(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010020
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】顕微鏡収差補正
(51)【国際特許分類】
H01J 37/22 20060101AFI20250109BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20250109BHJP
H01J 37/153 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H01J37/22 501Z
H01J37/28 C
H01J37/153 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024104629
(22)【出願日】2024-06-28
(31)【優先権主張番号】18/345,675
(32)【優先日】2023-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】マウリッツ ディエフイス
(72)【発明者】
【氏名】モーリス ぺーメン
(72)【発明者】
【氏名】ハンズ イルマ ステファン バンロムぺイ
(72)【発明者】
【氏名】ナルゲス ジャワヘリ
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA05
5C101AA13
5C101AA14
5C101AA16
5C101EE08
5C101EE13
5C101FF56
5C101FF57
5C101GG05
5C101GG06
5C101GG07
5C101GG09
5C101GG37
5C101HH44
5C101HH47
5C101JJ04
5C101JJ08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電子顕微鏡カラム及び関連するロンチグラム取得回路を含む科学機器のための支援装置を提供する。
【解決手段】インターフェースデバイスは、取得されたロンチグラムを受信し、その電子ビーム光学系のための制御信号を送信する。処理デバイスは、測定されたロンチグラムをトランスフォーマのための入力トークンに変換し、入力トークンで終わるトークン化された文に基づいて出力トークンを生成し、入力トークン及び出力トークンに基づいて制御信号に対する調節を判定する。入力トークン及び出力トークンは、電子ビーム光学系のアライメントパラメータ空間をサンプリングする基準ロンチグラムを表す複数のトークンに属する。トランスフォーマは、電子ビーム光学系のターゲットアライメント状態までのアライメントパラメータ空間を通る経路を表す、基準文のコーパスに対して訓練された自己回帰マスク言語モデルを実装する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
科学機器のための支援装置であって、前記支援装置が、
前記科学機器の電子顕微鏡カラムで取得されたロンチグラムを表すデータを受信するように構成されており、前記電子顕微鏡カラムの電子ビーム光学系のための1つ以上の制御信号を送信するように更に構成されている、インターフェースデバイスと、
処理デバイスと、を備え、前記処理デバイスは、
測定されたロンチグラムをトランスフォーマのための入力トークンに変換することと、
前記トランスフォーマを用いて、前記入力トークンで終わるトークン化された文に基づいて出力トークンを生成することと、
前記入力トークン及び前記出力トークンに基づいて、前記1つ以上の制御信号に対する1つ以上の調節を判定することと、を行うように構成されており、
前記入力トークン及び前記出力トークンが、前記電子ビーム光学系のアライメントパラメータ空間をサンプリングする複数の基準ロンチグラムを表す複数のトークンに属し、
前記トランスフォーマが、基準文のコーパスに対して訓練された自己回帰マスク言語モデルを実装し、前記基準文の各々が、前記電子ビーム光学系のターゲットアライメント状態までの前記アライメントパラメータ空間を通るそれぞれの経路を表す、支援装置。
【請求項2】
前記複数の基準ロンチグラムは、前記科学機器のコンピュータモデルを介して生成された1つ以上のロンチグラムを含む、請求項1に記載の支援装置。
【請求項3】
前記複数の基準ロンチグラムが、前記科学機器の前記電子顕微鏡カラムで取得された1つ以上のロンチグラムを含む、請求項1に記載の支援装置。
【請求項4】
前記処理デバイスが、前記1つ以上の制御信号の最後の調節後に取得された前記測定されたロンチグラムを表す前記入力トークンを前記トークン化された文に付加することによって、前記トークン化された文を反復的に更新するように構成されている、請求項1に記載の支援装置。
【請求項5】
前記アライメントパラメータ空間の異なる次元が、幾何学的収差の異なるそれぞれの成分を表す、請求項1に記載の支援装置。
【請求項6】
各それぞれの経路が、前記アライメントパラメータ空間において直線的である、請求項1に記載の支援装置。
【請求項7】
前記トークン化された文の任意の2つの隣接するトークンが、前記アライメントパラメータ空間を通る前記それぞれの経路のそれぞれの線形セグメントの両端に対応する、請求項1に記載の支援装置。
【請求項8】
前記それぞれの線形セグメントが、二回非点収差を表す前記アライメントパラメータ空間の第1の次元に平行であるか、又は焦点ずれを表す前記アライメントパラメータ空間の第2の次元に平行である、請求項7に記載の支援装置。
【請求項9】
前記1つ以上の調節が、前記アライメントパラメータ空間内の前記それぞれの線形セグメントの長さに基づいて判定される、請求項8に記載の支援装置。
【請求項10】
前記処理デバイスが、
前記測定されたロンチグラムに逆フーリエ変換を適用して、対応する逆空間ロンチグラムを計算することと、
前記対応する逆空間ロンチグラムを、前記複数の基準ロンチグラムのうちの対応する1つにマッピングすることと、
前記入力トークンとして、前記複数のトークン内の前記複数の基準ロンチグラムのうちの前記対応する1つを表すトークンを提供することと、によって前記測定されたロンチグラムを前記入力トークンに変換するように構成されている、請求項1に記載の支援装置。
【請求項11】
前記トランスフォーマが、
第1のマルチヘッド自己注意機構及び第1の位置的に完全に接続されたフィードフォワードニューラルネットワークを含むエンコーダと、
第2のマルチヘッド自己注意機構、前記エンコーダの出力及び前記第2のマルチヘッド自己注意機構の出力に対するマルチヘッド注意機構、及び第2の完全に接続されたフィードフォワードニューラルネットワークを含むデコーダと、を備える、請求項1に記載の支援装置。
【請求項12】
科学機器に支援を提供するためにコンピューティングデバイスを介して実施される自動化された方法であって、前記方法が、
測定されたロンチグラムをトランスフォーマのための入力トークンに変換することであって、前記測定されたロンチグラムが、前記科学機器の電子顕微鏡カラムを用いて取得されたデータを介して受信される、変換することと、
前記トランスフォーマを用いて、前記入力トークンで終わるトークン化された文に基づいて出力トークンを生成することと、
前記入力トークン及び前記出力トークンに基づいて、前記電子顕微鏡カラムの電子ビーム光学系のための1つ以上の制御信号に対する1つ以上の調節を判定することと、を含み、
前記入力トークン及び前記出力トークンが、前記電子ビーム光学系のアライメントパラメータ空間をサンプリングする複数の基準ロンチグラムを表す複数のトークンに属し、
前記トランスフォーマが、基準文のコーパスに対して訓練された自己回帰マスク言語モデルを実装し、前記基準文の各々が、前記電子ビーム光学系のターゲットアライメント状態までの前記アライメントパラメータ空間を通るそれぞれの経路を表す、自動化された方法。
【請求項13】
前記1つ以上の制御信号の最後の調節後に取得された前記測定されたロンチグラムを表す前記入力トークンを前記トークン化された文に付加することによって、前記トークン化された文を反復的に更新することを更に含む、請求項12に記載の自動化された方法。
【請求項14】
前記アライメントパラメータ空間の異なる次元が、幾何学的収差の異なるそれぞれの成分を表す、請求項12に記載の自動化された方法。
【請求項15】
各それぞれの経路が、前記アライメントパラメータ空間において直線的である、請求項12に記載の自動化された方法。
【請求項16】
前記トークン化された文の任意の2つの隣接するトークンが、前記アライメントパラメータ空間を通る前記それぞれの経路のそれぞれの線形セグメントの両端に対応する、請求項12に記載の自動化された方法。
【請求項17】
前記それぞれの線形セグメントが、二回非点収差を表す前記アライメントパラメータ空間の第1の次元に平行であるか、又は焦点ずれを表す前記アライメントパラメータ空間の第2の次元に平行である、請求項16に記載の自動化された方法。
【請求項18】
前記1つ以上の調節が、前記アライメントパラメータ空間内の前記それぞれの線形セグメントの長さに基づいて判定される、請求項16に記載の自動化された方法。
【請求項19】
前記変換することが、
前記測定されたロンチグラムに逆フーリエ変換を適用して、対応する逆空間ロンチグラムを計算することと、
前記対応する逆空間ロンチグラムを、前記複数の基準ロンチグラムのうちの対応する1つにマッピングすることと、
前記入力トークンとして、前記複数のトークン内の前記複数の基準ロンチグラムのうちの前記対応する1つを表すトークンを提供することと、を含む、請求項12に記載の自動化された方法。
【請求項20】
コンピューティングデバイスによって実行されたときに、前記コンピューティングデバイスに、請求項12に記載の自動化された方法を含む動作を実施させる命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2023年6月30日に出願された、米国非仮特許出願第18/345,675号の優先権を主張し、その開示は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
様々な例示的な実施形態は、概して、電子顕微鏡の構成要素、機器、システム、及び方法に関するが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0003】
電子顕微鏡の分解能は、電子ビームレンズの不完全性によって制限される場合がある。このような不完全性の結果は、光学顕微鏡で観察される収差との類似性に起因して、収差と称される。例えば、走査透過電子顕微鏡(scanning transmission electron microscope、STEM)を用いた実験的測定の前に、オペレータは、典型的には、少なくともいくつかの収差が補正されるように、顕微鏡の電子ビームレンズを調整する必要がある。場合によっては、電子ビームレンズに関連付けられた回路内の様々なドリフトプロセスによって引き起こされる離調を相殺するために、そのような調整を、例えば、1日に数回繰り返す必要がある。オペレータによって手動で実施される場合、このタイプの調整は、典型的には単調で、時間がかかり、かつ/又は最適ではない。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、とりわけ、電子顕微鏡カラム及び関連するロンチグラム取得回路を含む科学機器の様々な実施例、態様、特徴、及び実施形態が開示される。科学機器の電子コントローラは、トランスフォーマを採用して、電子顕微鏡カラム内の電子ビーム光学系の少なくともいくつかの幾何学的収差を自動的に補正する。例示的な実施形態によれば、トランスフォーマは、電子ビーム光学系のアライメントパラメータ空間を通る、そのターゲットアライメント状態への様々な経路を表す基準文のコーパスで訓練された自己回帰マスク言語モデルを実装する。トランスフォーマのリターンループは、ロンチグラム取得回路に接続され、トランスフォーマが、同時に取得されたロンチグラムに基づいて、科学機器のアライメントプロセスをターゲットアライメント状態に向けて自動的に駆動することを可能にし、それにより、オペレータによる電子ビーム光学系の手動(再)アライメントの必要性を有益に排除する。
【0005】
一実施例は、科学機器のための支援装置であって、科学機器の電子顕微鏡カラムを用いて取得されたロンチグラムを表すデータを受信するように構成されており、電子顕微鏡カラムの電子ビーム光学系のための1つ以上の制御信号を送信するように更に構成されている、インターフェースデバイスと、処理デバイスであって、測定されたロンチグラムをトランスフォーマのための入力トークンに変換することと、トランスフォーマを用いて、入力トークンで終わるトークン化された文に基づいて出力トークンを生成することと、入力トークン及び出力トークンに基づいて、1つ以上の制御信号に対する1つ以上の調節を判定することと、を行うように構成されている、処理デバイスと、を備え、入力トークン及び出力トークンが、電子ビーム光学系のアライメントパラメータ空間をサンプリングする複数の基準ロンチグラムを表す複数のトークンに属し、トランスフォーマが、基準文のコーパスに対して訓練された自己回帰マスク言語モデルを実装し、基準文の各々が、電子ビーム光学系のターゲットアライメント状態へのアライメントパラメータ空間を通る各経路を表す、支援装置を提供する。
【0006】
別の実施例は、科学機器に支援を提供するためにコンピューティングデバイスを介して実施される自動化された方法であって、測定されたロンチグラムをトランスフォーマのための入力トークンに変換することであって、測定されたロンチグラムが、科学機器の電子顕微鏡カラムを用いて取得されたデータを介して受信される、変換することと、トランスフォーマを用いて、入力トークンで終わるトークン化された文に基づいて出力トークンを生成することと、入力トークン及び出力トークンに基づいて、電子顕微鏡カラムの電子ビーム光学系のための1つ以上の制御信号に対する1つ以上の調節を判定することと、を含み、入力トークン及び出力トークンが、電子ビーム光学系のアライメントパラメータ空間をサンプリングする複数の基準ロンチグラムを表す複数のトークンに属し、トランスフォーマが、基準文のコーパスに対して訓練された自己回帰マスク言語モデルを実装し、基準文の各々が、電子ビーム光学系のターゲットアライメント状態へのアライメントパラメータ空間を通るそれぞれの経路を表す、自動化された方法を提供する。
【0007】
更に別の実施例は、コンピューティングデバイスによって実行されたときに、コンピューティングデバイスに、上記の自動化された方法を含む動作を実施させる命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の前述の態様及び多くの付随する利点が、添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照することでより良好に理解されるので、より容易に認識されるであろう。
【
図1】いくつかの実施形態による、例示的な科学機器を例解するブロック図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、
図1の科学機器におけるロンチグラムの取得を例解するブロック図である。
【
図3A】いくつかの実施例による、科学機器100の二次元(two-dimensional、2D)アライメントパラメータ空間に対応するロンチグラムチャートである。
【
図3B】いくつかの実施例による、科学機器100の二次元(two-dimensional、2D)アライメントパラメータ空間に対応するロンチグラムチャートである。
【
図3C】いくつかの実施例による、科学機器100の二次元(two-dimensional、2D)アライメントパラメータ空間に対応するロンチグラムチャートである。
【
図4A】いくつかの実施例による、
図1の科学機器のデジタルツインの生成パフォーマンスを図式的に例解する。
【
図4B】いくつかの実施例による、
図1の科学機器のデジタルツインの生成パフォーマンスを図式的に例解する。
【
図4C】いくつかの実施例による、
図1の科学機器のデジタルツインの生成パフォーマンスを図式的に例解する。
【
図4D】いくつかの実施例による、
図1の科学機器のデジタルツインの生成パフォーマンスを図式的に例解する。
【
図4E】いくつかの実施例による、
図1の科学機器のデジタルツインの生成パフォーマンスを図式的に例解する。
【
図4F】いくつかの実施例による、
図1の科学機器のデジタルツインの生成パフォーマンスを図式的に例解する。
【
図4G】いくつかの実施例による、
図1の科学機器のデジタルツインの生成パフォーマンスを図式的に例解する。
【
図4H】いくつかの実施例による、
図1の科学機器のデジタルツインの生成パフォーマンスを図式的に例解する。
【
図5】いくつかの実施形態による、
図1の科学機器においてロンチグラムアライメントを実施するために人工知能(artificial intelligence、AI)エージェントを訓練する方法を例解するフローチャートである。
【
図6】いくつかの実施例による、
図5の方法のある特定の動作を例解するロンチグラムチャートである。
【
図7】いくつかの実施形態による、
図1の科学機器におけるロンチグラムアライメントを実施するために使用されるトランスフォーマを例解するブロック図である。
【
図8】いくつかの実施形態による、
図7のトランスフォーマを組み込んだ光学系アライメント回路を例解するブロック図である。
【
図9】いくつかの実施形態による、
図1の科学機器において電子ビーム光学系をアライメントする自動化された方法のフローチャートである。
【
図10】様々な実施形態による、少なくともいくつかの科学機器支援動作を実施するように構成されている例示的なコンピューティングデバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例示的なSTEMアライメント方法は、2セット以上のアライメント動作を含む。ロンチグラムアライメントと称されることもあるこのようなアライメント動作の1つのセットは、観察されたロンチグラムパターンに基づく電子ビーム光学系の調整を伴う。ロンチグラムアライメントを使用して、低次収差及び高次収差の両方を補正することができる。いくつかの実装形態では、ロンチグラムアライメントの後、コンデンサレンズ口径が挿入され、次いで、高品質のSTEM画像を得るために少なくともいくつかの残留収差が細かく補正される。不利なことに、少なくとも一部のユーザは、ロンチグラムアライメントを実施することが困難であると感じる。
【0010】
本明細書において、「ロンチグラム」という用語は、非晶質検体上に集束された収束電子ビームの回折パターンを指す。数学用語では、レンズ収差関数χ(k)は、式(1)によって表すことができる。
【0011】
【数1】
式中、αは、収束角であり、φは、方位角であり、λは、電子ビームの波長であり、C
n,m及びφ
n,mは、Krivanek記法における幾何学的収差の異なる成分を示し、mは、収差の程度であり、nは、収差の次数である。観察されたロンチグラムは、回折平面上の電子確率密度g(k)に比例し、これは、例えば、以下のように、透過波動関数ψ
t(x)のフーリエ変換(Fourier transform、FT)のモジュラスの二乗を使用して表すことができる。
【0012】
【数2】
式中、透過波動関数ψ
t(x)は、収差関数χ(k)のフーリエ変換と非晶質検体電位との積である。いくつかのモデルでは、非晶質検体は、例えば、アイコナール近似の下で、電子ビームにランダムな位相を加えるランダムに生成されたノイズのある位相格子として扱われる。
【0013】
ロンチグラムのテクスチャにおいてエンコーディングされる重要な特徴は、倍率及び対称性である。焦点内ビームに対して、ロンチグラムの中心は、電子ビームのコヒーレントで実質的に収差のない部分を表す高い局所倍率を有する。光軸から更に離れると、収差は、局所倍率を低減させる。収差の存在は、ロンチグラムの構造及び対称性に影響を及ぼす。例えば、非対称収差(m>0)は、回転対称性を壊す。二回非点収差(C12)は、典型的には、高倍率の領域を一方向に引き伸ばし、はっきりとしたストリーキイングを生成する。軸コマ(C21)は、ロンチグラムの中心をシフトさせる。三回非点収差(C23)は、三回対称ローブを生成し、以下同様である。顕微鏡がアライメントされているとき、電子ビームレンズを通る様々な電流を調節して、ロンチグラムにおける収差の様々な発現を最小限に抑えることができる。良好にアライメントされた顕微鏡では、低次収差はほぼ完全に補正され、その結果、高い局所倍率の大きい特徴のない領域が生じ、残留高次収差に起因する特徴的な6倍の輪郭を有することが多い。
【0014】
図1は、いくつかの実施形態による、科学機器100を例解するブロック図である。科学機器100は、真空チャンバ108に結合された走査透過電子顕微鏡(STEM)カラム102を含む。真空チャンバ108は、中に可動試料ホルダ110を収容し、1つ以上の真空ポンプ(
図1には明示的には図示せず)を使用して排気することができる。例示的な実施形態では、試料ホルダ110は、XY座標平面に平行に、かつZ座標軸に平行に独立して移動可能であり、対応する座標系は、
図1に示されるXYZ座標トライアドによって示される。科学機器100を使用して調査される試料Sは、
図1に示されるように試料ホルダ110に取り付けられる。
【0015】
示される実施例では、STEMカラム102は、電子源112と、2つ以上の電子ビームレンズと、を備えるが、
図1では、例解目的のために、そのうちの2つ、すなわち対物レンズ106及びコンデンサレンズ116のみを概略的に示す。いくつかの実施例では、(2とは)異なる数のそのようなレンズが、STEMカラム102内で使用され得る。いくつかの実施形態では、対物レンズ106は、超高解像度(ultra-high-resolution、UHR)レンズであり得る。
【0016】
動作中、電子源112は、STEMカラム102の長手方向軸115に概ね沿って伝搬する電子ビーム114を生成する。電子ビームレンズ106及び116は、電子ビーム114内の電子軌道に影響を及ぼす電場及び磁場を生成するように動作する。電子コントローラ150によって生成される制御信号152、156は、これらの場の強度及び/又は空間構成を変更し、電子ビーム114に所望の特性を付与するために使用される。概して、電子ビームレンズ106及び116、制御信号152及び156、並びに科学機器100の他の関連構成要素を使用して、様々な動作を実施し、ビーム集束、収差緩和、開口クロッピング、フィルタリングなどの様々な機能を支援することができる。STEMカラム102は、電子コントローラ150によって印加された制御信号154に応答して電子ビーム114をステアリングすることができる、偏向ユニット118を更に備える。このようなビームステアリングを使用して、電子ビーム114の集束部分を、試料Sを横切る所望の経路に沿って移動させて、例えば試料Sのラスタ走査又はベクトル走査を実施することができる。
【0017】
科学機器100はまた、試料Sに相対的に近接して真空チャンバ108内に位置する検出器160、170、180を含む。動作中、検出器160、170、及び180は、電子コントローラ150によって受信される測定値162、172、及び182のストリームを生成する。検出器160、170、180の具体的なタイプは、科学機器100の実施形態に依存し、典型的には、電子ビーム114に応答して生成される、試料Sからの異なるタイプの放出及び/又は放射を検出するのに好適な様々な検出器タイプから選択することができる。このようにして生成され得る放出/放射の例示的なタイプとしては、X線、赤外線、可視光線、紫外線、後方散乱電子、二次電子、オージェ電子、弾性散乱電子、非散乱(例えば、ゼロエネルギー損失)電子、及び非弾性散乱電子が挙げられるが、これらに限定されない。様々な実施形態では、(3とは)異なる数のそのような検出器を科学機器100内で使用することができる。いくつかの実施形態では、検出器160、170、180は、高角度環状暗視野検出器、中角度環状暗視野検出器、環状明視野検出器、セグメント化環状検出器、微分位相コントラスト検出器、及び二次元(例えば、ピクセル化)回折パターン検出器からなる群から選択される。上で言及されるタイプの発行/放射線のうちの様々なものを検出することができる他の検出器も、様々な追加の実施形態において使用することができる。
【0018】
図2は、いくつかの実施形態による、科学機器100でのロンチグラム画像210の取得を例解するブロック
図200である。簡略化のために、1つのプローブ形成レンズ、すなわち電子ビームレンズ202のみを
図2に示す。電子ビームレンズ202は、対物レンズプリフィールドを表し、実際には、2つ以上の電子ビームレンズ(例えば、
図1の電子ビームレンズ106、116を参照されたい)を用いて実装され得る。対物レンズポストフィールドによって引き起こされる電子ビーム114の圧縮及び任意のポスト検体レンズの効果は、
図2に明示的には図示されていない。ロンチグラム画像210は、二次元ピクセル化検出器(例えば、CCDカメラ)180によって捕捉される。
【0019】
いくつかの実装形態では、ロンチグラム取得の前に、試料S及び/又は電子ビーム114は、電子ビーム114が試料Sの非晶質領域に当たるように位置決めされる。いくつかの他の実装形態では、試料Sの結晶領域も使用することができる。ロンチグラム画像210の取得中、電子ビーム114は静止したままであり、ビームのポスト検体強度はCCDカメラ180によって、又は機能的に等価なデバイスによって記録される。上で言及されるロンチグラムアライメントを実施するために、一連のロンチグラム画像210が取得され、一連のロンチグラム画像210の各々は、プローブ形成レンズ202の選択された構成要素の電気的励起における小さい変化の後に捕捉される。
【0020】
STEMのフラウンホーファ回折面に形成される電子ビーム114の強度は、角度とともに大きく変化し、この変化は、レンズ収差及び焦点ずれdの敏感な関数であるので、上で説明されるロンチグラムシリーズを使用して、STEMアライメントを導くことができる。プローブ形成レンズ202の光学部品の励起がわずかに変化すると、円形対称から外れるロンチグラムパターンの並進によって、小さい位置ずれが明らかになる。更に、ロンチグラムパターンにおける干渉縞の存在及び不在は、インコヒーレントな広がりの量と相関する。
【0021】
大きい焦点ずれdにおいて、電子線のクロスオーバポイントFは、長手方向軸115に沿って試料Sから相対的に大きい距離にあり、投影画像は検出器180を用いて観察され得る。ガウス焦点に近づくにつれて、例えば、レンズ収差及びレンズ収差が電子ビーム114の位相に影響を及ぼす態様に起因して、倍率に対する角度依存性が典型的に現れる。わずかな不足焦点(すなわち、クロスオーバポイントFが試料Sよりわずかに下にあるとき)において、実質的に無限大の倍率の方位円及び半径円が観察される場合がある。これらは、焦点ずれd及び球面収差が互いに効果的に相殺する角度である。軸方向非点収差は、例えば、STEMカラム102内の非点収差コイルを励起して、それらのロンチグラム特徴をほぼ円対称にすることによって、正確に補正することができる。電子ビーム114が試料S上により良く集束されるにつれて、中央の低角度は、漸進的により高い倍率を表示する。この位置のロンチグラムではコマフリー軸が明確に定義され、検出器と口径との全てのアライメント及び位置決めは、その軸スポットに対して有益に実施できる。一連のロンチグラム画像210におけるコマフリー軸の直接観察可能性は、例えば、対物レンズの電流又は電圧中心が代理基準として使用される他のいくつかのアライメント方法と比較して、ロンチグラムアライメントの重要な利点であり、このタイプの基準は、典型的には、直接見えるものほど正確ではない。
【0022】
電子ビーム114がコマフリー軸に対してアライメントされた後、ビームの強度分布の制御は、電子ビームレンズ202の正確な設定と、典型的に高角度に対応する周辺収差ビームを除外するために挿入されるSTEM対物口径のサイズに依存する。例えば、低次収差は、検出器180によって捕捉されたロンチグラム画像210におけるその発現に基づいて、例えば、科学機器100のA1及びC1仮想ノブを「回転させる」ことによって、補正することができる。本明細書では、「A1仮想ノブ」という用語は、レンズ収差関数χ(k)の二回非点収差(C
12)成分に主に影響を及ぼす電子ビームレンズ202の1つ以上の設定を指す。「C1仮想ノブ」という用語は、焦点ずれdに主に影響を及ぼす電子ビームレンズ202の1つ以上の設定を指す。A1仮想ノブ及びC1仮想ノブは、典型的には、離調レンズ構成から、関連する低次収差が実質的に補正される構成にナビゲートするために、小刻みに回される。一連のロンチグラム画像210は、例えば、
図3Aを参照して以下に説明されるように、単一のロンチグラム画像210からの実際のA1及びC1値の推論における固有の曖昧さに起因して、典型的には、このナビゲーションプロセスを導くために必要とされる。これらの固有の曖昧性は、レンズ収差関数χ(k)における対応する対称性の発現である(式(1)も参照されたい)。本明細書に開示される様々な実施形態は、例えば、以下でより詳細に説明されるように、電子ビーム光学系のアライメントパラメータ空間を通してナビゲーションプロセスを自動化することを対象とする。
【0023】
図3Aは、一実施例による科学機器100のA1-C1パラメータ空間に対応するロンチグラムチャート300である。ロンチグラムチャート300は、A1パラメータのi番目の値及びC1パラメータのj番目の値を含む各(A1、C1)値対についてそれぞれの基準ロンチグラム310
ijを有し、ここでi及びjは、インデックスである。各ロンチグラム310
ijは、逆空間(k空間)ロンチグラムであり、これは、フーリエ変換を介して検出器180によって捕捉された対応するx空間ロンチグラム画像210に関連する。
【0024】
チャート300では、ロンチグラム31000は、科学機器100のターゲットアライメント状態に対応し、関連する低次収差は、実質的に補正される。単一のロンチグラム310ijからの実際のA1及びC1パラメータ値の推論における固有の曖昧さは、例えば、チャート300におけるロンチグラム3108,-10、31010,-8及び3109,-9の比較から明らかである。これらの個々のロンチグラムは、たとえそれらの各々が異なるそれぞれの(A1、C1)値対に対応するとしても、互いに非常に類似している。したがって、ロンチグラム3108,-10、31010,-8、及び3109,-9のいずれかのように見える単一のロンチグラムを取得しても、対応する実際の(A1、C1)パラメータ値対の明確な推論は困難である。しかしながら、A1-C1パラメータ空間における機器の現在の場所を知らなければ、必要とされるA1及び/又はC1パラメータ調節の符号でさえ、場合によっては明確に判定可能ではない場合がある。
【0025】
本明細書で開示される様々な実施形態は、機械学習技法を使用する最新技術における上で示される問題のうちの少なくともいくつかに対処する。代表的な実施例では、ディープラーニングアーキテクチャは、科学機器100のアライメントパラメータ空間を通るロンチグラムアライメント経路を「アライメント」言語の文として解釈することによって、アライメントパラメータ空間(
図3Aのチャート300によって例示される)を通る機器アライメントプロセスをガイドするために提供される。このアライメント言語の単語はロンチグラムによって表され、このアライメント言語の文法的に正しい文は、チャート300内のロンチグラム310
00に対応する状態など、科学機器100のターゲットアライメント状態につながるロンチグラムシーケンスによって表される。いくつかの実施例では、ディープラーニングアーキテクチャは、(i)複数の既知のアライメントパラメータ空間設定に対して基準ロンチグラムを生成することができる科学機器100のデジタルツインと、(ii)ターゲットアライメント状態に向けてデジタルツインを調整するようにAIエージェントを訓練することと、(iii)ロンチグラムアライメントプロセスの自動化制御のために、科学機器100の電子コントローラ150を用いて訓練されたAIエージェントの展開と、に依存する。
【0026】
本明細書において、「デジタルツイン」という用語は、アライメントパラメータ値の任意の有効なセットの入力に応答して計算されたロンチグラムを出力するように構成されている科学機器100のコンピュータモデルを指す。
図3Aに例解する実施例について、デジタルツインは、A1パラメータのi番目の値及びC1パラメータのj番目の値からなる有効な(A1、C1)パラメータ値対を入力として受信することに応答して、それぞれのロンチグラム310
ijを計算するように動作する。STEMカラム調整回路の異なる実施形態について、科学機器100のデジタルツインは、他の仮想ノブの組み合わせ、例えば、A1及び/又はC1パラメータ以外のアライメントパラメータを制御する組み合わせ、及び/又はSTEMカラムを調整するために使用されるノブの組み合わせにおいて異なる(2つからの)数の仮想ノブを有する組み合わせについてロンチグラムを計算するように構成することができる。
【0027】
図3B~
図3Cは、別の実施例による科学機器100のA1-C1パラメータ空間に対応するロンチグラムチャート301及び302をそれぞれ示す。ロンチグラムチャート301及び302の両方は、科学機器100のデジタルツインを使用して生成される。ロンチグラムチャート301(
図3B)は、ロンチグラム画像320
ijを有し、その各々は、ロンチグラム画像210に類似している。ロンチグラムチャート302(
図3C)は、逆格子空間(k空間)ロンチグラム330
ijを有し、その各々は、
図3Bに示すロンチグラム画像320
ijのうちの対応する1つをフーリエ変換することによって計算される。ロンチグラムチャート301及び302の各々では、横軸はC1パラメータを表し、縦軸はA1パラメータを表す。ロンチグラム画像320
00及び逆格子空間ロンチグラム330
00は、科学機器100のターゲットアライメント状態を表す。
【0028】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、ロンチグラム画像を使用して、ロンチグラムアライメントを実施する。これらの実施形態で使用されるロンチグラム画像は、測定されたロンチグラム画像210(
図2)、又はデジタルツインロンチグラム画像320
ij(
図3B)に類似した画像である可能性がある。本明細書に開示されるいくつかの他の実施形態は、逆格子空間ロンチグラムを使用して、ロンチグラムアライメントを実施する。これらの実施形態で使用される逆格子空間ロンチグラムは、逆格子空間ロンチグラム310
ij(
図3A)又は逆格子空間ロンチグラム330
ij(
図3C)に類似する可能性がある。
【0029】
図4A~
図4Hは、いくつかの実施例による、科学機器100のデジタルツインのパフォーマンスを図式的に例解する。より具体的には、
図4A~
図4Hの各々は、示されたインデックス値に対するそれぞれのロンチグラム310
ijを示す。ロンチグラム310
ijは、対で提示され(それぞれ、
図4A及び
図4B、
図4C及び
図4D、
図4E及び
図4F、並びに
図4G及び
図4Hとしてグループ化される)、各対は、2つの比較を簡便にするために、対応する実験的に測定されたデジタルツインロンチグラム310
ijを含む。実験的に測定したロンチグラムを
図4A、
図4C、
図4E、及び
図4Gに示す。対応するデジタルツインロンチグラムを、それぞれ
図4B、
図4D、
図4F、及び
図4Hに示す。各対内のロンチグラムの比較は、実験的に測定されたロンチグラムとデジタルツインロンチグラム310
ijとの間の若干の不一致を明らかにし、これは、いくつかのロンチグラム対についての長軸及び短軸のフィッティングにおける差によって視覚的に示される。
【0030】
異なる実施例では、実験的に測定されたロンチグラム310
ij又はデジタルツインロンチグラム310
ijに対して、AIエージェントを訓練することができる。実験的に測定されたロンチグラム310
ijは、概して、デジタルツインロンチグラム310
ijよりもAIエージェントのより正確な訓練を提供することができる。しかしながら、精度の向上は、ロンチグラム310
ijを測定するための実験に多大な時間を費やすという代償を伴う。一方、デジタルツインロンチグラム310
ijの使用による精度の多少の損失は、科学機器100の相対的に正確なデジタルツインが利用可能なとき、相対的に多数のデジタルツインロンチグラム310
ijを生成することができる速度及び容易さによって相殺され得る。
図4A~
図4Hに例解される不一致の存在は、概して、デジタルツインロンチグラム310
ijに対して訓練されたAIエージェントのターゲット状態への収束速度を低減させる可能性があるが、そのようなデジタルツインロンチグラムは、収束が行われる実験ロンチグラム310
ijの十分に正確な近似を依然として提供する。したがって、異なる使用例に適用可能な費用便益分析に応じて、実験的に測定されたロンチグラム310
ij又はデジタルツインロンチグラム310
ijのいずれかが、AIエージェントの訓練に使用され得る。場合によっては、デジタルツインロンチグラム310
ijの使用が、AIエージェントを訓練するために好ましい場合がある。
【0031】
図5は、いくつかの実施形態による、科学機器100においてロンチグラムアライメントを実施するように、AIエージェントを訓練する方法500を例解するフローチャートである。例解目的のために、かついかなる暗黙の限定もなしに、上で説明される例示的なA1-C1アライメントパラメータ空間を参照して、方法500を説明する。提供された説明に基づいて、当業者は、他のアライメントパラメータ空間に対応する方法500の他の実施形態を作成及び使用することができるであろう。
【0032】
方法500のブロック502の動作は、A1-C1アライメントパラメータ空間(
図3A~
図3C)などのアライメントパラメータ空間を十分にサンプリングする複数の基準ロンチグラム310
ijを提供することを含む。いくつかの実施例では、ブロック502内に提供される複数の基準ロンチグラム310
ijは、実験的に測定されたロンチグラムを含む。いくつかの他の実施例では、ブロック502内に提供される複数のロンチグラム310
ijは、デジタルツインロンチグラムを含む。基準ロンチグラムによるパラメータ空間サンプリングの粒度は、方法500の選択可能な構成パラメータである。異なる実施例では、アライメントパラメータ空間のA1次元及びC1次元のサンプリング粒度は、同じ又は異なることができる。いくつかの実施例では、アライメントパラメータ空間の所与の次元についてのサンプリング粒度は、不均一であり得る。そのような実施例のいくつかでは、相対的に細かいサンプリング粒度は、科学機器100のターゲット状態310
00の近くで使用され、相対的に粗いサンプリング粒度は、科学機器100のターゲット状態310
00から遠く離れて使用される。
【0033】
方法500のブロック504の動作は、実質的に同様のロンチグラムがアライメントパラメータ空間内の異なる場所を表し得るという事実を反映するために、提供されたロンチグラム310ijのうちの様々なロンチグラムにラベル付けすることを含む。一実施例では、ブロック504の動作は、そのような実質的に同様のロンチグラムの各セットに異なるそれぞれのラベルを与えることを含む。
【0034】
図6は、方法500のいくつかの実施例によるブロック504のラベリング動作を例解するロンチグラムチャート600である。チャート600は、概して、チャート300(
図3A)に類似しているが、簡略化のため9つの逆空間(k空間)ロンチグラム610
k(ここでk=0、1、...、8)のみを含む。ロンチグラム610
0は、科学機器100のターゲットアライメント状態を表し(
図3Aの310
00も参照されたい)、ブロック504のラベル付け動作によってラベル「0」が与えられる。ロンチグラム610
1及び610
5は、互いに実質的に類似しており、ラベル「1」が与えられている。ロンチグラム610
2及び610
6は、互いに実質的に類似しており、ラベル「2」が与えられている。ロンチグラム610
3及び610
7は、互いに実質的に類似しており、ラベル「3」が与えられている。ロンチグラム610
4及び610
8は、互いに実質的に類似しており、ラベル「4」が与えられている。
【0035】
方法500のブロック506の動作は、ブロック504のラベル付け動作によって生成されたラベル付けされたロンチグラム310ijをトークン化し、埋め込むことを含む。結果として得られる埋め込みは、ラベル付けされたロンチグラム310ijのベクトル表現である。いくつかの実施例では、対応するベクトルは実数値であり、アライメントパラメータ空間におけるラベル付けされたロンチグラム310ijの「意味」をエンコーディングするように構築されており、そのような意味は、科学機器100のターゲット状態31000に関するアライメントの程度に関連する。言い換えれば、ベクトル空間において互いに相対的に近い埋め込みを有するラベル付けされたロンチグラム310ijは、チャート300内のターゲット状態31000に関して同程度のアライメントを有すると予想される。様々な実施形態において、ブロック506の動作は、ニューラルネットワーク、次元削減、確率モデル、説明可能な知識ベース法、及び/又は自然言語処理(natural language processing、NLP)モデルにおいてこれらの目的のために典型的に使用される他の方法のうちの1つ以上を使用して実装することができる。いくつかの他の実施例では、埋め込みは、A/Cパラメータを完全に反映しないか、又は元のパラメータ空間におけるそれらの距離を保っていない。そのような実施例では、ロンチグラムは、(実質的に)同じロンチグラムにつながる複数のA~Cの組み合わせが存在するので、それらのFFT形状を反映する方法でエンコーディングされる。エンコーダは、この対称性を尊重し、それに応じて対応するロンチグラムを再ラベル付けするように動作する。
【0036】
方法500のブロック508の動作は、(i)複数の異なるアラインメントシーケンスを生成することであって、その各々が科学機器100のターゲット状態310
00又は610
0につながる、生成することと、(ii)各アラインメントシーケンスを対応するトークン化された文で表すことと、によって、訓練テキストコーパスを構築することを含む。
図6では、そのような訓練テキストコーパスの例示的なアライメントシーケンスを、矢印612及び614によって示している。この実施例のシーケンスの初期アライメント状態は、ロンチグラム610
1に対応する。矢印612は、機器を初期アライメント状態からロンチグラム610
2に対応する中間アライメント状態に遷移させる科学機器100のC1仮想ノブの「回転」を表す。矢印614は、機器を中間アライメント状態からロンチグラム610
0に対応するターゲットアライメント状態に遷移させる科学機器100のA1仮想ノブの「回転」を表す。この例示的なアライメントシーケンスを表すトークン化された文は、「X
1X
2X
0」であり、ここで、X
1、X
2、及びX
0は、それぞれ、ラベル付けされたロンチグラム610
1、610
2、及び610
0に対応するトークンである。図示の実施例では、アライメント経路(612、614)は、パラメータ空間内で直線的であり、アライメント経路の各セグメントが単一のノブの回転を表すように、パラメータ空間軸のうちの1つに平行に配向されたセグメントを有する。他の実施例では、アライメント経路セグメントのうちの様々なものが、単一のノブの回転又は2つのノブの同時の回転を表し得る。そのような実施例では、アライメント経路は依然として直線的であるが、そのセグメントは、パラメータ空間軸のうちの1つに必ずしも平行ではない。
【0037】
いくつかの実施例では、ブロック508で構築される訓練テキストコーパスは、様々な長さのトークン化された文を含み、(i)各トークン化された文は、トークンX
0で終了し、(ii)トークン化された文の任意の2つの隣接するトークンは、一次元(one dimensional、1D)調整動作によって接続される。本明細書では、「1D調整動作」という用語は、科学機器100の単一の仮想ノブが回転する調整動作を指す。
図6に示す実施例では、矢印612及び614の各々は、それぞれの1D調整動作を表す。矢印612について、対応する1D調整動作は、C1仮想ノブを回転させることを含むが、A1仮想ノブを回転させることは含まない。矢印614について、対応する1D調整動作は、A1仮想ノブを回転させることを含むが、C1仮想ノブを回転させることは含まない。矢印612、614によって表されるA1-C1アライメントパラメータ空間を通る経路は、直線的である。概して、トークン化された文の任意の2つの隣接するトークンは、パラメータ空間内の直線経路のそれぞれの線形セグメントの両端に対応する。線形セグメントのいくつかは、パラメータ空間の第1の(例えば、A1)次元に平行である。いくつかの他の線形セグメントは、アライメントパラメータ空間の第2の(例えば、C1)次元に平行である。いくつかの他の実施例では、AIエージェントは、2D調整動作においてA1及びC1ノブの両方を調整することによって、調整ステップのうちのいくつかを実装するように構成されている。
【0038】
方法500のブロック510の動作は、ブロック508で構築された訓練テキストコーパスに対して自己回帰マスク言語モデルを訓練することを含む。例示的な実施形態では、自己回帰マスク言語モデルの訓練及びその後の使用は、
図7及び
図8を参照して以下でより詳細に説明するAIエージェントを使用して実施される。モデルの訓練が完了した後、AIエージェントは、測定されたロンチグラムの先行するシーケンスに基づいて、科学機器100の次のアライメント状態を予測及び選択するように動作することができる。このような次の状態のシーケンスを通じた科学機器100の漸進的な調整は、最終的に、例えばロンチグラム610
0(
図6)に対応するターゲットアライメント状態につながることになる。
【0039】
図7は、いくつかの実施形態による、科学機器100におけるロンチグラムアライメントを実施するために使用されるトランスフォーマ702を例解するブロック図である。図示の実施例では、トランスフォーマ702は、方法500に従ってトランスフォーマ702を訓練するために使用される訓練回路700の一部である。訓練回路700では、トランスフォーマ702は、例えば、
図5及び
図6を参照して上で説明されるように、方法500のブロック508で構築されたテキストコーパスから選択された基準文704を受信するように構成されている。動作では、選択された基準文704は、トランスフォーマ702の入力前処理モジュール710に適用される。一実施例では、入力前処理モジュール710は、受信された基準文704に対して埋め込み動作及び位置エンコーディング動作を実施する。入力前処理モジュール710の出力712は、エンコーダ720に適用される表現(x
1,...,x
n)のシーケンスである。エンコーダは、表現(x
1,...,x
n)のシーケンス712を表現z=(z
1,...,z
n)のシーケンス722にマッピングするように動作する。様々な実施例では、エンコーダ720は、単一のエンコーダ又はエンコーダのスタックとして実装され、そのようなエンコーダの各々は、2つのそれぞれの副層を含む。2つの副層のうちの第1の副層は、入力ベクトルに対するそれぞれのマルチヘッド自己注意機構を含む。2つの副層のうちの第2の副層は、それぞれの位置的に完全に接続されたフィードフォワードニューラルネットワークを含む。他の実施例では、他の好適なトランスフォーマ構成も使用することができる。
【0040】
zが与えられると、デコーダ740は、シンボルのシーケンス(y1,...,ym)を有する出力ベクトル742を一度に1要素ずつ生成するように動作する。いくつかの実施例では、デコーダ740は、デコーダのスタックを使用して実装され、スタックの各デコーダは、3つのそれぞれの副層を含む。3つの副層のうちの第1の副層は、前の反復の出力ベクトルに対するそれぞれのマスクされたマルチヘッド自己注意機構である。3つの副層のうちの第2の副層は、エンコーダ720の出力722及び第1の副層の出力に対するそれぞれのマルチヘッド注意機構である。3つの副層のうちの第3の副層は、それぞれの位置的に完全に接続されたフィードフォワードニューラルネットワークである。
【0041】
デコーダ740の出力ベクトル742は、出力後処理モジュール750に適用される。代表的な実施例では、出力後処理モジュール750は、線形層と、それに続くソフトマックス層と、を含む。線形層は、典型的には、出力ベクトル742をロジットベクトルと称されることが多いより大きいベクトルに投影する完全接続ニューラルネットワークを使用して実装される。次いで、ソフトマックス層は、ロジットベクトルを確率のセット(全て正の値であり、合計1になる)に変換するように動作する。最も高い確率を有するセルが選択され、そのセルに関連付けられたトークンが、その時間ステップに対する出力752として生成される。出力752のトークンは、戻りループ754を介してブロック706に戻され、ここで、このようなトークンのシーケンスは、<end of sentence>シンボルがデコーダ740によって生成されるまで、各次のトークン752を対応する前のトークン752の右に置くことによって生成される。ブロック706の各不完全な文は、次のデコーディング反復を開始するために、出力前処理モジュール730に適用される。出力前処理モジュール730は、入力前処理モジュール710と機能的に類似しており、文706に対して埋め込み動作及び位置エンコーディング動作を実施する。
【0042】
<end of sentence>シンボルが生成された後、ブロック706の完成した文は、損失関数モジュール708において、対応する元の文704と比較される。いくつかの実施例では、損失関数モジュール708は、クロスエントロピー及びカルバックライブラー情報量に基づいて、トランスフォーマ702の訓練をガイドする。完成した出力文706が、入力文704をうまく再構築しないとき、損失関数モジュール708は、対応するペナルティを課す。トランスフォーマ702で使用されるニューラルネットワークの様々なパラメータは、方法500のブロック508で構築されたテキストコーパスからの基準文704のいずれかに対して損失関数モジュール708によって課されるペナルティが、選択された閾値より小さくなるまで、反復的に調節される。
【0043】
図8は、いくつかの実施形態による、科学機器100の電子コントローラ150内で使用される光学アライメント回路800を例解するブロック図である。光学系アライメント回路800は、例えば
図8に示されるように、(訓練された)トランスフォーマ702をSTEMカラム102の電子ビーム光学系及び二次元ピクセル化検出器180に接続するように構成されている。光学系アライメント回路800は、その様々な構成要素がトランスフォーマ702のリターンループ754(
図7も参照されたい)に挿入され、後者が科学機器100のロンチグラムアライメントプロセスを、例えば、以下でより詳細に説明されるように駆動することを可能にすることに留意されたい。
【0044】
動作中、二次元ピクセル化検出器180は、
図2を参照して上で説明されるようにロンチグラム210を捕捉する。次いで、検出器180は、捕捉されたロンチグラム210を、例えば、測定値のストリーム182を介して、回路800のフーリエ変換(FT)モジュール810に送信する。FTモジュール810は、受信したロンチグラム210に逆フーリエ変換を施し、対応する逆格子空間(k空間)ロンチグラム310を生成し、次いで、これをマッパ820に適用する。いくつかの実施例では、フーリエ変換演算は省略される。
【0045】
マッパ820に適用されるロンチグラム310はロンチグラムの連続空間に属し、実験的に測定されたロンチグラム210のパターンは、概して滑らかに変化することができることに留意されたい。しかしながら、トランスフォーマ702は、上で説明されるように、ロンチグラムの連続空間を離散的にサンプリングするロンチグラム310ijの有限集合を使用して訓練される。したがって、マッパ820は、ロンチグラムの連続空間からのロンチグラムを、トランスフォーマ702が方法500を介して訓練されたロンチグラム310ijの有限集合上にマッピングする働きをする。
【0046】
一実施形態では、マッパ820は、任意の連続空間ロンチグラム310を最も近い対応する有限集合ロンチグラム310
ijに変換するように動作する変分オートエンコーダを含む。いくつかの実施例では、変換プロセスは、以下の2セットの動作を含む。第1のセットの動作中に、変分オートエンコーダのエンコーダ部分は、連続空間ロンチグラム310を対応する潜在表現上にマッピングする。第2のセットの動作中に、変分オートエンコーダのデコーダ部は、潜在表現を基準ロンチグラム310
ijのうちの対応する1つに投影する。次いで、マッパ820は、変分オートエンコーダによってこのように選択された基準ロンチグラム310
ijを表すトークン752’を出力するように動作する。出力されるトークン752’は、
図7を参照して上で説明されるように、ブロック706に入力される。トークン752’のコピーもまた、デルタ(Δ)回路830に提供される。
【0047】
いくつかの実施形態では、FTモジュール810及びマッパ820の両方の機能は、(異なって訓練された)変分オートエンコーダを使用して実装することができる。そのような実施形態では、その変分オートエンコーダのエンコーダ部分は、明示的な処理ステップとしてフーリエ変換を実行して又は実行せずに、ロンチグラム210を対応する潜在表現上にマッピングするように訓練される。その変分オートエンコーダのデコーダ部分は、潜在表現を基準ロンチグラム310ijのうちの対応する1つに投影するように訓練される。
【0048】
次に、トランスフォーマ706は、例えば、
図7を参照して上で説明されるように、現在の不完全な文706を処理して、その文に対する次のトークン752を出力するように動作する。次いで、デルタ回路830は、トークン752及び752’を処理して、アライメントパラメータ空間、例えば、
図3A~
図3Cに例解された(A1、C1)アライメントパラメータ空間におけるトークン間のパラメータ差832を判定するように動作する。
図3Aのパラメータ空間に対応するいくつかの実施例では、パラメータ差832は、非ゼロA1成分を有する。
図3Aのパラメータ空間に対応するいくつかの他の実施例では、パラメータ差832は、非ゼロC1成分を有する。判定されたパラメータ差832は、受信されたパラメータ差832を、電子コントローラ150によってSTEMカラム102の電子ビーム光学系に印加される制御信号のセットのための対応する1つ以上の調節842
1~842
Nのうちの対応するセットに変換するように構成されているノブ回転回路840に適用される。
図1に例解される実施形態では、1つ以上の調節842
1~842
Nは、制御信号152及び156の一方又は両方を変更するために使用され得る。制御信号の調節により、STEMカラム102の電子ビーム光学系のアライメント状態が適宜変化される。次いで、後者の変化は、検出器180によって捕捉される次のロンチグラム210に現れる。
【0049】
図9は、いくつかの実施形態による、科学機器100において電子ビーム光学系をアライメントする自動化された方法900のフローチャートである。いくつかの実施例では、方法900は、光学アライメント回路800を使用して実装される。方法900は、
図2及び
図7~
図9を引き続き参照して以下で説明される。
【0050】
方法900のブロック902の動作は、STEMカラム102の電子ビーム光学系の現在のアライメント状態に対応するロンチグラム210を測定するように科学機器100を動作させることを含む。そのような測定の実施例は、例えば、
図2を参照して上で説明されている。方法900のブロック904の動作は、測定されたロンチグラム210を、トランスフォーマ702が訓練された複数の基準トークンから対応するトークン752’に変換することを含む。いくつかの実施例では、ブロック904の変換動作は、FTモジュール810及びマッパ820(
図8も参照されたい)を使用して実施される。方法900のブロック906の動作は、例えば、
図7を参照して上で説明されるように、トランスフォーマ702を動作させて、現在の不完全な文706を処理し、その文の次のトークン752を出力することを含む。
【0051】
決定ブロック908の動作は、科学機器100のターゲットアライメント状態に到達したかどうかを判定することを含む。一実施形態では、ターゲットアライメント状態は、<end of sentence>シンボルを生成することを介してトランスフォーマ702によって示される。ターゲットアライメント状態に達したと判定されたとき(決定ブロック908において「はい」)、方法900の動作は終了する。ターゲットアライメント状態に達していないと判定されたとき(決定ブロック908において「いいえ」)、方法900は、ブロック910の動作を実施するように進む。
【0052】
ブロック910の動作は、トークン752及び752’に基づいて、STEMカラム102内の電子ビーム光学系に適用される1つ以上の制御信号を調節することを含む。いくつかの実施例では、1つ以上の制御信号の調節は、デルタ回路830及びノブ回転回路840(
図8も参照されたい)を使用して実施される。ブロック910の動作が完了すると、方法900は、ブロック902にループバックされる。
【0053】
図10は、様々な実施形態による、少なくともいくつかの科学機器支援動作を実施するように構成されている例示的なコンピューティングデバイス1000のブロック図である。例えば、いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス1000は、電子コントローラ150(
図1も参照されたい)の少なくともいくつかの動作を実施する。様々な実施形態では、科学機器100の支援モジュールは、単一のコンピューティングデバイス1000によって、又は複数のコンピューティングデバイス1000によって実装され得る。
【0054】
図10のコンピューティングデバイス1000は、いくつかの構成要素を有するものとして例解されているが、これらの構成要素のいずれか1つ以上は、用途及び設定に好適となるように、省略又は複製され得る。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス1000に含まれる構成要素の一部又は全部は、1つ以上のマザーボードに取り付けられ、筐体に封入され得る。いくつかの実施形態では、これらの構成要素の一部は、単一のシステムオンチップ(system-on-a-chip、SoC)上に製作され得る(例えば、SoCは、1つ以上の処理デバイス1002及び1つ以上の記憶デバイス1004を含み得る)。加えて、様々な実施形態では、コンピューティングデバイス1000は、
図10に例解される1つ以上の構成要素を含まない場合があるが、任意の好適なインターフェース(例えば、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus、USB)インターフェース、高精細マルチメディアインターフェース(High-Definition Multimedia Interface、HDMI(登録商標))インターフェース、コントローラエリアネットワーク(Controller Area Network、CAN)インターフェース、シリアルペリフェラルインターフェース(Serial Peripheral Interface、SPI)インターフェース、イーサネットインターフェース、無線インターフェース、又は任意の他の適切なインターフェース)を使用して1つ以上の構成要素に結合するためのインターフェース回路を含み得る。例えば、コンピューティングデバイス1000は、表示デバイス1010を含まない場合があるが、外部表示デバイス1010が結合され得る表示デバイスインターフェース回路(例えば、コネクタ及びドライバ回路)を含み得る。
【0055】
コンピューティングデバイス1000は、処理デバイス1002(例えば、1つ以上の処理デバイス)を含み得る。本明細書で使用される場合、「処理デバイス」という用語は、レジスタ及び/又はメモリからの電子データを処理して、その電子データをレジスタ及び/又はメモリに記憶され得る他の電子データに変換する、任意のデバイス又はデバイスの一部分を指す。様々な実施形態では、処理デバイス1002は、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、特定用途向け集積回路(application-specific
integrated circuit、ASIC)、中央処理ユニット(central processing
unit、CPU)、グラフィックス処理ユニット(graphics processing unit、GPU)、サーバプロセッサ、又は任意の他の好適な処理デバイスを含み得る。
【0056】
コンピューティングデバイス1000はまた、記憶デバイス1004(例えば、1つ以上の記憶デバイス)を含む。様々な実施形態では、記憶デバイス1004は、ランダムアクセスメモリ(random-access memory、RAM)デバイス(例えば、スタティックRAM(static
RAM、SRAM)デバイス、磁気RAM(magnetic RAM、MRAM)デバイス、ダイナミックRAM(dynamic RAM、DRAM)デバイス、抵抗性RAM(resistive RAM、RRAM)デバイス、又は導電性ブリッジRAM(conductive-bridging RAM、CBRAM)デバイス)、ハードドライブベースのメモリデバイス、ソリッドステートメモリデバイス、ネットワークドライブ、クラウドドライブ、又はメモリデバイスの任意の組み合わせなどの、1つ以上のメモリデバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、記憶デバイス1004は、処理デバイス1002とダイを共有するメモリを含み得る。そのような実施形態では、メモリは、キャッシュメモリとして使用され得、例えば、埋め込み型ダイナミックランダムアクセスメモリ(embedded dynamic random-access memory、eDRAM)又はスピントランスファートルク磁気ランダムアクセスメモリ(spin transfer torque magnetic random-access memory、STT-MRAM)を含む。いくつかの実施形態では、記憶デバイス1004は、命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体を含み得、命令は、1つ以上の処理デバイス(例えば、処理デバイス1002)によって実行されたときに、コンピューティングデバイス1000に、本明細書の以下に開示される方法のうちの任意の適切な方法、又はそのような方法の部分を実施させる。
【0057】
コンピューティングデバイス1000は、インターフェースデバイス1006(例えば、1つ以上のインターフェースデバイス1006)を更に含む。様々な実施形態では、インターフェースデバイス1006は、コンピューティングデバイス1000と他のコンピューティングデバイスとの間の通信を管理するために、1つ以上の通信チップ、コネクタ、並びに/又は他のハードウェア及びソフトウェアを含み得る。例えば、インターフェースデバイス1006は、コンピューティングデバイス1000との間でデータを転送するための無線通信を管理する回路を含み得る。「無線」という用語及びその派生語は、非固体媒体を介して変調された電磁放射を介してデータを通信し得る回路、デバイス、システム、方法、技術、通信チャネルなどを説明するために使用され得る。この用語は、関連するデバイスがいかなる配線を含まないことを示唆するものではないが、いくつかの実施形態では、含まない場合もある。無線通信を管理するためにインターフェースデバイス1006に含まれる回路は、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリ)、IEEE802.16規格を含む米国電気電子学会(Institute for Electrical and Electronic Engineers、IEEE)規格、任意の修正、更新、及び/又は改訂を伴うロングタームエボリューション(Long-Term Evolution、LTE)プロジェクト(例えば、アドバンストLTEプロジェクト、ウルトラモバイルブロードバンド(ultramobile broadband、UMB)プロジェクト(「3GPP(登録商標)2」とも称される)など)を含む、複数の無線規格又はプロトコルのいずれかを実装し得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、無線通信を管理するためのインターフェースデバイス1006に含まれる回路は、モバイル通信用グローバルシステム(Global System for Mobile Communication、GSM)、汎用パケット無線サービス(General Packet Radio Service、GPRS)、ユニバーサルモバイル電気通信システム(Universal Mobile Telecommunications System、UMTS)、高速パケットアクセス(High Speed Packet Access、HSPA)、進化型HSPA(Evolved
HSPA、E-HSPA)、又はLTEネットワークに従って動作し得る。いくつかの実施形態では、無線通信を管理するためにインターフェースデバイス1006に含まれる回路は、GSM進化型高速データ(Enhanced Data for GSM Evolution、EDGE)、GSM EDGE無線アクセスネットワーク(GSM EDGE Radio Access Network、GERAN)、ユニバーサル地上無線アクセスネットワーク(Universal Terrestrial Radio Access Network、UTRAN)、又は進化型UTRAN(Evolved UTRAN、E-UTRAN)に従って動作し得る。いくつかの実施形態では、無線通信を管理するためのインターフェースデバイス1006に含まれる回路は、符号分割多元接続(Code Division Multiple Access、CDMA)、時分割多元接続(Time
Division Multiple Access、TDMA)、デジタル拡張コードレス通信(Digital
Enhanced Cordless Telecommunications、DECT)、進化データ最適化(Evolution-Data
Optimized、EV-DO)、及びその派生物、並びに3G、4G、5G、及びそれ以降として指定されている任意の他の無線プロトコルに従って動作し得る。いくつかの実施形態では、インターフェースデバイス1006は、無線信号を受信及び/又は送信するように構成された1つ以上のアンテナ(例えば、1つ以上のアンテナアレイ)を含み得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、インターフェースデバイス1006は、電気的、光学的、又は任意の他の好適な通信プロトコルなどの有線通信を管理するための回路を含み得る。例えば、インターフェースデバイス1006は、イーサネット技術に従って通信を支援する回路を含み得る。いくつかの実施形態では、インターフェースデバイス1006は、無線通信及び有線通信の双方を支援し得、かつ/又は複数の有線通信プロトコル、及び/又は複数の無線通信プロトコルを支援し得る。例えば、インターフェースデバイス1006の回路の第1のセットは、Wi-Fi又はBluetooth(登録商標)などの短距離無線通信専用であり得、更に、インターフェースデバイス1006の回路の第2のセットは、全地球測位システム(global positioning system、GPS)、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、EV-DO、又は他などの長距離無線通信専用であり得る。いくつかの他の実施形態では、インターフェースデバイス1006の回路の第1のセットは、無線通信専用であり得、インターフェースデバイス1006の回路の第2のセットは、有線通信専用であり得る。
【0059】
コンピューティングデバイス1000はまた、バッテリ/電源回路1008も含む。様々な実施形態では、バッテリ/電源回路1008は、1つ以上のエネルギー貯蔵デバイス(例えば、バッテリ若しくはキャパシタ)、及び/又はコンピューティングデバイス1000の構成要素をコンピューティングデバイス1000とは別個のエネルギー源に(例えば、ACライン電源に)結合するための回路を含み得る。
【0060】
コンピューティングデバイス1000はまた、表示デバイス1010(例えば、1つ以上の個別の表示デバイス)も含む。様々な実施形態では、表示デバイス1010は、ヘッドアップディスプレイ、コンピュータモニタ、プロジェクタ、タッチスクリーンディスプレイ、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)、発光ダイオードディスプレイ、又はフラットパネルディスプレイなどの任意の視覚インジケータを含み得る。
【0061】
コンピューティングデバイス1000はまた、追加の入力/出力(input/output、I/O)デバイス1012も含む。様々な実施形態では、I/Oデバイス1012は、1つ以上のデータ/信号転送インターフェース、オーディオI/Oデバイス(例えば、マイクロフォン又はマイクロフォンアレイ、スピーカ、ヘッドセット、イヤホン、アラームなど)、オーディオコーデック、ビデオコーデック、プリンタ、センサ(例えば、熱電対又は他の温度センサ、湿度センサ、圧力センサ、振動センサなど)、画像捕捉デバイス(例えば、1つ以上のカメラ)、ヒューマンインターフェースデバイス(例えば、キーボード、マウス、スタイラス、トラックボール、又はタッチパッドなどのカーソル制御デバイス)などを含み得る。
【0062】
科学機器100及び/又は機器部分200の具体的な実施形態に応じて、インターフェースデバイス1006及び/又はI/Oデバイス1012の様々な構成要素は、科学機器100の様々な構成要素のための好適な制御信号(例えば、152、154、156)を出力し、科学機器100の様々な構成要素から好適な制御信号/遠隔測定信号を受信し、かつ科学機器100の様々な検出器から測定値(例えば、162、172、182)のストリームを受信するように構成することができる。いくつかの実施例では、インターフェースデバイス1006及び/又はI/Oデバイス1012は、受信されたアナログ信号を、処理デバイス1002及び/又は記憶デバイス1004によって実施される動作に好適なデジタル形式に変換するための1つ以上のアナログデジタル変換器(analog-to-digital converter、ADC)を含む。いくつかの追加の実施例では、インターフェースデバイス1006及び/又はI/Oデバイス1012は、処理デバイス1002及び/又は記憶デバイス1004によって提供されるデジタル信号を、科学機器100の対応する構成要素に通信されるのに好適なアナログ形式に変換するための1つ以上のデジタルアナログ変換器(digital-to-analog converter、DAC)を含む。
【0063】
上で開示された一実施例によれば、例えば、概要のセクションにおいて、かつ/又は
図1~
図10の一部又は全部のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせを参照して、科学機器のための支援装置であって、科学機器の電子顕微鏡カラムを用いて取得されたロンチグラムを表すデータを受信するように構成されており、電子顕微鏡カラムの電子ビーム光学系のための1つ以上の制御信号を送信するように更に構成されている、インターフェースデバイスと、処理デバイスであって、測定されたロンチグラムをトランスフォーマのための入力トークンに変換することと、トランスフォーマを用いて、入力トークンで終わるトークン化された文に基づいて出力トークンを生成することと、入力トークン及び出力トークンに基づいて、1つ以上の制御信号に対する1つ以上の調節を判定することと、を行うように構成されている、処理デバイスと、を備え、入力トークン及び出力トークンが、電子ビーム光学系のアライメントパラメータ空間をサンプリングする複数の基準ロンチグラムを表す複数のトークンに属し、トランスフォーマが、基準文のコーパスに対して訓練された自己回帰マスク言語モデルを実装し、基準文の各々が、電子ビーム光学系のターゲットアライメント状態へのアライメントパラメータ空間を通る各経路を表す、支援装置を提供する。本明細書において、「ロンチグラム」という用語は、ロンチグラム画像(すなわち、x空間ロンチグラム)及び逆空間(k空間)ロンチグラムを包含するものと解釈されるべきである。
【0064】
上記の支援装置のいくつかの実施例では、複数の基準ロンチグラムは、科学機器のコンピュータモデルを介して生成された1つ以上のロンチグラムを含む。
【0065】
上記の支援装置のいずれかのいくつかの実施例では、複数の基準ロンチグラムは、科学機器の電子顕微鏡カラムを用いて取得された1つ以上のロンチグラムを含む。
【0066】
上記の支援装置のいずれかのいくつかの実施例では、処理デバイスは、1つ以上の制御信号の最後の調節後に取得された測定されたロンチグラムを表す入力トークンをトークン化された文に付加することによって、トークン化された文を反復的に更新するように構成されている。
【0067】
上記の支援装置のいずれかのいくつかの実施例では、アライメントパラメータ空間の異なる次元は、幾何学的収差の異なるそれぞれの成分を表す。
【0068】
上記の支援装置のいずれかのいくつかの実施例では、各それぞれの経路は、アライメントパラメータ空間内で直線的である。
【0069】
上記の支援装置のいずれかのいくつかの実施例では、トークン化された文の任意の2つの隣接するトークンは、アライメントパラメータ空間を通るそれぞれの経路のそれぞれの線形セグメントの両端に対応する。
【0070】
上記の支援装置のいずれかのいくつかの実施例では、それぞれの線形セグメントは、二回非点収差を表すアライメントパラメータ空間の第1の次元に平行であるか、又は焦点ずれを表すアライメントパラメータ空間の第2の次元に平行である。
【0071】
上記の支援装置のいずれかのいくつかの実施例では、1つ以上の調節は、アライメントパラメータ空間内のそれぞれの線形セグメントの長さに基づいて判定される。
【0072】
上記の支援装置のいずれかのいくつかの実施例では、処理デバイスは、測定されたロンチグラムに逆フーリエ変換を適用して、対応する逆空間ロンチグラムを計算することと、対応する逆空間ロンチグラムを複数の基準ロンチグラムのうちの対応する1つにマッピングすることと、複数のトークン内の複数の基準ロンチグラムのうちの対応する1つを表すトークンを入力トークンとして提供することと、によって、測定されたロンチグラムを入力トークンに変換するように構成されている。
【0073】
上記の支援装置のいずれかのいくつかの実施例では、トランスフォーマは、第1のマルチヘッド自己注意機構及び第1の位置的に完全に接続されたフィードフォワードニューラルネットワークを含むエンコーダと、第2のマルチヘッド自己注意機構、エンコーダの出力上のマルチヘッド注意機構及び第2のマルチヘッド自己注意機構の出力、並びに第2の完全に接続されたフィードフォワードニューラルネットワークを含むデコーダと、を備える。
【0074】
上で開示された別の実施例によれば、例えば、要約セクションでは、かつ/又は
図1~
図10の一部又は全部のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせを参照して、科学機器に支援を提供するためにコンピューティングデバイスを介して実施される自動化された方法であって、測定されたロンチグラムをトランスフォーマのための入力トークンに変換することであって、測定されたロンチグラムが、科学機器の電子顕微鏡カラムを用いて取得されたデータを介して受信される、変換することと、トランスフォーマを用いて、入力トークンで終わるトークン化された文に基づいて出力トークンを生成することと、入力トークン及び出力トークンに基づいて、電子顕微鏡カラムの電子ビーム光学系のための1つ以上の制御信号に対する1つ以上の調節を判定することと、を含み、入力トークン及び出力トークンが、電子ビーム光学系のアライメントパラメータ空間をサンプリングする複数の基準ロンチグラムを表す複数のトークンに属し、トランスフォーマが、基準文のコーパスに対して訓練された自己回帰マスク言語モデルを実装し、基準文の各々が、電子ビーム光学系のターゲットアライメント状態へのアライメントパラメータ空間を通るそれぞれの経路を表す、自動化された方法を提供する。
【0075】
上記の自動化された方法のいくつかの実施例では、自動化された方法は、1つ以上の制御信号の最後の調節後に取得された測定されたロンチグラムを表す入力トークンをトークン化された文に付加することによって、トークン化された文を反復的に更新することを更に含む。
【0076】
上記の自動化された方法のいずれかのいくつかの実施例では、アライメントパラメータ空間の異なる次元は、幾何学的収差の異なるそれぞれの成分を表す。
【0077】
上記の自動化された方法のいずれかのいくつかの実施例では、各それぞれの経路は、アライメントパラメータ空間内で直線的である。
【0078】
上記の自動化された方法のいずれかのいくつかの実施例では、トークン化された文の任意の2つの隣接するトークンは、アライメントパラメータ空間を通るそれぞれの経路のそれぞれの線形セグメントの両端に対応する。
【0079】
上記の自動化された方法のいずれかのいくつかの実施例では、それぞれの線形セグメントは、二回非点収差を表すアライメントパラメータ空間の第1の次元に平行であるか、又は焦点ずれを表すアライメントパラメータ空間の第2の次元に平行である。
【0080】
上記の支援装置のいずれかのいくつかの実施例では、1つ以上の調節は、アライメントパラメータ空間内のそれぞれの線形セグメントの長さに基づいて判定される。
【0081】
上記の自動化された方法のいずれかのいくつかの実施例では、変換することは、測定されたロンチグラムに逆フーリエ変換を適用して、対応する逆空間ロンチグラムを計算することと、対応する逆空間ロンチグラムを複数の基準ロンチグラムのうちの対応する1つにマッピングすることと、複数のトークン内の複数の基準ロンチグラムのうちの対応する1つを表すトークンを入力トークンとして提供することと、を含む。
【0082】
上で開示された更に別の実施例によれば、例えば、要約セクションでは、かつ/又は、
図1~
図10の一部又は全ての任意の1つ又は任意の組み合わせを参照して、コンピューティングデバイスによって実行されると、コンピューティングデバイスに上記の自動化された方法のうちのいずれかを含む動作を実施させる命令を記憶する非一過性のコンピュータ可読媒体が提供される。
【0083】
上の説明は、例解的であることを目的としたものであって、限定的ではないことを理解されたい。提供された実施例以外の多くの実装形態及び用途は、上の説明を読めば明らかになるであろう。範囲は、上の説明を参照して決定されるべきではなく、代わりに、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに決定されるべきである。将来の開発が本明細書で考察される技術において行われること、並びに開示されるシステム及び方法がそのような将来の例に組み込まれることが予想され、意図される。要するに、本出願は、修正及び変形が可能であることを理解されたい。
【0084】
特許請求の範囲で使用される全ての用語は、本明細書で反対の明示的な指示がなされない限り、本明細書に説明される技術に精通する者によって理解される、それらの最も広範な妥当な解釈及びそれらの通常の意味を与えられることが意図される。特に、「a」、「the」、「said」などの単数形の冠詞の使用は、特許請求の範囲が反対の明示的な限定を記載しない限り、示された要素のうちの1つ以上を列挙するように読まれるべきである。
【0085】
要約書は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認することを可能にするために提供される。要約書は、それが特許請求の範囲の範囲若しくは意味を解釈するため又は制限するために使用されるものではないとの理解をもって提出される。加えて、上述の「発明を実施するための形態」の中で、開示を簡略化する目的のために、様々な特徴が様々な例において総合してグループ化されていることが分かり得る。この開示方法は、特許請求された主題が各請求項において明示的に列挙された特徴よりも多くの特徴を組み込むという意図を反映することとして解釈してはならない。むしろ、下記の特許請求の範囲が反映するように、発明の主題は単一の開示された例の全ての特徴よりも少ないものにある。したがって、下記の特許請求の範囲は、独立して特許請求された主題として自立している各請求項によって、「発明を実施するための形態」の中に組み込まれる。
【0086】
別途明示的に述べられていない限り、各数値及び範囲は、「約(about)」又は「約(approximately)」という単語がその値又は範囲の前にあるかのように近似であると解釈されるべきである。
【0087】
以下の方法請求項において要素がある場合、それらの要素は、対応するラベル付けを伴って特定の順序で列挙されているが、請求項の記載が、それらの要素の一部又は全部を実装するための特定の順序を別様に示唆しない限り、それらの要素は、必ずしもその特定の順序で実装されるように限定されるように意図されるわけではない。
【0088】
本明細書で別途指定されない限り、複数の同様の物体のうちの1つの物体を指すための「第1の」、「第2の」、「第3の」などという序数の形容詞の使用は、そのような同様の物体の異なるインスタンスが言及されていることを示すにすぎず、そのように言及された同様の物体が、時間的に、空間的に、ランク付けで、又は任意の他の様式のいずれかで、対応する順序又はシーケンスでなければならないことを示唆することを意図するものではない。
【0089】
本明細書で別途指定されない限り、「の場合(if)」という接続詞は、その明白な意味に加えて、「のとき(when)」又は「すると(upon)」又は「判定に応じて(in response to determining)」又は「検出に応じて(in
response to detecting)」を意味するように更に又は代替的に解釈されて得、この解釈は、対応する具体的な文脈に依存し得る。例えば、「判定された場合」又は「[述べられた条件]が検出された場合」という句は、「判定すると」又は「判定に応じて」又は「[述べられた条件又は事象]を検出する際」又は「[述べられた条件又は事象]の検出に応じて」を意味すると解釈され得る。
【0090】
また、この説明の目的のために、「結合する」、「結合すること」、「結合された」、「接続する」、「接続している」、又は「接続された」という用語は、エネルギーが2つ以上の要素間で伝達されることを可能にし、1つ以上の追加の要素の介在が企図されるが必須ではない、当技術分野で既知の若しくは後に開発される任意の様式を指す。逆に、「直接結合された」、「直接接続された」などという用語は、そのような追加の要素の不在を示唆する。
【0091】
「プロセッサ」及び/又は「コントローラ」とラベル付けされた任意の機能ブロックを含む、図に示される様々な要素の機能は、専用ハードウェア、並びに適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行することが可能なハードウェアの使用を通して提供され得る。プロセッサによって提供されるとき、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、又は一部が共有され得る複数の個々のプロセッサによって提供され得る。更に、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することが可能なハードウェアを排他的に指すと解釈されるべきではなく、限定はしないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、ソフトウェアを記憶するための読み取り専用メモリ(read only memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び不揮発性記憶装置を暗黙的に含み得る。従来型及び/又はカスタムの他のハードウェアも含まれ得る。同様に、図に示される任意のスイッチは、概念的であるにすぎない。それらの機能は、プログラム論理の動作を通して、専用論理を通して、プログラム制御と専用論理との相互作用を通して、又は手動でさえ実行され得、特定の技術は、文脈からより具体的に理解されるように、実装者によって選択可能である。
【0092】
本出願で使用される場合、「回路(circuit)」、「回路(circuitry)」という用語は、以下のうちの1つ以上又は全部を指し得る。(a)ハードウェアのみの回路実装形態(アナログ及び/又はデジタル回路のみでの実装形態など)、(b)(適用可能な場合)、(i)アナログ及び/又はデジタルハードウェア回路とソフトウェア/ファームウェアとの組み合わせ、並びに(ii)ハードウェアプロセッサの任意の部分とソフトウェア(デジタル信号プロセッサを含む)、ソフトウェア、及びメモリとの組み合わせであって、協働して携帯電話若しくはサーバなどの装置に様々な機能を実施させる)などの、ハードウェア回路とソフトウェアとの組み合わせ、並びに(c)動作のためにソフトウェア(例えば、ファームウェア)を必要とするが、動作のために必要とされないときにはソフトウェアが存在しない場合があり、マイクロプロセッサ又はマイクロプロセッサの一部分などのハードウェア回路及び/又はプロセッサ」。回路のこの定義は、任意の請求項を含む本出願におけるこの用語の全ての使用に適用される。更なる例として、本出願で使用される場合、回路という用語はまた、単にハードウェア回路若しくはプロセッサ(若しくは複数のプロセッサ)、又はハードウェア回路若しくはプロセッサの一部分、並びにその(又はそれらの)付随するソフトウェア及び/又はファームウェアの実装形態もカバーする。回路という用語はまた、例えば、特定の請求項要素に適用可能な場合、モバイルデバイスのためのベースバンド集積回路若しくはプロセッサ集積回路、又はサーバ、セルラネットワークデバイス、若しくは他のコンピューティングデバイス若しくはネットワークデバイス内の同様の集積回路もカバーする。
【0093】
当業者であれば、本明細書における任意のブロック図は、本開示の原理を具現化する例解的な回路の概念図を表すことを理解されたい。同様に、任意のフローチャート、フロー図、状態遷移図、擬似コードなどは、コンピュータ可読媒体において実質的に表され、コンピュータ又はプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず、そのようなコンピュータ又はプロセッサによって実行され得る様々なプロセスを表すことが理解されよう。
【外国語明細書】