(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099508
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】媒体処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B42B 5/00 20060101AFI20240718BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B42B5/00
B65H37/04 Z
B65H37/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024003524
(22)【出願日】2024-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2023003318
(32)【優先日】2023-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023185023
(32)【優先日】2023-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 翔平
(72)【発明者】
【氏名】杉山 恵介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 圭
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 一貴
(72)【発明者】
【氏名】玉木 幸歌
(72)【発明者】
【氏名】阿部 航大
(72)【発明者】
【氏名】山本 高志
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】圧着部分に液体を付与する液体付与部の液体保持量を制御し、圧着綴じの品質を高める媒体処理装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一枚の媒体の一部に液体付与をする液体付与手段31と、液体付与手段において液体付与をされた少なくとも一枚の媒体を含む媒体束に処理を施す後処理手段と、液体付与手段に設けられ、液体付与に用いられる液体を貯液可能な第一貯液部43と、第一貯液部に供給される液体を貯液可能な第二貯液部91と、第二貯液部から第一貯液部に液体を供給する液体供給手段92と、第一貯液部における液体を検知する第一液体検知手段43aと、第一液体検知手段の検知結果に応じて液体供給手段の動作を制御する制御手段100Bと、を備え、液体付与手段は、第一貯液部に貯液されている液体に一部分が浸り、他の一部分が媒体に当接して液体付与をする吸液体を有する、媒体処理装置による。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一枚の媒体の一部に液体付与をする液体付与手段と、
前記液体付与手段において前記液体付与をされた少なくとも一枚の前記媒体を含む媒体束に処理を施す後処理手段と、
前記液体付与手段に設けられ、前記液体付与に用いられる液体を貯液可能な第一貯液部と、
前記第一貯液部に供給される前記液体を貯液可能な第二貯液部と、
前記第二貯液部から前記第一貯液部に前記液体を供給する液体供給手段と、
前記第一貯液部における前記液体を検知する第一液体検知手段と、
前記第一液体検知手段の検知結果に応じて前記液体供給手段の動作を制御する制御手段と、を備え、
前記液体付与手段は、前記第一貯液部に貯液されている前記液体に一部分が浸り、他の一部分が前記媒体に当接して前記液体付与をする吸液体を有する、
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記吸液体は、連続気泡で形成された弾性樹脂からなり、毛細管現象によって前記液体を前記第一貯液部から吸い上げて、当該吸液体を当該液体によって満たし、前記液体付与をする、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記第一液体検知手段は、一対の電極が前記液体に接したときに通電するように、当該一対の電極に電圧が印加される電極センサである、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記一対の電極のうち、一の電極が前記液体に接する第一液位は他の電極が当該液体に接する第二液位よりも低い、
請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記第一液体検知手段が前記液体を検知しないときは、前記液体供給手段に前記液体を前記第二貯液部から前記第一貯液部へと供給させ、前記第一液体検知手段が前記液体を検知したとき当該液体供給手段を停止させ、
当該液体供給手段の停止後に第一所定時間の経過を待ってから前記第一液体検知手段により前記液体を検知する、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
第一所定時間が経過後に前記第一液体検知手段が前記液体を検知しないとき、前記液体供給手段を動作させて前記液体を前記第二貯液部から前記第一貯液部へと供給させ、当該液体供給手段の動作後に前記第一液体検知手段が前記液体を検知したとき当該液体供給手段を停止させ、
再度、前記第一所定時間の経過後に前記第一液体検知手段が前記液体を検知しないとき、前記液体供給手段を再度動作後に前記第一液体検知手段が第二所定時間の経過までに前記液体を検知しないときは異常通知を行う、
請求項5に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記電極センサが備える一対の電極を構成する各々の電極は長さが異なる、
請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記電極センサは、一対の電極が前記液体の液面に対して傾斜して配置されている、
請求項3又は7に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
前記第二貯液部において前記液体を検知する第二液体検知手段を備え、
前記制御手段は、前記第二液体検知手段の出力に応じて前記第一液体検知手段における液体検知閾値を決定する、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記第二貯液部に前記液体が補充されたときの前記第二液体検知手段の出力値に基づいて、前記第一液体検知手段における液体検知閾値を決定する、
請求項9に記載の媒体処理装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記第二貯液部に前記液体を補充した状態において前記第二液体検知手段の出力値が所定以下のとき、前記第二貯液部に補充された前記液体は、前記液体付与に使用できないことを通知する、
請求項9又は10記載の媒体処理装置。
【請求項12】
前記液体付与手段、前記第一貯液部の少なくともいずれかの周囲温度を検出する温度検知手段を備え、
前記制御手段は、前記周囲温度の変化が所定の変動幅以上になったとき、前記第二液体検知手段の液体検知に基づいて前記第一液体検知手段における液体検知閾値を決定する、
請求項9に記載の媒体処理装置。
【請求項13】
前記後処理手段は、前記媒体束を加圧変形させて綴じる圧着手段である、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項14】
前記後処理手段は、前記媒体束に針状部材を貫通させて綴じる針綴じ手段である、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項15】
前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された複数の前記媒体に対し前記処理を施す請求項1に記載の媒体処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項16】
媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された少なくとも一枚の媒体の一部に液体付与をする液体付与手段と、
前記液体付与手段において前記液体付与をされた少なくとも一枚の前記媒体を含む媒体束に処理を施す後処理手段と、
前記液体付与手段に設けられ、前記液体付与に用いられる液体を貯液可能な第一貯液部と、
前記第一貯液部に供給される前記液体を貯液可能な第二貯液部と、
前記第二貯液部から前記第一貯液部に前記液体を供給する液体供給手段と、
前記第一貯液部における前記液体を検知する第一液体検知手段と、
前記液体付与手段に備えられ、前記第一貯液部に貯液されている前記液体に一部分が浸り、他の一部分が前記媒体に当接して前記液体付与をする吸液体と、を備えた媒体処理装置と、
前記第一液体検知手段の検知結果に応じて前記液体供給手段の動作を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の媒体を積み重ねたシート束を綴る媒体処理装置が知られている。当該媒体装置に適用される綴じ処理として、シート束に貫通させる針状の部材(綴じ部材)を用いて綴る「針綴じ処理」や、シート束の一部を加圧変形させて綴る「圧着綴じ処理」などが知られている。
【0003】
圧着綴じをするときにシート状の媒体としての用紙に液体を付与する目的で、液体を貯えている水槽にベルトを通過させて、水分が付着したベルトを圧着綴じ部分に当接させることで液体を付与する技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている従来技術のように、液体付与部(ベルト)を介して用紙の圧着部分に液体を付与する場合、液体付与部の液体保持量を制御する手段を有さない。すなわち、圧着部分に加える水分量を適量に制御する点において課題がある。
【0005】
本発明は、圧着部分に液体を付与する液体付与部の液体保持量を制御し、圧着綴じの品質を高める媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、媒体処理装置に関し、少なくとも一枚の前記媒体の一部に液体付与をする液体付与手段と、前記液体付与手段において前記液体付与をされた少なくとも一枚の前記媒体を含む媒体束に処理を施す後処理手段と、前記液体付与手段に設けられ、前記液体付与に用いられる液体を貯液可能な第一貯液部と、前記第一貯液部に供給される前記液体を貯液可能な第二貯液部と、前記第二貯液部から前記第一貯液部に前記液体を供給する液体供給手段と、前記第一貯液部における前記液体を検知する第一液体検知手段と、前記第一液体検知手段の検知結果に応じて前記液体供給手段の動作を制御する制御手段と、を備え、前記液体付与手段は、前記第一貯液部に貯液されている前記液体に一部分が浸り、他の一部分が前記媒体に当接して前記液体付与をする吸液体を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、圧着部分に液体を付与する液体付与部の液体保持量を制御し、圧着綴じの品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】端綴じ処理部を搬送方向の上流側から見た模式図。
【
図4】端綴じ処理部を主走査方向の液体付与手段側から見た模式図。
【
図6】針綴じ処理部を搬送方向の上流側から見た模式図。
【
図7】針綴じ処理部の変形例を搬送方向の上流側から見た模式図。
【
図8】後処理装置の動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図。
【
図9】端綴じ処理部による綴じ処理のフローチャート。
【
図10】端綴じ処理部による綴じ処理中における液体付与手段及び圧着手段の位置を示す図。
【
図11】第一実施形態に係る液体付与手段に含まれる液体付与部の構成図。
【
図12】本実施形態に係る液体供給部材が乾いている状態において貯液タンクの液体の量の変化を例示した図。
【
図13】本実施形態に係る液体供給判定処理のフローチャート。
【
図14】本実施形態に係る第一貯液タンクで発生しうる液漏れの様子を例示した図。
【
図15】本実施形態に係る第一液位センサの出力値と液体検知閾値との関係を時系列で例示したグラフ。
【
図16】本実施形態に係る第二貯液タンクへの液体補充の様子を例示する図。
【
図17】第二実施形態に係る液体付与手段の構成図。
【
図18】本実施形態に係る液体検知閾値設定処理のフローチャート。
【
図19】第三実施形態に係る液体付与手段に含まれる液体付与部の第一例を示す構成図。
【
図20】第三実施形態に係る液体付与手段に含まれる液体付与部の第二例を示す構成図。
【
図21】別の実施形態に係る後処理装置の内部構造を示す図。
【
図22】別の実施形態に係る内部トレイを用紙の厚み方向から見た図。
【
図23】別の実施形態に係る圧着手段を搬送方向の下流側から見た模式図。
【
図24】別の実施形態に係る液体付与部を用紙の厚み方向から見た図。
【
図27】別の実施形態に係る後処理装置の制御ブロックのハードウェア構成図。
【
図28】別の実施形態に係る後処理装置の後処理フローチャート。
【
図29】画像形成システムの変形例の全体構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[画像形成システム1の実施形態]
以下、本発明に係る画像形成システム1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、画像形成システム1の全体構成を示す図である。画像形成システム1は、シート状の媒体の一種としての用紙Pに画像を形成する機能、画像が形成された用紙Pに画像形成後の処理としての後処理を施す機能、などを有する。
図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置としての画像形成装置2と、本発明に係る媒体処理装置としての後処理装置3と、を連動するように構成されている。
【0010】
なお、本実施形態では、画像形成システム1において処理の対象とする媒体をシート状の「紙」を前提にする表記を用いているが、処理対象の媒体は紙に限定されるものではなく、従来から知られている画像形成プロセスにおいて画像を形成することが可能な媒体であって、折り処理や綴じ処理の対象物となる媒体であれば、素材や仕様を問わないものとする。
【0011】
画像形成装置2は、用紙Pに画像を形成し、画像を形成した用紙Pを後処理装置3に排出する。画像形成装置2は、用紙Pが収容される収容トレイ211と、収容トレイ211に収容された用紙Pを搬送する搬送部212と、搬送部212によって搬送された用紙Pに画像を形成する画像形成部213とを備える。画像形成部213は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。また、搬送部212、及び画像形成部213の各種動作を制御する制御部100aを備える。画像形成装置2の構成は既に周知なので、詳細な説明を省略する。
【0012】
なお、シート状の媒体の例として紙が広く知られている。そこで本明細書では、処理対象としてのシート状の媒体に関する記載をするときは「用紙P」を用いることとする。また、シート束に関する記載をするとき、複数の媒体としての用紙を束にして構成される「用紙束Pb」を例に用いることとする。
【0013】
[後処理装置3の説明]
図2は、後処理装置3の内部構造を示す図である。後処理装置3は、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pに所体の後処理を施す機能を備える。本実施形態に係る後処理の一つは、画像が形成された複数枚の用紙Pの束(シート束)を、綴じ針を用いずに綴じる「圧着綴じ処理」としての綴じ処理である。また、本実施形態に係る後処理の他の一つは、画像が形成された複数枚の用紙Pの束(シート束)を、綴じ針を用いて綴じる「針綴じ処理」としての綴じ処理である。
【0014】
以下、用紙Pの束を媒体束としての「用紙束Pb」と表記する。なお、本実施形態においては、圧着綴じ処理を行う場合の液体付与処理に関する説明を主に行う。しかし、針綴じ処理に関連して行う液体付与処理も同様のものである。また、以下の説明において「綴じ処理」と表記する場合は、前記「圧着綴じ処理」及び前記「針綴じ処理」の両方を含むものを意味し、綴じを行う方法(綴じ針を用いるのか、加圧変形なのか)に限定しないものとする
【0015】
なお、本実施形態に係る「圧着綴じ処理」とは、より詳細には、媒体束を形成した用紙Pの一部に相当する綴じ位置に対し圧力を加えて、当該綴じ位置を変形させて(加圧変形させて)綴る処理であって、「圧着綴じ」と称される処理である。なお、後処理装置3において実行可能な綴じ処理は、用紙束Pbの端を綴じる端綴じ処理と、用紙束Pbの中央を綴じる中綴じ処理を含むものとする。
【0016】
後処理装置3は、搬送ローラ対10~19(搬送部)と、切替爪20とを備える。搬送ローラ対10~19は、後処理装置3の内部において、画像形成装置2から供給された用紙Pを搬送する。より詳細には、搬送ローラ対10~13は、第一搬送路Ph1に沿って用紙Pを搬送する。また、搬送ローラ対14~15は、第二搬送路Ph2に沿って用紙Pを搬送する。さらに、搬送ローラ対16~19は、第三搬送路Ph3に沿って用紙Pを搬送する。また、搬送ローラ対10及び11により搬送される用紙Pにパンチ処理を行うパンチ孔穿設手段132が、搬送ローラ対10と11の間に配置されている。
【0017】
第一搬送路Ph1は、画像形成装置2からの用紙Pの供給口から排出トレイ21に至る経路である。第二搬送路Ph2は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第一搬送路Ph1から分岐し、内部トレイ22を通じて排出トレイ26に至る経路である。第三搬送路Ph3は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第一搬送路Ph1から分岐し、排出トレイ30に至る経路である。
【0018】
切替爪20は、第一搬送路Ph1及び第二搬送路Ph2の分岐位置に配置されている。切替爪20は、第一搬送路Ph1を通じて用紙Pを排出トレイ21に排出する第一位置と、第一搬送路Ph1を搬送される用紙Pを第二搬送路Ph2に導く第二位置とに切り替え可能に構成されている。また、第二搬送路Ph2に進入した用紙Pの後端が搬送ローラ対11を通過したタイミングで、搬送ローラ対14を逆回転させることによって、当該用紙Pが第三搬送路Ph3に導かれる。また、後処理装置3は、各搬送路Ph1、Ph2、Ph3上の用紙Pの位置を検知する複数のセンサを備える。なお、複数のセンサは、
図2において黒塗り三角形(▲)で示している。
【0019】
後処理装置3は、排出トレイ21を備える。排出トレイ21は、第一搬送路Ph1を通じて排出された用紙Pを載置する。排出トレイ21には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、綴じ処理が施されない用紙Pが排出される。
【0020】
また、後処理装置3は、載置トレイとしての内部トレイ22と、エンドフェンス23と、サイドフェンス24L、24Rと、端綴じ処理部25と、針綴じ処理部55と、排出トレイ26とを備える。内部トレイ22、エンドフェンス23、サイドフェンス24L、24R、端綴じ処理部25及び針綴じ処理部55は、第二搬送路Ph2から内部トレイ22に搬送される複数の用紙Pからなる用紙束Pbに端綴じ処理を施す。排出トレイ26には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、端綴じ処理が施された用紙束Pbが排出される。
【0021】
ここでいう「端綴じ処理」とは、用紙束Pbの主走査方向に平行な一辺に沿って綴じ処理を行う「平行綴じ処理」、用紙束Pbの角部に綴じ処理を行う「斜め綴じ処理」、用紙束Pbの搬送方向に平行な一辺に沿って綴じ処理を行う「垂直綴じ処理」が含まれる。
【0022】
以下、搬送ローラ対15からエンドフェンス23に向かう方向を用紙Pの「搬送方向」と定義する。すなわち、本明細書における「搬送方向」とは、画像形成装置2から排出された用紙Pが、搬送ローラ対10等により、排出トレイ26の方向に移動した後に、搬送ローラ対15によってエンドフェンス23に向かう方向に相当する。また、用紙Pの厚み方向及び搬送方向に直交する方向を、「主走査方向(用紙Pの幅方向)」と定義する。
【0023】
第二搬送路Ph2を経由して順番に搬送される複数の用紙Pは、載置トレイとしての内部トレイ22に一時的に載置される。エンドフェンス23は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの搬送方向の位置を揃える。サイドフェンス24L、24Rは、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える。端綴じ処理部25及び針綴じ処理部55は、エンドフェンス23及びサイドフェンス24L、24Rによって揃えられた用紙束Pbの端部を綴じる。そして、搬送ローラ対15は、端綴じ処理が施された用紙束Pbを排出トレイ26に排出する。
【0024】
[端綴じ処理部25の詳細説明]
図3は、
図2に示した液体付与処理と圧着綴じ処理とを行う端綴じ処理部25を、搬送方向の上流側から見た模式図である。
図4は、端綴じ処理部25を主走査方向の液体付与手段31側から見た模式図である。
図3に示すように、端綴じ処理部25は、液体付与処理を実行する液体付与手段31と、後処理手段の一例であって圧着綴じ処理を実行する圧着手段32とを備える。液体付与手段31及び圧着手段32は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。
【0025】
液体付与手段31は、第一貯液部としての第一貯液タンク43に貯留された液体を、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに付与する。以下、液体付与手段31が用紙P又は用紙束Pbに対して液体を付与すること、及び当該液体付与する際の液体付与手段31の動作を、「液体付与」と表記する。また、制御処理を伴う液体付与手段31の液体付与動作を「液体付与処理」と表記する。
【0026】
ここで、「液体付与」するために、第一貯液タンク43に貯留される液体とは、さらに詳しくは、化学式「H2O」で表される水素と酸素の化合物の液体状態を主成分とするものである。液体状態であれば、その温度状態は問わず、いわゆる温水や熱水であってもよい。また、純水に限らず、精製水はもちろんのこと、イオン化した塩類が含まれていてもよい。金属イオン含有量もいわゆる軟水から超硬水まで硬度は問わない。
【0027】
また主成分に加えて添加物が加えられていてもよい。水道水として用いられる残留塩素を含んでいてもよいし、着色剤・浸透剤・pH調整剤・フェノキシエタノールなどの防腐剤・グリセリンなどの乾燥防止剤等が添加されていることも望ましい。さらには、インクジェット方式の印刷装置で用いられるインクや、水性ペンに用いられるインクも成分として水を用いているので、これを「液体付与」として用いてもよい。
【0028】
ここで具体的に挙げたものに限らず、次亜塩素酸水や消毒用に希釈したエタノール水溶液など広義の「水」であっても機能するが、綴じ処理後の綴じ強度を高める作用を発揮させるためだけの用途であれば入手・管理が容易な水道水を用いればよい。また、液体としては、上記に例示したような水を主成分とする液体を用いる方が、水を主成分としていない液体を用いるよりも用紙束Pbの綴じ強度を向上させることができる。
【0029】
図3及び
図4に示すように、液体付与手段31は、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力が伝達されることによって、圧着手段32と共に主走査方向に移動可能に構成されている。液体付与手段31は、用紙P又は用紙束Pbの載置台としての下押圧板33と、上押圧板34と、液体付与手段移動機構35と、液体付与機構36とを備える。液体付与手段31の構成部品(下押圧板33、上押圧板34、液体付与手段移動機構35、液体付与機構36、液体付与部移動モータ37)は、液体付与フレーム31a及びベース部材48により保持されている。
【0030】
下押圧板33及び上押圧板34は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbは、下押圧板33にも載置される。下押圧板33は、下押圧板保持体331上に設けられている。上押圧板34は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの対面する位置において、用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に移動(昇降)に構成されている。
【0031】
すなわち、下押圧板33及び上押圧板34は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbを挟んで、用紙P又は用紙束Pbの厚み方向(以下、単に「厚み方向」と表記する。)に対向して配置されている。さらに、上押圧板34には、ベースプレート40に取り付けられたジョイント46を介して保持される液体付与部材451(後述する液体供給部材45(吸液体)の一方の端部であって、先端部分に相当する)に対面する位置に、厚み方向に貫通する貫通口34aが形成されている。
【0032】
液体付与手段移動機構35は、上押圧板34、ベースプレート40、ジョイント46及び液体付与部材451を用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に移動させる。本実施形態に係る液体付与手段移動機構35は、単一の液体付与部移動モータ37によって、上押圧板34、ベースプレート40、ジョイント46及び液体付与部材451を連動して移動させる。液体付与手段移動機構35は、例えば、液体付与部移動モータ37と、台形ネジ38と、ナット39と、ベースプレート40と、柱状部材41a、41bと、コイルバネ42a、42bとを備える。
【0033】
液体付与部移動モータ37は、上押圧板34、ベースプレート40、ジョイント46及び液体付与部材451を移動させる駆動力を発生させる。台形ネジ38は、用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に延設されると共に、液体付与フレーム31aに正逆方向に回転可能に取り付けられている。また、台形ネジ38は、プーリやベルト等を介して液体付与部移動モータ37の出力軸に接続されている。ナット39は、台形ネジ38に螺合されている。そして、液体付与部移動モータ37の駆動力が伝達されて台形ネジ38が正逆方向に回転することによってナット39が台形ネジ38上を往復移動する。
【0034】
ベースプレート40は、上押圧板34に対して離間した位置に配置されている。また、ベースプレート40は、液体付与部材451の先端部分をベースプレート40から上押圧板34に向けて突出させた状態で、液体付与部材451を保持している。さらに、ベースプレート40は、ナット39を介して台形ネジ38に接続されており、台形ネジ38が正逆方向に回転することによって台形ネジ38に沿って往復移動可能に構成されている。そして、ベースプレート40の上下方向の位置は、移動センサ40a(
図8参照)によって検知される。
【0035】
柱状部材41a、41bは、液体付与部材451の先端の周囲において、ベースプレート40から上押圧板34に向かって突出している。また、柱状部材41a、41bは、ベースプレート40に対して厚み方向に相対的に移動可能に構成されている。さらに、柱状部材41a、41bは、下押圧板33側の先端部で上押圧板34を保持している。また、柱状部材41a、41bの下押圧板33と反対側の先端部には、柱状部材41a、41bがベースプレート40から外れるのを防止する抜け止めが設けられている。
【0036】
コイルバネ42a、42bは、ベースプレート40と上押圧板34との間において、柱状部材41a、41bに外挿されている。そして、コイルバネ42a、42bは、上押圧板34及び柱状部材41a、41bを、ベースプレート40に対して下押圧板33側に向かって付勢する。
【0037】
液体付与機構36は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに液体付与する。より詳細には、液体付与機構36は、液体付与部材451を用紙P又は用紙束Pbに接触させることによって、用紙束Pbを構成する少なくとも一枚の用紙Pに液体付与する。液体付与機構36は、液体付与部材451と、液体供給部材45と、第一貯液タンク43と、ジョイント46とを備える。
【0038】
第一貯液タンク43は、用紙P又は用紙束Pbに供給するための液体を貯留する。第一貯液タンク43に貯留された液体は、第一液位センサ43a(第一液体検知手段)によって検知される。
【0039】
液体付与部材451は、第一貯液タンク43に貯留された液体を用紙P又は用紙束Pbに付与する。液体付与部材451は、先端を上押圧板34に向けてベースプレート40に保持されている。また、液体付与部材451は、吸液率の高い材料で構成されていて、例えば、液体を含むことが可能な連続気泡体で構成されている。液体付与部材451は、液体を吸い上げて保つことができる性質を有する素材であって、用紙Pに接触した状態で加えられる押圧力に応じて潰れる性質を備えるものであれば、その種類は問わない。例えば、スポンジのような発泡体でもよいし毛細管現象により液体を吸い上げることができる繊維でもよい。
【0040】
液体供給部材45(吸液体)は、基端が第一貯液タンク43に貯留された液体に浸漬される浸液部452であり、先端が液体付与部材451に接続される長尺の部材である。また、液体供給部材45は、例えば、液体付与部材451と同様に、吸水率の高い材料で構成されている。これにより、液体供給部材45の浸液部452から吸収された液体が、毛細管現象によって液体付与部材451に供給される。すなわち、第一貯液タンク43に貯留された液体は、液体供給部材45の浸液部452から吸い上げられ、その吸い上げられた液体が液体供給部材45を通じて先端に接続されている液体付与部材451へと供給されるように構成されている。
【0041】
以上のように、液体供給部材45の浸液部452から吸い上げられた液体が液体供給部材45を通じて液体付与部材451へと供給されて、液体付与部材451が用紙P又は用紙束Pbの最上位面に接することで液体付与が行われる。したがって、液体付与部材451は、先端が下方を向けてベースプレート40に支持されている。
【0042】
なお、上記において液体供給部材45と液体付与部材451が別体である場合について説明したが、液体供給部材45と液体付与部材451は、吸液率の高い材料で一体的に構成することもできる。つまり、液体付与部材451が液体供給部材45の一部となるように構成することもできる。その場合は、毛細管現象による液体供給部材45からの液体付与部材451への液体の供給がよりスムーズに行うことが可能になるとともに、コストダウンを図ることができる。
【0043】
保護部材45aは、液体供給部材45に外挿される長尺の筒体(例えば、チューブ)である。これにより、液体供給部材45が吸収した液体が漏れ出したり、蒸発したりすることを防止できる。また、液体供給部材45及び保護部材45aは、可撓性を有する材料で形成されている。ジョイント46は、液体付与部材451をベースプレート40に固定するものである。これにより、液体付与部材451は、液体付与手段移動機構35によって移動されても、ベースプレート40から上押圧板34側に向けて突出すると共に、液体付与部材451の先端が上押圧板34側を向いた状態が維持される。
【0044】
[圧着手段32の構成]
後処理手段としての圧着手段32は、凹凸状の上圧着歯32aと下圧着歯32bで用紙束Pbの一部分に圧力を加えることで変形させ、この一部分の用紙P同士を圧着させることで、用紙束Pbを綴じる。すなわち、圧着手段32は、綴じ針を用いずに、用紙束Pbを綴じることができる。圧着手段32の構成部品(上圧着歯32a、下圧着歯32b)は、圧着フレーム32cに設けられている。以下、圧着手段32によって用紙束Pbの所定の位置を加圧変形させることで綴じることを単に「圧着綴じ」と表記する。また、制御処理を伴う圧着手段32の圧着綴じ動作を「圧着綴じ処理」と表記する。
【0045】
図5は、圧着手段32構成を示す模式図である。
図5に示すように、圧着手段32は、上圧着歯32a及び下圧着歯32bを備える。上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、内部トレイ22に載置された用紙束Pbを挟んで、用紙束Pbの厚み方向に対向して配置されている。上圧着歯32a及び下圧着歯32bの互いに対向する面は、凹部及び凸部が交互に形成された凹凸状に形成されている。
【0046】
また、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、互いに噛合うように、凹部及び凸部がずれて形成されている。そして、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、接離モータ32d(
図8参照)の駆動力によって接離する。
【0047】
用紙束Pbを構成する複数の用紙Pが内部トレイ22に供給される過程では、
図5(A)に示すように、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは互いに離間している。そして、用紙束Pbを構成する全ての用紙Pが内部トレイ22に載置されると、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、接離モータ32dの駆動力によって、
図5(B)に示すように噛み合って、用紙束Pbを厚み方向から加圧変形させる。これにより、内部トレイ22に載置された用紙束Pbが圧着綴じされる。また、圧着綴じされた用紙束Pbは、搬送ローラ対15によって、排出トレイ26に排出される。
【0048】
なお、圧着手段32の構成としては、圧着機構を構成する上圧着歯32a及び下圧着歯32bが噛み合えばよいので、本実施形態で例示したような動作機構の構造に限定されない。例えば、正転のみ、又は正逆転する駆動源とリンク機構を使って上圧着歯32a及び下圧着歯32bの圧着及び離間動作を行うリンク機構方式の圧着機構(例えば、特許6057167号に開示されているもの)であってもよい。また、駆動源の正逆方向の回転運動を直線的な往復運動に変換するネジ機構により、上圧着歯32a及び下圧着歯32bの圧着及び離間動作を直線的に行う直動方式の圧着機構であってもよい。
【0049】
また、
図3に示すように、端綴じ処理部25は、端綴じ処理部移動機構47を備える。端綴じ処理部移動機構47は、内部トレイ22に載置された用紙Pの搬送方向の下流側の端部に沿って、端綴じ処理部25(すなわち、液体付与手段31及び圧着手段32)を主走査方向に移動させる。端綴じ処理部移動機構47は、例えば、ベース部材48と、案内軸49と、端綴じ処理部移動モータ50と、駆動力伝達機構51とを備える。
【0050】
液体付与手段31及び圧着手段32は、主走査方向に隣接させた状態でベース部材48に取り付けられている。案内軸49は、
図4に示すように、ベース部材116における搬送方向の上流側において、主走査方向に設けられ複数の案内軸ブラケット49aにより保持されている。また、案内軸49は、
図3に示すように、ベース部材116上において主走査方向に延設されている。また、案内レール115は、ベース部材116における搬送方向の下流側において主走査方向に亘って設けられている。案内レール115は、
図4に示すように、ベース部材48の嵌合部48aと主走査方向に亘って嵌合する被嵌合部115aを備えている。つまり、ベース部材48は、案内軸49及び案内レール115によって、ベース部材116上において主走査方向に移動可能に保持される。
【0051】
端綴じ処理部移動モータ50は、端綴じ処理部25を移動させるための駆動力を発生させる。駆動力伝達機構51は、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力を、プーリ51a、51bやタイミングベルト51cを介してベース部材48に伝達する。これにより、ベース部材48によって一体化された液体付与手段31及び圧着手段32は、案内軸49に沿って主走査方向に移動する。端綴じ処理部25の位置は、例えば、端綴じ処理部移動モータ50の出力軸に取り付けられたエンコーダセンサ541(
図8参照)によって把握することができる。
【0052】
なお、端綴じ処理部25は、圧着手段32と液体付与手段31が一体的に構成された状態で案内軸49に沿って移動するような形態として説明したが、これに限定されるものではなく、圧着手段32と液体付与手段31が、それぞれ別個独立に移動する構成であってもよい。
【0053】
[針綴じ処理部55の説明]
次に、針綴じ処理を実行する機能を備える針綴じ処理部55の詳細について説明する。
図6は、針綴じ処理部55を搬送方向の上流側から見た模式図である。針綴じ処理部55は、綴じ針を用いて用紙束Pbを綴じる針綴じ手段62を備える。針綴じ手段62は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、端綴じ処理部25に対して主走査方向に離間して配置されている。
【0054】
後処理手段としての針綴じ手段62は、綴じ針を用いて用紙束Pbを綴じる、いわゆる「針綴じ処理」を行う構成を備えている。より詳細には、針綴じ手段62は、針綴じ部62aを駆動する針綴じ部駆動モータ62d(
図8参照)を備えている。そして、針綴じ部62aは、針綴じ部駆動モータ62dの駆動力により針綴じ部62aに装填された綴じ針を、用紙束Pbに貫通させることによって用紙束Pbを綴じる。針綴じ手段62の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0055】
また、
図6に示すように、針綴じ処理部55は、針綴じ処理部移動機構77を備える。針綴じ処理部移動機構77は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの搬送方向の下流側の端部に沿って、針綴じ処理部55を主走査方向に移動させる。針綴じ処理部移動機構77は、例えば、ベース部材78と、案内軸49と、針綴じ処理部移動モータ80と、駆動力伝達機構81とを備える。駆動力伝達機構81は、針綴じ処理部移動モータ80の駆動力を、プーリ81a、81bやタイミングベルト81cを介してベース部材78に伝達する。
【0056】
なお、端綴じ処理部25および針綴じ処理部55は、共通の案内軸49に支持されている。すなわち、端綴じ処理部移動機構47、針綴じ処理部移動機構77は、共通の案内軸49に沿って端綴じ処理部25および針綴じ処理部55を主走査方向に移動させる。さらに、端綴じ処理部25および針綴じ処理部55は、端綴じ処理部移動機構47および針綴じ処理部移動機構77により独立して移動することができる。
【0057】
図7は、針綴じ処理部55の変形例としての針綴じ処理部55´を示したものであり、針綴じ処理部55´を搬送方向の上流側から見た模式図である。針綴じ処理部55´は、針綴じ手段62だけではなく、第二液体付与手段61を備えている点で針綴じ処理部55と相違する。
図7に示すように、針綴じ処理部55´は、第二液体付与手段61と、針綴じ手段62とを備える。第二液体付与手段61及び針綴じ手段62は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。
【0058】
第二液体付与手段61は、第三貯液タンク73に貯留された液体を、内部トレイ22に支持された用紙P又は用紙束Pbに付与する「液体付与」を実行する。第二液体付与手段61によって用紙P又は用紙束Pbに液体付与が行われる位置を含む所定の領域は、針綴じを行なう予定である綴じ位置に相当する。
図7に示すように、第二液体付与手段61は、第二下押圧板63と、第二上押圧板64と、第二液体手段移動機構65と、第二液体付与機構66とを備える。
【0059】
第二液体手段移動機構65は、例えば、第二液体付与部移動モータ67と、第二台形ネジ68と、第二ナット69と、第二ベースプレート70と、第二柱状部材71a、71bと、第二コイルバネ72a、72bとを備える。第二液体付与機構66は、第三貯液タンク73と、第二液体供給部材75と、第二液体付与部材751と、第二ジョイント76とを備える。第二液体付与機構66の構成は、液体付与機構36と共通するので、再度の説明は省略する。また、針綴じ手段62の構成は、
図6と同様なので詳細な説明は省略する。
【0060】
図7で示した針綴じ処理部55´のように、針綴じ処理においても、用紙Pに液体付与処理を施すことで、綴じ位置をほぐして柔らかくし、綴じ針を貫通しやすくすることができる。これによって、液体付与をせずに針綴じ処理を施す場合と比較すると、用紙束Pbの一束当たりの綴じ枚数を増やすことができる。
【0061】
図2に戻って、後処理装置3は、エンドフェンス27と、中綴じ処理部28と、用紙折りブレード29と、排出トレイ30とをさらに備え。エンドフェンス27、中綴じ処理部28、及び用紙折りブレード29は、第三搬送路Ph3を搬送される用紙Pにより構成させる用紙束Pbに中綴じ処理を施す。排出トレイ30には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、中綴じ処理が施された用紙束Pbが排出される。
【0062】
エンドフェンス27は、第三搬送路Ph3を順番に搬送される複数の用紙Pの搬送方向の位置を揃える。また、エンドフェンス27は、用紙束Pbの中央を、中綴じ処理部28に対面させる綴じ位置と、用紙折りブレード29に対面させる折り位置とに移動可能に構成されている。中綴じ処理部28は、綴じ位置のエンドフェンス27によって揃えられた用紙束Pbの中央を綴じる。用紙折りブレード29は、折り位置のエンドフェンス27に載置された用紙束Pbを半分に折って、搬送ローラ対18に挟持させる。搬送ローラ対18、19は、中綴じ処理が施された用紙束Pbを排出トレイ30に排出する。
【0063】
[後処理装置3の制御ブロック]
次に、後処理装置3の制御ブロック構成について、
図8を用いて説明する。
図8は、後処理装置3における制御処理を実行するためのハードウェア構成図である。
図8に示すように、後処理装置3は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、及びI/F105が共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0064】
CPU101は演算手段であり、後処理装置3全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0065】
後処理装置3は、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置3の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置3に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置3の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101、RAM102、ROM103、HDD104、及びI/F105は、後処理装置3の動作を制御する制御部100b(制御手段)を構成する。
【0066】
I/F105は、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、サイドフェンス24L、24R、接離モータ32d、液体付与部移動モータ37、針綴じ部駆動モータ62d、端綴じ処理部移動モータ50、針綴じ処理部移動モータ80、液体供給ポンプ92、移動センサ40a、第一液位センサ43a、第二液位センサ94、セット検知センサ922、温度センサ95、エンコーダセンサ541、及び操作パネル110を、共通バス109に接続するインタフェースである。制御部100bは、I/F105を通じて、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、サイドフェンス24L、24R、接離モータ32d、液体付与部移動モータ37、針綴じ部駆動モータ62d、端綴じ処理部移動モータ50、針綴じ処理部移動モータ80、及び液体供給ポンプ92を動作させる。また、制御部100bは、移動センサ40a、第一液位センサ43a、第二液位センサ94、セット検知センサ922、エンコーダセンサ541、及び温度センサ95、からの検知結果を取得する。なお、
図8には端綴じ処理を実行する端綴じ処理部25および針綴じ処理部55に関する構成部品のみを図示しているが、中綴じ処理を実行する中綴じ処理部28に関する構成部品も同様に制御部100bによって制御される。
【0067】
図1に示すように、画像形成装置2は、操作パネル110を備えている。操作パネル110は、ユーザからの操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてユーザから情報を取得し、ディスプレイを通じてユーザに情報を提供する。なお、報知部の具体例はディスプレイに限定されず、LEDランプやスピーカ等でもよい。また、後処理装置3に上記と同様の操作パネル110を備えるようにしてもよい。
【0068】
以上説明をしたとおり、後処理装置3は、制御部100bが備えるハードウェア資源を用いて、CPU101が実行するソフトウェア(制御プログラム)によって、液体付与に関連する動作制御を行う機能を実現する。
【0069】
なお、後処理装置3が実行する液体付与は、針綴じ処理部55には針綴じ手段62のみを備える形態とし、液体付与は端綴じ処理部25が備える液体付与手段31を利用する形態でもよい。また、逆に、端綴じ処理部25には圧着手段32のみを備える形態とし、液体付与は第二液体付与手段61を利用する形態でもよい。すなわち、綴じ処理の種類に関わらず、液体付与手段31、あるいは第二液体付与手段61どちらか一方のみが液体付与を行うように構成されていてもよい。
【0070】
また、針綴じ処理部55´は、針綴じ手段62と第二液体付与手段61が一体的に構成された状態で案内軸49に沿って移動するような形態として説明したが、これに限定されるものではなく、針綴じ手段62と第二液体付与手段61が、それぞれ別個独立に移動する構成であってもよい。
【0071】
[綴じ処理の説明]
次に、後処理装置3が備える端綴じ処理部25において実行される綴じ処理の流れについて説明する。
図9は、綴じ処理のフローチャートである。
図10は、綴じ処理の実行中における液体付与手段31及び圧着手段32の位置を示す図である。なお、
図10では、液体付与手段31及び圧着手段32の姿勢の変化については図示を省略している。また、液体付与手段131によって用紙P又は用紙束Pbに液体付与が行われる位置(液体付与位置)は、圧着手段32が用紙束Pbに対して圧着綴じを行う予定である綴じ位置に相当する。よって、以下において液体付与位置と綴じ位置には同一符号(B1)を付して説明する。
【0072】
制御部100bは、例えば、画像形成装置2から綴じ処理の実行指示(以下、「綴じ処理指示」と表記する。)を取得したタイミングで、
図9に示す綴じ処理を開始する。
【0073】
綴じ処理指示は、例えば、用紙Pの種類(素材や厚みなど液体の広がりに影響を与える情報)と、用紙束Pbを構成する用紙Pの数(以下、「所定枚数N」と表記する。)と、綴じ処理を施すべき用紙束Pbの数(以下、「必要部数M」と表記する。)と、用紙束Pbの綴じ位置と、端綴じ処理部25の綴じ姿勢とを含む。また、液体付与手段31及び圧着手段32は、
図10(A)に示すように、綴じ処理の開始時点において、平行綴じ姿勢で、且つ内部トレイ22に載置された用紙Pから幅方向に外れた位置である待機位置HPに位置しているものとする。
【0074】
制御部100bは、端綴じ処理部移動モータ50を駆動して、綴じ処理指示で指示された液体付与位置B1に液体付与手段31が対面するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる(S901)。なお、制御部100bは、搬送ローラ対10、11、14、15によって最初の用紙Pが内部トレイ22に搬送される前に、ステップS901の処理を実行する。
【0075】
次に、制御部100bは、搬送ローラ対10、11、14、15を回転させることによって、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pを内部トレイ22に収容する(S902)。また、制御部100bは、サイドフェンス24L、24Rを移動させることによって、内部トレイ22に載置された用紙Pの主走査方向の位置を揃える(所謂、ジョギング)処理を実行する(S902)。
【0076】
次に、制御部100bは、直前のステップS902で内部トレイ22に載置された用紙Pの液体付与位置B1に対して、事前に調整された液体付与制御データに基づいて、液体付与位置B1に対面する液体付与手段31に液体付与を実行させる(S903)。すなわち、制御部100bは、液体付与部移動モータ37を駆動して、内部トレイ22に載置された用紙Pの液体付与位置B1に液体付与部材451を接触させる(
図10(B))。ステップS903における液体付与処理において、制御部100bは、綴じ処理指示に含まれる用紙Pの種類や、綴じ位置に応じて、液体付与部材451が用紙Pに対して液体を付与する位置を調整する。また、制御部100bは、液体付与部材451を用紙Pに押圧する量を調整する。すなわち、制御部100bは、調整された制御データに基づいて、液体付与部移動モータ37の駆動を制御して、内部トレイ22に載置された用紙Pの液体付与位置B1に対する液体付与部材451の移動量を調整する。
【0077】
次に、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙の数が、綴じ処理指示で指示された所定枚数Nに達したか否かを判定する(S904)。そして、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数Nに達していないと判定した場合に(S904:No)、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数Nに達するまで(S704:Yes)、ステップS902~S903の処理を再び実行する。すなわち、制御部100bは、搬送ローラ対10、11、14、15によって内部トレイ22に用紙Pが搬送される度に、ステップS902~S904の処理を実行する。なお、液体付与手段31による液体付与は、用紙束Pbを構成する複数の用紙Pの全てに行われる場合だけではなく、一部の用紙Pにのみ行ってもよい。
【0078】
そして、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数Nに達したと判定した場合に(S904:Yes)、
図10(C)に示すように、端綴じ処理部移動モータ50を駆動して、圧着手段32が綴じ位置B1に対面するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる(S905)。
【0079】
次に、制御部100bは、圧着手段32に、内部トレイ22に載置された用紙束Pbに対して圧着綴じを実行させる(S906)。そして、制御部100bは、搬送ローラ対15により、圧着手段32により圧着綴じされた用紙束Pbを排出トレイ26に排出する(S907)。すなわち、制御部100bは、接離モータ32dを駆動して、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの綴じ位置B1を、上圧着歯32a及び下圧着歯32bに挟持させる。これにより、上圧着歯32a及び下圧着歯32bの間で用紙束Pbを加圧変形させ圧着綴じを行う。その後、制御部100bは、搬送ローラ対15を回転させることによって、圧着綴じされた用紙束Pbを排出トレイ26に排出する。
【0080】
なお、内部トレイ22に載置された用紙束Pb上において、ステップS906で上圧着歯32a及び下圧着歯32bが挟持する圧着領域(綴じ位置B1に相当)は、ステップS903で液体付与部材451の先端部が接触した液体付与領域(液体付与位置B1に相当)に重なる。換言すれば、圧着手段32は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbにおいて、液体付与手段31によって液体が付与された領域を圧着綴じする。なお、上圧着歯32a及び下圧着歯32bが挟持する圧着領域は、液体付与部材451の先端部が接触した液体付与領域に完全に重なっている必要はなく、部分的に重なっている場合でも十分な綴じ強度を得ることができる。
【0081】
次に、制御部100bは、排出トレイ26に排出された用紙束Pbの数が、綴じ処理指示で示された必要部数Mに達したか否かを判定する(S908)。制御部100bは、排出された用紙束Pbの数が必要部数Mに達していないと判定した場合(S908:No)、ステップS902以降の処理を再び実行する。すなわち、制御部100bは、排出トレイ26に排出された用紙束Pbの数が、必要部数Mに達するまで(S908:Yes)、ステップS902~S908の処理を繰り返し実行する。
【0082】
そして、制御部100bは、排出トレイ26に排出された用紙束Pbの数が、必要部数Mに達したと判定した場合に(S908:Yes)、端綴じ処理部移動モータ50を駆動して、
図10(A)に示すように端綴じ処理部25を待機位置HPに移動させる(S909)。これにより、液体付与手段31及び圧着手段32が
図10(A)の待機位置HPに戻る。
【0083】
[第一実施形態]
次に、本発明に係る媒体処理装置の第一実施形態についてさらに詳細に説明する。
図11は、本実施形態に係る液体付与手段31の構成図である。液体付与手段31は、液体付与部材451及び浸液部452を有する液体供給部材45、第一貯液部としての第一貯液タンク43、第二貯液部としての第二貯液タンク91、液体供給手段としての液体供給ポンプ92及び液体供給経路93、制御手段としての制御部100b、を有する。
【0084】
液体供給部材45は、すでに説明のとおり、第一貯液タンク43に貯液されている液体に一部分(浸液部452)が浸り、他の一部分(液体付与部材451)が用紙Pまたは用紙束Pbに当接することで液体付与をする吸液体により構成されている。
【0085】
第二貯液タンク91には、第一貯液タンク43に補給するための液体が貯液されている。第二貯液タンク91に貯液されている液体は、液体供給ポンプ92の動作により液体供給経路93を介して第一貯液タンク43へと供給される。
【0086】
第一貯液タンク43には、第一貯液タンク43の液体の有無(貯液量)を検知するための第一液体検知手段としての第一液位センサ43aが設けられている。第一液位センサ43aは一対の電極を有する電極センサである。
【0087】
第一液位センサが第一貯液タンク43内の液体(液位)を検知したときに出力する出力値(電圧)は、制御手段としての制御部100bに入力される。制御部100bは、入力された出力値が「液体検知閾値」(閾値)を超えるか否かに基づいて、第一貯液タンク43内の液体の有無(貯液量)を判定する。液体の補充が必要と判定されれば、制御部100bは、液体供給ポンプ92を動作させて、第二貯液タンク91から第一貯液タンク43へと液体を供給する。
【0088】
制御部100bは、第一液位センサ43aが備える電極に対する電圧の印加タイミングを制御する。また、制御部100bは、第一液位センサ43aの出力値に応じて液体供給ポンプ92の動作開始と動作停止を制御する。また、制御部100bは、第一液位センサ43aの出力値に応じて、液体供給ポンプ92の動作によって第一貯液タンク43内の液体(液位)を第一液位センサ43aが検知したとき、液体供給ポンプ92の動作を停止させ、第一液位センサ43aへの電圧印加も停止する。
【0089】
そして、制御部100bは、液体供給ポンプ92の動作停止後の経過時間を計測し、経過時間が第一所定時間を経過したときに、第一液位センサ43aの電極に通電し(電圧を印加し)再度、第一貯液タンク43内の液体(液位)を検知する検知処理を実行する。
【0090】
第一貯液タンク4内に貯留されている液体が液体供給部材45の毛細管現象によって吸い上げられて、浸液部452から液体供給部材45を介して液体付与部材451へと送られるには時間を要する。そこで、上記のように所定時間の経過を待ってから、第一貯液タンク43内の液体(液位)を検知する。このとき、液体供給部材45に吸い上げられて、第一貯液タンク4内の貯液量(液位)が低下し、第一液位センサ43aが第一貯液タンク43内の液体(液位)を検知しないならば、制御部100bは、再度、液体供給ポンプ92を動作させて、第二貯液タンク91から第一貯液タンク43に対して液体を供給する。
【0091】
なお、第一液位センサ43aの出力値は、電極が第一貯液タンク43内の液体に接する量によって変化する電気信号に相当する。この電気信号は、電気抵抗値を示す信号、電圧値を示す信号、電流値を示す信号などが含まれる。すなわち、電極センサを構成する一対の電極が液体に浸るか否かによって、電極間の通電をしたとき(電圧を印加したとき)に変化する電気的な値を示す信号であれば、「電気信号」に相当するものとする。
【0092】
なお、本実施形態において、第一液位センサ43aの例として電極センサを示したが、これに限定されるものではなく他の方式でもよい。例えば、フロートセンサや静電容量センサを用いて液体の有無を検知してもよい。また、第一液位センサ43aは、第一貯液タンク43内の液体の有無(貯液量)を検出できるものであればよく、第一貯液タンク43内の液体の液位(液面)を検知するものに限定されない。
【0093】
図12は、液体供給部材45が乾いている状態において、第一貯液タンク43に貯留されている液体の量(液位)の変化を例示した図である。以下、第一貯液タンク43に貯留されている液体の量(液位)が変化することを、「液位変化」と表記する。
【0094】
まず、
図12(a)に示すように、第二貯液タンク91から第一貯液タンク43に液体を供給して、第一液位センサ43aが第一貯液タンク43の液体(液位)を検知する状態にする。このとき、浸液部452を含む液体供給部材45は乾いている状態とする。そして、第一液位センサ43aが第一貯液タンク43内の液体を検知する状態になったときの液位(第一貯液タンク43の貯液量)を「基準液位」とする。
【0095】
その後、
図12(B)に示すように、毛細管現象によって浸液部452から液体が吸い上げられて液体供給部材45が液体を吸った状態になる。このとき、第一貯液タンク43に貯留されている液体量(液位)が基準液位から低下する。液位が下がった状態、すなわち、液体供給部材45が液体を吸って潤った状態になったタイミングに至った段階で、もう一度、制御部100bは、第一液位センサ43aによる出力値を判定する。この段階において、第一貯液タンク43の貯液量(液位)が基準液位に満たないと判定されたときは、制御部100bは、液体供給ポンプ92を動作させて、再度、第二貯液タンク91から第一貯液タンク43に対して液体を供給する。
【0096】
なお、第一液位センサ43aとして電極センサを用いる場合、一対の電極に対する通電(印加)を常時行うと(常時通電にすると)、電極に用いている金属に電食が生じて腐食することが懸念される。また、第一貯液タンク43に貯留されている液体にも常に電圧が印加される状態になるため、液体の電気分解が生じたり、電極の表面に電気分解によって異物が付着して電極の溶解が発生したり、などの電極の劣化を誘発する状態になることも懸念される。そこで、制御部100bは、第一液位センサ43aに常時通電を行うのではなくて、第一貯液タンク43に貯留されている液体の有無(液位)を検知するときのみ通電する(通電ONとする)ように、第一液位センサ43aへの通電タイミングを制御する。
【0097】
[液体供給動作の制御フロー]
図13は、制御部100bにおいて実行される液体供給動作の制御フロー(「液体供給制御フロー」)を例示するフローチャートである。本実施形態に係る液体供給動作は、後処理装置3の起動時や液体付与を伴う圧着綴じ処理の開始時に実行される。
【0098】
例えば、後処理装置3が起動されたとき、液体供給制御フローが開始される。液体供給制御フローが開始されると、制御部100bに対して液体有無確認要求が指示される(S701)。なお、液体有無確認要求の指示は、ユーザが画像形成装置2又は/及び後処理装置3に設けられた操作パネル110から入力した情報に基づくものであってもよい。制御部100bは、画像形成装置2からの液体有無確認要求の指示を受けて、第一液位センサ43aに電圧を印加する(通電ONにする)(S702)。
【0099】
続いて、制御部100bは、第一液位センサ43aが第一貯液タンク43内の液体を検知したときに出力する電気信号の値(以下「出力値」(電圧)と表記する。)を取得して、第一貯液タンク43内の液体の有無(貯液量)を判定する(S703)。第一貯液タンク43内の液体の有無(貯液量)の判定は、第一液位センサ43aが出力する出力値(電圧)が、予め設定されている「液体検知閾値」(閾値)を超えるか否かに基づいて行われる。例えば、第一液位センサ43aからの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧VTh1)以上の場合には、制御部100bは、第一貯液タンク43内の貯液量が十分な量であると判断する(S703:YES)。この場合、制御部100bは、第一液位センサ43aへの電圧の印加を停止し(通電OFFにし)(S704)、液体付与の準備完了通知を、例えば前記操作パネル110に表示させて(S705)、液体供給制御フローを終了する。
【0100】
一方、ステップS703において、第一液位センサ43aからの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧VTh1)未満の場合(S703:NO)、制御部100bは液体供給ポンプ92を動作させて、第二貯液タンク91から第一貯液タンク43への液体の供給を実行する(S706)。
【0101】
続いて、制御部100bは、第一液位センサ43aからの出力値(電圧)が予め設定されている「液体検知閾値」(閾値)以上であるか否かを判定する(S707)。第一液位センサ43aからの出力値(電圧)が、液体検知閾値(例えば出力電圧VTh1)以上の場合には、制御部100bは、液体供給ポンプ92により第二貯液タンク91から第一貯液タンク43内に十分な量の液体が供給されたと判断する(S707:YES)。一方、第一液位センサ43aからの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧VTh1)未満の場合(S707:NO)は、制御部100bは、液体供給ポンプ92の動作開始(S706)してからの経過時間が異常判定時間(T1[sec])を経過していないか否かを判定する(S716)。前記経過時間が異常判定時間T1を経過していない場合(S7166:NO)、制御部100bは、第一液位センサ43aからの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力値V1)以上(S707:YES)になるまで、液体供給ポンプ92による第二貯液タンク91から第一貯液タンク43への液体の供給を継続する。
【0102】
一方、前記経過時間が異常判定時間T1を経過している場合(SS716:YES)、制御部100bは、機器に何らかの異常(液体供給ポンプ92及び/又は第一液位センサ43aの故障など)が発生したと判断して、液体供給ポンプ92の停止及び/又は第一液位センサ43aの通電OFFを行うエラー停止処理を行う(S718)。そして、制御部100bは、操作パネル110に異常通知を表示させてから(S719)、液体供給制御フローを終了する。
【0103】
ステップS707において、第一液位センサ43aからの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧VTh1)以上となった場合には(S707:YES)、制御部100bは、液体供給ポンプ92を停止して、第二貯液タンク91から第一貯液タンク43への液体の供給を停止する(S708)。そして、制御部100bは、第一液位センサ43aへの電圧の印加を停止する(通電OFFにする)(S709)。
【0104】
その後、液体供給部材45が毛細管現象などにより、第一貯液タンク44内の液体が吸い上げられて、液体付与部材451が液体付与できる状態(液体付与部材451及び/又は液体供給部材45に液体が十分に貯えられた状態)までの時間として予め設定されている待機時間(第一所定時間T0[sec])が経過するまで液体供給制御フローを一旦停止する(S710)。
【0105】
そして、第一所定時間T0が経過した後、制御部100bは、再度、第一液位センサ43aの通電をONして(S711)、第一液位センサ43aが第一貯液タンク43内の液体を検知したときに出力する出力値(電圧)を取得して、第一貯液タンク44内の液体の有無(貯液量)を判定する(S712)。この段階で、液体供給部材45の吸い上げによって第一貯液タンク43内液体の液位(貯液量)は下がるものの、第一液位センサ43aからの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧VTh1)以上であれば(S712:YES)、制御部100bは、第一液位センサ43aへの電圧の印加を停止する(通電OFFにする)(S704)。そして、制御部100bは、液体付与の準備完了通知を、例えば前記操作パネル110に表示させて(S705)、液体供給制御フローを終了する。
【0106】
一方、ステップS712において、第一液位センサ43aからの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧VTh1)未満の場合(S712:NO)、制御部100bは液体供給ポンプ92を動作させて、第二貯液タンクか91ら第一貯液タンク43への液体の供給を実行する(S713)。
【0107】
続いて、制御部100bは、第一液位センサ43aが第一貯液タンク43内の液体を検知したときに出力する出力値(電圧)を取得して、第一貯液タンク43内の液体の有無(貯液量)を判定する(S714)。そして、第一液位センサ43aからの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧VTh1)以上の場合(S714:YES)、制御部100bは、第一貯液タンク43内に十分な量の液体が供給されたと判断する。この場合、制御部100bは、液体供給ポンプ92を停止して、第二貯液タンク91から第一貯液タンク43への液体の供給を停止する(S715)。そして、制御部100bは、第一液位センサ43aへの電圧の印加を停止して(通電OFFにする)(S704)、液体付与の準備完了通知を、例えば前記操作パネル110に表示させて(S705)、液体供給制御フローを終了する。
【0108】
一方、第一液位センサ43aからの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧VTh1)未満の場合(S714:NO)、制御部100bは、液体供給ポンプ92の動作開始(S713)してからの経過時間が異常判定時間(T1[sec])を経過していないか否かを判定する(S717)。前記経過時間が異常判定時間T1を経過していない場合(S717:NO)、制御部100bは、第一液位センサ43aからの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧VTh1)以上(S714:YES)になるまで、液体供給ポンプ92による第二貯液タンク91から第一貯液タンク43への液体の供給を継続する。
【0109】
一方、前記経過時間が異常判定時間T1を経過している場合(S714:YES)、制御部100bは、機器に何らかの前記異常が発生したと判断して、液体供給ポンプ92の停止及び/又は第一液位センサ43aの通電OFFを行うエラー停止処理を行う(S718)。そして、制御部100bは、前記操作パネル110に異常通知を表示させてから(S719)、液体供給制御フローを終了する。
【0110】
なお、「異常通知」としては、例えば、前記操作パネル110に液体供給ポンプ92又は/及び第一液位センサ43aが故障している可能性があるのでチェックを促すような警告を表示するものであればよい。
【0111】
以上のとおり、本実施形態に係る液体供給動作の制御フローの実行によれば、液体付与部材451による液体付与が可能となる液体の量を、液体供給部材45及び/又は液体付与部材451に一定量を安定的に確保することができる。その結果、第二貯液タンク91から第一貯液タンク43への液体の供給動作の頻度を少なくして、液体付与処理の効率を高めることができる。
【0112】
次に、
図13にて説明した液体供給制御フローと、
図12で説明した第一貯液タンク43に貯留されている液体の量(液位)の変化との関連を説明する。まず、
図12(A)に示す状態に至る前段階において、第一貯液タンク43内の液体有無を確認した場合は、制御部100bは、第一貯液タンク43内の状態は「液体無し」の状態であると判定し(S703:NO)、液体供給ポンプ92を駆動して第二貯液タンク91から第一貯液タンク43への液体の供給を実行する(S706)。そして、
図12(A)の状態に至ると、第一液位センサ43aからの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧VTh1)以上となるので(S707:YES)、制御部100bは、液体供給ポンプ92を停止してから(S708)、第一液位センサ43aを通電OFFの状態にする(S709)。
【0113】
続いて、
図12(B)に示すように液体供給部材45が液体を吸い上げることで液体付与部材451が液体付与できる状態までの時間として予め設定されている第一所定時間T0が経過すると、制御部100bは、再度、第一液位センサ43aを通電ONの状態にする(S711)。この段階では、液体供給部材45により所定量の液体が、第一貯液タンク43内から液体供給部材45に吸い上げられている。その結果、第一貯液タンク43内の貯液量が減少し、第一貯液タンク43内の液体の液位(貯液量)は基準液位よりも下がるので、第一液位センサ43aからの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧VTh1)未満となる(S712:NO)。
【0114】
そこで、制御部100bは液体供給ポンプ92を再度動作させて(S713)、第一液位センサ43aからの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧VTh1)以上となるまで(S714:YES)、第二貯液タンク91から第一貯液タンク43への液体の供給を実行する。そして、第一液位センサ43aからの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧VTh1)以上になると、制御部100bは、液体供給ポンプ92を停止してから(S715)とともに、第一液位センサ43aを通電OFFの状態にする(S704)。その結果、
図12(C)に示すように、液体供給部材45及び/又は液体付与部材451の全体に第一貯液タンク43内の液体が十分に貯えた状態になるので、制御部100bは、液体付与の準備完了通知を前記操作パネル110に表示させる(S705)。
【0115】
図14は、本実施形態に係る液体付与手段31において生ずる可能性がある液漏れの様子を例示する図である。
【0116】
本実施形態に係る液体付与手段31は、第二貯液タンク91に液体を補給する方式である。そのため、第二貯液タンク91に補給される液体の種類によって、液体の性質(硬度、pH、塩素量、電導度(conductance)など)は様々である。すなわち、第一液位センサ43aの出力値(電圧)に基づいて、第一貯液タンク43内の液体有無(貯液量)を判定する場合、液体検知閾値を特定の値に固定したままで判定をしても、第一貯液タンク43内の液体有無(貯液量)の検知を精度良く行うことが困難になる状況になることも想定される。
【0117】
例えば、第一貯液タンク43内に補給された液体が極端に電導度の低い液体(産業分野で用いられる超純水など)だと仮定する。この場合、水道水を前提にして設定した液体検知閾値を用いると、第一貯液タンク43内の液体が第一液位センサ43aに接していたとしても、そのときの出力値(超純水の出力値)が水道水を前提にして設定した液体検知閾値との対比において第一貯液タンク43内の液体(液位)を検知する条件を満たさないこともあり得る。その結果、適切なタイミングで液体供給ポンプ92による第一貯液タンク43への液体の供給を止めることができず、第一貯液タンク43全体が液体で満たされてしまい、
図14に示すように液体供給部材45と第一貯液タンク43の隙間や液体付与部材451の先端からの液漏れが発生するなどの不具合が誘発される。
【0118】
そこで、本実施形態に係る液体付与手段31は、第一液位センサ43aにおける液体有無判定に用いる液体検知閾値を液体の種類によって可変させる。
図15は、第一液位センサ43aからの出力値の変化と第一液位センサ43aの液体検知閾値との関係を時系列で例示したグラフである。
図15の横軸tは、液体供給ポンプ92を動作させて、第二貯液タンク91から第一貯液タンク43への液体の供給を行うときの経過時間であり、縦軸Vは第一液位センサ43aの出力値(電圧)を示している。
【0119】
第一液位センサ43aの一対の電極が第一貯液タンク43内の液体に触れる前(
図12(B)参照)は、空気を検知している。このときの第一液位センサ43aの出力値(電圧)を「V1」とする。液体の種類が所定の電導度である「La」の場合、液体Laが経過時間tLで電極に接したときに、出力値(電圧)が「V1」から「V2」に変化するものとする。そこで、第一液位センサ43aにより液体Laを検知するには、制御部100bは、
図15に示すように第一液位センサ43aの液体検知閾値を出力値V1と出力値V2の間に設定する。
【0120】
なお、第一液位センサ43aの液体検知閾値は、出力値V1、出力値V2の値のばらつきやノイズ等を考慮し、出力値V1と出力値V2の中間に設定するのが望ましい。
【0121】
また、液体の種類が「La」ではなく、これをよりも電導度の低い「Lb」の場合、液体Lbが電極に接したときに、出力値が「V1」から「V3」に変化するものとする。ここで、出力値V3は、出力値V2によりも大きく、出力値V1よりも小さいものとする。この場合、液体Lbが経過時間tLで電極に接したときに、出力値は「V1」から「V3」に変化して「V2」へは至らない。すなわち、
図15に示すように出力値V1と出力値V2の中間に、第一液位センサ43aの液体検知閾値(液体Laに対する液体検知閾値)を設定しても、第一液位センサ43aによって第一貯液タンク43内の液体Lbの液位(貯液量)を検知することができない。
【0122】
そこで、液体Lbの場合には、制御部100bは、
図15に示すように第一液位センサ43aの液体検知閾値を出力値V1と出力値V2の中間ではなく、出力値V1と出力値V3の間に設定する。すなわち、液体の種類に応じて、第一液位センサ43aが第一貯液タンク43内の液体(液位)を的確に検知できるように、液体の種類によって第一液位センサ43aの液体検知閾値を変更できるようにする。
【0123】
図16は、本実施形態に係る液体付与手段31が備える第二貯液タンク91の実施形態を例示する図である。第二貯液部としての第二貯液タンク91は、後処理装置3の開閉カバー71を開けるとアクセスできる位置に設置されている。そして、第二貯液タンク91に液体を補給するときには、第二貯液タンク91を後処理装置3から外し、液体を補給することができる(
図16(A)参照)。
【0124】
第二貯液タンク91は、内部に給液弁911が設けられている。給液弁911は、第二貯液タンク91が後処理装置3にセットされていない状態(未セット状態)では、出口を塞ぐ構造であるので、液体の漏れを防止する構造になっている(
図16(B)参照)。
【0125】
第二貯液タンク91は、後処理装置3の内部に設けられている第二貯液タンク固定部921(第二貯液部の一部)にセットされることで、給液弁911が押し上げられて出口が開くようになっている。その結果、第二貯液タンク91が保持している液体が第二貯液タンク固定部921に流出して一時的に貯められるようになっている。この第二貯液タンク固定部921に貯められた液体を液体供給ポンプ92の動作によって第一貯液タンク43へと供給することができる。
【0126】
第二貯液タンク固定部921には、第二貯液タンク91のセット有無を判断するためのセンサとして、セット検知センサ922(セット検知手段)が設けられている。このセット検知センサ922が、第二貯液タンク91の第二貯液タンク固定部921へのセット状態(
図16(C)参照)を検知すると、それを知らせる信号が制御部100bに通知される。これによって、制御部100bは、第二貯液タンク91が第二貯液タンク固定部921にセットされているか否かを検知できるように構成されている。
【0127】
また、第二貯液タンク固定部921には、貯められる液体Lの量を検出するための第二液位センサ94(第二液体検知手段)が設けられている。第二液位センサ94の出力値(電圧)は、制御部100bに通知される。そして、制御部100bは、第二液位センサ94の出力値(電圧)を判定することで、第二貯液タンク固定部921の貯液量が必要な液量であるかどうかを判定する。そして、制御部100bは、セット検知センサ922の出力信号によって、第二貯液タンク91がセット状態にあると判定したときに、第二液位センサ94を通電ONにして第二貯液タンク固定部921内の液体の有無(貯液量)を検知可能な状態にする。
【0128】
[第二実施形態]
次に、本発明に係る媒体処理装置の第二実施形態について説明する。
図17は、本実施形態に係る液体付与手段31の実施形態を例示する図である。第二貯液部としての第二貯液タンク91には、第二液位センサ94が設けられている。第二液体検知手段としての第二液位センサ94も、第一液位センサ43aと同様に、一対の電極によって構成される電極センサである。液体が電極に接したときに、電極間に印加された電圧によって生ずる出力値(電圧)の変動を制御部100bが判定することで、第二貯液タンク固定部921内の液体の有無(貯液量)を検知することができるものである。なお、第二液位センサ94についても、第一液位センサ43aと同様に電極センサに限定されるものではなく他の方式でもよい。例えば、フロートセンサや静電容量センサを用いて液体の有無を検知してもよい。また、第二液位センサ94は、第二貯液タンク固定部921内の液体の有無(貯液量)を検出できるものであればよく、第二貯液タンク固定部921内の液体の液位(液面)を検知するものに限定されない。
【0129】
本実施形態に係る液体付与手段31は、第二貯液タンク91内の液体の種類が第一貯液タンク43内の液体の種類と異なることによって、第一貯液タンク43に配置された第一液位センサ43aでは第一貯液タンク43内の液体の有無(貯液量)を検知することができないときに、より効果を奏するものとなる。
【0130】
図16に示すように第二貯液タンク91を後処理装置3から外し、第二貯液タンク91に液体を補給した際に、補給された液体の種類(性質)が変更される可能性がある。例えば、第二貯液タンク91内及び第二貯液タンク固定部921内の液体が、
図15に示す液体Laから液体Lbに変更された場合である。この場合、第一液位センサ43aの液体検知閾値は、
図15に示す「液体Laに対する液体検知閾値」が設定されている。そこで、まず制御部100bは、第二貯液タンク91が装着されたときに第二液位センサ94を通電ONにする。このとき、第二液位センサ94の出力値(電圧)は、第二貯液タンク91内の液体Lbを検知している状態を示す値(例えば出力値V3)になっている。
【0131】
そこで、制御部100bは、この第二液位センサ94の出力値(例えば出力値V3)に基づいて第一液位センサ43aの液体検知閾値を
図15に示す「液体Laに対する液体検知閾値」から「液体Lbに対する液体検知閾値」に変更する。この場合、制御部100bは、新たに設定された液体検知閾値(「液体Lbに対する液体検知閾値」)を用いて、第一液位センサ43aの出力値(電圧)を判定して第一貯液タンク43内の液体有無(貯液量)を判定する。
【0132】
また、液体付与に使用する液体の種類(性質)が変化した他の可能性があるときには、積極的に、上述の液体検知閾値を見直してもよい。例えば、第一貯液タンク43及び/又は第二貯液タンク91の周囲温度が変化することにより液体の性質が変化したような場合である。この場合には、第一貯液タンク43及び/又は第二貯液タンク91の周囲温度を検知するために設けられている温度センサ95(温度検知手段)が検出した周囲温度が、液体供給動作(液体供給制御フロー)を以前実行したときに比較して所定の変動幅を超えているときに液体検知閾値を見直すとよい。ここで、所定の変動幅は、例えば±10℃である。
【0133】
[液体検知閾値の設定処理フロー]
図18は、制御部100bにおいて実行される液体検知閾値の設定処理の流れを例示するフローチャートである。本実施形態に係る液体検知閾値の設定処理は、第二貯液タンク91に補給された液体の種類が変更された可能性があるとき、または、周囲温度が所定の変動幅を超えているときなどに実行されるものとする。
【0134】
例えば、液体検知閾値の設定処理が開始されると、制御部100bに対して液体検知閾値を設定する旨の要求(以下「閾値設定要求」という)が指示される(S1201)。なお、閾値設定要求の指示は、ユーザが前記操作パネル110から入力した情報に基づくものであってもよい。制御部100bは、閾値設定要求の指示を受けて、制御部100bは第二液位センサ94に電圧を印加する(通電ONにする)(S1202)。
【0135】
ここで、第二貯液タンク91が第二貯液タンク固定部921にセットされてから、第二貯液タンク固定部921内が液体で満たされるまで、所定の時間を要する。そこで、制御部100bは、第二液位センサ94からの出力値(電圧)を取得済であるか否かを判定する(S1203)。
【0136】
そして、第二液位センサ94からの出力値が取得済であると判定した場合(S1203:YES)、
図15に例示したように、その取得した第二液位センサ94からの出力値(電圧)に基づいて第一液位センサ43aの液体検知閾値を設定する(S1204)。その後、制御部100bは第二液位センサ94への電圧の印加を停止(通電OFF)して(S1205)、液体検知閾値の設定処理を終了する。
【0137】
一方、第二液位センサ94からの出力値が取得されていないと判定した場合(S1203:NO)、制御部100bは、第二液位センサ94を通電ONの状態にしてからの経過時間が所定時間(液体補給時間T2[sec])を経過していないか否かを判定する(S1206)。前記経過時間が液体補給時間T2を経過していない場合(S1206:NO)、制御部100bは、第一液位センサ43aからの出力値(電圧)が取得済であると判定されるまで(S1203:YES)、ステップS1203及びS1206の処理を繰り返し実行する。
【0138】
一方、前記経過時間が液体補給時間T2を経過した場合、すなわち第二液位センサ94の出力値を液体補給時間T2が経過するまでに取得できない場合(S1203:NOで、S1206:YESの場合)、使用する液体の電導度が極端に低いなどの事情が想定される。この場合、第二貯液タンク91に補給された液体は、液体付与手段31による液体付与には適さないため、第二貯液タンク91に補給された液体は、液体付与に使用不可であることを前記操作パネル110などに通知する処理を実行する(S1207)。そして、制御部100bは、第二液位センサ94への電圧の印加を停止(通電OFF)して(S1205)、液体検知閾値の設定処理を終了する。
【0139】
[第三実施形態]
次に、本発明に係る媒体処理装置の第三実施形態について説明する。
図19及び
図20は、本実施形態に係る液体付与手段31の一部を示す構成図である。本実施形態に係る液体付与手段31が備える第一液位センサ43aは、
図19に例示するように、一対の電極のうち、一方を他方よりも長く(一方を他方よりも短く)し、異なる長さのものを用いる。
【0140】
一般的に、電極が液体に触れている面積が大きいほど電導度が大きくなるので第一貯液タンク43内の液体の液位(液面)を検知しやすくなる。そこで、
図19に例示するように、片方の電極の長さを長くした場合、長い方の電極に液体が触れた液位を第一液位とし、短い方の電極に液が触れた水位を第二液位とする。そして、制御部100bにおいて、第二液位を超えたか否かを検知すれば、第一貯液タンク43内の液体の液位(液面)が基準液位に到達している否かを判断できる。
【0141】
本実施形態のように異なる長さの電極を複数用いて第一液位センサ43aを構成することで、第一液位センサ43aにより第一貯液タンク43内の貯液量(液位)が基準液位に到達するまでの貯液量の変化を正確に把握することが可能となる。それにより、液体供給ポンプ92による第二貯液タンク91から第一貯液タンク43への液体の供給制御を精度よく行うことが可能となる。
【0142】
また、
図20に例示するように、第一液位センサ43aを構成する一対の電極を、第一貯液タンク43内の液体(液面)に対して傾斜した状態で設ける。
図20の配置例の場合は、低い位置(液体に近い位置)に配置される電極に液体が触れた液位を第一液位とし、高い位置(液体から遠い位置)に配置される電極に液体が触れた液位を第二液位とする。そして制御部100bにおいて、第二液位を超えたか否かを検知すれば、第一貯液タンク43内の液体の液位(液面)が基準液位に到達している否かを判断できる。
【0143】
このように、第一貯液タンク43内の液体(液面)に対して一対の電極を斜めに配置すると、電極の長さが同じであっても、第一貯液タンク43内の液体の液位(液面)の検知精度を向上できる。この場合、一対の電極は共通の物を用いることができるので(一対の電極を両方短いものにすることができるので)、
図19に例示した電極の長さが異なる第一液位センサ43aに比べて部品コストを低減することができる。
【0144】
また、上述において、後処理装置3の制御部100bは、
図1に示すように、画像形成装置2の制御部100aとは別個に設けられる形態について説明したが、このような形態に限定されない。例えば、
図30(A)に示すように、後処理装置3の制御部100bを画像形成装置2側に設けてもよい。さらに、
図30(B)に示すように、後処理装置3の制御部100bを画像形成装置2の制御部100aと一体的に構成してもよい。
【0145】
また、
図31(A)に示すように、後処理装置3の制御部100bを機能別に制御部100b1(例えば駆動部系(モータ等))と制御部100b2(検知部系(センサー等))に分割し、一方の後処理装置3の制御部100b2のみを画像形成装置2側に設けてもよい。さらに、
図31(B)に示すように、画像形成装置2側に設けられた後処理装置3の制御部100b2を画像形成装置2の制御部100aと一体的に構成してもよい。
【0146】
[後処理装置3の別の実施形態]
次に、
図21~
図29を参照して、別の実施形態に係る後処理装置3Aを説明する。なお、本実施形態と共通の構成要素には同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略することがある。
【0147】
別の実施形態に係る後処理装置3Aの端綴じ処理部251は、液体付与手段131と圧着手段32が併設された本実施形態に係る後処理装置3の端綴じ処理部25とは異なり、圧着手段32´のみを備え、液体付与手段131を搬送路の上流側に設けている。これにより、液体付与処理後に所定枚数の用紙Pをプレスタックして、下流側に設けられた端綴じ処理部251の圧着手段32´へ搬送することができるので、圧着手段32´での綴じ処理の生産性を向上させることが可能となる。
【0148】
また、搬送ローラ対10、11、14が用紙Pを搬送する方向は、上述で定義した「搬送方向」とは、逆方向であるため、「逆搬送方向」と定義する。また、逆搬送方向及び用紙Pの厚み方向に直交する方向を、「主走査方向(用紙Pの幅方向)」と定義する。また、液体付与手段131によって用紙P又は用紙束Pbに液体付与が行われる位置(液体付与位置)は、圧着手段32´が用紙束Pbに対して圧着綴じを行う予定である綴じ位置に対応する。よって、以下において液体付与位置と綴じ位置には同一符号(B1)を付して説明する。
【0149】
図21は、別の実施形態に係る後処理装置3Aの内部構造を示す図である。端綴じ処理部251は、
図22に示すように、圧着手段32´のみを備えている。
図21に示すように、圧着手段32´及び針綴じ処理部156は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。また、圧着手段32´及び針綴じ処理部156は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの搬送方向の下流側の端部に対面し得る位置において、主走査方向に移動可能に構成されている。
【0150】
さらに、圧着手段32´及び針綴じ処理部156は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの厚み方向に延びる圧着手段回転軸340及び針綴じ手段回転軸84を中心に正逆方向に回転可能に構成されている。すなわち、圧着手段32´及び針綴じ処理部156は、コーナー斜め綴じ、平行一箇所綴じ、平行二箇所綴じなどのように、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの主走査方向の任意の位置を、任意の角度で綴じることができる。
【0151】
また、圧着手段32´は、凹凸状の上圧着歯32a、及び下圧着歯32bで用紙束Pbを加圧変形させることによって、用紙束Pbを綴じる(以下、「圧着綴じ」と表記する。)。一方、針綴じ処理部156は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの綴じ位置に綴じ針を貫通させることによって、当該用紙束Pbを針綴じすることができる。
【0152】
図22は、内部トレイ22を用紙束Pbの厚み方向から見た模式図である。
図23は、圧着手段32´を搬送方向の下流側から見た模式図である。
図22に示すように、圧着手段32´及び針綴じ処理部156は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。圧着手段32´は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの表面に沿って主走査方向に移動可能に構成されている。そして圧着手段32´は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの厚み方向に延びる圧着手段回転軸340を中心として、正逆方向に回転可能に構成されている。
【0153】
また、針綴じ処理部156についても同様に、用紙束Pbの主走査方向に移動可能で、且つ用紙束Pbの厚み方向に延びる針綴じ手段回転軸84を中心として、正逆方向に回転可能に構成されている。なお、針綴じ処理部156のその他の構成は、第一実施形態に係る後処理装置3の第二綴じ処理部55(
図6参照)と同様なので詳細な説明は省略する。
【0154】
圧着手段32´は、
図23に示すように、内部トレイ22より搬送方向の下流側には、ガイドレール337が主走査方向に延設されている。圧着手段32´は、圧着手段移動モータ238の駆動力が、プーリ240a、240b及びタイミングベルト240cを備える駆動伝達機構240により伝達されることによって、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの表面(換言すれば、ガイドレール337)に沿って、主走査方向に移動する。さらに、圧着手段32´の構成品を保持する圧着フレーム32cは、その底面に駆動伝達ギヤ340aを備えた圧着手段回転軸340が固定されている。
【0155】
圧着手段回転軸340及び駆動伝達ギヤ340aは、圧着フレーム32cが設けられるベース部材48に正逆方向に回転可能に保持されている。また、駆動伝達ギヤ340aは、圧着手段回動モータ239の出力ギヤ239aと噛み合っている。そして、圧着手段32´は、圧着手段回動モータ239の駆動力が、出力ギヤ239a及び駆動伝達ギヤ340aを介して圧着手段回転軸340に伝達されることによって、内部トレイ22に載置された用紙Pの厚み方向に延びる圧着手段回転軸340を中心として、ベース部材48上で正逆方向に回転する。ガイドレール337、圧着手段移動モータ238、圧着手段回動モータ239、圧着手段回転軸340、及び駆動伝達機構240は、圧着手段32´の駆動機構の一例を構成する。
【0156】
圧着手段32´は、
図22(A)に示す待機位置HP2と、
図22(B)及び
図22(C)に示す綴じ位置B1に対面する位置とに移動可能に構成されている。待機位置HP2は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbから主走査方向の一方側に外れた位置である。綴じ位置B1は、内部トレイ22に載置された用紙束Pb上の位置である。但し、綴じ位置B1の具体的な位置は、
図22の例に限定されず、用紙Pの搬送方向の下流側の端部における主走査方向の任意の位置で、かつ複数であってもよい。
【0157】
また、圧着手段32´は、
図22(B)に示す平行綴じ姿勢と、
図22(C)に示す斜め綴じ姿勢とに姿勢変化する。つまり、圧着手段32´は、圧着手段回転軸340を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。ここで、平行綴じ姿勢とは、上圧着歯32a及び下圧着歯32b(換言すれば、長方形の圧着綴じ痕)の長手方向が主走査方向を向く圧着手段32´の姿勢である。また、斜め綴じ姿勢とは、上圧着歯32a及び下圧着歯32b(換言すれば、長方形の圧着綴じ痕)の長手方向が主走査方向に対して傾いた圧着手段32´の姿勢である。
【0158】
なお、斜め綴じ姿勢における回動角度(主走査方向に対する上圧着歯32a及び下圧着歯32bの角度)は、
図22(C)の例に限定されず、内部トレイ22に載置された用紙束Pbに上圧着歯32a及び下圧着歯32bが対面していれば、任意の角度でよい。
【0159】
後処理装置3Aは、液体付与手段131と、パンチ孔穿設手段132(処理部)とを備える。液体付与手段131及びパンチ孔穿設手段132は、内部トレイ22より逆搬送方向の上流側に配置されている。また、液体付与手段131及びパンチ孔穿設手段132は、搬送ローラ対10~19によって搬送される1枚の用紙Pに同時に対面し得る位置において、逆搬送方向にずれて配置されている。
【0160】
本実施形態に係る液体付与手段131及びパンチ孔穿設手段132は、搬送ローラ対10、11の間に配置されている。但し、液体付与手段131の配置は、
図21の例に限定されない。例えば、
図29に示すように画像形成装置2と後処理装置3Aの間にインサーター6が配置されている場合は、液体付与手段131を後処理装置3Aの上流側に位置するインサーター6内に設けることもできる。インサーター6としては、画像形成装置2から搬送された用紙Pとともに後処理装置3Aに搬送するプレプリント媒体を、表紙、挿入紙または仕切紙として、画像形成装置2を通さずに給紙することができる装置が挙げられる。
【0161】
また、搬送ローラ対11は、
図24(A)に示すように、液体付与手段131の液体付与ヘッド146により液体が付与された用紙Pの液体付与位置B1と主走査方向において重ならない位置に配置されている。これは、搬送ローラ対11が用紙Pを搬送する際に、複数のローラ対が、液体付与位置B1を押圧することにより液体付与位置B1の液量が減少することを防止するためである。その結果、用紙Pが、液体付与手段131よりも逆搬送方向の下流側に設けられた圧着手段32´に到達した時点で、液体付与位置B1の液量は、綴じ強度を維持するのに必要な液量を確保できているので、搬送過程で液体付与位置B1(綴じ位置B1に相当)の液量が減少することによる用紙束Pbの綴じ強度の低下を防止することができる。
【0162】
更に、搬送ローラ対11を構成する複数のローラ対を、用紙Pの液体付与位置B1と主走査方向において重ならない位置に配置することにより、複数のローラ対に液体が付着して用紙Pの搬送性が悪化することや、搬送性の悪化が原因で生じる搬送ジャムを防止することができる。
【0163】
なお、以上では搬送ローラ対11についてのみ説明したが、搬送ローラ対14~15を構成する複数のローラ対も同様に、用紙Pの液体付与位置B1と主走査方向において重ならない位置に配置することが好ましい。
【0164】
液体付与手段131は、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pに液体を付与(以下、「液体付与」と表記する。)する。パンチ孔穿設手段132は、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pに、厚み方向に貫通するパンチ孔を穿つ。なお、液体付与手段131に近接して設けられる処理部は、パンチ孔穿設手段132に限定されず、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pの傾き(スキュー)を補正する傾き補正部でもよい。
【0165】
図24は、別の実施形態に係る液体付与手段131を用紙Pの厚み方向から見た図である。
図25は、
図24のXXV-XXVにおける断面図である。
図26は、
図24のXXVI-XXVIにおける断面図である。
図24~
図26に示すように、液体付与手段131は、一対のガイド軸133a、133bと、一対のプーリ134a、134bと、無端環状ベルト135、136と、液体付与手段移動モータ137と、待機位置センサ138と、液体付与ユニット140とを備える。
【0166】
一対のガイド軸133a、133bは、逆搬送方向に離間した位置において、各々が主走査方向に延設されている。また、一対のガイド軸133a、133bは、後処理装置3Aの一対の側板4a、4bに支持されている。そして、一対のガイド軸133a、133bは、液体付与ユニット140を主走査方向に移動可能に支持する。
【0167】
一対のプーリ134a、134bは、逆搬送方向における一対のガイド軸133a、133bの間に配置されている。また、一対のプーリ134a、134bは、主走査方向に離間して配置されている。さらに、一対のプーリ134a、134bは、用紙Pの厚み方向に延びる回転軸線回りに回転可能に、後処理装置3Aのフレームに支持されている。
【0168】
無端環状ベルト135は、一対のプーリ134a、134bに掛け渡されている。また、無端環状ベルト135には、接続部135aによって液体付与ユニット140に接続されている。無端環状ベルト136は、プーリ134aと液体付与手段移動モータ137の出力軸に固定された駆動プーリ137aとに掛け渡されている。液体付与手段移動モータ137は、液体付与ユニット140を主走査方向に移動させるための駆動力を発生させる。
【0169】
液体付与手段移動モータ137が回転することによって、プーリ134a及び駆動プーリ137aの間を無端環状ベルト136が周回し、プーリ134aを回転させる。また、プーリ134aが回転することによって、一対のプーリ134a、134bの間を無端環状ベルト135が周回する。これにより、液体付与ユニット140は、一対のガイド軸133a、133bに沿って主走査方向に移動する。また、液体付与手段移動モータ137の回転方向を切り替えることによって、液体付与ユニット140は、主走査方向に往復移動する。
【0170】
待機位置センサ138は、液体付与ユニット140が主走査方向の待機位置HP1(
図24参照)に到達したことを検知し、検知結果を示す待機位置信号を後述する制御部100b(
図27参照)に出力する。待機位置センサ138は、例えば、発光部及び受光部を備える光学センサである。そして、待機位置の液体付与ユニット140は、発光部及び受光部の間の光路を遮断する。そして、待機位置センサ138は、発光部から出力された光が受光部で受光されないことに応じて、待機位置信号を出力する。但し、待機位置センサ138の具体的な構成は、前述の例に限定されない。
【0171】
図25に示すように、後処理装置3A内の搬送路は、用紙Pの厚み方向に離間して配置された上ガイド板5a及び下ガイド板5bによって画定される。そして、液体付与ユニット140は、上ガイド板5aに設けられた開口に対面する位置に配置されている。すなわち、液体付与ユニット140は、上ガイド板5aの開口を通じて搬送路(すなわち、用紙Pに対面し得る位置)に対面して配置されている。
【0172】
図24~
図26に示すように、液体付与ユニット140は、ベース部材141と、回転ブラケット142と、貯液タンク143と、液体付与ヘッド移動手段144と、保持部材145と、液体付与ヘッド146と、柱状部材147a、147bと、押圧板148と、コイルバネ149a、149bと、付与ヘッド回動モータ150と、付与ヘッド移動モータ151(
図27参照)と、待機角度センサ152(
図27参照)とを備える。
【0173】
ベース部材141は、主走査方向にスライド可能に一対のガイド軸133a、133bに支持されている。また、ベース部材141は、接続部135aによって無端環状ベルト135に接続されている。さらに、ベース部材141は、液体付与ユニット140の構成部品142~152を支持している。
【0174】
回転ブラケット142は、用紙Pの厚み方向に延びる回転軸回りに正逆方向に回転可能にベース部材141の下面に取り付けられている。また、回転ブラケット142は、付与ヘッド回動モータ150の駆動力が伝達されることによって、ベース部材141に対して正逆方向に回転する。さらに、回転ブラケット142は、貯液タンク143、液体付与ヘッド移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bを支持している。
【0175】
待機角度センサ152(
図27参照)は、回転ブラケット142が待機角度に到達したことを検知し、検知結果を示す待機角度信号を制御部100bに出力する。待機角度とは、例えば、平行綴じするときの角度である。待機角度センサ152は、例えば、発光部及び受光部を備える光学センサである。そして、待機角度の回転ブラケット142は、発光部及び受光部の間の光路を遮断する。そして、待機角度センサ152は、発光部から出力された光が受光部で受光されないことに応じて、待機角度信号を出力する。但し、待機角度センサ152の具体的な構成は、前述の例に限定されない。
【0176】
なお、
図24(A)に示した回転ブラケット142は、液体付与手段131より下流側の圧着手段32´が平行綴じする際の状態を示している。また、
図24(B)に示した回転ブラケット142は、液体付与手段131より下流側の圧着手段32´が斜め綴じ(角綴じ)する際の状態を示している。
【0177】
貯液タンク143は、用紙Pに付与するための液体を貯留する。液体付与ヘッド移動手段144は、用紙Pの厚み方向に移動(例えば昇降)可能に貯液タンク143に取り付けられている。また、液体付与ヘッド移動手段144は、付与ヘッド移動モータ151の駆動力が伝達されることによって、貯液タンク143に対して移動する。保持部材145は、液体付与ヘッド移動手段144の下端に取り付けられている。液体付与ヘッド146は、保持部材145から搬送路に向けて(本実施形態では、下方)に突出している。また、液体付与ヘッド146には、貯液タンク143に貯留された液体が供給される。さらに、液体付与ヘッド146は、吸液率の高い材料(例えば、スポンジ、繊維)で構成されている。
【0178】
柱状部材147a、147bは、液体付与ヘッド146の周囲において、保持部材145から下方に突出している。また、柱状部材147a、147bは、保持部材145に対して厚み方向に相対移動可能に構成されている。さらに、柱状部材147a、147bは、下端で押圧板148を保持している。押圧板148には、液体付与ヘッド146に対面する位置に貫通口148aが形成されている。コイルバネ149a、149bは、保持部材145と押圧板148との間において、柱状部材147a、147bに外挿されている。そして、コイルバネ149a、149bは、柱状部材147a、147b及び押圧板148を、保持部材145から離間する方向に向かって付勢する。
【0179】
図25(A)及び
図26(A)に示すように、上ガイド板5aの開口に対面する位置に用紙Pが搬送される前の段階では、押圧板148は開口の位置又は開口より上方に位置している。次に、搬送ローラ対10、11によって搬送された用紙Pの液体付与位置B1が開口に対面する位置で停止すると、付与ヘッド移動モータ151を第一の方向に回転させる。これにより、液体付与ヘッド移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bが一体となって下降して、押圧板148が用紙Pに当接する。なお、液体付与位置B1とは、端綴じ処理部251(すなわち圧着手段32´)によって圧着綴じされる予定の位置(すなわち、綴じ位置B1)である。
【0180】
そして、押圧板148が用紙Pに当接した後も付与ヘッド移動モータ151を第一の方向に回転させることによって、コイルバネ149a、149bが圧縮されて、液体付与ヘッド移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、及び柱状部材147a、147bがさらに下降する。そして、
図25(B)及び
図26(B)に示すように、液体付与ヘッド146の下面が貫通口148aを通じて用紙Pに当接する。その結果、液体付与ヘッド146に含まれる液体が用紙Pに付与される。
【0181】
さらに、
図25(C)及び
図26(C)に示すように、付与ヘッド移動モータ151をさらに第1方向に回転させることによって、液体付与ヘッド146を用紙Pにさらに強く押し付けることができる。これにより、用紙Pに対する液体付与量が増加する。すなわち、液体付与手段131は、用紙Pに対する液体付与ヘッド146の押し付け力を変更することによって、液体付与量を調整することができる。
【0182】
一方、付与ヘッド移動モータ151を第一の方向と逆向きの第二の方向に回転させることによって、液体付与ヘッド移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bが一体となって上昇する。これにより、
図25(A)及び
図26(A)に示すように、液体付与ヘッド146及び押圧板148が用紙Pから離間する。すなわち、液体付与手段131は、用紙Pに切離可能な液体付与ヘッド146を備える。
【0183】
図27は、別の実施形態に係る後処理装置3Aの動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図である。
図27に示すように、後処理装置3Aは、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、及びI/F105が共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0184】
CPU101は演算手段であり、後処理装置3A全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0185】
後処理装置3Aは、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置3Aの種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置3Aに搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置3Aの機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101、RAM102、ROM103、HDD104及びI/F105は、後処理装置3Aの動作を制御する制御部100b(制御手段)を構成する。
【0186】
I/F105は、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、サイドフェンス24L、24R、圧着手段移動モータ238、圧着手段回動モータ239、接離モータ32d、液体付与手段移動モータ137、付与ヘッド回動モータ150、付与ヘッド移動モータ151、待機位置センサ138、待機角度センサ152、パンチ孔穿設手段132、及び操作パネル110を、共通バス109に接続するインタフェースである。
【0187】
制御部100bは、I/F105を通じて、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、サイドフェンス24L、24R、圧着手段移動モータ238、圧着手段回動モータ239、接離モータ32d、液体付与手段移動モータ137、付与ヘッド回動モータ150、付与ヘッド移動モータ151、及びパンチ孔穿設手段132の動作を制御する。
【0188】
また、制御部100bは、I/F105を通じて、待機位置センサ138、待機角度センサ152からの検知結果を取得する。なお、
図27には主に端綴じ処理を実行する端綴じ処理部251(圧着手段32´)及び液体付与手段131の構成部品を図示しているが、中綴じ処理を実行する構成部品も同様に制御部100bによって制御される。
【0189】
図29に示すように、画像形成装置2は、操作パネル110を備えている。操作パネル110は、ユーザからの入力操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてユーザから情報を取得し、ディスプレイを通じてユーザに情報を提供する。また、後処理装置3Aに上記と同様の操作パネル110を備えるようにしてもよい。
【0190】
図28は、別の実施形態に係る後処理装置3Aの後処理のフローチャートである。具体的には、
図22に示す一箇所綴じを実行する際のフローチャートである。
【0191】
制御部100bは、例えば、画像形成装置2から後処理の実行指示(以下、「後処理指示」と表記する。)を取得したことに応じて、
図28に示す後処理を実行する。後処理指示は、例えば、用紙束Pbを構成する用紙Pの数(以下、「所定枚数Np」と表記する。)と、綴じ処理を施すべき用紙束Pbの数(以下、「必要部数Mp」と表記する。)と、綴じ位置B1(液体付与位置B1に相当)と、綴じ位置B1の角度(液体付与位置B1の角度に相当)と、綴じ処理の種類(平行綴じ処理、斜め綴じ処理)と、液体付与処理と並行して実行される処理(本実施形態では、パンチ孔の穿設)とを含む。なお、後処理の開始時点において、液体付与ユニット140は待機位置HP1(
図24参照)に位置し、回転ブラケット142は待機角度(「平行綴じ姿勢」に相当)に保持されているものとする。
【0192】
まず、制御部100bは、液体付与手段移動モータ137を駆動することによって、液体付与ユニット140(液体付与手段に相当)を主走査方向に移動させることで、液体付与ヘッド146を待機位置HP1から液体付与位置B1(
図24(B)参照。
図22の綴じ位置B1に相当する位置)に対面し得る位置に移動させる。また、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「斜め綴じ処理」である場合は、制御部100bは、付与ヘッド回動モータ150を駆動し、回転ブラケット142を回転させることで、液体付与ヘッド146を待機角度から「斜め綴じ姿勢」に対応する液体付与角度に回転させる(S801)。液体付与ヘッド146が液体付与位置B1に対面し得る位置及び液体付与角度に達したことは、液体付与手段移動モータ137及び付与ヘッド回動モータ150のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。なお、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「平行綴じ処理」である場合は、制御部100bは、上述した回転ブラケット142を回転させる動作を省略する。すなわち、液体付与ユニット140は、回転ブラケット142を待機角度に保持したまま主走査方向に移動する。
【0193】
また、制御部100bは、圧着手段移動モータ238を駆動することによって、
図22(A)、
図22(B)に示すように、圧着手段32´を待機位置HP2から綴じ位置B1に対面し得る位置に移動させる(S801)。また、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「斜め綴じ処理」である場合は、制御部100bは、圧着手段回動モータ239を駆動することにより、圧着手段32´を待機角度から「斜め綴じ姿勢」に対応する圧着綴じ角度に回転させる(S801)。圧着手段32´が、綴じ位置B1に対面し得る位置、及び圧着綴じ角度に達したことは、圧着手段移動モータ238及び圧着手段回動モータ239のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。なお、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「平行綴じ処理」である場合は、制御部100bは、上述した圧着手段32´を回転させる動作を省略する。すなわち、圧着手段32´は、待機角度を保持したまま主走査方向に移動する。
【0194】
次に、制御部100bは、搬送ローラ対10、11を駆動することによって、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pの搬送を開始する(S802)。そして、制御部100bは、用紙Pの液体付与位置B1が液体付与ユニット140(より詳細には、液体付与ヘッド146)に対面した否かを判定する(S803)。用紙Pの液体付与位置B1が液体付与ユニット140に対面していないと判定した場合(S803:No)、制御部100bは、用紙Pの液体付与位置B1が液体付与ユニット140に対面するまで(S803:Yes)、搬送ローラ対10、11による用紙Pの搬送を継続する。一方、用紙Pの液体付与位置B1が液体付与ヘッド146に対面していると判定した場合(S803:Yes)、制御部100bは、搬送ローラ対10、11による用紙Pの搬送を停止する(S804)。用紙Pの液体付与位置B1が液体付与ヘッド146に対面したことは、搬送ローラ対10、11を駆動するモータのロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。
【0195】
制御部100bは、液体付与ユニット140によって用紙Pの液体付与位置B1に液体を付与する処理を実行する (S805)。より詳細には、制御部100bは、付与ヘッド移動モータ151を第1方向に回転させることによって、液体付与ヘッド146を用紙Pの液体付与位置B1に当接させる。また、制御部100bは、用紙Pに対する液体付与量に応じて、液体付与ヘッド146の押し付け力(すなわち、付与ヘッド移動モータ151の回転量)を変更する。
【0196】
用紙Pに対する液体付与量は、用紙束Pbを構成する全ての用紙Pに対して同一でもよいし、用紙P毎に異なっていてもよい。例えば、制御部100bは、後に搬送される用紙Pほど液体付与量を減少させてもよい。また、付与ヘッド移動モータ151の回転量は、付与ヘッド移動モータ151のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。
【0197】
次に、制御部100bは、搬送ローラ対10、11、14、15を駆動することによって、用紙Pを内部トレイ22に載置する(S806)。また、制御部100bは、サイドフェンス24L、24Rを移動させることによって、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える(所謂、ジョギング)処理を実行する(S806)。
【0198】
次に、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が、後処理指示で指示された所定枚数Npに達したか否かを判定する(S807)。そして、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数Npに達していないと判定した場合(S807:No)、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数Npに達するまで(S807:Yes)、ステップS802~S807の処理を繰り返し実行する。
【0199】
一方、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が前記所定枚数Npに達したと判定した場合(S807:Yes)、制御部100bは、圧着手段32´に、液体付与ユニット140によって液体を付与された用紙束Pbの綴じ位置B1(液体付与位置B1に相当)を圧着綴じさせる(S808)。さらに、制御部100bは、搬送ローラ対15を回転させることによって、圧着綴じされた用紙束Pbを排出トレイ26に排出する(S808)。
【0200】
次に、制御部100bは、排出トレイ26に排出された用紙束Pbの数が、後処理指示で示された必要部数Mpに達したか否かを判定する(S809)。制御部100bは、排出された用紙束Pbの数が必要部数Mpに達していないと判定した場合(S809:No)、排出された用紙束Pbの数が必要部数Mpに達するまで(S809:Yes)、ステップS802~S809の処理を繰り返し実行する。
【0201】
一方、制御部100bは、排出トレイ26に排出された用紙束Pbの数が、必要部数Mpに達したと判定した場合(S809:Yes)、液体付与手段移動モータ137を駆動して液体付与ユニット140を待機位置HP1(
図34参照)に移動させるとともに、圧着手段移動モータ238を駆動して圧着手段32´を待機位置HP2(
図32参照)に移動させる(S810)。また、後処理指示で指示された姿勢が「斜め綴じ姿勢」である場合に、制御部100bは、付与ヘッド回動モータ150及び圧着手段回動モータ239を駆動して、液体付与ユニット140及び圧着手段32´を平行綴じ姿勢(待機角度)に回転させる(S810)。一方、後処理指示で指示された姿勢が「平行綴じ姿勢」である場合は、液体付与ユニット140及び圧着手段32´を平行綴じ姿勢(待機角度)へ回転させる動作は省略される。なお、ステップS801、S810において、液体付与ユニット140及び圧着手段32´の主走査方向の移動及び正逆方向の回転の実行順序は、前述の順序に限定されず、逆順であってもよい。
【0202】
また、
図21に示した第二実施形態に係る後処理装置3Aの制御部100bについても、
図1と同様に、画像形成装置2の制御部100aとは別個に設けられる形態について説明したが、このような形態に限定されない。例えば、
図30(A)と同様に、後処理装置3Aの制御部100bを画像形成装置2側に設けてもよい。さらに、
図30(B)と同様に、後処理装置3Aの制御部100bを画像形成装置2の制御部100aと一体的に構成してもよい。
【0203】
また、
図31(A)と同様に、後処理装置3Aの制御部100bを機能別に制御部100b1(例えば駆動部系(モータ等))と制御部100b2(検知部系(センサー等))に分割し、一方の後処理装置3Aの制御部100b2を画像形成装置2側に設けてもよい。さらに、
図31(B)と同様に、画像形成装置2側に設けられた後処理装置3Aの制御部100b2を画像形成装置2の制御部100aと一体的に構成してもよい。
【0204】
なお、上記に説明した制御部100bによる制御方法は、すでに説明のとおり、コンピュータのハードウェア資源をとコンピュータソフトウェアとしてのプログラムとの協働により実現される。すなわち、制御方法は、プログラムに基づいて、演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置、及び、制御装置を協働して動作させて、コンピュータが実行する方法である。また、プログラムは、記憶装置、又は、記憶媒体等に書き込まれて配布、又は、電気通信回線等を通じて配布されてもよい。
【0205】
そして、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0206】
[本発明の態様]
本発明の内容は、例えば、以下のとおりである。
<1>少なくとも一枚の媒体の一部に液体付与をする液体付与手段と、
前記液体付与手段において前記液体付与をされた少なくとも一枚の前記媒体を含む媒体束に処理を施す後処理手段と
前記液体付与手段に設けられ、前記液体付与に用いられる液体を貯液可能な第一貯液部と、
前記第一貯液部に供給される前記液体を貯液可能な第二貯液部と、
前記第二貯液部から前記第一貯液部に前記液体を供給する液体供給手段と、
前記第一貯液部における前記液体を検知する第一液体検知手段と、
前記第一液体検知手段の検知結果に応じて前記液体供給手段の動作を制御する制御手段と、を備え、
前記液体付与手段は、前記第一貯液部に貯液されている前記液体に一部分が浸り、他の一部分が前記媒体に当接して前記液体付与をする吸液体を有する、
ことを特徴とする媒体処理装置である。
<2>前記吸液体は、連続気泡で形成された弾性樹脂からなり、毛細管現象によって前記液体を前記第一貯液部から吸い上げて、当該吸液体を当該液体によって満たし、前記液体付与をする、前記<1>に記載の媒体処理装置である。
<3>前記第一液体検知手段は、一対の電極が前記液体に接したときに通電するように、当該一対の電極に電圧が印加される電極センサである、前記<1>又は前記<2>に記載の媒体処理装置である。
<4>前記一対の電極のうち、一の電極が前記液体に接する第一液位は他の電極が当該液体に接する第二液位よりも低い、前記<3>に記載の媒体処理装置である。
<5>前記制御手段は、
前記第一液体検知手段が前記液体を検知しないときは、前記液体供給手段に前記液体を前記第二貯液部から前記第一貯液部へと供給させ、前記第一液体検知手段が前記液体を
検知したとき当該液体供給手段を停止させ、
当該液体供給手段の停止後に第一所定時間の経過を待ってから前記第一液体検知手段により前記液体を検知する、前記<1>乃至前記<4>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<6>前記制御手段は、第一所定時間が経過後に前記第一液体検知手段が前記液体を検知しないとき、前記液体供給手段を動作させて前記液体を前記第二貯液部から前記第一貯液部へと供給させ、当該液体供給手段の動作後に前記第一液体検知手段が前記液体を検知したとき当該液体供給手段を停止させ、
再度、前記第一所定時間の経過後に前記第一液体検知手段が前記液体を検知しないとき、前記液体供給手段を再度動作後に前記第一液体検知手段が第二所定時間の経過までに前記液体を検知しないときは異常通知を行う、前記<1>乃至前記<5>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<7>前記電極センサが備える一対の電極を構成する各々の電極は長さが異なる、前記<1>乃至前記<6>に記載の媒体処理装置である。
<8>前記電極センサは、一対の電極が前記液体の液面に対して傾斜して配置されている、前記<3>乃至前記<7>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<9>前記第二貯液部において前記液体を検知する第二液体検知手段を備え、
前記制御手段は、前記第二液体検知手段の出力に応じて前記第一液体検知手段における液体検知閾値を決定する、前記<1>乃至前記<8>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<10>前記制御手段は、前記第二貯液部に前記液体が補充されたときの前記第二液体検知手段の出力値に基づいて、前記第一液体検知手段における液体検知閾値を決定する、
前記<9>に記載の媒体処理装置である。
<11>前記制御手段は、前記第二貯液部に前記液体を補充した状態において前記第二液体検知手段の出力値が所定以下のとき、前記第二貯液部に補充された前記液体は、前記液体付与に使用できないことを通知する、前記<9>又は前記<10>記載の媒体処理装置である。
<12>前記液体付与手段、前記第一貯液部の少なくともいずれかの周囲温度を検出する温度検知手段を備え、
前記制御手段は、前記周囲温度の変化が所定の変動幅以上になったとき、前記第二液体検知手段の液体検知に基づいて前記第一液体検知手段における液体検知閾値を決定する、前記<9>乃至前記<11>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<13>前記後処理手段は、前記媒体束を加圧変形させて綴じる圧着手段である、前記<1>乃至前記<12>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<14>前記後処理手段は、前記媒体束に針状部材を貫通させて綴じる針綴じ手段である、前記<1>乃至前記<12>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<15>前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された複数の前記媒体に対し前記処理を施す前記<1>乃至前記<14>のいずれか一つに記載の媒体処理装置と、を備えることを特徴とする画像形成システムである。
<16> 媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された少なくとも一枚の媒体の一部に液体付与をする液体付与手段と、
前記液体付与手段において前記液体付与をされた少なくとも一枚の前記媒体を含む媒体束に処理を施す後処理手段と、
前記液体付与手段に設けられ、前記液体付与に用いられる液体を貯液可能な第一貯液部と、
前記第一貯液部に供給される前記液体を貯液可能な第二貯液部と、
前記第二貯液部から前記第一貯液部に前記液体を供給する液体供給手段と、
前記第一貯液部における前記液体を検知する第一液体検知手段と、
前記液体付与手段に備えられ、前記第一貯液部に貯液されている前記液体に一部分が浸り、他の一部分が前記媒体に当接して前記液体付与をする吸液体と、を備えた媒体処理装置と、
前記第一液体検知手段の検知結果に応じて前記液体供給手段の動作を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする画像形成システムである。
【符号の説明】
【0207】
1 :画像形成システム
2 :画像形成装置
3 :後処理装置
25 :端綴じ処理部
36 :第一液体付与機構
43 :第一貯液タンク
43a :第一液位センサ
45 :液体供給部材
451 :液体付与部材
452 :浸液部
45a :保護部材
55 :針綴じ処理部
61 :第二液体付与部移動機構
73 :第三貯液タンク
75 :第二液体供給部材
751 :第二液体付与部材
91 :第二貯液タンク
911 :給液弁
921 :第二貯液タンク固定部
922 :セット検知センサ
92 :液体供給ポンプ
93 :液体供給経路
94 :第二液位センサ
95 :温度センサ
100b :制御部
110 :操作パネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0208】