IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 古河電気工業株式会社の特許一覧 ▶ 古河AS株式会社の特許一覧

特開2024-99108メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス
<>
  • 特開-メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス 図1
  • 特開-メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス 図2
  • 特開-メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス 図3
  • 特開-メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス 図4
  • 特開-メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス 図5
  • 特開-メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス 図6
  • 特開-メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス 図7
  • 特開-メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス 図8
  • 特開-メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス 図9
  • 特開-メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス 図10
  • 特開-メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス 図11
  • 特開-メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス 図12
  • 特開-メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス 図13
  • 特開-メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス 図14
  • 特開-メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス 図15
  • 特開-メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099108
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/187 20060101AFI20240718BHJP
   H01R 11/11 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
H01R13/187 B
H01R11/11 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002812
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】八木 三郎
(57)【要約】
【課題】基台部とバネ部材を溶接してもアームバネにおける電気接点部の位置が変位しにくく、アームバネの付勢力が不安定になってしまうことを防止できるメス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネスを提供する。
【解決手段】メス型端子10は、電線3に接続される基台部20と、基台部20に取り付けられるバネ部材30とを有しており、バネ部材30には、側壁21の内面側に配置される内側沿設板31と、側壁21の外面側に配置される外側沿設板32とを有し、かかる外側沿設板32には、側壁21との溶接部40が設けられている。そして、側壁21の対向方向(幅方向W)及びブレード7の挿入方向(高さ方向H)に対して交差する長手方向Lから視て、内側沿設板31が、側壁21の内面と頂面との角部21Eに隣接する側壁21の内面側部分(範囲Rc参照)に1mm未満の僅かな隙間を隔てて配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線に接続される基台部と、
前記基台部に取り付けられるバネ部材とで端子本体が設けられ、
前記基台部は、オス型端子が挿入可能な所定間隔を隔てて配置された一対の側壁を有し、
前記バネ部材は、前記側壁の内面側に配置される内側沿設板と、前記側壁の外面側に配置される外側沿設板と、前記側壁の頂面側に配置されて前記内側沿設板及び前記外側沿設板を連接する連接沿設板と、挿入された前記オス型端子に当接するアームバネとを有し、
前記外側沿設板には、前記側壁との溶接部が設けられ、
前記側壁の対向方向及び前記オス型端子の挿入方向に対して交差する交差方向から視て、前記内側沿設板が、前記側壁の内面と頂面との角部に隣接する当該側壁の内面側部分に当接又は所定隙間を隔てて配置された
メス型端子。
【請求項2】
前記内側沿設板が、前記連接沿設板と前記アームバネを連接する位置に配置された
請求項1に記載のメス型端子。
【請求項3】
前記内側沿設板が、前記アームバネから前記交差方向に離間した位置に配置された
請求項1に記載のメス型端子。
【請求項4】
前記角部に面付部が形成され、
前記側壁の頂面から前記挿入方向に隔てられた前記面付部の面付端縁までの距離をDaとし、前記側壁の頂面から前記挿入方向に隔てられた前記内側沿設板の沿設板端縁までの距離をDbとした場合に、Da<Dbを満たした
請求項1に記載のメス型端子。
【請求項5】
前記側壁の頂面から前記溶接部までの距離をDcとした場合に、Da<Dc<Dbを満たした
請求項4に記載のメス型端子。
【請求項6】
前記内側沿設板と前記外側沿設板によって前記側壁を把持した
請求項1に記載のメス型端子。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のメス型端子と、
前記メス型端子を収容するコネクタハウジングとが備えられた
コネクタ。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のメス型端子と、
前記メス型端子の前記基台部に接続される前記電線とが備えられた
端子付き電線。
【請求項9】
請求項8に記載の端子付き電線と、
前記端子付き電線を収容するコネクタハウジングとが備えられた
コネクタ付き電線。
【請求項10】
請求項8に記載の端子付き電線が備えられた
ワイヤーハーネス。
【請求項11】
請求項9に記載のコネクタ付き電線が備えられた
ワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大電流が流れる電気回路のメス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気機器は、電動装置や電源装置をワイヤーハーネスによって接続することで電気回路を構成している。ワイヤーハーネスと電動装置ならびにワイヤーハーネスと電源装置は、それぞれに装着されたコネクタを介して互いに接続されている。
【0003】
例えば、特許文献1に示すコネクタは、コネクタハウジングにメス型端子を収容したものである。かかるメス型端子は、電線に接続される基台部と、基台部に取り付けられるバネ部材とを有しており、バネ部材にはオス型端子(詳しくはオス型端子のブレード)を付勢するアームバネが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-040741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、大電流が流れる電気回路のメス型端子においては、良好な導電性を確保すべく基台部とバネ部材を溶接することが考えられる。しかし、基台部とバネ部材を溶接すれば、溶接時の熱影響によってバネ部材が変形し、アームバネにおける電気接点部の位置が変位してしまう可能性があった。ひいてはアームバネの付勢力が不安定になってしまうという可能性があった。
【0006】
この発明は、基台部とバネ部材を溶接してもアームバネにおける電気接点部の位置が変位しにくく、アームバネの付勢力が不安定になってしまうことを防止できるメス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、電線に接続される基台部と、前記基台部に取り付けられるバネ部材とで端子本体が設けられ、前記基台部は、オス型端子が挿入可能な所定間隔を隔てて配置された一対の側壁を有し、前記バネ部材は、前記側壁の内面側に配置される内側沿設板と、前記側壁の外面側に配置される外側沿設板と、前記側壁の頂面側に配置されて前記内側沿設板及び前記外側沿設板を連接する連接沿設板と、挿入された前記オス型端子に当接するアームバネとを有し、前記外側沿設板には、前記側壁との溶接部が設けられ、前記側壁の対向方向及び前記オス型端子の挿入方向に対して交差する交差方向から視て、前記内側沿設板が、前記側壁の内面と頂面との角部に隣接する当該側壁の内面側部分に当接又は所定隙間を隔てて配置されたメス型端子である。
【0008】
またこの発明は、前記メス型端子と、前記メス型端子を収容するコネクタハウジングとが備えられたコネクタ、ならびに前記メス型端子と、前記メス型端子の前記基台部に接続される前記電線とが備えられた端子付き電線であることを特徴とする。
【0009】
さらにこの発明は、前記端子付き電線と、前記端子付き電線を収容するコネクタハウジングとが備えられたコネクタ付き電線、ならびに前記端子付き電線及び前記コネクタ付き電線のうちの少なくとも一方が備えられたワイヤーハーネスであることを特徴とする。
【0010】
この発明により、基台部とバネ部材を溶接してもアームバネにおける電気接点部の位置が変位しにくく、アームバネの付勢力が不安定になってしまうことを防止できる。
詳述すると、本願発明に係るメス型端子は、電線に接続される基台部と、基台部に取り付けられるバネ部材とを有しており、バネ部材には、側壁の内面側に配置される内側沿設板と、側壁の外面側に配置される外側沿設板とを有し、かかる外側沿設板には、側壁との溶接部が設けられている。そして、側壁の対向方向及びオス型端子の挿入方向に対して交差する交差方向から視て、内側沿設板が、側壁の内面と頂面との角部に隣接する側壁の内面側部分に当接又は所定隙間を隔てて配置されている。そのため、外側沿設板における溶接部及びその周囲が溶接時の熱影響によって変形、すなわち溶融金属の凝固による収縮によって外側沿設板が反り返ろうとする変形(以降、溶接歪という)を生じても、側壁の内面に対して内側沿設板が引っ掛かって溶接歪に抵抗するので、連接沿設板等を介して設けられたアームバネにおける電気接点部の位置が変位しにくくなる。したがって、アームバネの付勢力が不安定になってしまうことを防止できる。
【0011】
この発明の態様として、前記内側沿設板が、前記連接沿設板と前記アームバネを連接する位置に配置されてもよい。
この発明により、外側沿設板における溶接部及びその周囲において、溶融金属の凝固による収縮によって外側沿設板が反り返ろうとする溶接歪を生じても、側壁の内面に対して内側沿設板が当接して抵抗するので、溶接歪を抑制することができる。また、側壁の内面に対して内側沿設板が当接することで、かかる内側沿設板の位置が確実に固定されることとなる。そのため、連接沿設板等を介して設けられたアームバネにおける電気接点部の位置が変位しにくくなる。したがって、アームバネの付勢力が不安定になってしまうことを防止できる。
【0012】
またこの発明の態様として、前記内側沿設板が、前記アームバネから前記交差方向に離間した位置に配置されてもよい。
この発明により、外側沿設板における溶接部及びその周囲において、溶融金属の凝固による収縮によって外側沿設板が反り返ろうとする溶接歪を生じても、側壁の内面に対して内側沿設板が当接して抵抗するので、溶接歪を抑制することができる。そのため、連接沿設板等を介して設けられたアームバネにおける電気接点部の位置が変位しにくくなる。したがって、アームバネの付勢力が不安定になってしまうことを防止できる。
【0013】
加えて、連接沿設板の端縁又は少なくとも近傍から内側沿設板を介することなくアームバネが延出されるため、アームバネのアーム長さを比較的に長く形成することが可能となる。したがって、アームバネの弾性変形量を確保でき、この点からも付勢力が不安定になってしまうことを防止できる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記角部に面付部が形成され、前記側壁の頂面から前記挿入方向に隔てられた面付部の面付端縁までの距離をDaとし、前記側壁の頂面から前記挿入方向に隔てられた前記内側沿設板の沿設板端縁までの距離をDbとした場合に、Da<Dbを満たしてもよい。
【0015】
この発明により、角部に面付部が形成されていても、側壁の内面に対して内側沿設板が確実に当接するので、溶接歪を抑制することができる。そのため、連接沿設板等を介して設けられたアームバネにおける電気接点部の位置が変位しにくくなる。したがって、アームバネの付勢力が不安定になってしまうことを防止できる。
【0016】
加えて、角部に面付部が形成されているため、内側沿設板と外側沿設板の間隔が狭いバネ部材であったとしても、かかるバネ部材を面付部に沿わせて押し込むだけで容易に取り付けることが可能となる。また、面付部の形成によって角部に生じ得るバリやダレ等を落とすことができ、これらバリやダレ等にバネ部材が乗り上げた状態になることを防ぐことが可能となる。したがって、溶接歪に対してバラツキなく適宜に抵抗力を発揮でき、この点からも付勢力が不安定になってしまうことを防止できる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記側壁の頂面から前記溶接部までの距離をDcとした場合に、Da<Dc<Dbを満たしてもよい。
この発明により、溶接部を起点として大きな溶接歪が生じた場合においても、側壁の内面に対して内側沿設板がより確実に当接するので、溶接歪を抑制することができる。そのため、連接沿設板等を介して設けられたアームバネにおける電気接点部の位置が変位しにくくなる。したがって、アームバネの付勢力が不安定になってしまうことを防止できる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記内側沿設板と前記外側沿設板によって前記側壁を把持してもよい。
この発明により、側壁の内面に対して内側沿設板が常に当接し、内側沿設板の変位代がないため、外側沿設板における溶接歪の有無に関わらず、内側沿設板の位置が確実に固定されることとなる。そのため、連接沿設板等を介して設けられたアームバネにおける電気接点部の位置が変位しにくくなる。したがって、アームバネの付勢力が不安定になってしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0019】
基台部とバネ部材を溶接してもアームバネにおける電気接点部の位置が変位しにくく、アームバネの付勢力が不安定になってしまうことを防止できるメス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】コネクタを示す全体斜視図。
図2】メス型端子の分解斜視図。
図3】メス型端子の斜視図。
図4図3における矢印Xの方向から視た正面図。
図5図3における矢印Yの方向から視た側面図。
図6図3における矢印Zの方向から視た平面図。
図7図6におけるA-A断面図。
図8図6におけるB-B断面図。
図9】メス型端子の内側にブレードが挿入された状態のB-B断面図。
図10】メス型端子の生産工程を示す説明図。
図11図10(b)における矢印Yの方向から視た側面図。
図12図11におけるC-C断面図。
図13図12における領域Rの拡大図。
図14】他の実施形態に係るメス型端子のA-A断面図。
図15】他の実施形態に係るメス型端子のB-B断面図。
図16】他の実施形態に係るメス型端子の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の一実施形態を図面に基づいて詳述する。
図1はコネクタ1を示す全体斜視図である。図1においては、内部のメス型端子10が見えるようにコネクタハウジング2を透過状態で表している。図2はメス型端子10の分解斜視図である。
【0022】
また、図3はメス型端子10の斜視図である。図4図3における矢印Xの方向から視た正面図であり、図5図3における矢印Yの方向から視た側面図であり、図6図3における矢印Zの方向から視た平面図である。図7図6におけるA-A断面図であり、図8図6におけるB-B断面図である。
【0023】
さらに、図9はメス型端子10の内側にブレード7が挿入された状態のB-B断面図である。図10はメス型端子10の生産工程を示す説明図であり、図11図10(b)における矢印Yの方向から視た側面図であり、図12図11におけるC-C断面図である。そして、図13図12における領域Rの拡大図である。図13においては、溶接歪が生じた状態を表している。
【0024】
図1に示すように、コネクタ1は、コネクタハウジング2の内部に二つのメス型端子10を収容したものである。以下に、コネクタ1について簡単に説明し、その後にメス型端子10について詳しく説明する。
【0025】
コネクタハウジング2は、略直方体形状の筐体部2aと、筐体部2aから延びる電線挿通部2bとを有している。筐体部2aには、二つのメス型端子10が互いに対して並行に収容され、それぞれのメス型端子10から延びる電線3が電線挿通部2bに挿通、保持されている。
【0026】
電線3は、芯線4を絶縁被覆5で被覆した大電流用の丸電線である。芯線4は、銅又は銅合金で形成された素線を束ねて構成されている。但し、芯線4は、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成された素線を束ねて構成されていてもよい。あるいは材質を問わず、いわゆる単線であってもよい。
【0027】
このようにして、コネクタ1は、ワイヤーハーネスにおける幹線の末端部分を構成する。あるいはワイヤーハーネスの幹線から分岐した枝線の末端部分を構成する。そして、コネクタハウジング2に対して図示省略する相手側のコネクタハウジングが接続されると、メス型端子10の内側にオス型端子6のブレード7(図9参照)が挿入され、両端子が電気的に接続される。
【0028】
図2から図6に示すように、メス型端子10は、電線3に接続される基台部20と、基台部20に取り付けられるバネ部材30とを有している。メス型端子10の機能区分としては、電線3に接続される電線接続部11と、オス型端子6のブレード7(図9参照)に接続される端子接続部12とに分けることができる。そして、電線接続部11と端子接続部12とで端子本体15を構成している。
【0029】
なお、以下の説明においては、端子本体15における電線接続部11と端子接続部12とを直列配置した方向を長手方向Lとし、電線接続部11が設けられた側を基端側Lb、その逆側を先端側Ltと表している。また、長手方向Lに直交する方向を高さ方向Hとし、後述する挿入空間12Xが開口された側を上方側Hu、その逆側を下方側Hdと表している。さらに、長手方向Lと高さ方向Hに直交する方向を幅方向Wとし、電線接続部11に連接された側壁21の側を奥側Wb、その逆側を手前側Wfと表している。
【0030】
電線接続部11は、基台部20における電線3が接続される部位を指す。電線接続部11は、基台部20の奥側Wbの側壁21から基端側Lbに向かって延設されており、長手方向Lかつ高さ方向Hに広がった平板状に形成されている。電線接続部11と端子接続部12との境界部分には、下方側Hdの端縁から上方側Huに向かって切欠部11aが設けられている。端子接続部12となる板材に曲げ加工を施して一対の側壁21を形成する際に、電線接続部11に歪が生じないようにするためである。
【0031】
端子接続部12は、基台部20におけるオス型端子6のブレード7(図9参照)に接続される部位を指す。端子接続部12は、所定間隔を隔てて配置された一対の側壁21を有しており、それぞれの側壁21は、長手方向Lかつ高さ方向Hに広がった平板状に形成されている。こうして、それぞれの側壁21と、これら側壁21をつなぐ底壁22との間には、オス型端子6のブレード7(図9参照)が挿入可能な挿入空間12Xが形成されている。また、それぞれの側壁21における内面と頂面との角部21Eには、面付部21Cが形成されている。面付部21Cは、所定角度に形成された傾斜部分を指し、バネ部材30との間で略三角形状の空間を構成している。
【0032】
図2から図6に示すように、バネ部材30は、一対の側壁21に取り付けられることにより、互いに対向して配置される。これらバネ部材30は、二つ一組で使用され、挿入空間12Xに挿入されたブレード7(図9参照)を挟み込むように付勢力が作用する構成とされている(図9における矢印F参照)。以下に、バネ部材30について詳しく説明する。
【0033】
バネ部材30は、長手方向Lから視て下方側Hdが開口する逆U字状に形成されている。バネ部材30は、側壁21の内面側に配置される内側沿設板31と、側壁21の外面側に配置される外側沿設板32と、側壁21の頂面側に配置されて内側沿設板31及び外側沿設板32を連接する連接沿設板33と、挿入されたブレード7(図9参照)に当接するアームバネ34とを有している。内側沿設板31は、側壁21の内面から1mm未満の僅かな隙間を隔てて配置され、外側沿設板32は、側壁21の外面に当接した状態で配置されている。
【0034】
また、バネ部材30は、外側沿設板32から長手方向Lに延設された延設部分を垂直に折り曲げることによって形成した止板35を有している。そのため、バネ部材30を奥側Wbの側壁21に装着すると、かかる側壁21における先端側Ltの端面に止板35が当接することとなる。反対に、バネ部材30を手前側Wfの側壁21に装着すると、かかる側壁21における基端側Lbの端面に止板35が当接することとなる。このように、止板35は、側壁21に取り付けられるバネ部材30の位置決め用途に利用される(図3から図7参照)。
【0035】
さらに、図7から図9に示すように、バネ部材30は、内側沿設板31が側壁21の内面と面付部21Cとの境界部分である面付端縁21dよりも下方側Hdに長く形成されている。そして、内側沿設板31の下方側端縁31dからアームバネ34が延出されている。それぞれのアームバネ34は、挿入空間12Xの開口から下方側Hdに向かうにつれて対向する側壁21に対して徐々に近接するアーム部341と、アーム部341の所定箇所から折り曲げられて徐々に離間するアーム先端部342とを有している。そして、アーム部341とアーム先端部342の境界部分には、対向する側壁21に向かって突出する電気接点部343が形成されている。かかる電気接点部343は、挿入されたブレード7の側面に対して接触する(図9参照)。
【0036】
加えて、図7から図9に示すように、バネ部材30には、長手方向Lに沿って互いに所定間隔を隔てつつ、十枚のアームバネ34が設けられている。それぞれのアームバネ34は、その基端部分34b(内側沿設板31との連接部分と同義)が高さ方向Hにズレなく一致しており、基端部分34bから先端部分34tまでのアーム長さも全て等しいものとされている。但し、長手方向Lの基端側Lbから先端側Ltに向かって順に並ぶアームバネ34をアームバネ34A~34Jとした場合に、アームバネ34A,34Jの幅寸法が大きく設定され、アームバネ34B,34Iの幅寸法が中程度に設定され、アームバネ34C~34Hの幅寸法が小さく設定されている。このようにしたのは、アームバネ34の一群全体として、ブレード7に対して高い追従性を発揮させるためである(図9参照)。
【0037】
なお、アームバネ34A~34Jは、その基端部分34bが高さ方向Hにズレなく一致しているものの、長手方向Lの両側Lb,Ltから中央に向かってアーム長さが徐々に長く又は短くなっていてもよい。あるいは交互に長短を繰り返してもよい。さらに、アームバネ34A~34Jは、その基端部分34bが高さ方向Hにズレているとしてもよい。この場合においても、アーム長さが全て等しくてもよいし、徐々に長く又は短くなっていてもよい。あるいは交互に長短を繰り返してもよい。
【0038】
ところで、このようなメス型端子10は、以下の生産工程を経て完成される。すなわち、図10(a)に示すように、基台部20を構成する一対の側壁21にバネ部材30を取り付け、図10(b)に示すように、バネ部材30における外側沿設板32と側壁21とを溶接して完成される。
【0039】
ここで、図11及び図12を用いて、貫通孔32hと溶接部40について説明する。本実施形態に係るメス型端子10においては、一つの貫通孔32hと、かかる貫通孔32hを挟んだ長手方向Lの両側及び外側沿設板32の下方側端縁32dに沿う位置に溶接部40が設けられている(図3及び図5ならびに図8から図12参照)。
【0040】
貫通孔32hは、外側沿設板32における高さ方向Hの中央部分よりも上方側Huで、外側沿設板32における長手方向Lの中央部分に一つ設けられている。貫通孔32hは、長手方向Lに長い略矩形状とされ、側壁21の貫通孔21hと重なることによって開口部分を構成する。かかる開口部分には、コネクタハウジング2(図1参照)の係合爪が係合する。
【0041】
溶接部40は、基台部20とバネ部材30の導電性を向上させるとともに基台部20からバネ部材30が脱落してしまうことを防止すべく設けられている。溶接部40は、溶接実施範囲50の内側に収まるように設けられている。溶接実施範囲50とは、外側沿設板32における溶接部40を設けることが認められた部位を指し、貫通孔32hを挟んだ長手方向Lの両側から下方側端縁32dの近傍まで広く設定されている。
【0042】
本実施形態に係るメス型端子10において、溶接部40は、貫通孔32hよりも長手方向Lの基端側Lbで長手方向Lに対して平行に設けられた基端側溶接部分40bと、貫通孔32hよりも長手方向Lの先端側Ltで長手方向Lに対して平行に設けられた先端側溶接部分40tと、下方側端縁32dに沿って長手方向Lに対して平行に設けられた下端側溶接部分40dとで構成されている。これら溶接部分40b,40t,40dは、それぞれ実線状かつ直線状に延びている。
【0043】
この点、これら溶接部分40b,40t,40dの少なくとも一部の溶接態様が異なっていてもよい。具体的には、溶接部分40b,40t,40dの少なくとも一部が実線状ではなく、点線状あるいは点群状であってもよい。また、溶接部分40b,40t,40dの少なくとも一部が直線状ではなく、曲線状あるいは折線状であってもよい。さらに、溶接部分40b,40t,40dの少なくとも一部が円形等の細かなパターンを描きながら走査する、いわゆるウォブリング溶接やウィービング溶接等であってもよい。
【0044】
このように、本実施形態に係るメス型端子10において、溶接部40は、三本の直線状に形成された溶接部分40b,40t,40dによって構成されているものの、溶接実施範囲50の内側に収まることを条件に、あらゆる溶接態様とすることが許容される。例えば、溶接部分40b,40t,40dで構成されることに限定されず、単純な線や円、あるいは複雑な幾何学模様等としてもよい。但し、溶接部40における最も連接沿設板33に近接した上端側部分は、側壁21における面付部21Cの面付端縁21dよりも下方側Hdに設けられている。つまり、溶接部40の上端側部分である溶接部分40b,40tは、面付部21Cの面付端縁21dよりも下方側Hdに設けられている。なおかつ、溶接部分40b,40tよりも内側沿設板31が下方側Hdに長く形成されている。
【0045】
以上のように、本実施形態に係るメス型端子10は、電線3に接続される基台部20と、基台部20に取り付けられるバネ部材30とで端子本体15が設けられ、基台部20は、オス型端子6のブレード7が挿入可能な所定間隔を隔てて配置された一対の側壁21を有し、バネ部材30は、側壁21の内面側に配置される内側沿設板31と、側壁21の外面側に配置される外側沿設板32と、側壁21の頂面側に配置されて内側沿設板31及び外側沿設板32を連接する連接沿設板33と、挿入されたブレード7に当接するアームバネ34とを有し、外側沿設板32には、側壁21との溶接部40が設けられ、側壁21の対向方向(幅方向W)及びブレード7の挿入方向(高さ方向H)に対して交差する長手方向Lから視て、内側沿設板31が、側壁21の内面と頂面との角部21Eに隣接する当該側壁21の内面側部分(図12における範囲Rc参照)に1mm未満の僅かな隙間を隔てて配置されたことを特徴とする。
【0046】
このようなメス型端子10によれば、基台部20とバネ部材30を溶接してもアームバネ34における電気接点部343の位置が変位しにくく、アームバネ34の付勢力が不安定になってしまうことを防止できる。
詳述すると、本願発明に係るメス型端子10は、電線3に接続される基台部20と、基台部20に取り付けられるバネ部材30とを有しており、バネ部材30には、側壁21の内面側に配置される内側沿設板31と、側壁21の外面側に配置される外側沿設板32とを有し、かかる外側沿設板32には、側壁21との溶接部40が設けられている。そして、側壁21の対向方向(幅方向W)及びブレード7の挿入方向(高さ方向H)に対して交差する長手方向Lから視て、内側沿設板31が、側壁21の内面と頂面との角部21Eに隣接する側壁21の内面側部分(図13における範囲Rc参照)に1mm未満の僅かな隙間を隔てて配置されている。そのため、外側沿設板32における溶接部40及びその周囲が溶接時の熱影響によって変形、すなわち溶融金属の凝固による収縮によって外側沿設板32が反り返ろうとする溶接歪を生じても(図13における矢印Dm参照)、側壁21の内面に対して内側沿設板31が引っ掛かって溶接歪に抵抗するので(図13における矢印Pr参照)、連接沿設板33等を介して設けられたアームバネ34における電気接点部343の位置が変位しにくくなる。したがって、アームバネ34の付勢力が不安定になってしまうことを防止できる。
【0047】
また、本願発明に係るメス型端子10においては、内側沿設板31が、連接沿設板33とアームバネ34を連接する位置に配置されている。
このようなメス型端子10によれば、外側沿設板32における溶接部40及びその周囲において、溶融金属の凝固による収縮によって外側沿設板32が反り返ろうとする溶接歪を生じても、側壁21の内面に対して内側沿設板31が当接して抵抗するので、溶接歪を抑制することができる。また、側壁21の内面に対して内側沿設板31が当接することで、かかる内側沿設板31の位置が確実に固定されることとなる。そのため、連接沿設板33等を介して設けられたアームバネ34における電気接点部343の位置が変位しにくくなる。したがって、アームバネ34の付勢力が不安定になってしまうことを防止できる。
【0048】
また、本願発明に係るメス型端子10においては、角部21Eに面付部21Cが形成され、側壁21の頂面から高さ方向Hに隔てられた面付部21Cの面付端縁21dまでの距離をDaとし、側壁21の頂面から高さ方向Hに隔てられた内側沿設板31の下方側端縁31dまでの距離をDbとした場合に、Da<Dbを満たしている(図12参照)。
【0049】
このようなメス型端子10によれば、角部21Eに面付部21Cが形成されていても、側壁21の内面に対して内側沿設板31が確実に当接するので、溶接歪を抑制することができる。そのため、連接沿設板33等を介して設けられたアームバネ34における電気接点部343の位置が変位しにくくなる。したがって、アームバネ34の付勢力が不安定になってしまうことを防止できる。
【0050】
加えて、角部21Eに面付部21Cが形成されているため、内側沿設板31と外側沿設板32の間隔が狭いバネ部材30であったとしても、かかるバネ部材30を面付部21Cに沿わせて押し込むだけで容易に取り付けることが可能となる。また、面付部21Cの形成によって角部21Eに生じ得るバリやダレ等を落とすことができ、これらバリやダレ等にバネ部材30が乗り上げた状態になることを防ぐことが可能となる。したがって、溶接歪に対してバラツキなく適宜に抵抗力を発揮でき、この点からも付勢力が不安定になってしまうことを防止できる。
【0051】
また、本願発明に係るメス型端子10においては、側壁21の頂面から溶接部分40b,40tまでの距離(詳しくは線幅の中心までの距離)をDcとした場合に、Da<Dc<Dbを満たしている(図12参照)。そして、溶接部40が溶接部分40b,40tのように長手方向Lに対して平行に設けられていない、あるいは複雑な幾何学模様である場合は、側壁21の頂面からその上端部分までの距離をDcとしてDa<Dc<Dbを満たす必要がある。
【0052】
このようなメス型端子10によれば、溶接部分40b,40tを起点として大きな溶接歪が生じた場合においても、側壁21の内面に対して内側沿設板31がより確実に当接するので、溶接歪を抑制することができる。そのため、連接沿設板33等を介して設けられたアームバネ34における電気接点部343の位置が変位しにくくなる。したがって、アームバネ34の付勢力が不安定になってしまうことを防止できる。
【0053】
なお、本実施形態に係るメス型端子10においては、ファイバレーザ溶接機Lw(図10(b)参照)を用いて外側沿設板32と側壁21との溶接を行うものとしている。レーザの波長は、近赤外域のみならず、遠赤外域、可視域、その他の波長、あるいは多波長を組み合わせたものでもよい。レーザの発振形態は、CW、パルス、CWのパルス変調でもよい。
【0054】
また、スパッタを抑制するための回析光学素子ならびにそれに類する集光ビームパターン制御を用いてもよい。レーザの掃引には、ガルバノスキャナを用いた溶接、もしくは加工ヘッドを固定し、メス型端子10をステージングして溶接、あるいはガルバノスキャナとロボットを組み合わせたオンザフライ溶接でもよい。そして、レーザの代わりに電子ビームを用いて溶接を行うとしてもよいし、アーク溶接機等を用いて溶接を行うとしてもよい。ろう付けやはんだ付け等のろう接合も溶接の概念に含むものとする。
【0055】
この発明の構成と前述の実施形態との対応において、この発明のコネクタはコネクタ1に対応し、
コネクタハウジングはコネクタハウジング2に対応し、
電線は電線3に対応し、
オス型端子はオス型端子6に対応し、
メス型端子はメス型端子10に対応し、
端子本体は端子本体15に対応し、
基台部は基台部20に対応し、
側壁は側壁21に対応し、
面付部は面付部21Cに対応し、
角部は角部21Eに対応し、
面付端縁は面付端縁21dに対応し、
バネ部材はバネ部材30に対応し、
内側沿設板は内側沿設板31に対応し、
外側沿設板は外側沿設板32に対応し、
連接沿設板は連接沿設板33に対応し、
アームバネはアームバネ34に対応し、
沿設板端縁は下方側端縁31dに対応し、
溶接部は溶接部40に対応し、
対向方向は幅方向Wに対応し、
挿入方向は高さ方向Hに対応し、
交差方向は長手方向Lに対応するも、
この発明は、前述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0056】
例えば、前述の実施形態に係るメス型端子10において、バネ部材30は、側壁21の内面側に配置される内側沿設板31と、挿入されたブレード7に当接するアームバネ34とを有している。内側沿設板31は、側壁21における面付部21Cの面付端縁21dよりも下方側Hdに長く形成されており、アームバネ34は、内側沿設板31の下方側端縁31dから延出されている。
【0057】
しかしながら、内側沿設板31がアームバネ34から長手方向Lに離間した位置に配置され、アームバネ34が側壁21の頂面側に配置された連接沿設板33の端縁又は少なくとも近傍から延出されるとしてもよい。具体的には、図14に示すように、一の内側沿設板31がアームバネ34Aから長手方向Lの基端側Lbに離間した位置に配置され、他の内側沿設板31がアームバネ34Jから長手方向Lの先端側Ltに離間した位置に配置され、全てのアームバネ34A~34Jが連接沿設板33の端縁から延出されるとしてもよい。
【0058】
このように、メス型端子10の他の実施形態として、内側沿設板31が、アームバネ34から長手方向Lに離間した位置に配置された構成が考えられる。
このようなメス型端子10によれば、外側沿設板32における溶接部40及びその周囲において、溶融金属の凝固による収縮によって外側沿設板32が反り返ろうとする溶接歪を生じても、側壁21の内面に対して内側沿設板31が当接して抵抗するので、溶接歪を抑制することができる。そのため、連接沿設板33等を介して設けられたアームバネ34における電気接点部343の位置が変位しにくくなる。したがって、アームバネ34の付勢力が不安定になってしまうことを防止できる。
【0059】
加えて、連接沿設板33の端縁又は少なくとも近傍から内側沿設板31を介することなくアームバネ34が延出されるため、アームバネ34のアーム長さを比較的に長く形成することが可能となる。したがって、アームバネ34の弾性変形量を確保でき、この点からも付勢力が不安定になってしまうことを防止できる。
【0060】
また、前述の実施形態に係るメス型端子10において、内側沿設板31は、側壁21の内面から1mm未満の僅かな隙間を隔てて配置されている。この点、図15に示すように、側壁21の内面に対して内側沿設板31が常に当接し、内側沿設板31と外側沿設板32によって側壁21を把持してもよい(矢印G参照)。
【0061】
このように、メス型端子10の他の実施形態として、内側沿設板31と外側沿設板32によって側壁21を把持した構成が考えられる。
このようなメス型端子10によれば、側壁21の内面に対して内側沿設板31が常に当接し、内側沿設板31の変位代がないため、外側沿設板32における溶接歪の有無に関わらず、内側沿設板31の位置が確実に固定されることとなる。そのため、連接沿設板33等を介して設けられたアームバネ34における電気接点部343の位置が変位しにくくなる。したがって、アームバネ34の付勢力が不安定になってしまうことを防止できる。
【0062】
さらに、前述の各実施形態に関わらず、以下の構成とすることも可能である。すなわち、図16に示すように、外側沿設板32の基端側端縁32b、先端側端縁32t及び下方側端縁32dを含むように溶接実施範囲50を設定し、溶接部40の少なくとも一部がいわゆる隅肉溶接であってもよい。例えば、図16に示すように、溶接部40を構成する溶接部分40b、40t、40dがいわゆる隅肉溶接であってもよい。側壁21における基端側Lbの端面に当接する止板35が外側沿設板32の下方側Hdに設けられていることから、少なくとも溶接部分40t、40dが隅肉溶接とされ、互いにつながっていてもよい。側壁21の頂面から溶接部分40b、40tの上端部分までの距離をDcとしてDa<Dc<Dbを満たす必要がある。
【0063】
このように、溶接部40を隅肉溶接とすることで、溶接が適正であるか否かの評価が容易となる。溶接部40を隅肉溶接とすれば、外側沿設板32と側壁21との溶接部分40b、40t、40dを外部から観察することができるので、これらの溶接が適正であるか否かの評価が容易となる。
【0064】
なお、本願の発明には、メス型端子10と、メス型端子10を収容するコネクタハウジング2とが備えられたコネクタ1(図1参照)、ならびにメス型端子10と、メス型端子10の基台部20に接続される電線3とが備えられた端子付き電線が含まれるものとする。さらには、端子付き電線と、端子付き電線を収容するコネクタハウジング2とが備えられたコネクタ付き電線、ならびに端子付き電線及びコネクタ付き電線のうちの少なくとも一方を備えたワイヤーハーネスが含まれるものとする。
【0065】
これらにおいても、本願発明に係るメス型端子10と同様の効果を奏する。すなわち、基台部20とバネ部材30を溶接してもアームバネ34における電気接点部343の位置が変位しにくく、アームバネ34の付勢力が不安定になってしまうことを防止できる。
【符号の説明】
【0066】
1…コネクタ
2…コネクタハウジング
3…電線
6…オス型端子
10…メス型端子
15…端子本体
20…基台部
21…側壁
21E…角部
21C…面付部
21d…面付端縁
30…バネ部材
31…内側沿設板
32…外側沿設板
33…連接沿設板
34…アームバネ
31d…下方側端縁
40…溶接部
W…幅方向
H…高さ方向
L…長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16