(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099876
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】異物検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/85 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
G01N21/85 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003474
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕太
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA01
2G051AB01
2G051BA20
2G051BB01
2G051CA03
2G051CA04
2G051CA06
2G051CB01
2G051DA06
2G051EA11
2G051EA17
(57)【要約】
【課題】コンベアのベルトの色によらず使用できる簡素な構成の異物検査装置を提供する。
【解決手段】コンベアにより搬送される検査対象物を受け取り、検査対象物を通過させる傾斜面を有する傾斜部と、傾斜面を通過する検査対象物を撮像する撮像部と、撮像部によって撮像された画像に基づいて、検査対象物における異物の有無を判定する制御部と、を備え、検査対象物が撮像される際に検査対象物とともに撮像される傾斜面における被撮像領域は、検査対象物と同色により構成されている、異物検査装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアにより搬送される検査対象物を受け取り、当該検査対象物を通過させる傾斜面を有する傾斜部と、
前記傾斜面を通過する前記検査対象物を撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された画像に基づいて、前記検査対象物における異物の有無を判定する制御部と、を備え、
前記検査対象物が撮像される際に当該検査対象物とともに撮像される前記傾斜面における被撮像領域は、前記検査対象物と同色により構成されている、
異物検査装置。
【請求項2】
前記被撮像領域は、前記異物と異なる色により構成されている、
請求項1に記載の異物検査装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記撮像部により撮像された画像を、前記検査対象物について想定される色情報と前記異物について想定される色情報に基づいて設定された閾値を用いて二値化処理をすることより、前記検査対象物における前記異物の有無を判定する、
請求項2に記載の異物検査装置。
【請求項4】
前記傾斜面は、前記検査対象物の自重を利用して当該検査対象物を通過させる傾斜角で配置されている、
請求項1に記載の異物検査装置。
【請求項5】
前記撮像部により撮像される前記検査対象物に対して、ライン状の光を照射するライン照明部をさらに備え、
前記ライン照明部と前記撮像部は、それぞれ、その照射方向と撮像方向が、前記傾斜面と直交する方向となる位置に配置されている、
請求項1に記載の異物検査装置。
【請求項6】
前記検査対象物は、金属により構成されており、
前記傾斜面の少なくとも前記被撮像領域は、前記検査対象物と同じ金属により構成されている、
請求項1に記載の異物検査装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記検査対象物が異物を有すると判定したときは、前記コンベアの動作を停止させる、
請求項1に記載の異物検査装置。
【請求項8】
異常を報知するアラームをさらに備え、
前記制御部は、前記検査対象物が異物を有すると判定したときは、前記アラームを作動させる、
請求項1に記載の異物検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンベアにより製品を搬送する際に、コンベア上で製品に対し異物混入の検査が行われることがある。このとき、製品とコンベアの背景を同色にして異物を検出しやすくすることは知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、製品の色とコンベアのベルトの色とが異なる色である場合、既存のコンベアをそのまま使用することができず、コンベアの大がかりな改造が必要となることがある。
【0005】
本発明の目的は、例えば、コンベアのベルトの色によらず使用できる簡素な構成の異物検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
コンベアにより搬送される検査対象物を受け取り、当該検査対象物を通過させる傾斜面を有する傾斜部と、
前記傾斜面を通過する前記検査対象物を撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された画像に基づいて、前記検査対象物における異物の有無を判定する制御部と、を備え、
前記検査対象物が撮像される際に当該検査対象物とともに撮像される前記傾斜面における被撮像領域は、前記検査対象物と同色により構成されている、
異物検査装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば、コンベアのベルトの色によらず使用できる簡素な構成の異物検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る異物検査装置100の検査対象の一例である電気ニッケル1の概略構成図である。
【
図2】
図2は、電気ニッケル1を製造する際に用いる母板10の概略構成図である。
【
図3】
図3は、コンベア200と本発明の一実施形態に係る異物検査装置100の概略側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る異物検査装置100における傾斜部20の平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る異物検査方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<検査対象物の構成例>
本実施形態において異物混入の検査が行われる検査対象物は、例えば、直径約20mmの円盤状のボタン型をなす電気ニッケル1である(
図1参照)。
【0010】
<検査対象物の製造方法例>
ボタン型の電気ニッケル1は、円形電着面を有するカソード(以下、「母板」ともいう)を用いて、電解採取により製造される。以下、
図2を用いて、母板10の構成例について説明した後、電気ニッケル1の製造方法例について説明する。
【0011】
母板10は、例えば、縦1100×横830mmの金属板であり、電解採取法で用いられる陰極板を構成している。母板10は、その表面にボタン型のニッケル電析物を析出させるものである。母板10の表面は、絶縁層7と電着面8とを有する。絶縁層7は、絶縁塗料により構成されており、母板10の表面(金属)を露出させないよう被覆している。電着面8は、絶縁層7により被覆されていない母板10の表面部分であり、ボタン型に対応する複数の円形に形成されている。電着面8は、それぞれ直径約20mmの円形に形成されている。ここで母板10の表面とは、母板10の裏面まで含めた全ての表面をいう。母板10の4辺には、その外周を囲うように、補強用の粘着テープ9が貼付されている。本実施形態で用いる粘着テープ9の色は、例えば、緑色により構成されている。
【0012】
上述した母板10を、例えば、52枚を一組として電槽内に装入し、1槽あたりのカソードの通電時間を7日間、通電電流を22kAとして、高純度の塩化ニッケル水溶液を35L/minの液量で供給する。このようにして、電着面8にニッケルを電着させ、電気ニッケル1を製造する。本実施形態における電気ニッケル1の色は、例えば、チャコールグレー色により構成されている。
【0013】
その後、母板10を電槽外へ引き上げ、ハンマー等を用いて母板10に振動を与え、電着した電気ニッケル1を剥ぎ取る。その後、再び電槽内に母板10を装入して同様の条件で通電して電着、剥ぎ取り、次の電着を繰り返す。4~5回剥ぎ取りを繰り返すと母板10に貼付した粘着テープ9が劣化してしまう。劣化した粘着テープ9の一部は、母板10から剥離して、電気ニッケル1に付着したり巻き込まれたりすることがある。
【0014】
本実施形態の異物検査装置100は、例えば、異物として粘着テープ9を巻き込んだ電気ニッケル1を検出可能に構成されている。
【0015】
以下に、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0016】
<本発明の一実施形態>
(1)異物検査装置100の構成例
図3に示すように、本実施形態の異物検査装置100は、例えば、コンベア200により搬送された検査対象物としての電気ニッケル1に対し、異物としての粘着テープ9の混入の有無について検査を行うように構成されている。異物検査装置100は、主として、傾斜部20と、撮像部40と、制御部60とを備えている。
【0017】
傾斜部20は、電気ニッケル1を搬送するコンベア200の搬送方向の下流側端部に配置されている。傾斜部20は、コンベア200により搬送される電気ニッケル1を受け取り、電気ニッケル1を通過させる傾斜面25を有している。傾斜面25は、電気ニッケル1の自重を利用して電気ニッケル1を通過させる傾斜角で配置されている。コンベア200は、例えば、互いに平行な二つのローラ200a間に無端ベルト200bをかけ渡し、電気ニッケル1を無端ベルト200bの上面(載置面)に載置して搬送するベルトコンベアを用いることができる。
【0018】
傾斜面25は、電気ニッケル1と同色、例えばチャコールグレー色により構成されている。なお、傾斜面25の全領域が電気ニッケル1と同色である必要はなく、傾斜面25を通過する電気ニッケル1が撮像部40により撮像される際に、電気ニッケル1の背景として電気ニッケル1とともに撮像される被撮像領域としての領域25aが、電気ニッケル1と同色であればよい(
図3、
図4参照)。なお、本実施形態では、領域25aを含む傾斜面25の全領域が、電気ニッケル1と同じ金属であるニッケルにより構成されている。
【0019】
傾斜面25は、粘着テープ9と異なる色により構成されている。なお、傾斜面25の全領域が粘着テープ9と異なる色である必要はなく、少なくとも、領域25aが、粘着テープ9と異なる色により構成されていればよい。
【0020】
ここで、領域25aが、電気ニッケル1と「同色」であるとは、これらの色差が例えば6.0未満であることを指す。また、領域25aが、粘着テープ9と「異なる色」であるとは、これらの色差が例えば6.0以上であることを指す。色差とは、CIE1976L*a*b*表色系のΔE*で定義するものとする。CIE1976L*a*b*表色系とは、CIE(国際照明委員会)が1976年に推奨した色空間のことであり、日本工業規格では、JIS Z 8730に規定されている。色差は、ある二色の色空間中における距離のことであり、CIE1976L*a*b*表色系での色差は、二色の明度L*の差、及び二色の色度(色相と彩度)a*、b*の差をそれぞれ二乗して加え、その平方根をとる下記の式により求めることができる。明度、色度及び色差は、市販の測色計等を用いて計測することができる。
ΔE*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
【0021】
傾斜面25の下流側には、傾斜面25を通過した電気ニッケル1を収容する容器30が配置されている。また、例えば、傾斜部20の側面には、粘着テープ9が混入している電気ニッケル1があると判定された場合に作動するアラーム70が取り付けられている。
【0022】
図3に示すように、撮像部40は、その撮像方向が、傾斜面25と直交する方向となる位置に配置されている。なお、本明細書において、傾斜面25と直交するとは、傾斜面25と90°で交わることに限定するものではなく、傾斜面25と85°~95°の範囲で交わる場合も含むものである。撮像部40は、例えば、CCD(Charged Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサを有するカメラを用いることができる。撮像部40は、撮像部40(カメラ)に備えられた不図示のレンズが集光した光を、不図示のイメージセンサによって電気信号に変換することにより、傾斜面25を通過する電気ニッケル1を撮像することができる。なお、本明細書において、撮像方向とは、撮像部40が電気ニッケル1を撮像する方向であり、撮像部40の光軸方向と言い換えることができる。
【0023】
撮像部40は、電気ニッケル1が傾斜面25を通過する方向(
図4の矢印A参照)と平面視で直交する方向(以下、傾斜面25の幅方向ともいう。
図4の矢印B参照)に延びる傾斜面25上の領域25a全体を撮像可能な位置に配置されている。
図4に示すように、領域25aは、傾斜面25の幅方向の一端から他端まで延びる帯状に構成されているので、傾斜面25を通過する電気ニッケル1の全てが領域25aを通過し、撮像部40により撮像されることとなる。なお、領域25aの配置位置は、撮像部40が撮像可能であり、後述するライン照明部50が光を照射可能であれば、
図4に示されている位置に特に限定されない。
【0024】
ライン照明部50は、ライン状の光を照射するように構成されており、その照射方向が、傾斜面25と直交する方向となる位置に配置されている。また、ライン照明部50は、傾斜面25上の領域25aに光を照射可能な位置に配置されており、領域25aに対し均等に光を照射するように構成されている。ライン照明部50の発光手段は特に限定されず、例えば蛍光灯、有機または無機エレクトロルミネッセンス(EL)、発光ダイオード等を使用できる。なお、本明細書において、照射方向とは、ライン照明部50が電気ニッケル1に光を照射する方向であり、ライン照明部50の光軸方向と言い換えることができる。
【0025】
制御部60は、撮像部40から送信された画像を処理し、電気ニッケル1に対する粘着テープ9の有無を判定する。そのため、制御部60は、撮像部40からの画像を受信し、当該画像を処理可能に構成されている。撮像部40が撮像した画像は、有線通信により送信されてもよいし、無線通信により送信されてもよい。このような制御部60としては、例えば、所定のプログラムを必要に応じて実行するコンピュータを用いることができる。なお、制御部60が行う画像処理の詳細については後述する。
【0026】
(2)異物検査装置100を用いた異物検査方法例
本実施形態の異物検査装置100を用いて行われる、電気ニッケル1に対する粘着テープ9混入の有無についての検査方法の一例について説明する。
【0027】
図5は、本実施形態の異物検査方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態の異物検査方法は、例えば、撮像工程S101と、画像受信・処理工程S102と、異物判定工程S103と、を有する。
【0028】
(撮像工程S101)
撮像部40は、傾斜面25上の領域25aを通過する電気ニッケル1および電気ニッケル1の背景である領域25aを撮像し、撮像したデジタル画像(撮像画像)を制御部60へ送信する。本ステップで撮像された画像は、例えば、画像を構成する各画素の色を、赤(Red)、緑(Green)、及び青(Blue)の三原色で表したRGB画像である。
【0029】
(画像受信・処理工程S102)
制御部60は、撮像画像を受信し、不図示の記憶領域に格納する。その後、制御部60は、記憶領域から随時撮像画像を取り出し、撮像画像を構成する各画素のRGB色空間の色情報を、L*a*b*色空間の色情報に変換し、L*値、a*値、b*値(L*a*b*値)を取得する。この変換は、市販のソフトを使用してもよい。L*a*b*表色系は、例えばJIS Z 8781‐4に紹介されており、L*a*b*色空間では明度をL*、色相と彩度を示す色度をa*、b*で示している。L*が大きくなると明るく、小さくなると暗くなり、+a*は赤方向、-a*は緑方向、+b*は黄方向、-b*は青方向を示している。
【0030】
その後、予め設定した閾値に基づき、撮像画像を画素毎に二値化した二値化画像を作成する(二値化処理)。本実施形態では、例えば、電気ニッケル1は、チャコールグレー色、すなわち無彩色により構成されているので、a*値、b*値のいずれも0である。これに対し、粘着テープ9は、例えば、緑色、すなわち有彩色により構成されているので、a*値、b*値のいずれも0ではない(例えば、a*値は、マイナスの値であり、b*値は、0以外のプラスまたはマイナスの値である)。これらにより、閾値を、例えば、a*値=0、b*値=0に設定し、撮像画像を二値化する。具体的には、撮像画像のうち、a*値、b*値のいずれも0である画素部分を例えば「黒」に変換し、a*値、b*値のいずれも0でない画素部分を例えば「白」に変換する。本実施形態では、領域25aと電気ニッケル1は同色なので、領域25aについては閾値設定について考慮する必要がない。つまり、電気ニッケル1と粘着テープ9の2つの色情報に応じて閾値を設定すればよいので、二値化処理を簡素な手順によって実現することができる。
【0031】
(異物判定工程S103)
制御部60は、二値化画像に基づいて、電気ニッケル1に粘着テープ9が混入しているか否かを判定する。具体的には、二値化画像を構成する各画素のうち、「白」に変換された領域を検出した場合は、電気ニッケル1に粘着テープ9が混入していると判定する。「白」に変換された領域を検出せず、「黒」に変換された領域のみと認定した場合には、電気ニッケル1に粘着テープ9が混入していないと判定する。電気ニッケル1に粘着テープ9が混入しているとの判定があった場合は、アラーム70を作動させ、例えば警報音や警告ランプ等の点灯、点滅により判定結果を作業員に知らせたり、コンベア200を停止させたりしてもよい。
【0032】
(3)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0033】
(a)本実施形態の異物検査装置100は、コンベア200により搬送される電気ニッケル1を受け取り、電気ニッケル1を通過させる傾斜面25を有する傾斜部20を備えて構成されている。このように、例えば、既存のコンベアに後付けできる簡素な構成にすることにより、煩雑な工事等も不要で、経済的な負担も少ない異物検査装置100を提供することができる。
【0034】
(b)また、本実施形態の傾斜面25は、電気ニッケル1の自重を利用して電気ニッケル1を通過させる傾斜角で配置されている。このように、傾斜面25において、電気ニッケル1を自重落下させる簡素な構成とすることにより、煩雑な工事等も不要で、より経済的な負担も少ない異物検査装置100を提供することができる。
【0035】
(c)本実施形態では、電気ニッケル1が撮像される際に電気ニッケル1とともに撮像される傾斜面25における領域25aは、電気ニッケル1と同色により構成されている。これにより、領域25aや電気ニッケル1と異なる色により構成されている粘着テープ9の検出を容易に行うことができる。具体的には、電気ニッケル1に混入された粘着テープ9の検出において、撮像画像の色情報に基づき閾値を設定し、撮像画像を二値化処理する際に、領域25aと電気ニッケル1は同色なので、領域25aについては閾値設定について考慮する必要がない。つまり、電気ニッケル1と粘着テープ9の2つの色情報に応じて閾値を設定すればよいので、二値化処理を簡素な手順によって実現することができる。
【0036】
(d)なお、本実施形態の傾斜面25は、電気ニッケル1と同じ金属であるニッケルにより構成されているので、容易に、領域25aと電気ニッケル1とを同色により構成することができる。
【0037】
本実施形態では、領域25aを、検査対象物の色に合わせた任意の色に構成することができる。これにより、電気ニッケル1とは異なる色で構成された検査対象物を検査する場合にも、当該検査対象物の色と同色の領域25aを有する傾斜部20を用いることで対応することができる。例えば、電気ニッケル1に対する異物混入検査を行った後に、電気ニッケル1とは異なる色で構成された検査対象物に対する異物混入検査する場合に、当該検査対象物と同色に構成された領域25aを有する傾斜部20に取り換えることにより対応することができる。このように、既存のコンベアに取り付ける傾斜部20を変更するだけで、異なる検査対象物に対応することができる。またこのとき、傾斜部20を変更せずそのまま使用し、領域25aに当該検査対象物と同色の布やビニール(樹脂)等を貼り付ける等してもよい。これにより、より簡素な作業で検査対象物の変更に対応することができる。
【0038】
(e)本実施形態の異物検査装置100は、撮像部40により撮像される電気ニッケル1に対して、ライン状の光を照射するライン照明部50を備えているので、撮像される電気ニッケル1をピンポイントにライティングすることができ、明瞭な画像を撮像できる。
【0039】
また、ライン照明部50と撮像部40は、それぞれ、その照射方向と撮像方向が、傾斜面25と直交する方向となる位置に配置されているので、電気ニッケル1の全体を影の少ないより明瞭な状態で撮像できる。
【0040】
(f)本実施形態における制御部60が、電気ニッケル1に粘着テープ9が混入していると判定したときに、コンベア200の動作を停止させることにより、容器30に収容される電気ニッケル1の数が増加するのをストップさせることができる。これにより、例えば、作業員が容器30の中から該当する電気ニッケル1を見つけるのを容易にすることができる。
【0041】
(g)本実施形態における制御部60が、電気ニッケル1に粘着テープ9が混入していると判定したときに、アラーム70を作動させることにより、判定結果をすばやく作業員に知らせて、容器30の中にある該当する電気ニッケル1を取り出させることができる。
【0042】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0043】
上述の実施態様では、検査対象物として電気ニッケル1を、異物として粘着テープ9を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、検査対象物として電気ニッケル1以外のものを用いてもよいし、異物として粘着テープ9以外のものを用いてもよい。また、検査対象物が、チャコールグレー以外の色により構成されてもよいし、異物が、緑色以外の色により構成されてもよい。この場合でも、検査対象物について想定される色値情報と異物について想定される色値情報に基づいて、適切な閾値を設定することにより、二値化処理を良好に行うことができる。
【0044】
また、上述の実施形態では、L*a*b*表色系を用いて色差の計算や二値化処理をする場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、RGB表色系、CMYK表色系等他の表色系を用いて色差の計算や二値化処理をしてもよい。ただし、L*a*b*表色系を用いた場合は、1つのL*a*b*値を取得すれば、使用する表示デバイス等にかかわらず同じ色しか表示されないのに対し、RGB表色系等を用いた場合には、1つのRGB値等を取得しても、使用する表示デバイスによって異なる色が表示されることがあるので、信頼性の高い画像データを得る点では、L*a*b*表色系を用いることが好ましい。また、L*a*b*表色系は、RGB表色系等に比べて、色再現領域が広い点でも好ましい。
【0045】
また、上述の実施形態では、傾斜面25(領域25a)が、電気ニッケル1と同じ金属であるニッケルにより構成されている場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、傾斜面25(領域25a)が、電気ニッケル1と同じ色により構成されていれば、電気ニッケル1と同じ金属により構成されなくてもよい。また、領域25aが、電気ニッケル1(検査対象物)と同じ色により構成されていれば、領域25aと領域25a以外の傾斜面25とが、同じ材料により構成されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 電気ニッケル(検査対象物)
9 粘着テープ(異物)
20 傾斜部
25 傾斜面
25a 領域(被撮像領域)
40 撮像部
50 ライン照明部
60 制御部
70 アラーム
100 異物検査装置
200 コンベア