(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098769
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】エッチング方法及びプラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002451
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 篤史
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA09
5F004BA09
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB28
5F004BD04
5F004CA04
5F004CA06
5F004DA00
5F004DA13
5F004DA23
5F004DA25
5F004DA26
5F004DB01
5F004DB03
5F004DB07
5F004EA03
5F004EA05
5F004EA13
5F004EA28
5F004EA37
(57)【要約】
【課題】シリコン含有膜の効率的なエッチングが可能なエッチング方法を提供する。
【解決手段】エッチング方法は、シリコン含有膜を含むエッチング対象膜の少なくとも一部に、C-F結合を有するシリル化剤を吸着させる工程と、前記エッチング対象膜をエッチングする工程と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)シリコン含有膜を含むエッチング対象膜の少なくとも一部に、C-F結合を有するシリル化剤を吸着させる工程と、
(b)前記エッチング対象膜をエッチングする工程と、
を含む、エッチング方法。
【請求項2】
前記(b)において、前記エッチング対象膜と、前記エッチング対象膜に吸着した前記シリル化剤に含まれるフッ素原子との反応により、前記エッチング対象膜をエッチングする、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項3】
前記(b)において、不活性ガス及び酸素含有ガスからなる群より選択される少なくとも一種を含む第1処理ガスから生成される第1プラズマにより、前記反応を促進する、請求項2に記載のエッチング方法。
【請求項4】
前記(b)において、前記エッチング対象膜を加熱することにより、前記反応を促進する、請求項2に記載のエッチング方法。
【請求項5】
前記シリコン含有膜が、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜からなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項6】
前記エッチング対象膜が、シリコン酸化膜と、シリコン酸化膜以外の膜と、を含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項7】
(a)少なくとも1つの凹部を有し、シリコン含有膜を含むエッチング対象膜を含む基板を提供する工程と、
(b)前記凹部の側壁の少なくとも一部にC-F結合を有するシリル化剤を吸着させる工程と、
(c)前記エッチング対象膜をエッチングする工程と、
を含む、エッチング方法。
【請求項8】
前記(b)において、前記側壁の下部領域に、前記シリル化剤を選択的に吸着させる、請求項7に記載のエッチング方法。
【請求項9】
前記(c)において、前記側壁と、前記側壁に吸着した前記シリル化剤に含まれるフッ素原子との反応により、前記側壁をエッチングする、請求項7に記載のエッチング方法。
【請求項10】
前記(c)において、不活性ガス及び酸素含有ガスからなる群より選択される少なくとも一種を含む第1処理ガスから生成される第1プラズマにより、前記反応を促進する、請求項9に記載のエッチング方法。
【請求項11】
前記(c)において、前記側壁の下部領域を水平方向にエッチングする、請求項7に記載のエッチング方法。
【請求項12】
前記(a)の後、且つ、前記(b)の前に、前記側壁の少なくとも一部に保護膜を形成する工程を更に含む、請求項7に記載のエッチング方法。
【請求項13】
前記(a)の後、且つ、前記(b)の前に、前記側壁の上部領域に保護膜を形成する工程を更に含み、
前記(c)において、前記側壁の下部領域を水平方向にエッチングする、請求項12に記載のエッチング方法。
【請求項14】
前記保護膜が、ALD法、CVD法及びMLD法からなる群より選択される方法により形成される、請求項12に記載のエッチング方法。
【請求項15】
前記保護膜が、前記凹部の前記側壁の第1領域上において第1厚みを有し、前記凹部の前記側壁の前記第1領域より深い位置の第2領域上において、前記第1厚みより小さい第2厚みを有する、請求項12に記載のエッチング方法。
【請求項16】
前記(a)が、
(a-1)エッチング対象膜と、前記エッチング対象膜上のマスクとを含む基板を提供する工程であって、前記マスクが少なくとも1つの開口を有する、工程と、
(a-2)第2処理ガスから生成される第2プラズマにより、前記開口を介して前記エッチング対象膜をエッチングして、前記凹部を形成する工程と、
を含む、請求項7に記載のエッチング方法。
【請求項17】
前記凹部のアスペクト比が5以上である、請求項7に記載のエッチング方法。
【請求項18】
前記(b)が、
(b-1)前記凹部の側壁の少なくとも一部に前記シリル化剤を吸着させる工程と、
(b-2)前記(b-1)の後、前記側壁に吸着した前記シリル化剤の一部を除去する工程と、
を含む、請求項7に記載のエッチング方法。
【請求項19】
チャンバと、
前記チャンバ内において基板を支持するための基板支持器であり、前記基板は、シリコン含有膜を含むエッチング対象膜を有する、基板支持器と、
C-F結合を有するシリル化剤を前記チャンバ内に供給するように構成されたガス供給部と、
を備える、プラズマ処理装置。
【請求項20】
制御部を更に備え、
前記制御部は、前記エッチング対象膜の少なくとも一部に前記シリル化剤を吸着させた後に、前記エッチング対象膜と、前記エッチング対象膜に吸着したシリル化剤に含まれるフッ素原子との反応により、前記エッチング対象膜をエッチングする処理を実行するように構成される、請求項19に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、エッチング方法及びプラズマ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基板をエッチングする方法として、基板の露出面の単層をエッチングするために原子層エッチングプロセスサイクルを行うステップを含む方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、シリコン含有膜の効率的なエッチングが可能な、エッチング方法及びエッチング処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、エッチング方法は、シリコン含有膜を含むエッチング対象膜の少なくとも一部に、C-F結合を有するシリル化剤を吸着させる工程と、前記エッチング対象膜をエッチングする工程と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、シリコン含有膜の効率的なエッチングが可能な、エッチング方法及びエッチング処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図3の方法が適用され得る一例の基板の断面図である。
【
図5】
図5は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
【
図6】
図6は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図3の方法が適用され得る一例の基板の断面図である。
【
図8】
図8は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
【
図9】
図9は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
【
図10】
図10は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。
【
図12】
図12は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
【
図13】
図13は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
【
図14】
図14(a)は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図であり、
図14(b)は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
【
図15】
図15は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
【
図16】
図16は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
【
図17】
図17は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。
【
図18】
図18は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。
【
図19】
図19は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
【
図20】
図20は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
【
図21】
図21は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
【
図22】
図22は、一つの例示的実施形態に係る基板処理システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、エッチング方法は、(a)シリコン含有膜を含むエッチング対象膜の少なくとも一部に、C-F結合を有するシリル化剤を吸着させる工程と、(b)前記エッチング対象膜をエッチングする工程と、を含む。
【0010】
上記エッチング方法において、C-F結合を有するシリル化剤でエッチング対象膜を処理することで、シリコン含有膜にシリル化剤が吸着される。シリコン含有膜のシリル化剤が吸着した箇所は、膜の近傍にフッ素原子が存在することでエッチングが促進される。このため、上記エッチング方法によれば、シリコン含有膜が効率良くエッチングされる。
【0011】
上記(b)においては、上記エッチング対象膜と、上記エッチング対象膜に吸着した上記シリル化剤に含まれるフッ素原子との反応により、上記エッチング対象膜をエッチングしてもよい。
【0012】
上記(b)においては、不活性ガス及び酸素含有ガスからなる群より選択される少なくとも一種を含む第1処理ガスから生成される第1プラズマにより、上記反応を促進してもよい。
【0013】
上記(b)においては、上記エッチング対象膜を加熱することにより、上記反応を促進してもよい。
【0014】
上記シリコン含有膜は、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜からなる群より選択される少なくとも一種を含んでもよい。シリコン酸化膜はシリル化剤が吸着しやすく、且つ、近傍のフッ素原子の存在によってエッチングが促進しやすい。このため、シリコン含有膜がシリコン酸化膜を含むと上記効果がより顕著に奏される。また、シリコン窒化膜は、表面の酸化によりシリコン酸化膜が形成される場合があり、形成されたシリコン酸化膜にシリル化剤が吸着することで、エッチングが促進されやすい。このため、シリコン含有膜がシリコン窒化膜を含むと上記効果がより顕著に奏される。
【0015】
上記シリコン含有膜は、シリコン酸化膜と、シリコン酸化膜以外の膜と、を含んでもよい。上記エッチング方法では、シリコン酸化膜が他の膜(例えば、シリコン窒化膜等)と比較して、シリル化剤が吸着しやすく、エッチングが促進されやすい。このため、上記エッチング方法では、シリコン含有膜がシリコン酸化膜とシリコン酸化膜以外の膜とを含む場合に、シリコン酸化膜を選択的にエッチングすることができる。
【0016】
上記シリコン含有膜は、シリコン窒化膜と、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜以外の膜と、を含んでもよい。上記エッチング方法では、シリコン窒化膜の表面が酸化される環境下で、シリコン窒化膜のエッチングが、他の膜(例えば、アモルファスカーボン膜、タングステン膜、チタンナイトライド膜等)と比較して促進されやすい。このため、上記エッチング方法では、シリコン含有膜がシリコン窒化膜と、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜以外の膜とを含む場合に、シリコン窒化膜を選択的にエッチングすることができる。
【0017】
一つの例示的実施形態において、エッチング方法は、(a)少なくとも1つの凹部を有し、シリコン含有膜を含むエッチング対象膜を含む基板を提供する工程と、(b)上記凹部の側壁の少なくとも一部にC-F結合を有するシリル化剤を吸着させる工程と、(c)上記エッチング対象膜をエッチングする工程と、を含んでいてもよい。
【0018】
上記(b)においては、上記側壁の下部領域に、上記シリル化剤を選択的に吸着させてもよい。
【0019】
上記(c)においては、上記側壁と、上記側壁に吸着した上記シリル化剤に含まれるフッ素原子との反応により、上記側壁をエッチングしてもよい。
【0020】
上記(c)においては、不活性ガス及び酸素含有ガスからなる群より選択される少なくとも一種を含む第1処理ガスから生成される第1プラズマにより、上記反応を促進してもよい。
【0021】
上記(c)においては、上記側壁の下部領域が水平方向にエッチングされてもよい。
【0022】
上記エッチング方法は、上記(a)の後、且つ、上記(b)の前に、上記側壁の少なくとも一部に保護膜を形成する工程を更に含んでもよい。
【0023】
上記エッチング方法は、上記(a)の後、且つ、上記(b)の前に、上記側壁の上部領域に保護膜を形成する工程を更に含んでもよく、このとき、上記(c)においては、上記側壁の下部領域が水平方向にエッチングされてもよい。
【0024】
上記保護膜は、ALD法、CVD法及びMLD法からなる群より選択される方法により形成されてもよい。
【0025】
上記保護膜は、上記凹部の上記側壁の第1領域上において第1厚みを有し、上記凹部の上記側壁の上記第1領域より深い位置の第2領域上において、上記第1厚みより小さい第2厚みを有してもよい。
【0026】
上記(a)は、(a-1)エッチング対象膜と、上記エッチング対象膜上のマスクとを含む基板を提供する工程であって、上記マスクが少なくとも1つの開口を有する、工程と、(a-2)第2処理ガスから生成される第2プラズマにより、上記開口を介して上記エッチング対象膜をエッチングして、上記凹部を形成する工程と、を含んでもよい。
【0027】
上記凹部のアスペクト比は、5以上であってもよい。
【0028】
上記(b)は、(b-1)上記凹部の側壁の少なくとも一部に上記シリル化剤を吸着させる工程と、(b-2)上記(b-1)の後、上記側壁に吸着した上記シリル化剤の一部を除去する工程と、を含んでもよい。
【0029】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置は、チャンバと、上記チャンバ内において基板を支持するための基板支持器であり、上記基板は、シリコン含有膜を含むエッチング対象膜を有する、基板支持器と、C-F結合を有するシリル化剤を上記チャンバ内に供給するように構成されたガス供給部と、を備える。
【0030】
上記プラズマ処理装置は、制御部を更に備えていてもよい。上記制御部は、上記エッチング対象膜の少なくとも一部に上記シリル化剤を吸着させた後に、上記エッチング対象膜と、上記エッチング対象膜に吸着したシリル化剤に含まれるフッ素原子との反応により、上記エッチング対象膜をエッチングする処理を実行するように構成されていてもよい。
【0031】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附す場合がある。
【0032】
図1は、プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。一実施形態において、プラズマ処理システムは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理システムは、基板処理システムの一例であり、プラズマ処理装置1は、基板処理装置の一例である。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0033】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP;Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(Direct Current)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(Radio Frequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、100kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
【0034】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0035】
以下に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合型のプラズマ処理装置の構成例について説明する。
図2は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【0036】
容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0037】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0038】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF電源31及び/又はDC電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号及び/又はDC信号が少なくとも1つのRF/DC電極に供給される場合、RF/DC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数の下部電極として機能してもよい。また、静電電極1111bが下部電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つの下部電極を含む。
【0039】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0040】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0041】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0042】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。更に、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0043】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0044】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0045】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0046】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0047】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0048】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0049】
図3は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。
図3に示されるエッチング方法MT1(以下、「方法MT1」という)は、上記実施形態のプラズマ処理装置1により実行され得る。方法MT1は、基板W1に適用され得る。すなわち、基板Wは基板W1であり得る。
【0050】
図4は、
図3の方法が適用され得る一例の基板の断面図である。
図4に示されるように、一実施形態において、基板W1は、エッチング対象膜RE1を有する。エッチング対象膜RE1は、下地膜UR1上に設けられてもよい。
【0051】
エッチング対象膜RE1は、シリコン含有膜を含む。シリコン含有膜は、シリコン膜、シリコンゲルマニウム膜、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜のうち少なくとも1つを含んでもよい。エッチング対象膜RE1は、シリコン含有膜であってもよく、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜からなる群より選択されてもよく、シリコン酸化膜であってもよい。
【0052】
下地膜UR1は、エッチング対象膜RE1と異なる材料を含んでもよい。下地膜UR1は、シリコン含有膜、有機膜及び金属含有膜のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0053】
以下、方法MT1について、方法MT1が上記実施形態のプラズマ処理装置1を用いて基板W1に適用される場合を例にとって、
図3~
図6を参照しながら説明する。
図5及び
図6のそれぞれは、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。プラズマ処理装置1が用いられる場合には、制御部2によるプラズマ処理装置1の各部の制御により、プラズマ処理装置1において方法MT1が実行され得る。方法MT1では、
図2に示されるようにプラズマ処理チャンバ10内に配置された基板支持部11(基板支持器)上の基板W(例えば基板W1)を処理してよい。
【0054】
図3に示されるように、方法MT1は、工程ST1~工程ST5を含み得る。工程ST1~工程ST5は順に実行され得る。方法MT1は、工程ST4及び工程ST5のうち少なくとも1つを含まなくてもよい。
【0055】
工程ST1では、
図4に示される基板W1を提供する。基板W1は、プラズマ処理チャンバ10内に搬入され得る。基板W1は、プラズマ処理チャンバ10内において基板支持部11により支持され得る。
【0056】
工程ST2では、
図5に示されるように、基板W1のエッチング対象膜RE1上にシリル化剤を供給し、エッチング対象膜RE1の表面の少なくとも一部にシリル化剤を吸着させる。工程ST2では、エッチング対象膜RE1の表面の少なくとも一部に、シリル化剤が吸着した吸着部位SR1が形成されてもよい。なお、
図5では、吸着部位SR1が層状に記載されているが、工程ST2では、必ずしもシリル化剤の吸着により層が形成されていなくてもよい。すなわち、
図5中の吸着部位SR1は、エッチング対象膜RE1の表面のうちシリル化剤が吸着した部位を概略的に示しているにすぎず、エッチング対象膜RE1上に吸着部位SR1に相当する層が形成される必要はない。
【0057】
工程ST2は、ガス供給部20により、シリル化剤を含有する処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に供給することで行われ得る。制御部2は、エッチング対象膜RE1の表面の少なくとも一部にシリル化剤が吸着するように、ガス供給部20を制御する。
【0058】
シリル化剤は、C-F結合を有するフッ素含有基を有するシリル化剤であってよい。フッ素含有基の例は、フッ化アルキル基、フッ化アリール基等を含む。
【0059】
フッ化アルキル基は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換された基、ということもできる。アルキル基(フッ化アルキル基)の炭素数は、例えば1以上であってよく、2以上、4以上又は6以上であってもよい。また、アルキル基(フッ化アルキル基)の炭素数は、例えば20以下であってよく、16以下又は14以下であってもよい。
【0060】
フッ化アリール基は、アリール基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換された基、ということもできる。アリール基(フッ化アリール基)の炭素数は、例えば6~18、6~12又は6~10であってよい。アリール基は、例えばフェニル基であってよい。すなわち、フッ化アリール基は、例えばフッ化フェニル基であってよい。
【0061】
シリル化剤は、シリコン含有膜の表面に存在するヒドロキシル基と反応して、シリコン含有膜中のケイ素原子とシリル化剤中の原子とを連結する連結基を形成可能な反応性基を更に有してもよい。連結基は、例えば、-O-で表される基であってよい。
【0062】
反応性基は、シリル化剤中のケイ素原子と結合する基であってよい。この場合、シリコン含有膜中のケイ素原子とシリル化剤中のケイ素原子とを連結する連結基が形成される。反応性基は、例えば、ヒドロキシル基(-OH)、アルコキシ基(-OR1)、アリールオキシ基(-OR2)アミノ基(-NR3R4)、ハロゲノ基(-X)等であり得る。
【0063】
R1はアルキル基を示し、当該アルキル基の炭素数は、例えば1~20であってよく、1~16、1~12、1~8又は1~4であってもよい。R2はアリール基を示し、当該アリール基の炭素数は、例えば6~18であってよく、6~12又は6~10であってもよい。当該アリール基は、例えばフェニル基であってよい。
【0064】
R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基であってよい。当該アルキル基の炭素数は、例えば1~20であってよく、1~16、1~12、1~8又は1~4であってもよい。当該アリール基の炭素数は、例えば6~18であってよく、6~12又は6~10であってもよく、当該アリール基は例えばフェニル基であってよい。
【0065】
Xは、ハロゲン原子を示す。Xは、例えば塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であってもよい。Xは、例えば塩素原子であってもよい。
【0066】
シリル化剤の沸点は、例えば400℃以下であってよく、350℃以下又は300℃以下であってもよい。また、シリル化剤の沸点は、例えば50℃以上であってよく、100℃以上又は200℃以上であってもよい。
【0067】
シリル化剤としては、例えば、トリアルコキシ(1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシル)シラン(例えば、トリメトキシ(1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシル)シラン、トリエトキシ(1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシル)シラン等)、トリクロロ(1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシル)シラン、クロロジメチル(1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシル)シラン等が挙げられる。
【0068】
工程ST3では、
図6に示されるように、第1処理ガスから生成される第1プラズマPL1により、エッチング対象膜RE1をエッチングする。工程ST3では、第1処理ガスから生成される第1プラズマPL1により、エッチング対象膜RE1と、エッチング対象膜RE1の表面に吸着したシリル化剤に含まれるフッ素原子との反応を促進することによって、エッチング対象膜RE1をエッチングしてよい。
【0069】
第1処理ガスは、不活性ガスを含んでもよい。不活性ガスは、窒素ガス及び貴ガスのうち少なくとも1つを含んでもよい。貴ガスは、アルゴン(Ar)ガス、クリプトン(Kr)ガス又はキセノン(Xe)ガス等であってよい。また、第1処理ガスは、不活性ガスに代えて又は不活性ガスに加えて、酸素含有ガスを含んでいてもよい。酸素含有ガスは、例えば、酸素(O2)ガス、一酸化炭素(CO)ガス又は二酸化炭素(CO2)ガスであってよい。
【0070】
工程ST3は以下のように行われ得る。まず、ガス供給部20により、第1処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に供給する。次に、プラズマ生成部12により、プラズマ処理チャンバ10内で第1処理ガスから第1プラズマPL1を生成する。制御部2は、第1プラズマPL1によりエッチング対象膜RE1をエッチングするように、ガス供給部20及びプラズマ生成部12を制御する。制御部2は、第1プラズマPL1により、エッチング対象膜RE1と、エッチング対象膜RE1の表面に吸着したシリル化剤に含まれるフッ素原子との反応を促進することによって、エッチング対象膜RE1をエッチングするように、ガス供給部20及びプラズマ生成部12を制御してよい。
【0071】
なお、工程ST3は、第1のプラズマPL1に代えて又は第1のプラズマPL1に加えて、加熱装置を用いて基板W1を加熱することにより、エッチング対象膜RE1とフッ素原子との反応を促進してもよい。加熱装置は、例えば、静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置された1又は複数のヒータであってよい。また、加熱装置は、例えば、赤外線ランプ等であってよい。加熱温度は、例えば、100℃以上400℃以下であってよい。
【0072】
方法MT1では、工程ST2及び工程ST3を繰り返してもよい。このとき、方法MT1は工程ST4を含んでもよい。工程ST4では、停止条件が満たされるか否かが判定される。工程ST4において、停止条件は、例えば、繰り返しの実行回数が所定回数に達している場合に満たされてもよい。また、工程ST4において、停止条件は、例えば、エッチング対象膜RE1の厚さが所定の厚さに達している場合に満たされてもよい。
【0073】
工程ST4において、停止条件が満たされていないと判定される場合には、工程ST2及び工程ST3が再び実行される。工程ST4において、停止条件が満たされていると判定される場合には、工程ST5を実行するか、方法MT1を終了する。
【0074】
工程ST5では、プラズマ処理チャンバ10内から、エッチングされた基板W1が搬出される。
【0075】
上述の方法MT1によれば、工程ST2でエッチング対象膜RE1にシリル化剤を吸着させているため、工程ST3におけるエッチング効率が優れる。
【0076】
上述の方法MT1は、基板W2にも適用され得る。すなわち、基板Wは基板W2でもあり得る。以下、方法MT1を基板W2に適用した場合(以下、「方法MT1’」)について、説明する。
【0077】
図7は、方法MT1’が適用され得る一例の基板の断面図である。
図7に示されるように、一実施形態において、基板W2は、エッチング対象膜RE2を有する。エッチング対象膜RE2は、下地膜UR2上に設けられてもよい。エッチング対象膜RE2は、シリコン酸化膜RE21と、シリコン酸化膜以外の膜RE22(以下、「他の膜RE22」という)とを有してよい。他の膜RE22は、シリコン膜、シリコンゲルマニウム膜、シリコン窒化膜等のシリコン含有膜であってもよく、アモルファスカーボン膜等の有機膜であってもよい。
【0078】
下地膜UR2は、エッチング対象膜RE2と異なる材料を含んでもよい。下地膜UR2は、シリコン含有膜、有機膜及び金属含有膜のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0079】
以下、方法MT1’について、方法MT1’が上記実施形態のプラズマ処理装置1を用いて基板W2に適用される場合を例にとって、
図3及び
図7~
図9を参照しながら説明する。
図8及び
図9のそれぞれは、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。プラズマ処理装置1が用いられる場合には、制御部2によるプラズマ処理装置1の各部の制御により、プラズマ処理装置1において方法MT1’が実行され得る。方法MT1’では、
図2に示されるようにプラズマ処理チャンバ10内に配置された基板支持部11(基板支持器)上の基板W(例えば基板W2)を処理してよい。
【0080】
図3に示されるように、方法MT1’は、工程ST1~工程ST5を含み得る。工程ST1~工程ST5は順に実行され得る。方法MT1は、工程ST4及び工程ST5のうち少なくとも1つを含まなくてもよい。
【0081】
工程ST1では、
図7に示される基板W2を提供する。基板W2は、プラズマ処理チャンバ10内に搬入され得る。基板W2は、プラズマ処理チャンバ10内において基板支持部11により支持され得る。
【0082】
工程ST2では、
図8に示されるように、基板W2のエッチング対象膜RE2上にシリル化剤を供給し、エッチング対象膜RE2の表面の少なくとも一部にシリル化剤を吸着させる。工程ST2では、エッチング対象膜RE2の表面の少なくとも一部に、シリル化剤が吸着した吸着部位SR2が形成されてもよい。なお、
図8では、吸着部位SR2が層状に記載されているが、工程ST2では、必ずしもシリル化剤の吸着により層が形成されていなくてもよい。すなわち、
図8中の吸着部位SR2は、エッチング対象膜RE2の表面のうちシリル化剤が吸着した部位を概略的に示しているにすぎず、エッチング対象膜RE2上に吸着部位SR2に相当する層が形成される必要はない。
【0083】
工程ST2では、
図8に示されるように、基板W2のエッチング対象膜RE2のうち、シリコン酸化膜RE21に選択的にシリル化剤を吸着させてよい。工程ST2では、他の膜RE22にシリル化剤を吸着させてもよく、吸着させなくてもよい。シリル化剤については、上述のとおりでよい。
【0084】
工程ST3では、
図9に示されるように、第1処理ガスから生成される第1プラズマPL1により、エッチング対象膜RE2が有するシリコン酸化膜RE21をエッチングする。工程ST3では、第1処理ガスから生成される第1プラズマPL1により、シリコン酸化膜RE21とシリコン酸化膜RE21の表面に吸着したシリル化剤に含まれるフッ素原子との反応を促進することによって、シリコン酸化膜RE21をエッチングしてよい。
【0085】
第1処理ガスは、不活性ガスを含んでもよい。不活性ガスは、窒素ガス及び貴ガスのうち少なくとも1つを含んでもよい。貴ガスは、アルゴン(Ar)ガス、クリプトン(Kr)ガス又はキセノン(Xe)ガス等であってよい。また、第1処理ガスは、不活性ガスに代えて又は不活性ガスに加えて、酸素含有ガスを含んでいてもよい。酸素含有ガスは、例えば、酸素(O2)ガス、一酸化炭素(CO)ガス又は二酸化炭素(CO2)ガスであってよい。
【0086】
工程ST3では、シリコン酸化膜RE21のエッチングレートが、他の膜RE22のエッチングレートより高くてよい。すなわち、工程3では、シリコン酸化膜RE21が選択的にエッチングされてもよい。工程ST3において、他の膜RE22は、エッチングされてもよく、エッチングされなくてもよい。
【0087】
工程ST3において、シリコン酸化膜RE21は、エッチングにより完全に除去されてもよく、所定の膜厚で残存してもよい。
【0088】
工程ST3は以下のように行われ得る。まず、ガス供給部20により、第1処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に供給する。次に、プラズマ生成部12により、プラズマ処理チャンバ10内で第1処理ガスから第1プラズマPL1を生成する。制御部2は、第1プラズマPL1によりエッチング対象膜RE2が有するシリコン酸化膜RE21がエッチングされるように、ガス供給部20及びプラズマ生成部12を制御する。制御部2は、第1プラズマPL1により、シリコン酸化膜RE21と、シリコン酸化膜RE21の表面に吸着したシリル化剤に含まれるフッ素原子との反応を促進することによって、シリコン酸化膜RE21がエッチングされるように、ガス供給部20及びプラズマ生成部12を制御してよい。
【0089】
なお、工程ST3は、第1のプラズマPL1に代えて又は第1のプラズマPL1に加えて、加熱装置を用いて基板W1を加熱することにより、シリコン酸化膜RE21とフッ素原子との反応を促進してもよい。加熱装置は、例えば、静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置された1又は複数のヒータであってよい。また、加熱装置は、例えば、赤外線ランプ等であってよい。加熱温度は、例えば、100℃以上400℃以下であってよい。
【0090】
方法MT1’では、工程ST2及び工程ST3を繰り返してもよい。このとき、方法MT1’は工程ST4を含んでもよい。工程ST4では、停止条件が満たされるか否かが判定される。工程ST4において、停止条件は、例えば、繰り返しの実行回数が所定回数に達している場合に満たされてもよい。また、工程ST4において、停止条件は、例えば、エッチング対象膜RE1の厚さ(例えば、シリコン酸化膜RE21の厚さ、又は、他の膜RE22の厚さ)が所定の厚さに達している場合に満たされてもよい。
【0091】
工程ST4において、停止条件が満たされていないと判定される場合には、工程ST2及び工程ST3が再び実行される。工程ST4において、停止条件が満たされていると判定される場合には、工程ST5を実行するか、方法MT1を終了する。
【0092】
工程ST5では、プラズマ処理チャンバ10内から、エッチングされた基板W2が搬出される。
【0093】
上述の方法MT1’によれば、シリコン酸化膜RE21が、シリル化剤が吸着しやすく、且つ、シリル化剤の吸着による影響を受けやすいため、工程ST3においてシリコン酸化膜RE21を、他の膜RE22と比較して高いエッチングレートでエッチングできる。
【0094】
図10は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。
図10に示されるエッチング方法MT2(以下、「方法MT2」という)は、上記実施形態のプラズマ処理装置1により実行され得る。方法MT2は、基板W3に適用され得る。すなわち、基板Wは基板W3であり得る。
【0095】
図11は、
図10の方法が適用され得る一例の基板の断面図である。
図11に示されるように、一実施形態において、基板W3は、エッチング対象膜RE3とエッチング対象膜RE3上のマスクMKとを有する。エッチング対象膜RE3は、下地膜UR3上に設けられてもよい。マスクMKは少なくとも1つの開口OPを有してもよい。
【0096】
エッチング対象膜RE3は、シリコン含有膜を含む。シリコン含有膜は、シリコン膜、シリコンゲルマニウム膜、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜のうち少なくとも1つを含んでもよい。エッチング対象膜RE3は、シリコン含有膜であってもよく、シリコン酸化膜であってもよい。
【0097】
マスクMKは、シリコン含有物質、有機物及び金属のうち少なくとも1つを含んでもよい。シリコン含有物質はポリシリコンを含んでもよい。有機物は、フォトレジスト及びSOC(Spin On Carbon)のうち少なくとも1つを含んでもよい。マスクMKは、エッチング対象膜RE3中のシリコン含有膜を構成する第1シリコン含有物質と異なる第2シリコン含有物質、有機物及び金属のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0098】
下地膜UR3は、エッチング対象膜RE3と異なる材料を含んでもよい。下地膜UR3は、シリコン含有膜、有機膜及び金属含有膜のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0099】
以下、方法MT2について、方法MT2が上記実施形態のプラズマ処理装置1を用いて基板W3に適用される場合を例にとって、
図10~
図16を参照しながら説明する。
図11~
図16のそれぞれは、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。プラズマ処理装置1が用いられる場合には、制御部2によるプラズマ処理装置1の各部の制御により、プラズマ処理装置1において方法MT2が実行され得る。方法MT2では、
図2に示されるようにプラズマ処理チャンバ10内に配置された基板支持部11(基板支持器)上の基板W(例えば基板W3)を処理してよい。
【0100】
図10に示されるように、方法MT2は、工程ST11~工程STST17を含み得る。工程ST11~工程ST17は順に実行され得る。方法MT2は、工程ST11~工程ST13及び工程ST16~17のうち少なくとも1つを含まなくてもよい。
【0101】
工程ST11では、
図11に示される基板W3を提供する。基板W3は、プラズマ処理チャンバ10内に搬入され得る。基板W3は、プラズマ処理チャンバ10内において基板支持部11により支持され得る。
【0102】
工程ST12では、
図12に示されるように、第2処理ガスから生成される第2プラズマPL2により、エッチング対象膜RE3をエッチングして凹部RSを形成する。凹部RSは、マスクMKの開口OPに対応し得る。凹部RSの上端における凹部RSの寸法は、100nm以下であってもよい。凹部RSの寸法は、凹部RSの上端から底に向かって徐々に小さくなってもよい。すなわち、凹部RSはテーパー状であってもよい。凹部RSの底は、下地膜UR3に到達してもよいし、到達しなくてもよい。
【0103】
凹部RSのアスペクト比は、例えば5以上であってもよく、10以上、20以上、30以上、40以上又は50以上であってもよい。凹部RSのアスペクト比は、例えば200以下であってもよい。なお、凹部RSのアスペクト比は、凹部RSの最大幅寸法に対する、凹部RSの深さの比を示す。
【0104】
第2処理ガスは、ハロゲン含有ガスを含んでもよい。ハロゲン含有ガスは、フッ素含有ガス及び塩素含有ガスのうち少なくとも1つを含んでもよい。エッチング対象膜RE3がシリコン酸化膜又はシリコン窒化膜を含む場合、第2処理ガスはフッ素含有ガスを含んでもよい。エッチング対象膜RE3がシリコン膜又はシリコンゲルマニウム膜を含む場合、第2処理ガスは塩素含有ガスを含んでもよい。フッ素含有ガスの例は、フルオロカーボン(CxFy)ガス、ハイドロフルオロカーボン(CxHyFz)ガス及び三フッ化窒素(NF3ガス)を含む。x、y及びzは自然数である。第2処理ガスは酸素含有ガスを含んでもよい。
【0105】
工程ST12は以下のように行われ得る。まず、ガス供給部20により、第2処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に供給する。次に、プラズマ生成部12により、プラズマ処理チャンバ10内で第2処理ガスから第2プラズマPL2を生成する。制御部2は、第2プラズマPL2によりエッチング対象膜RE3をエッチングして凹部RSを形成するように、ガス供給部20及びプラズマ生成部12を制御する。
【0106】
なお、工程ST12において、凹部RSの側壁にはエッチングより生成した反応生成物が付着している場合がある。このため、工程ST13の前に、この反応生成物を除去する工程(アッシング工程)を行ってもよい。反応生成物は、例えば、酸素ガスから生成される酸素プラズマにより除去される。
【0107】
工程ST13では、
図13に示されるように、凹部RSの側壁の少なくとも一部に保護膜PRを形成する。保護膜PRは、凹部RSの浅い領域又は浅い領域から中間領域(上部領域)に選択的に形成されてよい。保護膜PRは、開口OPの側壁にも形成され得る。保護膜PRは、マスクMKの上面にも形成され得る。なお、工程ST13の実施は必須ではなく、例えば、工程ST14でシリル化剤を凹部RSの深い領域(下部領域)に選択的に吸着できる場合、工程ST13は実施しなくてもよい。なお、凹部RSの下部領域とは、凹部RSの底面までの深さを100として、深さ50~100の領域であってもよく、深さ60~100の領域であってもよく、深さ70~100の領域であってもよい。また、凹部RSの上部領域とは、下部領域より浅い領域を示していてよく、例えば、凹部RSの底面までの深さを100として、深さ0~50の領域であってもよく、深さ0~60の領域であってもよく、深さ0~70の領域であってもよい。
【0108】
保護膜PRは、凹部RSの側壁の開口OP側の第1領域において第1厚みを有してもよく、凹部RSの側壁の底面側の第2領域において第2厚みを有してもよい。第2厚みは第1厚みよりも小さい。保護膜PRの厚さは、マスクMKの上面から凹部RSの底に向かって徐々に小さくなってもよい。保護膜PRは、コンフォーマルではない膜(サブコンフォーマルな膜)である。保護膜PRは、凹部RSの底に形成されなくてもよい。エッチング対象膜RE3の凹部RSの側壁及び底面のうち少なくとも一部は、保護膜PRで被覆されず、露出していてもよい。
【0109】
保護膜PRは、シリコン含有膜、有機膜及び金属含有膜のうち少なくとも1つを含んでもよい。シリコン含有膜は、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0110】
保護膜PRは、保護膜形成用処理ガスを用いて形成されてもよい。保護膜形成用処理ガスは、シリコン含有ガス、炭素含有ガス及び金属含有ガスのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0111】
保護膜PRは、ALD(Atomic Layer Deposition)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法又はMLD(Multi Layer Deposition)法によって形成され得る。ALD法の例は、熱ALD法及びPE(Plasma Enhanced)-ALD法を含む。PE-ALD法により保護膜PRを形成する場合、工程ST13は、プリカーサ(保護膜形成用処理ガス)を凹部RSの側壁に供給する吸着工程と、吸着したプリカーサのアクティベーションを行うアクティベーション工程とを含む。アクティベーションは、処理ガスから生成されたプラズマにより行われ得る。吸着工程及びアクティベーション工程は交互に繰り返され得る。吸着工程とアクティベーション工程との間においてパージ工程が行われてもよい。吸着工程においてプリカーサが基板W3の表面の一部(例えば凹部の底)に吸着しないように制御することによって、保護膜PRの厚みを調整してもよい。例えば、プリカーサの吸着を阻害する因子を基板W3の表面の一部に形成することによって、吸着位置を制御できる。あるいは、アクティベーション工程において、基板W3の表面の一部(例えば凹部の底)にプラズマが到達しないように制御することによって、保護膜PRの厚みを調整してもよい。
【0112】
保護膜PRがシリコン含有膜を含む場合、吸着工程において、プリカーサとしてシリコン含有ガスが用いられる。保護膜PRがシリコン酸化膜を含む場合、シリコン含有ガスの例は、アミノシランガス、SiCl4ガス及びSiF4ガスを含む。アクティベーション工程において、処理ガスとして酸素含有ガスが用いられる。酸素含有ガスの例は、酸素ガスを含む。保護膜PRがシリコン窒化膜を含む場合、シリコン含有ガスの例は、アミノシランガス、SiCl4ガス、ジクロロシランガス及びヘキサクロロジシランガスを含む。アクティベーション工程において、処理ガスとして窒素含有ガスが用いられる。窒素含有ガスの例は、窒素ガス及びアンモニアガスを含む。
【0113】
保護膜PRが有機膜を含む場合、吸着工程において、プリカーサとして有機ガスが用いられる。有機ガスの例は、エポキシド、カルボン酸、カルボン酸ハロゲン化物、無水カルボン酸、イソシアネート及びフェノール類を含む。アクティベーション工程において、処理ガスとして種々のガスが用いられる。種々のガスの例は、N-H結合を有する無機化合物ガス、不活性ガス、水蒸気(H2Oガス)、窒素ガスと水素ガスとの混合ガス、及び水素ガスと酸素ガスとの混合ガスを含む。
【0114】
保護膜PRが金属膜を含む場合、吸着工程において、プリカーサとして金属含有ガスが用いられる。金属含有ガスは、酸素含有金属化合物、窒素含有金属化合物、硫黄含有金属化合物及びハロゲン化金属のうち少なくとも1つを含有してもよい。ハロゲン化金属の例は、TiCl4、WF6、WCl5、WCl6、SnCl4、SnBr4及びSnI4を含む。アクティベーション工程において、処理ガスとして水素含有ガス及び酸素含有ガスのうち少なくとも1つが用いられる。水素含有ガスを用いる場合、保護膜PRは金属含有膜となる。酸素含有ガスを用いる場合、保護膜PRは金属酸化膜となる。水素含有ガスは、窒素を含んでもよい。この場合、保護膜PRは金属窒化膜となる。窒素を含む水素含有ガスの例は、アンモニアガス、窒素ガスと水素ガスとの混合ガスを含む。
【0115】
工程ST13は以下のように行われ得る。まず、ガス供給部20により、保護膜形成用処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に供給する。次に、プラズマ生成部12により、プラズマ処理チャンバ10内で処理ガスからプラズマを生成する。制御部2は、プラズマにより凹部RSの側壁に保護膜PRが形成されるように、ガス供給部20及びプラズマ生成部12を制御する。
【0116】
工程ST14では、
図14(a)及び
図14(b)に示されるように、基板W3のエッチング対象膜RE3上にシリル化剤を供給し、エッチング対象膜RE3の表面の少なくとも一部にシリル化剤を吸着させる。工程ST14では、エッチング対象膜RE3の表面の少なくとも一部に、シリル化剤が吸着した吸着部位SR3が形成されてもよい。なお、
図14(a)及び
図14(b)では、吸着部位SR3が層状に記載されているが,工程ST14では、必ずしもシリル化剤の吸着により層が形成されていなくてもよい。すなわち、
図14(a)及び
図14(b)中の吸着部位SR3は、シリル化剤が吸着した部位を概略的に示しているにすぎず、基板W3上に吸着部位SR3に相当する層が形成される必要はない。シリル化剤については、上述のとおりでよい。
【0117】
工程ST14では、
図14(a)で示されるように、保護膜PR上にシリル化剤が吸着してもよい。シリル化剤は、凹部RSの側壁に吸着してもよく、凹部RSの底面に吸着してもよく、下地膜UR3に吸着してもよく、開口OPの側壁に吸着してもよく、マスクMKの上面に吸着してもよい。工程ST14では、
図14(b)で示されるように、保護膜PR及び下地膜UR3にシリル化剤が吸着しなくてもよい。
【0118】
また、工程ST14では、基板W3のエッチング対象膜RE3上にシリル化剤を供給し、エッチング対象膜RE3の表面にシリル化剤を吸着させた後、所定の方法で凹部RSの浅い領域においてエッチング対象膜RE3上のシリル化剤を除去して、凹部RSの深い領域(下部領域)に選択的にシリル化剤を吸着してもよい。これにより、凹部RSの深い領域(下部領域)におけるエッチングを選択的に促進できる。浅い領域のシリル化剤を除去する方法は特に限定されず、例えば、酸素ラジカルによる除去等であってよい。このように工程ST14が、凹部RSの深い領域(下部領域)に選択的にシリル化剤を吸着できる工程である場合、工程ST13を実施せず、工程STの後に工程ST14を実施してもよい。
【0119】
工程ST15では、
図15に示されるように、第1処理ガスから生成される第1プラズマPL1により、エッチング対象膜RE3をエッチングする。工程ST15では、保護膜PRもエッチングされ得る。
【0120】
工程ST12において凹部RSの底が下地膜URに到達する場合、工程ST15では、凹部RSの側壁が主にエッチングされる。工程ST15では、例えば、凹部RSの側壁の下部領域が水平方向にエッチングされてよい。工程ST12において凹部RSの底が下地膜URに到達しない場合、工程ST15では、凹部RSの底が主にエッチングされる。
【0121】
第1処理ガスは、不活性ガスを含んでもよい。不活性ガスは、窒素ガス及び貴ガスのうち少なくとも1つを含んでもよい。貴ガスは、アルゴン(Ar)ガス、クリプトン(Kr)ガス又はキセノン(Xe)ガス等であってよい。また、第1処理ガスは、不活性ガスに代えて又は不活性ガスに加えて、酸素含有ガスを含んでいてもよい。酸素含有ガスは、例えば、酸素(O2)ガス、一酸化炭素(CO)ガス又は二酸化炭素(CO2)ガスであってよい。
【0122】
工程ST15は以下のように行われる。まず、ガス供給部20により、第1処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に供給する。次に、プラズマ生成部12により、プラズマ処理チャンバ10内で第1処理ガスから第1プラズマPL1を生成する。制御部2は、第1プラズマPL1によりエッチング対象膜RE3がエッチングされるように、ガス供給部20及びプラズマ生成部12を制御する。制御部2は、第1プラズマPL1により、エッチング対象膜RE3と、エッチング対象膜RE3の表面に吸着したシリル化剤に含まれるフッ素原子との反応を促進することによって、エッチング対象膜RE3がエッチングされるように、ガス供給部20及びプラズマ生成部12を制御してよい。
【0123】
なお、工程ST15は、第1のプラズマPL1に代えて又は第1のプラズマPL1に加えて、加熱装置を用いて基板W1を加熱することにより、エッチング対象膜RE3とフッ素原子との反応を促進してもよい。加熱装置は、例えば、静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置された1又は複数のヒータであってよい。また、加熱装置は、例えば、赤外線ランプ等であってよい。加熱温度は、例えば、100℃以上400℃以下であってよい。
【0124】
方法MT2は、工程ST14及び工程ST15を繰り返してもよい。このとき、方法MT2は工程ST16を含んでもよい。工程ST16では、停止条件が満たされるか否かが判定される。工程ST16において、停止条件は、例えば、繰り返しの実行回数が所定回数に達している場合に満たされてもよい。また、工程ST16において、停止条件は、例えば、エッチング対象膜RE3の凹部RSの深さが所定の深さに達している場合に満たされてもよい。また、工程ST16において、停止条件は、例えば、エッチング対象膜RE3の凹部RSの寸法(例えば凹部RSの底面における寸法)が所定の寸法に達している場合に満たされてもよい。
【0125】
工程ST16において、停止条件が満たされていないと判定される場合には、工程ST14及び工程ST15が再び実行される。工程ST16において、停止条件が満たされていると判定される場合には、工程ST17を実行するか、方法MT2を終了する。
【0126】
工程ST17では、プラズマ処理チャンバ10内から、エッチングされた基板W3が搬出される。
【0127】
工程ST17で搬出される基板W3は、
図16に示すように、凹部RSの寸法が上面(例えばマスクMKの近傍)と底面(例えば下地膜UR3の近傍)とで略同一であってもよい。工程ST17で搬出される基板W3は、保護膜PRを有していてもよく、保護膜PRが除去されていてもよい。
【0128】
上述の方法MT2によれば、工程ST14でエッチング対象膜RE3にシリル化剤を吸着させているため、工程ST15においてシリル化剤が吸着した吸着部位SR3において効率的にエッチングを進行させることができ、凹部形状を高精度で制御できる。
【0129】
方法MT2では、工程ST12において、凹部RSの底が下地膜URに到達しなくてもよい。
図19~
図21は、工程ST12において凹部RSの底が下地膜URに到達しない場合の、方法MT2の工程ST13~ST16を説明するための図である。
【0130】
図19に示すように、工程ST12において凹部RSの底が下地膜URに到達しない場合、工程ST13では、凹部RSの側壁の一部に保護膜PRが形成されてよい。保護膜PRは、開口OPの側壁に形成されてもよく、マスクMKの上面に形成されてもよい。
【0131】
図20に示すように、工程ST14では、凹部RSの側壁の一部及び底面に、シリル化剤が吸着した吸着部位SR3が形成されてもよい。また、工程ST14では、凹部RSの側壁及び底面にシリル化剤を吸着させた後、所定の方法で凹部RSの浅い領域においてエッチング対象膜RE3上のシリル化剤を除去して、凹部RSの深い領域(下部領域)に選択的に吸着部位SR3を形成してもよい。浅い領域のシリル化剤を除去する方法は特に限定されず、例えば、酸素ラジカルによる除去等であってよい。このように工程ST14が、凹部RSの深い領域(下部領域)に選択的にシリル化剤を吸着できる工程である場合、工程ST13を実施せず、工程ST12の後に工程ST14を実施してもよい。
【0132】
工程ST15では、エッチング対象膜RE3のエッチングが、エッチング対象膜RE3上の吸着部位SR3において、選択的に進行してよい。これにより、凹部RSの側壁の寸法が小さい部分及び凹部RSの底面においてエッチングを効率よく進行させることができ、凹部形状を高精度に制御できる。
【0133】
方法MT2では、工程ST12~工程ST15を繰り返してもよい。方法MT2において、工程ST16は、停止条件が満たされていないと判定される場合に、工程ST12~工程ST15を繰り返す工程であってもよい。
図21に示すように、再度の工程ST12及び工程ST15によって、より深い凹部RSが形成され、且つ、当該凹部RSの形状に対応した保護膜PRが形成された基板W3が、工程ST14に提供され得る。
【0134】
図17は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。
図17に示されるエッチング方法MT3(以下、「方法MT3」という)は、方法MT2を複数のチャンバを有する基板処理システムを用いて実施した場合の一例であり得る。方法MT3は、基板W3に適用され得る。
【0135】
工程ST21では、第1のチャンバに基板W3が搬入される。工程ST22は、方法MT2の工程ST12に対応する。工程ST22は、方法MT2の工程ST12と同様に実施され得る。工程ST23では、第1のチャンバから基板W3が搬出される。
【0136】
工程ST24では、第2のチャンバに基板W3が搬入される。工程ST25、工程ST26、工程ST27及び工程ST28はそれぞれ、方法MT2の工程ST13、工程ST14、工程ST15及び工程ST16に対応する。工程ST25、工程ST26、工程ST27及び工程ST28はそれぞれ、方法MT2の工程ST13、工程ST14、工程ST15及び工程ST16と同様に実施され得る。工程ST29では、第2のチャンバから基板W3が搬出される。
【0137】
図18は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。
図18に示されるエッチング方法MT4(以下、「方法MT4」という)は、方法MT2を複数のチャンバを有する基板処理システムを用いて実施した場合の一例であり得る。方法MT4は、基板W3に適用され得る。
【0138】
工程ST31では、第1のチャンバに基板W3が搬入される。工程ST32は、方法MT2の工程ST12に対応する。工程ST32は、方法MT2の工程ST12と同様に実施され得る。工程ST33では、第1のチャンバから基板W3が搬出される。
【0139】
工程ST34では、第2のチャンバに基板W3が搬入される。工程ST35は、方法MT2の工程ST13に対応する。工程ST35は、方法MT2の工程ST13と同様に実施され得る。工程ST36では、第2のチャンバから基板W3が搬出される。
【0140】
工程ST37では、第3のチャンバに基板W3が搬入される。工程ST38、工程ST39及び工程ST40はそれぞれ、方法MT2の工程ST14、工程ST15及び工程ST16に対応する。工程ST38、工程ST39及び工程ST40はそれぞれ、方法MT2の工程ST14、工程ST15及び工程ST16と同様に実施され得る。工程ST41では、第3のチャンバから基板W3が搬出される。
【0141】
以下、
図22を参照する。
図22は、一つの例示的実施形態に係る基板処理システムを示す図である。
図22に示す基板処理システムPSは、方法MT3又は方法MT4において用いられ得る。基板処理システムPSは、ロードポート102a~102d、容器4a~4d、ローダモジュールLM、アライナAN、ロードロックモジュールLL1,LL2、プロセスモジュールPM1~PM6、搬送モジュールTM、及び制御部2を備えている。なお、基板処理システムPSにおけるロードポートの個数、容器の個数、ロードロックモジュールの個数は一つ以上の任意の個数であり得る。また、基板処理システムPSにおけるプロセスモジュールの個数は、一つ以上の任意の個数であり得る。
【0142】
ロードポート102a~102dは、ローダモジュールLMの一縁に沿って配列されている。容器4a~4dはそれぞれ、ロードポート102a~102d上に搭載されている。容器4a~4dの各々は、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)と称される容器である。容器4a~4dの各々は、その内部に基板Wを収容するように構成されている。
【0143】
ローダモジュールLMは、チャンバを有する。ローダモジュールLMのチャンバ内の圧力は、大気圧に設定される。ローダモジュールLMは、搬送装置TU1を有する。搬送装置TU1は、例えば搬送ロボットであり、制御部2によって制御される。搬送装置TU1は、ローダモジュールLMのチャンバを介して基板Wを搬送するように構成されている。搬送装置TU1は、容器4a~4dの各々とアライナANとの間、アライナANとロードロックモジュールLL1,LL2の各々との間、ロードロックモジュールLL1,LL2の各々と容器4a~4dの各々との間で、基板Wを搬送し得る。アライナANは、ローダモジュールLMに接続されている。アライナANは、基板Wの位置の調整(位置の較正)を行うように構成されている。
【0144】
ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2の各々は、ローダモジュールLMと搬送モジュールTMとの間に設けられている。ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2の各々は、予備減圧室を提供している。
【0145】
搬送モジュールTMは、ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2の各々にゲートバルブを介して接続されている。搬送モジュールTMは、その内部空間が減圧可能に構成された搬送チャンバTCを有している。搬送モジュールTMは、搬送装置TU2を有している。搬送装置TU2は、例えば搬送ロボットであり、制御部2によって制御される。搬送装置TU2は、搬送チャンバTCを介して基板Wを搬送するように構成されている。搬送装置TU2は、ロードロックモジュールLL1,LL2の各々とプロセスモジュールPM1~PM6の各々との間、及び、プロセスモジュールPM1~PM6のうち任意の二つのプロセスモジュールの間において、基板Wを搬送し得る。
【0146】
プロセスモジュールPM1~PM6の各々は、専用の基板処理を行うように構成された装置である。プロセスモジュールPM1~PM6のうち一つのプロセスモジュールは、方法MT2において用いられるプラズマ処理装置1であってもよい。
【0147】
プロセスモジュールPM1~PM6のうち一つのプロセスモジュールにおいて方法MT3の工程ST22を行い、プロセスモジュールPM1~PM6のうち別の一つのプロセスモジュールにおいて方法MT3の工程ST25~工程ST28を行ってもよい。
【0148】
プロセスモジュールPM1~PM6のうち一つのプロセスモジュールにおいて方法MT4の工程ST32を行ってもよい。また、プロセスモジュールPM1~PM6のうち別の一つのプロセスモジュールにおいて方法MT4の工程ST35を行ってもよい。また、プロセスモジュールPM1~PM6のうち更に別の一つのプロセスモジュールにおいて方法MT4の工程ST38、工程ST39及び工程ST40を行ってもよい。
【0149】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0150】
例えば、方法MT1~方法MT4の各工程は任意に組み合わされてもよい。
【0151】
方法MT2では、工程ST17の前又は工程ST17の後に、保護膜PRを除去する工程が行われてもよい。また、方法MT2では、工程ST17の前又は工程ST17の後に、マスクMKを除去する工程が行われてもよい。
【0152】
方法MT3では、工程ST29の前又は工程ST29の後に、保護膜PRを除去する工程が行われてもよい。また、方法MT3では、工程ST29の前又は工程ST29の後に、マスクMKを除去する工程が行われてもよい。
【0153】
方法MT4では、工程41の前又は工程ST41の後に、保護膜PRを除去する工程が行われてもよい。また、方法MT4では、工程ST41の前又は工程ST41の後に、マスクMKを除去する工程が行われてもよい。
【0154】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[E1]~[E20]に記載する。
【0155】
[E1]
(a)シリコン含有膜を含むエッチング対象膜の少なくとも一部に、C-F結合を有するシリル化剤を吸着させる工程と、
(b)前記エッチング対象膜をエッチングする工程と、
を含む、エッチング方法。
【0156】
[E2]
前記(b)において、前記エッチング対象膜と、前記エッチング対象膜に吸着した前記シリル化剤に含まれるフッ素原子との反応により、前記エッチング対象膜をエッチングする、[E1]に記載のエッチング方法。
【0157】
[E3]
前記(b)において、不活性ガス及び酸素含有ガスからなる群より選択される少なくとも一種を含む第1処理ガスから生成される第1プラズマにより、前記反応を促進する、[E2]に記載のエッチング方法。
【0158】
[E4]
前記(b)において、前記エッチング対象膜を加熱することにより、前記反応を促進する、[E2]又は[E3]に記載のエッチング方法。
【0159】
[E5]
前記シリコン含有膜が、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜からなる群より選択される少なくとも一種を含む、[E1]~[E4]のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【0160】
[E6]
前記エッチング対象膜が、シリコン酸化膜と、シリコン酸化膜以外の膜と、を含む、[E1]~[E5]のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【0161】
[E7]
(a)少なくとも1つの凹部を有し、シリコン含有膜を含むエッチング対象膜を含む基板を提供する工程と、
(b)前記凹部の側壁の少なくとも一部にC-F結合を有するシリル化剤を吸着させる工程と、
(c)前記エッチング対象膜をエッチングする工程と、
を含む、エッチング方法。
【0162】
[E8]
前記(b)において、前記側壁の下部領域に、前記シリル化剤を選択的に吸着させる、[E7]に記載のエッチング方法。
【0163】
[E9]
前記(c)において、前記側壁と、前記側壁に吸着した前記シリル化剤に含まれるフッ素原子との反応により、前記側壁をエッチングする、[E7]又は[E8]に記載のエッチング方法。
【0164】
[E10]
前記(c)において、不活性ガス及び酸素含有ガスからなる群より選択される少なくとも一種を含む第1処理ガスから生成される第1プラズマにより、前記反応を促進する、[E9]に記載のエッチング方法。
【0165】
[E11]
前記(c)において、前記側壁の下部領域を水平方向にエッチングする、[E7]~[E10]のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【0166】
[E12]
前記(a)の後、且つ、前記(b)の前に、前記側壁の少なくとも一部に保護膜を形成する工程を更に含む、[E7]~[E11]のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【0167】
[E13]
前記(a)の後、且つ、前記(b)の前に、前記側壁の上部領域に保護膜を形成する工程を更に含み、
前記(c)において、前記側壁の下部領域を水平方向にエッチングする、[E12]に記載のエッチング方法。
【0168】
[E14]
前記保護膜が、ALD法、CVD法及びMLD法からなる群より選択される方法により形成される、[E12]又は[E13]に記載のエッチング方法。
【0169】
[E15]
前記保護膜が、前記凹部の前記側壁の第1領域上において第1厚みを有し、前記凹部の前記側壁の前記第1領域より深い位置の第2領域上において、前記第1厚みより小さい第2厚みを有する、[E12]~[E14]のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【0170】
[E16]
前記(a)が、
(a-1)エッチング対象膜と、前記エッチング対象膜上のマスクとを含む基板を提供する工程であって、前記マスクが少なくとも1つの開口を有する、工程と、
(a-2)第2処理ガスから生成される第2プラズマにより、前記開口を介して前記エッチング対象膜をエッチングして、前記凹部を形成する工程と、
を含む、[E7]~[E15]のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【0171】
[E17]
前記凹部のアスペクト比が5以上である、[E7]~[E16]のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【0172】
[E18]
前記(b)が、
(b-1)前記凹部の側壁の少なくとも一部に前記シリル化剤を吸着させる工程と、
(b-2)前記(b-1)の後、前記側壁に吸着した前記シリル化剤の一部を除去する工程と、
を含む、[E7]~[E17]のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【0173】
[E19]
チャンバと、
前記チャンバ内において基板を支持するための基板支持器であり、前記基板は、シリコン含有膜を含むエッチング対象膜を有する、基板支持器と、
C-F結合を有するシリル化剤を前記チャンバ内に供給するように構成されたガス供給部と、
を備える、プラズマ処理装置。
【0174】
[E20]
制御部を更に備え、
前記制御部は、前記エッチング対象膜の少なくとも一部に前記シリル化剤を吸着させた後に、前記エッチング対象膜と、前記エッチング対象膜に吸着したシリル化剤に含まれるフッ素原子との反応により、前記エッチング対象膜をエッチングする処理を実行するように構成される、[E19]に記載のプラズマ処理装置。
【0175】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0176】
1…プラズマ処理装置、2…制御部、10…プラズマ処理チャンバ、11…基板支持部、12…プラズマ生成部、20…ガス供給部、MK…マスク、PL1,PL2…プラズマ、PR…保護膜、RE1,RE2,RE3…エッチング対象膜、RS…凹部、W,W1,W2,W3…基板。