IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

特開2024-97671機器、機器システム、認証方法、プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097671
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】機器、機器システム、認証方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
G06F3/12 367
G06F3/12 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001296
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】奥津 彰人
(72)【発明者】
【氏名】北村 貴志
(57)【要約】
【課題】専用のアプリケーションが端末装置にインストールされていなくてもユーザーが機器を用いてデータを処理すること。
【解決手段】本発明は、情報処理システム20に登録されているデータを処理する機器40であって、ユーザーの認証情報の入力を受け付ける操作受付部と、前記ユーザーの認証情報を用いた認証が成功した場合、前記ユーザーが入力した前記認証情報を認証画像に変換する変換部と、前記変換部が変換した前記認証画像を表示する表示制御部と、前記ユーザーが端末装置に表示させた前記認証画像から、前記ユーザーの認証情報を取得する認証情報取得部と、前記認証情報取得部が取得した前記認証情報を用いた認証が成功した場合、前記ユーザーの識別情報に対応付けられている前記データを前記情報処理システムから取得するデータ取得部と、前記データ取得部が取得した前記データを処理するデータ処理部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムに登録されているデータを処理する機器であって、
ユーザーの認証情報の入力を受け付ける操作受付部と、
前記ユーザーの認証情報を用いた認証が成功した場合、前記ユーザーが入力した前記認証情報を認証画像に変換する変換部と、
前記変換部が変換した前記認証画像を表示する表示制御部と、
前記ユーザーが端末装置に表示させた前記認証画像から、前記ユーザーの認証情報を取得する認証情報取得部と、
前記認証情報取得部が取得した前記認証情報を用いた認証が成功した場合、前記ユーザーの識別情報に対応付けられている前記データを前記情報処理システムから取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得した前記データを処理するデータ処理部と、
を有する機器。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記ユーザーの認証情報の入力又は前記認証画像の提示のいずれかのログイン方法の選択を受け付ける画面を表示し、
前記操作受付部が前記ユーザーの認証情報の入力による前記ログイン方法の選択を受け付け、前記ユーザーの入力した認証情報を用いた認証が成功した場合、前記変換部は、ユーザーが入力した前記認証情報を前記認証画像に変換し、
前記表示制御部は、前記端末装置が撮像するための、前記変換部が変換した前記認証画像を表示する請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記操作受付部が前記ユーザーの認証情報の入力による前記ログイン方法の選択を受け付けた場合、
前記表示制御部は、前記ユーザーの認証情報の入力欄を表示し、
前記操作受付部が前記認証画像の提示による前記ログイン方法の選択を受け付けた場合、
前記表示制御部は、前記ユーザーに前記認証画像の提示を促す画面を表示する請求項2に記載の機器。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記ユーザーの認証情報の入力欄、及び、前記認証画像の提示によるログインを指示する表示部品を有する画面を表示し、
前記操作受付部が前記ユーザーの認証情報の入力を受け付け、前記ユーザーの認証情報を用いた認証が成功した場合、前記変換部は、ユーザーが入力した前記認証情報を前記認証画像に変換し、
前記表示制御部は、前記端末装置が撮像するための、前記変換部が変換した前記認証画像を表示する請求項1に記載の機器。
【請求項5】
前記操作受付部が前記ユーザーの認証情報の入力を受け付けた場合、
前記表示制御部は、認証の処理を行っている旨の画面を表示し、
前記操作受付部が前記表示部品の押下を受け付けた場合、
前記表示制御部は、前記ユーザーに前記認証画像の提示を促す画面を表示する請求項4に記載の機器。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記変換部が変換した前記認証画像を表示する際、撮像して保存しておくことを推奨する旨を表示する請求項2~5のいずれか1項に記載の機器。
【請求項7】
前記ユーザーが入力した前記認証情報を暗号化する暗号復号部を有し、
前記変換部は、前記暗号復号部が暗号化した前記認証情報を前記認証画像に変換し、
前記表示制御部は、前記変換部が変換した前記認証画像を表示する請求項2に記載の機器。
【請求項8】
前記データ取得部は、前記ユーザーの認証結果が成功である場合、前記ユーザーの識別情報に対応付けられている前記データのリストを前記情報処理システムから取得し、
前記表示制御部は、前記データのリストを表示し、
前記操作受付部は、前記データのリストから前記データの選択を受け付け、
前記データ取得部は、前記操作受付部が受け付けた前記データを前記情報処理システムから取得する請求項1に記載の機器。
【請求項9】
前記データ処理部が行う前記データの処理は、前記データの印刷である請求項1に記載の機器。
【請求項10】
前記データ処理部が行う前記データの処理は、原稿をスキャンして生成した画像データを前記情報処理システムに登録する処理である請求項1に記載の機器。
【請求項11】
前記データ処理部が行う前記データの処理は、前記データ取得部が取得した前記ユーザーの識別情報に対応付けられている印刷設定又は読取設定を、前記機器に設定する処理である請求項1に記載の機器。
【請求項12】
情報処理システムと機器が通信してデータを処理する機器システムであって、
ユーザーの認証情報の入力を受け付ける操作受付部と、
前記ユーザーの認証情報を用いた認証が成功した場合、前記ユーザーが入力した前記認証情報を認証画像に変換する変換部と、
前記変換部が変換した前記認証画像を表示する表示制御部と、
前記ユーザーが端末装置に表示させた前記認証画像から、前記ユーザーの認証情報を取得する認証情報取得部と、
前記認証情報取得部が取得した前記認証情報を用いた認証が成功した場合、前記ユーザーの識別情報に対応付けられている前記データを前記情報処理システムから取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得した前記データを処理するデータ処理部と、
を有する機器システム。
【請求項13】
情報処理システムに登録されているデータを処理する機器が行う認証方法であって、
ユーザーの認証情報の入力を受け付ける処理と、
前記ユーザーの認証情報を用いた認証が成功した場合、前記ユーザーが入力した前記認証情報を認証画像に変換する処理と、
変換された前記認証画像を表示する処理と、
前記ユーザーが端末装置に表示させた前記認証画像から、前記ユーザーの認証情報を取得する処理と、
取得した前記認証情報を用いた認証が成功した場合、前記ユーザーの識別情報に対応付けられている前記データを前記情報処理システムから取得する処理と、
取得した前記データを処理する処理と、
を実行する認証方法。
【請求項14】
情報処理システムに登録されているデータを処理する機器を、
ユーザーの認証情報の入力を受け付ける操作受付部と、
前記ユーザーの認証情報を用いた認証が成功した場合、前記ユーザーが入力した前記認証情報を認証画像に変換する変換部と、
前記変換部が変換した前記認証画像を表示する表示制御部と、
前記ユーザーが端末装置に表示させた前記認証画像から、前記ユーザーの認証情報を取得する認証情報取得部と、
前記認証情報取得部が取得した前記認証情報を用いた認証が成功した場合、前記ユーザーの識別情報に対応付けられている前記データを前記情報処理システムから取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得した前記データを処理するデータ処理部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器、機器システム、認証方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザーが操作する端末装置から印刷ジョブをネットワーク上の情報処理システムに蓄積しておき、ユーザーが画像形成装置等の機器から情報処理システムの印刷ジョブをダウンロードして印刷するプルプリントサービスが知られている。プルプリントサービスでは、ユーザーが登録した印刷ジョブを機器が印刷するために、機器がユーザーを認証する。
【0003】
QRコード(登録商標)等の認証画像を用いた認証方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、端末装置が認証画像を表示し、画像形成装置が認証画像を読み取り、端末装置を認証し、画像形成装置に対する処理の実行を許可する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、機器を用いてデータを処理するための専用のアプリケーションが端末装置にインストールされている必要があった。すなわち、端末装置がユーザーの認証情報を含む認証画像を表示するには、認証情報を認証画像に変換するためのアプリケーションが必要になる。そのためユーザーは画像形成装置を用いた印刷に際し、専用のアプリケーションを準備する必要がある。また、印刷サービスを提供する事業者はアプリケーションを管理運用する必要がある。例えば、ユーザーが店舗の画像形成装置を用いて印刷する際に、追加のアプリケーションをユーザーに準備させるのは負担が大きく画像形成装置の利用に対する障壁になっていた。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、専用のアプリケーションが端末装置にインストールされていなくてもユーザーが機器を用いてデータを処理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、情報処理システムに登録されているデータを処理する機器であって、ユーザーの認証情報の入力を受け付ける操作受付部と、前記ユーザーの認証情報を用いた認証が成功した場合、前記ユーザーが入力した前記認証情報を認証画像に変換する変換部と、前記変換部が変換した前記認証画像を表示する表示制御部と、前記ユーザーが端末装置に表示させた前記認証画像から、前記ユーザーの認証情報を取得する認証情報取得部と、前記認証情報取得部が取得した前記認証情報を用いた認証が成功した場合、前記ユーザーの識別情報に対応付けられている前記データを前記情報処理システムから取得するデータ取得部と、前記データ取得部が取得した前記データを処理するデータ処理部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
専用のアプリケーションが端末装置にインストールされていなくてもユーザーが機器を用いてデータを処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】プルプリントにおいて、機器システムが行う認証方法の概略を説明する図である。
図2】機器システムのシステム構成図の一例である。
図3】端末装置のハードウェア構成図の一例である。
図4】情報処理システムのハードウェア構成図の一例である。
図5】画像形成装置のハードウェア構成図の一例である。
図6】端末装置、画像形成装置、及び情報処理システムの機能と互いの関係の概略を説明する図である。
図7】機器システムが有する端末装置、情報処理システム、及び、画像形成装置の機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図の一例である。
図8】ユーザー管理部が管理するユーザー情報の一例を模式的に示す図である。
図9】ジョブ管理部が管理する印刷ジョブ情報を模式的に示す図である。
図10】ユーザーが画像形成装置を介して情報処理システムにログインする際に画像形成装置が表示する画面の遷移を示す図の一例である。
図11】画像形成装置が表示する同意画面の一例を示す図である。
図12】画像形成装置が表示するログイン方法選択画面の一例を示す図である。
図13】画像形成装置が表示するログイン情報入力画面(その1)の一例を示す図である。
図14】画像形成装置が表示する認証画像読取画面の一例を示す図である。
図15】画像形成装置が表示する処理中画面の一例を示す図である。
図16図10の変形例として、ユーザーが画像形成装置を介して情報処理システムにログインする際に画像形成装置が表示する画面の遷移を示す図の一例である。
図17】画像形成装置が表示するログイン情報入力画面(その2)の一例を示す図である。
図18】ユーザーが画像形成装置に表示された印刷ジョブのリストから印刷ジョブを選択して画像形成装置に印刷させる画面の遷移を示す図の一例である。
図19】画像形成装置が表示する文書選択画面の一例を示す図である。
図20】画像形成装置が表示する認証画像表示画面の一例を示す図である。
図21】画像形成装置が表示する印刷設定画面の一例を示す図である。
図22】ユーザーが端末装置を操作して情報処理システムに印刷ジョブを蓄積する処理を説明するシーケンス図の一例である。
図23】初回のプルプリント時に、ユーザーが画像形成装置を操作して情報処理システムにログインする処理を説明するシーケンス図の一例である。
図24】ユーザーが画像形成装置に認証画像を提示して、情報処理システムにログインする処理を説明するシーケンス図の一例である。
図25】認証成功後に画像形成装置が印刷ジョブを実行する処理を説明するシーケンス図の一例である。
図26】画像形成装置が認証情報を暗号化及び復号する場合に、ユーザーが画像形成装置を介して情報処理システムにログインする処理を説明するシーケンス図の一例である。
図27】ログイン方法選択画面によりユーザーがログイン方法を切り替えた場合に、機器システムが行う処理を説明するシーケンス図の一例である。
図28】画像形成装置がWebアプリを実行する場合の機能ブロック図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、機器システムと機器システムが行う認証方法について図面を参照しながら説明する。
【0010】
<認証方法の概略>
図1は、プルプリントにおいて、機器システム100が行う認証方法の概略を説明する図である。
【0011】
(1) 画像形成装置40でファイルを印刷したいユーザーは、事前にファイルを印刷するための印刷ジョブをネットワーク上の情報処理システム20に登録しておく。情報処理システム20は例えばクラウドサーバーである。
【0012】
(2) ユーザーは、例えばパブリックな場所(コンビニエンスストアや大学生協など)の画像形成装置40に赴く。
【0013】
(3) ユーザーは、初回のプルプリント時に、印刷ジョブの登録時に情報処理システム20に登録した認証情報(メールアドレスとパスワード等)を操作パネルで入力する。画像形成装置40が認証情報を情報処理システム20に送信し、情報処理システム20による認証が成功すると、画像形成装置40が印刷ジョブを情報処理システム20から取得して印刷する。
【0014】
(4) 認証に成功した場合、画像形成装置40は、認証情報をQRコード(登録商標)等の認証画像に変換して表示する。
【0015】
(5) ユーザーはこの認証画像を端末装置10のカメラで撮像し、その画像データを保存しておく。
【0016】
(6) 二回目以降のプルプリント時、ユーザーが印刷ジョブを印刷する場合、端末装置10に認証画像の画像データを表示させ、画像形成装置40に読み取らせる。
【0017】
(7) 画像形成装置40は認証画像から認証情報を取得し、情報処理システム20に認証情報を送信することでユーザー認証を行い、このユーザーが登録した印刷ジョブを取得して印刷する。
【0018】
したがって、本実施形態の機器システム100は、ユーザーが写真撮像した認証画像を提示することで、簡単に認証し印刷ジョブを印刷できる。ユーザーは印刷の度に、認証情報を入力する必要がない。また、端末装置10はカメラ機能を有していればよいので、ユーザーが印刷のための専用のアプリケーションをインストールする必要もない。
【0019】
従来技術と異なり、ユーザーの端末側で、情報処理システム20との距離の判断や、判断結果に伴う表示制御を行う必要もなく、専用の制御を行うアプリケーションが不要になる。
【0020】
<用語について>
プルプリントとは、ユーザーが操作する端末装置から印刷ジョブをネットワーク上の情報処理システムに蓄積しておき、ユーザーが画像形成装置等の機器から情報処理システムの印刷ジョブをダウンロードして印刷するサービスである。プルプリントは、ロケーションフリー印刷、又はセキュア印刷等ともいう。
【0021】
印刷ジョブとは印刷を要求された文書データを画像形成装置40が印刷する際の実行単位となる処理である。印刷ジョブには少なくとも文書データが含まれ、更に印刷設定が含まれる場合がある。画像形成装置40のジョブを印刷ジョブというが、その他の機器では機器の機能に応じた名称のジョブが実行される。文書データには、文字だけでなく画像や図形などが含まれてもよいし、画像のみであってもよい。
【0022】
認証とはユーザーが正当な権限者か否かを判断することをいう。認証情報とは、認証の際にユーザーが機器に入力し、機器又は情報処理システムが認証するための情報である。本実施形態では、認証情報は例えばメールアドレス(ユーザーID)とパスワードである。認証が成功するとユーザーは画像形成装置40にログインする。ログインとは、コンピュータやインターネット上の様々なサービスを利用する際に、予め登録しておいたアカウント情報を用いてシステムのリソースにアクセスする行為をいう。認証情報は、ユーザーIDとパスワードの他、ICカードの番号、生体認証情報などでもよい。
【0023】
認証画像とは、文字列である認証情報が画像に変換されたものである。認証画像は、その位置、大きさ、及び傾きを撮像側が容易にかつ短時間に検知する機能と、元のデータを黒白のマスや線のサイズと配置で表す機能と、一部に汚れで読めない部分があってもデータを再現できる誤り訂正機能を有している。撮像側は文字列を読み取るよりも正確かつ短時間で認証情報を取得できる。
【0024】
データの処理とは、機器が有する機能でデータを処理できればよい。本実施形態では、データの処理は、例えば印刷ジョブの実行、スキャン、コピー、メール送信、scan to folder(原稿画像のスキャンを実行しスキャンデータを所定の記憶領域への記憶要求すること)又は、印刷設定や読取設定(カラー設定、解像度、濃度、送信先フォルダ等)の再現などである。
【0025】
<システム構成例>
図2は、本実施形態の機器システム100のシステム構成図の一例である。機器システム100は端末装置10、情報処理システム20、及び、画像形成装置40を有している。
【0026】
端末装置10と情報処理システム20は、ネットワークN1を介して通信する。本実施形態のネットワークN1は、3G、4G、5G、LTEなどの公衆回線を利用したネットワークである。公衆回線とは、拠点間を結ぶ通信回線において、不特定のユーザーが物理的に同じ回線を共有して利用する回線である。例えば、携帯電話網、PHS通信網が挙げられる。なお、端末装置10は、Wi-Fi(登録商標)などの無線LANでアクセスポイントに接続し、インターネットを介して情報処理システム20と通信することも、有線で通信することも可能である。
【0027】
画像形成装置40と情報処理システム20はネットワークN2を介して通信する。本実施形態のネットワークN2は、画像形成装置40と情報処理システム20が設置されている施設などに構築されているLAN、複数のLANを有するWAN、及び、インターネット等が想定される。画像形成装置40と情報処理システム20が通信できればよい。ネットワークN2は有線又は無線のどちらで構築されてもよく、また、有線と無線が組み合わされていてもよい。また、画像形成装置40が、公衆回線に接続して情報処理システム20と通信してもよい。
【0028】
本実施形態では、端末装置10と画像形成装置40はネットワークを介して通信する必要はない。端末装置10と画像形成装置40は互いの撮像機能を使用して、他方が表示した認証画像を撮像する。ただし、端末装置10と画像形成装置40はネットワークを介して通信してもよい。このネットワークは、例えば、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標。Bluetooth Low Energyを含む)などの近距離無線通信を利用したネットワークである。この他、赤外線通信、可視光通信など、比較的近距離で通信するネットワークが好ましい。
【0029】
端末装置10はコンピュータとしての機能を有し、印刷ジョブと認証情報を情報処理システム20に登録したり、印刷ジョブのリストを取得して一覧で表示したりする機能(例えばWebブラウザ)を有している。また、端末装置10は、印刷ジョブを編集又は削除する機能を有していてよい。なお、端末装置10では認証画像を撮像するため機能や、文書データを作成することを支援したりインターネット上から取得したりするような汎用的なアプリケーションが動作する。しかし、端末装置10には、情報処理システム20に蓄積されている印刷ジョブを画像形成装置40に印刷させる専用のアプリケーションが不要である。
【0030】
端末装置10は、具体的には、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、腕時計タイプなどのウェアラブルPC(Personal Computer)、PC、ゲーム機などであるがこれらには限られない。
【0031】
なお、印刷ジョブと認証情報を登録する装置は、端末装置10とは別の装置でもよい。すなわち、情報処理システム20と通信する任意のPC等が印刷ジョブと認証情報を情報処理システム20に登録できる。
【0032】
情報処理システム20は、例えばインターネット上の1つ以上の情報処理装置である。ネットワーク上の情報処理システム20をサーバという場合がある。サーバとは、クライアントからの要求に対して情報や処理結果を提供する機能を果たすコンピュータやソフトウェアである。また、情報処理システム20は、クラウドコンピューティングに対応していてよい。クラウドコンピューティングとは、特定ハードウェア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される利用形態をいう。
【0033】
情報処理システム20は端末装置10から送信された認証情報の登録を受け付け、また、印刷ジョブを蓄積する。情報処理システム20は、また、画像形成装置40からの要求に応じてユーザーを認証し、認証が成功すると印刷ジョブを画像形成装置40に送信する。情報処理システム20はインターネット上に存在してもよいし、オンプレミスに存在してもよい。情報処理システム20はクラウドサーバー、サーバシステムなどと呼ばれる場合がある。
【0034】
情報処理システム20は印刷ジョブを保存するためのストレージを有する。このストレージはインターネット上のディスクスペースをユーザーに提供するサービスで使用されるストレージでよい。印刷ジョブを保存するためのストレージはオンラインストレージ(有償無償を問わない)と呼ばれる場合もある。情報処理システム20は、一般ユーザーも企業も利用することができる。企業の場合、自社でファイルサーバ環境を構築する必要がなく、必要な分だけ容量を増減することができる。
【0035】
画像形成装置40は、機器の一例である。画像形成装置40は、印刷ジョブを実行するプリンタ、印刷装置、画像処理装置、複写機、複合機、又は、MFP(Multi-function Peripheral/Product/Printer)などである。本実施形態では、画像形成装置40は、プリンタ機能を有していればよい。
【0036】
また、画像形成装置40はプリンタ機能以外でデータを出力する機能を有する機器であってもよい。例えば、画像形成装置40は、プロジェクタ、HUD(Head Up Display)装置、電子黒板、デジタルサイネージなどである。これらの機器の場合、画像形成装置40は情報処理システム20から取得した映像、文書、音楽などのデータを出力する(表示、再生など)。
【0037】
この他、画像形成装置40は通信機能を備えた機器であれば、プリンタ等に限られない。画像形成装置40は、例えば、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPC又はデスクトップPC等であってもよい。
【0038】
<ハードウェア構成>
続いて、図3図5を用いて情報処理システム20のハードウェア構成について説明する。
【0039】
<<端末装置>>
図3は、端末装置10のハードウェア構成図である。図3に示されているように、端末装置10は、CPU401、ROM402、RAM403、EEPROM404、CMOSセンサ405、撮像素子I/F406、加速度・方位センサ407、メディアI/F409、GPS受信部411を備えている。
【0040】
これらのうち、CPU401は、端末装置10全体の動作を制御する。ROM402は、CPU401やIPL等のCPU401の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM403は、CPU401のワークエリアとして使用される。EEPROM404は、CPU401の制御にしたがって、端末装置10用のプログラム等の各種データの読み出し又は書き込みを行う。CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ405は、CPU401の制御にしたがって被写体(主に自画像)を撮像して画像データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。なお、CMOSセンサは、CCD(Charge Coupled Device)センサ等の撮像手段であってもよい。撮像素子I/F406は、CMOSセンサ405の駆動を制御する回路である。加速度・方位センサ407は、地磁気を検知する電子磁気コンパスやジャイロコンパス、加速度センサ等の各種センサである。メディアI/F409は、フラッシュメモリ等の記録メディア408に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。GPS受信部411は、GPS衛星からGPS信号を受信する。
【0041】
また、端末装置10は、遠距離通信回路412、CMOSセンサ413、撮像素子I/F414、マイク415、スピーカ416、音入出力I/F417、ディスプレイ418、外部機器接続I/F(Interface)419、近距離通信回路420、近距離通信回路420のアンテナ420a、及びタッチパネル421を備えている。
【0042】
これらのうち、遠距離通信回路412は、ネットワークN1を介して、他の機器と通信する回路である。CMOSセンサ413は、CPU401の制御にしたがって被写体を撮像して画像データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。撮像素子I/F414は、CMOSセンサ413の駆動を制御する回路である。マイク415は、音を電気信号に変える内蔵型の回路である。スピーカ416は、電気信号を物理振動に変えて音楽や音声などの音を生み出す内蔵型の回路である。音入出力I/F417は、CPU401の制御にしたがってマイク415及びスピーカ416との間で音信号の入出力を処理する回路である。ディスプレイ418は、被写体の画像や各種アイコン等を表示する液晶や有機EL(Electro Luminescence)などの表示手段の一種である。外部機器接続I/F419は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。近距離通信回路420は、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)等の通信回路である。タッチパネル421は、ユーザーがディスプレイ418を押下することで、端末装置10を操作する入力手段の一種である。
【0043】
また、端末装置10は、バスライン410を備えている。バスライン410は、図3に示されているCPU401等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0044】
<<情報処理システム>>
図4は、情報処理システム20のハードウェア構成図である。図4に示されているように、情報処理システム20は、コンピュータによって構築されており、図4に示されているように、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0045】
これらのうち、CPU501は、情報処理システム20全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、ネットワークN1,N2を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、図4に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0046】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWは、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0047】
<<画像形成装置>>
図5は、画像形成装置40のハードウェア構成図である。図5に示されているように、画像形成装置40は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。
【0048】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、及び、記憶部であるHD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0049】
これらのうち、CPU901は、画像形成装置40の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0050】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM902bとからなる。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0051】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDDコントローラ908及びMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PCIターゲット及びAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931及びプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC906は、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを有していてよい。
【0052】
MEM-C907は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出又は書込を制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0053】
また、近距離通信回路920には、近距離通信回路のアンテナ920aが備わっている。近距離通信回路920は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0054】
更に、エンジン制御部930は、スキャナ部931及びプリンタ部932によって構成されている。また、操作パネル940は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなるハードキー940bを備えている。コントローラ910は、画像形成装置40全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931又はプリンタ部932には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
【0055】
なお、画像形成装置40は、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、及びファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。画像形成装置40は、ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0056】
また、ネットワークI/F950は、ネットワークN2を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路920及びネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0057】
<機能の概略>
図6は、端末装置10、画像形成装置40、及び情報処理システム20の機能と互いの関係の概略を説明する図である。
【0058】
A.ユーザーは情報処理システム20のユーザー管理部22に事前にユーザーの認証情報の登録を行っておく。画像形成装置40はジョブ実行時に、ユーザーが手動で入力又は認証画像で入力した認証情報を情報処理システム20に送信してユーザーを認証する。
【0059】
B.また、ユーザーは情報処理システム20のジョブ管理部23へ事前に画像形成装置40で印刷したいファイルを印刷ジョブとして蓄積しておく。画像形成装置40はジョブ実行時にユーザーの識別情報に対応付けられた印刷ジョブを情報処理システム20から取得する。なお、ユーザー管理部22とジョブ管理部23は1つの情報処理装置にそれらの機能が搭載される必要はなく、別々の情報処理装置に各機能が配置されてよい。
【0060】
C.プルプリントの実行時、画像形成装置40は、ユーザーから手動による認証情報の入力を受け付け(入力受付手段101)、認証が成功すると、認証情報をコード化した認証画像を操作パネルに表示する(画像コード表示手段102)。認証情報の手動による入力は初回のみでよい。
【0061】
D.ユーザーは端末装置10で、画像形成装置40が表示した認証画像を撮像し、その画像データを保存しておく(画像コード撮像保存手段106)。
【0062】
E.二回目以降、ユーザーが、情報処理システム20に登録した印刷ジョブを印刷する場合、端末装置10に認証画像の画像データを表示させる(画像コード提示手段107)。ユーザーは画像データを画像形成装置40に提示する。
【0063】
なお、D.Eの機能は、端末装置10の標準機能で実施でき、専用のアプリケーションは不要である。ただし撮像と保存及び提示さえ実施できればユーザーは端末装置10内のどのアプリケーションを利用してもよい。
【0064】
F.画像形成装置40は、ユーザーが提示した認証画像を読み取る(画像コード読取手段104)。読取用のデバイスは、認証画像の画像データから認証情報を検出できれば、認証画像に専用のデバイスであってもよいし、カメラのような単なる撮像機能と認証画像のデコードソフトを組み合わせたような構成であっても良く、実現手段は問わない。読取用のデバイスは、画像形成装置40が有するスキャナでもよい。
【0065】
G.認証情報による認証に成功すると、画像形成装置40は印刷ジョブのリスト(一覧)を表示する。
【0066】
H.画像形成装置40は、ユーザーが印刷ジョブのリストから選択した印刷ジョブを実行する(実行手段105)。
【0067】
なお、画像形成装置40が表示する認証情報は暗号化されてもよい。画像形成装置40は、認証画像の生成の際に事前に暗号化を行い、認証画像の読取の際に復号する。暗号と復号の具体的な方式については問わない。
【0068】
認証成功時に行うジョブ処理、及びジョブ実行や画像形成実行(後述するデータ処理部による処理)は、一例としてプリントにしているが、ユーザーが画像形成装置40でスキャンしてもよい。認証によりユーザーが特定されているので、画像形成装置40は原稿のスキャンにより生成した画像データを情報処理システム20に送信して、情報処理システム20がユーザーIDに対応づけて保存できる。また情報処理システム20から後述するデータ取得部が取得したデータ(例えば個人のスキャン設定、保存先設定、送信先アドレス情報など)を用いてスキャン実行とスキャンデータ送信又は登録要求を行ってもよい。また、この画像データをユーザーが画像形成装置40に印刷させれば、コピーサービスとしても利用できる。ユーザーは、情報処理システム20に画像データを残さずにコピーのみ行ってもよい。
【0069】
また、ユーザーがよく使う印刷設定を情報処理システム20に登録しておき、画像形成装置40から情報処理システム20にログインすることで、画像形成装置40によく使う印刷設定が自動的に設定(再現)される使い方も可能である。また、ユーザーのアドレス帳をユーザーが情報処理システム20に登録しておけば、スキャンして生成した画像データをアドレス帳のメールアドレスを宛先に画像形成装置40が送信できる。ユーザーは画像形成装置40がダウンロードしたアドレス帳から送信先のメールアドレスを選択する。
【0070】
<機器システムの機能について>
続いて、図7を参照して情報処理システム20が提供する機能について説明する。図7は、機器システム100が有する端末装置10、情報処理システム20、及び、画像形成装置40の機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図の一例である。
【0071】
<<端末装置の機能について>>
端末装置10は、表示制御部11、操作受付部12、撮像部13、通信部14、及び、画像データ記憶部15を有する。端末装置10が有するこれら各機能部は、図3に示された各構成要素のいずれかが、EEPROM404からRAM403に展開されたプログラム(汎用的なアプリケーション又はWebブラウザ)に従ったCPU401からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。
【0072】
通信部14は、ネットワークN1に接続し、印刷対象のファイルを情報処理システム20に登録するための通信を行う。上記のように、通信部14は、公衆回線(3G/4G/LTEなど)や無線LAN等に接続し、ファイルを情報処理システム20に送信する。なお、無線に限定されることはなく有線LANなどを経由して送信してもよい。なお、通信部14が送信したファイルは、情報処理システム20において印刷ジョブとなる。印刷ジョブは、例えば、ファイルから変換されたPDL形式の印刷データ+印刷設定とする。本実施形態では、説明を容易にするため、端末装置10が情報処理システム20に送信する段階で印刷ジョブと称する場合がある。また、通信部14が印刷ジョブを情報処理システム20に送信してもよい。通信部14は印刷ジョブの一覧を情報処理システム20から受信することもできる。
【0073】
表示制御部11は、UI(ユーザーインターフェース)となる画面の生成及びディスプレイ418への表示を行う。表示制御部11はその一部の機能がWebブラウザにより実現されてよい。また、表示制御部11は、画像データ記憶部15に保存された認証画像の画像データを表示させる。
【0074】
操作受付部12は、端末装置10に対する各種の操作を受け付ける。例えば、操作受付部12は、印刷ジョブとして登録するファイルの選択、認証画像の画像データの表示などの指示をユーザーから受け付ける。
【0075】
撮像部13は、画像形成装置40が表示したユーザーの認証画像を撮像し、認証画像の画像データを生成する。ユーザーがシャッターを押下してもよいし、ユーザーがシャッターを押下しなくても撮像部13が認証画像を認識して認証画像を撮像してもよい。
【0076】
また、端末装置10は、図3に示したEEPROM404,RAM403又はROM402の1つ以上により構成される画像データ記憶部15を有している。画像データ記憶部15には撮像部13が撮像した認証画像の画像データが保存される。
【0077】
<<情報処理システム>>
続いて情報処理システム20の機能について説明する。情報処理システム20は、通信部21、ユーザー管理部22、及び、ジョブ管理部23を有する。情報処理システム20が有するこれら各機能部は、図4に示された各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。
【0078】
通信部21は、ネットワークN1又はN2に接続して、端末装置10及び画像形成装置40と各種のデータの送受信を行う。本実施形態では、通信部21は、主に端末装置10から認証情報と印刷ジョブを受信する。また、通信部21は、画像形成装置40から認証情報を受信し、認証が成功すると、画像形成装置40に印刷ジョブのリスト又は印刷ジョブを送信する。情報処理システム20はデータセンタなどに存在するので、通信部21は高速なLANなどに接続されている。したがって、直接、通信部21は公衆回線に接続しておらず、電話会社のゲートウェイを介して端末装置10と通信する。
【0079】
ユーザー管理部22は、ユーザー情報を管理しており、ユーザーの認証処理を行う。ユーザー情報は、本実施形態では例えば認証情報であるが、この他、氏名、住所、クレジットカード情報等を含んでいてもよい。ユーザー管理部22は、画像形成装置40から送信されたメールアドレスとパスワードの組が、事前に登録されているメールアドレスとパスワードの組と一致する場合に認証成功、そうでない場合に認証失敗と判断する。
【0080】
ジョブ管理部23は、ユーザーIDと対応付けて印刷ジョブを管理する。ジョブ管理部23は画像形成装置40からユーザーID(後述のシーケンス図では認証トークンだが、いずれもユーザーの識別情報である)を指定して印刷ジョブの要求を受け付けると、ユーザーIDに対応付けられている印刷ジョブを画像形成装置40に返す。
【0081】
図8は、ユーザー情報の一例を模式的に示す。ユーザー情報は、一例として、各ユーザーのユーザーID及びパスワードを有する。なお、IDとは複数の対象から、ある特定の対象を一意的に区別するために用いられる名称、符号、文字列、数値などの組み合わせをいう。IDは、識別情報と呼ばれる場合ある。図8ではメールアドレスがユーザーIDであるが、ユーザーIDは、ユーザーを識別する情報であればよい。パスワードとは、本人以外には秘匿されており、正式のユーザーであるかどうかを認証するために予め決めた文字列である。
【0082】
なお、本実施形態では、各ユーザーはテナントに所属している個人又は個人のグループである。テナントとは、サービス(本実施形態では、プルプリント)の提供者からサービスを受けることを契約した団体(法人、学校、自治体、これらの一部の組織等)や個人である。各ユーザーはメールアドレスをテナントに登録して、メールアドレス宛に送信されたURLに端末装置10を接続させ、パスワードその他のユーザー登録を行う。
【0083】
図9は、ジョブ管理部23が管理している印刷ジョブ情報を模式的に示す。印刷ジョブ情報は、ジョブID、ファイル名、ユーザーID、及び、ファイルURLの各項目を有している。
・ジョブIDは、情報処理システム20が印刷ジョブごとに重複しないように採番し、付与したものである。ジョブIDを、端末装置10が付与してもよい。
・ファイル名は、端末装置10が送信した印刷対象のファイルのファイル名である。
・ユーザーIDは、ユーザーを識別するユーザーの識別情報である。
・ファイルURLは、ファイルが蓄積されている場所(ネットワーク上のアドレス)を示す。ファイルURLは、ファイルパスでもよいし、ファイルが情報処理システム20に保存されていてもよい。
【0084】
<<画像形成装置>>
続いて画像形成装置40の機能について説明する。画像形成装置40は、認証情報取得部41、操作画面部42、暗号復号部43、認証情報受付部44、データ取得部45、変換部46、データ処理部47、及び、通信部48を有している。画像形成装置40が有するこれら各機能部は、図5に示された各構成要素のいずれかが、HD905からRAM902bに展開されたプログラムに従ったCPU901からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。
【0085】
本実施形態では、画像形成装置40が実行するプログラムはネイティブアプリとするが、画像形成装置40が実行するプログラムはWebアプリでもよい。Webアプリとは、Webブラウザ上で動作するスクリプト言語によるプログラムとWebサーバ側のプログラムが協調することによって動作するアプリケーションである。これに対し、画像形成装置40にインストールされなければ実行されないアプリケーションをネイティブアプリという。
【0086】
認証情報取得部41は、端末装置10が提示した認証画像の画像データを撮像し、画像データに含まれている認証情報を復号する。復号は、デコード又は復元という場合もある。
【0087】
操作画面部42は、表示制御部42aと操作受付部42bを有している。表示制御部42aは、操作パネルに後述する各種の画面を表示する。画面は、例えばログイン情報入力画面(その1)230、認証画像表示画面280、及び、文書選択画面270等であるが、これらは主要な画面でありその他の画面も表示されてよい。操作受付部42bは画面に対するユーザーの操作を受け付ける。
【0088】
認証情報受付部44は、認証情報取得部41が取得した認証情報、及び、ログイン情報入力画面(その1)230に入力された認証情報を受け付ける。認証情報受付部44は認証情報が暗号化されている場合又は暗号化する設定である場合に、暗号復号部43に復号及び暗号化を要求する。
【0089】
暗号復号部43は、認証情報を暗号化する設定である場合に、ユーザーが入力した認証情報を暗号化する。また、暗号復号部43は、認証情報取得部41が取得した認証情報が暗号化されている場合に認証情報を復号する。
【0090】
変換部46は、認証情報受付部44がログイン情報入力画面(その1)230を介して受け付けた、ユーザーが入力した認証情報を認証画像に変換する(このような処理をコード化、符号化、又は、エンコードという)。
【0091】
データ取得部45は、認証情報によるユーザーの認証が成功した旨を情報処理システム20から受信した場合、印刷ジョブのリストを情報処理システム20から取得する。データ取得部45はユーザーが指示した印刷ジョブを情報処理システム20から取得し、印刷ジョブ等のデータ処理の実行をデータ処理部47に要求する。データ処理部47はデータ取得部45が取得したデータを処理する。データの処理はジョブ処理、設定処理、外部装置への所定処理の要求処理等を含む。
【0092】
通信部48は、ネットワークN2に接続して、情報処理システム20と各種のデータの送受信を行う。本実施形態では、通信部48は、認証要求と共に認証情報を情報処理システム20に送信し、認証結果(成功、失敗)を受信する。通信部48は、成功の場合は認証トークンも受信する。通信部48は、ユーザーIDに対応付けられている印刷ジョブの要求を情報処理システム20に送信し、情報処理システム20からユーザーIDに対応付けられている印刷ジョブを受信する。
【0093】
なお、通信部48は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、ICカード通信等の近距離無線通信、又は、有線ケーブルにより端末装置10と通信してもよい。例えば、画像形成装置40が情報処理システム20から認証成功を受信した場合、画像形成装置40が端末装置10から印刷ジョブを直接受信してもよい。認証に成功した後は、画像形成装置40はどこから処理のためのデータ(印刷ジョブ)を取得してもよい。
【0094】
<画面遷移と各画面>
続いて、図10図21を参照して画像形成装置40が表示する画面の遷移と各画面について説明する。図10は、ユーザーが画像形成装置40を介して情報処理システム20にログインする際に画像形成装置40が表示する画面の遷移を示す。画像形成装置40は、同意画面210、ログイン方法選択画面220、ログイン情報入力画面(その1)230、認証画像読取画面240、及び、処理中画面250を表示する。図10に示すように、同意画面210はログイン方法選択画面220に遷移し、ログイン方法選択画面220はログイン情報入力画面(その1)230又は認証画像読取画面240に遷移し、ログイン情報入力画面(その1)230又は認証画像読取画面240は処理中画面250に遷移する。画面の遷移例は一例である。
【0095】
図11は、画像形成装置40が表示する同意画面210を示す。同意画面210は、印刷に関する注意点に同意するかいなかを受け付ける画面である。同意画面210は、同意しないボタン211と同意するボタン212を有する。ユーザーが同意するボタン212を押下すると、画像形成装置40はログイン方法選択画面220を表示する。ユーザーが同意しないボタン211を押下すると、画像形成装置40は同意画面210の表示を終了し1つ前の画面にも戻る。
【0096】
図12は、画像形成装置40が表示するログイン方法選択画面220を示す。ログイン方法選択画面220は、ユーザーが認証情報を入力してログインするか、認証画像を提示してログインするかの選択を受け付ける画面である。ログイン方法選択画面220は、第1ボタン221と第2ボタン222を有する。ユーザーが第1ボタン221を押下すると、画像形成装置40はログイン情報入力画面(その1)230を表示する。ユーザーが第2ボタン222を押下すると、画像形成装置40は認証画像読取画面240を表示する。操作画面部42は、ユーザーが第1ボタン221と第2ボタン222のどちらを押下したかを記録しておく。操作画面部42が後述する認証画像表示画面280を表示するか否かを判断するためである。
【0097】
図13は、画像形成装置40が表示するログイン情報入力画面(その1)230を示す。ログイン情報入力画面(その1)230は、ユーザーが入力する認証情報の入力を受け付ける画面である。ログイン情報入力画面(その1)230は、メールアドレス入力欄231、パスワード入力欄232、ログインボタン233を有する。ユーザーがメールアドレス入力欄231にメールアドレスを、パスワード入力欄232にパスワードをそれぞれ入力すると、ログインボタン233が押下可能になり、ログインボタン233を押下すると、画像形成装置40は処理中画面250を表示する。
【0098】
図14は、画像形成装置40が表示する認証画像読取画面240を示す。認証画像読取画面240は、ユーザーに認証画像を提示させ認証画像を撮像するための画面である。認証画像読取画面240は、ユーザーに認証画像の提示促すメッセージ241とイラスト242を有する。認証情報取得部41が認証画像を撮像できると、画像形成装置40は処理中画面250を表示する。認証画像を撮像できるとは、認証情報を復号できたことをいう。認証情報がメールアドレスとパスワードである場合、メールアドレスとパスワードを示す情報を含んでよい。認証結果が失敗した場合は、認証画像読取画面240でなく、ログイン情報入力画面(その1)230が表示されてよい。
【0099】
なお、認証情報取得部41が、認証画像を撮像するパターンとして以下の3つがある。
・近接センサでユーザー等の接近を画像形成装置40が検出した場合に、認証情報取得部41が撮像を開始し、繰り返す。なお、近接センサは、照射した電波、音波、光などの反射を検出することで対象の存在の検知、及び対象との距離を検出センサである。
・認証情報取得部41が常に撮像を繰り返す。
・画像形成装置40が認証画像読取画面240を表示している間だけ、撮像を繰り返す。
【0100】
本実施形態では、この3つのパターンのいずれで認証情報取得部41が認証画像を撮像してもよい。また、認証情報取得部41は撮像結果から認証画像又は認証情報を検出できない場合は撮像結果を破棄する。
【0101】
図15は、画像形成装置40が表示する処理中画面250の一例である。処理中画面250は認証の処理を行っている旨を表示する画面である。処理中画面250は、画像形成装置40が情報処理システム20に認証要求し、情報処理システム20から認証結果を受信するまで表示される。画像形成装置40が認証結果(成功)を受信すると、図17の文書選択画面270に遷移する。認証結果が失敗である場合、再度、ログイン情報入力画面(その1)230が表示される。
【0102】
<<変形例>>
図16は、図10の変形例であり、ユーザーが画像形成装置40を介して情報処理システム20にログインする際に画像形成装置40が表示する画面の遷移を示す。画像形成装置40は、同意画面210、ログイン情報入力画面(その2)260、認証画像読取画面240、処理中画面250を表示する。図16に示すように、同意画面210はログイン情報入力画面(その2)260に遷移し、ログイン情報入力画面(その2)260は処理中画面250又は認証画像読取画面240に遷移し、認証画像読取画面240は処理中画面250に遷移する。したがって、ログイン情報入力画面(その2)260があることが図10と異なっている。
【0103】
図17は、画像形成装置40が表示するログイン情報入力画面(その2)260を示す。ログイン情報入力画面(その2)260は、ユーザーが入力する認証情報の入力を受け付ける画面である。ログイン情報入力画面(その2)260は、画像ログインボタン261、メールアドレス入力欄262、パスワード入力欄263を有する。ユーザーが画像ログインボタン261(表示部品の一例)を押下すると、画像形成装置40は認証画像読取画面240を表示する。ユーザーがメールアドレス入力欄262にメールアドレスを、パスワード入力欄263にパスワードをそれぞれ入力すると、ログインボタン264が押下可能になり、ログインボタン264を押下すると、画像形成装置40は処理中画面250を表示する。
【0104】
操作画面部42は、ユーザーが画像ログインボタン261とログインボタン264のどちらを押下したかを記録しておく。操作画面部42が後述する認証画像表示画面280を表示するか否かを判断するためである。
【0105】
<<印刷ジョブの選択と印刷>>
図18は、ユーザーが画像形成装置40に表示された印刷ジョブのリストから印刷ジョブを選択して画像形成装置40に印刷させる画面の遷移を示す。画像形成装置40は、文書選択画面270、認証画像表示画面280、及び、印刷設定画面290を表示する。図18に示すように、文書選択画面270は認証画像表示画面280又は印刷設定画面290に遷移し、認証画像表示画面280は印刷設定画面290に遷移する。画面の遷移例は一例である。
【0106】
図19は、画像形成装置40が表示する文書選択画面270を示す。文書選択画面270は、画像形成装置40が情報処理システム20から取得した印刷ジョブのリストを表示し、リストからユーザーによる印刷ジョブの選択を受け付ける画面である。文書選択画面270は、印刷ジョブのリスト欄271、決定ボタン272を有する。ユーザーが印刷ジョブを選択すると決定ボタン272が押下可能になり、決定ボタン272を押下すると、画像形成装置40は認証画像表示画面280(ユーザーが認証情報を入力してログインした場合)又は印刷設定画面290(ユーザーが認証画像を提示してログインした場合)を表示する。
【0107】
操作画面部42が、認証画像表示画面280又は印刷設定画面290のどちらを表示するかは、ログイン情報入力画面(その1)230でユーザーが第1ボタン221と第2ボタン222のどちらを押下したか、又は、ログイン情報入力画面(その2)260で画像ログインボタン261とログインボタン264のどちらを押下したかにより切り替わる。ユーザーが認証画像でログインしていない場合に、画像形成装置40は、自動的に認証画像を表示するので、ユーザーが次回のログインのために認証画像を撮像できる。ユーザーが認証画像でログインした場合に、画像形成装置40は認証画像を表示しないので、ユーザーは煩わしくない。
【0108】
図20は、画像形成装置40が表示する認証画像表示画面280を示す。認証画像表示画面280は、ユーザーが入力した認証情報から画像形成装置40が生成した認証画像を表示する画面である。ユーザーはこの認証画像を端末装置10で撮像する。認証画像表示画面280は、認証画像282と、認証画像282の撮像と保存を推奨するメッセージ281を有する。メッセージ281は、例えば「入力した、ログイン情報(メールアドレス、パスワード)の二次元コードです。撮像して保存しておくと、次回利用時に保存した二次元コードをかざして、簡単にログインできます」である。
【0109】
画像形成装置40又は情報処理システム20は、認証画像表示画面280を表示する場合に、ユーザーのメールアドレスを宛先に認証画像を送信したり、認証画像を表示できるURLをユーザーにメールで送信したりしてもよい。
【0110】
また、認証画像282はユーザーの認証情報(メールアドレスとパスワード)がコード化されたものである。ユーザーが端末装置10で認証画像を撮像し、次へボタン283を押下すると、画像形成装置40は印刷設定画面290を表示する。
【0111】
なお、ユーザーが認証画像を提示してログインした場合でも、ユーザーの操作により又は定期的に、画像形成装置40が認証画像表示画面280を表示してもよい。ユーザーが認証画像282を撮像して端末装置10に保存すれば、端末装置10内で新しく認証画像282の画像データが保存されるので、ユーザーが認証画像282の画像データを探しやすい。
【0112】
また、画像形成装置40が定期的に認証画像表示画面280を表示する場合、認証画像の種類を変えてもよい。認証画像の種類とは、QRコード(登録商標)、PDF417(登録商標)、CODE49(登録商標)、DataMatrix(登録商標)、又は、VeriCode(登録商標)等である。認証情報取得部41は、ある期間には1つの種類の認証画像のみが有効であるとして認証画像をデコードして認証情報に変換する。例えば、PDF417(登録商標)が有効である期間に、含まれる認証情報が正しいQRコード(登録商標)をユーザーが提示しても、認証情報取得部41は、認証情報を取得しない。こうすることで、端末装置10から認証画像が漏洩しても、セキュリティの低下を抑制できる。この処理は、画像形成装置40が認証画像の種類を変更することで容易に実現できる。なお、この変更は、画像形成装置40が自動で行ってもよいし、情報処理システム20からの要求で行ってもよい。
【0113】
ユーザーが情報処理システム20に登録済みのメールアドレスを変更した場合、ユーザーが古いメールアドレスから生成された認証画像を提示してもログインできない。この場合、画像形成装置40は、認証失敗によりログイン情報入力画面(その1)230を表示する。認証成功により画像形成装置40は認証画像表示画面280を表示するので、ユーザーは端末装置10が保存している認証画像282の画像データを更新できる。
【0114】
図21は、画像形成装置40が表示する印刷設定画面290を模式的に示す。実際には印刷設定画面290は更に遷移する複数の画面を有している。印刷設定画面290は、例えば、印刷方法(片面/両面)291、カラー設定292、印刷実行ボタン293等を有する。
【0115】
ユーザーが印刷設定画面290で印刷条件を確定すると、操作画面部42が印刷設定に応じた料金を表示する。ユーザーがコインベンダーにクレジットカード、電子決済又は現金等で料金を支払うと、コインベンダーから支払い済み信号が画像形成装置40に送信される。画像形成装置40が支払い済み信号を受信すると、データ処理部47が印刷ジョブを実行する(印刷する)。なお、料金の決済は前払いに限らず、後払いでもよい。後払いの場合、画像形成装置40は印刷ジョブが実行されるか又は完了すると、ユーザーIDに対応付けて料金を情報処理システム20に登録する。情報処理システム20は即座に又は決まったタイミングでクレジットカード会社等に請求する。
【0116】
<動作又は処理>
続いて、図22図27を参照して、機器システム100の動作又は処理を説明する。
【0117】
図22は、ユーザーが端末装置10を操作して情報処理システム20に印刷ジョブを蓄積する処理を説明するシーケンス図である。
【0118】
S1:ユーザーは端末装置10を情報処理システム20に接続させ、Webブラウザにログイン用の画面を表示させる。ユーザーは認証情報(メールアドレスとパスワード)を入力し、認証を開始させる。操作受付部12が操作を受け付ける。ユーザーは指紋などの生体情報でログインしてもよい。
【0119】
S2:端末装置10の通信部14は、認証情報を指定して認証要求を情報処理システム20に送信する。
【0120】
S3:情報処理システム20の通信部21は認証要求を受信し、ユーザー管理部22が認証情報に基づいてユーザーの認証を行う。ここでは認証が成功したものとする。情報処理システム20の通信部21は認証成功の旨と認証トークンを端末装置10に送信する。以降、端末装置10の通信部14は認証トークンを添付して情報処理システム20(シーケンス図では省略)と通信する。認証トークンはユーザーの識別情報を代用する。これはユーザーIDの漏洩を低減するためであり、通信部14はユーザーIDを通信に添付してもよい。
【0121】
S4:ユーザーは印刷したいファイルを情報処理システム20に送信する操作を端末装置10に入力する。操作受付部12は操作を受け付ける。
【0122】
S5:端末装置10の通信部14は、ファイルを指定して印刷ジョブの登録要求を情報処理システム20に送信する。
【0123】
S6:情報処理システム20の通信部21はファイルと印刷ジョブの登録要求を受信し、ジョブ管理部23がユーザーID(認証トークンに紐付けられている)に対応付けて印刷ジョブを蓄積する。
【0124】
S7:ジョブ管理部23は、認証情報から認証画像を生成し、ユーザー宛に電子メールを送信してもよい。あるいは、印刷ジョブの登録が完了すると、ジョブ管理部23が通信部21を介して認証画像を端末装置10に送信し、端末装置10が認証画像を表示してもよい。ユーザーは認証画像をスナップショット又はハードコピーすることで保存しておく。こうすることで、ユーザーが初めて画像形成装置40にログインする際でも、認証画像の提示によりログインできる。
【0125】
図23は、初回のプルプリント時に、ユーザーが画像形成装置40を操作して情報処理システム20にログインする処理を説明するシーケンス図である。
【0126】
S11:ユーザーがログイン方法選択画面220で第1ボタン221を押下した。これにより、画像形成装置40の操作画面部42はログイン情報入力画面(その1)230を表示する。操作画面部42はログイン情報入力画面(その2)260を表示してもよい。ユーザーは認証情報をログイン情報入力画面(その1)230に入力する。操作画面部42は入力を受け付ける。
【0127】
S12:操作画面部42は認証情報を認証情報受付部44に送出する。
【0128】
S13:認証情報受付部44は通信部48を介し、認証情報を指定して認証要求を情報処理システム20に送信する。情報処理システム20の通信部21は認証要求を受信し、ユーザー管理部22が認証情報に基づいてユーザーの認証を行う。ここでは認証が成功したものとする。
【0129】
S14:情報処理システム20のユーザー管理部22は、通信部21を介して、認証結果(成功、失敗)を画像形成装置40に送信する。なお、ユーザー管理部22は認証が成功した場合、ユーザーIDに対応付けられた認証トークンを発行する。以降、端末装置10の通信部14は認証トークンを添付して情報処理システム20と通信する。
【0130】
S15:認証が成功した場合、認証情報受付部44は認証情報と共に認証画像の生成を変換部46に要求する。変換部46は認証情報を認証画像に変換し、認証情報受付部44に送出する。
【0131】
S16:認証情報受付部44は認証画像の表示を操作画面部42に要求する。
【0132】
S17:操作画面部42は、ステップS11でユーザーが認証情報を入力しているので(ユーザーがログイン方法選択画面220で第1ボタン221を押下した)、認証画像が配置された認証画像表示画面280を表示する。これにより、ユーザーが次回以降のログインに使用する認証画像を端末装置10で撮像できる。なお、図10図18の画面遷移図では印刷ジョブのリストからユーザーが印刷ジョブを選択した後に認証画像表示画面280が表示されている。図23では処理の流れの説明を容易にするためステップS17で認証画像表示画面280を表示した。
【0133】
画像形成装置40は、ユーザーにとって、次回以降に認証情報の手入力という手間のかかる作業を省き、簡単な認証手段を提供することができる。認証情報受付部44は、認証画像表示画面280の表示が終了したタイミングからログアウトするタイミングまでに、認証情報と認証画像を破棄する。こうすることで、画像形成装置40内に認証情報と認証画像が残らないのでセキュリティを向上できる。
【0134】
S18:認証情報受付部44は印刷のために認証トークンをデータ取得部45に送出しておく。データ取得部45は認証トークンを用いて印刷ジョブのリストを情報処理システム20から取得できる。データ取得部45は、印刷ジョブのリストを情報処理システム20から取得し、操作画面部42が文書選択画面270を表示する。
【0135】
図23の処理では、画像形成装置40が認証情報から認証画像を作成したが、認証画像を情報処理システム20が作成して、画像形成装置40に送信してもよい。例えば、画像形成装置40と情報処理システム20がWebアプリを実行する場合、認証画像を情報処理システム20が作成して画面の一部として画像形成装置40に送信することができる。
【0136】
<<認証画像の提示によるログイン>>
図24は、ユーザーが画像形成装置40に認証画像を提示して、情報処理システム20にログインする処理を説明するシーケンス図である。
【0137】
S21:ユーザーがログイン方法選択画面220で第1ボタン221を押下した。これにより、操作画面部42は、認証画像読取画面240を表示する。ユーザーは認証画像読取画面240にしたがって、画像データ記憶部15に保存してある認証画像の画像データを端末装置10に表示させる。端末装置10の表示制御部11が認証画像を表示し、ユーザーは端末装置10が表示する認証画像を画像形成装置40に提示する。画像形成装置40は、認証画像を読み取る光学系の開口部を有している。
【0138】
S22:画像形成装置40の認証情報取得部41が認証画像を撮像し、認証画像をデコードして認証情報を取り出す。認証情報取得部41は認証情報を認証情報受付部44に送出する。
【0139】
S23:認証情報受付部44は、通信部48を介し、認証情報を指定して認証要求を情報処理システム20に送信する。情報処理システム20の通信部21は認証要求を受信し、ユーザー管理部22が認証情報に基づいてユーザーの認証を行う。ここでは認証が成功したものとする。
【0140】
S24:情報処理システム20のユーザー管理部22は、通信部21を介して、認証結果(成功、失敗)を画像形成装置40に送信する。認証成功の場合、ユーザー管理部22は、通信部21を介して、認証トークンも画像形成装置40に送信する。
【0141】
S25:認証情報受付部44は印刷のために認証トークンをデータ取得部45に送出しておく。データ取得部45は認証トークンを用いて印刷ジョブのリストを情報処理システム20から取得できる。データ取得部45は、印刷ジョブのリストを情報処理システム20から取得し、操作画面部42が文書選択画面270を表示する。
【0142】
このように、ユーザーが端末装置10に認証画像を保存しておくことで、より簡単な操作で認証を受けることができる。
【0143】
<<認証成功後の印刷ジョブの実行>>
図25は、認証成功後に画像形成装置40が印刷ジョブを実行する処理を説明するシーケンス図である。
【0144】
S31:上記のように、データ取得部45には認証情報受付部44から認証トークンが送出される。
【0145】
S32:データ取得部45は、通信部48を介し、認証トークンを指定して印刷ジョブのリストを情報処理システム20に送信する。情報処理システム20の通信部21は要求を受信し、ジョブ管理部23が認証トークンでユーザーIDを特定し、このユーザーIDに対応付けられている印刷ジョブのリストを取得する。情報処理システム20のジョブ管理部23は、通信部21を介して、印刷ジョブのリストを画像形成装置40に送信する。
【0146】
S33:画像形成装置40のデータ取得部45は通信部48を介して、印刷ジョブのリストを受信する。データ取得部45は印刷ジョブのリストを操作画面部42に送出する。操作画面部42は、印刷ジョブのリストを用いて文書選択画面270を操作パネルに表示する。
【0147】
S34:ユーザーは、印刷したい印刷ジョブを選択する(押下する)ので、操作画面部42が選択を受け付ける。
【0148】
S35:操作画面部42は選択を受け付けた印刷ジョブのジョブIDをデータ取得部45に送出する。図18の画面遷移図では、図23のステップS11でユーザーがログイン方法選択画面220の第1ボタン221を押下した場合、ステップS35において、操作画面部42が認証画像表示画面280を表示する。図24のステップS21でユーザーがログイン方法選択画面220の第2ボタン222を押下した場合、操作画面部42は認証画像表示画面280を表示しない。
【0149】
S36:データ取得部45は、通信部48を介して、ジョブIDを指定して情報処理システム20に印刷ジョブを要求する。情報処理システム20の通信部21はジョブIDを指定した印刷ジョブの要求を受信し、ジョブ管理部23がジョブIDに対応付けられている印刷ジョブを取得する。情報処理システム20の通信部21は印刷ジョブを画像形成装置40に送信する。
【0150】
S37:画像形成装置のデータ取得部45が通信部48を介して印刷ジョブを取得すると、印刷指示と共に印刷ジョブをデータ処理部47に送出する。データ処理部47は、ユーザーが設定した印刷設定に基づいて印刷ジョブを実行する(用紙に画像を印刷する)。印刷ジョブの実行後、データ取得部45は、ユーザーが設定した印刷設定を情報処理システム20に登録してもよい。情報処理システム20はユーザーIDに対応付けて、印刷設定を保存する。
【0151】
このように、ユーザーにとって、自身に紐づく印刷ジョブのみを画像形成装置40が印刷できる。ユーザーは、自分が登録した印刷ジョブを確認して選択実行することができる。本実施形態では、ジョブ処理の一例として印刷を例に説明しているが、ジョブ処理は、スキャンやコピーであってもよく、印刷設定などを含んでもよい。
【0152】
図25では、画像形成装置40が情報処理システム20から印刷ジョブを取得しているが、ユーザーが画像形成装置40のメモリカードスロットにメモリカードを装着し、画像形成装置40がメモリカードからファイルを取得し、印刷してもよい。
【0153】
また、画像形成装置40が端末装置10から印刷ジョブを取得してもよい。画像形成装置40と端末装置10が有線で接続されていれば、専用のアプリケーションは必要なく、ユーザーが端末装置10でリストから選択したファイルを端末装置10が画像形成装置40に送信する。ユーザーが事前に印刷ジョブを情報処理システム20に蓄積しておく必要がない。
【0154】
<<認証情報の暗号化、復号>>
図26を参照して、画像形成装置40が認証情報を暗号化及び復号する場合のログイン処理について説明する。図26は、画像形成装置40が認証情報を暗号化及び復号する場合に、ユーザーが画像形成装置40を介して情報処理システム20にログインする処理を説明するシーケンス図である。図26の説明では、主に図23との相違を説明する場合がある。図26の説明では、認証情報を暗号化及び復号することが、画像形成装置40に設定されているものとする。
【0155】
まず、ステップS41~S48には、図23にないステップS45が追加されている。
S45:認証が成功した場合、認証情報受付部44はユーザーが入力した認証情報の暗号化を暗号復号部43に要求する。これにより、認証情報受付部44は暗号化された認証情報を取得する。ステップS46~S48では、暗号化された認証情報が認証画像に変換され、ユーザーがこの認証画像を端末装置10で撮像し保存する。
【0156】
S49:ユーザーは認証画像読取画面240にしたがって、画像データ記憶部15に保存してある認証画像の画像データを端末装置10に表示させる。端末装置10の表示制御部11が認証画像を表示し、ユーザーが端末装置10を画像形成装置40に提示する。
【0157】
S50:画像形成装置40の認証情報取得部41が認証画像を撮像し、認証画像をデコードして認証情報を取り出す。認証情報は暗号化されている。認証情報取得部41は認証情報を認証情報受付部44に送出する。
【0158】
S51:認証情報受付部44は、暗号復号部43に認証情報の復号を要求する。暗号復号部43は認証情報を復号し、認証情報受付部44に送出する。
【0159】
S52:認証情報受付部44は、通信部48を介し、復号された認証情報を指定して認証要求を情報処理システム20に送信する。情報処理システム20の通信部21は認証要求を受信し、ユーザー管理部22が認証情報に基づいてユーザーの認証を行う。ここでは認証が成功したものとする。
【0160】
S53:情報処理システム20のユーザー管理部22は、通信部21を介して、認証結果(成功、失敗)を画像形成装置40に送信する。認証成功の場合、ユーザー管理部22は、通信部21を介して、認証トークンも画像形成装置40に送信する。
【0161】
このように、認証情報が暗号化されることで、ユーザーにとってセキュリティ面で安全な認証を実施することができる。
【0162】
<<ログイン方法を選択した場合のログイン処理>>
図27は、ログイン方法選択画面220によりユーザーがログイン方法を切り替えた場合に、機器システム100が行う処理を説明するシーケンス図である。
【0163】
S61:ユーザーが機器利用を開始する操作を画像形成装置40に行う。操作画面部42は操作を受け付ける。
【0164】
S62:操作画面部42は認証情報受付部44に機器利用開始を通知する。
【0165】
S63:認証情報受付部44は、ログイン方法選択画面220の操作画面部42に要求する。ログイン方法選択画面220は同意画面210から遷移したものとする。操作画面部42はログイン方法選択画面220を表示する。
【0166】
S64:ユーザーはログイン方法選択画面220で第1ボタン221又は第2ボタン222を押下することで、ログイン方法を選択する。操作画面部42は選択を受け付ける。
【0167】
S65:操作画面部42は受け付けたログイン方法を認証情報受付部44に送出する。
【0168】
S66:認証情報受付部44は、ユーザーが認証情報の入力又は認証画像の提示のどちらを選択したかに応じて、ログイン情報入力画面(その1)230又は認証画像読取画面240の表示を操作画面部42に要求する。したがって、操作画面部42は、ログイン情報入力画面(その1)230又は認証画像読取画面240を表示する。
【0169】
2つのログイン方法が選択可能なので、ユーザーは自分が分かりやすい形で認証を実施することができる。
【0170】
<主な効果>
本実施形態の機器システム100は、ユーザーが写真撮像した認証画像を提示することで、簡単に認証し印刷ジョブを印刷できる。ユーザーは印刷の度に、認証情報を入力する必要がない。また、端末装置10はカメラ機能を有していればよいので、ユーザーが印刷のためのアプリケーションをインストールする必要もない。画像形成装置40は、ユーザーが選択したログイン方法に応じて、撮像用の認証画像を表示するか否かを自動的に切り替えることができる。
【0171】
<画像形成装置がWebアプリにより各種の画面を表示する場合>
図7の機能ブロック図は、画像形成装置40がネイティブアプリを実行する場合のものであった。図28は、画像形成装置40がWebアプリを実行する場合の機能ブロック図を示す。図28に示すように、端末装置10が有する機能は図7と同様でよい。
【0172】
一方、画像形成装置40は、通信部48、認証情報取得部41、操作画面部42、データ取得部45、及び、データ処理部47を有している。これらの機能は図7と同様でよい。なお、画像形成装置40が有する機能の全てがWebアプリで実現されなくてもよい。例えば、通信部48と操作画面部42はWebアプリにより実現され、データ取得部45とデータ処理部47は、ネイティブアプリにより実現されてよい。
【0173】
情報処理システム20は通信部21、認証情報受付部44、暗号復号部43、変換部46、ユーザー管理部22、ジョブ管理部23、及び、画面生成部24を有している。これらの機能は図7と同様でよい。新たに追加された画面生成部24は、画像形成装置40が表示する画面の画面情報を生成する。画面情報は、HTML、XML、スクリプト言語(例えばJavaScript(登録商標))、及びCSS(Cascading Style Sheet)等で記述されたプログラムであり、主にHTMLによりWebページの構造が特定され、スクリプト言語によりWebページの動作が規定され、CSSによりWebページのスタイルが特定される。
【0174】
画像形成装置40の操作画面部42は、Webブラウザであり画面情報に基づいて図10図21の画面を表示する。すなわち、画像形成装置40はユーザーが操作するためのユーザーインターフェースと印刷ジョブの実行を行い、画面の作成や認証画像の生成等は情報処理システム20が行う。
【0175】
このように、本実施形態の認証方法は、画像形成装置40がネイティブアプリを実行してもWebアプリを実行しても同様に実現できる。
【0176】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0177】
例えば、端末装置10が情報処理システム20とWebブラウザで通信し、ログイン後に自分の認証情報から変換された認証画像を表示させ、画像形成装置40に提示してもよい。画像形成装置40はこの認証画像を撮像してユーザーを認証できる。この場合も端末装置10には専用のアプリケーションは不要である。また、端末装置10が表示する認証画像は、情報処理システム20への印刷ジョブの登録時に電子メールで送信されたものでもよい。
【0178】
また、機器はドアロックシステムであってもよい。ユーザーは認証画像をドアロックシステムのカメラに提示する。ドアロックシステムが認証に成功すると、ドアを解錠する。ドアロックシステムはユーザーの通過記録(時刻や顔写真等)を情報処理システム20に登録し、ドアを通過してから戻るまでの経過時間をカウントする。
【0179】
また、ユーザーが画像形成装置40にメールアドレスとパスワードを入力する作業を省略又は簡略化してもよい。例えば、画像形成装置40がユーザーの顔画像、掌紋、指紋などの生体情報を取得し、認証要求を情報処理システム20に送信する。情報処理システム20が生体情報で認証が成功すると、ユーザーのメールアドレスとパスワードを画像形成装置40に送信する。画像形成装置40は認証情報を認証画像に変換して表示できる。画像形成装置40は、生体情報の他、ユーザーが携帯するICカードで認証してもよい。
【0180】
また、認証画像は二次元コードでもよいし、バーコードのような一次元コードでもよい。二次元コードは、QRコード(登録商標)の他、PDF417(登録商標)、CODE49(登録商標)、DataMatrix(登録商標)、又は、VeriCode(登録商標)等でもよい。
【0181】
また、本実施形態では、情報処理システム20が認証処理を行ったが、画像形成装置40が認証処理を行ってもよい。この場合、画像形成装置40が認証情報を保持していればよい。
【0182】
また、本実施形態では機器として主に画像形成装置40を説明に使用したが、画像形成装置40に限られない。機器は、例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、電子黒板、デジタルサイネージ等であってもよい。
【0183】
また、機器は、画像形成装置40とPCが接続された形態でもよい。この場合、画像形成装置40は機器としての印刷機能、スキャン機能、コピー機能等を有し、PCが画面表示や情報処理システム20との通信を行う。画像形成装置40とPCは有線ケーブル又は無線で通信可能に接続されている。
【0184】
また、図7などの構成例は、端末装置10、情報処理システム20及び画像形成装置40による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。端末装置10、情報処理システム20及び画像形成装置40の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0185】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、情報処理システム20は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0186】
更に、情報処理システム20は、開示された処理ステップ、例えば図8等を様々な組み合わせで共有するように構成できる。例えば、所定のユニットによって実行されるプロセスは、情報処理システム20が有する複数の情報処理装置によって実行され得る。また、情報処理システム20の機能は、1つのサーバ装置にまとめられていてもよいし、複数の装置に分けられていてもよい。
【0187】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0188】
<請求項に関する付記>
[請求項1]
情報処理システムに登録されているデータを処理する機器であって、
ユーザーの認証情報の入力を受け付ける操作受付部と、
前記ユーザーの認証情報を用いた認証が成功した場合、前記ユーザーが入力した前記認証情報を認証画像に変換する変換部と、
前記変換部が変換した前記認証画像を表示する表示制御部と、
前記ユーザーが端末装置に表示させた前記認証画像から、前記ユーザーの認証情報を取得する認証情報取得部と、
前記認証情報取得部が取得した前記認証情報を用いた認証が成功した場合、前記ユーザーの識別情報に対応付けられている前記データを前記情報処理システムから取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得した前記データを処理するデータ処理部と、
を有する機器。
[請求項2]
前記表示制御部は、前記ユーザーの認証情報の入力又は前記認証画像の提示のいずれかのログイン方法の選択を受け付ける画面を表示し、
前記操作受付部が前記ユーザーの認証情報の入力による前記ログイン方法の選択を受け付け、前記ユーザーの入力した認証情報を用いた認証が成功した場合、前記変換部は、ユーザーが入力した前記認証情報を前記認証画像に変換し、
前記表示制御部は、前記端末装置が撮像するための、前記変換部が変換した前記認証画像を表示する請求項1に記載の機器。
[請求項3]
前記操作受付部が前記ユーザーの認証情報の入力による前記ログイン方法の選択を受け付けた場合、
前記表示制御部は、前記ユーザーの認証情報の入力欄を表示し、
前記操作受付部が前記認証画像の提示による前記ログイン方法の選択を受け付けた場合、
前記表示制御部は、前記ユーザーに前記認証画像の提示を促す画面を表示する請求項2に記載の機器。
[請求項4]
前記表示制御部は、前記ユーザーの認証情報の入力欄、及び、前記認証画像の提示によるログインを指示する表示部品を有する画面を表示し、
前記操作受付部が前記ユーザーの認証情報の入力を受け付け、前記ユーザーの認証情報を用いた認証が成功した場合、前記変換部は、ユーザーが入力した前記認証情報を前記認証画像に変換し、
前記表示制御部は、前記端末装置が撮像するための、前記変換部が変換した前記認証画像を表示する請求項1に記載の機器。
[請求項5]
前記操作受付部が前記ユーザーの認証情報の入力を受け付けた場合、
前記表示制御部は、認証の処理を行っている旨の画面を表示し、
前記操作受付部が前記表示部品の押下を受け付けた場合、
前記表示制御部は、前記ユーザーに前記認証画像の提示を促す画面を表示する請求項4に記載の機器。
[請求項6]
前記表示制御部は、前記変換部が変換した前記認証画像を表示する際、撮像して保存しておくことを推奨する旨を表示する請求項2~5のいずれか1項に記載の機器。
[請求項7]
前記ユーザーが入力した前記認証情報を暗号化する暗号復号部を有し、
前記変換部は、前記暗号復号部が暗号化した前記認証情報を前記認証画像に変換し、
前記表示制御部は、前記変換部が変換した前記認証画像を表示する請求項2~6のいずれか1項に記載の機器。
[請求項8]
前記データ取得部は、前記ユーザーの認証結果が成功である場合、前記ユーザーの識別情報に対応付けられている前記データのリストを前記情報処理システムから取得し、
前記表示制御部は、前記データのリストを表示し、
前記操作受付部は、前記データのリストから前記データの選択を受け付け、
前記データ取得部は、前記操作受付部が受け付けた前記データを前記情報処理システムから取得する請求項1~7のいずれか1項に記載の機器。
[請求項9]
前記データ処理部が行う前記データの処理は、前記データの印刷である請求項1~8のいずれか1項に記載の機器。
[請求項10]
前記データ処理部が行う前記データの処理は、原稿をスキャンして生成した画像データを前記情報処理システムに登録する処理である請求項1~8のいずれか1項に記載の機器。
[請求項11]
前記データ処理部が行う前記データの処理は、前記ユーザーの識別情報に対応付けられている印刷設定又は読取設定を前記情報処理システムから取得し、前記機器に設定する処理である請求項1~8のいずれか1項に記載の機器。
【符号の説明】
【0189】
10 端末装置
20 情報処理システム
40 画像形成装置
100 機器システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0190】
【特許文献1】特開2017-097564号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28