IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特開2024-99523マルチゾーンガス分配システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099523
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】マルチゾーンガス分配システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240718BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H01L21/302 101G
H01L21/31 C
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024053499
(22)【出願日】2024-03-28
(62)【分割の表示】P 2022048283の分割
【原出願日】2018-12-18
(31)【優先権主張番号】15/847,411
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シング, サーアヴジート
(72)【発明者】
【氏名】シャッツ, ケネス ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ツォ, アラン
(72)【発明者】
【氏名】ウィジェクーン, マーリン
(72)【発明者】
【氏名】キオウシス, ディミトリ
【テーマコード(参考)】
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
5F004AA01
5F004BA03
5F004BA04
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB28
5F004BC03
5F004CA06
5F004DA17
5F004DA24
5F004DB03
5F004DB07
5F045AA08
5F045AB32
5F045AB33
5F045AC12
5F045BB02
5F045DP03
5F045EF05
5F045EH14
5F045EH18
5F045EH20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】半導体処理動作中に均一なプラズマを生成するためか又は半導体処理チャンバの内部を処理するためのガス分配アセンブリを含む基板処理システム及び処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理システムにおいて、基板処理チャンバ1001は、第1、第2のマニホールドチャネル1015、1016を有するゾーン分配マニホールド1010を含む。第1のガスは第1のマニホールドチャネルを通って流れ、第2のガスは第2のマニホールドチャネルを通って流れる。基板処理チャンバはまた、ゾーン分配マニホールドに取り付けられ、第1のガスと第2のガスの間の任意の混合を防止する2つの分離した流れチャネルを内部に有するゾーン分配プレート1029を含み、ゾーン分配プレートは内側ゾーン膨張領域1017から第1のガスを受け取る内側ゾーンチャネル1018及び第2のマニホールドチャネルから第2のガスを受け取る外側ゾーンチャネル1019を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のマニホールドチャネル及び第2のマニホールドチャネルを有するゾーン分配マニホールド、
前記ゾーン分配マニホールドに取り付けられたゾーン分配プレートであって、前記第1のマニホールドチャネルから第1のガスを受け取るように構成された内側ゾーンチャネル、及び前記第2のマニホールドチャネルから第2のガスを受け取るように構成された外側ゾーンチャネルを有する、ゾーン分配プレート、
前記ゾーン分配プレートに取り付けられたゾーンブロッカプレートであって、前記内側ゾーンチャネルから前記第1のガスを受け取るように構成された上内側凹部、及び前記外側ゾーンチャネルから前記第2のガスを受け取るように構成された上外側凹部を有し、内側シャワーヘッド部分を通して前記上内側凹部に流体結合した下内側凹部を更に備え、外側シャワーヘッド部分を通して前記上外側凹部に流体結合した下外側凹部を更に備える、ゾーンブロッカプレート、並びに
プラズマ領域の中へ前記第1のガス及び前記第2のガスを通過させるように構成された貫通孔を有する、前記ゾーンブロッカプレートに取り付けられた面板を備える、基板処理システム。
【請求項2】
前記外側ゾーンチャネルが、前記ゾーン分配プレートの上部分内に形成された溝を備え、前記ゾーン分配プレートが、前記ゾーンブロッカプレートを中心とする円周に沿って均等に配置された複数の底孔を備え、前記溝が、開始点において前記第2のマニホールドチャネルから前記第2のガスを受け取るように構成され、前記開始点から前記溝に沿った前記複数の底孔のそれぞれまでの経路長さが、前記複数の底孔のそれぞれに対して同じである、請求項1の基板処理システム。
【請求項3】
前記ゾーン分配マニホールド、前記ゾーン分配プレート、及び前記ゾーンブロッカプレートが、前記第1のガスと前記第2のガスが前記プラズマ領域に入るまで混合しないように構成されている、請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項4】
前記面板に平行なシャワーヘッドであって、前記プラズマ領域が前記面板と前記シャワーヘッドとの間に配置されている、シャワーヘッドを更に備える、請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項5】
前記プラズマ領域が、前記面板と前記シャワーヘッドのそれぞれに境を接している、請求項4に記載の基板処理システム。
【請求項6】
前記プラズマ領域からみて前記シャワーヘッドの反対側において、前記シャワーヘッドに隣接した基板処理領域を更に備える、請求項4に記載の基板処理システム。
【請求項7】
前記プラズマ領域が、処理用の基板を収容するように構成された局所的プラズマ領域である、請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項8】
前記ゾーン分配プレートと前記ゾーンブロッカプレートが、ディスク形状を有し、同軸である、請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項9】
前記第1のマニホールドチャネルが、狭いチャネル部分、及び前記ゾーン分配プレートのより近くに配置された広いチャネル部分を備え、前記第1のマニホールドチャネルは、前記第1のガスが前記上内側凹部に入る前に膨張及び混合することを可能にするように構成され、前記狭いチャネル部分が第1の直径を有し、前記広いチャネル部分が第2の直径を有し、前記第2の直径が前記第1の直径より大きい、請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項10】
前記ゾーン分配プレートが、前記ゾーンブロッカプレートを中心とする円周に沿って均等に配置された複数の底孔を備える、請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項11】
アノードとカソードの間にRF電力を印加することであって、前記アノード及び前記カソードが平面的であり且つ平行で、プラズマ領域が、前記アノードと前記カソードの間に配置され、前記アノードと前記カソードが、それぞれ前記プラズマ領域に隣接している、RF電力を印加すること、
水素含有前駆体を前記プラズマ領域の中央へ流すことによって、水素含有プラズマを生成すること、
フッ素含有前駆体を前記プラズマ領域の中に更に流すことによって、水素・フッ素含有プラズマを生成することであって、前記水素含有前駆体と前記フッ素含有前駆体が、前記プラズマ領域内で混合する、水素・フッ素含有プラズマを生成すること、並びに
前記水素含有前駆体の前記プラズマ領域の中への流れを停止することによって、フッ素含有プラズマを生成することを含む、処理方法。
【請求項12】
前記処理方法が、基板、又は、基板処理チャンバの内面を処理する、請求項11に記載の処理方法。
【請求項13】
前記アノードが、面板又はシャワーヘッドであり、前記カソードが、前記シャワーヘッド又は前記面板であり、基板処理領域が、前記プラズマ領域からみて前記シャワーヘッドの反対側に配置されている、請求項11に記載の処理方法。
【請求項14】
前記アノードが、シャワーヘッド又は基板のペデスタルであり、前記カソードが、前記基板のペデスタル又は前記シャワーヘッドであり、基板処理領域が、前記アノードと前記カソードの間に配置され、前記アノードと前記カソードの両方に境を接している、請求項11に記載の処理方法。
【請求項15】
前記水素含有前駆体が、水素(H2)とアンモニア(NH3)のうちの一方であり、前記フッ素含有前駆体が、三フッ化窒素(NF3)である、請求項11に記載の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2017年12月19日に出願された米国仮特許出願第15/847,411号の利益を主張し、当該仮特許出願は、あらゆる目的のためにその全体が、参照によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
[0002] 本技術は、半導体製造向けの構成要素及び装置に関する。より具体的には、本技術は、ガス分配アセンブリ及び動作方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 集積回路は、基板表面上に複雑なパターンの材料層を形成するプロセスによって可能となる。基板上にパターニングされた材料を生成することは、材料を形成し除去するための制御された方法を必要とする。反応物質を励起するために使用されるプラズマの均一性は、最終製品に直接的な影響を与え得る。遠隔プラズマ内のプラズマの均一性の変動は、中央よりも基板の縁部の近くで高いエッチング又は堆積速度の領域をもたらし得る。また、その逆もあり得る。エッチングの均一性は、基板表面とシャワーヘッドとの間の間隔を調整することによって制御されてきたが、エッチングの速度も変化する。基板の表面に沿ったばらつきの程度に応じて、エッチングプロセスによって生成される不一致により、デバイスの不具合が生じ得る。
【0004】
[0004] 更に、プラズマの均一性は、フッ素及びその他の負に帯電した種(electronegative specie)の存在下において、殊に不安定性を示すことが分かってきた。負に帯電した種は、電子を放出しにくいため、対称性プラズマの維持がより困難である。基板の表面の周りで対称なプラズマによって、エッチングプロセスをより均一にすることができる。
【0005】
[0005] したがって、高品質デバイス及び構造体の製造に使用することができる、改善されたシステム及び方法が必要とされている。これらの必要性及びその他の必要性は、本技術によって対処される。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本技術は、半導体処理動作中に均一なプラズマを生成するための、又は半導体処理チャンバの内部を処理するための、改善されたガス分配設計を含む。従来のガス分配アセンブリが、次いでプラズマ領域の中に分配される特定の反応物質又は反応物質比を受け取り得る一方で、現在説明されている技術は、反応物質の入力分配の改善された制御を可能にする。本技術により、プラズマの異なる領域への反応物質の個別の流れが可能となり、プロセスの均一性で観察された任意の不規則性を相殺することができる。第1の前駆体が、基板/ペデスタルの中央の上方のプラズマの中央に分配され得る一方で、第2の前駆体が、基板/ペデスタルの外側部分の上方のプラズマの外側部分に分配されてよい。そうすることによって、改善された動作が実行され得る。というのも、ペデスタル上に載置された基板は、表面全体にわたりより均一なエッチング又は堆積プロファイルを受け得るからである。
【0007】
[0007] ある実施形態では、ゾーン分配マニホールドが、ゾーン分配プレートの2つの別々の領域に供給される前駆体向けの2つの別々のチャネルを有する。ゾーン分配プレートは、ゾーンブロッカプレートの内側部分に第1のガスを供給し、ゾーンブロッカプレートの外側部分に第2のガスを供給してよい。内側部分は、ゾーンブロッカプレート内の中央に内側シャワーヘッドを有してよい。内側シャワーヘッドは、円形であってよい。外側部分は、ゾーンブロッカプレートに中心を置いた外側シャワーヘッドを有してよく、内側シャワーヘッドの周りで環形状を有してよい。全ての要素が互いに取り付けられるように組み立てられたときに、第1のガスと第2のガスは、ゾーンブロッカプレートを通過するまで、分離されたままである。
【0008】
[0008] 本明細書で説明されるデバイスの利点には、局所的プラズマ又は遠隔プラズマの外側部分に分配されるガスと比較して、プラズマの中央に分配されるガスを調整する能力が含まれる。基板処理プラズマは、非常に薄いが未だ、洗浄手順のために、基板表面にわたり又は基板処理システムの内部の周りに均一な正味の効果を提供する必要がある。エッチング及び洗浄は、しばしば、フッ素含有前駆体などの高度に負に帯電した反応物質に依存する。フッ素は、そのような高度の電気陰性度(electronegativity)を有しているので、プラズマの均一性の問題を悪化させる。フッ素イオンは、非常に生成しにくいので、薄くて広いプラズマ領域全体でプラズマを維持するために利用可能な電子が不足している。つまり、一部の領域では、プラズマ領域の他の部分でプラズマの健全性を損なう電子破壊カスケードが維持される場合がある。本明細書で説明されるハードウェアは、プラズマをより均一にすることの利益を提供することができ、且つ/又はプラズマ領域にわたって(薄い寸法に垂直な寸法にわたって)プロセス(例えば、除去速度)をより均一にすることの利益を提供することができる。ある場合では、本明細書で説明されるハードウェアを使用して、プラズマ領域の片側に崩壊したであろう歪んだプラズマを回避することさえできる。したがって、本明細書で説明されるハードウェア及び方法を使用して、プラズマ制御の労力に利益を与え、更にプロセスをより均一にする同心プラズマを生成することができる。
【0009】
[0009] 開示されている実施形態は、基板処理システムを含む。基板処理システムは、第1のマニホールドチャネル及び第2のマニホールドチャネルを有するゾーン分配マニホールドを含む。基板処理システムは、ゾーン分配マニホールドに取り付けられたゾーン分配プレートを更に含む。ゾーン分配プレートは、第1のマニホールドチャネルから第1のガスを受け取るように構成された内側ゾーンチャネル、及び第2のマニホールドチャネルから第2のガスを受け取るように構成された外側ゾーンチャネルを有する。基板処理システムは、ゾーン分配プレートに取り付けられたゾーンブロッカプレートを更に含む。ゾーンブロッカプレートは、内側ゾーンチャネルから第1のガスを受け取るように構成された上内側凹部、及び外側ゾーンチャネルから第2のガスを受け取るように構成された上外側凹部を有する。ゾーンブロッカプレートは、内側シャワーヘッド部分を通して上内側凹部に流体結合した下内側凹部を更に含み、外側シャワーヘッド部分を通して上外側凹部に流体結合した下外側凹部を更に含む。基板処理システムは、第1のガスと第2のガスをプラズマ領域の中へ通過させるように構成された貫通孔を有する、ゾーンブロッカプレートに取り付けられた面板を更に含む。
【0010】
[0010] 外側ゾーンチャネルは、ゾーン分配プレートの上部分内に形成された溝を含んでよい。ゾーン分配プレートは、ゾーンブロッカプレートを中心とする円周に沿って均等に配置された複数の底孔を含んでよい。溝は、開始点において第2のマニホールドチャネルから第2のガスを受け取るように構成されてよい。開始点から溝に沿った複数の底孔のそれぞれまでの経路長さは、複数の底孔のそれぞれに対して同じであってよい。複数の底孔は、少なくとも8つの底孔を含んでよい。ゾーン分配マニホールド、ゾーン分配プレート、及びゾーンブロッカプレートは、第1のガスと第2のガスがプラズマ領域に入るまで混合しないように構成されてよい。基板処理システムは、面板に平行なシャワーヘッドを更に含んでよい。プラズマ領域は、面板とシャワーヘッドとの間に配置されてよい。プラズマ領域は、面板とシャワーヘッドのそれぞれに境を接してよい。基板処理システムは、プラズマ領域からみてシャワーヘッドの反対側において、シャワーヘッドに隣接した基板処理領域を更に含んでよい。プラズマ領域は、処理用の基板を収容するように構成された局所的プラズマ領域であってよい。ゾーン分配プレートとゾーンブロッカプレートは、ディスク形状を有してよく、同軸であってよい。第1のマニホールドチャネルは、狭いチャネル部分、及びゾーン分配プレートのより近くに配置された広いチャネル部分を含んでよい。狭いチャネル部分は、第1の直径を有し、広いチャネル部分は、第2の直径を有し、第2の直径は、第1の直径より大きい。第1のマニホールドチャネルは、第1のガスが、上内側凹部に入る前に膨張し混合することを可能にするように構成されてよい。
【0011】
[0011] 開示される実施形態は、処理方法を含む。該方法は、アノードとカソードの間にRF電力を印加することを含む。アノードとカソードは、平面的であり且つ平行で、プラズマ領域は、アノードとカソードの間に配置される。アノードとカソードは、それぞれ、プラズマ領域に隣接し又は境を接する。該方法は、水素含有前駆体をプラズマ領域の中央へ流すことによって、水素含有プラズマを生成することを含む。該方法は、フッ素含有前駆体をプラズマ領域の中に更に流すことによって、水素・フッ素含有プラズマを生成することを含む。水素含有前駆体とフッ素含有前駆体は、プラズマ領域内で先ず互いに遭遇し混合する。該方法は、水素含有前駆体のプラズマ領域の中への流れを停止することによって、フッ素含有プラズマを生成することを含む。
【0012】
[0012] 処理方法は、基板、又は基板処理チャンバの内部表面を処理してよい。アノードは、面板又はシャワーヘッドであってよく、カソードは、シャワーヘッド又は面板であってよい。基板処理領域は、プラズマ領域からみてシャワーヘッドの反対側に配置されてよい。別の一実施形態では、アノードが、シャワーヘッド又は基板のペデスタルであってよく、カソードが、基板のペデスタル又はシャワーヘッドであってよい。基板処理領域は、アノードとカソードの間に配置されてよい。基板処理領域は、アノードとカソードの両方に隣接し又は境を接してよい。アノード、カソード、及びプラズマ領域は、円形であってよい。水素含有前駆体は、水素(H2)とアンモニア(NH3)のうちの一方を含んでよい。フッ素含有前駆体は、三フッ化窒素(NF3)を含んでよい。
【0013】
[0013] 開示されている実施形態は、半導体処理システムを含む。半導体処理システムは、第1のマニホールドチャネル及び第2のマニホールドチャネルを有するゾーン分配マニホールドを含む。半導体処理システムは、ゾーン分配マニホールドに取り付けられたゾーン分配プレートを含む。ゾーン分配プレートは、第1のマニホールドチャネルから第1のガスを受け取るように構成された内側ゾーンチャネル、及び第2のマニホールドチャネルから第2のガスを受け取るように構成された外側ゾーンチャネルを有する。半導体処理システムは、ゾーン分配プレートに取り付けられたゾーンブロッカプレートを含む。ゾーンブロッカプレートは、内側ゾーンチャネルから第1のガスを受け取るように構成された中央貫通孔、及び外側ゾーンチャネルから第2のガスを受け取るように構成された上外側凹部を有する。ゾーンブロッカプレートは、外側シャワーヘッド部分を通して上外側凹部に流体結合した下外側凹部を更に含む。半導体処理システムは、ゾーンブロッカプレートに取り付けられた面板を更に含む。面板は、第2のガスをプラズマ領域の中へ通過させるように構成された貫通孔を有する。ゾーンブロッカプレートは、中央貫通孔から第1のガスを受け取り、第1のガスをプラズマ領域の中へ通過させるように構成された、中央面板孔を有する。
【0014】
[0014] ゾーン分配マニホールド、ゾーン分配プレート、及びゾーンブロッカプレートは、第1のガスと第2のガスがプラズマ領域に入るまで混合しないように構成されてよい。半導体処理システムは、面板に平行なシャワーヘッドを更に含んでよい。プラズマ領域は、面板とシャワーヘッドとの間に配置されてよい。プラズマ領域は、面板とシャワーヘッドのそれぞれに隣接してよい。半導体処理システムは、プラズマ領域からみてシャワーヘッドの反対側において、シャワーヘッドに隣接した基板処理領域を更に含んでよい。プラズマ領域は、処理用の基板を収容するように構成された局所的プラズマ領域であってよい。ゾーン分配プレートは、ゾーンブロッカプレートの中心を中心とする円周に沿って均等に配置された複数の底孔を含んでよい。ゾーン分配プレート及びゾーンブロッカプレートは、円形であってよく、同軸であってよい。
【0015】
[0015] 開示される実施形態は、プラズマ処理方法を含む。該方法は、アノードとカソードの間にRF電力を印加することによって、水素・フッ素含有プラズマを生成することを含む。水素含有前駆体とフッ素含有前駆体のそれぞれを含有するプラズマ領域は、アノードとカソードの間に配置される。アノードとカソードは、平面的であり且つ互いに平行である。該方法は、プラズマ領域から水素含有前駆体を除去することによって、フッ素含有プラズマを生成することを更に含む。
【0016】
アノードは、面板又はシャワーヘッドであってよく、カソードは、他の要素(シャワーヘッド又は面板)であってよい。基板処理領域は、プラズマ領域からみてシャワーヘッドの反対側に配置されてよい。別の一実施形態では、アノードが、シャワーヘッド又は基板のペデスタルであってよく、カソードが、基板のペデスタル又はシャワーヘッド(2つのうちの残っている要素)であってよい。基板処理領域は、アノードとカソードの間に配置されてよい。基板処理領域は、アノードとカソードの両方に隣接してよい。アノード、カソード、及びプラズマ領域は、円形であってよい。水素含有前駆体は、水素(H2)とアンモニア(NH3)のうちの少なくとも一方を含んでよい。フッ素含有前駆体は、三フッ化窒素(NF3)を含んでよい。
【0017】
[0016] 開示された技術の性質及び利点は、本明細書の残りの部分と図面を参照することによって更に理解を深めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】[0017] 本技術による、例示的な処理システムの上面図を示す。
図2A】[0018] 本技術の実施形態による、例示的な処理チャンバの概略断面図を示す。
図2B】[0019] 本技術の実施形態による、例示的なシャワーヘッドの詳細図を示す。
図3】[0020] 本技術の実施形態による、例示的なシャワーヘッドの底面図を示す。
図4】[0021] 本技術の実施形態による、例示的な基板処理システムの概略部分断面図を示す。
図5A】[0022] 本技術の実施形態による、例示的なブロッカプレートの概略部分断面図を示す。
図5B】[0023] 本技術の実施形態による、例示的なゾーンブロッカプレートの上面図を示す。
図5C】[0024] 本技術の実施形態による、例示的なゾーンブロッカプレートの底面図を示す。
図6A】[0025] 本技術の実施形態による、例示的なゾーン分配プレートの上面図を示す。
図6B】[0026] 本技術の実施形態による、例示的なゾーン分配プレートの底面図を示す。
図7】[0027] 本技術の実施形態による、ゾーン分配マニホールドの概略部分断面図を示す。
図8A】[0028] 本技術の実施形態による、例示的な基板処理システムの概略部分断面図を示す。
図8B】[0029] 本技術の実施形態による、例示的な基板処理システムの概略部分断面図を示す。
図9A】[0030] 本技術の実施形態による、例示的な基板処理システムの概略部分断面図を示す。
図9B】[0031] 本技術の実施形態による、例示的な基板処理システムの概略部分断面図を示す。
図9C】[0032] 本技術の実施形態による、例示的な基板処理システムの概略部分断面図を示す。
図9D】[0033] 本技術の実施形態による、例示的な基板処理システムの概略部分断面図を示す。
図9E】[0034] 本技術の実施形態による、例示的な基板処理システムの概略部分断面図を示す。
図10】[0035] 本技術の実施形態による、プラズマを生成する方法を示す。
図11】[0036] 本技術の実施形態による、プラズマを生成する方法を示す。
図12】[0037] 本技術の実施形態による、プロセス中の例示的なプラズマパラメータのプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0038] 幾つかの図面は、概略図として含まれている。図面は例示を目的としており、縮尺通りであると明記されていない限り、縮尺通りであるとみなしてはならないと理解するべきである。更に、概略図として、図面は、理解を助けるために提供されており、現実的な描写に比べて全ての態様又は情報を含まない場合があり、例示を目的として強調された素材を含むことがある。
【0020】
[0039] 添付の図面では、類似の構成要素及び/又は特徴が、同じ参照符号を有し得る。更に、同じ種類の様々な構成要素は、類似の構成要素間を区別する文字により、参照符号に従って区別することができる。本明細書において第1の参照符号のみが使用される場合、その記載は、文字に関わりなく、同じ第1の参照符号を有する類似の構成要素のうちの何れにも適用可能である。
【0021】
[0040] 本技術は、半導体処理動作中に均一なプラズマを生成するための、又は半導体処理チャンバの内部を処理するための、改善されたガス分配設計を含む。従来のガス分配アセンブリが、次いでプラズマ領域の中に分配される特定の反応物質又は反応物質比を受け取り得る一方で、現在説明されている技術は、反応物質の入力分配の改善された制御を可能にする。本技術により、プラズマの異なる領域への反応物質の個別の流れが可能となり、プロセスの均一性で観察された任意の不規則性を相殺することができる。第1の前駆体が、基板/ペデスタルの中央の上方のプラズマの中央に分配され得る一方で、第2の前駆体が、基板/ペデスタルの外側部分の上方のプラズマの外側部分に分配されてよい。そうすることによって、改善された動作が実行され得る。というのも、ペデスタル上に載置された基板は、表面全体にわたりより均一なエッチング又は堆積プロファイルを受け得るからである。これらの利点及び他の利点が、以下で詳しく説明されることとなる。
【0022】
[0041] 本明細書で説明されるデバイスの利点には、局所的プラズマ又は遠隔プラズマの中央から離れる又は縁部の近くのガスと比較して、プラズマの中央の近くのガスの濃度を調整する能力が含まれる。基板処理プラズマは、非常に薄く、プラズマの中に流れる圧倒的多数のガスが、フッ素などの高度に負に帯電した原子を含有するときに、殊に、維持することが難しい。プラズマを最初に生成させる助けとするために、しばしば、アルゴンが追加されるが、空間的な制約により、薄いプラズマ領域では、未だ、健全で安定した同心円状のプラズマが維持されない場合がある。アルゴンは重いので、スパッタリングは、基板処理チャンバの内部構成要素を不必要に損傷し、又はそれらの寿命を低減させ得る。ヘリウムが、プラズマの均一性を高めるために使用されるが、プラズマの初期的な打撃性(strikability)とその後の安定性は改善されない。正に帯電したフッ素イオンは、生成することが非常に困難であり、したがって、プラズマ中であっても電子の濃度が低く抑えられる。つまり、一分の領域では、プラズマ領域の他の部分でプラズマの健全性を損なう電子破壊カスケードが維持される場合がある。本明細書で説明されるハードウェアは、プラズマをより均一にすることの利益を提供することができ、且つ/又はプラズマ領域にわたって(薄い寸法に垂直な寸法にわたって)プロセス(例えば、除去速度)をより均一にすることの利益を提供することができる。ある場合では、本明細書で説明されるハードウェアを(本明細書で説明されるプロセスと共に)使用して、フッ素プラズマで観察された中心から外れた「崩壊した(collapsed)」プラズマを回避することさえできる。したがって、本明細書で説明されるハードウェア及び方法を使用して、プラズマ制御の労力に利益を与え、プロセスをより均一にする同心プラズマを生成することができる。
【0023】
[0042] 残りの開示内容は、開示した技術を利用する特定のエッチング処理を通常通りに特定するものであるが、システム及び方法は、記載されたチャンバで起こり得る堆積及び洗浄プロセスに対しても等しく適用可能であることは、容易に理解されよう。したがって、この技術は、エッチング処理のみに使用されるよう限定されるとみなすべきではない。本開示は、本技術の実施形態によるこのシステムに対する追加の変形及び調整が説明される前に、特定の除去動作を実行するために本技術と共に使用され得る、1つの可能なシステム及びチャンバについて説明することとなる。
【0024】
[0043] 図1は、実施形態による、堆積チャンバ、エッチングチャンバ、ベーキングチャンバ、及び硬化チャンバの処理システム100の一実施形態の上面図を示している。図面では、一対のFOUP(前面開口型統一ポッド)102により様々なサイズの基板が供給され、基板は、ロボットアーム104によって受け取られ、タンデムセクション109a~c内に位置決めされた、基板処理チャンバ108a~fのうちの1つの中に配置される前に、低圧保持エリア106の中に置かれる。第2のロボットアーム110を使用して、保持エリア106から基板処理チャンバ108a~fまで基板ウエハを搬送し、基板処理チャンバ108a~fから保持領域106まで戻すことができる。各基板処理チャンバ108a~fは、周期的層堆積(CLD)、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、エッチング、予洗浄、ガス抜き、方向付け、及び他の基板処理に加えて、本明細書に記載された乾式エッチングプロセスを含む数々の基板処理動作を実施するために装備され得る。
【0025】
[0044] 基板処理チャンバ108a~fは、基板ウエハ上で誘電膜を堆積し、アニールし、硬化し、及び/又はエッチングするための1以上のシステム構成要素を含んでよい。一構成において、2対の処理チャンバ(例えば、108c~d及び108e~f)が、誘電材料を基板上に堆積するために使用されてよく、第3の対の処理チャンバ(例えば、108a~b)が、堆積された誘電体をエッチングするために使用されてよい。別の一構成において、3対全てのチャンバ(例えば、108a‐f)が、基板上の誘電膜をエッチングするように構成されてよい。説明された処理のうちの任意の1以上を、種々の実施形態で示される製造システムから分離された(1以上の)チャンバ内で実行することができる。システム100において、誘電膜用の堆積チャンバ、エッチングチャンバ、アニールチャンバ、及び硬化チャンバの更なる構成が検討されていることを理解されたい。
【0026】
[0045] 図2Aは、処理チャンバ内で仕切られたプラズマ生成領域を有する例示的な処理チャンバシステム201の断面図を示している。膜(例えば、窒化チタン、窒化タンタル、タングステン、シリコン、ポリシリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸炭化ケイ素など)のエッチング中に、処理ガスが、ガス注入口アセンブリ205を通って第1のプラズマ領域215の中に流れ得る。遠隔プラズマシステム(RPS)202が、任意選択的にシステム内に含まれてよく、第1のガスを処理することがある。その後、第1のガスは、ガス注入口アセンブリ205を通って移動する。注入口アセンブリ205は、2つ以上の異なるガス供給チャネルを含むことができ、第2のチャネル(図示せず)は、含まれる場合、RPS202を迂回することができる。
【0027】
[0046] 冷却プレート203、面板217、イオンサプレッサ223、シャワーヘッド225、及び基板255が上部に配置された基板支持体265が、図示されており、それぞれは実施形態に従って含まれ得る。ペデスタル265は、基板の温度を制御するために熱交換流体が通過して流れる熱交換チャネルを有してよい。熱交換チャネルは、処理動作中に基板又はウエハを加熱及び/又は冷却するように操作されてよい。ペデスタル265のウエハ支持プラッタは、アルミニウム、セラミック、又はこれらの組み合わせを含んでよく、更に、組込型抵抗加熱要素を用いて、比較的高温(例えば、摂氏約100度以下から摂氏約1100以上まで)を実現するために抵抗加熱され得る。
【0028】
[0047] 面板217は、最上部が狭く、底部に向けて拡張して広くなっているピラミッド形、円錐形、又は同様の別の構造であってよい。更に、面板217は、図示したように平坦であってよく、処理ガスを分配するために使用される複数の貫通チャネルを含んでよい。プラズマ生成ガス及び/又はプラズマ励起種は、RPS202の使用に応じて、図2Bに示す面板217の複数の孔を通過してよく、第1のプラズマ領域215の中へより均一に分配され得る。
【0029】
[0048] 例示的な構成には、ガス注入口アセンブリ205が、面板217によって第1のプラズマ領域215から仕切られたガス供給領域258に開かれていることにより、ガス/種が、面板217内の孔を通って、第1のプラズマ領域215へ流れ込むことが含まれ得る。第1のプラズマ領域215から、供給領域258、ガス注入口アセンブリ205、及び流体供給システム210へのプラズマの大量逆流を防止するために、構造的及び動作的特徴が選択され得る。面板217(又はチャンバの導電性上部)とシャワーヘッド225は、それらの特徴の間に位置付けられた絶縁リング220を有するように示されており、それにより、シャワーヘッド225及び/又はイオンサプレッサ223に対して面板217にAC電位が印加されることが可能となる。絶縁リング220を、面板217とシャワーヘッド225及び/又はイオンサプレッサ223との間に位置決めすることができ、それにより、第1のプラズマ領域内で容量結合プラズマ(CCP)を生成することが可能となる。更に、バッフル(図示せず)が、第1のプラズマ領域215内に位置付けられてよく、又はさもなければガス注入口アセンブリ205に連結されてよく、ガス注入口アセンブリ205を通る領域の中への流体の流れに影響を与えることができる。
【0030】
[0049] イオンサプレッサ223は、構造体にわたって複数の開孔を画定するプレート又はその他の形状を含み得る。これらの孔は、非荷電中性種又はラジカル種が、イオンサプレッサ223を通過し、サプレッサとシャワーヘッドとの間の活性化されたガス供給領域の中に入ることを可能にしながら、第1のプラズマ領域215から出るイオン帯電種の移動を抑制するように構成されている。実施形態では、イオンサプレッサ223が、様々な開孔構成を有する孔開きプレートを備えてよい。これらの非荷電種には、開孔を通して反応性がより低いキャリアガスと共に搬送される非常に反応性の高い種が含まれ得る。上述したように、孔を通るイオン種の移動を減らすことができ、ある事例では、完全に抑えることができる。イオンサプレッサ223を通過するイオン種の量を制御することにより、有利なことに、下位のウエハ基板と接触させられる混合ガスに対する制御を向上させることができ、それにより、混合ガスの堆積特性及び/又はエッチング特性の制御を向上させることができる。例えば、混合ガスのイオン濃度における調整により、そのエッチング選択性(例えば、SiNx:SiOxエッチング比、Si:SiOxエッチング比など)を大幅に変更することができる。堆積が行われる代替的な実施形態では、誘電材料向けの共形~流動可能スタイルの堆積のバランスをシフトすることもできる。
【0031】
[0050] イオンサプレッサ223内の複数の開孔は、イオンサプレッサ223を通る活性ガス(すなわち、イオン種、ラジカル種、及び/又は中性種)の通過を制御するように構成されてよい。例えば、イオンサプレッサ223を通過する活性ガス内のイオン帯電種の流量を低減させるように、孔のアスペクト比(すなわち、孔の長さに対する直径)及び/又は孔の形状寸法を制御することができる。イオンサプレッサ223内の孔は、プラズマ励起領域215に対面するテーパ部と、シャワーヘッド225に対面する円筒部とを含んでよい。円筒部は、シャワーヘッド225へと通過するイオン種の流量を制御するように形作られ寸法決定されてよい。イオンサプレッサ223を通るイオン種の流量を制御するための追加手段として、調整可能な電気的バイアスをイオンサプレッサ223に印加してもよい。
【0032】
[0051] イオンサプレッサ223は、プラズマ生成領域から基板まで移動するイオン帯電種の量を減らすか、又はなくすように機能することができる。非荷電中性種及びラジカル種は、未だ、イオンサプレッサ内の開口部を通過して、基板と反応することができる。実施形態では、基板を取り囲んだ反応領域内のイオン帯電種の完全な除去が、実行されない場合があることに留意されたい。特定の事例では、イオン種が、エッチング及び/又は堆積プロセスを実行するために、基板に到達することが意図されている。これらの事例では、イオンサプレッサが、処理を支援する程度に、反応領域内のイオン種の濃度を制御する助けとなり得る。
【0033】
[0052] シャワーヘッド225は、イオンサプレッサ223との組み合わせにより、未だ、励起種がチャンバプラズマ領域215から基板処理領域233の中へ移動することを可能にしながら、第1のプラズマ領域215内に存在するプラズマが、基板処理領域233内のガスを直接的に励起することを回避するのを可能にする。このようにして、チャンバは、エッチングされている基板255にプラズマが接触することを防止するように構成され得る。これにより、有利なことに、基板上にパターニングされた様々な複雑な構造及び膜が保護される。これらの複雑な構造及び膜は、生成されたプラズマが直接接触すると、損傷、位置ずれ、又はさもなければ歪みが生じ得る。
【0034】
[0053] 複数の実施形態では、(シャワーヘッドであってよい)イオンサプレッサを使用して、ガス位相エッチング向けにラジカル種及び/又は中性種を供給することができる。イオンサプレッサは、イオン抑制素子とも称され得る。実施形態では、例えば、イオンサプレッサを使用して、遠隔プラズマ領域から基板処理領域への経路上でエッチングプラズマ放出物をフィルタする。イオンサプレッサを使用して、イオンよりラジカルの濃度が高い反応ガスを供給することができる。プラズマ放出物は、遠隔プラズマ領域と基板処理領域との間に配置されたイオンサプレッサを通過する。イオンサプレッサは、プラズマ生成領域から基板まで移動するイオン種を大幅に削減するか、又は実質的になくすように機能する。本明細書で説明されるイオンサプレッサは、本明細書で説明されるガス位相エッチングプロセス中の、基板処理領域内の低電子温度を実現するための単に一つの方法である。
【0035】
[0054] 複数の実施形態では、プラズマ放出物の電子温度を下げるために、電子ビームが、基板と平行な平面内で基板処理領域を通過する。電子ビームがこのやり方で印加される場合、より単純なシャワーヘッドが使用されてよい。複数の実施形態では、電子ビームが、基板の上方に配置された層状シートとして通過してよい。複数の実施形態では、電子ビームが、負の電荷を中性化する源を提供し、基板に向かう正に帯電したイオンの流量を低減させるためのより能動的な手段を提供し、エッチング選択性を向上させる。プラズマ放出物の流れ及び電子ビームの動作を支配する様々なパラメータを調整して、基板処理領域内で測定される電子温度を下げることができる。
【0036】
[0055] 遠隔プラズマにおけるプラズマ励起中に、基板処理領域内でラングミュア探針(Langmuir probe)を使用して電子温度が測定されてよい。電子温度は、0.5eV未満、0.45eV未満、0.4eV未満、又は0.35eV未満であってよい。電子温度のこの極めて低い値は、電子ビーム、シャワーヘッド、及び/又はイオンサプレッサの存在によって可能である。非荷電中性種及びラジカル種は、電子ビーム及び/又はイオンサプレッサ内の開口部を通過して、基板において反応し得る。ラジカル種及び他の中性種を用いるそのようなプロセスは、スパッタリング及びボンバードメントを含む従来のプラズマエッチングプロセスと比較して、プラズマ損傷を低減させることができる。本発明の実施形態はまた、液体の表面張力が、小さい特徴の曲げ及び剥離を引き起こすことがあり得る、従来の湿式エッチングプロセスより有利である。
【0037】
[0056] 基板処理領域は、本明細書で説明されるエッチングプロセス中において、本明細書で「プラズマフリー」であると説明され得る。「プラズマフリー」とは必ずしも、領域にプラズマがないということを意味するわけではない。プラズマ領域内で生成したイオン化種及び自由電子は、極めて低い密度で仕切り(シャワーヘッド)の孔(開孔)を通って移動し得る。チャンバプラズマ領域内のプラズマの境界は、シャワーヘッド内の開孔を通って基板処理領域にある程度進入する可能性がある。更に、本明細書で説明されるエッチングプロセスの望ましい特徴をなくすことなく、低強度のプラズマが、基板処理領域内で生成され得る。励起されたプラズマ放出物の生成中に、プラズマが、チャンバプラズマ領域よりもはるかに低強度のイオン密度を有する何れの原因も、本明細書で用いる「プラズマフリー」の範囲から逸脱しない。
【0038】
[0057] 処理システムは、処理チャンバに電気的に接続された電源240を更に含み得る。電源240は、第1のプラズマ領域215又は処理領域233内でプラズマを生成するために、面板217、イオンサプレッサ223、シャワーヘッド225、及び/又はペデスタル265に電力を供給する。電源は、実行されるプロセスに応じて、チャンバに調整可能な量の電力を供給するように構成され得る。このような構成により、調整可能なプラズマが、実行されているプロセスにおいて使用されることが可能となり得る。しばしば、オン又はオフ機能が提示される遠隔プラズマユニットとは異なり、調整可能なプラズマは、特定の量の電力をプラズマ領域215に供給するように構成され得る。この結果、特定のプラズマ特性の発達を可能にすることができ、それにより、特定のやり方で前駆体を解離して、これらの前駆体によって生成されるエッチングプロファイルを強化することができる。
【0039】
[0058] プラズマは、シャワーヘッド225の上方のチャンバプラズマ領域215、又はシャワーヘッド225の下方の基板処理領域233の何れかにおいて点火することができる。実施形態では、基板処理領域233内で生成されるプラズマが、電極として作用するペデスタルを用いて生成されたDCバイアスプラズマであってよい。例えば、フッ素含有前駆体又は他の前駆体の流入からラジカル前駆体を生成するために、プラズマがチャンバプラズマ領域215の中に存在し得る。通常は高周波(RF)範囲内のAC電圧が、面板217などの処理チャンバの導電性上部とシャワーヘッド225及び/又はイオンサプレッサ223との間に印加されてよく、堆積中にチャンバプラズマ領域215内でプラズマが点火される。RF電源は、13.56MHzの高RF周波数を発生させてよく、単独で又は13.56MHzの周波数との組み合わせで他の周波数を発生させることもできる。
【0040】
[0059] 図2Bは、面板217を通した処理ガスの分配に影響を与える特徴の詳細図253を示している。図2A及び図2Bに示すように、面板217、冷却プレート203、及びガス注入口アセンブリ205が、交差することにより、ガス供給領域258が画定される。ガス供給領域258の中には、ガス注入口205から処理ガスが供給され得る。ガスは、ガス供給領域258に充満して、面板217内の開孔259を通って、第1のプラズマ領域215まで流れることができる。開孔259は、流れを実質的に一方向へ導くように構成され得る。それにより、処理ガスは、処理領域233の中へ流れ得るが、面板217を横断した後で、ガス供給領域258内に逆流することは、部分的又は完全に防止され得る。
【0041】
[0060] 処理チャンバセクション201で使用されるシャワーヘッド225などのガス分配アセンブリは、デュアルチャネルシャワーヘッド(DCSH)と称されてよく、図3に記載された実施形態で更に詳しく説明される。デュアルチャネルシャワーヘッドは、処理領域233の外側でエッチング液の分離を可能にして、処理領域の中へ送る前に、チャンバ構成要素及び相互との限られた相互作用をもたらす、エッチング処理を提供することができる。
【0042】
[0061] シャワーヘッド225は、上側プレート214と下側プレート216とを含み得る。プレートを互いに連結させて、プレート間の容積218を画定することができる。プレートを連結することにより、上側プレートと下側プレートを通る第1の流体チャネル219と、下側プレート216を通る第2の流体チャネル221とを設けることができる。形成されたチャネルは、第2の流体チャネル221のみを介して、下側プレート216を通して容積218からの流体アクセスをもたらすように構成されてよく、第1の流体チャネル219は、(2つの)プレートの間の容積218と第2の流体チャネル221とから流体的に分離され得る。容積218は、ガス分配アセンブリ225の側部を通して流体的にアクセス可能であり得る。
【0043】
[0062] 図3は、実施形態による、処理チャンバと共に使用するためのシャワーヘッド325の底面図である。シャワーヘッド325は、図2Aに示されたシャワーヘッド225に相当し得る。第1の流体チャネル219のビューを示す貫通孔365は、シャワーヘッド225を通る前駆体の流れを制御して、その流れに影響を与えるために、複数の形状及び構成を有し得る。第2の流体チャネル221のビューを示す小さな孔375は、シャワーヘッドの表面上に、貫通孔365の間でさえも実質的に均等に分布する。他の構成に比べて、これらの小さな孔375は、前駆体がシャワーヘッドから流出する際に、より均一な混合をもたらす助けとなり得る。
【0044】
[0063] 図4は、本技術の実施形態による、例示的な基板処理システムの概略部分断面図を示している。基板処理チャンバ1001は、第1のマニホールドチャネル1015及び第2のマニホールドチャネル1016を有する、ゾーン分配マニホールド1010を含む。第1のガスは、第1のマニホールドチャネル1015を通って流れてよく、第2のガスは、第2のマニホールドチャネル1016を通って流れてよい。複数の実施形態では、第1のマニホールドチャネル1015と第2のマニホールドチャネル1016が、第1のガスと第2のガスがゾーン分配マニホールド1010内で共に混合することを防止するように分離されている。第1のガスは、より制約が強い第1のマニホールドチャネル1015から、より制約が弱い内側ゾーン膨張領域1017の中へ膨張し得る。
【0045】
[0064] 基板処理チャンバ1001は、ゾーン分配マニホールド1010に取り付けられ得る、ゾーン分配プレート1029を更に含んでよい。ゾーン分配プレート1029も、ゾーン分配プレート1029内で第1のガスと第2のガスの間の任意の混合を防止するための、2つの分離した流れチャネルを有する。ゾーン分配プレート1029は、内側ゾーン膨張領域1017から第1のガスを受け取るように構成された内側ゾーンチャネル1018を有する。ゾーン分配プレート1029は、第2のマニホールドチャネル1016から第2のガスを受け取るように構成された外側ゾーンチャネル1019を更に含む。ゾーン分配プレート1029とゾーン分配マニホールドが、(示されているように)組み立て中に互いに取り付けられると、シール(例えば、Oリング)が、第1のガスと第2のガスの間の分離を維持するために含まれ得る。
【0046】
[0065] 実施形態によれば、基板処理チャンバ1001は、ゾーン分配プレート1029に取り付けられ得る、ゾーンブロッカプレート1033を更に含んでよい。ゾーンブロッカプレート1033は、内側ゾーンチャネル1018から第1のガスを受け取るように構成された上内側凹部1035、外側ゾーンチャネル1019から第2のガスを受け取るように構成された上外側凹部1034を有する。ゾーンブロッカプレート1033は、内側シャワーヘッド部分1032を通して上内側凹部1035に流体結合した下内側凹部1037を更に含む。ゾーンブロッカプレート1033は、外側シャワーヘッド部分1031を通して上外側凹部1034に流体結合した下外側凹部1036を更に含み得る。基板処理チャンバ1001は、第1のガスと第2のガスをプラズマ領域の中へ通過させるように構成された貫通孔を有する、ゾーンブロッカプレート1033に取り付けられた面板1039を更に含み得る。上内側凹部1035は、(例えば、Oリングを使用して)ゾーン分配プレート1029に対して密封する分離壁1051‐1によって、上外側凹部1034から側方に密封される。下内側凹部1037は、(例えば、Oリングを使用して)面板1039に対して密封する分離壁1051‐2によって、下外側凹部1036から側方に密封される。このやり方で、第1のガスと第2のガスは、プラズマ領域1041に入るまで、互いと遭遇しない。実施形態によれば、ゾーン分配マニホールド1010、ゾーン分配プレート1029、及びゾーンブロッカプレート1033は、第1のガスと第2のガスがプラズマ領域1041に入るまで混合しないように構成されてよい。
【0047】
[0066] RFプラズマ電源1043によって、面板1039とシャワーヘッド1049との間に、プラズマ電力が印加される。プラズマは、第1のガスと第2のガスの混合から、プラズマ領域1041内で生成される。直前に説明されたハードウェアの技術的態様は、プラズマ領域1041の側方寸法を横断する第2のガスに対する第1のガスの比率の調整を可能にする。シャワーヘッド1049に対して面板1039に、RFプラズマ電源1043からのRF電力を印加することを可能にするために、電気的に絶縁するインサート1042が、面板1039とシャワーヘッド1049との間に配置されてよい。シャワーヘッド1049の下方で、且つ基板処理領域の範囲内で、壁1071が、基板支持ペデスタル1065によって支持された基板1055の周りに配置されてよい。
【0048】
[0067] シャワーヘッド1049は、面板1039がRF電圧にある一方で、接地に保持されてよい。別の一構成では、面板1039が、シャワーヘッド1049がRF電力を用いてプラズマを生成するためにRF電圧に保持されている一方で、接地されてよい。一般的に言うと、アノードは、カソードがRF電圧にある一方で、接地に保持される。複数の実施形態では、それぞれ、アノードが、面板1039(又はシャワーヘッド1049)であり、カソードが、シャワーヘッド1049(又は面板1039)である。基板処理領域は、プラズマ領域からみてシャワーヘッド1049の反対側に配置されてよく、シャワーヘッド1049に隣接してよい。直前で説明された構成は、プラズマが基板処理領域の内側ではないので、遠隔プラズマである。
【0049】
[0068] 実施形態によれば、本明細書で説明される方法及びハードウェアは、局所的プラズマ及び/又は局所的プラズマプロセスの均一性を改善するためにも使用されてよい。RFプラズマ電力は、基板支持ペデスタル1065に対して面板1039に、又は面板に対して基板支持ペデスタル1065に、RFプラズマ電源1043から印加されてよい。複数の実施形態では、局所的プラズマを生成するときに、シャワーヘッド1049が存在しない。局所的プラズマ構成では、それぞれ、アノードが、面板1039(又は基板支持ペデスタル1065)であり、カソードが、基板支持ペデスタル1065(又は面板1039)である。基板処理領域は、アノードとカソードの間に配置され、アノードとカソードの両方に境を接する。
【0050】
[0069] 実施形態によれば、ゾーン分配プレートとゾーンブロッカプレートは、円形であってよく、ディスク形状を有してよい。実施形態では、ゾーン分配プレートとゾーンブロッカプレートが、同軸であってよい。
【0051】
[0070] 図5Aは、本技術の実施形態による、例示的なブロッカプレートの概略部分断面図を示している。図5Bは、本技術の実施形態による、例示的なゾーンブロッカプレートの上面図を示している。図5Cは、本技術の実施形態による、例示的なゾーンブロッカプレートの底面図を示している。ゾーン分配プレート又は面板に取り付けられる前のゾーンブロッカプレート1133が描かれている。ゾーンブロッカプレート1133は、分離壁1151‐1によって分離された、上外側凹部1134と上内側凹部1135を有する。ゾーンブロッカプレート1133は、分離壁1151‐2によって分離された、下外側凹部1136と下内側凹部1137を更に有する。外側シャワーヘッド1160が、上外側凹部1134と下外側凹部1136の間に配置され、第2のガスを外側貫通孔1140を通して移動させるように構成されている。内側シャワーヘッド1161が、上内側凹部1135と下内側凹部1137の間に配置され、第1のガスを内側貫通孔1141を通して移動させるように構成されている。
【0052】
[0071] 実施形態によれば、内側シャワーヘッド1161は、円形であってよく、ゾーンブロッカプレート1133の中心を中心としてよい。実施形態では、外側シャワーヘッド1160が、図示されているように環状であってよく、内側シャワーヘッド1161及び/又はゾーンブロッカプレート1133の中心を中心としてよい。実施形態によれば、内側シャワーヘッド1161の面積に対する外側シャワーヘッド1160の面積の比が、プラズマ又はプロセスの均一性の利益となるように選択されてよく、貫通孔のサイズ及び密度は、外側シャワーヘッドと内側シャワーヘッドの両方にわたり一定であってよい。実施形態では、貫通孔の密度が、外側シャワーヘッドと内側シャワーヘッドに対して互いに異なってよい。実施形態によれば、内側シャワーヘッド内の貫通孔のサイズが、外側シャワーヘッド内の貫通孔とは異なってよい。
【0053】
[0072] 実施形態では、第1のガスが、内側シャワーヘッドを通して流されてよく、第2のガスが、外側シャワーヘッドを通して流されてよい。内側シャワーヘッドは、外側シャワーヘッドの面積の25%と75%の間、30%と70%の間、35%と65%の間、又は40%と60%の間であってよい。貫通孔の密度は、内側シャワーヘッドと外側シャワーヘッドに対して同じであってよい。実施形態によれば、内側シャワーヘッドの貫通孔のサイズも、外側シャワーヘッドの貫通孔のサイズと同じであってよい。分離壁及び外側フランジの面積は、面積の計算において含まれない。実施形態では、上Oリング1150‐1が任意選択的に使用されて、上外側凹部1134と上内側凹部1135の間の密封を改善することができる。同様に、実施形態では、組み立て時に、底Oリング1150‐2が任意選択的に使用されて、下外側凹部1136と下内側凹部1137の間の密封を改善することができる。内側シャワーヘッドと外側シャワーヘッドのサイズは、標準的なOリングのサイズの使用を容易にするように選択されてよい。外側シャワーヘッドの外径は、12インチの円形基板又はウエハを処理するために、約12インチ以上であってよい。実施形態によれば、内側シャワーヘッドは、4インチと10インチの間、5インチと9インチの間、又は6インチと8インチの間の直径を有してよい。実施形態では、外側シャワーヘッドが、4インチを超える、5インチを超える、6インチを超える、又は7インチを超える内径を有してよい。実施形態によれば、外側シャワーヘッドは、14インチ未満又は13インチ未満の外径を有してよい。(貫通孔の密度及び形状寸法が同じ場合)第1のガスの全流量は、内側シャワーヘッドの面積に近い外側シャワーヘッドの面積に対する第2のガスの流量と略同等であってよい。そのような設計から始めることによって、幾つかのプロセス向けの第2のガスに対する第1のガスの流量比の最適化を単純にすることができる。本明細書の次の説明には、他の種類のプロセスが導入されることとなる。
【0054】
[0073] 実施形態によれば、内側シャワーヘッドは、0.1mmと3mmの間、0.3mmと2mmの間、又は0.5mmと1.5mmの間の直径を有する貫通孔を有してよい。本明細書で与えられる直径は、貫通孔に沿って直径が変動する場合に、最も狭い直径を説明している。実施形態によれば、外側シャワーヘッドは、0.1mmと3mmの間、0.3mmと2mmの間、又は0.5mmと1.5mmの間の直径を有する貫通孔を有してよい。実施形態では、内側シャワーヘッドが、30と2,000の間の貫通孔、50と1,000の間の貫通孔、又は100と500の間の貫通孔を有してよい。実施形態によれば、外側シャワーヘッドは、30と2,000の間の貫通孔、50と1,000の間の貫通孔、又は100と500の間の貫通孔を有してよい。内側シャワーヘッド又は外側シャワーヘッドの何れかにおける貫通孔の密度の範囲は、対応するシャワーヘッドの寸法の範囲と併せて、貫通孔の総数の範囲を使用して計算され得る。実施形態では、内側シャワーヘッドが、全面積の0.1%と50%の間、0.2%と30%の間、0.5%と15%の間、又は1%と10%の間の開面積(open area)を有してよい。実施形態によれば、外側シャワーヘッドは、全面積の0.1%と50%の間、0.2%と30%の間、0.5%と15%の間、又は1%と10%の間の開面積(open area)を有してよい。
【0055】
[0074] 幾つかのプロセスは、比較的厚い環状外側シャワーヘッドによって取り囲まれた比較的小さい内側シャワーヘッドから利益を得ることが分かった。例示的なプロセスが、本明細書で提示されることとなる。第1のガス(中央ガス)は、その主成分が第2のガスである安定したプラズマを生成する助けとなり得る。実施形態では、第1のガスが、内側シャワーヘッドを通して流されてよく、第2のガスが、外側シャワーヘッドを通して流されてよい。内側シャワーヘッドは、外側シャワーヘッドの面積の25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、又は4%未満であってよい。実施形態によれば、内側シャワーヘッドの直径が、外側シャワーヘッドの直径の10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、又は5%未満であってよい。実施形態によれば、第1のガスは、単にゾーンブロッカプレートの中央における単一の貫通孔を通って流れてよい。外側シャワーヘッド内の貫通孔の寸法は、前述したようなものであってよい。実施形態では、内側シャワーヘッドが、存在する場合に、前述した寸法を有する貫通孔を所有してよい。実施形態によれば、代替的に、中央における単一の貫通孔が、0.1mmと3mmの間、0.3mmと2mmの間、0.5mmと1.5mm、又は3mm未満の直径を有してよい。実施形態では、中央における単一の貫通孔が、ゾーンブロッカプレートの下に配置された面板内の中央孔の直上に整列してよい。
【0056】
[0075] 実施形態によれば、外側上凹部の厚さが、1mmと5mmの間又は2mmと4mmの間であってよい。外側上凹部の厚さは、内側上凹部と略同じであってよい。実施形態では、内側上凹部が、1mmと5mmの間又は2mmと4mmの間の厚さを有してよい。実施形態によれば、外側下凹部の厚さが、1mmと5mmの間又は2mmと4mmの間であってよい。外側下凹部の厚さは、内側下凹部と略同じであってよい。実施形態では、内側下凹部が、1mmと5mmの間又は2mmと4mmの間の厚さを有してよい。実施形態によれば、外側シャワーヘッドの厚さが、1mmと5mmの間又は2mmと4mmの間であってよい。外側シャワーヘッドの厚さは、内側シャワーヘッドと略同じであってよい。実施形態では、内側シャワーヘッドが、1mmと5mmの間又は2mmと4mmの間の厚さを有してよい。
【0057】
[0076] 図6Aは、本技術の実施形態による、例示的なゾーン分配プレートの上面図を示している。図6Bは、本技術の実施形態による、例示的なゾーン分配プレートの底面図を示している。ゾーン分配プレート1233は、第1のガスをゾーンブロッカプレートの上内側凹部の中へ通過させるように構成された中央貫通孔1241を有する。ゾーン分配プレート1233は、第2のガスをゾーンブロッカプレートの上外側凹部の中へ通過させるためのチャネルを形成するように構成された、上面の中に形成された上溝1261を有する。組み立て時に、上溝1261に結合されるゾーン分配マニホールドの底面は、ゾーン分配プレート1233の上端に対して押し付けられることによって、第2のガスチャネルを形成してよい。組み立て時に、上溝1261は、第2のガスを開始点から複数の底孔1255へ導くように構成されている。複数の底孔1255は、ゾーン分配プレート1233の底を通ってゾーンブロッカプレートの上外側凹部の中に開かれている。上溝1261は、(ゾーン分配マニホールドの第2のマニホールドチャネルの終端によって決まる)開始点において、第2のマニホールドチャネルから第2のガスを受け取るように構成されてよい。実施形態によれば、開始点から溝に沿った複数の底孔のそれぞれまでの経路長さは、複数の底孔のそれぞれに対して同じであってよい。実施形態によれば、複数の底孔は、少なくとも2つの底孔、少なくとも4つの底孔、少なくとも6つの底孔、少なくとも8つの底孔、又は少なくとも10個の底孔を含んでよい。複数の底孔は、偶数の底孔を含んでよい。複数の底孔は、ゾーン分配プレート1233の中心を中心とする円周に配置されてよい。実施形態では、複数の底孔が、円周に沿って(等しい間隔で)均等に配置されてよい。
【0058】
[0077] 実施形態によれば、中央貫通孔は、0.1mmと30mmの間、0.5mmと20mmの間、又は1mmと5mmの間の直径を有してよい。実施形態では、複数の底孔のそれぞれが、同じ寸法を有してよく、その直径は、0.1mmと10mmの間、0.3mmと5mmの間、又は3mm未満であってよい。実施形態によれば、上溝1261は、1mmと10mmの間、2mmと8mmの間、又は3mmと7mmの間の幅を有してよい。上溝1261向けの様々なアーキテクチャは、同じ経路長さ目標を実現できるが、1つのオプションが図6Aで描かれている。上溝1261は、中央貫通孔1241から第1の半径にある開始点1260で開始してよい。上溝1261は、中央貫通孔1241から第2の半径まで外向きに延在する径方向部の前に、第1の半径の周方向部を有してよい。上溝1261は、第2の半径で径方向部を2つに分ける180度の周方向部を有してよい。2つの径方向部が、180度の周方向部の端部から外向きに第3の半径まで延在する。上溝1261の2つ径方向部のそれぞれは、2つの90度の周方向部のそれぞれに分岐してよい。2つの90度の周方向部の各終端は、第3の半径で開始し且つ第4の半径まで外向きに延在する4つの更なる径方向部に連結されている。最後に、4つの45度の周方向部が、第4の半径において4つの更なる径方向部から分岐している。4つの45度の周方向部のそれぞれは、ゾーン分配プレート1233の8つの底孔のうちの1つで終端してよい。挙げられた周方向部のそれぞれは、ゾーン分配プレート1233の中心に対して周方向であってよい。実施形態によれば、第4の半径は、第3の半径より大きくてよく、第3の半径は、第2の半径より大きくてよく、第2の半径は、第1の半径より大きくてよい。挙げられたアーキテクチャは、第1のガスを上内側凹部に分配し、第2のガスを上外側凹部に分配する、1つのやり方を表している。ゾーンブロッカプレートの上外側凹部から上内側凹部を密封するために、Oリング1251が、ゾーン分配プレート1233の底上に含まれてよい。
【0059】
[0078] 図7は、本技術の実施形態による、ゾーン分配マニホールド1311の概略部分断面図を示している。ゾーン分配マニホールドは、第1のマニホールドチャネル1321と第2のマニホールドチャネル1331を有する。第1のマニホールドチャネル1321は、ゾーン分配プレートの中央貫通孔を通って上内側凹部に入る前の、第1ガスの内部混合を改善するために、膨張領域1322と流体結合している。時期尚早に第1のガスが第2のガスと混合しないように更に分離するために、内側ゾーンチャネルのOリング1341が含まれてよい。第2のマニホールドチャネル1331は、第2のガスが、ゾーン分配プレートの上溝を通過し、次いで、複数の底孔を通ってゾーンブロッカプレートの上外側凹部の中に至るように流体結合している。実施形態では、第1のガスと第2のガスの間の分離を維持するために、外側ゾーンチャネルのOリング1342が含まれてよい。実施形態によれば、第1のマニホールドチャネルが、円形断面、及び2mmを超える、5mmを超える、又は10mmを超える直径を有してよい。実施形態では、第2のマニホールドチャネルが、円形断面、及び2mmを超える、5mmを超える、又は10mmを超える直径を有してよい。実施形態によれば、膨張領域が、円形断面、及び5mmを超える、10mmを超える、又は15mmを超える直径を有してよい。
【0060】
[0079] 図8A及び図8Bは、本技術の実施形態による、例示的な基板処理システムの概略部分断面図を示している。図示されているハードウェアは、本明細書で提示される技術の態様によって克服され得るプロセスの問題を示すように説明される。フッ素含有プラズマは、基板処理システム内で生成され、本明細書で説明される方法及びシステムによって対処される不安定性を示す。基板処理チャンバ1401は、第1のマニホールドチャネル1415及び第2のマニホールドチャネル1416を有する、ゾーン分配マニホールド1410を含む。水素含有前駆体が、時々、第1のマニホールド1415を通って流れ、フッ素含有前駆体が、第2のマニホールドチャネル1416を通って流れる。水素含有前駆体は、第1のマニホールドチャネル1415から、膨張領域1417の中に膨張する。基板処理チャンバ1401は、ゾーン分配マニホールド1410に取り付けられる、ゾーン分配プレート1429を更に含む。水素含有前駆体は、膨張領域1417から、内側ゾーンチャネル1418の中に流れる。フッ素含有前駆体は、第2のマニホールドチャネル1416から、外側ゾーンチャネル1419の中に流れる。2つのチャネルは、分離されており、水素含有前駆体とフッ素含有前駆体がゾーン分配プレート1429を出るまで、描かれているハードウェア内で混合が生じない。
【0061】
[0080] 実施形態によれば、基板処理チャンバ1401は、ゾーン分配プレート1429に取り付けられる、ゾーンブロッカプレート1433を更に含む。ゾーンブロッカプレート1433は、内側ゾーンチャネル1418から水素含有前駆体を受け取るように構成された上凹部1435を有する。図4のハードウェアとは対照的に、上凹部1435は、外側ゾーンチャネル1419からフッ素含有前駆体を受け取るようにも構成されている。この場合、分離壁がないので、2つの前駆体は混合し得る。ゾーンブロッカプレート1433は、内側シャワーヘッド部分を通して上凹部1435に流体結合した下内側凹部1437を含む。ゾーンブロッカプレート1433は、外側シャワーヘッド部分を通して上凹部1435に流体結合した下外側凹部1436を更に含む。基板処理チャンバ1401は、プラズマ1441‐1を生成するために、水素含有前駆体及び/又はフッ素含有前駆体を、プラズマ領域の中へ通過させるように構成された貫通孔を有する、ゾーンブロッカプレート1433に取り付けられた面板1439を更に含む。RFプラズマ電源1443によって、面板1439とシャワーヘッド1449との間に、プラズマ電力が印加される。シャワーヘッド1449に対して面板1439に、RFプラズマ電源1443からのRF電力を印加することを可能とするために、電気的に絶縁するインサート1442が、面板1439とシャワーヘッド1449との間に配置されてよい。シャワーヘッド1449の下方で、且つ基板処理領域の範囲内で、壁1471が、基板支持ペデスタル1465によって支持された基板1455の周りに配置されてよい。
【0062】
[0081] プラズマ1441‐1は、初期的に、水素含有前駆体なしにフッ素含有前駆体から、プラズマ領域内で生成される。フッ素プラズマ1441‐1は、プラズマ領域内の中央から開始し得るが、不安定性が観察された。その不安定性は、初期的なフッ素プラズマ1441‐1を、中心から外れたフッ素プラズマ1441‐2へと崩壊させ得る。中心から外れたフッ素プラズマ1441‐2は、プラズマ領域の縁部に滞在し、円形プラズマ領域の半分未満又は四分の一未満を占め得る。中心から外れたプラズマは、受け入れられないプロセスのばらつきをもたらし得る。洗浄プラズマ及び基板処理プラズマは、非常に薄く、プラズマの中に流れる圧倒的多数のガスが、フッ素などの高度に負に帯電した原子を含有するときに、殊に、維持することが難しい。正に帯電したフッ素イオンは、生成することが非常に困難であるため、プラズマ中でさえも電子濃度は低く抑えられる。これらの特性は、観察される中心から外れたプラズマをもたらし得る。
【0063】
[0082] 2つの技術が、本明細書で提示される。それらは、プラズマの不安定性に対する解決策を提供するために別々に又は組み合わせて使用されてよい。本明細書で説明されるハードウェアを(本明細書で説明されるプロセスと共に)使用して、フッ素プラズマで観察された中心から外れた「崩壊した」プラズマを回避することさえできる。したがって、本明細書で説明されるハードウェア及び方法を使用して、プラズマ制御の労力に利益を与え、プロセスをより均一にする、中央に置かれた同心プラズマを生成することができる。
【0064】
[0083] 図9A図9Eは、本技術の実施形態による、例示的な基板処理システムの概略部分断面図を示している。図示されているハードウェアは、図8Bで示されているプラズマの不安定性を部分的に改善する。基板処理チャンバ1501‐1は、第1のマニホールドチャネル1515及び第2のマニホールドチャネル1516を有する、ゾーン分配マニホールド1510を含む。水素含有前駆体が、第1のマニホールドチャネル1515を通って流れ、フッ素含有前駆体が、第2のマニホールドチャネル1516を通って流れる。水素含有前駆体は、第1のマニホールドチャネル1515から、膨張領域1517の中に膨張する。基板処理チャンバ1501‐1は、ゾーン分配マニホールド1510に取り付けられる、ゾーン分配プレート1529を更に含む。水素含有前駆体は、膨張領域1517から、内側ゾーンチャネル1518の中に流れる。フッ素含有前駆体は、第2のマニホールドチャネル1516から、外側ゾーンチャネル1519の中に流れる。2つのチャネルは、分離されており、水素含有前駆体とフッ素含有前駆体が下流のプラズマ領域に入るまで、描かれているハードウェア内で混合が生じない。図示されているように、実施形態では、外側ゾーンチャネル1519は、ゾーン分配プレート1529の上部内に形成された溝を含んでよく、又はゾーン分配プレート1529の内側に形成されたチャネルを含んでよい。
【0065】
[0084] 実施形態によれば、基板処理チャンバ1501‐1は、ゾーン分配プレート1529に取り付けられる、ゾーンブロッカプレート1533‐1を更に含む。ゾーンブロッカプレート1533‐1は、内側ゾーンチャネル1518から水素含有前駆体を受け取るように構成された上内側凹部1535を有する。ゾーンブロッカプレート1533‐1は、外側ゾーンチャネル1519からフッ素含有前駆体を受け取るように構成された上外側凹部1534を有する。分離壁は、水素含有前駆体がフッ素含有前駆体と混合するのを防止する。ゾーンブロッカプレート1533‐1は、内側シャワーヘッド部分を通して上内側凹部1535に流体結合した下内側凹部1537を含む。ゾーンブロッカプレート1533‐1は、外側シャワーヘッド部分を通して上外側凹部1534に流体結合した下外側凹部1536を更に含む。基板処理チャンバ1501‐1は、プラズマ1541‐1を生成するために、水素含有前駆体及び/又はフッ素含有前駆体を、プラズマ領域の中へ通過させるように構成された貫通孔を有する、ゾーンブロッカプレート1533‐1に取り付けられた面板1539を更に含む。RFプラズマ電源1543によって、面板1539とシャワーヘッド1549との間に、プラズマ電力が印加される。シャワーヘッド1549に対して面板1539に、RFプラズマ電源1543からのRF電力を印加することを可能とするために、電気的に絶縁するインサート1542が、面板1539とシャワーヘッド1549との間に配置されてよい。
【0066】
[0085] 実施形態によれば、プラズマ1541‐1は、初期的に、フッ素含有前駆体なしに水素含有前駆体から、プラズマ領域内で生成され得る。水素プラズマが開始したら、次いで、フッ素含有前駆体が、プラズマ領域の中に流される。プラズマ内の水素は、より電子を失い易く、フッ素含有前駆体の健全なプラズマ1541‐2を開始する助けとなる。健全なプラズマ1541‐2が開始したら、プラズマ領域の中に流れる水素含有前駆体は、遮断され又は止められてよい。このやり方で生成されたフッ素プラズマは、より強度が高く、望ましくもプラズマ領域の中央に位置付けられることが観察された。フッ素プラズマ1541‐2の安定性は、(例えば、第2のマニホールドチャネル1516の代わりに第1のマニホールドチャネル1515を使用して)フッ素プラズマ1541‐2の中央にフッ素含有前駆体の別の流れを開始することによって更に試験された。フッ素プラズマ1541‐2は、側部に移動して、歪んだプラズマ1541‐3を生成する。しかし、実施形態によれば、フッ素含有前駆体が遮断され又は止められると、フッ素プラズマ1541‐4は中央に戻る(そして、同じく高い強度を所有する)。
【0067】
[0086] プラズマ内の水素原子は、より容易に又は自由にプラズマに電子を与え、与えられた電子は、プラズマ内のフッ素原子のより広範囲のイオン化を開始する。水素原子を導入することは、水素含有前駆体を(例えば、第1のマニホールドチャネルを使用して)プラズマ領域の中央に流すことによって、有益な影響を受け得る。(イオン化することが困難な)「新鮮な」フッ素含有前駆体の導入は、プラズマを消す傾向がある。というのも、この段階では水素源が同時に存在しないからである。これに応じて、プラズマは側方に押し出されるが、水素の不存在及び新しいフッ素含有前駆体の流れの存在にもかかわらず、有意な初期のイオン化が持続する。更なるフッ素含有前駆体の流れの導入は、望ましいプロセスフローを示唆するよりもむしろ、フッ素プラズマの安定性と健全性を確立するために導入された。
【0068】
[0087] 更なる実施形態を使用して、安定したフッ素プラズマ1541‐2及びおそらくは他のプロセスを生成することができる。実施形態では、ゾーンブロッカプレート1533‐2が、内側チャネルインサート1540内に形成された中央貫通孔を有してよい。中央貫通孔は、内側ゾーンチャネル1518から第1のガス(例えば、水素含有前駆体)を受け取るように構成されてよい。ゾーンブロッカプレート1533‐2は、外側ゾーンチャネル1519から第2のガス(例えば、フッ素含有前駆体)を受け取るように構成された上外側凹部1534を含んでよい。ゾーンブロッカプレート1533‐2は、外側シャワーヘッド部分を通して上外側凹部1534に流体結合した下外側凹部1536を更に含んでよい。ゾーンブロッカプレート1533‐2は、第2のガスをプラズマ領域の中へ通過させるように構成された貫通孔を有する、ゾーンブロッカプレート1533‐2に取り付けられた面板1539を更に含んでよい。ゾーンブロッカプレート1533‐2は、プラズマ1541‐1を生成するために、内側チャネルインサート1540内の中央貫通孔から第1のガスを受け取り、第1のガスをプラズマ領域の中へ通過させるように構成された中央面板孔を有してよい。基板処理チャンバ1501‐2を使用して、(上述された)水素含有前駆体シーケンスを実行することによって、安定したフッ素プラズマ1541‐2を生成することができる。この場合、水素含有前駆体は、内側チャネルインサート1540を通って(中央貫通孔を通って)流れるだろう。
【0069】
[0088] 図10及び図11は、本技術の実施形態による、プラズマを生成する方法を示している。図12は、本技術の実施形態による、プロセス中の例示的なプラズマパラメータのプロットを示している。プラズマを生成する方法1601は、動作1605で、水素含有前駆体をプラズマ領域の中に流すことを含む。動作1610では、水素含有前駆体からプラズマを生成するために、RFプラズマ電力がプラズマ領域に印加される。実施形態によれば、プラズマ領域内にフッ素は存在しない。実施形態では、フッ素の濃度が、(原子濃度で測定された)水素の濃度未満、水素の濃度の50%未満、20%未満、10%未満、又は5%未満であってよい。実施形態によれば、水素含有前駆体は、RF電力を開始する前にプラズマ領域の中に流されてよく、又は、水素含有前駆体をプラズマ領域の中に流す前に、先ずRF電力が印加されてよい。図12では、プロット1801が、水素含有前駆体1820を流す前に印加されたRF電力1810を示している。
【0070】
[0089] 動作1615では、方法1601が、フッ素含有前駆体をプラズマ領域の中に流すことを更に含む。フッ素含有前駆体の流れは、図12で示されているプロット1801内の1830として表されている。次いで、印加されたRF電力は、プラズマ領域内でより強いプラズマを生成するために、動作1619で、水素含有前駆体とフッ素含有前駆体の混合物を励起する。水素含有前駆体のプラズマ領域の中への流れは、動作1620で停止されてよい。動作1625では、RF電力の印加を継続することによって、フッ素プラズマがもたらされる。実施形態では、水素はもはや存在しないが、フッ素プラズマは、恒久的に変化してしまい、製造環境において不可避的に生じ得る様々な不安定化する力に対してより安定的であり得る。動作1630では、RFプラズマ電力がオフにされ、フッ素含有前駆体の流れが停止される。
【0071】
[0090] 図11では、動作1705で、プラズマ領域において、水素含有前駆体とフッ素含有前駆体の混合物からRFプラズマが生成される。動作1710では、水素含有前駆体が、プラズマ領域から除去される。次いで、動作1720では、プラズマ領域において、フッ素含有前駆体のみからRFプラズマが生成される。動作1730では、RFプラズマ電力がオフにされ、フッ素含有前駆体の流れが停止される。実施形態によれば、RFプラズマ電力は、フッ素含有前駆体の流れが停止される前に又は後にオフにされてよい。
【0072】
[0091] 実施形態では、水素含有前駆体が、1秒と30秒の間、2秒と20秒の間、又は3秒と15秒の間だけ、プラズマ領域の中に流されてよい。
【0073】
[0092] 本明細書で説明される全ての実施形態では、第1のガス(例えば、水素)の流量が、第1の質量流量コントローラ(MFC)によって制御されてよく、第2のガス(例えば、フッ素)の流量が、第2の質量流量コントローラによって制御されてよい。第1の質量流量コントローラと第2の質量流量コントローラは、基板処理チャンバの外側且つゾーン分配マニホールドから上流に位置付けられてよい。実施形態によれば、例示的な水素含有前駆体の流量は、1sccmと200sccmの間、5sccmと100sccmの間、又は10sccmと50sccmの間であってよい。実施形態によれば、例示的なフッ素含有前駆体の流量は、20sccmと5,000sccmの間、50sccmと2,000sccmの間、又は100sccmと1,000sccmの間であってよい。水素含有前駆体は、フッ素含有前駆体と比較して、大幅に低い流量で強く安定したフッ素プラズマを生成することができる。前駆体のそれぞれの流れの中に、キャリアガスとしてヘリウムの流れが含まれた。ヘリウムは、通常、プラズマを安定させるが、ヘリウムをプラズマ領域の中に流すことは、本明細書で説明されるフッ素プラズマを崩壊させることを回避するのに十分ではなかった。早いプラズマ段階で水素含有前駆体を含むことが、プラズマの崩壊を防いだ。
【0074】
[0093] プラズマ領域内の圧力は、フッ素プラズマの崩壊の可能性に影響を与える。より低い圧力では、フッ素プラズマが、水素含有前駆体の初期的な存在なしに均一なままであり得る。フッ素プラズマ内の圧力を上げると、フッ素プラズマの崩壊の可能性が高まり、それは、フッ素原子の高い電気陰性度と平均自由工程の減少に関連している可能性がある。実施形態によれば、プラズマ領域内の圧力は、2Torrより高く、3Torrより高く、4Torrより高く、5Torrより高く、6Torrより高く、又は7Torrより高くてよい。
【0075】
[0094] プラズマ領域に印加されるプラズマ電力も、フッ素プラズマの崩壊の可能性に影響を与える。増加したプラズマ電力も、フッ素プラズマのより高い可能性をもたらし得る。本明細書で説明されたように早く水素に曝すことによって、高いプラズマ電力で安定したプラズマがもたらされた。実施形態では、RFプラズマ電力が、200ワットより高く、300ワットより高く、400ワットより高く、500ワットより高く、又は750ワットより高くてよい。
【0076】
[0095] 実施形態によれば、第1のガスは水素含有前駆体であってよく、第2のガスはフッ素含有前駆体であってよい。代替的に、第1のガスは、第1の原子濃度比の水素とフッ素の混合物であってよく、第2のガスは、第2の原子濃度比を有してよい。第2の原子濃度比は、第1の原子濃度比とは異なってよい。実施形態では、そのような構成によって、概してプロセスの均一性に対する微調整が可能になり、この場合、第1のガスと第2のガスは両方とも、基板処理期間の全体を通して存在してよい。水素含有前駆体は、水素(H2)とアンモニア(NH3)のうちの一方であってよく、フッ素含有前駆体は、三フッ化窒素(NF3)であってよい。
【0077】
[0096] 上記の記載では、説明を目的として、本技術の様々な実施形態の理解を促すために、数々の詳細が提示されてきた。しかし、当業者には、これらの詳細のうちの一部がなくても、或いは、追加の詳細があれば、特定の実施形態を実施することができることは明らかであろう。
【0078】
[0097] 幾つかの実施形態を開示したが、当業者は、実施形態の精神から逸脱することなく、様々な修正例、代替構造物、及び均等物を使用できることを認識されよう。更に、幾つかの周知の処理及び要素は、本技術を不必要に不明瞭にすることを避けるために説明されていない。したがって、上記の説明は、本技術の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【0079】
[0098] 値の範囲が提供されている場合、文脈上そうでないと明示されていない限り、当然ながら、その範囲の上限値と下限値との間の各介在値は、下限値の最も小さい単位まで具体的に開示されていると理解される。記載された範囲の任意の記載値又は記載されていない介在値の間の任意の小さい範囲、そしてその記載範囲のその他の任意の記載された値又は介在する値も含まれる。これら小さい範囲の上限及び下限は、その範囲に個々に含まれ、又はその範囲から除外される場合があり、小さい範囲に限界値の何れかが含まれる、どちらも含まれない、又は両方が含まれる各範囲もまた、記載された範囲における明確に除外される任意の限界値を条件として、この技術範囲に包含される。記載された範囲に一方又は両方の限界値が含まれる場合、これらの含有限界値の何れか又は両方を除外する範囲もまた含まれる。
【0080】
[0099] 本明細書及び特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が他のことを明らかに示していない限り、複数の参照対象を含む。したがって、例えば、「1つの材料(a material)」への言及は、複数のそのような材料を含み、「その前駆体(the precursor)」への言及は、1以上の前駆体及び当業者に既知のその均等物への言及を含む、等々である。
【0081】
[0100] 更に、「備える(comprise(s))」、「備えている(comprising)」、「含有する(contain(s))」、「含有している(containing)」、「含む(include(s))」、及び「含んでいる(including)」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲で使用された場合、記載された特徴、整数、構成要素、又はステップの存在を特定することを意図しているが、1以上のその他の特徴、整数、構成要素、工程、動作、又はグループの存在又は追加を除外するものではない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードとカソードの間にRF電力を印加することであって、前記アノード及び前記カソードが平面的であり且つ平行で、プラズマ領域が、前記アノードと前記カソードの間に配置され、前記アノードと前記カソードが、それぞれ前記プラズマ領域に隣接している、RF電力を印加すること、
水素含有前駆体を前記プラズマ領域の中央へ流すことによって、水素含有プラズマを生成すること、
フッ素含有前駆体を前記プラズマ領域の中に更に流すことによって、水素・フッ素含有プラズマを生成すること、並びに
前記水素含有前駆体の前記プラズマ領域の中への流れを停止することによって、フッ素含有プラズマを生成することを含む、処理方法。
【請求項2】
前記処理方法が、基板、又は、基板処理チャンバの内面を処理する、請求項1に記載の処理方法。
【請求項3】
前記アノードが、面板又はシャワーヘッドの一方であり、前記カソードが、前記シャワーヘッド又は前記面板の他方であり、基板処理領域が、前記プラズマ領域からみて前記シャワーヘッドの反対側に配置されている、請求項1に記載の処理方法。
【請求項4】
前記アノードが、シャワーヘッド又は基板のペデスタルであり、前記カソードが、前記基板のペデスタル又は前記シャワーヘッドであり、
基板処理領域が、前記アノードと前記カソードの間に配置され、前記アノードと前記カソードの両方に境を接している、請求項1に記載の処理方法。
【請求項5】
前記アノード、前記カソード及び前記プラズマ領域が円形である、請求項1に記載の処理方法。
【請求項6】
前記水素含有前駆体が、水素(H2)とアンモニア(NH3)のうちの一方であり、前記フッ素含有前駆体が、三フッ化窒素(NF3)である、請求項1に記載の処理方法。
【請求項7】
前記水素含有前駆体と前記フッ素含有前駆体が前記プラズマ領域内で混合する、請求項1に記載の処理方法。
【請求項8】
前記水素含有プラズマが生成される際に、前記プラズマ領域内にフッ素が存在しない、請求項1に記載の処理方法。
【請求項9】
前記フッ素含有プラズマが生成された後に、前記RF電力をオフにすること及び前記フッ素含有前駆体の流れを停止することを更に含む、請求項1に記載の処理方法。
【請求項10】
前記フッ素含有前駆体の流れが停止される前に前記RF電力がオフにされる、請求項9に記載の処理方法。
【請求項11】
前記フッ素含有前駆体の流れが停止された後に前記RF電力がオフにされる、請求項9に記載の処理方法。
【請求項12】
前記水素含有前駆体が、ゾーン分配マニホールドの第1のマニホールドチャネルを通じて流され、前記フッ素含有前駆体が、前記ゾーン分配マニホールドの第2のマニホールドチャネルを通じて流される、請求項1に記載の処理方法。
【請求項13】
前記水素含有前駆体が、前記ゾーン分配マニホールドの内側ゾーンチャネルに流れ、
前記フッ素含有前駆体が、前記第2のマニホールドチャネルから前記ゾーン分配マニホールドの外側ゾーンチャネルに流れ、
前記内側ゾーンチャネルと前記外側ゾーンチャネルとが互いに分離されている、請求項12に記載の処理方法。
【請求項14】
前記水素含有前駆体が、前記第1のマニホールドチャネルから前記ゾーン分配マニホールドの膨張領域へと膨張し、前記ゾーン分配マニホールドの前記内側ゾーンチャネルに流れる、請求項13に記載の処理方法。
【請求項15】
前記水素含有前駆体が、前記内側ゾーンチャネルからゾーンブロッカプレートの上内側凹部に流れ、
前記フッ素含有前駆体が、前記外側ゾーンチャネルから前記ゾーンブロッカプレートの上外側凹部に流れる、請求項13に記載の処理方法。
【請求項16】
前記水素含有前駆体及び前記フッ素含有前駆体が、前記ゾーンブロッカプレートから、面板に形成された複数の開孔を介して、前記プラズマ領域へと分配される、請求項15に記載の処理方法。
【請求項17】
前記水素含有前駆体が、1秒から30秒の間、前記プラズマ領域内へと流される、請求項1に記載の処理方法。
【請求項18】
前記プラズマ領域内の圧力が2Torrよりも高い、請求項1に記載の処理方法。
【請求項19】
前記RF電力が200ワットよりも高い、請求項1に記載の処理方法。
【請求項20】
前記水素含有前駆体の流量が1sccmと200sccmの間であり、前記フッ素含有前駆体の流量が20sccmと5000sccmの間である、請求項1に記載の処理方法。
【外国語明細書】