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特開2024-98955電極及びこれを含む半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098955
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】電極及びこれを含む半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 63/00 20230101AFI20240717BHJP
   H10N 70/20 20230101ALI20240717BHJP
   H10N 70/00 20230101ALI20240717BHJP
   H10N 97/00 20230101ALI20240717BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H10B63/00
H10N70/20
H10N70/00 Z
H10N97/00
H01L21/302 105B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023205079
(22)【出願日】2023-12-05
(31)【優先権主張番号】10-2023-0004027
(32)【優先日】2023-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】310024033
【氏名又は名称】エスケーハイニックス株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK hynix Inc.
【住所又は居所原語表記】2091, Gyeongchung-daero,Bubal-eub,Icheon-si,Gyeonggi-do,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トン チャ ドク
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョン ミョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ コ ラク
【テーマコード(参考)】
5F004
5F083
【Fターム(参考)】
5F004AA11
5F004BA11
5F004DB00
5F004EA27
5F083FZ10
5F083JA35
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA38
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA45
5F083JA60
5F083PR04
5F083PR05
5F083PR06
5F083PR36
(57)【要約】
【課題】炭素電極の表面平坦化及び硬化によりエッチング抵抗性を高め、後続工程において炭素の流失を最小化できる電極及びこれを含む半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る電極の製造方法は、炭素層を形成するステップと、イオンビームエッチング工程を行って炭素層の表面を平坦化及び硬化させるステップと、不純物ドーピング工程を行うステップとを含むことができる。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素層を形成するステップと、
イオンビームエッチング工程を行って前記炭素層の表面を平坦化及び硬化させるステップと、
前記炭素層内に不純物をドーピングするための不純物ドーピング工程を行うステップと、
を含み、
前記炭素層は、前記イオンビームエッチング工程及び前記不純物ドーピング工程を行って電極に変換される電極の製造方法。
【請求項2】
前記不純物ドーピング工程は、低エネルギーイオン注入(Low Energy Ion Implantation)工程またはプラズマドーピング(Plasma Doping、「PLAD」)工程により行われる請求項1に記載の電極の製造方法。
【請求項3】
前記低エネルギーイオン注入工程は、1~5KeVのエネルギー及び1.0×1013~1.0×1016cm-2のイオン注入量(dose)の条件下でなされる請求項2に記載の電極の製造方法。
【請求項4】
前記PLAD工程は、1~5KeVのエネルギー及び1.0×1013~1.0×1016cm-2のイオン注入量の条件下でなされる請求項1に記載の電極の製造方法。
【請求項5】
前記不純物ドーピング工程によりドーピングされる不純物は、窒素(N)、ホウ素(B)、またはその組み合わせのうち、少なくとも1つを含む請求項1に記載の電極の製造方法。
【請求項6】
前記不純物ドーピング工程が行われた後、前記炭素層の厚みは、前記不純物ドーピング工程が行われる前の前記炭素層の厚みより薄い請求項1に記載の電極の製造方法。
【請求項7】
前記不純物ドーピング工程が行われた後、前記炭素層の前記表面は、前記不純物ドーピング工程が行われる前の前記炭素層の前記表面より硬い請求項1に記載の電極の製造方法。
【請求項8】
基板上に第1の電極層を形成するステップと、
前記第1の電極層上部に窒化物層及び酸化物層を順次形成するステップと、
前記窒化物層及び前記酸化物層にイオン注入工程を行ってドーパントを導入し、セレクタ層を形成するステップと、
前記セレクタ層上部に第2の電極層を形成するステップと、
を含み、
前記第1の電極層を形成するステップまたは前記第2の電極層を形成するステップの少なくとも1つは、
炭素層を形成するステップと、
イオンビームエッチング工程を行って前記1つ以上の炭素層の表面を平坦化及び硬化させるステップと、
不純物ドーピング工程を行うステップと、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記窒化物層は、1~2nmの厚みで形成される請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記酸化物層は、6~12nmの厚みで形成される請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記窒化物層は、シリコン窒化物、チタニウム窒化物、アルミニウム窒化物、タングステン窒化物、ハフニウム窒化物、タンタル窒化物、ニオブ窒化物、イットリウム窒化物、ジルコニウム窒化物、またはその組み合わせのうち、少なくとも1つを含み、
前記酸化物層は、シリコン酸化物、チタニウム酸化物、アルミニウム酸化物、タングステン酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、ニオブ酸化物、イットリウム酸化物、ジルコニウム酸化物、またはその組み合わせのうち、少なくとも1つを含み、
前記ドーパントは、ホウ素(B)、窒素(N)、炭素(C)、リン(P)、ヒ素(As)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、タングステン(W)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、またはその組み合わせのうち、少なくとも1つを含む請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記基板と前記第1の電極層との間、または前記第2の電極層上部にメモリ層を形成するステップをさらに含む請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記メモリ層を形成することは、前記メモリ層に印加された電圧に基づいて他の電気的伝導状態を有するセレクタ層を形成することを含む請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記メモリ層を形成することは、前記メモリ層に印加された電圧に基づいて他の抵抗状態を有するメモリパターンを形成することを含む請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記メモリ層が前記基板と前記第1の電極層との間に形成される場合、前記基板と前記メモリ層との間に、または前記メモリ層が前記第2の電極層上部に形成される場合、前記メモリ層上部に、第3の電極層を形成するステップをさらに含む請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記第3の電極層は、金属、窒化物、シリサイド、またはその組み合わせで形成される請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記不純物ドーピング工程は、低エネルギーイオン注入(Low Energy Ion Implantation)工程またはプラズマドーピング(Plasma Doping、「PLAD」)工程により行われる請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記低エネルギーイオン注入工程は、1~5KeVのエネルギー及び1.0×1013~1.0×1016cm-2のイオン注入量(dose)の条件下でなされる請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記PLAD工程は、1~5KeVのエネルギー及び1.0×1013~1.0×1016cm-2のイオン注入量の条件下でなされる請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記不純物ドーピング工程によりドーピングされる不純物は、窒素(N)、ホウ素(B)、またはその組み合わせを含む請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許文献は、メモリ回路または装置と、半導体装置におけるこれらの応用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、低電力化、高性能化、多様化などによって、コンピュータ、携帯用通信機器など、様々な電子機器で情報を格納できる半導体装置が求められており、これについての研究が進まれている。このような半導体装置では、印加される電圧または電流によって互いに異なる抵抗状態間でスイッチングする特性を利用してデータを格納できる半導体装置、例えば、RRAM(Resistive Random Access Memory)、PRAM(Phase-change Random Access Memory)、FRAM(登録商標)(Ferroelectric Random Access Memory)、MRAM(Magnetic Random Access Memory)、電子ヒューズ(E-fuse)などがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施形態等が解決しようとする課題は、炭素電極の表面平坦化及び硬化によりエッチング抵抗性を高め、後続工程において炭素の流失を最小化できる電極及びこれを含む半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る電極の製造方法は、炭素層を形成するステップと、イオンビームエッチング工程を行って炭素層の表面を平坦化及び硬化させるステップと、不純物ドーピング工程を行うステップとを含むことができる。
【0005】
上記課題を解決するための本発明の他の一実施形態に係る半導体装置の製造方法は、基板上に第1の電極層を形成するステップと、前記第1の電極層上部に窒化物層及び酸化物層を順次形成するステップと、前記窒化物層及び前記酸化物層にイオン注入工程を行ってドーパントを導入し、セレクタ層を形成するステップと、前記セレクタ層上部に第2の電極層を形成するステップとを含み、前記第1の電極層を形成するステップまたは前記第2の電極層を形成するステップの少なくとも1つは、炭素層を形成するステップと、イオンビームエッチング工程を行って前記1つ以上の炭素層の表面を平坦化及び硬化させるステップと、不純物ドーピング工程を行うステップとを含むことができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態等によれば、炭素電極の表面平坦化及び硬化によりエッチング抵抗性を高め、後続工程において炭素の流失を最小化できる電極及びこれを含む半導体装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本発明の一実施形態に係る電極の製造方法を説明するための図である。
図1B】本発明の一実施形態に係る電極の製造方法を説明するための図である。
図1C】本発明の一実施形態に係る電極の製造方法を説明するための図である。
図2A】本発明の一実施形態に係る半導体装置を示す図である。
図2B】本発明の一実施形態に係る半導体装置を示す図である。
図3A】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
図3B】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
図3C】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
図3D】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
図3E】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
図3F】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
図3G】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
図3H】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
図3I】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
図3J】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
図4】本発明の他の一実施形態に係る半導体装置を示す図である。
図5】本発明の他の一実施形態に係る半導体装置を示す図である。
図6】本発明の他の一実施形態に係る半導体装置を示す図である。
図7】本発明の他の一実施形態に係る半導体装置を示す図である。
図8】本発明の他の一実施形態に係る半導体装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下では、添付された図面を参照して様々な実施形態が詳細に説明される。
【0009】
図面は、必ずしも一定の割合で図示されたものとはいえず、いくつかの例示において、実施形態等の特徴を明確に見せるために図面に示された構造物のうち、少なくとも一部の比例は誇張されることもできる。図面または詳細な説明に2つ以上の層を有する多層構造物が開示された場合、図示されたような層等の相対的な位置関係や配列順序は、特定実施形態を反映するだけであり、本発明がこれに限定されるものではなく、層等の相対的な位置関係や配列順序は変わることもできる。また、多層構造物の図面または詳細な説明は、特定多層構造物に存在する全ての層を反映しないこともできる(例えば、図示された2つの層の間に1つ以上の追加層が存在することもできる)。例えば、図面または詳細な説明の多層構造物において第1層が第2層上にあるか、または基板上にある場合、第1層が第2層上に直接形成されるか、または基板上に直接形成され得ることを表すだけでなく、1つ以上の他の層が第1層と第2層との間または第1層と基板との間に存在する場合も表すことができる。
【0010】
図1A図1Cは、本発明の一実施形態に係る電極の製造方法を説明するための図である。
【0011】
図1A図1Cの実施形態では、電極自体の製造方法だけを示し、電極の上部及び下部に配置されることができる電極以外の構造については、その説明を省略する。
【0012】
図1Aに示すように、炭素層10Aが形成され得る。
【0013】
炭素は、高抵抗及び高仕事関数特性を有し、電極に有利に適用されることができる。特に、セレクタ層とメモリ層とが同一素子の上下部に積層された形態の構造を有するメモリセルにおいて、セレクタ層に隣接した電極に炭素電極が適用される場合、金属電極、ナイトライド系の電極、またはシリサイド系の電極に比べて安定的かつ均一なセレクタ層を形成できる。
【0014】
炭素層10Aは、厚みT1で形成されることができる。
【0015】
炭素層10Aは、物理的蒸着方式、例えば、スパッタリング(sputtering)方式で形成されることができる。
【0016】
図1Bに示すように、炭素層10Aに対してイオンビームエッチング(Ion Beam Etch)工程を行うことができる。イオンビームエッチング工程により厚みが減少され、表面が平坦化及び硬化された炭素層10Aを初期電極10Bとして表す。
【0017】
炭素層10Aは、スパッタリング方式などにより蒸着されて、表面の粗さ(roughness)が不良かつ不安定であるという問題がある。このような場合、上部にイオン注入絶縁層からなるセレクタ層形成工程中に炭素が容易に消失されて電極が形態を保存し難くなり、セレクタ層の膜質が劣化され、メモリセルの動作電圧が均一でないという問題が生じることがある。
【0018】
本実施形態では、イオンビームエッチング工程により炭素層10Aをエッチバックし、電極分離(isolation)が容易な水準に十分に薄く残留させながら表面粗さを安定的に維持させることができる。以下、炭素層10Aの残留部分を初期電極10Bという。すなわち、初期電極10Bは、表面が平坦化され、十分に減少された表面粗さを表すことができる。これは、炭素層10Aの厚みは、表面粗さと比例するためである。すなわち、炭素層10Aの厚みが増加するほど、表面粗さが増加し、炭素層10Aの厚みが減少するほど、表面粗さが減少しうる。結果として、初期電極10Bの表面粗さが減少され得る。
【0019】
また、イオンビームエッチング工程により形成された初期電極10Bは、表面部位が内部に比べてより緻密化され、炭素層10Aに比べて約3倍以上のエッチング抵抗性を有することができる。初期電極10Bにおいて、平坦化され、硬度が増加された表面部位をS1として表す。
【0020】
初期電極10Bの厚みT2範囲の下限は、表面粗さの安定化側面を考慮して設定されることができ、一実施形態において、約2nmであることができる。初期電極10Bの厚みT2範囲の上限は、炭素層10Aの厚みT1によって変わることができる。すなわち、炭素層10Aの厚みT1が大きくなるほど、初期電極10Bの厚みT2も大きくなることができる。
【0021】
このように形成された初期電極10Bは、本実施形態に係る電極として作用することができる。また、一実施形態において、初期電極10Bの表面硬度をさらに増加させるための追加的な工程をさらに行うこともできる。これについては、図1Cを参照して説明する。
【0022】
図1Cに示すように、初期電極10Bに対して不純物をドーピングすることができる。不純物がドーピングされた初期電極10Bを電極10として表す。
【0023】
不純物ドーピングにより電極10の密度が増加するようになり、これにより、抵抗が増加することによって電極10の媒質が強化され得る。したがって、不純物ドーピングにより電極10の表面硬度がさらに増加しうる。
【0024】
電極10において、硬度がさらに増加された表面部位をS2として表す。
【0025】
不純物は、窒素(N)、ホウ素(B)、またはその組み合わせを含むことができる。
【0026】
不純物ドーピングは、低エネルギーイオン注入(Low Energy Ion Implantation)工程またはプラズマドーピング(Plasma Doping、「PLAD」)工程により行われることができる。低エネルギーイオン注入工程またはPLAD工程により不純物をドーピングすることにより、電極10の密度、及びこれにより抵抗を増加させて媒質を強化させ、表面硬度を高める効果を得るとともに、表面粗さの劣化を防止できる。
【0027】
一実施形態において、低エネルギーイオン注入工程は、1~5KeVのエネルギー及び1.0×1013~1.0×1016cm-2のイオン注入量(dose)の条件下でなされることができる。
【0028】
一実施形態において、PLAD工程は、1~5KVのエネルギー及び1.0×1013~1.0×1016cm-2のイオン注入量の条件下でなされることができる。
【0029】
不純物ドーピングにより形成された電極10は、表面の平坦化及び硬度向上がなされた初期電極10Bに追加的な表面強化効果を提供することにより、さらに向上した表面硬度を表すことができる。
【0030】
電極10は、厚みT3で形成されることができる。イオン注入工程の際、初期電極10Bの上部一部が損失するので、電極10の厚みT3は、初期電極10Bの厚みT2より小さいことができる。
【0031】
前述した方法によって形成された本実施形態に係る初期電極10Bまたは電極10は、電極分離が容易な水準であって、十分に薄い厚みを有しながらも、表面粗さを安定的に維持することができる。また、本実施形態に係る初期電極10Bまたは電極10は、表面部位が内部より緻密化され、硬化されて表面硬度が増加することにより、上部にイオン注入絶縁層からなるセレクタ層を形成する場合、イオン注入による炭素の流失を最小化できる。
【0032】
本実施形態に係る初期電極10Bまたは電極10は、セレクタ層とメモリ層とが同一素子の上下部に積層された形態の構造を有するメモリセルの電極として適用されることができる。これについては、図2A及び図2Bを参照してさらに詳細に説明する。
【0033】
図2A及び図2Bは、本発明の一実施形態に係る半導体装置を示す図である。図1A図1Cに示された実施形態と関連して前記説明された内容と類似した内容については、本実施形態においてその詳細な説明を省略する。
【0034】
図2A及び図2Bに示すように、本実施形態の半導体装置は、基板100上に形成され、第1の方向に延びる第1の導電ライン110、第1の導電ライン110上に位置し、第1の方向と交差する第2の方向に延びる第2の導電ライン130、及び第1の導電ライン110と第2の導電ライン130との間でこれらのそれぞれの交差点に配置されるメモリセル120を備えるクロスポイント構造を有することができる。
【0035】
基板100は、半導体物質、例えば、シリコンなどを含むことができる。基板100内には、求められる所定の下部構造物(図示せず)が形成され得る。例えば、下部構造物は、基板100上に形成される第1の導電ライン110及び/又は第2の導電ライン130を制御するために電気的に連結される駆動回路(図示せず)を備えることができる。
【0036】
第1の導電ライン110及び第2の導電ライン130は、メモリセル120と接続して、メモリセル120に電圧または電流を伝達することによりメモリセル120を駆動させることができる。第1の導電ライン110及び第2の導電ライン130のいずれか1つはワードラインとして、他の1つはビットラインとして機能することができる。第1の導電ライン110及び第2の導電ライン130は、導電物質を含む単一膜構造または多重膜構造を有することができる。導電物質の例は、金属、金属窒化物、導電性炭素物質、またはその組み合わせを含むことができるが、これに制限されるものではない。例えば、第1の導電ライン110及び第2の導電ライン130は、タングステン(W)、チタニウム(Ti)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉛(Pd)、タングステン窒化物(WN)、タングステンシリサイド(WSi)、チタニウム窒化物(TiN)、チタニウムシリコン窒化物(TiSiN)、チタニウムアルミニウム窒化物(TiAlN)、タンタル窒化物(TaN)、タンタルシリコン窒化物(TaSiN)、タンタルアルミニウム窒化物(TaAlN)、炭素(C)、シリコンカーバイド(SiC)、シリコンカーボン窒化物(SiCN)、またはその組み合わせを含むことができる。
【0037】
メモリセル120は、第1の導電ライン110と第2の導電ライン130との交差領域と重なるように第1の方向及び第2の方向に沿ってマトリックス形態で配列されることができる。メモリセル120は、第1の導電ライン110と第2の導電ライン130との交差領域以下のサイズを有することができ、または、この交差領域より大きいサイズを有することもできる。
【0038】
メモリセル120の形状は、円柱状または四角柱状を有することができるが、これに制限されるものではない。
【0039】
第1の導電ライン110、第2の導電ライン130、及びメモリセル120の間の空間は、絶縁物質(図示せず)で埋め込まれることができる。
【0040】
メモリセル120は、積層構造を含むことができ、積層構造は、下部電極121、セレクタパターン122、中間電極123、メモリパターン124、及び上部電極125を備えることができる。
【0041】
図2Bに示された下部電極121は、図1Cに示された電極10に対応することができる。これにより、本実施形態において、前述した実施形態と類似した内容については、詳細な説明を省略する。
【0042】
下部電極121は、メモリセル120の最下部に位置し、第1の導電ライン110と電気的に連結されて、第1の導電ライン110とメモリセル120との間の電流または電圧の伝達通路として機能することができる。中間電極123は、セレクタパターン122とメモリパターン124との間に位置し、これらを物理的に区分しながら、これらを電気的に接続させる役割をすることができる。上部電極125は、メモリセル120の最上部に位置し、第2の導電ライン130とメモリセル120との間の電流または電圧の伝達通路として機能することができる。
【0043】
中間電極123及び上部電極125は、様々な導電物質、例えば、金属、窒化物、シリサイド系物質、またはこれらの組み合わせなどを含む単一膜構造または多重膜構造を有することができる。例えば、中間電極123及び上部電極125は、タングステン(W)、チタニウム(Ti)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉛(Pd)、クロム(Cr)、タングステン窒化物(WN)、タングステンシリサイド(WSi)、チタニウムシリサイド(TiSi)、チタニウム窒化物(TiN)、チタニウムシリコン窒化物(TiSiN)、チタニウムアルミニウム窒化物(TiAlN)、タンタル窒化物(TaN)、タンタルシリコン窒化物(TaSiN)、タンタルアルミニウム窒化物(TaAlN)、またはその組み合わせを含むことができる。
【0044】
中間電極123及び上部電極125は、同じ物質で形成されるか、または互いに異なる物質で形成されることができる。
【0045】
中間電極123及び上部電極125は、同じ厚みを有するか、または互いに異なる厚みを有することができる。
【0046】
中間電極123及び上部電極125のうち、少なくとも1つは省略されることができる。例えば、上部電極125が省略される場合、省略された上部電極125の代りに、第2の導電ライン130が上部電極125の機能を果たすことができる。
【0047】
下部電極121は、炭素層を備えることができる。下部電極121の表面は、平坦化及び硬化されて、低い表面粗さを有することができる。また、下部電極121の表面部位は、内部に比べて緻密化された構造を有することができ、エッチング抵抗性がさらに増加しうる。スパッタリング方式により蒸着された通常的な炭素層と比較して、下部電極121の表面は、約3倍以上のエッチング抵抗性を有することができる。
【0048】
下部電極121の厚み範囲の下限は、表面粗さの安定化側面を考慮して設定されることができ、一実施形態において、約2nmであることができる。
【0049】
一実施形態において、下部電極121の表面部位には、不純物がドーピングされ得る。ドーピングされる不純物は、窒素、ホウ素、またはその組み合わせを含むことができる。下部電極121の表面部位に不純物がドーピングされる場合、不純物ドーピングがない場合に比べて、密度が増加するにつれて抵抗が増加し、媒質が強化され得る。結果として、下部電極121の表面硬度がさらに増加され得る。
【0050】
セレクタパターン122の下部に配置される下部電極121が炭素層を備え、表面が平坦化及び硬化されて高い表面硬度を有するので、上部にセレクタパターン122形成の際、イオン注入による炭素の損失を防止または最小化することができる。これにより、セレクタパターン122を安定的かつ均一に形成することができる。セレクタパターン122は、上部のメモリパターン124形成の際にメモリパターン124の安定的な結晶化に寄与するために平滑度(flatness)が極めて重要であり、これは、下部電極122から制御されてはじめて効果的である。本実施形態では、下部電極121が安定的な表面粗さ及び高い表面硬度を有し、表面構造が緻密化されて、セレクタパターン122の膜質が劣化されるか、メモリセルの動作電圧が不均一になる問題点を防止できる。また、炭素は、高抵抗及び高仕事関数特性を有するので、セレクタパターン122の動作のための電流水準を十分に減少させることができる。
【0051】
セレクタパターン122は、電流の流れを制御できる電流調整層であることができ、第1の導電ライン110または第2の導電ライン130を共有するメモリセル121間で発生しうる電流漏れを防止する機能をすることができる。このために、セレクタパターン122は、閾値スイッチング特性、すなわち、印加される電圧が所定閾値未満である場合には電流をほとんど流さず、印加される電圧が所定閾値以上になると、急に増加する電流を流す特性を有することができる。この閾値を閾値電圧といい、閾値電圧を基準にセレクタパターン122は、ターンオン状態またはターンオフ状態で実現されることができる。
【0052】
セレクタパターン122は、第1のセレクタパターン122-1及び第2のセレクタパターン122-2を備えることができる。
【0053】
第1のセレクタパターン122-1は、下部電極121上部に配置されることができ、窒化物及び1つ以上のドーパントを含むことができる。
【0054】
第1のセレクタパターン122-1に含まれる窒化物は、シリコン窒化物、チタニウム窒化物、アルミニウム窒化物、タングステン窒化物、ハフニウム窒化物、タンタル窒化物、ニオブ窒化物、イットリウム窒化物、ジルコニウム窒化物、またはその組み合わせを含むことができる。
【0055】
第1のセレクタパターン122-1に含まれるドーパントは、n型またはp型ドーパントを含むことができる。ドーパントは、例えば、ホウ素(B)、窒素(N)、炭素(C)、リン(P)、ヒ素(As)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、タングステン(W)、アンチモン(Sb)、及びゲルマニウム(Ge)からなる群より選ばれる1種以上を含むことができる。
【0056】
第2のセレクタパターン122-2は、第1のセレクタパターン122-1上部に配置されることができ、酸化物及び1つ以上のドーパントを含むことができる。
【0057】
第2のセレクタパターン122-2に含まれる酸化物は、シリコン酸化物、チタニウム酸化物、アルミニウム酸化物、タングステン酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、ニオブ酸化物、イットリウム酸化物、ジルコニウム酸化物、またはその組み合わせを含むことができる。
【0058】
第2のセレクタパターン122-2に含まれるドーパントは、n型またはp型ドーパントを含むことができる。ドーパントは、例えば、ホウ素(B)、窒素(N)、炭素(C)、リン(P)、ヒ素(As)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、タングステン(W)、アンチモン(Sb)、及びゲルマニウム(Ge)からなる群より選ばれる1種以上を含むことができる。
【0059】
セレクタパターン122は、平坦化及び硬化された表面を有する下部電極121上に形成されて、優れた平滑度特性を有することができ、これにより、上部に形成されるメモリパターン124形成の際、安定的な結晶化に寄与することができる。
【0060】
一実施形態において、セレクタパターン122形成のための絶縁物質は、酸化物、窒化物、酸窒化物、またはその組み合わせを含むことができる。セレクタパターン122にドーピングされるドーパントは、n型またはp型ドーパントを含むことができ、イオン注入工程により導入されることができる。一例として、セレクタパターン122は、ヒ素(As)またはゲルマニウム(Ge)がドーピングされたシリコン酸化物を含むことができる。
【0061】
メモリパターン124は、上端及び下端を介して印加される電圧または電流によって互いに異なる抵抗状態間でスイッチングすることにより、互いに異なるデータを格納する機能をすることができる。メモリパターン124は、RRAM、PRAM、FRAM(登録商標)、MRAMなどに用いられる物質、例えば、RRAM、PRAM、FRAM(登録商標)、MRAAMなどに用いられる可変抵抗特性を有する物質を含むことができる。メモリパターン124は、RRAM、PRAM、FRAM(登録商標)、MRAMなどに用いられる転移金属酸化物、ペロブスカイト(perovskite)系物質などのような金属酸化物、カルコゲナイド(chalcogenide)系物質などのような相変化物質、強誘電物質、強磁性物質などを含むことができる。
【0062】
例えば、メモリパターン124は、変更可能な磁化方向を有する自由層、固定された磁化方向を有する固定層、及び自由層と固定層との間に介在されるトンネルバリア層を備えるMTJ(Magnetic tunnel junction)構造を含むことができる。
【0063】
自由層は、変更可能な磁化方向を有することにより、互いに異なるデータを格納できる層であって、ストレージ層(storage layer)などとも呼ばれることができる。自由層は、相違した磁化方向の1つ、または相違した電子スピン方向の1つを有することができ、MTJ構造において自由層の極性(polarity)を切り替えて、抵抗値が変化され得る。一部実施形態において、自由層の極性は、MTJ構造に対する電圧または電流信号(例えば、特定閾値以上の駆動電流)を印加するとき、変化または反転される。自由層の極性変化によって自由層及び固定層は、互いに異なる磁化方向または互いに異なる電子のスピン方向を有するようになることで、メモリパターン124が互いに異なるデータを格納するか、または互いに異なるデータビットを表すことができる。自由層の磁化方向は、上から下へ向かう方向及び下から上へ向かう方向の間で可変されることができる。このような自由層の磁化方向の変化は、印加された電流または電圧により生成されるスピン伝達トルクにより導かれることができる。
【0064】
固定層は、固定された磁化方向を有することができ、このような固定された磁化方向は、自由層の磁化方向が変わる間、変化しない。固定層は、基準層(reference layer)などとも呼ばれることができる。一部実施形態において、固定層は、上から下へ向かう磁化方向に固定されることができる。一部実施形態において、固定層は、下か亜上へ向かう磁化方向に固定されることができる。
【0065】
自由層及び固定層は、強磁性物質を含む単一膜または多重膜構造を有することができる。例えば、自由層及び固定層は、Fe、Ni、またはCoを主成分とする合金、例えば、Fe-Pt合金、Fe-Pd合金、Co-Pd合金、Co-Pt合金、Fe-Ni-Pt合金、Co-Fe-Pt合金、Co-Ni-Pt合金、Co-Fe-B合金などを含むか、または金属からなる積層構造、例えば、Co/Pt、Co/Pdなどの積層構造を含むことができる。
【0066】
トンネルバリア層は、データ読み取り及びデータ書き込み動作の両方で電子のトンネリングを可能にすることができる。トンネルバリア層は、絶縁性の酸化物、例えば、MgO、CaO、SrO、TiO、VO、NbO、Al、TiO、Ta、RuO、Bなどの酸化物を含むことができる。
【0067】
メモリパターン124は、単一膜構造を有するか、または2つ以上の膜の組み合わせで可変抵抗特性を表す多重膜構造を有することができる。しかし、本実施形態がこれに限定されるものではなく、メモリセル120は、メモリパターン124の代わりに、様々な方式で互いに異なるデータを格納できる他のメモリ層を備えることもできる。
【0068】
本実施形態において、メモリセル120は、順次積層された下部電極121、セレクタパターン122、中間電極123、メモリパターン124、及び上部電極125を備えるが、メモリセル120がデータ格納特性を有しさえすれば、様々に変形されることができる。例えば、中間電極123及び上部電極125のうち、少なくとも1つは省略されることができる。また、セレクタパターン122とメモリパターン124との位置は、互いに変わることができる。また、メモリセル120は、層121、122、123、124、125に加えて、メモリセル120の特性を向上させるか、工程を改善するための1つ以上の層(図示せず)をさらに備えることもできる。例えば、下部電極コンタクト及び上部電極コンタクトの少なくとも1つをさらに備えることができる。また、例えば、ハードマスクパターンが残留しうる。
【0069】
このように形成された複数のメモリセル120は、一定間隔で互いに離れて位置し、その間にはトレンチが形成され得る。複数のメモリセル120間のトレンチは、例えば、約1:1~40:1、または約10:1~40:1、または約10:1~20:1、または約5:1~10:1、または約10:1~15:1、または約1:1~25:1、または約1:1~30:1、または約1:1~35:1、または1:1~45:1、または約1:1~40:1の範囲内の高さ-対-幅(H/W)縦横比を有することができる。
【0070】
一部実施形態において、このようなトレンチは、基板100の上部表面に対して実質的に垂直な側壁を有することができる。また、一実施形態において、隣接するトレンチは、互いに実質的に等距離で離間することができる。しかし、他の一実施形態において、隣接するトレンチの間隔は、変化されることができる。
【0071】
本実施形態では、1層のクロスポイント構造物に関して説明したが、2層以上のクロスポイント構造物が垂直方向に積層されることもできる。
【0072】
次に、本実施形態の半導体装置の製造方法の一実施形態を説明する。下記の説明において、下部電極層121’、セレクタ層122’、中間電極層123’、メモリ層124’、及び上部電極層125’は、各々パターニング工程により下部電極121、セレクタパターン122、中間電極123、メモリパターン124、及び上部電極125で形成される物質層を表す。
【0073】
図3Aに示すように、所定の下部構造物(図示せず)が形成された基板100上に第1の導電ライン110を形成できる。第1の導電ライン110は、基板100上に第1の導電ライン110形成のための導電層を形成した後、第1の方向に延びるライン状のマスクパターンを利用してエッチングすることにより形成されることができる。
【0074】
図3Bに示すように、第1の導電ライン110上に炭素層121Aを形成できる。
炭素層121Aは、厚みT4で形成されることができる。
【0075】
炭素層121Aは、物理的蒸着方式、例えば、スパッタリング(sputtering)方式で形成されることができる。
【0076】
図3Cに示すように、炭素層121Aに対してイオンビームエッチング(Ion Beam Etch)工程を行うことができる。イオンビームエッチング工程により厚みが減少され、表面が平坦化及び硬化された炭素層121Aを初期下部電極層121Bとして表す。
【0077】
炭素層121Aは、スパッタリング方式などにより蒸着されて、表面粗さが不良かつ不安定なので、本実施形態では、このように形成された炭素層121Aをイオンビームエッチング工程によりエッチバックし、電極分離が容易な水準に十分に薄く残留させながら表面粗さを安定的に維持させることができる。すなわち、初期下部電極層121Bは、表面が平坦化され、十分に減少された表面粗さを表すことができる。また、初期下部電極層121Bは、表面部位が内部に比べて緻密化され、炭素層121Aに比べて約3倍以上のエッチング抵抗性を有することができる。初期下部電極層121Bにおいて、平坦化され、硬度が増加された表面部位をS3として表す。
【0078】
初期下部電極層121Bの厚みT5範囲の下限は、表面粗さの安定化側面を考慮して設定されることができ、一実施形態において、約2nmであることができる。初期下部電極層121Bの厚みT5範囲の上限は、炭素層121Aの厚みT4によって変わることができる。すなわち、炭素層121Aの厚みT4が大きくなるほど、初期下部電極層121Bの厚みT5も大きくなることができる。
【0079】
図3Dに示すように、初期下部電極層121Bに対して不純物をドーピングすることができる。不純物がドーピングされた初期下部電極層121Bを下部電極層121’として表す。
【0080】
不純物ドーピングにより下部電極層121’の密度が増加するようになり、これにより、抵抗が増加することで、下部電極層121’の媒質が強化され得る。したがって、不純物ドーピングにより下部電極層121’の表面硬度がさらに増加され得る。
【0081】
下部電極層121’において、硬度がさらに増加された表面部位をS4として表す。
【0082】
不純物は、窒素(N)、ホウ素(B)、またはその組み合わせを含むことができる。
【0083】
不純物ドーピングは、低エネルギーイオン注入(Low Energy Ion Implantation)工程またはプラズマドーピング(Plasma Doping、「PLAD」)工程により行われることができる。低エネルギーイオン注入工程またはPLAD工程により不純物をドーピングすることにより、下部電極層121’の密度、及びこれにより抵抗を増加させて媒質を強化させ、表面硬度を高める効果を得るとともに、表面粗さの劣化を防止できる。
【0084】
一実施形態において、低エネルギーイオン注入工程は、1~5KeVのエネルギー及び1.0×1013~1.0×1016cm-2のイオン注入量(dose)の条件下でなされることができる。
【0085】
一実施形態において、PLAD工程は、1~5KVのエネルギー及び1.0×1013~1.0×1016cm-2のイオン注入量の条件下でなされることができる。
【0086】
不純物ドーピングにより形成された下部電極層121’は、表面の平坦化及び硬度向上がなされた初期下部電極層121Bに媒質強化及び追加的な表面強化効果を提供することにより、さらに向上した表面硬度を表すことができる。
【0087】
下部電極層121’は、厚みT6で形成されることができる。イオン注入工程の際、初期下部電極層121Bの上部一部が損失するので、下部電極層121’の厚みT6は、初期下部電極層121Bの厚みT5より小さいことができる。
【0088】
不純物ドーピング工程は、選択的に行われることができる。すなわち、図3Cに示されたイオンビームエッチング工程後、不純物ドーピング工程なしに初期下部電極層121B上に窒化物層122Aを形成することもできる。不純物ドーピング工程は、媒質強化及び表面硬度向上のための選択である工程である。
【0089】
図3Eに示すように、下部電極層121’上部に窒化物層122Aを形成できる。
【0090】
窒化物層122Aは、後続工程であるイオン注入に起因する下部電極層121’での炭素流失を防止し、下部電極層121’を保護する役割をしながら、イオン注入により第1のセレクタ層122’-1に切り換えられて、最終的に第1のセレクタパターン122-1として形成されることができる。
【0091】
窒化物層122Aは、シリコン窒化物、チタニウム窒化物、アルミニウム窒化物、タングステン窒化物、ハフニウム窒化物、タンタル窒化物、ニオブ窒化物、イットリウム窒化物、ジルコニウム窒化物、シリコン酸窒化物、またはその組み合わせで形成されることができる。
【0092】
窒化物層122Aは、セレクタパターン122の一部に切り換えられる層であるので、その厚みは、最終結果物であるセレクタパターン122の安定的な厚みを確保するように設定されることができる。一実施形態において、セレクタパターン122は、約5~7nm程度の厚みで形成されるが、セレクタパターン122の厚みが厚すぎる場合、抵抗が増加し、Vf(Forward voltage)及びVth(Threshold voltage)が高まり、フォーミングフェイル(Forming fail)の恐れがあり、厚みが薄すぎる場合、抵抗が非常に小さくて、ブレークダウンフェイル(Breakdown fail)が誘発される可能性がある。したがって、セレクタパターン122が安定的な厚みを有し得るようにするためには、最終的にセレクタパターン122に切り換えられる窒化物層122A及びその上部に形成される酸化物層122Bの厚みを適宜制御しなければならない。一実施形態において、このような側面を考慮して、窒化物層122Aは、1~2nmの厚みを有することができる。
【0093】
図3Fに示すように、窒化物層122A上に酸化物層122Bを形成できる。
【0094】
酸化物層122Bは、後続工程であるイオン注入により第2のセレクタ層122’-2に切り換えられて、最終的に第2のセレクタパターン122-2として形成されることができる。
【0095】
酸化物層122Bは、シリコン酸化物、チタニウム酸化物、アルミニウム酸化物、タングステン酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、ニオブ酸化物、イットリウム酸化物、ジルコニウム酸化物、またはその組み合わせで形成されることができる。
【0096】
酸化物層122Bは、セレクタパターン122の一部に切り換えられる層であるので、その厚みは、最終結果物であるセレクタパターン122の安定的な厚みを確保するように設定されることができる。前述したように、セレクタパターン122が安定的な厚みを有し得るようにするためには、最終的にセレクタパターン122に切り換えられる窒化物層122A及び酸化物層122Bの厚みを適宜制御しなければならない。一実施形態において、このような側面を考慮して、酸化物層122Bは、6~12nmの厚みを有することができる。
【0097】
図3Gに示すように、窒化物層122A及び酸化物層122Bに対してイオン注入工程を行うことができる。
【0098】
イオン注入工程により窒化物層122A及び酸化物層122Bに導入されるドーパントは、n型またはp型ドーパントを含むことができる。ドーパントは、例えば、ホウ素(B)、窒素(N)、炭素(C)、リン(P)、ヒ素(As)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、タングステン(W)、アンチモン(Sb)、及びゲルマニウム(Ge)からなる群より選ばれる1種以上を含むことができる。
【0099】
イオン注入工程により窒化物122A及び酸化物層122Bは、第1のセレクタ層122’-1及び第2のセレクタ層122’-2に切り換えられて、セレクタ層122’を形成できる。
【0100】
図3Hに示すように、セレクタ層122’上部に中間電極層123’、メモリ層124’、及び上部電極層125’を順次形成できる。
【0101】
中間電極層123’及び上部電極層125’は、様々な導電物質、例えば、金属、窒化物、シリサイド系物質、またはこれらの組み合わせなどを含む単一膜構造または多重膜構造を有することができる。
【0102】
メモリ層124’は、RRAM、PRAM、FRAM(登録商標)、MRAMなどに用いられる物質、例えば、RRAM、PRAM、FRAM(登録商標)、MRAMなどに用いられる可変抵抗特性を有する物質で形成されることができる。一例として、メモリ層124’は、RRAM、PRAM、FRAM(登録商標)、MRAMなどに用いられる転移金属酸化物、ペロブスカイト(perovskite)系物質などのような金属酸化物、カルコゲナイド(chalcogenide)系物質などのような相変化物質、強誘電物質、強磁性物質などで形成されることができる。
【0103】
図3Iに示すように、マスクパターンをエッチングバリアとして、上部電極層125’、メモリ層124’、中間電極層123’、セレクタ層122’、及び下部電極層121’を順次エッチングし、下部電極121、セレクタパターン122、中間電極123、メモリパターン124、及び上部電極125が順次積層されたメモリセル120を形成できる。
【0104】
図3Jに示すように、上部電極125上に第2の導電ライン130を形成できる。第2の導電ライン130は、第2の導電ライン130形成のためのトレンチを有する絶縁層を形成した後、トレンチ内に第2の導電ライン130形成のための導電層を蒸着し、第2の方向に延びるライン状のマスクパターンを利用して導電層をエッチングすることにより形成されることができる。
【0105】
以上のような過程により、図2Bに示された半導体装置が形成され得る。
【0106】
本実施形態に係る半導体装置は、基板100上に順次形成された第1の導電ライン110、メモリセル120、及び第2の導電ライン130を備えることができる。メモリセル120は、順次形成された下部電極121、セレクタパターン122、中間電極123、メモリパターン124、及び上部電極125を備えることができる。
【0107】
下部電極121は、炭素層を備え、表面は、平坦化及び硬化されて、低い表面粗さを有することができる。また、下部電極121の表面部位は、内部に比べて緻密化された構造を有することができ、エッチング抵抗性がさらに増加しうる。スパッタリング方式により蒸着された通常的な炭素層と比較して、下部電極121の表面は、約3倍以上のエッチング抵抗性を有することができる。一実施形態において、下部電極121の表面部位には、不純物がドーピングされ得るし、この場合、媒質が強化されて表面硬度がさらに増加しうる。
【0108】
セレクタパターンは、窒化物とドーパントを含む第1のセレクタパターン122-1及び酸化物とドーパントを含む第2のセレクタパターン122-2の積層構造を有することができる。
【0109】
このような本実施形態による場合の長所を比較例と比べて説明する。
【0110】
スパッタリング方式により炭素層を蒸着して下部電極層を形成する比較例の場合、金属物質、ナイトライド系物質、またはシリサイド系物質で電極を形成する場合に比べて高抵抗及び高仕事関数観点で有利であり、上部にセレクタ層形成の際、イオン注入により消失される炭素の一部がセレクタ層にスキャッタリング(scattering)されても特性劣化が発生しないという長所がある。しかし、炭素層がスパッタリング方式により蒸着されるので、表面粗さが不良かつ不安定であって、容易に消失されてその形態を保存し難いという問題がある。また、上部に形成されるセレクタ層は、メモリセルの特性のために平滑度が非常に重要であり、これは、下部電極から制御されなければならないが、スパッタリング方式により蒸着された炭素からなる下部電極層は、表面粗さが不良なので、結果として、安定的かつ均一なセレクタ層形成が難しくなるという問題がある。
【0111】
本実施形態では、下部電極121形成の際、炭素層121Aを蒸着した後、イオンビームエッチングによるエッチバック工程により厚みを十分に減少させ、表面粗さを安定的に維持でき、表面硬度を増加させて、セレクタ層122’形成の際、イオン注入による炭素の消失を防止または最小化することができる。また、不純物ドーピング工程を行うことによって下部電極121の媒質をさらに強化し、表面硬度をさらに高めることができる。また、下部電極121の平滑度が安定的に制御されることにより、上部にセレクタパターン122を安定的かつ均一に形成することができる。さらに、高抵抗及び高仕事関数特性を有する炭素を下部電極121に適用することにより、セレクタパターン122動作のための電流水準を十分に低めることができる。
【0112】
本実施形態では、下部電極121形成の際、イオンビームエッチング工程及び不純物ドーピング工程を全て行ったが、他の実施形態では、不純物ドーピング工程が省略されることもできる。
【0113】
本実施形態では、下部電極121を本発明の一実施形態に係る電極形成方法、すなわち、炭素層蒸着、イオンビームエッチング工程実行及び不純物ドーピング工程実行により形成したが、セレクタパターン122の上部に配置される中間電極123または下部電極121及び中間電極123の両者を本発明の一実施形態に係る電極形成方法により形成することもできる。これについては、図4及び図5を参照して説明する。
【0114】
図4及び図5は、本発明の他の一実施形態に係る半導体装置を示す図である。図1A図1C図2A及び図2B図3A図3Jに示された実施形態との相違点を中心に説明する。
【0115】
図4に示すように、本実施形態に係る半導体装置は、下部電極221の代りに、セレクタパターン222の上部に配置される中間電極223が図1A図1Cに説明された電極製造方法により製造された点を除いては、図2A及び図2B図3A図3Jの実施形態と類似する。すなわち、本実施形態に係る半導体装置は、基板200上に順次形成された第1の導電ライン210、メモリセル220、及び第2の導電ライン230を備えることができ、メモリセル220は、順次形成された下部電極221、セレクタパターン222、中間電極223、メモリパターン224、及び上部電極225を備えることができる。セレクタパターン222は、第1のセレクタパターン222-1及び第2のセレクタパターン222-2を備えることができる。
【0116】
中間電極223は、図1A図1Cに説明された電極製造方法により形成されることができ、炭素層を備え、表面は、平坦化及び硬化されて、低い表面粗さを有することができる。また、中間電極223の表面部位は、内部に比べて緻密化された構造を有することができ、エッチング抵抗性がさらに増加しうる。一実施形態において、中間電極223の表面部位には、不純物がドーピングされ得るし、この場合、媒質が強化されて表面硬度がさらに増加しうる。
【0117】
下部電極221及び上部電極225は、金属、窒化物、シリサイド、またはその組み合わせで形成されることができる。
【0118】
図4に示された基板200、第1の導電ライン210、第2の導電ライン230、セレクタパターン222、メモリパターン224、及び上部電極225は、図2Bに示された基板100、第1の導電ライン110、第2の導電ライン130、セレクタパターン122、メモリパターン124、及び上部電極125に対応することができる。
【0119】
図5に示すように、本実施形態に係る半導体装置は、セレクタパターン322の下部及び上部に配置される下部電極321及び中間電極323が共に、図1A図1Cに説明された電極製造方法により製造された点を除いては、図2A及び図2B図3A図3Jの実施形態と類似する。すなわち、本実施形態に係る半導体装置は、基板300上に順次形成された第1の導電ライン310、メモリセル320、及び第2の導電ライン330を備えることができ、メモリセル320は、順次形成された下部電極321、セレクタパターン322、中間電極323、メモリパターン324、及び上部電極325を備えることができる。セレクタパターン322は、第1のセレクタパターン322-1及び第2のセレクタパターン322-2を備えることができる。
【0120】
下部電極321及び中間電極323は、図1A図1Cに説明された電極製造方法により形成されることができ、炭素層を備え、表面は、平坦化及び硬化されて、低い表面粗さを有することができる。また、下部電極321及び中間電極323の表面部位は、内部に比べて緻密化された構造を有することができ、エッチング抵抗性がさらに増加しうる。一実施形態において、下部電極321及び中間電極323の表面部位には、不純物がドーピングされ得るし、この場合、媒質が強化されて表面硬度がさらに増加しうる。また、セレクタパターン322に隣接した下部電極321及び中間電極323がこのように形成されることにより、炭素の高抵抗及び高仕事関数特性を活用してセレクタパターン322動作のための電流水準を十分に低めることができる。
【0121】
上部電極325は、金属、窒化物、シリサイド、またはその組み合わせで形成されることができる。
【0122】
図5に示された基板300、第1の導電ライン310、第2の導電ライン330、セレクタパターン322、メモリパターン324、及び上部電極325は、図2Bに示された基板100、第1の導電ライン110、第2の導電ライン130、セレクタパターン122、メモリパターン124、及び上部電極125に対応することができる。
【0123】
以上で説明された実施形態等においては、セレクタパターン122、222、322がメモリパターン124、224、324の下部に形成されているが、セレクタパターン122、222、322とメモリパターン124、224、324との位置は互いに変わることができる。これについては、図6図8を参照して説明する。図1A図1C図2A及び図2B図3A図3J図4及び図5との相違点を中心に説明する。
【0124】
図6に示すように、本実施形態に係る半導体装置は、セレクタパターン422がメモリパターン424の上部に形成されている点を除いては、図2Bに示された半導体装置と類似する。すなわち、本実施形態に係る半導体装置は、基板400上に順次形成された第1の導電ライン410、メモリセル420、及び第2の導電ライン430を備えることができ、メモリセル420は、順次形成された下部電極421、メモリパターン424、中間電極423、セレクタパターン422、及び上部電極425を備えることができる。セレクタパターン422は、第1のセレクタパターン422-1及び第2のセレクタパターン422-2を備えることができる。
【0125】
中間電極423は、図1A図1Cに説明された電極製造方法により形成されることができ、炭素層を備え、表面は、平坦化及び硬化されて、低い表面粗さを有することができる。また、中間電極423の表面部位は、内部に比べて緻密化された構造を有することができ、エッチング抵抗性がさらに増加しうる。一実施形態において、中間電極423の表面部位には、不純物がドーピングされ得るし、この場合、媒質が強化されて表面硬度がさらに増加しうる。
【0126】
下部電極421及び上部電極425は、金属、窒化物、シリサイド、またはその組み合わせで形成されることができる。
【0127】
図7に示すように、本実施形態に係る半導体装置は、セレクタパターン522がメモリパターン524の上部に形成されている点を除いては、図4に示された半導体装置と類似する。すなわち、本実施形態に係る半導体装置は、基板500上に第1の導電ライン510、メモリセル520、及び第2の導電ライン530を順次備えることができ、メモリセル520は、順次形成された下部電極521、メモリパターン524、中間電極523、セレクタパターン522、及び上部電極525を備えることができる。セレクタパターン522は、第1のセレクタパターン522-1及び第2のセレクタパターン522-2を備えることができる。
【0128】
上部電極525は、図1A図1Cに説明された電極製造方法により形成されることができ、炭素層を備え、表面は、平坦化及び硬化されて、低い表面粗さを有することができる。また、上部電極525の表面部位は、内部に比べて緻密化された構造を有することができ、エッチング抵抗性がさらに増加しうる。一実施形態において、上部電極525の表面部位には、不純物がドーピングされ得るし、この場合、媒質が強化されて表面硬度がさらに増加しうる。
【0129】
下部電極521及び中間電極523は、金属、窒化物、シリサイド、またはその組み合わせで形成されることができる。
【0130】
図8に示すように、本実施形態に係る半導体装置は、セレクタパターン622がメモリパターン624の上部に形成されている点を除いては、図5に示された半導体装置と類似する。すなわち、本実施形態に係る半導体装置は、基板600上に第1の導電ライン610、メモリセル620、及び第2の導電ライン630を順次備えることができ、メモリセル620は、順次形成された下部電極621、メモリパターン624、中間電極623、セレクタパターン622、及び上部電極625を備えることができる。セレクタパターン622は、第1のセレクタパターン622-1及び第2のセレクタパターン622-2を備えることができる。
【0131】
中間電極623及び上部電極625は、図1A図1Cに説明された電極製造方法により形成されることができ、炭素層を備え、表面は、平坦化及び硬化されて、低い表面粗さを有することができる。また、中間電極623及び上部電極625の表面部位は、内部に比べて緻密化された構造を有することができ、エッチング抵抗性がさらに増加しうる。一実施形態において、中間電極623及び上部電極625の表面部位には、不純物がドーピングされ得るし、この場合、媒質が強化されて表面硬度がさらに増加しうる。
【0132】
下部電極521は、金属、窒化物、シリサイド、またはその組み合わせで形成されることができる。
【0133】
以上により、解決しようとする課題のための様々な実施形態等が記載されたが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術思想の範囲内で様々な変更及び修正がなされ得ることは明らかである。
【符号の説明】
【0134】
10 電極
100 基板
110 第1の導電ライン
120 メモリセル
130 第2の導電ライン
121 下部電極
122 セレクタパターン
123 中間電極
124 メモリパターン
125 上部電極
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図4
図5
図6
図7
図8