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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025100223
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20250626BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20250626BHJP
   C23C 14/00 20060101ALI20250626BHJP
【FI】
C23C14/34 T
H01L21/302 101G
C23C14/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217428
(22)【出願日】2023-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】大山 春太郎
(72)【発明者】
【氏名】曽根 浩
(72)【発明者】
【氏名】久保田 直樹
【テーマコード(参考)】
4K029
5F004
【Fターム(参考)】
4K029AA06
4K029AA24
4K029BA01
4K029BD01
4K029CA05
4K029CA15
4K029DA01
4K029DA04
4K029DA08
4K029DA09
4K029DC21
4K029DC34
4K029DC35
4K029DC39
4K029DC46
4K029EA03
4K029HA01
4K029JA01
4K029KA01
5F004BC01
5F004BD04
5F004BD05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】処理容器の容器本体の上部に設けられた開口を蓋体で確実に密閉させることができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、減圧可能に構成され、処理対象の基板を収容する処理容器を備え、前記処理容器は、上部に開口を有する容器本体と、前記開口を塞ぎ得る蓋体12と、を有し、前記蓋体により前記開口を開閉する開閉機構20をさらに備え、前記開閉機構は、前記容器本体の一方の端部に設けられ、水平方向に延びる第1軸部100と、前記第1軸部に接続され、前記第1軸部側とは反対側の部分である先端側部で前記蓋体を支持するヒンジ部110と、前記第1軸部を中心に前記ヒンジ部を回動させる駆動機構130と、を有し、前記ヒンジ部は、前記第1軸部と平行に延びる第2軸部122を前記先端側部に有し、前記蓋体は、前記第1軸部を中心とした前記ヒンジ部の回動とは独立して前記第2軸部を中心に回動可能に前記第2軸部に軸支される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に減圧雰囲気下で処理を施す基板処理装置であって、
減圧可能に構成され、処理対象の基板を収容する処理容器を備え、
前記処理容器は、上部に開口を有する容器本体と、前記開口を塞ぎ得る蓋体と、を有し、
前記蓋体により前記開口を開閉する開閉機構をさらに備え、
前記開閉機構は、
前記容器本体の一方の端部に設けられ、水平方向に延びる第1軸部と、
前記第1軸部に接続され、前記第1軸部側とは反対側の部分である先端側部で前記蓋体を支持するヒンジ部と、
前記第1軸部を中心に前記ヒンジ部を回動させる駆動機構と、を有し、
前記ヒンジ部は、前記第1軸部と平行に延びる第2軸部を前記先端側部に有し、
前記蓋体は、
前記第1軸部を中心とした前記ヒンジ部の回動とは独立して前記第2軸部を中心に回動可能に前記第2軸部に軸支され、
前記第1軸部を中心に前記ヒンジ部が回動する際に、前記ヒンジ部の前記先端側部における前記第2軸部とは異なる部分との係合により当該ヒンジ部の前記先端側部に支持され、前記ヒンジ部と共に前記第1軸部を中心に回動する、基板処理装置。
【請求項2】
前記蓋体は、
前記ヒンジ部側の端部に、当該ヒンジ部が延在する方向に凹む凹所を有し、
前記凹所内に前記ヒンジ部の前記先端側部が収まった状態で、前記第2軸部を中心に回動可能に当該第2軸部に軸支され、
前記凹所の奥側面と、当該奥側面と対向する前記ヒンジ部の前記先端側部の先端面との係合により、当該ヒンジ部の前記先端側部に支持される、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記先端面は、
前記蓋体が閉状態のときにおける前記容器本体側の部分とその反対側の部分とが、前記第1軸部の軸方向視で、前記ヒンジ部が延在する方向と直交する方向に対する傾き方向が互い異なり、
前記容器本体側の部分の方が、前記反対側の部分より、面積が大きい、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記開閉機構は、前記第1軸部の軸方向視における前記ヒンジ部と前記蓋体との間に、弾性部材を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記開閉機構は、前記蓋体の前記凹所の前記奥側面と前記ヒンジ部の前記先端側部の前記先端面との間に、弾性部材を有する、請求項2または3に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記ヒンジ部は、前記第1軸部の軸方向視における当該第1軸部からオフセットされた位置に設けられた凸部を有し、
前記凸部の高さの状態を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に基づいて、前記開閉機構による前記蓋体の開動作を停止させる制御部と、をさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記検出部は、
前記ヒンジ部が前記第1軸部を中心に回動したときに上下動する前記凸部に従動して上下動するキーと、
前記キーが挿入される孔、及び、前記孔への前記キーの挿抜を検知する検知部と、が設けられたキースイッチと、を有し、
前記制御部は、前記検知部による検知結果に基づいて、前記開閉機構による前記蓋体の開動作を停止させる、請求項6に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、真空処理装置の処理チャンバが有する蓋体の開閉機構が開示されている。この開閉機構において、蓋体は、その一辺に設けられたヒンジを介してチャンバ本体に回動可能に取り付けられており、ヒンジが回動軸となっている。また、ヒンジが設けられた辺に隣接する他の辺には、シリンダ機構が取り付けられており、このシリンダ機構を進出及び退避させることにより、蓋体の開閉を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-185534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、基板に減圧雰囲気下で処理を施す基板処理装置の処理容器の容器本体の上部に設けられた開口を蓋体で確実に密閉させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、基板に減圧雰囲気下で処理を施す基板処理装置であって、減圧可能に構成され、処理対象の基板を収容する処理容器を備え、前記処理容器は、上部に開口を有する容器本体と、前記開口を塞ぎ得る蓋体と、を有し、前記蓋体により前記開口を開閉する開閉機構をさらに備え、前記開閉機構は、前記容器本体の一方の端部に設けられ、水平方向に延びる第1軸部と、前記第1軸部に接続され、前記第1軸部側とは反対側の部分である先端側部で前記蓋体を支持するヒンジ部と、前記第1軸部を中心に前記ヒンジ部を回動させる駆動機構と、を有し、前記ヒンジ部は、前記第1軸部と平行に延びる第2軸部を前記先端側部に有し、前記蓋体は、前記第1軸部を中心とした前記ヒンジ部の回動とは独立して前記第2軸部を中心に回動可能に前記第2軸部に軸支され、前記第1軸部を中心に前記ヒンジ部が回動する際に、前記ヒンジ部の前記先端側部における前記第2軸部とは異なる部分との係合により当該ヒンジ部の前記先端側部に支持され、前記ヒンジ部と共に前記第1軸部を中心に回動する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板に減圧雰囲気下で処理を施す基板処理装置の処理容器の容器本体の上部に設けられた開口を蓋体で確実に密閉させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる基板処理装置としての成膜装置の構成の概略を模式的に示す図であり、上記構成の一部を断面で示している。
図2図1の成膜装置の上面図である。
図3図1の部分拡大図である。
図4】奥側ヒンジ部の背面図である。
図5】検出部の背面図である。
図6】検出部の側面図である。
図7】蓋体の開動作時に図1の成膜装置により実行されるシーケンスの主な工程を示すフローチャートである。
図8】上記処理シーケンス中の開閉機構の状態を示す図である。
図9】上記処理シーケンス中の検出部の状態を示す図である。
図10】蓋体の閉動作時に図1の成膜装置により実行されるシーケンスの主な工程を示すフローチャートである。
図11】上記処理シーケンス中の開閉機構の状態を示す図である。
図12】閉動作完了時の蓋体の状態を示す図である。
図13】閉動作完了時の蓋体の状態を示す図である。
図14】開閉機構の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイス等の製造プロセスにおいては、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という)等の基板に対して、金属膜等の所望の膜を形成する成膜処理等の各種処理が施される。この種の処理は基板処理装置によって例えば減圧雰囲気下(すなわち真空雰囲気下)で施される。
基板処理装置は、減圧可能に構成され、処理対象の基板を収容する処理容器を備える。処理容器は、上部に開口を有する容器本体と、開口を塞ぐ蓋体と、を有する。
【0009】
ところで、処理容器の内部のメンテナンス等を目的として、蓋体により容器本体の開口を開閉する開閉機構が設けられる場合がある。開閉機構は、例えば、容器本体の一端部上の水平軸を中心として、蓋体を回動させることにより、開口を開閉する。しかし、蓋体で開口を閉じようとしたときに公差等により蓋体が容器本体に対して傾いていた場合に、この傾きを上述の開閉機構では解消することができないことがある。傾きが解消できずに残ってしまうと、処理容器内を排気したときに所望に真空度に到達させることができない。これは、容器本体と蓋体との間を封止するOリング等の封止部材が設けられている場合も同様である。
【0010】
そこで、本開示にかかる技術は、基板に減圧雰囲気下で処理を施す基板処理装置の処理容器の容器本体の上部に設けられた開口を蓋体で確実に密閉させる。
【0011】
以下、本実施形態にかかる基板処理装置の構成について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<成膜装置>
図1は、本実施形態にかかる基板処理装置としての成膜装置の構成の概略を模式的に示す図であり、上記構成の一部を断面で示している。図2は、図1の成膜装置の上面図である。
【0013】
図1の成膜装置1は、基板に減圧雰囲気下で成膜処理を施すものであり、具体的には、例えば、基板としてのウェハW上に金属膜をスパッタリングにより形成する。この成膜装置1は、処理容器10を備える。
【0014】
処理容器10は、減圧可能に構成され、処理対象のウェハWを収容するものであり、容器本体11及び蓋体12を有する。容器本体11及び蓋体12は、アルミニウム等から形成され、接地電位に接続されている。
【0015】
容器本体11は、上部に開口11aを有するように形成され、より具体的には、上部に開口11aを有する有底の円筒状に形成されている。
容器本体11の底部には、処理容器10内の密閉空間を減圧するための排気装置VがAPCバルブ(図示せず)を介して接続されている。容器本体11の側壁には、ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成されており、この搬入出口には当該搬入出口を開閉するためのゲートバルブが設けられている。
【0016】
蓋体12は、容器本体11の開口11aを塞ぎ得るものであり、容器本体11の上側に取り付けられている。蓋体12の形状は、例えばドーム状である。また、蓋体12は、開閉機構20を介して、容器本体11の上側に取り付けられている。開閉機構20は、蓋体12により容器本体11の開口11aを開閉するものである。開閉機構20の構成については後述する。
なお、容器本体11と蓋体12との間には、これらの間を封止する封止部材としてのOリング13が設けられている。
【0017】
処理容器10内には、上面にウェハWが水平に載置される載置台30が設けられている。載置台30には、ウェハWを加熱するためのヒータ(図示せず)及びウェハWを冷却するための冷却機構のうちの少なくともいずれか一方が設けられていてもよい。
【0018】
載置台30は、載置台移動機構31に接続されていてもよい。
載置台移動機構31は、ウェハWの表面を水平に維持したまま、載置台30を移動させる。載置台移動機構31は、載置台30に載置されたウェハWが水平面内における一方向(図4のX方向)に移動するように、載置台30を移動させる。
【0019】
例えば、載置台移動機構31は、多関節アーム32と駆動機構33とを有する。
多関節アーム32の一端には、載置台30が取り付けられており、他端には、駆動機構33が接続されている。
駆動機構33は、多関節アーム32の一端を、水平面内における一方向(図4のX方向。以下、装置幅方向ということがある。)に移動させ載置台30を当該装置幅方向に移動させるための駆動力を発生する。また、駆動機構33は、多関節アーム32の一端を鉛直方向(図4のZ方向)に移動させ載置台30を鉛直方向に移動させるための駆動力を発生する。
駆動機構33は上記駆動力を発生するため例えばモータを有する。
【0020】
さらに、処理容器10内には、スリット部材40が設けられていてもよい。スリット部材40は、スリット40aを有する部材である。スリット部材40は、載置台移動機構31によってウェハWが移動する空間の上方に、水平に延在するように設けられている。
【0021】
スリット40aは、スリット部材40を鉛直方向に貫通するように形成されている。スリット40aは、平面視において、載置台移動機構31によるウェハWの移動方向である装置幅方向(図4のX方向)と直交する方向(図4のY方向。以下、装置奥行き方向ということがある。)に長い矩形状を有する。スリット40aの装置幅方向(図4のX方向)の長さは、ウェハWの直径よりも小さく、スリット40aの装置奥行き方向(図4のY方向)の長さは、ウェハWの直径よりも大きい。
【0022】
また、処理容器10内における、スリット部材40の上方に、導電性材料で形成されたターゲットホルダ50が設けられている。ターゲットホルダ50は、処理容器10内にターゲット60が配置されるよう当該ターゲット60を保持する。このターゲットホルダ50は、蓋体12に取り付けられている。蓋体12におけるターゲットホルダ50の取り付け位置には、貫通口12aが形成されている。貫通口12aを囲うように蓋体12の内壁面に絶縁部材51が設けられている。ターゲットホルダ50は、貫通口12aを塞ぐように、絶縁部材51を介して蓋体12に取り付けられている。
【0023】
ターゲットホルダ50は、例えば、スリット部材40のスリット40aに対して斜め上方にターゲット60が位置するように、当該ターゲット60を保持する。また、ターゲットホルダ50は、ターゲット60がスリット40aに向き、すなわちターゲット60がスリット40aを介して成膜対象のウェハWに向くように、当該ターゲット60を正面に保持する。
また、ターゲットホルダ50には、電源52が接続され、当該電源52から、負の直流電圧が印加される。負の直流電圧に代えて、交流電圧が印加されるようにしてもよい。
【0024】
さらに、ターゲットホルダ50の背面側であって、処理容器10の外側となる位置に、マグネット70が設けられている。マグネット70は、ターゲットホルダ50に保持されたターゲット60の正面側に漏洩するように磁場を形成するものであり、移動機構71に接続されている。移動機構71は、例えば、装置奥行き方向(図4のY方向)に沿って、マグネット70を揺動させる。移動機構71は、マグネット70の上述のような揺動のための駆動力を発生するモータ等の駆動源(図示せず)を有する。
【0025】
蓋体12には、ガス導入部材80が支持されている。ガス導入部材80は、ガス供給源(図示せず)からのガスを処理容器10内に供給する。
【0026】
また、成膜装置1には、図2に示すように、開閉機構20による蓋体12の閉動作の完了を検出するため、すなわち開動作の停止タイミングを決定するための検出部90が設けられている。検出部90は、具体的には、開閉機構20の後述のヒンジ部に設けられた凸部の鉛直方向(図のZ方向)に係る位置の状態を検出する。検出部90は、蓋体12が所望の角度以上に開かないように制限するためのものでもある。
【0027】
さらに、成膜装置1には、検出部90の故障等により、蓋体12が、所望の角度以上に開いてしまった場合に、さらに開いて容器本体11と衝突することを防ぐため、メカニカルストッパMSが設けられている。
【0028】
さらにまた、成膜装置1は図1に示すように制御部Uを備える。制御部Uは、本開示において述べられる種々の工程を成膜装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部Uは、ここで述べられる種々の工程を実行するように成膜装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部Uの一部又は全てが成膜装置1に含まれてもよい。制御部Uは、処理部、記憶部及び通信インターフェースを含んでもよい。制御部Uは、例えばコンピュータにより実現される。処理部は、記憶部から種々の制御動作を行うことを可能にするロジック又はルーチンを提供するプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部に格納され、処理部によって記憶部から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェースに接続されている通信回線であってもよい。記憶媒体は、一時的なものであっても非一時的なものであってもよい。処理部は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェースは、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介して成膜装置1との間で通信してもよい。
【0029】
<開閉機構20>
続いて、開閉機構20の構成について、図1及び図2を参照し、図3及び図4を用いて説明する。図3は、図1の部分拡大図である。図4は、後述の奥側ヒンジ部の背面図である。
【0030】
開閉機構20は、図1図3に示すように、第1軸部100と、ヒンジ部110と、駆動機構130と、を有する。
【0031】
第1軸部100は、容器本体11の装置幅方向の一方側(図のX方向正側)の端部に、水平方向である装置奥行き方向(図のY方向)に延びるように設けられている。
第1軸部100は、例えば柱状(具体的には円柱状)に形成されている。また、第1軸部100は、容器本体11における開口11aから装置幅方向一方側(図のX方向正側)に離れた位置の上方に、その中心軸が装置奥行き方向(図のY方向)に延びるように、設けられている。図2に示すように、例えば、第1軸部100の手前側(図のY方向負側)端は、駆動機構130に接続され、第1軸部100の奥側(図のY方向正側)端は、当該第1軸部100がその中心軸を中心に回転可能に、支持部131に支持される。
【0032】
ヒンジ部110は、第1軸部100に接続される。具体的には、第1軸部100側の部分である基部111に、第1軸部100が接続されている。また、ヒンジ部110は、第1軸部100側すなわち基部111側とは反対側の部分である先端側部112で、蓋体12を支持する。
【0033】
ヒンジ部110は例えば装置奥行き方向(図のY方向)に互いに離間するように複数設けられる。図の例では、ヒンジ部110として、蓋体12の手前側(図のY方向負側)を支持するものと蓋体12の奥側(図のY方向正側)を支持するものとの2つが設けられている。なお、本明細書では、前者を手前側ヒンジ部110、後者を奥側ヒンジ部110ということがある。
【0034】
各ヒンジ部110は平板状の部材である。各ヒンジ部110は、上述のように基部111に第1軸部100が接続されている。具体的には、図3に示すように、各ヒンジ部110の基部111には、装置奥行き方向(図のY方向)に貫通する孔121が設けられており、第1軸部100が、当該孔121に挿通され、嵌合により基部111に固定されている。このようにヒンジ部110と第1軸部100とが接続されているため、すなわち、固定されているため、第1軸部100がその中心軸を中心に回動するときに、各ヒンジ部110も当該中心軸を中心に回動する。
【0035】
また、ヒンジ部110は、第1軸部100と平行に延びる第2軸部122を先端側部112に有する。第2軸部122は例えばヒンジ部110毎に設けられる。
第2軸部122は、円柱状に形成されており、その中心軸が装置奥行き方向(図のY方向)に延びるように、設けられている。第2軸部122はヒンジ部110に対し固定されている。したがって、ヒンジ部110が第1軸部100の中心軸を中心に回動するときに、第2軸部122も当該中心軸を中心に回動する。
【0036】
この第2軸部122が設けられた蓋体12の先端側部112が収まる凹所150が、蓋体12には設けられている。凹所150は、ヒンジ部110が延在する方向に凹んでいる。凹所150は、蓋体12の第1軸部100側の端部における手前側(図のY方向負側)と奥側(図のY方向正側)の面を、第1軸部100側端から、ヒンジ部110が延在する方向に切り欠いたように、形成される。
【0037】
駆動機構130は、第1軸部100を中心に、ヒンジ部110を回動させる。具体的には、駆動機構130は、水平軸である第1軸部100の中心軸を中心に当該第1軸部100を回動させることにより、上記中心軸を中心にヒンジ部110を回動させる。駆動機構130は、第1軸部100の回動すなわちヒンジ部110の回動を駆動するための駆動力を発生するモータ等の駆動源(図示せず)を有する。また、駆動機構130の駆動源は、減速機を介して第1軸部100に接続されていてもよい。
【0038】
この駆動機構130による第1軸部100を中心としたヒンジ部110の回動とは独立して第2軸部122を中心に回動可能に、蓋体12は第2軸部122に軸支される。また、第1軸部100を中心にヒンジ部110が回動する際に、蓋体12は、ヒンジ部110の先端側部112における第2軸部122とは異なる部分との係合により、当該ヒンジ部110の先端側部112に支持され、ヒンジ部110と共に第1軸部100を中心に回動する。
【0039】
具体的には、(A)蓋体12の凹所150内に、対応するヒンジ部110の先端側部112が収まった状態で、第2軸部122を中心に回動可能に、蓋体12は、当該第2軸部122に軸支されている。また、(B)凹所150の奥側面151と、当該奥側面151と対向するヒンジ部110の先端側部112の先端面123との係合により、蓋体12はヒンジ部110に支持される。
【0040】
より具体的には、ヒンジ部110の先端側部112における先端面123等の各面と、蓋体12の凹所150の上記各面と対向する面との間に隙間すなわちクリアランスが設けられている。そのため、上記(A)のように、蓋体12の凹所150内に、対応するヒンジ部110の先端側部112が収まった状態で、蓋体12は、第2軸部122の中心軸を中心に回動可能である。また、蓋体12が第2軸部122の中心軸を中心に回動したときに、ヒンジ部110の先端面123が、凹所150の奥側面151との間の隙間がなくなり、当該奥側面151と当接して係合し、これにより、蓋体12がヒンジ部110に支持される。
【0041】
なお、蓋体12は軸受け(図示せず)を介して第2軸部122に軸支される。上記軸受けには例えば無給油ブッシュが用いられる。
【0042】
ヒンジ部110の先端面123は、蓋体12が閉状態のときにおいて、容器本体11側の部分124とその反対側の部分125とが、第1軸部100の軸方向(図のY方向)視で、ヒンジ部110が延在する方向と直交する方向すなわち鉛直方向(図のZ方向)に対する傾き方向が互いに異なってもよい。この場合、さらに、容器本体11側の部分124の方が、その反対側の部分125よりも、面積が大きくされてもよい。以下、部分124を大面積部124、部分125を小面積部125ということがある。
【0043】
また、奥側ヒンジ部110には、図4に示すように、第1軸部100の軸方向視における当該第1軸部100からオフセットされた位置に凸部126が設けられている。凸部126は、奥側ヒンジ部110が第1軸部100を中心に回動したときに同様に回動し、上下動する。この凸部126は、以下の(X)、(Y)を満たす位置に設けられる。
(X)凸部126が奥側ヒンジ部110の回動を妨げない。
(Y)蓋体12が開口11aを閉じている状態から、奥側ヒンジ部110を介して所望の角度(例えば180°)まで開けられたときに、回動中の凸部126の高さが、最後が最も低い。
【0044】
凸部126の高さの状態は、前述の検出部90に検出される。
凸部126は、例えば、円柱状に形成され、当該凸部126の水平な中心軸を中心に回転可能に、奥側ヒンジ部110に支持されていてもよい。
【0045】
<検出部90>
次に、検出部90の構成について、図5及び図6を用いて、説明する。図5は、検出部90の背面図である。図6は、検出部90の側面図である。なお、図5では、後述のキーガイド230の図示を省略している。
【0046】
検出部90は、図5及び図6に示すように、キー200と、キースイッチ210と、弾性部材220と、を有する。
【0047】
キー200は、奥側ヒンジ部110の凸部126に従動して上下動するものであり、接触ブロック201と、キー本体202と、を有する。
接触ブロック201は、凸部126が接触する部材である。接触ブロック201は、少なくとも、奥側ヒンジ部110の凸部126が所定の高さ以下のときに、接触した当該凸部126と共に、上下動する。
キー本体202は、その下端部が接触ブロック201に接続されており、接触ブロック201と共に上下動する。キー本体202の上側部分は、キースイッチ210の後述の孔に挿入される。
【0048】
キースイッチ210は、孔211と、検知部としてのセンサ212と、を有する。
孔211は、キー200(具体的にはキー本体202)が挿入されるものであり、鉛直方向(図のZ方向)に延びるように形成されている。
センサ212は、孔211へのキー200(具体的にはキー本体202)の挿抜を検知するものである。センサ212は、例えば、キー本体202の少なくとも一部が孔211に挿入されているときに、OFF信号を出力し、キー本体202の全体が孔211から抜かれているときに、ON信号を出力する。また、センサ212によるキー本体202の孔211への挿入の検知は例えば光学的に行われる。
【0049】
弾性部材220は、キー200をキースイッチ210に向けて付勢し、具体的には、キー200のキー本体202がキースイッチ210の孔211に挿入されるよう、キー200を付勢する。
【0050】
検出部90は、さらにキーガイド230を有していてもよい。
キーガイド230は、キー本体202の孔211への挿入をガイドする。
【0051】
このような検出部90による検出結果(具体的にはキースイッチ210のセンサ212による検知結果)は制御部Uに出力される。制御部Uでは、検出部90の検出結果(センサ212による検知結果)に基づいて、開閉機構20による蓋体12の開動作を停止させる。
【0052】
<蓋体12の開動作時のシーケンス>
次いで、蓋体12の開動作時に成膜装置1により実行されるシーケンスについて説明する。図7は、上記シーケンスの主な工程を示すフローチャートである。図8は、上記処理シーケンス中の開閉機構20の状態を示す図である。図9は、上記処理シーケンス中の検出部90の状態を示す図である。蓋体12は例えば成膜装置1のメンテナンス時等に開かれる。
【0053】
(ステップS1:大気開放)
蓋体12が開かれる際は、図7に示すように、まず、処理容器10内が大気開放される。
具体的には、排気装置Vによる処理容器10内の排気が停止され、処理容器10内に大気が導入される。
【0054】
(ステップS2:開動作開始)
次いで、蓋体12の開動作が開始される。
具体的には、駆動機構130が駆動され、蓋体12を開くための、ヒンジ部110の第1軸部100を中心とした回動が開始される。
開始されると、ヒンジ部110の先端面123と、蓋体12の凹所150の奥側面151とが当接する。具体的には、ヒンジ部110の先端面123の大面積部124と、蓋体12の凹所150の奥側面151とが当接する。これにより、ヒンジ部110の先端側部112と蓋体12の凹所150とが係合し、蓋体12が、ヒンジ部110の先端側部112に支持され、ヒンジ部110と共に第1軸部100を中心として回動する。その結果、蓋体12が徐々に開かれていく。
【0055】
ヒンジ部110の第1軸部100を中心とした回動が継続され、蓋体12が約90°まで開かれると、図8に示すように、ヒンジ部110の先端面123の小面積部125と蓋体12の凹所150の奥側面151との当接により、ヒンジ部110の先端側部112と蓋体12の凹所150とが係合するようになる。
【0056】
(ステップS3:センサ212による検知)
その後もヒンジ部110の第1軸部100を中心とした回動が継続され、蓋体12が許容角度(例えば180°)まで開かれると、図9に示すように、奥側ヒンジ部110に設けられた凸部126と従動するキー200がキースイッチ210の孔211から抜かれたことを、センサ212により検知される。
具体的には、蓋体12が180°付近まで開かれると、奥側ヒンジ部110の回動に伴って凸部126が下降していき、接触ブロック201に接触し、接触ブロック201も下降する。その結果、接触ブロック201に接続されたキー本体202が、キースイッチ210の孔211から抜かれ、そのことがセンサ212により検知され、ON信号が制御部Uに出力される。
【0057】
(ステップS4)
制御部Uがセンサ212からON信号を受けると、蓋体12の開動作が停止される。
具体的には、駆動機構130による駆動が停止され、蓋体12を開くための、ヒンジ部110の第1軸部100を中心とした回動が停止される。
【0058】
これで、蓋体12の開動作時のシーケンスが完了する。
【0059】
<蓋体12の閉動作時のシーケンス>
次いで、蓋体12の閉動作時に成膜装置1により実行されるシーケンスについて説明する。図10は、上記シーケンスの主な工程を示すフローチャートである。図11は、上記処理シーケンス中の開閉機構20の状態を示す図である。図12及び図13は、閉動作完了時の蓋体12の状態を示す図である。
【0060】
(ステップS11:閉動作開始)
蓋体12が閉じられる際は、図10に示すように、まず、蓋体12の閉動作が開始される。
具体的には、駆動機構130が駆動され、蓋体12を閉じるための、ヒンジ部110の第1軸部100を中心とした回動が開始される。その際、ヒンジ部110の先端面123の小面積部125と蓋体12の凹所150の奥側面151との当接によりヒンジ部110の先端側部112と蓋体12の凹所150が係合し、蓋体12がヒンジ部110に支持されているため、ヒンジ部110の回動に伴って蓋体12が閉じられていく。
また、蓋体12を閉じるための、ヒンジ部110の回動が開始されると、奥側ヒンジ部110の回動に伴って凸部126が上昇していき、また、接触ブロック201も弾性部材220からの付勢力により上昇する。その結果、接触ブロック201に接続されたキー本体202が、キースイッチ210の孔211に再び挿入され、そのことがセンサ212により検知され、OFF信号が制御部Uに出力される。
【0061】
ヒンジ部110の第1軸部100を中心とした回動が継続され、蓋体12が約90°まで閉じられると、図11に示すように、ヒンジ部110の先端面123の大面積部124と蓋体12の凹所150の奥側面151との当接により、ヒンジ部110の先端側部112と蓋体12の凹所150とが係合するようになる。
【0062】
(ステップS12:閉角度到達検知)
その後もヒンジ部110の第1軸部100を中心とした回動が継続されていくと、蓋体12が閉じられたことが検知される。
具体的には、例えば、ヒンジ部110が0°に到達したことが、駆動機構130のエンコーダ(図示せず)により検知される。
また、処理容器10に設けられた開閉センサ(図示せず)により、蓋体12が閉じられたことが検知される。開閉センサは、例えば、所定の光を発する発光部及び上記所定の光を受ける受光部のうちの一方が蓋体12に設けられ、他方が容器本体11に設けられ、受光部の受光結果に基づいて、蓋体12が閉じられたことを検知するものである。開閉センサは物理的な接触により蓋体が閉じられたことを検知するものであってもよい。具体的には、開閉センサは、容器本体11に設けられたボタンに蓋体12が接触したか否か、または、蓋体12に設けられたボタンに容器本体11が接触したか否かに基づいて、蓋体12が閉じられたことを検知するものであってもよい。
【0063】
(ステップS13:閉動作停止)
蓋体12が閉じられたことが検知されると、蓋体12の閉動作が停止される。
具体的には、駆動機構130による駆動が停止され、蓋体12を閉じるための、ヒンジ部110の第1軸部100を中心とした回動が停止される。
【0064】
(ステップS14:排気開始)
その後、処理容器10内の排気が開始される。
具体的には、排気装置Vによる処理容器10内の排気が開始される。
前述したステップS13の閉動作停止時に、図12及び図13に示すように蓋体12が容器本体11に対して傾くことがある。具体的には、蓋体12の下面が容器本体11の上面に対して傾く場合がある。このままでは、開口11aの周囲における蓋体12と容器本体11との間の隙間が、開口11aの周方向で不均一となってしまい、処理容器10内を排気したときにOリング13が潰される量が上記周方向で不均一となってしまい、蓋体12で開口11aを密閉させることができない。
【0065】
それに対し、本実施形態では、蓋体12が、第1軸部100を中心とした回動とは独立して第2軸部122を中心に回動可能である。そのため、ステップS13の閉動作停止時に蓋体12が容器本体11に対して傾いていたとしても、排気による処理容器10内の負圧等によって、蓋体12が第2軸部122を中心に回動し、上記傾きが低減される。したがって、開口11aの周囲における蓋体12と容器本体11との間の隙間の、開口11aの周方向における不均一性が低減され、Oリング13が潰される量の上記周方向における不均一性が低減される。よって、開口11aを蓋体12でより確実に密閉させることができる。
【0066】
なお、処理容器10内の排気開始後、処理容器10内が所定の真空度に到達すると、蓋体12の閉動作時のシーケンスが完了する。
【0067】
<本実施形態の主な効果>
上述のように、本実施形態によれば、開口11aを蓋体12でより確実に密閉させることができる。
【0068】
また、本実施形態では、蓋体12が第2軸部122を中心に回動可能であるため、処理容器10内が負圧になることによる負荷及び蓋体12の重量による負荷が、駆動機構130の駆動源や減速機に作用するのを抑制することができる。
【0069】
さらに、本実施形態では、蓋体12が所望の角度以上に開かないように制限するための機構(以下、開角度制限機構という。)として、キースイッチ210を利用した検出部90を用いている。本実施形態と異なる開角度制限機構としては、本実施形態のメカニカルストッパMSと同様なものが考えられる。ただし、本実施形態のように検出部90とメカニカルストッパMSを併用する形態では、蓋体12がメカニカルストッパMSに当接する状況は限られるため、メカニカルストッパMSを簡易化し小型化することができる。成膜装置が小型化または省フットプリント化がなされたものであっても、これら検出部90とメカニカルストッパMSを搭載することができる。それに対し、メカニカルストッパのみを用いる形態では、蓋体12が繰り返しメカニカルストッパに当接するため、メカニカルストッパを大型にする必要がある。このような大型のメカニカルストッパを小型化または省フットプリント化が図られた装置に搭載することは難しい。
【0070】
さらにまた、検出部90は蓋体12を安全に開くためのものであり、本実施形態では、この検出部90にキースイッチ210を用いている。キースイッチ210は、安全インターロックとして広く利用されており、安全カテゴリ(ISO
13849-1)のカテゴリ1に「十分吟味された」部品に該当する。したがって、本実施形態によれば、高い安全カテゴリを確保することができる。
【0071】
上述したように、ヒンジ部110の先端面123は、蓋体12が閉状態のときにおいて、容器本体11側の部分124とその反対側の部分125とが、第1軸部100の軸方向視で、鉛直方向に対する傾き方向が互いに異なってもよく、容器本体11側の部分124の方が、その反対側の部分125よりも、面積が大きくされてもよい。蓋体12が当接するヒンジ部110の先端面123には、容器本体11に密着していた蓋体12を開けるときに最も負荷が掛かるため、この負荷を、面積が大きい上記部分124で受けることにより、ヒンジ部110の先端面123を大きくせずに、ヒンジ部110が破損するのを抑制することができる。
【0072】
<開閉機構の他の例>
図14は、開閉機構の他の例を示す図である。
図14の開閉機構20Aは、第1軸部100の軸方向視におけるヒンジ部110Aとの間に、弾性部材300を有する。
具体的には、開閉機構20Aは、蓋体12の凹所150の奥側面151とヒンジ部110Aの先端側部112Aの先端面123Aとの間に、弾性部材300を有する。
図の例では、ヒンジ部110Aの先端側部112Aが、先端面123から凹む切込部310を有し、弾性部材300の一端部が、切込部310に収容された状態で当該切込部310に収容され、弾性部材300他端部が、蓋体12の凹所150の奥側面151に接続されている。
【0073】
この弾性部材300を設けることで以下の効果がある。すなわち、蓋体12が約90°まで開かれ、または、閉じられたときに、ヒンジ部110Aの先端面123の大面積部124に蓋体12の凹所150の奥側面151が当接した状態と、ヒンジ部110の先端面123の小面積部125に蓋体12の凹所150の奥側面151が当接した状態との間で切り替わる。弾性部材300を設けることにより、上述の切り替わりの際に、蓋体12が第2軸部122を中心として急激に回動するのを抑制することができる。その結果、蓋体12の急激な回動による衝撃が、ヒンジ部110A等に生じるのを抑制することができる。
【0074】
<変形例>
以上の例では、奥側ヒンジ部110に凸部126が設けられていたが、このような凸部126は、手前側ヒンジ部110に設けられていてもよいし、手前側ヒンジ部110及び奥側ヒンジ部110の両方に設けられていてもよい。
なお、凸部126は、前述の(X)、(Y)を満たす位置に設けられていたが、前述の(X)と以下の(Y´)を満たす位置に設けられていてもよい。
(Y´)蓋体12が開口11aを閉じている状態から、奥側ヒンジ部110を介して所望の角度(例えば180°)まで開けられたときに、回動中の凸部126の高さが、最後が最も低い。
【0075】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。例えば、上記実施形態の構成要件は任意に組み合わせることができる。当該任意の組み合せからは、組み合わせにかかるそれぞれの構成要件についての作用及び効果が当然に得られるとともに、本明細書の記載から当業者には明らかな他の作用及び他の効果が得られる。
【0076】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、又は、上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0077】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)基板に減圧雰囲気下で処理を施す基板処理装置であって、
減圧可能に構成され、処理対象の基板を収容する処理容器を備え、
前記処理容器は、上部に開口を有する容器本体と、前記開口を塞ぎ得る蓋体と、を有し、
前記蓋体により前記開口を開閉する開閉機構をさらに備え、
前記開閉機構は、
前記容器本体の一方の端部に設けられ、水平方向に延びる第1軸部と、
前記第1軸部に接続され、前記第1軸部側とは反対側の部分である先端側部で前記蓋体を支持するヒンジ部と、
前記第1軸部を中心に前記ヒンジ部を回動させる駆動機構と、を有し、
前記ヒンジ部は、前記第1軸部と平行に延びる第2軸部を前記先端側部に有し、
前記蓋体は、
前記第1軸部を中心とした前記ヒンジ部の回動とは独立して前記第2軸部を中心に回動可能に前記第2軸部に軸支され、
前記第1軸部を中心に前記ヒンジ部が回動する際に、前記ヒンジ部の前記先端側部における前記第2軸部とは異なる部分との係合により当該ヒンジ部の前記先端側部に支持され、前記ヒンジ部と共に前記第1軸部を中心に回動する、基板処理装置。
(2)前記蓋体は、
前記ヒンジ部側の端部に、当該ヒンジ部が延在する方向に凹む凹所を有し、
前記凹所内に前記ヒンジ部の前記先端側部が収まった状態で、前記第2軸部を中心に回動可能に当該第2軸部に軸支され、
前記凹所の奥側面と、当該奥側面と対向する前記ヒンジ部の前記先端側部の先端面との係合により、当該ヒンジ部の前記先端側部に支持される、前記(1)に記載の基板処理装置。
(3)前記先端面は、
前記蓋体が閉状態のときにおける前記容器本体側の部分とその反対側の部分とが、前記第1軸部の軸方向視で、前記ヒンジ部が延在する方向と直交する方向に対する傾き方向が互い異なり、
前記容器本体側の部分の方が、前記反対側の部分より、面積が大きい、前記(2)に記載の基板処理装置。
(4)前記開閉機構は、前記第1軸部の軸方向視における前記ヒンジ部と前記蓋体との間に、弾性部材を有する、前記(1)~(3)のいずれか1に記載の基板処理装置。
(5)前記開閉機構は、前記蓋体の前記凹所の前記奥側面と前記ヒンジ部の前記先端側部の前記先端面との間に、弾性部材を有する、前記(2)または(3)に記載の基板処理装置。
(6)前記ヒンジ部は、前記第1軸部の軸方向視における当該第1軸部からオフセットされた位置に設けられた凸部を有し、
前記凸部の高さの状態を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に基づいて、前記開閉機構による前記蓋体の開動作を停止させる制御部と、をさらに備える、前記(1)~(5)のいずれか1に記載の基板処理装置。
(7)前記検出部は、
前記ヒンジ部が前記第1軸部を中心に回動したときに上下動する前記凸部に従動して上下動するキーと、
前記キーが挿入される孔、及び、前記孔への前記キーの挿抜を検知する検知部と、が設けられたキースイッチと、を有し、
前記制御部は、前記検知部による検知結果に基づいて、前記開閉機構による前記蓋体の開動作を停止させる、前記(6)に記載の基板処理装置。
【符号の説明】
【0078】
1 成膜装置
10 処理容器
11 容器本体
11a 開口
12 蓋体
20、20A 開閉機構
100 第1軸部
110、110A ヒンジ部
112、112A 先端側部
122 第2軸部
130 駆動機構
W ウェハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14