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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000999
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】試験測定システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 23/16 20060101AFI20231226BHJP
   G01R 13/20 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G01R23/16 D
G01R13/20 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023101876
(22)【出願日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】63/353,956
(32)【優先日】2022-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/211,410
(32)【優先日】2023-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン・イー・パターソン
(72)【発明者】
【氏名】カン・タン
(57)【要約】
【課題】元のデータ・セットの主成分分析(PCA)に基づいて出力を生成する。
【解決手段】システム900には、データ・セット・ドメインにおいて少なくとも2セットのデータ・セットを含むデータ・セットを受けるポート902がある。主成分抽出部932は、主成分分析を用いてデータ・セットから少なくとも2つの主成分を導出する。少なくとも2つの主成分は互いに直交している。PCマッパ934は、データ・セットを、少なくとも2つの主成分から導出された主成分ドメインにマッピングする。データ生成部936は、主成分ドメインにおいて追加データを生成する。リマッパ938は、主成分ドメインの追加データを、新たに生成されたデータ・セットとしてデータ・セット・ドメインに再マッピングする。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ・セット・ドメインにおいて少なくとも2セットのデータを含むデータ・セットを受ける入力部と、
1つ以上のプロセッサと
を具え、
該1つ以上のプロセッサが、
主成分分析を使用してデータ・セットから互いに直交する少なくとも2つの主成分を導出する処理と、
上記少なくとも2つの主成分に由来する主成分ドメインに上記データ・セットをマッピングする処理と、
上記主成分ドメインにおいて追加データを生成する処理と、
上記主成分ドメインにおける上記追加データを新たに生成されたデータ・セットとして上記データ・セット・ドメインに再マッピングする処理と
を行うよう構成される試験測定システム。
【請求項2】
上記主成分ドメインにおいて生成された上記追加データは、上記主成分ドメインにおいて標準分布又は非標準分布を有するデータから生成される請求項1の試験測定システム。
【請求項3】
上記新たに生成されたデータ・セットから信号を生成するように構成された信号生成部を更に具える請求項1の試験測定システム。
【請求項4】
少なくとも2セットのデータを含む上記データ・セットが、上記入力部で受信された元の信号から生成されたものである請求項3の試験測定システム。
【請求項5】
上記入力部で受信した信号を測定するように構成された測定ユニットを更に具える請求項4の試験測定システム。
【請求項6】
上記システムは、生成された信号が1つ以上の信号定義に適合することを保証するように構成された信号検証部を更に具える請求項3の試験測定システム。
【請求項7】
データ・セット・ドメインにおいて少なくとも2セットのデータを含むデータ・セットを受ける処理と、
主成分分析を用いて上記データ・セットから互いに直交する少なくとも2つの主成分を導出する処理と、
上記少なくとも2つの主成分に由来する主成分ドメインにデータ・セットをマッピングする処理と、
上記主成分ドメインにおいて追加データを生成する処理と、
上記主成分ドメインにおける上記追加データを新たに生成されたデータ・セットとして上記データ・セット・ドメインに再マッピングする処理と
を具える試験測定方法。
【請求項8】
上記主成分ドメインにおいて生成された上記追加データは、上記主成分ドメインにおいて標準分布又は非標準分布を有するデータから生成される請求項7の試験測定方法。
【請求項9】
上記新たに生成されたデータ・セットから信号を生成する処理を更に具える請求項7の試験測定方法。
【請求項10】
入力信号から少なくとも2セットのデータを含む上記データ・セットを生成することを更に具える請求項7の試験測定方法。
【請求項11】
入力信号を受ける処理と、
上記入力信号に対して1つ以上の測定を実行する処理と、
上記入力信号の1つ以上の測定値から少なくとも2セットのデータを含むデータ・セットを生成する処理と
を更に具える請求項7の試験測定方法。
【請求項12】
上記生成された信号を1つ以上の信号定義に対して検証する処理を更に具える請求項9の試験測定方法。
【請求項13】
コンピューティング・デバイスの1つ以上のプロセッサによって実行されると、上記コンピューティング・デバイスに請求項7から12のいずれかの方法を実行させるコンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、試験測定システム及び方法に関し、より詳細には、信号生成のために主成分分析を使用する試験測定システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
試験データは、様々な目的で生成される。機械学習(ML)ワークフローをトレーニングするためにも生成され、これは、トレーニング・システムのために、大量の又は非常に大量のデータを使用する。デバイスの特定の動作をモデル化するためのデータも生成されても良い。更に、データは、任意波形発生装置(Arbitrary Waveform Generator:AWG)によって生成されるような特定の試験信号を生成する際の主要なステップ信号として使用することができる。これら全ての場合において、高次元データのモデル化は、生成されるデータが、正確でありながら、試験に使用される変動性を含むことを保証するために、複雑なタスクである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2022-509267号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「テクトロニクス社製オシロスコープ」の紹介サイト、テクトロニクス、[online]、[2023年6月15日検索]、インターネット<https://www.tek.com/ja/products/oscilloscopes>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的なアプローチとしては、生成されるデータの基礎を形成する観測された測定値を独立したものとして扱うこと、又は、補間、ライン・フィッティング(line fitting)、摂動法などの形式で、複雑な数学を使用して、特定の測定値間の関係を解くことがある。これらのアプローチはいずれも、不正確な結果を生じるか、又は、正確な結果を達成するためにかなりの処理を必要とするので、理想的なものではない。
【0006】
本開示による実施形態は、従来の測定装置に見られるこれら及び他の制約に取り組むものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態には、元のデータ・セットの主成分分析(PCA:Principal Component Analysis)に基づいて出力を生成するデータ生成又は信号生成がある。PCAは、通常、被試験デバイス(DUT)やその他のソースからの測定データによって生成されたデータ・セットなど、大規模なデータ・セットに対して動作する。PCAに使用されるデータ・セットは、以前に収集されたデータを格納するデータベースから取得することもできる。最初のステップとして、これらのデータ・セットに対してPCAを実行すると、データに含まれる測定値など、データに関する最も多くの情報を含む変数に関する洞察が得られる。概して、PCAは、データの行列の分解であり、これにより、ユーザは、主成分(Principal Component:PC)ドメイン(測定データを生成した測定ドメインとは異なるドメイン又は元のデータ・セットの元のドメインとは異なるドメイン)の測定値を分析して洞察を抽出できる。いくつかの点で、元のドメインからPCドメインにデータを再マッピングするPCAの機能は、例えば、時間ドメインで収集されたデータを周波数ドメインの測定値に再特性化するフーリエ変換に似ている。PCAツールを使用すると、ユーザは、PCA分析なしでは認識できなかった特定の測定値又は関連データに関する関係を識別できる場合がある。PCA分析は、複数の変数を分析し、どの変数が互いに相関しているかを判断するのに特に強力である。次に、PCAの後の2番目のステップとして、PCドメイン自体内で何らかの方法でデータを変更して、変更されたデータを作成する。常にではないが、通常、変更されたデータは、元のデータよりも大きなデータ・セットである。最後に、変更されたデータは、PCドメインから元のドメインにマッピングされ、そこで試験、トレーニング又はその他の様々な用途のための新しいデータ・セットになる。これら全てのステップとプロセスの詳細とバリエーションについては、以下で詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、主成分分析を用いるシステムが、本開示技術の実施形態に従って、そのような分析をデータの集合にどのように適用するかを示すグラフである。
図2図2は、本開示技術の実施形態による主成分分析を実施することがあるデータの集合のグラフである。
図3A図3Aは、データ・セットの個別データのグラフである。
図3B図3Bは、データ・セットの個別データのグラフである。
図3C図3Cは、従来法によるデータの合成を示す。
図3D図3Dは、従来法によるデータの合成を示す。
図4A図4Aは、図3A及び図3Bのデータ・セットの第1主成分のグラフである。
図4B図4Bは、図3A及び図3Bのデータ・セットの第2主成分のグラフである。
図4C図4Cは、本開示技術の実施形態による主成分ドメインにおけるデータ生成方法を用いたデータ合成を示す。
図4D図4Dは、本開示技術の実施形態による主成分ドメインにおけるデータ生成方法を用いたデータの合成を示す。
図5A図5Aは、本開示技術の実施形態による、主成分ドメインにおけるデータ生成方法を用いて合成されたデータ・セットに対してマッピングされた従来生成データ・セットの例を示す。
図5B図5Bは、本開示技術の実施形態による、主成分ドメインにおけるデータ生成方法を用いて合成されたデータ・セットに対してマッピングされた従来生成データ・セットの例を示す。
図5C図5Cは、本開示技術の実施形態による、主成分ドメインにおけるデータ生成方法を用いて合成されたデータ・セットに対してマッピングされた従来生成データ・セットの例を示す。
図6A図6Aは、直交する測定値のヒストグラムの例を示す。
図6B図6Bは、本開示技術の実施形態による主成分ドメインにおけるデータ生成方法に使用される主成分ヒストグラムを示す。
図6C図6Cは、直交する測定値のヒストグラムの例を示す。
図6D図6Dは、本開示技術の実施形態による主成分ドメインにおけるデータ生成方法に使用される主成分ヒストグラムを示す。
図7図7は、本開示技術の実施形態による、少数のデバイス・サンプルを用いた主成分ドメインにおけるデータ生成方法を示すチャートである。
図8図8は、本開示技術の実施形態による主成分ドメインを用いたデータ及び信号生成のための動作を示す一例のフローチャートである。
図9図9は、本開示技術の実施形態による主成分分析を含むデータ生成システムの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上述のように、PCAは、データのセットに対して動作する。図1は、PCAの基本的な基礎の1つを示すデータのチャート10である。グラフ10上のデータは、X成分とY成分を持つデータであると仮定する。データは、データのXY成分に従ってチャート10上にマッピングされる。PCAは、座標変換によって測定ドメインから主成分ドメインにデータをマッピングする。主成分軸を見つけるために、以下に説明するプロセスで測定データに対して特異値分解(Singular Value Decomposition)が実行される。主成分軸(この場合は軸20)は、データ・セットのデータが、その特定の軸に投影されたときに最大の分散(variance)を持つ軸になる。データ・セットに対して特異値分解を実行するためには、元のデータに対して任意の方向に軸を生成し、この任意の軸にデータ・セットを投影することを想定しても良い。現在の軸についての投影データの分散が記録され、元のデータを新しい任意の軸に投影することによって、このプロセスが繰り返される。このプロセスは、可能な全ての軸方向で繰り返される。可能な全ての軸が生成されると、各軸の分散データが分析され、元のデータが投影されたときに、分散が最も大きい軸が特定される。分散が最も大きい軸が、主成分軸である。つまり、主成分軸は、測定データの分散が最も大きい方向を向いている。図1のデータ・セットでは、主成分軸は、軸20とラベル付けされており、最も変化の大きいデータの方向を向いている。他の軸も、データ中の各変数(つまり、各測定値(each measurement))につき1つ、生成しても良い。PCAでは、各主成分軸は互いに直交しているため、図1に示すように、2次成分軸30は、主成分軸20に直交している。PCAは、フィード・フォワード・イコライザ(Feed-Forward Equalizer)のタップに関する測定値など、測定値が線形に依存する場合や、様々なレベルの信号で伝送されるデータの場合に特に有益である。なお、PCA分析を用いた可視化を含む測定データの可視化は、測定値の個数が3個以上になると難しくなるが、もっと控えめな個数の測定値を解析するには有用なツールである。PCAが測定データの分析に役立つ理由の1つは、PCAが主成分の階層的な結果を生成することである。このため、ユーザは、PCドメインのデータを変更するときに、主成分をシステマチック(体系的に)に選択して、トレーニング目的又は信号生成の目的で追加のデータ・セットを生成することができる。
【0010】
本願で使用される例の多くは、測定データを元(オリジナル)のデータとして言及しているが、本願に含まれる実施形態は、元のデータとして任意のタイプのデータを使用しても良く、測定データのタイプのみに限定されない。しかし、元のデータについてPCAを使用するには、元のデータに少なくとも2つのデータ・セットが含まれている必要があるという注意点がある。
【0011】
図2は、ノン・リターン・トゥ・ゼロを符号化に使用するシステムから収集されたレベル測定値を有する測定データを示しており、このとき、これらレベルは、線形に依存しており、PCAの例として使用される。レベル1(lvl1)の値は、X軸にグラフ化され、レベル0(lvl0)の値は、Y軸にグラフ化される。このデータは、1000対の線形に依存したデータを使用して生成される。言い換えると、記録された測定値は、数式1に従って、平均とは反対方向に同時に移動する。
[数1]
lvl1=x1+xn
lvl0=x0+xn
ここで、x1は、区間[0.8, 1]中に一様に分布し、x0=-2x1+1、そして、xnは、標準偏差0.1のゼロ平均ガウス・ノイズ(zero-mean gaussian noise)である。
【0012】
図2の測定データの測定ドメインにおける従来のデータ分析は、図3A及び図3Bに例示され、ここで、図3Aのチャートは、測定値レベル1(lvl1)の様々なビニング(ビンに分配、集約)したデータを示し、図3Bのチャートは、測定値レベル0(lvl0)の様々なビニングしたデータを示す。図3C及び3Dは、分布から情報を抽出する(draw)などの従来の方法を使用して、この測定データからより大きなデータ・セットを生成できることを示している。具体的には、図3Cは、図3Aのデータから従来合成されていたデータを示し、図3Dは、図3Bのデータから従来合成されていたデータを示す。概して、lvl1及びlvl0の両方について、この合成データを生成する従来の方法には、当技術分野で知られているように、分布からの情報抽出、補間、ライン・フィッティング、摂動法などがある。この従来の方法でデータを生成することは、図3C及び3Dの合成データのそれぞれが、単一の変数(lvl1又はlvl0)の変化のみを使用して合成されたため、各測定値が互いに独立していることを前提としている。
【0013】
しかし、記録されたデータにPCAを使用すると、従来のツールでは認識できないデータ内の線形関係を明らかにすることができる。これらの関係は、後で、従来の合成データよりも、元のデータの関係をより正確に反映する合成データの大規模なセットを、より良く生成するために使用されても良い。
【0014】
最初に、PCAを実行するために、特異値分解を使用して、元の測定データから主成分を抽出し、上記の主成分軸を決定する。次に、主成分が導出された後、測定ドメインで最初に収集された測定値が主成分(PC)ドメインに投影されるが、このとき、各PCは、複数のレベルの線形な結合である。
【数2】
例えば、数式2を使用すると、レベル[1, -1]Vは、[-0.223, 0.0002]にマッピングされる。
【0015】
第1主成分軸(PC1)と第2主成分軸(PC2)を図2に示するが、これらは、数式2に従って、図2の測定データに対してPCAを行うことによって決定されたものである。なお、図2のPC2軸30は、PC1軸20と直交している。
【0016】
これら主成分(従って、PCドメイン)が導出された後、そして、元の測定データもPCドメインに投影された後、元のデータだけでは不可能なデータ分析が進むことがある。例えば、ヒストグラムが、PCドメイン・データ上に生成されても良い。図4Aは、第1主成分PC1にマッピングされた元のデータの測定値ヒストグラムを示し、図4Bは、第2主成分PC2に投影された後の測定データのヒストグラムを示している。PC2が、PC1と直交していることを上述から思い出してください。
【0017】
元の測定データに関する情報をほとんど提供しなかった図3A及び3Bのプロットとは異なり、図4A及び4Bに示すヒストグラムは、変換されたデータをビニング(binning)した時に明らかになるパターンなど、測定データに関する有用な情報を提供する。図4Aにグラフ化されたPC1のビニング・データは、中央にあるビンの多くが、ビンあたりの測定値がほぼ同じであり、これは、データがPC1に沿って比較的均一に分布していることを示している。著しく異なるのは、図4Bにグラフ化されたPC2のビニング・データである。このデータは、ガウス分布のように見え、より多くのデータ値が、両端部ではなく、中央のビンに配置されている。重要なのは、図4Aに見られるような比較的均一なタイプのデータと、図4Bに見られるようなガウス分布特性を示すデータの両方が、データの「標準」タイプの分布として認識されることである。
【0018】
PCドメインのデータが標準タイプの分布である場合、これらのタイプの分布のいずれかに適合する新しいデータを生成することにより、新しいデータ・セットを主成分ドメインに直接生成できる。例えば、図4Cに示すPC1合成データは、図4Aの元のデータと比較して、それぞれが比較的均一な分布を有する、より多数のヒストグラムを示す。同様に、図4Dに図示されるPC2合成データは、図4Bに図示される元のPC2データに近似するビンを有するヒストグラムを示すが、図4Dでは、そのデータに追加のデータが生成される点で異なる。標準分布を持つ個々のPCドメインの元のデータから新しいデータ・セットを生成する方法には、PCドメインの分布から直接抽出(draw)することが含まれる。更に、標準分布を持たない個々のPCドメインの元のデータからデータを生成することも可能である。非標準分布の場合、追加のデータ・セットを生成する方法には、個々のPCドメインでの補間、ライン・フィッティング、摂動法(perturbating)などがある。
【0019】
新しいデータ・セットがPCドメインで生成された後、これらは、データのソースの元のドメインにマッピングされなおしても良い。
【0020】
図5A、5B及び5Cは、PCAを使用してデータ・セットを合成し、合成したデータを元のドメインに再マッピングすることの利点を示している。図5Aは、図3C及び3Dを参照して上述したように、測定値の分布から抽出された合成データを示す。データがどれほど図2に示されている元のデータ・セットに従っていないか、むしろ、極めて変化に富んでおり、本質的に、ほぼランダムに見えることに注意されたい。これは、レベル1とレベル0の測定値が独立しており、独立して合成されると仮定したために発生したが、実際には、PCAが示すように、これらは互いに関連している。図5Bは、PCドメインで抽出され、特に図4C図4DのPC1とPC2の両方の分布から抽出された合成データを示している。最後に、図5Cは、同じくPCドメインから合成されたデータを示しているが、PC1のみから抽出されたものであり、PC1は、上述のように、元のデータ・セットの主成分である。PC2は、0に設定されている。図5B及び5Cに示されているデータ・セット、即ち、PCドメインに抽出され、元のドメインに再マッピングされたデータ・セットは、特に図5Aの測定分布から抽出されて生成されたデータ・セットと比較した場合、図2に示す元のデータ・セットとはるかに密接に関連している。本開示技術の実施形態を用いて生成されたこれらの新しいデータ・セットは、機械学習システムのトレーニングや、一部(サブセット)のデバイスのみを観察することから複数のデバイスをモデル化するなどの様々な目的に使用できる。これは、本開示技術の実施形態に従って生成されたデータが、追加データにどれほど密接に追跡しているかを考えれば理解できよう。場合によっては、上述の方法を使用して、第1デバイスからのデータを変更することで、第2デバイスの測定を行わずに、第2デバイスのデジタル・ツイン(digital twin:双子のようにデジタル的に再現したもの)を生成することもできよう。
【0021】
元のデータ・セットによく似た新しいデータ・セットを生成する別の用途には、任意波発生装置(AWG:Arbitrary Wave Generator)などを使った信号の生成がある。元のデータ・セットに近いが異なるデータ・セットを生成するのと同様に、元の信号に近いが異なる信号を生成するのは有用である。例えば、第1デバイスからの信号が測定され、その信号を記述する元のデータ・セットに変換されても良い。次いで、上述のPCA技術を用いて、元のデータ・セットによく似つつも異なるデータ・セットを生成するのに、本開示による実施形態を使用しても良い。次に、この合成されたデータ・セットを信号に変換し直すことで、AWGなどの装置が、元の信号とは異なるものの、元の信号に基づく複数の異なる信号を生成できる。このように、このようなAWGを使用して、デバイスからの元の信号に基づいて、エッジ試験又はデバイスの様々なパラメータの試験のために、複数の異なる信号を生成することもできる。
【0022】
図6A~6Dは、測定値の別の例と、これらがPCドメインで互いにどのように関連しているかを示す。図6A図6Cは、互いに直交する測定値であるランダム・ジッタ(RJ)と正弦波ジッタ(SJ)の測定ドメインのヒストグラムを示している。PCAが、RJ及びSJについて計算される場合、PC1はSJに等しく、PC2はRJに等しいことに注意されたい。この例では、SJは、より多くのバリエーションがあるため、PC1に割り当てられている。従って、これら測定値が直交している場合、PC分布から抽出(draw)して新しいデータ・セットを生成することは、測定値分布から抽出して新しいデータ・セットを作成することと同じである。
【0023】
図7は、PCドメインでの処理を使用して、データ・セットを生成する更に別の例を示す。この図は、4つのデバイスに関する最初の2つの主要成分PC1とPC2を示している。この例では、デバイスごとに9つのサンプルしかなく、これは、データ・セットを生成する統計分析のためには、サンプル数が限られている。サンプルが限られる場合、分布は任意の形状をしているため、一般に「標準」ではない。一例として、目標が、4つの測定されたデバイスから約200台のデバイスのデータ・セットを合成することである場合、本開示による実施形態は、各デバイスに50個の摂動(perturbation:わずかな変化)を発生させて、合計200個のデバイスを得ることができる。前の例と同様に、摂動は、主成分ドメインで実行される。
【0024】
図8は、本開示技術の実施形態による主成分分析を用いて、試験データを生成するための処理を示す一例のフロー図である。フロー800は、少なくとも2セットのデータ又は測定値を含む元のデータのセットを調達する工程802で開始される。2つの元のデータ・セットは、試験データ、測定データ又は任意のタイプのデータである。データは、DUTなどの別のデバイスから受信されても良いし、以前に記憶されたデータのデータベース801から取り出されても良い。データが収集されると、工程804において、データに対してPCAが実行され、上述のように、元のデータが、その元のドメインから主成分ドメインに変換される。生成できる主成分の数は、元のデータ内の独立したセット又は測定値の数に制限される。例えば、元のデータに3つの測定値が含まれている場合、上記のプロセスを使用して、最大3つの主成分を生成できる。
【0025】
工程804において、元のデータがPCドメインにマッピングされた後、データは、工程806においてPCドメインにおいて分析され、特定のドメインについてのデータが標準分布であるかどうかが判断される。標準分布には、一様な分布若しくはガウス分布、又は、これらの標準分布に近似する分布が含まれることを上述から思い出してください。特定のドメインのデータが標準分布である場合、工程808において、新しいデータが、PCドメインで生成される。この一例としては、図4A図4Dを参照して先に提供したものがある。これに代えて、特定のドメインのデータが標準分布でない場合、データは、工程807において、PCドメインにおいて拡張される。このような拡張としては、変数を摂動させる処理や、補間、ライン・フィッティングを使用してPCドメインにおいてデータを変更する処理が含まれても良い。PCドメインにおける摂動法の例としては、図6A~6Dを参照して先に提供したものがある。工程807において拡張されたら、次に、上述のようにPCドメインにおいて新しいデータが生成されても良い。
【0026】
次に、新しいデータがどのようにしてPCドメインにおいて生成されたにしても、つまり、工程807又は808のいずれを使用したとしても、新しく生成されたデータは、次いで、工程810において、その元のドメインに再度マッピングされる。この工程は、PCドメインの生成に使用した形式の逆行列を使用し、次いで、数式2で使用した平均値を加算して処理される。
【0027】
いくつかの実施形態では、フロー800が、新たに生成されたデータで停止し、このデータを本願に記載される様々な目的のために使用しても良い。別の実施形態では、新たに生成されたデータが、信号を生成するために使用される。これらの実施形態では、新しい信号は、工程812において生成される。概して、工程802で収集された元のデータ・セットを生成するために信号の測定値が使用された場合に、工程812において、信号が生成される。最後に、工程812で生成された信号は、妥当なものか検証(validate)される。この信号は、開示技術の実施形態を用いて合成されたので、合成波形と呼ばれることがある。この検証には、合成波形が最大電圧、最小又は最大タイミングなどの特定の要件に準拠しているか確認することが含まれても良い。図8には図示されていないが、合成波形又は工程812において合成波形を生成するために使用されるデータは、記憶データのデータベース802に記憶されて、再度使用されても良い。
【0028】
このように、上述の技術を用いて、任意の所望の量の試験データを、元のデータ・セットからPCAを用いて生成しても良い。生成されたデータ・セットは、元のデータ・セットを正確に反映しているため、生成されたデータ・セットは、元のデータ・セットのデータ内の相関関係を保持する。
【0029】
本開示技術の実施形態は、特定のハードウェアやソフトウェア上で動作して、上述のPCA処理を実現する。図9は、元のデータ・セットからデータ・セットを生成するための一例の試験測定システム900のブロック図である。システム900は、オシロスコープ又はスペクトラム・アナライザなどの試験測定装置であっても良い。代わりに、システムが、任意波形発生装置であっても良い。システム900は、代わりに、クラウド処理を使用して実装されても良い。システム900は、実装の詳細に応じて、多くの形態をとり得る。システム900は、データ・セットを受信するための1つ以上のポート902を有していても良い。いくつかの実施形態では、データ・セットは、入力ポート902を介して直接システム900にインポートされる。別の実施形態では、データ・セットは、被試験デバイス(DUT)990からの入力信号の形態であり、この場合、ポート902は、レシーバやトランシーバを有していても良い。
【0030】
ポート902は、ポート902で受信されたデータ・セットや信号を処理するために、1つ以上のプロセッサ916と結合される。図示を簡単にするために図9では、1つのプロセッサ916のみが示されているが、当業者には理解されるように、単一のプロセッサ916ではなく、様々なタイプの複数のプロセッサ916をシステム900内で組み合わせて使用しても良い。
【0031】
ポート902は、試験システム900内の測定ユニット908に接続されても良い。測定ユニット908は、ポート902を介して受信された信号の特性(例えば、電圧、アンペア数、振幅、電力、エネルギーなど)を測定できる任意の構成要素を含むことができる。試験測定システム900は、更なる分析のために受信信号を波形に変換するためのコンディショニング回路、アナログ・デジタル・コンバータや他の回路などの追加のハードウェアやプロセッサを有していても良い。この測定ユニット908は、1つ以上のプロセッサ916で使用するためや、以下に説明される主成分プロセッサ930で使用するために、データの2つ以上のセットを含むデータ・セットを生成する。
【0032】
いくつかの実施形態では、データ・セットが、入力ポート902を通じて取り出されず、入力ポートを通じて受信された信号から測定されることもなしに、システム900内にあるか又は外部データベースであっても良いデータ・セット・ストア920から取り出される。
【0033】
1つ以上のプロセッサ916は、メモリ910からの命令を実行するように構成されてもよく、測定装置が受信した入力信号の表示及び変更など、そのような命令によって示される任意の方法や関連するステップを実行しても良い。メモリ910は、プロセッサ・キャッシュ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ソリッド・ステート・メモリ、ハード・ディスク・ドライブ、又は、他の任意のメモリ形式として実装されても良い。メモリ910は、取得したサンプル波形、コンピュータ・プログラム・プロダクト及び他の命令などのデータを記憶するための媒体として機能する。
【0034】
ユーザ入力部914は、プロセッサ916に結合される。ユーザ入力部914は、システム900をセットアップ及び制御するためにユーザが利用できるキーボード、マウス、タッチスクリーンや他の任意の操作装置を有していても良い。ユーザ入力部914は、ディスプレイ912と連動して操作されるグラフィカル・ユーザ・インタフェース又はテキスト/文字インタフェースを有していても良い。ユーザ入力部914は、遠隔コマンド又はプログラム形式のコマンドを、測定装置100自体上で又は遠隔装置から受信しても良い。ディスプレイ912は、波形、測定値及び他のデータをユーザに表示するデジタル・スクリーン、ブラウン管ベースのディスプレイ又は他の任意のモニタであっても良い。試験システム900の構成要素は、試験測定システム900内に統合されているものとして描かれているが、当業者であれば、これらの構成要素のいずれかが試験システム900の外部にあっても良く、任意の従来の方法(例えば、有線や無線の通信媒体やメカニズム)で試験測定システム900に結合できることが理解できよう。例えば、いくつかの実施形態では、ディスプレイ912は、試験測定システム900から遠隔にあっても良いし、又は、測定装置は、システム900上で表示することに加えて、リモート・デバイスに出力を送信するように構成されても良い。更なる実施形態では、試験測定システム900からの出力は、クラウド・デバイスなどのリモート・デバイスに送信又は格納されても良く、クラウド・デバイスは、クラウド・デバイスに結合された他のマシンからアクセス可能である。
【0035】
システム900は、主成分プロセッサ930を含んでもよく、これは、上述した1つ以上のプロセッサ916とは別のプロセッサであっても良いし、又は、主成分プロセッサ930の機能が、1つ以上のプロセッサ916に統合されても良い。更に、主成分プロセッサ920は、別個のメモリを有しても良いし、上述のメモリ910を使用しても良いし、又は、システム900によってアクセス可能な他の任意のメモリを有していても良い。主成分プロセッサ920は、上述の機能を実装するための専用プロセッサ又は専用処理を有していても良い。例えば、主成分プロセッサ920には、データ・セットに対する主成分分析を実行するために使用される主成分抽出部932があっても良く、データ・セットは、測定データを有していても良い。主成分抽出部932は、上述した元のデータ・セットに対して特異値分解処理を実行しても良い。次いで、主成分ドメイン・マッパ934が、データ・セット・ドメインからの元のデータ・セットのデータを、主成分抽出部932によって導出された主成分ドメインにマッピングする。データ・セット・ドメインとは、データが元々存在していたドメインを意味する。例えば、このドメインは、測定データの測定ドメインであっても良い。データ・セットのデータが主成分ドメインにマッピングされると、データ生成部936は、上述したように、主成分ドメインにおいて更なるデータを生成する。次いで、新しいデータが生成された後、オリジナル・ドメイン・リマッパ938は、データ生成部936によって生成された新しいデータを含む、主成分ドメインに基づくデータを元の(オリジナルの)データ・セットの元の(オリジナルの)ドメインに再マッピングする。このようにして、主成分プロセッサは、元のデータ・セットに緊密に追従し、関係を維持している合成データ・セットを生成する。
【0036】
主成分抽出部932、主成分マッパ934、データ生成部936及びオリジナル・ドメイン・リマッパ938を含む、主成分プロセッサ930の構成要素のいずれか又は全ては、1つ以上の別個のプロセッサで具現化されてもよく、本願に記載される個別の機能性は、専用又は汎用プロセッサの特定の予めプログラムされた動作として実装されても良い。更に、上述したように、主成分プロセッサ930の構成要素又は機能性のいずれか又は全ては、システム900を動作させる1つ以上のプロセッサ916に統合されても良い。
【0037】
本開示技術の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本開示技術の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本開示技術の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0038】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含んでいても良い。
【0039】
コンピュータ記憶媒体とは、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は除外される。
【0040】
通信媒体とは、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含んでも良い。

実施例
【0041】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0042】
実施例1は、システムであって、データ・セット・ドメインにおいて少なくとも2セットのデータを含むデータ・セットを受ける入力部と、1つ以上のプロセッサとを具え、該1つ以上のプロセッサが、主成分分析を使用してデータ・セットから互いに直交する少なくとも2つの主成分を導出する処理と、上記少なくとも2つの主成分に由来する主成分ドメインに上記データ・セットをマッピングする処理と、上記主成分ドメインにおいて追加データを生成する処理と、上記主成分ドメインにおける上記追加データを新たに生成されたデータ・セットとして上記データ・セット・ドメインに再マッピングする処理とを行うよう構成される。
【0043】
実施例2は、実施例1によるシステムであって、上記主成分ドメインにおいて生成された上記追加データは、上記主成分ドメインにおいて標準分布を有するデータから生成される。
【0044】
実施例3は、先の実施例のいずれかによるシステムであって、上記主成分ドメインにおいて生成された上記追加データは、主成分ドメインにおいて非標準分布を有するデータから生成される。
【0045】
実施例4は、先の実施例のいずれかによるシステムであって、信号生成部を更に具える。
【0046】
実施例5は、実施例4によるシステムであって、上記信号生成部は、上記新たに生成されたデータ・セットから信号を生成するように構成される。
【0047】
実施例6は、実施例5によるシステムであって、少なくとも2セットのデータを含む上記データ・セットが、上記入力部で受信された元の信号から生成されたものである。
【0048】
実施例7は、実施例6によるシステムであって、入力部で受信された信号を測定するように構成された測定ユニットを更に具える。
【0049】
実施例8は、実施例5に係るシステムであって、このシステムは、生成された信号が1つ以上の信号定義に適合することを保証するように構成された信号検証部を更に具える。
【0050】
実施例9は、方法であって、データ・セット・ドメインにおいて少なくとも2セットのデータを含むデータ・セットを受ける処理と、主成分分析を用いて上記データ・セットから互いに直交する少なくとも2つの主成分を導出する処理と、上記少なくとも2つの主成分に由来する主成分ドメインにデータ・セットをマッピングする処理と、上記主成分ドメインにおいて追加データを生成する処理と、上記主成分ドメインにおける追加データを新たに生成されたデータ・セットとしてデータ・セット・ドメインに再マッピングする処理とを具える。
【0051】
実施例10は、実施例9による方法であって、上記主成分ドメインにおいて生成された上記追加データが、上記主成分ドメインにおいて標準分布を有するデータから生成される。
【0052】
実施例11は、先の実施例の方法のいずれかによる方法であって、上記主成分ドメインにおいて生成された上記追加データが、上記主成分ドメインにおいて非標準分布を有するデータから生成される。
【0053】
実施例12は、先の実施例方法のいずれかによる方法であって、上記新たに生成されたデータ・セットから信号を生成する処理を更に具える。
【0054】
実施例13は、先の実施例の方法のいずれかによる方法であって、入力信号から少なくとも2セットのデータを含むデータ・セットを生成する処理を更に具える。
【0055】
実施例14は、先の実施例の方法のいずれかによる方法であって、入力信号を受ける処理と、上記入力信号に対して1つ以上の測定を実行する処理と、上記入力信号の1つ以上の測定値から少なくとも2セットのデータを含むデータ・セットを生成する処理とを更に具える。
【0056】
実施例15は、実施例12の方法による方法であって、1つ以上の信号定義に対して生成された信号を検証する処理を更に具える。
【0057】
実施例16は、1つ以上の命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、上記1つ以上の命令がコンピューティング・デバイスの1つ以上のプロセッサによって実行されると、データ・セット・ドメインにおいて少なくとも2セットのデータを含むデータ・セットを受ける処理と、主成分分析を用いて上記データ・セットから互いに直交する少なくとも2つの主成分を導出する処理と、上記少なくとも2つの主成分に由来する主成分ドメインにデータ・セットをマッピングする処理と、上記主成分ドメインにおいて追加データを生成する処理と、上記主成分ドメインにおける上記追加データを新たに生成されたデータ・セットとしてデータ・セット・ドメインに再マッピングする処理とを上記コンピューティング・デバイスに行わせる。
【0058】
実施例17は、請求項16による非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、上記1つ以上の命令が実行されると、上記主成分ドメインにおいて標準分布を有するデータを使用して、上記主成分ドメインにおいて追加データを生成する処理を上記コンピューティング・デバイスに行わせる。
【0059】
実施例18は、任意の先行する記憶媒体の例による非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、上記1つ以上の命令が実行されると、上記主成分ドメインにおいて非標準分布を有するデータを使用して、上記主成分ドメインにおいて追加データを生成する処理を上記コンピューティング・デバイスに行わせる。
【0060】
実施例19は、任意の先行する記憶媒体の例による非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、上記1つ以上の命令が実行されると、上記新たに生成されたデータ・セットから信号を生成する処理を上記コンピューティング・デバイスに行わせる。
【0061】
実施例20は、実施例19による非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、上記1つ以上の命令が実行されると、生成された信号を検証して、生成された信号が1つ以上の信号定義に適合することを保証にする処理を上記コンピューティング・デバイスに行わせる。
【0062】
開示された本件の上述のバージョンは、記述したか又は当業者には明らかであろう多くの効果を有する。それでも、開示された装置、システム又は方法のすべてのバージョンにおいて、これらの効果又は特徴のすべてが要求されるわけではない。
【0063】
加えて、本願の説明は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様又は実施例に関連して開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様及び実施例との関連においても利用できる。
【0064】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
【0065】
説明の都合上、本発明の具体的な実施例を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本発明は、添付の請求項以外では、限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0066】
900 試験測定システム
902 入力ポート
903 出力ポート
908 測定ユニット
910 メモリ
912 ディスプレイ
914 ユーザ入力部
916 プロセッサ
920 データ・セット・ストア
930 主要成分プロセッサ
932 主成分抽出部
934 主成分ドメイン・マッパ
936 データ生成部
938 オリジナル・ドメイン・リマッパ
940 波形及び信号生成部
990 データ・セット・ソース(被試験デバイス)
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
【外国語明細書】