(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025100536
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】跳ねかかり防止バッフルを有するパドルチャンバ
(51)【国際特許分類】
C25D 17/00 20060101AFI20250626BHJP
C25D 17/06 20060101ALI20250626BHJP
C25D 7/12 20060101ALI20250626BHJP
【FI】
C25D17/00 K
C25D17/06 C
C25D7/12
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2025035363
(22)【出願日】2025-03-06
(62)【分割の表示】P 2023503429の分割
【原出願日】2021-10-05
(31)【優先権主張番号】17/071,806
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン ノーラン エル
(57)【要約】
【課題】高品質のデバイスおよび構造体を製造する目的に使用することができ、その一方で基板とメッキ浴の両方を保護する、改良されたシステムおよび方法に対する必要性が存在する。
【解決手段】本技術の実施形態による電気メッキシステムはメッキチャンバを含むことができ、このメッキチャンバは、メッキチャンバ内に配置された基板上に金属材料を堆積させるように構成されている。このメッキチャンバはロータおよび槽を含むことができる。この電気メッキシステムは、メッキチャンバ内に配置されたバッフルの少なくとも1つを含むことができる。この少なくとも1つのバッフルは、複数のスロットを画成したものとすることができる。この少なくとも1つのバッフルは、メッキチャンバの動作中に流体がロータまたはメッキチャンバに跳ねかかることを制限または防ぐように構成されたものとすることができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッキチャンバであり、前記メッキチャンバが、前記メッキチャンバ内に配置された基板上に金属材料を堆積させるように構成されており、前記メッキチャンバがロータおよび槽を備える、前記メッキチャンバと、
前記メッキチャンバ内に配置されたバッフルの少なくとも1つであり、前記少なくとも1つのバッフルが複数のスロットを画成しており、前記少なくとも1つのバッフルが、前記メッキチャンバの動作中に流体が前記ロータまたは前記メッキチャンバに跳ねかかることを防ぐように構成されている、前記バッフルの少なくとも1つと
を備える電気メッキシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのバッフルが、前記槽の頂部の、少なくとも部分的に前記流体の流体管路の上方に配置された、請求項1に記載の電気メッキシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのバッフルがさらに、少なくとも1つの取付穴を画成した取付タブを備え、前記取付タブが、前記複数のスロットのうちの少なくとも1つのスロットの内部に延びており、前記少なくとも1つの取付穴が、取付ねじを受け入れることができるサイズを有する、請求項1に記載の電気メッキシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのバッフルがさらに、少なくとも1つの取付穴を画成した取付タブを備え、前記取付タブが、前記複数のスロットの外に配置されており、前記少なくとも1つの取付穴が、取付ねじを受け入れることができるサイズを有する、請求項1に記載の電気メッキシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのバッフルが、ウェアシーフ電極アセンブリに水平方向に隣接して、かつ前記ロータおよびパドルに垂直方向に隣接して配置されており、前記パドルが、前記ウェアシーフ電極アセンブリ上に配置されており、少なくとも1つの方向に動くように構成されており、前記少なくとも1つのバッフルが、前記複数のスロットを使用して流体の動きを妨げることにより前記流体の少なくとも1つの方向の運動を防ぐ、請求項1に記載の電気メッキシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのバッフルの高さが、前記少なくとも1つのバッフルの長さの15%超または約15%である、請求項1に記載の電気メッキシステム。
【請求項7】
前記複数のスロットのそれぞれのスロットにメッシュが配置された、請求項1に記載の電気メッキシステム。
【請求項8】
メッキチャンバの動作中に流体がロータまたは前記メッキチャンバに跳ねかかることを防ぐように構成されたバッフルであって、
複数のスロットと、
前記バッフルを前記メッキチャンバに取り付けるための少なくとも1つの取付タブと
を備えるバッフル。
【請求項9】
前記バッフルが少なくとも1つのバッフルであり、前記少なくとも1つのバッフルが、槽の頂部の、少なくとも部分的に前記流体の流体管路の上方に配置されており、前記槽が、前記メッキチャンバ内に含まれており、前記複数のスロットのそれぞれのスロットが、前記少なくとも1つのバッフルの長さの25%未満または約25%の幅を特徴とする、請求項8に記載のバッフル。
【請求項10】
前記取付タブが少なくとも1つの取付穴を画成しており、前記取付タブが、前記複数のスロットのうちの少なくとも1つのスロットの内部に延びており、前記少なくとも1つの取付穴が、取付ねじを受け入れることができるサイズを有する、請求項9に記載のバッフル。
【請求項11】
前記取付タブが少なくとも1つの取付穴を画成しており、前記取付タブが、前記複数のスロットの外に配置されており、前記少なくとも1つの取付穴が、取付ねじを受け入れることができるサイズを有する、請求項9に記載のバッフル。
【請求項12】
前記少なくとも1つのバッフルの高さが、前記少なくとも1つのバッフルの長さの15%超または約15%である、請求項9に記載のバッフル。
【請求項13】
前記取付タブが、前記バッフルを前記メッキチャンバに結合するために前記バッフル上に配置されたフランジである、請求項8に記載のバッフル。
【請求項14】
前記複数のスロットのそれぞれのスロットにメッシュが配置された、請求項8に記載のバッフル。
【請求項15】
電気メッキシステムであって、
電解液を保持するための槽アセンブリと、
前記槽アセンブリ内にあって、ウェアフレームの内側にプレナムを含むウェアシーフ電極アセンブリと、
前記ウェアフレームを貫いて前記プレナム内へ延びる、間隔を置いて配置された複数の開口と、
前記ウェアフレームに取り付けられたウェアリングと、
前記槽アセンブリ内に配置された少なくとも1つのバッフルであり、前記少なくとも1つのバッフルが複数のスロットを画成しており、前記少なくとも1つのバッフルが、前記電気メッキシステムの動作中に流体がロータまたはメッキチャンバに跳ねかかることを防ぐように構成されている、前記少なくとも1つのバッフルと
を備える電気メッキシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのバッフルが、前記槽アセンブリの頂部の、少なくとも部分的に前記電解液の流体管路の上方に配置された、請求項15に記載の電気メッキシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つのバッフルがさらに、少なくとも1つの取付穴を画成した取付タブを備え、前記取付タブが、前記複数のスロットのうちの少なくとも1つのスロットの内部に延びており、前記少なくとも1つの取付穴が、前記少なくとも1つのバッフルを前記ウェアシーフ電極アセンブリに取り付けることを容易にするように構成されている、請求項15に記載の電気メッキシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つのバッフルがさらに、少なくとも1つの取付穴を画成した取付タブを備え、前記取付タブが、前記複数のスロットの外に配置されており、前記少なくとも1つの取付穴が、取付ねじを受け入れることができるサイズを有する、請求項15に記載の電気メッキシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つのバッフルの高さが、前記少なくとも1つのバッフルの長さの15%超または約15%である、請求項15に記載の電気メッキシステム。
【請求項20】
前記複数のスロットのそれぞれのスロットにメッシュが配置された、請求項15に記載の電気メッキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月15日に出願された「PADDLE CHAMBER WITH ANTI-SPLASHING BAFFLES」という名称の米国特許出願第17/071,806号明細書の恩典および優先権を主張するものである。この文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
技術分野
本技術は、半導体製造のための部品および装置に関する。より詳細には、本技術は、処理チャンバ部品および他の半導体処理装置に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路は、複雑にパターニングされた材料層を基板表面に形成するプロセスによって可能となる。基板上での形成、エッチングおよび他の処理の後、部品間に電気接続を提供するためにしばしば、金属または他の導電性材料を堆積させまたは形成する。このメタライゼーションは多くの製造操作の後に実行されることがあるため、メタライゼーション中に生じる問題によって、役に立たない高価な基板またはウエハが生み出されることがある。
【0004】
電気メッキは、電気メッキチャンバ内において、ウエハのデバイス側を電解液浴に浸し、接触リング上の電気接点をウエハ表面の導電層に触れさせることによって実行される。電解液および導電層に電流が流される。電解液中の金属イオンがウエハをメッキし、ウエハ上に金属層を形成する。電気メッキ操作は、メッキ流体の損失、希釈、または実行中のプロセスによるメッキ流体の他の影響の原因となることがある液体分配(liquid distribution)を含むいくつかの操作を含むことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、高品質のデバイスおよび構造体を製造する目的に使用することができ、その一方で基板とメッキ浴の両方を保護する、改良されたシステムおよび方法に対する必要性が存在する。これらの必要性およびその他の必要性は本技術によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の実施形態による電気メッキシステムはメッキチャンバを含むことができ、このメッキチャンバは、メッキチャンバ内に配置された基板上に金属材料を堆積させるように構成されている。このメッキチャンバは、ロータおよび槽を含むことができる。この電気メッキシステムは、メッキチャンバ内に配置されたバッフルの少なくとも1つを含むことができる。この少なくとも1つのバッフルは、複数のスロットを画成したものとすることができる。この少なくとも1つのバッフルは、メッキチャンバの動作中に流体がロータまたはメッキチャンバに跳ねかかることを制限または防ぐように構成されたものとすることができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、この少なくとも1つのバッフルを、槽の頂部の、少なくとも部分的に流体の流体管路の上方に配置することができる。この少なくとも1つのバッフルは、少なくとも1つの取付穴を画成した取付タブを含むことができる。この取付タブは、複数のスロットのうちの少なくとも1つのスロットの内部に延びることができる。この少なくとも1つの取付穴は、取付ねじを受け入れることができるサイズを有することができる。この少なくとも1つのバッフルは、少なくとも1つの取付穴を画成した取付タブを含むことができる。この取付タブは、複数のスロットの外に配置することができる。取付ねじを受け入れることができるサイズを有する少なくとも1つの取付穴。この少なくとも1つのバッフルは、ウェアシーフ電極アセンブリ(weir thief elecrode assembly)に水平方向に隣接して、かつロータおよびパドルに垂直方向に隣接して配置することができる。このパドルは、ウェアシーフ電極アセンブリ上に配置することができ、少なくとも1つの方向に動くように構成されたものとすることができる。この少なくとも1つのバッフルは、複数のスロットを使用して流体の動きを妨げることにより流体の少なくとも1つの方向の運動を防ぐことができる。この少なくとも1つのバッフルの高さは、少なくとも1つのバッフルの長さの15%超または約15%とすることができる。複数のスロットのそれぞれのスロットにメッシュを配置することができる。
【0008】
本技術のいくつかの実施形態は、メッキチャンバの動作中に流体がロータまたはメッキチャンバに跳ねかかることを防ぐように構成されたバッフルを含むことができる。これらのバッフルは、複数のスロットを含むことができる。これらのバッフルは、バッフルをメッキチャンバに取り付けるための少なくとも1つの取付タブを含むことができる。いくつかの実施形態では、このバッフルを少なくとも1つのバッフルとすることができる。この少なくとも1つのバッフルは、槽の頂部の、少なくとも部分的に流体の流体管路の上方に配置することができる。この槽は、メッキチャンバ内に含まれたものとすることができる。この複数のスロットのそれぞれのスロットは、少なくとも1つのバッフルの長さの25%未満または約25%の幅を特徴とすることができる。この取付タブは、少なくとも1つの取付穴を画成したものとすることができる。この取付タブは、複数のスロットのうちの少なくとも1つのスロットの内部に延びることができる。この少なくとも1つの取付穴は、取付ねじを受け入れることができるサイズを有することができる。この取付タブは、少なくとも1つの取付穴を画成したものとすることができる。この取付タブは、複数のスロットの外に配置することができる。この少なくとも1つの取付穴は、取付ねじを受け入れることができるサイズを有することができる。この少なくとも1つのバッフルの高さは、少なくとも1つのバッフルの長さの15%超または約15%とすることができる。この取付タブは、バッフルをメッキチャンバに結合するためにバッフル上に配置されたフランジとすることができる。複数のスロットのそれぞれのスロットにメッシュを配置することができる。
【0009】
本技術のいくつかの実施形態は、電気メッキシステムを含むことができる。これらのシステムは、電解液を保持するための槽アセンブリを含むことができる。これらのシステムは、槽アセンブリ内にあるウェアシーフ電極アセンブリを含むことができる。このウェアシーフ電極アセンブリは、ウェアフレーム(weir frame)の内側にプレナムを含むことができる。これらのシステムは、ウェアフレームを貫いてプレナム内へ延びる、間隔を置いて配置された複数の開口を含むことができる。これらのシステムは、ウェアフレームに取り付けられたウェアリング(weir ring)を含むことができる。これらのシステムは、槽アセンブリ内に配置された少なくとも1つのバッフルを含むことができる。この少なくとも1つのバッフルは、複数のスロットを画成したものとすることができる。この少なくとも1つのバッフルは、電気メッキシステムの動作中に流体がロータまたはメッキチャンバに跳ねかかることを防ぐように構成されたものとすることができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、この少なくとも1つのバッフルを、槽アセンブリの頂部の、少なくとも部分的に電解液の流体管路の上方に配置することができる。この少なくとも1つのバッフルは、少なくとも1つの取付穴を画成した取付タブを含むことができる。この取付タブは、複数のスロットのうちの少なくとも1つのスロットの内部に延びることができる。この少なくとも1つの取付穴は、少なくとも1つのバッフルをウェアシーフ電極アセンブリに取り付けることを容易にするように構成されたものとすることができる。この少なくとも1つのバッフルは、少なくとも1つの取付穴を画成した取付タブを含むことができる。この取付タブは、複数のスロットの外に配置することができる。この少なくとも1つの取付穴は、取付ねじを受け入れることができるサイズを有することができる。この少なくとも1つのバッフルの高さは、少なくとも1つのバッフルの長さの15%超または約15%とすることができる。複数のスロットのそれぞれのスロットにメッシュを配置することができる。
【0011】
このような技術は、従来のシステムおよび技法に優る数多くの利益を提供することができる。例えば、本技術の実施形態は、メッキチャンバ内のメッキ流体の跳ねかかりを軽減または排除することができる。このことが、洗浄のためのダウンタイムを短くすることがあり、流体中の添加物レベルを維持するのに役立つことがある。これらの実施形態およびその他の実施形態は、以下の説明および添付図に関連して、その利点および特徴とともにより詳細に説明される。
【0012】
開示された実施形態の性質および利点のさらなる理解は、本明細書の残りの部分および図面を参照することによって達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本技術のいくつかの実施形態による、電気メッキシステムの概略透視図である。
【
図2】本技術のいくつかの実施形態による、電気メッキチャンバの槽アセンブリの概略透視図である。
【
図3】本技術のいくつかの実施形態による、電気メッキチャンバの概略上面図である。
【
図4A】本技術のいくつかの実施形態による、バッフルの概略透視図である。
【
図4B】本技術のいくつかの実施形態による、バッフルの概略透視図である。
【
図5A】本技術のいくつかの実施形態による、バッフルの概略透視図である。
【
図5B】本技術のいくつかの実施形態による、バッフルの概略透視図である。
【
図6】本技術のいくつかの実施形態による、電気メッキチャンバの槽の概略部分上面図である。
【
図7】本技術のいくつかの実施形態による、電気メッキチャンバの槽の概略部分透視図である。
【
図8】本技術のいくつかの実施形態による、例示的な半導体処理方法の操作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記の図の一部は概略図として含まれている。図の目的は例示にあること、および図の倍率は一定であると特に明示されていない限り図の倍率は一定であると考えるべきでないことを理解すべきである。さらに、概略図として、それらの図は、理解を助けるために提供されており、現実的表現に比べて全ての態様または情報を含むというわけではなく、説明のため誇張された内容を含むことがある。
【0015】
これらの図では、同様の部品および/または特徴が同じ参照番号ラベルを有することがある。さらに、同様の部品および/または特徴を識別する文字によって参照ラベルを追跡することによって、同じタイプのさまざまな部品を識別することができる。本明細書中で最初の参照番号ラベルだけが使用されている場合、その説明は、添え字の如何にかかわりなく同じ最初の参照番号ラベルを有する同様の部品および/または特徴の任意の1つに適用可能である。
【0016】
半導体デバイスなどのマイクロエレクトロニクスデバイスは、ウエハまたはワークピースの表面または内部に製造することができる。典型的なウエハメッキプロセスは、ウエハの表面に金属シード層を蒸着によって堆積させることを含むことがある。このシード層を露出させるために、フォトレジストを堆積させ、パターニングする。次いで、ウエハを、電気メッキシステムの槽またはヘッド内に移し、その中で、金属材料または他の導電性材料のブランケット層またはパターン層をシード層上に張り付けるために、ウエハに、電解液を通して電流を流す。導電性材料の例には、金、銀、銅、コバルト、スズ、ニッケルおよびこれらの金属の合金などが含まれる。後続の処理ステップでは、ウエハ上に部品、コンタクト、導線またはこれらの組合せを形成する。
【0017】
いくつかの用途では、メッキされた金属膜または金属層が、ウエハまたはワークピースを横切って均一な厚さを有することが重要なことがある。いくつかの電気メッキシステムは電流シーフ(current thief)を使用する。電流シーフは、ウエハと同じ極性を有する電極である。電流シーフは、ウェアシーフ電極アセンブリ上またはウェアシーフ電極アセンブリ内に配置することができ、ウエハの縁から電流を引き抜くことによって動作することができる。このことが、ウエハの縁のメッキ厚さを、ウエハの他の部分の上のメッキ厚さとより均一に保つのに役立つことがある。電流シーフは、ウエハの縁の近くの物理電極とすることができる。あるいは、電流シーフを、仮想電流シーフとすることもでき、その場合、物理電極はウエハから離して置かれる。この設計では、この遠隔物理電極からの電流が、電解液を通してウエハの近くの位置まで流される。ウエハレベルパッケージング用途および他の用途における電気メッキプロセスは多様であり、プロセスおよびウエハパターンが変動する。しばしば、ウエハパターンの縁に沿ってかなりのメッキ不均一が生じる。不均一は、パターン変動に起因する電場の不規則性によって、またはウエハの縁の近くの物質移動(mass transfer)の不均一性によって引き起こされうる。
【0018】
いくつかの電気メッキ処理装置は、パドルまたは撹拌器を使用して、電気メッキシステム内の電解液または流体を撹拌すること、および電解液中の金属イオンのウエハ上への物質移動を増大させることができる。この物質移動の増大はさらにメッキ均一性を向上させうる。しかしながら、電解液または流体の撹拌が、電気メッキシステムの部分、例えば電気メッキシステムのロータまたはチャンバへの跳ねかかり(splashing)につながることがある。パドルの振動運動は、流体の波または波状運動を生み出すことができ、この流体の波または波状運動は、反対方向に流れている波が接触したときに跳ねかかりを生じさせうる。この跳ねかかりが、追加の洗浄操作、および時間の経過とともに損傷を引き起こす可能性があるいくつかのチャンバ部品上での酸の接触を含む、望ましくない影響を与えることがある。これらの問題を修正しまたは他のやり方で防ぐため、本技術は、電気メッキシステム内に1つまたは複数のバッフルを含むことができる。これらのバッフルは、電解液または流体の動きを妨げることによって流体の跳ねかかりを防ぐことができる。
【0019】
本開示の残りの部分では、開示された技術を利用する特定のメッキプロセスを決まりごとのように識別するが、本開示のシステムおよび方法は他の金属およびチャンバ構成に等しく適用可能であることが容易に理解される。したがって、本技術が、これらの特定のメッキプロセスまたはチャンバとともに使用することだけに限定されると考えるべきではない。本技術では、本技術の実施形態による部品を含むことができる1つの可能なシステムおよびチャンバを論じ、その後に、本技術の実施形態による、このシステムに対する追加の変更形態および調整形態を説明する。
【0020】
図1は、本技術のいくつかの実施形態による、電気メッキシステム20の概略図である。電気メッキシステム20は、示されているように、槽アセンブリ36の上方に配置することができるヘッド30を含むことができ、槽アセンブリ36は、後にさらに論じるチャンバとすることができる。電気メッキシステム20は独立型のユニットとすることができるが、エンクロージャ内にアレイとして配置された一組のメッキシステムのうちの1つとすることもでき、その場合には、1つまたは複数のロボットによってウエハまたはワークピースが処理装置にロードされ、処理装置からアンロードされる。ヘッド30は、リフトまたはリフト/回転ユニット34上に支持されたものとすることができる。リフト/回転ユニット34は、ヘッド30内のロータ32の中にウエハをロードおよびアンロードするために、ヘッド30を持ち上げ、もしくはヘッド30を裏返し、またはその両方を実行するように構成され、また、処理のためにヘッド30を下げてヘッド30を槽アセンブリ36と係合させるように構成されたものとすることができる。ロータ32は接触リングを含むことができ、接触リングは、処理の間、ロータ32の中に保持されているウエハと電気的に接触することができる。システムから設備接続までまたはマルチプロセッサ自動システム内の接続まで延びる電気制御および電力ケーブル40を、リフト/回転ユニット34および内部ヘッド部品に通信可能に結合することができる。槽フレーム50の上方に、段になった排液リングを有することができるリンスアセンブリ28を配置することができる。
【0021】
図2は、本技術のいくつかの実施形態による、電気メッキチャンバの槽アセンブリ36の概略図である。槽フレーム50または槽の頂部の近くにウェアシーフ電極アセンブリ52を配置することができ、槽アセンブリ36内の、セグメント化されたウェアシーフ電極アセンブリ52の高さよりも低い位置にパドル54を配置することができる。槽取付板38上に配置することができるパドルアクチュエータ56によって、パドル54を動かすことができる。リンスアセンブリ内に一組の排液リングを含めることができ、この一組の排液リングを、1つまたは複数の排液フィッティング42および吸引フィッティング44によって排液および真空設備に接続することができる。アノードアセンブリの下カップ上またはベースプレート上に置くことができる多数のラッチが、槽フレーム50上または槽取付板38上のラッチリング92と係合することができ、このラッチリング92は、アノードアセンブリの迅速な設置および取外しを可能にすることができる。
【0022】
パドル54は、電気メッキシステム20内に配置された基板上に金属生成物を堆積させることを容易にするために横方向に往復振動するように構成されたものとすることができる。このパドル54の振動運動によって、槽アセンブリ36に含まれる流体は波を形成し、または波状運動を引き起こすことがある。しかしながら、この運動によって波どうしが接触することがあり、それによってメッキ流体が上方へ運ばれることがあり、それによってロータ32またはヘッド30などの電気メッキシステム20の部品に流体が跳ねかかることがある。跳ねかかりが起こる可能性がある位置に本技術の実施形態によるバッフルを組み込むことによって、それらのバッフルは、チャンバからの流体損失を制限または防ぐことができる。
【0023】
図3は、本技術のいくつかの実施形態による、電気メッキチャンバ300、例えばロータおよびヘッドが取り外された電気メッキチャンバ300の概略部分上面図である。チャンバ300は、
図1または
図2の槽アセンブリ36と同様のチャンバとすることができ、上で論じた任意の部品、特徴または特性を含むことができ、本技術の実施形態による電気メッキシステムの追加の特徴を示していることがある。示されているとおり、チャンバは取付板38を含むことができ、取付板38内には槽50を着座させることができる。上で説明したとおり、電気メッキ操作を実行するために、ロータを有するヘッドが槽内に延びることができる。
【0024】
この槽に、ウェアシーフ電極アセンブリ52を結合することができ、ウェアシーフ電極アセンブリ52は、槽フレームに接続するためにアセンブリの周囲に間隔を置いて配置することができるいくつかのラグ(lug)を含むことができる。槽内にパドル54を配置することができ、パドル54は、パドルアクチュエータ56を用いて動作させることができ、パドルアクチュエータ56は、メッキ操作中にメッキ流体内で振動を生じさせるためにパドルを往復動させることができる。示されているように、ウェアシーフ電極アセンブリ52と槽フレーム50との結合は、少なくとも部分的に、槽の周囲に密封された領域を形成することができ、それらの領域は、メッキチャンバ内にメッキ流体を維持することができる。しかしながら、示されているように、パドルアクチュエータの2つの端部の周囲の領域では、ウェアシーフ電極アセンブリの半径方向外側に槽が露出することがある。作動中に、パドルの振動によって波となって流れるメッキ流体が、他の波との相互作用を引き起こすことがある。これによって流体が上方へ射出されることがあり、この流体が槽から流出し、槽内に配置されたロータ、槽、パドルアクチュエータおよび槽アセンブリの他の態様を含む任意の数の部品に跳ねかかることがある。
【0025】
このことに応じて、本技術のいくつかの実施形態では、槽フレーム内の、ウェアシーフ電極アセンブリの半径方向外側の位置に、1つまたは複数のバッフル302を組み込むことができ、1つまたは複数のバッフル302は、槽の露出した進入路の上に置くことができる。示されているように、チャンバ300は、3つのバッフル302A、302Bおよび302Cを含んでいるが、本技術の実施形態によるシステムには任意の数のバッフルを組み込むことができることを理解すべきである。示されているように、バッフル302は対称でなくてもよく、槽アセンブリの異なる態様に適応することができる多数の形状寸法または構成を含むことができる。例えば、パドルアクチュエータ56は、槽アセンブリの周囲の第1の位置に位置する単一のカップリングを含むことができ、その一方で、第1の位置とは反対側の第2の位置など槽アセンブリの周囲の第2の位置に位置する多数のカップリングを含むことができる。1つおよび2つの接続位置が示されているが、本技術の実施形態は任意の数の接続を含むことができることを理解すべきである。示されているように、槽アセンブリの第2の位置の接続間に隙間があることがあり、そこでは、それらの接続が、ウェアシーフ電極アセンブリのラグの近くでパドルまで延びている。さらに、第1の位置の接続のいずれの側にも槽アセンブリの隙間があることもある。いくつかの実施形態では、これらの構成の各々に適応するためにバッフル302を含めることができる。
【0026】
第1の位置では、アクチュエータカップリングのいずれの側にも、バッフル302Aおよび302Bなどのバッフル302を配置することができ、一方、第2の位置では、2つのアクチュエータカップリング間にバッフル302Cを配置することができる。バッフル302Aおよび302Bはそれぞれ、ウェアシーフ電極アセンブリに結合することができ、例えばラグ位置でウェアシーフ電極アセンブリに結合することができる。バッフルのラグを貫く開孔は、槽フレームに間接的に結合するためにラグコネクタを収容することができる。バッフル302Cは、2つのアクチュエータカップリング間の槽フレームに直接に結合することができる。動作時、チャンバ300は、電気メッキシステム内での処理を容易にする流体を含むことがある。パドル54はこの流体の中で往復振動することができ、この振動は流体の中で波または波状運動を生み出し、従来のシステムではこの流体がチャンバから跳ね出ることがある。しかしながら、バッフル302は、流体のこの波または波状運動を妨げ、それによって流体が槽から跳ね出ることを防ぐことができる。バッフル302は、ウェアシーフ電極アセンブリ52に半径方向に隣接して、かつロータ32およびヘッド30に垂直方向に隣接して配置することができ、バッフル302は垂直に配置することができ、流体の高さはバッフル302の高さと同じかまたはそれよりも低い。
【0027】
図4A~4Bは、本技術のいくつかの実施形態による、バッフル400の概略透視図を示しており、上で論じたバッフル302Cの詳細図を示していることがある。示されているように、バッフル400は、異なる数のスロット402がその中に形成されたバッフルを示していることがある。追加のスロットを含めることによって、電気メッキ流体のためのさらなる切れ間(break)を提供することができるが、バッフルの高さよりも高い流体流れに対するバリアを生み出すために任意の数のスロットを形成することができることが理解される。バッフル400は、電気メッキシステムの処理動作中の槽内での流体の運動を妨げることによって電気メッキシステムの槽内での跳ねかかりを防ぐように構成されたものとすることができる。バッフルは、槽内において、槽内の流体の高さと同じ高さに配置することができ、またはメッキ流体の確立された不変のもしくは可変の高さ、例えば動作中のメッキ流体の確立された不変のもしくは可変の高さよりも少なくともわずかに高い高さもしく少なくともわずかに低い高さに配置することができる。
【0028】
示されているように、バッフル400は、一組のスロットを画成したものとすることができ、これらのスロットは、バッフルに沿った任意の距離のところに配置することができる。例えば、スロットは、バッフルの長さに沿って5cm未満もしくは約5cmの距離、4cm未満もしくは約4cmの距離、3cm未満もしくは約3cmの距離、2cm未満もしくは約2cmの距離、2cm未満もしくは約2cmの距離、またはそれ以下の距離のところに形成することができる。
図4Aに示されたバッフルは10個のスロットを含んでおり、
図4Bのバッフルは14個のスロットを含んでいるが、これらのバッフルは、同じまたは同様の全体サイズを有することができる。示されているとおり、これらのスロットは開いたままに維持することができるが、いくつかの例では、電気メッキシステム内での跳ねかかりをさらに低減または排除するために、一組のスロットにメッシュを含めることができる。これらのバッフルは、バッフルの長さの10%超または約10%の高さを特徴とすることができ、バッフルの長さの15%超もしくは約15%の高さ、長さの20%超もしくは約20%の高さ、またはそれ以上の高さを特徴とすることができる。これらのバッフルは、電気メッキシステム内で使用するのに適した材料から構築されたものとすることができ、そのような材料には、絶縁性のものとすることができ、メッキ浴中で不活性のものとすることができるポリマー材料または他の材料を含めることができる。例えば、いくつかの実施形態では、これらのバッフルを、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、またはメッキ浴中で安定なものとすることができる他のセラミック材料もしくはポリマー材料とすることができ、あるいはこれらのバッフルは、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、またはメッキ浴中で安定なものとすることができる他のセラミック材料もしくはポリマー材料を含むことができる。
【0029】
図4に示されているように、バッフル400は、スロット内に配置された1つまたは複数の取付タブ404を含むことができる。取付タブ404は、電気メッキシステムの槽にバッフルを取り付けるための取付ねじ、タブ、ボルトまたは他の結合アイテムを受け入れることができるサイズを有することができる。さらに、取付タブ404は、槽フレームに形成されたスロットもしくはこの部品を結合するための他の接続機構にプレスばめすること、または接続することができる。示されているように、第1の長辺は比較的にまっすぐなものとすることができるが、反対側の辺は、システム内のウェアシーフ電極アセンブリの丸くなった輪郭に適応するために、円弧状の輪郭を特徴とすることができる。
【0030】
図5A~5Bは、本技術のいくつかの実施形態による、バッフル500の概略透視図を示しており、上で論じたバッフル302Aおよび302Bなどのバッフルの詳細図を示していることがある。バッフル500は、前に説明した任意のバッフルの任意の特徴または特性を含むことができる。示されているように、これらのバッフルも、異なる数のスロット502がその中に形成されたバッフルを示していることがある。例えば、これらのバッフルは、上で説明したウェアシーフ電極アセンブリの半径方向外側の槽の輪郭に適応する形状を特徴とすることができる。これらのバッフルは、より少数のスロット502Aまたはより多数のスロット502Bなど、任意の数のスロットを含むことができる。示されているとおり、これらのスロットは開いたままに維持することができるが、いくつかの例では、電気メッキシステム内での跳ねかかりをさらに低減または排除するために、一組のスロットにメッシュを含めることができる。さらに、バッフル500は、示されているように、スロットから横方向外側に配置された取付タブ504を含むことができ、前に説明したようにウェアシーフ電極アセンブリラグに対してバッフルを着座させるためのボルトまたは他の結合機構を受け入れるための開孔を画成したものとすることができる。バッフル400とは違い、バッフル500は、上で論じたように、アクチュエータカップリングの両側に配置することができる。したがって、これらのバッフルを単一の結合位置に制限することができ、この単一の結合位置は、ウェアシーフ電極アセンブリのラグ上とすることができる。したがって、いくつかの実施形態では、バッフル500を、バッフルの外壁から延びるリムまたはフランジ506を画成したものとすることができ、このリムまたはフランジ506は、取付タブの反対側のバッフルの端部を槽アセンブリに対して着座させることを可能にすることができ、これによって動作中の動きを制限または防ぐことができる。例えば、フランジ506は、示されているように、バッフルの半径方向内側の壁および半径方向外側の壁から延びることができ、バッフルの任意の長さに沿って延びることができる。
【0031】
図6は、本技術のいくつかの実施形態による、電気メッキチャンバ600の槽の概略部分上面図である。示されているように、バッフル400は、電気メッキチャンバ300の槽上に設置することができる。バッフル400は、少なくとも1つの取付ねじ、ボルトまたは他の締め具を有する少なくとも1つの取付タブ602によって槽に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、この少なくとも1つの取付タブ602を、電気メッキシステムの槽にバッフル400を取り付けるように構成されたものとすることができ、または他の手段で電気メッキシステムの槽にバッフル400を設置するように構成されたものとすることができる。バッフル400は、示されているように槽内に設置することができ、例えば、槽に含まれているときのメッキ流体の流体高さよりも高い高さ、メッキ流体の流体高さよりも低い高さ、またはメッキ流体の流体高さとほぼ一致した高さのところに裏壁に対して着座させることができる。いくつかの実施形態ではさらに、バッフル400を、ウェアシーフ電極アセンブリ52の半径方向外側に、ウェアシーフ電極アセンブリ52に半径方向に隣接して、かつ動作位置にあるときの電気メッキシステムのロータとパドルの両方に垂直方向に隣接して配置することができる。例えば、バッフル400は、パドルよりも高い位置に配置することができ、その一方で、ロータの位置よりも低い位置に配置することができる。
【0032】
図7は、本技術のいくつかの実施形態による、電気メッキチャンバ700の槽の概略部分透視図である。示されているように、バッフル500は、電気メッキチャンバ300の槽上に設置することができる。バッフル500は、ウェアシーフ電極アセンブリ52のラグとともに使用されるボルトを受け入れることができる少なくとも1つの取付タブ702によって、少なくとも1つの取付ねじ、ボルトまたは他の締め具を使用して槽に取り付けることができる。バッフル500は、示されているように槽内に設置することができ、例えば、ウェアシーフ電極アセンブリ52と槽フレーム内に画成された排液路との間に着座させることができる。バッフル500はさらに、槽に含まれているときのメッキ流体の流体高さよりも高い高さ、メッキ流体の流体高さよりも低い高さ、またはメッキ流体の流体高さとほぼ一致した高さに配置することができる。いくつかの実施形態ではさらに、バッフル500を、ウェアシーフ電極アセンブリ52の半径方向外側に、ウェアシーフ電極アセンブリ52に半径方向に隣接して、かつ動作位置にあるときの電気メッキシステムのロータとパドルの両方に垂直方向に隣接して配置することができる。
【0033】
例えば、バッフル400は、パドルよりも高い位置に配置することができ、その一方で、ロータの位置よりも低い位置に配置することができる。さらに、上で説明したバッフルのフランジは、このバッフルが、バッフルの半径方向内側の壁に沿ったウェアシーフ電極アセンブリ52のリム上に着座することを可能にすることができる。さらに、このフランジは、このバッフルが、バッフルの半径方向外側の壁に沿った槽フレームのリム上に着座することも可能にすることができる。このことは、システムが、取付タブとは反対側のバッフルの端部に隙間を有する場合に、バッフルが、動作中、所定の位置に実質的に維持されることを可能にすることができる。このような隙間がない場合には、システム内での取付け選択肢が制限されることがある。
【0034】
図8は、本技術のいくつかの実施形態による、半導体処理プロセス800の流れ図を示しており、上で説明したバッフルを含むメッキシステムの動作方法を示していることがある。このプロセスは、前に説明したチャンバのうちの任意のチャンバを含むさまざまな処理チャンバで実行することができ、それらのチャンバは、本技術の実施形態による部品、例えばいずれかのバッフル、または前に論じた他の部品を含むことができる。プロセス800は、任意選択のいくつかの操作を含むことができ、それらの操作は、本技術による方法のいくつかの実施形態に特に関連していることがあり、または関連していないことがある。
【0035】
電気メッキチャンバは、前に説明したチャンバのうちの任意のチャンバとすることができ、上で説明した任意のバッフル構成を含む任意の数のバッフルを含むことができる。任意選択の操作802で、プロセス800は、電気メッキシステム内に少なくとも1つのバッフルを設置することを含むことができる。前に説明したとおり、動作中、電気メッキシステムのパドルは、堆積プロセスが実行されている間、電気メッキチャンバの槽内で2つ以上の方向に往復振動することができる。跳ねかかりを低減または排除するため、システムの周囲の隙間に少なくとも1つのバッフルを設置することができ、これによって、波または渦が上方へ延びてバッフルのスロットの中に入ったときに波の活動に抗するバリアを形成することができる。
【0036】
電気メッキシステムのヘッドまたはロータに基板をチャックで固定することができ、操作804で処理操作を実行することができる。この処理はメッキ操作を含むことができ、この操作では、金属、例えば前に説明した任意の金属で基板をメッキすることができる。この基板は、任意の数の特徴を含むものとすることができる。槽内に置かれたメッキ流体中で流れまたは波を形成するために、パドルアクチュエータによってパドルを作動させてパドルを往復運動させることができ、これによって、上で説明したように、メッキ操作を改善することができる。波または流れはメッキ流体の表面で形成されることがあり、これによって垂直運動が生じることがある。これらの波が追加の波と接触すると、システムの隙間のところで流体が上方へ流れることがあり、隙間が開いている場合には跳ねかかりが起こる可能性がある。しかしながら、システム内にバッフルが設置されていると、波は上方へ延びてバッフルに形成されたスロットに入ることができ、これらのスロットは、波形成に対するバリアを形成することができる。これによって波の形成が断ち切ることができ、これによってシステム内での跳ねかかりが制限されまたは防止される。
【0037】
いくつかの実施形態では、波の形成または跳ねかかりが十分に制限されまたは防止された場合には、この方法を完了することができるが、いくつかの実施形態では、バッフルに調整を実施することができる。例えば、このプロセスは、任意選択の操作806で、跳ねかかりに関して電気メッキシステムを検査することを含むことができ、任意選択の操作808で、跳ねかかりが十分に排除されたかどうかを判定することを含むことができる。ロータまたは他のチャンバ部品上にメッキ流体が導かれていた場合、この方法は、任意選択の操作810で、バッフルを調整することを含むことができる。例えば、この調整は、バッフルを追加すること、または、流体とより良好に接触するようにもしくは槽内の動いている流体とより良好に相互作用するようにバッフルをメッキ流体に対して上げるもしくは下げることを含むことができる。
【0038】
次いで、このプロセスを、流体制御が達成されるまで任意の数の基板に対して繰り返すことができる。跳ねかかりまたは流体損失が十分に低減または排除された後、任意選択の操作812で、生産を続けることができ、任意の数の基板を処理することができる。本技術の任意の実施形態によるバッフルを利用することによって、電気メッキチャンバ内の流体流れの制御の改善を達成することができる。これらのバッフルは、任意の数のチャンバ構成に適応することができ、そうでなければ槽からメッキ流体が流出する可能性があるシステム内の任意の数の隙間に適応することができるサイズまたは形状を有することができる。
【0039】
上記の説明では、説明の目的上、本技術のさまざまな実施形態の理解を提供するために数多くの詳細を記載した。しかしながら、ある種の実施形態は、これらの詳細のうちの一部がなくとも、または追加の詳細を加えて実施することができることが当業者には明白であろう。
【0040】
いくつかの実施形態を開示したが、実施形態の趣旨から逸脱することなくさまざまな変更、代替構造および等価物を使用することができることを当業者は認識するであろう。さらに、本技術を不必要に不明確にすることを防ぐために、いくつかのよく知られたプロセスおよび要素については説明しなかった。したがって、上記の説明を、本技術の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0041】
値の範囲が示されている場合には、文脈からそうでないことが明らかである場合を除き、その範囲の上限と下限の間のそれぞれの中間値も、下限の単位の最も小さな小数部に至るまで、具体的に開示されているものと理解される。明示された値または明示された範囲内の記載されていない中間値と明示された他の値またはその明示された範囲内の他の中間値との間のより狭い範囲も含まれる。それらのより狭い範囲の上限および下限は、独立して、その範囲に含まれまたはその範囲から除外されることがあり、どちらかの限界もしくは両方の限界がそのより狭い範囲に含まれるそれぞれの範囲、または両方の限界がそのより狭い範囲に含まれないそれぞれの範囲も本技術の範囲に含まれ、明示された範囲内の具体的に排除された限界の影響を受ける。明示された範囲が限界の一方または両方を含む場合には、含められた限界の一方または両方を除く範囲も含まれる。
【0042】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているとき、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈からそうでないことが明らかである場合を除き、複数の参照物を含む。したがって、例えば、「開孔(an aperture)」への言及は、そのような複数の開孔を含み、「バッフル(the baffle)」への言及は、1つまたは複数のバッフル、および当業者に知られているその1つまたは複数の等価物などへの言及を含む。
【0043】
さらに、語「備える(comprise(s))」、「備える(comprising)」、「含む(contain(s))」、「含む(containing)」、「含む(inclede(s))」および「含む(including)」は、本明細書および以下の特許請求の範囲で使用されているとき、明示された特徴、完全体(integer)、部品または動作の存在を指定することが意図されているが、それらは、1つまたは複数の他の特徴、完全体、部品、動作、操作またはグループの存在または追加を排除しない。
【手続補正書】
【提出日】2025-04-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッキチャンバの動作中に流体がロータまたは前記メッキチャンバに跳ねかかることを防ぐように構成されたバッフルであって、
複数のスロットと、
前記バッフルを前記メッキチャンバに取り付けるための少なくとも1つの取付タブと
を備えるバッフル。
【請求項2】
前記バッフルが、槽の頂部の、少なくとも部分的に前記流体の流体管路の上方に配置されており、前記槽が、前記メッキチャンバ内に含まれており、前記複数のスロットのそれぞれのスロットが、前記バッフルの長さの25%未満または約25%の幅を特徴とする、請求項1に記載のメッキチャンバの動作中に流体がロータまたは前記メッキチャンバに跳ねかかることを防ぐように構成されたバッフル。
【請求項3】
前記少なくとも1つの取付タブが少なくとも1つの取付穴を画成しており、前記少なくとも1つの取付タブが、前記複数のスロットのうちの少なくとも1つのスロットの内部に延びており、前記少なくとも1つの取付穴が、取付ねじを受け入れることができるサイズを有する、請求項1に記載のメッキチャンバの動作中に流体がロータまたは前記メッキチャンバに跳ねかかることを防ぐように構成されたバッフル。
【請求項4】
前記少なくとも1つの取付タブが少なくとも1つの取付穴を画成しており、前記少なくとも1つの取付タブが、前記複数のスロットの外に配置されており、前記少なくとも1つの取付穴が、取付ねじを受け入れることができるサイズを有する、請求項1に記載のメッキチャンバの動作中に流体がロータまたは前記メッキチャンバに跳ねかかることを防ぐように構成されたバッフル。
【請求項5】
前記バッフルの高さが、前記バッフルの長さの15%超または約15%である、請求項1に記載のメッキチャンバの動作中に流体がロータまたは前記メッキチャンバに跳ねかかることを防ぐように構成されたバッフル。
【請求項6】
前記少なくとも1つの取付タブが、前記バッフルを前記メッキチャンバに結合するために前記バッフル上に配置されたフランジである、請求項1に記載のメッキチャンバの動作中に流体がロータまたは前記メッキチャンバに跳ねかかることを防ぐように構成されたバッフル。
【請求項7】
前記複数のスロットのそれぞれのスロットにメッシュが配置された、請求項1に記載のメッキチャンバの動作中に流体がロータまたは前記メッキチャンバに跳ねかかることを防ぐように構成されたバッフル。
【請求項8】
上端、下端、内側側面、および外側側面を有する本体であって、前記複数のスロットのそれぞれが前記本体の上端および下端を通って延びている、本体をさらに含む、請求項1に記載のメッキチャンバの動作中に流体がロータまたは前記メッキチャンバに跳ねかかることを防ぐように構成されたバッフル。
【請求項9】
前記内側側面が円弧状である、請求項8に記載のメッキチャンバの動作中に流体がロータまたは前記メッキチャンバに跳ねかかることを防ぐように構成されたバッフル。
【請求項10】
前記外側側面が平面状である、請求項9に記載のメッキチャンバの動作中に流体がロータまたは前記メッキチャンバに跳ねかかることを防ぐように構成されたバッフル。
【請求項11】
前記外側側面が円弧状である、請求項9に記載のメッキチャンバの動作中に流体がロータまたは前記メッキチャンバに跳ねかかることを防ぐように構成されたバッフル。
【請求項12】
前記外側側面が平面状である、請求項8に記載のメッキチャンバの動作中に流体がロータまたは前記メッキチャンバに跳ねかかることを防ぐように構成されたバッフル。
【請求項13】
前記内側側面が円弧状である、請求項8に記載のメッキチャンバの動作中に流体がロータまたは前記メッキチャンバに跳ねかかることを防ぐように構成されたバッフル。
【請求項14】
前記本体はポリテトラフルオロエチレンまたはポリエーテルエーテルケトンの少なくとも一方を含む、請求項8に記載のメッキチャンバの動作中に流体がロータまたは前記メッキチャンバに跳ねかかることを防ぐように構成されたバッフル。
【請求項15】
前記本体は、前記上端から水平方向に外側に延びるフランジを画成する、請求項8に記載のメッキチャンバの動作中に流体がロータまたは前記メッキチャンバに跳ねかかることを防ぐように構成されたバッフル。
【外国語明細書】