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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099992
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】受信装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/4402 20110101AFI20240719BHJP
【FI】
H04N21/4402
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003666
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100171930
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 郁一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 辰哉
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 大礎
(72)【発明者】
【氏名】大亦 寿之
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA11
5C164MA02S
5C164MA06S
5C164MA07S
5C164PA31
5C164UA01S
5C164UB02P
5C164UB22S
(57)【要約】
【課題】ウェブ技術を利用しながら放送コンテンツを再生することができる仕組みを実現する受信装置を提供する。
【解決手段】受信装置が、チューナー制御部と、コンテンツ提供部と、放送リソース取得インターフェース処理部とを備える。チューナー制御部は、外部からの指示に基づいて放送信号を受信するチューナーの選局状態を制御する。コンテンツ提供部は、チューナーが所定の選局状態において受信した放送信号から映像および音声を抽出して提供する。放送リソース取得インターフェース処理部は、コンテンツ提供部から渡される映像および音声を、ウェブ配信の形式および手順でウェブサーバーとしてウェブブラウザーに対して配信する。また、放送リソース取得インターフェース処理部は、ウェブブラウザーから所定のURLでの配信要求を受けたときに前記映像および前記音声を配信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの指示に基づいて放送信号を受信するチューナーの選局状態を制御するチューナー制御部と、
前記チューナーが所定の選局状態において受信した放送信号から映像および音声を抽出して提供するコンテンツ提供部と、
前記コンテンツ提供部から渡される前記映像および前記音声を、ウェブ配信の形式および手順でウェブサーバーとしてウェブブラウザーに対して配信する放送リソース取得インターフェース処理部と、
を備え、
前記放送リソース取得インターフェース処理部は、前記ウェブブラウザーから所定のURLでの配信要求を受けたときに前記映像および前記音声を配信する、
受信装置。
【請求項2】
前記放送信号から抽出したときの形式の前記映像および前記音声のそれぞれを前記コンテンツ提供部から受け取って、前記放送リソース取得インターフェース処理部が前記ウェブブラウザーに対して配信するときの形式の前記映像および前記音声に変換するフォーマット変換部、
をさらに備える請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記コンテンツ提供部は、前記放送信号から前記映像と前記音声以外の放送リソースをさらに抽出し、
さらに、
前記コンテンツ提供部から受け取る前記映像と前記音声以外の放送リソースを基にテキストデータを生成するデータ生成部、
を備え、
前記放送リソース取得インターフェース処理部は、前記データ生成部が生成した前記テキストデータを前記ウェブブラウザーに対して配信する、
請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
前記映像と前記音声以外の放送リソースは、字幕テキストと文字スーパーとイベントメッセージとの少なくともいずれかを含む、
請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
前記ウェブブラウザーから前記チューナーを制御するための前記指示をウェブのインターフェースで受け取るとともに、受け取った当該指示を前記チューナー制御部に渡す制御インターフェース処理部、
をさらに備える請求項1に記載の受信装置。
【請求項6】
前記放送リソース取得インターフェース処理部に対して前記所定のURLによって前記映像および前記音声の配信要求を行い、前記放送リソース取得インターフェース処理部から前記映像および前記音声を受け取り、前記映像と前記音声とのそれぞれをデコードし、デコードした前記映像と前記音声とを再生するウェブブラウザー、
をさらに備え、
前記ウェブブラウザーは、前記放送信号に基づくコンテンツとは異なる別の外部コンテンツを取得するためのURLによって通信回線を介して前記外部コンテンツの配信要求を行い、通信回線を介して前記外部コンテンツを受け取り、受け取った外部コンテンツに含まれる映像と音声とのそれぞれをデコードし、デコードした外部コンテンツの映像と音声とを再生するものであり、
前記ウェブブラウザーが前記映像および前記音声をデコードする際に実行させるデコーダー機能は、前記放送リソース取得インターフェース処理部から受け取った前記映像および前記音声と、前記外部コンテンツの前記映像および前記音声とを、同一の処理機能としてデコードするものであり、
前記ウェブブラウザーが備える再生機能は、前記放送リソース取得インターフェース処理部から受け取った前記映像および前記音声と、前記外部コンテンツの前記映像および前記音声とを、同一の処理機能として再生するものである、
請求項1に記載の受信装置。
【請求項7】
外部からの指示に基づいて放送信号を受信するチューナーの選局状態を制御するチューナー制御部と、
前記チューナーが所定の選局状態において受信した放送信号から映像および音声を抽出して提供するコンテンツ提供部と、
前記コンテンツ提供部から渡される前記映像および前記音声を、ウェブ配信の形式および手順でウェブサーバーとしてウェブブラウザーに対して配信する放送リソース取得インターフェース処理部と、
を備え、
前記放送リソース取得インターフェース処理部は、前記ウェブブラウザーから所定のURLでの配信要求を受けたときに前記映像および前記音声を配信する、
伝送路抽象化機能部、としてコンピューターを機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送においては独自の規格を用いてコンテンツ(映像や音声や字幕テキストやその他の情報)の信号が配信されている。従来のテレビ放送の受信装置は、放送コンテンツの視聴に特化した専用のアーキテクチャーに基づいて、その機能が構成され、実現されている。
【0003】
一方で、コンテンツをある方式から別の方式に変換する技術も試みられている。例えば特許文献1に記載されている発明は、ARIB標準規格に準拠した字幕データに基づいて、WebVTT規格の下で字幕の表示開始及び終了を正しく制御することができる技術を提供することを目的の一つとしている(特許文献1の段落0008の記載)。また、同文献に記載されている発明は、トランスポートストリーム形式で伝送される放送サービス用のコンテンツをそのままソースにして、WebVTT規格に準拠した情報通信端末装置上のビューアで利用することができるようにする技術を提供することを目的としている(特許文献1の段落0009の記載)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-083357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の通り、テレビ放送を受信するための受信装置(テレビ受像機)で用いられている放送関連機能は独自の技術に基づくものである。このためテレビ放送を受信するための受信装置は、インターネットでのコンテンツの配信を前提としたウェブ技術の進化にすばやく追従することができないという問題がある。
【0006】
また、放送で配信されるコンテンツと、通信(インターネット等)で配信されるコンテンツ(動画コンテンツ)とは、互いに異なる仕組みで動作するものであり、ユーザーがそれら両者間においてスムーズに遷移するための機能(ユーザーインターフェース)が存在しない。
【0007】
本発明は、上記の課題認識に基づいて行なわれたものであり、ウェブ技術を利用しながら放送コンテンツを再生することができる仕組み、および放送コンテンツと通信コンテンツ(ネットコンテンツ)との双方間で双方向にスムーズに遷移することのできるユーザーインターフェース、を実現する受信装置およびプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様による受信装置は、外部からの指示に基づいて放送信号を受信するチューナーの選局状態を制御するチューナー制御部と、前記チューナーが所定の選局状態において受信した放送信号から映像および音声を抽出して提供するコンテンツ提供部と、前記コンテンツ提供部から渡される前記映像および前記音声を、ウェブ配信の形式および手順でウェブサーバーとしてウェブブラウザーに対して配信する放送リソース取得インターフェース処理部と、を備え、前記放送リソース取得インターフェース処理部は、前記ウェブブラウザーから所定のURLでの配信要求を受けたときに前記映像および前記音声を配信する、ものである。
【0009】
[2]また、本発明の一態様は、上記[1]の受信装置において、前記放送信号から抽出したときの形式の前記映像および前記音声のそれぞれを前記コンテンツ提供部から受け取って、前記放送リソース取得インターフェース処理部が前記ウェブブラウザーに対して配信するときの形式の前記映像および前記音声に変換するフォーマット変換部、をさらに備えるものである。
【0010】
[3]また、本発明の一態様は、上記[1]または[2]の受信装置において、前記コンテンツ提供部は、前記放送信号から前記映像と前記音声以外の放送リソースをさらに抽出し、さらに、前記コンテンツ提供部から受け取る前記映像と前記音声以外の放送リソースを基にテキストデータを生成するデータ生成部、を備え、前記放送リソース取得インターフェース処理部は、前記データ生成部が生成した前記テキストデータを前記ウェブブラウザーに対して配信するというものである。
【0011】
[4]また、本発明の一態様は、上記[3]の受信装置において、前記映像と前記音声以外の放送リソースは、字幕テキストと文字スーパーとイベントメッセージとの少なくともいずれかを含む、というものである。
【0012】
[5]また、本発明の一態様は、上記[1]から[4]までのいずれかの受信装置において、前記ウェブブラウザーから前記チューナーを制御するための前記指示をウェブのインターフェースで受け取るとともに、受け取った当該指示を前記チューナー制御部に渡す制御インターフェース処理部、をさらに備えるものである。
【0013】
[6]また、本発明の一態様は、上記[1]から[5]までのいずれかの受信装置において、前記放送リソース取得インターフェース処理部に対して前記所定のURLによって前記映像および前記音声の配信要求を行い、前記放送リソース取得インターフェース処理部から前記映像および前記音声を受け取り、前記映像と前記音声とのそれぞれをデコードし、デコードした前記映像と前記音声とを再生するウェブブラウザー、をさらに備え、前記ウェブブラウザーは、前記放送信号に基づくコンテンツとは異なる別の外部コンテンツを取得するためのURLによって通信回線を介して前記外部コンテンツの配信要求を行い、通信回線を介して前記外部コンテンツを受け取り、受け取った外部コンテンツに含まれる映像と音声とのそれぞれをデコードし、デコードした外部コンテンツの映像と音声とを再生するものであり、前記ウェブブラウザーが前記映像および前記音声をデコードする際に実行させるデコーダー機能は、前記放送リソース取得インターフェース処理部から受け取った前記映像および前記音声と、前記外部コンテンツの前記映像および前記音声とを、同一の処理機能としてデコードするものであり、前記ウェブブラウザーが備える再生機能は、前記放送リソース取得インターフェース処理部から受け取った前記映像および前記音声と、前記外部コンテンツの前記映像および前記音声とを、同一の処理機能として再生するものである、という構成を有する。
【0014】
[7]また、本発明の一態様は、外部からの指示に基づいて放送信号を受信するチューナーの選局状態を制御するチューナー制御部と、前記チューナーが所定の選局状態において受信した放送信号から映像および音声を抽出して提供するコンテンツ提供部と、前記コンテンツ提供部から渡される前記映像および前記音声を、ウェブ配信の形式および手順でウェブサーバーとしてウェブブラウザーに対して配信する放送リソース取得インターフェース処理部と、を備え、前記放送リソース取得インターフェース処理部は、前記ウェブブラウザーから所定のURLでの配信要求を受けたときに前記映像および前記音声を配信する、伝送路抽象化機能部、としてコンピューターを機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、受信装置は、受信された放送信号から抽出される放送リソースを、ウェブ配信の技術(ファイル形式や手順)によって例えばウェブブラウザーに対して提供することができる。つまりウェブブラウザーは、受信された放送リソースを、ウェブコンテンツと同一の方法で取得し再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態による受信装置の概略機能構成を示すブロック図である。
図2】同実施形態による受信装置の動作手順例を示すシーケンス図であり、チューナー機能部が受信した放送信号に基づいてウェブサーバーが放送コンテンツを提供可能な状態になるまでの手順を示す。
図3】同実施形態による受信装置の動作手順例を示すシーケンス図であり、プレイヤー部からの要求に基づいて、ウェブサーバーが映像および音声で構成されるコンテンツをウェブブラウザーに対して供給する手順を示す。
図4】同実施形態による受信装置の動作手順例を示すシーケンス図であり、プレイヤー部からの要求に基づいて、ウェブサーバーが映像や音声以外のコンテンツをウェブブラウザーに対して供給する手順を示す。
図5】同実施形態による受信装置が、放送あるいは通信のコンテンツを選択して、選択されたコンテンツを再生するまでの処理手順を示すフローチャートである。
図6】同実施形態による受信装置の一部としてコンピューターを利用する場合の、そのコンピューターの内部構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、本実施形態において使用する用語を説明する。PCは、「パーソナルコンピューター」の略である。スマホは、「スマートフォン」の略であり、通信機能(電話を含む)を備えた情報端末機器である。URLは、ユニフォームリソースロケーター(Uniform Resource Locator)の略である。APIは、アプリケーションプログラムインターフェース(Application Programme Interface)の略である。MPEG-DASHは、インターネットプロトコル上でメディアをストリーミングするためのHTTPベースのプロトコルである。この「MPEG」はMoving Picture Experts Groupの略であり、「DASH」はDynamic Adaptive Streaming over HTTPの略である。HLSは、映像等のストリーミングのための規格であり、HTTP Live Streamingの略である。mp4は、デジタルマルチメディアコンテナフォーマットであり、このフォーマットは、映像、音声、字幕テキスト、静止画などを格納し得る。MSEは、Media Source Extensionsの略であり、ウェブベースでのストリーミングメディアを可能にするしくみである。EMは、Event Messageの略であり、放送規格においてイベントの情報を伝送する方式である。
【0018】
図1は、本実施形態による受信装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、受信装置1は、チューナー機能部11と、コンテンツ提供部12と、フォーマット変換部13と、データ生成部14と、チューナー制御部21と、ウェブサーバー30と、ウェブブラウザー40と、通信部51とを含んで構成される。受信装置1が持つこれらの機能の少なくとも一部を、コンピューターとプログラムとで実現するようにしてもよい。つまり、受信装置1は、例えば、PC、スマホ、タブレット端末、あるいはその他のウェアラブル端末として実現され得る。また、受信装置1が持つ機能の一部を専用のハードウェア(電子回路)等で構成するようにしてもよい。上に挙げた各部は、必要に応じて、記憶手段を有する。記憶手段は、例えば、プログラム上の変数や、プログラムの実行によりアロケーションされるメモリーである。また、必要に応じて、磁気ハードディスク装置やソリッドステートドライブ(SSD)といった不揮発性の記憶手段を用いるようにしてもよい。各部の機能は、次の通りである。図1において、放送信号および放送信号から抽出したデータの送受信を実線の太線矢印で表す。また、インターネット等の通信回線を介して受信されてMSE処理部41に渡されるデータ(コンテンツのデータなど)を破線の太線矢印で表す。また、制御信号などを細線の実線矢印で表す。
【0019】
チューナー機能部11(単に「チューナー」とも呼ぶ)は、放送信号を受信する。放送信号は、高周波(RF)の信号であり、電波あるいはケーブルテレビの信号等として伝送され得るものである。チューナー機能部11は、選局機能を持つ。つまり、チューナー機能部11は、複数(多数)の放送サービスの中から特定の放送サービスを選択的に受信することができる。高周波信号を扱うチューナー機能部11の少なくとも一部は、専用の回路として構成され得る。
【0020】
コンテンツ提供部12は、チューナー機能部11が所定の選局状態において受信した放送信号から、映像および音声を抽出して提供する。コンテンツ提供部12は、その放送信号から映像と音声以外の放送リソース(字幕テキストや、文字スーパーや、イベントメッセージを含んでよい)をさらに抽出して提供する。つまり、コンテンツ提供部12は、チューナー機能部11が受信した放送信号に含まれるコンテンツのデータを、フォーマット変換部13や、データ生成部14や、放送リソース取得インターフェース処理部33に提供する。より具体的には、コンテンツ提供部12は、放送信号に含まれる映像および音声を、フォーマット変換部13に提供する。また、コンテンツ提供部12は、放送信号に映像と音声以外の放送リソースが含まれている場合に、この放送リソースをデータ生成部14に提供する。また、コンテンツ提供部12は、放送信号に放送事業者のロゴ等の静止画データが含まれている場合に、この静止画データを放送リソース取得インターフェース処理部33に提供する。
【0021】
フォーマット変換部13は、放送信号から抽出されたときの形式の映像および音声のそれぞれをコンテンツ提供部12から受け取って、放送リソース取得インターフェース処理部33がウェブブラウザー40に対して配信するときの形式の映像および音声に変換する。フォーマット変換部13は、チューナー機能部11が受信した放送信号から抽出されたトランスポートストリーム(TS)に基づく、映像や音声のデータのフォーマット変換を行う。ここでの変換先のデータの形式は、ウェブブラウザー40において再生可能な形式である。つまり、フォーマット変換部13は、放送信号に含まれる形式の映像および音声を、それぞれ、ウェブ配信で用いられる形式の映像および音声に変換する。ウェブ配信で用いられる形式とは、例えばHLS形式である。
【0022】
データ生成部14は、コンテンツ提供部12から受け取る、映像と音声以外の放送リソースを基にテキストデータを生成する。映像と音声以外の放送リソースとは、字幕テキストと文字スーパーとイベントメッセージとの少なくともいずれかを含むものである。具体的には、データ生成部14は、チューナー機能部11が受信した放送信号から抽出されたトランスポートストリーム(TS)に基づく、字幕テキストや、文字スーパーや、イベントメッセージ(EM)のデータを生成する。このとき、データ生成部14は、必要に応じて例えばUTF-8などへの文字コードの変換を行ってもよい。データ生成部14は、字幕テキストや、文字スーパーや、イベントメッセージを、ウェブアプリで使用可能な形のテキストデータ等として、ウェブサーバー30に渡す。
【0023】
チューナー制御部21は、外部からの指示に基づいて放送信号を受信するチューナーの選局状態を制御するものである。ここで「外部」とは、例えば受信装置1のユーザーである。ユーザーは、ユーザーインターフェースを介してチューナーに対する指示をチューナー制御部21に伝えることができる。なお、選局状態とは、チューナー機能部11の電源がオンであるかオフであるか、またチューナー機能部11がどの放送サービスを選局している状態であるかを表すものである。具体的には、チューナー制御部21は、ユーザー側からの操作等にしたがって、上記のチューナー機能部11を制御する。具体的には、チューナー制御部21は、チューナー機能部11の電源のオン/オフを切り替えたり、チューナー機能部11が受信する放送サービス(チャンネル)を選択したりするといった制御を行う。チューナー制御部21への指示は、例えばユーザーが指示画面(ユーザーインターフェース)において行う操作によって決定される。後述するウェブサーバー30内の制御インターフェース処理部35は、インターフェース(制御API)を介してウェブブラウザー40からの指示を受けるための処理を行う。
【0024】
ウェブサーバー30は、ウェブブラウザー40に対してサーバーとして機能することによって、放送によるコンテンツのウェブブラウザー40での再生を可能とする。具体的には、ウェブサーバー30は、制御APIおよび放送リソース取得APIをウェブブラウザー40に対して提供する。制御APIとは、チューナー機能部11に対して、電源のオン/オフの切り替えや選局などの制御を行うためのウェブAPIである。放送リソース取得APIとは、映像や音声や字幕テキストやイベントメッセージなどといった放送リソース(コンテンツ)を取得するためのウェブAPIである。これにより、ウェブブラウザー40は、制御APIを介してチューナー機能部11に対する制御要求を発行したり、放送リソース取得APIを介して放送リソース(映像や、音声や、その他の字幕テキスト等のリソース)を取得するための要求を発行したりする。また、ウェブサーバー30は、コンテンツのデータ(動画ファイル、音声ファイル、テキスト、放送局あるいは放送サービスのロゴの静止画ファイル等)を少なくとも一時的に格納しておくための記憶部を備える。
【0025】
なお、ウェブサーバー30がその内部に持つ機能は次の通りである。即ち、ウェブサーバー30は、記憶部31と、記憶部32と、放送リソース取得インターフェース処理部33と、制御インターフェース処理部35とを含んで構成される。これら各部の機能については後で説明する。
【0026】
ウェブブラウザー40は、ウェブコンテンツのデータを取得し、そのコンテンツをユーザーに対して提示する。ウェブコンテンツは、映像や、静止画や、文字(テキスト)や、音声等を含むものであって良い。なお、ウェブブラウザー40がその内部に持つ機能は次の通りである。即ち、ウェブブラウザー40は、MSE処理部41と、デコーダー部42と、プレイヤー部43とを含んで構成される。これら各部の機能については後で説明する。ウェブブラウザー40としては、既存のプログラムプロダクトとして提供されるものを用いてもよい。ウェブブラウザー40の機能は、PCやスマホやタブレット端末等の情報機器にバンドルされて提供される場合もある。
【0027】
通信部51は、例えばインターネットプロトコルを用いて、外部の装置との間で通信を行う。つまり、通信部51は、例えばインターネット等の通信回線を介して、外部のウェブサーバー装置から通信(ネット配信)のコンテンツを受信することができる。通信部51は、また、その他の目的のために外部の装置との間で通信を行うことができる。
【0028】
次に、ウェブサーバー30とウェブブラウザー40とのそれぞれが内部に持つ個々の機能について説明する。
【0029】
記憶部31は、フォーマット変換部13から出力された映像や音声を少なくとも一時的に格納するものである。記憶部31は、例えば半導体メモリーや磁気ハードディスク装置を用いて実現される。記憶部31に記憶されている映像や音声は、放送リソース取得インターフェース処理部33によって読み出され得る。
【0030】
記憶部32は、データ生成部14によって生成されたデータを少なくとも一時的に格納するものである。記憶部32は、例えば半導体メモリーや磁気ハードディスク装置を用いて実現される。記憶部32によって記憶されているデータ(テキスト等)は、放送リソース取得インターフェース処理部33によって読み出され得る。
【0031】
放送リソース取得インターフェース処理部33は、ウェブブラウザー40側から見て、放送リソース取得APIの受け口としての処理を行う。放送リソース取得インターフェース処理部33は、フォーマット変換部13が変換した映像および音声を、記憶部31から読み出し、ウェブ配信の形式および手順でウェブブラウザー40に対して配信する。放送リソース取得インターフェース処理部33は、ウェブサーバー30の一部の機能として、ウェブブラウザー40(クライアント)との間でデータのやり取りを行う。放送リソース取得インターフェース処理部33は、ウェブブラウザー40から所定のURLでの配信要求を受けたときに、前記映像および前記音声を配信する。放送リソース取得インターフェース処理部33は、さらに、データ生成部14が生成したテキストデータ(字幕テキストや、文字スーパーや、イベントメッセージ等のデータ)や静止画データを、記憶部32から読み出し、ウェブブラウザー40に対して配信する。
【0032】
制御インターフェース処理部35は、ウェブブラウザー40側から見て、制御APIの受け口としての処理を行う。つまり、制御インターフェース処理部35は、ウェブブラウザー40から、チューナー機能部11を制御するための指示をウェブのインターフェースで受け取るとともに、受け取った当該指示をチューナー制御部21に渡す処理を行う。
【0033】
MSE処理部41は、ウェブブラウザー40がストリーミング再生を可能にするために、ストリーミングデータを受信してデコーダー部42に渡す役割の処理を行う。MSE処理部41は、URLを指定することによってストリーミング配信を要求する。つまり、MSE処理部41は、放送コンテンツを受信する場合には、放送リソース取得インターフェース処理部33に相当するURLを指定してストリーミング配信を受ける。また、MSE処理部41は、通信(ネット配信)によるコンテンツを受信する場合には、そのコンテンツ(外部コンテンツ)に相当するURLを指定してストリーミング配信を受ける。
【0034】
デコーダー部42は、MSE処理部41から渡される映像および音声のそれぞれをデコードする。デコーダー部42は、映像デコーダーの機能と音声デコーダーの機能との両方を持つ。本実施形態におけるデコーダー部42は、ウェブブラウザー40の一部分として実装される。つまり、デコーダー部42は、ウェブブラウザー40のプログラムの一部として実現され、そのプログラムが実行される形態であってよい。ただし、デコーダー部42の機能のうちの映像デコーダーと音声デコーダーとの少なくともいずれかの機能が、ウェブブラウザー40の外部に存在していてウェブブラウザー40が映像あるいは音声をデコードする際にその外部の機能を呼び出す形態として実現されてもよい。なお、このとき、映像デコーダーや音声デコーダーは、ソフトウェア(プログラム)として実現されるものであってもよいし、専用のハードウェア(電子回路)として実現されるものであってもよい。
【0035】
プレイヤー部43は、映像や音声などを再生するためのウェブブラウザー40上の機能である。つまり、プレイヤー部43は、デコーダー部42によってデコードされた映像および音声のそれぞれを再生する。プレイヤー部43は、再生する映像を画面に表示する。また、プレイヤー部43は、再生する音声をスピーカー等(イヤフォン等を含む)から音声として出力する。
【0036】
つまり、上記のような機能を備えるウェブブラウザー40は、放送によるコンテンツと通信(ネット配信)によるコンテンツの両方を適宜受信して再生・提示することができる。つまり、ウェブブラウザー40は、放送リソース取得インターフェース処理部33に対して所定のURLによって映像および音声の配信要求を行い、放送リソース取得インターフェース処理部33から映像および音声を受け取り、その映像と音声とのそれぞれをデコードし、デコードした結果として得られる映像と音声とを再生する。また、ウェブブラウザー40は、上記の放送信号に基づくコンテンツとは異なる別の外部コンテンツを取得するためのURL(第2URL)によって、通信回線を介して外部コンテンツの配信要求を行い、通信回線を介してその外部コンテンツを受け取り、受け取った外部コンテンツに含まれる映像と音声とのそれぞれをデコードし、デコードした外部コンテンツの映像と音声とを再生する。
【0037】
なお、ウェブブラウザー40が備えるデコーダー機能(デコーダー部42)は、放送リソース取得インターフェース処理部33から受け取った映像および音声と、外部コンテンツの映像および音声とを、同一の処理機能としてデコードするものである。ただし、デコーダー機能は、前述の通りウェブブラウザーの外部に存在していてもよい。この場合には、ウェブブラウザー40は映像および音声をデコードする際にはその外部のデコーダー機能(ソフトウェアまたはハードウェア)を呼び出す。また、ウェブブラウザー40が備える再生機能(プレイヤー部43)は、放送リソース取得インターフェース処理部33から受け取った映像および音声と、外部コンテンツの映像および音声とを、同一の処理機能として再生するものである。
【0038】
ここで、伝送路抽象化機能部80について説明する。伝送路抽象化機能部80は、上で説明した機能のうちのコンテンツ提供部12と、フォーマット変換部13と、データ生成部14と、チューナー制御部21と、ウェブサーバー30とを含む部分の機能の総称である。つまり、伝送路抽象化機能部80は、チューナー機能部11が受信した放送信号に含まれるコンテンツを抽出するとともに、抽出されたそのコンテンツ(映像および音声を含む)を、ウェブ動画配信のインターフェースによってウェブブラウザー40内のMSE処理部41に供給する。これにより、ウェブブラウザー40内のMSE処理部41は、テレビ放送のコンテンツ(映像および音声)を、通信コンテンツ(ネット配信動画コンテンツ)と同一の手順によって取得する。また、ウェブブラウザー40は、そのコンテンツ(映像および音声)を、通信コンテンツと同一の方法でデコードし、再生する。つまり、伝送路抽象化機能部80は、放送波(放送信号)という伝送路を抽象化して、仮想的にネット配信動画コンテンツと同一の方法で、テレビ放送の映像や音声を取得および再生することを可能にする。
【0039】
次に、受信装置1の動作シーケンスの例について説明する。図2図3、および図4は、受信装置1の動作手順の例を示すシーケンス図である。図2は、チューナー機能部11において受信した放送信号に基づいて、ウェブサーバー30がその放送コンテンツを提供可能な状態になるまでの手順を示す。図3は、ウェブブラウザー40上で稼働するプレイヤー部43からの要求に基づいて、ウェブサーバー30が、映像および音声で構成されるコンテンツをウェブブラウザー40に対して供給する手順を示す。図4は、ウェブブラウザー40上で稼働するプレイヤー部43からの要求に基づいて、ウェブサーバー30が、映像や音声以外のコンテンツをウェブブラウザー40に対して供給する手順を示す。以下、これらのシーケンス図に沿って説明する。
【0040】
まず、図2のステップS11において、選局中の放送信号を受信しているチューナー機能部11は、放送信号を復調して出力する。チューナー機能部11は、復調後の放送信号を、コンテンツ提供部12に渡す。
【0041】
次に、ステップS12において、コンテンツ提供部12は、受け取った放送信号を分離(DEMUX、デマルチプレキシング)して、映像や、音声や、字幕テキストや、その他の信号を出力する。
【0042】
次に、ステップS13において、コンテンツ提供部12は、ステップS12で分離して得られた映像および音声を、フォーマット変換部13に渡す。
【0043】
ステップS14においては、コンテンツ提供部12は、ステップS12で分離して得られた映像や音声以外のデータを、データ生成部14に渡す。具体的には、コンテンツ提供部12は、字幕テキストや、文字スーパーや、イベントメッセージや静止画データなどといったデータを、データ生成部14に渡す。
【0044】
次に、ステップS15において、フォーマット変換部13は、ステップS13でコンテンツ提供部12から受け取った映像および音声を、ウェブブラウザー40上で稼働するプレイヤー部43において再生可能な形式のデータに変換する。具体的には、フォーマット変換部13は、映像や音声を、MPEG-DASHあるいはHLSの形式に変換したり、mp4形式のデータにトランスコードしたりする。
【0045】
一方で、ステップS16において、データ生成部14は、ステップS14でコンテンツ提供部12から受け取った放送コンテンツの情報(映像や音声以外。字幕テキストや、文字スーパーや、イベントメッセージなど。)を基に、必要なデータを生成する。例えば、字幕テキストに関しては、データ生成部14は、字幕のリソースを基にエンコーディングの処理を行い、ウェブブラウザー40上において表示可能なデータを生成する。字幕テキスト以外の情報に関しても同様に、データ生成部14は、ユーザーに対して提示するために適した形式のデータを生成する。
【0046】
次に、ステップS17において、フォーマット変換部13は、フォーマット変換の結果として得られた形式の映像および音声のファイル(データ)を、ウェブサーバー30に渡す。ウェブサーバー30は、受け取った映像および音声のファイルを、記憶部31に格納する。
【0047】
また、ステップS18において、データ生成部14は、生成したデータ(映像や音声以外。字幕テキストや、文字スーパーや、イベントメッセージなど。)を、ウェブサーバー30に渡す。ウェブサーバー30は、データ生成部14から受け取ったそれらのデータを、記憶部32に格納する。
【0048】
図3に示すシーケンスの前提となる状況は、既に所望の放送サービスがチューナー機能部11において受信されており、当該放送サービスの映像および音声がウェブサーバー内の記憶部31に順次格納されている状況である。
【0049】
図3のステップS21においては、ウェブブラウザー40上のプレイヤー部43は、ユーザーの操作に基づいて、放送コンテンツを再生(視聴)するためのリクエストを、放送リソース取得インターフェース処理部33に送る。このリクエストは、APIを介して送られる。また、これに伴い、プレイヤー部43は、MSE処理部41のソースとして、放送リソース取得インターフェース処理部33から映像および音声のコンテンツを取得するためのURL(再生URL)を指定する。
【0050】
次に、ステップS22において、放送リソース取得インターフェース処理部33は、ウェブサーバー30に対して、放送コンテンツの取得を要求する。ここで要求される放送コンテンツは、チューナー機能部11において既に選局され受信されている放送サービスによるコンテンツである。
【0051】
次に、ステップS23において、ウェブサーバー30は、映像および音声をウェブブラウザー40に対して出力する。この映像および音声は、前記のステップS17の処理によって記憶部31に格納されているものである。この映像および音声は、ウェブブラウザー40内のMSE処理部41で処理され、デコーダー部42によってそれぞれデコードされて、プレイヤー部43によって再生される。即ち、この映像および音声は、ユーザーに対して提示される。
【0052】
図4に示すシーケンスの前提となる状況は、既に所望の放送サービスがチューナー機能部11において受信されており、当該放送サービスの映像や音声以外のデータ(字幕テキストや、文字スーパーや、イベントメッセージ等)がウェブサーバー内の記憶部32に順次格納されている状況である。
【0053】
図4のステップS31においては、ウェブブラウザー40上のプレイヤー部43は、ユーザーの操作に基づいて、字幕テキストやイベントメッセージ等の情報を閲覧するためのリクエストを、放送リソース取得インターフェース処理部33に送る。このリクエストは、APIを介して送られる。
【0054】
次に、ステップS32において、放送リソース取得インターフェース処理部33は、ウェブサーバー30に対して、データ(字幕テキストやイベントメッセージ等)の取得を要求する。ここで要求されるデータは、チューナー機能部11において既に選局され受信されている放送サービスによるコンテンツである。
【0055】
次に、ステップS33において、ウェブサーバー30は、要求されたデータ(字幕テキストやイベントメッセージ等)をウェブブラウザー40に対して出力する。これらのデータは、前記のステップS18の処理によって記憶部32に格納されているものである。ウェブブラウザー40は、このデータを受け取り、所定のレイアウト(例えば、予め定められているレイアウト)を用いてこのデータをウェブの画面内に表示する。即ち、このデータは、ユーザーに対して提示される。
【0056】
図5は、ユーザーインターフェースを介してユーザーによって選択されるコンテンツを取得してユーザーに対して提示するまでの処理の手順を示すフローチャートである。この手順を実行することにより、受信装置1は、ユーザーによって指定された放送コンテンツを選局したり、通信コンテンツ(ネット配信コンテンツ)の受信を開始したり、あるコンテンツを再生している状態から他のコンテンツの再生の状態に遷移したりすることができる。ユーザーによって選択されるコンテンツは、放送によって配信されるコンテンツであってもよいし、通信(インターネット)によって配信されるコンテンツであってもよい。
【0057】
図5のフローチャートに示す処理手順が開始される前提として、既に受信装置1が任意のコンテンツ(放送で配信されるコンテンツ、あるいは通信で配信されるコンテンツ)を受信している状態であってもよいし、受信装置1が何のコンテンツも受信していない状態であってもよい。いずれの場合にも、ユーザーインターフェース等を介して選択された新たなコンテンツ(変更後のコンテンツ)の取得および再生が開始される。以下、このフローチャートに沿って手順を説明する。
【0058】
まず、ステップS51において、ウェブブラウザー40上で稼働するプレイヤー部43は、ユーザーからの指示に基づいて、再生対象とするコンテンツを選択する。ここで再生対象とするコンテンツは、放送で配信されるコンテンツであってもよいし、通信(インターネット)で配信されるコンテンツであってもよい。なお、再生対象が放送で配信されるコンテンツである場合には、個々の番組を選択するようにしてもよいし、放送サービス(チャンネル)を選択するようにしてもよい。
【0059】
次に、ステップS52において、コンテンツの配信方式を判定し、配信方式に応じた処理を行う。即ち、ステップS51で選択された再生対象のコンテンツが放送で配信される場合にはステップS53に進み、通信(インターネット)で配信されるばあいにはステップS56に進む。
【0060】
配信方式が放送である場合には、ステップS53において、ウェブブラウザー40のプレイヤー部43は、制御APIを介して、ステップS51で選択されたコンテンツを受信するための放送サービスの選局が行われるように、チューナー制御部21に制御を行わせる。即ちこれにより、チューナー制御部21は、その放送サービスを選局するように、チューナー機能部11を制御する。
【0061】
次に、ステップS54において、チューナー機能部11は、ステップS53におけるチューナー制御部21からの制御にしたがって、選局を変更する。つまり、チューナー機能部11は、任意の放送サービスを受信している状態から、指示された放送サービスを受信する状態に、選局を変更する。ただし、ステップS54の開始時においてチューナー機能部11の電源がオフであった場合には、チューナー機能部11は、まずチューナー機能の電源をオンにしてから、指示された放送サービスを受信する状態に、選局を変更する。これにより、チューナー機能部11は、指示された放送サービスの放送信号を受信している状態となり、つまり、ユーザーによって選択されたコンテンツを出力している状態となる。
【0062】
次に、ステップS55において、フォーマット変換部13は、選局変更後のコンテンツである映像および音声のフォーマット変換を行う。そして、フォーマット変換後の映像および音声を、ウェブサーバー30は提供可能となる。また、ウェブブラウザー40上のMSE処理部41は、ウェブサーバー30の放送再生用URLを指定することによって、ウェブサーバー30から映像および音声を取得する。つまり、上での選局変更後のコンテンツを、MSE処理部41が取得し、デコーダー部42がデコードし、プレイヤー部43が再生(ユーザーへの提示)する。つまり、ユーザーインターフェースを介して指定された放送コンテンツを、ウェブブラウザー40がユーザーに対して提示する。つまり、ステップS57において、プレイヤー部43は、変更後のコンテンツ(ステップS51において選択されたコンテンツ)の再生(表示)を行う。
【0063】
配信方式が通信(ネット配信)である場合には、ステップS56において、ウェブブラウザー40上のMSE処理部41は、選択されたコンテンツのURL(インターネット等を経由してコンテンツを取得するためのURL)を指定する。これにより、MSE処理部41は、選択されたネット配信コンテンツを取得する。このコンテンツを、デコーダー部42がデコードし、プレイヤー部43が再生(ユーザーへの提示)する。つまり、ユーザーインターフェースを介して指定された通信(ネット配信)コンテンツを、ウェブブラウザー40のプレイヤー部43がユーザーに対して提示する。つまり、ステップS57において、プレイヤー部43は、変更後のコンテンツ(ステップS51において選択されたコンテンツ)の再生(表示)を行う。
【0064】
つまり、図5のフローチャートで示した処理手順をまとめると次の通りである。
【0065】
ユーザーインターフェースを介して放送コンテンツが指定された場合には、プレイヤー部43は、制御API(制御インターフェース処理部35)を介して、チューナー制御部21に、チューナー機能部11の制御を実行させる。これにより、チューナー制御部21は、チューナー機能部11に、指定された放送コンテンツを受信するための放送サービスを選局させる。つまり、チューナー機能部11の選局が必要に応じて変更される。これにより指定された放送コンテンツの映像および音声を、ウェブサーバー30が供給可能となる。放送コンテンツが指定されたことにより、ウェブブラウザー40のMSE処理部41が取得対象として指定するURLは、ウェブサーバー30の放送リソース取得API(放送リソース取得インターフェース処理部33)からのコンテンツを取得するURLとなる。これにより、ウェブブラウザー40のプレイヤー部43は、選択されたコンテンツの映像および音声を再生・提示する。なお、選択されたコンテンツに関連付くデータ(字幕テキストや、文字スーパーや、イベントメッセージ等)についても、ウェブブラウザー40が適宜提示することが可能である。
【0066】
ユーザーインターフェースを介してネット配信コンテンツが指定された場合には、ウェブブラウザー40のMSE処理部41が取得対象として指定するURLは、通信(インターネット等)を介してそのネット配信コンテンツを取得するためのURLとなる。これにより、ウェブブラウザー40のプレイヤー部43は、選択されたコンテンツの映像および音声を再生・提示する。
【0067】
以上のように、任意の状態から、放送コンテンツの受信・提示の状態、あるいはネット配信コンテンツの受信・提示の状態に、切り替えることが可能となる。また、ウェブブラウザー40において、放送コンテンツを取得・提示する場合とネット配信コンテンツを取得・提示する場合との違いは、MSE処理部41が取得対象とするURLの違いだけである。つまり、伝送路抽象化機能部80(図1を参照)は放送コンテンツの伝送路を抽象化し、ネット配信コンテンツと同一の仕組みでウェブブラウザー40が放送コンテンツを取得・提示することができるようになる。
【0068】
図6は、受信装置1の一部としてコンピューターを利用する場合の、そのコンピューターの内部構成の例を示すブロック図である。図示するように、そのコンピューターは、中央処理装置901と、RAM902と、入出力ポート903と、入出力デバイス904や905等と、バス906と、を含んで構成される。コンピューター自体は、既存技術を用いて実現可能である。中央処理装置901は、RAM902等から読み込んだプログラムに含まれる命令を実行する。中央処理装置901は、各命令にしたがって、RAM902にデータを書き込んだり、RAM902からデータを読み出したり、算術演算や論理演算を行ったりする。RAM902は、データやプログラムを記憶する。RAM902に含まれる各要素は、アドレスを持ち、アドレスを用いてアクセスされ得るものである。なお、RAMは、「ランダムアクセスメモリー」の略である。入出力ポート903は、中央処理装置901が外部の入出力デバイス等とデータのやり取りを行うためのポートである。入出力デバイス904や905は、入出力デバイスである。入出力デバイス904や905は、入出力ポート903を介して中央処理装置901との間でデータをやりとりする。バス906は、コンピューター内部で使用される共通の通信路である。例えば、中央処理装置901は、バス906を介してRAM902のデータを読んだり書いたりする。また、例えば、中央処理装置901は、バス906を介して入出力ポート903にアクセスする。
【0069】
なお、上述した実施形態における受信装置1を構成するための少なくとも一部の機能をコンピューターで実現することができる。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリー等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。つまり、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、非一過性の(non-transitory)コンピューター読み取り可能な記録媒体であってよい。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、一時的に、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0070】
特に典型的な構成例として、受信装置1(図1を参照)が持つ機能のうち、ウェブブラウザー40の機能を汎用的なブラウザーのプログラムとして実現してよい。また、伝送路抽象化機能部80の機能をひとまとまりのプログラムとして実現して、伝送路抽象化機能部80のプログラムが上記のブラウザーのプログラムと連携動作するようにしてもよい。ただし、ここで挙げたプログラムの実装に関する構成は単なる一例であり、実施のしかたを限定するものではない。
【0071】
[変形例]
以上、実施形態を説明したが、本発明はさらに次のような変形例でも実施することが可能である。なお、複数の変形例を、組み合わせることが可能な限りにおいて、組み合わせて実施してもよい。図1を参照しながら説明したように、実施形態の受信装置1は、チューナー機能部11と、コンテンツ提供部12と、フォーマット変換部13と、データ生成部14と、チューナー制御部21と、ウェブサーバー30と、ウェブブラウザー40と、通信部51とを含むものである。第1変形例として、受信装置がチューナー機能部11を持たない構成としてもよい。あるいは、上記構成のうちチューナー機能部11を除いた構成を受信装置として捉えてもよい。この場合には、受信装置は、外部のチューナーから放送信号を受け取ってその放送信号に基づく処理を行う。第2変形例として、受信装置がウェブブラウザー40を持たない構成としてもよい。この場合には、受信装置は、例えば外部のPCやスマホやタブレット端末などといった情報機器が備えるウェブブラウザーに対して、映像や音声やその他の放送リソースを配信する。第3変形例として、受信装置がフォーマット変換部13を持たない構成としてもよい。コンテンツ提供部12が放送信号から抽出する映像および音声のデータ(ファイル)の形式と、放送リソース取得インターフェース処理部33がウェブブラウザー40に対して提供する映像および音声のデータ(ファイル)の形式とが同一である場合には、フォーマット変換部13によるフォーマット変換の処理は不要である。つまり、この第3変形例の場合には、コンテンツ提供部12が放送信号から抽出した映像および音声のファイルを、そのままウェブサーバー30内の記憶部31に格納して、放送リソース取得インターフェース処理部33がその形式の映像および音声のファイルをウェブブラウザー40側に渡すことができる。
【0072】
以上説明したように、上の実施形態(変形例を含む)によれば、受信装置1等では、
放送で配信されるコンテンツとネットで配信されるコンテンツとをウェブアプリの単一の機能で扱うことができる。つまり、高画質化あるいは多機能化などといったウェブの進化に追従して、放送サービスを拡張することが可能となる。また、実施形態によれば、デバイス連携の技術やデータ連携の技術などの既存のウェブ技術を、放送受信装置に容易に組み込むことが可能となる。
【0073】
以上、この発明の実施形態(変形例を含む)について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、例えば、放送信号を受信してそのコンテンツをウェブのデファクトスタンダード技術を用いてブラウザーに提供するために利用することができる。つまり、本発明は、例えば、放送を受信する装置のために利用することができる。但し、本発明の利用範囲はここに例示したものには限られない。
【符号の説明】
【0075】
1 受信装置
11 チューナー機能部
12 コンテンツ提供部
13 フォーマット変換部
14 データ生成部
21 チューナー制御部
30 ウェブサーバー
31 記憶部
32 記憶部
33 放送リソース取得インターフェース処理部
35 制御インターフェース処理部
40 ウェブブラウザー
41 MSE処理部
42 デコーダー部
43 プレイヤー部
51 通信部
80 伝送路抽象化機能部
901 中央処理装置
902 RAM
903 入出力ポート
904,905 入出力デバイス
906 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6