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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098126
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ペット用おむつ
(51)【国際特許分類】
   A01K 23/00 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
A01K23/00 S
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024085556
(22)【出願日】2024-05-27
(62)【分割の表示】P 2021046106の分割
【原出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183081
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 大志
(74)【代理人】
【識別番号】100211052
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小井戸 祐実
(72)【発明者】
【氏名】小松原 大介
(72)【発明者】
【氏名】中島 瞳
(57)【要約】
【課題】尿漏れを防止しつつ大便を外部に排出することができるペット用おむつを提供する。
【解決手段】
一態様のペット用おむつは、ペットの胴回り方向に沿って配置される横方向、及び、前記横方向と直交し且つ前記ペットの腹側から背側を繋ぐ縦方向に延在し、且つ、吸収性コアを含む本体部を有する。本体部には、横方向の最大開口幅よりも縦方向の最大開口幅が大きな縦長形状を有する尻尾穴が形成される。ペット用おむつは、尻尾穴よりも腹側に設けられ、横方向における本体部の側端縁の外側に延出する一対のファスニングタブと、尻尾穴よりも背側に設けられ、一対のファスニングタブに係合するターゲット部と、を備える。尻尾穴の背側の端縁は、縦方向における本体部の中心線とターゲット部の腹側の端縁との中間点よりも腹側に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットの胴回り方向に沿って配置される横方向、及び、前記横方向と直交し且つ前記ペットの腹側から背側を繋ぐ縦方向に延在し、且つ、吸収性コアを含む本体部を有するペット用おむつであって、
前記本体部には、前記横方向の最大開口幅よりも前記縦方向の最大開口幅が大きな縦長形状を有する尻尾穴が形成され、
前記尻尾穴よりも前記腹側に設けられ、前記横方向における前記本体部の側端縁の外側に延出する一対のファスニングタブと、
前記尻尾穴よりも前記背側に設けられ、前記一対のファスニングタブに係合するターゲット部と、
を更に備え、
前記尻尾穴の前記背側の端縁は、前記縦方向における前記本体部の中心線と前記ターゲット部の前記腹側の端縁との中間点よりも前記腹側に配置されている、ペット用おむつ。
【請求項2】
前記尻尾穴の前記縦方向の最大開口幅は、前記尻尾穴の前記腹側の端縁と前記縦方向における前記本体部の中心線との間の距離よりも大きい、請求項1に記載のペット用おむつ。
【請求項3】
前記尻尾穴の前記縦方向の最大開口幅は、前記尻尾穴の前記背側の端縁と前記中間点との間の距離よりも大きい、請求項1又は2に記載のペット用おむつ。
【請求項4】
前記尻尾穴の前記腹側の端縁と前記縦方向における前記本体部の中心線との間の距離は、前記縦方向における前記尻尾穴の前記背側の端縁と前記中間点との間の距離よりも小さい、請求項1~3の何れか一項に記載のペット用おむつ。
【請求項5】
前記尻尾穴の前記腹側の端縁は、前記縦方向における前記本体部の中心線よりも前記腹側に配置されている、請求項1~4の何れか一項に記載のペット用おむつ。
【請求項6】
前記本体部には、前記尻尾穴に重なるように設けられた舌片が形成され、
前記舌片は、前記尻尾穴の端縁に連結された基端部と前記基端部の反対側の先端部とを有し、前記基端部を起点として折り返されたときに前記尻尾穴を開口し、
前記舌片の前記先端部は、前記舌片が折り返されていない状態で前記腹側又は前記横方向に向けられている、請求項1~5の何れか一項に記載のペット用おむつ。
【請求項7】
前記尻尾穴は、前記本体部の一部が切り取られることよって形成されている、請求項1~5の何れか一項に記載のペット用おむつ。
【請求項8】
前記吸収性コアの前記背側の端縁は、前記尻尾穴の前記腹側の端縁よりも前記腹側に配置されている、請求項1~7の何れか一項に記載のペット用おむつ。
【請求項9】
前記尻尾穴の前記腹側の端縁と前記吸収性コアの前記背側の端縁との間の距離は、前記吸収性コアの前記背側の端縁と前記縦方向における前記本体部の中心線との間の距離よりも小さい、請求項1~8の何れか一項に記載のペット用おむつ。
【請求項10】
前記縦方向に伸長された状態で前記本体部に固定され、前記縦方向において少なくとも前記尻尾穴の前記腹側の端縁と前記吸収性コアの前記背側の端縁との間で延在する伸縮部材を更に備える、請求項1~9の何れか一項に記載のペット用おむつ。
【請求項11】
前記吸収性コアよりも前記横方向の外側の位置に配置された防漏ギャザーを更に備え、
前記伸縮部材は、前記防漏ギャザーよりも前記横方向の外側の位置に配置されている、請求項10に記載のペット用おむつ。
【請求項12】
前記防漏ギャザーは、前記縦方向に延在する第2の伸縮部材と、前記第2の伸縮部材の収縮によって起立する起立部と、前記縦方向における前記起立部の起立支点となる縦固定部と、を含み、
前記縦固定部は、前記尻尾穴の前記腹側の端縁と前記吸収性コアの前記背側の端縁との間の位置において前記本体部に固定されている、請求項11に記載のペット用おむつ。
【請求項13】
前記横方向における前記尻尾穴の開口幅は、前記腹側に向かうにつれて連続的に狭められている、請求項1~12の何れか一項に記載のペット用おむつ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ペット用おむつに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、犬や猫などのペットに装着されるペット用おむつが開示されている。特許文献1のペット用おむつは、ペットの臀部を覆う臀当て部にペットが排泄した大便を通過させる尻尾穴が形成されたおむつ本体と、当該尻尾穴を通過した大便を回収する大便袋を備えている。このペット用おむつは、おむつ本体の吸水体で尿を吸収すると共に大便を大便袋に回収することによって、ペットの毛などに大便が付着することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6232688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のペット用おむつに形成された尻尾穴は、大便を排出するためにペットの肛門に対面する位置に維持される必要がある。しかしながら、例えば散歩中にペットが激しく動くとペット用おむつのずれが生じ、それに伴って尻尾穴の位置がペットの肛門の位置に対してずれることがある。尻尾穴の位置にずれが生じると、排泄された大便がペット用おむつの内部に入り込み、ペットに付着するおそれがある。大便が確実に尻尾穴を通過するようにするには、ペット用おむつに形成される尻尾穴の寸法を大きくすることが考えられるが、尻尾穴の寸法を過剰に大きくすると当該尻尾穴から尿が漏れるおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、尿漏れを防止しつつ大便を外部に排出することができるペット用おむつを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様のペット用おむつは、ペットの胴回り方向に沿って配置される横方向、及び、前記横方向と直交し且つ前記ペットの腹側から背側を繋ぐ縦方向に延在し、且つ、吸収性コアを含む本体部を有する。本体部には、横方向の最大開口幅よりも縦方向の最大開口幅が大きな縦長形状を有する尻尾穴が形成される。ペット用おむつは、尻尾穴よりも腹側に設けられ、横方向における本体部の側端縁の外側に延出する一対のファスニングタブと、尻尾穴よりも背側に設けられ、一対のファスニングタブに係合するターゲット部と、を備える。尻尾穴の背側の端縁は、縦方向における本体部の中心線とターゲット部の腹側の端縁との中間点よりも腹側に配置されている。
【0007】
上記態様のペット用おむつでは、尻尾穴が縦長形状を有しているので、排泄時にペットの肛門を本体部から露出させることができる。また、尻尾穴の背側の端縁を縦方向における本体部の中心線とターゲット部の腹側の端縁との中間点よりも腹側に配置することによって、ペット用おむつを装着したときに、尻尾穴の背側の端縁を尻尾の背部に確実に当接させることができる。したがって、ペット用おむつのずれが抑制され、尿漏れを防止しつつ大便をペット用おむつの外部に排出することができる。
【0008】
一態様では、尻尾穴の縦方向の最大開口幅は、尻尾穴の腹側の端縁と縦方向における本体部の中心線との間の距離よりも大きくてもよい。本態様では、尻尾穴の縦方向の最大開口幅が相対的に長く形成されているので、本体部からペットの肛門を確実に露出させ、大便を外部に排出することができる。
【0009】
一態様では、尻尾穴の縦方向の最大開口幅は、尻尾穴の背側の端縁と中間点との間の距離よりも大きくてもよい。本態様では、尻尾穴の縦方向の最大開口幅が相対的に長く形成されているので、本体部からペットの肛門を確実に露出させ、大便をペット用おむつの外部に排出することができる。
【0010】
一態様では、尻尾穴の腹側の端縁と縦方向における本体部の中心線との間の距離は、縦方向における尻尾穴の背側の端縁と中間点との間の距離よりも小さくてもよい。縦方向における尻尾穴の背側の端縁と中間点との間の距離が小さい場合には、一対のファスニングタブをターゲット部に係合するために本体部の腹側の領域の長さを短くする必要がある。しかしながら、本体部の腹側の領域の長さを短くするとペットの排尿口が露出して尿漏れが生じる恐れがある。これに対して、本態様では、縦方向における尻尾穴の背側の端縁と中間点との間の距離が相対的に長く形成されているので、本体部の腹側の領域の長さを確保することができる。その結果、尿漏れを抑制することができる。
【0011】
一態様では、尻尾穴の腹側の端縁は、縦方向における本体部の中心線よりも腹側に配置されていてもよい。尻尾穴の腹側の端縁が縦方向における本体部の中心線よりも腹側に配置されることにより、ペットが座った姿勢をとったときに尻尾穴が略水平に配置されるので大便をより確実に通過させることができる。
【0012】
一態様では、本体部には、尻尾穴に重なるように設けられた舌片が形成され、舌片は、尻尾穴の端縁に連結された基端部と基端部の反対側の先端部とを有し、基端部を起点として折り返されたときに尻尾穴を開口し、舌片の先端部は、舌片が折り返されていない状態で腹側又は横方向に向けられていてもよい。本態様では、舌片が基端部を起点として折り返されたときに舌片がペットの肛門の下方に配置されることがないので、排泄時に大便がペット用おむつに付着することを抑制することができる。一態様では、尻尾穴は、本体部の一部が切り取られることよって形成されていてもよい。
【0013】
一態様では、吸収性コアの背側の端縁は、尻尾穴の腹側の端縁よりも腹側に配置されていてもよい。本態様では、尻尾穴の横方向の両側及び背側には吸収性コアが配置されない領域が形成される。これらの領域は、吸収性コアの分だけ剛性が低いのでペットの臀部に沿って柔軟に変形する。したがって、ペット用おむつのフィット性が向上し、尻尾穴の端縁とペットの臀部との間に隙間が生じにくくなり、当該隙間からペット用おむつの内部に大便が入り込むことが抑制される。
【0014】
一態様では、尻尾穴の腹側の端縁と吸収性コアの背側の端縁との間の距離は、吸収性コアの背側の端縁と縦方向における本体部の中心線との間の距離よりも小さくてもよい。本態様では、吸収性コアの背側の端縁が尻尾穴の腹側の端縁に近接した位置に配置されるので、尻尾穴からの尿漏れを抑制することができる。
【0015】
一態様のペット用おむつは、縦方向に伸長された状態で本体部に固定され、縦方向において少なくとも尻尾穴の腹側の端縁と吸収性コアの背側の端縁との間で延在する伸縮部材を更に備えていてもよい。本態様では、伸縮部材が少なくとも尻尾穴の腹側の端縁と吸収性コアの背側の端縁との間で延在しているので、当該伸縮部材の伸縮によって本体部の尻尾穴と吸収性コアとの間の領域が吸収性コア側に引っ張られ、ペットの臀部に押し当てられる。これにより、ペット用おむつのフィット性が向上し、尻尾穴の端縁とペットの臀部との間に隙間が生じにくくなる。したがって、ペット用おむつの内部に便が入り込みにくくなり、ペットに大便が付着しにくくなる。
【0016】
一態様のペット用おむつは、吸収性コアよりも横方向の外側の位置に配置された防漏ギャザーを更に備え、伸縮部材は、防漏ギャザーよりも横方向の外側の位置に配置されていてもよい。本態様では、伸縮部材が防漏ギャザーよりも横方向の外側の位置に配置されているので、本体部の横方向の側端縁をペットの足回りに密着して配置させることができる。したがって、ペット用おむつのフィット性をより向上させることができる。
【0017】
一態様では、防漏ギャザーは、縦方向に延在する第2の伸縮部材と、第2の伸縮部材の収縮によって起立する起立部と、縦方向における起立部の起立支点となる縦固定部と、を含み、縦固定部は、尻尾穴の腹側の端縁と吸収性コアの背側の端縁との間の位置において本体部に固定されていてもよい。本態様では、吸収性コアよりも横方向の外側の位置に防漏ギャザーの起立部が起立した状態で配置されるので、尿漏れを抑制することができる。
【0018】
一態様では、横方向における尻尾穴の開口幅は、腹側に向かうにつれて連続的に狭められていてもよい。排便時の肛門の幅は大便の幅よりも大きいため、横方向における尻尾穴の幅を腹側に向かうにつれて狭めることで、尻尾穴の開口面積を小さくしつつ大便を通過させることができる。また、尻尾穴の開口面積を小さくすることにより、尻尾穴からの尿漏れを抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の種々の態様によれば、尿漏れを防止しつつ大便を外部に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態に係るペット用おむつを示す平面図である。
図2図1のA-A線に沿ったペット用おむつを模式的に示す断面図である。
図3】ペット用おむつを装着した状態を示す図である。
図4】尻尾穴の変形例を示す図である。
図5】尻尾穴の別の変形例を示す図である。
図6】別の実施形態に係るペット用おむつを示す平面図である。
図7】更に別の実施形態に係るペット用おむつを示す平面図である。
図8】更に別の実施形態に係るペット用おむつを示す平面図である。
図9】更に別の実施形態に係るペット用おむつを示す平面図である。
図10】更に別の実施形態に係るペット用おむつを示す平面図である。
図11】更に別の実施形態に係るペット用おむつを示す平面図である。
図12】更に別の実施形態に係るペット用おむつを示す平面図である。
図13】更に別の実施形態に係るペット用おむつを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0022】
図1は、実施形態に係るペット用おむつを表面側Z1からから見た平面図である。図2は、図1に示すA-A線に沿ったペット用おむつを模式的に示す断面図である。図1及び図2では、皺が形成されない状態までペット用おむつ1を伸長させた伸長状態のペット用おむつ1を示している。以下の説明では、特段の説明がない限り伸長状態における位置関係について説明する。また、図2に示す断面図では、説明の便宜上、各部材を厚み方向Zにおいて離間して示しているが、実際の製品においては厚み方向Zに接している。
【0023】
ペット用おむつ1は、ペットに使用されるおむつである。本明細書において、「ペット」は、脊椎動物や無脊椎動物を広く包含し、典型的には、犬、猫、ウサギ、ハムスターなどの愛玩動物を含む。一実施形態のペット用おむつ1は、犬又は猫用のおむつである。このペット用おむつ1は、ペットの散歩時に好適に利用される。図1に示すように、ペット用おむつ1は、ペットの胴回り方向に沿って配置される横方向X、及び、当該横方向Xと直交する縦方向Yに延在している。縦方向Yは、ペットの腹側から背側を繋ぐ方向である。厚み方向Zは、横方向X及び縦方向Yと直交する方向であり、着用状態においてペットに当てられる表面側Z1、及び、着用状態において外側に向けられる裏面側Z2を含む。図3に示すように、実施形態に係るペット用おむつは、ペットの腹側から股下を通って背側まで覆うように装着される。
【0024】
ペット用おむつ1は、本体部2を有している。本体部2は、少なくとも表面シート10、裏面シート20及び吸収性コア30を含んでいる。表面シート10は、本体部2においてペットに当てられる面を構成し、表面側Z1に配置されている。表面シート10は、体液を吸収性コア30側に透過させる液透過性を有する。表面シート10は、縦方向Yの中央に位置し、吸収性コア30を覆うセンターシート11と、センターシート11の横方向Xの両側部を覆うサイドシート12とを含んでいる。図2に示すように、横方向Xにおけるサイドシート12の内側部分は裏面側Z2に折り返されている。折り返されたサイドシート12の間には、縦方向Yに伸長された状態の伸縮部材(第2の伸縮部材)13が配置されている。サイドシート12及び伸縮部材13は、防漏ギャザー80を構成する。防漏ギャザー80は、起立性の防漏用ギャザーであり、吸収性コア30よりも表面側Z1に配置されている。防漏ギャザー80の詳細については、後述する。
【0025】
裏面シート20は、本体部2において着用時に外側に位置する面を構成し、裏面側Z2に配置されている。裏面シート20は、液不透過性の裏面フィルム21と、裏面フィルム21よりも裏面側Z2に位置する裏面不織布22とを含んでいる。なお、一実施形態では、裏面不織布22が裏面フィルム21よりも表面側Z1に配置されてもよい。裏面フィルム21の横方向Xの長さは、裏面不織布22の横方向Xの長さよりも短く形成され、裏面不織布22が裏面フィルム21よりも横方向Xの両側に延出していてもよい。
【0026】
吸収性コア30は、表面シート10と裏面シート20の間に配置されている。吸収性コア30は、例えば植物由来のパルプ及び高分子吸収剤(SAP)を含み、例えばペットの尿を吸収する。図2に示すように、吸収性コア30の上面及び下面は、コアラップ32によって覆われていてもよい。吸収性コア30は、本体部2の横方向Xの略中央に配置されている。横方向Xにおける吸収性コア30の幅は、横方向Xにおける本体部2の幅よりも短い。また、横方向Xにおける吸収性コア30の幅は、吸収性コア30の背側の端縁30Rと吸収性コア30の腹側の端縁30Fとの間の位置で部分的に狭められていてもよい。
【0027】
吸収性コア30の背側の端縁30Rは、本体部2の縦方向Yの中心線CL2よりも背側に配置されている。吸収性コア30の腹側の端縁30Fは、後述する腹側端縁2Fよりも背側に配置されている。すなわち、吸収性コア30の縦方向Yの長さは、本体部2の縦方向Yの長さよりも短い。また、吸収性コア30の背側の端縁30Rは、後述する尻尾穴70の腹側の端縁70Fよりも腹側に配置されている。
【0028】
本体部2は、縦方向Yの背側に位置する背側端縁2Rと、縦方向Yの腹側に位置する腹側端縁2Fとを有している。背側端縁2Rは、着用時に背側においてペットの胴回り方向に配置され、腹側端縁2Fは、着用時に腹側においてペットの胴回り方向に配置される。また、本体部2は、背側端縁2R側に位置する背側域51と、腹側端縁2F側に位置する腹側域52と、縦方向Yにおいて背側域51と腹側域52との間に位置する中間域53とを有している。本体部2の背側域51には、本体部2から横方向Xの外側に張り出す一対の延出部14が形成されている。本体部2の腹側域52には、本体部2から横方向Xの外側に張り出す一対の延出部15が形成されている。一対の延出部15は、ペットの後脚を通すための一対の脚回り開口部を画成する。
【0029】
一対の延出部15には、一対のファスニングタブ90がそれぞれ設けられている。一対のファスニングタブ90は、本体部2の縦方向Yの腹側端縁2Fの付近において本体部2よりも横方向Xの外側に延出している。一対のファスニングタブ90の各々は、延出部15に接合された基材シート91と、基材シート91上に設けられた接合部92とを有していてもよい。接合部92は、ファスニングタブ90の表面側Z1の面に配置されている。接合部92は、例えばメカニカルファスナであり、本体部2の裏面側Z2に形成されたターゲット部45に接合可能に構成されている。なお、一対のファスニングタブ90は、後述する尻尾穴70よりも腹側に設けられ、ターゲット部45は、尻尾穴70よりも背側に設けられている。一実施形態では、本体部2はターゲット部45を備えず、一対のファスニングタブ90の接合部92が裏面シート20の裏面側Z2に直接接合するように構成されてよい。
【0030】
また、本体部2の腹側端縁2F付近には、横方向Xに伸縮するウエストギャザー93が設けられていてもよい。ウエストギャザー93は、例えば一対のファスニングタブ90の背側の端縁90Rよりも腹側に配置され、横方向に伸縮することで腹側域52をペットの腹部に密着させる。
【0031】
本体部2には、尻尾穴70が形成されている。尻尾穴70は、例えば本体部2の背側に開放された略U字状の切り込みを入れることによって、本体部2に形成された略舌形状の開口部である。尻尾穴70は、ペットの尻尾を挿通可能であると共にペットの大便を通過可能な排泄穴として利用される。尻尾穴70は、横方向Xの最大開口幅W1よりも縦方向Yの最大開口幅W2が大きな縦長形状を有している。尻尾穴70の横方向Xの最大開口幅W1は、ペットの肛門98の幅よりも大きく設計されている(図3参照)。一実施形態では、尻尾穴70の横方向Xの開口幅は、腹側に向かうにつれて連続的に狭められていてもよい。
【0032】
図1に示す実施形態では、尻尾穴70の背側の端縁70R及び尻尾穴70の腹側の端縁70Fは、縦方向Yにおける本体部2の中心線CL2よりも背側に配置されている。なお、中心線CL2は、背側端縁2R及び腹側端縁2Fから等しい距離に位置し、横方向Xに沿って延在する仮想線である。すなわち、中心線CL2は、ペット用おむつ1を縦方向Yに二つ折りしたときの折り目が形成される部分であり、ペット用おむつ1をペットに装着したときに、本体部2の中心線CL2よりも腹側の領域がペットの排尿口に当てられる。
【0033】
図1に示すように、尻尾穴70の背側の端縁70Rは、縦方向Yにおける本体部2の中心線CL2とターゲット部45の腹側の端縁45Fとの中間点MPよりも腹側に配置されている。一実施形態では、尻尾穴70の縦方向Yの最大開口幅W2は、尻尾穴70の腹側の端縁70Fと縦方向Yにおける本体部2の中心線CL2との間の距離D1よりも大きくてもよい。また、尻尾穴70の縦方向Yの最大開口幅W2は、尻尾穴70の背側の端縁70Rと中間点MPとの間の距離D2より大きくてもよい。具体的には、尻尾穴70の縦方向Yの最大開口幅W2は、35mm以上80mm以下、より好ましくは40mm以上80mm以下であってもよい。さらに、尻尾穴70の腹側の端縁70Fと縦方向Yにおける本体部2の中心線CL2との間の距離D1は、尻尾穴70の背側の端縁70Rと中間点MPとの間の距離D2よりも小さくてもよい。
【0034】
また、尻尾穴70の腹側の端縁70Fは、吸収性コア30の背側の端縁70Rよりも背側に形成されている。したがって、横方向Xにおける本体部2の尻尾穴70の外側、及び、本体部2の尻尾穴70の背側には、吸収性コア30が配置されない領域が形成される。一実施形態では、尻尾穴70の腹側の端縁70Fと吸収性コア30の背側の端縁70Rとの間の距離D3は、吸収性コア30の背側の端縁30Rと縦方向Yにおける本体部2の中心線CL2との間の距離D4よりも短くてもよい。すなわち、吸収性コア30の背側の端縁30Rは、尻尾穴70の腹側の端縁70Fに近接した位置に配置される。
【0035】
尻尾穴70は、本体部2の横方向Xの中心線CL1上に形成されている。なお、中心線CL1は、横方向Xにおける本体部2の一対の側端縁2Sから等しい距離に位置し、縦方向Yに沿って延在する仮想線である。一実施形態では、横方向Xにおける尻尾穴70の最大開口幅W1は、横方向Xにおける本体部2の中心線CL1と防漏ギャザー80の横方向Xの内端縁80Sとの間の距離D5より小さくてもよい。また、縦方向Yにおける尻尾穴70の背側の端縁70Rと吸収性コア30の背側の端縁30Rとの間の距離D6は、横方向Xにおける尻尾穴70の側端縁70Sと後述する伸縮部材40との間の距離D7より大きくてもよい。なお、尻尾穴70の形状は、略舌形状に限定されず、半円形状、矩形状、台形状、多角形状又は楕円形状を有していてもよい。
【0036】
本体部2には、舌片72が形成されている。舌片72は、例えば本体部2に対して切り込みを入れることで形成されるフラップ状の部材であり、例えば表面シート10及び裏面シート20の一部によって構成されている。舌片72は、尻尾穴70の開口形状と略一致する形状を有し、尻尾穴70に対して重なるように配置されている。舌片72は、尻尾穴70の背側の端縁70Rに連結された基端部72Rと、基端部72Rの反対側に位置する先端部72Fと、基端部72Rと先端部72Fとを接続する側部72Sとを有している。先端部72Fは、本体部2の中間域53に接続されている。一方、先端部72F及び側部72Sは、本体部2の中間域53に対して非接続であり、遊離している。舌片72の先端部72Fは、舌片72が折り返されていない状態(尻尾穴70に対して重なっている状態)のときに腹側に向けられている。
【0037】
図3に示すように、舌片72は、基端部72Rを起点として裏面側Z2へ折り返されることで尻尾穴70を開口するように構成されている。上述のように、舌片72の先端部72Fは腹側に向けられているので、尻尾穴70に尻尾が挿入され、舌片72が基端部72Rを起点として裏面側Z2に折り返されたときに、舌片72は尻尾の背面側に当接する。舌片72が尻尾の背面側に配置されることで、排泄時に大便が舌片72に付着することが抑制される。なお、一実施形態では、舌片72の先端部72F及び側部72Sは、不連続な切り込み、例えばミシン目を介して本体部2の中間域53に仮止めされており、舌片72をミシン目に沿って引き裂くことで先端部72F及び側部72Sを本体部2の中間域53に対して遊離させてもよい。
【0038】
また、一実施形態では、図4に示すように、本体部2の横方向Xに開放された略U字状の切り込みを入れることで舌片72を形成してもよい。図4に示す舌片72の先端部72Fは、舌片72が折り返されていない状態のときに横方向Xに向けられていてもよい。図4に示す実施形態では、尻尾穴70に尻尾が挿入され、舌片72が基端部72Rを起点として裏面側Z2に折り返されたときに、舌片72はペットの尻尾の側部に当接する。また、別の実施形態では、図5に示すように、尻尾穴70の端縁の全周に亘って環状の切り込みを入れて、本体部2の一部を切り取ることによって、舌片72を有しない尻尾穴70が形成されていてもよい。図4及び図5に示す実施形態でも、尻尾穴70に尻尾が挿入されたときに舌片72がペットの肛門98の下方に配置されることがないので、排泄時に大便がペット用おむつ1に付着することが抑制される。
【0039】
次に、防漏ギャザー80についてより詳細に説明する。防漏ギャザー80は、吸収性コア30の横方向Xの外側に配置され、吸収性コア30に排泄された尿が横方向Xに漏れることを抑制する。一実施形態では、防漏ギャザー80は、縦方向Yに延在する伸縮部材13と、伸縮部材13の収縮によって起立する起立部81と、横方向Xにおける起立部81の起立支点となる横固定部82と、縦方向Yにおける起立部81の起立支点となる縦固定部83とを含んでいる。防漏ギャザー80の起立部81、横固定部82及び縦固定部83は、サイドシート12によって構成されている。起立部81は、サイドシート12のうちセンターシート11に対して非接続な部分であり、起立部81には伸長状態の伸縮部材13が配置されている。
【0040】
横固定部82は、サイドシート12のうち起立部81の横方向Xの外側においてセンターシート11に固定された部分であり、横方向Xにおける起立部81の起立支点となる。横固定部82は、起立部81に対して横方向Xの外側の位置で本体部2の縦方向Yの全域に形成されていてもよい。
【0041】
縦固定部83は、サイドシート12のうち起立部81の縦方向Yの外側においてセンターシート11に固定された部分であり、縦方向Yにおける起立部81の起立支点となる。一実施形態では、縦固定部83は、第1縦固定部83R及び第2縦固定部83Fを含む。第1縦固定部83Rは、横固定部82に対して横方向Xの内側の位置であって、吸収性コア30の背側の位置に形成されている。より詳細には、第1縦固定部83Rの腹側の端縁83Iは、尻尾穴70の腹側の端縁70Fと吸収性コア30の背側の端縁30Rとの間の位置に配置されている。第2縦固定部83Fは、横固定部82に対して横方向Xの内側の位置であって、吸収性コア30よりも腹側の位置に形成されている。すなわち、縦固定部83は、縦方向Yにおいて吸収性コア30よりも外側の位置で本体部2に固定されている。
【0042】
上述のように、起立部81は、横固定部82に対して横方向Xの内側、且つ、縦固定部83に対して縦方向Yの内側に配置されている。起立部81には縦方向Yに伸長された伸縮部材13が接続され、当該伸縮部材13が縦方向Yに収縮することによって本体部2が閉じる方向に変形する。この変形によって、起立部81は、横固定部82を起点として立ち上がる。このように、起立部81は、吸収性コア30を横方向Xから挟み込む位置において起立することで尿漏れを防止する。
【0043】
ペット用おむつ1は、長さ方向に伸縮可能な一対の伸縮部材(第1の伸縮部材)40を更に備えている。図1に示すように、一対の伸縮部材40は、防漏ギャザー80の伸縮部材13よりも横方向Xの外側に配置されている。図1に示す実施形態では、伸縮部材40は、縦方向Yにおいて本体部2の全域に延在している。伸縮部材40は、縦方向Yに伸長された状態で本体部2に固定されることによって、本体部2が閉じる方向に変形する力を付与する。一対の伸縮部材40は、例えば長さ方向に収縮可能な糸ゴム又は平ゴムであり、本体部2の表面シート10と裏面シート20との間で本体部2の側端縁2Sに沿って配置されている。なお、一対の伸縮部材40は、本体部2の表面シート10及び裏面シート20に縫い合わされた状態で縦方向Yに延在していてもよい。
【0044】
一実施形態では、ペット用おむつ1が伸長状態であるとき、伸縮部材40の伸長倍率は、防漏ギャザー80の伸縮部材13の伸長倍率よりも高くてもよい。なお、伸長倍率とは、伸縮部材40又は伸縮部材13の自然長を1としたときの伸び度合いを示す。伸縮部材40又は伸縮部材13の自然長とは、外力が付与されていないときの伸縮部材40又は伸縮部材13の長さである。例えば、伸縮部材40の伸長倍率は、(伸長状態の伸縮部材40の長さ)/(自然状態の伸縮部材40の長さ)によって求められる。伸長倍率が大きいほど、伸縮部材40又は伸縮部材13の収縮力は増加する。伸縮部材40の伸長倍率を伸縮部材13の伸長倍率よりも高くすることによって、伸縮部材40の収縮力によって本体部2の側端縁2Sをペットに密着させることができ、例えばペットが激しく動いた場合であってもペット用おむつ1にずれが生じることを抑制することができる。
【0045】
一実施形態では、伸縮部材40の有効長が、伸縮部材13の有効長よりも長くてもよい。有効長とは、伸縮部材40又は伸縮部材13のうち実際に収縮する部分の長さである。例えば図1に示す実施形態では、伸縮部材40の有効長は、本体部2の縦方向Yの長さに一致しており、伸縮部材13の有効長は、第1縦固定部83Rの腹側の端縁と第2縦固定部83Fの背側の端縁との間の距離に一致している。伸縮部材40の有効長を伸縮部材13の有効長よりも長くすることによって、例えばペットが激しく動くなどして伸縮部材13が切断された場合であっても伸縮部材40の収縮力によってペット用おむつ1のフィット性を確保することができる。
【0046】
図1に示す実施形態では、伸縮部材40は、縦方向Yにおいて本体部2の全域に延在している。したがって、伸縮部材40は、尻尾穴70と吸収性コア30との間の領域から横方向Xに延びる領域に重なる。この構成によれば、伸縮部材40の収縮によって本体部2の尻尾穴70の腹側の端縁70Fと吸収性コア30の背側の端縁30Rとの間の領域が吸収性コア30側に引っ張られてペットの臀部に押し当てられる。これにより、本体部2とペットの臀部とのフィット性が向上し、本体部2とペットの臀部との間に隙間が生じにくくなる。その結果、ペット用おむつ1の内部に便が入り込みにくくなり、ペットに便が付着しにくくなる。
【0047】
特に、ペット用おむつ1では、本体部2の尻尾穴70と吸収性コア30との領域に吸収性コア30が配置されていないので、この領域は吸収性コア30の分だけ剛性が低い。したがって、尻尾穴70と吸収性コア30との領域がペットの臀部に沿って柔軟に変形するので、本体部2とペットの臀部との間により隙間が生じにくくなる。
【0048】
なお、伸縮部材40は、縦方向Yにおいて本体部2の全域に延在していなくてもよく、例えば図6に示すように、伸縮部材40は、縦方向Yにおいて少なくとも尻尾穴70の腹側の端縁70Fと吸収性コア30の背側の端縁30Rとの間で延在していればよい。伸縮部材40が、少なくとも尻尾穴70の腹側の端縁70Fと吸収性コア30の背側の端縁30Rとの間で延在していれば、伸縮部材40の収縮力によって本体部2の尻尾穴70と吸収性コア30との間の領域が吸収性コア30側に引っ張られるので、本体部2とペットの臀部との間に隙間を生じにくくすることができる。
【0049】
別の実施形態では、伸縮部材40は、縦方向Yにおける尻尾穴70の中央位置を超えて延在していてもよい。例えば、図7に示す実施形態では、縦方向Yにおいて、伸縮部材40の背側の端縁40Rが、尻尾穴70の背側の端縁70Rと尻尾穴70の中央位置との間に配置され、伸縮部材40の腹側の端縁40Fが、吸収性コア30の背側の端縁30Rに一致する位置に配置されている。この実施形態では、伸縮部材40の収縮によって尻尾穴70の横方向Xの外側の領域がペットの臀部に押し当てられるので、尻尾穴70の横方向Xの側端縁70Sとペットの臀部との間に隙間が生じにくくなる。
【0050】
別の実施形態では、伸縮部材40は、縦方向において尻尾穴70の背側の端縁70Rを超えて延在していてもよい。例えば、図8に示す実施形態では、縦方向Yにおいて、伸縮部材40の背側の端縁40Rが、尻尾穴70の背側の端縁70Rとターゲット部45との間に配置され、伸縮部材40の腹側の端縁40Fが、縦方向Yにおいて吸収性コア30の背側の端縁30Rに一致する位置に配置されている。この実施形態では、伸縮部材40の収縮によって本体部2のうち尻尾穴70の背側の領域がペットの背部に押し当てられるので、ペット用おむつ1のフィット性が向上する。
【0051】
更に別の実施形態では、縦方向Yの中心線CL2に対して尻尾穴70と線対称な位置に仮想尻尾穴75を設定したときに、伸縮部材は70、当該仮想尻尾穴75の腹側の端縁75Fを超えて延在していてもよい。例えば、図9に示す実施形態では、伸縮部材40の背側の端縁40Rが、縦方向Yにおいて尻尾穴70の腹側の端縁70Fに一致する位置に配置され、伸縮部材40の腹側の端縁40Fが、縦方向Yにおいて仮想尻尾穴75の腹側の端縁75Fとファスニングタブ90との間に配置されている。この実施形態では、伸縮部材40が中心線CL2を超えて腹側まで延在しているので、伸縮部材40の収縮によって本体部2の腹側の領域がペットの腹部に押し当てられ、ペット用おむつ1のフィット性が向上する。
【0052】
更に別の実施形態では、伸縮部材40は、縦方向Yにおいて一対のファスニングタブ90の背側の端縁90Rを超えて延在していてもよい。例えば、図10に示す実施形態では、伸縮部材40の背側の端縁40Rが、縦方向Yにおいて尻尾穴70の腹側の端縁70Fと一致する位置に配置され、伸縮部材40の腹側の端縁40Fが、縦方向Yにおいてファスニングタブ90の背側の端縁90Rと当該ファスニングタブ90の腹側の端縁90Fとの間に配置されている。この実施形態では、伸縮部材40が一対のファスニングタブ90の背側の端縁90Rを超えて延在しているので、ターゲット部45に係合するために一対のファスニングタブ90を引っ張り上げた張力によって伸縮部材40が腹側に伸長され、伸縮部材40の収縮力によって本体部2がペットの臀部に押し当てられる。したがって、ペット用おむつ1のフィット性が向上する。
【0053】
更に別の実施形態では、伸縮部材40は、縦方向においてターゲット部45の腹側の端縁45Fを超えて延在していてもよい。例えば、図11に示す実施形態では、伸縮部材40の背側の端縁40Rが、縦方向Yにおいてターゲット部45の腹側の端縁45Fとターゲット部45の背側の端縁45Rとの間に配置され、伸縮部材40の腹側の端縁40Fが、吸収性コア30の背側の端縁30Rと一致する位置に配置されている。一般的に、犬や猫などのペットは、排便時には臀部を突き出し、背部を丸めた体勢をとる。この実施形態では、伸縮部材40がターゲット部45の腹側の端縁45Fを超えて延在することによって、排便時にペットの背部を丸めたときに伸縮部材40が伸長し、伸縮部材40の収縮力によって本体部2がペットの背部に押し当てられる。したがって、ペット用おむつ1のフィット性が向上する。
【0054】
更に別の実施形態では、伸縮部材40は、ウエストギャザー93の背側の端縁93Fを超えて延在していてもよい。例えば、図12に示す実施形態では、伸縮部材40の背側の端縁40Rが、尻尾穴70の腹側の端縁70Fと一致する位置に配置され、伸縮部材40の腹側の端縁40Fが、縦方向Yにおいてウエストギャザー93と腹側端縁2Fとの間に配置されている。伸縮部材40がウエストギャザー93の背側の端縁93Fを超えて延在することにより、ウエストギャザーの収縮によって伸縮部材40が腹側に伸長される。このため、伸縮部材40の収縮によって本体部2がペットの腹部に押し当てられ、ペット用おむつ1のフィット性が向上する。
【0055】
なお、図1に示す実施形態では、尻尾穴70の腹側の端縁70Fが、縦方向Yにおける本体部2の中心線CL2よりも背側に配置されているが、一実施形態では、尻尾穴70の腹側の端縁70Fが、縦方向Yにおける本体部2の中心線CL2よりも腹側に配置されてもよい。例えば、図13に示す実施形態では、尻尾穴70の背側の端縁70Rが中心線CL2よりも背側に配置され、尻尾穴70の腹側の端縁70Fが中心線CL2よりも腹側に配置されている。このように、尻尾穴70の位置を設定することにより、ペットが座った姿勢をとったときに尻尾穴70が略水平に配置されるので大便をより確実に通過させることができる。
【0056】
図3は、ペットにペット用おむつ1を装着した状態を示す図である。ペット用おむつ1をペットに装着するときには、まずペットの尻尾を尻尾穴70を通しておむつの裏面側Z2に出すことで、ペットの肛門98を尻尾穴70から露出させる。このとき、舌片72が基端部72Rを起点として裏面側Z2に折り返されることで、舌片72が尻尾の背面側に当接される。次いで、本体部2の腹側端縁2Fをペットの腹に当てる。そして、本体部2の縦方向Yの中心線CL2付近をペットの排尿口に当てつつ、本体部2の背側端縁2Rをペットの背部に当てる。次いで、一対のファスニングタブ90を胴回り方向にペットの背中側に引っ張り、本体部2のターゲット部45の外面に一対のファスニングタブ90を係止する。これにより、図3に示すように、ペットの腹、背中、及び股下を覆うようにペット用おむつ1が装着される。
【0057】
以上説明したように、上述した実施形態に係るペット用おむつ1では、尻尾穴70によってペットの肛門98が本体部2の尻尾穴70から露出されるので、ペットの尿をペット用おむつ1で受けつつ、ペットの大便を尻尾穴70を通過させて外部に排出することができる。特に、ペット用おむつ1では、尻尾穴70が縦長形状を有しているので、ペットにペット用おむつ1を装着したときに、確実にペットの肛門98を本体部2から露出させることができる。また、尻尾穴70の背側の端縁70Rを縦方向Yにおける本体部2の中心線CL2とターゲット部45の腹側の端縁45Fとの中間点MPよりも腹側に配置することによって、ペット用おむつ1を装着したときに、尻尾穴70の背側の端縁70Rを尻尾の背部に確実に当接させることができる。したがって、ペット用おむつ1のずれが抑制され、尿漏れを防止しつつ大便をペット用おむつ1の外部に排出することができる。なお、ペット用おむつ1には、尻尾穴70から排出された大便を回収するための便袋は取り付けられない。
【0058】
ところで、尻尾穴70の端縁とペットの臀部との間に隙間が存在すると、当該隙間から大便がペット用おむつ1の内部に入り込んでペットに付着するおそれがある。特に軟便の場合は、尻尾穴70の端縁とペットの臀部との間に僅かな隙間が存在するだけで、当該隙間をつたってペット用おむつ1の中に軟便が入り込み、ペット用おむつ1の内部で広がることがある。この場合には、ペットに広がって付着した大便をシャワー等で洗い流す手間が生じることとなる。これに対して、ペット用おむつ1では、伸縮部材40の収縮によって本体部2の尻尾穴70と吸収性コア30と間の領域がペットの臀部に押し当てられので、尻尾穴70の端縁とペットの臀部との間に隙間が生じにくい。したがって、当該隙間からペット用おむつ1の内部に大便が入り込み、ペットに大便が付着することが抑制される。
【0059】
以上、種々の実施形態に係るペット用おむつについて説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形態様を構成可能である。すなわち、上述した実施形態は例示説明を目的とするものであり、本発明の範囲を制限するものではないことに留意すべきである。上述した種々の実施形態は、矛盾のない範囲で組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…ペット用おむつ、2…本体部、2S…側端縁、10…表面シート、13…伸縮部材、20…裏面シート、30…吸収性コア、40…伸縮部材、45…ターゲット部、70…尻尾穴、72…舌片、72F…先端部、72R…基端部、80…防漏ギャザー、81…起立部、83…縦固定部、90…ファスニングタブ、98…肛門、CL1,CL2…中心線、MP…中間点、W1,W2…最大開口幅。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13