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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098961
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】エッチング方法及びプラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/302 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217931
(22)【出願日】2023-12-25
(31)【優先権主張番号】P 2023002155
(32)【優先日】2023-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100186761
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 聖唯
(72)【発明者】
【氏名】後平 拓
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004BA09
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB28
5F004CA04
5F004CA06
5F004DA00
5F004DA24
5F004DA30
5F004EA28
5F004EB01
5F004EB04
5F004EB05
(57)【要約】
【課題】エッチングによる開口の形状制御を向上する技術を提供する。
【解決手段】開示されるエッチング方法は、第1材料を含むと共に開口を有する第1領域、及び、第1材料とは異なる第2材料を含むと共に第1領域の下方に位置する第2領域を備える基板を準備する工程と、炭素含有ガス、ハロゲン化金属ガス、及びハロゲンをスカベンジするハロゲンスカベンジガスを含む処理ガスから生成されるプラズマを基板上に供給することにより、炭素含有層、及び、炭素含有層よりも下方に位置する金属含有層を開口の側壁に形成すると共に、開口を介して第2領域をエッチングする工程と、を備える。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1材料を含むと共に開口を有する第1領域、及び、前記第1材料とは異なる第2材料を含むと共に前記第1領域の下方に位置する第2領域を備える基板を準備する工程と、
炭素含有ガス、ハロゲン化金属ガス、及びハロゲンをスカベンジするハロゲンスカベンジガスを含む処理ガスから生成されるプラズマを前記基板上に供給することにより、炭素含有層、及び、前記炭素含有層よりも下方に位置する金属含有層を前記開口の側壁に形成すると共に、前記開口を介して前記第2領域をエッチングする工程と、
を備える、エッチング方法。
【請求項2】
前記炭素含有ガスは、ハイドロカーボンガス、フルオロカーボンガス、クロロカーボンガス、ハイドロフルオロカーボンガス及びハイドロクロロフルオロカーボンガスからなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項3】
前記炭素含有ガスは、ハイドロフルオロカーボンガスである、請求項2に記載のエッチング方法。
【請求項4】
前記ハロゲン化金属ガスに含まれる金属ハロゲン化物は、WF、TiCl,WCl、MoF、NbF、ReF、ReF、PtFからなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項1~3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項5】
前記ハロゲン化金属ガスに含まれる金属ハロゲン化物は、WF又はMoFである、請求項1~3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項6】
前記ハロゲンスカベンジガスは、H、CO、CO、フッ化水素を除く水素含有ガス、ホウ素含有ガス、シリコン含有ガス、リン含有ガス、及び希ガスからなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項1~3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項7】
前記ハロゲンスカベンジガスは、フッ化水素を除く水素含有ガス、ホウ素含有ガス、シリコン含有ガス及びリン含有ガスからなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項1~3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項8】
前記ハロゲンスカベンジガスは、シリコン含有ガスを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項9】
前記炭素含有ガス、前記ハロゲン化金属ガス、及び前記ハロゲンスカベンジガスの合計流量に対する前記ハロゲン化金属ガスの流量の割合は、0.01体積%以上30体積%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項10】
前記ハロゲン化金属ガスの流量は、前記ハロゲンスカベンジガスの流量の1/2以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項11】
前記第2領域をエッチングする前記工程では、前記基板を支持する基板支持部の温度は-80℃以上60℃以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項12】
前記第1領域は、非金属元素、半金属元素又は金属元素を含むマスクである、請求項1~3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項13】
前記炭素含有層と、前記金属含有層とは、互いに接触すると共に環形状を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項14】
前記エッチングする工程は、
前記基板上に前記処理ガスを供給する工程と、
前記処理ガスから前記プラズマを生成する工程と、を含み、
前記処理ガスを供給する工程は、
前記ハロゲン化金属ガスを第1の流量で供給する第1期間と、
前記ハロゲン化金属ガスを供給しない又は前記第1の流量よりも小さい第2の流量で供給する第2期間と、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項15】
前記処理ガスを供給する工程では、前記第1期間と前記第2期間とを含むサイクルを繰り返す、請求項14に記載のエッチング方法。
【請求項16】
前記第2期間は、前記第1期間よりも短い、請求項14に記載のエッチング方法。
【請求項17】
前記エッチングする工程中、前記ハロゲン化金属ガスの流量比を連続的又は段階的に変更する、請求項1~3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項18】
前記エッチングする工程中、前記ハロゲン化金属ガスの流量比を連続的又は段階的に減少する、請求項1~3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項19】
チャンバと、
前記チャンバ内に設けられる基板支持部と、
炭素含有ガス、ハロゲン化金属ガス、及びハロゲンをスカベンジするハロゲンスカベンジガスを含む処理ガスを前記チャンバ内に供給するように構成されるガス供給部と、
前記チャンバ内で前記処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、第1材料を含むと共に開口を有する第1領域、及び、前記第1材料とは異なる第2材料を含むと共に前記第1領域の下方に位置する第2領域を備える基板が前記基板支持部に支持されている状態で、前記ガス供給部及び前記プラズマ生成部を制御して、
前記プラズマに前記第1領域及び前記第2領域を晒すことによって、炭素含有層、及び、前記炭素含有層よりも下方に位置する金属含有層を前記開口の側壁に形成すると共に、前記開口を介して前記第2領域をエッチングする工程をもたらすように構成される、
プラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、エッチング方法及びプラズマ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1は、処理ガスから形成されたプラズマを用いて、基板の第1領域を当該基板の第2領域に対して選択的にエッチングする方法を開示している。第1領域は、酸化シリコンから形成されており、第2領域は、窒化シリコンから形成されている。処理ガスは、フルオロカーボンを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-157793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、エッチングによる開口の形状制御を向上する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、エッチング方法が提供される。エッチング方法は、第1材料を含むと共に開口を有する第1領域、及び、第1材料とは異なる第2材料を含むと共に第1領域の下方に位置する第2領域を備える基板を準備する工程と、炭素含有ガス、ハロゲン化金属ガス、及びハロゲンをスカベンジするハロゲンスカベンジガスを含む処理ガスから生成されるプラズマを基板上に供給することにより、炭素含有層、及び、炭素含有層よりも下方に位置する金属含有層を開口の側壁に形成すると共に、開口を介して第2領域をエッチングする工程と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、エッチングによる開口の形状制御を向上する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。
図2図2は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
図3図3は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。
図4図4(a)は、図3の方法が適用され得る一例の基板の平面図であり、図4(b)は、図4(a)のIVb-IVbに沿った概略断面図である。
図5図5は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
図6図6は、図3に示す方法の対応の工程において得られる一例の基板の部分拡大断面図である。
図7図7(a)は、一実施形態におけるエッチングイオンの反跳を示す模式図であり、図7(b)は、比較例におけるエッチングイオンの反跳を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、エッチング方法が提供される。エッチング方法は、第1材料を含むと共に開口を有する第1領域、及び、第1材料とは異なる第2材料を含むと共に第1領域の下方に位置する第2領域を備える基板を準備する工程と、炭素含有ガス、ハロゲン化金属ガス、及びハロゲンスカベンジガスを含む処理ガスから生成されるプラズマを基板上に供給することにより、炭素含有層、及び、炭素含有層よりも下方に位置する金属含有層を開口の側壁に形成すると共に、開口を介して第2領域をエッチングする工程と、を備える。
【0010】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0011】
図1は、プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。一実施形態において、プラズマ処理システムは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理システムは、基板処理システムの一例であり、プラズマ処理装置1は、基板処理装置の一例である。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0012】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP;CapacitivelyCoupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonanceplasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(DirectCurrent)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(RadioFrequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、100kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
【0013】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0014】
以下に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合型のプラズマ処理装置の構成例について説明する。図2は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【0015】
容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0016】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0017】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF電源31及び/又はDC電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号及び/又はDC信号が少なくとも1つのRF/DC電極に供給される場合、RF/DC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数の下部電極として機能してもよい。また、静電電極1111bが下部電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つの下部電極を含む。
【0018】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0019】
基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。一例では、ターゲット温度は、-80℃以上50℃以下である。
【0020】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0021】
ガス供給部20は、上記処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に供給する部材であり、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0022】
プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにて、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0023】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0024】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0025】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0026】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0027】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0028】
図3は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。図3に示されるエッチング方法MT1(以下、「方法MT1」という)は、上記実施形態のプラズマ処理装置1により実行され得る。方法MT1は、基板Wに適用され得る。
【0029】
図4(a)は、図3の方法が適用され得る一例の基板の平面図である。図4(b)は、図4(a)のIVb-IVbに沿った概略断面図である。図4(a),(b)に示されるように、一実施形態において、基板Wは、第1領域R1と、第1領域R1の下方に位置する第2領域R2とを含む。第1領域R1は少なくとも1つの開口OPを有してもよい。第1領域R1は、複数の開口OPを有してもよい。開口OPは、ホールパターンを有してもよいし、ラインパターンを有してもよい。開口OPの寸法(CD:Critical Dimension)は150nm以下であってもよいし、100nm以下でもよいし、50nm以下であってもよいし、30nm以下であってもよいし、20nm以下でもよい。基板Wは、下地領域URを更に含んでもよい。例えば、下地領域URは、第2領域R2の下方に位置する。
【0030】
第1領域R1は、第1材料を含む層状領域である。第1領域R1は、第2領域R2上に開口OPを有するマスクであってもよい。一例では、第1領域R1は、非金属元素を含むマスクである。非金属元素は、例えば、水素、窒素、酸素などである。一例では、非金属元素を含むマスクである第1領域R1は、窒化シリコン膜などでもよい。一例では、第1領域R1は、金属元素を含むマスクである。金属元素は、例えば、タングステン、モリブデン、ルテニウム、スズ、チタンなどである。この場合、第1領域R1は、タングステン含有膜(例えば、WC膜、WSi膜等)、モリブデン含有膜、ルテニウム含有膜、スズ含有膜(例えば、SnO膜等)又はチタン含有膜(例えば、TiN膜等)などでもよい。一例では、第1領域R1は、半金属元素を含むマスクである。半金属元素は、例えば、ホウ素、炭素、シリコンなどである。一例では、第1領域R1は、EUV露光用のフォトレジスト膜などのフォトレジスト膜でもよい。一例では、半金属元素を含むマスクである第1領域R1は、アモルファスカーボン膜などの有機膜でもよい。
【0031】
第2領域R2は、第1材料とは異なる第2材料を含む層状領域である。第2材料は、例えば、シリコンを含む第1材料を含む。第2領域R2は、単層構造を有してもよいし、多層構造を有してもよい。一例では、第2領域R2は、シリコン酸化物(SiO)、シリコン窒化物(SiN)、シリコン酸窒化物(SiO)などを含む。X及びYのそれぞれは1以上の整数である。
【0032】
下地領域URは、例えばDRAM又は3D-NAND等のメモリデバイスのための少なくとも1つの膜を含んでもよい。
【0033】
以下、方法MT1について、方法MT1が上記実施形態のプラズマ処理装置1を用いて基板Wに適用される場合を例にとって、図3図6を参照しながら説明する。図5は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。図6は、図5の破線で示した位置の概略拡大図である。プラズマ処理装置1が用いられる場合には、制御部2によるプラズマ処理装置1の各部の制御により、プラズマ処理装置1において方法MT1が実行され得る。方法MT1では、図2に示されるように、プラズマ処理チャンバ10内に配置された基板支持部11上の基板Wを処理する。
【0034】
図3に示されるように、方法MT1は、工程ST1及び工程ST2を含み得る。工程ST1及び工程ST2は順に実行され得る。
【0035】
(工程ST1)
工程ST1では、図4(a),(b)に示される基板Wを準備する。基板Wは、プラズマ処理チャンバ10内において基板支持部11により支持され得る。
【0036】
(工程ST2)
工程ST2では、まず、プラズマ処理チャンバ10内において、基板W上に処理ガスを供給した後、当該処理ガスからプラズマを生成する。これにより、図5及び図6に示されるように、処理ガスから生成されるプラズマPLを基板W上に供給し、開口OPを介して第2領域R2をエッチングする。加えて、炭素含有層CML、及び、炭素含有層CMLよりも下方に位置する金属含有層MLを開口OPの側壁SWに形成する。これにより、開口OP内であって、第1領域R1の表面SF及びその周辺には、炭素含有層CML及び金属含有層MLを有するネック部NPが形成される。加えて、第1領域R1の開口OPに対応する凹部RSが第2領域R2に形成され得る。凹部RSの寸法(CD)は、凹部RSの底Bに近づくほど狭まっているが、これに限られない。凹部RSの寸法(CD)は、一定でもよい。凹部RSの底Bは、略平面形状を有する。底Bの寸法DB(CD)は、20nm以上であってもよいし、30nm以上であってもよい。底Bの寸法DB(CD)は、40nm以下であってもよいし、0nmであってもよい。底Bの寸法DB(CD)が0nmであることは、底Bが先細り形状であることに相当する。底Bの寸法DB(CD)は、60nm以上であってもよいし、85nm以上であってもよい。凹部RSは開口であってもよい。
【0037】
工程ST2では、プラズマ処理装置1の制御部2は、基板Wが基板支持部11に支持されている状態で、ガス供給部20及びプラズマ生成部12を制御して、プラズマPLに第1領域R1及び第2領域R2を晒す。これによって、炭素含有層CML及び金属含有層MLを開口OPの側壁SWに形成すると共に、開口OPを介して第2領域R2をエッチングする。加えて、工程ST2では、制御部2が基板支持部11を制御することによって、基板Wを支持する基板支持部11の温度を比較的低温(例えば、-80℃以上60℃以下)に調整する。これにより、基板Wの温度を、基板支持部11の上記温度に近づける。
【0038】
工程ST2の処理ガスは、炭素含有ガスと、ハロゲン化金属ガスと、ハロゲンスカベンジガスとを含む。
【0039】
炭素含有ガスは、ハイドロカーボン(C)ガス、フルオロカーボン(C)ガス、クロロカーボン(CCl)ガス、ハイドロフルオロカーボン(C)ガス及びハイドロクロロフルオロカーボン(CCl)ガスのうち少なくとも1つを含んでもよい。ハイドロカーボンガス、フルオロカーボンガス及びハイドロフルオロカーボンガスのそれぞれにおいて、X,Y及びZのそれぞれは1以上の整数である。クロロカーボンガスにおいて、X及びZのそれぞれは1以上の整数であり、Yは0以上の整数である。また、ハイドロクロロフルオロカーボンガスにおいて、X,W及びZのそれぞれは1以上の整数であり、Yは0以上の整数である。フルオロカーボンガスの例は、CFガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス、CFBrガス、CBrガスなどである。クロロカーボンガスの例は、CClガス、CHClガス、CHClガスなどである。ハイドロフルオロカーボンガスの例は、CHガス、CHFガス、CHFガス、Cガスなどである。ハイドロクロロフルオロカーボンガスの例は、CHClFガス、CHClFガスなどである。
【0040】
ハロゲン化金属ガスは、タングステン、チタン、モリブデン、白金、ニオブ、及びレニウムのうち少なくとも1つの金属を含んでもよい。ハロゲン化金属ガスは、フッ素を含んでもよい。ハロゲン化金属ガスは、六フッ化タングステン(WF)ガス、六塩化タングステン(WCl)ガス、四塩化チタン(TiCl)ガス、六フッ化モリブデン(MoF)ガス、六フッ化白金(PtF)ガス、フッ化ニオブ(NbF)ガス、六フッ化レニウム(ReF)ガス、及び七フッ化レニウム(ReF)ガスのうち少なくとも1つを含んでもよい。換言すると、ハロゲン化金属ガスに含まれる金属ハロゲン化物は、六フッ化タングステン(WF)、四塩化チタン(TiCl)、六塩化タングステン(WCl)、六フッ化モリブデン(MoF)、五フッ化ニオブ(NbF)、六フッ化レニウム(ReF)、七フッ化レニウム(ReF)、及び六フッ化白金(PtF)のうち少なくとも1つを含んでもよい。ハロゲン化金属ガスに含まれる金属ハロゲン化物は、六フッ化タングステン(WF)または六フッ化モリブデン(MoF)でもよい。
【0041】
ハロゲンスカベンジガスは、プラズマ処理チャンバ10内の不要なハロゲンを除去するガスである。例えば、ハロゲンスカベンジガスによるスパッタリングにより、スパッタリング対象物の表面からハロゲンを脱離する。一例では、ハロゲンスカベンジガスの供給によって、プラズマ処理チャンバ10内のフッ素を良好に除去でき得る。ハロゲンスカベンジガスは、例えば、H、CO、CO、フッ化水素を除く水素含有ガス、ホウ素含有ガス、シリコン含有ガス、リン含有ガス、希ガスのうち少なくとも1つを含む。フッ化水素を除く水素含有ガスは、例えば、ハイドロカーボン(C)ガス、フルオロカーボン(C)ガス、クロロカーボン(CCl)ガス、ハイドロフルオロカーボン(C)ガス、ハイドロクロロフルオロカーボン(CCl)ガス、アンモニア(NH)ガス、水蒸気(HO)ガスなどである。ホウ素含有ガスは、例えば、三フッ化ホウ素(BF)ガス、三塩化ホウ素(BCl)ガス、三臭化ホウ素(BBr)ガス、モノボラン(BH)ガス、ジボラン(B)ガスなどである。シリコン含有ガスは、例えば、四フッ化ケイ素(SiF)ガス、四塩化ケイ素(SiCl)ガス、モノシラン(SiH)ガス、ジシラン(Si)ガス、アルキルシランガス、アミノシランガス、塩化シラン(SiHCl)ガスなどである。塩化シランガスにおいて、X及びYのそれぞれは1以上の整数である。リン含有ガスは、例えば、ホスフィン(PH)ガス、三フッ化リン(PF)ガスなどである。一例では、ハロゲンスカベンジガスは、シリコン含有ガス(例えば、四塩化ケイ素ガス)を少なくとも含む。
【0042】
工程ST2において、処理ガスの供給時において、ハロゲン化金属ガスの流量と、炭素含有ガスの流量とのそれぞれは、ハロゲンスカベンジガスの流量よりも少ない。ハロゲン化金属ガスの流量は、炭素含有ガスの流量よりも多くてもよいし、炭素含有ガスの流量よりも少なくてもよいし、炭素含有ガスの流量と同一でもよい。一例では、ハロゲン化金属ガスの流量と、炭素含有ガスの流量とのそれぞれは、20sccm以下でもよいし、10sccm以下でもよいし、3sccm以上でもよい。ハロゲンスカベンジガスの流量は、30sccm以下でもよいし、20sccm以下でもよい。一例では、ハロゲン化金属ガスの流量は、ハロゲンスカベンジガスの流量の1/2以下でもよいし、1/3以下でもよいし、1/4以下でもよい。炭素含有ガス、ハロゲン化金属ガス、及びハロゲンスカベンジガスの合計流量に対するハロゲン化金属ガスの流量の割合は、例えば、0.01体積%以上であってもよく、0.1体積%以上であってもよく、1体積%以上であってもよい。炭素含有ガス、ハロゲン化金属ガス、及びハロゲンスカベンジガスの合計流量に対するハロゲン化金属ガスの流量の割合は、例えば、30体積%以下であってもよく、20体積%以下であってもよく、10体積%以下であってもよい。一例では、ハロゲン化金属ガスの流量は、炭素含有ガスの流量と同一であり、上記割合を満たす。
【0043】
炭素含有層CMLは、工程ST2中に形成される層状の堆積物であり、炭素含有ガスに由来する。一例では、炭素含有層CMLが形成されることによって、開口OPの開口端OEと、開口OPの側壁SWの一部とが、炭素含有層CMLによって規定される。換言すると、工程ST2後、開口端OEと、側壁SWの一部とは、炭素含有層CMLから形成される。図6においては、ネック部NP上の炭素含有層CMLの断面形状は、略円弧形状であるが、これに限られない。第1領域R1と第2領域R2との積層方向から見て、炭素含有層CMLは、環形状を有する。
【0044】
金属含有層MLは、工程ST2中に形成される層状の堆積物であり、少なくともハロゲン化金属ガスに由来する。金属含有層MLは、ハロゲン化金属ガスと、ハロゲンスカベンジガスとに由来してもよい。この場合、金属含有層MLは、ハロゲン化金属ガスに含まれる金属元素と、ハロゲンスカベンジガスに含まれる元素とを含み得る。金属含有層MLは、炭素含有層CMLの下方に位置し、かつ、炭素含有層CMLに接している。一例では、金属含有層MLと、炭素含有層CMLとは、互いに連続的に形成される。換言すると、金属含有層MLと、炭素含有層CMLとは、互いに隙間なく形成される。一例では、金属含有層MLが形成されることによって、開口OPの側壁SWの別の一部が、金属含有層MLによって規定される。第1領域R1と第2領域R2との積層方向から見て、金属含有層MLは、環形状を有する。一例では、金属含有層MLは、側壁SW上にて円筒状に設けられる金属含有部分でもよい。この場合、開口OPの深さ方向において、金属含有層MLの上端部における厚さと、金属含有層MLの中央部における厚さとの差は、例えば20%以下でもよいし、15%以下でもよいし、10%以下でもよい。金属含有層MLは、金属酸化物を含んでもよい。金属酸化物は、タングステン酸化物、チタン酸化物、モリブデン酸化物、ニオブ酸化物、及びレニウム酸化物の少なくとも一つを含み得る。ハロゲンスカベンジガスがシリコン含有ガスを含む場合、金属含有層MLは、金属元素とシリコンとを含んでもよい。なお、金属含有層MLの上端部と中央部との距離は、0nmより長い。
【0045】
工程ST2中、特に処理ガスの供給中において、処理ガスのうちハロゲン化金属ガスのプラズマ処理チャンバ10への供給を絞ってもよいし、停止してもよい。例えば、処理ガスの供給中、ハロゲン化金属ガスを第1の流量で供給する第1の期間と、ハロゲン化金属ガスを供給しない又は上記第1の流量よりも小さい第2の流量で供給する第2期間とが設定されてもよい。もしくは、工程ST2中、ハロゲン化金属ガスは、プラズマ処理チャンバ10へ間欠的に供給されてもよい。このとき、制御部2は、ガス供給部20を制御して、ハロゲン化金属ガスの供給を一時停止してもよいし、ハロゲン化金属ガスを間欠的に供給してもよい。あるいは、処理ガスの供給中、上記第1期間と上記第2期間とを含むサイクルが繰り返されてもよい。ハロゲン化金属ガスの供給時間、供給停止時間などを調整することによって、金属含有層MLの形状を所望の形に制御できる。ハロゲン化金属ガスの供給停止時間は、少なくともハロゲン化金属ガスの供給時間よりも短い。すなわち、上記第2期間は、上記第1期間よりも短い。また、工程ST2中、ハロゲン化金属ガスの流量比は、連続的に変更されてもよく、段階的に変更されてもよい。もしくは、工程ST2中、ハロゲン化金属ガスの流量は、連続的に変更されてもよく、段階的に変更されてもよい。例えば、ハロゲン化金属ガスの流量比は、連続的に減らしてもよく、段階的に減らしてもよい。または、ハロゲン化金属ガスの流量は、連続的に減らしてもよく、段階的に減らしてもよい。なお、ハロゲン化金属ガスの流量比は、処理ガス全体に対するハロゲン化金属ガスの割合に相当する。
【0046】
上記方法MT1によれば、第1領域R1が有する開口OPの形状制御を向上できる。より具体的には、開口OPの側壁SWの垂直性を向上できる。この現象は、比較的低温(例えば、50℃以下)にて実施されるエッチング方法にて、特に生じやすい。メカニズムは、図7(a),(b)を参照しながら以下のように推測されるが、これに限定されない。図7(a)は、一実施形態におけるエッチングイオンの反跳を示す模式図であり、図7(b)は、比較例におけるエッチングイオンの反跳を示す模式図である。
【0047】
工程ST2においては、主にカーボンを含む堆積物(炭素含有堆積物)がマスクに付着することによって、炭素含有層CMLが形成される。ここで、工程ST2にて用いられる処理ガスは、炭素含有ガスと、ハロゲン化金属ガスと、ハロゲンスカベンジガスとを含む。これにより、ハロゲンスカベンジガスが炭素含有層CMLからハロゲンを脱離するので、炭素含有層CMLにおけるカーボンの密度を上げることができる。このため、炭素含有層CMLのエッチング耐性が高くなり、エッチングされにくくなる。この場合、図7(a)に示されるように、開口端OE及びその周辺における表面SFがなだらかに傾斜する傾向がある。換言すると、開口端OE及びその周辺における表面SFの傾斜角θ1が小さくなる傾向がある。開口端OE及びその周辺における表面SFがなだらかに傾斜する場合、開口端OE及びその周辺に衝突するイオンは、特定の方向に反跳しにくくなる。よって、開口OPの側壁SWの一部が金属含有層MLである場合などにおいて、金属含有層MLの一部のみが過剰にエッチングされにくくなる。したがって、側壁SWの一部が金属含有層MLである場合、金属含有層MLの厚さを均一化できる。
【0048】
これに対して、エッチング工程にて、処理ガスが炭素含有ガスを含まない場合、炭素含有層が形成されない。また、処理ガスがハロゲン化金属ガスを含まない場合、金属含有層が形成されない。処理ガスがハロゲンスカベンジガスを含まない場合、炭素含有層が容易にエッチングされる。これにより、図7(b)に示されるように、開口OPの端周辺における表面SFの傾斜角θ2が大きくなる。この場合、当該端に衝突するイオンは、特定の方向に反跳しやすくなる。これは、炭素含有層CML中の炭素に対するフッ素の比(以下、F/C比)が高い場合にも、開口OPの端周辺における表面SFの傾斜角θ2が大きくなる傾向がある。よって、開口OPの側壁SWの一部が金属含有層である場合などにおいて、金属含有層の一部のみが過剰にエッチングされやすくなる。この場合、開口OPの寸法(CD)が極端に狭まる箇所が設けられるおそれ、開口OPが堆積物にて閉塞してしまうおそれなどがある。なお、開口OPの寸法(CD)が狭まる箇所が設けられる場合、凹部RSの底Bの寸法(CD)もまた狭まる傾向がある。
【0049】
以上に説明した、一実施形態に係る上記工程ST2を実施することによって、エッチングによる開口OPの形状制御を向上できる。これにより、開口OP自体の設計寸法を小さくした場合であっても、開口OPの寸法(CD)を広く制御できる。そして結果として、凹部RSの底Bの寸法DB(CD)を広げられると推測されるが、メカニズムはこれに限定されない。加えて、上記工程ST2を実施することによって、開口OPが閉塞しにくくなる。
【0050】
一実施形態では、工程ST2において、炭素含有層CML及び金属含有層MLが第1領域R1上に形成される。これにより、第1領域R1のエッチング量が低減される。第1領域R1に対する第2領域R2のエッチング選択比が向上すると、第1領域R1の厚みを小さくできる。
【0051】
一実施形態では、工程ST2において、炭素含有ガスがハイドロフルオロカーボンガスである場合、開口OPが良好に閉塞しにくくなる。
【0052】
一実施形態では、工程ST2において、炭素含有ガス、ハロゲン化金属ガス、及びハロゲンスカベンジガスの合計流量に対するハロゲン化金属ガスの流量の割合は、1体積%以上30体積%以下である場合、金属含有層MLの形状(特に、厚さ)を良好に制御できる。
【0053】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。例えば、方法MTは、プラズマ処理装置1とは異なるプラズマ処理装置を用いて行われてもよい。
【0054】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[E1]~[E19]に記載する。
【0055】
[E1]
第1材料を含むと共に開口を有する第1領域、及び、前記第1材料とは異なる第2材料を含むと共に前記第1領域の下方に位置する第2領域を備える基板を準備する工程と、
炭素含有ガス、ハロゲン化金属ガス、及びハロゲンをスカベンジするハロゲンスカベンジガスを含む処理ガスから生成されるプラズマを前記基板上に供給することにより、炭素含有層、及び、前記炭素含有層よりも下方に位置する金属含有層を前記開口の側壁に形成すると共に、前記開口を介して前記第2領域をエッチングする工程と、
を備える、エッチング方法。
【0056】
[E2]
前記炭素含有ガスは、ハイドロカーボンガス、フルオロカーボンガス、クロロカーボンガス、ハイドロフルオロカーボンガス及びハイドロクロロフルオロカーボンガスからなる群より選ばれる少なくとも1つである、[E1]に記載のエッチング方法。
【0057】
[E3]
前記炭素含有ガスは、ハイドロフルオロカーボンガスである、[E2]に記載のエッチング方法。
【0058】
[E4]
前記ハロゲン化金属ガスに含まれる金属ハロゲン化物は、WF、TiCl,WCl、MoF、NbF、ReF、ReF、PtFからなる群より選ばれる少なくとも1つである、[E1]~[E3]のいずれかに記載のエッチング方法。
【0059】
[E5]
前記ハロゲン化金属ガスに含まれる金属ハロゲン化物は、WF又はMoFである、[E1]~[E4]のいずれかに記載のエッチング方法。
【0060】
[E6]
前記ハロゲンスカベンジガスは、H、CO、CO、フッ化水素を除く水素含有ガス、ホウ素含有ガス、シリコン含有ガス、リン含有ガス、及び希ガスからなる群より選ばれる少なくとも1つである、[E1]~[E5]のいずれかに記載のエッチング方法。
【0061】
[E7]
前記ハロゲンスカベンジガスは、フッ化水素を除く水素含有ガス、ホウ素含有ガス、シリコン含有ガス及びリン含有ガスからなる群より選ばれる少なくとも1つである、[E1]~[E6]のいずれかに記載のエッチング方法。
【0062】
[E8]
前記ハロゲンスカベンジガスは、シリコン含有ガスを含む、[E1]~[E7]のいずれかに記載のエッチング方法。
【0063】
[E9]
前記炭素含有ガス、前記ハロゲン化金属ガス、及び前記ハロゲンスカベンジガスの合計流量に対する前記ハロゲン化金属ガスの流量の割合は、0.01体積%以上30体積%以下である、[E1]~[E8]のいずれかに記載のエッチング方法。
【0064】
[E10]
前記ハロゲン化金属ガスの流量は、前記ハロゲンスカベンジガスの流量の1/2以下である、[E1]~[E9]のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【0065】
[E11]
前記第2領域をエッチングする前記工程では、前記基板を支持する基板支持部の温度は-80℃以上60℃以下である、[E1]~[E10]のいずれかに記載のエッチング方法。
【0066】
[E12]
前記第1領域は、非金属元素、半金属元素又は金属元素を含むマスクである、[E1]~[E11]のいずれかに記載のエッチング方法。
【0067】
[E13]
前記炭素含有層と、前記金属含有層とは、互いに接触すると共に環形状を有する、[E1]~[E12]のいずれかに記載のエッチング方法。
【0068】
[E14]
前記エッチングする工程は、
前記基板上に前記処理ガスを供給する工程と、
前記処理ガスから前記プラズマを生成する工程と、を含み、
前記処理ガスを供給する工程は、
前記ハロゲン化金属ガスを第1の流量で供給する第1期間と、
前記ハロゲン化金属ガスを供給しない又は前記第1の流量よりも小さい第2の流量で供給する第2期間と、を含む、[E1]~[E13]のいずれかに記載のエッチング方法。
【0069】
[E15]
前記処理ガスを供給する工程では、前記第1期間と前記第2期間とを含むサイクルを繰り返す、[E14]に記載のエッチング方法。
【0070】
[E16]
前記第2期間は、前記第1期間よりも短い、[E14]または[E15]に記載のエッチング方法。
【0071】
[E17]
前記エッチングする工程中、前記ハロゲン化金属ガスの流量比を連続的又は段階的に変更する、[E14]~[E16]のいずれかに記載のエッチング方法。
【0072】
[E18]
前記エッチングする工程中、前記ハロゲン化金属ガスの流量比を連続的又は段階的に減少する、[E14]~[E17]のいずれかに記載のエッチング方法。
【0073】
[E19]
チャンバと、
前記チャンバ内に設けられる基板支持部と、
炭素含有ガス、ハロゲン化金属ガス、及びハロゲンをスカベンジするハロゲンスカベンジガスを含む処理ガスを前記チャンバ内に供給するように構成されるガス供給部と、
前記チャンバ内で前記処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、第1材料を含むと共に開口を有する第1領域、及び、前記第1材料とは異なる第2材料を含むと共に前記第1領域の下方に位置する第2領域を備える基板が前記基板支持部に支持されている状態で、前記ガス供給部及び前記プラズマ生成部を制御して、
前記プラズマに前記第1領域及び前記第2領域を晒すことによって、炭素含有層、及び、前記炭素含有層よりも下方に位置する金属含有層を前記開口の側壁に形成すると共に、前記開口を介して前記第2領域をエッチングする工程をもたらすように構成される、
プラズマ処理装置。
【0074】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0075】
1…プラズマ処理装置、2…制御部、10…プラズマ処理チャンバ、11…基板支持部、12…プラズマ生成部、20…ガス供給部、CML…炭素含有層、ML…金属含有層、SW…側壁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7