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特開2024-98489情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098489
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20240716BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023193068
(22)【出願日】2023-11-13
(62)【分割の表示】P 2023001892の分割
【原出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑田 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】古屋 貴明
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】センサからデータを収集する装置において、処理負担の低減できる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置は、対象空間における環境に関する環境情報を計測する計測部と、前記環境情報に基づいて前記対象空間の環境に関する統計情報を生成する統計生成部とを有するセンサから送信される統計情報を受信する通信部と、前記統計情報に基づいて、予め定められた導出方法に従って、前記対象空間の快適さを示す快適指数を導出する導出部と、前記対象空間の前記快適指数を示す快適情報を生成する生成部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間における環境に関する環境情報を計測する計測部と、前記環境情報に基づいて前記対象空間の環境に関する統計情報を生成する統計生成部とを有するセンサから送信される前記統計情報を受信する通信部と、
前記統計情報に基づいて、予め定められた導出方法に従って、前記対象空間の快適さを示す快適指数を導出する導出部と、
前記対象空間の前記快適指数を示す快適情報を生成する生成部と、
前記統計情報に基づいて、前記統計情報が前記対象空間に関する情報であることを認証する認証部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記通信部は、前記対象空間に設けられた複数の前記センサからそれぞれ前記統計情報を受信し、
前記導出部は、前記複数のセンサのそれぞれからの前記統計情報に基づいて、前記予め定められた導出方法に従って、前記快適指数を導出する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記環境情報は、前記対象空間における、計測対象のガス濃度、塵埃量、温度、湿度、騒音、照度、振動、電磁波、X線量、放射線量、気流速度、及びオゾン濃度の少なくとも1つを示す、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記環境情報は、前記対象空間の二酸化炭素の濃度を示す二酸化炭素情報を含む、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記環境情報は、前記対象空間の温度及び湿度を示す温湿度情報をさらに含む、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記統計情報は、前記環境情報である計測値の平均値、最大値、最小値、分散、モーメント、及びヒストグラムの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記認証部により前記統計情報が認証された場合、前記快適情報が前記対象空間の快適さを示すことを証明する電子証明書を発行する発行部とをさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記センサは、前記対象空間の予め定められた位置に設置され、
前記センサは、前記センサが前記予め定められた位置に設置されているか否かを検知する検知部と、前記センサが前記予め定められた位置に設置されているか否かを示す設置情報を記憶する記憶部とを有し、
前記通信部は、前記センサから前記統計情報とともに前記設置情報を受信し、
前記認証部は、前記設置情報にさらに基づいて、前記統計情報が前記対象空間に関する情報であることを認証する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記導出部は、前記予め定められた導出方法に従って、前記対象空間の快適さとして前記対象空間で健康的に過ごせるかを示す健康指数を導出し、
前記生成部は、前記対象空間の前記健康指数を示す健康情報を前記快適情報として生成する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記導出部は、最小感染単位[quanta]をn、在室人数[人]をN、地域感染率をη、マスク放出阻害係数をmex、マスク吸入阻害係数をmin、耐性率をηim、quanta放出率[quanta/h]をE、CO放出量[m3/h人]をEpCO2、換気回数[/h]をλ、感染能減衰率[/h]をλ、接触時間をD、部屋のCO濃度をC、外気のCO濃度をC、呼吸量[m/h]をBとした場合に、感染確率Pを、
【数2】
で導出し、感染確率Pの逆数(1/P)を前記健康指数として導出する、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記導出部は、前記予め定められた導出方法に従って、前記対象空間の快適さとして前記対象空間で集中して作業を行えるかを示す作業効率を導出する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記通信部は、前記対象空間の環境状態に変化をもたらす環境制御装置と通信し、
前記生成部は、前記快適情報に基づいて、前記対象空間の環境状態に変化をもたらす環境制御装置を制御するための環境制御命令を生成し、
前記通信部は、前記環境制御命令を前記環境制御装置に送信する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記生成部は、前記快適指数が閾値より小さい場合に、前記快適指数が閾値以上になるように前記対象空間の環境状態に変化をもたらすための前記環境制御装置に対する環境制御命令を生成する、請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
請求項1から13の何れか1つに記載の情報処理装置と、
少なくとも1つの前記センサと
を備える情報処理システム。
【請求項15】
情報処理装置が、対象空間における環境に関する環境情報を計測する計測部と、前記環境情報に基づいて前記対象空間の環境に関する統計情報を生成する生成部とを有するセンサから前記統計情報を受信する段階と、
前記情報処理装置が、前記統計情報に基づいて、予め定められた導出方法に従って、前記対象空間の快適さを示す快適指数を導出する段階と
前記情報処理装置が、前記対象空間の前記快適指数を示す快適情報を生成する段階と、
前記情報処理装置が、前記統計情報に基づいて、前記統計情報が前記対象空間に関する情報であることを認証する段階と
を備える情報処理方法。
【請求項16】
対象空間における環境に関する環境情報を計測する計測部と、前記環境情報に基づいて前記対象空間の環境に関する統計情報を生成する生成部とを有するセンサから前記統計情報を受信する通信部と、
前記統計情報に基づいて、予め定められた導出方法に従って、前記対象空間の快適さを示す快適指数を導出する導出部と
前記対象空間の前記快適指数を示す快適情報を生成する生成部と、
前記統計情報に基づいて、前記統計情報が前記対象空間に関する情報であることを認証する認証部と
してコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のガス検出器からゾーニングされたリアルタイムのガス濃度及び位置情報を取得し、コンプライアンス情報を暴露傾向及び警告情報とともに提供する装置が開示されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特許第5893376号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
センサからデータを収集する装置において、処理負担の低減が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、対象空間における環境に関する環境情報を計測する計測部と、前記環境情報に基づいて前記対象空間の環境に関する統計情報を生成する統計生成部とを有するセンサから送信される前記統計情報を受信する通信部を備えてよい。前記情報処理装置は、前記統計情報に基づいて、予め定められた導出方法に従って、前記対象空間の快適さを示す快適指数を導出する導出部を備えてよい。前記情報処理装置は、前記対象空間の前記快適指数を示す快適情報を生成する生成部を備えてよい。
【0005】
前記情報処理装置において、前記通信部は、前記対象空間に設けられた複数の前記センサからそれぞれ前記統計情報を受信してよい。前記導出部は、前記複数のセンサのそれぞれからの前記統計情報に基づいて、前記予め定められた導出方法に従って、前記快適指数を導出してよい。
【0006】
いずれかの前記情報処理装置において、前記環境情報は、前記対象空間における、計測対象のガス濃度、塵埃量、温度、湿度、騒音、照度、振動、電磁波、X線量、放射線量、流速度、及びオゾン濃度の少なくとも1つを示してよい。また、環境情報は計測した時刻を含んでいてもよい。
【0007】
いずれかの前記情報処理装置において、前記環境情報は、前記対象空間の二酸化炭素の濃度を示す二酸化炭素情報を含んでよい。
【0008】
いずれかの前記情報処理装置において、前記環境情報は、前記対象空間の温度及び湿度を示す温湿度情報をさらに含んでよい。
【0009】
いずれかの前記情報処理装置において、前記統計情報は、前記環境情報である計測値の平均値、最大値、最小値、分散、モーメント、及びヒストグラムの少なくとも1つを含んでよい。
【0010】
いずれかの前記情報処理装置において、前記通信部は、前記統計情報とともに前記センサを一意に識別するセンサ識別情報を前記センサから受信してよい。前記情報処理装置は、前記統計情報及び前記センサ識別情報に基づいて、前記統計情報が前記対象空間に関する情報であることを認証する認証部を備えてよい。
【0011】
いずれかの前記情報処理装置において、前記認証部により前記統計情報が認証された場合、前記快適情報が前記対象空間の快適さを示すことを証明する電子証明書を発行する発行部を備えてよい。
【0012】
いずれかの前記情報処理装置において、前記センサは、前記対象空間の予め定められた位置に設置されてよい。前記センサは、前記センサが前記予め定められた位置に設置されているか否かを検知する検知部と、前記センサが前記予め定められた位置に設置されているか否かを示す設置情報を記憶する記憶部とを有してよい。前記通信部は、前記センサから前記統計情報とともに前記設置情報を受信してよい。前記認証部は、前記設置情報にさらに基づいて、前記統計情報が前記対象空間に関する情報であることを認証してよい。
【0013】
いずれかの前記情報処理装置において、前記導出部は、前記予め定められた導出方法に従って、前記対象空間の快適さとして前記対象空間で健康的に過ごせるかを示す健康指数を導出してよい。前記生成部は、前記対象空間の前記健康指数を示す健康情報を前記快適情報として生成してよい。
【0014】
いずれかの前記情報処理装置において、前記導出部は、最小感染単位[quanta]をn、在室人数[人]をN、地域感染率をη、マスク放出阻害係数をmex、マスク吸入阻害係数をmin、耐性率をηim、quanta放出率[quanta/h]をE、CO放出量[m3/h人]をEpCO2、換気回数[/h]をλ、感染能減衰率[/h]をλ、接触時間をD、部屋のCO濃度をC、外気のCO濃度をC、呼吸量[m/h]をBとした場合に、感染確率Pを、
【数2】
で導出し、感染確率Pの逆数(1/P)を前記健康指数として導出してよい。
【0015】
いずれかの前記情報処理装置において、前記統計生成部は、前記環境情報と前記センサの位置情報または前記センサを一意に識別するセンサ識別情報と前記健康情報とに基づいて、前記統計情報を生成してよい。
【0016】
いずれかの前記情報処理装置において、前記導出部は、前記予め定められた導出方法に従って、前記対象空間の快適さとして前記対象空間で集中して作業を行えるかを示す作業効率を導出してよい。
【0017】
いずれかの前記情報処理装置において、前記導出部は、換気量V[立方メートル/分]に対する作業効率をRPVとし、温度[℃]に対する作業効率をRとし、Xを0.5[立方メートル/分]、Lnをlogとした場合、作業効率RPV及び作業効率Rを合計することで、前記対象空間の作業効率RPallを、
【数3】
で導出してよい。
【0018】
いずれかの前記情報処理装置において、前記通信部は、前記対象空間の環境状態に変化をもたらす環境制御装置と通信してよい。前記生成部は、前記快適情報に基づいて、前記対象空間の環境状態に変化をもたらす環境制御装置を制御するための環境制御命令を生成してよい。前記通信部は、前記環境制御命令を前記環境制御装置に送信してよい。
【0019】
いずれかの前記情報処理装置において、前記生成部は、前記快適指数が閾値より小さい場合に、前記快適指数が閾値以上になるように前記対象空間の環境状態に変化をもたらすための前記環境制御装置に対する環境制御命令を生成してよい。
【0020】
本発明の一態様に係る情報処理システムは、前記情報処理装置と、少なくとも1つの前記センサとを備えてよい。
【0021】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、対象空間における環境に関する環境情報を計測する計測部と、前記環境情報に基づいて前記対象空間の環境に関する統計情報を生成する生成部とを有するセンサから前記統計情報を受信する段階を備えてよい。前記情報処理方法は、前記統計情報に基づいて、予め定められた導出方法に従って、前記対象空間の快適さを示す快適指数を導出する段階を備えてよい。前記情報処理方法は、前記対象空間の前記快適指数を示す快適情報を生成する段階を備えてよい。
【0022】
本発明の一態様に係るプログラムは、対象空間における環境に関する環境情報を計測する計測部と、前記環境情報に基づいて前記対象空間の環境に関する統計情報を生成する生成部とを有するセンサから前記統計情報を受信する通信部としてコンピュータを機能させてよい。前記プログラムは、前記統計情報に基づいて、予め定められた導出方法に従って、前記対象空間の快適さを示す快適指数を導出する導出部として前記コンピュータを機能させてよい。前記プログラムは、前記対象空間の前記快適指数を示す快適情報を生成する生成部として前記コンピュータを機能させてよい。
【0023】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】情報処理システムのシステム構成の一例を示す図である
図2】センサの機能ブロックの一例である。
図3】情報処理装置の機能ブロックの一例を示す図である。
図4】センサの統計情報の送信手順の一例を示すフローチャートである。
図5】情報処理装置が環境制御装置に対する環境制御命令を生成する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6】ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0026】
図1は、本実施形態に係る情報処理システム10のシステム構成の一例を示す図である。情報処理システム10は、複数のセンサ100と、情報処理装置200と、環境制御装置300とを備える。センサ100情報処理装置200、及び環境制御装置300は、CPU及びメモリを備えるコンピュータでよく、CPUがメモリに記憶された各種プログラムを実行することで、各種機能を実行してよい。環境制御装置300は、例えば、換気設備、またはエアコン、空気清浄機、及び加湿器などの空調設備でよい。センサ100、情報処理装置200、及び環境制御装置300は、ネットワーク50を介して互いに通信する。
【0027】
複数のセンサ100が、対象空間20の異なる位置に設けられてよい。対象空間20は、例えば、住宅、店舗、ビルなどの建物の室内であり、車、船舶、鉄道車両、飛行機などの輸送機器の室内であってもよい。また、空間20は複数の異なる部屋、建物、ローケションであってもよい。センサ100は、対象空間20における環境に関する環境情報を計測する。情報処理装置200は、環境情報の統計情報に基づいて対象空間20の快適さを示す指標である快適指数を導出する。環境情報は、対象空間20における、計測対象のガス濃度、塵埃量、温度、湿度、騒音、照度、振動、電磁波、X線量、放射線量、気流速度、及びオゾン濃度の少なくとも1つを示してよい。センサ100は、バッテリを備え、バッテリから電力で駆動してよい。これにより、センサ100に電源を供給する電源設備が対象空間20になくても、センサ100は駆動できる。センサ100は、バッテリで駆動することで、任意の場所に設置、及び移動可能になる。センサ100は、移動体に搭載されてもよい。移動体とは、空中を移動する飛行体、地上を移動する車両、水上を移動する船舶等を含む概念である。移動体は、無人移動体でもよい。空中を移動する飛行体とは、無人航空機(UAV)の他、空中を移動する他の航空機、飛行船、ヘリコプター等を含む概念である。すなわち、対象空間20は時間ごとに異なる場所であってもよい。
【0028】
センサ100が、ガスセンサである場合、非分散型赤外線吸収法、光音響法、固体電解質法、熱伝導法、音波法、または静電容量法に従って、計測対象のガスのガス濃度を計測してよい。計測対象のガスは、二酸化炭素、VOCまたは酸素でよい。計測対象のガスは、メタン、プロパン、エタノールなどの可燃性ガスでよい。計測対象のガスは、フロン、代替フロン、R32、R1234yfなどの冷媒ガスでよい。計測対象のガスは、一酸化炭素、硫化水素、ホルムアルデヒドなどの毒性ガスでよい。計測対象のガスは、一酸化二窒素、などの温室効果ガスでよい。センサ100は、塵埃センサ、温湿度センサ、騒音センサ、照度センサ、振動センサ、電磁波測定器、X線測定器、放射線測定器、または気流検査器などでもよい。
【0029】
センサ100は、対象空間20の予め定められた位置に固定されている。センサ100は、対象空間20の予め定められた位置から容易に取り外せないようにボルトなどで固定されている。センサ100は、耐タンパ機能を有し、予め定められた位置から取り外された場合、取り外されたことを検知してよい。
【0030】
図2は、センサ100の機能ブロックの一例である。センサ100は、計測部102、統計生成部104、校正部106、記憶部108、暗号化処理部110、通信部112、検知部118、及び通知部120を備える。
【0031】
計測部102は、対象空間20における環境に関する環境情報を計測する。計測部102は、認証対象の対象空間20における環境に関する環境情報を予め定められた間隔、例えば、60秒に1回以上の間隔で、計測する。計測部102は、赤外線を発光する発光部および計測対象のガスを透過した赤外線を受光する受光部を含み、計測対象のガスの赤外線の吸収特性を利用して、ガスのガス濃度を計測してよい。計測部102は、対象空間20のガスの濃度を示すガス情報を環境情報として計測してよい。計測部102は、対象空間20の二酸化炭素の濃度を示す二酸化炭素情報をガス情報として計測してよい。計測部102は、ガス情報に加えて、対象空間20の温度及び湿度を示す温度湿度情報を環境情報としてさらに計測してよい。
【0032】
また、計測部102は、計測された環境情報の測定値が異常値であるか否かを検知してよい。計測部102は、一定時間の過去の測定値データにおける平均値μ、標準偏差σとして、以下の式(1)で定義された測定値xにおける異常度α(x)が予め定められた閾値以上の場合に、測定値xが異常値であると判断してよい。
【数1】
【0033】
また、計測部102は、一定時間における過去の測定値データと測定値xとの距離の中で、最も小さいもの、もしくは昇順に並べた場合の上位のいずれかに対する距離を異常度βとし、閾値と比較することで測定値xを異常値と判断してよい。ここで、距離とは、絶対差またはマハラビノス距離等を含む数学的な意味における距離である。
【0034】
統計生成部104は、環境情報に基づいて空間の環境に関する統計情報を生成する。統計生成部104は、予め定められた期間に亘って継続的に計測部102により計測された環境情報の統計情報を生成する。統計生成部104は、例えば、予め定められた期間におけるガス濃度の平均値、最小値、及び最大値を含む統計情報を生成する。統計生成部104は、統計情報を記憶部108に格納させる。統計生成部104は、予め定められた期間におけるガス濃度の平均値、最大値、最小値、分散、モーメント、及びヒストグラムの少なくとも1つを含む統計情報を生成してよい。統計情報は、環境情報の異常値、及び異常値の頻度を含んでよい。統計情報を生成する場合、機械学習モデルを使用してもよい。統計生成部104は、複数のセンサの環境情報に基づいて統計情報を生成してよい。また、統計情報を生成する生成部は、複数のセンサの統計情報や位置情報やセンサ識別情報をさらに統計処理したマクロ統計情報を生成してよい。
【0035】
また統計生成部104は、環境情報と位置情報またはセンサ識別情報と健康情報とに基づいて、統計情報を生成してもよい。健康情報とは、ユーザーまたは他の機器から入力される健康情報、ユーザーまたはユーザー同居者の体温情報、血圧情報、血中ガス情報、心拍情報、血糖情報、心肺機能情報、呼吸音情報、脳波情報、及び運動情報の少なくとも1つを含んでよい。また、ユーザーまたは他の機器から入力される健康情報は、体重、身長、体脂肪率、筋肉量、骨密度、罹患状況、症状、倦怠感の有無、食事情報、抑うつ感、気分、運動履歴、睡眠情報、飲酒情報、喫煙情報、眠気情報、服薬情報、排せつ情報、及びカフェイン接種情報の少なくとも1つを含んでよい。例えば、罹患状況と位置情報とから地域罹患率または地域感染率を算出し、また環境情報を用いて健康指数を算出してよい。
【0036】
通信部112は、無線通信インタフェースを含み、情報処理装置200に、統計情報を無線で送信する。通信部112は、有線で情報処理装置200に統計情報を送信してもよい。暗号化処理部110は、通信部112で送信される情報を暗号化する。
【0037】
記憶部108は、センサ100を一意に識別するセンサ識別情報を記憶する。センサ識別情報は、センサ100の製造番号でよい。センサ識別情報は、装置ID、装置の製造年月日、製品型番、製造業者/販売業者およびその連絡先、製造場所、保証期間、装置の動作原理、装置スペック、推奨の動作環境(温度、湿度)、装置の名称、製造ロット番号、装置が満たしている安全規格、廃棄方法、特定物質に関する対応規格(JIS、JEDEC等)、及び自己校正に関する記録(時期、使用した校正データ、校正前後の調整パラメータ)、ネットワーク上の識別番号、設置者名称(店舗名など)、設置者連絡先(電話番号、メールアドレス、WebサイトURLなど)、設置場所住所、設置日時、環境情報を外部に送信してもよい旨ユーザーから同意を得た記録の少なくとも1つを示してよい。記憶部108は、統計情報をセンサ識別情報と関連付けて記憶してよい。
【0038】
通信部112は、統計情報とともにセンサ識別情報を情報処理装置200に送信してよい。情報処理装置200は、統計情報とセンサ識別情報とを関連付けて、情報処理装置200がアクセス可能なデータベースなどの記憶部に登録してよい。通信部112は、ユーザーからの指示に応じて、設置者名称、設置者連絡先(電話番号、メールアドレス、WebサイトURL)、設置場所住所、及び設置日時と、センサ100の装置IDとを情報処理装置200に送信してよい。情報処理装置200は、設置者名称、設置者連絡先(電話番号、メールアドレス、WebサイトURL)、設置場所住所、及び設置日時を含む設置者に関する設置者情報と、センサ100の装置IDと関連付けて、情報処理装置200がアクセス可能なネットワーク上のデータベースに登録してよい。センサ100の筐体に、設置者情報と装置IDとの関連付けを行うためのWEBサイトへのアクセスを可能にする情報を示すバーコード、二次元コード、またはRFIDなどのリンク情報を付与してよい。例えば、スマートフォンなどの携帯端末に搭載されるカメラでリンク情報を読み取ることで、携帯端末がWEBサイトにアクセスする。そして、ユーザーが携帯端末を介して、設置者情報及び装置IDを入力することで、設置者情報と装置IDとを関連付けてデータベースに登録してよい。
【0039】
記憶部108に記憶される環境情報へのアクセス権限のレベルは、記憶部108に記憶される統計情報へのアクセス権限のレベルより高くてよい。環境情報は、対象空間20に関する詳細な生データであり、統計情報よりも機密レベルが高い。そこで、プライバシー保護の観点から、記憶部108に記憶される環境情報へのアクセスは、対象空間20の管理者など特定のユーザーのみに制限されることが好ましい。統計生成部104は、統計情報を生成したことに対応して、記憶部108に記憶される環境情報を削除してもよい。
【0040】
検知部118は、センサ100が予め定められた位置に設置されているか否かを検知する。検知部118は、耐タンパ機能を有し、例えば、センサ100を固定するネジが取り外されたことを検知すると、記憶部108に記憶された、センサ100が予め定められた位置に設置されているか否かを示す設置情報を更新する。すなわち、検知部118は、センサ100が取り外された場合、センサ100が予め定められた位置に設置されていないことを示す設置情報に更新する。設置情報は、センサ100が予め定められた位置に設置されているか否かを示すフラグ情報、すなわち、「0」または「1」を示すビット情報でよい。検知部118は、耐タンパ機能により、センサ100の筐体と接続しているピンの電圧をモニタし、電圧が閾値を超えた場合に、例えば、ビット情報を「0」から「1」に更新することでフラグを立ててよい。ピンの電圧は、例えば、筐体が開けられた場合に、変動して、閾値を超える。
【0041】
検知部118は、センサ100が存在する現在の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得機能を含んでよい。検知部118は、位置情報取得機能として、GNSS受信機、例えばGPS(Global Positioning System)受信機、GLONASS(Global Navigation Satellite System)受信機、またはBDS(BeiDou Navigation Satellite System)受信機を含んでよい。検知部118は、センサ100の現在の位置が設置位置として予め定められた位置と異なる場合、センサ100が取り外されたと判断し、設置情報を更新してよい。通信部112は、設置情報を統計情報とともに情報処理装置200に送信してよい。もしくは、位置情報取得機能から得られる位置情報を使って、センサ100または対象空間20の位置を特定してもよく、記憶部108にセンサ100または対象空間20の位置を記憶してもよい。
【0042】
通信部112は、センサ100が故障しているか否を示す故障情報を統計情報とともに情報処理装置200に送信してよい。
【0043】
校正部106は、センサ100の校正を実行する。センサ100の特性は、時間の経過に伴い変化する場合がある。センサ100の特性とは、例えば、センサ100が光学素子であり且つ赤外光によりガス濃度を測定する非分散型赤外線吸収法に従うCO(二酸化炭素)センサである場合、光学素子などの特性を指す。光学素子などの特性は、経時変化する場合がある。このため、センサ100は、計測精度を補正するための校正を実行する。
【0044】
校正部106は、自身で算出したガス濃度と、計測対象の対象空間20で予め定められた基準のガス濃度とに基づいて、校正を実行してよい。校正部106は、対象空間20のガス濃度が基準のガス濃度となる条件を満たす場合、自身で算出したガス濃度が、基準のガス濃度と一致するように、ガス濃度を算出するための係数を補正してよい。センサ100は、予め定められた期間内で自身が算出したガス濃度の最小値が、基準のガス濃度と一致するように、係数を補正してよい。対象空間20のガス濃度が基準のガス濃度となる条件は、例えば、校正部106が校正を実行する時点が、人などの生体が存在する可能性が低い時間帯であるという条件である。対象空間20のガス濃度が基準のガス濃度となる条件は、例えば、校正部106が校正を実行する時点が、対象空間20の予め定められた換気を予め定められた期間以上実施した後の予め定められた期間内であるという条件である。
【0045】
記憶部108は、校正部106により校正を実行すべき校正時期、校正部106により実行された校正日時、校正方法、及び校正者情報の少なくとも1つを含む校正情報を記憶してよい。校正方法は、校正部106により実行される校正の方法である。校正方法は、例えば、対象空間20の換気時間、換気装置の換気設定などの換気方法、換気されてから校正が実行されるまでの時間などを示してよい。校正方法は、例えば、人が存在しない夜間の特定の時間帯に、予め定められた換気時間の換気が行われてから予め定められた時間内に校正を実行することを示してよい。通信部112は、統計情報とともに校正情報を情報処理装置200に送信してよい。校正方法は、計測対象のガスの種類、濃度、濃度点数、トレーサビリティ体系、濃度の正確度、ガス成分、ガスの購入日/校正証書発行日、ガスの販売業者、ガスの購入業者、容器の記号番号、ガスの有効期限、調整パラメータの種類(例えば、ゼロ、スパン、オフセット、感度)、校正時の環境情報(温度、湿度、気圧、及び日時)、及び校正ガスの残圧の少なくとも1つを示してよい。
【0046】
通知部120は、記憶部108に記憶された校正時期を示すメッセージを外部に通知してよい。通知部120は、センサ100が備える表示部に校正時期を示すメッセージを表示してよい。通知部120は、対象空間20の管理者宛に校正時期を示すメッセージを電子メール等で通信部112を介して送信してよい。通知部120は、書面にて対象空間20の管理者宛に校正時期を示すメッセージを伝達してもよい。
【0047】
記憶部108は、対象空間20の空間容積、対象空間20の設計換気量、対象空間20を利用する事業者を識別する事業者情報、センサ100の設置時期、及びセンサ100の設置場所の少なくとも1つを含む関連情報を記憶してよい。通信部112は、統計情報とともに関連情報を情報処理装置200に送信してよい。関連情報は、対象空間20に設置された環境制御装置300に関する情報を含んでよい。環境制御装置300に関する情報は、環境制御装置300を一意に識別する識別情報を含んでよい。
【0048】
図3は、情報処理装置200の機能ブロックの一例を示す。情報処理装置200は、通信部202、復号化処理部204、導出部206、生成部208、認証部210、発行部212、記憶部214、及びを備える。
【0049】
通信部202は、複数のセンサ100のそれぞれから環境情報の統計情報を受信する。通信部202は、統計情報とともに、センサ識別情報、設置情報、及び関連情報をセンサ100から受信してよい。復号化処理部204は、暗号化された情報を復号化する。復号化処理部204は、暗号化された統計情報、センサ識別情報、設置情報、校正情報、及び関連情報を予め定められた復号化アルゴリズムに従って、復号化してよい。
【0050】
導出部206は、センサ100から送信される環境情報の統計情報に基づいて対象空間20の快適さを示す快適指数を導出する。導出部206は、対象空間20に設けられた複数のセンサ100のそれぞれから送信される環境情報の複数の統計情報に基づいて対象空間20の快適指数を導出してよい。
【0051】
導出部206は、予め定められた導出方法に従って、統計情報に基づいて、対象空間の快適さとして対象空間で健康的に過ごせるかを示す健康指数を導出してよい。統計情報が、二酸化炭素の濃度である場合、導出部206は、Wills-Rileyモデルに従った次式に基づいて導出される感染確率Pの逆数(1/P)を健康指数として導出してよい。対象空間は、例えば、屋内の部屋でよい。
【数2】
ここで、
nは、最小感染単位[quanta]、
Nは、在室人数[人]、
ηは、地域感染率、
exは、マスク放出阻害係数、
inは、マスク吸入阻害係数、
ηimは、耐性率、
は、quanta放出率[quanta/h]、
pCO2は、CO放出量[m3/h人]、
λは、換気回数[/h]、
λは、感染能減衰率[/h]、
Dは、接触時間、
Cは、部屋のCO濃度、
は、外気のCO濃度、
Bは、呼吸量[m/h]、
である。センサ100は、部屋のCO濃度Cを環境情報として計測する。部屋のCO濃度C以外の各パラメータは、センサ100またはセンサ100が設けられた対象空間20ごとに予め記憶部108に記憶されていてよい。または、導出部206は、各パラメータを管理するサーバからネットワーク50を介して取得してよい。
【0052】
導出部206は、予め定められた導出方法に従って、対象空間の快適さとして対象空間で集中して学習または業務などの作業を行えるかを示す作業効率を快適情報として導出してよい。統計情報が、対象空間における温度である場合、導出部206は、次式に基づいて、換気量V[立方メートル/分]に対する作業効率RPVと、温度[℃]に対する作業効率Rとを合計することで作業効率RPallを導出してよい。
【数3】
ここで、Xは、0.5[立方メートル/分](17.66[立方フィート/分])である。Lnは、logである。センサ100は、部屋の温度を環境情報として計測する。Lnは、記憶部108に予め記憶されていてよい。
【0053】
生成部208は、対象空間20の快適指数を示す快適情報を生成する。生成部208は、タブレット端末またはウェアラブル端末などのユーザー端末の表示部に表示させる快適指数を示す画像情報を快適情報として生成してよい。
【0054】
認証部210は、統計情報が対象空間20に関する情報であることを認証する。認証部210は、統計情報及びセンサ識別情報に基づいて、統計情報が対象空間20に関する情報であることを認証してよい。認証部210は、設置情報にさらに基づいて、統計情報が対象空間20に関する情報であることを認証してよい。
【0055】
発行部212は、認証部210により統計情報が認証された場合、快適情報に対する電子証明書を発行する。電子証明書は、快適情報に示される快適指数が、対象空間20について改ざんのない信頼性の高い統計情報に基づいて導出された指数であることを証明する。また、電子証明書は、快適情報に示される快適指数が、対象空間20の快適性の程度を示すことを証明する。
【0056】
認証部210は、統計情報に加えて、センサ識別情報、設置情報、校正情報、及び関連情報の少なくとも1つに基づいて、統計情報を認証してよい。認証部210は、統計情報、センサ識別情報、設置情報、校正情報、及び関連情報に基づいて、統計情報を認証してよい。記憶部214は、センサ識別情報、または関連情報に関連付けて認証条件を記憶してよい。認証部210は、統計情報と、設置情報、及び校正情報の少なくとも1つとが、認証条件を満たす場合、統計情報を認証してよい。
【0057】
認証部210は、設置情報を参照して、センサ100が予め定められた位置に設置された状態であるか否かを判定する。認証部210は、校正情報を参照して、センサ100が予め定められた校正方法に基づいて認定された校正者によって予め定められた期間にセンサ100の校正が実行されていたか否かを判定する。認証部210は、各情報の認証条件を満たし、統計情報が認証条件を満たす場合、統計情報を認証する。センサ100が複数ある場合、認証部210は複数のセンサ100から送られる統計情報を更に統計処理して認証してもよい。
【0058】
発行部212は、認証部210により統計情報の認証に成功した場合、統計情報に基づく快適情報に対する電子証明書を発行する。電子証明書は、承認機関の電子署名が付与された、快適情報に示される快適指数が、認証された統計情報に基づく指数であることを示す電子文書である。また、電子証明書は、快適情報に示される快適指数が、対象空間20の快適性の程度を示すことを証明する。通信部202は、対象空間20の管理者などの予め定められた宛先に、電子証明書を送信する。発行部212は、通信部202を介して電子認証証明書を設置者情報と装置IDと関連付けて第三者がアクセス可能なデータベースに登録してよい。これにより、第三者が、検索システムなどを利用してデータベースにアクセスすることで、統計情報が認証されているか否か、すなわち、統計情報に基づく快適指数が予め定められた基準を満たした不正のない正しい情報である否かを容易に確認できる。認証部210は、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレット端末、またはウェアラブル端末等に設けられてもよい。
【0059】
生成部208は、快適情報に基づいて、対象空間20の環境状態に変化をもたらす環境制御装置300を制御するための環境制御命令を生成してよい。生成部208は、快適指数が閾値より小さい場合に、快適指数が閾値以上になるように対象空間の環境状態に変化をもたらすように環境制御装置300を制御するための環境制御命令を生成してよい。
【0060】
通信部202は、環境制御装置300と通信する。通信部202は、環境制御命令を環境制御装置300に送信する。環境制御装置300が、環境制御命令に応じて対象空間20の環境状態を変化させる。
【0061】
生成部208は、例えば、健康指数が閾値より小さい場合、健康指数が閾値以上になるように、換気量を増大させるように換気扇の風量を増大させ、対象空間20の温度が予め定められた温度範囲に収まり、かつ対象空間20の湿度が予め定められた湿度範囲に収まるようにエアコンの駆動を制御するように、換気扇及びエアコンのそれぞれの制御命令を環境制御命令として生成してよい。通信部202は、それぞれの制御命令を換気扇及びエアコンのそれぞれに送信してよい。記憶部214は、対象空間20ごとに、健康指数を閾値以上に維持するための換気扇の風量、温度範囲、及び湿度範囲を記憶してよい。
【0062】
生成部208は、例えば、作業効率が閾値より小さい場合、作業効率が閾値以上になるように、換気量を増大させるように換気扇の風量を増大させ、対象空間20の温度が予め定められた温度範囲に収まり、かつ対象空間20の湿度が予め定められた湿度範囲に収まるようにエアコンの駆動を制御するように、換気扇及びエアコンのそれぞれの制御命令を環境制御命令として生成してよい。通信部202は、それぞれの制御命令を換気扇及びエアコンのそれぞれに送信してよい。
【0063】
例えば、温度T及び換気量Vを以下の式に従って、換気扇及びエアコンをP制御またはPID制御することで、健康指数及び作業効率を増加させることができる。
【数4】
ここで、αは、十分に絶対値が小さい定数であり(例えば、α=0.5)、健康指数または作業効率が大きいほど改善する場合は正、健康指数または作業効率が小さいほど改善する場合には負の値である。
【0064】
健康指数または作業効率には、コストによる項Tを追加してよい。例えば、コスト項Tは、T=1-aexp(bc(T,X,V))で定義されてよい。ここで、a,bは、正の定数である。これにより、生成部208は、コストを加味して、温度または換気量を調整すべく、換気扇またはエアコンを制御するための環境制御命令を生成できる。例えば、換気量が無限に発散することを防止できる。
【0065】
図4は、センサ100の統計情報の送信手順の一例を示すフローチャートである。
【0066】
計測部102は、予め定められた期間(例えば、1カ月など)に亘って、対象空間20において計測対象のガス濃度などの環境情報を予め定められた間隔(例えば、60秒に1回の間隔)で、計測する(S100)。計測部102は、環境情報を記憶部214に記憶してよい。統計生成部104は、予め定められた期間に計測され、記憶部108に記憶された環境情報に基づいて、統計情報を生成する(S102)。統計生成部104は、統計情報の生成が完了すると、記憶部108に記憶された環境情報を削除してもよい。暗号化処理部110は、記憶部108からセンサ識別情報、設置情報、校正情報、及び関連情報を取得し、統計情報と共に暗号化する(S104)。通信部112は、暗号化された統計情報等を情報処理装置200に送信する(S106)。
【0067】
図5は、情報処理装置200が環境制御装置300に対する環境制御命令を生成する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0068】
通信部202は、センサ100から、暗号化された統計情報等を受信する(S200)。復号化処理部204は、暗号化された統計情報等を復号化する(S202)。認証部210は、記憶部214に格納された認証条件を参照して、復号化された関連情報に基づいて、対象空間20に関連付けられた認証条件を特定する(S204)。
【0069】
認証部210は、統計情報に基づいて、認証条件に従う認証を行う(S206)。認証部210は、認証に成功した否かを判定する(S208)。認証に成功していれば、導出部206は、統計情報に基づいて対象空間20の快適さを示す快適指数を導出する(210)。生成部208は、対象空間20の快適指数を示す快適情報を生成する(S212)。生成部208は、タブレット端末などのユーザー端末の表示部に表示させる快適指数を示す画像情報を快適情報として生成してよい。
【0070】
さらに、生成部208は、快適指数が閾値より小さいか否かを判定する(S214)。快適指数が閾値より小さい場合、生成部208は、快適情報に基づいて、対象空間20の環境状態に変化をもたらす環境制御装置300を制御するための環境制御命令を生成する(S216)。生成部208は、快適指数が閾値より小さい場合に、快適指数が閾値以上になるように対象空間の環境状態に変化をもたらすように環境制御装置300を制御するための環境制御命令を生成してよい。通信部202は、環境制御命令を環境制御装置300に送信する(S218)。
【0071】
以上、本実施形態によれば、複数のセンサ100が環境情報をそのまま情報処理装置200に送信するのではなく、環境情報から統計情報を生成して、統計情報を情報処理装置200に送信するので、複数のセンサ100からの情報を集約する情報処理装置200の処理負担を低減できる。
【0072】
さらに、統計情報に基づく快適指数に応じた環境制御命令により環境制御装置300を制御できるので、対象空間20の快適さをより確実に確保できる。
【0073】
センサ100は受信部を備えていてもよい。受信部は、快適指情報または快適情報が前記対象空間の快適さを示すことを証明する電子証明書を受信してよい。また、受信部は複数のセンサ100の統計情報をさらに統計処理したマクロ統計情報を受信してもよい。例えば、マクロ統計情報とは対象空間20が複数ある場合、複数の対象空間20に紐づく統計情報を更に統計処理し、特定の対象空間20に紐づく統計情報が統計的にどこに位置するかを示すものであってよい。具体的には、マクロ統計情報は、複数の対象空間20の統計情報の順位またはヒストグラムであってもよい。また、受信部は、対象空間20に紐づく統計情報やマクロ統計情報に基づく評価情報を受信してよく、評価情報は、不可、可、良、優良、及び最優良の5段階でカテゴリ分けしたものであってもよい。さらに、受信部は、対象空間20に紐づく評価情報に基づく、改善情報または報労情報を受信してもよい。例えば改善情報は、対象空間20に紐づく評価情報が不良である場合、あるいは対象空間20に紐づく統計情報がある数値条件を満たした場合に、対象空間20の評価情報を改善するための改善案または対策案であってもよい。また、例えば報労情報は、対象空間20に紐づく評価情報が良好である場合、あるいは対象空間20に紐づく統計情報がある数値条件を満たした場合、あるいは対象空間20に紐づく統計情報を閲覧した人間が評価した場合に、称賛を示す情報であってもよく、報奨ポイントであってもよい。また、受信部は、センサ100に無くてもよく、スマートフォン、タブレット、またはPCにあってもよい。また、受信部が受信した情報は、表示部に表示されて良い。表示部はセンサ100にあってもよく、スマートフォン、タブレット、PC、またはウェアラブル端末にあってもよい。
【0074】
図6は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化してよいコンピュータ1200の一例を示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーションまたは当該装置の1または複数の「部」として機能させることができる。または、当該プログラムは、コンピュータ1200に当該オペレーションまたは当該1または複数の「部」を実行させることができる。当該プログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつかまたは全てに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0075】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、及びRAM1214を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、入力/出力ユニットを含み、それらは入力/出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。コンピュータ1200はまた、ROM1230を含む。CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。
【0076】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブが、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納してよい。ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/またはコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。プログラムが、CD-ROM、USBメモリまたはICカードのようなコンピュータ可読記録媒体またはネットワークを介して提供される。プログラムは、コンピュータ可読記録媒体の例でもあるRAM1214、またはROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーションまたは処理を実現することによって構成されてよい。
【0077】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、またはUSBメモリのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0078】
また、CPU1212は、USBメモリ等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0079】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0080】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上またはコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0081】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよい。その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM(登録商標))、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0082】
コンピュータ可読命令は、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードの何れかを含んでよい。ソースコードまたはオブジェクトコードは、従来の手続型プログラミング言語を含む。従来の手続型プログラミング言語は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語でよい。コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供されてよい。プロセッサまたはプログラマブル回路は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0083】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0084】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0085】
10 情報処理システム
20 対象空間
50 ネットワーク
100 センサ
102 計測部
104 統計生成部
106 校正部
108 記憶部
110 暗号化処理部
112 通信部
118 検知部
120 通知部
200 情報処理装置
202 通信部
204 復号化処理部
206 導出部
208 生成部
210 認証部
212 発行部
214 記憶部
300 環境制御装置
1200 コンピュータ
1210 ホストコントローラ
1212 CPU
1214 RAM
1220 入力/出力コントローラ
1222 通信インタフェース
1230 ROM
図1
図2
図3
図4
図5
図6