(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010290
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】繊維状炭素ナノ構造体
(51)【国際特許分類】
C01B 32/158 20170101AFI20250109BHJP
【FI】
C01B32/158
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024190023
(22)【出願日】2024-10-29
(62)【分割の表示】P 2021508989の分割
【原出願日】2020-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2019061144
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(72)【発明者】
【氏名】川上 修
(57)【要約】
【課題】表面改質処理し易い繊維状炭素ナノ構造体を提供する。
【解決手段】乾燥空気雰囲気における熱重量分析で得られる熱重量曲線の一次微分曲線である温度微分曲線のピークの半値幅が38℃以上90℃未満であり、前記ピークのピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度が658℃以上である、繊維状炭素ナノ構造体。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥空気雰囲気における熱重量分析で得られる熱重量曲線の一次微分曲線である温度微分曲線のピークの半値幅が38℃以上90℃未満であり、
前記ピークのピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度が658℃以上であり、
前記ピークのピークトップ高さの7.5/10の高さでの低温側温度における重量減少率が29重量%以上40重量%以下である、繊維状炭素ナノ構造体。
【請求項2】
前記ピークのピークトップ温度が530℃以上730℃未満である、請求項1に記載の繊維状炭素ナノ構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維状炭素ナノ構造体、繊維状炭素ナノ構造体の製造方法、および表面改質繊維状炭素ナノ構造体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、導電性、熱伝導性および機械的特性に優れる材料として、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)などの繊維状の炭素ナノ構造体が注目されている。
【0003】
しかしながら、CNTなどの繊維状炭素ナノ構造体は、ファンデルワールス力等によりバンドル構造体を形成し易く、溶媒中や樹脂中で分散させ難いため、所期の高特性を発揮させ難かった。
【0004】
そこで、CNTなどの繊維状炭素ナノ構造体に対して例えば酸化処理などの表面改質処理を施すことにより、繊維状炭素ナノ構造体の分散性を高める技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、繊維状炭素ナノ構造体の表面改質処理により分散性に優れる表面改質繊維状炭素ナノ構造体を得る観点からは、原料となる繊維状炭素ナノ構造体を良好に表面改質処理することが求められている。
【0007】
しかし、従来の繊維状炭素ナノ構造体には、表面改質処理のし易さを更に向上させるという点において改善の余地があった。
【0008】
そこで、本発明は、表面改質処理し易い繊維状炭素ナノ構造体およびその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、良好に表面改質処理された表面改質繊維状炭素ナノ構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、所定の性状を有する繊維状炭素ナノ構造体が表面改質され易いことを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、乾燥空気雰囲気における熱重量分析で得られる熱重量曲線の一次微分曲線である温度微分曲線(以下、「熱重量曲線の一次微分曲線である温度微分曲線」を単に「温度微分曲線」という。)のピークの半値幅が38℃以上90℃未満であり、前記ピークのピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度が658℃以上であることを特徴とする。温度微分曲線のピークの半値幅が38℃以上90℃未満であり、ピークのピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度が658℃以上である繊維状炭素ナノ構造体は、酸化処理などの表面改質処理を施した際に表面改質され易い。
ここで、本発明において、「ピーク」とは、温度微分曲線の図(例えば、
図1)において、1℃当たりの重量変化率の絶対値が極大値となる点を含んだ凸型の曲線部分のうち、1℃当たりの重量変化率の絶対値が最大値となる点(例えば、
図1におけるDTG
max)を含んだ凸型の曲線部分であって、1℃当たりの重量変化率の絶対値が極小値(
図1のように山(極大値)が1つであって極小値を有さない場合は最小値)となる点の、低温側温度(例えば、
図1におけるT
ini)と高温側温度との間の曲線部分を意味する。ただし、1℃当たりの重量変化率の絶対値が極小値(
図1のように山(極大値)が1つであって極小値を有さない場合は最小値)となる点は、ピークのピークトップ高さの1/10の高さ以下である。また、「ピークの半値幅」および「ピークのピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度」は、本明細書の実施例に記載の方法を用いて求めることができる。
【0011】
また、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、前記ピークのピークトップ高さの7.5/10の高さでの低温側温度における重量減少率が40重量%以下であることが好ましい。ピークのピークトップ高さの7.5/10の高さでの低温側温度における重量減少率が40重量%以下である繊維状炭素ナノ構造体は、酸化処理などの表面改質処理を施した際により表面改質され易い。
ここで、本発明において、「ピークのピークトップ高さの7.5/10の高さでの低温側温度における重量減少率」は、本明細書の実施例に記載の方法を用いて求めることができる。
【0012】
そして、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、前記ピークのピークトップ温度が530℃以上730℃未満であることが好ましい。ピークのピークトップ温度が530℃未満である繊維状炭素ナノ構造体は、酸化処理などの表面処理改質を施した際に焼失し易く、一方で、ピークのピークトップ温度が730℃以上である繊維状炭素ナノ構造体は、酸化処理などの表面処理改質を施した際により表面改質され難い。
ここで、本発明において、「ピークのピークトップ温度」は、本明細書の実施例に記載の方法を用いて求めることができる。
【0013】
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の繊維状炭素ナノ構造体の製造方法は、上述した繊維状炭素ナノ構造体の何れかを製造する繊維状炭素ナノ構造体の製造方法であって、繊維状炭素ナノ構造体を真空雰囲気下で120℃以上の温度に加熱する工程を含む、ことを特徴とする。
【0014】
そして、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の繊維状炭素ナノ構造体の製造方法は、上述した繊維状炭素ナノ構造体の何れかを製造する繊維状炭素ナノ構造体の製造方法であって、繊繊維状炭素ナノ構造体を不活性ガス雰囲気下800℃以上の温度に加熱する工程を含む、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の表面改質繊維状炭素ナノ構造体の製造方法は、上述した繊維状炭素ナノ構造体の何れかに対して表面改質処理を施し、表面改質繊維状炭素ナノ構造体を得る工程とを含むことを特徴とする。ここで、前記表面改質処理が湿式酸化処理であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、表面改質処理し易い繊維状炭素ナノ構造体およびその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、良好に表面改質処理された表面改質繊維状炭素ナノ構造体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】温度微分曲線のピークの形状を模式的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、例えば酸化処理などの表面改質処理を施した際に表面改質され易いものである。そして、本発明の繊維状炭素ナノ構造体を表面改質処理して得られる表面改質繊維状炭素ナノ構造体は、特に限定されることなく、例えば分散媒中に表面改質繊維状炭素ナノ構造体を分散させてなる分散液を調製する際に好適に用いることができる。
【0019】
(繊維状炭素ナノ構造体)
本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、乾燥空気雰囲気における熱重量分析で得られる温度微分曲線のピークの半値幅が38℃以上90℃未満であり、ピークのピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度が658℃以上であることを必要とする。そして、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、温度微分曲線のピークの半値幅が38℃以上90℃未満であり、ピークのピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度が658℃以上であるので、酸化処理などの表面改質処理を施した際に良好に表面改質される。
【0020】
ここで、繊維状炭素ナノ構造体としては、特に限定されることなく、例えば、カーボンナノチューブ(CNT)等の円筒形状の炭素ナノ構造体や、炭素の六員環ネットワークが扁平筒状に形成されてなる炭素ナノ構造体等の非円筒形状の炭素ナノ構造体が挙げられる。
なお、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、上述した炭素ナノ構造体を1種単独で含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
【0021】
上述した中でも、繊維状炭素ナノ構造体としては、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体が好ましい。CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性(例えば、導電性、熱伝導性、強度など)を発揮し得るからである。
【0022】
なお、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、CNTのみからなるものであってもよいし、CNTと、CNT以外の繊維状炭素ナノ構造体との混合物であってもよい。
そして、繊維状炭素ナノ構造体中のCNTとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。カーボンナノチューブの層数が少ないほど、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性を発揮し得るからである。
【0023】
ここで、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、乾燥空気雰囲気下における熱重量分析で得られる温度微分曲線のピークの半値幅が38℃以上90℃未満であることが必要であり、繊維状炭素ナノ構造体の温度微分曲線のピークの半値幅は、40℃以上であることが好ましく、49℃以下であることがより好ましい。また、繊維状炭素ナノ構造体の温度微分曲線のピークの半値幅は、85℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましい。温度微分曲線のピークの半値幅が好ましい範囲の上記下限以上であれば、空気酸化を促進する不純物を除去することができ、温度微分曲線のピークの半値幅が好ましい範囲の上記上限以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体の表面改質の際の焼失を抑制することができる。
【0024】
また、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、乾燥空気雰囲気下における熱重量分析で得られる温度微分曲線のピークのピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度が658℃以上であることが必要であり、繊維状炭素ナノ構造体の温度微分曲線のピークのピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度が660℃以上であることが好ましく、665℃以上であることがより好ましく、673℃以上であることが更に好ましく、689℃以上であることが一層好ましく、また、通常、760℃以下である。温度微分曲線のピークのピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度が好ましい範囲の上記下限以上であれば、酸化処理などの表面改質処理を施した際により良好に表面改質される。
【0025】
また、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、乾燥空気雰囲気下における熱重量分析で得られる温度微分曲線のピークのピークトップ高さの7.5/10の高さでの低温側温度における重量減少率が40重量%以下であることが好ましく、38重量%以下であることがより好ましく、35重量%以下であることが更に好ましく、31重量%以下であることが一層好ましく、29重量%以下であることがより一層好ましく、また、通常、10重量%以上である。温度微分曲線のピークのピークトップ高さの7.5/10の高さでの低温側温度における重量減少率が上記上限以下であると、酸化処理などの表面改質処理を施した際により良好に表面改質される。
【0026】
さらに、本発明の繊維状炭素ナノ構造体は、乾燥空気雰囲気下における熱重量分析で得られる温度微分曲線のピークのピークトップ温度が530℃以上であることが好ましく、550℃以上であることがより好ましく、570℃以上であることが更に好ましく、また、730℃未満であることが好ましく、710℃以下であることがより好ましく、690℃以下であることが更に好ましい。温度微分曲線のピークのピークトップ温度が530℃以上730℃未満であると、酸化処理などの表面改質処理を施した際により良好に表面改質される。
【0027】
なお、熱重量曲線は、縦軸が質量で横軸が温度の熱重量曲線であり、また、熱重量曲線の一次微分曲線は、縦軸が微分熱重量(DTG)で横軸が温度の温度微分曲線である。
【0028】
そして、繊維状炭素ナノ構造体の温度微分曲線のピークの、(i)半値幅(℃)、(ii)ピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度(表1における「b値」)(℃)、(iii)ピークのピークトップ高さの7.5/10の高さでの低温側温度における重量減少率(重量%)、および(iv)ピークトップ温度(℃)は、繊維状炭素ナノ構造体の前処理条件(例えば、前処理時の雰囲気(真空雰囲気または不活性ガス雰囲気)および処理温度等)を変更することにより、調節することができる。
【0029】
また、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径は、1nm以上であることが好ましく、60nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることが更に好ましい。平均直径が上記範囲内の繊維状炭素ナノ構造体は、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性を発揮し得る。
ここで、本発明において、「繊維状炭素ナノ構造体の平均直径」は、透過型電子顕微鏡(TEM)画像上で、例えば、無作為に選択された20本の繊維状炭素ナノ構造体について直径(外径)を測定し、個数平均値を算出することで求めることができる。
【0030】
また、繊維状炭素ナノ構造体としては、平均直径(Av)に対する、直径の標準偏差(σ:標本標準偏差)に3を乗じた値(3σ)の比(3σ/Av)が0.20超0.80未満の繊維状炭素ナノ構造体を用いることが好ましく、3σ/Avが0.25超の繊維状炭素ナノ構造体を用いることがより好ましく、3σ/Avが0.50超の繊維状炭素ナノ構造体を用いることが更に好ましい。3σ/Avが0.20超0.80未満の繊維状炭素ナノ構造体は、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性を発揮し得る。
なお、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)および標準偏差(σ)は、繊維状炭素ナノ構造体の製造方法や製造条件を変更することにより調整してもよいし、異なる製法で得られた繊維状炭素ナノ構造体を複数種類組み合わせることにより調整してもよい。
【0031】
更に、繊維状炭素ナノ構造体は、平均長さが、10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、80μm以上であることが更に好ましく、600μm以下であることが好ましく、550μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることが更に好ましい。平均長さが上記範囲内の繊維状炭素ナノ構造体は、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性を発揮し得る。
なお、本発明において、「繊維状炭素ナノ構造体の平均長さ」は、走査型電子顕微鏡(SEM)画像上で、例えば、20本の繊維状炭素ナノ構造体について長さを測定し、個数平均値を算出することで求めることができる。
【0032】
ここで、繊維状炭素ナノ構造体は、通常、アスペクト比が10超である。なお、繊維状炭素ナノ構造体のアスペクト比は、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡を用いて、無作為に選択した繊維状炭素ナノ構造体20本の直径および長さを測定し、直径と長さとの比(長さ/直径)の平均値を算出することにより求めることができる。
【0033】
また、繊維状炭素ナノ構造体は、BET比表面積が、600m2/g以上であることが好ましく、800m2/g以上であることがより好ましく、2000m2/g以下であることが好ましく、1800m2/g以下であることがより好ましく、1600m2/g以下であることが更に好ましい。繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が600m2/g以上であれば、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性を発揮し得る。また、繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が2000m2/g以下であれば、表面改質処理した際に分散性を十分に高めることができる。
なお、本発明において、「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
【0034】
また、繊維状炭素ナノ構造体は、開口処理されておらず、吸着等温線から得られるt-プロットが上に凸な形状を示すことが好ましい。t-プロットが上に凸な形状を示す繊維状炭素ナノ構造体は、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性を発揮し得る。
なお、「t-プロット」は、窒素ガス吸着法により測定された繊維状炭素ナノ構造体の吸着等温線において、相対圧を窒素ガス吸着層の平均厚みt(nm)に変換することにより得ることができる。即ち、窒素ガス吸着層の平均厚みtを相対圧P/P0に対してプロットした、既知の標準等温線から、相対圧に対応する窒素ガス吸着層の平均厚みtを求めて上記変換を行うことにより、繊維状炭素ナノ構造体のt-プロットが得られる(de Boerらによるt-プロット法)。
なお、本明細書において、「t-プロット」は、本明細書の実施例に記載の方法を用いて求めることができる。
【0035】
ここで、表面に細孔を有する物質では、窒素ガス吸着層の成長は、次の(1)~(3)の過程に分類される。そして、下記の(1)~(3)の過程によって、t-プロットの傾きに変化が生じる。
(1)全表面への窒素分子の単分子吸着層形成過程
(2)多分子吸着層形成とそれに伴う細孔内での毛管凝縮充填過程
(3)細孔が窒素によって満たされた見かけ上の非多孔性表面への多分子吸着層形成過程
【0036】
そして、上に凸な形状を示すt-プロットは、窒素ガス吸着層の平均厚みtが小さい領域では、原点を通る直線上にプロットが位置するのに対し、tが大きくなると、プロットが当該直線から下にずれた位置となる。かかるt-プロットの形状を有する繊維状炭素ナノ構造体は、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積に対する内部比表面積の割合が大きく、繊維状炭素ナノ構造体を構成する炭素ナノ構造体に多数の開口が形成されていることを示している。
【0037】
なお、繊維状炭素ナノ構造体のt-プロットの屈曲点は、0.2≦t(nm)≦1.5を満たす範囲にあることが好ましく、0.45≦t(nm)≦1.5の範囲にあることがより好ましく、0.55≦t(nm)≦1.0の範囲にあることが更に好ましい。繊維状炭素ナノ構造体のt-プロットの屈曲点がかかる範囲内にあれば、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性を発揮し得る。
なお、「屈曲点の位置」は、前述した(1)の過程の近似直線Aと、前述した(3)の過程の近似直線Bとの交点である。
【0038】
更に、繊維状炭素ナノ構造体は、t-プロットから得られる全比表面積S1に対する内部比表面積S2の比(S2/S1)が0.05以上0.30以下であるのが好ましい。繊維状炭素ナノ構造体のS2/S1の値がかかる範囲内であれば、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性を発揮し得る。
ここで、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積S1および内部比表面積S2は、そのt-プロットから求めることができる。具体的には、まず、(1)の過程の近似直線の傾きから全比表面積S1を、(3)の過程の近似直線の傾きから外部比表面積S3を、それぞれ求めることができる。そして、全比表面積S1から外部比表面積S3を差し引くことにより、内部比表面積S2を算出することができる。
【0039】
因みに、繊維状炭素ナノ構造体の吸着等温線の測定、t-プロットの作成、および、t-プロットの解析に基づく全比表面積S1と内部比表面積S2との算出は、例えば、市販の測定装置である「BELSORP(登録商標)-mini」(日本ベル(株)製)を用いて行うことができる。
【0040】
更に、繊維状炭素ナノ構造体として好適なCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、ラマン分光法を用いて評価した際に、Radial Breathing Mode(RBM)のピークを有することが好ましい。なお、三層以上の多層カーボンナノチューブのみからなる繊維状炭素ナノ構造体のラマンスペクトルには、RBMが存在しない。
【0041】
また、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が0.5以上5.0以下であることが好ましい。G/D比が0.5以上5.0以下であれば、表面改質処理により分散性を高めた際に特に優れた特性を発揮し得る。
なお、本明細書において、「G/D比」は、下記方法を用いて求めることができる。
<G/D比>
顕微レーザラマンシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製、NicoletAlmega XR)を用い、基材中心部付近の繊維状炭素ナノ構造体について測定する。
【0042】
そして、繊維状炭素ナノ構造体の炭素純度は、好ましくは98質量%以上、より好ましくは99質量%以上、さらに好ましくは99.9質量%以上である。
なお、本明細書において、「炭素純度」は、下記方法を用いて求めることができる。
<炭素純度>
熱重量分析装置(TG)を使用し、繊維状炭素ナノ構造体を空気中で800℃まで昇温した際の減少重量から炭素純度(=(800℃に到達するまでに燃焼して減少した重量/初期重量)×100(%))を求める。
【0043】
<前処理>
前処理は、(i)繊維状炭素ナノ構造体を真空雰囲気下で120℃以上、好ましくは190℃以上の温度(通常、300℃以下)に加熱する工程を含むものであってもよく、(ii)繊維状炭素ナノ構造体を不活性ガス雰囲気下で800℃以上、好ましくは900℃以上の温度(通常、1,100℃以下)に加熱する工程を含むものであってもよいが、真空下で加熱する工程を含むことが好ましい。
処理温度を下限以上の温度とすることにより、酸化処理などの表面改質処理を施した際により表面改質され易く、処理温度を上限以下の温度とすることにより、繊維状炭素ナノ構造体の焼失を抑制することができる。
不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウムなどが好適に挙げられる。
なお、上述した(i)繊維状炭素ナノ構造体を真空雰囲気下で120℃以上に加熱する工程を行った後に、上述した(ii)繊維状炭素ナノ構造体を不活性ガス雰囲気下で800℃以上に加熱する工程を行ってもよく、また、上述した(ii)繊維状炭素ナノ構造体を不活性ガス雰囲気下で800℃以上に加熱する工程を行った後に、上述した(i)繊維状炭素ナノ構造体を真空雰囲気下で120℃以上に加熱する工程を行ってもよい。
【0044】
前処理の処理時間としては、10分間以上であることが好ましく、1時間以上であることがより好ましく、3時間以上であることが更に好ましく、36時間以下であることが好ましく、30時間以下であることがより好ましく、24時間以下であることが更に好ましい。
処理時間を下限以上とすることにより、空気酸化を促進させる不純物を除去することができ、処理時間を上限以下とすることにより、繊維状炭素ナノ構造体の焼失を抑制することができる。
【0045】
(表面改質繊維状炭素ナノ構造体の製造方法)
本発明の表面改質繊維状炭素ナノ構造体の製造方法では、上述したような所定の性状を有する繊維状炭素ナノ構造体に対して表面改質処理を施し、表面改質繊維状炭素ナノ構造体を得る。
【0046】
<表面改質処理>
表面改質処理は、特に限定されることなく、例えば、硝酸、硫酸、硝酸と硫酸との混酸、オゾン、フッ素ガスまたは過酸化水素などの表面改質処理剤を用いて行うことができる。中でも、分散性に優れる表面改質繊維状炭素ナノ構造体を得る観点からは、表面改質処理は、硝酸、硫酸または硝酸と硫酸との混酸を用いて行う湿式酸化処理であることが好ましく、硝酸と硫酸との混酸を用いて行う湿式酸化処理であることがより好ましい。また、表面改質処理条件は、使用する表面改質処理剤の種類および所望の表面改質繊維状炭素ナノ構造体の性状に応じて設定することができる。
【0047】
<表面改質繊維状炭素ナノ構造体>
そして、本発明の繊維状炭素ナノ構造体を表面改質処理して得られる表面改質繊維状炭素ナノ構造体は、特に限定されることなく、例えば水などの分散媒中で、分散剤を使用しなくても良好に分散させることができる。そして、得られた繊維状炭素ナノ構造体分散液は、各種成形品(例えば、帯電防止膜や透明導電膜など)の製造に用いることができる。
【実施例0048】
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下において、量を表す「%」は、特に断らない限り、質量基準である。
【0049】
実施例および比較例において、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の、(I)温度微分曲線のピークの(i)半値幅(℃)、(ii)ピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度(b値)(℃)、(iii)ピークトップ高さの7.5/10の高さでの低温側温度における重量減少率(重量%)、および(iv)ピークトップ温度(℃)、並びに、(II)表面改質処理性は、それぞれ以下の方法を使用して測定または評価した。
【0050】
<温度微分曲線>
熱重量示差熱同時測定装置(BrukerAXS製、製品名「TG-DTA2020SA」)を使用し、測定試料2.00mgを熱重量示差熱同時測定装置のPtパン(100μL)に載せ、昇温速度5℃/分、乾燥空気流量200mL/分の条件下で繊維状炭素ナノ構造体の熱重量曲線を測定し(データ取得頻度:0.5秒/ポイント)、一次微分曲線(一次微分曲線作成条件:微分幅10ポイント)である温度微分曲線を得た。
ここで、熱重量曲線は、縦軸が質量で横軸が温度であり、温度微分曲線は、例えば、
図1に示すように、縦軸が微分熱重量(DTG)で横軸が温度である。
図1において、実線で示されるピークが前処理前のもの(例えば、比較例1~4)であり、破線で示されるピークが前処理後のもの(例えば、実施例1~4)である。
そして、温度微分曲線のピークから、(i)半値幅(℃)、(ii)ピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度(b値)(℃)、(iii)ピークトップ高さの7.5/10の高さでの低温側温度における重量減少率(重量%)、および(iv)ピークトップ温度(℃)を、それぞれ求めた。
(i)半値幅(℃):T
b-T
a
(ii)ピークトップ高さhの1/10の高さ(h/10)での高温側温度(℃)(表1における「b値」):T
c
(iii)ピークトップ高さhの7.5/10の高さ(7.5h/10)での低温側温度T
dにおける重量減少率(重量%)(表1における「重量減少率」):A
(iv)ピークトップ温度(℃):T
max
T
max:ピークトップ温度(℃)
DTG
max:温度T
maxにおける微分熱重量(%/℃)(ピークトップ高さh)
T
ini:ピークの始点の温度(℃)
T
a:微分熱重量の値がDTG
maxの1/2(h/2)になる温度(℃)(低温側)
T
b:微分熱重量の値がDTG
maxの1/2(h/2)になる温度(℃)(高温側、T
b>T
a)
T
c:微分熱重量の値がDTG
maxの1/10(h/10)になる温度(℃)(高温側)
T
d:微分熱重量の値がDTG
maxの7.5/10(7.5h/10)になる温度(℃)(低温側)
A:T
iniからT
dまでの温度領域におけるピーク面積(ピーク積分値)
<表面改質処理性>
冷却管と撹拌翼を備えた300mLフラスコに、得られた繊維状炭素ナノ構造体(実施例1~4:前処理後のもの、比較例1~4:前処理をしていないもの)0.80g、イオン交換水54.8g、および、硫酸(和光純薬社製、濃度96~98%)と硝酸(和光純薬社製、濃度69~70%)とを1:3(体積比)の割合で含有する混酸液83mLを加えたのち、撹拌しながら内温110℃で8時間加熱した。
得られた混酸処理(「本処理」、「湿式酸化処理」ということもある)後の繊維状炭素ナノ構造体/混酸の液3.0gを、50mLサンプル瓶に測り取り、イオン交換水を27.0g添加して希釈した。上澄みを除去した後、イオン交換水を加えて液量を30mLとした。濃度0.1%のアンモニア水を加えて、pHを7.0に調整したのち、超音波照射装置(ブランソン製、製品名「BRANSON5510」)を用いて周波数42Hzで50分間、超音波照射して、繊維状炭素ナノ構造体の分散液を得た。
[分散液の評価]
そして、得られた分散液に対し、遠心分離機(ベックマンコールター製、製品名「OPTIMA XL100K」)を使用し、20,000Gで40分間遠心分離して上澄み液を回収するサイクルを3回繰り返して、遠心分離処理後の繊維状炭素ナノ構造体の分散液20mLを得た。得られた分散液について、目視で凝集物の有無を確認した。
また、分光光度計(日本分光製、商品名「V670」)を使用し、遠心分離機で処理する前の分散液の吸光度Ab1(光路長1cm、波長550nm)と、遠心分離機で処理した後の分散液の吸光度Ab2(光路長1cm、波長550nm)を測定した。下記式により、遠心分離処理による吸光度の低下率を求めることで、繊維状炭素ナノ構造体の分散性を評価した。吸光度低下率が小さい(50%以下である)ほど、繊維状炭素ナノ構造体が良好に表面改質されており、繊維状炭素ナノ構造体の分散性が優れていることを示す。
吸光度低下率(%)={1-(Ab2/Ab1)}×100
[成形品(膜)の評価]
また、得られた分散液を、ガラス基板にバーコーター♯2にて塗布した後、130℃で10分間乾燥し、繊維状炭素ナノ構造体からなる膜をガラス基板上に形成した。
そして、得られた膜を光学顕微鏡(倍率100倍)で観察し、顕微鏡の視野中に視認される繊維状炭素ナノ構造体の凝集塊(直径30μm以上)の有無を確認することで、繊維状炭素ナノ構造体の分散性を評価した。繊維状炭素ナノ構造体の凝集塊の数が少ないほど、繊維状炭素ナノ構造体が良好に表面改質されており、繊維状炭素ナノ構造体の分散性が優れていることを示す。
〔総合評価〕
吸光度低下率が50%以下であり、分散液中の凝集物がなく、且つ、膜中の凝集塊がない場合を「優」とし、「優」以外の場合を「不可」とした。
【0051】
(実施例1)
繊維状炭素ナノ構造体の配向集合体(CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体)として、単層カーボンナノチューブである、ゼオンナノテクノロジー社製『ZEONANO SG101』を用いた。このCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体に対して、油回転式真空ポンプを備えたオーブンを用いて真空下で190℃で15時間加熱する前処理を行った。
そして、得られた繊維状炭素ナノ構造体について、(I)温度微分曲線のピークの(i)半値幅(℃)、(ii)ピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度(b値)(℃)、(iii)ピークトップ高さの7.5/10の高さでの低温側温度における重量減少率(重量%)、および(iv)ピークトップ温度(℃)、並びに、(II)表面改質処理性を評価した。結果を表1に示す。
【0052】
(実施例2)
実施例1において、真空下で190℃で15時間加熱する前処理を行う代わりに、真空下で120℃で15時間加熱する前処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして、繊維状炭素ナノ構造体の配向集合体(CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体)を得た。
そして、得られた繊維状炭素ナノ構造体について、(I)温度微分曲線のピークの(i)半値幅(℃)、(ii)ピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度(b値)(℃)、(iii)ピークトップ高さの7.5/10の高さでの低温側温度における重量減少率(重量%)、および(iv)ピークトップ温度(℃)、並びに、(II)表面改質処理性を評価した。結果を表1に示す。
【0053】
(実施例3)
実施例1において、真空下で190℃で15時間加熱する前処理を行う代わりに、窒素雰囲気下で900℃で6時間加熱する前処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして、繊維状炭素ナノ構造体の配向集合体(CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体)を得た。
そして、得られた繊維状炭素ナノ構造体について、(I)温度微分曲線のピークの(i)半値幅(℃)、(ii)ピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度(b値)(℃)、(iii)ピークトップ高さの7.5/10の高さでの低温側温度における重量減少率(重量%)、および(iv)ピークトップ温度(℃)、並びに、(II)表面改質処理性を評価した。結果を表1に示す。
【0054】
(実施例4)
実施例1において、真空下で190℃で15時間加熱する前処理を行う代わりに、窒素雰囲気下で800℃で6時間加熱する前処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして、繊維状炭素ナノ構造体の配向集合体(CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体)を得た。
そして、得られた繊維状炭素ナノ構造体について、(I)温度微分曲線のピークの(i)半値幅(℃)、(ii)ピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度(b値)(℃)、(iii)ピークトップ高さの7.5/10の高さでの低温側温度における重量減少率(重量%)、および(iv)ピークトップ温度(℃)、並びに、(II)表面改質処理性を評価した。結果を表1に示す。
【0055】
(比較例1)
真空下で加熱する前処理を行なっていない繊維状炭素ナノ構造体の配向集合体(CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体)としての単層カーボンナノチューブである、ゼオンナノテクノロジー社製『ZEONANO SG101』について、(I)温度微分曲線のピークの(i)半値幅(℃)、(ii)ピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度(b値)(℃)、(iii)ピークトップ高さの7.5/10の高さでの低温側温度における重量減少率(重量%)、および(iv)ピークトップ温度(℃)、並びに、(II)表面改質処理性を評価した。結果を表1に示す。
【0056】
(比較例2)
比較例1において、繊維状炭素ナノ構造体の配向集合体としての単層カーボンナノチューブである、Ocsial社製『Tuball』を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、繊維状炭素ナノ構造体の配向集合体(CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体)について、(I)温度微分曲線のピークの(i)半値幅(℃)、(ii)ピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度(b値)(℃)、(iii)ピークトップ高さの7.5/10の高さでの低温側温度における重量減少率(重量%)、および(iv)ピークトップ温度(℃)、並びに、(II)表面改質処理性を評価した。結果を表1に示す。
【0057】
(比較例3)
比較例1において、繊維状炭素ナノ構造体の配向集合体としての単層カーボンナノチューブである、Signis SG-65iを用いたこと以外は、比較例1と同様にして、繊維状炭素ナノ構造体の配向集合体(CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体)について、(I)温度微分曲線のピークの(i)半値幅(℃)、(ii)ピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度(b値)(℃)、(iii)ピークトップ高さの7.5/10の高さでの低温側温度における重量減少率(重量%)、および(iv)ピークトップ温度(℃)、並びに、(II)表面改質処理性を評価した。結果を表1に示す。
【0058】
(比較例4)
比較例1において、繊維状炭素ナノ構造体の配向集合体としての単層カーボンナノチューブである、名城ナノカーボン社製『MEIJO eDIPS EC1.5』を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、繊維状炭素ナノ構造体の配向集合体(CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体)について、(I)温度微分曲線のピークの(i)半値幅(℃)、(ii)ピークトップ高さの1/10の高さでの高温側温度(b値)(℃)、(iii)ピークトップ高さの7.5/10の高さでの低温側温度における重量減少率(重量%)、および(iv)ピークトップ温度(℃)、並びに、(II)表面改質処理性を評価した。結果を表1に示す。
【0059】
【0060】
表1より、実施例1~4の繊維状炭素ナノ構造体は、比較例1~4の繊維状炭素ナノ構造体と比較し、良好に表面改質されており、分散性に優れている(総合評価が「優」である)ことが分かる。