ドナーソースはHaplo(第3優先)であった。4番目の例と同様に、MRD(第1優先)とMUD(第2優先)を条件とする移植法を除外し、第3移植法~第5移植法及び第8移植法~第10移植法を想定移植法とする。この例では、第8移植法(M-UCB)の1年後生存確率:0.488が最も高いので、第8移植法が推奨移植法に選定される。推奨移植法と実施移植法が一致しないので、5番目の臨床例(第2患者)は、非推奨群に分類される。
【0061】
実施移植法が第6移植法(M-MRD)である場合には、第1移植法(R-MRD)と同様に、第1移植法~第10移植法のすべてを想定移植法とする。実施移植法が第7移植法(M-MUD)である場合には、第2移植法(R-MUD)と同様に、第2移植法~第5移植法及び第7移植法~第10移植法を想定移植法とする。実施移植法が第8移植法(M-UCB)である場合には、第3移植法(R-UCB)と同様に、第3移植法~第5移植法及び第8移植法~第10移植法を想定移植法とする。実施移植法が第5移植法(R-Haplo-nCY)、第9移植法(M-Haplo-CY)又は第10移植法(M-Haplo-nCY)である場合には、第4移植法(R-Haplo-CY)と同様に、第3移植法~第5移植法及び第8移植法~第10移植法を想定移植法とする。
【0062】
想定移植法の選択について整理する。第1移植法~第10移植法には、ドナーソースの条件に基づく優先順位がある。第1移植法と第6移植法が第1優先であり、第2移植法と第7移植法が第2優先であり、第3移植法~第5移植法及び第8移植法~第10移植法が第3優先である。そして、実施移植法の優先順位以下に相当する優先順位の移植法が、想定移植法に選ばれる。優先順位が実施移植法よりも高い移植法は、想定移植法にならない。つまり、実施移植法に基づいて実施不可能と推測される移植法は、除かれる。
【0063】
このようにして評価データに含まれるすべての臨床例について予測と分類を行い、推奨群と非推奨群が定まる。そして、推奨群に含まれるすべての臨床例(第2患者)における実際の全生存期間と、非推奨群に含まれるすべての臨床例(第2患者)における実際の全生存期間に基づいて、予測モデル101の評価が行われる。
【0064】
図16は、評価結果画面の例を示す図である。
推奨群に関して、経過期間の各日数(1日、2日、・・・1月、・・・1年、・・・2年)に対してその日数における実際の生存率を算出することができる。評価部152は、各日数について、実際の全生存期間がその日数以上である推奨群の臨床例数を、推奨群に含まれる臨床例の総数で除することによってその日数における実際の生存率を求める。表示処理部120は、評価結果画面のグラフの上側に、推奨群における実際の生存率を示す曲線を表示する。ここで示す評価結果は、実際の臨床データを用いてRandom Survival Forestで生成された予測モデル101の実験に基づく。
【0065】
同様に、評価部152は、非推奨群に関しても実際の生存率を算出する。表示処理部120は、同グラフの下側に非推奨群における実際の生存率を示す曲線を表示する。両曲線を比較すると、推奨群の方が非推奨群よりも実際の生存率が高いことがわかる。推奨群の曲線が上側に大きく乖離するほど、予測モデル101による推奨が効果的であることを示す。
【0066】
評価部152は、更にCox比例ハザードモデルによる解析を行う。Cox比例ハザードモデルは、生存時間に関する多変量解析手法の一種である。予測モデル101による推奨の効果について、ハザード比:0.84、ハザード比の95%信頼区間:0.73-0.96、及びP値:0.01という解析結果が得られた。ハザード比は、推奨群と非推奨群に対応するハザード率の比である。ハザード比が1である場合には、両群に生存率の差がないことを意味する。ハザード比が1より大きいあるいは1より小さい場合には、両群に生存率の差があることを意味する。ハザード比の95%信頼区間は、ハザード比の精度を示す。信頼区間が狭いほど、精度が高いことを意味する。P値は、必然の結果であるか偶然の結果であるかを評価する指数である。たとえば、P値が0.05より小さい場合に有意差があると表現される。評価部152は、Cox比例ハザードモデル以外の多変量解析を行って予測モデル101の優位性を検証してもよい。
【0067】
図17は、予測モデルの評価処理のフロー図である。
予測部146は、評価データのレコード毎に以下の処理を繰り返す(S210)。レコードは、臨床例(第2患者)に対応する。予測部146は、その臨床例の実施移植法に基づいて想定移植法を選択する(S212)。予測部146は、各想定移植法についてモデル利用処理を実行して、生存関数Sを算出する(S214)。予測部146又は推奨部150は、生存関数Sに基づいて、各想定移植法における1年後生存確率を特定する。推奨部150は、最も1年後生存確率が大きい想定移植法を推奨移植法に選定する(S216)。評価部152は、その臨床例の実施移植法と推奨移植法を比較して、その臨床例(第2患者)を推奨群又は非推奨群に分類する(S218)。予測部146は、残りのレコードがある場合に(S220のYES)、S210の処理に戻って上述した処理を繰り返す。すべてのレコードについて処理した場合には(S220のNO)、評価部152は、上述した多変量解析処理を実行する(S222)。表示処理部120は、予測モデルの評価結果画面(図16)を表示する(S224)。
【0068】
評価結果画面で表示される評価結果のデータ(たとえば、推奨群及び非推奨群における実際の生存率の遷移、多変量解析の結果)は、評価結果記憶部166に記憶される。また、表示処理部120は、いつでも評価結果のデータを評価結果画面に表示させることができる。
【0069】
続いて、予測モデル101の実用フェーズ(図5のS300)について詳述する。
予測モデル101の実用フェーズは、実際の臨床シーンにおける医療者端末100の処理動作に相当する。医療者端末100は、図示した予後予測画面を表示して、医療者の操作を受け付ける。
【0070】
図18は、予後予測画面の例を示す図である。
医療者は、現患者の予後因子である年齢、疾患名、疾患状態、PS、HCT-CI及びCMV抗体を入力する。医療者が計算ボタン190を操作すると、医療者端末100は、現患者に施される得る移植法(以下、「候補移植法」という)について予後を予測する。つまり、医療者端末100は、候補移植法毎に、現患者の予後因子と候補移植法を予測モデル101に入力して、生存関数Sを算出するモデル利用処理を実行する。ここでは、10種類の移植法をすべて候補移植法とするが、一部の移植法だけを候補移植法としてもよい。
【0071】
生存確率リスト196には、各候補移植法における所定経過期間(この例では、1年)の生存確率が表示される。医療者は、生存確率リスト196を見ることで、移植法毎の予後を比較することができる。この例では、1年後生存確率の降順に候補移植法が配列される。先頭の候補移植法が最も生存確率が高いので、推奨される移植法に相当する。ただし、ドナーソースの条件については加味していない。ドナーソースの可否については、医療者が判断する。
【0072】
生存確率リスト196には、各候補移植法についてグラフ表示を指示する選択ボックス192が設けられている。選択ボックス192でチェックされている候補移植法について、予測された生存関数Sの曲線が生存確率グラフ198に表示される。曲線は線色で区別され、生存確率リスト196に各候補移植法に対応する線色が表示される。医療者は、生存確率グラフ198を見ることで、移植法毎の予後を比較することができる。
【0073】
図示した例では、第2移植法(R-MUD)、第4移植法(R-Haplo-CY)、及び第5移植法(R-Haplo-nCY)が選択されているので、これらの移植法の生存関数Sの曲線が表示される。一番上の曲線が第2移植法の生存関数Sであり、真ん中の曲線が第4移植法の生存関数Sであり、一番下の曲線が第5移植法の生存関数Sである。選択ボックス192のチェック状態を変更すると、その時点でチェック済みの候補移植法の生存関数Sを示す曲線の表示に切り替わる。
【0074】
生存確率グラフ198には、横方向にスライドさせることができるライン194が設けられている。医療者は、ライン194をスライド操作させることによって任意の経過期間を指定することができる。医療者端末100は、候補移植法の生存関数に任意の経過期間を設定して、そのときの生存確率を算出し、表示する。図示した例では、第2移植法、第4移植法及び第5移植法による18月後生存確率が表示されている。スライド操作で設定される時間単位は任意であって、日でも月でもよい。医療者は、着目する経過期間における生存確率を確認することができる。
【0075】
図19は、予後予測処理のフロー図である。
受付部122は、計算ボタン190の操作によって計算を指示されるまで(S312のNO)、予後因子の入力を受け付ける(S310)。このとき、受付部122は、選択ボックス192及びライン194の操作を受け付けてもよい。
【0076】
計算が指示されると(S312のNO)、予測部146は、各候補移植法についてモデル利用処理を実行する(S314)。モデル利用部148は、入力された予後因子と1つの候補移植法を予測モデル101に入力して、予測モデル101を動作させることによって、その候補移植法における生存関数Sを得る。この処理を、候補移植法別に10回行う。予測部146又は表示処理部120は、各候補移植法の生存関数Sを用いて1年後生存確率を特定する。表示処理部120は、1年後生存確率の降順に候補移植法を並べた生存確率リスト196を表示する(S316)。表示処理部120は、チェック済みの候補移植法の生存関数Sの曲線を描いた生存確率グラフ198を表示する(S318)。予測部146又は表示処理部120は、チェック済みの候補移植法の生存関数Sと用いて、ライン194で指定されている任意の経過期間における生存確率を特定する。表示処理部120は、チェック済みの候補移植法に関する任意の経過期間の生存確率を表示する(S320)。
【0077】
受付部122が選択ボックス192のチェック操作を受け付けた場合には、表示処理部120は、チェック済みの候補移植法の生存関数Sの曲線を表示し直す。受付部122がライン194のスライド操作を受け付けた場合には、予測部146又は表示処理部120は、スライドしたライン194で指定された任意の経過期間における生存確率を特定し、表示処理部120は、その生存確率を表示する。予後因子が入力し直された場合には、S310の処理に戻って上述した処理を行う。
【0078】
予測モデル101の実用フェーズ(図5のS300)においても、医療者端末100は、評価結果画面を表示できる。受付部122が医療者による評価結果画面の表示指示を受け付けると、表示処理部120は、評価結果記憶部166から評価結果のデータを読み取って、評価結果画面を表示する。医療者が予測モデル101による推奨の有効性を確認するだけでなく、現患者又はその家族へ移植法を説明する際にも役立つ。AI(人工知能)技術による移植法推奨の実績と客観的な評価を示すことになるので信頼を得やすい。
【0079】
実施形態によれば、患者毎に適性が高い移植法が推奨される。予測モデル101の評価を経て実用フェーズに移行するので、推奨の品質が担保され、医療者および患者などの理解を得やすい。
【0080】
[変形例1]
実施形態では、移植日が2009年~2016年である第1患者グループの臨床例を教師データとして使用する例を説明したが、新しい臨床例を教師データに追加して、予測モデル101の生成を行うようにしてもよい。
【0081】
図20は、変形例1におけるモデル生成の概要を示す図である。
移植日が2019年1月1日である第3患者グループの臨床例を教師データに加える例を示している。新しい臨床例を加えることによって、予測モデル101の精度が高まると期待できる。臨床データベースサーバ200に臨床例が追加される都度、医療者端末100が最新の臨床例を取り込んで、予測モデル101を生成し直すようにしてもよい。データ取得部140は、臨床データベースサーバ200における臨床データと教師データが同期するように、随時最新のデータを取得して教師データ記憶部162に記憶するようにしてもよい。このようにすれば、日々進歩する臨床の状況に適した予後予測が可能となる。
【0082】
また、予測モデル101を生成する都度、予測モデルの評価処理(図17)を行うようにしてもよい。
【0083】
[変形例2]
実施形態では、生存時間分析に適した機械学習としてRandom Survival Forestの学習エンジン144を用いる例を説明したが、Random Survival Forest以外の学習エンジン144を用いるようにしてもよい。発明者は、Deep Survを学習エンジン144として用いた実験も行った。
【0084】
図21は、Deep Survによる予測モデル101の評価結果画面を示す図である。
Deep Survの場合には、推奨群における実際の生存率は、非推奨群における実際の生存率とあまり違いが無かったことがわかる。他にも生存時間分析に適した機械学習アルゴリズムがあるので、それらについて予測モデル101を生成し、上述したように評価を行えば、移植法の推奨に適した他のアルゴリズムが特定される可能性がある。
【0085】
[変形例3]
実施形態では、医療者端末100で、予測モデル101の生成フェーズ(図5のS100)、評価フェーズ(S200)及び実用フェーズ(S300)の処理を行う例を示したが、医療支援サーバ300において生成フェーズ(S100)、評価フェーズ(S200)及び実用フェーズ(S300)の処理を行うようにしてもよい。
【0086】
図22は、変形例3におけるネットワーク構成と医療支援サーバ300の機能ブロックを示す図である。
医療者端末100と医療支援サーバ300は、インターネット又はLANなどのネットワークを介して接続している。
【0087】
医療支援サーバ300の通信処理部108、データ処理部104及びデータ格納部106の機能ブロックは、実施形態における医療者端末100と同等である。医療支援サーバ300は、たとえばASP(Application Service Provider)又はSaas(Software as a Service)の形態で、生成フェーズ(S100)、評価フェーズ(S200)及び実用フェーズ(S300)の処理をサービスとして医療者端末100に提供する。
【0088】
医療者端末100は、ブラウザ402又はクライアントプログラムから医療支援サーバ300にアクセスして、これらのサービスを利用する。つまり、ブラウザ402又はクライアントプログラムは、医療支援サーバ300と通信すると共に、表示処理部120及び受付部122の機能を果たす。ブラウザ402又はクライアントプログラムは、医療支援サーバ300から画面データを受信すると、その画面をディスプレイに表示する。ブラウザ402又はクライアントプログラムが受付部122として入力したデータは、医療支援サーバ300へ送られる。医療支援サーバ300の受信部182は、ブラウザ402又はクライアントプログラムから各種データを入力する入力部として動作し、医療支援サーバ300の送信部180は、ブラウザ402又はクライアントプログラムへ各種データ(画面データなど)を出力する出力部として動作する。評価結果画面及び予後予測画面の操作仕様は、実施形態の場合と同様である。
【0089】
[変形例4]
予測モデル101の生成フェーズ(図5のS100)及び評価フェーズ(S200)の処理を医療支援サーバ300で行い、実用フェーズ(S300)の処理を医療者端末100で行うようにしてもよい。
【0090】
図23は、変形例4におけるネットワーク構成と医療者端末100の機能ブロックを示す図である。
たとえば情報処理に精通した支援者が、医療支援サーバ300の作業者として予測モデル101を生成し、評価の処理まで行う。そして、品質保証された予測モデル101と評価結果のデータを、各臨床医の医療者端末100に配信する。
【0091】
医療者端末100のデータ取得部140は、医療支援サーバ300から予測モデル101と評価結果のデータを取得し、予測モデル101を予測モデル記憶部164に記憶し、評価結果のデータを評価結果記憶部166に記憶する。実用フェーズ(S300)の処理については、実施形態の場合と同様である。
【0092】
変形例4では、医療者が予測モデル101の準備に関わらなくて済むので、労力が少ない。また、組織的に品質保証された標準の予測モデル101を各臨床医が使用するようにすれば、推奨の品質が安定し信頼を得やすい。
【0093】
[その他の変形例]
術後経過に係る指標の例として、実際の全生存期間を示したが、他の指標であってもよい。たとえば、退院又は完治までの経過期間を、術後経過に係る指標としてもよい。あるいは、疾患状態を測る検査項目(白血球数など)を術後経過に係る指標としてもよい。
【0094】
予測される術後経過の例として、たとえば生存関数Sあるいは所定経過期間における生存確率を示したが、回復レベルなど他の指標で術後経過を示してもよい。
【0095】
移植以外の所定治療法(たとえば、移植以外の手術、投薬及びリハビリテーションなど)について、上述の技術を適用してもよい。その場合、教師データ記憶部162は、所定治療を受けた複数の第1患者の各々について、予後因子と、実施治療法と、治療後経過に係る指標とを含む教師データを記憶する。モデル生成部142は、第1患者の予後因子と、第1患者の実施治療法とを説明変数とし、第1患者の治療後経過に係る指標を目的変数とする予測モデルを機械学習により生成する。表示処理部120、受付部122、データ取得部140、予測部146、推奨部150、評価部152、評価データ記憶部160、予測モデル記憶部164及び評価結果記憶部166など他の機能ブロックも、実施形態における移植法を所定治療法に置き換え、術後経過を治療後経過に置き換えて動作する。そのようにすれば、移植法の場合と同様に所定治療法の予後を予測し、患者に所定治療法を推奨することができる。
【0096】
なお、本発明は上記実施例や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施例や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施例や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0097】
まとめると、情報処理装置は、移植手術を受けた患者の予後因子と、移植法と、術後経過に係る指標とを含む教師データによって、機械学習により予測モデル101を生成するので、実績に基づいて術後経過を予測する仕組みが得られる。
【0098】
また、情報処理装置は、予測に基づく推奨移植法と実際の移植法が一致するか否かに着目して統計的に分析するので、予測モデル101による推奨が有効であるか否かを客観的に検証できる。
【0099】
また、情報処理装置は、実施不可能と推測される移植法を除く複数の想定移植法の中から推奨を行うので、意味の無い推奨を行わないようにできる。これにより、予測モデル101の評価が正確になる。
【0100】
また、情報処理装置は、教師データにサンプルを加えて予測モデル101を再生成するので、予測モデル101の性能をより高めることができる。最新の臨床例を足していけば、臨床の現状に適した移植法を奨めることができる。
【0101】
また、情報処理装置において現患者の予後因子を予測モデル101に適用すれば、現患者の予後を予測することができる。
【0102】
また、情報処理装置は、複数の移植法について予測した予後を比較可能な態様で出力するので、複数の移植法に関して現患者への適性を把握しやすい。
【0103】
また、情報処理装置は、予測モデルの評価結果を出力するので、医療者が現患者又はその家族にAI技術による予後予測の信頼性を説明しやすい。
【符号の説明】
【0104】
100 医療者端末、101 予測モデル、200 臨床データベースサーバ、201 臨床データ、102 ユーザインターフェース処理部、120 表示処理部、122 受付部、108 通信処理部、180 送信部、182 受信部、104 データ処理部、140 データ取得部、142 モデル生成部、144 学習エンジン、146 予測部、148 モデル利用部、150 推奨部、152 評価部、106 データ格納部、160 評価データ記憶部、162 教師データ記憶部、164 予測モデル記憶部、166 評価結果記憶部、190 計算ボタン、192 選択ボックス、194 ライン、196 生存確率リスト、198 生存確率グラフ。
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