(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098304
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】媒体処理装置、画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 43/06 20060101AFI20240716BHJP
B65H 31/26 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
B65H43/06
B65H31/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001722
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三尾 夏樹
【テーマコード(参考)】
3F048
3F054
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA04
3F048BB02
3F048BB05
3F048BB10
3F048BD07
3F048CB12
3F048DA03
3F048DB05
3F048DB17
3F048DC14
3F048EB40
3F054AA01
3F054AB01
3F054AC01
3F054BA02
3F054CA02
3F054CA23
3F054CA33
3F054DA16
(57)【要約】
【課題】積載トレイに排出された媒体の状態変化に影響を与える情報に基づいて、積載量を検知するための検知位置を、満載の判定の精度を高める位置に変更できる媒体処理装置を提供する。
【解決手段】シート状の媒体を排出先としての積載トレイに搬送するシート搬送手段と、積載トレイにおける媒体の積載量を検知する積載量検知手段と、積載量が積載上限に達しているか否かを判定する積載量判定手段と、積載量検知手段が積載量を検知するための検知位置を可変する検知位置可変手段と積載トレイに排出されるまでに媒体に対し施された処理内容を示す処理情報と、当該媒体の仕様を示す仕様情報と、に基づいて、検知位置可変手段を制御し、検知位置を変更する制御手段と、を有する媒体処理装置による。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の媒体を排出先としての積載トレイに搬送するシート搬送手段と、
前記積載トレイにおける前記媒体の積載量を検知する積載量検知手段と、
前記積載量が積載上限に達しているか否かを判定する積載量判定手段と、
前記積載量検知手段が前記積載量を検知するための検知位置を可変する検知位置可変手段と
前記積載トレイに排出されるまでに前記媒体に対し施された処理内容を示す処理情報と、当該媒体の仕様を示す仕様情報と、に基づいて、前記検知位置可変手段を制御し、前記検知位置を変更する制御手段と、
を有することを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記処理情報に基づいて、前記媒体が前記積載トレイに載置された状態で膨らみを生ずる位置を。前記検知位置として前記検知位置可変手段を制御する、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記積載トレイは、積載されている前記媒体の量に関わらず固定されている位置において当該媒体を積載する、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記検知位置可変手段は、前記積載トレイに載置されている前記媒体に対する角度を可変する、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記検知位置可変手段は、前記積載トレイに載置されている前記媒体に対する高さ位置を可変する、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
媒体に画像を形成する画像形成部と、当該媒体に対し後処理を行う媒体処理部と、を備える画像形成装置であって、
前記媒体処理部は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の媒体処理装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
媒体に画像を形成する画像形成部を備える画像形成装置と、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の媒体処理装置と、を連結して構成されることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置、画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の媒体(例えば「用紙」)を重ねて束を形成する整合処理や、用紙束を綴る綴じ処理などを含む、いわゆる後処理を行う媒体処理装置が知られている。また、用紙に画像を形成する機能と媒体処理装置に相当する機能とを合わせ備える画像形成装置や、媒体処理装置と画像形成装置を連携させて動作する画像形成システムも知られている。
【0003】
用紙を排出してトレイの積載した場合、すでに積載されている用紙に、新たに排出された用紙が接触することで、積載状態が不揃いになったり、トレイから押し出されたりする不具合が発生することがあった。これらを回避する目的で、トレイと平行な方向であり、かつ排紙方向に対する直交方向に交わる方向において積載された用紙の最も高い位置を検知し、さらに用紙サイズに基づいて検知するセンサの向きを変更する構成が開示されている(特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成は、トレイに排出されている用紙の検知位置を可動式のセンサにより変更可能に制御するものであるが、排出され積載される用紙に折り処理(Z折りなど)などが施されていて、積載されている用紙に膨らみが生ずるようなものであると、積載された用紙の最も高い位置が膨らみの影響で誤検知されることがある。このような誤検知が生ずると、積載数が満載量に達していないとしても、積載トレイが満載状態であると誤認識し、積載トレイへの媒体の積載量が低下するという課題がある。また、膨らみ状況は用紙の種類や処理内容によって異なるため、これらを考慮して積載状態を精度よく検知することができず、積載された用紙によって新たな用紙の排出を阻害するという課題もあった。
【0005】
本発明は、積載トレイに排出された媒体の状態変化に影響を与える情報に基づいて、積載量を検知するための検知位置を、満載の判定の精度を高める位置に変更できる媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、媒体処理装置に関し、シート状の媒体を排出先としての積載トレイに搬送するシート搬送手段と、前記積載トレイにおける前記媒体の積載量を検知する積載量検知手段と、前記積載量が積載上限に達しているか否かを判定する積載量判定手段と、前記積載量検知手段が前記積載量を検知するための検知位置を可変する検知位置可変手段と前記積載トレイに排出されるまでに前記媒体に対し施された処理内容を示す処理情報と、当該媒体の仕様を示す仕様情報と、に基づいて、前記検知位置可変手段を制御し、前記検知位置を変更する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、積載トレイに排出された媒体の状態変化に影響を与える情報に基づいて、積載量を検知するための検知位置を、満載の判定の精度を高める位置に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る後処理装置を含む画像形成システムの全体像を例示する図。
【
図2】本実施形態に係る折り処理の種類を例示する図。
【
図3】上記実施形態に係る制御構成の例を示すブロック図。
【
図4】上記実施形態に係る後処理装置の内部構成を示す図。
【
図5】上記実施形態に係る満載検知構成を例示する図。
【
図6】上記実施形態に係る満載検知構成を例示する図。
【
図7】上記実施形態に係る満載検知構成を例示する図。
【
図8】上記実施形態に係る満載検知構成を例示する図。
【
図9】上記実施形態に係る満載検知構成を例示する図。
【
図10】上記実施形態に係る満載検知構成を例示する図。
【
図11】上記実施形態に係る満載検知構成を例示する図。
【
図12】上記実施形態に係る満載検知構成を例示する図。
【
図13】上記実施形態に係る満載検知センサの例を示す図。
【
図14】上記実施形態に係る満載検知センサの別例を示す図。
【
図15】本実施形態に後処理装置における処理フローを説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[画像形成システムの実施形態]
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明をする。まず、本発明に係る画像形成装置及び画像形成システムの実施形態について
図1を用いて説明する。
図1は、画像形成システム100の全体構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成システム100は、シート状の媒体の一種としての用紙Pに画像を形成する機能、画像が形成された用紙Pに画像形成後の処理としての後処理を施す機能、などを備える。
図1に示すように、画像形成システム100は、画像形成装置1と、画像形成装置1が排出した用紙Pに対し、後処理装置3に渡す前の所定の処理を施すプレ処理装置2と、本発明に係る媒体処理装置又は媒体処理部としての後処理装置3と、を備えており、これらが連動するように構成されている。
【0010】
画像形成装置1は、用紙Pに画像を形成し、画像を形成した用紙Pを排出する。画像形成装置1は、用紙Pが収容される収容トレイと、収容トレイに収容された用紙Pを搬送する搬送部と、搬送部によって搬送された用紙Pに画像を形成する画像形成部とを備える。画像形成部は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。画像形成装置1の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0011】
画像形成装置1は、筐体の一部を切り欠いた形状であり、この切り欠き部分に用紙Pの排出口が配置されている、いわゆる胴内型である。そして、画像形成装置1は、この胴内の空洞領域に、プレ処理装置2を着脱自在に装着できる構成を備えている。プレ処理装置2は、例えば、画像形成装置1の排出口に装着可能であって、画像形成装置1が排出した用紙Pに対して、所定の折り処理を施すための折り処理装置である。画像形成装置1から排出された用紙Pは、プレ処理装置2において所定の折り処理を施された用紙Pfとして下流の後処理装置3に排出される。なお、プレ処理装置2における折り処理などの処理を施さずに、画像形成装置1から受け入れた用紙Pをそのまま後処理装置3に排出するように動作することも可能である。これら動作は、ユーザの任意の選択と設定に基づくものとする。
【0012】
後処理装置3は、用紙Pに対して整合処理や綴じ処理などの所定の後処理を施す機能を有する装置である。上流に配置されているプレ処理装置2から排出された用紙Pに対して所定の後処理を施して積載トレイとしてのプルーフトレイ21や、同じく積載トレイとしてのスタックトレイ26に排出する処理を実行する。
【0013】
[折り処理の種類]
ここで、プレ処理装置2において実行可能な折り処理について説明する。
図2に示すように、折り処理には複数の種類がある。例えば、
図2(a)に示すような「Z折り」、
図2(b)に示すような「二つ折り」、
図2(c)に示すような「外三つ折り」、
図2(d)に示すような「内三つ折り」が知られている。
【0014】
折り処理が施された用紙P(以下「用紙Pf」と表記する。)や、そのまま排出された用紙Pに対しては、後処理装置3において整合処理や綴じ処理などの所定の後処理が施さす場合と、これら後処理を施さない場合がある。後処理を施されなかった用紙Pや用紙Pfは、積載トレイとしてのプルーフトレイ21へと排出されて積載される。また、後処理を施された用紙束Pbは、積載トレイとしてのスタックトレイ26へと排出されて積載される。
【0015】
なお、後処理装置3は上流の装置(画像形成装置1、プレ処理装置2)から、搬入された用紙P(用紙Pf含む)に関する情報を受けとり、これの情報に基づいて、積載トレイにおける積載量の判定を行うための検知処理を制御する。上流装置から受け取る情報は、例えば、用紙Pの仕様(サイズ、厚み、坪量、コシなど)に関する情報(仕様情報)や、用紙Pfに対する折り処理の種類を示す情報であって、積載対象物(用紙Pf)の状態変化の原因となる処理の内容を示す処理情報である。
【0016】
用紙Pfは、積載されたときに折り部分の影響によって、他の部分に比べて膨らみを持つことがある。したがって、用紙Pだけを積載するときに比べて用紙Pfも積載するときは、同じ積載数(枚数)であっても、積載物の最上位の高さ位置が異なる。本実施形態に係る後処理装置3は、積載物に関する仕様情報や処理情報に基づいて、積載物の満載判定を行うための検知位置を変更することで、積載トレイに複数の積載物を重ねたときの不具合を解消することができるものである。
【0017】
なお、仕様情報とは、用紙Pの大きさ(サイズ)、厚みやコシなどを示す情報であって、用紙Pが積載されたときに、主に高さ方向の積載寸法に影響を与える要素を含む情報である。
【0018】
また、処理内容情報とは、プレ処理装置2における折り処理の種類を示す情報、後処理装置3において行われる後処理の種類を示す情報、例えば、綴じ処理の有無、穿孔処理の有無、整合処理の有無などを示す情報である。
【0019】
[画像形成システム100の制御ブロック]
次に、画像形成システム100の動作を制御する制御構成について、
図3を用いて説明する。ここでは、制御ブロックは、画像形成装置1、プレ処理装置2、後処理装置3のそれぞれに搭載されている場合を例にする。なお、制御ブロックは、いずれかの装置のみに搭載されていて、その他の装置は、別の装置の制御ブロックにより制御されるように構成されていてもよい。
【0020】
図3に示すように、画像形成装置1に搭載されている画像形成制御部101、プレ処理装置2に搭載されているプレ処理制御部201、後処理装置3に搭載されている制御手段としての後処理制御部301は、通信インターフェースを介して接続されていて、相互の制御信号を通信可能に接続されている。
【0021】
画像形成制御部101、プレ処理制御部201、後処理制御部301は、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備える。これらは、記憶部としてのROMに格納されている制御プログラムを、ワークエリアとして利用可能な記憶領域としてのRAMを利用して、CPUの演算処理機能を用いて制御処理を実行する。
【0022】
プレ処理制御部201、後処理制御部301はいずれも、画像形成制御部101から通知される用紙Pに関する情報(仕様情報、処理情報)に基づいて制御処理を実行する。
【0023】
プレ処理制御部201には、折り検知部202と折り駆動部203が通信インターフェースを介して接続されている。折り検知部202は、用紙Pに折り処理を行うために、搬送中の用紙Pの位置を検知するためのセンサからの検知信号を受け取り、プレ処理制御部201に通知する。
【0024】
プレ処理制御部201は、折り検知部202からの検知信号と、ユーザが任意に選択し設定した折り種類を含む処理情報や用紙Pの仕様情報に基づいて、選択された折り処理を実行するための搬送制御信号を折り駆動部203に通知する。
【0025】
折り駆動部203は、プレ処理制御部201から通知された搬送制御信号に基づいて、プレ処理装置2が備えるローラ対の駆動モータ等の駆動を制御し、用紙Pの搬送と折り処理を実行させる。
【0026】
後処理制御部301には、後処理検知部302と後処理駆動部303が通信インターフェースを介して接続されている。後処理検知部302は、用紙Pの搬送状態を検知するためのセンサからの検知信号を受け取り、後処理制御部301に通知する。また、後処理検知部302は、積載トレイとしてのプルーフトレイ21又はスタックトレイ26(いずれも後述する。)に積載されている積載量を検知するための満載検知センサ320の検知信号を受け取り、後処理制御部301に通知する。
【0027】
後処理制御部301は、後処理検知部302からの検知信号と、ユーザが任意に選択し設定した後処理の種類を示す処理情報や用紙Pの仕様情報に基づいて、選択された後処理を実行するための搬送制御信号を後処理駆動部303に通知する。また、後処理制御部301は、満載検知センサ320からの検知信号に基づいて、積載トレイ上の積載量を判定する。また、後処理制御部301は、処理情報や仕様情報に基づいて、満載検知センサ320の検知位置を調整する制御信号を後処理駆動部303へ通知する。
【0028】
後処理駆動部303は、後処理制御部301からの制御信号に基づいて、後処理装置3が備えるローラ対の駆動モータ等の駆動を制御する。後処理駆動部303は、後処理制御部301からの制御信号に基づいて、満載検知センサ320の角度を変更させるようにセンサを回転させる駆動源の動作を制御する。
【0029】
[後処理装置3の内部構造]
図4は、後処理装置3の内部構造を示す図である。後処理装置3は、画像形成装置1によって画像が形成された用紙Pに所体の後処理を施す機能を備える。本実施形態に係る後処理は、画像が形成された複数の用紙Pの束を、綴じ針を用いて綴る針綴じ処理、綴じ針を用いずに綴じる圧着綴じ処理としての綴じ処理を含む。以下、用紙Pの束を媒体束としての「用紙束Pb」と表記する。
【0030】
なお、本実施形態に係る圧着綴じ処理とは、より詳細には、媒体束を形成した用紙Pの一部に相当する綴じ位置に対し圧力を加えて(加圧して)、当該綴じ位置を変形させて(加圧変形させて)綴る処理であって、「圧着綴じ」と称される処理である。なお、後処理装置3において実行可能な綴じ処理は、用紙束Pbの端を綴じる端綴じ処理と、用紙束Pbの中央を綴じる中綴じ処理を含むものとする。
【0031】
後処理装置3は、搬送ローラ対10~19(搬送部)と、切替爪20とを備える。搬送ローラ対10~19は、後処理装置3の内部において、画像形成装置1から供給された用紙Pを搬送する。より詳細には、搬送ローラ対10~13は、第一搬送路Ph1に沿って用紙Pを搬送する。また、搬送ローラ対14~15は、第二搬送路Ph2に沿って用紙Pを搬送する。さらに、搬送ローラ対16~19は、第三搬送路Ph3に沿って用紙Pを搬送する。
【0032】
第一搬送路Ph1は、画像形成装置1からの用紙Pの供給口から排出ローラとしての搬送ローラ対13を介してプルーフトレイ21に至る経路である。第二搬送路Ph2は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第一搬送路Ph1から分岐し、内部トレイ22を通じてスタックトレイ26に至る経路である。第三搬送路Ph3は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第一搬送路Ph1から分岐し、排出トレイ30に至る経路である。
【0033】
切替爪20は、第一搬送路Ph1及び第二搬送路Ph2の分岐位置に配置されている。切替爪20は、第一搬送路Ph1を通じて用紙Pをプルーフトレイ21に排出する第一位置と、第一搬送路Ph1を搬送される用紙Pを第二搬送路Ph2に導く第二位置とに切り替え可能に構成されている。また、第二搬送路Ph2に進入した用紙Pの後端が搬送ローラ対11を通過したタイミングで、搬送ローラ対14を逆回転させることによって、当該用紙Pが第三搬送路Ph3に導かれる。また、後処理装置3は、各搬送路Ph1、Ph2、Ph3上の用紙Pの位置を検知する複数のセンサを備える。なお、複数のセンサは、
図2において黒塗り三角形(▲)で示している。
【0034】
後処理装置3は、プルーフトレイ21を備える。プルーフトレイ21は、第一搬送路Ph1を通じて排出された用紙Pを載置する。プルーフトレイ21には、画像形成装置1から供給される用紙Pのうち、綴じ処理が施されない用紙Pが排出される。また、スタックトレイ26には、折り処理が行われた用紙Pfも排出される。プルーフトレイ21は、用紙Pの積載量に応じて昇降する昇降機能を備えず、固定されている。
【0035】
また、後処理装置3は、載置トレイとしての内部トレイ22と、エンドフェンス23と、サイドフェンス24L、24Rと、端綴じ処理部25と、針綴じ手段としての針綴じ処理部55と、スタックトレイ26とを備える。内部トレイ22、エンドフェンス23、サイドフェンス24L、24R、端綴じ処理部25及び針綴じ処理部55は、第二搬送路Ph2から内部トレイ22に搬送される複数の用紙Pからなる用紙束Pbに端綴じ処理を施す。スタックトレイ26には、画像形成装置1から供給される用紙Pのうち、端綴じ処理が施された用紙束Pbが排出される。また、スタックトレイ26にも、折り処理が行われた用紙Pfも排出される。
【0036】
搬送ローラ対15からエンドフェンス23に向かう方向を用紙Pの「搬送方向」と定義する。すなわち、本明細書における「搬送方向」とは、画像形成装置1から排出された用紙Pが、搬送ローラ対10等により、スタックトレイ26の方向に移動した後に、搬送ローラ対15によってエンドフェンス23に向かう方向に相当する。また、用紙Pの厚み方向及び搬送方向に直交する方向を、「主走査方向(用紙Pの幅方向)」と定義する。
【0037】
載置トレイとしての内部トレイ22は、第二搬送路Ph2を順番に搬送される複数の用紙Pを一時的に載置する。エンドフェンス23は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの搬送方向の位置を揃える。サイドフェンス24L、24Rは、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える。端綴じ処理部25及び針綴じ処理部55は、エンドフェンス23及びサイドフェンス24L、24Rによって揃えられた用紙束Pbの端部を綴じる。そして、排出ローラとしての搬送ローラ対15は、端綴じ処理が施された用紙束Pbをスタックトレイ26に排出する。
【0038】
また、後処理装置3は、エンドフェンス27と、中綴じ処理部28と、用紙折りブレード29と、排出トレイ30とをさらに備え。エンドフェンス27、中綴じ処理部28、及び用紙折りブレード29は、第三搬送路Ph3を搬送される用紙Pにより構成させる用紙束Pbに中綴じ処理を施す。排出トレイ30には、画像形成装置1から供給される用紙Pのうち、中綴じ処理が施された用紙束Pbが排出される。
【0039】
エンドフェンス27は、第三搬送路Ph3を順番に搬送される複数の用紙Pの搬送方向の位置を揃える。また、エンドフェンス27は、用紙束Pbの中央を、中綴じ処理部28に対面させる綴じ位置と、用紙折りブレード29に対面させる折り位置とに移動可能に構成されている。中綴じ処理部28は、綴じ位置のエンドフェンス27によって揃えられた用紙束Pbの中央を綴じる。用紙折りブレード29は、折り位置のエンドフェンス27に載置された用紙束Pbを半分に折って、搬送ローラ対18に挟持させる。搬送ローラ対18、19は、中綴じ処理が施された用紙束Pbを排出トレイ30に排出する。
【0040】
[満載検知制御の実施形態]
以下、本発明に係る後処理装置が備える満載検知制御の実施形態について説明する。本実施形態は、特に、プルーフトレイ21やスタックトレイ26に積載された用紙Pや用紙Pfの積載量の検知処理に関連する制御に特徴を有する。
【0041】
[第一例]
図5は、プルーフトレイ21に、用紙Pが積載された状態を例示している。プルーフトレイ21に積載された用紙Pの量(積載量)の検知には、積載量検知手段としての満載検知センサ320が用いられる。満載検知センサ320は、プルーフトレイ21に用紙Pを排出する排出口の近傍(排出ローラとしての搬送ローラ対13の近傍)に設置されている。満載検知センサ320は、例えば距離を計測するための測距センサであって、発光部がプルーフトレイ21へ向けて出射した光の反射光を受光部で検知し、反射光の受光強度に応じて電圧を出力するセンサである。この電圧値に基づいて、満載検知センサ320と反射位置との距離を計測することができる。
【0042】
プルーフトレイ21に積載された用紙Pの積載量によって、満載検知センサ320から出射した光が反射する位置までの距離が変化する、すなわち、積載量が増えると満載検知センサ320が検知する距離が短くなる。この距離が所定の閾値を超えたときに、プルーフトレイ21に積載されている用紙Pが満載である(積載上限に達している)と判定する。
【0043】
満載検知センサ320は、
図5に例示するように、プルーフトレイ21への光の出射方向を変更できる機構として検知位置可変手段を備えている。満載検知センサ320から出射された光を、プルーフトレイ21に積載されている用紙Pの最上位面が反射する位置が検知位置に相当する。したがって、満載検知センサ320のプルーフトレイ21に対する角度を変更することで、積載量の満載を判定するための検知位置を変更することができる。
【0044】
[第二例]
次に、Z折りが施された用紙Pfがプルーフトレイ21に積載された場合について
図6から
図8を用いて説明する。
図6に示すように、満載検知センサ320からの光の出射角度を、第一例に例示した角度と同角度とした場合、用紙Pに比べて膨らみが多くなる用紙Pfでは、同じ枚数であっても積み上げ高さが高くなる。また、枚数が少なくても、
図6に例示するように、搬送ローラ対13を通過して用紙Pfが排出されてくる排出口を塞ぐ状態になりえる。このような状態にで、次の用紙Pfが排出されてくると、排出口近傍で用紙詰まりを発生させたり、プルーフトレイ21にすでに積載されている用紙Pfを押し出したりすることが懸念される。
【0045】
そこで、
図7に例示するように、積載された用紙Pfの膨らみが大きくなる傾向がある場合(例えば、Z折りの場合)、満載検知センサ320の角度を水平よりも下向きに変更する。すなわち、満載検知センサ320の検知位置を、プルーフトレイ21の根元に近づけた位置に設定する。これによって、プルーフトレイ21に積載された量が、
図5のケースより少ないとしても、満載として適切に判定することができるようになる。これによって、積載される用紙Pfが排出口を塞ぐことを防止でき、かつ、積載トレイとしてのプルーフトレイ21における満載の判定タイミングを適正に設定できる。
【0046】
また、
図8に示すように、同じZ折りであっても用紙Pfの大きさが異なる場合は、膨らみが生ずる部分が排出口から遠くなることもある。このような場合は、満載検知センサ320の角度を、
図7に例示した角度よりは水平に近い角度にしても、排出口における用紙詰まりなどが発生する懸念を回避できる。すなわち、用紙Pfに対する処理情報と仕様情報に基づいて、満載検知センサ320による検知位置を、プルーフトレイ21の根元から少し離れた位置に設定する。これによって、Z折りの用紙Pfであっても、排出口を塞ぐ量になるまでには余裕があるので、プルーフトレイ21においてより多くの積載をすることができる。
【0047】
[第三例]
用紙Pfが二つ折りの場合(
図9参照)、用紙Pfが外三つ折りの場合(
図10参照)においても、それぞれに積載量と最上位面の位置との関係は変わるので、処理情報と仕様情報に基づいて、満載検知センサ320からの光の出射角度を適切な角度に変更する。これによって、プルーフトレイ21において、積載不良を起こさない最適な積載量の積載をできる。
【0048】
[第四例]
次に、積載される用紙Pの剛度が低い場合の満載検知制御について
図11を用いて説明する。
図11に例示するように、用紙Pの剛度が低い場合(用紙Pが薄かったり、柔らかかったりする場合)、プルーフトレイ21に傾斜されている用紙Pが、プルーフトレイ21の傾斜によって後処理装置3の外壁面方向に撓むことがある。これによって、プルーフトレイ21の上で、用紙Pの最上位面が膨らむことになり、
図5のような角度で満載検知センサ320からの光の出射方向を設定すると、満載を判定する積載量が減少する。
【0049】
そこで、剛度が低い用紙Pを積載する場合には、いわゆる「普通紙」の場合に比べて、満載検知センサ320からの光の出射方向が上向きになるような角度に設定する。そうすることで、満載として判定されるまでの積載量を増加することができる。
【0050】
[検知位置可変手段の実施形態]
次に、満載検知センサ320による検知位置を可変する検知位置可変手段の実施形態について説明する。
【0051】
例えば、
図12に例示するように、満載検知センサ320の光の出射方向(出射角度)を変更する方法として、満載検知センサ320の位置を変更する方法もある。この場合、満載検知センサ320の位置に応じて、検知位置を変更することができる。なお、満載検知センサ320の位置の変更手段は、
図12に例示するように、移動によるものと、
図7等に例示したように回転によるものを合わせて用いてもよい。
【0052】
満載検知センサ320の検知位置を変更する方法を複数備えることで、様々な積載状態に対応することが可能になる。
【0053】
[検知位置可変手段の実施形態]
次に、後処理装置3が備える検知位置可変手段の実施形態としての満杯検知位置可変機構330について説明する。
図13に例示した満杯検知位置可変機構330は、満載検知センサ320の角度を変更して、プルーフトレイ21に積載された用紙Pの検知位置を変更する機構である。
【0054】
満杯検知位置可変機構330は、センサ回転モータ331と、センサ駆動ベルト332と、センサ駆動ギヤ333と、センサ回転ギヤ334と、を備えて構成されている。後処理制御部301からの制御信号に基づいて、後処理駆動部303がセンサ回転モータ331を動作させることで、満載検知センサ320の角度を変更することができる。
【0055】
また、
図14に例示する満杯検知位置可変機構330aのように、センサ回転モータ331と、センサ駆動ベルト332と、センサ移動ベルト335と、を備えて構成されている。後処理制御部301からの制御信号に基づいて、後処理駆動部303がセンサ回転モータ331を動作させることで、満載検知センサ320の位置を変更することができる。
【0056】
[満載検知位置制御フロー]
次に、後処理装置3において実行される、満載検知のための検知位置を制御する処理の流れについて
図15のフローチャートを用いて説明する。下記にて説明をする制御処理は、
図3に示した制御ブロックにおいて実行される処理である。
【0057】
まず、ユーザが、画像形成装置1の操作パネル110(
図1参照)を介して入力した処理内容を、処理指示として受け取る(S1501)。処理指示には、用紙Pに対する画像形成を片面とするか両面とするか、綴じ処理の有無、孔開け処理の有無、折り処理の有無、折り処理の種類などが含まれる。また処理指示には、画像形成枚数、用紙束Pbの部数なども含まれる。
【0058】
次に、処理指示に折り処理が含まれているか否かを判定する(S1502)。折り処理が含まれているとき(S1502:YES)、処理指示に含まれる仕様情報と処理情報に基づいて、満載検知センサ320による検知位置を設定する(変更する)処理を実行する(S1503)。処理指示に折り処理が含まれていないとき(S1502:NO)、満載検知センサ320による検知位置の変更処理は実行せずにスキップする。
【0059】
次に、処理指示に沿って画像形成処理を実行する(S1504)。S1504の処理によって形成された用紙Pや用紙Pfを後処理装置3が受け入れて(S1505)、積載トレイとしてのプルーフトレイ21、スタックトレイ26へと搬送して排出する(S1506)。
【0060】
続いて、積載量判定手段としての後処理制御部301が、満載検知センサ320の検知結果を取得して、積載物(用紙Pなど)が満載状態となっているか否かを判定する(1507)。満載状態になっているとき(S1507:YES)、操作パネル110に対して、その旨を報知する情報を出力し(S1508)、処理を中断する(S1509)。
【0061】
満載状態でなければ(S1507:NO)、処理指示に含まれる処理がすべて完了するまで処理をS1504に戻す(S1510:NO)。処理指示に含まれている処理が完了したとき(S1510:YES)、処理を終了する。
【0062】
以上説明したとおり、積載トレイにZ折りの媒体(用紙Pf)を積載するとき、特に、サイズが小さくなると、折り部分の膨らみ度合いが大きくなり、積載状態が扇型になることで、積載トレイへの排出口を塞ぐことが懸念される。その結果、積載処理において処理不良が生ずることになる。そこで、積載不良を防ぐ目的で、積載トレイのエンドフェンスを傾斜可能としたり、積載物の最高位置部分を検知したり、など積載不良などの防止策が想定される。しかし、媒体のサイズや媒体の硬さ、及び折り処理の種類によって、積載された状態で用紙Pfが膨らむ位置に違いが生ずるので、積載量が減少するという課題への対応が望まれる。
【0063】
そこで、本実施形態に係る後処理装置3では、積載対象物において、積載状態で膨らみを生ずる際、その膨らみ度合いに影響を及ぼす要素として、仕様情報と処理情報を参照し、これらに基づいて、積載量の検知位置を変更する。これによって、積載物が排出口を塞ぐ前に満載判定を行うことができ、また、積載物の積載状態に合わせて満載判定をするので、積載量を最大化しつつ、積載処理の効率化を図ることができる。
【0064】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0065】
[本発明の態様]
本発明の内容は、例えば、以下のとおりである。
<1> シート状の媒体を排出先としての積載トレイに搬送するシート搬送手段と、
前記積載トレイにおける前記媒体の積載量を検知する積載量検知手段と、
前記積載量が積載上限に達しているか否かを判定する積載量判定手段と、
前記積載量検知手段が前記積載量を検知するための検知位置を可変する検知位置可変手段と
前記積載トレイに排出されるまでに前記媒体に対し施された処理内容を示す処理情報と、当該媒体の仕様を示す仕様情報と、に基づいて、前記検知位置可変手段を制御し、前記検知位置を変更する制御手段と、
を有することを特徴とする媒体処理装置である。
<2> 前記制御手段は、前記処理情報に基づいて、前記媒体が前記積載トレイに載置された状態で膨らみを生ずる位置を。前記検知位置として前記検知位置可変手段を制御する、前記<1>に記載の媒体処理装置である。
<3> 前記積載トレイは、積載されている前記媒体の量に関わらず固定されている位置において当該媒体を積載する、前記<1>又は前記<2>に記載の媒体処理装置である。
<4> 前記検知位置可変手段は、前記積載トレイに載置されている前記媒体に対する角度を可変する、前記<1>乃至前記<3>のいずれかに記載の媒体処理装置である。
<5> 前記検知位置可変手段は、前記積載トレイに載置されている前記媒体に対する高さ位置を可変する、前記<1>乃至前記<4>のいずれかに記載の媒体処理装置である。
<6> 媒体に画像を形成する画像形成部と、当該媒体に対し後処理を行う媒体処理部と、を備える画像形成装置であって、
前記媒体処理部は、前記<1>乃至前記<5>のいずれかに記載の媒体処理装置であることを特徴とする画像形成装置である。
<7> 媒体に画像を形成する画像形成部を備える画像形成装置と、前記<1>乃至前記<5>のいずれかに記載の媒体処理装置と、を連結して構成されることを特徴とする画像形成システムである。
【符号の説明】
【0066】
1 :画像形成装置
2 :プレ処理装置
3 :後処理装置
13 :搬送ローラ対
15 :搬送ローラ対
20 :切替爪
21 :プルーフトレイ
26 :スタックトレイ
100 :画像形成システム
101 :画像形成制御部
110 :操作パネル
201 :プレ処理制御部
202 :折り検知部
203 :折り駆動部
301 :後処理制御部
302 :後処理検知部
303 :後処理駆動部
320 :満載検知センサ
330 :満杯検知位置可変機構
331 :センサ回転モータ
332 :センサ駆動ベルト
333 :センサ駆動ギヤ
334 :センサ回転ギヤ
335 :センサ移動ベルト
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】