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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097715
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】炭化珪素半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20240711BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240711BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240711BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H01L29/78 658A
H01L29/78 652T
H01L29/78 652H
H01L29/78 652J
H01L29/78 653A
H01L21/265 Q
H01L21/265 Z
H01L21/265 F
H01L21/265 602A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001385
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】竹中 研介
(72)【発明者】
【氏名】原田 信介
(57)【要約】
【課題】Al濃度プロファイルのより深い領域への裾の長い濃度分布(ロングテール)の発生を防止することで、深さ方向での不純物濃度分布を解消して、シミュレーションに近い領域を製造することが可能となる炭化珪素半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】炭化珪素半導体装置の製造方法は、第1導電型の炭化珪素半導体基板1のおもて面に第1導電型の第1半導体層2を形成する第1工程と、第1半導体層2の、炭化珪素半導体基板1側に対して反対側の表面層のロングテールが発生する領域の結晶構造を、不活性元素をイオン注入して、イオン注入ダメージを付与することで破壊する第2工程と、結晶構造を破壊した第1半導体層2の表面層に第2導電型となる不純物を注入して第2導電型のカラム領域30を形成する第3工程と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の炭化珪素半導体基板のおもて面に第1導電型の第1半導体層を形成する第1工程と、
前記第1半導体層の、前記炭化珪素半導体基板側に対して反対側の表面層のロングテールが発生する領域の結晶構造にダメージを付与する第2工程と、
前記結晶構造にダメージを付与した前記第1半導体層の表面層に第2導電型となる不純物を注入して第2導電型のカラム領域を形成する第3工程と、
を含むことを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項2】
第1導電型の炭化珪素半導体基板のおもて面側に第1導電型の第1半導体層を形成し、前記第1半導体層の、前記炭化珪素半導体基板側に対して反対側の表面に、第1導電型の第1カラム領域と第2導電型の第2カラム領域とが前記おもて面に平行な面において繰り返し交互に配置された並列pn領域を形成する第1工程と、
前記並列pn領域の、前記炭化珪素半導体基板側に対して反対側の表面に第2導電型の第2半導体層を形成する第2工程と、
前記第2半導体層の内部に選択的に前記第1半導体層よりも不純物濃度の高い第1導電型の第1半導体領域を形成する第3工程と、
前記第1半導体領域および前記第2半導体層を貫通して前記並列pn領域に達するトレンチを形成する第4工程と、
前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する第5工程と、
前記第1半導体領域および前記第2半導体層に接する第1電極を形成する第6工程と、
を含み、
前記第1工程は、
第1導電型の炭化珪素半導体基板のおもて面側に、エピタキシャル成長により第1導電型の第1半導体層を形成する工程と、
前記第1半導体層の、前記炭化珪素半導体基板側に対して反対側の表面層のロングテールが発生する領域の結晶構造にダメージを付与する工程と、
前記結晶構造にダメージを付与した前記第1半導体層の表面層に第2導電型となる不純物を注入して第2導電型のカラム領域を形成する工程と、
を含む工程を1回ないし複数回繰り返すことにより並列pn領域を形成することを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記結晶構造にダメージを付与する工程は、前記表面層にネオン、ないしアルゴン、ないしクリプトン、ないしキセノンのイオンを注入することで行うことを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記結晶構造にダメージを付与する工程は、活性化アニール処理で前記第1半導体層の4H-SiC結晶構造が回復できる程度の範囲で、結晶構造にイオン注入を行う工程であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記カラム領域の厚さは、1.0μm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、炭化珪素半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常のn型チャネル縦型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)では、半導体基板内に形成される複数の半導体層のうち、n型伝導層(ドリフト層)が最も高抵抗の半導体層である。このn型ドリフト層の電気抵抗が縦型MOSFET全体のオン抵抗に大きく影響を与えている。n型ドリフト層の厚みを薄くし電流経路を短くすることで、縦型MOSFET全体のオン抵抗を低減することを実現できる。
【0003】
しかし、縦型MOSFETは、オフ状態において空乏層が高抵抗のn型ドリフト層まで広がることで、耐圧を保持する機能も有している。このため、オン抵抗低減のためにn型ドリフト層を薄くした場合、オフ状態における空乏層の広がりが短くなるため、低い印加電圧で破壊電界強度に達しやすくなり、耐圧が低下する。一方、縦型MOSFETの耐圧を高くするためには、n型ドリフト層の厚みを増加させる必要があり、オン抵抗が増加する。このようなオン抵抗と耐圧の関係をトレードオフ関係と呼び、トレードオフ関係にある両者をともに向上させることは一般的に難しい。
【0004】
上述のような問題を解決する半導体装置の構造として、超接合(SJ:Super Junction:スーパージャンクション)構造が知られている。例えば、超接合構造を有するMOSFET(以下、SJ-MOSFET)が知られている。
【0005】
SJ-MOSFETは、n型ドリフト層中に、基板主面に垂直な方向に延び、かつ基板主面に平行な面において狭い幅を有するp型領域(p型カラム領域)とn型領域(p型カラム領域に挟まれたn型ドリフト層の部分、以下n型カラム領域と称する)とを基板主面に平行な面において交互に繰り返し並べた並列構造(以降、並列pn領域と称する)を有している。並列pn領域を構成するn型カラム領域は、n型ドリフト層に対応して不純物濃度を高めた領域である。並列pn領域では、p型カラム領域およびn型カラム領域に含まれる不純物濃度を略等しくすることで、オフ状態において擬似的にノンドープ層を作り出して高耐圧化を図ることができる。
【0006】
また、膜面に平行な特定の結晶面を持つ第1の多結晶膜を形成し、第1の多結晶膜に1方向からイオン注入を行うことにより、3次元的に方位制御された所定の結晶方位を有する結晶粒を残す一方、それ以外の結晶粒を非晶質化させ、3次元的に方位制御された所定の結晶方位を有する結晶粒をシ-ドとして非晶質領域を結晶化させる技術が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【0007】
また、基板1の一主面に、シリコン(Si)の斜め回転イオン注入を行い、基板1の一主面を構成するシリコンの結晶構造を破壊し、基板1の一主面は酸素を拡散しやすい状態とする技術が公知である(例えば、下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010-123788号公報
【特許文献2】特開平05-160119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような構造のSJ-MOSFETでは、n型ドリフト層をエピタキシャル成長させ、n型ドリフト層にp型の不純物をイオン注入して、p型領域を形成することを複数回繰り返すことで、並列pn領域を形成している。従来、エピタキシャル成長とボックスプロファイルを形成するための多段階でのイオン注入工程を8回繰り返して、並列pn領域を形成していたが、工数を削減するため、1回で並列pn領域を形成することが検討されている。
【0010】
この場合、4H-SiC基板上に形成される耐圧1.2kVのSJ-MOSFETでは、n型バッファ層を4.40μmと、n型ドリフト層を4.55μm程度エピタキシャル成長させ、n型ドリフト層にp型の不純物をボックスプロファイルとなるように多段階の加速エネルギーにてイオン注入して、4.55μm程度のp型領域を形成する工程を1回で、並列pn領域を形成する。この際、エピタキシャル成長させたn型ドリフト層に深いイオン注入が必要となる。
【0011】
従来、この深いイオン注入は、アモルファス状態でのイオン注入プロファイルのシミュレーション結果に基づき、単結晶の状態の4H-SiCエピタキシャル成長膜(以下、エピ膜と称する)に対して、Al(アルミニウム)イオン(ドーパント)を高加速エネルギーで注入している。
【0012】
図4は、SiおよびSiC中でのAlイオンの平均飛程を示すグラフである。図5において、横軸は、加速エネルギーを示し、単位はkeVである。縦軸は、Alイオンの平均飛程を示し、単位はμmである。図4の平均飛程は、シミュレーションの結果である。図4において、点線の丸はAlイオンをSiに注入した際の平均飛程を示し、実線の丸はAlイオンをSiCに注入した際の平均飛程を示す。なお、Siの密度は2.3212g/cm3、SiCの密度は3.21g/cm3として、平均飛程のシミュレーションを行った。
【0013】
図4に示すように、SiCはSiよりも平均飛程は短く、深さ4.55μmのp型領域を1段階のボックスプロファイル注入で、Alイオン注入で形成するには、最高で約14.2MeV前後の加速エネルギーが必要となる。
【0014】
しかしながら、この条件で深さ4.55μmのp型領域を形成すると、実際のイオン注入プロファイルでは、単結晶4H-SiCエピ膜中で散乱したイオンに対する単結晶4H-SiCエピ膜の結晶構造に由来したチャネリング効果によると考えられるAlイオンのより深い領域への注入に伴い、Al濃度プロファイルに裾の長い濃度分布(以降、ロングテールと呼ぶ)が発生する。チャネリング効果により、深い領域にイオンが注入され、半導体装置の特性が劣化する、あるいは設計に対してバラツキが生じる。
【0015】
図5は、Alイオン注入プロファイルのシミュレーション結果とSIMS分析結果を示すグラフである。図5において、横軸は、Alイオンの注入深さを示し、単位はμmである。縦軸は、Alイオンの濃度を示し、単位はatoms/cm3である。図6は、高加速エネルギーイオン注入を示す断面図である。図5において、実線がSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析結果を示し、点線がシミュレーション結果を示す。図5のSIMS分析結果は、図6のように、SiC基板にSiCエピ膜を3×1016/cm3の不純物濃度で10μm程度成長させ、60keV~8MeVで15段Alイオン注入した後、おもて面から約5.5μmの領域を分析した結果である。
【0016】
図5に示すように、シミュレーションでは、3.2μm以上では、急激にAlイオンの濃度は低下し、ボックスプロファイルとなっているが、SIMS分析結果では、3.2μm以上にロングテールが発生している。また、設定濃度の約1.30×1017/cm3に対して、平均濃度が約1.13×1017/cm3となり、Alイオンの平均濃度が低下している。なお、SIMS分析における濃度誤差は約±40%であり、深さ方向の測定誤差は約±5%である。
【0017】
深さ方向でシミュレーション結果とSIMS分析結果の乖離が大きくなるのは、シミュレーションは、結晶構造を考慮してない(アモルファス)状態だが、実際のイオン注入では、SiCエピ膜中の結晶構造に由来したチャネリング効果によると考えられるロングテールが発生しているためである。また、加速エネルギーが高くなるほど(深く注入しようとするほど)、ロングテールはより深く発生する傾向となる。このため、高い加速エネルギーが必要な4.0μm以上の深さの領域にイオン注入を行う場合、ロングテールが発生する。
【0018】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、p型ドーパントのイオンのより深い領域への注入に伴うp型ドーパント濃度プロファイルのロングテールの発生を防止することで、深さ方向での不純物濃度分布を解消して、シミュレーションに近い領域を製造することが可能となる炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、次の特徴を有する。まず、第1導電型の炭化珪素半導体基板のおもて面に第1導電型の第1半導体層を形成する第1工程を行う。次に、前記第1半導体層の、前記炭化珪素半導体基板側に対して反対側の表面層のロングテールが発生する領域の結晶構造を破壊して、アモルファス化しない程度にイオン注入ダメージを付与する第2工程を行う。次に、イオン注入によりダメージを付与した前記第1半導体層の表面層に第2導電型となる不純物を注入して第2導電型のカラム領域を形成する第3工程を行う。
【0020】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、次の特徴を有する。まず、第1導電型の炭化珪素半導体基板のおもて面側に第1導電型の第1半導体層を形成し、前記第1半導体層の、前記炭化珪素半導体基板側に対して反対側の表面に、第1導電型の第1カラム領域と第2導電型の第2カラム領域とが前記おもて面に平行な面において繰り返し交互に配置された並列pn領域を形成する第1工程を行う。次に、前記並列pn領域の、前記炭化珪素半導体基板側に対して反対側の表面に第2導電型の第2半導体層を形成する第2工程を行う。次に、前記第2半導体層の内部に選択的に前記第1半導体層よりも不純物濃度の高い第1導電型の第1半導体領域を形成する第3工程を行う。次に、前記第1半導体領域および前記第2半導体層を貫通して前記並列pn領域に達するトレンチを形成する第4工程を行う。次に、前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する第5工程を行う。次に、前記第1半導体領域および前記第2半導体層に接する第1電極を形成する第6工程を行う。前記第1工程は、第1導電型の炭化珪素半導体基板のおもて面側に、エピタキシャル成長により第1導電型の第1半導体層を形成する工程と、前記第1半導体層の、前記炭化珪素半導体基板側に対して反対側の表面層のロングテールが発生する領域の結晶構造を破壊して、アモルファス化しない程度にイオン注入ダメージを付与する工程と、イオン注入によりダメージを付与した前記第1半導体層の表面層に第2導電型となる不純物を注入して第2導電型のカラム領域を形成する工程と、を含む工程を1回ないし複数回繰り返すことにより並列pn領域を形成する。
【0021】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、イオン注入によるダメージの付与は、前記表面層のロングテールが発生する領域に、先にネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの不活性元素からなるイオンを注入することで行うことを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記結晶構造にダメージを付与する工程は、活性化アニール処理で前記第1半導体層の4H-SiC結晶構造が回復できる程度の範囲で、結晶構造にイオン注入を行う工程であることを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記カラム領域の厚さは、1.0μm以上であることを特徴とする。
【0024】
上述した発明によれば、p型カラム領域をp型ドーパントのイオン注入で形成する前に、不活性元素をイオン注入して、単結晶4H-SiCエピ膜に対してイオン注入ダメージを付与することで、イオン注入される領域の単結晶4H-SiCの結晶構造を破壊しない程度に破壊する。これにより、注入されたイオンが内部まで入りにくく、チャネリングを起きにくくして、結晶構造に由来するp型ドーパントのイオンのより深い領域への注入に伴うp型ドーパント濃度プロファイルのロングテールの発生を防止できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、p型ドーパント濃度プロファイルのロングテールの発生を防止することで、深さ方向での不純物濃度分布を解消して、シミュレーションに近い領域を製造すると同時に、イオン注入ダメージの増大によりドリフト層のライフタイムを短縮させて、SJ-MOSFETの通電劣化耐性を向上させることと、蓄積電荷量の低減によるスイッチング時の逆回復損失を低減させることが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施の形態にかかる炭化珪素SJ-MOSFETの構造を示す断面図である。
図2】実施の形態にかかる炭化珪素SJ-MOSFETの製造途中の状態を示す断面図である(その1)。
図3】実施の形態にかかる炭化珪素SJ-MOSFETの製造途中の状態を示す断面図である(その2)。
図4】SiおよびSiC中でのAlイオンの平均飛程を示すグラフである。
図5】Alイオン注入プロファイルのシミュレーション結果とSIMS分析結果を示すグラフである。
図6】高加速エネルギーイオン注入を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。+および-を含めたnやpの表記が同じ場合は近い濃度であることを示し濃度が同じとは限らない。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。そして、同じまたは同等との記載は製造におけるばらつきを考慮して5%以内まで含むとするのがよい。
【0028】
(実施の形態)
本発明にかかる半導体装置について、SJ-MOSFETを例に説明する。図1は、実施の形態にかかる炭化珪素SJ-MOSFETの構造を示す断面図である。図1に示す炭化珪素SJ-MOSFET300は、炭化珪素(SiC)からなる半導体基体(炭化珪素基体:半導体チップ)のおもて面(p-型ベース領域16側の面)側にMOS(Metal Oxide Semiconductor)ゲートを備えたSJ-MOSFETである。図1では、2つの単位セル(素子の機能単位)のみを示し、これらに隣接する他の単位セルを図示省略する。
【0029】
+型炭化珪素基板(第1導電型の炭化珪素半導体基板)1は、例えば窒素(N)がドーピングされた炭化珪素単結晶基板である。n-型バッファ層1’とn-型ドリフト層(第1導電型の第1半導体層)2は、n+型炭化珪素基板1よりも低い不純物濃度で、例えば窒素がドーピングされている低濃度n型バッファ層、及びn型ドリフト層である。n-型バッファ層1’の不純物濃度は、例えば、5.0×1015/cm3以上2.5×1016/cm3以下である。n-型ドリフト層2の不純物濃度は、例えば、1.1×1016/cm3以上5.0×1016/cm3以下である。以下、n+型半導体基板1とn-型バッファ層1’と、n-型ドリフト層2と、後述するp-型ベース領域16とを併せて半導体基体とする。半導体基体のおもて面側には、MOSゲート(金属-酸化膜-半導体からなる絶縁ゲート)構造(素子構造)が形成されている。また、半導体基体の裏面には、ドレイン電極(不図示)が設けられている。
【0030】
炭化珪素SJ-MOSFET300の活性領域には、並列pn領域33が設けられている。並列pn領域33は、n型カラム領域31とp型カラム領域30とが交互に繰り返し配置されている。n型カラム領域31は、後述するように1回ないし複数回のエピタキシャル成長工程で形成され、p型カラム領域30は、後述するように1回ないし複数回の多段階からなるイオン注入工程で形成される。p型カラム領域30は、n-型ドリフト層2の表面からn+型半導体基板層1の表面に達しないように設けられているSemi-SJ構造であるが、n+型半導体基板層1の表面付近にまで達するFull-SJ構造としても良い。n型カラム領域31とp型カラム領域30の平面形状は、例えば、ストライプ状である。並列pn領域33のn+型炭化珪素基板1側に対して反対側(炭化珪素半導体基体の第1主面側)の表面層には、p-型ベース領域(第2導電型の第2半導体層)16が設けられている。
【0031】
また、並列pn領域33の表面にn型高濃度領域5が設けられてもよい。n型高濃度領域5の内部にp+型領域3が選択的に設けられてもよい。n型高濃度領域5は、n+型炭化珪素基板1よりも低くn-型ドリフト2よりも高い不純物濃度で、例えば窒素がドーピングされている高濃度n型ドリフト層である。n型高濃度領域5は、キャリアの広がり抵抗を低減させる、いわゆる電流拡散層(Current Spreading Layer:CSL)である。このn型高濃度領域5は、例えば、基体おもて面(半導体基体のおもて面)に平行な方向に一様に設けられている。
【0032】
+型領域3の一部は、トレンチ23の底部に設けられており、p+型領域3の幅はトレンチ23の幅よりも広い。p+型領域3は、例えばアルミニウム(Al)がドーピングされている。また、p+型領域3の一部は、トレンチ23の間に設けられており、表面がp-型ベース領域16に接し、底面がp型カラム領域30に接する。
【0033】
+型領域3を設けることで、トレンチ23の底部付近に、p+型領域3とn型高濃度領域5との間のpn接合を形成することができる。p+型領域3とn型高濃度領域5とのpn接合がトレンチ23よりも深い位置にあるため、p+型領域3とn型高濃度領域5との境界に電界が集中し、トレンチ23の底部の電界集中を緩和することが可能となる。
【0034】
炭化珪素半導体基体の第1主面側(p-型ベース領域16側)には、トレンチ構造が形成されている。具体的には、トレンチ23は、p-型ベース領域16のn+型炭化珪素基板1側に対して反対側(炭化珪素半導体基体の第1主面側)の表面からp-型ベース領域16を貫通してn型高濃度領域5(n型高濃度領域5が設けられていない場合は、n型カラム領域31)に達する。トレンチ23の内壁に沿って、トレンチ23の底部および側壁にゲート絶縁膜19が形成されており、トレンチ23内のゲート絶縁膜19の内側にゲート電極20が形成されている。ゲート絶縁膜19によりゲート電極20が、n型カラム領域31およびp-型ベース領域16と絶縁されている。ゲート電極20の一部は、トレンチ23の上方(ソース電極22側)からソース電極22側に突出していてもよい。
【0035】
-型ベース領域16の内部には、基体第1主面側にn+型ソース領域(第1導電型の第1半導体領域)17が選択的に設けられている。n+型ソース領域17はトレンチ23に接している。p-型ベース領域16の内部に、p++型コンタクト領域18が選択的に設けられていてもよい。この場合n+型ソース領域17およびp++型コンタクト領域18は互いに接する。また、実施の形態では、p型カラム領域30はコンタクトホールの直下に設けられている。つまり、p型カラム領域30は、ソース電極22が接するn+型ソース領域17およびp++型コンタクト領域18とn+型炭化珪素基板1との間の領域に設けられている。
【0036】
層間絶縁膜21は、炭化珪素半導体基体の第1主面側の全面に、トレンチ23に埋め込まれたゲート電極20を覆うように設けられている。ソース電極22は、層間絶縁膜21に開口されたコンタクトホールを介して、n+型ソース領域17およびp++型コンタクト領域18に接する。ソース電極22は、層間絶縁膜21によって、ゲート電極20と電気的に絶縁されている。ソース電極22上には、ソース電極パッド(不図示)設けられている。ソース電極22と層間絶縁膜21との間に、例えばソース電極22からゲート電極20側への金属原子の拡散を防止するバリアメタル(不図示)が設けられていてもよい。
【0037】
(実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法)
次に、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法について説明する。図2図3は、実施の形態にかかる炭化珪素SJ-MOSFETの製造途中の状態を示す断面図である。実施の形態では、1.2kV耐圧クラスのトレンチ構造を有する炭化珪素SJ-MOSFETを例に製造方法を説明する。
【0038】
まず、n型の炭化珪素でできたn+型炭化珪素基板1を用意する。そして、このn+型炭化珪素基板1の第1主面上に、n型の不純物、例えば窒素原子をドーピングしながら炭化珪素でできた膜厚4.40μmのn-型炭化珪素バッファ層1’を、不純物濃度が1.8×1016/cm3程度となるようにエピタキシャル成長させる。次に、n-型バッファ層1’のおもて面側に、例えば窒素原子をドーピングしながら炭化珪素でできた、n-型バッファ層1’より不純物濃度の高い第1n型カラム領域31-1となるn-型ドリフト層2を、不純物濃度が3.0×1016/cm3程度となるようにエピタキシャル成長させる。
【0039】
次に、n-型ドリフト層2の表面上に、フォトリソグラフィ技術によって所定の開口部を有するイオン注入用マスクを例えば膜厚10.0μmのポリシリコン膜、あるいは膜厚10.0μmのSiO2膜で形成する。次に、n-型ドリフト層2の表面層のロングテールが発生する領域の結晶構造を、イオン注入ダメージを付与することで、アモルファス化しない程度に破壊する。ここで、第1p型カラム領域30-1が形成される領域全体の単結晶4H-SiCの結晶構造を破壊することが好ましい。例えば、第1p型カラム領域30-1を4.55μm程度の厚さで形成する場合、4.55μm程度の深さまでアモルファス化しない程度に、単結晶4H-SiCの結晶構造を破壊することが好ましい。なお、ここで結晶構造を、イオン注入ダメージを付与することで、アモルファス化しない程度に破壊するというのは、後述する活性化アニール処理でダメージを付与された結晶の4H-SiC結晶構造が回復できる程度のダメージを付与するという意味である。イオン注入による結晶構造の破壊の程度は主にイオン注入の加速エネルギーで調整できる。
【0040】
単結晶4H-SiCの結晶構造の破壊は、例えば、Arなどの不活性元素のイオンを注入することで実現できる。Neの場合は加速エネルギーを11.55MeV、Arの場合は18.35MeV、Krの場合は22.3MeV、Xeの場合は28.8MeVとすることで平均飛程4.55μmとなる。SiC中でのロングテールの発生を抑制するには、深さ5.05μm程度までダメージを与えることが望ましく、Neの場合は加速エネルギーを13.16MeV、Arの場合は21.5MeV、Krの場合は26.7MeV、Xeの場合は34.1MeVとすることで平均飛程5.05μmとなる。次に、アルミニウム等のp型の不純物(ドーパント)を、SiO2膜(以降、酸化膜と称する)の開口部に注入し、第1p型カラム領域30-1を形成する。次に、イオン注入用マスクを除去する。ここまでの状態が図2に記載される。
【0041】
このように、実施の形態では、p型ドーパントのイオン注入前にn-型ドリフト層2のロングテールが発生する領域に、先に不活性元素のイオン注入を行い、イオン注入ダメージを付与することで、単結晶4H-SiCの結晶構造を破壊している。これにより、p型ドーパントのイオン注入時にイオンが内部まで入りにくくなり、チャネリングを起きにくくして、結晶構造に由来するp型ドーパント濃度プロファイルのロングテールの発生を防止している。このため、深さ方向での不純物濃度分布を解消して、シミュレーションに近い領域を製造することが可能となる。
【0042】
また、炭化珪素半導体基板には、オフ角が設けられており、このオフ角は炭化珪素半導体基板毎にばらつきがある。このばらつきにより、p型ドーパントのイオン注入によるイオンの入射角が異なり、ロングテールの大きさにばらつきが生じる。実施の形態では、p型ドーパントをイオン注入する前の不活性元素のイオン注入により、単結晶4H-SiCの結晶構造が破壊されるため、p型ドーパントのイオン注入の際に、オフ角のばらつきによるロングテールの大きさのばらつきを抑制することができる。
【0043】
ここでは、イオン注入からエピタキシャル成長の工程を1回としていたが、更に耐圧の高いSJ-MOSFETを製造する場合は、この回数は並列pn領域33の膜厚、イオン注入の加速エネルギー等に依存し、他の回数であってかまわない。
【0044】
次に、この第1n型カラム領域31-1および第1p型カラム領域30-1上に、n型の不純物、例えば窒素原子(N)をドーピングしながら炭化珪素でできた下部n型高濃度領域5aをエピタキシャル成長させてもよい。
【0045】
次に、下部n型高濃度領域5aの表面上に、フォトリソグラフィ技術によって所望の開口部を有する図示しないマスクを、例えば酸化膜で形成する。そして、この酸化膜をマスクとしてイオン注入法によってp型の不純物、例えばアルミニウム原子(Al)をイオン注入する。それによって、下部n型高濃度領域5aの内部に下部p+型領域3aを形成する。ここまでの状態が図3に記載される。次に、下部p+型領域3aを形成するためのイオン注入時に用いたマスクを除去する。また、下部n型高濃度領域5aおよび下部p+型領域3aは、エピタキシャル成長とイオン注入を複数回繰り返すことにより形成することもできる。
【0046】
次に、下部n型高濃度領域5aの表面上に、n型の不純物、例えば窒素原子(N)をドーピングしながら炭化珪素でできた上部n型高濃度領域5bをエピタキシャル成長させてもよい。
【0047】
次に、上部n型高濃度領域5bの表面上に、フォトリソグラフィ技術によって所望の開口部を有する図示しないマスクを、例えば酸化膜で形成する。そして、この酸化膜をマスクとしてイオン注入法によってp型の不純物、例えばアルミニウム原子(Al)をイオン注入する。それによって、上部n型高濃度領域5bの内部に上部p+型領域3bを形成する。上部p+型領域3bは、トレンチ23の間に形成されるようにしてもよい。次に、上部p+型領域3bを形成するためのイオン注入時に用いたマスクを除去する。また、上部n型高濃度領域5bおよび上部p+型領域3bは、エピタキシャル成長とイオン注入を複数回繰り返すことにより形成することもできる。下部n型高濃度領域5aと上部n型高濃度領域5bとを合わせてn型高濃度領域5となり、下部p+型領域3aと上部p+型領域3bとを合わせてp+型領域3となる。
【0048】
次に、n型高濃度領域5とp+型領域3との表面上(n型高濃度領域5とp+型領域3とが設けられない場合、n型カラム領域31とp型カラム領域30との表面上)に、アルミニウム等のp型不純物をドーピングしたp-型ベース領域16を形成する。次に、p-型ベース領域16の表面上に、フォトリソグラフィによって所定の開口部を有するイオン注入用マスクを例えば酸化膜で形成する。この開口部にリン(P)等のn型の不純物をイオン注入し、p-型ベース領域16の表面の一部にn+型ソース領域17を形成する。次に、n+型ソース領域17の形成に用いたイオン注入用マスクを除去し、同様の方法で、所定の開口部を有するイオン注入用マスクを形成し、p-型ベース領域16の表面の一部にアルミニウム等のp型の不純物をイオン注入し、p++型コンタクト領域18を設けてもよい。p++型コンタクト領域18の不純物濃度は、p-型ベース領域16の不純物濃度より高くなるように設定する。
【0049】
次に、不活性ガス雰囲気で熱処理(アニール)を行い、第1p型カラム領域30-1、第1n型カラム領域31-1、n型高濃度領域5、p+型領域3、n+型ソース領域17およびp++型コンタクト領域18の活性化処理を実施する。なお、上述したように1回の熱処理によって各イオン注入領域をまとめて活性化させてもよいし、イオン注入を行うたびに熱処理を行って活性化させてもよい。なおこのアニールにより、n-型ドリフト層2の表面層のロングテールが発生する領域に付与された前述のイオン注入ダメージも回復し、4H-SiC結晶構造が回復する。
【0050】
次に、p-型ベース領域16の表面上に、フォトリソグラフィによって所定の開口部を有するトレンチ形成用マスクを例えば酸化膜で形成する。次に、ドライエッチングによってp-型ベース領域16を貫通し、n型高濃度領域5(n型高濃度領域5が設けられていない場合、n型カラム領域31)に達するトレンチ23を形成する。次に、トレンチ形成用マスクを除去する。
【0051】
次に、n+型ソース領域17およびp++型コンタクト領域18の表面と、トレンチ23の底部および側壁と、に沿ってゲート絶縁膜19を形成する。このゲート絶縁膜19は、酸素雰囲気中において1000℃程度の温度の熱処理によって熱酸化によって形成してもよい。また、このゲート絶縁膜19は高温酸化(High Temperature Oxide:HTO)等のような化学反応によって堆積する方法で形成してもよい。
【0052】
次に、ゲート絶縁膜19上に、例えばリン原子がドーピングされた多結晶シリコン層を設ける。この多結晶シリコン層はトレンチ23内を埋めるように形成してもよい。この多結晶シリコン層をフォトリソグラフィによりパターニングし、トレンチ23内部に残すことによって、ゲート電極20を設ける。ゲート電極20の一部はトレンチ23外部に突出していてもよい。
【0053】
次に、ゲート絶縁膜19およびゲート電極20を覆うように、例えばリンガラスを1μm程度の厚さで成膜し、層間絶縁膜21を設ける。次に、層間絶縁膜21を覆うように、チタン(Ti)または窒化チタン(TiN)からなるバリアメタル(不図示)を形成してもよい。層間絶縁膜21およびゲート絶縁膜19をフォトリソグラフィによりパターニングしn+型ソース領域17およびp++型コンタクト領域18を露出させたコンタクトホールを形成する。その後、熱処理(リフロー)を行って層間絶縁膜21を平坦化する。
【0054】
次に、コンタクトホール内および層間絶縁膜21の上にソース電極22となるニッケル(Ni)等の導電性の膜を設ける。この導電性の膜をフォトリソグラフィによりパターニングし、コンタクトホール内にのみソース電極22を残す。
【0055】
次に、n+型半導体基板1の第2主面上に、ニッケル等の裏面電極(不図示)を設ける。この後、1000℃程度の不活性ガス雰囲気で熱処理を行って、n+型ソース領域17、p++型コンタクト領域18およびn+型半導体基板1とオーミック接合するソース電極22および裏面電極(不図示)を形成する。
【0056】
次に、n+型半導体基板1の第1主面上に、スパッタ法によって5μm程度の厚さのアルミニウム膜を堆積し、フォトリソグラフィによりソース電極22および層間絶縁膜21を覆うようにアルミニウムを除去し、ソース電極パッド(不図示)を形成する。
【0057】
次に、裏面電極の表面に、例えばチタン(Ti)、ニッケルおよび金(Au)を順に積層することによって、ドレイン電極パッド(不図示)を形成する。以上のようにして、図1に示す炭化珪素半導体装置が完成する。
【0058】
以上、説明したように、実施の形態によれば、第1p型カラム領域をp型ドーパントのイオン注入で形成する前に、不活性元素をイオン注入して、単結晶4H-SiCエピ膜にイオン注入ダメージを付与することで、p型ドーパントをイオン注入する領域の単結晶4H-SiCの結晶構造を先に破壊する。これにより、注入されたp型ドーパントのイオンが内部まで入りにくく、チャネリングをおきにくくして、結晶構造に由来するp型ドーパント濃度プロファイルのロングテールの発生を防止できる。また、イオン注入ダメージの増大によりドリフト層のライフタイムを短縮させて、SJ-MOSFETの通電劣化耐性を向上させることと、蓄積電荷量の低減によるスイッチング時の逆回復損失を低減させることが可能となるという効果を奏する。
【0059】
また、実施の形態では、第1p型カラム領域を例に説明してきたが、本願発明は、深さが1.0μm以上の領域をイオン注入で形成する場合に適用可能である。さらに、炭化珪素SJ-MOSFET以外の炭化珪素半導体装置にも適用可能である。
【0060】
以上において本発明では、炭化珪素でできた炭化珪素基板の第1主面上にMOSゲート構造を構成した場合を例に説明したが、これに限らず、ワイドバンドギャップ半導体の種類(例えば窒化ガリウム(GaN)など)、基板主面の面方位などを種々変更可能である。また、本発明では、各実施の形態では第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としたが、本発明は第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としても同様に成り立つ。また、本発明ではトレンチがp型カラム領域、n型カラム領域の長手方向に平行な構造の実施例で説明したが、トレンチがp型カラム領域、n型カラム領域の長手方向に垂直な構造でも同様の効果が得られる。
【0061】
以上のように、本発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法は、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用される高耐圧半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0062】
1 n+型半導体基板
1’n-型バッファ層
2 n-型ドリフト層
3 p+型領域
3a 下部p+型領域
3b 上部p+型領域
5 n型高濃度領域
5a 下部n型高濃度領域
5b 上部n型高濃度領域
16 p-型ベース領域
17 n+型ソース領域
18 p++型コンタクト領域
19 ゲート絶縁膜
20 ゲート電極
21 層間絶縁膜
22 ソース電極
23 トレンチ
30 p型カラム領域
30-1 第1p型カラム領域
31 n型カラム領域
31-1 第1n型カラム領域
33 並列pn領域
300 炭化珪素SJ-MOSFET
図1
図2
図3
図4
図5
図6