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特開2024-97614トナー、トナー収容ユニット、画像形成装置、及び画像形成方法
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  • 特開-トナー、トナー収容ユニット、画像形成装置、及び画像形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097614
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】トナー、トナー収容ユニット、画像形成装置、及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/097 20060101AFI20240711BHJP
   G03G 9/087 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
G03G9/097 372
G03G9/097 365
G03G9/087 325
G03G9/097 344
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001194
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】金子 晃大
(72)【発明者】
【氏名】石井 雅之
(72)【発明者】
【氏名】増子 楓
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA01
2H500AA07
2H500AA08
2H500AA10
2H500BA03
2H500CA03
2H500CA05
2H500CA15
2H500EA17A
2H500EA42C
2H500EA42D
2H500EA57A
(57)【要約】
【課題】ストレスに強く、低温定着性に優れ、長期的に高品質な画像を形成できるトナーの提供。
【解決手段】結着樹脂、離型剤、及び帯電制御剤を含むトナー母体粒子と、外添剤と、を含むトナーであって、前記外添剤が、疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子を含み、ガラス転移温度が48℃以上60℃以下であり、フローテスターでの測定において、前記トナー1.0gを昇温速度3℃/分で加熱しながら22.5kgfの荷重を加えた状態で40℃でのストローク位置から、ストローク位置が0.1mm押し込まれるときの温度が54℃以上65℃以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂、離型剤、及び帯電制御剤を含むトナー母体粒子と、外添剤と、を含むトナーであって、
前記外添剤が、疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子を含み、
ガラス転移温度が48℃以上60℃以下であり、
フローテスターでの測定において、前記トナー1.0gを昇温速度3℃/分で加熱しながら22.5kgfの荷重を加えた状態で40℃でのストローク位置から、ストローク位置が0.1mm押し込まれるときの温度が54℃以上65℃以下であることを特徴とするトナー。
【請求項2】
前記結着樹脂が、スチレンアクリル樹脂であり、
前記離型剤が、ポリエチレンワックスである請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記離型剤の含有量が、トナー100質量部に対して、2質量部以上8質量部以下である請求項1に記載のトナー。
【請求項4】
前記トナー母体粒子が、粉砕トナーであり、
前記トナー母体粒子の平均円形度が、0.96以下である請求項1に記載のトナー。
【請求項5】
前記疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子の含有量が、トナー100質量部に対して、0.05質量部以上0.5質量部以下である請求項1に記載のトナー。
【請求項6】
請求項1から2のいずれかに記載のトナーを収容したことを特徴とするトナー収容ユニット。
【請求項7】
静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、請求項1から2のいずれかに記載のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
前記可視像を転写材上に転写する転写手段と、
前記転写材上に転写された可視像を定着させる定着手段と、を少なくとも有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、請求項1から2のいずれかに記載のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を転写材上に転写する転写工程と、
前記転写材上に転写された可視像を定着させる定着工程と、を少なくとも有することを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー、トナー収容ユニット、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真による画像形成方法においては、感光体上に静電荷像(潜像)を形成し、トナーを用いて得られた潜像を現像することでトナー画像を形成している。
良好な画像形成を行うためには、外部因子によるトナーの帯電性への影響が少ないことが好ましい。外部因子の例としては、機内ストレスによる影響が挙げられ、これは現像部でトナーが長期間保持されることで、トナー粒子の変形や割れ欠け、表面における外添剤の埋没などが生じる。これにより、トナーの粒度分布、形状、付着力、流動性が変化することがトナーの帯電性へ影響し、特に、低印字率での印刷時に顕著となる。
【0003】
一方で、省エネルギー化及び複写機等の装置の小型化の観点から、コールドオフセット発生温度が低い、低温定着性に優れたトナーが求められている。これはモノクロ/フルカラープリンター、フルカラー複写機で共通である。それに従い、トナーに使用される原材料及び、トナー自体の融点はより低く設計される傾向にあり、一時期に比べ低分子量材料が用いられる例も増えている。
【0004】
これまでに、例えば、低温定着性と耐熱保存性とを両立させ、さらに耐ストレス性を向上させるため、非晶性樹脂中に離型剤及び/又は結晶性樹脂を内包させることで、トナーの耐熱保存性を向上させると共に、物理的ストレスに対しても離型剤/結晶性樹脂のトナー粒子表面への染み出しを防止することで、低温定着性と耐熱保存性とを両立させるトナーが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、160℃での貯蔵弾性率が120~100,000Paである結晶性ポリエステルAと160℃での貯蔵弾性率が0.01~500Paである結晶性ポリエステルBとの少なくとも2種類の分子量の異なる結晶性ポリエステル樹脂を含むことで、溶融混錬時における結晶成長速度を高め、高い結晶性を有する結着樹脂とすることで、優れた低温定着性を満足しつつ、加圧保存性に優れた電子写真トナーが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、2種類以上の結晶性樹脂からなる結晶性樹脂であり、それぞれの吸熱ピーク温度の全体からなる吸熱ピーク温度の組は、2つ以上の異なる吸熱ピーク温度を有するトナーバインダーを用いることで、連続で印刷した際の紙に定着したトナー層の粘度を高め、低温定着性、耐熱保存性及び耐ホットオフセット性に優れ、かつ、連続で印刷した際の紙の耐ブロッキング性に優れるトナーバインダーが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
また、一次粒子が複数個合着して形成された二次粒子により構成される非球形のシリカ粒子と、一次粒子により構成される球形のシリカ粒子の少なくとも2種類のシリカ粒子を含み、超音波振動法に基づく遊離シリカ測定により計測されるシリカ粒子Aおよびシリカ粒子Bの遊離率の和Xsが5~20%であり、該遊離シリカの粒度分布測定により計測される体積粒径における30nm以下の個数割合R30が15~30個数%であることで、粒径が30nm以下のシリカの遊離を抑制することで、外添剤が離脱すると該離脱した外添剤が、感光体表面に細かいキズをつけることに起因する、いわゆる「メダカ画像」の発生や、それに伴うメダカフィルミングの発生を防止すると共に、良好な流動性、保存性を有し、優れた帯電特性、低温定着性、耐ストレス性を兼ね備え、長期に亘って高画質の画像形成が可能な静電潜像現像用トナーが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ストレスに強く、低温定着性に優れ、長期的に高品質な画像を形成できるトナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段としての本発明のトナーは、結着樹脂、離型剤、及び帯電制御剤を含むトナー母体粒子と、外添剤と、を含むトナーであって、前記外添剤が、疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子を含み、ガラス転移温度が48℃以上60℃以下であり、フローテスターでの測定において、前記トナー1.0gを昇温速度3℃/分で加熱しながら22.5kgfの荷重を加えた状態で40℃でのストローク位置から、ストローク位置が0.1mm押し込まれるときの温度が54℃以上65℃以下である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ストレスに強く、低温定着性に優れ、長期的に高品質な画像を形成できるトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明のタンデム型の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図2図2は、図1の部分拡大図である。
図3図3は、本発明のトナー収容ユニットとしてのプロセスカートリッジの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(トナー)
本発明のトナーは、結着樹脂、離型剤、及び帯電制御剤を含むトナー母体粒子と、外添剤と、を含み、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記外添剤が、疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子を含み、ガラス転移温度が48℃以上60℃以下であり、フローテスターでの測定において、前記トナー1.0gを昇温速度3℃/分で加熱しながら22.5kgfの荷重を加えた状態で40℃でのストローク位置から、ストローク位置が0.1mm押し込まれるときの温度が54℃以上65℃以下である。
なお、前記トナーを、「電子写真用トナー」と称することがある。
【0013】
本発明のトナーは、従来技術の問題点を本発明者らが見出したことに基づく発明である。
すなわち、特許文献1~4などに開示された従来技術では、現像プロセスでのストレスにより、トナー粒子表面の外添剤が埋め込まれることを防止するものではない。低温定着性が進むにつれ、現像プロセスでのストレスに弱くなり、トナー表面における外添剤の埋め込みが促進されることで、帯電性、流動性が低下し、画像品質を損ねるという問題がある。
【0014】
本発明者らの検討によれば、前記外添剤として疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子を含まない場合、トナー帯電性の低下と、異常画像が発生する。特に、ベタ画像印刷時に紙の後半で画像濃度が低下する現象が顕著となる。
その理由は、現像プロセスにおけるストレスの影響で、トナー表面に存在する外添剤が埋没乃至遊離することでトナー母体が露出し、粒子の表面特性が変化することや、トナーの流動性が低下することで、帯電/搬送不良が生じるためである。
【0015】
本発明者らは、前記従来技術の問題を解決すべく、鋭意検討した結果、結着樹脂、離型剤、及び帯電制御剤を含むトナー母体粒子と、外添剤と、を含むトナーであって、前記外添剤が、疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子を含み、ガラス転移温度が48℃以上60℃以下であり、フローテスターでの測定において、前記トナー1.0gを昇温速度3℃/分で加熱しながら22.5kgfの荷重を加えた状態で40℃でのストローク位置から、ストローク位置が0.1mm押し込まれるときの温度が54℃以上65℃以下であることで、低温定着性に優れたトナーにおいても、外添剤として疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子を含み、非常に高い表面保持性を示すことができるため、現像プロセスでのストレス下においても、トナーの帯電性、流動性を維持できることから、ストレスに強く、低温定着性に優れ、長期的に高品質な画像を形成できるトナーを提供できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0016】
[低温定着性トナー]
前記疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子を外添剤として用いることの効果は、低温定着性に優れ、現像プロセスにおけるストレスの影響を受けやすいトナー母体に対し顕著である。
ここで、本実施形態における低温定着性に優れるトナーとは、ガラス転移温度が48℃以上60℃以下であり、下記式(1)に示すようにフローテスターでの測定において、前記トナー1.0gを昇温速度3℃/分で加熱しながら22.5kgfの荷重を加えた状態で40℃でのストローク位置P(40℃)から、ストローク位置P(t℃)が0.1mm押し込まれるときの温度tが54℃以上65℃以下である。
P(t℃)=0.1+P(40℃) ・・・・・・ (1)
【0017】
前記ガラス転移温度が48℃以下の場合、熱環境下での保存性が著しく低下し、実機による連続印刷の際、トナー粒子間の凝集、固着が発生するリスクが高くなる。
一方、前記ガラス転移温度が60℃以上の場合、コールドオフセットの発生しない下限温度が高くなり、低温定着性を損なう恐れがある。
【0018】
[結着樹脂のガラス転移点(Tg)の測定]
前記ガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、DSC210)を用いて、試料0.001g~0.01gをアルミニウムパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速10℃/分で、0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点とした。
【0019】
[フローテスターによる流出開始温度tの測定]
前記フローテスター(熱流動評価装置)での測定において、前記トナー1.0gを昇温速度3℃/分で加熱しながら22.5kgfの荷重を加えた状態で40℃でのストローク位置から0.1mm押し込まれるときの温度(流出開始温度)tは、以下の手順により同定することができる。
具体的には、フローテスター(株式会社島津製作所製、CFT-500D)を用い、1.0gのトナー(試料)を昇温速度3℃/分で加熱しながら、プランジャーにより22.5kgfの荷重を与え、直径1.0mm、長さ1.0mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量のプロットを得る。このプロットの40℃におけるプランジャー位置をP(40℃)とし、0.1mm降下したときのプランジャー位置をP(t℃)とし、そのときの温度tを流出開始温度として測定できる。
【0020】
前記温度tが54℃未満の場合、熱が加わった際の樹脂が変形し易いことを示し、現像ユニット内部で長時間攪拌された際、トナー粒子の変形、表面における外添剤の埋没を引き起こすことで、異常画像の原因となる。前記温度tが65℃を超える場合、加熱圧縮定着時にトナー粒子が溶融されにくいため紙と接着せずに、トナーと紙間の接着力が確保できず、表面が擦れた際にトナーが剥がれるなどの問題が生じる。
一方、前記温度tが54℃以上65℃以下であると、熱が加わった際のトナー表面における外添剤の保持性が高く、かつ加熱圧縮定着時にトナー粒子が溶融されやすいため、低温定着性を有し、かつ現像プロセスによるストレスでトナー母体が影響を受けた場合においても、外添剤としての疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子の機能が維持され、耐ストレス性に優れる。
【0021】
<トナー母体粒子>
前記トナー母体粒子(以下、「トナー母体」、「母体粒子」とも称することがある)は、結着樹脂、及び離型剤を含み、三価以上の金属塩、着色剤、帯電制御剤を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他成分を含有する。
前記トナー母体粒子が、粉砕トナーであることが好ましい。
【0022】
<<結着樹脂>>
前記結着樹脂としては、離型剤との親和性の高さの点から、スチレンアクリル樹脂を使用することが好ましい。
【0023】
前記スチレンアクリル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のスチレンモノマーとアクリルモノマーを含むモノマーの共重合体から適宜選択することができ、前記モノマーが、他のモノマー、架橋剤などを含んでいてもよい。
【0024】
前記スチレンモノマーとしては、例えば、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-クロルスチレン、3,4-ジクロルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
前記アクリルモノマーとしては、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ベヘニル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなアクリル酸エステル系モノマー又はメタクリル酸エステル系モノマーなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
トナー粒子の機械的強度を高めると共に、スチレンアクリル樹脂の分子量を制御するために、架橋剤を用いてもよい。
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の架橋剤を適宜選択することができ、例えば、2官能の架橋剤、3官能以上の架橋剤が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
前記2官能の架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、ビス(4-アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、及び上記のジアクリレートをジメタクリレートに代えたものなどが挙げられる。
【0028】
前記3官能以上の架橋剤としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び該アクリレートをメタクリレートに代えたもの、2,2-ビス(4-メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテートなどが挙げられる。
【0029】
<<離型剤>>
前記離型剤(ワックス)としては、特に制限はなく目的に応じて、公知のものから適宜選択することができるが、ポリエチレンワックスを含んでいることが好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエチレンワックスとしては、耐熱性と耐オフセット性とを両立させる観点から、融点80℃~115℃を有するポリエチレンワックスが好ましい。
前記融点が80℃より低いとトナーの耐熱性が著しく悪化し、前記融点が115℃より高いと、加熱圧縮定着時にトナー表面へのワックスの染み出しが抑制され、画像濃度の低下の原因となる。
【0030】
前記ポリエチレンワックスは、工業的にチーグラ触媒又はメタロセン触媒を用いた中圧法又は低圧法ポリエチレン重合法によって得られたポリエチレンの低重合物であり、これを精製して得ることができる。即ち、ポリエチレンの低重合物から油分、オリゴマー等を真空蒸留法等で除去し、それから得られる留出残液を必要に応じて高温、高減圧下で低分子量成分を適度に除去して得られる。
前記ポリエチレンワックスとしては、例えば、ネオワックス(融点110℃、ヤスハラケミカル株式会社製)、完全飽和のエチレンホモポリマーであるポリワックス500(融点88℃、トーヨーケム株式会社製)などが挙げられる。
【0031】
前記離型剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましく、2質量部以上8質量部以下がより好ましい。前記含有量が、1質量部以上であると、定着時の耐高温オフセット性、及び低温定着性に劣るという不具合を防止でき、20質量部以下であると、耐熱保存性が低下すること、及び画像のかぶりなどが生じやすくなるという不具合を防止できる。
【0032】
<<帯電制御剤>>
本発明のトナーは正帯電性であっても、負帯電性であってもよい。帯電性は帯電制御剤で制御することができる。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、第4級アンモニウム塩(フッ素変性第4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、オキシナフトエ酸金属塩、フェノール系縮合物、アゾ系顔料、ホウ素錯体、又は官能基(例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、又は第4級アンモニウム塩等)を有する高分子系の化合物が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
前記帯電制御剤の具体例としては、ニグロシン系染料のボントロン03、第4級アンモニウム塩のボントロンP-51、含金属アゾ染料のボントロンS-34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE-82、サリチル酸系金属錯体のE-84、フェノール系縮合物のE-89(以上、オリエント化学工業株式会社製)、第4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP-302、TP-415(以上、保土谷化学工業株式会社製)、第4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第4級アンモニウム塩のコピーチャージNEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA-901、ホウ素錯体であるLR-147(以上、日本カーリット株式会社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料が挙げられる。
【0034】
前記帯電制御剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、性能を発現し定着性などへの阻害がない範囲の量で用いられればよく、前記樹脂微粒子の全質量に対して、0.5質量%~5質量%が好ましく、0.8質量%~3質量%がより好ましい。
【0035】
前記帯電制御剤は、マスターバッチ、前記非晶性ポリエステル樹脂、又は前記結晶性ポリエステル樹脂と共に溶融混練した後溶解分散させることもできるし、有機溶媒に直接溶解、分散する際に加えてもよいし、前記樹脂微粒子表面に、該樹脂微粒子作製後に固定化させてもよい。
【0036】
<<三価以上の金属塩>>
前記トナー母体は、三価以上の金属塩を含むことが好ましい。
前記三価以上の金属塩を含むことにより、定着時に結着樹脂の酸性基と架橋反応が進行し、弱い三次元的な架橋を形成することで、低温定着性を維持しつつ、耐高温オフセット性を得ることができる。
前記三価以上の金属塩としては、例えば、サリチル酸誘導体の金属塩、アセチルアセトナート金属塩から選択される少なくとも1種が好ましい。
前記金属としては、3価以上の多価イオン金属である限り特に制限はなく、例えば、鉄、ジルコニウム、アルミニウム、チタン、ニッケル等が挙げられる。
前記三価以上の金属塩としては、三価以上のサリチル酸金属化合物が好適に挙げられる。
【0037】
前記三価以上の金属塩の含有量としては、例えば、トナー100質量部に対し、0.5質量部以上2質量部以下が好ましく、0.5質量部以上1質量部以下がより好ましい。
前記含有量が0.5質量部未満であると、耐ホットオフセット性に劣ることがある。また、前記含有量が2質量部を超えると、耐ホットオフセット性に優れる一方、光沢性、低温定着性が劣ることがある。
【0038】
<<着色剤>>
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトポンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤は、ブラックトナーとしてもフルカラートナーとしても使用できる。
【0039】
前記着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー100質量部に対して、1質量部以上35質量部以下が好ましく、3質量部以上20質量部以下がより好ましい。
【0040】
<外添剤>
前記外添剤は、疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子を含み、更に必要に応じてその他の外添剤を含む。
【0041】
<<疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子>>
前記ポリメチルシルセスキオキサンは、メチルトリメトキシシランの重合体である。
前記ポリメチルシルセスキオキサンは、化学構造的にメチルトリメトキシシランが三次元網目状に架橋して重合したシリコーン樹脂であり、球状微粒子である。そのため、「ポリメチルシルセスキオキサン粒子」と称する。
前記疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子は、ポリメチルシルセスキオキサン粒子を疎水化処理することにより得ることができる。
【0042】
前記ポリメチルシルセスキオキサン粒子の平均粒子径としては、0.050μm以上0.150μm以下が好ましく、0.100μm以上0.135μm以下がより好ましい。
前記平均粒子径が0.150μmより大きい場合、トナー表面との付着力が弱いためトナー表面を転がり脱離してしまうことがある。
前記ポリメチルシルセスキオキサン粒子の平均粒子径は、公知の方法を用いて測定することができる。
具体的には、走査型電子顕微鏡SU8200シリーズ(株式会社日立ハイテクノロジーズ社)を用いてポリメチルシルセスキオキサン粒子、又は前記ポリメチルシルセスキオキサン粒子を外添したトナーの測定を行う。得られた画像を画像処理ソフトA像君(旭化成エンジニアリング株式会社)で外添剤粒子を二値化などで認識させ、円形度、円相当径、粒子面積を算出する。円相当径は、上記で得られた値が円形面積によるものであるとし、直径の値に換算する。ポリメチルシルセスキオキサン粒子の測定の場合は、前記粒子を分散させた基板上、トナーの測定の場合は、トナー表面であれば、観察の指定部分はないが、任意の3点以上の視野を確認し、約100粒の粒子の円相当径を算出し、その平均値を平均粒子径として求める。
【0043】
[ポリメチルシルセスキオキサン粒子の製造方法]
前記ポリメチルシルセスキオキサン粒子は、メチルトリメトキシシランの加水分解物と、アニオン性界面活性剤とを含む加水分解液に対し、水、塩基触媒及びアニオン性界面活性剤を含む析出液とを混合、縮合することにより製造することができる。
【0044】
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族モノカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸油等のカルボン酸型アニオン性界面活性剤;ジアルキルスルホこはく酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホこはく酸塩、アルカンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩-ホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩等のスルホン酸型アニオン性界面活性剤;アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、油脂硫酸エステル塩等の硫酸エステル型アニオン性界面活性剤;アルキルりん酸塩、アルキルりん酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルりん酸塩等のりん酸エステル型アニオン性界面活性剤;などが挙げられる。これらの中でも、スルホン酸型アニオン性界面活性剤、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤等が好ましい。
【0045】
前記加水分解液は、更に有機酸、無機酸などの酸触媒を含むことが好ましい。
前記有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸などが挙げられる。前記無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、りん酸などが挙げられる。
【0046】
前記加水分解液と、前記析出液とを混合することにより、シラノール基の縮合反応が進行し、ポリメチルシルセスキオキサン粒子が生成する。
上記の反応で得られたポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液から、膜分離、遠心分離等の方法により、ポリメチルシルセスキオキサン粒子を得ることができる。分離前の液中でHMDS等の表面処理を行い、疎水性を付与することもできる。
【0047】
前記疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子は、ポリメチルシルセスキオキサン粒子の表面を疎水化処理剤により疎水化処理することにより得ることができる。
前記疎水化処理剤としては、例えば、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)を有する公知の有機珪素化合物が挙げられ、具体例には、例えば、シラザン化合物(例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシランなどのシラン化合物、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン等)等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのトリメチル基を有する有機珪素化合物が好適である。その他にシリコンオイル処理なども挙げられる。
疎水化処理を実施すると、粒子同士の凝集を抑制でき、トナー母体への分散性を向上することができる。また高温高湿/低温低湿などの環境変動を抑えられ、安定した高い画像品質が得られる。
【0048】
前記疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子の含有量としては、トナー100質量部に対して、0.05質量部以上0.5質量部以下が好ましい。前記含有量が、0.5質量部以下であると、フィルミングの発生を防ぐことができ、0.05質量部以上であると、長期での流動性、帯電性の変動を抑えることができ、高い画像品質が得られる点で有利である。
【0049】
<<その他の外添剤>>
本発明のトナーは、少なくとも疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子を有するが、疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子以外のその他の外添剤と組み合わせ、2種以上併用することができる。
【0050】
その他の外添剤としては、例えば、シリカ、テフロン(登録商標)樹脂粉末、ポリ沸化ビニリデン粉末、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末等の研磨剤;酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末等の流動性付与剤、凝集防止剤;酸化亜鉛粉末、酸化アンチモン粉末、酸化スズ粉末等の導電性付与剤などが挙げられる。また、逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として用いることもできる。
これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、空転等の現像ストレスに対して耐性を持たせるように選択される。
【0051】
<トナーの特性>
[トナーの体積平均粒子径]
トナー乃至トナー母体粒子の体積平均粒子径は、種々の方法により測定され、例えば、コールターカウンターマルチサイザーIII(ベックマン・コールター株式会社)を用い、測定試料は界面活性剤を加えた電解液中に測定トナーを加え超音波分散器(本多電子株式会社製)で1分間分散させたものを50,000個測定し、その平均を算出することにより求めることができる。
【0052】
[トナーの平均円形度]
前記トナー母体粒子の平均円形度としては、0.96以下であり、0.890以上0.96以下が好ましい。
前記トナー母体粒子の平均円形度が、0.96以下であると、ブレードクリーニングなどを採用しているシステムでは、感光体上及び転写ベルトなどのクリーニング不良が発生し、画像上の汚れを引き起こすという不具合を防ぐことができる。例えば、画像面積率の低い現像及び転写では転写残トナーが少ないため、クリーニング不良が問題となることはないが、カラー写真画像など画像面積率が高い場合、さらには、給紙不良等で未転写の画像が形成された場合には、トナーが感光体等の被帯電体上に転写残トナーとして発生することがあり、蓄積すると画像の地汚れを発生してしまう場合がある。また、感光体等の被帯電体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまう場合がある。前記トナー母体粒子の平均円形度が0.96以下であると、このような不具合を防ぐことができる。
【0053】
トナー乃至トナー母体粒子の形状の計測方法としては、例えば、トナー粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が好適に挙げられる。
この手法で得られる投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値がトナー乃至トナー母体粒子の平均円形度である。
前記トナー母体粒子の平均円形度は、例えば、フロー式粒子像分析装置(Flow Particle Imag e Analyzer)FPIA-3000(シスメックス株式会社製)を用いて計測し、解析ソフト(FPIA-3000 Data Processing Program For FPIA Version00-10)を用いて測定することができる。
具体的な測定方法としては、ガラス製のビーカーに10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩ネオゲンSC-A;第一工業製薬株式会社製)を0.1mL~0.5mL添加し、微粒子を添加してミクロスパーテルでかき混ぜ、次いで、イオン交換水80mLを添加する。得られた分散液を超音波分散器(本多電子株式会社製)で3分間分散処理する。この分散液について、前記FPIA-3000を用いて、濃度が5,000個/μL~15,000個/μLとなるまで微粒子の形状及び分布を測定する。
【0054】
[樹脂の分子量の測定]
樹脂の数平均分子量、重量平均分子量は、THF溶解分の分子量分布をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定装置GPC-150C(ウォーターズ社製)によって測定した。
測定は、カラム(KF801~807:ショウデックス社製)を使用し、以下の方法で行った。40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1ミリリットルの流速で流した。試料0.05gをTHF5gに十分に溶かした後、前処理用フィルター(孔径0.45μm クロマトディスク(倉敷紡績株式会社製))で濾過し、最終的に試料濃度として0.05質量%~0.6質量%に調製した樹脂のTHF試料溶液を50μL~200μL注入して測定する。試料のTHF溶解分の重量平均分子量Mw、個数平均分子量Mnの測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、PressureChemical Co.分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のもの(あるいは東洋ソーダ工業社製のものでも可)を用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当であるので、その試料を用いた。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
【0055】
[トナーの製造方法]
前記トナーの製造方法としては、トナー材料を溶融しつつ混練する溶融混練工程と、得られた溶融混練物を粉砕する粉砕工程と、前記粉砕により得られた粉砕物を分級する分級工程と、得られたトナー母体粒子に外添剤を外添する外添工程と、を有する公知の製造方法により製造することができる。
【0056】
前記溶融混練工程では、前記トナー材料を混合し、得られた混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。前記溶融混練機としては、例えば、一軸又は二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができ、例えば、株式会社神戸製鋼所製KTK型二軸押出機、東芝機械株式会社製TEM型押出機、ケイシーケイ社製二軸押出機、株式会社池貝製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。
前記溶融混練は、結着樹脂の分子鎖を切断しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、結着樹脂の軟化点を参考にして設定されることが好ましく、前記軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
【0057】
前記粉砕工程では、前記溶融混練工程で得られた混練物を粉砕する。この粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。前記粉砕の方法としては、例えば、ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕する方法、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕する方法、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方法などが好適に挙げられる。
【0058】
前記分級工程では、前記粉砕工程で得られた粉砕物を分級して所定粒径の粒子に調整する。前記分級する方法としては、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離器等により、微粒子部分を取り除く方法などが挙げられる。前記粉砕工程及び分級工程が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナー母体粒子を製造することができる。
【0059】
前記外添工程では、前記分級工程で得られたトナー母体粒子へ外添剤を外添する。トナー母体粒子と外添剤とをミキサーを用い、混合及び攪拌することにより外添剤が解砕されながらトナー母体粒子表面に被覆される。
混合及び攪拌して機械的衝撃力を印加することにより外添剤をトナー母体粒子に付着させることができる。
機械的衝撃力を印加する方法としては、例えば、高速で回転する羽根を用いて、粒子に衝撃力を印加する方法、高速気流中に粒子を投入して加速させて粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させて衝撃力を印加する方法などが挙げられる。
機械的衝撃力を印加する装置としては、例えば、オングミル(ホソカワミクロン株式会社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧カを低下させた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業株式会社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
【0060】
(現像剤)
本発明の現像剤は、少なくとも前記トナーを含み、更に必要に応じて、キャリア等の適宜選択されるその他の成分を含む。
本発明のトナーを現像剤として使用する際は、トナーのみにて構成される一成分現像剤として用いても、キャリアと混合して二成分現像剤として用いてもよく、特に限定はされないが、画像形成装置のストレスが加わりやすく、より厳しい条件である一成分現像剤においてもストレスに強く、低温定着性に優れ、長期的に高品質な画像を形成できる本発明のトナーの利点が得られる点から、一成分現像剤が好ましく、また、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命向上等の観点から、二成分現像剤が好ましい。
【0061】
前記現像剤が、本発明のトナーと、キャリアとを含む二成分現像剤である場合、前記キャリアとしては、二成分現像方式に応じて、磁性キャリアであってもよく、非磁性キャリアであってもよい。
前記磁性キャリアとしては、例えば、マグネタイト、ガンマ酸化鉄等のスピネルフェライト、鉄以外の金属(Mn、Ni、Zn、Mg、Cu等)を一種又は二種以上含有するスピネルフェライト、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライト、表面に酸化層を有する鉄や合金の粒子などが挙げられる。
前記磁性キャリアの形状としては、粒状、球状、及び針状のいずれであってもよい。
これらの中でも、特に高磁化を要する場合は、鉄等の強磁性微粒子を用いることが好ましく、化学的な安定性の点で、マグネタイト、ガンマ酸化鉄を含むスピネルフェライトやバリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライトが好ましい。
前記マグネトプランバイト型フェライトとしては、具体的には、MFL-35S、MFL-35HS(パウダーテック株式会社製);DFC-400M、DFC-410M、SM-350NV(DOWA IP クリエイション株式会社製)などが好適な例として挙げられる。
【0062】
前記磁性キャリアとして、強磁性微粒子等の磁性体微粒子を含有し、その種類及び含有量を選択することにより所望の磁化を有する樹脂キャリアを使用することもできる。
前記樹脂キャリアの磁気特性としては、1,000エルステッドにおける磁化の強さで、30emu/g~150emu/gが好ましい。
【0063】
前記樹脂キャリアの製造方法としては、例えば、磁性体微粒子と絶縁性の結着樹脂との溶融混練物をスプレードライヤーで噴霧して製造する方法;磁性体微粒子の存在下に水性媒体中でモノマー乃至プレポリマーを反応、硬化させ、縮合型の結着樹脂中に磁性体微粒子が分散された樹脂キャリアを製造する方法;磁性キャリアの表面に正又は負帯電性の微粒子又は導電性微粒子を固着させたり、磁性キャリアの表面に樹脂をコーティングしたり、磁性キャリアの表面に正又は負帯電性の微粒子又は導電性微粒子を含む樹脂をコーティングして、樹脂キャリアを製造する方法;などが挙げられる。これらの方法により、適宜、帯電性を制御できる。
前記コーティング用の樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、シリコーン樹脂及びアクリル樹脂が好ましい。
【0064】
前記二成分現像剤におけるキャリアの含有量としては、85質量%以上98質量%未満であることが好ましい。前記含有量が85質量%以上であると、現像装置からのトナーの飛散が発生しやすくなることによる不良画像の発生を抑制することができる。前記含有量が98質量%未満であると、電子写真現像用トナーの帯電量が過度に上昇したり、電子写真現像用トナーの供給量が不足することを抑制でき、画像濃度の低下、不良画像の発生を有効に防止することができる。
【0065】
(トナー収容ユニット)
本発明におけるトナー収容ユニットは、トナーを収容する機能を有するユニットに、上述した本発明のトナーを収容したものをいう。
ここで、トナー収容ユニットの態様としては、例えば、トナー収容容器、現像器、プロセスカートリッジなどが挙げられる。
前記トナー収容容器とは、前記トナーを収容した容器をいう。
前記現像器は、前記トナーを収容し現像する手段を有するものをいう。
前記プロセスカートリッジとは、少なくとも像担持体と現像手段とを一体とし、前記トナーを収容し、画像形成装置に対して着脱可能であるものをいう。前記プロセスカートリッジは、更に帯電手段、露光手段、及びクリーニング手段のから選ばれる少なくとも一つを備えてもよい。
本発明のトナー収容ユニットには、本発明の前記トナーが収容される。本発明のトナー収容ユニットを、画像形成装置に装着して画像形成することで、ストレスに強く、低温定着性に優れる本発明のトナーを用いて画像形成が行われるため、長期的に高品質な画像を形成できる。
【0066】
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有する。
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
【0067】
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記静電潜像形成工程は前記静電潜像形成手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
【0068】
<静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段>
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像形成手段は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する手段である。
前記静電潜像担持体(「光導電性絶縁体」、「電子写真用感光体」、「感光体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体、などが挙げられる。
【0069】
前記有機感光体としては、アルミドラム等の支持体上に、無金属フタロシアニンやチタニルフタロシアニン等の電荷発生材料をバインダー樹脂に分散させた層(電荷発生層)と電荷輸送材料をバインダー樹脂に分散させた層(電荷輸送層)を積み重ねた積層構造を有する積層型感光体や、支持体上に電荷発生材料及び電荷輸送材料の両方をバインダー樹脂に分散させた単層構造の感光層を有する単層型感光体が挙げられる。単層型感光体では感光層に電荷輸送材料として正孔輸送剤及び電子輸送剤を添加することもできる。
また、支持体と、積層型の電荷発生層や単層型の感光層との間に、下引き層を設けてもよい。
【0070】
前記静電潜像の形成は、例えば前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
【0071】
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
【0072】
前記帯電器は、前記静電潜像担持体に対して、接触又は非接触の状態で配置され、直流電圧及び交流電圧を重畳印加することによって、前記静電潜像担持体の表面を帯電するものが好ましい。また、前記帯電器は、感光体に対して、ギャップテープを介して非接触に近接配置された帯電ローラであり、帯電ローラに直流電圧及び交流電圧を重畳印加することによって、感光体の表面を帯電するものが好ましい。
【0073】
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露器は、帯電器により帯電された感光体の表面に、像様に露光を行うことができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系等が挙げられる。なお、感光体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0074】
<現像工程及び現像手段>
前記現像工程は、前記静電潜像を、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記現像手段は、前記静電潜像を、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する手段である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、本発明の前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられ、本発明の前記トナー入り容器を着脱自在に備えた現像器などがより好ましい。
【0075】
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
【0076】
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体の表面に該トナーによる可視像が形成される。なお、トナーを静電潜像担持体の表面に移動させる際には、交番電界を印加することが好ましい。
【0077】
<転写工程及び転写手段>
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程である。
前記転写手段は、前記可視像を記録媒体に転写する手段である。
前記転写工程は、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記可視像の転写は、例えば、転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
転写手段(一次転写手段、二次転写手段)は、静電潜像担持体上に形成された可視像を被転写体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有することが好ましい。転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。転写器としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器などが挙げられる。
前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
被転写体は、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
【0078】
<定着工程及び定着手段>
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着させる工程である。
前記定着手段は、記録媒体に転写された可視像を定着させる手段である。
前記定着工程は、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記定着手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ;加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ;発熱体を具備する加熱体、加熱体と接触するフィルム及びフィルムを介して加熱体と圧接する加圧部材を有し、フィルム、及び加圧部材の間に、未定着画像が形成された被転写体を通過させて加熱加圧定着する手段;などが挙げられる。
前記定着手段における加熱は、通常、80℃~200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
【0079】
<その他の工程及びその他の手段>
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
【0080】
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
【0081】
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
【0082】
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0083】
次に、図1を参照しながら、本発明の画像形成方法の他の態様について、説明する。
図1に示す画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置である。この画像形成装置は、複写装置本体150、給紙テーブル200、スキャナ300及び原稿自動搬送装置(ADF)400を備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図2中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置された画像形成手段120が配置されている。画像形成手段120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、画像形成手段120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される転写紙と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、これに押圧されて配置された加圧ローラ27とを備えている。
なお、タンデム画像形成装置においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
【0084】
次に、画像形成手段120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、まず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
【0085】
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。次に、各画像情報は、画像形成手段120における各画像形成ユニット18にそれぞれ伝達され、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の可視像が形成される。
【0086】
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各画像情報は、タンデム型の画像形成手段120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段、及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各トナー画像が形成される。
即ち、画像形成手段120における各色の画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図2に示すように、それぞれ、静電潜像担持体10と、該静電潜像担持体10を一様に帯電させる帯電装置160と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記静電潜像担持体を露光(図2中、L)し、該静電潜像担持体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光装置と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する現像装置61と、該トナー画像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、クリーニング装置63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用静電潜像担持体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用静電潜像担持体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用静電潜像担持体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用静電潜像担持体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
【0087】
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ142を回転して手差しトレイ54上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
【0088】
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25へと送出され、定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。その後、該シート(記録紙)は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
【0089】
次に、前記プロセスカートリッジの一実施形態を図3に示す。本実施形態のプロセスカートリッジ110は、図3に示すように、静電潜像担持体10を内蔵し、帯電手段としての帯電器58、現像手段としての現像器40、及びクリーニング手段としてのクリーニング装置90を含み、更に必要に応じてその他の手段を有する。図3中、符号Lは、露光手段(図示せず)からの露光、符号95は記録紙をそれぞれ示す。
静電潜像担持体10としては、画像形成装置における静電潜像担持体と同様のものを用いることができる。帯電器58には、任意の帯電部材が用いられる。
図3に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについては、静電潜像担持体10は、矢印方向に回転しながら、帯電器58による帯電、露光手段による露光Lにより、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。
この静電潜像は、現像器40でトナー現像され、該トナー現像は転写ローラ80により、記録紙95に転写され、プリントアウトされる。次いで、画像転写後の静電潜像担持体10表面は、クリーニング装置90によりクリーニングされ、更に除電手段(図示せず)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
【0090】
本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、ストレスに強く、低温定着性に優れる本発明のトナーを用いているので、長期的に高品質な画像を提供することができる。
【実施例0091】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、「部」の記載は、特記しない限り質量部を意味する。
【0092】
<スチレンアクリル樹脂の製造方法>
[スチレンアクリル樹脂1の製造例]
キシレン100質量部、スチレン95.0質量部、及びアクリル酸5.0質量部を反応容器に仕込み、混合し、得られた混合液を70℃まで昇温した。窒素雰囲気下で、ラジカル重合開始剤であるtert-ブチルハイドロパーオキサイド3.0質量部をキシレン10.0質量部に溶解したものを該混合液に滴下した。さらにその温度で該混合液を7.5時間保温してラジカル重合反応を終了させた。さらに該混合液を加熱しながら減圧し、60.0質量部のキシレンを脱溶剤し、反応溶液を得た。
一方、攪拌羽根を取り付けた容器に500.0質量部のメタノールを仕込み、攪拌した。そこへ上記反応溶液を1時間かけて滴下し、得られた沈殿物を濾過及び洗浄した後に乾燥し、数平均分子量(Mn)3500、ガラス転移点60℃のスチレンアクリル樹脂1を得た。
【0093】
[スチレンアクリル樹脂2の製造例]
重合反応時間を5時間に変更した以外は、スチレンアクリル樹脂1と同様にしてスチレンアクリル樹脂2を得た。
スチレンアクリル樹脂2は、数平均分子量(Mn)3300、ガラス転移点56℃であった。
【0094】
<ポリエチレンワックス1~2>
ポリエチレンワックス1として、ポリワックス500(融点88℃、トーヨーケム株式会社製)を用い、ポリエチレンワックス2として、ネオワックス(融点110℃、ヤスハラケミカル株式会社製)を用いた。
【0095】
(実施例1)
<トナー母体Aの製造>
下記組成のトナー原材料を、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製、FM20B)を用いて予備混合した後、一軸混練機(Buss製、コニーダ混練機)で100℃~130℃の温度で溶融、混練した。得られた混練物は室温まで冷却後、ロートプレックスにて200μm~300μmに粗粉砕した。次いで、カウンタジェットミル(ホソカワミクロン株式会社製、100AFG)を用いて、重量平均粒径が5.4±0.3μmとなるように粉砕エアー圧力を適宜調整しながら微粉砕した後、気流分級機(株式会社マツボー製、EJ-LABO)で、重量平均粒径が5.8±0.4μm、重量平均粒径/個数平均粒径の比が1.25以下となるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、平均円形度0.94のトナー母体を得た。
【0096】
-組成-
・スチレンアクリル樹脂1 89.0部
・ポリエチレンワックス1 4.0部
・カーボンブラック(C-44、三菱ケミカル株式会社製) 6.0部
・サリチル酸誘導体ジルコニウム塩(TN-105、保土谷化学工業株式会社)
1.0部
【0097】
<トナーの製造>
トナー母体A100部に対し、疎水性シリカ(NY50L、日本アエロジル社製、平均粒径30nmのオイル処理シリカ)を1.5部、疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子(サンシールMP-01、平均粒径0.050μm、ヘキサメチルジシラザン処理(HMDS処理)されたポリメチルシルセスキオキサン粒子、株式会社トクヤマ社製)を0.1部添加後、ヘンシェルミキサーで攪拌混合し、実施例1のトナー1を得た。
【0098】
(実施例2~5)
実施例1において、表1に示す組成に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2~5のトナー2~5を得た。
【0099】
(実施例6)
実施例1において得られたトナー母体Aに代えて、以下の手順により球形化処理を行ったトナー母体Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6のトナー6を得た。
【0100】
実施例1において得られたトナー母体Aを、表面改質機(球形化装置 メテオレインボーMR-10、日本ニューマチック社製)を用い、温度196℃で熱処理を行うことにより、球形化処理を行い、トナー母体Bを得た。
【0101】
(実施例7~8)
実施例1において、表1に示す通り、疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子の含有量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7~8のトナー7~8を得た。
【0102】
(比較例1)
実施例1において、疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子を添加しない以外は、実施例1と同様にして、比較例1のトナーaを得た。
【0103】
(比較例2~3)
実施例2~3において、表2に示す通り、組成を変更して、トナーのガラス転移温度を変更したこと以外は、実施例2~3と同様にして、比較例2のトナーb及び比較例3のトナーcを得た。
【0104】
(比較例4~5)
実施例4~5において、表2に示す通り、組成を変更し、フローテスターによる流出開始温度tを変更したこと以外は、実施例4~5と同様にして、比較例4のトナーd及び比較例5のトナーeを得た。
【0105】
(トナー特性)
得られた実施例1~8及び比較例1~5のトナーについて、下記のトナー特性を測定した。結果を表1~2に示す。
【0106】
<トナー母体の体積平均粒子径の測定>
トナー母体の体積平均粒子径の測定は、コールターカウンターマルチサイザーIII(ベックマン・コールター株式会社)を用い、測定試料は界面活性剤を加えた電解液中に測定トナーを加え超音波分散器(本多電子株式会社製)で1分間分散させたものを50,000個測定し、その平均を算出することにより求めた。
【0107】
<トナー母体の平均円形度の測定>
トナー母体の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(Flow Particle Imag e Analyzer)FPIA-3000(シスメックス株式会社製)を用いて計測し、解析ソフト(FPIA-3000 Data Processing Program For FPIA Version00-10)を用いて測定した。
具体的には、ガラス製のビーカーに10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩ネオゲンSC-A;第一工業製薬株式会社製)を0.1mL~0.5mL添加し、微粒子を添加してミクロスパーテルでかき混ぜ、次いで、イオン交換水80mLを添加する。得られた分散液を超音波分散器(本多電子株式会社製)で3分間分散処理する。この分散液について、前記FPIA-3000を用いて、濃度が5,000個/μL~15,000個/μLとなるまで微粒子の形状及び分布を測定した。
【0108】
<結着樹脂のガラス転移温度の測定>
前記ガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、DSC210)を用いて、試料0.001g~0.01gをアルミニウムパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速10℃/分で、0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点とした。
【0109】
<フローテスターによる流出開始温度tの測定>
フローテスター(株式会社島津製作所製、CFT-500D)を用い、1.0gのトナー(試料)を昇温速度3℃/分で加熱しながら、プランジャーにより22.5kgfの荷重を与え、直径1.0mm、長さ1.0mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量のプロットを得た。このプロットの40℃におけるプランジャー位置をP(40℃)とし、0.1mm降下したときのプランジャー位置をP(t℃)とし、そのときの温度tを流出開始温度として測定した(下記式(1)参照)。
P(t℃)=0.1+P(40℃) ・・・・・・ (1)
【0110】
(評価)
得られた実施例1~8及び比較例1~5のトナーについて、下記の評価を行った。評価結果を表1~2に示す。
【0111】
<低温定着性>
電子写真装置(RICOH P500;株式会社リコー製)の定着部からなる定着試験機に、普通紙(「タイプTYPE 6000<70W>Y目」;株式会社リコー製)及び、複写紙(TYPE 6200;株式会社リコー製)を用い、コールドオフセット及び、スミア性から評価し、両者を満足した温度を定着温度とし、以下の評価基準により評価した。
[評価基準]
◎:定着温度が、140℃以下である
○:定着温度が、140℃超145℃以下である
△:定着温度が、145℃超150℃以下である
×:定着温度が、150℃超である
【0112】
<<コールドオフセット>>
前記コールドオフセットは、普通紙にベタ画像を0.85±0.2mg/cmのトナーが現像されるよう調整し、定着ローラ温度を2℃ずつ変化させて定着を行い、コールドオフセットの発生有無を評価した。
【0113】
<<スミア性>>
前記スミア性としては、スミア試験器(摩擦試験機I型、JIS L0823)を用いて擦った後に付着した画像の、分光計(X-ライト社製、X-Rite eXact)を用いて測定した濃度値(スミアID)が、0.4以下となるときの定着温度により評価した。
【0114】
<現像プロセス耐久性>
電子写真装置(「RICOH P500」:株式会社リコー製)とA4T目マイペーパー(株式会社リコー製)を用いて評価した。
具体的には、白紙で2,000枚連続印刷した後、トナー帯電量の測定、及び全ベタ画像を印刷し、帯電特性(連続印刷前後でのトナー帯電量の変化率)と、画像品質(異常画像の発生有無)を評価した。
【0115】
<<帯電特性>>
帯電特性として、連続印刷前後でのトナー帯電量の変化率を測定し、以下の評価基準により評価した。
[評価基準]
◎:トナー帯電量の変化率が、10%以下である
○:トナー帯電量の変化率が、10%超15%以下である
△:トナー帯電量の変化率が、15%超20%以下である
×:トナー帯電量の変化率が、20%超である
【0116】
<<画像品質>>
画像品質として、連続印刷後に印刷した全ベタ画像において、白スジの発生や、ベタ画像の途中から画像が薄くなる現象などの異常画像の発生有無を目視で観察し、以下の評価基準により評価した。
◎:異常画像が発生しない
○:使用者が気にならないレベルの異常画像が発生する
×:明らかな異常画像が発生する
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
【0119】
以上より、本発明のトナーは、低温定着性に優れる1成分トナーに、外添剤として疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子を含むことにより、低温定着性に優れたトナーにおいても、非常に高い表面保持性を示すことができるため、現像プロセスでのストレス下においても、トナーの帯電性、流動性を維持することができる。したがって、トナーが、ストレスに強く、低温定着性に優れ、長期的に高品質な画像を形成できることが明らかとなった。
【0120】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 結着樹脂、離型剤、及び帯電制御剤を含むトナー母体粒子と、外添剤と、を含むトナーであって、
前記外添剤が、疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子を含み、
ガラス転移温度が48℃以上60℃以下であり、
フローテスターでの測定において、前記トナー1.0gを昇温速度3℃/分で加熱しながら22.5kgfの荷重を加えた状態で40℃でのストローク位置から、ストローク位置が0.1mm押し込まれるときの温度が54℃以上65℃以下であることを特徴とするトナーである。
<2> 前記結着樹脂が、スチレンアクリル樹脂であり、
前記離型剤が、ポリエチレンワックスである前記<1>に記載のトナーである。
<3> 前記離型剤の含有量が、トナー100質量部に対して、2質量部以上8質量部以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載のトナーである。
<4> 前記トナー母体粒子が、粉砕トナーであり、
前記トナー母体粒子の平均円形度が、0.96以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナーである。
<5> 前記疎水化処理されたポリメチルシルセスキオキサン粒子の含有量が、トナー100質量部に対して、0.05質量部以上0.5質量部以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載のトナーである。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーを収容したことを特徴とするトナー収容ユニットである。
<7> 静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
前記可視像を転写材上に転写する転写手段と、
前記転写材上に転写された可視像を定着させる定着手段と、を少なくとも有することを特徴とする画像形成装置である。
<8> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を転写材上に転写する転写工程と、
前記転写材上に転写された可視像を定着させる定着工程と、を少なくとも有することを特徴とする画像形成方法である。
【0121】
前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナー、前記<6>に記載のトナー収容ユニット、前記<7>に記載の画像形成装置、及び前記<8>に記載の画像形成方法は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0122】
【特許文献1】特開2014-85566号公報
【特許文献2】特開2010-151996号公報
【特許文献3】特開2014-199422号公報
【特許文献4】特開2014-164034号公報
図1
図2
図3