IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 栗田工業株式会社の特許一覧

特開2024-99455管理システム、管理装置、管理方法及び管理プログラム
<>
  • 特開-管理システム、管理装置、管理方法及び管理プログラム 図1
  • 特開-管理システム、管理装置、管理方法及び管理プログラム 図2
  • 特開-管理システム、管理装置、管理方法及び管理プログラム 図3
  • 特開-管理システム、管理装置、管理方法及び管理プログラム 図4
  • 特開-管理システム、管理装置、管理方法及び管理プログラム 図5
  • 特開-管理システム、管理装置、管理方法及び管理プログラム 図6
  • 特開-管理システム、管理装置、管理方法及び管理プログラム 図7
  • 特開-管理システム、管理装置、管理方法及び管理プログラム 図8
  • 特開-管理システム、管理装置、管理方法及び管理プログラム 図9
  • 特開-管理システム、管理装置、管理方法及び管理プログラム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099455
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】管理システム、管理装置、管理方法及び管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/46 20060101AFI20240718BHJP
   G01N 33/22 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
G01N33/46
G01N33/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003425
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】日▲高▼ 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】吉川 たかし
(72)【発明者】
【氏名】賀川 泰裕
(72)【発明者】
【氏名】根崎 孝介
(57)【要約】
【課題】ヤードに配置されている木材チップやバイオマス燃料のパイル中の水分量を推定することができるか、又は木材チップやバイオマス燃料のパイルの発熱を判定することができる管理システム、管理装置、管理方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理システムが提供される。この管理システムは、気象情報取得部と、推定部とを備える。気象情報取得部は、屋外の気象を示す気象情報を取得するように構成される。推定部は、気象情報に基づいて、木材チップ及び/又はバイオマス燃料に含まれる水分量を推定するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理システムであって、
気象情報取得部と、推定部とを備え、
前記気象情報取得部は、前記屋外の気象を示す気象情報を取得するように構成され、
前記推定部は、前記気象情報に基づいて、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料に含まれる水分量を推定するように構成される
管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の管理システムにおいて、
前記推定部は、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料に含まれる水分量を、前記木材チップのパイルごと及び/又は搬送ラインごとに推定するように構成される
管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の管理システムにおいて、
水分量出力部をさらに備え、
前記水分量出力部は、前記推定部において推定された水分量を、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料のパイルごと及び/又は搬送ラインごとに出力するように構成される
管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の管理システムにおいて、
判断部をさらに備え、
前記判断部は、前記推定部において推定された水分量又はその変化に基づいて、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料に問題が生じ得るか否かを判断するように構成される
管理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の管理システムにおいて、
警告出力部をさらに備え、
前記警告出力部は、前記判断部が、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料に問題が生じ得ると判断した場合に、警告を出力するように構成される
管理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の管理システムにおいて、
パイル情報取得部をさらに備え、
前記パイル情報取得部は、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料のパイルの面積、体積、平面形状、立体形状及び位置からなる群から選択される1以上を含むパイル情報を取得するように構成され、
前記推定部は、さらに前記パイル情報に基づいて、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料に含まれる水分量を推定するように構成される
管理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の管理システムにおいて、
前記気象情報は、降水量を含む
管理システム。
【請求項8】
屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理装置であって、
気象情報取得部と、推定部とを備え、
前記気象情報取得部は、前記屋外の気象を示す気象情報を取得するように構成され、
前記推定部は、前記気象情報に基づいて、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料に含まれる水分量を推定するように構成される
管理装置。
【請求項9】
屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理方法であって、
気象情報取得工程と、推定工程とを備え、
前記気象情報取得工程では、前記屋外の気象を示す気象情報を取得し、
前記推定工程では、前記気象情報に基づいて、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料に含まれる水分量を推定する
管理方法。
【請求項10】
屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理プログラムであって、
コンピュータを、気象情報取得部及び推定部として機能させ、
前記気象情報取得部は、前記屋外の気象を示す気象情報を取得するように構成され、
前記推定部は、前記気象情報に基づいて、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料に含まれる水分量を推定するように構成される
管理プログラム。
【請求項11】
屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理システムであって、
撮像部と、閾値情報取得部と、発熱判定部とを備え、
前記撮像部は、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料のパイルの表層全体を撮像可能な位置から、前記パイルの表層の熱分布像を示す熱分布像情報を撮像するように構成され、
前記閾値情報取得部は、前記パイルの表層が有する温度及び/又は温度変化の閾値を示す閾値情報を取得するように構成され、
前記発熱判定部は、前記熱分布像情報及び前記閾値情報に基づき、前記パイルの発熱を判定するように構成される
管理システム。
【請求項12】
請求項11に記載の管理システムにおいて、
判定結果出力部をさらに備え、
前記判定結果出力部は、前記発熱判定部による前記パイルの発熱の判定結果を、前記パイルごとに表示するように構成される
管理システム。
【請求項13】
請求項11に記載の管理システムにおいて、
前記撮像部は、熱分布計を有する飛行体である
管理システム。
【請求項14】
屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理装置であって、
熱分布像情報取得部と、閾値情報取得部と、発熱判定部とを備え、
前記熱分布像情報取得部は、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料のパイルの表層全体を撮像可能な位置から撮像した、前記パイルの表層の熱分布像を示す熱分布像情報を取得するように構成され、
前記閾値情報取得部は、前記パイルの表層が有する温度及び/又は温度変化の閾値を示す閾値情報を取得するように構成され、
前記発熱判定部は、前記熱分布像情報及び前記閾値情報に基づき、前記パイルの発熱を判定するように構成される
管理装置。
【請求項15】
屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理方法であって、
熱分布像情報取得工程と、閾値情報取得工程と、発熱判定工程とを備え、
前記熱分布像情報取得工程では、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料のパイルの表層全体を撮像可能な位置から撮像した、前記パイルの表層の熱分布像を示す熱分布像情報を取得し、
前記閾値情報取得工程では、前記パイルの表層が有する温度及び/又は温度変化の閾値を示す閾値情報を取得し、
前記発熱判定工程では、前記熱分布像情報及び前記閾値情報に基づき、前記パイルの発熱を判定する
管理方法。
【請求項16】
屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理プログラムであって、
コンピュータを、熱分布像情報取得部、閾値情報取得部及び発熱判定部として機能させ、
前記熱分布像情報取得部は、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料のパイルの表層全体を撮像可能な位置から撮像した、前記パイルの表層の熱分布像を示す熱分布像情報を取得するように構成され、
前記閾値情報取得部は、前記パイルの表層が有する温度及び/又は温度変化の閾値を示す閾値情報を取得するように構成され、
前記発熱判定部は、前記熱分布像情報及び前記閾値情報に基づき、前記パイルの発熱を判定するように構成される
管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システム、管理装置、管理方法及び管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パルプの製造原料である木材チップは、パルプ工場のチップヤード内に山積みしてパイルの状態で保管される。パイルは数週間~数ヶ月にわたってチップヤード内に保管されることもある。このような木材チップのパイルは、木材チップ中の細胞の生物的呼吸、木材チップの自然酸化、微生物による生分解等によって発熱することがある。このとき、木材チップ中の水分含有量が高いと、腐朽菌の活動が活発になりチップの腐食を促進させることがある。
【0003】
その他、木材チップがさらに加熱されると、熱分解によって劣化するためこれを用いたパルプの品質を低下させたり、まれに発火したりすることもある。また、木材チップ中の水分量が増加すると、これを用いた紙の製造にあたって、水酸化ナトリウムを用いてパルプからリグニンを煮出す工程の効率が低下することがある。
【0004】
このように、木材チップの管理のためには、木材チップの水分量又は発熱についての適切な管理が必要である。
【0005】
また、バイオマス燃料は、木くずや枝葉、パームヤシ殻(PKS)や木質ペレットによって構成されるため、上述した木材チップと同様の保管をする。したがって、上述した木材チップの例と同様に、熱分解によって発火リスクが起こる。また、降雨によってバイオマス燃料の水分量が増加すると、燃焼工程において、水の蒸発潜熱分の燃焼効率が低下することになる。他にもバイオマスを炭化したコークスや、半炭化したトレファクションペレット等、バイオマスを原料とした燃料は脱炭素を目的に多様化しており、これらの燃料についても同様に問題が生じる。
【0006】
ここで、石炭のパイルについては、チップヤードに立ち入り石炭パイルから少量の石炭をサンプリングして水分量を測定したり、石炭パイルに電熱線を挿し込んで温度を測定したりしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、木材チップやバイオマス燃料を管理する場合には、それら自身やそれらに含まれる微生物が呼吸をして酸素を吸収するため、ヤード内は低酸素状態となっており、人間が立ち入って作業することが困難であるため、石炭に用いる水分量や温度の測定方法を、木材チップ等のヤードにそのまま適用することは困難である。
【0008】
本発明では上記事情に鑑み、ヤードに配置されている木材チップやバイオマス燃料のパイル中の水分量を推定することができるか、又は木材チップやバイオマス燃料のパイルの発熱を判定することができる管理システム、管理装置、管理方法及びプログラムを提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理システムが提供される。この管理システムは、気象情報取得部と、推定部とを備える。気象情報取得部は、屋外の気象を示す気象情報を取得するように構成される。推定部は、気象情報に基づいて、木材チップ及び/又はバイオマス燃料に含まれる水分量を推定するように構成される。
【0010】
具体的には、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0011】
(1)屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理システムであって、気象情報取得部と、推定部とを備え、前記気象情報取得部は、前記屋外の気象を示す気象情報を取得するように構成され、前記推定部は、前記気象情報に基づいて、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料に含まれる水分量を推定するように構成される管理システム。
【0012】
(2)上記(1)に記載の管理システムにおいて、前記推定部は、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料に含まれる水分量を、前記木材チップのパイルごと及び/又は搬送ラインごとに推定するように構成される管理システム。
【0013】
(3)上記(2)に記載の管理システムにおいて、水分量出力部をさらに備え、前記水分量出力部は、前記推定部において推定された水分量を、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料のパイルごと及び/又は搬送ラインごとに出力するように構成される管理システム。
【0014】
(4)上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の管理システムにおいて、判断部をさらに備え、前記判断部は、前記推定部において推定された水分量又はその変化に基づいて、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料に問題が生じ得るか否かを判断するように構成される管理システム。
【0015】
(5)上記(4)に記載の管理システムにおいて、警告出力部をさらに備え、前記警告出力部は、前記判断部が、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料に問題が生じ得ると判断した場合に、警告を出力するように構成される管理システム。
【0016】
(6)上記(1)~(5)のいずれか1つに記載の管理システムにおいて、パイル情報取得部をさらに備え、前記パイル情報取得部は、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料のパイルの面積、体積、平面形状、立体形状及び位置からなる群から選択される1以上を含むパイル情報を取得するように構成され、前記推定部は、さらに前記パイル情報に基づいて、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料に含まれる水分量を推定するように構成される管理システム。
【0017】
(7)上記(1)~(6)のいずれか1つに記載の管理システムにおいて、前記気象情報は、降水量を含む管理システム。
【0018】
(8)屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理装置であって、気象情報取得部と、推定部とを備え、前記気象情報取得部は、前記屋外の気象を示す気象情報を取得するように構成され、前記推定部は、前記気象情報に基づいて、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料に含まれる水分量を推定するように構成される管理装置。
【0019】
(9)屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理方法であって、気象情報取得工程と、推定工程とを備え、前記気象情報取得工程では、前記屋外の気象を示す気象情報を取得し、前記推定工程では、前記気象情報に基づいて、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料に含まれる水分量を推定する管理方法。
【0020】
(10)屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理プログラムであって、コンピュータを、気象情報取得部及び推定部として機能させ、前記気象情報取得部は、前記屋外の気象を示す気象情報を取得するように構成され、前記推定部は、前記気象情報に基づいて、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料に含まれる水分量を推定するように構成される管理プログラム。
【0021】
(11)屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理システムであって、撮像部と、閾値情報取得部と、発熱判定部とを備え、前記撮像部は、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料のパイルの表層全体を撮像可能な位置から、前記パイルの表層の熱分布像を示す熱分布像情報を撮像するように構成され、前記閾値情報取得部は、前記パイルの表層が有する温度及び/又は温度変化の閾値を示す閾値情報を取得するように構成され、前記発熱判定部は、前記熱分布像情報及び前記閾値情報に基づき、前記パイルの発熱を判定するように構成される管理システム。
【0022】
(12)上記(11)に記載の管理システムにおいて、判定結果出力部をさらに備え、前記判定結果出力部は、前記発熱判定部による前記パイルの発熱の判定結果を、前記パイルごとに表示するように構成される管理システム。
【0023】
(13)上記(11)又は(12)に記載の管理システムにおいて、前記撮像部は、熱分布計を有する飛行体である管理システム。
【0024】
(14)屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理装置であって、熱分布像情報取得部と、閾値情報取得部と、発熱判定部とを備え、前記熱分布像情報取得部は、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料のパイルの表層全体を撮像可能な位置から撮像した、前記パイルの表層の熱分布像を示す熱分布像情報を取得するように構成され、前記閾値情報取得部は、前記パイルの表層が有する温度及び/又は温度変化の閾値を示す閾値情報を取得するように構成され、前記発熱判定部は、前記熱分布像情報及び前記閾値情報に基づき、前記パイルの発熱を判定するように構成される管理装置。
【0025】
(15)屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理方法であって、熱分布像情報取得工程と、閾値情報取得工程と、発熱判定工程とを備え、前記熱分布像情報取得工程では、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料のパイルの表層全体を撮像可能な位置から撮像した、前記パイルの表層の熱分布像を示す熱分布像情報を取得し、前記閾値情報取得工程では、前記パイルの表層が有する温度及び/又は温度変化の閾値を示す閾値情報を取得し、前記発熱判定工程では、前記熱分布像情報及び前記閾値情報に基づき、前記パイルの発熱を判定する管理方法。
【0026】
(16)屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理プログラムであって、コンピュータを、熱分布像情報取得部、閾値情報取得部及び発熱判定部として機能させ、前記熱分布像情報取得部は、前記木材チップ及び/又は前記バイオマス燃料のパイルの表層全体を撮像可能な位置から撮像した、前記パイルの表層の熱分布像を示す熱分布像情報を取得するように構成され、前記閾値情報取得部は、前記パイルの表層が有する温度及び/又は温度変化の閾値を示す閾値情報を取得するように構成され、前記発熱判定部は、前記熱分布像情報及び前記閾値情報に基づき、前記パイルの発熱を判定するように構成される管理プログラム。
もちろん、この限りではない。
【0027】
本発明によれば、ヤードに配置されている木材チップやバイオマス燃料のパイル中の水分量を推定することができるか、木材チップやバイオマス燃料のパイルの発熱を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本実施形態に係る管理システムの概略図である。
図2】本実施形態に係る管理装置の機能構成を示す概略模式図である。
図3】本実施形態に係る出力装置に出力される画面の一例である。
図4】本実施形態に係る管理装置のハードウェア構成を示す概略図である。
図5】本実施形態に係る管理方法のフローチャート図である。
図6】本実施形態に係る管理システムの概略図である。
図7】本実施形態に係る管理装置の機能構成を示す概略模式図である。
図8】本実施形態に係る出力装置に出力される画面の一例である。
図9】本実施形態に係る管理装置のハードウェア構成を示す概略図である。
図10】本実施形態に係る管理方法のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0030】
本実施形態に係るソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0031】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0032】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0033】
<第1の実施形態 水分量の推定>
以下、チップヤードに配置されている木材チップのパイル中の水分量を推定することができる管理システム、管理装置、管理方法及び管理プログラムについて説明する。
【0034】
〔管理システム〕
本実施形態に係る管理システムは、屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理システムである。具体的に、この管理システムは、気象情報取得部と、推定部とを備える。このうち、気象情報取得部は、屋外の気象を示す気象情報を取得するように構成される。また、推定部は、気象情報に基づいて、木材チップ及び/又はバイオマス燃料に含まれる水分量を推定するように構成される。
【0035】
また、必須の構成ではないが、本実施形態に係る管理システムは、水分量出力部、判断部、警告出力部、パイル情報測定部及びパイル情報取得部のうち、1又は2以上を備えてもよい。なお、以下では、これら全てを備える管理システムについて主として説明する。
【0036】
[管理システムの機能的構成]
図1は、本実施形態に係る管理システムの概略図である。この管理システム1は、管理装置2と、出力装置3と、パイル情報測定装置4とを備える。
【0037】
このうち、管理装置2は、管理システム1における屋外での木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理のための情報処理を制御するものである。図2は、本実施形態に係る管理装置の機能構成を示す概略模式図である。この図2に示すように、本実施形態に係る管理装置2は、気象情報取得部21と、推定部22とを備える。また、管理装置2は、水分量情報取得部23、判断部24及びパイル情報取得部25を備える。なお、出力装置3は、水分量出力部3a及び警告出力部3bの一例である。また、パイル情報測定装置4は、パイル情報測定部の一例であるが、以下では特に区別せず説明する。
【0038】
[管理システムの機能]
以下、管理システム1の各部の機能について具体的に説明する。
【0039】
(気象情報取得部)
気象情報取得部21は、屋外の気象を示す気象情報を取得するように構成されるものである。
【0040】
気象情報としては、特に限定されないが、降水量(降雨量及び降雪量)、気温、風向、風速、日射量、相対湿度等のうち1又は2以上を用いることができる。気象情報としては、特に、降水量を用いることが好ましい。なお、これらの気象情報は、日本国気象庁をはじめとする各国気象庁や、気象予報会社から得ることができる。また、気象情報の取得対象時期としては、特に限定されず、要求される推定精度、水分量の推定に用いる他の情報等に応じて選択することができる。さらに、気象情報は、時間との関係で連続的であっても、断続的であっても、間隙的であってもよい。
【0041】
(推定部)
推定部22は、気象情報取得部21で取得された気象情報に基づいて、木材チップ及び/又はバイオマス燃料に含まれる水分量を推定するように構成されるものである。
【0042】
具体的に、この推定部22においては、例えば気象情報と、特定の期間の水分量の増減(以下、単に「水分量の増減」ということもある。)との関係を関数又はルックアップテーブルを作成するか、それらの関係を学習済モデルとして構築する等によって、気象情報から水分量の増減を算出する。このようにして算出した水分量の増減を、特定の期間の初期における水分量情報(初期水分量)に加えることで、特定時の木材チップ及び/又はバイオマス燃料に含まれる水分量を推定することができる。なお、「初期水分量」とは、かかる管理システムで木材チップ及び/又はバイオマス燃料の水分量の推定対象である時間と異なる時間における木材チップ及び/又はバイオマス燃料の水分量であり、木材チップ及び/又はバイオマス燃料の水分量の推定対象である時間との関係において、これよりも過去であっても未来であってもよい。
【0043】
例えば、気象情報として降水量を用いる場合、木材チップ及び/又はバイオマス燃料がその降水を吸収することによる水分量の総増加量を求めればよい。
【0044】
また、例えば、気象情報として気温、風速、日射量、相対湿度等を用いる場合、それらの気象情報で水分が木材チップ及び/又はバイオマス燃料の表面から蒸発することによる水分量の総減少量を求めればよい。
【0045】
また、推定部22は、木材チップ及び/又はバイオマス燃料に含まれる水分量を、木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルPごとに推定するように構成されることが好ましい。チップヤードに配置されるパイルPは全てが同一の木材チップ及び/又はバイオマス燃料によって構成されているとは限らないし、パイルPの設置時も同一であるとは限らない。したがって、木材チップ及び/又はバイオマス燃料に含有される水分量も異なることがあるため、木材チップ及び/又はバイオマス燃料に含まれる水分量を、木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルPごとに推定して、それに見合った対応策を検討することで、より適切に生じ得る問題に対応できる可能性がある。これによって対応すべきパイルPの優先度が容易に理解できるようになる。
【0046】
また、これと同様に、推定部22は、木材チップ及び/又はバイオマス燃料に含まれる水分量を、木材チップ及び/又はバイオマス燃料の搬送ラインごとに推定するように構成されることが好ましい。木材チップ及び/又はバイオマス燃料は、搬送時においても、上述したパイルについての理由と同様に搬送ラインごとに水分量が異なることがあるためである。なお、この場合において、パイル情報測定装置の代わりに搬送ライン情報測定装置を用い、パイル情報取得部の代わりに搬送ライン情報取得部を用いる。いずれも図示しないが、その機能の違いは、対象がパイルか搬送ラインかのみである。
【0047】
後述する水分量情報取得部23を設ける場合、推定部22は、さらに、水分量情報取得部23において取得した木材チップ及び/又はバイオマス燃料中の水分量に基づいて、木材チップ及び/又はバイオマス燃料に含まれる水分量を推定するように構成されることが好ましい。ここで、水分量情報取得部23において取得した木材チップ及び/又はバイオマス燃料中の水分量は、過去又は現在(かかる管理システムの利用時)の水分量をいう。
【0048】
水分量情報取得部23において取得した木材チップ及び/又はバイオマス燃料中の水分量を推定に用いる場合の例について説明する。例えば、木材チップ及び/又はバイオマス燃料中の水分量として木材チップ及び/又はバイオマス燃料(パイルごとに異なるのであればパイルごとでもよい)の設置時の水分量を水分量情報として用い、設置時よりも後の木材チップ及び/又はバイオマス燃料の水分量を推定する場合、木材チップ及び/又はバイオマス燃料の設置時から木材チップ及び/又はバイオマス燃料の水分量の推定対象となる特定時(過去、現在(かかる管理システムの利用時)、未来のいずれであってもよい)までの気象情報と合わせて用いることで、特定時の木材チップ及び/又はバイオマス燃料に含まれる水分量を推定することができる。より具体的には、木材チップ及び/又はバイオマス燃料の設置時から3日後の水分量を推定するのであれば、木材チップ及び/又はバイオマス燃料の設置時の水分量と、木材チップ及び/又はバイオマス燃料の設置時から3日後までの気象情報を用いればよい。計算の方法としては、水分量情報に対して、気象情報によって木材チップ及び/又はバイオマス燃料の水分量が増加するのであれば増加量を加算し、減少するのであれば減少量を減算することが挙げられる。
【0049】
また、例えば、木材チップ及び/又はバイオマス燃料の設置よりも後の水分量について測定又は推定し、これを水分量情報として用い、さらにこの水分量情報の測定又は推定に対応する時間よりも後の木材チップ及び/又はバイオマス燃料の水分量を推定する場合、その水分量の測定又は推定に対応する時間から木材チップ及び/又はバイオマス燃料の水分量の推測対象となる特定時までの気象情報を用いればよい。計算の方法としては、水分量情報に対して、気象情報によって木材チップ及び/又はバイオマス燃料の水分量が増加するのであれば増加量を加算し、減少するのであれば減少量を減算することが挙げられる。
【0050】
さらに、例えば、木材チップ及び/又はバイオマス燃料の設置よりも後の水分量について測定又は推定し、これを水分量情報として用い、さらにこの水分量情報の測定又は推定に対応する時間よりも前の木材チップ及び/又はバイオマス燃料の水分量を推定する場合、その水分量の測定又は推定に対応する時間と、それ以前の木材チップ及び/又はバイオマス燃料の水分量の推測対象となる特定時の間の気象情報を用いればよい。計算の方法としては、水分量情報に対して、気象情報によって木材チップ及び/又はバイオマス燃料の水分量が増加するのであれば増加量を減算し、減少するのであれば減少量を加算することが挙げられる。
【0051】
すなわち、一実施形態において、気象情報としては、水分量情報の測定又は推定の時間と、木材チップ及び/又はバイオマス燃料の推定対象の時間との間の時間の気象情報を取得することが好ましい。また、この間の時間で、水分量が増減しない、しにくい時間があればその間の気象情報を除外する等してもよい。
【0052】
このような場合において、例えば気象情報と木材チップ及び/又はバイオマス燃料の水分量の変化との関係を示す関数やルックアップテーブル、学習済みモデル等を用いて木材チップ及び/又はバイオマス燃料の含水量の変化を算出することができる。
【0053】
後述するパイル情報取得部25を設ける場合、推定部22は、さらに、パイル情報取得部25において取得した木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルPの面積、体積、平面形状、立体形状及び位置からなる群から選択される1以上を含むパイル情報に基づいて、木材チップ及び/又はバイオマス燃料に含まれる水分量を推定するように構成されることが好ましい。
【0054】
なお、「面積」及び「平面形状」とは、チップヤードY(パイルP)の上方からパイルPを平面視した場合の面積及び平面形状をいう。
【0055】
推定部22が、パイルPの面積、体積、平面形状及び立体形状のいずれか1以上の情報を用いる場合、例えば降水量情報と合わせて、パイルPの面積、体積、平面形状及び立体形状のいずれかと、気象情報(降水量等)とから、例えば関数やルックアップテーブル、学習済みモデル等を用いて木材チップ及び/又はバイオマス燃料の含水量の増加を算出することができる。
【0056】
また、例えばパイルPの面積と降水量とから、パイルPに直接降水する水の量を推定してもよい。直接降水する水の量と、木材チップ及び/又はバイオマス燃料の含水量の増加分の関係を事前に求めておき、含水量の増加分を算出することもできる。
【0057】
さらに、推定部22が、パイルPの位置の情報を用いる場合、例えば気象情報と照らし合わせて、パイルPのより正確な位置における気象情報を適用することができるようになり、より精度の高い推定ができる。
【0058】
(水分量情報取得部)
水分量情報取得部23は、木材チップ及び/又はバイオマス燃料に含まれる水分量を示す水分量情報を取得するように構成されるものである。
【0059】
上述したとおり、例えば水分量情報の測定又は推定の対象となる時間は、気象情報の測定時間との兼ね合いにより決定してもよい。
【0060】
水分量情報取得部23は、水分量情報を、木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルPごとに取得するように構成されることが好ましい。チップヤードに配置されるパイルPは、全てが同一の木材チップ及び/又はバイオマス燃料によって構成されているとは限らない。例えば、銘柄やロット、保管環境等が異なることにより、そこに含有される水分量が異なることがある。このような場合等に、水分量情報を木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルPごとに取得し、上述した推定部22で、木材チップ及び/又はバイオマス燃料に含まれる水分量を、木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルPごとに推定することにより、それぞれのパイルPを構成する木材チップ及び/又はバイオマス燃料について水分量をより適切に推定し得る。
【0061】
なお、木材チップ及び/又はバイオマス燃料の水分量の測定方法としては、特に限定されず、例えばマイクロ波式、赤外光式等の水分計、熱重量計、乾燥重量方式等によって測定することができる。
【0062】
(判断部)
判断部24は、推定部22において推定された水分量又はその変化に基づいて、木材チップ及び/又はバイオマス燃料に問題が生じ得るか否かを判断するように構成されるものである。
【0063】
ここで、水分量についての「変化」とは、単位時間あたりの水分の変化量をいう。
【0064】
具体的に、ここで生じる問題としては、特に限定されないが、例えばパルプ製造用木質チップを管理する場合、上述したチップの腐食の促進、パルプからリグニンを煮出す工程の効率の低下等が挙げられる。また、例えばバイオマス燃料を管理する場合においては、水分上昇そのものがボイラの燃焼効率低下につながることから、後段の工程におけるボイラ運転の効率低下が挙げられる。
【0065】
木材チップ及び/又はバイオマス燃料に問題が生じ得るか否かの判断は、推定部22において推定された水分量又はその変化に基づいて行う。具体的に、例えば推定部22において推定された水分量又はその変化が、予め設けられた閾値を超えた場合に、問題が生じ得ると判断する。なお、閾値としては、その値を超えた場合に必ず問題が起こるものである必要はなく、一定程度の可能性が生じるものであってもよい。また、閾値としては、安全係数を考慮したものであってもよい。
【0066】
閾値は、実際の運用で蓄積された経験的な数値を設定しても、予備的な実験を行って特定した数値を設定してもよい。また、閾値は、木材チップ及び/又はバイオマス燃料やパイルの性質(種類、銘柄、納品日等)ごとに変更してもよいし、変更しなくてもよい。
【0067】
また、推定部22において推定された水分量又はその変化に対して、複数の閾値、すなわち複数の数値帯を設けて、それぞれの数値帯で問題が起こるか否かを判断してもよい。例えば木材チップの管理を行う場合、特定時の水分量が25%以上のときには、木材の腐食が起こりやすくなり、特定時の水分量が30%以上のときには、パルプからリグニンを煮出す工程の効率の低下が起こりやすくなると判断することが挙げられる。また、それぞれの数値帯で問題の起こる可能性や問題の程度を判断してもよい。例えば、特定時の水分量が25%以上30%未満のときには、50%程度の確率で木材の腐食が起こり、30%以上のときには、80%程度の確率で木材の腐食が起こる、と判断することが挙げられる。同様に、バイオマス燃料の管理を行う場合においても、それぞれの用途等に応じて閾値を設けてもよい。
【0068】
(パイル情報取得部)
パイル情報取得部25は、木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルPの面積、体積、平面形状、立体形状及び位置からなる群から選択される1以上を含むパイル情報を取得するように構成されるものである。
【0069】
このように木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルPの面積、体積、平面形状、立体形状及び位置からなる群から選択される1以上を含むパイル情報を取得して、このパイル情報を気象情報とともに用いることにより、木材チップ及び/又はバイオマス燃料に含まれる水分量を適切に推定することができる。
【0070】
(水分量出力部)
水分量出力部3aは、推定部22において推定された水分量を、木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルPごとに出力するように構成されるものである。
【0071】
このようにパイルPごとに推定された水分量を出力することにより、問題が生じやすいパイルPを可視化し、かかる管理システムのオペレータの早期の対応を促すことができる。
【0072】
(警告出力部)
警告出力部3bは、判断部24が、木材チップ及び/又はバイオマス燃料に問題が生じ得ると判断した場合に、警告を出力するように構成されるものである。
【0073】
すなわち、例えば推定部22において推定された水分量又はその変化が予め設けられた閾値を超えるために問題が生じ得ると判断部24が判断した場合において、警告を出力するものである。
【0074】
警告出力部3bから出力される警告としては、特に限定されないが、例えば、「煮出し工程効率低下」(木材チップを管理する場合)、「木材チップ腐食」(木材チップを管理する場合)、「バイオマス燃料腐食」(バイオマス燃料を管理する場合)等、具体的な問題の内容を表示することが好ましい。
【0075】
なお、ここでは、便宜上水分量出力部3aと警告出力部3bとを分けて説明したが、水分量出力部3aと警告出力部3bとしては、図1に示したような同一の出力装置3を用いてもよいし、異なる出力装置を用いてもよい。
【0076】
以下、本実施形態に係る管理システムによる出力の一例について説明する。図3は、本実施形態に係る出力装置3に出力される画面の一例である。この出力画面は、木材チップ又はバイオマス燃料のチップヤード全体を上空から平面視した像を示している。また、この出力画面においては、推定された水分量と、警告とを一つの出力画面において表示している。ここで、この出力画面において、各パイル上に3段に分けて帯を表示し、さらにその上に数値を表示している。この数値は、上から順に当日、3日後、7日後のパイルの水分量を示している。帯は、水分量が25%未満の場合には木材チップ及び/又はバイオマス燃料の腐食が起こりにくいものとして「安全」と、25%以上30%未満の場合には木材チップ及び/又はバイオマス燃料の腐食の程度が50%程度起こるとして「注意」と、30%以上の場合には木材チップ及び/又はバイオマス燃料の腐食が80%程度起こるとして「危険」とそれぞれ評価し、図3では、「危険」、「注意」、「安全」の順に帯の色を濃く着色している。さらに、木材チップ及び/又はバイオマス燃料の腐食とは別の評価の基準として、26.0%以上30.5%未満の場合には、その後の工程で配管の詰まりが起こりやすいとして「!」マークを、30.5%以上の場合には、流炭が起こりやすいとして「!!!」マークを表示している。なお、上述したとおり図3では、「危険」、「注意」、「安全」の順に帯の色を濃く着色しているが、例えば「危険」を赤色、「注意」を黄色、「安全」を青色で着色して、推定部22において推定された水分量又はその変化の評価を視覚的に認識しやすくしてもよい。
【0077】
例えば出力画面上右から2番目のパイルについて、木材チップ又はバイオマス燃料の水分量が3日後に28.0%(「注意」の着色+「!」マーク)、7日後に30.8%(「危険」の着色+「!」マーク+「!!!」マーク)と表示されている。すなわち、このパイルでは、3日後に50%程度の確率で腐食が起こり、またその後の工程で配管の詰まりが起こりやすいものになり、7日後には80%程度の確率で腐食が起こるものになり、また配管の詰まりに加えて流炭が起こりやすくなることを示している。これと同様に、パルプの煮出し工程における効率の低下も段階分けして表示してもよいし、腐食とパルプの煮出し工程における効率の低下とを組み合わせて段階分けして表示してもよい。
【0078】
また、このような水分量の表示は、例えば降水量の表示にも切り替えることができ、降水量が20mmの場合には青色、20mm以上50mm未満の場合には黄色、50mm以上の場合には赤色に色分けした3本の帯(上から順に当日、3日後、7日後)と、その帯上に降水量の数値を表示してもよい。
【0079】
なお、この出力画面の右側には、本日の天気と予想降水量の累積値が示されている。予想降水量の累積値についての上下3段の帯は、上から順にそれぞれ当日、3日後及び7日後の風速を示している。この予想降水量の累積値についても、上述した3段階評価の例であれば「危険」、「注意」、「安全」の順に帯の色を濃く表示している。なお、予想降水量の累積値は、当日、3日後及び7日後ごとに、「危険」、「注意」、「安全」の基準となる閾値を変えてもよいし、閾値を変えなくてもよい。
【0080】
なお、図3の例では、パイルの像上に問題発生の可能性に応じて色付けをする例を示したが、本実施形態に係る管理システム1の出力結果はこのような実際の上空からの像上に表示しなくてもよく、モデル図上に表示してもよい。また、出力画面には、図3のように本日の天気と予想降水量が示されていてもよいし、示されていなくてもよい。さらに、出力画面には、本日の天気と予想降水量以外の情報が示されていてもよいし、示されていなくてもよい。
【0081】
以上のようにして、推定部22において推定された水分量又はその変化や、気象情報(降水量)等について閾値を設け、問題発生の可能性について視覚的に認識できるよう表示することで、オペレータ等が素早く対応を検討でき、また、問題の見落としを抑制することもできる。
【0082】
また、推定部22において、パイルPごとの推定部22において推定された水分量又はその変化を推定して、パイルPの像やモデル図の上に、パイルPごとの特定時の水分量やその変化、気象情報(降水量)等の問題の発生に関連する情報を表示することで、パイルPごとにどのような問題が起こっているか、起こり得るかについてオペレータの視認性をより高めることができる。
【0083】
(パイル情報測定部)
パイル情報測定部4は、木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルPの面積、体積、平面形状、立体形状及び位置からなる群から選択される1以上を含むパイル情報を測定するように構成されるものである。
【0084】
パイル情報のうちパイルPの面積、体積、平面形状、立体形状は、例えばパイルPの上空、パイルPの最大高さよりも高い位置から撮像して得られた像より、縮尺を考慮して算出することができる。具体的には、パイルPの最大高さよりも高い位置を飛行することができるドローン等の飛行体や、パイルPの最大高さよりも高い位置まで伸長することができるリクレーマー等のブームに、撮像装置を取り付けて撮像する装置が挙げられる。また、パイルPの面積は、パイルPが配置されるチップヤードY内の測量によって測定することもできる。パイル情報の測定の容易性の観点から、パイル情報測定部4としては、特に限定されないが、上述した飛行体を用いることが好ましい。
【0085】
また、パイル情報のうちパイルPの位置は、パイルの位置を定量的に測定できるものであれば特に限定されない。例えばグローバルポジショニングシステム(GPS)等の衛星航法システム(GNSS)等、地球上における位置を機器によって測定してもよいし、例えばパイルPの上空、パイルPの最大高さよりも高い位置から撮像して得られたチップヤード内の全体像のうち、どの位置にあるかを測定してもよい。
【0086】
パイル情報測定部4の配置される高さとしては、特に限定されないが、チップヤードYから20m以上200m以下高い位置に配置されることが好ましい。具体的に、パイル情報測定部4の配置される高さとしては、例えば25m以上、30m以上、35m以上、40m以上、45m以上、50m以上、55m以上、60m以上、65m以上、70m以上、75m以上、80m以上、85m以上、90m以上、95m以上、100m以上、105m以上、110m以上、115m以上、120m以上、125m以上、130m以上、135m以上であってよく、また、195m以下、190m以下、185m以下、180m以下、175m以下、170m以下、165m以下、160m以下であってもよい。
【0087】
パイル情報測定部4によって測定したパイル情報は、パイル情報取得部25と通信してパイル情報取得部25に送信してもよいし、パイル情報測定部4に記録媒体を付してパイル情報をそこに記録し、その記録媒体を介して、パイル情報取得部25にパイル情報を取得させてもよい。
【0088】
このような管理システムによれば、チップヤードに配置されている木材チップ及び/又はバイオマス燃料の特定時における水分量を推定することができ、その特定時における木材チップ及び/又はバイオマス燃料の水分量を原因として生じ得る問題に対して早期に対応できる。特に、バイオマス燃料は水分による潜熱量が大きく変動する。したがって、バイオマスボイラの安定稼働のためには、変動する水分情報の把握が必要不可欠であるが、本実施形態に係る管理システムによれば、バイオマス燃料水分情報を把握することができ、ひいてはバイオマスボイラの安定稼働につながる。
【0089】
具体的な対応としては、問題の具体的内容によるため、特に限定されるものではないが、例えば、木材チップ及び/又はバイオマス燃料の水の吸収を抑制させるため、パイルに遮水剤を添加することができる。遮水剤としては、特に限定されないが、例えばアクリル酸系、メタクリル酸系及び酢酸ビニル系の樹脂エマルション溶液等を用いることができる。
【0090】
ここで、このような樹脂エマルション溶液からなる遮水剤は、パイルの表面に疎水性の被膜を形成するものである。しかしながら、パイルに対する樹脂エマルションの適用から被膜の形成までには1~2日の時間を要するため、降水の直前や、降水が始まった後に適用しても遮水効果は得られない。本実施形態に係る管理システムによれば、チップヤードに配置されている木材チップ及び/又はバイオマス燃料の、例えば3日後の水分量であっても精度よく推定することができるため、このような遮水剤を、適切なパイルに適切な時期に添加することができる。これによって、高価で適用に手間を要する遮水剤の使用量を削減することもできる。
【0091】
なお、このような剤の添加は添加装置(遮水剤添加装置等)を用いて行ってもよい。また、これらを用いて自動で添加してもよいし、オペレータ等が手動で添加してもよい。
【0092】
[管理システムのハードウェア構成]
図4は、本実施形態に係る管理装置2のハードウェア構成を示す概略図である。図4に示されるように、管理装置2は、通信部26と、記憶部27と、制御部28とを有し、これらの構成要素が管理装置2の内部において通信バス29を介して電気的に接続されている。以下、これらの構成要素についてさらに説明する。
【0093】
通信部26は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいが、無線LANネットワーク通信、3G/LTE/5G等のモバイル通信、Bluetooth(登録商標)通信等を必要に応じて含めることができる。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。これにより管理装置2と通信可能な他の機器との間で情報や命令のやりとりが実行される。
【0094】
記憶部27は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えばソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、又はプログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施され得る。また、記憶部27は、これらの組合せであってもよい。また、記憶部27は、後述する制御部28が読み出し可能な各種のプログラムを記憶している。
【0095】
制御部28は、管理装置2に関連する全体動作の処理・制御を行う。この制御部28は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit:CPU、図示せず。)である。制御部28は、記憶部27に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、管理装置2に係る種々の機能を実現するものである。すなわち、ソフトウェア(記憶部27に記憶されている。)による情報処理がハードウェア(制御部28)によって具体的に実現されることで、図4に示されるように、制御部28における各機能部として実行され得る。なお、図4においては、単一の制御部28として表記されているが、実際はこれに限るものではなく、機能ごとに複数の制御部28を有するように構成してもよく、また、単一の制御部と複数の制御部を組合せてもよい。
【0096】
〔管理方法〕
本実施形態に係る管理方法は、屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理方法であり、気象情報取得工程と、推定工程とを備えるものである。このうち、気象情報取得工程では、屋外の気象を示す気象情報を取得する。また、推定工程では、気象情報に基づいて、木材チップ及び/又はバイオマス燃料に含まれる水分量を推定する。
【0097】
図5は、本実施形態に係る管理方法のフローチャート図である。この図5に示すとおり、本実施形態に係る管理方法においては、気象情報を取得して(気象情報取得工程S1)、これを入力情報として、木材チップ及び/又はバイオマス燃料に含まれる水分量を推定する(推定工程S2)。
【0098】
なお、本実施形態に係る管理方法においては、水分量情報取得工程、判断工程、パイル情報取得工程、水分量出力工程、警告出力工程、パイル情報測定工程及び添加工程を設けてもよい。これらはそれぞれ、水分量情報取得工程、判断部、パイル情報取得部、水分量出力部、警告出力部、パイル情報測定部及び添加部の動作と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0099】
〔管理プログラム〕
本実施形態に係る管理プログラムは、屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理プログラムであり、コンピュータを、気象情報取得部及び推定部として機能させるものである。気象情報取得部及び推定部については上述したので、ここでの説明は省略する。
【0100】
<第2の実施形態 発熱の判定>
以下、木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルの発熱を判定することができる管理システム、管理装置、管理方法及び管理プログラムについて説明する。
【0101】
〔管理システム〕
本実施形態に係る管理システムは、屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理システムである。具体的に、この管理システムは、撮像部と、閾値情報取得部と、発熱判定部とを備える。このうち、撮像部は、木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルの表層全体を撮像可能な位置から、パイルの表層の熱分布像を示す熱分布像情報を撮像するように構成される。また、閾値情報取得部は、パイルの表層が有する温度及び/又は温度変化の閾値を示す閾値情報を取得するように構成される。さらに、発熱判定部は、熱分布像情報及び閾値情報に基づき、パイルの発熱を判定するように構成される。
【0102】
また、必須の構成ではないが、本実施形態に係る管理システムは、熱分布像情報取得部、処理判断部、気象情報取得部、水分量情報取得部、判定結果出力部、散水部、パイル切崩部及びパイル払出部のうち、1又は2以上を備えてもよい。なお、以下では、これら全てを備える管理システムについて主として説明する。
【0103】
[管理システムの機能的構成]
図6は、本実施形態に係る管理システムの概略図である。この管理システム5は、管理装置6と、撮像装置7と、出力装置8と、散水装置9とを備える。
【0104】
このうち、管理装置6は、管理システム5における屋外で管理及び/又は搬送される木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理のための情報処理を制御するものである。図7は、本実施形態に係る管理装置の機能構成を示す概略模式図である。この図7に示すように、本実施形態に係る管理装置6は、主として、熱分布像情報取得部61と、閾値情報取得部62と、発熱判定部63とを備える。また、管理装置6は、処理判断部64、気象情報取得部65及び水分量情報取得部(図示せず)を備える。なお、撮像装置7は、撮像部の一例であり、出力装置8は、判定結果出力部の一例であり、散水装置9は、散水部の一例であり、以下では特に区別せず説明する。
【0105】
[管理システムの機能]
以下、管理システム5の各部の機能について具体的に説明する。なお、以下では測定対象としてパイルを選択した場合について説明するが、測定対象として搬送ラインを選択した場合でも、対象が異なるのみで各部の機能・操作に相違はなく、「パイル」を「搬送ライン」に読み替えて用いることができ、またそれぞれに適した改良を加えることができる。なお、特にパイルと搬送ラインで異なる部分がある部分については各部の説明にて言及する。
【0106】
(熱分布像情報取得部)
熱分布像情報取得部61は、木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルPの表層全体を撮像可能な位置から撮像した、パイルPの表層の熱分布像を示す熱分布像情報を取得するように構成されるものである。
【0107】
すなわち、この熱分布像情報取得部61が取得する熱分布像情報は、パイルP全体の熱分布情報を見渡すことができる熱分布像である。この熱分布像においては、パイルPのいずれの箇所であっても、測定時に差異がない。すなわち、例えばパイルPのある箇所では14:00に測定したが、パイルPの別の箇所では14:05に測定した、というような時間的な差異がない。ただし、後述する撮像部が有するセンサ等の仕様によって時間的な幅があってもよい。例えば、14:00~14:02の2分間の間で得られた熱分布像であってもよいが、この場合には、パイルPのいずれの箇所においても、14:00~14:02の2分間の間で得られた熱分布像であるものとする。また、チップヤードYが広域になる場合、複数に分割して撮像してもよい。このような場合に、複数回の撮像に上述した時間的な差異があってもよい。
【0108】
なお、チップヤードY内には複数のパイルPが存在してもよいが、この場合、熱分布像情報は、一つの像でパイル一つのみの熱分布が写った像でもよいし、任意の(例えば、チップヤードY内の一定範囲の)複数のパイルの熱分布が写った像でもよいし、チップヤードYの全てパイルPの熱分布が写った像でもよい。チップヤードYの全てパイルPの熱分布が写った像以外の像を用いる場合、パイルPの発熱を比較する観点から、それぞれの像の撮像の時間に大きな時間間隔が開かないようにすることが好ましい。
【0109】
また、この熱分布像情報は、パイルPを上方から平面視したものであり、パイルの表層の各箇所の温度が含まれるものであれば特に限定されず、例えばサーモグラフィ等が挙げられる。
【0110】
(閾値情報取得部)
閾値情報取得部62は、パイルPの表層が有する温度の閾値を示す閾値情報を取得するように構成されるものである。
【0111】
温度の閾値は、その温度以上又はその温度を超えた場合に、発熱の度合を上げるための基準となる閾値である。温度の閾値は、1つでもよいし、複数でもよい。具体的な例は後述する。
【0112】
温度の閾値は、木材チップ及び/又はバイオマス燃料に含まれる水分量や、温度、湿度、設置される箇所等によっても異なる可能性があるため、例えばそれらを考慮して設定してもよい。なお、季節や気象によって閾値を変更しても、変更しなくてもよい。
【0113】
なお、閾値としては、その値を超えた場合に必ず発熱が起こるものである必要はなく、一定程度の可能性が生じるものや、可能性が高まるものであってもよい。また、閾値としては、安全係数を考慮したものであってもよい。
【0114】
(発熱判定部)
発熱判定部63は、熱分布像情報及び閾値情報に基づき、パイルPの発熱を判定するように構成されるものである。
【0115】
この発熱判定部63は、例えば少なくとも熱分布像情報から、パイルPの表層の温度からパイルPの内部の各箇所の温度を見積って、その見積った温度について、予め設けた温度の閾値を超えるか否か又は閾値以上か否か判定を行うことができる。なお、パイルPの内部の温度の見積りにあたっては、パイルの立体形状(詳細は後述する)等にさらに基づいて見積もることが好ましい。より具体的に、見積りの方法としては、例えばパイルの立体形状と表面温度とからの熱解析等が挙げられる。または、この発熱判定部63は、パイルPの各箇所の表層の温度について、予め設けた閾値を超えるか否か、又は閾値以上か否か判定を行うことができる。例えば、閾値を60℃のみに設定する場合、60℃未満の温度を感知した箇所を「腐食 低可能性」と判定し、60℃以上の温度を感知した箇所を「腐食 高可能性」と判定してもよい。また、閾値を60℃及び70℃に設定する場合、60℃未満の温度を感知した箇所を「腐食 低可能性、発火 低可能性」と判定し、60℃以上70℃未満の温度を感知した箇所を「腐食 高可能性、発火 低可能性」と判定し、70℃以上の温度を感知した箇所を「腐食 高可能性、発火 高可能性」と判定してもよい。
【0116】
発熱判定部63は、パイルPごとにその最も高い温度について温度の閾値を超えるか否か又は閾値以上か否か判定を行ってもよい。例えば、閾値を60℃のみに設定する場合、パイルPの全ての表層が60℃未満であるパイルPを「腐食 低可能性」と判定し、60℃以上の温度の箇所を有するパイルPを「腐食 高可能性」と判定してもよい。また、閾値を60℃及び70℃に設定する場合、パイルPの全ての表層が60℃未満であるパイルPを「腐食 低可能性、発火 低可能性」と判定し、パイルPが60℃以上の箇所を有するが全ての表層が70℃未満であるパイルPを「腐食 高可能性、発火 低可能性」と判定し、70℃以上の温度の箇所を有するパイルPを「腐食 高可能性、発火 高可能性」と判定してもよい。
【0117】
なお、以上の例では、閾値に関して「腐食」と「発火」という2つの観点から判定しているが、1つの観点から判定しても、2つ以上の観点から判定してもよい。例えば、1つの観点から判定する例としては、「発火」について「安全」、「注意」、「危険」の3段階で判断することが挙げられる。
【0118】
また、評価について、「安全」、「注意」、「危険」のような定性的なものではなく、「発火 可能性50%」のように定量的なものであってもよい。
【0119】
管理システム5が、後述する気象情報取得部65を有する場合、発熱判定部63は、気象情報取得部65にて取得した気象情報を用いて、パイルPの発熱を判定してもよい。
【0120】
気象情報として気温を用いる場合、例えば気温が低いときはパイルPが冷却されやすくなり、発熱しにくくなるため、パイルPの発熱の可能性を低下させるような補正をする。一方、例えば気温が高いときは日射による熱も吸収され、発熱しやすくなるため、パイルPの発熱の可能性を高めるような補正をする。
【0121】
気象情報として降水量を用いる場合、例えば降水量が多いときは雨によってパイルPが冷却されやすくなり、発熱しにくくなるため、パイルPの発熱の可能性を低下させるような補正をする。一方、例えば降水量が少ないときは雨によって冷却されないため、補正をしない。
【0122】
気象情報として風速を用いる場合、風速が低いときはパイルPの発熱に影響を与えにくいため、補正をしない。また、例えば風速が一定程度高いときにはパイルPへの酸素の供給が高まるため、パイルPの発熱の可能性を高めるような補正をする。さらに、例えば風速が高すぎる場合には風の温度によってパイルPの発熱を冷却するため、パイルPの発熱の可能性を低下させるような補正をする。
【0123】
また、管理システム5が、後述する水分量情報取得部25を有する場合、発熱判定部63は、水分量情報取得部にて取得した水分量情報を用いて、パイルPの発熱を判定してもよい。
【0124】
木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルPの水分量が多いと発熱しにくくなるため、例えばパイルPの発熱の可能性を低下させるような補正をする。なお、詳細は後述するが、ここで用いる水分量は、特に限定されず、パイルPの表層の水分量、パイルPの水分量の全体平均、パイルPより一部をサンプリングしたものの水分量のいずれであってもよい。
【0125】
(処理判断部)
処理判断部64は、発熱判定部63のパイルPの発熱の判定結果に基づき、以下に説明する各処理の必要性やパイルごとの処理の優先度を判断するように構成されるものである。
【0126】
チップヤードY内に複数のパイルPを設置する場合においては、処理判断部64は、パイルPの最高温度やパイル中の閾値の温度を超える面積等に基づき、パイルPごとに対応の優先度を判断(例えば順位付け等)してもよい。
【0127】
処理判断部64は、優先度の高い順にパイルPをどのように処理するか決定してもよい。処理としては、例えば散水したり、パイルPを切り崩して放熱させたり、払出し(次工程の処理)を行ったりすることができる。なお、同じチップヤードY内のパイルPであっても、特定のパイルPは散水するが、別のパイルPは払出しを行う等、複数の対応を組み合わせてもよい。また、搬送ラインを管理する場合には、優先度の高いものを優先して搬送したり、搬送先を変更したりしてもよい。
【0128】
管理システム5が、後述する散水部9を有する場合、処理判断部64は、パイルPの発熱の判定結果に基づき、パイルごとに散水の必要性を判断することが好ましい。
【0129】
管理システム5が、後述するパイル切崩部(図示せず。)を有する場合、処理判断部64は、パイルPの発熱の判定結果に基づき、パイルPごとにパイルPを切り崩して放熱する必要性を判断することが好ましい。
【0130】
管理システム5が、後述するパイル払出装置(図示せず。)を有する場合、処理判断部64は、パイルPの発熱の判定結果に基づき、払い出すパイルPの優先度を判断することが好ましい。
【0131】
なお、管理システム5が、後述する散水部9、パイル切崩部及びパイル払出装置のうち複数を有する場合(各部が複数存在する場合も含む)、処理判断部64は、パイルPごとに、それら各部における処理の必要性及びその処理の優先度を判断することが好ましい。
【0132】
(気象情報取得部)
気象情報取得部65は、チップヤードY内の気象を示す気象情報を取得するように構成されるものである。
【0133】
気象情報としては、特に限定されないが、降水量、気温、風向、風速、湿度等のうち1又は2以上を用いることができる。気象情報としては、特に、降水量を用いることが好ましい。なお、これらの気象情報は、日本国気象庁をはじめとする各国気象庁や、気象予報会社から得ることができる。気象情報としては、過去の実績、未来の予報のいずれをも用いることができる。
【0134】
なお、パイルPが設置されるチップヤードYは、通常広大な面積を有することが多く、例えば端部とその反対側の端部とでは、風速等の気象情報が異なることもある。そこで、気象情報取得部65は、気象情報を、パイルPごとに取得してもよい。
【0135】
(水分量情報取得部)
水分量情報取得部(図示せず。)は、木材チップ及び/又はバイオマス燃料に含まれる水分量を示す水分量情報を取得するように構成されるものである。
【0136】
水分量情報としては、特に限定されず、パイルPの表層の水分量、パイルPの水分量の全体平均、パイルPより一部をサンプリングしたものの水分量のいずれであってもよい。ただし、撮像部に、上述したパイルPの表層の熱分布像情報に加えて、水分量情報も測定できるようなセンサを設けることで熱分布像情報と一括して情報を得ることができる。このようなセンサを設ける場合には、パイルPの表層の水分量を用いる。水分量情報は、過去又は現在(かかる管理システムの利用時)の時点のものを用いることができる。
【0137】
なお、木材チップ及び/又はバイオマス燃料の水分量の測定方法としては、特に限定されず、例えばマイクロ波式、赤外光式等の水分計、熱重量計、乾燥重量方式等によって測定することができる。
【0138】
パイルPの水分量情報は、上述したとおりパイルPによって異なることも多い。したがって、水分量情報取得部は、水分量情報を、パイルPごとに取得することが好ましい。
【0139】
(撮像部)
撮像部7は、木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルの表層全体を撮像可能な位置から、パイルの表層の熱分布像を示す熱分布像情報を撮像するように構成されるものである。
【0140】
撮像部7は、具体的には、木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルの表層全体を撮像可能な位置を飛行することができるドローン等の飛行体や、パイルPの最大高さよりも高い位置まで伸長することができるリクレーマー等のブームに、撮像装置を取り付けて撮像する装置が挙げられる。また、熱分布像情報を撮像するため、撮像部37は熱分布計を有することが好ましい。
【0141】
ここで、木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルPは、高さが10mを超えるものもある。したがって、木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルPの表層全体を撮像可能な位置は、それよりも十分に高い位置になる。撮像部7の位置としては、特に限定されないが、例えばチップヤードYから20m以上200m以下高い位置であることが好ましい。具体的に、撮像部3の位置としては、例えば25m以上、30m以上、35m以上、40m以上、45m以上、50m以上、55m以上、60m以上、65m以上、70m以上、75m以上、80m以上、85m以上、90m以上、95m以上、100m以上、105m以上、110m以上、115m以上、120m以上、125m以上、130m以上、135m以上であってよく、また、195m以下、190m以下、185m以下、180m以下、175m以下、170m以下、165m以下、160m以下であってもよい。
【0142】
なお、撮像部7に、パイルPの表層の水分量を測定するセンサを設け、熱分布像情報とともに、水分量情報を測定し、水分量情報取得部に取得させてもよい。
【0143】
撮像部7によって測定した熱分布像情報や水分量情報は、熱分布像情報取得部61や水分量情報取得部とそれぞれ通信してこれらに送信してもよいし、撮像部7に記録媒体を付して熱分布像情報をそこに記録し、その記録媒体を介して、熱分布像情報取得部61や水分量情報取得部に熱分布像情報や水分量情報を取得させてもよい。
【0144】
(判定結果出力部)
判定結果出力部8は、発熱判定部63によるパイルの発熱の判定結果を、パイルごとに表示するように構成されるものである。
【0145】
この判定結果出力部8は、例えば、閾値情報取得部62が取得する閾値を60℃のみに設定する場合、60℃未満の温度を感知した箇所を青色(腐食 低可能性」を意味する。)に表示し、60℃以上の温度を感知した箇所を赤色(「腐食 高可能性」を意味する。)に表示してもよい。また、閾値を60℃及び70℃に設定する場合、60℃未満の温度を感知した箇所を青色(「腐食 低可能性、発火 低可能性」を意味する。)に表示し、60℃以上70℃未満の温度を感知した箇所を黄色(「腐食 高可能性、発火 低可能性」を意味する。)に表示し、70℃以上の温度を感知した箇所を赤色(「腐食 高可能性、発火 高可能性」を意味する。)に表示してもよい。
【0146】
また、判定結果出力部8は、パイルPの最も高い温度について温度の閾値を超えるか否か又は閾値以上か否か判定を行ってもよい。例えば、閾値を60℃のみに設定する場合、パイルPの全ての表層が60℃未満であるパイルPを青色(「腐食 低可能性」を意味する。)に表示し、60℃以上の温度の箇所を有するパイルPを赤色(「腐食 高可能性」を意味する。)に表示してもよい。また、閾値を60℃及び70℃に設定する場合、パイルPの全ての表層が60℃未満であるパイルPを青色(「腐食 低可能性、発火 低可能性」を意味する。)に表示し、パイルPが60℃以上の箇所を有するが全ての表層が70℃未満であるパイルPを黄色(「腐食 高可能性、発火 低可能性」を意味する。)に表示し、70℃以上の温度の箇所を有するパイルPを赤色(「腐食 高可能性、発火 高可能性」を意味する。)に表示してもよい。
【0147】
以下、本実施形態に係る管理システムによる出力の一例について説明する。図8は、本実施形態に係る出力装置8に出力される画面の一例である。この出力画面は、チップヤード全体を上空から平面視した像の温度分布を、2つの閾値を設け、3つの温度帯を設けそれらの温度帯を色分けして示している。具体的に、この出力画面では、60℃未満(腐食 低可能性、発火 低可能性)、60℃以上70℃未満(腐食 高可能性、発火 低可能性)及び70℃以上(腐食 高可能性、発火 高可能性)の3つの温度帯を設けており、後者ほど、すなわち発熱温度が高いほど、濃く着色している。また、この出力画面においては、70℃以上の箇所を有するパイルには、「!!!!」マークを表示している。
【0148】
なお、この出力画面の右側には、本日の天気が示されている。出力画面には、このように本日の天気が示されていてもよいし、示されていなくてもよい。さらに、本日の天気以外の情報が示されていてもよいし、示されていなくてもよい。
【0149】
以上のようにして、パイルP全体、そしてチップヤードY全体の温度を一つの画面に表示して、発熱の発生を視覚的に認識できるよう表示することで、オペレータ等が素早く対応を検討でき、また、問題の見落としを抑制することもできる。
【0150】
(散水部)
散水部9は、処理判断部64による散水の必要性の判定の結果に基づき、散水するように構成されるものである。
【0151】
散水部9としては、パイルPに散水できるものであれば特に限定されないが、例えば移動式の散水車や、パイルPの裾等に設けた散水管等を用いることができる。
【0152】
(パイル切崩部)
図示しないが、パイル切崩部は、処理判断部64によるパイル切り崩しの必要性の判定の結果に基づき、パイルPごとにパイルPを崩してパイルPの放熱を促進するように構成されるものである。
【0153】
パイル切崩部は、パイルPを崩して平坦にすることにより、パイルP内部の潜熱を、外気と接触させて放熱する。
【0154】
パイル切崩部としては、特に限定されないが、例えばショベルカー、ユンボ等を用いることができる。
【0155】
なお、搬送ラインを管理する場合には、切崩はしないものの、ショベルカー、ユンボ等を用いてかき混ぜる等して放熱する。
【0156】
(パイル払出部)
図示しないが、パイル払出部は、処理判断部64による払い出すパイルPの優先度の判定の結果に基づき、パイルPの払出しを行うように構成されるものである。
【0157】
具体的に、このパイル払出部は、例えば処理判断部64が発熱の可能性が高い順に順位付けしたパイルPについて、その順位付けどおりにパイルPの払出しを行う。
【0158】
なお、このようにして払出しされたパイルP中の木材チップ及び/又はバイオマス燃料は、パルプを製造するための処理に付される。
【0159】
本実施形態に係る管理システム5によれば、木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルPの表層全体を撮像可能な位置から、パイルPの表層の熱分布像を示す熱分布像情報を撮像することにより、簡易にパイルPの表層全体の熱分布を得ることができ、このような像は視覚的にも発熱の発生を捉えやすい。しかも、このような熱分布であれば、温度測定の漏れなく発熱を感知することができる。
【0160】
[管理システムのハードウェア構成]
図9は、本実施形態に係る管理装置6のハードウェア構成を示す概略図である。図9に示されるように、管理装置6は、通信部66と、記憶部67と、制御部68とを有し、これらの構成要素が管理装置6の内部において通信バス69を介して電気的に接続されている。以下、これらの構成要素についてさらに説明する。
【0161】
通信部66は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいが、無線LANネットワーク通信、3G/LTE/5G等のモバイル通信、Bluetooth(登録商標)通信等を必要に応じて含めることができる。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。これにより管理装置6と通信可能な他の機器との間で情報や命令のやりとりが実行される。
【0162】
記憶部67は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えばソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、又はプログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施され得る。また、記憶部67は、これらの組合せであってもよい。また、記憶部67は、後述する制御部68が読み出し可能な各種のプログラムを記憶している。
【0163】
制御部68は、管理装置6に関連する全体動作の処理・制御を行う。この制御部68は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit:CPU、図示せず。)である。制御部68は、記憶部67に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、管理装置6に係る種々の機能を実現するものである。すなわち、ソフトウェア(記憶部67に記憶されている。)による情報処理がハードウェア(制御部68)によって具体的に実現されることで、図9に示されるように、制御部68における各機能部として実行され得る。なお、図9においては、単一の制御部68として表記されているが、実際はこれに限るものではなく、機能ごとに複数の制御部68を有するように構成してもよく、また、単一の制御部と複数の制御部を組合せてもよい。
【0164】
〔管理方法〕
本実施形態に係る管理方法は、屋外で管理及び/又は搬送される、木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理方法であり、熱分布像情報取得工程と、閾値情報取得工程と、発熱判定工程とを備えるものである。このうち、熱分布像情報取得工程では、木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルの表層全体を撮像可能な位置から撮像した、パイルの表層の熱分布像を示す熱分布像情報を取得する。また、閾値情報取得工程では、パイルの表層が有する温度及び/又は温度変化の閾値を示す閾値情報を取得する。さらに、発熱判定工程では、熱分布像情報及び閾値情報に基づき、パイルの発熱を判定する。
【0165】
図10は、本実施形態に係る管理方法のフローチャート図である。この図10に示すとおり、本実施形態に係る管理方法においては、パイルPを撮像する(撮像工程S1)とともに、閾値情報を取得して(閾値情報取得工程S2)、これらを入力情報として、パイルPの発熱を判定する(発熱判定工程S3)。ここで、撮像工程S1及び閾値情報取得工程S2について、順序の先行は問わず、撮像工程S1が先であっても、閾値情報取得工程S2が先であってもよいし、撮像工程S1及び閾値情報取得工程S2を同時に行ってもよい。
【0166】
なお、本実施形態に係る管理方法においては、処理判断工程、気象情報取得工程、水分量情報取得工程、撮像工程、判断結果出力工程、散水工程、パイル切崩工程及びパイル払出工程を設けてもよい。これらはそれぞれ、処理判断工程、気象情報取得部、水分量情報取得部、撮像部、判断結果出力部、散水部、パイル切崩部及びパイル払出部の動作と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0167】
〔管理プログラム〕
本実施形態に係る管理プログラムは、屋外で管理及び/又は搬送される、木材チップ及び/又はバイオマス燃料の管理プログラムであり、コンピュータを、熱分布像情報取得部、閾値情報取得部及び発熱判定部として機能させるものである。このうち、熱分布像情報取得部は、木材チップ及び/又はバイオマス燃料のパイルの表層全体を撮像可能な位置から撮像した、パイルの表層の熱分布像を示す熱分布像情報を取得するように構成される。また、閾値情報取得部は、パイルの表層が有する温度及び/又は温度変化の閾値を示す閾値情報を取得するように構成される。さらに、発熱判定部は、熱分布像情報及び閾値情報に基づき、パイルの発熱を判定するように構成される。熱分布像情報取得部、閾値情報取得部及び発熱判定部については上述したので、ここでの説明は省略する。
【0168】
本発明は、以上の実施形態には何ら制限されず、適宜変更を加えて実施することができる。
【符号の説明】
【0169】
1 管理システム
2 管理装置
21 気象情報取得部
22 推定部
23 水分量情報取得部
24 判断部
25 パイル情報取得部
26 通信部
27 記憶部
28 制御部
29 通信バス
3 出力装置
3a 水分量出力部
3b 警告出力部
4 パイル情報測定装置又はパイル情報測定部
5 管理システム
6 管理装置
61 熱分布像情報取得部
62 閾値情報取得部
63 発熱判定部
64 処理判断部
65 気象情報取得部
66 通信部
67 記憶部
68 制御部
69 通信バス
7 撮像装置又は撮像部
8 出力装置又は判定結果出力部
9 散水装置又は散水部
Y チップヤード
P パイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10