(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098332
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】即席ダルスープの素及び即席ダルスープの作製方法
(51)【国際特許分類】
A23L 23/00 20160101AFI20240716BHJP
A23L 11/00 20210101ALI20240716BHJP
【FI】
A23L23/00
A23L11/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001779
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】713011603
【氏名又は名称】ハウス食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100218578
【弁理士】
【氏名又は名称】河井 愛美
(72)【発明者】
【氏名】久下沼 裕
(72)【発明者】
【氏名】水谷 吏絵
(72)【発明者】
【氏名】藤田 明文
【テーマコード(参考)】
4B020
4B036
【Fターム(参考)】
4B020LB27
4B020LC06
4B020LG09
4B020LK01
4B020LK20
4B020LP02
4B020LP04
4B020LP08
4B020LP20
4B036LE01
4B036LF01
4B036LH04
4B036LH25
4B036LH34
4B036LK01
4B036LP01
4B036LP05
4B036LP09
(57)【要約】
【課題】 即席ダルスープの素、及び即席ダルスープの作製方法を提供する。
【解決手段】 本発明の即席ダルスープの素は、豆を含み、前記豆中の澱粉がα化されており、前記豆が乾燥粉粒体であり、前記乾燥粉粒体のうち、40~80%が目開き500μmのふるいを通過する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
豆を含む即席ダルスープの素であって、
前記豆中の澱粉がα化されており、前記豆が乾燥粉粒体であり、
前記乾燥粉粒体のうち、前記乾燥粉粒体の全質量に対して40~80質量%が目開き500μmのふるいを通過する、
即席ダルスープの素。
【請求項2】
前記豆が、マスール、トゥール、ムング、ウラド、及びチャナからなる群から選択される少なくとも1種の豆を含む、請求項1に記載の即席ダルスープの素。
【請求項3】
前記乾燥粉粒体のうち、
前記乾燥粉粒体の全質量に対して20~60質量%が、目開き500μmのふるいに残留し、かつ目開き1180μmのふるいを通過する、
請求項1に記載の即席ダルスープの素。
【請求項4】
前記豆中の澱粉が、蒸し煮によりα化されたものである、請求項1に記載の即席ダルスープの素。
【請求項5】
ガーリック、ジンジャー、トウガラシ、ターメリック、マスタード、及びカレーリーフからなる群から選択される少なくとも1種、並びに/又は加熱処理されたスパイスをさらに含む、請求項1に記載の即席ダルスープの素。
【請求項6】
前記加熱処理されたスパイスが、ガーリック、トウガラシ、及びマスタードからなる群から選択される少なくとも1種のスパイスである、請求項5に記載の即席ダルスープの素。
【請求項7】
食塩をさらに含む、請求項1に記載の即席ダルスープの素。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の即席ダルスープの素に液体を添加する工程を含む、ダルスープの作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、即席ダルスープの素及び即席ダルスープの作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダルスープは、インドやネパールにおける家庭料理であり、豆を原料として作られるスープである。ダルはネパール語でひき割り豆のことを指し、一般的に、ダルスープはマスール、トゥール、ムング、ウラド、及びチャナ等の乾燥豆を水で煮込んだ後、スパイス、食塩、及び油等の調味料で味を整えて作製され、香味野菜等の具材が加えられる場合もある。
ダルスープは、煮込まれた豆の食感、豆の食味、及びスパイスの香り等に起因するその深い味わいと豊かな香りから、インド及びネパールのみならず、世界各国において人気を博している。
【0003】
ところで、スープや飲料の原料を粉末化した食品であって、液体に溶かすことで簡便にスープや飲料を作製可能な即席食品が知られている。例えば特許文献1には、小豆から作製された乾燥餡と調味料を配合した即席汁粉が開示され、当該即席汁粉に熱湯を加えることにより汁粉を作製できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液体を添加することにより、良好な食味を呈するダルスープを即席で作製することができる即席ダルスープの素は、未だ知られていない。即席ダルスープの素が提供されれば、誰でも簡便にダルスープを喫食可能となるため、ダルスープの更なる普及が期待される。また、ダルスープの調理に必要な時間短縮と作業の簡略化を達成できる。
そこで本発明は、液体を添加して簡便に即席ダルスープを作製可能な、即席ダルスープの素を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、豆中の澱粉がα化されており、かつ乾燥粉粒体である豆を原料とし、当該乾燥粉粒体が、細かい粉粒体と粗い粉粒体を特定の割合で含む場合に、液体を添加して攪拌するだけで良好な食味及び食感を呈するダルスープを作製できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下のものを提供する。
〔1〕豆を含む即席ダルスープの素であって、
前記豆中の澱粉がα化されており、前記豆が乾燥粉粒体であり、
前記乾燥粉粒体のうち、前記乾燥粉粒体の全質量に対して40~80質量%が目開き500μmのふるいを通過する、
即席ダルスープの素。
〔2〕前記豆が、マスール、トゥール、ムング、ウラド、及びチャナからなる群から選択される少なくとも1種の豆を含む、前記〔1〕に記載の即席ダルスープの素。
〔3〕前記乾燥粉粒体のうち、
前記乾燥粉粒体の全質量に対して20~60質量%が、目開き500μmのふるいに残留し、かつ目開き1180μmのふるいを通過する、
前記〔1〕に記載の即席ダルスープの素。
〔4〕前記豆中の澱粉が、蒸し煮によりα化されたものである、前記〔1〕に記載の即席ダルスープの素。
〔5〕ガーリック、ジンジャー、トウガラシ、ターメリック、マスタード、及びカレーリーフからなる群から選択される少なくとも1種、並びに/又は加熱処理されたスパイスをさらに含む、前記〔1〕に記載の即席ダルスープの素。
〔6〕前記加熱処理されたスパイスが、ガーリック、トウガラシ、及びマスタードからなる群から選択される少なくとも1種のスパイスである、前記〔5〕に記載の即席ダルスープの素。
〔7〕食塩をさらに含む、前記〔1〕に記載の即席ダルスープの素。
〔8〕前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の即席ダルスープの素に液体を添加する工程を含む、ダルスープの作製方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明に従えば、液体を添加して簡便に即席ダルスープを作製可能な、即席ダルスープの素を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下で例示する好ましい態様やより好ましい態様等は、「好ましい」や「より好ましい」等の表現にかかわらず適宜相互に組み合わせて使用することができる。また、数値範囲の記載は例示であって、各範囲の上限と下限並びに実施例の数値とを適宜組み合わせた範囲も好ましく使用することができる。さらに、「含有する」又は「含む」等の用語は、「本質的になる」や「のみからなる」と読み替えてもよい。
【0009】
<即席ダルスープの素>
本発明の即席ダルスープの素は、液体を添加してダルスープを作製するための食品である。
本発明の即席ダルスープの素は、内部の澱粉がα化されており、かつ乾燥粉粒体の形態である豆を含んでいる。
【0010】
本明細書に記載の「豆」は、マメ科に属する植物の種子であって、特に種子中に澱粉を含むものを指す。豆としては、例えばササゲ属、インゲンマメ属、ソラマメ属、エンドウ属、ヒヨコマメ属、ヒラマメ属、ダイズ属、キマメ属、及びラッカセイ属等に属する穀物の種子を挙げることができるが、このような特徴を有する豆として、ダルスープに一般的に用いられる豆が好ましく、例えば、マスール、トゥール、ムング、ウラド、及びチャナ等を好ましく用いることができる。
マスールは、赤レンズマメとも呼称されるヒラマメ属ヒラマメ種の豆である。トゥールは、キマメとも呼称されるキマメ属キマメ種の豆である。ムングは、緑豆とも呼称されるササゲ属ヤエナリ種の豆である。ウラドは、ケツルアズキとも呼称されるササゲ属ケツルアズキ種の豆である。チャナは、ヒヨコマメとも呼称されるヒヨコマメ属ヒヨコマメ種の豆である。
本発明の即席ダルスープの素は、豆を1種類のみ使用しても良いし、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0011】
本発明の即席ダルスープの素においては、豆中の澱粉がα化されているため、添加される液体に粘性を付与することができる。
本明細書に記載の「α化」は、糊化とも呼称され、澱粉を構成するアミロース及びアミロペクチンの分枝状分子結合を崩壊させ、澱粉を糊状にすることを指す。一般に、澱粉を含む物質に水を加えて加熱することで、α化させることができる。本発明において豆中の澱粉をα化する方法としては、豆を水とともに加熱する方法であれば特に限定されないが、例えば、煮込み及び蒸し煮を挙げることができ、豆の旨味や香りが逃げにくいことから蒸し煮が好ましい。
具体的には、豆の蒸し煮は、例えば豆を水で洗った後、0分~48時間水に浸漬させ、適当な蒸し器に入れ、10~120分間加熱する方法が挙げられる。
豆の煮込みは、例えば豆を水で洗った後、0分~24時間水に浸漬させ、適当な鍋にたっぷりの水と豆を入れて10~120分間加熱する方法が挙げられる。
なお、それぞれの浸漬時間及び加熱時間等の条件は、豆の種類や状態に応じて適宜調整することができる。
【0012】
本明細書に記載の「乾燥粉粒体」とは、粉状又は粒状の乾燥物を指す。
本発明の即席ダルスープの素において、前記豆の乾燥粉粒体は、細かい粉粒体と粗い粉粒体の少なくとも2種類の粉粒体から構成されている。特定の理論には拘束されないが、例えば、粒径の小さい粉粒体(細かい粉粒体)を多く含むほど豆の味を強く感じられ、粒径の大きい粉粒体(粗い粉粒体)を多く含むほど豆の粒状感を強く感じられると考えられる。細かい粉粒体と粗い粉粒体をバランスよく配合させることで、ダルスープ特有の豆の風味及び食感を忠実に再現することができる。
本発明の即席ダルスープの素に含まれる前記豆の乾燥粉粒体のうち、約40~約80%は目開き500μmのふるいを通過する。すなわち、前記乾燥粉粒体は、少なくとも、粒径が500μm以下の粉粒体、及び粒径が500μm超の粉粒体の2種類を含む。ある態様では、前記乾燥粉粒体の全質量に対して、約40~約80質量%、好ましくは約50~約70質量%の乾燥粉粒体が、目開き500μmのふるいを通過する。
ある態様では、前記豆の乾燥粉粒体は、粒径が500μm以下のものと、粒径500μm超かつ1180μm以下のものと、の2種類を含む。この場合、例えば、約20~約60質量%、好ましくは約30~約50質量%、の乾燥粉粒体が目開き500μmのふるいに残留し、かつ目開き1180μmのふるいを通過する。
異なる粒径の粉粒体を含む前記豆の乾燥粉粒体の調製方法は、特に制限されないが、例えば、作製された乾燥粉粒体を目開き1180μmのふるい及び目開き500μmのふるいにかけて分類し、各粒径の粉粒体を所望の割合となるように配合させることで、異なる粒径の粉粒体を特定の割合で含む乾燥粉粒体を調製することができる。
豆の粉砕の方法は特に限定されないが、例えばミキサー、フードプロセッサー、ブレンダー、及び各種粉砕機を用いて粉砕することができ、ミキサーを好適に用いることができる。
【0013】
本発明の即席ダルスープの素は、豆の他にダルスープに通常添加される各種調味料を含んでいてもよい。
本発明の即席ダルスープの素は、好ましくはスパイスを含む。スパイスはダルスープ特有の食味及び香りを付与するために添加される。スパイスとしては特に限定されないが、例えばガーリック、ジンジャー、トウガラシ、ターメリック、マスタード、及びカレーリーフ等を挙げることができる。スパイスは加熱処理されていてもよく、加熱処理されたスパイスとしてはガーリック、トウガラシ、及びマスタード等が好適に用いられる。本発明の即席ダルスープの素は、スパイスを1種類のみ含んでいてもよいし、2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。スパイスの配合量は、調製するスープの風味に応じて適宜調整することができるが、例えば、即席ダルスープの素の全質量に対して、約1~約10質量%であってもよい。
【0014】
本発明の即席ダルスープの素は、好ましくは食塩を含む。食塩は、ダルスープの食味を整えるために添加される。食塩の配合量は、調製するスープの風味に応じて適宜調整することができるが、例えば、即席ダルスープの素の全質量に対して、約2~約20質量%であってもよい。
本発明の即席ダルスープの素は、粉末状に加工された油脂を含んでいてもよい。油脂としては特に限定されないが、例えばサラダ油、菜種油、ゴマ油、オリーブ油、及び米油等を挙げることができる。油脂の配合量は、調製するスープの風味に応じて適宜調整することができるが、例えば、即席ダルスープの素の全質量に対して、約0.1~約10質量%であってもよい。
本発明の即席ダルスープの素は、乾燥させた野菜を含んでいてもよい。野菜としては特に限定されないが、例えば香菜、オニオン、及びトマト等を挙げることができる。野菜の配合量は、調製するスープの風味に応じて適宜調整することができるが、例えば、即席ダルスープの素の全質量に対して、約0.1~約20質量%であってもよい。
その他、任意の食材、任意の調味料、及び/又は任意の添加剤を、本発明の即席ダルスープの素に含有させることが可能である。
【0015】
<ダルスープの作製方法>
本発明の即席ダルスープの素に液体を注ぐことで、ダルスープを作製することができる。例えば、本発明の即席ダルスープの素に、液体を添加して軽く攪拌し、約1分~約60分間静置すると、当該即席ダルスープの素が液体中に分散するとともにダルスープの素に含まれる豆の粉粒体が液体を吸収して膨潤し、良好な食味、食感、及び香りを呈するダルスープがもたらされる。
粉粒体が膨張状態で前記粒径を有することにより、好ましいダルスープ食感が得られる。なお、好ましいダルスープの食感とは、煮溶けた豆の味がスープ部分に抽出されているためコクがあり、かつ煮溶けずに残った豆の粒状物が食感のアクセントとなり、これら2つの要素がバランス良く含まれることで、喫食時に美味しさと食感のメリハリが感じられるスープ物性である。
液体の種類は、前記即席ダルスープの素を均一に分散し、かつダルスープの素に含まれる豆の粉粒体が膨潤することができれば特に限定されず、例えば、前記液体は、水、牛乳、又は豆乳等の水性媒体であってもよい。ある態様では、前記液体は、水であり、好ましくは湯(例えば、約60~約100℃の水)である。また、前記液体は、任意の調味料及び/又は任意の添加剤を含んでもよい。
即席ダルスープの素に添加する液体の量は特に限定されないが、例えば、即席ダルスープの素を1質量部とした場合に、約5~約20質量部の量で添加してもよく、好ましくは約10~約1520質量部の量で添加することができる。
【実施例0016】
以下、本発明について実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0017】
<試験例1>即席マスールダルスープの素
表1に記載の実施例1~5及び比較例1~2の即席ダルスープの素を、以下の手順に従って調製した。
(工程1)豆としてマスール(インド産、乾燥品、皮無し、半割り、アンビカトレーディング社より購入)を1kg用意し、水で洗浄後、水に30分浸漬したのちザルにあげて水を切り、蒸し器で45分間蒸し煮することでα化処理を行った。
(工程2)α化した豆をバットに平らに広げ、70℃に設定した乾燥機(DKN812、ヤマト科学株式会社製)で14時間熱風乾燥させた。
(工程3)乾燥させた豆を、ミキサー(BRAUN TYPE:4186、デロンギ・ジャパン株式会社製)を使って粉砕して乾燥粉粒体を得た。
(工程4)乾燥粉粒体を目開き1180μmと500μmのふるいに通した。粒度1180μmパス/500μmオン品(目開き1180μmのふるいを通過し、かつ目開き500μmのふるいに残留した粉粒体)と、粒度500μmパス品(目開き500μmのふるいを通過した粉粒体)を採取した。
(工程5)粒度1180μmパス/500μmオン品と粒度500μmパス品を、表1に記載の割合で配合した混合物を得た。混合物の各15gに対してフライドガーリック0.2g、ターメリック0.1g、及び食塩1.0gをそれぞれ加え、すべてを混合して即席マスールダルスープの素を作製した。
【0018】
【0019】
実施例1~5及び比較例1~2の即席マスールダルスープの素に沸騰水160gをそれぞれ加えて混合し、3分間静置して湯戻しして、即席マスールダルスープを調製した。
得られた即席マスールダルスープについて、「評価項目1:味の強さと持続時間」、及び「評価項目2:具材の食感」を評価した。評価は5人のパネラーによって行い、各パネラーが下記の基準に従って点数をつけ、5人のパネラーによる点数の平均値を算出した。各評価項目の平均値に基づいて、下記の基準に従って「総合評価」を行った。
結果を表2に示す。なお、表2中の数値は評価項目1及び2でそれぞれ算出された平均値である。
【0020】
(評価項目1)味の強さと持続時間
5:豆の味が強すぎて長時間持続(1分以上)するため、風味のバランスが悪い。
4:3よりも豆の味が強いため持続時間が長い(30秒~1未満)が、風味のバランスが良い。
3:豆の味の強さが中程度であるため持続時間が中程度(10秒~30秒未満)であり、風味のバランスが非常に良い。
2:3よりも豆の味が弱くいため持続時間が短い(10秒未満)が、風味のバランスが良い。
1:豆の味が非常に弱く(持続時間ゼロ)、口に含んだ際に水の苦みを感じるため、風味のバランスが悪い。
なお、豆の味の持続時間は豆の味の強さと相関する。即ち、豆の味が強く感じられるほど、口の中で豆の味が持続する時間は長くなる。
また、評価項目1の乾燥粉粒体がすべて粒度1180μmパス/500μmオン品で構成されるサンプル1、及び乾燥粉粒体がすべて粒度300μmパス品(目開き300μmのふるいを通過する粉粒体)で構成されるサンプル2を用意し、サンプル1の味の強さと持続時間を評価した結果を点数「1」とし、サンプル2の味の強さと持続時間を評価した結果を点数「5」とした。
【0021】
(評価項目2)具材の食感
5:豆の味がしないサラサラした水の中に粒状物が分散した物性である為、豆の粒状感のみが強調して感じられ、スープらしさが無い。ダルスープの食感として許容できない。
4:3よりも豆の粒状感が強いが、ダルスープの食感として許容される。
3:豆の粒状感を感じられ、ダルスープの食感として好ましい。なお、好ましいダルスープの食感とは、煮溶けた豆の味がスープ部分に抽出されているためコクがあり、かつ煮溶けずに残った豆の粒状物が食感のアクセントとなり、これら2つの要素がバランス良く含まれることで、喫食時に美味しさと食感のメリハリが感じられるスープ物性であると定義する。
2:3よりも豆の粒状感が弱いが、ダルスープの食感として許容される。
1:豆は全て微細な大きさになっており、口に含んだ時に豆の粒状感を全く感じられない。ダルスープの食感として許容できない。
(総合評価)
◎(最良) :風味のバランスが非常に良く、かつ食感が好ましい。
〇(良) :風味のバランスが良く、かつ食感が許容される。
×(不良) :風味のバランスが悪く、及び/又は食感が許容できない。
【0022】
【0023】
即席ダルスープの素が、粒度500μmパス品を、乾燥粉粒体の全質量に対して40~80質量%で含有する場合(実施例1~5)に、豆の味を適度に感じられ、ダルスープとしての風味のバランスが良いことが示された。特に、即席ダルスープの素が、粒度500μmパス品を、乾燥粉粒体の全質量に対して50~70質量%で含有する場合(実施例2~4)に、ダルスープとしての風味が極めて良好であった。
また、即席ダルスープの素が、粒度1180μmパス/500μmオン品を、乾燥粉粒体の全質量に対して20~60質量%で含有する場合(実施例1~5)に、豆の粒状感を適度に感じられ、ダルスープ特有の食感が得られることが示された。特に、即席ダルスープの素が、粒度1180μmパス/500μmオン品を、乾燥粉粒体の全質量に対して30~50質量%で含有する場合(実施例2~4)に、ダルスープとしての食感が極めて良好であった。
【0024】
<試験例2>即席トゥールダルスープの素
実施例6として、即席トゥールダルスープの素を作製した。
豆としてマスールの代わりにトゥール(インド産、乾燥品、皮無し、半割り、アンビカトレーディング社より購入)を使用することと、水浸漬を2時間とし、かつ蒸し煮を1時間実施したこと以外は、実施例3と同様にして即席トゥールダルスープの素を得た。得られた即席トゥールダルスープの素に沸騰水160gを加えて混合し、3分間静置して湯戻しを行い、即席トゥールダルスープを作った。
得られたダルスープは豆の味を適度に感じられるため、ダルスープとしての風味のバランスが良く、かつ豆の粒状感を適度に感じられるためダルスープ特有の食感が得られるものであった。より具体的には、トゥールダルスープ特有のバランスのとれた旨味と甘味を持ち、かつ青い豆臭さが弱くいため食べ易い風味を有するものであった。
【0025】
<試験例3>即席ムングダルスープの素
実施例7として、即席ムングダルスープの素を作製した。
豆としてマスールの代わりにムング(インド産、乾燥品、皮無し、半割り、アンビカトレーディング社より購入)を使用することと、水浸漬を2時間とし、かつ蒸し煮を1時間実施したこと以外は、実施例3と同様にして即席ムングダルスープの素を得た。得られた即席ムングダルスープの素に沸騰水160gを加えて混合し、3分間静置して湯戻しを行い、即席ムングダルスープを作った。
得られたダルスープは、豆の味を適度に感じられるためダルスープとしての風味のバランスが良く、かつ豆の粒状感を適度に感じられるためダルスープ特有の食感が得られるものであった。より具体的には、ムングダルスープ特有の、少し青い香りと、芋様の甘味と旨味を特徴とする風味を有するものであった。
【0026】
<試験例4>即席ウラドダルスープの素
実施例8として、即席ウラドダルスープの素を作製した。
豆としてマスールの代わりにウラド(インド産、乾燥品、皮無し、半割り、アンビカトレーディング社より購入)を使用することと、水浸漬を24時間とし、かつ蒸し煮を1時間実施したこと以外は、実施例3と同様にして即席ウラドダルスープの素を得た。得られた即席ウラドダルスープの素に沸騰水160gを加えて混合し、3分間静置して湯戻しを行い、即席ウラドダルスープを作った。
得られたダルスープは、豆の味を適度に感じられるためダルスープとしての風味のバランスが良く、かつ豆の粒状感を適度に感じられるためダルスープ特有の食感が得られるものであった。より具体的には、ウラドダルスープ特有の適度な旨味と甘味、胡椒様の少しスパイシーな香りといった風味を有するものであった。
【0027】
<試験例5>即席チャナダルスープの素
実施例9として、即席チャナダルスープの素を作製した。
豆としてマスールの代わりにチャナ(インド産、乾燥品、皮無し、半割り、アンビカトレーディング社より購入)を使用することと、水浸漬を24時間とし、かつ蒸し煮を1時間実施したこと以外は、実施例3と同様にして即席チャナダルスープの素を得た。得られた即席チャナダルスープの素に沸騰水160gを加えて混合し、3分間静置して湯戻しを行い、即席チャナダルスープを作った。
得られたダルスープは、豆の味を適度に感じられるためダルスープとしての風味のバランスが良く、かつ豆の粒状感を適度に感じられるためダルスープ特有の食感が得られるものであった。より具体的には、チャナダルスープ特有の油脂感と、濃い旨味と甘味、豆の香りがしっかりした風味を有するものであった。