(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097743
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】陰イオン交換膜を含む金属二酸化炭素電池
(51)【国際特許分類】
C25B 9/00 20210101AFI20240711BHJP
C25B 1/02 20060101ALI20240711BHJP
C25B 1/14 20060101ALI20240711BHJP
C25B 13/08 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C25B9/00 Z
C25B1/02
C25B1/14
C25B13/08 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023142588
(22)【出願日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】10-2023-0002235
(32)【優先日】2023-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】514274672
【氏名又は名称】延世大学校 産学協力団
【氏名又は名称原語表記】UIF (University Industry Foundation), Yonsei University
【住所又は居所原語表記】50,YONSEI-RO, SEODAEMUN-GU, SEOUL 03722, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100210790
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大策
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヨンス
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ジフン
(72)【発明者】
【氏名】イ、トンイル
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヨンソン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ウンセム
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AB25
4K021BA02
4K021BA17
4K021CA08
4K021CA09
4K021CA10
4K021CA11
4K021CA15
4K021DB36
(57)【要約】 (修正有)
【課題】陰イオン交換膜を含む金属二酸化炭素電池を提供する。
【解決手段】金属二酸化炭素電池は、アノード11、カソード12、前記アノードとカソードとの間に位置する陰イオン交換膜13、前記アノードに第1電解質を提供する第1供給部20、及び前記カソードに水素イオン及び重炭酸イオンを含む第2電解質を提供する第2供給部30を含むことができ、陰イオン交換膜は、前記カソードに提供される第2電解質に含まれた前記重炭酸イオンを前記アノードに伝達する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードと、
カソードと、
前記アノードとカソードとの間に位置する陰イオン交換膜と、
前記アノードに第1電解質を提供する第1供給部と、
前記カソードに水素イオン及び重炭酸イオンを含む第2電解質を提供する第2供給部と、
を含む、金属二酸化炭素電池。
【請求項2】
前記陰イオン交換膜は、前記カソードに提供される第2電解質に含まれた前記重炭酸イオンを前記アノードに伝達するものである、請求項1に記載の金属二酸化炭素電池。
【請求項3】
前記陰イオン交換膜は、ポリ(テルフェニレン)[Poly(terphenylene)]、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン-ポリ(エーテルスルホン){1,4-diazabicyclo[2,2,2]octane-Poly(ether sulfone)}、ポリ(アリールピペリジニウム)[Poly(aryl piperidinium)]、ポリ(フェニレンオキサイド)-ブロック-ポリ(ビニルベンジルトリメチルアンモニウム)[Poly(phenylene oxide)-block-poly(vinyl benzyl trimethyl ammonium)]及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の金属二酸化炭素電池。
【請求項4】
前記第1供給部は、
前記第1電解質を収容する第1貯蔵タンクと、
前記第1貯蔵タンクに連結され、前記第1貯蔵タンクに前記第1電解質を提供する第1電解質補充部と、
前記第1貯蔵タンクと前記アノードとを連結し、前記第1電解質を前記アノードに提供する第1連結管と、を含む、請求項1に記載の金属二酸化炭素電池。
【請求項5】
前記第1電解質は、アルカリ金属水酸化物を含み、
前記アルカリ金属水酸化物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の金属二酸化炭素電池。
【請求項6】
前記第2供給部は、
前記第2電解質を収容する第2貯蔵タンクと、
前記第2貯蔵タンクに連結され、前記第2貯蔵タンクに二酸化炭素を提供する第1二酸化炭素供給部と、
前記第2貯蔵タンクと前記カソードとを連結し、前記第2電解質を前記カソードに提供する第2連結管と、を含み、
前記第2貯蔵タンクで水と二酸化炭素とが反応することで、水素イオン及び重炭酸イオンを含む第2電解質が形成される、請求項1に記載の金属二酸化炭素電池。
【請求項7】
前記アノードで下記の式2~式4の反応が起こる、請求項1に記載の金属二酸化炭素電池。
[反応式2]
M1(s)+4M2OH(l)→M1(OH)4
2-(aq)+2e-+4M2+(aq)
[反応式3]
M1(OH)4
2-(aq)+4M2+(aq)+2HCO3
-(aq)→M1O(s)+3H2O(l)+2M22CO3(aq)
[反応式4]
2M22CO3(aq)+2CO2(g)+2H2O(l)→4M2HCO3(aq)
前記式2~式4で、M1はアルミニウム(Al)または亜鉛(Zn)を含み、M2はナトリウム(Na)またはカリウム(K)を含む。
【請求項8】
前記アノード側に位置し、前記アノードから排出される第1生成物から前記アノードの酸化物を分離及び回収する第1濾過部をさらに含む、請求項1に記載の金属二酸化炭素電池。
【請求項9】
前記第1濾過部の後段に位置し、前記第1濾過部から排出される第2生成物からアルカリ重炭酸塩を分離及び回収する第2濾過部をさらに含む、請求項8に記載の金属二酸化炭素電池。
【請求項10】
前記第1濾過部は、
前記アノードから排出される第1生成物を収容する第3貯蔵タンクと、
前記第3貯蔵タンクに二酸化炭素を提供する第2二酸化炭素供給部と、を含み、
前記第3貯蔵タンクに二酸化炭素が提供されることにより、前記第1生成物のpHが低くなって前記第1生成物からアノードの酸化物が析出する、請求項8に記載の金属二酸化炭素電池。
【請求項11】
前記第2二酸化炭素供給部は、前記第1生成物のpHがpH10~pH12になるように前記第3貯蔵タンクに二酸化炭素を提供する、請求項10に記載の金属二酸化炭素電池。
【請求項12】
前記第1濾過部は、析出したアノードの酸化物を前記第1生成物から分離する第1フィルター部をさらに含む、請求項10に記載の金属二酸化炭素電池。
【請求項13】
前記第2濾過部は、
前記第1濾過部から排出される第2生成物を収容する第4貯蔵タンクと、
前記第4貯蔵タンクに二酸化炭素を提供する第3二酸化炭素供給部と、を含み、
前記第4貯蔵タンクに二酸化炭素が提供されることにより、前記第2生成物のpHが低くなって前記第2生成物からアルカリ重炭酸塩が析出する、請求項9に記載の金属二酸化炭素電池。
【請求項14】
前記アルカリ重炭酸塩は、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)または重炭酸カリウム(KHCO3)を含む、請求項13に記載の金属二酸化炭素電池。
【請求項15】
前記第3二酸化炭素供給部は、前記第2生成物のpHがpH7~pH9になるように前記第4貯蔵タンクに二酸化炭素を提供する、請求項13に記載の金属二酸化炭素電池。
【請求項16】
前記第2濾過部は、析出したアルカリ重炭酸塩を前記第2生成物から分離する第2フィルター部をさらに含む、請求項13に記載の金属二酸化炭素電池。
【請求項17】
前記第2濾過部は前記第1供給部と連結されており、前記第2濾過部から排出される未反応物は前記第1供給部に提供される、請求項9に記載の金属二酸化炭素電池。
【請求項18】
前記カソード側に位置し、前記カソードから排出される第3生成物から水素気体を分離する分離部をさらに含む、請求項1に記載の金属二酸化炭素電池。
【請求項19】
前記分離部は前記第2供給部に連結されており、前記分離部から排出される未反応物は前記第2供給部に提供される、請求項18に記載の金属二酸化炭素電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は陰イオン交換膜を含む金属二酸化炭素電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、気候変化に対応するための再生エネルギーの開発に合わせて、電気化学的水電解に対する研究が活発に行われている。また、温室ガス減縮のための二酸化炭素(CO2)の捕集、貯蔵及び転換の技術の重要性が高くなっている。
【0003】
亜鉛/アルミニウム(Zn/Al)基盤の水系電池システムは値段及び埋蔵量の側面で非常に経済的な金属陰極候補である。亜鉛/アルミニウム(Zn/Al)基盤の水系電池システムは、水素を生産するとともに二酸化炭素をKHCO3などの塩形態として捕集するシステムである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は陰イオン交換膜を含む金属二酸化炭素電池を提供することを目的とする。
【0005】
本発明の目的は以上で言及した目的に限定されない。本発明の目的は以下の説明によってより明らかになり、特許請求の範囲に記載された手段及びその組合せによって実現される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例による金属二酸化炭素電池は、アノードと、カソードと、前記アノードとカソードとの間に位置する陰イオン交換膜と、前記アノードに第1電解質を提供する第1供給部と、前記カソードに水素イオン及び重炭酸イオンを含む第2電解質を提供する第2供給部とを含む。
【0007】
前記陰イオン交換膜は、前記カソードに提供される第2電解質に含まれた前記重炭酸イオンを前記アノードに伝達することができる。
【0008】
前記陰イオン交換膜は、ポリ(テルフェニレン)[Poly(terphenylene)]、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン-ポリ(エーテルスルホン){1,4-diazabicyclo[2,2,2]octane-Poly(ether sulfone)}、ポリ(アリールピペリジニウム)[Poly(aryl piperidinium)]、ポリ(フェニレンオキサイド)-ブロック-ポリ(ビニルベンジルトリメチルアンモニウム)[Poly(phenylene oxide)-block-poly(vinyl benzyl trimethyl ammonium)]及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0009】
前記第1供給部は、前記第1電解質を収容する第1貯蔵タンクと、前記第1貯蔵タンクに連結され、前記第1貯蔵タンクに前記第1電解質を提供する第1電解質補充部と、前記第1貯蔵タンクと前記アノードとを連結し、前記第1電解質を前記アノードに提供する第1連結管とを含むことができる。
【0010】
前記第1電解質はアルカリ金属水酸化物を含み、前記アルカリ金属水酸化物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0011】
前記第2供給部は、前記第2電解質を収容する第2貯蔵タンクと、前記第2貯蔵タンクに連結され、前記第2貯蔵タンクに二酸化炭素を提供する第1二酸化炭素供給部と、前記第2貯蔵タンクと前記カソードとを連結し、前記第2電解質を前記カソードに提供する第2連結管とを含み、前記第2貯蔵タンクで水と二酸化炭素とが反応することで、水素イオン及び重炭酸イオンを含む第2電解質が形成されることができる。
【0012】
前記アノードで下記の式2~式4の反応が起こることができる。
[反応式2]
M1(s)+4M2OH(l)→M1(OH)4
2-(aq)+2e-+4M2+(aq)
[反応式3]
M1(OH)4
2-(aq)+4M2+(aq)+2HCO3
-(aq)→M1O(s)+3H2O(l)+2M22CO3(aq)
[反応式4]
2M22CO3(aq)+2CO2(g)+2H2O(l)→4M2HCO3(aq)
【0013】
前記式2~式4で、M1はアルミニウム(Al)または亜鉛(Zn)を含み、M2はナトリウム(Na)またはカリウム(K)を含む。
【0014】
前記金属二酸化炭素電池は、前記アノード側に位置し、前記アノードから排出される第1生成物から前記アノードの酸化物を分離及び回収する第1濾過部をさらに含むことができる。
【0015】
前記金属二酸化炭素電池は、前記第1濾過部の後段に位置し、前記第1濾過部から排出される第2生成物からアルカリ重炭酸塩を分離及び回収する第2濾過部をさらに含むことができる。
【0016】
前記第1濾過部は、前記アノードから排出される第1生成物を収容する第3貯蔵タンクと、前記第3貯蔵タンクに二酸化炭素を提供する第2二酸化炭素供給部とを含み、前記第3貯蔵タンクに二酸化炭素が提供されることにより、前記第1生成物のpHが低くなって前記第1生成物からアノードの酸化物が析出することができる。
【0017】
前記第2二酸化炭素供給部は、前記第1生成物のpHがpH10~pH12になるように前記第3貯蔵タンクに二酸化炭素を提供することができる。
【0018】
前記第1濾過部は、析出したアノードの酸化物を前記第1生成物から分離する第1フィルター部をさらに含むことができる。
【0019】
前記第2濾過部は、前記第1濾過部から排出される第2生成物を収容する第4貯蔵タンクと、前記第4貯蔵タンクに二酸化炭素を提供する第3二酸化炭素供給部とを含み、前記第4貯蔵タンクに二酸化炭素が提供されることにより、前記第2生成物のpHが低くなって前記第2生成物からアルカリ重炭酸塩が析出することができる。
【0020】
前記アルカリ重炭酸塩は、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)または重炭酸カリウム(KHCO3)を含むことができる。
【0021】
前記第3二酸化炭素供給部は、前記第2生成物のpHがpH7~pH9になるように前記第4貯蔵タンクに二酸化炭素を提供することができる。
【0022】
前記第2濾過部は、析出したアルカリ重炭酸塩を前記第2生成物から分離する第2フィルター部をさらに含むことができる。
【0023】
前記第2濾過部は前記第1供給部と連結されており、前記第2濾過部から排出される未反応物は前記第1供給部に提供されることができる。
【0024】
前記金属二酸化炭素電池は、前記カソード側に位置し、前記カソードから排出される第3生成物から水素気体を分離する分離部をさらに含むことができる。
【0025】
前記分離部は前記第2供給部に連結されており、前記分離部から排出される未反応物は前記第2供給部に提供されることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、カソードの水素発生反応が円滑になされることができる金属二酸化炭素電池を得ることができる。
【0027】
本発明によれば、電解質の流れを阻まなくて安定的に駆動することができる金属二酸化炭素電池を得ることができる。
【0028】
本発明によれば、陽イオン交換膜を含む電池を備えたシステムに比べて二酸化炭素の捕集量が増加した金属二酸化炭素電池を得ることができる。
【0029】
本発明によれば、陽イオン交換膜を含む電池を備えたシステムに比べて構成が簡素化した金属二酸化炭素電池を得ることができる。
【0030】
本発明の効果は以上で言及した効果に限定されない。本発明の効果は以下の説明から推論可能なすべての効果を含むものと理解されなければならないであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】従来の陽イオン交換膜を含む金属二酸化炭素電池を示す図である。
【
図2】本発明による陰イオン交換膜を含む金属二酸化炭素電池を示す図である。
【
図3】実施例の第1フィルター部から回収した粉末を肉眼で観察した図である。
【
図4】実施例の第1フィルター部から回収した粉末をX線回折分析(X-ray diffraction、XRD)した結果を示す図である。
【
図5】実施例の第2フィルター部から回収した粉末を肉眼で観察した図である。
【
図6】実施例の第2フィルター部から回収した粉末をX線回折分析(XRD)した結果を示す図である。
【
図7】実施例及び比較例による金属二酸化炭素電池を駆動してセル電位を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以上の本発明の目的、他の目的、特徴及び利点は添付図面に基づく以下の好適な実施例によって容易に理解可能であろう。しかし、本発明はここで説明する実施例に限定されず、他の形態に具体化することもできる。むしろ、ここで紹介する実施例は開示の内容が徹底的で完全になるように、かつ通常の技術者に本発明の思想が充分に伝達されるようにするために提供するものである。
【0033】
各図の説明において類似の参照符号を類似の構成要素に付けた。添付図面において、構造物の寸法は本発明の明確性のために実際より拡大して示すものである。第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使うことができるが、前記構成要素は前記用語に限定されてはいけない。前記用語は一構成要素を他の構成要素と区別する目的のみで使われる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しない範疇内で第1構成要素は第2構成要素と名付けることができ、同様に第2構成要素も第1構成要素と名付けることができる。単数の表現は文脈上明らかに他に指示しない限り、複数の表現を含む。
【0034】
本明細書で、“含む”又は“有する”などの用語は明細書上に記載した特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つ又はそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分“上に”あると言う場合、これは他の部分の“すぐ上に”ある場合だけではなく、その中間に他の部分がある場合も含む。反対に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“下に”あると言う場合、これは他の部分の“すぐ下に”ある場合だけではなく、その中間に他の部分がある場合も含む。
【0035】
他に明示しない限り、本明細書で使用した成分、反応条件、ポリマー組成物及び配合物の量を表現する全ての数字、値及び/又は表現は、このような数字が本質的に他のものの中でこのような値を得るのに発生する測定の多様な不確実性が反映された近似値であるので、全ての場合に“約”という用語で修飾されるものと理解されなければならない。また、以下の記載で数値範囲を開示する場合、このような範囲は連続的であり、他に指示しない限り、このような範囲の最小値から最大値が含まれた前記最大値までの全ての値を含む。さらに、このような範囲が整数を指示する場合、他に指示しない限り、最小値から最大値が含まれた前記最大値までを含む全ての整数が含まれる。
【0036】
図1は従来の陽イオン交換膜93を含む金属二酸化炭素電池90を備えた水素生成及び二酸化炭素貯蔵システム(以下、「従来のシステム」という)を示す図である。従来のシステムは、アノード91とカソード92との間に陽イオンを伝達する陽イオン交換膜93が位置する。水酸化カリウム水溶液を含むアノード電解質が前記アノード91に提供されると、下記のような反応が起こる。
Zn+4K
++4OH
-→4K
++Zn(OH)
4
2-+2e
-
Zn(OH)
4
2-→ZnO+H
2O+2OH
-
【0037】
前記反応で、Znはアノードであり、前記反応によってアノード酸化物であるZnO及びカリウム陽イオン(K+)が生成される。前記アノード酸化物は貯蔵タンク及びフィルターを介して回収することができる。前記カリウム陽イオン(K+)は陽イオン交換膜93を通してカソード92に移動する。
【0038】
炭酸カリウム(K2CO3)水溶液、重炭酸カリウム(KHCO3)水溶液などのカソード電解質が前記カソード92に提供されると、下記のような反応が起こる。
2H++2e-→H2
2K++K2CO3+3CO2+3H2O→4K++4HCO3
-+2H+→4KHCO3+2H+
K++HCO3
-→KHCO3
【0039】
前記反応で、水素イオンはカソード電解質に提供される二酸化炭素の溶解反応によって発生したものであり得る。前記カソード92で水素気体及び重炭酸カリウム(KHCO3)が生成される。前記水素気体は気液分離器によって分離及び回収することができる。前記重炭酸カリウム(KHCO3)はフィルターなどを介して分離及び回収することができる。
【0040】
従来のシステムは、カソード92で重炭酸塩が析出するので、水素気体の発生反応を阻害することがある。また、前記重炭酸塩がカソード電解質の流れを阻むことにより、金属二酸化炭素電池90が作動しないこともある。
【0041】
また、従来のシステムは、アノード酸化物(ZnO)及び重炭酸カリウム(KHCO3)を回収するためのフィルターなどの濾過装置をアノード91及びカソード92側にそれぞれ備えなければならないので、その体積が非常に大きい。
【0042】
図2は本発明による陰イオン交換膜13を含む金属二酸化炭素電池を示す図である。
【0043】
前記金属二酸化炭素電池は、アノード11、カソード12、及び前記アノード11とカソード12との間に位置する陰イオン交換膜13を含む反応部10と、前記アノード11に第1電解質を提供する第1供給部20と、前記カソード12に第2電解質を提供する第2供給部30と、前記アノード11から排出される第1生成物Aからアノードの酸化物を分離及び回収する第1濾過部40と、前記第1濾過部40から排出される第2生成物Bからアルカリ重炭酸塩を分離及び回収する第2濾過部50と、前記カソード12から排出される第3生成物Cから水素気体を分離する分離部60とを含むことができる。
【0044】
前記カソード12は、炭素ペーパー、炭素繊維、炭素フェルト、炭素布地、金属フォーム、金属薄膜及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。前記カソード12は、前記炭素ペーパーなどに担持された活性金属をさらに含むことができる。前記活性金属は、特に限定されないが、白金(Pt)などの貴金属及び/またはニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)などの遷移金属を含むことができる。
【0045】
前記第2供給部30は、前記第2電解質を収容する第2貯蔵タンク31、前記第2貯蔵タンク31に連結され、前記第2貯蔵タンク31に二酸化炭素を提供する第1二酸化炭素供給部32、及び前記第2貯蔵タンク31と前記カソード12とを連結し、前記第2電解質を前記カソード12に提供する第2連結管33を含むことができる。
【0046】
前記第2電解質は、水素イオン(H+)及び重炭酸イオン(HCO3
-)を含むことができる。
【0047】
前記金属二酸化炭素電池の駆動前、前記第2貯蔵タンク31は水(H2O)を貯蔵していることができる。前記第2貯蔵タンク31に二酸化炭素を提供すると、下記のような二酸化炭素の溶解反応が起こることで、水素イオン(H+)及び重炭酸イオン(HCO3
-)を含む第2電解質が形成される。
CO2+H2O→H++HCO3
-
【0048】
前記カソード12に第2電解質が提供されると、下記の式1によって水素気体が発生することができる。
[反応式1]
2H+(aq)+2e-→H2(g)
【0049】
前記第2電解質に含まれた重炭酸イオン(HCO3
-)は前記陰イオン交換膜13を通してアノード11に移動することができる。
【0050】
前記カソード12から排出される第3生成物Cは分離部60に提供される。前記第3生成物Cは、第2電解質の未反応物、水素気体などを含むことができる。前記第2電解質の未反応物は、水、二酸化炭素、水素イオン(H+)及び重炭酸イオン(HCO3
-)を含むことができる。
【0051】
前記分離部60は前記カソード12側に位置し、前記第3生成物Cから水素気体を分離することができる。ここで、カソード12側に位置するというのは前記分離部60がカソード12の付近に位置するという意味に限定されず、前記分離部60が前記カソード12と導管を介して連結されることで、前記カソード12から排出される第3生成物Cを受ける関係にあることを意味することができる。
【0052】
前記分離部60は、前記第3生成物Cから水素気体を分離及び回収することができる気液分離器などを含むことができる。
【0053】
前記分離部60は前記第2供給部30に連結されることができる。具体的には、前記分離部60は前記第2貯蔵タンク31に導管などを介して連結されることができる。前記分離部60から排出される未反応物Dは前記第2供給部30に提供されることで、第2電解質として循環することができる。
【0054】
前記陰イオン交換膜13は、前記カソード12に提供される第2電解質に含まれた重炭酸イオン(HCO3
-)をアノード11に伝達することができる。
【0055】
前記陰イオン交換膜13は、陰イオン伝導性を有する素材を含むことができる。前記陰イオン交換膜13は、ポリ(テルフェニレン)[Poly(terphenylene)]、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン-ポリ(エーテルスルホン){1,4-diazabicyclo[2,2,2]octane-Poly(ether sulfone)}、ポリ(アリールピペリジニウム)[Poly(aryl piperidinium)]、ポリ(フェニレンオキサイド)-ブロック-ポリ(ビニルベンジルトリメチルアンモニウム)[Poly(phenylene oxide)-block-poly(vinyl benzyl trimethyl ammonium)]及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0056】
前記陰イオン交換膜13は、前述した高分子素材にアミン基などの陽イオンを帯びる陰イオン伝導性基が主鎖または測鎖に置換されたものを含むことができる。
【0057】
前記陰イオン交換膜13は陽イオンを帯びる陰イオン伝導性基を含むので、他の陽イオンと反発し、よって後述するアノード11のアルカリ金属の陽イオンは前記カソード12に移動することができない。
【0058】
また、前記陰イオン交換膜13は陰イオンを伝導するが、第1電解質及び第2電解質は通過させないので、前記第1電解質と第2電解質とが混合することを防止することができる。
【0059】
前記アノード11は、アルミニウム、亜鉛及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0060】
前記第1供給部20は、前記第1電解質を収容する第1貯蔵タンク21、前記第1貯蔵タンク21に連結され、前記第1貯蔵タンク21に前記第1電解質を提供する第1電解質補充部22、及び前記第1貯蔵タンク21と前記アノード11とを連結して前記第1電解質を前記アノード11に提供する第1連結管23を含むことができる。
【0061】
前記第1電解質は、アルカリ金属水酸化物を含むことができる。前記アルカリ金属水酸化物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0062】
前記アノード11に第1電解質が提供されると、下記の式2及び式3のようなアノードの酸化反応及び式4のような重炭酸塩生成反応が起こることができる。
[反応式2]
M1(s)+4M2OH(l)→M1(OH)4
2-(aq)+2e-+4M2+(aq)
[反応式3]
M1(OH)4
2-(aq)+4M2+(aq)+2HCO3
-(aq)→M1O(s)+3H2O(l)+2M22CO3(aq)
[反応式4]
2M22CO3(aq)+2CO2(g)+2H2O(l)→4M2HCO3(aq)
【0063】
前記式2~式4で、M1はアルミニウム(Al)または亜鉛(Zn)を含むことができ、M2はナトリウム(Na)またはカリウム(K)を含むことができる。
【0064】
前記式4で、二酸化炭素は、後述する第2二酸化炭素供給部42及び第3二酸化炭素供給部52から提供された二酸化炭素の未反応物が第1電解質と一緒に循環してアノード11に提供されたものであり得る。
【0065】
前記アノード11から排出される第1生成物Aは第1濾過部40に提供される。前記第1生成物Aは、アノードの酸化物(M1O)、水、アルカリ重炭酸塩などを含むことができる。前記アルカリ重炭酸塩は、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)または重炭酸カリウム(KHCO3)を含むことができる。
【0066】
前記第1濾過部40は前記アノード11側に位置し、前記第1生成物Aからアノードの酸化物(M1O)を分離及び回収することができる。ここで、アノード11側に位置するというのは前記第1濾過部40がアノード11の付近に位置するという意味に限定されず、前記第1濾過部40が前記アノード11と導管などを介して連結され、前記アノード11から排出される第1生成物Aを受ける関係にあることを意味することができる。
【0067】
前記第1濾過部40は、前記アノード11から排出される第1生成物Aを収容する第3貯蔵タンク41、前記第3貯蔵タンクに二酸化炭素を提供する第2二酸化炭素供給部42、及び析出したアノードの酸化物を前記第1生成物Aから分離する第1フィルター部43を含むことができる。
【0068】
前記第2二酸化炭素供給部42が前記第3貯蔵タンク41に二酸化炭素を供給することにより、前記第1生成物AのpHが低くなって前記第1生成物Aからアノードの酸化物(M1O)が析出することができる。前記第1生成物AのpHは、前記アノードの酸化物(M1O)のプールベダイアグラム(pourbaix diagram)によって、前記アノードの酸化物(M1O)が固体として析出するpHまで調節することができる。例えば、前記アノードの酸化物がZnOであるとき、前記第2二酸化炭素供給部42は、前記第1生成物AのpHがpH12以下になるように調節することができる。前記第1生成物AのpHの下限は、特に限定されないが、pH10以上であり得る。前記第1生成物AのpHが10未満であれば、アルカリ重炭酸塩が析出しないので、前記アルカリ重炭酸塩を分離及び回収することができないことがある。
【0069】
前記第1フィルター部43は、析出したアノードの酸化物(M1O)を前記第1生成物Aから分離することができれば、本発明が属する技術分野で通常使用するどのフィルターも含むことができる。
【0070】
前記第1濾過部40は、第1生成物Aからアノードの酸化物を分離して得た第2生成物Bを第2濾過部50に提供することができる。前記第2生成物Bは、水、アルカリ重炭酸塩、未反応二酸化炭素などを含むことができる。
【0071】
前記第2濾過部50は前記第1濾過部40の後段に位置し、前記第2生成物Bからアルカリ重炭酸塩(M2HCO3)を分離及び回収することができる。ここで、第1濾過部40の後段に位置するというのは前記第2生成物Bが流れる方向を基準としたものであり、前記第1濾過部40及び第2濾過部50の位置が上下左右などの方位に限定されるものではない。
【0072】
前記第2濾過部50は、前記第1濾過部40から排出される第2生成物Bを収容する第4貯蔵タンク51、前記第4貯蔵タンク51に二酸化炭素を提供する第3二酸化炭素供給部52、及び析出したアルカリ重炭酸塩(M2HCO3)を分離する第2フィルター部53を含むことができる。
【0073】
前記第3二酸化炭素供給部52が前記第4貯蔵タンク51に二酸化炭素を供給することにより、前記第2生成物BのpHが低くなって前記第2生成物Bからアルカリ重炭酸塩(M2HCO3)が析出することができる。前記第2生成物BのpHは、前記アルカリ重炭酸塩(M2HCO3)のプールベダイアグラム(pourbaix diagram)によって、前記アルカリ重炭酸塩(M2HCO3)が固体として析出するpHまで調節することができる。例えば、前記アルカリ重炭酸塩(M2HCO3)がKHCO3であるとき、前記第3二酸化炭素供給部52は前記第2生成物BのpHをpH7~pH9に調節することができる。前記第2生成物BのpHがpH7未満であるかまたはpH9を超えると、電解質内のアルカリ重炭酸塩(M2HCO3)の比が減少して前記アルカリ重炭酸塩(M2HCO3)の析出及び回収が難しくなることがある。
【0074】
前記第2フィルター部53は、析出したアルカリ重炭酸塩(M2HCO3)を前記第2生成物Bから分離することができれば、本発明が属する技術分野で通常使用するどのフィルターも含むことができる。
【0075】
前記第2濾過部50は前記第1供給部20と連結されており、前記第2濾過部50から排出される未反応物Eは前記第1供給部20に提供されることができる。前記未反応物Eは、第2二酸化炭素供給部42及び第3二酸化炭素供給部52から提供された二酸化炭素、水、反応しなかった第1電解質などを含むことができる。
【0076】
前記未反応物Eは第1供給部20の第1電解質と一緒に前記アノード11に循環することができる。前述した式2~式4によって第1電解質が枯渇するので、前記第1電解質補充部22は適量の第1電解質を前記未反応物Eに新しく補充して前記アノード11に提供することができる。
【0077】
本発明による金属二酸化炭素電池は陰イオン交換膜13を備えることで、従来のシステムとは違い、アノード11で二酸化炭素をアルカリ重炭酸塩として貯蔵及び回収することを特徴とする。カソード12でアルカリ重炭酸塩が生成されないので、カソード12の水素気体発生反応が妨げられなく、第2電解質の流れが阻まれて電池の作動が中断されることがない。
【0078】
前記金属二酸化炭素電池は、重炭酸イオンが陰イオン交換膜13を通してカソード12からアノード11に移動するので、第2電解質のpHが変わらずに維持される。
【0079】
前記金属二酸化炭素電池は、カソード12側の第1二酸化炭素供給部32、アノード11側の第2二酸化炭素供給部42、及び第3二酸化炭素供給部52から二酸化炭素を受けてアルカリ重炭酸塩の形態として貯蔵するので、従来のシステムに比べて二酸化炭素処理量が多い。
【0080】
前記金属二酸化炭素電池は、アノード11側にのみ濾過装置を備えれば良いので、従来のシステムに比べて簡素化した装置で水素を生成することができ、二酸化炭素を貯蔵することができる。
【0081】
以下、実施例に基づいて本発明の他の形態をより具体的には説明する。下記の実施例は本発明の理解を手伝うための例示に過ぎなく、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
【実施例0082】
実施例
図2のような金属二酸化炭素電池を構築した。アノードとしては亜鉛ホイルを使い、カソードとしては支持体に担持されたニッケル-モリブデンを使った。前記アノードとカソードとの間に陰イオン交換膜を介在して反応部を準備した。前記陰イオン交換膜としてはFuMA-Tech社のFumacep FAAM-40を使った。
【0083】
前記アノードに第1電解質として水酸化カリウム(KOH)水溶液を提供した。第2貯蔵タンクに収容された水に二酸化炭素を提供することで、水素イオン及び重炭酸イオンを含む第2電解質を形成し、前記第2電解質をアノードに提供した。
【0084】
前記反応部を駆動して金属二酸化炭素電池を作動させた。
【0085】
前記反応部内で起こる反応は次の通りである。
Zn(S)+4KOH(l)→Zn(OH)4
2-(aq)+2e-+4K+(aq)
Zn(OH)4
2-(aq)+4K+(aq)+2HCO3
-(aq)→ZnO(s)+3H2O(l)+2K2CO3(aq)
2K2CO3(aq)+2CO2(g)+2H2O(l)→4KHCO3(aq)
【0086】
前記カソードから排出される第3生成物を気液分離器に供給することにより、前記第3生成物から水素気体を分離した。その残りをまた第2供給部に循環させた。
【0087】
前記アノードから排出される第1生成物を第3貯蔵タンクに供給した。前記第1生成物のpHが約pH12になるように二酸化炭素を供給して酸化亜鉛(ZnO)を析出させた後、前記酸化亜鉛(ZnO)を第1フィルター部から分離した。
図3は第1フィルター部から回収した粉末を肉眼で観察した図である。
図4は第1フィルター部から回収した粉末をX線回折分析(X-ray diffraction、XRD)した結果を示す図である。これから、前記粉末が酸化亜鉛(ZnO)であることを確認した。
【0088】
酸化亜鉛を分離した後、第2生成物を第4貯蔵タンクに供給した。前記第2生成物のpHが約pH8になるように二酸化炭素を供給して重炭酸カリウム(KHCO
3)を析出させた後、前記重炭酸カリウム(KHCO
3)を第2フィルター部から分離した。
図5は第2フィルター部から回収した粉末を肉眼で観察した図である。
図6は第2フィルター部から回収した粉末をX線回折分析(XRD)した結果を示す図である。これから、前記粉末が重炭酸カリウム(KHCO
3)であることを確認した。
【0089】
重炭酸カリウムを分離した後、その残りを第1供給部に提供して循環させた。
【0090】
比較例
図1のような金属二酸化炭素電池を構築した。アノードとしては亜鉛ホイルを使い、カソードとしては支持体に担持されたニッケル-モリブデンを使った。前記アノードとカソードとの間にナフィオン(Nafion)を含む陽イオン交換膜を介在して反応部を準備した。
【0091】
前記アノードにアノード電解質として水酸化カリウム(KOH)水溶液を提供した。前記カソードにカソード電解質として水素イオン及び重炭酸イオンを含む電解質を提供した。
【0092】
前記反応部を駆動して金属二酸化炭素電池を作動させた。
【0093】
図7は実施例及び比較例による金属二酸化炭素電池を駆動してセル電位を測定した結果を示す図である。これを参照すると、各電池のセル抵抗が減少するのに伴い、セル電位(E
cell)が0になる地点での電流密度がほぼ同じであるという点で本発明による新規の金属二酸化炭素電池は従来の電池と同等またはそれ以上の活性を現すことが分かる。
【0094】
一方、実施例及び比較例による金属二酸化炭素電池の活性がほぼ同じであるといっても、前記実施例は比較例より多量の二酸化炭素を捕集及び貯蔵することができ、カソードに提供される電解質のpHが変化しないという利点がある。
【0095】
以上で、本発明の実験例及び実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は上述した実験例及び実施例に限定されず、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の多くの変形及び改良形態も本発明の権利範囲に含まれる。