(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099906
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】プローバ及びプローブ検査方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20240719BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20240719BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20240719BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R31/28 K
G01R31/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003518
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】110003535
【氏名又は名称】スプリング弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】市川 武清
(72)【発明者】
【氏名】内田 悟史
(72)【発明者】
【氏名】満澤 真吾
(72)【発明者】
【氏名】大竹 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】寺川 康太
【テーマコード(参考)】
2G003
2G132
4M106
【Fターム(参考)】
2G003AA10
2G003AG04
2G003AG12
2G003AG13
2G003AG20
2G132AE04
2G132AF02
2G132AF06
2G132AF07
2G132AL03
4M106AA01
4M106BA01
4M106DD05
4M106DD10
4M106DD23
4M106DH12
4M106DJ07
(57)【要約】
【課題】プローブカードの傾きに左右されることなく、プローブを精度良く検出することができ、ウェーハ上の電極パッドとプローブとの間で良好なコンタクトを実現することができるプローバ及びプローブ検査方法を提供する。
【解決手段】複数の測定部16を備えるプローバ10であって、各測定部16にはウェーハチャック50及びプローブカード56が設けられ、各測定部16間を移動可能に構成されたアライメント装置70を備える。アライメント装置70は、ウェーハチャック50を着脱自在に支持し、プローブカード56に対するウェーハチャック50の相対的な位置合わせを行う。さらにアライメント装置70は、プローブ66の先端位置を検出するプローブ位置検出カメラ82と、ウェーハチャック50とプローブ位置検出カメラ82とを一体に傾斜させる角度傾斜機構76と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の測定部を備え、前記複数の測定部の各々には、ウェーハを保持する保持面を有するウェーハチャックと、前記保持面に対向する面に複数のプローブを有するプローブカードと、が設けられたプローバであって、
前記複数の測定部間を移動可能に構成され、、且つ、移動先測定部において、前記ウェーハチャックを着脱自在に支持し、前記プローブカードに対する前記ウェーハチャックの相対的な位置合わせを行うアライメント装置を備え、
前記アライメント装置は、
前記プローブカードに対向する位置で前記プローブの先端位置を検出するプローブ位置検出カメラと、
前記ウェーハチャックと前記プローブ位置検出カメラとを一体に傾斜させる傾斜機構と、
を有する、プローバ。
【請求項2】
前記アライメント装置は、前記ウェーハチャック及び前記プローブ位置検出カメラを共通に支持する共通支持部を有し、
前記傾斜機構は、前記共通支持部を傾斜させることで、前記ウェーハチャックと前記プローブ位置検出カメラとを一体に傾斜させる、
請求項1に記載のプローバ。
【請求項3】
前記アライメント装置は、前記ウェーハチャックを前記保持面に平行な方向に、前記プローブカードに対して相対的に移動させる移動機構を含み、
前記傾斜機構は、前記移動機構と前記共通支持部との間に設けられる、
請求項2に記載のプローバ。
【請求項4】
前記プローブカードの傾斜角度を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記プローブカードに対して前記保持面が平行となるように前記傾斜機構を制御する制御手段と、
を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載のプローバ。
【請求項5】
前記検出手段は、前記プローブ位置検出カメラの検出結果に基づいて前記プローブカードの傾斜角度を検出する、
請求項4に記載のプローバ。
【請求項6】
前記アライメント装置は、前記プローブの先端部をクリーニングするためのクリーニング板を有し、
前記傾斜機構は、前記ウェーハチャックと一体に前記クリーニング板を傾斜させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載のプローバ。
【請求項7】
複数の測定部を備え、前記複数の測定部の各々には、ウェーハを保持する保持面を有するウェーハチャックと、前記保持面に対向する面に複数のプローブを有するプローブカードと、
前記複数の測定部間を移動可能に構成され、且つ、移動先測定部において、前記ウェーハチャックを着脱自在に支持し、前記プローブカードに対する前記ウェーハチャックの相対的な位置合わせを行うアライメント装置と、を備え、
前記アライメント装置が、前記プローブカードに対向する位置で前記プローブの先端位置を検出するプローブ位置検出カメラと、前記ウェーハチャックを傾斜させる傾斜機構と、を有するプローバにおけるプローブ検査方法であって、
前記プローブカードの傾斜角度を検出する検出ステップと、
前記検出ステップの検出結果に基づいて、前記傾斜機構を制御し、前記プローブカードに対して前記保持面が平行となるように、前記ウェーハチャックと前記プローブ位置検出カメラとを一体に傾斜させる傾斜制御ステップと、
を備える、プローブ検査方法。
【請求項8】
前記検出ステップは、前記プローブ位置検出カメラの検出結果に基づいて前記プローブカードの傾斜角度を検出することを含む、請求項7に記載のプローブ検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローバ及びプローブ検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程は、多数の工程を有し、品質保証及び歩留まりの向上のために、各種の製造工程で各種の検査が行われる。例えば、半導体ウェーハ上に半導体装置の複数の半導体チップが形成された段階で、各半導体チップの半導体装置の電極パッドをテストヘッドに接続し、テストヘッドから電源及びテスト信号を供給し、半導体装置の出力する信号をテストヘッドで測定して、正常に動作するかを電気的に検査するウェーハレベル検査が行われている。
【0003】
ウェーハレベル検査の後、ウェーハはフレームに貼り付けられ、ダイサで個別の半導体チップに切断される。切断された各半導体チップは、正常に動作することが確認された半導体チップのみが次の組み立て工程でパッケージ化され、動作不良のチップは組み立て工程から除かれる。更に、パッケージ化された最終製品は、出荷検査が行われる。
【0004】
ウェーハレベル検査は、ウェーハ上の各半導体チップの電極パッドにプローブを接触させるプローバを使用して行われる。プローブはテストヘッドの端子に電気的に接続され、テストヘッドからプローブを介して各半導体チップに電源及びテスト信号が供給されると共に各半導体チップからの出力信号をテストヘッドで検出して正常に動作するかを測定する。
【0005】
半導体製造工程においては、製造コストの低減のために、ウェーハの大型化や一層の微細化(集積化)が進められており、1枚のウェーハ上に形成されるチップの個数が非常に大きくなっている。それに伴って、プローバでの1枚のウェーハの検査に要する時間も長くなっており、スループットの向上が求められている。そこで、スループットの向上を図るため、多数のプローブを設けて複数個のチップを同時に検査できるようにするマルチプロービングが行われている。近年、同時に検査するチップ数は益々増加し、ウェーハ上のすべての半導体チップを同時に検査する試みも行われている。そのため、電極パッドとプローブを接触させる位置合わせの許容誤差が小さくなっており、プローバにおける移動の位置精度を高めることが求められている。
【0006】
一方、スループットを増加するもっとも簡単な方法として、プローバの台数を増加させることが考えられるが、プローバの台数を増加させると、製造ラインにおけるプローバの設置面積も増加するという問題を生じる。また、プローバの台数を増加させると、その分装置コストも増加することになる。そのため、設置面積の増加や装置コストの増加を抑えてスループットを増加させることが求められている。
【0007】
このような背景のもと、例えば特許文献1には、複数の測定部を備えた試験装置(マルチステージ式のプローバ)が提案されている。この試験装置では、ウェーハとプローブカードとの相対的な位置合わせを行うアライメント装置が各測定部間を相互に移動できるように構成されている。
【0008】
また、プローバでは、正確に測定するためにはプローブとウェーハ上の電極パッドとを均一にコンタクトさせる必要がある。そのため、プローバには、プローブカードとウェーハとを平行にすることが求められている。しかしながら、プローバでは、測定環境が高温、又は低温に温調しながら測定を実行しているため、各部の温度と熱膨張の関係からプローブカードとウェーハとの平行を維持することが難しい。
【0009】
プローブカードとウェーハとの平行を維持するために、例えば、プローブカードを保持する機構側に角度傾斜機構を設けたり、ウェーハチャックを保持する機構側に角度傾斜機構を設けたりすることが考えられる。しかしながら、前者の方法は、特に上述したマルチステージ式のプローバにおいて、測定部毎に角度傾斜機構を設ければならず、後者の方法に比べて構造面やコスト面で不利になる。
【0010】
例えば、特許文献2に開示されたプローバは、ウェーハチャックを保持する機構側に角度傾斜機構を備えている。このプローバは、上方確認カメラによりプローブカードの傾斜の程度を確認し、傾斜の程度に基づいてウェーハを保持するウェーハチャックを傾斜機構により傾けることで、プローブカードとウェーハとの平行を維持することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2014-150168号公報
【特許文献2】特開2017-069427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献2に開示されたプローバでは、ウェーハチャックを傾斜させる場合、ウェーハを搭載するウェーハチャックと上方確認カメラとの間に相対的な位置関係の変化が生じ、プローブを精度良く検出することが困難となり、ウェーハ上の電極パッドとプローブとの間で良好なコンタクトを実現することができなくなるおそれがある。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、プローブカードの傾きに左右されることなく、プローブを精度良く検出することができ、ウェーハ上の電極パッドとプローブとの間で良好なコンタクトを実現することができるプローバ及びプローブ検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1態様のプローバは、複数の測定部を備え、複数の測定部の各々には、ウェーハを保持する保持面を有するウェーハチャックと、保持面に対向する面に複数のプローブを有するプローブカードと、が設けられたプローバであって、複数の測定部間を移動可能に構成され、且つ、移動先測定部において、ウェーハチャックを着脱自在に支持し、プローブカードに対するウェーハチャックの相対的な位置合わせを行うアライメント装置を備え、アライメント装置は、プローブカードに対向する位置でプローブの先端位置を検出するプローブ位置検出カメラと、ウェーハチャックとプローブ位置検出カメラとを一体に傾斜させる傾斜機構と、を有する。
【0015】
第2態様のプローバにおいて、アライメント装置は、ウェーハチャック及びプローブ位置検出カメラを共通に支持する共通支持部を有し、傾斜機構は、共通支持部を傾斜させることで、ウェーハチャックとプローブ位置検出カメラとを一体に傾斜させる。
【0016】
第3態様のプローバにおいて、アライメント装置は、ウェーハチャックを保持面に平行な方向に、プローブカードに対して相対的に移動させる移動機構を含み、傾斜機構は、移動機構と共通支持部との間に設けられる。
【0017】
第4態様のプローバにおいて、プローブカードの傾斜角度を検出する検出手段と、検出手段の検出結果に基づいて、プローブカードに対して保持面が平行となるように傾斜機構を制御する制御手段と、を備える。
【0018】
第5態様のプローバにおいて、検出手段は、プローブ位置検出カメラの検出結果に基づいてプローブカードの傾斜角度を検出する。
【0019】
第6態様のプローバにおいて、アライメント装置は、プローブの先端部をクリーニングするためのクリーニング板を有し、傾斜機構は、ウェーハチャックと一体にクリーニング板を傾斜させる。
【0020】
第7態様のプローブ検査方法は、複数の測定部を備え、複数の測定部の各々には、ウェーハを保持する保持面を有するウェーハチャックと、保持面に対向する面に複数のプローブを有するプローブカードと、複数の測定部間を移動可能に構成され、且つ、移動先測定部において、ウェーハチャックを着脱自在に支持し、プローブカードに対するウェーハチャックの相対的な位置合わせを行うアライメント装置と、を備え、アライメント装置が、プローブカードに対向する位置でプローブの先端位置を検出するプローブ位置検出カメラと、ウェーハチャックを傾斜させる傾斜機構と、を有するプローバにおけるプローブ検査方法であって、プローブカードの傾斜角度を検出する検出ステップと、検出ステップの検出結果に基づいて、傾斜機構を制御し、プローブカードに対して保持面が平行となるように、ウェーハチャックとプローブ位置検出カメラとを一体に傾斜させる傾斜制御ステップと、を備える。
【0021】
第8態様のプローブ検査方法において、検出ステップは、プローブ位置検出カメラの検出結果に基づいてプローブカードの傾斜角度を検出することを含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、プローブカードの傾きに左右されることなく、プローブを精度良く検出することができ、ウェーハ上の電極パッドとプローブとの間で良好なコンタクトを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は本発明の実施形態に係るプローバの全体構成を示した外観図である。
【
図3】
図3は測定ユニットの構成を示した概略図である。
【
図6】
図6はプローブ検査方法の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7はプローブ検査方法を説明するための図である。
【
図8】
図8はプローバのクリーニング板を使用したクリーニング処理を説明するための図である。
【
図9】
図9はプローバのプローブ位置検出カメラの観察方向を外側に向けて観察する場合を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0025】
[プローバ]
図1及び
図2は、本発明の実施形態に係るプローバの全体構成を示した外観図と平面図である。
【0026】
図1及び
図2に示すように、実施形態のプローバ10は、検査するウェーハW(
図4参照)を供給及び回収するローダ部14と、ローダ部14に隣接して配置された測定ユニット12とを備えている。プローバ10は、測定ユニット12が複数の測定部16を備えたマルチステージ式のプローバである。ウェーハWがローダ部14から各測定部16に供給されると、各測定部16はウェーハWの各半導体チップの電気的特性の検査(ウェーハレベル検査)を行う。そして、各測定部16で検査されたウェーハWはローダ部14により回収される。なお、プローバ10は、操作パネル21、各部を制御する制御部90(
図5参照)等も備えている。
【0027】
ローダ部14は、ロードポート18と、搬送ユニット22とを有する。ロードポート18には、ウェーハカセット20が載置される。搬送ユニット22は、各測定部16とウェーハカセット20との間でウェーハWを搬送する。搬送ユニット22は、図示しない搬送ユニット駆動機構を備えており、X軸方向、及びZ軸方向に移動可能に構成されると共に、θ方向(Z軸方向周り)に回転可能に構成されている。また、搬送ユニット22は、上記搬送ユニット駆動機構により前後に伸縮自在に構成された搬送アーム24を備えている。搬送アーム24の上面部には図示しない吸着パッドが設けられており、搬送アーム24は、この吸着パッドでウェーハWの裏面を真空吸着してウェーハWを保持する。これにより、ウェーハカセット20内のウェーハWは、搬送ユニット22の搬送アーム24によって取り出され、その上面に保持された状態で測定ユニット12の各測定部16に搬送される。また、検査の終了した検査済みのウェーハWは逆の経路で各測定部16からウェーハカセット20に戻される。
【0028】
【0029】
図3に示すように、測定ユニット12は、複数の測定部16が多段状に積層された積層構造(多段構造)を有しており、各測定部16はX軸方向及びZ軸方向に沿って2次元的に配列されている。実施形態では、一例として、X軸方向に4つの測定部16がZ方向に3段積み重ねられている。なお、各測定部16は、いずれも同一の構成を有しており、後述するように、テストヘッド54、ウェーハチャック50及びプローブカード56等を備えて構成される。
【0030】
測定ユニット12は、複数のフレームを格子状に組み合わせた格子形状を有する筐体11を備えている。この筐体11は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向にそれぞれ延び、格子状に組み合わされた複数のフレーム13により構成される。
【0031】
アライメント装置70は、それぞれの段毎に設けられており、各階層(各段)に配置された複数の測定部16間で相互に移動可能に構成されている。すなわち、アライメント装置70は、同一の階層(段)に配置される複数(実施形態では4つ)の測定部16間で共有されており、同一の階層に配置された複数の測定部16間を相互に移動する。
【0032】
[測定部]
次に、測定部16の構成について説明する。
図4は、測定部16の構成を示した概略図である。
【0033】
図4に示すように、測定部16は、ウェーハチャック50と、ヘッドステージ52と、テストヘッド54と、プローブカード56と、を備えている。
【0034】
テストヘッド54は、図示しないテストヘッド保持部によりヘッドステージ52の上方に支持されている。テストヘッド54は、プローブカード56のプローブ66に電気的に接続され、電気的特性検査のために各半導体チップに電源及びテスト信号を供給すると共に、各半導体チップからの出力信号を検出して正常に動作するかを測定する。
【0035】
ヘッドステージ52は、筐体の一部を構成するフレーム(不図示)に支持されている。ヘッドステージ52には、ポゴフレーム(不図示)の平面形状に対応した円形状の開口からなるポゴフレーム取付部(不図示)を有する。ポゴフレームのヘッドステージ52への固定方法は特に限定されるものでない。
【0036】
実施形態では、ポゴフレームを図示していないが、ポゴフレームは、テストヘッド54の下面に形成される各端子とプローブカード56の上面に形成される各端子とを電気的に接続する多数のポゴピン(不図示)を備えている。また、ポゴフレームの上面(テストヘッド54に対向する面)及び下面(プローブカード56に対向する面)の外周部には、それぞれリング状のシール部材(不図示)が形成されている。そして、図示しない吸引手段により、テストヘッド54とポゴフレームと上面側シール部材で囲まれた空間、及びプローブカード56とポゴフレームと下面側シール部材で囲まれた空間が減圧されることにより、テストヘッド54、ポゴフレーム、及びプローブカード56が一体化される。
【0037】
プローブカード56は、ウェーハWの各半導体チップの電極パッドに対応した多数のプローブ66を有する。各プローブ66は、プローブカード56の下面(ウェーハチャック50に対向する面)から下方に向けて突出して形成されており、プローブカード56の上面に設けられる各端子に電気的に接続されている。したがって、テストヘッド54、ポゴフレーム(不図示)、及びプローブカード56が一体化されると、各プローブ66は、ポゴフレームを介してテストヘッド54の各端子に電気的に接続される。なお、実施形態のプローブカード56は、検査するウェーハWの全半導体チップの電極パッドに対応した多数のプローブ66を備えており、各測定部16ではウェーハチャック50に保持されたウェーハW上の半導体チップの同時検査が行われる。
【0038】
ウェーハチャック50は、上面にウェーハWを保持する保持面50Aを有する。保持面50Aは平面で構成され、真空吸着等によりウェーハWを吸着して固定する。ウェーハチャック50は、アライメント装置70に着脱自在に支持され、アライメント装置70によってX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びθ方向に移動可能となっている。また、ウェーハチャック50の保持面50A(ウェーハ載置面)の外周部にはリング状のシール部材(不図示)が設けられている。そして、図示しない吸引手段により、プローブカード56とウェーハチャック50とシール部材で囲まれた空間が減圧されることにより、ウェーハチャック50がプローブカード56に向かって引き寄せられる。これにより、プローブカード56の各プローブ66がウェーハWの各半導体チップの電極パッドに接触して検査を開始可能な状態となる。
【0039】
ウェーハチャック50の内部には、半導体チップを高温状態(例えば、最高で150℃)、又は低温状態(例えば最低で-40℃)で電気的特性検査が行えるように、加熱/冷却源としての加熱冷却機構(不図示)が設けられている。加熱冷却機構としては、公知の適宜の加熱器/冷却器が採用できるものであり、例えば、面ヒータの加熱層と冷却流体の通路を設けた冷却層との二重層構造にしたもの、又は熱伝導体内に加熱ヒータを巻き付けた冷却管を埋設した一層構造の加熱/冷却装置など、様々のものが考えられる。また、電気加熱ではなく、熱流体を循環させるものでもよく、またペルチエ素子を使用してもよい。
【0040】
(アライメント装置)
測定ユニット12は、
図4に示すように、ウェーハチャック50を着脱自在に支持するアライメント装置70を備えている。アライメント装置70は、Z軸移動回転部72と、Z軸移動回転部72に取り付けられたプローブ位置検出カメラ82及びクリーニング板84と、Z軸移動回転部72を支持する支持テーブル74と、支持テーブル74を支持する角度傾斜機構76と、角度傾斜機構76を支持するXYステージ78と、を有する。
【0041】
Z軸移動回転部72は、ウェーハチャック50を着脱自在に支持する上面72Aを、Z軸方向に移動すると共に、Z軸方向と平行な中心軸CLを回転中心として回転させる。これにより、Z軸移動回転部72は、上面72Aに着脱自在に支持されるウェーハチャック50をZ軸方向に移動させると共に、中心軸CLを中心に回転させる。
【0042】
プローブ位置検出カメラ82は、プローブカード56に対向する位置において、プローブカード56のプローブ66を撮像する。このプローブ位置検出カメラ82にて撮像されたプローブ66の撮像画像に基づき、プローブ66の先端位置を検出することができる。具体的には、プローブ66の先端位置のXY座標はプローブ位置検出カメラ82の撮像画像における位置座標(XY座標)から検出され、プローブ66の先端位置のZ座標はプローブ位置検出カメラ82の焦点位置から検出される。プローブ66の位置の検出は、制御部90のプローブ位置検出部93(
図5参照)により実行される。
【0043】
クリーニング板84は、プローブ66の先端部に付着した削りカス或いは異物等のゴミを除去する。具体的には、プローブ66とクリーニング板84とを接触させた状態で、両者を相対的に移動、振動、又は揺動等することで、プローブ66の先端部のゴミ等がクリーニング板84により除去され、プローブ66の先端部がクリーニングされる。
【0044】
実施形態では、プローブ位置検出カメラ82は保持部材85を介して、Z軸移動回転部72に一体に取り付けられている。また、クリーニング板84は、保持部材87を介してプローブ位置検出カメラ82に一体に取りけられた上下ステージ88の上面に取り付けられている。上下ステージ88は中心軸CLに平行な方向にクリーニング板84を移動させる。ただし、この構造に限定されず、プローブ位置検出カメラ82及びクリーニング板84はZ軸移動回転部72に別々に取り付けられてもよいし、またZ軸移動回転部72とは別の部材に取り付けられてもよい。
【0045】
支持テーブル74は、Z軸移動回転部72の下面側に配置される。すなわち、Z軸移動回転部72は、支持テーブル74の上面74Aに支持される。Z軸移動回転部72の上面72Aにはウェーハチャック50が支持され、且つ保持部材85を介してプローブ位置検出カメラ82が取り付けられている。そのため、後述する角度傾斜機構76により支持テーブル74を傾斜させることにより、支持テーブル74にZ軸移動回転部72を介して支持されるウェーハチャック50及びプローブ位置検出カメラ82を一体に傾斜させることが可能である。なお、支持テーブル74が、図示しない支持部材を介してプローブ位置検出カメラ82を支持する構成であってもよい。また、支持テーブル74を省略して、後述する角度傾斜機構がZ軸移動回転部72を直接的に支持する構成であってもよい。支持テーブル74は、本発明の共通支持部の一例である。
【0046】
角度傾斜機構76は、支持テーブル74とXYステージ78との間に配置され、支持テーブル74を支持し、且つ支持テーブル74を傾斜させる。すなわち、角度傾斜機構76は、ウェーハチャック50及びプローブ位置検出カメラ82を共通に支持する支持テーブル74を傾斜させることで、ウェーハチャック50及びプローブ位置検出カメラ82を一体に傾斜させることが可能となっている。角度傾斜機構76は、本発明の傾斜機構の一例である。
【0047】
角度傾斜機構76は、支持テーブル74の水平方向(XY方向)に対する傾斜角度を任意に変更できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、以下のような構成を好ましく採用することができる。
【0048】
角度傾斜機構76は、支持テーブル74の下面を3点で支持する3つの昇降支持部材を備え、各昇降支持部材を昇降させることで、各昇降支持部材により支持される支持テーブル74の各支持点の高さを相互に変化させることによって、支持テーブル74の水平方向に傾斜角度を任意に変化させる。なお、角度傾斜機構76は、このような構成に限らず、公知の構成を適宜採用することが可能である。
【0049】
XYステージ78は、角度傾斜機構76を支持し、且つZ軸移動回転部72に着脱自在に支持されたウェーハチャック50をXY方向(すなわち、ウェーハチャック50の保持面50Aに平行な方向)に、プローブカード56に対し、相対的に移動させる。
【0050】
XYステージ78は、アライメント装置70を同じ階層の複数の測定部16間を相互に移動させるため、測定ユニット12の各階層に設けられたガイドレール(不図示)と、駆動機構(不図示)と、ガイドレール上を移動する搬送パレット(不図示)とを備えている。
【0051】
XYステージ78は、さらに、搬送パレットに載置されるベースと、ベースに載置され、Y軸方向に移動可能なY移動ステージと、Y移動ステージに載置され、X軸方向に移動可能なX移動ステージと、を含むことができる。XYステージ78は、本発明の移動機構の一例である。
【0052】
アライメント装置70は、ウェーハチャック50を着脱自在に支持するZ軸移動回転部72と、Z軸移動回転部72を支持するXYステージ78とを備えるので、ウェーハチャック50を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θ方向に移動させて、プローブカード56に対するウェーハチャック50の相対的な位置合わせを行うことができる。アライメント装置70は、本発明のアライメント装置の一例である。
【0053】
なお、図示は省略したが、アライメント装置70は、ウェーハ位置合わせカメラを備えている。ウェーハ位置合わせカメラは、搬送パレット上におけるZ軸移動回転部72の側方位置で、且つウェーハチャック50よりもZ軸方向上方側に保持されている。ウェーハ位置合わせカメラは、ウェーハチャック50に保持されているウェーハWを撮像する。このウェーハ位置合わせカメラにより撮像された撮像画像に基づき、検査対象のウェーハW上の半導体チップの電極パッドの位置を検出することができる。
【0054】
(制御部)
図5は、プローバ10の制御部90の機能ブロック図である。なお、
図5では、アライメント装置70の動作に係る構成を示し、他の制御に係る構成については図示を省略している。
【0055】
図5に示す制御部90は、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成された演算回路を備える。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、制御部90の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。
【0056】
この制御部90は、各種の通信インタフェース(不図示)を介して、既述のZ軸移動回転部72、角度傾斜機構76、XYステージ78、及びプローブ位置検出カメラ等と接続されている。
【0057】
制御部90は、中央制御部91、移動制御部92、プローブ位置検出部93、及び傾斜角度検出部94等を備える。中央制御部91、移動制御部92、プローブ位置検出部93、及び傾斜角度検出部94はメモリ等から読み出した不図示の制御プログラムを実行することで、各部の機能を発揮する。
【0058】
中央制御部91は、移動制御部92、プローブ位置検出部93、及び傾斜角度検出部94等の制御を管理する。すなわち、中央制御部91は、制御部90の動作全体を管理する。また、中央制御部91は、操作パネル21からのオペレータの指示を受け付ける。
【0059】
プローブ位置検出部93は、プローブ位置検出カメラ82が撮像した撮像画像に基づき、プローブ66の先端位置を検出する。このプローブ位置検出部93によるプローブ66の先端位置の検出は、アライメント装置70が移動された測定部16でウェーハWを検査する際に実行される。プローブ位置検出部93により検出されたプローブ66の先端位置の情報は移動制御部92に出力される。プローブ66の先端位置の情報は、図示しないメモリ等に記憶されてもよい。
【0060】
傾斜角度検出部94は、プローブ位置検出部93により検出された複数のプローブ66の先端位置の情報に基づいて、プローブカード56の傾斜角度を検出する。ここで、各プローブ66の先端位置を通過する平面(以下、プローブ仮想平面という)はプローブカード56(より具体的には、各プローブ66を保持するプローブカード本体部分)と平行である。そこで、傾斜角度検出部94は、プローブ位置検出部93により検出された複数のプローブ66の先端位置の情報(すなわち、各プローブ66の先端のXYZ座標)からプローブ仮想平面を求め(近似推定する場合を含む)、プローブ仮想平面の傾斜角度を算出することで、プローブカード56の傾斜角度を検出する。なお、プローブカード56(又はプローブ仮想平面)の傾斜角度とは、水平方向(XY方向)に対する傾斜角度のことである。傾斜角度検出部94は本発明の検出手段の一例である。
【0061】
移動制御部92は、図示しない駆動機構を駆動することにより、Z軸移動回転部72、角度傾斜機構76、及びXYステージ78の移動を制御する。この移動制御部92は、ウェーハ位置合わせカメラ(不図示)から入力されたウェーハWの撮像画像に基づき、ウェーハチャック50に保持されているウェーハWの電極パッドの位置情報を取得する。また、移動制御部92は、プローブ位置検出部93から取得したプローブ66の先端位置情報を取得する。
【0062】
さらに移動制御部92は、電極パッド及びプローブ66の双方の位置情報に基づいて、Z軸移動回転部72、及びXYステージ78の移動を制御し、プローブカード56に対してウェーハチャック50(ウェーハW)を相対移動させる。これにより、プローブ66とウェーハWの電極パッドとの相対的な位置合わせ(アライメント)が行われる。
【0063】
また、移動制御部92は、傾斜角度検出部94の検出結果(プローブカード56の傾斜角度)に基づいて、プローブカード56に対してウェーハチャック50の保持面50Aが平行となるように角度傾斜機構76を制御する。すなわち、移動制御部92が、プローブカード56が水平方向に対して「傾斜有り」と判定すると、プローブカード56の傾斜角度に応じて、角度傾斜機構76を制御し、プローブカード56に対してウェーハチャック50の保持面50Aが平行となるようにウェーハチャック50とプローブ位置検出カメラ82とを一体に傾斜させる。一方で、移動制御部92が、プローブカード56が水平方向に対して「傾斜無し」と判定すると、角度傾斜機構76はウェーハチャック50とプローブ位置検出カメラ82とを傾斜させない。移動制御部92は、本発明の傾斜機構を制御する制御手段の一例である。
【0064】
[プローブ検査方法]
次に、実施形態のプローバ10を用いたプローブ検査方法について説明を行う。
図6はプローブ検査方法の流れを示すフローチャートである。
図7はプローブ検査方法を説明するための図である。
【0065】
図6に示すように、まず、アライメント装置70を測定部16に移動する(ステップS10)。移動先の測定部16において、アライメント装置70(のZ軸移動回転部72)にはウェーハチャック50が支持され、ローダ部14からウェーハWがウェーハチャック50に供給される。これにより、ウェーハチャック50の保持面50AにはウェーハWが保持される。
【0066】
次に、プローブカード56の傾斜角度を検出する(ステップS12)。具体的には、
図7の701に示すように、移動制御部92がXYステージ78及びZ軸移動回転部72を制御して、プローブ位置検出カメラ82とプローブカード56との相対位置を変化させながら、プローブ位置検出カメラ82により撮像された撮影画像に基づき、プローブ位置検出部93が複数のプローブ66の先端位置の情報を検出する。そして、プローブ位置検出部93が検出した複数のプローブ66の先端位置の情報に基づき、傾斜角度検出部94がプローブカード56の傾斜角度を検出する。
【0067】
次に、ステップS12で検出されたプローブカード56の傾斜角度に基づいて、プローブカード56の傾斜の有無を判定する(ステップS14)。具体的には、移動制御部92が、傾斜角度検出部94の検出結果からプローブカード56が傾斜しているか否か(プローブカード56の傾斜の有無)を判定する。ステップS14において、
図7の701に示すようにプローブカード56が水平方向に対して傾斜している場合には、移動制御部92が「傾斜有り」と判定(Yes判定)し、処理はステップS16へ進む。一方、ステップS14において、プローブカード56が水平方向に対して傾斜していない場合には、移動制御部92が「傾斜無し」と判定(No判定)し、処理はステップS18へ進む。ステップS14は、本発明の検出ステップの一例である。
【0068】
ステップS14においてYes判定が行われた場合、ウェーハチャック50とプローブ位置検出カメラ82とを一体に傾斜させる(ステップS16)。すなわち、
図7の701に示すようにプローブカード56が水平方向に対して傾斜している場合には、移動制御部92が傾斜角度検出部94の検出結果に基づいて、角度傾斜機構76を制御し、
図7の702に示すように、プローブカード56に対してウェーハチャック50の保持面50Aが平行となるようにウェーハチャック50とプローブ位置検出カメラ82とを一体に傾斜させる。これにより、プローブカード56とウェーハWとを平行にすることができる。ステップS16は本発明の傾斜制御ステップの一例である。
【0069】
次に、ウェーハチャック50に保持されたウェーハWとプローブカード56との相対的な位置合わせ(アライメント)を行う(ステップS18)。具体的には、制御部90による制御の下、プローブ位置検出カメラ82がプローブカード56のプローブ66の先端を撮像し、プローブ位置検出部93が撮像画像からプローブ66の先端位置の情報を検出する。また、図示をしないウェーハ位置合わせカメラにより撮像された撮像画像に基づき、検査対象のウェーハW上の半導体チップの電極パッドの位置を検出する。
【0070】
実施形態では、角度傾斜機構76が、プローブカード56の傾斜角度に応じて、プローブカード56と平行となるようにウェーハチャック50とプローブ位置検出カメラ82とを一体に傾けるので、プローブカード56が水平方向(XY方向)に対して傾斜しているか否かにかかわらず、ウェーハチャック50(ウェーハW)とプローブ位置検出カメラ82との相対的な位置関係を保ったまま、プローブ位置検出カメラ82の光軸がプローブカード56の法線方向と平行となる位置関係でプローブ位置検出カメラ82がプローブ66を撮像(すなわち、プローブ位置検出カメラ82はプローブ66の先端をプローブカード56の正面から撮像)できるので、アライメントが行われる際にプローブ66の先端を精度良く検出できる。
【0071】
次に、移動制御部92が、プローブ位置検出カメラ82及びウェーハ位置合わせカメラの撮像画像から検出された結果(位置情報)に基づき、XYステージ78、及びZ軸移動回転部72を駆動し、ウェーハチャック50に保持されたウェーハWとプローブカード56との相対的な位置合わせを行う。なお、ウェーハWとプローブカード56との相対的な位置合わせを行う際、XYステージ78、及びZ軸移動回転部72の駆動量(XYZ方向の移動量及びθ方向の回転量)については、傾斜角度検出部94が検出したプローブカード56の傾斜角度(すなわち、角度傾斜機構76により傾けられたウェーハチャック50の傾斜角度)に応じた補正量が適用される。なお、補正量の算出方法については既知であるため、ここではその詳細については省略する。
【0072】
ウェーハチャック50に保持されたウェーハWとプローブカード56との相対的な位置合わせが行われた後、
図7の703の白抜き矢印に示すように、移動制御部92は、アライメント装置70のZ軸移動回転部72を制御して、ウェーハチャック50をプローブカード56に向けて移動する。これにより、
図7の704に示すように、プローブカード56の各プローブ66とウェーハWの各半導体チップの電極パッドとが接触したコンタクト状態となる(ステップS20)。その際、上述したように、プローブカード56が水平方向(XY方向)に対して傾斜しているか否かにかかわらず、プローブカード56とウェーハチャック50とが平行となっているので、コンタクトの際に、
図7の704の太線矢印で示すように、ウェーハW上の電極パッドに対し、プローブ66を真っすぐ押し当てるコンタクトが可能になる。これにより、ウェーハWに対して各プローブ66のコンタクトを均一且つ精度よく行うことができる。
【0073】
上記コンタクトが行われた後、ウェーハチャック50がプローブカード56に対して真空吸着等により吸着保持される。なお、ウェーハチャック50の保持面50Aにはリング状のシール部材が形成されており、プローブカード56(又はヘッドステージ52)とウェーハチャック50とシール部材とにより囲まれる内部空間を図示しない吸引手段で真空状態にすることで、ウェーハチャック50がプローブカード56に対して吸着保持されるようになっている。
【0074】
ウェーハチャック50がプローブカード56に対して吸着保持された後、ウェーハチャック50とZ軸移動回転部72との固定が解除され、
図7の705に示すように、Z軸移動回転部72が下降する。その後、ウェーハレベル検査が行われる。
【0075】
次に、実施形態のプローバ10において、クリーニング板84を用いてプローブ66のクリーニング処理を行う場合を
図8に基づいて説明する。
【0076】
クリーニング処理を行う場合、プローブカード56に対してクリーニング板84を相対的に移動させる。具体的には、移動制御部92は、プローブ位置検出カメラ82の検出結果に基づいて、Z軸移動回転部72とXYステージ78を制御してクリーニング板84を移動させる。次に、クリーニング板84を支持する上下ステージ88を昇降させる。そして、プローブカード56の各プローブ66に対してクリーニング板84を接触させた状態で、クリーニング板84をプローブカード56に対して相対移動させことにより、各プローブ66に対するクリーニング処理を行うことができる。
【0077】
実施形態のプローバ10によれば、
図8に示すようにプローブカード56が水平方向に対して傾斜している場合であっても、角度傾斜機構76によって、ウェーハチャック50及びプローブ位置検出カメラ82と一体となってクリーニング板84も傾斜させることができるので、プローブカード56とクリーニング板84とが平行となった状態でクリーニング処理を行うことが可能となる。これにより、クリーニング板84が片減りすることを抑制することができ、クリーニング板84の交換頻度を減らすことが可能となり、ランニングコストを抑制することが可能となる。
【0078】
また、実施形態のプローバ10によれば、例えば、
図9に示すようにプローブカード56が水平方向に対して傾斜していない場合であっても、角度傾斜機構76によって、プローブカード56がウェーハチャック50に対して非平行な状態となるように、ウェーハチャック50と一体にプローブ位置検出カメラ82を角度αだけ傾斜させてもよい。このようにプローブ位置検出カメラ82の光軸を鉛直方向(Z軸方向)に対して傾斜させることで、プローブ位置検出カメラ82の観察方向を外側に向けて観察可能範囲を広げることができる。これにより、例えば、300mmを超える大口径のプローブカード56又はプローブカード56の周辺の位置決め用マークなどの検出することができる。
【0079】
[変形例]
上述の実施形態では、プローブカード56の傾斜角度を検出する検出手段の一例として、傾斜角度検出部94が、プローブ位置検出部93により検出されたプローブ66の先端位置の情報に基づいて、プローブカード56の傾斜角度を検出する場合を例示したが、これに限らない。例えば、ウェーハチャック50の保持面50Aの互いに異なる複数の位置にそれぞれ距離センサを配置し、各位置に配置された複数の距離センサを用いてプローブカード56との相対距離を計測し、その計測結果からプローブカード56の傾斜角度を算出するようにしてもよい。
【0080】
また、上述の実施形態では、プローバ10が、複数の測定部16を備えるマルチステージ式のプローバである場合について説明したが、本発明はこれに限らず、1つの測定部のみを備えるプローバにも適用可能である。
【0081】
以上、本発明に係るプローバについて詳細に説明したが、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、いくつかの改良又は変形を行ってもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0082】
10 プローバ、11 筐体、12 測定ユニット、13 フレーム、14 ローダ部、16 測定部、18 ロードポート、20 ウェーハカセット、21 操作パネル、22 搬送ユニット、24 搬送アーム、50 ウェーハチャック、50A 保持面、52 ヘッドステージ、54 テストヘッド、56 プローブカード、66 プローブ、70 アライメント装置、72 Z軸移動回転部、72A 上面、74 支持テーブル、74A 上面、76 角度傾斜機構、78 XYステージ、82 プローブ位置検出カメラ、84 クリーニング板、85 保持部材、87 保持部材、88 上下ステージ、90 制御部、91 中央制御部、92 移動制御部、93 プローブ位置検出部、94 傾斜角度検出部、CL 中心軸、W ウェーハ、α 角度